JP6908227B2 - 地厚ストレッチ編地 - Google Patents
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Description
また本発明は、ストレッチ性を豊富にさせることによってもスナッキング等の不都合及びラン発生による編地ほつれの拡大は生じない編組織を有した地厚ストレッチ編地を提供することを目的とする。
即ち、本発明に係る地厚ストレッチ編地は、編成時に糸を走らせる方向をコース方向とおくときに、タックを含んで編成されたタックコースと、前記タックコースのタックループが被せられるコースとの少なくとも2コースが、それぞれ地糸と添え糸とを備えたプレーティングによる編組織で構成されていることを特徴とする。
或いは、前記タックコースがウエール方向で複数連続して配置されているものとしてもよい。
前記プレーティングの編組織を構成する前記地糸及び前記添え糸は互いの収縮率に差が生じるように選出されており、これら地糸及び添え糸は、収縮後の形状安定時に互いのループ形体が寄り添うようになることを見こした給糸長で形成されたものとするのがよい。
また地糸や添え糸の収縮は、特に、収縮率の大きな方(糸)のループが収縮した際に、収縮率の小さな方(糸)のループを形状的に拘束するような締め付け作用が生じることを見こして、前記地糸と前記添え糸を(収縮率と給糸長との関係として)選出することが好ましい。
図1及び図2は、本発明に係る地厚ストレッチ編地(以下、「本発明編地」と言う)1の第1実施形態を示している。これら図1及び図2から明らかなように、本発明編地1はタックコース3を備えており、しかもこのタックコース3は地糸4と添え糸5とによりプレーティング編みされた編組織となっている。
このタックコース3では、地糸4によるタックループのループ形体と、添え糸5によるタックループのループ形体とが互いに寄り添うようになっており(ループの大きさが略同じであり)、綺麗な2重ループが得られるものとなっている。
そして、本発明編地1では、上記のようにタックコース3のタックループ3aが被るループ8aを有するコース8についても、地糸12と添え糸13とによりプレーティング編みされた編み組織となっている。
コース8においても、地糸12によるループ形体と添え糸13によるループ形体とが、収縮後の形状安定時に寄り添うようにしてある。
このように、本発明編地1では、タックループ3aとこのタックループ3aが被るループ8aとが共にプレーティング編みされていることから、ここに、[地糸4と添え糸5]及び[地糸12と添え糸13]より成る4重ループ15が形成されたものとなっている。従って、この4重ループ15の存在により、本発明編地1は編地厚さに十分なボリュウムを生じさせることができるものである。
そしてここで重要とされることは、収縮率の大きな方の糸が収縮した後でも、地糸4によるタックループのループ形体と、添え糸5によるタックループのループ形体とが互いに寄り添うようにしている点にある。
これにより、編地厚のボリュウムアップ効果を一層高めるだけでなく、編地のどこを裁断しても編組織が緩んだり崩壊したりすることがないというフリーカット性(いわゆる「切りっぱ」の効果)を得ることもできる。また、編地端において糸端が飛び出すような問題を解消できるので、本発明編地1により衣類を作成した場合には、着たり脱いだりの繰り返しや洗濯などを原因とする編地の痛みにつき、これらを抑制する効果が図れる点で極めて有益となる。
なお、熱収縮糸には、沸水収縮率が8%以上45%以下とされたものを採用することが好適とされる。沸水収縮率が8%未満であると、ループ拘束作用が乏しくて編地厚さのボリュウムやフリーカット性が不充分となる場合があり、また反対に、沸水収縮率が45%を超えると、強化されるループ拘束作用を要因として編地ボリュウムが分厚くなりすぎたり、目付が過大となったりする場合がある。
なお、地糸4と添え糸5とを選出するうえで、互いの収縮率に差を生じさせたものとするには、いずれか一方の糸を弾性糸として、編成時に大きく延伸を付与するという方法を採用することでも実現できる。
そのため、編組織の主要成分である地糸4,12,18(編地表側として多く現れる糸)と、副成分である添え糸5,13,19(編地内側として多く現れる糸)とでは、それぞれ伸縮性、強度、太さ、比重といった物性面であったり、また外観や柄、風合い(肌触り)、保温性などの特性であったりに着目して、使用する糸種を選択するのがよい。
例えば、地糸4,12,18には、前記したように収縮率の大きさを期待して熱収縮糸を用いたり、弾性作用を期待してベア糸やカバリング糸(SCYやDCY)を用いたりすることができる。
しかし、この従来手法により編成した編地では、目付(重量)が重くなり、またストレッチ性が低下するなどの課題を伴うことになる。もし、このダブルニットをプレーティング編みなどすれば、なおさら目付の重量化や低ストレッチ化を招来するおそれがある。
なお、本第1実施形態では、ダブルニットコース8に続けて第2のダブルニットコース17を配置してある。要するに、本第1実施形態の本発明編地1は、タックコース3を含めた合計3コース(8,11,17)をウエール方向に繰り返した、いわゆる3口リピートとして構成されたものであり、タックコース3を挟む両隣が、タックを不存在とする編組織(ダブルニットコース8,17)になる配置と言える。
これによって本第1実施形態の本発明編地1では、編地全体がプレーティング編みされた編み組織となっている。このようにすることで、コースごとのボリュウム感の違いを緩和して、視覚的、着用感的な違和感に繋がらないようにすることに成功している。
タックコース3やダブルニットコース8,17において、シリンダ−針側で編成したループに起毛処理を施して毛羽立たせることで、このシリンダ−針側による編成面を衣類の肌側面として形成させるとよい。
本第1実施形態の編組織を有する本発明編地1を用いて衣類を製作した結果、編地厚さに十分なボリュウムを生じさせて保温性を出しながら、柔軟なストレッチ性(伸び性)をも豊富にさせて動きやすい衣類を完成させることができた。
場合によっては、図4に第3実施形態として示すように、タックコース3とダブルニットコース8との2口リピートとしてもよい。
このことから明らかなように、タックコース3のタックループ3aは、必ずしも「タックコース3に隣接するコース8のループ8a」に被せられることが限定されるわけではない。
この場合もやはり、タックコース3を挟む両隣が、タックを不存在とする編組織(ダブルニットコース8,26)となり、また編地全体がプレーティング編みされた編み組織となっていると言える。
なお、シングルニットコース33を採用する場合、コース方向で隣り合うループとループとの間に、いわゆる糸渡り部37が現れることになる。このような糸渡り部37は、従来公知の編み組織では編地を引き伸ばした際などに、編地表面側のリブ間で直線状に露出することがあり、以下のような問題に繋がることがあった。
る要因となっていた。また、このようなスナッキングや糸切断が一旦生じると、そこを起点にランが発生し、外観上、極めて目立つ編地面の破れに派生するおそれもあった。
そのため、本発明編地1を取り扱う者の爪、或いは洗濯時や使用時における他物との接触を原因として、糸渡り部37がスナッキングや糸切断に至ることは防止される。また万が一、糸渡り部37に引っ掛かりが生じたとしても、この糸渡り部37が補強され、位置的な拘束を受けていることによってスナッキングに至る危険性は可及的に抑制されるものである。
図8は、本発明編地1の第7実施形態を示している。本第7実施形態は、第6実施形態(図7参照)を基本パターンにして更に発展させたもので、タックコース3にはタックループ3aとウエルト部(ミス部又は浮き編み部とも呼称される)3bとを交互に混ぜる編組織を採用してある。
従って、本第7実施形態においても、タックコース3のタックループ3aが隣接するシングルニットコース33のループ33aまで引き上げられ、被せられて、4重ループが形成される部分を生じさせるものとなる。
ところで、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
タックコース3をはじめとする各コースにおいて、それぞれ使用する糸種は特に限定されるものではなく、例えば、タックコース3に長繊維を採用したり、その他のコースに短繊維を採用したりしてもよい。また、短繊維や長繊維として具体的に何を選択するかについても、何ら限定されるものではない。
れない。ただ、タックループ3aを多くすればするほど、編地厚さにボリュウムを持たせることに繋がることは言うまでもない。
プレーティング編みにおいて、地糸や添え糸は、各1本とすることが限定されるわけではない。場合によっては地糸を複数本用いたり添え糸を複数本用いたりすることができる。そのため、タックコース3のタックループ3aにより形成される多重ループについても、4重ループとすることが限定されるわけではなく、5重ループや6重ループなどの場合も実施可能である。
3 タックコース
3a タックループ
3b ウエルト部
4 地糸
5 添え糸
8 ダブルニットコース
8a ループ
12 地糸
13 添え糸
15 4重ループ
17 ダブルニットコース
17a ループ
18 地糸
19 添え糸
23 ダブルニットコース
24 地糸
25 添え糸
26 ダブルニットコース
27 4重ループ
28 地糸
29 添え糸
33 シングルニットコース
33a ループ
34 地糸
35 添え糸
37 糸渡り部
40 ウエルト部だけのコース
Claims (5)
- 編成時に糸を走らせる方向をコース方向とおくときに、タックを含んで編成されたタックコースと、前記タックコースのタックループが被せられるコースとの少なくとも2コースが、それぞれ地糸と添え糸とを備えたプレーティングによる編組織で構成され、
前記プレーティングの編組織を構成する前記地糸及び前記添え糸は互いの収縮率に差が生じるように選出されており、前記地糸にだけ沸水収縮率が8%以上45%以下の熱収縮糸を採用していることを特徴とする地厚ストレッチ編地。 - 前記コース方向に交差する編み降ろし方向をウエール方向とおくときに、前記タックコースに対してウエール方向の両隣を挟む配置の2コースが、タックを不存在とする編組織で構成されていることを特徴とする請求項1記載の地厚ストレッチ編地。
- 前記コース方向に交差する編み降ろし方向をウエール方向とおくときに、前記タックコースがウエール方向で複数連続して配置されていることを特徴とする請求項1記載の地厚ストレッチ編地。
- 前記プレーティングによる編組織は前記添え糸が溶着糸とされており、前記タックコースと前記タックコースのタックループが被せられるコースとが前記溶着糸により融着又は合着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の地厚ストレッチ編地。
- これら地糸及び添え糸は、収縮後の形状安定時に互いのループ形体が寄り添うようになることを見こした給糸長で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の地厚ストレッチ編地。
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