JP6907468B2 - 繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化複合材料の製造方法に関する。
繊維強化複合材料は、軽量、高強度および高剛性であることから、スポーツ・レジャー分野、自動車分野、航空機分野、他の一般産業分野等に幅広く用いられている。最近では、より軽量、高強度および高剛性である繊維強化複合材料が、自動車分野、航空機分野等においてよく用いられている。
繊維強化複合材料は、強化繊維およびマトリックス樹脂を必須の構成要素とする材料である。繊維強化複合材料は、強化繊維の繊維軸方向の強度および弾性率が極めて高いものの、繊維軸方向に対して直角方向の強度および弾性率が低い、異方性材料である。
繊維強化複合材料は、例えば強化繊維基材に未硬化の熱硬化性樹脂組成物を含浸させたプリプレグを積層し、加熱成形し、熱硬化性樹脂組成物を硬化させて製造される。繊維強化複合材料を製造する際には、強化繊維の織物を用いたプリプレグを用いたり、一方向に配列した強化繊維を用いたプリプレグの繊維軸方向を異方向に組み合わせて積層したりすることによって、異方性材料である繊維強化複合材料の各方向における物性の制御が行われる。
しかし、プリプレグを積層して製造された繊維強化複合材料においては、積層されるプリプレグの表面近傍のマトリックス樹脂からなる層間領域における強化繊維の分率が小さく、かつ層間領域の両側の強化繊維の配向が異なるため、層間領域に応力が集中しやすくなる。そのため、繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度等については、層間領域での破壊が支配的となる。したがって、強化繊維の強度を向上させても、繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度等の抜本的な改良には結びつかないことが知られている。特に熱硬化性樹脂組成物の硬化物をマトリックス樹脂とする場合、熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、コスト、生産性、耐熱性といった種々の利点を有する一方で、靱性に乏しいという欠点を有するため、繊維強化複合材料の層間領域の靱性も不十分なものとなる。
層間領域の靱性が向上した繊維強化複合材料としては、例えば、下記のものが提案されている。
(1)層間領域に高靱性なポリアミド等の微粒子を配置した繊維強化複合材料(特許文献1、2)。
(2)層間領域に特定の粒子径分布指数、真球度およびガラス転移温度を有する微粒子を配置し、マトリックス樹脂にエラストマー成分を含ませた特定の繊維強化複合材料(特許文献3)。
特開昭63−162732号公報 特開2009−286895号公報 国際公開第2012/102201号
近年、航空機の構造材、風車のブレード等の大型かつ3次元的な曲面形状を有する部材への繊維強化複合材料の適応が進められている。大型部材や3次元的な曲面形状を有する部材に引張や圧縮の応力が負荷された場合、繊維強化複合材料の層間領域に面外方向への引き剥がし応力が発生する。引き剥がし応力によって層間領域に生じた亀裂が、亀裂面に対して垂直な(開口形)モードIによって進展し、部材全体の強度、剛性が低下し、全体破壊に到る場合がある。よって、繊維強化複合材料においては、モードI層間破壊靱性が重要な特性のひとつとなっている。
(1)の繊維強化複合材料においては、モードII層間破壊靱性、すなわち剥離亀裂が、亀裂面に平行で、亀裂前縁に垂直な(縦せん断形)モードIIによって進展する際の層間破壊靱性が高いため、衝撃後圧縮強度が高く、部材表面への落錘衝撃による損傷が抑えられる。しかし、(1)の繊維強化複合材料は、部材の大型化や3次元的な曲面形状のような複雑化に必要なモードI層間破壊靱性が不十分である。
(2)の繊維強化複合材料は、衝撃後圧縮強度の向上に有効なモードII層間破壊靱性および大型化や3次元的な曲面形状のような複雑化に必要なモードI層間破壊靱性が高い。しかし、最近では、モードI層間破壊靱性およびモードII層間破壊靱性のさらなる向上が求められている。
本発明は、モードI層間破壊靱性およびモードII層間破壊靱性に優れた繊維強化複合材料を製造できる方法を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>下記構成要素(A)、下記構成要素(B)および下記構成要素(C)を含み、前記構成要素(C)の含有量が前記構成要素(B)100質量部に対して10〜30質量部であるプリプレグの2つ以上を積層し、下記温度T以上で加熱成形することによって、下記条件(a)、下記条件(b)および下記条件(c)を満たす繊維強化複合材料を得る、繊維強化複合材料の製造方法。
構成要素(A):シート状強化繊維基材。
構成要素(B):エポキシ樹脂組成物。
構成要素(C):樹脂からなる粒子であり、前記樹脂が結晶性である場合は融点で表され、前記樹脂が非晶性である場合はガラス転移温度で表される前記樹脂の温度Tが100〜190℃であり、真球度が80未満であり、細孔を有さず、粒度分布指数Ucが1.5〜5.0である樹脂粒子。
条件(a):前記構成要素(C)が前記温度T以上に加熱されることによって熱変形した構成要素(C’)が前記繊維強化複合材料中に存在し、前記構成要素(C’)が互いに融着することによって前記構成要素(C’)からなる複数の融着領域を形成している。
条件(b):前記繊維強化複合材料中の前記構成要素(C’)の100質量%のうちの90質量%以上が、隣り合う前記構成要素(A)の層間に偏在している。
条件(c):前記繊維強化複合材料の断面を観察したとき、隣り合う前記構成要素(A)の層間に偏在する前記構成要素(C’)からなる融着領域の平均面積が、1000μm以上である。
<2>前記プリプレグを、下記方法(α)、下記方法(β)、下記方法(γ)および下記方法(δ)からなる群から選ばれる1つの方法によって製造する、前記<1>の繊維強化複合材料の製造方法。
方法(α):前記構成要素(B)からなる樹脂フィルム(F1)を前記構成要素(A)の片面または両面に貼り合わせ、前記構成要素(B)を前記構成要素(A)に含浸させてベースプリプレグ(P1)を作製し、前記ベースプリプレグ(P1)の片面または両面に前記構成要素(C)散布する方法。
方法(β):前記構成要素(B)からなる樹脂フィルム(F1)を前記構成要素(A)の片面または両面に貼り合わせ、前記構成要素(B)を前記構成要素(A)に含浸させてベースプリプレグ(P1)を作製し、前記構成要素(B)の表面に前記構成要素(C)が散布された樹脂フィルム(F2)を、前記ベースプリプレグ(P1)の片面または両面に貼り合わせる方法。
方法(γ):前記構成要素(B)からなる樹脂フィルム(F1)を前記構成要素(A)の片面または両面に貼り合わせ、前記構成要素(B)を前記構成要素(A)に含浸させてベースプリプレグ(P1)を作製し、前記構成要素(B)および前記構成要素(C)を含む樹脂フィルム(F3)を、前記ベースプリプレグ(P1)の片面、または両面に貼り合わせる方法。
方法(δ):前記構成要素(B)および前記構成要素(C)を含む樹脂フィルム(F3)を前記構成要素(A)の片面または両面に貼り合わせ、前記構成要素(B)を前記構成要素(A)に含浸させる方法。
<3>前記構成要素(C)の平均粒子径が、5〜80μmである、前記<1>または<2>の繊維強化複合材料の製造方法。
<4>前記構成要素(C)が、結晶性ポリアミド、非晶性ポリアミドおよびポリエーテルスルホンからなる群から選ばれる1種以上を含む、前記<1>〜<3>のいずれかの繊維強化複合材料の製造方法。
<5>前記構成要素(B)が、オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂を含む、前記<1>〜<4>のいずれかの繊維強化複合材料の製造方法。
<6>前記構成要素(B)が、硬化剤を含み、前記硬化剤が、芳香族ポリアミンである、前記<1>〜<5>のいずれかの繊維強化複合材料の製造方法。
<7>前記硬化剤が、ジアミノジフェニルスルホンである、前記<6>の繊維強化複合材料の製造方法。
<8>前記構成要素(B)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂のいずれか一方または両方を含む、前記<1>〜<7>のいずれかの繊維強化複合材料の製造方法。
<9>前記構成要素(B)が、3官能のエポキシ樹脂および4官能のエポキシ樹脂のいずれか一方または両方を含む、前記<1>〜<8>のいずれかの繊維強化複合材料の製造方法。
<10>前記構成要素(A)における強化繊維が、炭素繊維である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法によれば、モードI層間破壊靱性およびモードII層間破壊靱性に優れた繊維強化複合材料を製造できる。
実施例および比較例にて作製した評価用成形板の上面図である。 実施例1の繊維強化複合材料の断面のマイクロスコープ写真である。 比較例2の繊維強化複合材料の断面のマイクロスコープ写真である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(以下、DSCと記す。)において融点が現れる樹脂をいう。
「非晶性樹脂」とは、DSCにおいて融点が現れない樹脂をいう。
「融点」は、JIS K 7121:1987に準拠し、DSCで求めた融解ピーク温度である。
「ガラス転移温度」は、JIS K 7121:1987に準拠し、DSCで求めた中間点ガラス転移温度である。
「真球度」は、走査型電子顕微鏡を用いて無作為に選ばれた30個の樹脂粒子について短径および長径を測定し、30個の樹脂粒子の長径に対する短径の比(短径/長径)を用い、下記式(1)から算出される(ただし、nは30である)。
Figure 0006907468
「粒度分布指数Uc」は、下記式(2)から算出される。
粒度分布指数Uc=D60/D10 ・・・式(2)
ただし、D10は、粒子径分布測定によって得られた累積分布において体積基準での累積頻度10%にあたる粒子径であり、D60は、粒子径分布測定によって得られた累積分布において体積基準での累積頻度60%にあたる粒子径である。粒度分布指数Ucが小さい値であるほど、粒子径分布が狭く、それぞれの粒子がより均一な粒子径であることを意味する。
「平均粒子径」は、粒子径分布測定によって得られた累積分布において体積基準での累積頻度50%にあたる粒子径(D50)である。
「エポキシ樹脂」とは、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物をいう。
「層間破壊靱性」とは、単位面積の層間剥離亀裂を生じる際に必要なエネルギーの限界値をいう。
「GIC」とは、亀裂進展初期のモードI層間破壊靱性値をいう。
「GIIC」とは、亀裂進展初期のモードII層間破壊靱性値をいう。
「モードI」とは、亀裂開口変位の方向が各々き裂面に対して垂直な(開口形)変形モードをいう。
「モードII」とは、亀裂開口変位の方向が亀裂面に平行で、亀裂前縁に垂直な(縦せん断形)変形モードをいう。
「亀裂開口変位 」とは、亀裂上下面の相対的変位をいう。
<<繊維強化複合材料の製造方法>>
本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、特定のプリプレグの2つ以上を積層し、特定の温度以上で加熱成形し、エポキシ樹脂組成物を硬化することによって、特定の条件を満たす繊維強化複合材料を得る方法である。
<プリプレグ>
本発明におけるプリプレグは、構成要素(A)、構成要素(B)および構成要素(C)を含む。
(構成要素(A))
構成要素(A)は、シート状強化繊維基材である。
構成要素(A)は、強化繊維が単一方向に配列したものであってもよく、ランダム方向に配列したものであってもよい。
構成要素(A)の形態としては、織物、不織布、長繊維が一方向に引き揃えられたシート等が挙げられる。
構成要素(A)としては、比強度や比弾性率が高い繊維強化複合材料が得られる点からは、長繊維が単一方向に引き揃えられた強化繊維束からなるシートが好ましく、取り扱いが容易である点からは、織物が好ましい。
強化繊維の形状としては、長繊維、ミルド、チョップ等が挙げられる。
強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維(黒鉛繊維を包含する。)、アラミド繊維、ボロン繊維等が挙げられる。
強化繊維としては、繊維強化複合材料の機械的物性および軽量化の点から、炭素繊維が好ましい。
炭素繊維のJIS R 7601に準拠した引張強度は、3500MPa以上が好ましく、4500MPa以上がより好ましく、5000MPa以上がさらに好ましい。
炭素繊維としては、航空機の構造材として用いる場合、ストランド強度が高いものが好ましい。炭素繊維のJIS R 7601に準拠したストランド強度は、3500MPa以上が好ましい。
炭素繊維の繊維径は、3〜12μmが好ましい。炭素繊維の繊維径が3μm以上であれば、炭素繊維が、各種加工プロセスにおいて、ロール、スプール等の表面で横移動を起こす際に、切断したり毛羽だまりが生じたりしにくい。炭素繊維の繊維径が12μm以下であれば、炭素繊維を製造しやすい。
炭素繊維束における炭素繊維の本数は、1,000〜70,000本が好ましい。
(構成要素(B))
構成要素(B)は、エポキシ樹脂組成物である。
構成要素(B)は、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂の硬化剤を含む。構成要素(B)は、必要に応じてエポキシ樹脂および硬化剤以外の他の成分を含んでもよい。
エポキシ樹脂:
エポキシ樹脂としては、通常、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する2官能以上のエポキシ樹脂が用いられる。
エポキシ樹脂としては、構成要素(B)の硬化物の耐熱性、剛性を維持したまま、靱性を向上できる点からは、オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、比較低粘度であり、かつ構成要素(B)の硬化物の耐熱性、靱性等の特性に悪影響を与えない点からは、25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂および25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂のいずれか一方または両方が好ましい。
エポキシ樹脂としては、構成要素(B)の硬化物に靱性を付与する点からは、25℃で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂および25℃で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂のいずれか一方または両方が好ましい。
エポキシ樹脂としては、構成要素(B)の硬化物の耐熱性の向上の点からは、分子内に3つ以上のエポキシ基を有する3官能以上のエポキシ樹脂が好ましい。
オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂:
オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂は、ウレタン変性エポキシ樹脂またはイソシアネート変性エポキシ樹脂とも呼ばれる。
オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂の市販品としては、DIC社製のEPICLON(登録商標)TSR−400、新日鉄住金化学社製のエポトート(登録商標)YD−952、DOW社製のD.E.R.(登録商標)858、旭化成イーマテリアルズ社製のLSA3301等が挙げられる。
オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂の割合は、構成要素(B)中の全エポキシ樹脂100質量%のうち、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましい。オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂の割合が前記範囲の下限値以上であれば、構成要素(B)の硬化物の耐熱性、剛性を十分に維持したまま、靱性を十分に向上できる。オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂の割合が前記範囲の上限値以下であれば、構成要素(B)の粘度が高くなりすぎないため、構成要素(B)の取扱性がよく、プリプレグの作製が容易であり、プリプレグのタック性およびドレープ性がよくなる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂:
固形であるオキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂を用いた場合、構成要素(B)の粘度が高くなるため、25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂および25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂のいずれか一方または両方と併用することが好ましい。
25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂は、25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂に比べやや耐熱性が劣るものの、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂よりも低粘度であり、かつ構成要素(B)の硬化物に比較的高い弾性率を付与できる点から好ましい。
25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、三菱化学社製のjER(登録商標)828、DOW社製のD.E.R.(登録商標)331、新日鉄住金化学社製のエポトート(登録商標)YD−128、DIC社製のEPICLON(登録商標)850等が挙げられる。
25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、三菱化学社製のjER(登録商標)807、DOW社製のD.E.R.(登録商標)354、新日鉄住金化学社製のエポトート(登録商標)YD−170、DIC社製のEPICLON(登録商標)830等が挙げられる。
25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂および25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂の合計の割合は、構成要素(B)中の全エポキシ樹脂100質量%のうち、10〜80質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましい。25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂および25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂の合計の割合が前記範囲の下限値以上であれば、構成要素(B)を適当な粘度とすることができ、構成要素(B)の取扱性を向上させたり、構成要素(A)への含浸を容易にしたりすることができる。25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂および25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂の合計の割合が前記範囲の上限値以下であれば、構成要素(B)の粘度が過度に低くなることを抑制でき、構成要素(B)を構成要素(A)へ含浸させて作製されたプリプレグを加熱して硬化させる際に多量の構成要素(B)が系外に流れ出ることを抑制することができ、繊維強化複合材料の形状や機械特性に悪影響を及ぼす可能性を防ぐことができる。
25℃で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂および25℃で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂は、25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂および25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂に比べ、耐熱性がやや低下するものの、構成要素(B)の硬化物に靱性を付与できる。
25℃で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、三菱化学社製のjER(登録商標)1001、jER(登録商標)1002、jER(登録商標)1003、jER(登録商標)1004、新日鉄住金化学社製のエポトート(登録商標)YD−903、DIC社製のEPICLON(登録商標)1050、EPICLON(登録商標)2050、EPICLON(登録商標)3050、EPICLON(登録商標)4050等が挙げられる。
25℃で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、三菱化学社製のjER(登録商標)4004P、jER(登録商標)4005P、jER(登録商標)4007P、jER(登録商標)4010P、新日鉄住金化学社製のエポトート(登録商標)YD−2001、エポトート(登録商標)YD−2004等が挙げられる。
25℃で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂および25℃で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂の合計の割合は、構成要素(B)中の全エポキシ樹脂100質量%のうち、1〜60質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。25℃で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂および25℃で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂の合計の割合が前記範囲の下限値以上であれば、構成要素(B)の硬化物に靱性を十分に付与できる。25℃で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂および25℃で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂の合計の割合が前記範囲の上限値以下であれば、構成要素(B)の粘度が過度に高くなることを抑制することができ、構成要素(B)の取扱性の悪化や構成要素(A)への含浸が困難となることを抑制することができる。
3官能以上のエポキシ樹脂:
3官能のエポキシ樹脂としては、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、アミノクレゾール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
4官能以上のエポキシ樹脂としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
3官能以上のエポキシ樹脂の割合は、構成要素(B)中の全エポキシ樹脂100質量%のうち、5〜60質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましい。3官能以上のエポキシ樹脂の割合が前記範囲の下限値以上であれば、構成要素(B)の硬化物の耐熱性が十分に向上する。3官能以上のエポキシ樹脂の割合が前記範囲の上限値以下であれば、構成要素(B)の硬化物の架橋密度が過度に高くなることを抑制でき、構成要素(B)の硬化物の靭性が著しく低下することを抑制できる。
他のエポキシ樹脂:
構成要素(B)は、必要に応じて、上記以外の他のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。
硬化剤:
硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させ得るものであればよい。
硬化剤としては、アミン、酸無水物(カルボン酸無水物)、フェノール(ノボラック樹脂等)、メルカプタン、ルイス酸アミン錯体、オニウム塩、イミダゾール等が挙げられる。エポキシ樹脂硬化剤としては、構成要素(B)の硬化物の耐熱性および靱性に優れる点から、芳香族ポリアミンが好ましく、ジアミノジフェニルスルホンがより好ましい。
硬化剤の添加量は、硬化剤の種類によって異なる。硬化剤がジアミノジフェニルスルホンである場合、ジアミノジフェニルスルホンの添加量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対してジアミノジフェニルスルホンの活性水素当量数が0.9〜1.5倍となる量が好ましく、1.1〜1.3倍となる量がより好ましい。ジアミノジフェニルスルホンの添加量が前記範囲内であれば、構成要素(B)の硬化物の耐熱性および靱性がさらに優れる。
他の成分:
構成要素(B)に含まれ得る他の成分としては、公知の各種添加剤が挙げられる。
添加剤としては、熱可塑性エラストマー、エラストマー微粒子(構成要素(C)を除く。)、コアシェル型エラストマー微粒子(構成要素(C)を除く。)、分子中に1つのエポキシ基を有する化合物、希釈剤、無機粒子(シリカ等)、炭素質成分(カーボンナノチューブ等)、難燃剤(リン化合物等)、脱泡剤等が挙げられる。添加剤としては、構成要素(B)の硬化物の耐熱性を低下させることなく靱性を向上させる点から、コアシェル型エラストマー微粒子が好ましい。
コアシェル型エラストマー微粒子の市販品としては、三菱レイヨン社製のメタブレン(登録商標)、アイカ工業社製のスタフィロイド、ダウケミカル社製のパラロイド(登録商標)等が挙げられる。
コアシェル型エラストマー微粒子は、エポキシ樹脂にあらかじめ分散されていてもよい。コアシェル型エラストマー微粒子分散エポキシ樹脂の市販品としては、カネカ社製のカネエース(登録商標)、日本触媒社製のアクリセット(登録商標)BPシリーズ等が挙げられる。コアシェル型エラストマー微粒子分散エポキシ樹脂は、構成要素(B)の調製を容易にするだけでなく、構成要素(B)中のコアシェル型エラストマー微粒子の分散状態を良好にすることができる点から、好ましく用いられる。
構成要素(B)の調製方法:
構成要素(B)は、様々な公知の方法で調製できる。構成要素(B)の調製方法としては、例えば、各成分をプラネタリミキサーやニーダーにて加熱、混練する方法が挙げられる。
硬化剤としてジアミノジフェニルスルホン等の粒子状の硬化剤を用いる場合、粒子状の硬化剤が凝集して分散不良となる可能性があるため、粒子状の硬化剤を液状のエポキシ樹脂に予備混練してマスターバッチ化することが好ましい。予備混練には、三本ロールミル、ボールミル等の混練装置を用いることが好ましい。粒子状の硬化剤をあらかじめマスターバッチ化することによって、分散不良による構成要素(B)の硬化物における物性ムラや硬化不良、構成要素(B)の構成要素(A)への含浸不良が抑えられる。
(構成要素(C))
構成要素(C)は、樹脂からなる粒子であり、樹脂が結晶性である場合は融点で表され、樹脂が非晶性である場合はガラス転移温度で表される樹脂の温度Tが100〜190℃であり、真球度が80未満であり、細孔を有さず、粒度分布指数Ucが1.5〜5.0である。
構成要素(C)は、樹脂のみからなる粒子であってもよく、樹脂に加えて他の成分(各種充填材、各種添加剤等)を本発明の効果を損なわない範囲で含む粒子であってもよい。
樹脂:
構成要素(C)に含まれる樹脂は、融点またはガラス転移温度が100〜190℃である樹脂であればよく、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。樹脂としては、繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与できる観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。
樹脂としては、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリビニルフォルマール、およびこれらの共重合体等が挙げられる。樹脂としては、繊維強化複合材料により優れた層間破壊靱性を付与できる点から、結晶性ポリアミド、非晶性ポリアミド、ポリエーテルスルホンが好ましく、後述の条件(a)〜(c)を満たす繊維強化複合材料を得やすく、結果として繊維強化複合材料にさらに優れた層間破壊靱性を付与できる点から、結晶性ポリアミド、非晶性ポリアミドがより好ましい。
結晶性ポリアミドまたは非晶性ポリアミドの市販品としては、ダイセル・エボニック社製のVESTOSINTシリーズ(VESTOSINT(登録商標)2158、VESTOSINT(登録商標)2159等)、エムザベルケ社製のグリルアミド(登録商標)TR90NZ、ダイセル・エボニック社ア社製のTOROGAMID(登録商標)CX7323、TOROGAMID(登録商標)T5000等が挙げられる。
温度T:
樹脂の融点またはガラス転移温度である温度Tは、100〜190℃であり、120〜180℃が好ましく、130〜160℃がさらに好ましい。温度Tが前記範囲の下限値以上であれば、構成要素(B)の硬化過程において構成要素(B)と構成要素(C)とが相溶しすぎることがなく、繊維強化複合材料が後述の条件(a)〜(c)を満たすことができ、結果として繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与できる。温度Tが前記範囲の上限値以下であれば、構成要素(B)の硬化過程において構成要素(C)が熱変形し、互いに融着する。そのため、繊維強化複合材料が後述の条件(a)〜(c)を満たすことができ、結果として繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与できる。
真球度:
構成要素(C)の真球度は、80未満であり、20以上80未満が好ましく、45以上75未満がより好ましく、55以上70未満がさらに好ましい。構成要素(C)の真球度が前記範囲内であれば、層間領域において構成要素(C)がより密に偏在し、互いに融着しやすい。そのため、繊維強化複合材料が後述の条件(a)〜(c)を満たすことができ、結果として繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与できる。
細孔の有無:
構成要素(C)は、細孔を有さない、すなわち多孔質状ではない。構成要素(C)が細孔を有さない場合、構成要素(B)の硬化過程において構成要素(B)が細孔を通じて構成要素(C)内に細かく混入しない。そのため、構成要素(C)が本来有する優れた靱性を大きく損なうことがなく、結果として繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与できる。
粒度分布指数Uc:
構成要素(C)の粒度分布指数Ucは、1.5〜5.0であり、1.6〜3.5が好ましく、1.7〜3.0がより好ましい。粒度分布指数Ucが前記範囲の下限値以上であれば、構成要素(C)の粒子径分布が適度に広く、粒子径の異なる構成要素(C)が適度に存在する。そのため、層間領域において構成要素(C)がより密に偏在し、結果として繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与できる。粒度分布指数Ucが前記範囲の上限値以下であれば、粒子径分布が適度に均一である。そのため、層間領域の厚さを安定化でき、結果として繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与できる。
平均粒子径:
構成要素(C)の平均粒子径は、5〜80μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。構成要素(C)の平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、プリプレグや繊維強化複合材料を製造する際に、構成要素(C)が構成要素(A)に入り込みにくくなる。そのため、後述の条件(a)〜(c)を満たす繊維強化複合材料を得やすく、結果として繊維強化複合材料にさらに優れた層間破壊靱性を付与できる。また、構成要素(B)と構成要素(C)とを混合した際の粘度の増加を抑制できる。構成要素(C)の平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、繊維強化複合材料において構成要素(C)が構成要素(A)の強化繊維の真直性を害することによって、繊維強化複合材料の機械特性の低下を抑えることができる。また、プリプレグの製造において、構成要素(B)と構成要素(C)との混合物を離型紙の表面に均一な厚さで塗工する際に、ロールコーター、ダイコーター等の設備で目詰まりを起こすことが抑えられる。
(各構成要素の割合)
プリプレグの繊維目付(1mあたりの強化繊維の含有量:FAW)は、プリプレグの用途に応じて適宜設定すればよく、通常、100〜250g/mである。
プリプレグにおける樹脂含有率(構成要素(B)および構成要素(C)の合計の割合)は、25〜45質量%が好ましく、30〜40質量%がより好ましい。プリプレグにおける樹脂含有率が前記範囲の下限値以上であれば、プリプレグのタックが低くなりすぎることを抑制し、取扱に適したタックとすることができる。さらに構成要素(B)不足に起因する繊維強化複合材料の機械特性低下を防ぐこともできる。プリプレグにおける樹脂含有率が前記範囲の上限値以下であれば、プリプレグのタックが高くなりすぎることを抑制し、取扱に適したタックとすることができる。さらに構成要素(B)過剰に起因するVf(繊維強化複合材料中の強化繊維含有の体積率)向上に伴う繊維強化複合材料の機械特性低下を防ぐこともできる。
構成要素(C)の含有量は、構成要素(B)100質量部に対して10〜30質量部であり、11〜25質量部が好ましく、12〜20質量部がより好ましい。構成要素(C)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、層間領域に偏在する構成要素(C)の量が多くなる。そのため、繊維強化複合材料が後述の条件(a)〜(c)を満たすことができ、結果として繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与できる。構成要素(C)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、プリプレグが含む構成要素(B)および構成要素(C)からなるマトリックス樹脂中の構成要素(B)の占める割合が低くなりすぎることを抑制することができ、構成要素(B)不足に起因する繊維強化複合材料の機械特性低下を防ぐことができる。
(プリプレグの厚さ)
プリプレグの厚さは、プリプレグの用途に応じて適宜設定すればよく、通常、0.1〜0.3mmである。
(プリプレグの製造方法)
本発明におけるプリプレグは、特許文献2に開示された方法、その応用等によって製造できる。
プリプレグの製造方法としては、層間領域に構成要素(C)が偏在しやすく、後述する条件(a)〜(c)を満たす繊維強化複合材料を製造しやすい点から、方法(α)、方法(β)、方法(γ)および方法(δ)からなる群から選ばれる1つの方法が好ましく、より均一に層間領域に構成要素(C)を偏在させることができる点、および製造過程で多くの構成要素(C)が舞い散り製造環境を悪化させることを防ぐことができる点から、方法(γ)または方法(δ)がより好ましい。
方法(α):
方法(α)は、構成要素(B)からなる樹脂フィルム(F1)を構成要素(A)の片面または両面に貼り合わせ、構成要素(B)を構成要素(A)に含浸させてベースプリプレグ(P1)を作製し、ベースプリプレグ(P1)の片面または両面に構成要素(C)散布する方法である。
樹脂フィルム(F1)は、構成要素(B)を離型紙等の表面に塗工することによって作製できる。
構成要素(B)を構成要素(A)に含浸させる方法としては、加熱プレスロールで加熱、加圧する方法等の公知の方法が挙げられる。
方法(β):
方法(β)は、構成要素(B)からなる樹脂フィルム(F1)を構成要素(A)の片面または両面に貼り合わせ、構成要素(B)を構成要素(A)に含浸させてベースプリプレグ(P1)を作製し、構成要素(B)の表面に構成要素(C)が散布された樹脂フィルム(F2)を、ベースプリプレグ(P1)の片面または両面に貼り合わせる方法である。
樹脂フィルム(F1)、ベースプリプレグ(P1)は、方法(α)と同様にして作製できる。
樹脂フィルム(F2)は、構成要素(B)を離型紙等の表面に塗工し、構成要素(B)の表面に構成要素(C)を散布することによって作製できる。
樹脂フィルム(F2)をベースプリプレグ(P1)に貼り合わせる方法としては、加熱プレスロールで加熱、加圧する方法等の公知の方法が挙げられる。温度が高すぎると、樹脂フィルム(F2)に含まれる構成要素(B)の多くがベースプリプレグ(P1)の構成要素(A)内に含浸し、プリプレグのタック性がほとんどなくなってしまい、繊維強化複合材料を製造する際に問題が生じる可能性がある。圧力が高すぎると、樹脂フィルム(F2)に含まれる構成要素(C)の多くがベースプリプレグ(P1)の構成要素(A)内に入り込んでしまい、強化繊維の真直性を損なってしまったり、構成要素(A)の表面に構成要素(C)がほとんど無くなってしまったりする。
ベースプリプレグ(P1)に含まれる構成要素(B)と樹脂フィルム(F2)に含まれる構成要素(B)とは、同じ樹脂組成であってもよく、異なる樹脂組成であってもよい。
ベースプリプレグ(P1)にさらに樹脂フィルム(F2)を貼り合わせる方法(β)の性質上、ベースプリプレグ(P1)における構成要素(B)の含有率は、方法(α)に比べ低くしておくことが好ましい。
方法(γ):
方法(γ)は、構成要素(B)からなる樹脂フィルム(F1)を構成要素(A)の片面または両面に貼り合わせ、構成要素(B)を構成要素(A)に含浸させてベースプリプレグ(P1)を作製し、構成要素(B)および構成要素(C)を含む樹脂フィルム(F3)を、ベースプリプレグ(P1)の片面、または両面に貼り合わせる方法である。
ベースプリプレグ(P1)は、方法(α)と同様にして作製できる。
樹脂フィルム(F3)は、構成要素(B)および構成要素(C)の混合物を離型紙等の表面に塗工することによって作製できる。
樹脂フィルム(F3)をベースプリプレグ(P1)に貼り合わせる方法としては、加熱プレスロールで加熱、加圧する方法等の公知の方法が挙げられる。温度が高すぎると、樹脂フィルム(F3)に含まれる構成要素(B)の多くがベースプリプレグ(P1)の構成要素(A)内に含浸し、プリプレグのタック性がほとんどなくなってしまい、繊維強化複合材料を製造する際に問題が生じる可能性がある。圧力が高すぎると、樹脂フィルム(F3)に含まれる構成要素(C)の多くがベースプリプレグ(P1)の構成要素(A)内に入り込んでしまい、強化繊維の真直性を損なってしまったり、構成要素(A)の表面に構成要素(C)がほとんど無くなってしまったりする。
ベースプリプレグ(P1)に含まれる構成要素(B)と樹脂フィルム(F3)に含まれる構成要素(B)とは、同じ樹脂組成であってもよく、異なる樹脂組成であってもよい。
ベースプリプレグ(P1)にさらに樹脂フィルム(F3)を貼り合わせる方法(γ)の性質上、ベースプリプレグ(P1)における構成要素(B)の含有率は、方法(α)に比べ低くしておくことが好ましい。
方法(δ):
方法(δ)は、構成要素(B)および構成要素(C)を含む樹脂フィルム(F3)を構成要素(A)の片面または両面に貼り合わせ、構成要素(B)を構成要素(A)に含浸させる方法である。
樹脂フィルム(F3)は、方法(γ)と同様にして作製できる。
構成要素(C)は、構成要素(A)上で濾され、プリプレグの表面近傍に構成要素(C)が偏在する。構成要素(A)上で構成要素(C)を濾すため、構成要素(C)の平均粒子径は他の方法に比べ大きいほうが好ましい。構成要素(C)の平均粒子径は7〜80μmが好ましく、10〜60μmがより好ましい。
<加熱成形>
繊維強化複合材料は、プリプレグの2つ以上を積層し、加熱成形し、構成要素(B)を硬化することによって得られる。
積層したプリプレグを加熱成形する際の温度は、上述した温度T以上である。加熱成形する際の温度が温度T以上であれば、繊維強化複合材料が後述の条件(a)〜(c)を満たすことができ、結果として繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与できる。
加熱成形する際の温度は、温度T以上であり、かつ構成要素(B)を十分に硬化できる温度であれば、いずれの温度でも構わないが、温度Tより1℃以上高いことが好ましく、温度Tより2℃以上高いことがより好ましい。
加熱成形する際の温度は、加熱成形に用いる設備の性能、副資材の性質、および得られる繊維強化複合材料の特性の点から、170〜200℃が好ましく、180〜190℃がより好ましい。加熱成形する際の温度が170℃以上であれば、構成要素(B)が十分に硬化し、より高い耐熱性を有する繊維強化複合材料を得ることができる。加熱成形する際の温度が200℃以下であれば、加熱成形に用いる設備や副資材として安価なものを用いることができる。
加熱成形時間は、構成要素(B)を十分に硬化でき、かつ後述する加熱成形法に適した時間であればよい。オートクレーブ成形法の場合、加熱成形時間は、1〜4時間が好ましい。加熱成形時間が1時間以上であれば、構成要素(B)の硬化が十分である。加熱成形が4時間を超えると、製造コストがより高額となる。
加熱成形法としては、オートクレーブ成形法、オーブン成形法、プレス成形法等の公知の方法が挙げられる。加熱成形法としては、より優れた機械特性を有する繊維強化複合材料を得ることができる点から、オートクレーブ成形法が好ましい。
<条件(a)〜(c)>
繊維強化複合材料が、モードI層間破壊靱性およびモードII層間破壊靱性に優れるためには、条件(a)〜(c)を満たすことが必要である。
(条件(a))
条件(a)は、構成要素(C)が温度T以上に加熱されることによって熱変形した構成要素(C’)が繊維強化複合材料中に存在し、構成要素(C’)が互いに融着することによって構成要素(C’)からなる複数の融着領域を形成していることである。
構成要素(C’)は、構成要素(C)が熱変形し、構成要素(C)が互いに十分に融着したものであるため、構成要素(C’)の形状は、構成要素(C)の形状とは異なる。
構成要素(C)は、凍結粉砕等によって機械的に粒子状に加工される場合があり、この場合、構成要素(C)は、球状ではなく角張った歪な形状となる。繊維強化複合材料中においても構成要素(C)が角張った歪な形状を維持していると、繊維強化複合材料のモードI層間破壊靱性を評価する際に、角張った部分が応力集中の起点となる。そのため、構成要素(C)が有する高い靱性を十分に活かすことができなかったり、層間領域に進展する亀裂が構成要素(A)内に進展するきっかけとなったりして、繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与できないことがある。構成要素(C)が温度T以上に加熱され、変形しながら隣接する構成要素(C)同士が互いに融着することによって、角張った歪な形状から丸みを帯びた形状である構成要素(C’)となり、応力集中の起点がなくなり、繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与できる。
(条件(b))
条件(b)は、繊維強化複合材料中の構成要素(C’)の100質量%のうちの90質量%以上が、隣り合う構成要素(A)の層間に偏在していることである。
構成要素(C’)が構成要素(A)の層間、すなわち層間領域に偏在することによって、繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与できる。
層間領域に偏在する構成要素(C’)の割合は、繊維強化複合材料中の構成要素(C’)の100質量%のうち、95質量%以上が好ましく、97質量%以上がより好ましい。
層間領域に構成要素(C’)偏在すること、および層間領域に偏在する構成要素(C’)の割合は、実施例における方法によって確認および算出できる。
(条件(c))
条件(c)は、繊維強化複合材料の断面を観察したとき、隣り合う構成要素(A)の層間に偏在する構成要素(C’)からなる融着領域の平均面積が、1000μm以上であることである。
構成要素(C’)からなる融着領域が大きいほど、繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与するのに十分な量の構成要素(C)が配合され、かつ構成要素(C)が温度T以上に加熱され、変形しながら隣接する構成要素(C)同士が互いに融着したことがわかる。
構成要素(C’)からなる融着領域の平均面積が1000μm以上であれば、構成要素(C)の含有量が十分であり、かつ構成要素(C)が温度T以上に加熱されており、繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与できる。
層間領域に偏在する構成要素(C’)からなる融着領域の平均面積は、実施例における方法によって測定できる。
<作用機序>
以上説明した本発明の繊維強化複合材料の製造方法にあっては、上述した特定の構成要素(A)、構成要素(B)および構成要素(C)を含み、構成要素(C)の含有量が前記構成要素(B)100質量部に対して10〜30質量部であるプリプレグの2つ以上を積層し、上述した温度T以上で加熱成形しているため、上述した条件(a)、条件(b)および条件(c)を満たす繊維強化複合材料を得ることができる。そして、上述した条件(a)、条件(b)および条件(c)を満たす繊維強化複合材料は、上述した理由から、モードI層間破壊靱性およびモードII層間破壊靱性に優れる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<物性・評価>
(融点)
結晶性樹脂の融点は、JIS K 7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠し、DSCによって求めた。具体的には、以下のようにして求めた。
結晶性樹脂を、室温から、推測される融点よりも約30℃高い温度まで、10℃/分で加熱し、推測される融点よりも約30℃高い温度にて10分間保った。結晶性樹脂を、推測される融点よりも約50℃低い温度まで10℃/分で冷却した。結晶性樹脂を、推測される融点よりも約30℃高い温度まで10℃/分で加熱した。得られたDSC曲線の融解ピーク温度を融点とした。
(ガラス転移温度)
非晶性樹脂のガラス転移温度は、JIS K 7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠し、DSCによって求めた。具体的には、以下のようにして求めた。
非晶性樹脂を、室温から、推測されるガラス転移温度よりも約30℃高い温度まで、10℃/分で加熱し、推測されるガラス転移温度よりも約30℃高い温度にて10分間保った。非晶性樹脂を、推測されるガラス転移温度よりも約50℃低い温度まで急冷した非晶性樹脂を、推測されるガラス転移温度よりも約30℃高い温度まで20℃/分で加熱した。得られたDSC曲線のガラス転移温度に伴うベースラインの転移箇所において、低温側のベースラインを延長した直線と高温側のベースラインを延長した直線とから縦軸方向に等距離にある直線とベースラインの転移部分の曲線が交わる点をガラス転移温度とした。
(真球度)
樹脂粒子の真球度は、以下のようにして求めた。
走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−6390)を用い、無作為に選ばれた30個の樹脂粒子について短径および長径を測定し、30個の樹脂粒子の長径に対する短径の比(短径/長径)を用い、下記式(1)から真球度を算出した(ただし、nは30である)。
Figure 0006907468
(粒度分布指数Uc)
樹脂粒子の粒度分布指数Ucは、以下のようにして求めた。
樹脂粒子について、レーザー散乱式粒度測定機(日揮装社製、マイクロトラックFRA)を用いて粒子径分布測定を行い、累積分布を得た。累積分布にける体積基準での累積頻度が10%となる粒子径(D10)および累積分布にける体積基準での累積頻度が60%となる粒子径(D60)を用い、下記式(2)から粒度分布指数Ucを算出した。
粒度分布指数Uc=D60/D10 ・・・式(2)
(平均粒子径)
樹脂粒子の平均粒子径は、以下のようにして求めた。
樹脂粒子について、レーザー散乱式粒度測定機(日揮装社製、AEROTRAC SPR MODEL:7340)を用いて粒子径分布測定を行い、累積分布を得た。累積分布にける体積基準での累積頻度が50%となる粒子径(D50)を平均粒子径とした。
(繊維強化複合材料からなる評価用成形板−1の作製(実施例1〜5、比較例1、3〜4))
プリプレグを、強化繊維の繊維軸方向が揃うように20枚積層した。図1に示すように、10枚目のプリプレグ10と11枚目のプリプレグ10との間に、厚さ50μmのフッ素樹脂フィルム12を、プリプレグ10の強化繊維の繊維軸方向の端部側から約76mmほど挿入して挟んだ。積層されたプリプレグに隙間のないよう真空バッグを被せた。積層されたプリプレグを、オートクレーブを用いて2℃/分の昇温スピードで180℃まで加熱し、2時間保持した。積層されたプリプレグを、3℃/minの降温スピードで50℃以下となるまでオートクレーブ内に保持した。オートクレーブ内から評価用成形板−1を取り出した。加熱開始から取り出しまでの間、オートクレーブ内の圧力は0.6MPaとした。
(繊維強化複合材料からなる評価用成形板−2の作製(比較例2))
オートクレーブ内の温度180℃を、樹脂粒子の融点未満である175℃とした以外は、評価用成形板と同様に評価用成形板−2を作製した。なお、加熱成形温度が樹脂粒子の融点未満であるため、評価用成形板−2には、樹脂粒子が熱変形せずに存在する。
(条件(a):樹脂粒子の融着)
評価用成形板について、後述する平均面積の測定によって熱変形樹脂粒子が融着してなる融着領域の平均面積S1を求めた。オートクレーブ内の温度を175℃とした以外は評価用成形板−1と同様にして比較用成形板を作製した。比較用成形板について、後述する平均面積の測定と同様の方法によって樹脂粒子の平均面積S2を求めた。樹脂粒子の融着状態について、S1およびS2から下記基準にて評価した。
〇(優) :S2に対してS1が1.5倍以上であれば、繊維強化複合材料において樹脂粒子が十分に融着していると判断した。
△(良) :S2に対してS1が1.0倍超1.5倍未満であれば、繊維強化複合材料において樹脂粒子が融着していると判断した。
×(不良):S2に対してS1が1.0倍以下であれば、繊維強化複合材料において樹脂粒子が融着していないと判断した。
(条件(b):熱変形樹脂粒子の偏在化率)
評価用成形板から20mm角の試験片を切り出した。研磨機(リファインテック社製、REFINE−POLISHER APM−122)を用いて、試験片の断面を研磨した。デジタルマイクロスコープ(KEYENCE社製、VHX−5000)を用いて試験片の断面を500倍に拡大した写真を得た。写真から、強化繊維基材間の層間領域にある熱変形樹脂粒子と、強化繊維基材内にある熱変形樹脂粒子とを切り抜き、それぞれの質量を用い、下記式(3)から偏在化率を算出した。
偏在化率=層間領域に存在する熱変形樹脂粒子の質量/(層間領域に存在する熱変形樹脂粒子の質量+強化繊維基材内にある熱変形樹脂粒子の質量)×100 ・・・式(3)
(条件(c):融着領域の平均面積)
評価用成形板から20mm角の試験片を切り出した。研磨機(リファインテック社製、REFINE−POLISHER APM−122)を用いて、試験片の断面を研磨した。デジタルマイクロスコープ(KEYENCE社製、VHX−5000)を用いて試験片の断面を500倍に拡大した写真を得た。写真に写る熱変形樹脂粒子が融着してなる融着領域のすべてについてVHX−5000の面積測定ツールを用いて面積を求めた。得られた融着領域の面積の平均値を求めた。写真外に続く融着領域がある場合、融着領域の全体が写るよう写真を撮影し、融着領域の面積を求めた。
例えば、500倍の写真に5箇所の融着領域が観察され、それぞれの面積が1800μm、2400μm、1000μm、500μm、1500μmであった場合、融着領域の平均面積は、1800μm、2400μm、1000μm、500μm、1500μmの和を観察された融着領域の数である5で割った1440μmになる。
(GICの測定)
評価用成形板について、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、ASTM D5528に準拠してGICを測定した。
(GIICの測定)
評価用成形板について、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、JIS K 7086:1993に準拠してGIICを測定した。
<原料>
(構成要素(A))
(強化繊維束)
MR70:炭素繊維束(三菱レイヨン社製、PYROFIL(登録商標)MR70 12P、ストランド強度:7000MPa、炭素繊維の繊維径:5μm、炭素繊維の本数:12000本)。
(構成要素(B))
(エポキシ樹脂)
TSR−400:オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON(登録商標)TSR−400)。
807:ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER(登録商標)807)。
604:ジアミノジフェニルメタン型半固形エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER(登録商標)604)。
(硬化剤)
セイカキュアーS:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(和歌山精化工業社製、セイカキュアーS)。
(他の成分)
E2020P:ポリエーテルスルホン(BASFジャパン社製、ULTRASON(登録商標)E2020 P SR MICRO)。
(構成要素(C))
2158:ポリアミド12粒子(ダイセル・エボニック社製、VESTOSINT(登録商標)2158 natural、融点:177℃、真球度:65.9、細孔:なし、粒度分布指数Uc:1.9、平均粒子径:21μm)。
2159:ポリアミド12粒子(ダイセル・エボニック社製、VESTOSINT(登録商標)2159 natural、融点:178℃、真球度:68.4、細孔:なし、粒度分布指数Uc:2.6、平均粒子径:11μm)。
2161:ポリアミド12粒子(ダイセル・エボニック社製、VESTOSINT(登録商標)2161 natural、融点:178℃、真球度:65.5、細孔:なし、粒度分布指数Uc:1.9、平均粒子径:25μm)。
(他の樹脂粒子)
2001:ポリアミド12粒子(ARKEMA社製、Orgasol(登録商標)2001、融点:175℃、真球度:71.9、細孔:あり、粒度分布指数Uc:1.7、平均粒子径:5μm)。
<実施例1>
(構成要素(B)の調製)
プラネタリミキサーに、TSR−400の35質量部、807の49質量部、604の16質量部、E2020Pの2.8部質量を加えた。プラネタリミキサーのジャケット温度を140〜160℃に設定し、原料が均一となるまで混合した。内容物の温度が60℃以下となるまで放冷し、プラネタリミキサーにセイカキュアーSの40.6質量部を加えた。ジャケット温度を140〜160℃に設定し、原料が均一となるまで混合した。ジャケット温度を55〜70℃に設定し、原料が均一となるまで混合し、構成要素(B)を得た。
(混合物(BC)の調製)
プラネタリミキサー中の構成要素(B)143.4質量部に2158 18.6質量部を加え、構成要素(B)の100質量部に対する2158の含有量を13.0質量部とした。ジャケット温度を55〜70℃に設定し、原料が均一となるまで混合し、混合物(BC)を得た。
(プリプレグの作製)
方法(γ)によってプリプレグを作製した。
ホットメルトコーターを用いて、構成要素(B)を離型紙の表面に均一な厚さで塗工して樹脂フィルム(F1)を作製した。
樹脂フィルム(F1)を、MR70の複数本を引き揃えてシート状にした構成要素(A)の両面に貼り合わせ、加熱プレスロールを用い、構成要素(B)を構成要素(A)に含浸させてベースプリプレグ(P1)を作製した。
ホットメルトコーターを用いて、混合物(BC)を離型紙の表面に均一な厚さで塗工して樹脂フィルム(F3)を作製した。
樹脂フィルム(F3)をベースプリプレグ(P1)の両面に貼り合わせ、プリプレグを得た。プリプレグの組成、作製方法を表1に示す。
(繊維強化複合材料の製造)
上述した方法にしたがい、評価用成形板−1を作製した。評価用成形板−1について評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例2>
(構成要素(B)の調製)
実施例1と同様にして構成要素(B)を得た。
(混合物(BC)の調製)
プラネタリミキサー中の構成要素(B)143.4質量部に2158 18.6質量部を加え、構成要素(B)の100質量部に対する2158の含有量を13質量部とした。ジャケット温度を55〜70℃に設定し、原料が均一となるまで混合し、混合物(BC)を得た。
(プリプレグの作製)
方法(δ)によってプリプレグを作製した。
ホットメルトコーターを用いて、混合物(BC)を離型紙の表面に均一な厚さで塗工して樹脂フィルム(F3)を作製した。
樹脂フィルム(F3)を、MR70の複数本を引き揃えてシート状にした構成要素(A)の両面に貼り合わせ、加熱プレスロールを用い、構成要素(B)を構成要素(A)に含浸させ、構成要素(C)は構成要素(A)上で濾し、プリプレグの表面近傍に構成要素(C)を偏在化させ、プリプレグを得た。プリプレグの組成、作製方法を表1に示す。
(繊維強化複合材料の製造)
上述した方法にしたがい、評価用成形板−1を作製した。評価用成形板−1について評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
(構成要素(B)の調製)
実施例1と同様にして構成要素(B)を得た。
(混合物(BC)の調製)
プラネタリミキサー中の構成要素(B)143.4質量部に2158 25.2質量部を加え、構成要素(B)の100質量部に対する2158の含有量を17.6質量部とした。ジャケット温度を55〜70℃に設定し、原料が均一となるまで混合し、混合物(BC)を得た。
(プリプレグの作製)
混合物(BC)を変更した以外は実施例2と同様にしてプリプレグを作製した。プリプレグの組成、作製方法を表1に示す。
(繊維強化複合材料の製造)
上述した方法にしたがい、評価用成形板−1を作製した。評価用成形板−1について評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
(構成要素(B)の調製)
実施例1と同様にして構成要素(B)を得た。
(混合物(BC)の調製)
プラネタリミキサー中の構成要素(B)143.4質量部に2159 18.6質量部を加え、構成要素(B)の100質量部に対する2159の含有量を13.0質量部とした。ジャケット温度を55〜70℃に設定し、原料が均一となるまで混合し、混合物(BC)を得た。
(プリプレグの作製)
混合物(BC)を変更した以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。プリプレグの組成、作製方法を表1に示す。
(繊維強化複合材料の製造)
上述した方法にしたがい、評価用成形板−1を作製した。評価用成形板−1について評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
(構成要素(B)の調製)
実施例1と同様にして構成要素(B)を得た。
(混合物(BC)の調製)
プラネタリミキサー中の構成要素(B)143.4質量部に2161 18.6質量部を加え、構成要素(B)の100質量部に対する2161の含有量を13.0質量部とした。ジャケット温度を55〜70℃に設定し、原料が均一となるまで混合し、混合物(BC)を得た。
(プリプレグの作製)
混合物(BC)を変更した以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。プリプレグの組成、作製方法を表1に示す。
(繊維強化複合材料の製造)
上述した方法にしたがい、評価用成形板−1を作製した。評価用成形板−1について評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
(構成要素(B)の調製)
実施例1と同様にして構成要素(B)を得た。
(混合物(BC)の調製)
プラネタリミキサー中の構成要素(B)143.4質量部に2001 18.6質量部を加え、構成要素(B)の100質量部に対する2001の含有量を13.0質量部とした。ジャケット温度を55〜70℃に設定し、原料が均一となるまで混合し、混合物(BC)を得た。
(プリプレグの作製)
混合物(BC)を変更した以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。プリプレグの組成、作製方法を表1に示す。
(繊維強化複合材料の製造)
上述した方法にしたがい、評価用成形板−1を作製した。評価用成形板−1について評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
(構成要素(B)の調製)
実施例1と同様にして構成要素(B)を得た。
(混合物(BC)の調製)
実施例1と同様にして混合物(BC)を得た。
(プリプレグの作製)
混合物(BC)を変更した以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。プリプレグの組成、作製方法を表1に示す。
(繊維強化複合材料の製造)
上述した方法にしたがい、評価用成形板−2を作製した。ただし、オートクレーブ内の温度180℃を、構成要素(C)の融点未満である175℃とした。評価用成形板−2について評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例3>
(構成要素(B)の調製)
実施例1と同様にして構成要素(B)を得た。
(混合物(BC)の調製)
プラネタリミキサー中の構成要素(B)143.4質量部に2158 9.3質量部を加え、構成要素(B)の100質量部に対する2158の含有量を6.5質量部とした。ジャケット温度を55〜70℃に設定し、原料が均一となるまで混合し、混合物(BC)を得た。
(プリプレグの作製)
混合物(BC)を変更した以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。プリプレグの組成、作製方法を表1に示す。
(繊維強化複合材料の製造)
上述した方法にしたがい、評価用成形板−1を作製した。評価用成形板−1について評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例4>
(構成要素(B)の調製)
実施例1と同様にして構成要素(B)を得た。
(混合物(BC)の調製)
プラネタリミキサー中の構成要素(B)143.4質量部に2158 4.2質量部を加え、構成要素(B)の100質量部に対する2158の含有量を2.9質量部とした。ジャケット温度を55〜70℃に設定し、原料が均一となるまで混合し、混合物(BC)を得た。
(プリプレグの作製)
混合物(BC)を変更した以外は実施例1と同様にしてプリプレグを作製した。プリプレグの組成、作製方法を表1に示す。
(繊維強化複合材料の製造)
上述した方法にしたがい、評価用成形板−1を作製した。評価用成形板−1について評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006907468
実施例1〜5の繊維強化複合材料は、いずれもモードI層間破壊靱性およびモードII層間破壊靱性に優れていた。
実施例1、2の比較から、プリプレグの作製方法が方法(γ)であっても、方法(δ)であっても、いずれもモードI層間破壊靱性およびモードII層間破壊靱性に優れていることがわかる。方法(γ)の方が、より多くの構成要素(C)が層間領域に偏在化し、繊維強化複合材料における構成要素(C’)からなる融着領域の平均面積も実施例1のほうが大きくなった。
比較例1では、構成要素(C)の代わりに細孔を有する樹脂粒子を用いた。細孔を有す樹脂粒子を用いた場合は、繊維強化複合材料中で樹脂粒子が十分な融着領域を形成したとしても、GICおよびGIICは実施例1〜5と比較して低い値となった。
比較例2では、加熱成形温度を構成要素(C)の融点未満とした。そのため、繊維強化複合材料において構成要素(C)は後述するように熱変形せず角張った歪な形状をしていた。その結果、GICおよびGIICは実施例1〜5と比較して低い値となった。
比較例3、4は、構成要素(C)の含有量が少ない。そのため、繊維強化複合材料に優れた層間破壊靱性を付与できず、GICおよびGIICは実施例1〜5と比較して低い値となった。
図2は、実施例1の評価用成形板の断面のマイクロスコープ写真であり、図3は、比較例2の評価用成形板の断面のマイクロスコープ写真である。
写真中、白い小さな点の集まりが構成要素(A)であり、構成要素(A)間のグレーの部分が層間領域であり、層間領域において濃いグレーの部分が構成要素(C)、または構成要素(C’)からなる融着領域である。
図2では、濃いグレーの部分が連続して細長く延びており、構成要素(C)が熱変形し、かつ互いに十分に融着することによって構成要素(C’)からなる融着領域が形成されていることがわかる。
図3では、濃いグレーの部分が連続しておらず、角張った歪な形状をしており、構成要素(C)が熱変形せず角張った歪な形状のままであることがわかる。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法によって得られた繊維強化複合材料は、モードI層間破壊靱性およびモードII層間破壊靱性に優れているため、航空機用途をはじめスポーツ・レジャー用途、自動車用途、他の一般産業用途(緊張材)等として有用である。
10 プリプレグ、12 フッ素樹脂フィルム。

Claims (11)

  1. 下記構成要素(A)、下記構成要素(B)および下記構成要素(C)からなり、前記構成要素(C)の含有量が前記構成要素(B)100質量部に対して10〜20質量部であるプリプレグの2つ以上を積層し、下記温度T以上で加熱成形することによって、下記条件(a)、下記条件(b)および下記条件(c)を満たす繊維強化複合材料を得る、繊維強化複合材料の製造方法。
    構成要素(A):シート状強化繊維基材。
    構成要素(B):エポキシ樹脂、エポキシ樹脂の硬化剤、および添加剤からなるエポキシ樹脂組成物。
    構成要素(C):樹脂からなる粒子であり、前記樹脂が結晶性である場合は融点で表され、前記樹脂が非晶性である場合はガラス転移温度で表される前記樹脂の温度Tが100〜190℃であり、真球度が80未満であり、細孔を有さず、粒度分布指数Ucが1.5〜5.0である樹脂粒子。
    条件(a):前記構成要素(C)が前記温度T以上に加熱されることによって熱変形した構成要素(C’)が前記繊維強化複合材料中に存在し、前記構成要素(C’)が互いに融着することによって前記構成要素(C’)からなる複数の領域を形成している。
    条件(b):前記繊維強化複合材料中の前記構成要素(C’)の100質量%のうちの90質量%以上が、隣り合う前記構成要素(A)の層間に偏在している。
    条件(c):前記繊維強化複合材料の断面を観察したとき、隣り合う前記構成要素(A)の層間に偏在する前記構成要素(C’)からなる融着領域の平均面積が、1000μm以上である。
  2. 前記プリプレグを、下記方法(α)、下記方法(β)、下記方法(γ)および下記方法(δ)からなる群から選ばれる1つの方法によって製造する、請求項1に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
    方法(α):前記構成要素(B)からなる樹脂フィルム(F1)を前記構成要素(A)の片面または両面に貼り合わせ、前記構成要素(B)を前記構成要素(A)に含浸させてベースプリプレグ(P1)を作製し、前記ベースプリプレグ(P1)の片面または両面に前記構成要素(C)散布する方法。
    方法(β):前記構成要素(B)からなる樹脂フィルム(F1)を前記構成要素(A)の片面または両面に貼り合わせ、前記構成要素(B)を前記構成要素(A)に含浸させてベースプリプレグ(P1)を作製し、前記構成要素(B)の表面に前記構成要素(C)が散布された樹脂フィルム(F2)を、前記ベースプリプレグ(P1)の片面または両面に貼り合わせる方法。
    方法(γ):前記構成要素(B)からなる樹脂フィルム(F1)を前記構成要素(A)の片面または両面に貼り合わせ、前記構成要素(B)を前記構成要素(A)に含浸させてベースプリプレグ(P1)を作製し、前記構成要素(B)および前記構成要素(C)を含む樹脂フィルム(F3)を、前記ベースプリプレグ(P1)の片面、または両面に貼り合わせる方法。
    方法(δ):前記構成要素(B)および前記構成要素(C)を含む樹脂フィルム(F3)を前記構成要素(A)の片面または両面に貼り合わせ、前記構成要素(B)を前記構成要素(A)に含浸させる方法。
  3. 前記構成要素(C)の平均粒子径が、5〜80μmである、請求項1または2に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  4. 前記構成要素(C)が、結晶性ポリアミド、非晶性ポリアミドおよびポリエーテルスルホンからなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  5. 前記構成要素(B)が、オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  6. 前記硬化剤が、芳香族ポリアミンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  7. 前記硬化剤が、ジアミノジフェニルスルホンである、請求項6に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  8. 前記構成要素(B)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂のいずれか一方または両方を含み、
    25℃で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂および25℃で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂の合計の割合が、構成要素(B)中の全エポキシ樹脂100質量%のうち5〜40質量%であるか、25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂および25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂の合計の割合が、構成要素(B)中の全エポキシ樹脂100質量%のうち20〜60質量%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  9. 前記構成要素(B)が、3官能のエポキシ樹脂および4官能のエポキシ樹脂のいずれか一方または両方を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  10. 前記構成要素(A)における強化繊維が、炭素繊維である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  11. 前記繊維強化複合材料のJIS K 7086:1993に準拠して測定したG IIC が、3.6〜4.4kJ/m である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
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