JP6903288B2 - 地盤等の補強方法 - Google Patents
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Description
そこで、コンクリート駆体や地盤に、予め圧縮力を与える補強方法が実用化された(例えば、特許文献1(図3)参照)。
図12に示すように、ダム堤体101は、地盤102上に建造され、グラウンドアンカーテンドン103で補強されている。
テンドン105、105で引張られるため、ダム堤体101が全体的圧縮されるように見えるが、詳細に調べると、固定板108の近傍(ダム堤体101の上部)に、大きな圧縮応力が認められ、固定板108から遠い部位(ダム堤体101の中間部や下部)には、圧縮応力がほとんど認められなかった。
ダム堤体101が中間部や下部で破壊することを防止するには、中間部や下部でも適度な圧縮応力が発生することが求められる。地盤についても同様である。
前記地盤又は前記コンクリート駆体と前記岩盤とに孔を開ける削孔機と、鋼棒又は鋼線からなるテンドンと、前記地盤又は前記コンクリート駆体の表面である緊張端面に設けられ前記テンドンを引張る引張機械と、不完全硬化状態で得られる圧縮強度よりも完全硬化状態で得られる圧縮強度が大きくなるグラウトを準備し、
前記削孔機で、前記地盤又は前記コンクリート駆体に貫通孔を開けると共に前記岩盤に定着体を形成するための孔区間である定着孔を開ける工程と、
前記緊張端面から前記貫通孔と前記定着孔へ前記テンドンを挿入する工程と、
前記定着孔に前記グラウトを充填し完全硬化させることで、前記テンドンを前記岩盤に定着させる工程と、
前記引張機械で、前記テンドンを緊張する工程と、
前記貫通孔を前記テンドンの軸方向に、前記定着体を除く区間に少なくとも2つのボンド区間に区分し、前記定着孔に接する第1ボンド区間に前記グラウトを充填する工程と、
前記第1ボンド区間に充填した前記グラウトが不完全硬化状態になったら前記引張機械により前記テンドンに掛けていた緊張を解放する工程と、
緊張を解放した状態で、前記不完全硬化状態のグラウトを完全硬化させる工程と、
前記グラウトが完全硬化したら前記引張機械で、前記テンドンを緊張する工程と、
前記第1ボンド区間に接する第2ボンド区間に前記グラウトを充填しそのまま完全硬化させる工程、又は前記第2ボンド区間に前記グラウトを充填し、このグラウトが不完全硬化状態になったら前記引張機械により前記テンドンに掛けていた緊張を解放し、前記不完全硬化状態のグラウトを完全硬化させる工程と、
からなることを特徴とする。
前記地盤又は前記コンクリート駆体と前記岩盤とに孔を開ける削孔機と、鋼棒又は鋼線からなるテンドンと、前記地盤又は前記コンクリート駆体の表面である緊張端面に設けられ前記テンドンを引張る引張機械と、不完全硬化状態で得られる圧縮強度よりも完全硬化状態で得られる圧縮強度が大きくなるグラウトを準備し、
前記削孔機で、前記地盤又は前記コンクリート駆体に貫通孔を開けると共に前記岩盤に定着体を形成するための孔区間である定着孔を開ける工程と、
前記緊張端面から前記貫通孔と前記定着孔へ前記テンドンを挿入する工程と、
前記定着孔に前記グラウトを充填し完全硬化させることで、前記テンドンを前記岩盤に定着させる工程と、
前記引張機械で、前記テンドンを緊張する工程と、
前記貫通孔を前記テンドンの軸方向に、前記定着体を除く区間に少なくとも2つのボンド区間及びボンド区間の間に設けられる中間区間に区分し、前記定着孔に接する第1ボンド区間に前記グラウトを充填する工程と、
前記第1ボンド区間に充填した前記グラウトが不完全硬化状態になったら前記引張機械により前記テンドンに掛けていた緊張を解放する工程と、
緊張を解放した状態で、前記不完全硬化状態のグラウトを完全硬化させる工程と、
緊張を解放した状態で、前記中間区間にグラウトを充填し、完全硬化させる工程と、
前記グラウトが完全硬化したら前記引張機械で、前記テンドンを緊張する工程と、
前記中間区間に接する第2ボンド区間に前記グラウトを充填しそのまま完全硬化させる工程、又は前記第2ボンド区間に前記グラウトを充填し、このグラウトが不完全硬化状態になったら前記引張機械により前記テンドンに掛けていた緊張を解放し、前記不完全硬化状態のグラウトを完全硬化させる工程と、からなることを特徴とする。
緊張を解放することで、テンドンの周囲の地盤に、深い範囲で圧縮応力を発生させることができ、その後に、グラウトが完全硬化することで、圧縮応力は保存される。
図1に示すように、岩盤11に接している地盤13(又はコンクリート駆体)を補強する際に用いる引張機械14は、地盤13の表面(岩盤11から最も遠い部位の面)に据えられる門型フレーム15と、この門型フレーム15に取付けられる油圧シリンダ16と、この油圧シリンダ16から下へ延びるピストンロッド17に取付けられるチャック爪18と、油圧シリンダ16を制御する制御部19とからなる。
貫通孔21と定着孔22に、テンドン(tendon)25を挿入する。テンドン25には、拡縮可能なパッカー26を複数個設けておく。パッカー26は、所望の区間にグラウトを充填する役割を果たす。孔21、22が縦孔の場合は、パッカー26を省くことができる。
先ず、削孔機と、引張機械14と、テンドン25と、グラウトを準備する。
図2(a)に示すように、削孔機で地盤13に貫通孔21を開け、岩盤11に定着孔22を開ける。
図2(b)に示すように、緊張端面23から貫通孔21と定着孔22へテンドン25を挿入する。
図2(c)に示すように、定着孔22にグラウト27を充填する。
グラウト27は、充填時は流動物であり、流動物は「点の集合」で、表示する。
グラウト27は、完全硬化したときには「xの集合」(ダブルハッチング)で、表示する。
グラウト27は、不完全硬化のときには「/の集合」(シングルハッチング)で、表示する。
図3(b)は、引張力の大きさを示す図であり、岩盤11と地盤13の境界である第1の境界31からナット29までは、一様の引張力がテンドン25に加わっている。定着孔22内では、グラウト27が硬化しているため、原則として引張力は掛からないが、第1の境界31の真下でのみ引張力が急増する。引張力が孔21、22の壁を介して岩盤11や地盤13に伝わる。
図3(d)に示すように、貫通孔21を複数(この例では3)の区間Z1〜Z3に仮想的に区分する。そして、下から上へ第1ボンド区間Z1、第2ボンド区間Z2、第3ボンド区間Z3と名付ける。加えて、第1ボンド区間Z1と第2ボンド区間Z2の境界を第2の境界32、第2ボンド区間Z2と第3ボンド区間Z3の境界を第3の境界33と名付ける。
そして、第1ボンド区間Z1にグラウト27を充填する。このときは、テンドン25には、図3(b)に示す引張力が掛かっており、岩盤11や地盤13に図3(c)に示す面積Saの引張応力と面積Sbの圧縮応力が生じている。
すると、第2ボンド区間Z2及び第3ボンド区間Z3では、テンドン25に掛かっていた引張力は消失する。一方、第1ボンド区間Z1では、グラウト27が不完全硬化状態であるため、テンドン25の縮み動作は、ある程度拘束される。
図4(a)にて、第1ボンド区間Z1で、テンドン25に残る引張力が、第2の境界32の下方では地盤13を圧縮し、第2の境界32の上方では地盤13を引張る。
結果、図4(c)に示すように、地盤13において、第2の境界32の下方で面積Sdの圧縮応力が発生し、上方で面積Seの引張応力が発生する。境界31付近では図3(c)で説明した応力がほぼそのまま残留している。
ナット29を緩めたままで、図4(d)に示すように、グラウト27を完全硬化させる。
図5(b)は、張力の大きさを示す図であり、第2ボンド区間Z2及び第3ボンド区間Z3では、一様の引張力がテンドン25に加わっている。第1ボンド区間Z1では、グラウト27が完全硬化しているため、原則として引張力は掛からないが、第2の境界32の真下でのみ引張力が急増する。引張力が貫通孔21の壁を介して地盤13に伝わる。
次に、図5(d)に示すように、第2ボンド区間Z2にグラウト27を充填する。このときは、テンドン25には、図5(b)に示す引張力が掛かっており、岩盤11や地盤13に図5(c)に示す応力が生じている。
すると、第3ボンド区間Z3では、テンドン25に掛かっていた引張力は消失する。一方、第2ボンド区間Z2では、グラウト27が不完全硬化であるため、テンドン25の縮む動作は、ある程度拘束される。
図6(a)にて、第2ボンド区間Z2で、テンドン25に残る張力が、第3の境界33の下方では地盤13を圧縮し、第3の境界33の上方では地盤13を引張る。
結果、図6(c)に示すように、地盤13において、第3の境界33の下方で面積Sjの圧縮応力が発生し、上方で面積Skの引張応力が発生する。
ナット29を緩めたままで、図6(d)に示すように、グラウト27を完全硬化させる。
図7(b)は、張力の大きさを示す図であり、第3ボンド区間Z3では、一様の引張力がテンドン25に加わっている。第2ボンド区間Z2では、グラウト27が完全硬化しているため、原則として引張力は掛からないが、第3の境界33の真下でのみ引張力が急増する。引張力が貫通孔21の壁を介して地盤13に伝わる。
図7(d)に示すように、第3ボンド区間Z3にグラウト27を充填する。
図8(b)に示すように、地盤13に、面積Sb、Sf、Si、Sm、Sq及びScからなる圧縮応力が残留する。面積Sg、Sh、Sn及びSpの引張応力が残るもののこれらは比較的小さい。結果、テンドン25の軸方向に沿って、地盤13に広範囲に圧縮応力を残留させることができる。
本発明によれば、対応可能である。そのことをフロー図(図9)に基づいて、以下に説明する。
ST03にて、定着孔22にグラウト27を充填し完全硬化させることで、テンドン25を岩盤11に定着させる。
ST04にて、引張機械14で、テンドン25を緊張する。
ST06にて、第Nボンド区間(初回は第1ボンド区間)にグラウトを充填する。すなわち、定着孔22に接する第1ボンド区間Z1にグラウト27を充填する。
ST07にて、第1ボンド区間Z1に充填したグラウト27が不完全硬化状態になったら引張機械14によりテンドン25に掛けていた緊張を解放する。
ST08にて、緊張を解放した状態で、不完全硬化状態のグラウト27を完全硬化させる。
ST09にて、グラウト27が完全硬化したら引張機械14で、テンドン25を緊張する。
ST11にて、第2ボンド区間にグラウト27を充填し完全硬化させる。
第4ボンド区間が無い場合には、繰り返し後にST10からST11へ進み、ST11にて、第3ボンド区間にグラウト27を充填し完全硬化させる。
以上に述べたフローにより、貫通孔21が、2区分、3区分又は4区分以上に区分された、何れの場合であっても本発明が適用できることを確認した。
図10(a)に示すように、第1ボンド区間Z1と第2ボンド区間Z2の境界付近にて、テンドン25に耐荷体35が付設され、第2ボンド区間Z2と第3ボンド区間Z3の境界付近にて、テンドン25に耐荷体35が付設されている。その他の構成は、図8(a)と同じであるため、図8(a)の符号を流用し、詳細な説明は省略する。
図4(a)では、第1ボンド区間Z1でテンドン25が縮まないように、グラウト27の強度を設定した。ただし、この時点ではグラウト27は不完全硬化状態にある。
不完全硬化状態であるため、諸条件が変動すると、グラウト27の強度が不足する場合がある。強度が不足すると、第1ボンド区間Z1でテンドン25が軸方向に縮むことが想定される。対策としてグラウト27の管理を厳密にすることが求められるが、そうすると工費が増加する。
結果、不完全硬化時のグラウト27の強度に変動幅があっても、差し支えないこととなり、工事が容易になる。
図11に示すように、定着孔22にテンドン25の下端を挿入し、グラウト27を充填し、完全硬化させる。
次に、テンドン25にテンションを掛け、この状態で第1ボンド区間Z1にグラウト27を充填する。グラウト27が不完全硬化状態になったら、テンションを解除しテンドン25を自由(除荷状態)にする。
次に、テンドン25にテンションを掛け、この状態で第2ボンド区間Z2にグラウト27を充填する。グラウト27が不完全硬化状態になったら、テンションを解除しテンドン25を自由(除荷状態)にする。
Claims (3)
- 岩盤に接する地盤又はコンクリート駆体を補強する地盤等の補強方法であって、
前記地盤又は前記コンクリート駆体と前記岩盤とに孔を開ける削孔機と、鋼棒又は鋼線からなるテンドンと、前記地盤又は前記コンクリート駆体の表面である緊張端面に設けられ前記テンドンを引張る引張機械と、不完全硬化状態で得られる圧縮強度よりも完全硬化状態で得られる圧縮強度が大きくなるグラウトを準備し、
前記削孔機で、前記地盤又は前記コンクリート駆体に貫通孔を開けると共に前記岩盤に定着体を形成するための孔区間である定着孔を開ける工程と、
前記緊張端面から前記貫通孔と前記定着孔へ前記テンドンを挿入する工程と、
前記定着孔に前記グラウトを充填し完全硬化させることで、前記テンドンを前記岩盤に定着させる工程と、
前記引張機械で、前記テンドンを緊張する工程と、
前記貫通孔を前記テンドンの軸方向に、前記定着体を除く区間に少なくとも2つのボンド区間に区分し、前記定着孔に接する第1ボンド区間に前記グラウトを充填する工程と、
前記第1ボンド区間に充填した前記グラウトが不完全硬化状態になったら前記引張機械により前記テンドンに掛けていた緊張を解放する工程と、
緊張を解放した状態で、前記不完全硬化状態のグラウトを完全硬化させる工程と、
前記グラウトが完全硬化したら前記引張機械で、前記テンドンを緊張する工程と、
前記第1ボンド区間に接する第2ボンド区間に前記グラウトを充填しそのまま完全硬化させる工程、又は前記第2ボンド区間に前記グラウトを充填し、このグラウトが不完全硬化状態になったら前記引張機械により前記テンドンに掛けていた緊張を解放し、前記不完全硬化状態のグラウトを完全硬化させる工程と、
からなることを特徴とする地盤等の補強方法。 - 前記テンドンには、2つのボンド区間の境界位置に耐荷体を付設したことを特徴とする請求項1記載の地盤等の補強方法。
- 岩盤に接する地盤又はコンクリート駆体を補強する地盤等の補強方法であって、
前記地盤又は前記コンクリート駆体と前記岩盤とに孔を開ける削孔機と、鋼棒又は鋼線からなるテンドンと、前記地盤又は前記コンクリート駆体の表面である緊張端面に設けられ前記テンドンを引張る引張機械と、不完全硬化状態で得られる圧縮強度よりも完全硬化状態で得られる圧縮強度が大きくなるグラウトを準備し、
前記削孔機で、前記地盤又は前記コンクリート駆体に貫通孔を開けると共に前記岩盤に定着体を形成するための孔区間である定着孔を開ける工程と、
前記緊張端面から前記貫通孔と前記定着孔へ前記テンドンを挿入する工程と、
前記定着孔に前記グラウトを充填し完全硬化させることで、前記テンドンを前記岩盤に定着させる工程と、
前記引張機械で、前記テンドンを緊張する工程と、
前記貫通孔を前記テンドンの軸方向に、前記定着体を除く区間に少なくとも2つのボンド区間及びボンド区間の間に設けられる中間区間に区分し、前記定着孔に接する第1ボンド区間に前記グラウトを充填する工程と、
前記第1ボンド区間に充填した前記グラウトが不完全硬化状態になったら前記引張機械により前記テンドンに掛けていた緊張を解放する工程と、
緊張を解放した状態で、前記不完全硬化状態のグラウトを完全硬化させる工程と、
緊張を解放した状態で、前記中間区間にグラウトを充填し、完全硬化させる工程と、
前記グラウトが完全硬化したら前記引張機械で、前記テンドンを緊張する工程と、
前記中間区間に接する第2ボンド区間に前記グラウトを充填しそのまま完全硬化させる工程、又は前記第2ボンド区間に前記グラウトを充填し、このグラウトが不完全硬化状態になったら前記引張機械により前記テンドンに掛けていた緊張を解放し、前記不完全硬化状態のグラウトを完全硬化させる工程と、
からなることを特徴とする地盤等の補強方法。
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