JP6902895B2 - 異方性光学フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、入射光角度に応じて透過光の拡散性が変化する異方性光学フィルム及びその製造方法に関する。
光拡散性を有する部材(光拡散部材)は、照明器具や建材の他、表示装置においても使用されている。この表示装置としては、例えば、液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL)等がある。光拡散部材の光拡散発現機構としては、表面に形成された凹凸による散乱(表面散乱)、マトリックス樹脂とその中に分散された微粒子間の屈折率差による散乱(内部散乱)、及び表面散乱と内部散乱の両方によるものが挙げられる。但し、これらの光拡散部材は、一般にその拡散性能は等方的であり、入射光角度を少々変化させても、その透過光の拡散特性が大きく異なることはなかった。
一方、一定の角度領域の入射光は強く拡散し、それ以外の角度の入射光は透過する、すなわち、入射光角度に応じて直線透過光量を変化させることが可能な、異方性光学フィルムが知られている。このような異方性光学フィルムとしては、光重合性化合物を含む組成物の硬化物からなる樹脂層の内部に、全て所定の方向Pに対して平行に延在する複数の棒状硬化領域の集合体を形成した異方性拡散媒体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。なお、以後、本明細書において、特許文献1に記載されたような、所定の方向Pに対して平行に延在する複数の棒状硬化領域の集合体を形成した異方性光学フィルムの構造を「ピラー構造」と称する。
かかるピラー構造の異方性光学フィルムにおいては、当該フィルムに対してその上方から下方に向けて光が入射された場合、フィルム製造工程での流れ方向(以下、「MD方向」と称する。)と、MD方向に垂直なフィルムの幅方向(以下、「TD方向」と称する。)とで、同一の拡散を示す。すなわち、ピラー構造の異方性光学フィルムでの拡散は、等方性を示す。したがって、ピラー構造の異方性光学フィルムでは、輝度の急激な変化やギラツキが生じにくい。
一方、異方性光学フィルムとして、上記ピラー構造ではなく、光重合性化合物を含む組成物の硬化物からなる樹脂層の内部に、1又は複数の板状硬化領域の集合体を形成した異方性光学フィルム(例えば、特許文献2を参照)を用いることで、非拡散領域における直線透過率を向上させ、拡散幅を広くすることができる。なお、以後、本明細書において、特許文献2に記載されたような、1又は複数の板状硬化領域の集合体を形成した異方性光学フィルムの構造を「ルーバー構造」と称することとする。
これに対して、ピラー構造の異方性光学フィルムとルーバー構造の異方性光学フィルムの問題を解決し、光の透過と拡散において良好な入射光角度依存性を有するとともに、拡散領域の幅を広くするため、例えば、特許文献3には、ピラー構造(特許文献3における「カラム構造」に相当)の異方性光拡散層とルーバー構造の異方性光拡散層を積層させた異方性光学フィルムが開示されている。
特開2005−265915号公報 特許第4802707号公報 特開2012−141593号公報
ただし、ピラー構造の異方性光学フィルムは、直線透過率の高い入射光角度範囲である非拡散領域における直線透過率が低く、直線透過率の低い(すなわち、拡散強度の高い)入射光角度範囲である拡散領域の幅(拡散幅)が狭い、という問題がある。
又、ルーバー構造の異方性光学フィルムにおいては、当該フィルムに対してその上方から下方に向けて光が入射された場合、MD方向とTD方向とで異なる拡散を示す。すなわち、ルーバー構造の異方性光学フィルムでの拡散は、異方性を示す。具体的には、例えば、MD方向で拡散領域の幅(拡散幅)がピラー構造よりも広がれば、TD方向では拡散幅がピラー構造よりも狭まる。したがって、ルーバー構造の異方性光学フィルムでは、例えば、TD方向で拡散幅が狭まった場合、TD方向で輝度の急激な変化が生じる結果、光の干渉が起きやすくギラツキが生じやすい、という問題がある。
しかしながら、従来の異方性光学フィルムでは、以下のような問題が解決できなかった。すなわち、ピラー構造では、非拡散領域の透過率が低く拡散領域は等方的となり、ルーバー構造では、非拡散領域の透過率が高くなる。更に、ルーバー構造では、MD方向への拡散はピラーに比べ広いが、TD方向への拡散領域は狭く、TD方向での輝度の急激な変化が生じ、光の干渉が起きやすくギラツキが生じていた。
又、特許文献3に記載された、ピラー構造の異方性光拡散層とルーバー構造の異方性光拡散層を積層させた異方性光学フィルムにおいては、輝度の急激な変化やギラツキが生じる場合があった。更には、ピラー構造の異方性光拡散層とルーバー構造の異方性光拡散層とを積層させる工程を必須とするため、生産性にも劣る場合があった。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ピラー構造とルーバー構造の各々の欠点を補った異方性光学フィルムを提供することである。即ち、ピラー構造に比べて、非拡散領域の透過率が向上するとともにMD方向の拡散角度範囲を拡大し、ルーバー構造に比べて、TD方向の拡散角度範囲も拡大するともに、輝度の急激な変化やギラツキといった問題を解消することが可能な、異方性光学フィルムを提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を行い、特定の構造を有する異方性光学フィルムによって、上記課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
本発明(1)は、
入射光角度により直線透過率が変化する、異方性光拡散層を少なくとも備えた異方性光学フィルムであって、
前記異方性光拡散層は、
マトリックス領域と複数の第1柱状構造体とを有し、第1の表面と中間面とを有する第1の異方性光拡散層と、
前記中間面において第1の異方性光拡散層と連続する第2の異方性光拡散層であって、マトリックス領域と複数の第2柱状構造体と複数の第1柱状構造体とを有し、第2の表面を有する第2の異方性光拡散層と、を有し、
前記中間面は、前記第1の異方性光拡散層と前記第2の異方性光拡散層との層厚の、前記第1の表面から20%を超えた位置であり、
前記第1柱状構造体は、前記第1の異方性光拡散層の前記第1の表面から前記第2の異方性光拡散層の前記第2の表面にかけて配向して構成され、
前記第2柱状構造体は、前記中間面から前記第2の表面にかけて配向して構成され、
前記第1柱状構造体は、前記第1の表面及び前記第2の表面において不連続となり、
前記第2柱状構造体は、前記第2の表面において不連続となる異方性光学フィルムである。
本発明(2)は、
前記第1柱状構造体及び前記第2柱状構造体の一方における、平均短径と平均長径とのアスペクト比が、2以上であり、
前記第1柱状構造体及び前記第2柱状構造体の他方における、平均短径と平均長径とのアスペクト比が、2未満であることを特徴とする、前記発明(1)の異方性光学フィルム
である。
本発明(3)は、
前記第1柱状構造体及び前記第2柱状構造体の一方における、平均短径及び平均長径が、夫々0.5μm〜5.0μm及び1μm〜100μmであり、
前記第1柱状構造体及び前記第2柱状構造体の他方における、平均短径及び平均長径が、夫々0.5μm〜5.0μm及び0.5μm〜8.0μmであることを特徴とする、前記発明(1)又は(2)の異方性光学フィルムである。
本発明(4)は、
前記異方性光拡散層の厚さが10μm〜200μmであることを特徴とする、前記発明(1)〜(3)のいずれかの異方性光学フィルムである。
本発明(5)は、
大直線透過率が、30%以上80%未満であることを特徴とする、前記発明(1)〜(4)のいずれかの異方性光学フィルムである。
本発明(6)は、
前記第1柱状構造体の散乱中心軸角度と、前記第2柱状構造体の散乱中心軸角度との差の絶対値が、0°〜30°であることを特徴とする、前記発明(1)〜(5)のいずれかの異方性光学フィルムである。
本発明(7)は、
MD方向拡散幅が30°以上70°未満であり、TD方向拡散幅が10°以上30°未満であることを特徴とする、前記発明(1)〜(6)のいずれかの異方性光学フィルムである。
本発明(8)は、
基材上に、異方性光拡散層形成用組成物を塗工し、塗工膜を設ける塗工工程と、
前記塗工膜上にマスクフィルムを積層した後、上部からの光線の照射により硬化を行う、第1構造体形成工程と、
前記第1構造体形成工程の後、連続して、光線の照射により硬化を行う第2構造体形成工程とを含み、
前記第1構造体形成工程及び前記第2構造体形成工程のうち、一方の工程が1方向拡散光線の照射により硬化を行い、他方の工程が平行光線の照射により硬化を行うことを特徴とする、前記発明(1)〜(7)のいずれかの異方性光学フィルムの製造方法。
本発明(9)は、
前記第1構造体形成工程又は前記第2構造体形成工程における前記1方向拡散光線が、指向性拡散素子を介して得られる拡散光線であり、当該拡散光線のアスペクト比が2以上であることを特徴とする、前記発明(8)に記載の製造方法である。
本発明の異方性光学フィルムによれば、ピラー構造とルーバー構造の各々の欠点を補うことが可能であり、ピラー構造に比べて、非拡散領域の透過率が向上するとともにMD方向の拡散角度範囲を拡大し、ルーバー構造に比べて、TD方向の拡散角度範囲も拡大するともに、輝度の急激な変化やギラツキを解消できる。加えて、層を積層させずに両構造の欠点を補うことができるため、生産性にも優れる。
ピラー構造及びルーバー構造の柱状領域を有する異方性光学フィルムの構造と、これらの異方性光学フィルムに入射した透過光の様子の一例を示す模式図である。 異方性光学フィルムの光拡散性の評価方法を示す説明図である。 図1に示したピラー構造及びルーバー構造の異方性光学フィルムへの入射光角度と直線透過率との関係を示すグラフである。 拡散領域と非拡散領域を説明するためのグラフである。 本形態に係る異方性光学フィルム100における異方性光拡散層110及び120の構成の一例を示す斜視図である。 ルーバー構造を有する異方性光拡散層の構成の一例を示す平面図Aと、ハイブリッド構造を有する異方性光拡散層の構成の一例を示す平面図Bである。 異方性光学フィルム200の態様における異方性光拡散層210及び220の構成の一例を示す斜視図である。 異方性光学フィルム200の態様におけるルーバー構造を有する異方性光拡散層の構成の一例を示す平面図Aと、ハイブリッド構造を有する異方性光拡散層の構成の一例を示す平面図Bである。 異方性光学フィルム300の態様における異方性光拡散層310及び320の構成の一例を示す斜視図である。 異方性光学フィルム300の態様におけるピラー構造を有する異方性光拡散層の構成の一例を示す平面図Aと、ハイブリッド構造を有する異方性光拡散層の構成の一例を示す平面図Bである。 異方性光学フィルム200の製造プロセスに従って成長する柱状領域213及び223の概略を示す模式図である。 異方性光学フィルム300の製造プロセスに従って成長する柱状領域313及び323の概略を示す模式図である。 異方性光拡散層における散乱中心軸を説明するための3次元極座標表示である。 実施例4に係る異方性光学フィルムのMD方向及びTD方向の断面写真である。 実施例10に係る異方性光学フィルムのMD方向及びTD方向の断面写真である。 実施例及び比較例の異方性光学フィルムの輝度の急激な変化の評価方法を説明するためのグラフである。
<<<主な用語の定義>>>
「低屈折率領域」と「高屈折率領域」は、本発明に係る異方性光学フィルムを構成する材料の局所的な屈折率の高低差により形成される領域であって、他方に比べて屈折率が低いか高いかを示した相対的なものである。これらの領域は、異方性光学フィルムを形成する材料が硬化する際に形成される。
「散乱中心軸」とは、異方性光学フィルムへの入射光角度を変化させた際に光拡散性がその入射光角度を境に略対称性を有する光の入射光角度と一致する方向を意味する。「略対称性を有する」としたのは、散乱中心軸がフィルムの法線方向に対して傾きを有する場合には、光学特性(後述する「光学プロファイル」)が厳密には対称性を有しないためである。散乱中心軸は、異方性光学フィルムの断面の傾きを光学顕微鏡によって観察することや、異方性光学フィルムを介した光の投影形状を入射光角度を変化させて観察することにより確認することができる。
又、直線透過率とは、一般に、異方性光学フィルムに対して入射した光の直線透過性に関し、ある入射光角度から入射した際に、直線方向の透過光量と、入射した光の光量との比率であり、下記式で表される。
直線透過率(%)=(直線透過光量/入射光量)×100
又、本発明においては、「散乱」と「拡散」の両者を区別せずに使用しており、両者は同じ意味を示す。更に、「光重合」及び「光硬化」の意味を、光重合性化合物が光により重合反応することとし、両者を同義語で用いることとする。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面においては、同一の符号が付された構成要素は、実質的に同一の構造又は機能を有するものとする。
<<<異方性光学フィルムの構造と特性>>>
図1〜図4を参照しながら、本形態に係る異方性光学フィルムについて説明する前提として、従来技術に係る単層の異方性光学フィルム(本形態で言う「異方性光拡散層」が一層のみの場合の異方性光学フィルム)の構造と特性について説明する。
図1は、ピラー構造及びルーバー構造の柱状領域を有する単層の異方性光学フィルムの構造と、これらの異方性光学フィルムに入射した透過光の様子の一例を示す模式図である。図2は、異方性光学フィルムの光拡散性の評価方法を示す説明図である。図3は、図1に示したピラー構造及びルーバー構造の異方性光学フィルムへの入射光角度と直線透過率との関係を示すグラフである。図4は、拡散領域と非拡散領域を説明するためのグラフである。
<<異方性光学フィルムの基本的な構造>>
異方性光学フィルムとは、フィルムの膜厚方向に、フィルムのマトリックス領域とは屈折率の異なる領域が形成されたフィルムである。屈折率の異なる領域の形状は、特に制限されるものではないが、例えば、図1(a)に示すように、マトリックス領域11中に、短径と長径のアスペクト比の小さな柱状(例えば、棒状)に形成された屈折率の異なる柱状領域13が形成された異方性光学フィルム(ピラー構造の異方性光学フィルム)10や、図1(b)に示すように、マトリックス領域21中に、アスペクト比の大きな柱状(例えば、略板状)に形成された屈折率の異なる柱状領域23が形成された異方性光学フィルム(ルーバー構造の異方性光学フィルム)20等がある。
<<異方性光学フィルムの特性>>
上述した構造を有する異方性光学フィルムは、当該フィルムへの入射光角度により光拡散性が異なる光拡散フィルム、すなわち入射光角度依存性を有する光拡散フィルムである。この異方性光学フィルムに所定の入射光角度で入射した光は、屈折率の異なる領域の配向方向(例えば、ピラー構造における柱状領域13の延在方向(配向方向)やルーバー構造における板状領域23の高さ方向)と略平行である場合には拡散が優先され、当該方向に平行でない場合には透過が優先される。
ここで、図2及び3を参照しながら、異方性光学フィルムの光拡散性についてより具体的に説明する。ここでは、上述したピラー構造の異方性光学フィルム10と、ルーバー構造の異方性光学フィルム20の光拡散性を例に挙げて説明する。
光拡散性の評価方法は、以下のようにして行う。まず、図2に示すように、異方性光学フィルム10、20を、光源1と検出器2との間に配置する。本形態においては、光源1からの照射光Iが、異方性光学フィルム10、20の法線方向から入射する場合を入射光角度0°とした。又、異方性光学フィルム10、20は直線Lを中心として、任意に回転させることができるように配置され、光源1及び検出器2は固定されている。すなわち、この方法によれば、光源1と検出器2との間にサンプル(異方性光学フィルム10、20)を配置し、サンプル表面の直線Lを中心軸として角度を変化させながらサンプルを直進透過して検出器2に入る直線透過率を測定することができる。
異方性光学フィルム10、20を、それぞれ、図1のTD方向(異方性光学フィルムの幅方向の軸)を図2に示す回転中心の直線Lに選んだ場合における光拡散性を評価し、得られた光拡散性の評価結果を図3に示した。図3は、図2に示す方法を用いて測定した図1に示す異方性光学フィルム10、20が有する光拡散性(光散乱性)の入射光角度依存性を示すものである。図3の縦軸は、散乱の程度を示す指標である直線透過率(本形態では、所定の光量の平行光線を入射させたときに、入射方向と同じ方向に出射された平行光線の光量の割合、より具体的には、直線透過率=異方性光学フィルム10、20がある場合の検出器2の検出光量/異方性光学フィルム10、20がない場合の検出器2の検出光量)を示し、横軸は異方性光学フィルム10、20への入射光角度を示す。図3中の実線は、ピラー構造の異方性光学フィルム10の光拡散性を示し、破線は、ルーバー構造の異方性光学フィルム20の光拡散性を示している。なお、入射光角度の正負は、異方性光学フィルム10、20を回転させる方向が反対であることを示している。
図3に示すように、異方性光学フィルム10、20は、入射光角度によって直線透過率が変化する光拡散性の入射光角度依存性を有するものである。ここで、図3のように光拡散性の入射光角度依存性を示す曲線を以下、「光学プロファイル」と称する。光学プロファイルは、光拡散性を直接的に表現しているものではないが、直線透過率が低下することで逆に拡散透過率が増大していると解釈すれば、概ね光拡散性を示しているといえる。通常の等方的な光拡散フィルムでは、0°付近をピークとする山型の光学プロファイルを示すが、異方性光学フィルム10、20では、柱状領域13、23の中心軸(厚み)方向、すなわち、散乱中心軸方向(この方向の入射光角度を0°とする。)で入射する場合の直線透過率と比較して、±5〜10°の入射光角度で一旦直線透過率が極小値になり、その入射光角度(の絶対値)が大きくなるにつれて直線透過率が大きくなり、±45〜60°の入射光角度で直線透過率が極大値となる谷型の光学プロファイルを示す。このように、異方性光学フィルム10、20は、入射光が散乱中心軸方向に近い±5〜10°の入射光角度範囲では強く拡散されるが、それ以上の入射光角度範囲では拡散が弱まり直線透過率が高まるという性質を有する。以下、最大直線透過率と最小直線透過率との中間値の直線透過率に対する2つの入射光角度の角度範囲を拡散領域(この拡散領域の幅を「拡散幅」)と称し、それ以外の入射光角度範囲を非拡散領域(透過領域)と称する。ここで、図4を参照しながら、ルーバー構造の異方性光学フィルム20を例に挙げて拡散領域と非拡散領域について説明する。図4は、図3のルーバー構造の異方性光学フィルム20の光学プロファイルを示したものであるが、図4に示すように、最大直線透過率(図4の例では、直線透過率が約78%)と最小直線透過率(図4の例では、直線透過率が約6%)との中間値の直線透過率(図4の例では、直線透過率が約42%)に対する2つの入射光角度の間(図4に示す光学プロファイル上の2つの黒点の位置の2つの入射光角度の内側)の入射光角度範囲が拡散領域となり、それ以外(図4に示す光学プロファイル上の2つの黒点の位置の2つの入射光角度の外側)の入射光角度範囲が非拡散領域となる。
ピラー構造の異方性光学フィルム10では、図1(b)の透過光の様子を見ればわかるように、透過光は略円形状となっており、MD方向とTD方向とで略同一の光拡散性を示している。すなわち、ピラー構造の異方性光学フィルム10では、拡散は等方性を有する。又、図3の実線で示すように、入射光角度を変えても光拡散性(特に、非拡散領域と拡散領域との境界付近における光学プロファイル)の変化が比較的緩やかであるため、輝度の急激な変化やギラツキを生じないという効果がある。しかしながら、異方性光学フィルム10では、図3の破線で示されたルーバー構造の異方性光学フィルム20の光学プロファイルと比較すればわかるように、非拡散領域における直線透過率が低いため、表示特性(輝度やコントラスト等)がやや低下してしまうという問題もある。又、ピラー構造の異方性光学フィルム10は、ルーバー構造の異方性光学フィルム20と比較して、拡散領域の幅も狭い、という問題もある。
他方、ルーバー構造の異方性光学フィルム20では、図1(a)の透過光の様子を見ればわかるように、透過光は、略針状となっており、MD方向とTD方向とで光拡散性が大きく異なる。すなわち、ルーバー構造の異方性光学フィルム20では、拡散は異方性を有する。具体的には、図1に示す例では、MD方向ではピラー構造の場合よりも拡散が広がっているが、TD方向ではピラー構造の場合よりも拡散が狭まっている。又、図3の破線で示すように、入射光角度を変えると、(本形態の場合、TD方向において)光拡散性(特に、非拡散領域と拡散領域との境界付近における光学プロファイル)の変化が極めて急峻であるため、異方性光学フィルム20を表示装置に適用した場合、輝度の急激な変化やギラツキとなって現れ、視認性を低下させるおそれがあった。加えて、ルーバー構造の異方性光学フィルムは光の干渉(虹)が生じやすい、という問題もある。しかしながら、異方性光学フィルム20では、非拡散領域における直線透過率が高く、表示特性を向上させることができるという効果がある。
<<<本形態に係る異方性光学フィルムの構成>>>
図5を参照しながら、本形態に係る異方性光学フィルム100の構成について説明する。図5は、本形態に係る異方性光学フィルム100における異方性光拡散層110及び120の構成の一例を示す斜視図である。なお、以下においては、異方性光学フィルム100とした場合、単に、異方性光拡散層110及び120を有する異方性光拡散層を示す場合がある。
<<全体構成>>
図5に示すように、異方性光学フィルム100は、入射光角度により直線透過率が変化する2つの異方性光拡散層110及び120を有する異方性光学フィルムである。2つの異方性光拡散層110及び120は、連続して形成されている(異方性光拡散層110及び120は、概念上別の名称となっているが、一層として連続した層である)。ここで、異方性光学フィルム100の厚みは、異方性拡散層110と120の厚みの合計である。
異方性光拡散層110は、マトリックス領域111と、マトリックス領域111とは屈折率が異なる複数の柱状領域113(第1柱状構造体)とを有する。異方性光拡散層120は、マトリックス領域121と、マトリックス領域121とは屈折率が異なる複数の柱状領域113(第1柱状構造体)及び柱状領域123(第2柱状構造体)とを有する。なお、図5に示されるように、柱状領域113は、異方性光拡散層110及び120に跨って存在し、柱状領域123は、異方性光拡散層120のみに存在する構成となっている。
ここで、柱状領域113及び123の、異方性光拡散層110の表面(又は、配向方向に垂直な断面)における平均短径と平均長径のアスペクト比(=平均長径/平均短径)は異なることが好適である。より具体的には、本発明に係る異方性光学フィルムは、好適形態においては、異方性光拡散層内部に、上述したピラー構造とルーバー構造とを有する。
ここで柱状領域113及び123の配向方向に垂直な断面の断面形状は、特に限定されるものではないが、柱状領域113をルーバー構造とした場合には、柱状領域123をピラー構造とすることができ、又は、柱状領域113をピラー構造とした場合には、柱状領域123をルーバー構造とすることができる。
このように、本発明の異方性光学フィルム100の具体的な構成としては、柱状領域113を複数有する異方性光拡散層110と、柱状領域123を複数と柱状領域113を複数とを有するハイブリッド構造である異方性光拡散層120と、を有する。以下、このような、異方性光拡散層110及び異方性光拡散層120を有する異方性光学フィルム100について詳述する。なお、後述するように、柱状領域113及び123のアスペクト比は限定されないため、柱状領域113と柱状領域123のアスペクト比の組み合わせ次第では、柱状領域113及び柱状領域123が共にピラー構造(又は、ルーバー構造)となるが、このような形態も本発明の範囲内である。
<<異方性光拡散層110>>
異方性光拡散層110は、柱状領域113を有しており、入射光角度により直線透過率が変化する光拡散性を有している。又、異方性光拡散層110は、光重合性化合物を含む組成物の硬化物からなり、図5及び図6Aに示すように、マトリックス領域111と、当該マトリックス領域111とは屈折率の異なる複数の柱状領域113を有している。この柱状領域113の配向方向(延在方向)Pは、散乱中心軸と平行になるように形成されており、異方性光拡散層110が所望の直線透過率及び拡散性を有するように適宜定められている。なお、散乱中心軸と柱状領域の配向方向とが平行であるとは、屈折率の法則(Snellの法則)を満たすものであればよく、厳密に平行である必要はない。Snellの法則は、屈折率nの媒質から屈折率nの媒質の界面に対して光が入射する場合、その入射光角度θと屈折角θとの間に、nsinθ=nsinθの関係が成立するものである。例えば、n=1(空気)、n=1.51(異方性光学フィルム)とすると、入射光角度が30°の場合、柱状領域の配向方向(屈折角)は約19°となるが、このように入射光角度と屈折角が異なっていてもSnellの法則を満たしていれば、本形態においては平行の概念に包含される。
なお、異方性光拡散層110としては、柱状領域113の配向方向がフィルムの膜厚方向(法線方向)と一致しないものであってもよい。この場合、異方性光拡散層110においては、入射光が法線方向から所定角度傾いた方向(すなわち、柱状領域113の配向方向)に近い入射光角度範囲(拡散領域)では強く拡散されるが、それ以上の入射光角度範囲(非拡散領域)では拡散が弱まり直線透過率が高まるという性質を有する。
<柱状領域113>
本形態に係る柱状領域113は、マトリックス領域111中に、複数の柱状の硬化領域として設けられており、各々の柱状領域113は、それぞれ配向方向が散乱中心軸と平行になるように形成されたものである。したがって、同一の異方性光拡散層110における複数の柱状領域113は、互いに平行となるように形成されている。
マトリックス領域111の屈折率は、柱状領域113の屈折率と異なっていればよいが、屈折率がどの程度異なるかは特に限定されず、相対的なものである。マトリックス領域111の屈折率が柱状領域113の屈折率よりも低い場合、マトリックス領域111は低屈折率領域となる。逆に、マトリックス領域111の屈折率が柱状領域113の屈折率よりも高い場合、マトリックス領域111は高屈折率領域となる。ここで、マトリックス領域111と柱状領域113の界面における屈折率は漸増的に変化するものであることが好ましい。漸増的に変化させることで、入射光角度を変えた場合の拡散性の変化が極めて急峻となりギラツキを生じやすくなる問題が発生し難くなる。マトリックス領域111と柱状領域113を光照射に伴う相分離によって形成することで、マトリックス領域111と柱状領域113の界面の屈折率を漸増的に変化させることができる。
本発明においては、1層の異方性光拡散層110の厚さ方向に渡って、柱状領域113とマトリックス領域111の界面が途切れることなく連続して存在する構成を有することが好ましい。柱状領域113とマトリックス領域111の界面がつながった構成を有することで、光の拡散と集光が異方性光拡散層110を通過する間、連続して生じやすくなり、光の拡散と集光の効率が上がる。一方、異方性光拡散層110の断面において、柱状領域113及びマトリックス領域111が、まだらに存在するものが主になると、集光性が得にくくなるため好ましくない。
柱状領域113の配向方向に垂直な断面形状は、図6Aに示すように、短径SAと長径LAを有する。短径SAと長径LAは異方性光拡散層110を光学顕微鏡で観察することによって確認することができる(詳細は後述する)。又、例えば、図6Aでは、柱状領域113の断面形状を楕円形状に示しているが、柱状領域113の断面形状は、特に限定されるものではない。その際の短径SA及び長径LAは、断面形状が例えば円形状である場合、短径SAと長径LAの長さが等しいものとなり、その他図形(距離空間の部分集合)である場合、その図形に含まれる二点の距離の上限を長径LA、下限を短径SAとするものとする。
<<異方性光拡散層120>>
異方性光拡散層120は、柱状領域113と、柱状領域123とが共存し、入射光角度により直線透過率が変化する光拡散性を有している。又、図6Bに示すように、異方性光拡散層120は、光重合性化合物を含む組成物の硬化物からなり、マトリックス領域121と、当該マトリックス領域121とは屈折率の異なる複数の柱状領域113及び123を有している。複数の柱状領域113及び123並びにマトリックス領域121は、不規則な分布や形状を有するが、異方性光拡散層120の全面にわたって形成されることで、得られる光学特性(例えば、直線透過率等)は略同じとなる。複数の柱状領域113及び123並びにマトリックス領域121が不規則な分布や形状を有するため、本形態に係る異方性光拡散層120は、光の干渉(虹)が発生することが少ない。
<柱状領域113>
本形態に係る柱状領域113は、マトリックス領域121中に、複数の柱状の硬化領域として設けられており、各々の柱状領域113は、それぞれ配向方向が散乱中心軸と平行になるように形成されたものである。したがって、同一の異方性光拡散層120における複数の柱状領域113は、互いに平行となるように形成されている。この異方性光拡散層120における複数の柱状領域113は、異方性光拡散層110の複数の柱状領域113と同様であり、詳細な説明を省略する(前述のように、柱状領域113は、異方性光拡散層110と異方性光拡散層120とに跨って、連続的に存在する構造体である)。
<柱状領域123>
本形態に係る柱状領域123は、マトリックス領域121中に、複数の柱状の硬化領域として設けられており、各々の柱状領域123は、それぞれ配向方向が散乱中心軸と平行になるように形成されたものである。したがって、同一の異方性光拡散層120における複数の柱状領域123は、互いに平行となるように形成されている。
マトリックス領域121の屈折率は、柱状領域113及び123の屈折率と異なっていればよいが、屈折率がどの程度異なるかは特に限定されず、相対的なものである。マトリックス領域121の屈折率が柱状領域113及び123の屈折率よりも低い場合、マトリックス領域121は低屈折率領域となる。逆に、マトリックス領域121の屈折率が柱状領域113及び123の屈折率よりも高い場合、マトリックス領域121は高屈折率領域となる。
柱状領域123の配向方向に垂直な断面形状は、図6Bに示すように、短径SAと長径LAを有する。例えば、図6Bでは、柱状領域123の断面形状を円形状に示しているが、柱状領域123の断面形状は、円形状に限定されるものではなく、楕円形状、多角形状、不定形状、これらの入り混じっているもの等、特に限定されるものではない。
その際の短径SA及び長径LAは、断面形状が例えば円形状である場合、短径SAと長径LAの長さが等しいものとなり、その他図形(距離空間の部分集合)である場合、その図形に含まれる二点の距離の上限を長径LA、下限を短径SAとするものとする。
<<柱状領域の形状>>
<柱状領域113及び柱状領域123のアスペクト比>
柱状領域113及び柱状領域123のどちらか一方をルーバー構造とした場合、短径SAの平均値(平均短径)と長径LAの平均値(平均長径)のアスペクト比(=平均長径/平均短径)は、2以上であることが好ましく、2以上50未満であることがより好ましく、2以上10以下であることが更に好ましく、2以上5以下であることが特に好ましい。
又、柱状領域113及び柱状領域123のどちらか一方をピラー構造とした場合、短径SAの平均値(平均短径)と平均長径LAの平均値(平均長径)のアスペクト比(=平均長径/平均短径)が2未満であることが好ましく、1.5未満であることがより好ましく、1.2未満であることが更に好ましい。
本形態に係る異方性光学フィルム100は、柱状領域113及び柱状領域123の平均短径と平均長径のアスペクト比を共に上記好適範囲とすることにより、より高いレベルにて各種特性をバランス良く有する異方性光学フィルムとすることができる。
<柱状領域113及び柱状領域123の平均短径及び平均長径>
又、柱状領域113及び柱状領域123の短径SAの平均値(平均短径)は0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることが更に好ましい。一方、柱状領域113及び柱状領域123の短径SAの平均値(平均短径)は5.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以下であることがより好ましく、3.0μm以下であることが更に好ましい。これら柱状領域113及び柱状領域123の平均短径の下限値及び上限値は、適宜組み合わせることができる。
更に、柱状領域113及び柱状領域123のどちらか一方の長径LAの平均値(平均長径)は0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることが更に好ましい。一方、柱状領域113及び柱状領域123のどちらか一方の長径LAの長さの平均値(平均長径)は100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましい。これら柱状領域113及び柱状領域123のどちらか一方の平均長径の下限値及び上限値は、適宜組み合わせることができる。
更に、柱状領域113及び柱状領域123のうち、段落0052における他方の長径LAの平均値(平均長径)は0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることが更に好ましい。一方、柱状領域113及び柱状領域123のうち、段落0052における他方の長径LAの平均値(平均長径)は8.0μm以下であることが好ましく、5.0μm以下であることがより好ましく、3.0μm以下であることが更に好ましい。これら柱状領域113及び柱状領域123のうち、段落0052における他方の平均長径の下限値及び上限値は、適宜組み合わせることができる。
本形態に係る異方性光学フィルム100は、柱状領域113及び柱状領域123の平均短径及び平均長径を共に上記好適範囲とすることにより、より高いレベルにて各種特性をバランス良く有する異方性光学フィルムとすることができる。
なお、本形態における柱状領域113及び柱状領域123夫々の、短径SAの平均値(平均短径)及び長径LAの平均値(平均長径)は、異方性光拡散層120の表面(図5に示す下端面129)を顕微鏡で観察し、任意に選択した100個の柱状領域113及び柱状領域123夫々の短径SA、長径LAを計測し、これらの平均値を求めればよい。又、柱状領域のアスペクト比としては、上記で求めた長径LAの平均値(平均長径)を短径SAの平均値(平均短径)で除した値を用いる。
なお、本形態に係る異方性光学フィルム100は、マトリックス領域111と、マトリックス領域111とは屈折率が異なる複数の柱状領域113とを有する異方性光拡散層110と、マトリックス領域121と、マトリックス領域121とは屈折率が異なる複数の柱状領域113及び柱状領域123とを有する異方性光拡散層120と、を少なくとも有するが、更に別の異方性光拡散層が一層として連続的に形成されていてもよい。より具体的には、例えば、本形態に係る異方性光学フィルム100は、マトリックス領域111と、マトリックス領域111とは屈折率が異なる複数の柱状領域113とを有する異方性光拡散層110と;マトリックス領域121と、マトリックス領域121とは屈折率が異なる複数の柱状領域113及び柱状領域123とを有する異方性光拡散層120と;マトリックス領域と、マトリックス領域とは屈折率が異なる複数の柱状領域113及び柱状領域123とを有し、更に、柱状領域113及び柱状領域123とは異なる柱状領域(異方性光拡散層110及び120には存在しない柱状領域)を有する異方性光拡散層;といった、3層以上の異方性光拡散層が一層として連続して形成されてもよい。
<<柱状領域113及び123が形成される領域>>
柱状領域113は、異方性光拡散層110及び120の双方に形成される。異方性光拡散層110と120の全体の厚さは、後述するように、10μm〜200μmであるのが好ましい。
柱状領域123は、異方性光拡散層120に形成される。柱状領域123は、異方性光拡散層110と異方性光拡散層120との間付近の位置から異方性光拡散層120の下端面129に向かって形成される。柱状領域123は、異方性光拡散層110の上端面119から異方性光拡散層120の下端面129にかけて、異方性光拡散層110及び120の全体の厚みの20%を超えた位置から形成されるのが好ましい(換言すれば、異方性光拡散層110は、全体の厚みの20%超であることが好ましい)。なお、柱状領域123は、異方性光拡散層110の上端面119から異方性光拡散層120の下端面129にかけて、異方性光拡散層110及び120の全体の厚みの40%超となる位置から形成されるのがより好ましい(換言すれば、異方性光拡散層110は、全体の厚みの40%超であることがより好ましい)。
<異方性光拡散層の厚さ>
上述したように、異方性光拡散層110と異方性光拡散層120の全体の厚さの合計は、10μm〜200μmであるのが好ましく、20μm以上100μm未満であることがより好ましく、20μm以上50μm未満であることが更に好ましい。前記厚さが200μmを超える場合、材料費がよりかかるだけでなく、UV照射にかかる費用も増すため、コストがかかるだけなく、異方性光拡散層の厚さ方向での拡散性増加により、画像ボケやコントラスト低下が起こりやすくなる。又、厚さが10μm未満の場合、光の拡散性及び集光性を十分なものとすることが難しい場合がある。本発明では、異方性光拡散層の厚さを該規定範囲内とすることにより、コストの問題を少なくし、光の拡散性及び集光性に優れ、かつ、異方性光拡散層の厚さ方向での光拡散性低下により、画像ボケが発生し難くなり、コントラストも向上させることができる。
<<異方性光学フィルム100の性質>>
上述したように、異方性光学フィルム100は、異方性光拡散層110及び120を有する。より具体的には、異方性光拡散層110は、ルーバー構造(好適にはアスペクト比が2以上の柱状領域を有する領域)を有する。異方性光拡散層120は、ピラー構造(好適にはアスペクト比が2未満の柱状領域を有する領域)と、ルーバー構造(好適にはアスペクト比が2以上の柱状領域を有する領域)と、からなるハイブリッド構造を有する。以下、このような異方性光学フィルム100の性質に関して説明する。
<直線透過率>
ここで、直線透過率が最大となる入射光角度で異方性光学フィルム100(異方性光拡散層110及び120)に入射した光の直線透過率を「最大直線透過率」と定義すると、異方性光学フィルム100(異方性光拡散層110及び120)は、最大直線透過率が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
なお、直線透過率が最小となる入射光角度で異方性光拡散層110及び120に入射した光の直線透過率を「最小直線透過率」と定義することができる。
異方性光学フィルム100の最大直線透過率を上記範囲とすることにより、適度な異方性とすることができるため、異方性光学フィルム100の適用範囲を広くすることができる。例えば、表示装置に異方性光学フィルム100を使用する場合、異方性が強すぎると、MD方向への光の拡散・集光性に極めて優れるものの、TD方向への光の拡散・集光性が不十分となりやすい問題がある。本形態に係る異方性光学フィルム100は、上記の最大直線透過率を有することで、MD方向への優れた光の拡散・集光性を維持した上で、TD方向への光の拡散・集光性を十分に備えるものである。
ここで、直線透過光量及び直線透過率は、図2に示す方法によって測定することができる。すなわち、図2に示す回転軸Lと、図6A及び図6Bに示すC−C軸を一致させるようにして、入射光角度毎に直線透過光量及び直線透過率を測定する(法線方向を0°とする)。得られたデータより光学プロファイルが得られ、この光学プロファイルから最大直線透過率及び最小直線透過率を求めることができる。
又、異方性光学フィルム100(異方性光拡散層110及び120)における最大直線透過率及び最小直線透過率は、製造時の設計パラメータによって調整することができる。パラメータの例としては、塗膜の組成、塗膜の膜厚、構造形成時に与える塗膜への温度等が挙げられる。塗膜の組成は構成成分を適宜選択し調合することで、最大直線透過率及び最小直線透過率は変化する。設計パラメータでは、膜厚が厚いほど最大直線透過率及び最小直線透過率は低くなりやすく、薄いほど高くなりやすい。温度が高いほど最大直線透過率及び最小直線透過率は低くなりやすく、低いほど高くなりやすい。これらのパラメータの組み合わせにより、最大直線透過率及び最小直線透過率のそれぞれを適宜調節することが可能である。
<拡散幅>
上記方法により、異方性光学フィルム100の最大直線透過率と最小直線透過率を求め、最大直線透過率と最小直線透過率との中間値の直線透過率を求める。この中間値の直線透過率に対する2つの入射光角度を読み取る。光学プロファイルにおいては、法線方向を0°とし、入射光角度をマイナス方向及びプラス方向で示している。したがって、入射光角度及び交点に対応する入射光角度はマイナスの値を有する場合がある。2つの交点の値がプラスの入射光角度値と、マイナスの入射光角度値を有するものであれば、マイナスの入射光角度値の絶対値とプラスの入射光角度値の和が入射光の拡散領域の角度範囲である、拡散幅となる。2つの交点の値が両方ともプラスである場合、より大きい値からより小さい値を引いた差が入射光角度の角度範囲である拡散幅となる。2つの交点の値が両方ともマイナスである場合、それぞれの絶対値をとり、より大きい値からより小さい値を引いた差が入射光角度の角度範囲である拡散幅となる。
異方性光学フィルム100においては、最大直線透過率と最小直線透過率との中間値の直線透過率に対する2つの入射光角度の角度範囲である拡散領域の幅(拡散幅)が、MD方向において、20°以上70°未満であることが好適であり、30°以上70°未満であることがより好適であり、40°以上70°未満であることが更に好適である。又、TD方向において、5°以上30°未満であることが好適であり、10°以上30°未満であることがより好適であり、20°以上30°未満であることが更に好適である。該規定範囲外である場合、すなわち拡散幅が広くなりすぎる場合には、集光性が弱まってしまい、拡散幅が狭くなりすぎる場合には、拡散性が弱まることで表示性や視認性が低下してしまう。すなわち本発明は、拡散幅が該規定の範囲内であることにより、拡散性及び集光性のバランスが取れ、更に輝度の急激な変化やギラツキの抑制効果を高めることが可能となるのである。
<散乱中心軸>
次に、図13を参照しながら、異方性光拡散層における散乱中心軸Pについて説明する。図13は、異方性光学フィルム100(異方性光拡散層)における散乱中心軸Pを説明するための3次元極座標表示である。
異方性光拡散層は、少なくとも1つの散乱中心軸を有するが、この散乱中心軸は、上述したように、異方性光拡散層への入射光角度を変化させた際に光拡散性がその入射光角度を境に略対称性を有する光の入射光角度と一致する方向を意味する。なお、このときの入射光角度は、異方性光拡散層の光学プロファイルを測定し、この光学プロファイルにおける極小値に挟まれた略中央部(拡散領域の中央部)となる。
又、上記散乱中心軸は、図13に示すような3次元極座標表示によれば、異方性光拡散層110、120の表面をxy平面とし、法線をz軸とすると、極角θと方位角φとによって表現することができる。つまり、図13中のPxyが、上記異方性光拡散層の表面に投影した散乱中心軸の長さ方向ということができる。
ここで、異方性光拡散層110は、柱状領域113を有し、異方性光拡散層120は、柱状領域113及び柱状領域123を有する(柱状領域113は、異方性光拡散層110及び異方性光拡散層120に跨って存在する)。異方性光拡散層(異方性光拡散層110及び120)の法線(図13に示すz軸)と、柱状領域113(柱状領域123)とのなす極角θ(−90°<θ<90°)を本形態における散乱中心軸角度と定義すると、柱状領域113の散乱中心軸角度と、柱状領域123の散乱中心軸角度との差の絶対値が、0°以上30°以下であることが好ましい。散乱中心軸角度の差の絶対値を上記範囲とすることで、本発明の効果をより高めることが可能となる。この効果をより効果的に実現するためには、柱状領域113の散乱中心軸角度と柱状領域123の散乱中心軸角度との差の絶対値が0°以上20°以下であることがより好ましく、10°以上20°以下であることが更に好ましい。なお、柱状領域113及び柱状領域123の散乱中心軸角度は、これらを製造する際に、シート状の光重合性化合物を含む組成物に照射する光線の方向を変えることで、所望の角度に調整することができる。なお、散乱中心軸角度の正負は、異方性光拡散層110、120の面方向における所定の対称軸(例えば、異方性光拡散層110、120の重心を通るMD方向の軸)と、異方性光拡散層110、120の法線の両方を通る平面に対して、散乱中心軸が一側に傾斜している場合を+、他側に傾斜している場合を−と定義することとする。
又、上記散乱中心軸角度(極角)の差の絶対値が上記範囲を満たすことに加えて、柱状領域113の散乱中心軸の方位角と柱状領域123の散乱中心軸の方位角との差の絶対値が0°以上20°以下であることが好ましい。これにより、異方性光学フィルム100の非拡散領域における直線透過率を低下させることなく、拡散領域の幅を更に拡大することが可能となる。
ここで、異方性光拡散層110、120の各々は、単一層中に、傾きの異なる柱状領域群(同一の傾きを有する柱状領域の集合)を複数有していてもよい。このように、単一層中に傾きの異なる柱状領域群が複数ある場合には、各柱状領域の群の傾きに対応して散乱中心軸も複数となる。散乱中心軸が複数ある場合には、これら複数の散乱中心軸のうちの少なくとも1つの散乱中心軸が、上述した散乱中心軸角度の条件を満たしていればよい。例えば、異方性光拡散層110が2つの散乱中心軸P1、P2を有し、異方性光拡散層120が4つの散乱中心軸P1、P2、P3、P4を有している場合、P1とP2の少なくともいずれか一方の散乱中心軸角度と、P3とP4の少なくともいずれか一方の散乱中心軸角度との差の絶対値が0°以上30°以下であることが好ましい。この散乱中心軸角度の差の絶対値の下限は5°であることがより好ましい。一方、散乱中心軸角度の差の絶対値の上限は、20°であることがより好ましく、15°であることが更に好ましい。
又、柱状領域113及び柱状領域123の散乱中心軸Pの極角θ(すなわち、散乱中心軸角度)が±10〜60°であることが好ましく、±30〜45°であることがより好ましい。散乱中心軸角度が−10°より大きく+10°未満では、液晶表示装置を含む表示パネルのコントラストや輝度を十分に向上させることができない。一方、散乱中心軸角度が+60°より大きい、もしくは、−60°未満である場合、製造過程においてシート状に設けられた光重合性化合物を含む組成物に対して深い傾きから光を照射する必要があり、照射光の吸収効率が悪く製造上不利であるため好ましくない。
<屈折率>
異方性光拡散層110、120は、光重合性化合物を含む組成物を硬化したものであるが、この組成物としては、次のような組み合わせが使用可能である。
(1)後述する単独の光重合性化合物を使用するもの
(2)後述する複数の光重合性化合物を混合使用するもの
(3)単独又は複数の光重合性化合物と、光重合性を有しない高分子化合物とを混合して使用するもの
上記いずれの組み合わせにおいても、光照射により異方性光拡散層110、120中に、屈折率の異なるミクロンオーダーの微細な構造が形成されると推察されており、これにより、本形態に示される特異な異方性光拡散特性が発現されるものと思われる。したがって、上記(1)では、光重合の前後における屈折率変化が大きい方が好ましく、又、(2)、(3)では屈折率の異なる複数の材料を組み合わせることが好ましい。なお、ここでの屈折率変化や屈折率の差とは、具体的には、0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上の変化や差を示すものである。
<異方性光学フィルムの他の形態>
本形態に係る異方性光学フィルム100は、光重合性化合物を含む組成物の硬化物からなる異方性光拡散層(本形態では、異方性光拡散層110及び120からなる連続する層)を有するが、この異方性光拡散層を透光性基体上に積層してもよい。ここで、透光性基体としては、透明性が高いもの程良好であり、全光線透過率(JIS K7361−1)が80%以上、より好ましくは85%以上、最も好ましくは90%以上のものが好適に使用でき、又、ヘイズ値(JIS K7136)が3.0以下、より好ましくは1.0以下、最も好ましくは0.5以下のものが好適に使用できる。具体的には、透光性基体としては、透明なプラスチックフィルムやガラス板等が使用可能であるが、薄く、軽く、割れ難く、生産性に優れる点でプラスチックフィルムが好適である。具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、セロファン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール(PVA)、シクロオレフィン樹脂等が挙げられ、これらを単独で又は混合して、更には積層したものを用いることができる。又、透光性基体の厚みは、用途や生産性を考慮すると、1μm〜5mmであることが好ましく、10〜500μmであることがより好ましく、50〜150μmであることが更に好ましい。
又、本発明に係る異方性光学フィルムは、異方性光拡散層110側又は120側の一方の面に他の層を設けた異方性光学フィルムとしてもよい。他の層としては、例えば、偏光層、光拡散層、低反射層、防汚層、帯電防止層、紫外線・近赤外線(NIR)吸収層、ネオンカット層、電磁波シールド層等を挙げることができる。他の層を順次積層してもよい。更には、異方性光拡散層110側及び/又は120側の両方の面に、他の層を積層してもよい。両方の面に積層される他の層は、同一の機能を有する層であってもよいし、別の機能を有する層であってもよい。
<<<本形態に係る異方性光学フィルムの製造方法>>>
以上、本形態に係る異方性光学フィルム100の構成について詳細に説明したが、続いて、かかる構成を有する異方性光学フィルム100の製造方法について説明する。
本形態に係る異方性光学フィルム100(連続した異方性光拡散層110、120を一層中に有する異方性光拡散層)は、光硬化性組成物層にUV等の光線を照射することにより製造することができる。以下、初めに異方性光拡散層(異方性光拡散層110、120)の原料を説明し、次いで製造プロセスを説明する。
<<異方性光拡散層の原料>>
異方性光拡散層(異方性光拡散層110及び120)の原料については、(1)光重合性化合物、(2)光開始剤、(3)配合量、その他任意成分の順に説明する。
<光重合性化合物>
本形態に係る異方性光拡散層110、120を形成する材料である光重合性化合物は、ラジカル重合性又はカチオン重合性の官能基を有するマクロモノマー、ポリマー、オリゴマー、モノマーから選択される光重合性化合物と光開始剤とから構成され、紫外線及び/又は可視光線を照射することにより重合・硬化する材料である。ここで、異方性光学フィルム100に含まれる異方性光拡散層を形成する材料が1種類であっても、密度の高低差ができることによって屈折率差が生ずる。UVの照射強度が強い部分は硬化速度が早くなるため、その硬化領域周囲に重合・硬化材料が移動し、結果として屈折率が高くなる領域と屈折率が低くなる領域が形成されるからである。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートのどちらであってもよいことを意味する。
ラジカル重合性化合物は、主に分子中に1個以上の不飽和二重結合を含有するもので、具体的には、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコーンアクリレート等の名称で呼ばれるアクリルオリゴマーと、2−エチルヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソノルボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシフタル酸、ジシクロペンテニルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のアクリレートモノマーが挙げられる。又、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。なお、同様にメタクリレートも使用可能であるが、一般にはメタクリレートよりもアクリレートの方が光重合速度が速いので好ましい。
カチオン重合性化合物としては、分子中にエポキシ基やビニルエーテル基、オキセタン基を1個以上有する化合物が使用できる。エポキシ基を有する化合物としては、2−エチルヘキシルジグリコールグリシジルエーテル、ビフェニルのグリシジルエーテル、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類のジグリシジルエーテル類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ブロム化フェノールノボラック、オルトクレゾールノボラック等のノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのEO付加物、ビスフェノールAのPO付加物等のアルキレングリコール類のジグリシジルエーテル類、ヘキサヒドロフタル酸のグリシジルエステルやダイマー酸のジグリシジルエステル等のグリシジルエステル類が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物としては更に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジ(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ブタンテトラカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)−4,5−エポキシテトラヒドロフタレート等の脂環式エポキシ化合物も挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ビニルエーテル基を有する化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、ビニルエーテル化合物は、一般にはカチオン重合性であるが、アクリレートと組み合わせることによりラジカル重合も可能である。
又、オキセタン基を有する化合物としては、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)−オキセタン等が使用できる。
なお、以上のカチオン重合性化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。上記光重合性化合物は、上述に限定されるものではない。又、十分な屈折率差を生じさせるべく、上記光重合性化合物には、低屈折率化を図るために、フッ素原子(F)を導入しても良く、高屈折率化を図るために、硫黄原子(S)、臭素原子(Br)、各種金属原子を導入しても良い。更に、特表2005−514487号公報に開示されるように、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化錫(SnO)等の高屈折率の金属酸化物からなる超微粒子の表面に、アクリル基やメタクリル基、エポキシ基等の光重合性官能基を導入した機能性超微粒子を上述の光重合性化合物に添加することも有効である。
(シリコーン骨格を有する光重合性化合物)
本形態では、光重合性化合物として、シリコーン骨格を有する光重合性化合物を使用することが好ましい。シリコーン骨格を有する光重合性化合物は、その構造(主にエーテル結合)に伴い配向して重合・硬化し、低屈折率領域、高屈折率領域、又は、低屈折率領域及び高屈折率領域を形成する。シリコーン骨格を有する光重合性化合物を使用することによって、柱状領域113、123を傾斜させやすくなり、正面方向への集光性が向上する。なお、低屈折率領域は柱状領域113、123又はマトリックス領域111、121のいずれか一方に相当するものであり、他方が高屈折率領域に相当する。
低屈折率領域において、シリコーン骨格を有する光重合性化合物の硬化物であるシリコーン樹脂が相対的に多くなることが好ましい。これによって、散乱中心軸を更に傾斜させやすくすることができるため、正面方向への集光性が向上する。シリコーン樹脂は、シリコーン骨格を有さない化合物に比べ、シリカ(Si)を多く含有するため、このシリカを指標として、EDS(エネルギー分散型X線分光器)を使用することによってシリコーン樹脂の相対的な量を確認することができる。
シリコーン骨格を有する光重合性化合物は、ラジカル重合性又はカチオン重合性の官能基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー又はマクロモノマーである。ラジカル重合性の官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基等が挙げられ、カチオン重合性の官能基としては、エポキシ基、オキセタン基等が挙げられる。これらの官能基の種類と数に特に制限はないが、官能基が多いほど架橋密度が上がり、屈折率の差が生じやすいため好ましいことから、多官能のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有することが好ましい。又、シリコーン骨格を有する化合物はその構造から他の化合物との相溶性において不十分なことがあるが、そのような場合にはウレタン化して相溶性を高めることができる。本形態では、末端にアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するシリコーン・ウレタン・(メタ)アクリレートが好適に用いられる。
シリコーン骨格を有する光重合性化合物の重量平均分子量(Mw)は、500〜50,000の範囲にあることが好ましい。より好ましくは2,000〜20,000の範囲である。重量平均分子量が上記範囲にあることにより、十分な光硬化反応が起こり、異方性光学フィルム100の各異方性光拡散層内に存在するシリコーン樹脂が配向しやすくなる。シリコーン樹脂の配向に伴い、散乱中心軸を傾斜させやすくなる。
シリコーン骨格としては、例えば、下記の一般式(1)で示されるものが該当する。一般式(1)において、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、メチル基、アルキル基、フルオロアルキル基、フェニル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ポリエーテル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の官能基を有する。又、一般式(1)中、nは1〜500の整数であることが好ましい。
Figure 0006902895
(シリコーン骨格を有さない化合物)
シリコーン骨格を有する光重合性化合物にシリコーン骨格を有さない化合物を配合して、異方性光拡散層を形成すると、低屈折率領域と高屈折率領域が分離して形成されやすくなり、異方性の程度が強くなり好ましい。シリコーン骨格を有さない化合物は、光重合性化合物のほかに熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を用いることができ、これらを併用することもできる。光重合性化合物としては、ラジカル重合性又はカチオン重合性の官能基を有するポリマー、オリゴマー、モノマーを使用することができる(ただし、シリコーン骨格を有していないものである)。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂とその共重合体や変性物が挙げられる。熱可塑性樹脂を用いる場合においては熱可塑性樹脂が溶解する溶剤を使用して溶解し、塗布、乾燥後に紫外線でシリコーン骨格を有する光重合性化合物を硬化させて異方性光拡散層を成形する。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステルとその共重合体や変性物が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合においては、紫外線でシリコーン骨格を有する光重合性化合物を硬化させた後に適宜加熱することで、熱硬化性樹脂を硬化させて異方性光拡散層を成形する。シリコーン骨格を有さない化合物として最も好ましいのは光重合性化合物であり、低屈折率領域と高屈折率領域が分離しやすいことと、熱可塑性樹脂を用いる場合の溶剤が不要で乾燥過程が不要であること、熱硬化性樹脂のような熱硬化過程が不要であることとなど、生産性に優れている。
<光開始剤>
ラジカル重合性化合物を重合させることのできる光開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)チタニウム、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。又、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
又、カチオン重合性化合物の光開始剤は、光照射によって酸を発生し、この発生した酸により上述のカチオン重合性化合物を重合させることができる化合物であり、一般的には、オニウム塩、メタロセン錯体が好適に用いられる。オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩等が使用され、これらの対イオンには、BF 、PF 、AsF 、SbF 等のアニオンが用いられる。具体例としては、4−クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4−フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルセレニウムヘキサフルオロホスフェート、(η5−イソプロピルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
<配合量、その他任意成分>
本形態において、上記光開始剤は、光重合性化合物100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜7重量部、より好ましくは0.1〜5重量部程度配合される。これは、0.01重量部未満では光硬化性が低下し、10重量部を超えて配合した場合には、表面だけが硬化して内部の硬化性が低下してしまう弊害、着色、柱状構造の形成の阻害を招くからである。これらの光開始剤は、通常粉体を光重合性化合物中に直接溶解して使用されるが、溶解性が悪い場合は光開始剤を予め極少量の溶剤に高濃度に溶解させたものを使用することもできる。このような溶剤としては光重合性であることが更に好ましく、具体的には炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。又、光重合性を向上させるために公知の各種染料や増感剤を添加することも可能である。更に、光重合性化合物を加熱により硬化させることのできる熱硬化開始剤を光開始剤と共に併用することもできる。この場合、光硬化の後に加熱することにより光重合性化合物の重合硬化を更に促進し完全なものにすることが期待できる。
本形態では、上記の光重合性化合物を単独で、又は複数を混合した組成物を硬化させて、異方性光拡散層110、120を形成することができる。又、光重合性化合物と光硬化性を有しない高分子樹脂の混合物を硬化させることによっても本形態の異方性光拡散層110、120を形成することができる。ここで使用できる高分子樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。これらの高分子樹脂と光重合性化合物は、光硬化前は十分な相溶性を有していることが必要であるが、この相溶性を確保するために各種有機溶剤や可塑剤等を使用することも可能である。なお、光重合性化合物としてアクリレートを使用する場合は、高分子樹脂としてはアクリル樹脂から選択することが相溶性の点で好ましい。
シリコーン骨格を有する光重合性化合物と、シリコーン骨格を有さない化合物の比率は質量比で15:85〜85:15の範囲にあることが好ましい。より好ましくは30:70〜70:30の範囲である。当該範囲にすることによって、低屈折率領域と高屈折率領域の相分離が進みやすくなるとともに、柱状領域が傾斜しやすくなる。シリコーン骨格を有する光重合性化合物の比率が下限値未満又は上限値超であると、相分離が進みにくくなってしまい、柱状領域が傾斜しにくくなる。シリコーン骨格を有する光重合性化合物としてシリコーン・ウレタン・(メタ)アクリレートを使用すると、シリコーン骨格を有さない化合物との相溶性が向上する。これによって、材料の混合比率を幅広くしても柱状領域を傾斜させることができる。
(溶媒)
光重合性化合物を含む組成物を調製する際の溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等を使用することができる。
<<<異方性光学フィルムの態様例1>>>
前記異方性光学フィルムの実施の態様例について、図7に基づいて説明する。
<<異方性拡散層210>>
図7に示したように、異方性光拡散層210は、ルーバー構造の柱状領域213を有しており、入射光角度により直線透過率が変化する光拡散性を有している。
<柱状領域213>
本形態に係る柱状領域213は、マトリックス領域211中に、複数の柱状の硬化領域として設けられており、各々の柱状領域213は、それぞれ配向方向が散乱中心軸と平行になるように形成されたものである。したがって、同一の異方性光拡散層210における複数の柱状領域213は、互いに平行となるように形成されている。
マトリックス領域211の屈折率は、柱状領域213の屈折率と異なっている。屈折率がどの程度異なるかは特に限定されず、相対的なものである。マトリックス領域211の屈折率が柱状領域213の屈折率よりも低い場合、マトリックス領域211は低屈折率領域となる。逆に、マトリックス領域211の屈折率が柱状領域213の屈折率よりも高い場合、マトリックス領域211は高屈折率領域となる。ここで、マトリックス領域211と柱状領域213の界面における屈折率は漸増的に変化するものであることが好ましい。漸増的に変化させることで、入射光角度を変えた場合の拡散性の変化が極めて急峻となりギラツキを生じやすくなる問題が発生し難くなる。マトリックス領域211と柱状領域213を光照射に伴う相分離によって形成することで、マトリックス領域211と柱状領域213の界面の屈折率を漸増的に変化させることができる。
本態様においては、1層の異方性光拡散層210の厚さ方向に渡って、柱状領域213とマトリックス領域211の界面が途切れることなく連続して存在する構成を有する。柱状領域213とマトリックス領域211の界面がつながった構成を有することで、光の拡散と集光が異方性光拡散層210を通過する間、連続して生じやすくなり、光の拡散と集光の効率を上げることができる。
柱状領域213の配向方向に垂直な断面形状は、図8Aに示すように、短径SAと長径LAを有しており、平均短径SAと平均長径LAのアスペクト比が、2以上であるルーバー構造を有している。
<<異方性光拡散層220>>
異方性光拡散層220は、ルーバー構造である柱状領域213と、ピラー構造である柱状領域223とが共存し、入射光角度により直線透過率が変化する光拡散性を有している。又、図8Bに示すように、異方性光拡散層220は、光重合性化合物を含む組成物の硬化物からなり、マトリックス領域221と、当該マトリックス領域221とは屈折率の異なる複数の柱状領域213及び223を有している。複数の柱状領域213及び223並びにマトリックス領域221は、不規則な分布や形状を有するが、異方性光拡散層220の全面にわたって形成されることで、得られる光学特性(例えば、直線透過率等)は略同じとなる。複数の柱状領域213及び223並びにマトリックス領域221が不規則な分布や形状を有するため、本形態に係る異方性光拡散層220は、光の干渉(虹)が発生することが少ない。
<柱状領域213>
本態様に係る柱状領域213は、マトリックス領域221中に、複数の柱状の硬化領域として設けられており、各々の柱状領域213は、それぞれ配向方向が散乱中心軸と平行になるように形成されたものである。したがって、同一の異方性光拡散層220における複数の柱状領域213は、互いに平行となるように形成されている。この異方性光拡散層220における複数の柱状領域213は、異方性光拡散層210の複数の柱状領域213と同様である。
<柱状領域223>
本形態に係る柱状領域223は、マトリックス領域221中に、複数の柱状の硬化領域として設けられており、各々の柱状領域223は、それぞれ配向方向が散乱中心軸と平行になるように形成されている。したがって、同一の異方性光拡散層220における複数の柱状領域223は、互いに平行となるように形成されている。
マトリックス領域221の屈折率は、柱状領域213及び223の屈折率と異なっている。屈折率がどの程度異なるかは特に限定されず、相対的なものである。マトリックス領域221の屈折率が柱状領域213及び223の屈折率よりも低い場合、マトリックス領域221は低屈折率領域となる。逆に、マトリックス領域221の屈折率が柱状領域213及び223の屈折率よりも高い場合、マトリックス領域221は高屈折率領域となる。
ピラー構造である柱状領域223の配向方向に垂直な断面形状は、図8Bに示すように、短径SAと長径LAを有しており、平均短径SAと平均長径LAのアスペクト比が、2未満であるピラー構造を有している。
<<柱状領域の形状>>
<柱状領域213及び柱状領域223のアスペクト比>
柱状領域213はルーバー構造であり、短径SAの平均値(平均短径)と長径LAの平均値(平均長径)のアスペクト比(=平均長径/平均短径)は、2以上である。
又、柱状領域223をピラー構造であり、短径SAの平均値(平均短径)と平均長径LAの平均値(平均長径)のアスペクト比(=平均長径/平均短径)が2未満である。
本態様に係る異方性光学フィルム200は、柱状領域213及び柱状領域223の平均短径と平均長径のアスペクト比を共に上記好適範囲とすることにより、より高いレベルにて各種特性をバランス良く有する異方性光学フィルムとすることができる。
<柱状領域213及び柱状領域223の平均短径及び平均長径>
柱状領域213はルーバー構造であり、柱状領域213の短径SAの平均値(平均短径)は0.5μm〜5.0μmであり、長径LAの平均値(平均長径)は1μm〜100μmである。
柱状領域223はピラー構造であり、柱状領域223の短径SAの平均値(平均短径)は0.5μm〜5.0μmであり、長径LAの平均値(平均長径)は0.5μm〜5.0μmである。
本形態に係る異方性光学フィルム200は、柱状領域213及び柱状領域223の平均短径及び平均長径を共に上記好適範囲とすることにより、より高いレベルにて各種特性をバランス良く有する異方性光学フィルムとすることができる。
<<<異方性光学フィルムの態様例2>>>
前記異方性光学フィルムの実施の態様の別の例について、図9に基づいて説明する。
<<異方性拡散層310>>
図9に示したように、異方性光拡散層310は、ピラー構造の柱状領域313を有しており、入社光角度により直線透過率が変化する光拡散性を有している。
<柱状領域313>
本形態に係る柱状領域313は、マトリックス領域311中に、複数の柱状の硬化領域として設けられており、各々の柱状領域313は、それぞれ配向方向が散乱中心軸と平行になるように形成されたものである。したがって、同一の異方性光拡散層310における複数の柱状領域313は、互いに平行となるように形成されている。
マトリックス領域311の屈折率は、柱状領域313の屈折率と異なっている。屈折率がどの程度異なるかは特に限定されず、相対的なものである。マトリックス領域311の屈折率が柱状領域313の屈折率よりも低い場合、マトリックス領域311は低屈折率領域となる。逆に、マトリックス領域311の屈折率が柱状領域313の屈折率よりも高い場合、マトリックス領域311は高屈折率領域となる。ここで、マトリックス領域311と柱状領域313の界面における屈折率は漸増的に変化するものであることが好ましい。漸増的に変化させることで、入射光角度を変えた場合の拡散性の変化が極めて急峻となりギラツキを生じやすくなる問題が発生し難くなる。マトリックス領域311と柱状領域313を光照射に伴う相分離によって形成することで、マトリックス領域311と柱状領域313の界面の屈折率を漸増的に変化させることができる。
本態様においては、1層の異方性光拡散層310の厚さ方向に渡って、柱状領域313とマトリックス領域311の界面が途切れることなく連続して存在する構成を有する。柱状領域313とマトリックス領域311の界面がつながった構成を有することで、光の拡散と集光が異方性光拡散層310を通過する間、連続して生じやすくなり、光の拡散と集光の効率を上げることができる。
柱状領域313の配向方向に垂直な断面形状は、図10Aに示すように、平均短径SAと平均長径LAのアスペクト比が、2未満であるピラー構造を有している。
<<異方性光拡散層320>>
異方性光拡散層320は、ピラー構造である柱状領域313と、ルーバー構造である柱状領域323とが共存し、入射光角度により直線透過率が変化する光拡散性を有している。又、図10Bに示すように、異方性光拡散層320は、光重合性化合物を含む組成物の硬化物からなり、マトリックス領域321と、当該マトリックス領域321とは屈折率の異なる複数の柱状領域313及び323を有している。複数の柱状領域313及び323並びにマトリックス領域321は、不規則な分布や形状を有するが、異方性光拡散層320の全面にわたって形成されることで、得られる光学特性(例えば、直線透過率等)は略同じとなる。複数の柱状領域313及び323並びにマトリックス領域321が不規則な分布や形状を有するため、本形態に係る異方性光拡散層320は、光の干渉(虹)が発生することが少ない。
<柱状領域313>
本態様に係る柱状領域313は、マトリックス領域321中に、複数の柱状の硬化領域として設けられており、各々の柱状領域313は、それぞれ配向方向が散乱中心軸と平行になるように形成されたものである。したがって、同一の異方性光拡散層320における複数の柱状領域313は、互いに平行となるように形成されている。この異方性光拡散層320における複数の柱状領域313は、異方性光拡散層310の複数の柱状領域313と同様であり、詳細な説明を省略する(前述のように、柱状領域313は、異方性光拡散層310と異方性光拡散層320とに跨って、連続的に存在する構造体である)。
<柱状領域323>
本形態に係る柱状領域323は、マトリックス領域321中に、複数の柱状の硬化領域として設けられており、各々の柱状領域323は、それぞれ配向方向が散乱中心軸と平行になるように形成されている。したがって、同一の異方性光拡散層320における複数の柱状領域323は、互いに平行となるように形成されている。
マトリックス領域321の屈折率は、柱状領域313及び323の屈折率と異なっている。屈折率がどの程度異なるかは特に限定されず、相対的なものである。マトリックス領域321の屈折率が柱状領域313及び323の屈折率よりも低い場合、マトリックス領域321は低屈折率領域となる。逆に、マトリックス領域321の屈折率が柱状領域313及び323の屈折率よりも高い場合、マトリックス領域321は高屈折率領域となる。
ルーバー構造である柱状領域323の配向方向に垂直な断面形状は、図10Bに示すように、楕円形状であり、短径SAの平均値(平均短径)と長径LAの平均値(平均長径)のアスペクト比(=平均長径/平均短径)は、2以上である。
<<柱状領域の形状>>
<柱状領域313及び柱状領域323のアスペクト比>
柱状領域313はピラー構造であり、短径SAの平均値(平均短径)と長径LAの平均値(平均長径)のアスペクト比(=平均長径/平均短径)は、2未満である。
又、柱状領域323はルーバー構造であり、短径SAの平均値(平均短径)と長径LAの平均値(平均長径)のアスペクト比(=平均長径/平均短径)は、2以上である。
本態様に係る異方性光学フィルム300は、柱状領域313及び柱状領域323の平均短径と平均長径のアスペクト比を共に上記好適範囲とすることにより、より高いレベルにて各種特性をバランス良く有する異方性光学フィルムとすることができる。
<柱状領域313及び柱状領域323の平均短径及び平均長径>
柱状領域313はピラー構造であり、柱状領域313の短径SAの平均値(平均短径)は0.5μm〜5.0μmであり、長径LAの平均値(平均長径)は0.5μm〜5.0μmである。
柱状領域323はルーバー構造であり、柱状領域323の短径SAの平均値(平均短径)は0.5μm〜5.0μmであり、長径LAの平均値(平均長径)は1μm〜100μmである。
本形態に係る異方性光学フィルム300は、柱状領域313及び柱状領域323の平均短径及び平均長径を共に上記好適範囲とすることにより、より高いレベルにて各種特性をバランス良く有する異方性光学フィルムとすることができる。
<<異方性光学フィルムの製造プロセス>>
次に、図11及び図12に基づいて、本形態の異方性光学フィルム200及び300のプロセス(製造方法)について説明する。図11及び図12は、本形態の異方性光学フィルム200及び300の製造プロセスの概要及び異方性光学フィルム200及び300の製造プロセスに従って成長する柱状領域213及び223、並びに柱状領域313及び323の概略を示す。
異方性光学フィルム200及び300の製造のプロセスの概略は、以下の通りである。まず、上述の光重合性化合物を含む組成物(以下、「光硬化性組成物」と称する場合がある。)を透明PETフィルムのような適当な基材(基体)上に塗布し又はシート状に設け、成膜して光硬化性組成物層を設ける。この光硬化性組成物層を、必要に応じて乾燥し溶剤を揮発させた上で、光硬化性組成物層上に光を照射することで、異方性光拡散層210及び220、並びに異方性光拡散層310及び320を一層として有する異方性光拡散層を作製することができる。以下では、光硬化性組成物を基体上に塗布し又はシート状に設けたものを塗工膜250及び350と称する。
<異方性光学フィルム200の形成工程の例>
本形態に係る異方性光学フィルム200の形成工程として、以下の工程について詳述する。
(工程1)基材上に、異方性光拡散層形成用組成物を塗工し、塗工膜250を設ける塗工工程
(工程2)塗工膜250上にマスクフィルムを積層するマスクフィルム積層工程(任意)
(工程3)塗工膜250上で、1方向拡散光線の照射により硬化を行う第1構造体形成工程(異方性光拡散層210形成工程)及び第1構造体形成工程の後に、連続的に、塗工膜250上で、平行光線の照射により硬化を行う第2構造体形成工程(異方性光拡散層220形成工程)
<工程1:塗工工程>
工程1において、光重合性化合物を含む組成物を基体上にシート状に設ける手法としては、通常の塗工方式や印刷方式が適用される。具体的には、エアドクターコーティング、バーコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、ダムコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等のコーティングや、グラビア印刷等の凹版印刷、スクリーン印刷等の孔版印刷等の印刷等が使用できる。組成物が低粘度の場合は、基体の周囲に一定の高さの堰を設けて、この堰で囲まれた中に組成物をキャストすることもできる。
<工程2:マスクフィルム積層工程(任意)>
工程2において、光硬化性組成物層の酸素阻害を防止して、本形態に係る異方性光拡散層210の特徴である柱状領域213を効率良く形成させるために、光硬化性組成物層の光照射側に密着して光の照射強度を局所的に変化させるマスクフィルム(以下、単にマスク等とする。)を積層することが好ましい。マスクの材質としては、特に限定されず、例えば、通常の透明プラスチックフィルム等を用いればよいが、カーボン等の光吸収性のフィラーをマトリックス中に分散したもので、入射光の一部はカーボンに吸収されるが、開口部は光が十分に透過できるような構成のものでもよい。このようなマトリックスとしては、PET、TAC、PVAc、PVA、アクリル、ポリエチレン等の透明プラスチックや、ガラス、石英等の無機物や、これらのマトリックスを含むシートに紫外線透過量を制御するためのパターニングや紫外線を吸収する顔料を含んだものであっても構わない。このようなマスクを用いない場合には、窒素雰囲気下で光照射を行うことで、光硬化性組成物層の酸素阻害を防止することも可能である。又、通常の透明フィルムを光硬化性組成物層上に積層するだけでも、酸素阻害を防ぎ柱状領域213の形成を促す上で有効である。このようにマスクや透明フィルムを介した光照射は、本形態に係る異方性光拡散層210の作製に有効である。
<工程3:異方性光拡散層形成工程>
次に、図11に基づいて、異方性光拡散層形成工程にて使用する装置の説明を行い、異方性光拡散層の具体的な形成プロセスについて説明する。
〔装置〕
先ず、異方性光学フィルム200の製造には、図11に示すように、主に、光源(図示せず)と、指向性拡散素子240と、遮光板230と、移動ステージ(図示せず)とを用いる。
移動ステージは、塗工膜250を所定の速度で移動させるためのものである。移動ステージは、ステッピングモータやリニアモータ(図示せず)などによって駆動され、モータドライバによって移動速度や移動方向などが制御される。より具体的には、図11において、移動ステージに乗った塗工膜250が、状態(a)に示す位置から状態(e)に示す位置まで連続的に移動可能となっている。
光源は、発せられた光を塗工膜250上に照射し、相分離を生じさせることで柱状領域213及び223を形成しつつ硬化させて、異方性光拡散層210及び120を形成するためのものである。柱状領域213及び223の形成の過程の詳細については後述する。
光源としては、通常はショートアークの紫外線発生光源が使用され、具体的には高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタハライドランプ、キセノンランプ等が使用可能である。
特に、後述する柱状領域223を形成するプロセスでは、光硬化性組成物層上には、所望の散乱中心軸Qと平行な光線を照射する必要がある。このような平行光Dを得るためには、点光源を配置して、この点光源と光硬化性組成物層の間に平行光Dを照射するための反射ミラーやフレネルレンズ等の光学レンズを配置すればよい。このような光学レンズを介することによって、光源から発せられた光が平行光Dに変換され、塗工膜250(光硬化性組成物層)上に平行光Dを照射することができる。
光重合性化合物を含む組成物に照射する光線は、該光重合性化合物を硬化可能な波長を含んでいることが必要であり、通常は水銀灯の365nmを中心とする波長の光が利用される。この波長帯を使って異方性光拡散層210、220を作製する場合、照度としては0.01〜100mW/cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20mW/cmの範囲である。照度が0.01mW/cm未満であると硬化に長時間を要するため、生産効率が悪くなる場合があり、100mW/cmを超えると光重合性化合物の硬化が速すぎて構造形成を生じず、目的の異方性拡散特性を発現できなくなる場合があるからである。
指向性拡散素子240は、平行光Dに指向性を付与し、拡散光Eに変換するためのものである。塗工膜250上に拡散光Eを照射することで柱状領域213が形成される。
指向性拡散素子240は、入射した平行光Dに指向性を付与するものであればよい。このように指向性をもった拡散光Eを得るためには、例えば、指向性拡散素子240内にアスペクト比の高い針状フィラーを含有させるとともに、当該針状フィラーをY方向に長軸方向が延存するように配向させる方法を採用することができる。指向性拡散素子240は針状フィラーを使用する方法以外に種々の方法を使用することができる。平行光Dが指向性拡散素子240を介することで、拡散光Eを得るように配置すればよい。このような指向性拡散素子240の具体例としては、レンチキュラーレンズなどが挙げられる。
遮光板230は、光源から発せられた光を遮り、光重合性化合物を含む組成物に光が照射されないようにするためのものである。遮光板230の材料や大きさや厚みなどは、光源から発せられる光の波長や強度に応じて適宜に定めればよい。
ここで、図11に示すように、指向性拡散素子240は、塗工膜250の移動方向に沿った向きに遮蔽版230から突出するように配置される。このようにすることで、遮蔽版230によって光源から発せられた光の全てが遮られる領域AR1と、拡散光Eが照射される領域AR2と、平行光Dが照射される領域AR3との3つの領域を形成することができる。
以下、領域AR1〜領域AR3に区分された各領域における具体的な異方性光拡散層の形成プロセスについて説明する。
(領域AR1の工程)
AR1領域の工程では、塗工膜250の全体が未だ遮光板230によって覆われており、光源から発せられた光は塗工膜250上に照射されていない。この段階では、塗工膜250の全てが、領域AR1に位置している。従って、図11の状態(a)に示すように、柱状領域213及び223は形成されず、塗工膜250の全体が未硬化の状態である。
(領域AR2の工程:異方性光拡散層210形成工程)
移動ステージの駆動によって、塗工膜250がある程度の距離を移動すると、塗工膜250は領域AR1から領域AR2に移動する。
領域AR2の工程では、移動ステージの駆動によって、塗工膜250が遮光板230から徐々に露出する。ここで塗工膜250は、領域AR1と領域AR2との2つの領域に位置する。塗工膜250が遮光板230から露出するに従って、領域AR1から領域AR2に移動する。領域AR2では拡散光Eが塗工膜250に照射される。
拡散光Eが塗工膜250上に照射されることで、塗工膜250の上面から相分離が始まる。拡散光Eの照射によって、塗工膜250の上面から柱状領域213が形成され始め徐々に成長していく。柱状領域213の形成に伴ってマトリックス領域211も形成される。
より具体的には、図11の状態(b)に示すように、塗工膜250の上面から相分離が始まり、相分離によって柱状領域213及びマトリックス領域211が上面から下面に向かって形成され始める。この時点では、図11の状態(c)に示すように、柱状領域213及びマトリックス領域211は、下面まで到達しておらず、塗工膜250の上面と下面との間の中間位置まで形成されている状態である。なお、中間位置とは、上面と下面との中央や中心の位置に限られず、上面と下面とに挟まれた領域の任意の位置を示す。
図11の状態(b)及び(c)に示すように、柱状領域213及びマトリックス領域211は、塗工膜250の上面から中間位置まで形成される。塗工膜250は、上面から中間位置までの領域は硬化した状態となってルーバー構造が形成され、中間位置から下面までの領域は未硬化の状態のままでいずれの構造も形成されていない構造未形成の状態となる。
ここで、本工程においては、拡散光Eの照射強度及び広がりを調整することにより、形成される柱状領域213の大きさ(アスペクト比、短径SA、長径LA等)を適宜定めることができる。
拡散光Eの広がりは、主に指向性拡散素子240と塗工膜250の距離と指向性拡散素子240の種類等に依存する。当該距離を短くするにつれ柱状領域の大きさは小さくなり、長くするにつれ柱状領域の大きさは大きくなる。したがって、当該距離を調整することにより、柱状領域の大きさを調整することができる。
本工程において、拡散光Eのアスペクト比は2以上とすることが好ましい。当該アスペクト比にほぼ対応した形で、柱状領域213のアスペクト比が形成される。上記アスペクト比が小さくなるにつれ、拡散範囲が狭くなるおそれがあるため、本形態では、アスペクト比を2以上としている。なお、上記アスペクト比は、2以上50未満であることがより好ましく、2以上10以下であることが更に好ましく、2以上5以下であることが特に好ましい。上記アスペクト比をこのような範囲とすることで、光の拡散性・集光性により優れることとなる。
(領域AR3の工程:異方性光拡散層220形成工程)
移動ステージの駆動によって、塗工膜250が更に移動すると、領域AR3の工程となる。
領域AR3の工程では、塗工膜250は、指向性拡散素子240からも徐々に露出する。ここで塗工膜250は、少なくとも領域AR2と領域AR3との2つの領域に位置する。なお、本工程でも、塗工膜250の一部が、未だ、領域AR1に位置していてもよい。
塗工膜250が指向性拡散素子240から露出するに従って、領域AR2から領域AR3に移動する。領域AR3では平行光Dが塗工膜250上に照射される。
図11の状態(d)及び状態(e)に示すように、平行光Dが塗工膜250上に照射されることで、塗工膜250の中間位置から、さらなる相分離が始まり柱状領域223が形成され始め徐々に成長していく。上述したように、領域AR2の工程で、柱状領域213の成長は始まっており、領域AR3の工程でも、引き続き柱状領域213は成長する。
領域AR3の工程では、柱状領域213及び223の形成に伴ってマトリックス領域221も形成され、柱状領域213及び223並びにマトリックス領域221は下面まで到達する。このように、中間位置から下面までの領域は柱状領域213によるルーバー構造と柱状領域223によるピラー構造との2種類の構造が共存するハイブリッド構造が形成される。ハイブリッド構造の形成により、中間位置から下面までの領域も硬化する。
このように、塗工膜250が、領域AR2の工程及び領域AR3の工程を経ることにより、上面から中間位置までは、ルーバー構造のみが形成され、中間位置から下面までは、ルーバー構造とピラー構造とからなるハイブリッド構造が形成される。
なお、本形態においては、異方性光拡散層210及び220の形成を連続的に行うために
移動ステージを用いた方法を採用しているが、これには限定されず、図11(a)〜(c)まで(領域AR2の工程まで)を一工程とし、図11(d)〜(e)まで(領域AR3の工程以降)を別工程とする等の方法によって、塗膜の上層を硬化させ異方性光拡散層210を形成し、次いで、塗膜の下層として未硬化状態の層が存在する状態にて、光照射の条件を変更させることで異方性光拡散層220を形成させる、等の方法によっても、本形態に係る異方性光学フィルム200を形成可能である。
なお、本異方性光拡散層形成工程において、合計の光の照射時間は特に限定されないが、10〜180秒間、より好ましくは10〜120秒間である。
本形態の異方性光拡散層210及び220は、上述の如く低照度の光を比較的長時間照射することにより光硬化性組成物層中に特定の内部構造が形成されることで得られるものである。そのため、このような光照射だけでは未反応のモノマー成分が残存して、べたつきを生じたりしてハンドリング性や耐久性に問題がある場合がある。そのような場合は、1000mW/cm以上の高照度の光を追加照射して残存モノマーを重合させることができる。このときの光照射は、塗工膜250の異方性光拡散層を形成させるための最初に行う照射とは逆側の面となる下面側(例えば、マスクを積層した側の逆側)から行ってもよい。
<異方性光学フィルム300の形成工程の例>
本形態に係る異方性光学フィルム300の形成工程として、以下の工程について詳述する。
(工程1)基材上に、異方性光拡散層形成用組成物を塗工し、塗工膜350を設ける塗工工程
(工程2)塗工膜350上にマスクフィルムを積層するマスクフィルム積層工程(任意)
(工程3)塗工膜350上で、平行光線の照射により硬化を行う第1構造体形成工程(異方性光拡散層310形成工程)及び第1構造体形成工程の後に、連続的に、塗工膜350上で、1方向拡散光線の照射により硬化を行う第2構造体形成工程(異方性光拡散層320形成工程)
<工程1:塗工工程>
工程1において、光重合性化合物を含む組成物を基体上にシート状に設ける手法としては、通常の塗工方式や印刷方式が適用される。具体的には、エアドクターコーティング、バーコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、ダムコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等のコーティングや、グラビア印刷等の凹版印刷、スクリーン印刷等の孔版印刷等の印刷等が使用できる。組成物が低粘度の場合は、基体の周囲に一定の高さの堰を設けて、この堰で囲まれた中に組成物をキャストすることもできる。
<工程2:マスクフィルム積層工程(任意)>
工程2において、光硬化性組成物層の酸素阻害を防止して、本形態に係る異方性光拡散層310の特徴である柱状領域313を効率良く形成させるために、光硬化性組成物層の光照射側に密着して光の照射強度を局所的に変化させるマスクフィルム(以下、単にマスク等とする。)を積層することが好ましい。マスクの材質としては、特に限定されず、例えば、通常の透明プラスチックフィルム等を用いればよいが、カーボン等の光吸収性のフィラーをマトリックス中に分散したもので、入射光の一部はカーボンに吸収されるが、開口部は光が十分に透過できるような構成のものでもよい。このようなマトリックスとしては、PET、TAC、PVAc、PVA、アクリル、ポリエチレン等の透明プラスチックや、ガラス、石英等の無機物や、これらのマトリックスを含むシートに紫外線透過量を制御するためのパターニングや紫外線を吸収する顔料を含んだものであっても構わない。このようなマスクを用いない場合には、窒素雰囲気下で光照射を行うことで、光硬化性組成物層の酸素阻害を防止することも可能である。又、通常の透明フィルムを光硬化性組成物層上に積層するだけでも、酸素阻害を防ぎ柱状領域313の形成を促す上で有効である。このようにマスクや透明フィルムを介した光照射は、本形態に係る異方性光拡散層310の作製に有効である。
<工程3:異方性光拡散層形成工程>
次に、図12に基づいて、異方性光拡散層形成工程にて使用する装置の説明を行い、異方性光拡散層の具体的な形成プロセスについて説明する。
〔装置〕
先ず、異方性光学フィルム300の製造には、図12に示すように、主に、光源(図示せず)と、指向性拡散素子340と、遮光板330と、移動ステージ(図示せず)とを用いる。
移動ステージは、塗工膜350を所定の速度で移動させるためのものである。移動ステージは、ステッピングモータやリニアモータ(図示せず)などによって駆動され、モータドライバによって移動速度や移動方向などが制御される。より具体的には、図12において、移動ステージに乗った塗工膜350が、状態(a)に示す位置から状態(e)に示す位置まで連続的に移動可能となっている。
光源は、発せられた光を塗工膜350上に照射し、相分離を生じさせることで柱状領域313及び323を形成しつつ硬化させて、異方性光拡散層310及び320を形成するためのものである。柱状領域313及び323の形成の過程の詳細については後述する。
光源としては、通常はショートアークの紫外線発生光源が使用され、具体的には高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタハライドランプ、キセノンランプ等が使用可能である。
特に、後述する柱状領域313を形成するプロセスでは、光硬化性組成物層上には、所望の散乱中心軸Qと平行な光線を照射する必要がある。このような平行光Dを得るためには、点光源を配置して、この点光源と光硬化性組成物層の間に平行光Dを照射するための反射ミラーやフレネルレンズ等の光学レンズを配置すればよい。このような光学レンズを介することによって、光源から発せられた光が平行光Dに変換され、塗工膜350(光硬化性組成物層)上に平行光Dを照射することができる。
光重合性化合物を含む組成物に照射する光線は、該光重合性化合物を硬化可能な波長を含んでいることが必要であり、通常は水銀灯の365nmを中心とする波長の光が利用される。この波長帯を使って異方性光拡散層310、320を作製する場合、照度としては0.01〜100mW/cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20mW/cmの範囲である。照度が0.01mW/cm未満であると硬化に長時間を要するため、生産効率が悪くなる場合があり、100mW/cmを超えると光重合性化合物の硬化が速すぎて構造形成を生じず、目的の異方性拡散特性を発現できなくなる場合があるからである。
指向性拡散素子340は、平行光Dに指向性を付与し、拡散光Eに変換するためのものである。塗工膜350上に拡散光Eを照射することで柱状領域323が形成される。
指向性拡散素子340は、入射した平行光Dに指向性を付与するものであればよい。このように指向性をもった拡散光Eを得るためには、例えば、指向性拡散素子340内にアスペクト比の高い針状フィラーを含有させるとともに、当該針状フィラーをY方向に長軸方向が延存するように配向させる方法を採用することができる。指向性拡散素子340は針状フィラーを使用する方法以外に種々の方法を使用することができる。平行光Dが指向性拡散素子340を介することで、拡散光Eを得るように配置すればよい。このような指向性拡散素子340の具体例としては、レンチキュラーレンズなどが挙げられる。
遮光板330は、光源から発せられた光を遮り、光重合性化合物を含む組成物に光が照射されないようにするためのものである。遮光板330の材料や大きさや厚みなどは、光源から発せられる光の波長や強度に応じて適宜に定めればよい。
ここで、図12に示すように、指向性拡散素子340は、塗工膜350の移動方向に沿った向きにAR6を覆うように配置される。このようにすることで、遮蔽版330によって光源から発せられた光の全てが遮られる領域AR4と、平行光Dが照射される領域AR5と、拡散光Eが照射される領域AR6との3つの領域を形成することができる。
以下、領域AR4〜領域AR6に区分された各領域における具体的な異方性光拡散層の形成プロセスについて説明する。
(領域AR4の工程)
AR4領域の工程では、塗工膜350の全体が未だ遮光板330によって覆われており、光源から発せられた光は塗工膜350上に照射されていない。この段階では、塗工膜350の全てが、領域AR4に位置している。従って、図12の状態(a)に示すように、柱状領域313及び323は形成されず、塗工膜350の全体が未硬化の状態である。
(領域AR5の工程:異方性光拡散層310形成工程)
移動ステージの駆動によって、塗工膜350がある程度の距離を移動すると、塗工膜350は領域AR4から領域AR5に移動する。
領域AR5の工程では、移動ステージの駆動によって、塗工膜350が遮光板330から徐々に露出する。ここで塗工膜350は、領域AR4と領域AR5との2つの領域に位置する。塗工膜350が遮光板330から露出するに従って、領域AR4から領域AR5に移動する。領域AR5では平行光Dが塗工膜350に照射される。
平行光Dが塗工膜350上に照射されることで、塗工膜350の上面から相分離が始まる。平行光Dの照射によって、塗工膜350の上面から柱状領域313が形成され始め徐々に成長していく。柱状領域313の形成に伴ってマトリックス領域311も形成される。
より具体的には、図12の状態(b)に示すように、塗工膜350の上面から相分離が始まり、相分離によって柱状領域313及びマトリックス領域311が上面から下面に向かって形成され始める。この時点では、図12の状態(c)に示すように、柱状領域313及びマトリックス領域311は、下面まで到達しておらず、塗工膜350の上面と下面との間の中間位置まで形成されている状態である。なお、中間位置とは、上面と下面との中央や中心の位置に限られず、上面と下面とに挟まれた領域の任意の位置を示す。
図12の状態(b)及び(c)に示すように、柱状領域313及びマトリックス領域311は、塗工膜350の上面から中間位置まで形成される。塗工膜350は、上面から中間位置までの領域は硬化した状態となってピラー構造が形成され、中間位置から下面までの領域は未硬化の状態のままでいずれの構造も形成されていない構造未形成の状態となる。
(領域AR6の工程:異方性光拡散層320形成工程)
移動ステージの駆動によって、塗工膜350が更に移動すると、領域AR6の工程となる。
領域AR6の工程では、塗工膜350は、指向性拡散素子340に徐々に覆われる。ここで塗工膜350は、少なくとも領域AR5と領域AR6との2つの領域に位置する。なお、本工程でも、塗工膜350の一部が、未だ、領域AR4に位置していてもよい。
塗工膜350が指向性拡散素子340に徐々に覆われるのに従って、領域AR5から領域AR6に移動する。領域AR6では拡散光Eが塗工膜350上に照射される。
図12の状態(d)及び状態(e)に示すように、拡散光Eが塗工膜350上に照射されることで、塗工膜350の中間位置から、さらなる相分離が始まり柱状領域323が形成され始め徐々に成長していく。上述したように、領域AR5の工程で、柱状領域313の成長は始まっており、領域AR6の工程でも、引き続き柱状領域313は成長する。
領域AR6の工程では、柱状領域313及び323の形成に伴ってマトリックス領域321も形成され、柱状領域313及び323並びにマトリックス領域321は下面まで到達する。このように、中間位置から下面までの領域は柱状領域313によるピラー構造と柱状領域323によるルーバー構造との2種類の構造が共存するハイブリッド構造が形成される。ハイブリッド構造の形成により、中間位置から下面までの領域も硬化する。
ここで、本工程においては、拡散光Eの照射強度及び広がりを調整することにより、形成される柱状領域323の大きさ(アスペクト比、短径SA、長径LA等)を適宜定めることができる。
拡散光Eの広がりは、主に指向性拡散素子340と塗工膜350の距離と指向性拡散素子340の種類等に依存する。当該距離を短くするにつれ柱状領域の大きさは小さくなり、長くするにつれ柱状領域の大きさは大きくなる。したがって、当該距離を調整することにより、柱状領域の大きさを調整することができる。
本工程において、拡散光Eのアスペクト比は2以上とすることが好ましい。当該アスペクト比にほぼ対応した形で、柱状領域323のアスペクト比が形成される。上記アスペクト比が小さくなるにつれ、拡散範囲が狭くなるおそれがあるため、本形態では、アスペクト比を2以上としている。なお、上記アスペクト比は、2以上50未満であることがより好ましく、2以上10以下であることが更に好ましく、2以上5以下であることが特に好ましい。上記アスペクト比をこのような範囲とすることで、光の拡散性・集光性により優れることとなる。
このように、塗工膜350が、領域AR5の工程及び領域AR6の工程を経ることにより、上面から中間位置までは、ピラー構造のみが形成され、中間位置から下面までは、ルーバー構造とピラー構造とからなるハイブリッド構造が形成される。
なお、本形態においては、異方性光拡散層310及び320の形成を連続的に行うために移動ステージを用いた方法を採用しているが、これには限定されず、図12(a)〜(c)まで(領域AR5の工程まで)を一工程とし、図12(d)〜(e)まで(領域AR6の工程以降)を別工程とする等の方法によって、塗膜の上層を硬化させ異方性光拡散層310を形成し、次いで、塗膜の下層として未硬化状態の層が存在する状態にて、光照射の条件を変更させることで異方性光拡散層320を形成させる、等の方法によっても、本形態に係る異方性光学フィルム300を形成可能である。
なお、本異方性光拡散層形成工程において、合計の光の照射時間は特に限定されないが、10〜180秒間、より好ましくは10〜120秒間である。
本形態の異方性光拡散層310及び320は、上述の如く低照度の光を比較的長時間照射することにより光硬化性組成物層中に特定の内部構造が形成されることで得られるものである。そのため、このような光照射だけでは未反応のモノマー成分が残存して、べたつきを生じたりしてハンドリング性や耐久性に問題がある場合がある。そのような場合は、1000mW/cm以上の高照度の光を追加照射して残存モノマーを重合させることができる。このときの光照射は、塗工膜350の異方性光拡散層を形成させるための最初に行う照射とは逆側の面となる下面側(例えば、マスクを積層した側の逆側)から行ってもよい。
<<<本発明に係る異方性光学フィルムの用途>>>
本発明に係る異方性光学フィルムは、表示装置用の拡散フィルムとして好適に使用することができる。異方性光学フィルムを好適に利用可能な表示装置としては、例えば、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、リアプロジェクター、陰極管表示装置(CRT)、表面電界ディスプレイ(SED)、電子ペーパー等を挙げることができる。特に好ましくは、LCDに用いられる。
又、例えば、本実施の形態に係る異方性光学フィルムをLCDに用いる場合には、LCDの出射光側に、異方性光学フィルムを配置すればよい。具体的には透明電極が形成された一対の透明ガラス基板の間に、ネマチック液晶が挟持され、このガラス基板の両側に、一対の偏光板が設けられたLCDにおいて、偏光板上、又は、ガラス基板と偏光板との間に、本実施の形態に係る異方性光学フィルムを配置することができる。なお、上記の透明ガラス基板、ネマチック液晶、偏光板等としては、一般に公知のものを使用することができる。
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
〔異方性光学フィルムの製造〕
以下の方法にしたがって、本発明の異方性光学フィルム及び比較例の異方性光学フィルムを製造した。
(実施例1)
厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:A4300)の縁部全周に、ディスペンサーを使い硬化型樹脂で高さ0.045mmの隔壁を形成した。この中に下記の光硬化性樹脂組成物を充填し、PETフィルムでカバーした。
・シリコーン・ウレタン・アクリレート(屈折率:1.460、重量平均分子量:5,890) 20重量部
(RAHN社製、商品名:00−225/TM18)
・ネオペンチルグリコールジアクリレート(屈折率:1.450) 30重量部
(ダイセルサイテック社製、商品名Ebecryl145)
・ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート(屈折率:1.536) 15重量部
(ダイセルサイテック社製、商品名:Ebecyl150)
・フェノキシエチルアクリレート(屈折率:1.518) 40重量部
(共栄社化学製、商品名:ライトアクリレートPO−A)
・2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン 4重量部
(BASF社製、商品名:Irgacure651)
この両面をPETフィルムで挟まれた液膜を加熱して、上部からUVスポット光源(浜松ホトニクス社製、商品名:L2859−01)の落射用照射ユニットから出射される平行UV光線を透過UV光線のアスペクト比が3で短径が2μmとなる指向性拡散素子を介して線状光線に変換した紫外線を垂直に、照射強度5mW/cmとして20秒間照射して、板状構造を多数有する異方性光拡散層を、液膜の上層に形成した。
更に、連続的に、上部からUVスポット光源の落射用照射ユニットから出射される平行光線を塗膜面の法線方向から垂直に、照射強度5mW/cmとして20秒間照射して、柱状構造と板状構造を多数有する異方性光拡散層を、液膜の下層に形成し、異方性光学フィルムとした。
PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、第1柱状構造体及び第2柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
(実施例2)
指向性拡散素子を介して線状光線に変換した光を10秒間照射に、平行光線を30秒間照射にしたこと、及び透過UV光線のアスペクト比が3で短径が3μmとなる指向性拡散素子に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、第1柱状構造体及び第2柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
(実施例3)
指向性拡散素子を介して線状光線に変換した光を30秒間照射に、平行光線を10秒間照射にしたこと、及び透過UV光線のアスペクト比が3で短径が1.3μmとなる指向性拡散素子を変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、第1柱状構造体及び第2柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
(実施例4)
厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:A4300)の縁部全周に、ディスペンサーを使い硬化型樹脂で高さ0.045mmの隔壁を形成した。この中に実施例1と同様の光硬化性樹脂組成物を充填し、PETフィルムでカバーした。
この両面をPETフィルムで挟まれた液膜を加熱して、上部からUVスポット光源の落射用照射ユニットから出射される平行光線を塗膜面の法線方向から垂直に、照射強度5mW/cmとして10秒間照射して、柱状構造を多数有する異方性光拡散層を、液膜の上層に形成した。
更に、連続的に、上部からUVスポット光源(浜松ホトニクス社製、商品名:L2859−01)の落射用照射ユニットから出射される平行UV光線を透過UV光線のアスペクト比が3で短径が3μmとなる指向性拡散素子を介して線状光線に変換した紫外線を垂直に、照射強度5mW/cmとして30秒間照射して、柱状構造と板状構造を多数有する異方性光拡散層を、液膜の下層に形成し、異方性光学フィルムとした。
PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、第1柱状構造体及び第2柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。又、本例に係る異方性光学フィルムのMD方向及びTD方向の断面写真を図14に示す。
(実施例5)
平行光線を30秒間照射に、指向性拡散素子を介して線状光線に変換した光を10秒間照射に、及び透過UV光線のアスペクト比が3で短径が1.3μmとなる指向性拡散素子に変更したこと以外は実施例4新と同様にして、実施例5新の異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、第1柱状構造体及び第2柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
(実施例6)
透過UV光線のアスペクト比が8で短径が2μmとなる指向性拡散素子に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、第1柱状構造体及び第2柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
(実施例7)
透過UV光線のアスペクト比が45で短径が2μmとなる指向性拡散素子に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、第1柱状構造体及び第2柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
(実施例8)
平行光線を20秒間照射に、指向性拡散素子を介して線状光線に変換した光を20秒間照射に、及び透過UV光線のアスペクト比が8で短径が2μmとなる指向性拡散素子に変更したこと以外は実施例4と同様にして、実施例8の異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、第1柱状構造体及び第2柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
(実施例9)
紫外線の照射強度2mW/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例9の異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、第1柱状構造体及び第2柱状構造体の構造とを測定した結果を表1に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表2に示した。
(実施例10)
平行光線を塗膜面の法線方向から10°傾けて照射した以外は実施例1と同様にして、実施例7の異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、第1柱状構造体及び第2柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。又、本例に係る異方性光学フィルムのMD方向及びTD方向の断面写真を図15に示す。
(実施例11)
紫外線による線状光線及び平行光線の照射強度3.5mW/cmとしたこと、及び平行光線を塗膜面の法線方向から25°傾けて照射したこと以外は実施例1と同様にして、実施例8の異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、第1柱状構造体及び第2柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
(実施例12)
平行光線を塗膜面の法線方向から10°傾けて照射したこと、透過UV光線のアスペクト比が3で短径が2μmとなる指向性拡散素子に変更したこと以外は実施例4新と同様にして、実施例9新の異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、第1柱状構造体及び第2柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
(比較例1)
実施例1の指向性拡散素子を介して線状光線に変換した紫外線を40秒間照射、平行光線を0秒間照射に変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の異方性光学フィルムを得た。すなわち、本比較例では第1柱状構造体のみを有する異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
(比較例2)
実施例1の指向性拡散素子を介して線状光線に変換した紫外線を0秒間照射、平行光線を40秒間照射に変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の異方性光学フィルムを得た。すなわち、本比較例では第2柱状構造体のみを有する異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
(比較例3)
透過UV光線のアスペクト比が45で短径が2μmとなる指向性拡散素子に変更し、指向性拡散素子を介して線状光線に変換した紫外線を40秒間照射、平行光線を0秒間照射に変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の異方性光学フィルムを得た。すなわち、本比較例では第1柱状構造体のみを有する異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
(比較例4)
実施例1の隔壁を0.025mmとし、指向性拡散素子を介して線状光線に変換した紫外線のみを塗膜面の法線方向から垂直に20秒間照射して、1層目の異方性光拡散層を形成した。1層目の異方性光拡散層を得た後、カバーのPETフィルムを剥離した後、0.020mmの隔壁を1層目に形成した隔壁の上に更に追加して形成し、1層目の異方性光拡散層の上に同様の光硬化性樹脂組成物を充填しPETフィルムでカバーした。その後、平行光線を塗膜面の法線方向から垂直に20秒間照射して、2層目の異方性光拡散層を得て、比較例4の異方性光学フィルムとした。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
(比較例5)
比較例4の線状光線照射と平行光線照射の順番を入れ替えたこと以外は同様にして、比較例4の異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
(比較例6)
実施例1と同様に硬化型樹脂で高さ0.200mmの隔壁を形成し、この中に実施例1と同様の光硬化性樹脂組成物を充填した。
実施例1と同様に、この液膜を加熱して、上部からUVスポット光源の落射用照射ユニットから出射される平行UV光線を透過UV光線のアスペクト比が45で短径が2μmとなる指向性拡散素子を介して線状光線に変換した紫外線を垂直に、照射強度5mW/cmとして20秒間照射して、板状構造を多数有する異方性光拡散層を、液膜の下層に形成した。
更に、液膜をPETフィルムでカバーし、上部からUVスポット光源の落射用照射ユニットから出射される平行光線を塗膜面の法線方向から垂直に、照射強度5mW/cmとして20秒間照射して、柱状構造と板状構造を多数有する異方性光拡散層を、液膜の上層に形成して、比較例6の異方性光学フィルムを得た。PETフィルムを剥離した上で、異方性光拡散層と、柱状構造体の構造とを測定した結果を表1・表2に示した。更に、異方性光学フィルムの光学特性を評価した結果を表3に示した。
このフィルムは、ルーバー構造と、ピラー構造との間に、構造未形成層(厚さ0.095mm)を内部に有していた。
Figure 0006902895
Figure 0006902895
Figure 0006902895
<<<評価方法>>>
上記のようにして製造した実施例及び比較例の異方性光学フィルムに関し、以下のようにして評価を行った。
(シリコーン・ウレタン・アクリレートの重量平均分子量の測定)
光重合性化合物として使用したシリコーン・ウレタン・アクリレートの重量平均分子量(Mw)の測定は、ポリスチレン換算分子量として、GPC法を用いて下記条件で行った。
デガッサー:DG−980−51(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−980−51(日本分光株式会社製)
オートサンプラー:AS−950(日本分光株式会社製)
恒温槽:C−965(日本分光株式会社製)
カラム:Shodex KF−806L × 2本 (昭和電工株式会社製)
検出器:RI (SHIMAMURA YDR−880)
温度:40℃
溶離液:THF
注入量:150μl
流量:1.0ml/min
サンプル濃度:0.2%
<<異方性光学フィルム(異方性光拡散層)の厚さ>>
実施例及び比較例の異方性光学フィルムの各異方性光拡散層の厚さは、ミクロトームを使用して形成した異方性光学フィルム断面を、光学顕微鏡で観察して測定することによって行った。
<<異方性光学フィルムの表面観察>>
実施例及び比較例の異方性光学フィルムの表面(紫外線照射時の照射光の反対側)を光学顕微鏡で観察し、任意の100個の第1柱状構造体の長径LA及び短径SA並びに任意の100個の第2柱状構造体の長径LA及び短径SAを測定し、各々の平均値を算出した(表1参照)。更に、算出された平均長径及び平均短径に基づき、アスペクト比(平均長径/平均短径)を算出した。
<<直線透過率>>
図2に示すような、光源の投光角、検出器の受光角を任意に可変できる変角光度計ゴニオフォトメータ(ジェネシア社製)を用いて、実施例及び比較例の異方性光学フィルムの光学特性の評価を行った。光源からの直進光を受ける位置に検出器を固定し、その間のサンプルホルダーに実施例及び比較例で得られた異方性光学フィルムをセットした。図2に示すように回転軸(L)としてサンプルを回転させてそれぞれの入射光角度に対応する直線透過光量を測定した。この評価方法によって、どの角度の範囲で入射される光が拡散するかを評価することができる。この回転軸(L)は、図6に示されるサンプルの構造におけるC−C軸と同じ軸である。直線透過光量の測定は、視感度フィルターを用いて可視光領域の波長を測定した。以上のような測定の結果得られた光学プロファイルに基づき、直線透過率の最大値(最大直線透過率)及び最小値(最小直線透過率)を求めた。
<<MD方向拡散及びTD方向拡散>>
図2に示すような装置を用い、固定した光源から、実施例及び比較例の異方性光学フィルムに直進光を照射し、サンプルをMD方向及びTD方向に動かし(回転させ)ながら、透過光を検出器に受光させることで、透過率を測定した。サンプルをMD方向に動かした場合と、TD方向に動かした場合のそれぞれについて、上記透過率測定に基づき光学プロファイルを作成した。そして、MD方向及びTD方向に動かしたときのそれぞれの光学プロファイルから、最大直線透過率と最小直線透過率の中間値となる入射光角度の範囲を求め、この範囲をそれぞれ、MD方向拡散及びTD方向拡散の幅(°)とした。
<<輝度の急激な変化>>
上述した直線透過率の測定において、図16に示すように、最大直線透過率F(%)をとる角度A(°)と最小直線透過率F(%)をとる角度B(°)との間で、直線透過率が急激に変化すれば、輝度も急激に変化することになるので、直線透過率の傾きを求めて、その傾きが急であれば輝度の急激な変化があり、傾きが緩やかであれば輝度の急激な変化がないものと判断した。具体的には、上記直線透過率の傾きαを(F−F)/|A−B|とし、この傾きαが、α≧1.7であれば、輝度の急激な変化があるとし、1.5≦α<1.7であれば、やや変化が急だが許容範囲とし、α<1.5であれば、輝度の変化が緩やかで違和感なしと判断した。なお、図17に示すように、それぞれ2種類ある最大直線透過率(FA1及びFA2)及び最小直線透過率(FB1及びFB2)において、下記(a)、(b)のうち、値がより大きいものをF及びA、及びF及びBとした。
(a)(FA1−FB1)/|A−B
(b)(FA2−FB2)/|A−B
即ち、光学プロファイルにいて最大直線透過率から最小直線透過率への傾きαとして、上記(a)と(b)のうちの大きい側の値を用いた。
<<ギラツキ>>
実施例及び比較例の異方性光学フィルムの下層に光反射層を設け、その上方から光を入射させて、その反射光のギラツキを目視で確認した。
<<生産性>>
生産性は、異方性光学フィルムを製造する工程で、製造を中断せず、連続的(1パス)に塗工及びUV照射を行うことができるものを生産性が高いものとし、それ以外の場合、生産性が低いものと判定した。
<<<評価基準>>>
表2における評価の評価基準は以下の通りである。
「最大直線透過率」
◎ 70%以上
○ 50%以上70%未満
△ 30%以上50%未満
× 30%未満
「MD方向拡散幅」
◎ 40°以上
○ 30°以上40°未満
△ 20°以上30°未満
× 20°未満
「TD方向拡散幅」
◎ 20°以上
○ 10°以上20°未満
△ 5°以上10°未満
× 5°未満
「輝度の急激な変化」
◎ 輝度の変化が緩やか、違和感なし
△ やや変化が急だが許容範囲
× 輝度の急激な変化がある
「ギラツキ」
◎ ギラツキがない
△ 多少ギラツキがあるが許容範囲
× ギラツキがハッキリとある
「生産性」
◎ 1パスの塗工・UV照射で製造可能、生産性高い
× 2パス以上の塗工・UV照射が必要で、生産性低い
<<<評価結果>>>
実施例は全ての評価項目において高いレベルの特性をバランス良く有していた。一方で、比較例はすくなくともいずれか一つ以上の項目で×という非常に悪い結果であった。
より詳細には、表3に示すとおり、実施例の異方性光学フィルムは高い最大直線透過率と、MD方向及びTD方向の広い拡散幅を有し、且つ、輝度の急激な変化やギラツキも無く、生産性にも優れており、全ての評価項目において高いレベルの特性をバランス良く有していた。特に、実施例1、実施例8及び実施例10では、△の評価が無いことから、特に優れた異方性光学フィルムであるといえる。一方で、比較例の異方性光学フィルムは、特定の項目においては実施例よりも優れた評価を有するものもあったが、最大直線透過率、TD方向拡散、輝度の急激な変化、ギラツキ、生産性のすくなくともいずれか一つ以上の項目で×という非常に悪い結果を有しており、実施例のように、全ての評価項目において高いレベルの特性をバランス良く有しているものは無かった。
したがって、実施例の異方性光学フィルムは、非拡散領域における高い直線透過率と、MD方向及びTD方向における広い拡散領域とを両立させることができ、かかる異方性光学フィルムを表示パネルの拡散フィルムとして用いた場合に、優れた表示特性(輝度やコントラスト等)を持ちながら、輝度の急激な変化やギラツキの発生を抑制することができる。すなわち、本実施例の異方性光学フィルムによれば、ピラー構造とルーバー構造の各々の欠点を補うことが可能であり、ピラー構造に比べて、非拡散領域の透過率が向上するとともにMD方向の拡散角度範囲を拡大し、ルーバー構造に比べて、TD方向の拡散角度範囲も拡大するともに、輝度の急激な変化やギラツキを解消できる。加えて、層を積層させずに両構造の欠点を補うことができるため、生産性にも優れる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述した形態に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で当業者が想到し得る他の形態又は各種の変更例についても本発明の技術的範囲に属するものと理解される。
100、200、300 異方性光学フィルム
110、210、310 (単一の柱状領域を有する)異方性光拡散層
111、211、311 マトリックス領域
113、213、313 柱状領域
119 上端面
120、220、320 (ハイブリッド構造を有する)異方性光拡散層
121、221、321 マトリックス領域
123、223、323 柱状領域
129 下端面
240、340 指向性拡散素子
330 遮光板
250,350 塗工膜
SA 短径
LA 長径

Claims (9)

  1. 入射光角度により直線透過率が変化する、異方性光拡散層を少なくとも備えた異方性光学フィルムであって、
    前記異方性光拡散層は、
    マトリックス領域と複数の第1柱状構造体とを有し、第1の表面と中間面とを有する第1の異方性光拡散層と、
    前記中間面において第1の異方性光拡散層と連続する第2の異方性光拡散層であって、マトリックス領域と複数の第2柱状構造体と複数の第1柱状構造体とを有し、第2の表面を有する第2の異方性光拡散層と、を有し、
    前記中間面は、前記第1の異方性光拡散層と前記第2の異方性光拡散層との層厚の、前記第1の表面から20%を超えた位置であり、
    前記第1柱状構造体は、前記第1の異方性光拡散層の前記第1の表面から前記第2の異方性光拡散層の前記第2の表面にかけて配向して構成され、
    前記第2柱状構造体は、前記中間面から前記第2の表面にかけて配向して構成され、
    前記第1柱状構造体は、前記第1の表面及び前記第2の表面において不連続となり、
    前記第2柱状構造体は、前記第2の表面において不連続となる
    ことを特徴とする、異方性光学フィルム。
  2. 前記第1柱状構造体及び前記第2柱状構造体の一方における、平均短径と平均長径とのアスペクト比が、2以上であり、
    前記第1柱状構造体及び前記第2柱状構造体の他方における、平均短径と平均長径とのアスペクト比が、2未満であることを特徴とする、請求項1に記載の異方性光学フィルム。
  3. 前記第1柱状構造体及び前記第2柱状構造体の一方における、平均短径及び平均長径が、夫々0.5μm〜5.0μm及び1μm〜100μmであり、
    前記第1柱状構造体及び前記第2柱状構造体の他方における、平均短径及び平均長径が、夫々0.5μm〜5.0μm及び0.5μm〜8.0μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の異方性光学フィルム。
  4. 前記異方性光拡散層の厚さが10μm〜200μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の異方性光学フィルム。
  5. 大直線透過率が、30%以上80%未満であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の異方性光学フィルム。
  6. 前記第1柱状構造体の散乱中心軸角度と、前記第2柱状構造体の散乱中心軸角度との差の絶対値が、0°〜30°であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の異方性光学フィルム。
  7. MD方向拡散幅が30°以上70°未満であり、TD方向拡散幅が10°以上30°未満であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の異方性光学フィルム。
  8. 基材上に、異方性光拡散層形成用組成物を塗工し、塗工膜を設ける塗工工程と、
    前記塗工膜上にマスクフィルムを積層した後、上部からの光線の照射により硬化を行う、第1構造体形成工程と、
    前記第1構造体形成工程の後、連続して、光線の照射により硬化を行う第2構造体形成工程とを含み、
    前記第1構造体形成工程及び前記第2構造体形成工程のうち、一方の工程が1方向拡散光線の照射により硬化を行い、他方の工程が平行光線の照射により硬化を行うことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の異方性光学フィルムの製造方法。
  9. 前記第1構造体形成工程又は前記第2構造体形成工程における前記1方向拡散光線が、指向性拡散素子を介して得られる拡散光線であり、当該拡散光線のアスペクト比が2以上であることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。

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