JP6899720B2 - リニアモータシステム及びそれを有する圧縮機 - Google Patents

リニアモータシステム及びそれを有する圧縮機 Download PDF

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Description

本発明は、リニアモータシステム及びそれを有する圧縮機に関する。
弾性体を接続させた可動子を、弾性体及び可動子の系における機械的な共振周波数で駆動させるリニアモータが知られている。
例えば、特許文献1には、リニア振動モータを制御するモータ駆動装置が開示され、モータ駆動装置は、モータドライバを有し、モータドライバは、推力定数を算出する演算処理が行われるよう上記リニア振動モータに直流電圧を印加する推力定数算出モード(非運転モード)と、リニア振動モータの通常運転が行われるよう上記リニア振動モータに交流電圧を印加する運転モードとを切り替える制御部を有する構成が記載されている。
そして特許文献1には、上記モータ駆動装置は、推力定数の算出に用いられる直流電圧印加時の推力検出値を求める推力検出部を備え、可動子の推力の検出は、可動子若しくは可動子が接する部位に取り付けられた圧力センサ或いは歪ゲージなどのセンサにより行われる旨開示されている。
特開2004−274997号公報
しかしながら、特許文献1では、リニア振動モータの推力定数を算出するために必要となる推力の検出を、リニア振動モータ内に設けられる圧力センサ或いは歪ゲージなどのセンサにより行う構成であるため、配線が煩雑になるのみならず、装置の大型化を招きかねない。また、リニア振動モータの誘起電圧に応じた電圧を印加することで無効電流を抑制し、リニアモータを高効率に駆動する点については何ら考慮されていない。
そこで、本発明は、リニアモータの推力を検出するセンサをリニアモータ内に配することなく、巻線に流れる無効電流を抑制し、リニアモータを高効率に駆動し得るリニアモータシステム及びそれを有する圧縮機を提供する。
上記課題を解決するため、少なくとも、巻線が捲回された磁性体を有する電機子と、永久磁石を有する界磁子と、前記電機子又は前記界磁子に接続された弾性体とを有し、前記弾性体の変形に応じて前記界磁子と前記電機子の相対位置が変動することで、軸方向に前記界磁子と前記電機子を相対的に往復運動させるリニアモータと、前記巻線に電圧を印加する制御部と、を備え、前記制御部は、前記巻線に印加する電圧のうち、前記電機子と前記界磁子の相対位置の変動により生じる磁束の変化率に基づき、印加する電圧成分の絶対値を、前記磁束の変化率が小さい相対位置で小さくし、前記電機子と前記界磁子の相対位置が所定値を超えた場合、前記巻線に印加する電圧のうち、前記磁束の変化率に応じて印加する電圧成分の絶対値を小さくし、さらに、前記制御部は、少なくとも位置検出器により検出された前記界磁子の位置と、基準位相及び周波数指令値に基づき第1の電圧指令値を生成する電圧指令値作成器を備え、前記電圧指令値作成器は、予め界磁子の位置とゲインとの関係を示す特性曲線を有し、前記位置検出器により検出された前記界磁子の位置に応じたゲインを端部誘起電圧調整ゲインとして出力する端部誘起電圧調整器を有し、前記電圧指令値作成器は、前記端部誘起電圧調整ゲインを前記第1の電圧指令値に乗じて前記リニアモータへ出力することを特徴とする。
また、本発明に係るリニアモータシステムは、少なくとも、巻線が捲回された磁性体を有する電機子と、永久磁石を有する界磁子と、前記電機子又は前記界磁子に接続された弾性体とを有し、前記弾性体の変形に応じて前記界磁子と前記電機子の相対位置が変動することで、軸方向に前記界磁子と前記電機子を相対的に往復運動させるリニアモータと、前記巻線に電圧を印加する制御部と、を備え、前記制御部は、前記界磁子と前記電機子の相対位置の増加に応じて、前記巻線に印加する電圧の高調波成分含有率を高くすることを特徴とする。
また、本発明に係る圧縮機は、少なくとも、巻線が捲回された磁性体を有する電機子と、永久磁石を有する界磁子と、前記電機子又は前記界磁子に接続された弾性体とを有し、前記弾性体の変形に応じて前記界磁子と前記電機子の相対位置が変動することで、軸方向に前記界磁子と前記電機子を相対的に往復運動させるリニアモータと、前記巻線に電圧を印加する制御部と、を備え、前記界磁子に接続されるピストンがシリンダ内を往復運動することにより作動流体を圧縮する圧縮機であって、前記制御部は、前記巻線に印加する電圧のうち、前記電機子と前記界磁子の相対位置の変動により生じる磁束の変化率に基づき、印加する電圧成分の絶対値を、前記磁束の変化率が小さい相対位置で小さくし、前記電機子と前記界磁子の相対位置が所定値を超えた場合、前記巻線に印加する電圧のうち、前記磁束の変化率に応じて印加する電圧成分の絶対値を小さくし、らに、前記制御部は、少なくとも電流検出器により検出された前記巻線を流れる電流検出値に基づき、前記界磁子の位置を推定する位置推定器と、前記位置推定器による前記界磁子の位置推定値と、基準位相及び周波数指令値に基づき第1の電圧指令値を生成すると共に、前記電流検出値により得られる負荷電流及び前記基準位相に基づき電圧降下分に相当する第2の電圧指令値を生成する電圧指令値作成器を備え、前記電圧指令値作成器は、予め界磁子の位置とゲインとの関係を示す特性曲線を有し、前記位置推定器による前記界磁子の位置推定値に応じたゲインを端部誘起電圧調整ゲインとして出力する端部誘起電圧調整器を有し、前記電圧指令値作成器は、前記端部誘起電圧調整ゲインを前記第1の電圧指令値に乗じで前記第2の電圧指令値に加算して、又は、前記第1の電圧指令値と前記第2の電圧指令値の加算結果に前記端部誘起電圧調整ゲインを乗じて、前記リニアモータへ出力することを特徴とする。
本発明によれば、リニアモータの推力を検出するセンサをリニアモータ内に配することなく、巻線に流れる無効電流を抑制し、リニアモータを高効率に駆動し得るリニアモータシステム及びそれを有する圧縮機を提供することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施例に係る実施例1のリニアモータシステムの全体概略構成図である。 電機子の構成例の斜視図である。 可動子(界磁子)位置に対する電機子鎖交磁束の変化の例を示す図である。 磁極の縦断面と磁束の流れを示す模式図である。 磁極歯に発生する極性の説明図である。 可動子に接続される外部機構の説明図である。 駆動周波数とストロークの関係の説明図である。 可動子位置と可動子速度との位相関係、及び印加電圧とモータ電流の位相関係の説明図である。 印加電圧と電流のベクトル図である。 図1に示す制御部を構成する位相差検出器の構成例を示す説明図である。 駆動周波数と位相差検出器出力の関係の説明図である。 図1に示す制御部を構成する駆動周波数調整器の構成例を示す説明図である。 図1に示す制御部を構成する電圧指令値作成器の構成例を示す説明図である。 図13に示す電圧指令値作成器を構成する端部誘起電圧調整器の第1の構成例を示す説明図である。 図13に示す電圧指令値作成器を構成する端部誘起電圧調整器の第2の構成例を示す説明図である。 図13に示す電圧指令値作成器を構成する端部誘起電圧調整器の第3の構成例を示す説明図である。 印加電圧波形の説明図である。 図13に示す電圧指令値作成器を構成するストローク制御器の構成例を示す説明図である。 図1に示すリニアモータ駆動装置を構成する電力変換回路の構成例を示す図である。 本発明の他の実施例に係る実施例2の密閉型圧縮機の縦断面図である。 実施例2のリニアモータシステムの全体概略構成図である。 図21に示す制御部を構成する位相差検出器の構成例を示す説明図である。 図21に示す制御部を構成する負荷電流検出器の構成例を示す説明図である。 図21に示す制御部を構成する負荷電流検出器の他の構成例を示す説明図である。 図21に示す制御部を構成する電圧指令値作成器の構成例を示す説明図である。 軽負荷時及び重負荷時における電圧指令値作成器でのベクトル和を示すベクトル図である。 図21に示す制御部を構成する電圧指令値作成器の他の構成例を示す説明図である。 図21に示す制御部を構成する位置推定器の構成例を示す説明図である。 図21に示すリニアモータ駆動装置を構成する電力変換回路の構成例を示す図である。 本発明の他の実施例に係る実施例3の検証システムの構成例を示す説明図である。 本発明の他の実施例に係る実施例4のエアサスペンションシステムの回路図である。 図31に示すエアサスペンションシステムを搭載した車両の概略図である。 実施例4の電圧指令値作成器を構成する端部誘起電圧調整器の構成例を示す説明図である。
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施例を詳細に説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、或る構成要素が他の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
本実施例では、説明の便宜のため、互いに直交する前後方向、左右方向、及び上下方向という語を用いるが、重力方向は必ずしも下方向に平行である必要はなく、前後方向、左右方向、上下方向又はそれ以外の方向に平行にすることができる。
<リニアモータ駆動装置101>
図1は、本発明の一実施例に係る実施例1のリニアモータシステム100の全体概略構成図である。リニアモータシステム100は、リニアモータ駆動装置101及びリニアモータ104とから構成される。後述するようにリニアモータ104は、相対移動する電機子9及び可動子6を有する。
リニアモータ駆動装置101は、位置検出器106、制御部102、及び電力変換回路105を有する。
位置検出器106は、電機子9に対する可動子6の相対位置(可動子位置)を検出する。本実施例では、可動子(界磁子)6が鉛直方向に移動するが、電機子9及び可動子(界磁子)6が相対移動すれば良く、電機子9が鉛直方向に移動する態様でも良い。また、電機子9及び可動子(界磁子)6が互いに異なる速度で鉛直方向(軸方向)に沿って往復運動する構成としても良い。何れの場合においても、鉛直方向(軸方向)に沿って移動する物体に共振バネ(アシストバネ)23の一端を接続することが好ましい。なお、以下では、可動子(界磁子)6が鉛直方向に往復運動する場合を一例として説明するが、往復運動の方向は鉛直方向に限られるものではない。例えば、可動子(界磁子)6が水平方向に往復運動するよう構成しても良く、また、鉛直方向に対し任意の角度を有する方向に可動子(界磁子)6が往復運動する構成としても良い。また、これらは、電機子9につても同様である。
制御部102は、位置検出器106の検出結果に応じて、電力変換回路105への出力電圧指令値、又は電力変換回路105を駆動するドライブ信号(パルス信号)を出力する。詳細は後述するが、電力変換回路105は、直流電圧源120(図19)の電圧を変換して交流電圧を出力する電力変換部の一例である。なお、直流電圧源120に代えて直流電流源を用いても良い。
<リニアモータ104>
図2はリニアモータ104の斜視図(電機子の構成例の斜視図)である。本実施例のリニアモータ104は、電機子9に対して、永久磁石2(2a,2b)が並んだ方向(前後方向)に相対移動可能な可動子6を有する。電機子9は空隙を介して上下方向に対向する2つの磁極7と、磁極7に捲回された巻線8とを有している。可動子6は、この空隙に配置されている。磁極7は、可動子6に対向する端面としての磁極歯70(ティースとも称される)を有している。
電機子9は、可動子6に対して前後方向の力(以下、推力と称する)を付与できる。例えば、後述するように、可動子6が前後方向に往復運動するように推力を制御できる。
可動子6は、上下方向に磁化した2つの平板状の永久磁石2(2a,2b)を有している。後側の永久磁石2a及び前側の永久磁石2bは、互いに反対方向に磁化されている。本実施例では、後側の永久磁石2aは上側にN極を有し、前側の永久磁石2bは上側にS極を有している。図2では、永久磁石2a,2bは図示しているが、可動子6は図示していない。可動子6としては、例えば、平板状の永久磁石2を固定した平板状のものを採用できる。
制御部102は、可動子6を永久磁石2a,2bが電機子9に対向する範囲で往復運動させるようにドライブ信号を出力する。
図3は、可動子(界磁子)位置に対する電機子鎖交磁束の変化の例を示す図である。横軸を可動子(界磁子)位置(m)、縦軸を磁束(Wb)とし、磁束(Wb)は巻線に電流を流していない時の鎖交磁束であり、永久磁石2による磁束の変化を示している。
巻線8には磁束の時間微分に相当する電圧が誘起され、この電圧は一般的に、誘起電圧、逆起電圧、速度起電圧、などと称される。同じモータでも、可動子の速度に応じて変化し、例えば可動子の速度が高い場合に、誘起電圧が高くなる。
可動子(界磁子)位置に対する磁束の変化の傾き(磁束の変化率)を誘起電圧定数Keとすると、図3において示す(1)の区間においては、誘起電圧定数Keは一定とみなせる。この場合、誘起電圧定数Keに可動子の速度を乗算すると、誘起電圧を算出できる。
一方、図3において示す(2)の区間においては、磁束の変化の傾き(磁束の変化率)が一定ではないため、誘起電圧定数Keは可動子位置に依存する特性となる。つまり、図3のような特性のリニアモータにおいては、可動子(界磁子)位置が中心から離れて往復動する場合には、誘起電圧を算出するのが困難となるという課題がある。
可動子が機械的に拘束されていないフリーピストン構造の場合、可動子位置の最大あるいは最小位置は一定とは限らないため、可動子の瞬時速度が同じでも可動子の位置によって、誘起電圧が変わるという課題がある。なお、回転運動を直線運動に変換する機構を備えている場合には、このような課題は生じない。
リニアモータに流れる電流は、リニアモータに印加する電圧と誘起電圧の関係で定まる。そのため、誘起電圧を正しく算出できないと、印加電圧過多により無用に電流が増え、リニアモータの効率が低下するという問題が発生する。これは、リニアモータを駆動する回路の効率も低下するという問題が発生する。駆動回路の効率が低下すると、その分発熱量が増えるため、放熱フィンの面積を大きくする必要があり、システムが大型化してしまう。
図4は、図2のA−A’線に沿った平面での断面図である(A―A’断面矢視図)。図3に示すように、磁極7及びヨーク7eは、例えば鉄などの磁性体で一体的に形成され、磁気回路を構成している。図4の矢印線は、2つの巻線8に電流を流したときの磁束線の一例を示している。磁束の流れの向きは、巻線8に流れる電流の向きにより逆方向になり得るため、図に示す限りではない。この磁束線により、磁極歯70が磁化される。
[可動子6に付与する推力]
図5は磁極歯70の磁化により、可動子6が受ける推力を説明する図である。巻線8に流れる電流により生じる磁極歯70の極性を、図中の磁極歯70近傍に付した「N」、「S」で表している。また、図5において白抜き矢印は巻線8を流れる電流の向きを示している。図5の左図は、巻線8を流れる電流により、上側の磁極歯70aが「S」、下部の磁極歯70bが「N」に磁化されることにより、可動子6が前方向に力を受け、可動子6が前に移動した例を示している。図5の右図は、巻線8を流れる電流により、上部の磁極歯70aが「N」、下部の磁極歯70bが「S」に磁化されることにより、可動子6が後ろ方向に力を受け、可動子6が後ろに移動した例を示している。
このように、巻線8に電圧や電流を印加することで、2つの磁極7を含む磁気回路に磁束を供給して、対向する2つの磁極歯70(磁極歯組)を磁化できる。電圧や電流として、例えば正弦波や矩形波(方形波)といった交流の電圧や電流を与えることで、可動子6を往復運動させる推力を与えることができる。これにより可動子6の運動を制御できる。
なお、可動子6に付与する推力は、印加する交流電流や交流電圧の振幅を変更することで変えられる。また、可動子6に付与する推力を既知の方法を用いて適切に変更することで、可動子6の変位を所望に変えられる。ここで、可動子6が往復運動(例えば、図5の左図及び右図のような磁極歯70の磁化を順次繰り返すことで可動子6に生じる運動)をする場合、交流波形的に変化する可動子6の変位の変化量をストロークと称する。
磁極歯70は磁性体であるため、永久磁石2を吸引する磁気吸引力が作用する。本実施例では可動子6を挟むよう間隙を介して2つの磁極歯70を対向配置しているため、可動子6に作用する磁気吸引力の合力を低減できる。
[可動子6外部の機構]
図6は、可動子6に接続される外部機構の説明図であり、例えば、コイルバネである共振バネ23(アシストバネ)によって構成される外部機構を可動子6の一端に接続し、そのバネ力により可動子6が戻される機構を説明する図である。共振バネ23は、一端が中間部24を介して可動子6に接続し、他端が基部25に固定されている。また、共振バネ23の延在方向と略平行に延在し、共振バネ23を案内又は支持する側部26が設けられている。リニアモータ104を往復運動させる場合、可動子6の運動方向が変わる度に、加速と減速を繰り返す。減速時は、可動子6の速度エネルギーが電気エネルギーに変換される(回生動作)が、リニアモータ104への配線の抵抗によって損失が生じる。一方、図6のように、可動子6に共振バネ23(アシストバネ)を付加し、可動子6の質量とバネ定数から決まる機械的な共振周波数で、可動子6を往復運動させる場合、可動子6の速度エネルギーを有効活用でき、高効率なリニアモータ駆動システムを構成することができる。共振バネ23に代えて、例えば、板バネ、或は、適度なヤング率を有しコイルバネを用いた場合と同様に伸縮するゴム等の弾性体を用いても良い。このように構成すると、可動子(界磁子)6が鉛直方向に移動する可動子(界磁子)移動型として構成されるが、可動子6に代えて電機子9に弾性体を接続して電機子9を鉛直方向に移動させる電機子移動型として構成しても良い。
図7は、駆動周波数とストロークの関係の説明図であり、交流電圧の駆動周波数を横軸に、可動子6のストロークを縦軸にとり、これらの関係を示す図である。各駆動周波数における交流電圧の振幅は同一である。図7から分かるように、共振周波数付近で可動子6のストロークが急峻に大きくなり、共振周波数から離れるとストロークが小さくなる特性を示す。共振周波数は、共振バネ23のバネ定数kを可動子6の質量mで除した値の平方根で与えられるが、リニアモータ104の系によっては、この値は近似値となる。
このように、共振周波数又はこの近傍の駆動周波数の交流電圧を印加することで、大きなストローク(大きなエネルギー)で振動させることができる。つまり、可動子6に共振バネ23等の弾性体を付加したリニアモータ104を制御する場合には、可動子6の共振周波数を検出あるいは推定することが重要である。可動子6のストロークを所望に制御する場合においても可動子6の共振周波数を検出あるいは推定することが重要である。
[駆動時の位相関係]
図8は、可動子の位置と可動子の速度との位相関係、及び印加電圧とモータ電流の位相関係の説明図である。リニアモータ104を駆動した際の、図8の上図に可動子6の位置と速度の時間変化、図8の下図に印加電圧波形とリニアモータ104に流れる電流の時間変化の関係を示している。なお、図8の上図と下図は、同じタイミングの波形である。図9は、図8の交流波形をベクトルとして示した図である。共振バネ23を有する外部機構を接続した可動子6を往復運動させると、可動子6の変位は正弦波状に変化する。可動子6の速度は変位の時間微分であるため、余弦波状に変化する。そのため、これらは直交2軸上にベクトルとして示すことができる。図8および図9より、可動子6の速度、印加電圧、およびモータ電流はほぼ同位相であることがわかる。
また、可動子6に共振バネ23を付加し、可動子6の質量とバネ定数から定まる機械的な共振周波数で可動子6を往復運動させる場合、可動子6の位置の位相は、巻線8への印加電圧Vm、モータ電流Im、及び可動子6の速度の位相それぞれに対して90度の位相差となることが知られている。すなわち、これらの何れかの関係が成立している時は、共振周波数で駆動していると推定できる。
リニアモータ104の巻線抵抗や巻線インダクタンスの値、あるいは可動子6に付加された負荷要素によっては、巻線8への印加電圧Vm、モータ電流Im、及び可動子6の速度の位相関係は必ずしも90度の位相差とは限らないため、条件によって変更する制御部を備えることが望ましい。この時、特に、負荷の変動に起因するモータ電流Imの変化を考慮するのが望ましい。
製造バラつきによって可動子6の質量が想定からずれている場合や、可動子6に付加された負荷要素によって、共振バネ23に接続される質量が変化する場合は、共振周波数が変化してしまう。また、可動子6に付加された負荷要素が位置依存性を有する場合においては、駆動中に共振周波数が変化してしまう。このような場合においても所望のストロークを得るためには、条件によって変化する共振周波数を高精度に検出あるいは推定することが好ましい。
<制御部102>
図1に示すように、制御部102は、位相差検出器130、位相差検出器130の出力である位相差dltθが位相差指令値に追従するように駆動周波数指令値ωを調整する駆動周波数調整器131、積分器140、電圧指令値Vmを出力する電圧指令値作成器103、及び、電圧指令値Vmと三角波キャリア信号を比較して、電圧を出力する電力変換回路105を駆動するドライブ信号を出力するPWM信号作成器134から構成される。
制御部102は、位置検出器106による可動子(界磁子)位置検出値xmを入力する。ここで、位置検出器106として、例えば、レーザ変位計などが用いられる。制御部102に入力された可動子(界磁子)位置検出値xmは、制御部102を構成する位相差検出器130に入力される。位相差検出器130は、詳細後述する位相指令値である基準位相θと可動子(界磁子)位置検出値xmの位相差dltθを出力する。位相差検出器130より出力される位相差dltθは駆動周波数調整器131に入力される。駆動周波数調整器131は、入力された位相差dltθに基づき周波数指令値ωを出力する。周波数指令値ωに基づく印加電圧Vmが、リニアモータ104へ出力される。
可動子(界磁子)6が往復動している場合、可動子(界磁子)位置xmは交流波形であり、最大変位と最小変位の差がストロークである。なお、フリーピストン構造の場合は、最大変位と最小変位の絶対値が異なる場合もあり、この場合、弾性体の弾性力が釣り合う中心を基準(ゼロ)とし、正の最大変位を正側ストローク、負の最大変位の絶対値を負側ストロークと称する。すなわち、正側ストロークと負側ストロークの加算が、ストロークである。駆動条件によっては正側ストロークと負側ストロークは異なる場合もある。
可動子6の質量や共振バネ23のバネ定数が想定からずれている場合、共振周波数が想定値から変化してしまうが、その影響は巻線8への印加電圧Vm、モータ電流Im、及び可動子6の速度の位相関係から見て取れるため、これらの位相関係を基に制御することで、高効率なリニアモータシステムを構成することができる。可動子6に付加された負荷要素が位置依存性を有する場合においても、巻線8への印加電圧Vm、モータ電流Im、及び可動子6の速度の位相関係を基に制御することで、高効率なリニアモータシステムを構成することができる。
以下、制御部102を構成する上述の各部の構成或いは動作について説明する。
<基準位相作成器>
本実施例の位相指令値である基準位相θは、図1に示す駆動周波数調整器131の出力である駆動周波数指令値ωを基準位相作成器としての積分器140で積分することで得る。すなわち、基準位相θは、印加電圧Vm(θ)の目標周波数に相当する駆動周波数指令値ωを持つ波動の各時刻の位相θである。このように、本実施例では基準位相θとして駆動周波数調整器131の駆動周波数指令値ωを用いているが、例えば可動子6を含む振動体の機械共振周波数に固定しても良い。
基準位相θは、駆動周波数指令値ωが一定の間は、例えば、各時刻に対して[−π,π]、[0,2π]、又はこれより広い範囲を値域とする、のこぎり波としたり、時刻に対して線形に増加するようにしても良い。後述するように駆動周波数指令値ωが変動した場合は、これに応じてのこぎり波や線形な増加の形状が変動する(傾きが変化する)。
<位相差検出器130>
可動子6が往復運動している場合、可動子6の位置xm及び速度、モータ電流Imは周期関数となる。周期関数はフーリエ級数で表せるため、フーリエ変換式を用いて可動子6の位置xmを表すと、次式(1)のように定義できる。
Figure 0006899720
ここで、xは直流オフセット値、aおよびbはn次のフーリエ係数であり、次式(2)及び式(3)で求められる。
Figure 0006899720
Figure 0006899720
ここで、Tは基本波の周期(可動子6の往復運動する周期)、つまり1次周波数(駆動周波数)の逆数である。可動子6に共振バネ23が付加された、いわゆるバネマス系においては、可動子6の質量とバネ定数から決まる機械的な共振周波数が支配的な成分となる。そのため、基本波に注目すれば良い。
可動子6を共振周波数で駆動させようと制御する場合、高次成分は重要ではなく、1次成分、つまり駆動周波数成分に注目すれば良い。特に、可動子6の位置xmの1次周波数成分(駆動周波数成分)の位相が重要である。1次のフーリエ係数の逆正接により、正弦波状の印加電圧Vmに対する可動子6の位置xmを次式(4)で求めることができる。
Figure 0006899720
式(4)では、積分範囲は、−2π〜0となっている。これは、位相差検出器130をマイコンやDSP(Digital Signal Processor)等の半導体集積回路等で実現する場合に、過去の情報しか取得できないためである。
図10は、図1に示す制御部102を構成する位相差検出器130の構成例を示す説明図であって、式(4)をブロック図で示した場合の説明図である。入力値の正弦を出力する正弦演算器81及び入力値の余弦を出力する余弦演算器82のそれぞれに、位相指令値である基準位相θを入力し、基準位相θ(位相指令値)に対する正弦及び余弦を得る。正弦及び余弦それぞれを可動子位置xmと乗算した値が乗算器92から出力される。その出力をそれぞれ積分器94a,94bで積分すると、正弦及び余弦それぞれの1次のフーリエ係数を得る。すなわち、フーリエ展開の駆動周波数ωより高次の周波数成分を消去できるので、高次のノイズに対してロバストに構成できる。
積分器94a,94bの出力を逆正接器86に入力する。逆正接器86は、入力された正弦及び余弦成分を基に逆正接値を出力する。本実施例の逆正接器86は、分子を積分器94aの出力、分母を積分器94bの出力とした位相の逆正接値を出力するが、分子と分母を逆にした値を出力しても良い。
図11は、駆動周波数と位相差検出器130からの出力の関係の説明図である。すなわち、交流電圧の駆動周波数(横軸)と、逆正接器86の出力値(位相差dltθ(θpos^))(縦軸)の関係を示す図である。図11から分かるように、本実施例では、駆動周波数が共振周波数である場合、0°が逆正接器86から出力される。逆正接器86から出力される値は、駆動周波数が共振周波数より高い場合は0°より大きく、駆動周波数が共振周波数より低い場合は、0°より小さい。これにより、基準位相θに対する位相差検出器130への入力交流信号(本実施例では、可動子6の位置xm)の1次周波数成分の基準位相θに対する位相差dltθを求めることができ、共振周波数の推定が可能になる。そして例えば、位相差dltθが0°超の場合は、位相差dltθが低下するように制御し、0°未満の場合は、増加するように制御すれば良い。基準位相θと基本周波数ωとが同値となるときの位相差dltθを目標値dltθとして制御することが好ましい。
なお、積分器94a、94bに代えて、不完全積分器を用いることができる。不完全積分器はローパスフィルタ(低域通過フィルタ)の一種で、1次遅れフィルタと同様の構成にできる。もちろん、1次遅れフィルタに限らず、2次遅れフィルタ等、他の既知の構成でローパスフィルタを構成しても良い。その他、不完全積分器に代えて、又は追加して、積分器94a,94b(又は不完全積分器)より前段に、ハイパスフィルタ(図示せず)を設けることができる。ハイパスフィルタの遮断周波数としては、例えば10Hz又は5Hz以下にすることができる。
このように、位相差検出器130は、駆動周波数成分の1次のフーリエ係数の比の逆正接を用い、交流電圧指令値Vに対する可動子6の位置xmの位相θを求めるとき、位相差検出器130への入力交流信号である可動子6の位置xmの1次周波数成分のみに大きな感度を有する。つまり、例えば、可動子6の位置xmに、直流オフセットや高次のノイズが重畳された場合においても、基準位相θに対する位相差検出器130への入力交流信号である可動子6の位置xmの1次周波数成分の位相dltθをより正確に求められる。また、ハイパスフィルタを上記のように設ける場合は、さらに駆動周波数ωより小さな周波数に対してもロバストに構成できる。
したがって、可動子6の位置xmの検出方法として、ノイズが重畳され易いシステム、例えばインダクタンスの可動子位置依存性が大きいシステムや、近傍に別の機器が存在するシステムを採用する場合に、特に有効な制御を実現できる。このように、高精度に共振周波数を検出あるいは推定し、高効率なリニアモータ駆動を実現することができる。
<駆動周波数調整器131>
図12は、図1に示す制御部102を構成する駆動周波数調整器131の構成例を示す説明図である。駆動周波数調整器131は、位相差指令値dltθ(例えば、0°)と位相差検出器130で求めた位相差dltθの差を減算器91で求め、これに乗算器92bで比例ゲインKp_adtrを乗じて比例制御した演算結果と、乗算器92cで積分ゲインKi_adtrを乗じ、その結果を積分器94cで積分する積分制御した演算結果とを加算器90で加算し、当該加算結果に更に周波数指令初期値(ω)を加算することで駆動周波数指令値ωを出力する。
なお、周波数指令初期値(ω)は、上位の制御器(図示せず)から得ても良いし、予め例えば0°と設定しても良い。また、本実施例の駆動周波数調整器131は、比例積分制御の構成であるが、比例制御や積分制御など、他の制御構成も適用できる。
[高効率駆動の実現]
リニアモータ104を可動子6の質量とバネ定数から定まる機械的な共振周波数で駆動する場合の位相差検出器130と駆動周波数調整器131の動作を説明する。
例えば、可動子6の質量が設計値よりも重かった場合、実際の共振周波数は、設計値よりも低くなる。つまり、可動子6の質量設計値を用いて駆動周波数の初期値を決めた場合(設計値を利用して駆動周波数指令値ωの初期値を決めた場合)には、実際の共振周波数よりも高い周波数で駆動することになる。この時、位相差検出器130で求めた位相差dltθは、位相差指令値dltθよりも大きい値となる。そのため、駆動周波数調整器131は、駆動周波数指令値ωを減少させる制御を実行し、その結果、駆動周波数指令値ωが実際の共振周波数に一致する。したがって、可動子6の速度エネルギーを有効活用でき、高効率にリニアモータ104を駆動することができる。
<電圧指令値作成器>
図13は、図1に示す制御部102を構成する電圧指令値作成器103の構成例を示す説明図である。電圧指令値作成器103は、可動子6の速度に応じて生じる誘起電圧に相当する電圧指令値Vm2 を生成する。
図13の上図は、ストローク制御器を有しない、いわゆるオープン指令型の構成例である。電圧指令値作成器103は、余弦演算器82b、乗算器92d〜92f、及び端部誘起電圧調整器133を備える。
電圧指令値作成器103は、予め設定された、或は、上位の制御器(図示せず)などから得るストローク指令値lと、駆動周波数調整器131の出力である駆動周波数指令値ωと、基準位相作成器としての積分器140の出力である基準位相θと、位置検出器106の出力である可動子位置xmと、を入力する。
入力値の余弦を出力する余弦演算器82bに基準位相θを入力し、その余弦出力と、ストローク指令値lと、駆動周波数指令値ωと、を乗算器92dにて乗算し、速度指令値vmを得る。速度指令値vmは、可動子6の位置の指令値xmの微分から求めることもでき、図13の構成の基となる演算式を次式(5)に示す。
Figure 0006899720
速度指令値vmは、ストローク指令値lを振幅とした正弦波で表すことができる。正弦波を時間微分すると余弦波になるため、図13の上図に示す構成とすると微分演算を省略することができ、制御部102への実装が容易になる。
速度指令値vmに、誘起電圧定数Keを乗算器92eにて乗じ、誘起電圧定数Keが一定とした場合の誘起電圧に相当する電圧指令値Vm1 を生成する。
ここで、駆動するリニアモータ104の特性として、可動子位置に対する電機子9の鎖交磁束の変化が図3に示した様な特性の場合、ストロークが大きい場合には誘起電圧定数Keを一定とは見做すことができない。
仮に、誘起電圧定数Keを一定として電圧指令値Vm1 を作成した場合、ストロークの端部(正の最大変位および負の最大変位)近傍で印加電圧過多(印加電圧>誘起電圧)となり、無駄な電流が流れることで、リニアモータの効率が低下する。
また、リニアモータの効率のみならず、後述する電力変換回路105での損失も増える。さらに、大電流に対応するために、電流容量の大きな(一般的に面積の大きい)スイッチング素子を使う必要がある。その結果、電力変換回路自体や放熱フィンが大きくなってしまい、リニアモータ駆動装置101の小型化が困難となる。
そこで、本実施例では、誘起電圧定数Keが一定とした場合の誘起電圧に相当する電圧指令値Vm1 に、乗算器92fにて端部誘起電圧調整器133の出力である端部誘起電圧調整ゲインを乗ずることで、リニアモータ104に印加する電圧指令値Vm2 を生成する。詳細後述する端部誘起電圧調整器133は、位置検出器106より可動子位置xmを入力し、可動子位置xmに対応する端部誘起電圧調整ゲインを出力するものである。
図13の下図は、ストローク制御器153を有する、いわゆるクローズ指令型の電圧指令値作成器103bの構成例である。電圧指令値作成器103bは、余弦演算器82b、乗算器92d〜92f、端部誘起電圧調整器133、及びストローク制御器153を備える。
電圧指令値作成器103bは、予め設定された、或は、上位の制御器(図示せず)などから得るストローク指令値lと、駆動周波数調整器131の出力である駆動周波数指令値ωと、基準位相作成器としての積分器140の出力である基準位相θと、位置検出器106の出力である可動子位置xmと、を入力する。
入力値の余弦を出力する余弦演算器82bに基準位相θを入力し、その余弦出力と、入力されるストローク指令値l及び可動子位置xmに基づきストローク制御器153より出力されるストローク指令値l**と、駆動周波数指令値ωと、を乗算器92dにて乗算し、速度指令値vmを得る。
速度指令値vmに、誘起電圧定数Keを乗算器92eにて乗じ、誘起電圧定数Keが一定とした場合の誘起電圧に相当する電圧指令値Vm1 を生成する。誘起電圧定数Keが一定とした場合の誘起電圧に相当する電圧指令値Vm1 に、乗算器92fにて端部誘起電圧調整器133の出力である端部誘起電圧調整ゲインを乗ずることで、リニアモータ104に印加する電圧指令値Vm2 を生成する。
すなわち、電圧指令値作成器103bは、位置検出器106の出力である可動子位置xmの相当するストローク検出値またはストローク推定値をフィードバックし、ストローク制御器153でストローク指令値を制御する。
<端部誘起電圧調整器>
図14は、図13に示す電圧指令値作成器103,103aを構成する端部誘起電圧調整器133の第1の構成例を示す説明図である。端部誘起電圧調整器133は、位置検出器106の出力である可動子位置xmを入力とし、端部誘起電圧調整ゲインを出力する。端部誘起電圧調整ゲインの決め方は、様々な形態が考えられる。いずれの形態においても、磁束の変化率が小さい可動子位置xmにおいて、印加電圧のうち、磁束の変化に応じて印加する電圧成分を小さくする。
まず図14に示す例では、入力される可動子位置xmに応じて、余弦関数の絶対値(|cosθ|)を端部誘起電圧調整ゲインとして出力する。図3に示したように、リニアモータ104の可動子(界磁子)6の位置に対する電機子9の鎖交磁束は、±0.01m(±10mm)の位置で傾きがゼロとなる特性を有する。換言すれば、図14において、下死点である−10mm近傍及び上死点である10mm近傍では、誘起電圧定数Keはゼロとなる。これは、上死点及び下死点近傍では可動子6の速度が略ゼロとなるため、可動子6に対する電機子9の鎖交磁束の傾き(磁束の変化率)がゼロとなるため誘起電圧が略ゼロとなることに因る。
そのため、端部誘起電圧調整ゲインを略ゼロとすることで、誘起電圧定数Keが一定として誘起電圧に相当する電圧指令値Vm1 を生成する場合においても、電圧指令値作成器103,103aから出力される電圧指令値Vm2 は、略ゼロとなる。これにより、リニアモータ104に印加される電圧は、リニアモータ104の誘起電圧の変化に応じて調整され、印加電圧が過多となることを防止できる。
従って、巻線8を流れる無駄な電流を抑制でき、リニアモータ104を高効率で駆動することができる。また、電力変換回路105での損失も抑制できることから、必要最小限の電流容量のスイッチング素子や放熱フィンを採用でき、リニアモータ駆動装置101の小型化を実現することができる。
一方、可動子6が中心位置付近で往復動している場合、端部誘起電圧調整ゲインは1に近い値となるため、誘起電圧定数が一定として誘起電圧に相当する電圧指令値Vm1 (=Vm2 )がリニアモータ104に印加される。すなわち、誘起電圧に近い電圧がリニアモータ104に印加され、無駄な電流を抑制できる。
このように、電圧指令値作成器103,103aが端部誘起電圧調整器133を備えることにより、ストロークの大小或いはストロークの正負非対称に拘わらず、常に誘起電圧に応じた電圧がリニアモータ104に印加される。換言すれば、電機子9と可動子(界磁子)6の相対位置の変動により生じる磁束の変化率に応じた電圧成分の絶対値を有する電圧がリニアモータ104に印加される。これにより、リニアモータ駆動装置101の高効率化と小型化を実現することが可能となる。
なお、図14に示す可動子位置とゲインとの関係を示す特性曲線は、端部誘起電圧調整器133内の予め図示しない記憶部に格納されている。端部誘起電圧調整器133は、記憶部に格納される可動子位置とゲインとの関係を示す特性曲線に基づき、入力される可動子位置xmに対応するゲインを端部誘起電圧調整ゲインとして出力する。
図15は、図13に示す電圧指令値作成器103,103aを構成する端部誘起電圧調整器の第2の構成例を示す説明図である。端部誘起電圧調整器133aは、図3に示した可動子位置に対する電機子鎖交磁束の関係を、可動子位置で微分した値を端部誘起電圧調整ゲインとして出力する。
可動子6が中心付近に位置する場合は、電機子差交磁束の傾き(磁束の変化率)は1に近くなるため、端部誘起電圧調整器133aは端部誘起電圧調整ゲインとして1を出力する。ストロークが少し大きくなると(例えば、8mm)、電機子差交磁束の傾き(磁束の変化率)が小さくなるため、それに応じて端部誘起電圧調整ゲインを1より小さい値にする。さらにストロークが大きくなり、可動子6が端部(上死点または下死点)まで往復動する場合においては、可動子位置が±10mm近傍においては、端部誘起電圧調整ゲインとしてゼロに近い値を出力する。
図16は、図13に示す電圧指令値作成器103,103aを構成する端部誘起電圧調整器の第3の構成例を示す説明図である。端部誘起電圧調整器133bは、所定の可動子位置(x1)までは、端部誘起電圧調整ゲインとして1を出力し、可動子位置がx1を超えた場合は、可動子位置の絶対値の増加に対して単調減少となる端部誘起電圧調整ゲインを出力する。図16では、単調減少ゲインの例として、1次関数的にゲインが小さくなる例を示している。
なお、電機子9の構成によっては、可動子位置xmに対する電機子差交磁束が正弦波状ではなく、高次の成分が重畳されている場合もある。その場合は、端部誘起電圧調整ゲインは、所定の可動子位置を越えても単調減少ではなく、極大値を持つように、可動子位置と端部誘起電圧調整ゲインの関係を変更すれば良い。
このように、いくつか構成例を示した端部誘起電圧調整器であるが、リニアモータ104に印加される電圧波形で見ると、図17に示す電圧波形となる。図17は印加電圧波形の説明図であり、図17の上図は小スクローク時の電圧波形を示し、図17の下図は大スクローク時の電圧波形を示している。図17の上図に示すように、ストロークが小さい時は余弦波に近い波形をリニアモータ駆動装置101がリニアモータ104へ出力する。一方、図17の下図に示すように、ストロークが大きい時は、点線で囲まれる領域、すなわち、ゼロクロス近傍で歪んだ波形を、リニアモータ駆動装置101がリニアモータ104へ出力する。ストロークが増加するに従い、歪具合が大きくなる。換言すれば、印加電圧の波形をFFT(Fast Fourier Transform)などで周波数分析すると、ストロークが大きくなるに従い、歪率が大きくなる。
なお、図17の下図において、点線で囲まれる領域(ゼロクロス近傍)における電圧波形の歪は、高調波成分の含有に因るものである。すなわち、上述の図14〜図16に示した可動子位置とゲインとの関係を示す特性曲線に基づき、可動子6が端部(上死点または下死点)近傍に位置するとき、端部誘起電圧調整器が出力する端部誘起電圧調整ゲインを、乗算器92f(図13)にて乗ずると、電圧指令値作成器103,103aより出力される電圧指令値Vm2 の電圧波形は、3次成分の高調波が重畳された波形、すなわち、1次成分に3次成分の高調波が含まれた波形となる。よって、リニアモータ駆動装置101は、ストロークの増加に伴いゼロクロス近傍での高調波成分の含有率を高くし、印加電圧をリニアモータ104へ出力する。
<ストローク制御器153>
図18は、図13の下図に示す電圧指令値作成器103aを構成するストローク制御器153の構成例を示す説明図である。図18に示すように、ストローク制御器153は、ストローク指令値lと、可動子位置xmに対応するストローク検出値またはストローク推定値の差を減算器91aで求め、これに乗算器92dで比例ゲインKp_astrを乗じて比例制御した演算結果と、乗算器92eで積分ゲインKi_astrを乗じ、その結果を積分器94dで積分する積分制御した演算結果とを加算器90aで加算し、調整後のストローク指令値l**を出力する。本実施例のストローク制御器153は比例積分制御の構成であるが、比例制御や積分制御など、他の制御構成も適用できる。
このようにストローク制御器153を構成することにより、ストローク指令値通りに可動子6を制御することができると共に、ストロークの変化によって誘起電圧定数Keを一定と見做すことができない場合においても、誘起電圧に応じた電圧がリニアモータ104に印加される。これにより、リニアモータ駆動装置103aの高効率化と小型化を実現することができる。
<PWM信号作成器134>
図1に示す制御部102を構成するPWM信号作成器134には、三角波のキャリア信号と電圧指令値Vmを比較することによる既知のパルス幅変調を用い、電圧指令値Vmに応じたドライブ信号が生成され、生成されたドライブ信号は電力変換回路105へ出力される。
<電力変換回路105>
図19は、図1に示すリニアモータ駆動装置101を構成する電力変換回路105の構成例を示す図である。フルブリッジ回路126は、制御部102により入力されたドライブ信号に応じて直流電圧源120をスイッチングして、リニアモータ104に電圧を出力する。フルブリッジ回路126は4つのスイッチング素子122を備えており、直列接続されたスイッチング素子122a,122bを持つ第一上下アーム(以下、U相と称する)と、スイッチング素子122c,122dを持つ第二上下アーム(以下、V相と称する)と、を構成している。スイッチング素子122は、制御部102で生成される電圧指令値Vmやパルス幅変調によるドライブ信号を基に、ゲートドライバ回路123が出力するパルス状のゲート信号(124a〜124d)に応じてスイッチング動作できる。
スイッチング素子122の導通状態(オン/オフ)を制御することにより、直流電圧源120の直流電圧を交流電圧に相当する電圧を巻線8に出力できる。なお、直流電圧源120に代えて直流電流源を用いても良い。スイッチング素子122としては、例えば、IGBTやMOS−FETなどの半導体スイッチング素子を採用できる。
[リニアモータ104との結線]
電力変換回路105の第一上下アームのスイッチング素子122a,122b間および第二上下アームのスイッチング素子122c,122d間それぞれが、リニアモータ104に接続されている。図19では、上側及び下側の電機子9の巻線8が並列に接続されている例を示しているが、巻線8を直列に接続することもできる。
以上のように、本実施例によれば、リニアモータの推力を検出するセンサをリニアモータ内に配することなく、巻線に流れる無効電流を抑制し、リニアモータを高効率に駆動し得るリニアモータシステムを提供することが可能となる。具体的には、磁束の変化率が小さい可動子位置において、印加電圧のうち、磁束の変化に応じて印加する電圧成分(電圧成分の絶対値)を小さくすることにより、高効率なリニアモータシステムを実現することができる。また、可動子(界磁子)と電機子の相対位置の増加(ストロークの増加)に応じて、巻線に印加する電圧の高調波成分の含有率を高くすることにより、効率なリニアモータシステムを実現することができる。
本実施例の構成は、下記の点を除き実施例1と同様にできる。本実施例は、後述するリニアモータシステム200を搭載した機器の一例としての密閉型圧縮機50に関する。
<密閉型圧縮機50>
図20は、本発明の他の実施例に係る実施例2の密閉型圧縮機の縦断面図であり、リニアモータ104を有する密閉型圧縮機50の縦断面図の一例である。密閉型圧縮機50は、圧縮要素20と電動要素30とが密閉容器3内に配置されたレシプロ圧縮機である。圧縮要素20及び電動要素30は支持ばね49によって密閉容器3内に弾性的に支持されている。電動要素30は、可動子(界磁子)6及び電機子9を含む。
圧縮要素20、はシリンダ1aを形成するシリンダブロック1と、シリンダブロック1の端面に組み立てられるシリンダヘッド16と、吐出室空間を形成するヘッドカバー17とを備えている。シリンダ1a内に供給された作動流体はピストン4の往復動によって圧縮され、圧縮された作動流体は圧縮機外部に連通する吐出管(図示せず)へと送られる。なお、作動流体は、例えば、空気や冷凍サイクルの冷媒などを採用できる。
可動子(界磁子)6の一端にはピストン4が取り付けられている。本実施例では、可動子(界磁子)6及びピストン4が往復運動することで、作動流体を圧縮及び膨張させる。この圧縮及び膨張に要する仕事等が変動する負荷に相当する。電動要素30の片端には圧縮要素20を配置してある。シリンダブロック1は、可動子6の往復運動を案内するガイドロッドを前後方向に沿って有している。
可動子6に共振バネ23(図20中では図示せず)を付加し、可動子(界磁子)6の質量とバネ定数から決まる機械的な共振周波数で可動子(界磁子)6を往復運動させる場合、圧縮要素20による共振周波数への影響も考慮する必要がある。すなわち、圧縮要素20の吸込圧力や吐出空間の圧力によって、作動流体のバネ的な作用が加わるため、共振状態となる周波数が変化する。すなわち、シリンダ1aの圧力が高い場合には、可動子(界磁子)6に付加された共振バネ23のバネ定数が高いのと等価であり、共振周波数は高くなる。反対に、シリンダ1aの圧力が低い場合には、可動子(界磁子)6に付加された共振バネ23のバネ定数が支配的となり、共振周波数は、可動子(界磁子)6の質量とバネ定数から決まる機械的な共振周波数に近い。
このように、リニアモータ104を圧縮要素20の動力とする場合は、圧縮要素20の条件(吸込圧力、吐出圧力、吸込と吐出の圧力差等)によって共振周波数が変化してしまう。そのため、負荷や共振周波数の変化に合わせて駆動周波数を変化させることが必要である。
それに加え、誘起電圧定数Keを一定として電圧指令値を作成した場合、ストロークの端部(正の最大変位および負の最大変位)近傍で印加電圧過多(印加電圧>誘起電圧)となり、無駄な電流が流れることで、リニアモータ104の効率が低下するという課題がある。
共振周波数が変化してしまう影響は、巻線8への印加電圧Vm、モータ電流Im、及び可動子6の速度の位相関係から見て取れる。そのため、これらの位相関係を基に制御することで、高効率なリニアモータシステムを構成することができる。
また、密閉容器3にリニアモータ104を設置する場合は、ハーメチックコネクタやハーメチックシールと称される、気密性を持ったコネクタが用いられることがある。気密性を保つためには、コネクタの数は最小限にするのが望ましい。そのため、後述する本実施例のリニアモータシステム200は、リニアモータ104に印加する電圧Vmと、リニアモータ104に流れるモータ電流Imから可動子6の位置を位置推定器135で推定し、位置推定値xm^を基に、高精度に共振周波数を検出あるいは推定し、高効率なリニアモータ駆動を提供する。
図21は、本実施例のリニアモータシステム200の全体概略構成図である。図21に示すように、リニアモータシステム200は、上述の実施例に1におけるリニアモータシステム100と同様の構成であるが、負荷電流検出器150、電流検出器107、電圧指令値Vmを出力する電圧指令値作成器103b、及び位置推定器135が異なる。以下では、これら、負荷電流検出器150、電流検出器107、電圧指令値作成器103b、及び位置推定器135について説明する。その他の構成は上述の実施例1におけるリニアモータシステム100と同様であるため説明を省略する。
<負荷電流検出器150>
図23は、図21に示す制御部202を構成する負荷電流検出器の構成例を示す説明図である。本実施例の負荷電流検出器150は、フーリエ変換式を用いて負荷電流成分の振幅を抽出する。
負荷電流検出器150は、図10に示した位相差検出器130の構成と同様に、入力値の正弦を出力する正弦演算器81と、入力値の余弦を出力する余弦演算器82のそれぞれに、位相指令値である基準位相θを入力し、基準位相θに対する正弦及び余弦を得る。正弦及び余弦それぞれをモータ電流Imと乗算した値が乗算器92からそれぞれ出力される。その出力をそれぞれ積分器94e,94fで積分すると、正弦及び余弦それぞれの1次のフーリエ係数を得る。すなわち、フーリエ展開の駆動周波数ωより高次の周波数成分を消去できるので、高次のノイズに対してロバストに構成できる。
積分器94e,94fの出力を二乗し、平方根演算器96に入力する。すなわち、正弦及び余弦それぞれの1次のフーリエ係数となる、正弦成分及び余弦成分の二乗和平方根を得て、基本波電流の振幅を得る。負荷の増加に伴い、基本波電流の振幅も増加するため、図23の構成により、負荷電流Im_ldを検出することができる。
図24は、図21に示す制御部202を構成する負荷電流検出器の他の構成例を示す説明図である。負荷電流検出器150bは、入力値の余弦を出力する余弦演算器82に位相指令値である基準位相θを入力し、基準位相θに対する余弦を得る。得られた余弦とモータ電流Imを乗算器92にて乗算することで、モータ電流Imの基本周波数のcos成分(Im_cos)を抽出する。次に、モータ電流Imの基本周波数のcos成分(Im_cos)を一次遅れフィルタ141でローパスフィルタ(低域通過フィルタ)処理し、負荷電流Im_ldとして出力する。
なお、図24には1次遅れフィルタの構成例を示したが、1次遅れフィルタに限らず、2次遅れフィルタ等、他の既知の構成でローパスフィルタを構成しても良い。
図8および図9で示したように、可動子の位置を正弦波とすると、負荷電流は余弦成分が支配的になる。そのため、図24の構成は抽出した余弦成分を、フィルタ処理をすることで、負荷電流を検出することができる。図24の構成とした場合、演算負荷低減に有効である。
<電圧指令値作成器103b>
図25は、図21に示す制御部202を構成する電圧指令値作成器103bの構成例を示す説明図である。図25に示すように、電圧指令値作成器103bは、基準位相θと、後述する位置推定器135の出力である位置推定値xm^と、負荷電流検出器150で検出した負荷電流Im_ldを入力し、可動子(界磁子)6の速度に応じて生じる誘起電圧に相当する電圧指令値Vm1 と、リニアモータ104の抵抗及びインダクタンスによる電圧降下分に相当する電圧指令値Vm3 をベクトル加算した電圧指令値Vm2 を出力する。
負荷電流Im_ldに、予め設定或いは推定した抵抗値R とインダクタンス値L を乗算器92にてそれぞれ乗ずる。次に、負荷電流Im_ldと抵抗値R を乗じた値に、入力値である基準位相θの余弦を出力する余弦演算器82の出力を乗算器92にて乗じ、負荷電流Im_ldとインダクタンス値L を乗じた値に、入力値である基準位相θの負の正弦を出力する正弦演算器81aの出力を乗じる。更に、これらを加算器90で足し合わせ、電圧降下分に相当する電圧指令値Vm3 として出力する。
電圧指令値Vm1 および電圧指令値Vm3 は、どちらも交流波形となるため、電圧指令値作成器103bではベクトル和(ベクトル加算)を出力しているのと等価である。
図26は、軽負荷時及び重負荷時における電圧指令値作成器103bでのベクトル和を示すベクトル図であり、電圧指令値作成器103bでのベクトル加算をベクトル図で示した説明図である。図26の左図は軽負荷時、すなわち負荷電流が小さい時のベクトル図で、図26の右図は重負荷時、すなわち負荷電流が大きい時のベクトル図である。図26の左図及び右図とも、ストローク指令値は同じ値のため、誘起電圧に相当する電圧指令値Vm1 は、同じベクトルとなっている。なお、図26の左図及び右図において、反時計回りを正としている。
このように、誘起電圧に相当する電圧指令値Vm1 に対し、リニアモータ104の抵抗及びインダクタンスによる電圧降下分に相当する電圧指令値Vm3 をベクトル加算することで、負荷電流Im_ldに応じて電圧指令値Vm2 の振幅が増加すると共に、交流電圧指令位相θVm の分、位相が進んだ、単相の交流電圧指令値Vm2 が出力される。つまり、可動子6のストロークが同じ、換言すれば、速度指令値vmが同じでも、負荷条件に応じて電圧指令値Vm2 を適切に制御する。
ストローク指令値l、位相指令値θ、速度指令値vmのいずれかを変更することにより、リニアモータ104に印加する電圧Vm2 を調整することができる。そのため、印加電圧の振幅及び周波数を調整することで、駆動周波数を共振周波数に制御することやストロークを制御することが可能となる。
実施例1と同様に、電圧指令値作成器103bは、端部誘起電圧調整器133を備える。そのため、可動子位置に応じて適切な端部誘起電圧調整ゲインを乗ずることにより、誘起電圧に近い電圧がリニアモータ104に印加され、無駄な電流を抑制でき、リニアモータ104を高効率で駆動することができる。
図27は、図21に示す制御部202を構成する電圧指令値作成器の他の構成例を示す説明図である。図27に示すように、電圧指令値作成器103cは、誘起電圧に相当する電圧指令値Vm1 に対し抵抗及びインダクタンスによる電圧降下分に相当する電圧指令値Vm3 をベクトル加算後の電圧指令値に、端部誘起電圧調整器133の出力である端部誘起電圧ゲインを乗算器92fにて乗ずる構成とした点が、上述の図25に示した電圧指令値作成器103bと異なる。電圧指令値作成器103cは、端部でリニアモータ104のインダクタンスの変化が大きい場合に有効である。
なお、負荷電流Im_ldとインダクタンス値L を乗じた値のみに、端部誘起電圧調整器133と同様な構成で、ゲインをかけることも可能である。
<位置推定器135>
可動子(界磁子)6の位置推定は、リニアモータ104に印加する電圧Vmと、リニアモータ104に流れる電流Imを利用して、例えば次式(6)で位置推定値xm^を求める。
Figure 0006899720
式(6)中、Vmはリニアモータ104に印加する電圧指令値Vmである。
図28は、図21に示す制御部202を構成する位置推定器135の構成例を示す説明図であって、式(6)をブロック図で示した場合の説明図である。なお、図28に示すように、位置推定器135は、電圧指令値Vm及びモータ電流Imを入力し、モータ電流Imにリニアモータ104の巻線抵抗値Rmを乗じた結果を電圧指令値Vmより減じて、この減じた結果を積分器にて演算した結果を得る。また、モータ電流Imにリニアモータ104の巻線インダクタンス値Lmを乗じた結果を得て、上記積分器にて演算した結果より減じて、この減じた結果を誘起電圧定数Keにて除することで位置推定値xm^を出力する。なお、位置推定器135には、上記以外にも既知の同期式モータの位置推定方法を適用することができる。位置推定値xm^を基にストロークを演算し、図13の下図に示すストローク制御器153に入力すれば、所望のストロークに制御することができる。
<位相差検出器130a>
上述の実施例1では、図10に示した位相差検出器130が、可動子(界磁子)6の位置xmおよび基準位相θを入力し、位相差dltθを算出する構成としていた。これに対し本実施例では、モータ電流Imを用いることにより、次式(7)に示すように基準位相θに対するモータ電流Imの位相を算出できる。これは、上述の通り、共振周波数が想定値から変化した場合、その影響はモータ電流Imの位相関係から見て取れるからである。
Figure 0006899720
図22は、図21に示す制御部202を構成する位相差検出器130aの構成例を示す説明図であって、式(7)をブロック図で示した場合の説明図である。入力値の正弦を出力する正弦演算器81及び入力値の余弦を出力する余弦演算器82のそれぞれに、位相指令値である基準位相θを入力し、基準位相θ(位相指令値)に対する正弦及び余弦を得る。正弦及び余弦それぞれをモータ電流Imと乗算した値が乗算器92から出力される。その出力をそれぞれ積分器94a,94bで積分すると、正弦及び余弦それぞれの1次のフーリエ係数を得る。すなわち、フーリエ展開の駆動周波数ωより高次の周波数成分を消去できるので、高次のノイズに対してロバストに構成できる。
積分器94a,94bの出力を逆正接器86に入力する。逆正接器86は、入力された正弦及び余弦成分を基に逆正接値を位相差推定値dltθ^として出力する。本実施例の逆正接器86は、分子を積分器94aの出力、分母を積分器94bの出力とした位相の逆正接値を出力するが、分子と分母を逆にした値を出力しても良い。
このようにモータ電流Imを用いて高精度に共振周波数を検出あるいは推定することにより、高効率なリニアモータ駆動装置201を実現することができる。
[電流検出器107]
図29は、図21に示すリニアモータ駆動装置201を構成する電力変換回路105の構成例を示す図である。電力変換回路105の構成およびリニアモータ104との結線については上述の実施例1と同様であるため説明を省略する。図29に示すように、U相下アームとV相下アームには、例えばCT(カレントトランス)等の電流検出器107を設けられている。これにより、リニアモータ104の巻線8に流れる電流Imを検出できる。
電流検出器107として、例えば、CTに代えて、電力変換回路105の下アームにシャント抵抗125を付加し、シャント抵抗125に流れる電流からリニアモータ104に流れる電流を検出する相シャント電流方式を採用できる。電流検出器107に代えて又は追加して、電力変換回路105の直流側に付加されたシャント抵抗125に流れる直流電流から、電力変換回路105の交流側の電流を検出するシングルシャント電流検出方式を採用しても良い。シングルシャント電流検出方式は、電力変換回路105を構成するスイッチング素子122の通電状態によって、シャント抵抗125に流れる電流が時間的に変化することを利用している。
以上のように、本実施例によれば、密閉型圧縮機50のリニアモータ104において、負荷に応じて電圧振幅と電圧位相を制御し、電圧位相を考慮して駆動周波数を調整することにより、負荷を含めた機械的な共振周波数でリニアモータを駆動でき、高効率なリニアモータシステムを構成することができると共に、磁束の変化率が小さい可動子位置において、印加電圧のうち、磁束の変化に応じて印加する電圧成分(電圧成分の絶対値)を小さくすることにより、高効率なリニアモータシステムを構成することができる。
上述の実施例1におけるリニアモータ駆動装置101を構成する制御部102及び実施例2におけるリニアモータ駆動装置201を構成する制御部202は、マイクロコンピュータ或いはDSPなどの半導体集積回路によって構成され、ソフトウェア等で実現される場合が多い。そのため、上述の実施例1及び実施例2におけるリニアモータ駆動装置101,201が正しく構成されているか、検証することが困難となることが想定される。そこで、本実施例においては、上述のリニアモータ駆動装置101,201の構成が正しく動作しているかを検証する検証システム600に関する。図30は、本発明の他の実施例に係る実施例3の検証システムの構成例を示す説明図である。
リニアモータ駆動装置には、リニアモータ104を構成する可動子(界磁子)6の位置(可動子6のストローク)を検出する例えばレーザ変位計などの位置検出器106(実施例1)、或は、電流検出器107の出力である電流検出値Im(モータ電流Im)に基づき可動子(界磁子)6の位置の推定値xm^を出力する位置推定器135(実施例2)が設けられている。
図30に示すように、検証システム600は、少なくとも、電力変換回路105へドライブ信号を出力する制御部102、電力変換回路105、リニアモータ104、位置検出器106、及び、検証装置190から構成される。なお、制御部102に代えて実施例2に示した制御部202、及び、位置検出器106に代えて実施例2に示した位置推定器135を有する構成としても良い。
電力変換回路105とリニアモータ104との間の結線には、電圧計193が挿入されている。これにより、リニアモータ104に印加される線間電圧を測定する。なお、この電圧計は、各相の電位と、直流電圧源120のN(マイナス)側との電位との差を各相の電圧として検出しても良い。
<検証装置190>
リニアモータ104には、制御部102により入力されたドライブ信号に応じて直流電圧源120をスイッチングして電圧印加されている。電圧計193で検出する電圧波形は、パルス幅変調したパルス状の波形となる。リニアモータ駆動装置101,201が正しく構成されているか検証するためには、基本波成分が重要となる。検証装置190の内部に設けられたローパスフィルタ191は、電圧計193により検出される電圧波形から駆動周波数成分を出力する。
ここで、駆動周波数成分を出力する簡易的な方法としては、例えば、制御部102を構成するPWM信号作成器134の三角波キャリア信号(通常は、数kHz〜数十kHz)の1/5〜1/10程度のより低い遮断周波数を有するローパスフィルタ(低域通過フィルタ、LPF)191を用いる。
記録装置194にて、ストローク或いは可動子位置と、駆動周波数成分の電圧波形を確認し、上述の図17に示したように、小ストローク時と大ストローク時での電圧波形の変化を測定することにより、制御部102(実施例1)または制御部202(実施例2)が所定の動作を行っているか否かを検証することができる。
なお、ローパスフィルタ191に代えて、FFT変換(高速フーリエ変換)して各周波数成分を測定し、印加電圧波形の歪率の変化でも検証できる。すなわち、ストロークが装荷するに従い、上述の図17に示したゼロクロス近傍における電圧波形の歪率が大きくなることを測定することにより、制御部102または制御部202が所定の動作を行っているか否かを検証することができる。
本実施例によれば、リニアモータ駆動装置を構成する制御部が所定の動作を行っているか否かを容易に検証することが可能となる。
本実施例の構成は、下記の点を除き実施例1又は2と同様にできる。本実施例は、リニアモータシステムを搭載した機器の一例としてのエアサスペンションシステム300に関する。
図31は、本発明の他の実施例に係る実施例3のエアサスペンションシステム300の回路図であり、図32は図31に示すエアサスペンションシステム300を搭載した車両の概略図である。但し、図32においては、後述する分配点309N及びこれよりエアサスペンション301,302側の構成要素のみを図示している。
図31に示すように、エアサスペンションシステム300は、2つのエアサスペンション301,302、リニアモータ104を駆動源とするコンプレッサ303、吸気フィルタ304、第1タンク305、及びエアドライヤ307、並びに、弁として、3つのチェック弁308,315,317、給排切換弁310、2つのサスペンション制御弁311,312、戻り通路開閉弁314、及び排気通路開閉弁319、を有している。エアサスペンションシステム300は、空気が流通可能な通路によってこれらを接続している。
エアサスペンションシステム300は、図32に示すように、例えば車両400に搭載され、エアサスペンション301,302のエア室301C,302C(図31)内の空気圧の制御を行うシステムである。例えば、車両400の左車輪410L及び右車輪410Rには、これらのハブ等同士を繋ぐ車軸420が設けられている。例えば、左車輪410L及び右車輪410Rそれぞれと車体430との間や、ハブと車体430との間といった、車輪410側と車体430側との間にエアサスペンション301、302を設け、エア室301C,302C内の空気圧を制御することで、車高の調整を行える。
エアサスペンション301,302は、図32に示すように、車輪410側の車軸420と車両400の車体430との間に取り付けられてもよく、また、車輪410と車体430とを連結するサスペンションのアーム類(車輪410側)と車体430との間や車輪410のハブ(車輪410側)とサスペンションのアッパーアームの車体430取付部近傍(車体430側)との間に取付けてもよい。このように、エアサスペンション301,302は、車輪410と車体430を支えるように設けられれば良く、例えば、上下方向について車輪410と車体430との間に設けることができ、直接、車輪410や車体430に取り付ける態様には限られない。
本実施例では、エアサスペンションを2つ有するエアサスペンションシステム300について説明するが、エアサスペンションシステム300が含むエアサスペンションの個数は1つ以上であれば特に制限されない。エアサスペンションの個数は、例えば車輪の個数に等しくすることができる。例えば4輪自動車の場合には、2つの前輪側に2個、2つの後輪側に2個の、合計4個のエアサスペンションを配設できる。なお、本実施例では、緩衝用のシリンダ301A,302Aとエアばねとなるエア室301C,302Cとを一体にした例を示したが、大型車やリヤサスペンション側で既知のように緩衝用のシリンダ(油圧緩衝器)301A,302Aとエアばねとを独立に設けてもよい。
図31に示すように、エアサスペンション301,302には、緩衝用のシリンダ301A,302Aそれぞれとピストンロッド301B,302Bそれぞれとの間にエア室301C,302Cが形成されており、エアばねを構成している。エア室301C,302Cそれぞれには後述する通路が接続されており、エアサスペンションシステム300の動作によって圧力及び車高が制御されている。
コンプレッサ303は、吸入ポート303Cから吸入した空気を圧縮して吐出ポート303Dから吐出することができる。コンプレッサ303は、コンプレッサ本体303A及びリニアモータ104から構成される。吸入ポート303Cまたは吐出ポート303D、もしくは両ポートの圧力を測定する圧力センサを設けている。
リニアモータ104の可動子(界磁子)6に共振バネ23を付加し、可動子(界磁子)6の質量とバネ定数から決まる機械的な共振周波数で可動子(界磁子)6を往復動させる場合、上述の実施例2において図20に示したように、圧縮要素20による共振周波数への影響も考慮する必要がある。すなわち、圧縮要素20の吸込圧力や吐出空間の圧力によって、作動流体のバネ的な作用が加わるため、共振状態となる周波数が変化する。つまり、シリンダ1aの圧力が高い場合には、可動子(界磁子)6に付加された共振バネ23のバネ定数が高いのと等価であり、共振周波数は高くなる。反対に、シリンダ1aの圧力が低い場合には、可動子6に付加された共振バネ23のバネ定数が支配的となり、共振周波数は、可動子6の質量とバネ定数から定まる機械的な共振周波数に近い。
このように、リニアモータ104を圧縮要素20の動力とする場合は、圧縮要素20の条件(吸込圧力、吐出圧力、吸込と吐出の圧力差等)によって共振周波数が変化してしまう。そのため、負荷や共振周波数の変化に合わせて駆動周波数を変化させることが必要である。
図33は、電圧指令値作成器を構成する端部誘起電圧調整器133dの構成例を示す説明図である。端部誘起電圧調整器133dは、可動子位置とゲインとの関係を示す特性曲線を複数備え、これら複数の可動子位置とゲインとの関係を示す特性曲線は、予め圧力毎に対応付けて端部誘起電圧調整器133d内の記憶部(図示せず)に格納されている。また、これら複数の可動子位置とゲインとの関係を示す特性曲線は、上述の実施例1において示した図14〜図16の可動子位置とゲインとの関係を示す特性曲線であり、端部誘起電圧調整器133dは、ポートの圧力に応じて、記憶部(図示せず)に格納される複数の可動子位置とゲインとの関係を示す特性曲線のうち、当該ポートの圧力に対応する可動子位置とゲインとの関係を示す特性曲線を選択し、可動子位置xmに対応する端部誘起電圧調整ゲインを出力する。例えば、コンプレッサ303の吸入ポート303Cまたは吐出ポート303Dの圧力に応じて、複数の可動子位置とゲインとの関係を示す特性曲線の名から一つの可動子位置とゲインとの関係を示す特性曲線が選択される。これにより、圧力の変化に応じて最適な位置−誘起電圧の関係を用いることができ、印加電圧のうち、磁束の変化に応じて印加する電圧成分(電圧成分の絶対値)を小さくすることにより、高効率なリニアモータシステムを構成することができる。
以上のように、本実施例によれば、エアサスペンションシステム300において、印加電圧のうち、磁束の変化に応じて印加する電圧成分(電圧成分の絶対値)を小さくすることにより、高効率なリニアモータシステムを構成することができる。
なお、上述の実施例2に示した圧縮機は、凝縮器又は蒸発器として機能する熱交換器を備える空気調和器において、冷媒を圧送するための圧縮機に適用できる。また、圧縮機の駆動を制御するリニアモータ駆動装置として、上述の実施例1または実施例2に示したリニアモータ駆動装置を採用することができる。
更にまた、上述の実施例2に示した圧縮機は、凝縮器及び蒸発器を有する冷蔵庫において、液冷媒を圧送する圧縮機にも適用可能である。また、圧縮機の駆動を制御するリニアモータ駆動装置として、上述の実施例1または実施例2に示したリニアモータ駆動装置を採用することができる。
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手続き等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、上記の各構成や機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現しても良い。
リニアモータ104は、単相機として説明したが、三相機であっても本発明の構成を適用することができ、同様の効果を奏し得る。
電力変換回路105は、電流を出力する態様であっても良い。この場合、電圧指令値作成器に代えて電流指令値作成器を設ければ良い。
1…シリンダブロック
1a…シリンダ
2…永久磁石
3…密閉容器
4…ピストン
6…可動子(界磁子)
7…磁極
8…巻線
9…電機子
16…シリンダヘッド
17…ヘッドカバー
20…圧縮要素
23…共振バネ(アシストバネ)
30…電動要素
50…密閉型圧縮機
100,200…リニアモータシステム
101,201…リニアモータ駆動装置
102,202…制御部
103,103a,103b,103c…電圧指令値作成器
104…リニアモータ
105…電力変換回路
106…位置検出器
107…電流検出器
126…フルブリッジ回路
130,130a…位相差検出器
131…駆動周波数調整器
133,133a,133b,133c,133d…端部誘起電圧調整器
134…PWM信号作成器
135…位置推定器
140…積分器
150,150b…負荷電流検出器
153…ストローク制御器
190…検証装置
300…エアサスペンションシステム
600…検証システム

Claims (10)

  1. 少なくとも、巻線が捲回された磁性体を有する電機子と、永久磁石を有する界磁子と、前記電機子又は前記界磁子に接続された弾性体とを有し、前記弾性体の変形に応じて前記界磁子と前記電機子の相対位置が変動することで、軸方向に前記界磁子と前記電機子を相対的に往復運動させるリニアモータと、
    前記巻線に電圧を印加する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記巻線に印加する電圧のうち、前記電機子と前記界磁子の相対位置の変動により生じる磁束の変化率に基づき、印加する電圧成分の絶対値を、前記磁束の変化率が小さい相対位置で小さくし、
    前記電機子と前記界磁子の相対位置が所定値を超えた場合、前記巻線に印加する電圧のうち、前記磁束の変化率に応じて印加する電圧成分の絶対値を小さくし、
    さらに、前記制御部は、
    少なくとも位置検出器により検出された前記界磁子の位置と、基準位相及び周波数指令値に基づき第1の電圧指令値を生成する電圧指令値作成器を備え、
    前記電圧指令値作成器は、予め界磁子の位置とゲインとの関係を示す特性曲線を有し、前記位置検出器により検出された前記界磁子の位置に応じたゲインを端部誘起電圧調整ゲインとして出力する端部誘起電圧調整器を有し、
    前記電圧指令値作成器は、前記端部誘起電圧調整ゲインを前記第1の電圧指令値に乗じて前記リニアモータへ出力することを特徴とするリニアモータシステム。
  2. 少なくとも、巻線が捲回された磁性体を有する電機子と、永久磁石を有する界磁子と、前記電機子又は前記界磁子に接続された弾性体とを有し、前記弾性体の変形に応じて前記界磁子と前記電機子の相対位置が変動することで、軸方向に前記界磁子と前記電機子を相対的に往復運動させるリニアモータと、
    前記巻線に電圧を印加する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記界磁子と前記電機子の相対位置の増加に応じて、前記巻線に印加する電圧の高調波成分含有率を高くすることを特徴とするリニアモータシステム。
  3. 請求項に記載のリニアモータシステムにおいて、
    前記制御部は、前記電機子と前記界磁子の相対位置が所定値を超えた場合、前記巻線に印加する電圧の高調波成分含有率を高くすることを特徴とするリニアモータシステム。
  4. 請求項に記載のリニアモータシステムにおいて、
    前記制御部は、
    少なくとも位置検出器により検出された前記界磁子の位置と、基準位相及び周波数指令値に基づき第1の電圧指令値を生成する電圧指令値作成器を備え、
    前記電圧指令値作成器は、予め界磁子の位置とゲインとの関係を示す特性曲線を有し、前記位置検出器により検出された前記界磁子の位置に応じたゲインを端部誘起電圧調整ゲインとして出力する端部誘起電圧調整器を有し、
    前記電圧指令値作成器は、前記端部誘起電圧調整ゲインを前記第1の電圧指令値に乗じて前記リニアモータへ出力することを特徴とするリニアモータシステム。
  5. 請求項に記載のリニアモータシステムにおいて、
    前記界磁子の位置とゲインとの関係を示す特性曲線は、前記界磁子の位置が所定値を超える範囲でゲインが減少する曲線であることを特徴とするリニアモータシステム。
  6. 請求項3に記載のリニアモータシステムにおいて、
    前記制御部は、
    少なくとも電流検出器により検出された前記巻線を流れる電流検出値に基づき、前記界磁子の位置を推定する位置推定器と、
    前記位置推定器による前記界磁子の位置推定値と、基準位相及び周波数指令値に基づき第1の電圧指令値を生成すると共に、前記電流検出値により得られる負荷電流及び前記基準位相に基づき電圧降下分に相当する第2の電圧指令値を生成する電圧指令値作成器を備え、
    前記電圧指令値作成器は、予め界磁子の位置とゲインとの関係を示す特性曲線を有し、前記位置推定器による前記界磁子の位置推定値に応じたゲインを端部誘起電圧調整ゲインとして出力する端部誘起電圧調整器を有し、
    前記電圧指令値作成器は、前記端部誘起電圧調整ゲインを前記第1の電圧指令値に乗じで前記第2の電圧指令値に加算して、又は、前記第1の電圧指令値と前記第2の電圧指令値の加算結果に前記端部誘起電圧調整ゲインを乗じて、前記リニアモータへ出力することを特徴とするリニアモータシステム。
  7. 請求項6に記載のリニアモータシステムにおいて、
    前記界磁子の位置とゲインとの関係を示す特性曲線は、前記界磁子の位置が所定値を超える範囲でゲインが減少する曲線であることを特徴とするリニアモータシステム。
  8. 少なくとも、巻線が捲回された磁性体を有する電機子と、永久磁石を有する界磁子と、前記電機子又は前記界磁子に接続された弾性体とを有し、前記弾性体の変形に応じて前記界磁子と前記電機子の相対位置が変動することで、軸方向に前記界磁子と前記電機子を相対的に往復運動させるリニアモータと、
    前記巻線に電圧を印加する制御部と、を備え、
    前記界磁子に接続されるピストンがシリンダ内を往復運動することにより作動流体を圧縮する圧縮機であって、
    前記制御部は、前記巻線に印加する電圧のうち、前記電機子と前記界磁子の相対位置の変動により生じる磁束の変化率に基づき、印加する電圧成分の絶対値を、前記磁束の変化率が小さい相対位置で小さくし、 前記電機子と前記界磁子の相対位置が所定値を超えた場合、前記巻線に印加する電圧のうち、前記磁束の変化率に応じて印加する電圧成分の絶対値を小さくし、
    らに、前記制御部は、
    少なくとも電流検出器により検出された前記巻線を流れる電流検出値に基づき、前記界磁子の位置を推定する位置推定器と、
    前記位置推定器による前記界磁子の位置推定値と、基準位相及び周波数指令値に基づき第1の電圧指令値を生成すると共に、前記電流検出値により得られる負荷電流及び前記基準位相に基づき電圧降下分に相当する第2の電圧指令値を生成する電圧指令値作成器を備え、
    前記電圧指令値作成器は、予め界磁子の位置とゲインとの関係を示す特性曲線を有し、前記位置推定器による前記界磁子の位置推定値に応じたゲインを端部誘起電圧調整ゲインとして出力する端部誘起電圧調整器を有し、
    前記電圧指令値作成器は、前記端部誘起電圧調整ゲインを前記第1の電圧指令値に乗じで前記第2の電圧指令値に加算して、又は、前記第1の電圧指令値と前記第2の電圧指令値の加算結果に前記端部誘起電圧調整ゲインを乗じて、前記リニアモータへ出力することを特徴とする圧縮機。
  9. 請求項8に記載の圧縮機において、
    前記界磁子の位置とゲインとの関係を示す特性曲線は、前記界磁子の位置が所定値を超える範囲でゲインが減少する曲線であることを特徴とする圧縮機。
  10. 車体側と車輪側との間に介装され作動流体の給排に応じて車高調整を行う複数のエア室に、請求項8又は9に記載の圧縮機により圧縮された作動流体を供給するエアサスペンションシステム。
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