JP6897184B2 - アウタチューブ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用操舵装置の中間シャフトを構成するアウタチューブ及びその製造方法に関する。
自動車用操舵装置は、運転者が操作するステアリングホイールの動きを、ステアリングシャフト及び中間シャフトなどの複数本のシャフトと、これらのシャフトの端部同士を結合した自在継手とを介してステアリングギヤユニットに伝達するように構成されている。このように作用する操舵装置を搭載した自動車が衝突事故を起こすと、車体の前部が潰れてステアリングギヤユニットが後方に押される。そこで、このようなステアリングギヤユニットの後方への変位にかかわらず、ステアリングホイールが後方に変位しないようにすること、すなわち、運転者の体に向けて突き上げられないようにすることが考えられている。このために従来から、一次衝突の際に、操舵装置を構成するシャフトやヨークなどのトルク伝達部材を軸方向に収縮させたり、塑性変形させたりして、衝撃荷重を吸収しつつステアリングホイールの後方への変位を阻止することが提案されている。
例えば、欧州特許出願公開1344708号公報及び特開平8−72730号公報には、一次衝突時に塑性変形することで、ステアリングホイールの後方への変位を阻止するためのベローズ部を有するヨークの構造が記載されている。
独国特許出願公開DE2459246号公報には、軸方向中間部にベローズ部を設け、二次衝突に伴う衝撃荷重に基づいてこのベローズ部を塑性変形させることにより全長を収縮可能としたステアリングコラムが記載されている。このようなステアリングコラムは、ベローズ部の肉厚を調整することで、二次衝突に伴う衝撃荷重の吸収特性を調整可能としている。ただし、独国特許出願公開DE2459246号公報に記載された発明は、ステアリングホイールの操作に伴って捩り方向の力が加わるシャフトやヨークではなく、ステアリングコラムに関するものである。また、衝撃荷重が加わった場合の変形態様も、ベローズ部が折れ曲がるように変形するのではなく、収縮するように変形する。
欧州特許出願公開1344708号公報 特開平8−72730号公報 独国特許出願公開DE2459246号公報
ところで、一次衝突時に折れ曲がるように塑性変形することで衝撃荷重を吸収するベローズ部は、中間シャフトを構成するアウタチューブに設けることもできる。しかしながら、アウタチューブにベローズ部を設けると、次のような問題を生じる可能性がある。
アウタチューブは、軸方向片端部内周面に雌セレーション部が設けられており、この雌セレーション部を、インナシャフトの外周面に設けられた雄セレーション部と係合させることで中間シャフトを構成する。中空状で金属製の素材の軸方向中間部にベローズ部を形成した後、この素材の軸方向片端部内周面に雌セレーション部をブローチ加工により形成すると、ベローズ部に大きな軸方向の荷重が加わって、このベローズ部が軸方向に潰れてしまう可能性がある。ベローズ部が潰れてしまったアウタチューブは、不良品として破棄しなければならず、歩留まり悪化によるコスト上昇の原因となる。
本発明は、上述のような事情を鑑みて、雌セレーション部をブローチ加工により形成する際に、ベローズ部が軸方向に潰れるのを防止できるアウタチューブの構造及び製造方法を実現することを目的としている。
本発明のアウタチューブの製造方法は、軸方向片側に設けられ、内周面に雌セレーション部が設けられた嵌合筒部と、前記嵌合筒部よりも軸方向他側に設けられ、該嵌合筒部よりも大きな内径を有し、かつ、軸方向全体又は一部にベローズ部を有する大径筒部とを備えるアウタチューブを造るための方法である。
このような本発明のアウタチューブの製造方法は、中空状で金属製の予備素材から、軸方向片側に設けられた小径筒部と、前記大径筒部と、前記小径筒部の内周面と前記大径筒部の内周面とを接続する段差面とを備える素材を得る。その後、前記段差面を円筒状の治具の支承面に突き当てた状態で、前記小径筒部の内周面に、軸方向片側から軸方向他側に向けてブローチ加工を施すことにより、前記雌セレーション部を形成して、前記小径筒部を前記嵌合筒部とする。
前記素材の中心軸に対する前記段差面の傾斜角度は、45度以上とし、60度以上とすることが好ましく、75度以上とすることがより好ましく、90度とすること、すなわち、前記段差面を、中心軸に直交する仮想平面上に存在させることが最も好ましい。
前記段差面は、前記小径筒部の軸方向他端部と前記大径筒部の軸方向片端部との間に設けられた段部の軸方向他側面により構成することができる。あるいは、前記段差面は、前記素材のうちで前記小径筒部の軸方向他側に隣接する部分の内周面に切削加工を施すことにより、前記素材の内周面に、軸方向他方に向いた状態で設けられた面としても良い。
発明のアウタチューブは、嵌合筒部と、大径筒部と、段差面とを備える。
このうちの嵌合筒部は、軸方向片側に設けられ、内周面に雌セレーション部が設けられている。
前記大径筒部は、前記嵌合筒部よりも軸方向他側に設けられ、該嵌合筒部よりも大きな内径を有し、かつ、軸方向全体又は一部にベローズ部を有する。
前記段差面は、前記嵌合筒部の内周面と前記大径筒部の内周面とを接続する。
前記段差面の中心軸に対する傾斜角度は、90度とする、すなわち、前記段差面、中心軸に直交する仮想平面上に存在させる。ただし、本発明の技術的範囲からは外れるが、前記段差面の中心軸に対する傾斜角度を、45度以上、好ましくは60度以上、より好ましくは75度以上とすることもできる。
前記段差面は、前記嵌合筒部の軸方向他端部と前記大径筒部の軸方向片端部の間に設けられた段部の軸方向他側面により構成することができる。
要するに本発明は、軸方向中間部内周面に段差面を設け、該段差面を、軸方向片端部内周面にブローチ加工により雌セレーション部を形成する際に支承面に押し付け、ベローズ部に、該ベローズ部が軸方向に潰れる程の力が加わるのを防止するものである。
上述のような構成を有する本発明によれば、雌セレーション部をブローチ加工により形成する際に、ベローズ部に大きな軸方向の荷重が加わるのを防止して、このベローズ部が軸方向に潰れるのを防止できる。
図1は、本発明の実施の形態の1例に係るアウタチューブを用いた中間シャフトを組み込んだ自動車用操舵装置の1例を示す図である。 図2は、本発明の実施の形態の1例に係るアウタチューブを示す斜視図である。 図3(A)〜図3(E)は、本発明の実施の形態の1例に係るアウタチューブの製造方法を、工程順に示す断面図である。 図4(A)は、本発明の実施の形態の1例に係るアウタチューブを用いた中間シャフトを、フルラップ衝突が発生する以前の状態で示す断面図であり、図4(B)は、本発明の実施の形態の1例に係るアウタチューブを用いた中間シャフトを、フルラップ衝突が発生した状態で示す断面図である。 図5は、本発明の実施の形態の1例に係るアウタチューブを用いた中間シャフトを、オフセット衝突が発生した状態で示す側面図である。 図6は、雌セレーション部をブローチ加工により形成する様子を示す断面図である。 図7は、本発明の実施の形態の1例に関して、素材の別例の第1例を示す断面図である。 図8は、本発明の実施の形態の1例に関して、素材の別例の第2例を示す断面図である。
本発明の実施の形態の1例について、図1〜図6を参照しつつ説明する。自動車の操舵装置では、ステアリングホイール1の回転がステアリングギヤユニット2の入力軸3に伝達され、この入力軸3の回転に伴って左右1対のタイロッドが押し引きされて、前車輪に舵角が付与される。ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト4の後端部に支持固定されており、このステアリングシャフト4は、円筒状のステアリングコラム5を軸方向に挿通した状態で、このステアリングコラム5に回転自在に支持されている。ステアリングシャフト4の前端部は、自在継手6を介して中間シャフト7の後端部に接続されている。
中間シャフト7は、前側に配置されたインナシャフト8と、後側に配置されたアウタチューブ9とを備え、軸方向に大きな衝撃荷重が加わった場合にのみ、全長を収縮可能に構成されている。
インナシャフト8の後半部外周面には、雄セレーション部10が軸方向にわたって設けられている。なお、本例では、中間シャフト7のインナシャフト8と、ステアリングギヤユニット2の入力軸3とを一体としている。すなわち、インナシャフト8の前端部にピニオンギヤ11を設け、このピニオンギヤ11を、ステアリングギヤユニット2のラック軸12のラック歯に噛合させている。ただし、インナシャフト8の前端部を、自在継手を介して入力軸3の後端部にトルク伝達可能に接続するように構成することもできる。
アウタチューブ9は、図2及び図3(E)に示すように、中空円管状で、軸方向片端部(図2〜図6の左端部)に設けられた嵌合筒部13と、この嵌合筒部13よりも軸方向他側(図2〜図6の右側)に設けられた大径筒部14と、嵌合筒部13の内周面と大径筒部14の内周面とを接続する段差面23とを備える。本例では、段差面23が、嵌合筒部13の軸方向他端部と大径筒部14の軸方向片端部との間に設けられた段部15の軸方向他側面により構成されている。すなわち、段差面23は、嵌合筒部13の軸方向他端部内周縁と、大径筒部14の軸方向片端部内周縁との間部分により構成されている。なお、図示の例では、アウタチューブ9の軸方向片側が車両の前方側に配置され、アウタチューブ9の軸方向他側が車両の後方側に配置されている。
嵌合筒部13の内周面には、雌セレーション部16が設けられている。このような雌セレーション部16と、インナシャフト8の雄セレーション部10のうちの軸方向他半部(図4(A)の右半部)とをセレーション嵌合させている。
さらに、本例では、アウタチューブ9とインナシャフト8との嵌合部を、いわゆる楕円嵌合としている。すなわち、アウタチューブ9を構成する嵌合筒部13の軸方向片端部、及び、インナシャフト8の軸方向他端部に、断面形状が楕円形である塑性変形部17a、17bをそれぞれ設けている。なお、図4(A)には、塑性変形部17a、17bの形成範囲にそれぞれ波線を付している。塑性変形部17a、17bは、アウタチューブ9とインナシャフト8とが軸方向に相対変位する際の抵抗となる。このような塑性変形部17a、17bを設けることにより、アウタチューブ9を構成する嵌合筒部13と、インナシャフト8の軸方向他端部とを、トルク伝達可能に、かつ、軸方向に大きな衝撃荷重が加わった場合にのみ、軸方向に関する相対変位が可能となるように結合している。また、本例では、中間シャフト7が軸方向に収縮した際の衝撃吸収能力を高めるべく、嵌合筒部13の軸方向長さを、アウタチューブ9の軸方向他端部に設けられた結合筒部18の軸方向長さよりも十分に、具体的には2倍以上、好ましくは3倍以上長くしている。なお、図示の例では、嵌合筒部13の軸方向長さは、結合筒部18の軸方向長さの3倍程度である。
なお、上述した様な塑性変形部17a、17bは、次のようにして形成する。
まず、アウタチューブ9を構成する嵌合筒部13の軸方向片端部に、インナシャフト8の軸方向他端部を僅かに挿入する。換言すれば、雌セレーション部16の軸方向片端部と、雄セレーション部10の軸方向他端部とをセレーション嵌合させる。次に、嵌合筒部13の軸方向片端部を工具により径方向外側から押し潰して、嵌合筒部13の軸方向片端部内周面及びインナシャフト8の軸方向他端部外周面を、断面楕円形状に塑性変形させる。これにより、嵌合筒部13の軸方向片端部に塑性変形部17aを設けるとともに、インナシャフト8の軸方向他端部に塑性変形部17bを設ける。その後、アウタチューブ9とインナシャフト8とを、中間シャフト7の全長を縮めるように軸方向に相対変位させて、中間シャフト7の全長を通常の使用状態での所定の軸方向長さとする。これにより、アウタチューブ9の塑性変形部17aとインナシャフト8の塑性変形部17bとを、軸方向に離隔して配置する。
大径筒部14は、軸方向片端部に設けられた、軸方向に関して内径及び外径が変化しない円筒状の中間筒部19と、軸方向中間部に設けられたベローズ部20と、軸方向他端部に設けられた結合筒部18とを備える。なお、中間筒部19は、円すい筒状としたり、省略したりすることもできるし、追加的にあるいは代替的に、ベローズ部20と結合筒部18との間に、円筒状又は円すい筒状の筒部を設けることもできる。
ベローズ部20は、後述するように、オフセット衝突時に折れ曲がるように塑性変形することで、衝突に伴う衝撃荷重を吸収する部分である。したがって、ベローズ部20は、衝突事故が発生する以前の通常時に、運転者がステアリングホイール1を操作することなどに基づいて捩り方向に加わる荷重によっては変形しない程度の捩り強度を有する。ベローズ部20は、大径部である山部と、小径部である谷部とを、軸方向に関して交互に複数配置することで構成されている。本例では、ベローズ部20の谷部の内径を、結合筒部18の内径よりも大きく、かつ、中間筒部19の内径と同じにしている。ただし、ベローズ部20の谷部の内径を、中間筒部19の内径よりも大きくすることもできる。
結合筒部18の内周面には、第2の雌セレーション部21が設けられている。この第2の雌セレーション部21に、自在継手6を構成するヨークに結合固定された伝達軸22の軸方向片端部(前端部)外周面に設けた雄セレーション部をセレーション嵌合して、結合筒部18に伝達軸22をトルク伝達可能に結合固定している。ただし、アウタチューブ9を構成する結合筒部18と、伝達軸22の軸方向他端部とをトルク伝達可能に結合する方法としては、上述のようなセレーション嵌合に代えて、あるいはセレーション嵌合とともに、溶接などの方法を用いることもできる。何れにしても、本例では、結合筒部18と伝達軸22とが軸方向に関して相対変位しないように、結合筒部18と伝達軸22とを結合している。
段部15は、嵌合筒部13の軸方向他端部から径方向外方に向けて直角に折れ曲がった状態で設けられている。したがって、段部15の軸方向他側面により構成される段差面23は、円輪状で、アウタチューブ9の中心軸Oに直交する仮想平面上に存在している。なお、段差面23の径方向に関する幅寸法は、後述するブローチ加工の際に素材24に軸方向に加わる荷重の大きさなどにもよるが、アウタチューブ9の肉厚の0.5倍以上、2倍以下、好ましくは、1倍以上、1.5倍以下とする。
本例のアウタチューブ9は、結合筒部18の内径(第2の雌セレーション部21の溝底径)d18を、大径筒部14のうちで最も内径が小さい部分であるベローズ部20の谷部及び中間筒部19の内径d14よりも小さく、嵌合筒部13の内径(雌セレーション部16の溝底径)d13よりも大きくしている(d13<d18<d14)。なお、第2の雌セレーション部21をスウェージング加工により形成した場合には、この第2の雌セレーション部21を形成後の結合筒部18の内径d18が、嵌合筒部13の内径d13と同じか、この内径d13よりも小さくなっていても良い。ただし、この場合でも、嵌合筒部13の内径d13は、大径筒部14のうちで最も小さい部分の内径d14よりも小さくなっている。
上述のような中間シャフト7を備える操舵装置を搭載した自動車の走行中に、車体の前面全体で他の自動車などに衝突する、いわゆるフルラップ衝突が発生すると、ステアリングギヤユニット2全体が後方に強く押される。この結果、インナシャフト8(入力軸3)に、軸方向に関して他方(後方)に向いた衝撃荷重が加わる。インナシャフト8に軸方向の衝撃荷重が加わると、図4(A)に示した状態から図4(B)に示すように、このインナシャフト8がアウタチューブ9に対して後方に変位し、中間シャフト7が衝撃荷重を吸収しつつ全長を縮める。これにより、ステアリングホイール1が後方に変位して、運転者の体に向け突き上げられることを防止できる。なお、このようなフルラップ衝突が発生した場合に、ベローズ部20が軸方向に潰れる以前に、インナシャフト8とアウタチューブ9とが相対変位を開始できるように、ベローズ部20の剛性の大きさと、インナシャフト8と嵌合筒部13との結合強度の大きさを調整しておく。
一方、車体の前面のうちの一部が幅方向に偏って他の自動車などに衝突する、いわゆるオフセット衝突が発生すると、エンジンルームが変形して、中間シャフト7が軸方向に収縮できない場合がある。この場合には、衝突に伴う衝撃荷重に基づいて、図5に示したように、アウタチューブ9がベローズ部20にて折れ曲がる。これにより、衝撃荷重が吸収されるとともに、折れ曲がった中間シャフト7が周辺部品の間に存在する隙間に収納され、後方に変位することを防止される。したがって、オフセット衝突の場合においても、ステアリングホイール1が後方に変位して、運転者の体に向け突き上げられることを防止できる。なお、このようなオフセット衝突が発生した場合に、インナシャフト8とアウタチューブ9とが軸方向に相対変位して中間シャフト7の全長が収縮するかは、衝撃荷重の加わり方やエンジンルームの変形態様などに依存する。
上述のような中間シャフト7を構成するアウタチューブ9を造る方法について、図3を参照しつつ説明する。
まず、機械構造用炭素鋼(STKM)などの鉄系合金やアルミニウム合金などの軽合金などの金属製のパイプ材を所定の長さに切断して、図3(A)に示すような、円管状の第1予備素材25を得る。次に、第1予備素材25の軸方向片半部に絞り加工を施して、図3(B)に示すような、段付円筒状の第2予備素材26を得る。この第2予備素材26は、軸方向片側の小径筒部27と、軸方向他側の大径筒部14と、小径筒部27の軸方向他端部と大径筒部14の軸方向片端部との間を繋ぐように設けられた段部15とから構成されている。段部15は、小径筒部27の軸方向他端部から径方向外方に折れ曲がった状態で設けられている。したがって、段部15の軸方向他側面である段差面23は、第2予備素材26の中心軸O26に直交する仮想平面上に存在している。
次いで、第2予備素材26に、ハイドロフォーム成形(バルジ成形)、あるいは、ロール成形などの塑性加工を施して、図3(C)に示すような素材24とする。すなわち、大径筒部14の軸方向中間部を塑性変形させることでベローズ部20を成形する。これと同時に、大径筒部14のうちでベローズ部20よりも軸方向片側を中間筒部19とし、大径筒部14のうちでベローズ部20よりも軸方向他側を開口側筒部32とする。なお、素材24の軸方向長さは、第2予備素材26の軸方向長さよりも小さくなる。
次いで、素材24のうち、小径筒部27の内周面に、軸方向片側から軸方向他側に向けてブローチ加工を施すことにより雌セレーション部16を形成して、図3(D)に示すような中間素材28を得る。
雌セレーション部16をブローチ加工により形成する際には、図6に示すように、素材24の内径側に円筒状の治具29を、素材24の軸方向他側開口から挿入し、この素材24の段差面23を、治具29の軸方向片端面である円輪状の支承面30に全周にわたって突き当てる。なお、治具29は、ブローチ盤の支持台などに固定されており、ブローチ加工中には、素材24に対して軸方向に変位しないように規制されている。素材24の段差面23を治具29の支承面30に突き当てた状態で、素材24を構成する小径筒部27の内径側にブローチ31を、素材24の軸方向片側開口から挿入する。そして、ブローチ31を軸方向他側に向けて変位させ、小径筒部27の内周面を軸方向片側から軸方向他側に向けて切削し、小径筒部27を、内周面に雌セレーション部16が設けられた嵌合筒部13とする。なお、治具29の内径d29は、ブローチ31の外径D31よりも大きくして、このブローチ31により治具29の内周面が切削されることがないようにしている。これに対し、治具29の外径は、中間筒部19の内径と開口側筒部32の内径とのうちの小さい方の内径と一致させるか、あるいは僅かに小さくして、治具29と素材24との同軸度を確保している。小径筒部27の内周面に雌セレーション部16を形成した後は、ブローチ31を素材24の内径側から引き抜く。
図示の例では、素材24の軸方向を水平方向に一致させた状態で、この素材24の小径筒部27の内周面にブローチ加工を施している。ただし、素材24の軸方向を上下方向に一致させる、すなわち、この素材24の軸方向片端部を上側に、軸方向他端部を下側に、それぞれ配置した状態で、ブローチ加工を実施することもできる。
そして、中間素材28を構成する大径筒部14の軸方向他端部に設けられた開口側筒部32の内周面に、スウェージング加工などにより第2の雌セレーション部21を形成する。すなわち、大径筒部14の軸方向他端部に、内周面に第2の雌セレーション部21を有する結合筒部18を設けることで、アウタチューブ9を得る。第2の雌セレーション部21をスウェージング加工により形成する場合、加工後の結合筒部18の内径は、加工前の開口側筒部32の内径よりも小さくなる。ただし、第2の雌セレーション部21をブローチ加工により形成しても良い。この場合には、ブローチにより開口側筒部32の内周面を切削する際に、ベローズ部20に、このベローズ部20が潰れてしまう程の大きな力が加わらないように、第2の雌セレーション部21のモジュールを小さく設定する。
上述のように、本例では、素材24を構成する小径筒部27の内周面に、雌セレーション部16を形成するためのブローチ加工を施す際に、素材24の段差面23を、ブローチ盤の支持台などに固定された治具29の支承面30に突き当てている。したがって、ブローチ31により小径筒部27の内周面を切削する際に、素材24に、軸方向他方に向いた荷重が加わると、段差面23が支承面30に押し付けられ、この支承面30により、前記荷重が支承される。要するに、素材24に雌セレーション部16をブローチ加工により形成する際に、ベローズ部20に大きな軸方向の荷重が加わるのを防止できて、このベローズ部20が軸方向に潰れるのを防止できる。この結果、不良品の発生を防止できて、歩留まりを向上させられる。
また、本例のアウタチューブ9は、金属製で円管状の第1予備素材25に、塑性加工や切削加工を施すことにより、全体を一体に形成している。これに対し、欧州特許出願公開1344708号公報及び特開平8−72730号公報に記載の構造のように、ベローズ部と、他の部材に結合するための部位とをそれぞれ別々の部品として製造すると、これらの部品を溶接などにより結合する手間が必要になる。本例では、このような部品の管理や溶接などにより結合する作業の手間を省略できるため、その分だけアウタチューブ9の製造コストを低減できる。
本例では、段部15を、嵌合筒部13の軸方向他端部から径方向外方に直角に折れ曲がった状態で設け、段部15の軸方向他側面である段差面23を、アウタチューブ9の中心軸Oに直交する仮想平面上に存在させている。ただし、段差面23は、素材24の小径筒部27の内周面にブローチ加工を施す際に、素材24に軸方向に加わる荷重に基づいて治具29の支承面30に押し付けられ、この支承面30により前記荷重を支承できる限り、図7に示すように、中心軸O24に対して傾斜した部分円すい面とすることもできる。なお、段差面23を、中心軸O24に対して傾斜した部分円すい面とする場合には、支承面30も、段差面23と同方向に同じ角度だけ傾斜した部分円すい面とする。すなわち、段差面23と支承面30とを互いに平行にする。段差面23の中心軸O24に対する傾斜角度θは、段差面23の径方向に関する幅寸法やブローチ加工の際に素材24に軸方向に加わる荷重の大きさなどにもよるが、45度以上とし、60度以上とすることが好ましく、75度以上とすることがより好ましい。ただし、ブローチ加工の際に、素材24に軸方向に加わる荷重を支承面30により効率良く支承する面からは、前記傾斜角度θを90度とすること、すなわち、段差面23を、素材24の中心軸O24に直交する仮想平面上に存在させることが最も好ましい。
本例では、小径筒部27の軸方向他端部と、大径筒部14の軸方向片端部との間を繋ぐように設けられた段部15を設け、この段部15の軸方向他側面を、ブローチ加工の際に支承面30に突き当てるための段差面23としたが、段差面の構造は、本例の構造に限定されない。例えば、図8に示すように、中空状の素材24aのうち、小径筒部27の軸方向他側に隣接する部分の内周面に切削加工を施すことにより、素材24aの内周面に軸方向他方を向いた段差面23aを形成しても良い。なお、図示の例では、小径筒部27の外径と、大径筒部14aの軸方向片端部に設けられた中間筒部19aの外径とが同じになっている。
本例では、インナシャフト8を前側に配置し、アウタチューブ9を後側に配置しているが、アウタチューブ9を前側に配置し、インナシャフト8を後側に配置することもできる。この場合、使用時には、アウタチューブ9の軸方向片側が車両の後方側に配置され、アウタチューブ9の軸方向他側が車両の前方側に配置される。ただし、オフセット衝突の際に、アウタチューブ9のベローズ部20に加わるモーメントを大きくして、このベローズ部20を変形し易くする面からは、アウタチューブ9を後側に配置することが好ましい。
本例では、アウタチューブ9とインナシャフト8との嵌合部を、いわゆる楕円嵌合とし、アウタチューブ9とインナシャフト8とを軸方向に大きな衝撃荷重が加わった場合にのみ、軸方向に関する相対変位を可能となるように嵌合している。一方、アウタチューブとインナシャフトとを、軽い力で軸方向に関する相対変位を可能に嵌合することもできる。具体的には、例えば、インナシャフトの外周面に合成樹脂をコーティングし、さらにグリースを塗布して、このインナシャフトの軸方向端部を、アウタチューブの嵌合筒部に内嵌させることができる。あるいは、インナシャフトの軸方向端部と、アウタチューブの嵌合筒部とを、ボールやローラなどの転動体を介して嵌合させても良い。
円管状の第1予備素材25からアウタチューブ9を造る工程は、ベローズ部20と段差面23とを形成した後で雌セレーション部16をブローチ加工により形成し、かつ、矛盾を生じない限り、その順番を入れ替えたり、同時に実施したりすることもできる。具体的には、例えば、大径筒部14の軸方向他端部内周面に第2の雌セレーション部21(図3(E)参照)を形成した後で、小径筒部27の内周面に雌セレーション部16をブローチ加工により形成(図3(D)参照)しても良い。また、第1予備素材25の軸方向中間部にベローズ部20を形成した後で、第1予備素材25の軸方向片半部に絞り加工を施して段部15を形成し、段差面23を形成することもできる。
ベローズ部20をハイドロフォーム成形により形成する場合には、第2予備素材26の軸方向中間部に、他の部分よりも径方向厚さが小さな薄肉部を設けることもできる。この薄肉部は、第2予備素材26の軸方向中間部の内周面若しくは外周面に切削加工を施すことにより、又は、第2予備素材26の軸方向中間部の内周面若しくは外周面を径方向に押し塑性変形させる転造加工を施すことにより形成できる。第2予備素材26に薄肉部を設ければ、嵌合筒部13及び結合筒部18の径方向厚さを十分確保しつつ、ハイドロフォーム成形の際の液圧が過度に大きくなることを防止できる。なお、成形後のベローズ部20の肉厚は、他の部分の肉厚よりも小さくなる。このように、ベローズ部20の肉厚が他の部分の肉厚よりも小さい構造では、雌セレーション部16を形成する際に、ベローズ部20が潰れるのを防止するという、本発明による効果を、より顕著に得ることができる。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングギヤユニット
3 入力軸
4 ステアリングシャフト
5 ステアリングコラム
6 自在継手
7 中間シャフト
8 インナシャフト
9 アウタチューブ
10 雄セレーション部
11 ピニオンギヤ
12 ラック軸
13 嵌合筒部
14、14a 大径筒部
15 段部
16 雌セレーション部
17a、17b 塑性変形部
18 結合筒部
19、19a 中間筒部
20 ベローズ部
21 第2の雌セレーション部
22 伝達軸
23、23a 段差面
24、24a 素材
25 第1予備素材
26 第2予備素材
27 小径筒部
28 中間素材
29 治具
30 支承面
31 ブローチ
32 開口側筒部

Claims (5)

  1. 軸方向片側に設けられ、内周面に雌セレーション部が設けられた嵌合筒部と、前記嵌合筒部よりも軸方向他側に設けられ、該嵌合筒部よりも大きな内径を有し、かつ、ベローズ部を有する大径筒部とを備えるアウタチューブの製造方法であって、
    中空状で金属製の予備素材から、軸方向片側に設けられた小径筒部と、前記大径筒部と、前記小径筒部の内周面と前記大径筒部の内周面とを接続する段差面とを備える素材を得た後、前記段差面を円筒状の治具の支承面に突き当てた状態で、前記小径筒部の内周面に、軸方向片側から軸方向他側に向けてブローチ加工を施すことにより、前記雌セレーション部を形成して、前記小径筒部を前記嵌合筒部とする
    アウタチューブの製造方法。
  2. 前記段差面が、前記素材の中心軸に直交する仮想平面上に存在する、請求項1に記載のアウタチューブの製造方法。
  3. 前記段差面が、前記小径筒部の軸方向他端部と前記大径筒部の軸方向片端部との間に設けられた段部の軸方向他側面である、請求項1又は2に記載のアウタチューブの製造方法。
  4. 軸方向片側に設けられ、内周面に雌セレーション部が設けられた嵌合筒部と、
    前記嵌合筒部よりも軸方向他側に設けられ、該嵌合筒部よりも大きな内径を有し、かつ、ベローズ部を有する大径筒部と、
    前記嵌合筒部の内周面と前記大径筒部の内周面とを接続する段差面と
    を備え
    前記段差面が、中心軸に直交する仮想平面上に存在している
    アウタチューブ。
  5. 前記段差面が、前記嵌合筒部の軸方向他端部と前記大径筒部の軸方向片端部との間に設けられた段部の軸方向他側面により構成される、請求項4に記載のアウタチューブ。
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