以下に、実施形態について、図1〜図14を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素および当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素および説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素および説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
図1は、実施形態に係る車両1の一部の一例を示す斜視図である。図1に示されるように、車両1の内部に、フロア11と、シート12と、二つの車両用シートスライド装置13とが設けられている。図1は、二つの車両用シートスライド装置13のうち一方を示す。フロア11は、車体に含まれる。
シート12は、二つの車両用シートスライド装置13を介して、フロア11に設置される。図1に示されるシート12は、例えば、車両1の助手席として用いられるシートである。シート12はこの例に限らず、例えば、複数の乗員が着席可能な後部座席であっても良い。
図2は、実施形態の車両用シートスライド装置13の一例を示す分解斜視図である。図2は、二つの車両用シートスライド装置13のうち一方を示す。二つの車両用シートスライド装置13は、図2に示される共通の構造を有しているが、互いに異なる構造を有しても良い。
なお、以下の説明において、各図面に示されるように、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、車両用シートスライド装置13の幅(幅方向)に沿う。Y方向は、車両用シートスライド装置13の長さ(長手方向)に沿う。Z方向は、車両用シートスライド装置13の高さ(高さ方向)に沿う。X方向は、幅方向の一例である。Z方向は、車両上方に相当する。
また、以下の説明では、X方向(右方向)およびその反対方向(左方向)は、横方向とも称される。また、Y方向(前方向)およびその反対方向(後方向)は、前後方向または長手方向とも称される。また、Z方向(上方向)およびその反対方向(下方向)は、縦方向または上下方向とも称される。
図2に示されるように、車両用シートスライド装置13は、アッパレール21と、ロアレール22と、二つのエンドキャップ23と、ロック部25と、複数の転動ユニット26と、案内部材71とを有している。アッパレール21およびロアレール22はそれぞれ、前後方向に延びている。前後方向において、アッパレール21は、ロアレール22よりも短い。
二つのアッパレール21は、図1に示されるシート12のシートクッション12aの、横方向における両側に取り付けられている。例えば、アッパレール21は、シートクッション12aのクッションを支持するフレームに、ボルトによって取り付けられている。
二つのロアレール22は、フロア11に取り付けられている。ロアレール22にアッパレール21が嵌め込まれている。アッパレール21は、ロアレール22に対してロアレール22の長手方向、すなわち前後方向に相対的に移動可能にロアレール22に支持されている。
図3は、実施形態の車両用シートスライド装置13の一部の一例を示す断面図である。図4は、実施形態の車両用シートスライド装置13の一部の一例を示す側面図である。
図3に示されるように、アッパレール21に、ロック部25が設けられている。また、アッパレール21に、四つ(複数)の転動ユニット26(図2)が設けられている。転動ユニット26の数はこの例に限らない。また、図4に示されるように、ロアレール22に、案内部材71が設けられている。
以下、車両用シートスライド装置13の各部を詳細に説明する。
図5は、図4のV-V断面図である。図5に示されるように、アッパレール21は、例えば、曲げ加工された一つの板金によって作られる。なお、アッパレール21はこの例に限らない。アッパレール21は、上壁部21aと、二つの第1側部21bと、二つの第1連結部21cと、二つの第2側部21dとを有している。
上壁部21aは、X-Y平面上に広がる板状の部分である。第1側部21bは、横方向における上壁部21aの両端部から下方向に延びている。第1連結部21cは、第1側部21bの下端部から互いに離れるように延びている。
第2側部21dは、第1連結部21cの横方向外側の端部から上方向に延びている。二つの第2側部21dは、横方向に互いに離間している。また、第2側部21dは、横方向外側に凸の略円弧状の断面の膨出部21eを有している。
図6は、実施形態の車両用シートスライド装置13の一部を示す底面図である。図5,6に示されるように、ロアレール22は、例えば、曲げ加工された一つの板金によって作られる。なお、ロアレール22はこの例に限らない。ロアレール22は、底壁部22aと、二つの外壁部22bと、二つの天壁部22cと、二つの内壁部22dとを有している。外壁部22bおよび内壁部22dは、側壁部とも称される。
底壁部22aは、X‐Y平面上に広がる板状の部分である。
図5に示されるように、二つの外壁部22bは、底壁部22aの横方向外側の端部から上方向に延びている。すなわち、二つの外壁部22bは、底壁部22aの幅方向に互いに間隔を空けて設けられ底壁部22aから上方に延びている。外壁部22bは、第1壁部22b1と、第2壁部22b2とを有している。第1壁部22b1は、底壁部22aの横方向外側かつ上方に向かって延びている。すなわち、二つの外壁部22bの二つの第1壁部22b1は、底壁部22aの横方向外側の端部から、互いに遠ざかるように斜め上方向に延びている。また、第1壁部22b1は、斜め上方向に凸の断面を有している。二つの第1壁部22b1の間には、当該二つの第1壁部22b1と底壁部22aとに囲まれた凹部34が設けられている。第2壁部22b2は、第1壁部22b1の上端部から上方向に沿って延びている。すなわち、二つの外壁部22bの二つの第2壁部22b2は、互いに略平行である。
二つの天壁部22cは、外壁部22bの上端部から、互いに近付くように斜め上方向に延びている。二つの天壁部22cの内側の端部同士は、互いに間隔をあけて配置されている。
二つの内壁部22dは、二つの天壁部22cの横方向の内側の端部のそれぞれから、下方に延びている。内壁部22dの下方の端部と底壁部22aとの間には、隙間が設けられている。また、二つの内壁部22dは、横方向に互いに離間している。このため、二つの内壁部22dの間に、挿通口35が形成されている。挿通口35は、二つの内壁部22dの間の隙間であり、前後方向に延びている。横方向において、挿通口35の幅(二つの内壁部22dの間の距離)は、凹部34の幅よりも狭い。挿通口35は、ロアレール22の内部空間28と繋がっている。
図7は、実施形態の車両用シートスライド装置13の一部の一例を示す断面図であって、アッパレール21が案内部材71の前方に位置された状態での図である。図8は、実施形態の車両用シートスライド装置13の一部の一例を示す断面図であって、アッパレール21が可動範囲内のうち最も後方の位置に位置された状態での図である。
図7,8に示されるように、ボルト37が、ロアレール22の底壁部22aに設けられた孔38に挿通されている。ボルト37は、図1に示されたフロア11に、ロアレール22を固定している。ボルト37の頭部37aは、ロアレール22の内部空間28に位置されている。ボルト37の頭部37aは、ロアレール22内に突出した突出部(結合具)の一例である。
図5に示されるように、ロアレール22の挿通口35に、アッパレール21の二つの第1側部21bが通されている。アッパレール21の第1側部21b、第1連結部21c、および第2側部21dと、ロアレール22の内壁部22dとは、隙間を介して対向している。さらに、アッパレール21の第2側部21dと、ロアレール22の外壁部22bとは、隙間を介して対向している。このように、アッパレール21とロアレール22とは互いに嵌り合っている。
また、図2から分かるように、アッパレール21の前端部21mと後端部21nとに、エンドキャップ23が取り付けられている。
また、図2,3,5に示されるように、ロアレール22に、複数のストッパ部41が設けられている。複数のストッパ部41は、二つの後側ストッパ部41Aと、二つの前側ストッパ部41B(図2)とを含む。図2は、一つの後側ストッパ部41Aと、一つの前側ストッパ部41Bとを示す。二つの後側ストッパ部41Aと二つの前側ストッパ部41Bとは、長手方向に互いに間隔を空けて配置されている。図5に示されるように、二つの後側ストッパ部41Aは、ロアレール22の幅方向に互いに間隔を空けて配置されている。同様に、二つの前側ストッパ部41Bは、ロアレール22の幅方向に互いに間隔を空けて配置されている。
また、図5,6に示されるように、ロアレール22には、各ストッパ部41に隣接する孔42が設けられている。孔42は、底壁部22aを貫通している。孔42は、当該孔42によって区画される区画部分を切り起すために形成される。そして、当該区画部分がストッパ部41を構成する。ロアレール22の底面視(図6)では、孔42にストッパ部41が重なり、孔42は、U字状に見える。孔42は、開口部や切り欠きとも称される。
ストッパ部41は、アッパレール21に設けられた係合部21f(図3)と、前後方向に重なるよう設けられている。このため、アッパレール21の係合部21fがストッパ部41に到達すると、係合部21fがストッパ部41に当接する。これにより、ストッパ部41は、アッパレール21がさらに前後方向に移動することを制限する。詳細には、後側ストッパ部41Aは、アッパレール21が後方に移動することを制限し、前側ストッパ部41Bは、アッパレール21が前方に移動することを制限する。なお、図3では、一つの係合部21fが示されているが、アッパレール21には、互いに幅方向に離間した二つの係合部21fが設けられている。
図2,3に示されるロック部25は、アッパレール21とロアレール22との、前後方向における相対的な位置をロックする。ロック部25は、ロック部材51と、レバー52と、コイルスプリング53とを有している。ロック部材51には、複数の歯51aが設けられている。複数の歯51aは、前後方向に間隔を介して配置されている。一方、図2に示されるように、ロアレール22の内壁部22dに、複数の係合孔59が設けられている。複数の係合孔59は、前後方向に間隔を介して配置されている。ロック部25では、コイルスプリング53に付勢されたロック部材51の歯51aが、ロアレール22の係合孔59に入り込む。これにより、歯51aと係合孔59の孔面とが係合し、アッパレール21とロアレール22との相対的な位置がロックされる。言い換えると、ロック部25が、アッパレール21とロアレール22との前後方向における相対的な移動を制限する。
レバー52がコイルスプリング53の付勢力に抗して押し下げられると、ロック部材51が回動し、複数の歯51aが係合孔59から抜け出る。これにより、歯51aと係合孔59の孔面との係合が解除され、アッパレール21とロアレール22とが前後方向に相対的に移動可能となる。
図2に示される転動ユニット26は、アッパレール21に取り付けられ、アッパレール21とロアレール22との間に介在している。アッパレール21は、転動ユニット26を介してロアレール22に相対的に移動可能に支持される。転動ユニット26は、複数の転動体61と、支持部材62と、を有している。支持部材62は、転動体61を転動可能(回転可能)に支持している。転動体61が、アッパレール21とロアレール22とに接触している。
図7,8に示されるように、案内部材71は、ロアレール22内において、ボルト37の頭部37aの前方に位置されている。案内部材71は、ロアレール22の底壁部22aに取り付けられ、底壁部22aに支持されている。案内部材71は、ロアレール22の長手方向に延びている。また、案内部材71の高さは、ボルト37の頭部37aの高さよりも高い。案内部材71は、例えば、樹脂製である。なお、案内部材71は、金属製であってもよい。
図9は、実施形態の案内部材71の一例を示す斜視図である。図10は、実施形態の案内部材71の一例を図9とは異なる方向から見た斜視図である。図11は、実施形態の案内部材71の一例を示す平面図である。図12は、実施形態の案内部材71の一例の側面図である。図13は、実施形態の案内部材71の一例の底面図である。図14は、実施形態の案内部材71の一例の背面図である。
図9〜14に示されるように、案内部材71は、案内面71aと、二つの側面71bと、背面71cと、底面71dと、を有している。
案内面71aは、車両上方を向き、ロアレール22の長手方向に延びている。案内面71aは、第1案内面71a1と、第1平面71a2と、第2案内面71a3と、第2平面71a4とを有している。
第1案内面71a1は、案内部材71の前部に設けられている。第1案内面71a1は、ロアレール22の後端部22pに向かうにつれ底壁部22aから離間するように、底壁部22aに対して傾斜している。すなわち、第1案内面71a1は、車両の上方斜め前方を向き、ロアレール22の後端部22pに向かうにつれ車両上方に向かう。第1案内面71a1は、案内面の一例であり、ロアレール22の後端部22pは、ロアレール22の一端部の一例である。第1案内面71a1は、傾斜面とも称されうる。
第1平面71a2は、第1案内面71a1の後端部から後方へ延びている。第1平面71a2は、X‐Y平面上に広がる平面状に構成されている。
第2案内面71a3は、第1平面71a2の後端部から後方へ延びている。第2案内面71a3は、ロアレール22の後端部22pに向かうにつれ底壁部22aから離間するように、底壁部22aに対して傾斜している。すなわち、第2案内面71a3は、車両の上方斜め前方を向き、ロアレール22の後端部22pに向かうにつれ車両上方に向かう。第2案内面71a3の後端部の高さは、ボルト37の頭部37aの高さ以上である。第2案内面71a3は、案内面の一例である。第2案内面71a3は、傾斜面とも称される。
第2平面71a4は、第2案内面71a3の後端部から後方へ延びている。第2平面71a4は、X‐Y平面上に広がる平面状に構成されている。第2平面71a4の高さは、ボルト37の頭部37aの高さ以上である。
二つの側面71bは、横方向に互いに間隔を空けて位置され、ロアレール22の長手方向に延びている。二つの側面71bは、ロアレール22の横方向外側を向いている。二つの側面71bは、案内面71aの幅方向の端部と接続されている。また、図9,14に示されるように、二つの側面71bの少なくとも後部には、側面71bの上端部から側面71bの下端部に向かうにつれて互いに離間する傾斜部71b1が設けられている。また、図11等に示されるように、二つの側面71bのそれぞれには、凹部72が設けられている。凹部72はロアレール22の横方向内側に凹んでいる。この凹部72によって、案内部材71は部分的に幅が狭くなっている。すなわち、案内部材71は、部分的に幅が狭い幅狭部71mを有している。幅狭部71mは、少なくとも当該幅狭部71mの前後に接続された部分の幅よりも幅が狭い。
図9〜図14に示されるように、背面71cは、後方を向いている。背面71cは、前方に向かって凹む湾曲状に構成されている。具体的には、背面71cは、ボルト37の前側に位置されており、背面71cは、頭部37aの前部の外周に沿って湾曲している。背面71cは、案内面71aの後端部および二つの側面71bの後端部と接続されている。
また、図10および図13に示されるように、底面71dは、下方を向いている。底面71dは、二つの側面71bの下端部、および背面71cの下端部と接続されている。
また、案内部材71は、案内面71aを含んだ案内壁部71eと、二つの側面71bを含んだ二つの側壁部71fと、背面71cを含んだ背壁部71gとを有している。案内壁部71e、二つの側壁部71f、および背壁部71gは、ベース部71hを構成している。また、案内壁部71eの底面と、二つの側の側壁部71fの底面と、背壁部71gの底面とは、底面71dを構成している。また、案内部材71には、案内壁部71e、二つの側壁部71fおよび背壁部71gに囲まれ、下方に開口した凹部73(図10)が設けられている。すなわち、ベース部71hに、凹部73が設けられている。
また、図9および図11等に示されるように、案内壁部71eには、逃げ部74が設けられている。逃げ部74は、案内壁部71eの中間部に設けられ、一方の側壁部71fから他方の側壁部71fに向けて幅方向に凹んでいる。この逃げ部74により、案内壁部71eに段差形状が形成されている。逃げ部74は、例えば、ロック部25を避けている。
また、図10および図12等に示されるように、二つの側壁部71fの下端部には、切り欠き75が設けられている。切り欠き75は、凹部72の後方に位置されている。切り欠き75は、側壁部71fを幅方向に貫通している。
次に、案内部材71の取付構造を説明する。図9および図10等に示されるように、案内部材71は、前側位置決め部71iと、後側位置決め部71jと、二つの中間位置決め部71kとを有している。前側位置決め部71iと後側位置決め部71jとは、二つの位置決め部の一例である。
前側位置決め部71iは、案内部材71の前端部に設けられている。前側位置決め部71iは、ベース部71hの前端部から前方斜め下方に延びた延部71i1と、延部71i1から前方へ延びた接触部71i2とを有している。延部71i1は、ロアレール22の底壁部22aに設けられた孔76(図7)に挿入されている。接触部71i2は、底壁部22aの底面に接触している。以上の構成の前側位置決め部71iは、底壁部22aに引っ掛かっている。すなわち、前側位置決め部71iは、底壁部22aに支持されている。このような前側位置決め部71iは、底壁部22aに対して、ロアレール22の長手方向、幅方向および車両上下方向に位置決めされている。
後側位置決め部71jは、案内壁部71eの内面から下方に突出した四つ(複数)の鉤状部71j1を有している。なお、鉤状部71j1の数は、上記に限らない。鉤状部71j1は、ロアレール22の底壁部22aに設けられた孔77(図7)に通された状態で、底壁部22aの底面に引っ掛かっている。すなわち、後側位置決め部71jは、底壁部22aに支持されている。このような後側位置決め部71jは、底壁部22aに対して、ロアレール22の長手方向、幅方向および車両上下方向に位置決めされている。
二つの中間位置決め部71kは、案内部材71における前側位置決め部71iと後側位置決め部71jとの間の中間部71pに設けられ、ロアレール22の幅方向に互いに間隔を空けて設けられている。具体的には、二つの中間位置決め部71kは、二つの側壁部71fに設けられている。
図5および図10等に示されるように、中間位置決め部71kは、幅狭部71mに設けられた突出部71nと、幅狭部71mにおいて側面71bに含まれた面71b3とを有している。
突出部71nは、幅狭部71mにおいて、側壁部71fから下方に延びている。突出部71nは、側壁部71fと同様の厚さの板状に構成されて、ロアレール22の長手方向に延びている。図5および図6に示されるように、突出部71nは、第1接触部71qを有している。第1接触部71qは、突出部71nの幅方向内側の面に含まれている。第1接触部71qは、底壁部22aの孔42に入れられている。二つの中間位置決め部71kの二つの第1接触部71qは、前側位置決め部71iと後側位置決め部71jとの間の中間部71pに設けられ、幅方向に互いに間隔を空けて位置されている。
一方、底壁部22aには、孔42に面するとともに第1接触部71qに面するストッパ面22a1が設けられている。ストッパ面22a1は、幅方向外側を向いている。ストッパ面22a1は、第1接触部71qごとに設けられている。すなわち、底壁部22aには、二つのストッパ面22a1が設けられている。二つのストッパ面22a1は、幅方向に互いに間隔を空けて位置されるとともに二つの第1接触部71qの間に位置されている。ストッパ面22a1は、第1接触部71qとの接触により案内部材71の幅方向の移動を制限する。本実施形態では、二つのストッパ面22a1は、二つの第1接触部71qに接触して設けられている。ストッパ面22a1は、内側ストッパ部の一例である。
また、図9および図10等に示されるように、面71b3は、凹部72の底部に面している。すなわち、面71b3は、ロアレール22の幅方向外側を向いている。面71b3は、凹部72の幅方向における底面ということができる。面71b3は、第2接触部71rを含んでいる。第2接触部71rは、後側ストッパ部41Aの先端部に幅方向に面する。二つの中間位置決め部71kの二つの第2接触部71rは、案内部材71における前側位置決め部71iと後側位置決め部71jとの間の中間部71pに設けられ、幅方向に互いに間隔を空けて位置されている。中間部71pは、前側位置決め部71iと後側位置決め部71jとの間に設けられている。また、図6に示されるように、二つの第2接触部71rは、車両上下方向に沿って見た場合に、二つの第1接触部71qとロアレール22の幅方向に並んでいる。二つの第2接触部71rの一部が、車両上下方向に沿って見た場合に、二つの第1接触部71qとロアレール22の幅方向に並んでいてもよいし、二つの第2接触部71rの全部が、車両上下方向に沿って見た場合に、二つの第1接触部71qとロアレール22の幅方向に並んでいてもよい。
図5に示されるように、後側ストッパ部41Aは、第2接触部71rごとに設けられている。すなわち、ロアレール22には、二つの後側ストッパ部41Aが設けられている。二つの後側ストッパ部41Aは、幅方向に互いに間隔を空けて位置されるとともに互いの間に二つの第2接触部71rが位置されている。後側ストッパ部41Aは、第2接触部71rとの接触により案内部材71の幅方向の移動を制限する。本実施形態では、二つの後側ストッパ部41Aは、二つの第2接触部71rから離間して設けられている。したがって、例えば、案内部材71の変形により後側ストッパ部41Aと第2接触部71rとが相対的に近づくことで、後側ストッパ部41Aと第2接触部71rとが接触する。後側ストッパ部41Aは、外側ストッパ部の一例である。
また、二つの後側ストッパ部41Aの少なくとも一方は、二つのストッパ面22a1よりも車両上方の位置で第2接触部71rと接触する。本実施形態では、二つの後側ストッパ部41Aの両方が、二つのストッパ面22a1よりも車両上方の位置で第2接触部71rと接触する。
また、図6に示されるように、本実施形態では、第1接触部71q、第2接触部71r、ストッパ面22a1、および後側ストッパ部41Aの組み合わせによって、複数の組P1〜P4が構成されている。第1接触部71q、第2接触部71r、ストッパ面22a1、および後側ストッパ部41Aは、複数の組P1〜P4のいずれかに含まれる構成要素である。組P1,P2は、それぞれ、第1接触部71qと当該第1接触部71qとの接触により案内部材71の幅方向の移動を制限するストッパ面22a1との組である。また、組P3,P4は、第2接触部71rと当該第2接触部71rとの接触により案内部材71の幅方向の移動を制限する後側ストッパ部41Aとの組である。
複数の組P1〜P4のうち少なくとも一つにおいて、組P1〜P4に含まれる二つの構成要素が互いに接触して設けられている。本実施形態では、一例として、組P1,P2の両方において、当該組P1,P2に含まれる二つの構成要素(第1接触部71q、ストッパ面22a1)が互いに接触して設けられている。なお、組P1〜P4に含まれる二つの構成要素の位置関係は上記に限られない。例えば、組P1,P2のうちいずれか一方だけが、当該一方に含まれる二つの構成要素(第1接触部71q、ストッパ面22a1)が互いに接触して設けられていてもよい。また、組P3,P4の両方において、当該組P3,P4に含まれる二つの構成要素(第2接触部71r、後側ストッパ部41A)が互いに接触して設けられていてもよい。また、組P3,P4のうちいずれか一方だけが、当該一方に含まれる二つの構成要素(第2接触部71r、後側ストッパ部41A)が互いに接触して設けられていてもよい。また、二つの組P1,P2のうちいずれか一方および二つの組P3,P4のうちいずれか一方において、それらに含まれる二つの構成要素が互いに接触して設けられていてもよい。また、複数の組P1〜P4の全部において、組P1〜P4に含まれる二つの構成要素が互いに接触して設けられていてもよい。また、複数の組P1〜P4の全部において、組P1〜P4に含まれる二つの構成要素が互いに離間していてもよい。
また、図6および図10に示されるように、案内部材71には、誤組防止用の突起71sが設けられている。突起71sは、案内壁部71eの内面から下方に突出している。突起71sは、ロアレール22の底壁部22aに設けられた孔78に入れられている。突起71sおよび孔78の位置は、二つの車両用シートスライド装置13で互いに異なる。
上記構成の案内部材71の取り付けにおいては、まず、前側位置決め部71iが孔76に通されて、前側位置決め部71iが底壁部22aに引っ掛けられる。次に、後側位置決め部71jの鉤状部71j1が孔77に通されて、鉤状部71j1が底壁部22aに引っ掛けられる。この際、中間位置決め部71kの二つの第1接触部71qが孔42に入れられるとともに、中間位置決め部71kの二つの第2接触部71rが二つの後側ストッパ部41Aの間に位置される。
以上の構成の車両用シートスライド装置13では、図7および図8から分かるように、アッパレール21は、案内部材71と干渉することなく、ロアレール22の長手方向に沿って移動することができる。
また、上記構成の車両用シートスライド装置13において、例えば、ロアレール22の内部空間28に、例えばライター等の落下物(異物)が案内部材71の前方に落下した場合、当該落下物は、アッパレール21の後方への移動に伴い、エンドキャップ23を介してアッパレール21の後端部21nによって後方に押される。後方に押された落下物は、案内部材71の第1案内面71a1、第1平面71a2、第2案内面71a3、および第2平面71a4によって、上方に持ち上げられつつ後方に案内される。そして、最終的には、落下物は、ボルトの頭部37aの上方を通過して、ロアレール22の後端部からロアレール22の外部に排出される。すなわち、案内部材71は、少なくとも落下物をボルト37の頭部37aの上方へ案内する。
以上のように、本実施形態では、例えば、案内部材71は、ロアレール22の長手方向に互いに間隔を空けて位置され、底壁部22aに位置決めされた前側位置決め部71i(位置決め部)および後側位置決め部71j(位置決め部)と、前側位置決め部71iおよび後側位置決め部71jの間の中間部71pに設けられ、幅方向に互いに間隔を空けて位置された複数(一例として、二つ)の第1接触部71qと、中間部71pに設けられ、幅方向に互いに間隔を空けて位置された複数(一例として、二つ)の第2接触部71rと、を有している。また、ロアレール22は、幅方向に互いに間隔を空けて位置されるとともに複数(一例として、二つ)の第1接触部71qの間に位置され、第1接触部71qとの接触により案内部材71の幅方向の移動を制限する複数(一例として、二つ)のストッパ面22a1(内側ストッパ部)と、幅方向に互いに間隔を空けて位置されるとともに互いの間に二つの第2接触部71rが位置され、第2接触部71rとの接触により案内部材71の幅方向の移動を制限する後側ストッパ部41A(外側ストッパ部)と、を有している。よって、本実施形態によれば、例えば、例えば、前側位置決め部71iおよび後側位置決め部71jのうち一方しか設けられていない構成に比べて、ロアレール22に対して案内部材71がずれ難い。
また、本実施形態では、例えば、後側ストッパ部41Aは、アッパレール21との接触により長手方向へのアッパレール21の移動を制限する。すなわち、後側ストッパ部41Aは、案内部材71のストッパ部とアッパレール21のストッパ部とを兼ねている。よって、車両用シートスライド装置13の構成が簡素化されやすい。
また、前記車両用シートスライド装置では、例えば、構成要素としての第1接触部71qと当該第1接触部71qとの接触により案内部材71の幅方向の移動を制限する、構成要素としてのストッパ面22a1との複数の組P1,P2、および構成要素としての第2接触部71rと当該第2接触部71rとの接触により案内部材71の幅方向の移動を制限する、構成要素としての後側ストッパ部41Aとの複数の組P3,P4、のうち少なくとも一つにおいて、組P1〜P4に含まれる二つの構成要素が互いに接触して設けられている。よって、本実施形態によれば、例えば、全ての組P1〜P4において二つの構成要素が互いに離間して設けられた構成に比べて、ロアレール22に対して案内部材71がずれ難い。
また、本実施形態では、例えば、案内部材71は、部分的に幅が狭い幅狭部71mを有し、二つの第1接触部71qおよび二つの第2接触部71rは、幅狭部71mに設けられている。よって、本実施形態によれば、例えば、第1接触部71qおよび第2接触部71rを、ストッパ面22a1および後側ストッパ部41A以外の他の部材(例えば、ロック部25)から離間させやすい。
また、本実施形態では、例えば、複数の後側ストッパ部41Aの少なくとも一つは、複数のストッパ面22a1よりも車両上方の位置で第2接触部71rと接触する。よって、本実施形態によれば、例えば、案内部材71の倒れ変形が抑制されやすい。
また、本実施形態では、例えば、複数の第2接触部71rは、車両上下方向に沿って見た場合に、複数の第1接触部71qとロアレール22の幅方向に並んでいる。よって、本実施形態によれば、例えば、案内部材71がロアレール22の長手方向に長くなるのを防止することができる。
また、本実施形態では、例えば、案内部材71は、ロアレール22の長手方向に互いに間隔を空けて位置され、底壁部22aに位置決めされた前側位置決め部71i(位置決め部)および後側位置決め部71j(位置決め部)と、前側位置決め部71iおよび後側位置決め部71jの間に設けられた中間部71pと、を有している。そして、複数の第1接触部71qおよび複数の第2接触部71rは、中間部71pに設けられている。よって、本実施形態によれば、例えば、案内部材71では、長手方向に互いに間隔を空けて位置された前側位置決め部71iおよび後側位置決め部71jがロアレール22に位置決めされるとともに、中間部71pがストッパ面22a1および後側ストッパ部41Aによって位置決めされる。したがって、ロアレール22に対して案内部材71がずれ難い。
また、本実施形態では、案内部材71の二つの側面71bの少なくとも後部には、側面71bの上端部から側面71bの下端部に向かうにつれて互いに離間する傾斜部71b1が設けられている。よって、本実施形態によれば、案内部材71の後部と他の部材(例えば、アッパレール21)との間の距離を長くしやすい。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。本発明は、上記実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成(技術的特徴)によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)を得ることが可能である。また、各構成要素のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
例えば、第1接触部、第2接触部、内側ストッパ部、および外側ストッパ部は、それぞれ三つ以上設けられていてもよい。