JP6893000B2 - 酸性ホスファターゼ突然変異体及びニコチンアミドリボシドの調製方法 - Google Patents

酸性ホスファターゼ突然変異体及びニコチンアミドリボシドの調製方法 Download PDF

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Description

本発明は、分子生物学及び生物工学の技術分野に関し、特に遺伝子部位特異的突然変異の方法により人工的に得られた酸性ホスファターゼ突然変異体、その応用及びそのニコチンアミドリボシドの調製方法に関する。
酸性ホスファターゼ(acid phosphatase)は、加水分解酵素であり、リン酸モノエステル(ヌクレオチド、タンパク質など)の分子加水分解を触媒してリン酸基を去除し、標的分子を脱リン酸化する役割を有し、酸性環境で最も効果的であるため、酸性ホスファターゼと命名され、EC番号がEC 3.1.3.2である。
ニコチンアミドリボシド(nicotinamide riboside、略語NR)は、ニコチンアミドヌクレオシド、ニコチンアミドリボヌクレオシド、ナイアシンリボース/グリコシド、ニコチンアミドヌクレオシド、β−D−ニコチンアミドヌクレオシドとも呼ばれ、CAS番号が1341−23−7であり、その構造式が以下の式に示される。
Figure 0006893000
ニコチンアミドリボシドは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の前駆体であり、且つビタミンB3の由来である。研究から明らかなように、ニコチンアミドリボシドを補充することにより細胞内NADの濃度を向上させ、それによりNAD欠乏に起因するさまざまな不健康な状態を予防及び改善する作用を果たす。
しかしながら、ニコチンアミドリボシドには、水環状で自発的に不安定性になりニコチンアミドとリボース産物に分解する高エネルギーグリコシド結合が含まれる。このような自発的な分解は、具体的な環境の条件に応じて数時間又は数日間かけて起こり、この結果、食べ物には天然ニコチンアミドリボシドの保持が困難であり、また天然由来からのニコチンアミドリボシドの分離が困難であり、このため、中国の国内外では化学合成方法によりニコチンアミドリボシドを生産するのが一般的である。
米国特許出願US2017/0121746A1において、ニコチンアミドモノヌクレオチド及び/又はその誘導体、水及び特定の溶媒を原料として、リン酸モノエステル加水分解酵素による触媒作用下でニコチンアミドリボシドを生産するニコチンアミドリボシドの生産方法が開示されている。該方法は、酵素法でニコチンアミドリボシドを調製し、化学合成法よりも環境及び健康により優しくプロセスが単純化されるという利点を有し、ニコチンアミドリボシドの生産の発展トレンドとなっている。ただし、野生型酸性ホスファターゼの活性が低いため、酵素法でニコチンアミドリボシドを生産するコストが高くなり、したがって、酸性ホスファターゼの酵素活性を向上させることは、ニコチンアミドリボシドの酵素法の産業化にとって重要な意義がある。
本発明の目的は、野生型酸性ホスファターゼの低活性により酵素法でニコチンアミドリボシドを工業的に生産するコストが高いという技術的課題を解決するために、酵素活性を向上させた酸性ホスファターゼ、及び該酵素を用いたニコチンアミドリボシドの調製方法を提供することである。
上記目的を達成させるために、本発明は、まず、酸性ホスファターゼ突然変異体を提供し、該酸性ホスファターゼ突然変異体は、
(a)アミノ酸配列がSEQ ID NO:3に示されるタンパク質、
(b)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列において1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失又は追加され、且つニコチンアミドモノヌクレオチドを基質とし、アミノ酸配列がSEQ ID NO:2に示される酸性ホスファターゼ親よりも高い触媒活性を有し、(a)から誘導されるタンパク質、又は、
(c)与(a)又は(b)において限定されたタンパク質のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し且つニコチンアミドモノヌクレオチドを基質とし、アミノ酸配列がSEQ ID NO:2に示される酸性ホスファターゼ親よりも高い触媒活性を有するタンパク質である。
上記酸性ホスファターゼ親は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に由来し、その遺伝子配列がSEQ ID NO:1に示されており、アミノ酸配列がSEQ ID NO:2に示されている。
好ましくは、与如SEQ ID NO:2に示される酸性ホスファターゼ親のアミノ酸配列と比較して、本発明の突然変異体は、第44位、第115位、第206位及び第240位の部位のうちの少なくとも1つに少なくとも1つの突然変異を有する。
より好ましくは、SEQ ID NO:2に示される酸性ホスファターゼ親のアミノ酸配列と比較して、本発明の突然変異体は、K44C、K115F、K115I、D206I及びS240Eの突然変異のうちの少なくとも1つを有する。
本発明は、ニコチンアミドリボシドの調製方法をさらに提供し、該方法は、KCl及び無水MgClが存在する条件で、酸性ホスファターゼを用いてニコチンアミドモノヌクレオチドを触媒してニコチンアミドリボシドに転化することを含み、酸性ホスファターゼは、アミノ酸配列がSEQ ID NO:2に示される酸性ホスファターゼ親又は下記(a)、(b)又は(c)の酸性ホスファターゼ突然変異体である。
(a)アミノ酸配列がSEQ ID NO:3に示されるタンパク質、
(b)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列において1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失又は追加され、且つニコチンアミドモノヌクレオチドを基質とし、アミノ酸配列がSEQ ID NO:2に示される酸性ホスファターゼ親よりも高い触媒活性を有し、(a)から誘導されるタンパク質、又は、
(c)(a)又は(b)において限定されたタンパク質のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有し且つニコチンアミドモノヌクレオチドを基質とし、アミノ酸配列がSEQ ID NO:2に示される酸性ホスファターゼ親よりも高い触媒活性を有するタンパク質。
本発明のニコチンアミドリボシドの調製方法の転化経路は、以下に示される。
Figure 0006893000
好ましくは、本発明のニコチンアミドリボシドの調製方法は、KCl及び無水MgClを水に溶解して、KClとMgClの混合溶液を得るステップ1)と、室温に冷却するステップ2)と、KClとMgClの混合溶液にニコチンアミドモノヌクレオチドを加えて溶解し、pH値を6−7に調整するステップ3)と、酸性ホスファターゼを加えて、pH値を6.8−7.3に調整するステップ4)と、37±5℃で少なくとも1.5時間反応させるステップ5)と、を順次含む。
基質であるニコチンアミドモノヌクレオチドの分解を防止するために、より好ましくは、前記酸性ホスファターゼでニコチンアミドモノヌクレオチドを触媒してニコチンアミドリボシドに転化する酵素反応が開始する前に、反応系にコンニャクグルコマンナン及び/又はレバウディオサイドAを加える。より好ましくは、コンニャクグルコマンナンを加える。
より好ましくは、コンニャクグルコマンナン及び/又はレバウディオサイドAの添加量は、ニコチンアミドモノヌクレオチドの重量の0.1−0.5倍である。
本発明の方法では、まず、KCl及び無水MgClを溶解して室温に降温した後、基質であるニコチンアミドモノヌクレオチドに加え、このようにすると、溶解に生じる過剰な熱により基質へ影響を与えることを回避し、さらに転化率の低下を防止できるという利点がある。
好ましくは、本発明の方法のステップ1)では、水中の不純物による基質への影響により転化率が低下することを防止するように、水として再蒸留水が使用される。再蒸留水とは、一回蒸留された水を再度蒸留して得た水であり、英語名がdouble distilled waterであり、ddwaterと略語し、ddHOと呼ばれることもある。
好ましくは、本発明の方法ステップ3)及びステップ4)では、pH値の調整にNaOHが使用される。
好ましくは、本発明の方法では、反応系におけるニコチンアミドモノヌクレオチドの最終濃度が100±50g/Lである。
好ましくは、本発明の方法では、反応系におけるKClの最終濃度が15±5g/Lである。
好ましくは、本発明の方法では、反応系におけるMgClの最終濃度が40±10g/Lである。
本発明の方法では、酸性ホスファターゼ親は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に由来し、その遺伝子配列がSEQ ID NO:1に示されており、アミノ酸配列がSEQ ID NO:2に示されている。
本発明の方法に使用される酸性ホスファターゼは、市販されている商品酵素であってもよく、自作した酵素製品であってもよく、ここで、酵素製品とは、未精製の粗酵素の形態であってもよく、完全又は部分的に精製された酵素であってもよく、本発明の酸性ホスファターゼは、以下の方法によって自作できる。
酸性ホスファターゼ親の調製:PCR技術によりSEQ ID NO:1に示される遺伝子配列を増幅し、次に、増幅産物を発現ベクターpET22b(+)のNdeI及びEcoR I部位に挿入して、組換えプラスミドpET22b−NS3を得て、シーケンシングにより確認した後、組換えプラスミドpET22b−NS3を大腸菌に形質転換して培養及び発現誘導を行い、発現終了後、菌体を収集して細胞破壊処理を行い、上澄み液を収集して酸性ホスファターゼ親の粗酵素液を得る。
酸性ホスファターゼ突然変異体の調製:逆PCR技術により突然変異部位のプライマー配列を設計し、設計したプライマーを用いて、組換えプラスミドpET22b−NS3をテンプレートとして逆PCR増幅を行い、次に、増幅産物をDpn I酵素消化テンプレートで処理した後、大腸菌に形質転換し、形質転換された大腸菌に対して培養及び発現誘導を行い、発現終了後、菌体を収集して細胞破壊処理を行い、上澄み液を収集して酸性ホスファターゼ突然変異体の粗酵素液を得る。
好ましくは、本発明の方法に使用される酸性ホスファターゼは、上記酸性ホスファターゼ親及び/又は突然変異体の粗酵素液を精製処理した精製酵素液である。
好ましくは、ニッケルカラムを用いて上記酸性ホスファターゼ親及び/又は突然変異体の粗酵素液を精製処理する。
好ましくは、ニッケルカラムを用いて上記酸性ホスファターゼ親及び/又は突然変異体の粗酵素液を精製処理する方法には、アガロースゲルをニッケル担体として、塩化ニッケル溶液をニッケルに塗布して、1×PBS+10mMイミダゾール溶液を用いてニッケルカラムを平衡化する、ニッケルカラムを製造するステップ1)と、粗酵素液とニッケルフィラーを均一に混合した後、氷浴において1−2hインキュベートし、次に、インキュベートした混合物をステップ1)で製造されたニッケルカラムに注入する、サンプル注入のステップ2)と、まず、1×PBS+10mMイミダゾール溶液を用いて一回目の溶出を行い、次に、1×PBS+(200−500)mMイミダゾール溶液を用いて二回目の溶出を行い、溶出液を収集して精製酵素液を得る、溶出ステップ3)とが含まれる。
勿論、上記ニッケルカラムを用いて精製処理する方法は、本発明の酸性ホスファターゼ親及び突然変異体以外の酸性ホスファターゼの粗酵素液の精製にも適用できる。
粗酵素液の上記精製処理方法では、一回目の溶出は、夾雑タンパク質を除去し、二回目の溶出は、酸性ホスファターゼタンパク質を溶出することに用いられる。
好ましくは、本発明の方法では、酸性ホスファターゼとして固定化酵素が使用される。固定化酵素とは、一定の空間範囲で触媒作用を果たし、且つ繰り返して連続的に使用可能な酵素である。通常、酵素触媒反応が水溶液で行われるが、固定化酵素は、水溶性酵素を物理又は化学方法で処理することで、水に不溶であるが、酵素活性を有する状態にしたものである。固定化後の酵素は、一般に、安定性が高まり、反応系から分離されやすくなり、且つ制御されやすくなり、繰り返して利用可能であり、輸送も保存も容易になり、自動化生産に有利である。
本発明の方法に使用されている固定化酵素は、直接市販品として購入してもよく、自作してもよく、非固定化酵素を購入して自分で固定化させてもよい。固定化には、本分野で公知するさまざまな酵素固定化担体、たとえば、従来の無機担体材料としてのシリカ、活性炭、ガラスビーズなど、及び有機高分子担体であるマクロポーラス型ポリN−アミノエチルアクリルアミド−ポリエチレンなどが使用され得る。本発明では、ニッケル材料又は固相樹脂を用いて酸性ホスファターゼを固定化するのが好ましい。
好ましくは、固相樹脂を用いて酸性ホスファターゼを固定化する方法には、酸性ホスファターゼに0.2−0.8M KHPOを加えて、pH値を7.5−9.5に調整し、固相樹脂を加えて室温で12−24h撹拌し、次に濾液をろ過除去して、酸性ホスファターゼ固定化酵素を得ることを含む。
勿論、上記固定化方法は、本発明の酸性ホスファターゼ親及び突然変異体以外の酸性ホスファターゼの固定化にも適用できる。
好ましくは、本発明によるニコチンアミドリボシドの調製方法は、酸性ホスファターゼでニコチンアミドモノヌクレオチドを触媒してニコチンアミドリボシドに転化する酵素反応液からニコチンアミドリボシド精製品を精製する後処理をさらに含み、該後処理は、酵素反応液をろ過して、濾液を収集するステップ1)と、溶液でのニコチンアミドリボシドの安定性を向上させるために、濾液のpH値を5.0±0.5に調整するステップ2)と、ステップ2)でpHが調整された濾液を精密ろ過して、濾液を収集するステップ3)と、ステップ3)で精密ろ過して得た精密ろ過液を、ポリスチレンを分取カラムのフィラー、エタノール及び水を移動相として勾配溶出を行い、目標ピークの溶出液を収集する分取液相で精製するステップ4)と、ステップ4)で収集した溶出液を凍結乾燥させて、ニコチンアミドリボシド精製品を得るステップ5)と、を含む。
本発明の方法におけるろ過とは、物理方法で溶液中の固体と液体を分離する過程を意味し、常圧ろ過、減圧ろ過、遠心ろ過など、一般的なろ過方法であれば、本発明に適用できる。好ましくは、上記後処理のステップ1)では、200−400メッシュのろ過膜で酵素反応液をろ過することで、酵素反応液中の酸性ホスファターゼを除去する。
精密ろ過は、マイクロポーラスろ過とも呼ばれ、マイクロポーラスろ過膜をろ過媒体として、0.1〜0.3MPaの圧力の作用下で、0.1〜1μmの粒子及び細菌をカットオフし、大分子有機物や無機塩などを透過させることである。好ましくは、上記後処理のステップ3)では、0.45μmのマイクロポーラスろ過膜で濾液を精密ろ過する。
好ましくは、上記後処理のステップ4)では、移動相の流速は40ml/minであり、検出波長は260nmであり、溶出勾配は、0−13min、エタノール0%、水100%;13−23min、エタノール1%、水99%;23−31min、エタノール5%、水95%;31−43min、エタノール20%、水80%;43−45min、エタノール20%、水80%;45−60min、エタノール100%、水0%である。
好ましくは、在上記後処理のステップ5)の凍結乾燥前に、収集した溶出液のpH値を塩酸で3−4に調整し、このPH条件下で、ニコチンアミドリボシドのすべてが塩酸と反応してニコチンアミドリボシドクロリドを生成する。
安定性がより高く性状がより良好なニコチンアミドリボシドを得るために、好ましくは、上記後処理のステップ5)の凍結乾燥前に、収集した溶出液にコンニャクグルコマンナン及び/又はレバウディオサイドAを加えて均一に混合する。
より好ましくは、コンニャクグルコマンナン及び/又はレバウディオサイドAの添加量は、ニコチンアミドリボシドの重量の1−2倍であり、さらに好ましくは1.5倍である。
凍結乾燥の効率を向上させて、凍結乾燥時間を短縮させるために、好ましくは、上記後処理のステップ5)の凍結乾燥前に、収集した溶出液を濃縮処理させて、大量の水分を除去する。本発明における濃縮とは、物理方法により溶媒を蒸発させることで溶液の濃度を向上させるプロセスであり、減圧蒸留法、限外ろ過法、透析法、吸着法、凍結乾燥法などを含む。好ましくは、溶出液をニコチンアミドリボシドの濃度が40−90g/Lとなるまで濃縮させる。
ニコチンアミドリボシドの生物分解を防止するために、好ましくは、濃縮処理は、25℃以下の温度で行われ、より好ましくは、濃縮処理は、20℃以下の温度で行われる。
より好ましくは、上記濃縮処理には、ナノろ過濃縮が使用される。
ナノろ過とは、逆浸透と超濾の間にある圧力駆動膜分離プロセスであり、孔径範囲が数ナノ程度であり溶媒分子又は相対分子量の小さな溶質又は低コストのイオンを透過させることで分離と濃縮の効果を奏するナノろ過膜をろ過媒体とする。
好ましくは、上記後処理のステップ5)の凍結乾燥における昇華温度を25℃以下に制御する。好ましくは、ニコチンアミドリボシド精製品における含水率が2%以下となるまで凍結乾燥させる。
本発明は、酸性ホスファターゼ固定化酵素の調製方法をさらに提供し、
PCR技術により酸性ホスファターゼ親の遺伝子配列を増幅し、次に、増幅産物を発現ベクターに挿入して、組換えプラスミドを得て、シーケンシングにより確認した後、組換えプラスミドを宿主細胞に形質転換して培養及び発現誘導を行い、発現終了後、細胞を収集して細胞破壊処理を行い、上澄み液を収集して酸性ホスファターゼ親の粗酵素液を得ることを含む、酸性ホスファターゼ親を調製するステップ1)と、
逆PCR技術により突然変異部位のプライマー配列を設計し、設計したプライマーを用いて、ステップ1)の組換えプラスミドをテンプレートとして逆PCR増幅を行い、次に、増幅産物をDpn I酵素消化テンプレートで処理した後、宿主細胞に形質転換して培養及び発現誘導を行い、発現終了後、細胞を収集して細胞破壊処理を行い、上澄み液を収集して酸性ホスファターゼ突然変異体の粗酵素液を得ることを含む、酸性ホスファターゼ突然変異体を調製するステップ2)と、
アガロースゲルをニッケル担体として、塩化ニッケル溶液をニッケルに塗布して、1×PBS+10mMイミダゾール溶液を用いてニッケルカラムを平衡化する、ニッケルカラムを製造するステップa)と、酸性ホスファターゼ親及び/又は突然変異体の粗酵素液とニッケルフィラーを均一に混合した後、氷浴において1−2hインキュベートし、次に、インキュベートした混合物をステップa)で製造されたニッケルカラムに注入する、サンプル注入のステップb)と、まず、1×PBS+10mMイミダゾール溶液を用いて一回目の溶出を行い、次に、1×PBS+(200−500)mMイミダゾール溶液を用いて二回目の溶出を行い、溶出液を収集して酸性ホスファターゼ親及び/又は突然変異体の精製酵素液を得る、溶出ステップc)とを含む、ニッケルカラムを用いて酸性ホスファターゼ親及び/又は突然変異体の粗酵素液を精製するステップ3)と、
ステップ3)で得られた精製後の酵素液に0.2−0.8M KHPOを加えて、pH値を7.5−9.5に調整し、次に固相樹脂を加えて、室温で12−24h撹拌し、濾液をろ過除去して、酸性ホスファターゼ固定化酵素を得ることを含む、固相樹脂で固定化するステップ4)と、を含む。
上記酸性ホスファターゼ固定化酵素の調製方法では、酸性ホスファターゼは、本発明の上記酸性ホスファターゼ親及び突然変異体であるが、本発明の酸性ホスファターゼ親及び突然変異体以外の酸性ホスファターゼ親及び突然変異体であってもよい。
本発明は、組換えベクター、組換え細胞又は組換え微生物を含む生物材料をさらに提供し、前記生物材料は、本発明の上記酸性ホスファターゼ突然変異体をコードする遺伝子を含有する。
本発明は、ニコチンアミドリボシドの調製における上記酸性ホスファターゼ突然変異体の応用をさらに提供する。
有益な効果は、以下のとおりである。
酸性ホスファターゼ親に比べて、本発明による酸性ホスファターゼ突然変異体は、酵素活性、温度安定性及びpH安定性のいずれも著しく向上する。本発明によるニコチンアミドリボシドの調製方法では、基質であるニコチンアミドモノヌクレオチドの転化率が99%と高く、調製されたニコチンアミドリボシドの純度が99%以上に達する。
本発明の実施例1における組換えプラスミドpET22b−NS3の構築プロセスを示す図である。 実施例7の突然変異体K115Iの酵素反応液のHPLCスペクトルである。 実施例8の親の酵素反応液のHPLCスペクトルである。 実施例9の突然変異体K115Iの酵素反応液のHPLCスペクトルである。
以下、特定の実施例及び図面を参照しながら本発明についてさらに詳細に説明し、以下の実施例は、本発明を解釈するものであり、本発明は以下の実施例に制限されるものではなく、実施例において条件が明記されない場合、一般的な条件又はメーカが推薦した条件で行われる。特に断らない限り、本発明の実施例に使用される原料及びほかの化学試薬は、すべて市販品である。
実施例1
<酸性ホスファターゼ親の調製>
図1に示すように、プライマー対として5′−GGAATTCCATATGATGACCATTGCGAAGGATTACCGT−3′、及び5′−CCGGAATTCTTAGTGGTGGTGGTGGTGGT−3′を用いて、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のSEQ ID NO:1に示される酸性ホスファターゼ遺伝子NS−3(そのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2に示される)をPCR増幅技術により増幅し、得たPCR増幅産物を酵素切断断すると同時に、発現ベクターpET22b(+)のNdeI及びEcoR I部位に挿入し、組換えプラスミドpET22b−NS3を得た。シーケンシングにより確認した後、組換えプラスミドを大腸菌Rosetta(de3)に形質転化した。得た組換え大腸菌を小体積のLB培地(100μg/mLのAmpを含有する)に接種して、30〜37℃で一晩培養した後、1〜5%の接種量で一定の体積のLB培地(100μg/mLのAmpを含有する)に移し、30〜37℃でOD600が0.6〜1.0となるまで培養し続け、最終濃度0.1mM〜1mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を加え、20〜37℃で発現誘導を10〜20h行った後、菌体を遠心分離により収集した。
実施例2
<酸性ホスファターゼ突然変異体の調製>
突然変異部位:K44C、K115F、K115I、D206I、S240E、K115I/S240E、K115F/K44C/D206I、K115I/S240E/D206Iを設計し、表1に示される突然変異プライマー配列を用いて、実施例1で構築された組換えプラスミドpET22b−NS3をテンプレートとして逆PCRを行い、PCR系及びPCRプログラムは、以下のとおりである。
PCR系:
PrimeSTAR(登録商標) GXL DNA Polymerase 0.5ul
5×PrimeSTAR GXL Buffer(MG2+ plus)*2 10ul
テンプレートプラスミド 1ul
dNTP(2.5mM each) 4ul
突然変異プライマー1 1ul
突然変異プライマー2 1ul
滅菌水 up to 50ul
PCRプログラム:
98℃ 3min
98℃ 10s
30× 50-65℃ 15s
72℃ 7min
30回サイクル
72℃ 10min
PCR産物をゲル回収キッドで精製した後、Dpn Iで酵素切断を行い、酵素切断後、産物を大腸菌DH5αに形質転化し、Amp平板のスクリーニングをした後、菌落を選択してシーケンシングに供し、K44C、K115F、K115I、D206I、S240E、K115I/S240E、K115F/K44C/D206I、K115I/S240E/D206I部位での突然変異が成功した突然変異組換えプラスミド形質転化大腸菌Rosetta(de3)が得られたことを確認した。得られた突然変異体組換え大腸菌を小体積のLB培地(100μg/mLのAmpを含有する)に接種して、30〜37℃で一晩培養した後、1〜5%の接種量で一定の体積のLB培地(100μg/mLのAmpを含有する)に移し、30〜37℃でOD600が0.6〜1.0となるまで培養し続け、最終濃度0.1mM〜1mMのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を加えて、20〜37℃で発現誘導を10〜20h行った後、菌体を遠心分離により収集した。
Figure 0006893000
実施例3
<酸性ホスファターゼ粗酵素液の調製>
発酵して収集した菌体を、その質量に対して4倍の1×PBS+10mMイミダゾール溶液で再懸濁させた後、高圧ホモジナイザーで菌体を破砕し、均質化終了後、撹拌しながら全体積0.5−1%のポリエチレンイミン(PEI)を加えてpHを7.0−8.0に調整し、遠心分離により上層の透明酵素液を収集し、酵素液を0.45μLろ過膜でろ過し、濾液を収集して、酸性ホスファターゼの粗酵素液を得た。
実施例4
<ニッケルカラムの調製>
a)カラムをきれいに洗浄した後、アガロースゲルをニッケル担体として、ニッケルフィラー(ml):菌体(g)=1:2の割合でアガロースゲルを準備し、ddHO及び1×PBSを用いてそれぞれ5カラム体積でアガロースゲルを順次洗浄した。
b)0.2mol/L塩化ニッケル溶液を調製してニッケルに塗布し、ニッケルを十分に塗布するために、繰り返して塗布してもよい。
c)5カラム体積のddHOで未結合のNi2+を洗い落とし、次に、5−10カラム体積の1×PBS+10mMイミダゾール溶液(pH=8.0)を用いてニッケルカラムを平衡化した。
実施例5
<サンプル注入及び溶出>
a)実施例3で得られた酸性ホスファターゼの粗酵素液とニッケルフィラーを均一に混合した後、三角フラスコに移して、回転数100rmのシェーカーにおいて氷浴により1−2hインキュベートした。
b)1×PBS+10mMイミダゾール溶液(pH=8.0)を用いて夾雑タンパク質を溶出し、次に、1×PBS+200mMイミダゾール溶液(pH=8.0)を用いて目標タンパク質を十分に溶出し、溶出液を収集して酸性ホスファターゼの精製酵素液を得た。
実施例6
<酵素活性の比較実験>
酵素活性の測定方法:最終濃度200mMのKCl及び400mMのMgClを補因子として、200uLの反応系に最終濃度2mmolのNMNを加え、次に、希釈後の精製酵素液10uLを加え、空白対照では、精製酵素液の代わりに緩衝液を用い、37℃、pH7.0の条件で、均一に混合して10min反応させた直後、10%トリクロロ酢酸溶液200uLを加えて均一に混合し、反応を終了させ、サンプリングしてメタノールで50倍希釈した後、HPLCが産物を検出できるほどの量で注入し、酵素活性単位Uを計算した。
酸性ホスファターゼ酵素活性Uの定義:37℃、pH7.0の条件で、1分間内で基質NMNを加水分解して1umolを放出するために必要な酵素量であり、1つの酵素活性国際単位(U)と呼ばれる。
酸性ホスファターゼ親及び本発明の酸性ホスファターゼ突然変異体の酵素活性及びその安定性の比較実験の結果を表2に示し、そのうち、温度安定性及びpH安定性とは、目標酵素を対応する保存条件で12h保存した後の残留活性≧90%である保存範囲である。
Figure 0006893000
結果から明らかなように、本発明の酸性ホスファターゼ突然変異体は、酸性ホスファターゼ親に比べて、酵素活性、温度安定性及びpH安定性のいずれも有意に向上した。
実施例7
<ニコチンアミドリボシドの調製>
全系2Lを設計して、基質の最終濃度を100g/Lに設定し、きれいな3L三口フラスコを準備し、ddHO 1Lを加えて、次にKCl 30g及び無水MgCl80gを加え、撹拌して溶解させ、溶液の温度が室温になると、NMN 200gを加えて5M NaOHでpHを6−7に調整して、完全に溶解させた。反応温度を37℃に設定して、実施例5で得られた酸性ホスファターゼ突然変異体K115Iの精製酵素液900mlを加えて、2L系となるまでpH7.0のリン酸ナトリウム緩衝液を補充し、反応系をpH7.2に調整して、反応を開始させた。2h反応後、反応液を純水で50〜100倍希釈し、マイクロポーラスろ過をした後、高速液体クロマトグラフィーにより反応の結果を分析し、分析方法は、表3に示され、そのHPLCスペクトルは、図2に示された。検出結果から明らかなように、基質NMNは、明らかに分解しており、約42%の基質が分解し、残りのNMNがNRに転化する転化率は、99.9%であった。
Figure 0006893000
実施例8
全系2Lを設計して、基質の最終濃度を100g/Lに設定し、きれいな3L三口フラスコを準備し、ddHO 1Lを加えて、次にKCl 30g及び無水MgCl80gを加え、撹拌して溶解させ、溶液の温度が室温になると、コンニャクグルコマンナン20gを加えて、次にNMN 200gを加えて5M NaOHでpHを6−7に調整して、完全に溶解させた。反応温度を37℃に設定して、実施例5で得られた酸性ホスファターゼ突然変異体K115Iの精製酵素液900mlを加えて、2L系となるまでpH7.0のリン酸ナトリウム緩衝液を補充し、反応系をpH7.2に調整して、反応を開始させた。2h反応後、反応液を純水で50〜100倍希釈し、マイクロポーラスろ過をした後、高速液体クロマトグラフィーにより反応の結果を分析し、分析方法は、表3に示され、そのHPLCスペクトルは、図3に示された。検出結果から明らかなように、基質NMNは、明らかなに分解しておらず、NMNがNRに転化する転化率は99.8%であった。
実施例9
全系2Lを設計して、基質の最終濃度を100g/Lに設定し、きれいな3L三口フラスコを準備し、ddHO 1Lを加えて、次にKCl 30g及び無水MgCl80gを加え、撹拌して溶解させ、溶液の温度が室温になると、コンニャクグルコマンナン20gを加えて、次にNMN 200gを加えて5M NaOHでpHを6−7に調整して、完全に溶解させた。反応温度を37℃に設定して、実施例5で得られた酸性ホスファターゼ親の精製酵素液900mlを加えて、2L系となるまでpH7.0のリン酸ナトリウム緩衝液を補充し、反応系をpH7.2に調整して、反応を開始させた。2h反応後、反応液を純水で50〜100倍希釈し、マイクロポーラスろ過をした後、高速液体クロマトグラフィーにより反応の結果を分析し、分析方法は、表3に示され、そのHPLCスペクトルは、図4に示された。検出結果から明らかなように、基質NMNは、明らかなに分解しておらず、NMNがNRに転化する転化率は、72.5%であった。
実施例10
ニコチンアミドリボシドを調製する触媒が完全に反応した後、200−400メッシュの濾布で酵素反応液をろ過して、それにおける酸性ホスファターゼを除去し、得られた濾液に2−6M塩酸を加えてPHを約5.0に調整し、さらに、0.45μmのマイクロポーラスろ過膜で精密ろ過し、精密ろ過液を収集し、表4に示された制御条件の分取液相で精密ろ過液を精製し、NR画分の溶出液を収集すると、ニコチンアミドリボシド純度が99%より大きい水溶液を得て、次に、得られた純度が99%より大きいニコチンアミドリボシド水溶液を25℃以下の温度でナノろ過して濃縮させ、ニコチンアミドリボシドの濃度を50−60g/Lに向上させ、次に、塩酸を加えてPHを3−4に調整し、濃度90g/Lでニコチンアミドリボシド水溶液にコンニャクグルコマンナンを加えて、十分に溶解して均一に撹拌し、凍結乾燥装置において昇華温度を25℃以下に制御しながら乾燥させ、24時間後、純度99%以上の白色粉末状のニコチンアミドリボシド精製品を得た。上記実施例7、8、9の酵素反応液を分離精製して得たニコチンアミドリボシド精製品の収量及び純度を表5に示した。
Figure 0006893000
Figure 0006893000

Claims (9)

  1. 酸性ホスファターゼ突然変異体であって、
    SEQ ID NO:2に示される酸性ホスファターゼ親のアミノ酸配列と比較して、K115I、S240E、K115I/S240E、K115F/K44C/D206I又はK115I/S240E/D206Iの突然変異を有し、且つニコチンアミドモノヌクレオチドを基質とし、アミノ酸配列がSEQ ID NO:2に示される酸性ホスファターゼ親よりも高い触媒活性を有するタンパク質であることを特徴とする酸性ホスファターゼ突然変異体。
  2. ニコチンアミドリボシドの調製方法であって、
    KCl及び無水MgClが存在する条件で、酸性ホスファターゼ突然変異体を用いてニコチンアミドモノヌクレオチドを触媒してニコチンアミドリボシドに転化することを含み、前記酸性ホスファターゼ突然変異体は、SEQ ID NO:2に示される酸性ホスファターゼ親のアミノ酸配列と比較して、K115I、S240E、K115I/S240E、K115F/K44C/D206I又はK115I/S240E/D206Iの突然変異を有し、且つニコチンアミドモノヌクレオチドを基質とし、アミノ酸配列がSEQ ID NO:2に示される酸性ホスファターゼ親よりも高い触媒活性を有するタンパク質であることを特徴とするニコチンアミドリボシドの調製方法。
  3. KCl及び無水MgClを水に溶解して、KClとMgClの混合溶液を得るステップ1)と、
    室温に冷却するステップ2)と、
    KClとMgClの混合溶液にニコチンアミドモノヌクレオチドを加えて溶解し、pH値を6−7に調整するステップ3)と、
    前記酸性ホスファターゼ突然変異体を加えて、pH値を6.8−7.3に調整するステップ4)と、
    37±5℃で少なくとも1.5時間反応させるステップ5)とを順次含むことを特徴とする請求項2に記載のニコチンアミドリボシドの調製方法。
  4. 前記酸性ホスファターゼ突然変異体でニコチンアミドモノヌクレオチドを触媒してニコチンアミドリボシドに転化する酵素反応が開始する前に、反応系にコンニャクグルコマンナン及び/又はレバウディオサイドAを加えることをさらに含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のニコチンアミドリボシドの調製方法。
  5. 前記酸性ホスファターゼ突然変異体は、純粋な酵素液の形態で投入され、
    前記純粋な酵素液とは、前記酸性ホスファターゼ突然変異体遺伝子を含有する微生物について発現を誘導した後、細胞を破壊し、沈殿を遠心去除した粗酵素液をニッケルカラムで精製処理して得た前記酸性ホスファターゼ含有溶液であることを特徴とする請求項2又は3に記載のニコチンアミドリボシドの調製方法。
  6. 前記酸性ホスファターゼ突然変異体は、固定化酵素であり、
    前記固定化酵素は、前記酸性ホスファターゼ突然変異体に0.2−0.8M KHPOを加えて、pH値を7.5−9.5に調整し、次に固相樹脂を加えて室温で12−24h撹拌し、ろ過により濾液を除去する方法により調製されることを特徴とする請求項2又は3に記載のニコチンアミドリボシドの調製方法。
  7. 前記酸性ホスファターゼ突然変異体でニコチンアミドモノヌクレオチドを触媒してニコチンアミドリボシドに転化する酵素反応液からニコチンアミドリボシド精製品を精製する後処理をさらに含み、
    前記後処理には、
    酵素反応液をろ過して、濾液を収集するステップ1)と、
    濾液のpH値を5.0±0.5に調整するステップ2)と、
    ステップ2)でpHが調整された濾液を精密ろ過して、濾液を収集するステップ3)と、
    ステップ3)で精密ろ過して得た精密ろ過液を、ポリスチレンを分取カラムのフィラー、エタノール及び水を移動相として勾配溶出を行い、目標ピークの溶出液を収集する分取液相で精製するステップ4)と、
    ステップ4)で収集した溶出液を凍結乾燥させて、ニコチンアミドリボシド精製品を得るステップ5)とを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のニコチンアミドリボシドの調製方法。
  8. 請求項1に記載の酸性ホスファターゼ突然変異体およびその親を含む酸性ホスファターゼ固定化酵素の調製方法であって、
    PCR技術により酸性ホスファターゼ親の遺伝子配列を増幅し、次に、増幅産物を発現ベクターに挿入して、組換えプラスミドを得て、シーケンシングにより確認した後、組換えプラスミドを宿主細胞に形質転換して培養及び発現誘導を行い、発現終了後、細胞を収集して細胞破壊処理を行い、上澄み液を収集して酸性ホスファターゼ親の粗酵素液を得ることを含む、酸性ホスファターゼ親を調製するステップ1)と、
    逆PCR技術により突然変異部位のプライマー配列を設計し、設計したプライマーを用いて、ステップ1)の組換えプラスミドをテンプレートとして逆PCR増幅を行い、次に、増幅産物をDpn I酵素消化テンプレートで処理した後、宿主細胞に形質転換して培養及び発現誘導を行い、発現終了後、細胞を収集して細胞破壊処理を行い、上澄み液を収集して酸性ホスファターゼ突然変異体の粗酵素液を得ることを含む、酸性ホスファターゼ突然変異体を調製するステップ2)と、
    アガロースゲルをニッケル担体として、塩化ニッケル溶液をニッケルに塗布して、1×PBS+10mMイミダゾール溶液を用いてニッケルカラムを平衡化する、ニッケルカラムを製造するステップa)と、酸性ホスファターゼ親及び/又は突然変異体の粗酵素液とニッケルフィラーを均一に混合した後、氷浴において1−2hインキュベートし、次に、インキュベートした混合物をステップa)で製造されたニッケルカラムに注入する、サンプル注入のステップb)と、まず、1×PBS+10mMイミダゾール溶液を用いて一回目の溶出を行い、次に、1×PBS+(200−500)mMイミダゾール溶液を用いて二回目の溶出を行い、溶出液を収集して酸性ホスファターゼ親及び/又は突然変異体の精製酵素液を得る、溶出ステップc)とを含む、ニッケルカラムを用いて酸性ホスファターゼ親及び/又は突然変異体の粗酵素液を精製するステップ3)と、
    ステップ3)で得られた精製後の酵素液に0.2−0.8M KHPOを加えて、pH値を7.5−9.5に調整し、次に固相樹脂を加えて、室温で12−24h撹拌し、濾液をろ過除去して、酸性ホスファターゼ固定化酵素を得ることを含む、固相樹脂で固定化するステップ4)と、を含むことを特徴とする方法。
  9. 組換えベクター、組換え細胞又は組換え微生物を含む生物材料であって、
    請求項1に記載の酸性ホスファターゼ突然変異体をコードする遺伝子を含有することを特徴とする生物材料。
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