JP6891058B2 - 農薬用バインダー、農薬粒状組成物及びその製造方法 - Google Patents

農薬用バインダー、農薬粒状組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は耐水性及び水溶液にした際の粘度安定性に優れる農薬用バインダー、並びに、造粒された農薬が崩壊しにくく、長期に亘って農薬活性成分を徐放できる農薬粒状組成物及びその製造方法に関する。
従来、使いやすく防除効果を十分に発揮させる目的で、農薬活性成分にバインダーを添加した混合物を、造粒機にかけて細粒化した粒状の農薬粒状組成物が知られている。農薬粒状組成物においては、短時間での農薬活性成分溶出による農作物への薬害が問題となっており、また農作業の省力化の面から農薬活性成分の効果の持続性も課題である。これらの点を解決すべく、農薬活性成分の溶出量を制御できる農薬粒状組成物の研究が種々行われている。
例えば、特許文献1には、水不溶化した水溶性ポリマーにより表面被覆された、又は水不溶化した水溶性ポリマーを含有する緩効性粒状肥料が提案されている。特許文献2には、農薬活性成分、熱可塑性樹脂、ポリビニルアルコール、並びに、鉄粉または銅粉が均一に混合されてなる徐放性農薬粒剤が提案されている。特許文献3には、ポリビニルアルコール系樹脂の架橋物、及び農薬活性成分を含有する徐放性農薬組成物が提案されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載された農薬粒状組成物は農薬活性成分の徐放性に優れるものの、農薬粒状組成物自体が十分な顆粒強度を有しておらず、運搬時もしくは散布時に衝撃を受けた場合、又は長期保存した場合に崩壊しやすいという欠点があった。このような背景から、造粒された農薬粒状組成物が崩壊しにくく、長期に亘って農薬活性成分を徐放できる農業用バインダーが求められている。
特開平8−277191号公報 特開2002−363003号公報 特開2012−006881号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、耐水性及び水溶液にした際の粘度安定性に優れる農薬用バインダー、並びに、造粒された農薬粒状組成物が崩壊しにくく、長期に亘って農薬活性成分を徐放できる農薬粒状組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、特定のエチレン変性ビニルアルコール系重合体を含有する農薬用バインダーにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の発明に関する。
[1]エチレン単位の含有量が1.0モル%以上19モル%以下であり、1,2−グリコール結合単位の含有量が1.2モル%以上2.0モル%以下であり、粘度平均重合度が200以上5000以下であり、且つけん化度が80モル%以上99.9モル%以下であるエチレン変性ビニルアルコール系重合体を含有する、農薬用バインダー。
[2]上記[1]の農薬用バインダーと農薬活性成分とを含有し、農薬活性成分100質量部に対する上記農薬用バインダーの含有量が0.5質量部以上20質量部以下である、農薬粒状組成物。
[3]農薬活性成分が肥料である、上記[2]の農薬粒状組成物。
[4]上記農薬活性成分に対し、上記エチレン変性ビニルアルコール系重合体を含有する農薬用バインダーを水溶液として又は水とともに加えて造粒する、上記[2]又は[3]の農薬粒状組成物の製造方法。
本発明の農薬用バインダーは耐水性及び水溶液にした際の粘度安定性に優れる。また、当該農薬用バインダーを用いて得られる農薬粒状組成物は崩壊しにくく、長期に亘って農薬活性成分を徐放できる。さらに、本発明の農薬粒状組成物の製造方法によれば、上記のような優れた性能を有する農薬粒状組成物を簡便に製造できる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本明細書において、数値範囲(各成分の含有量、各成分から算出される値及び各物性等)の上限値及び下限値は適宜組み合わせ可能である。
[農薬用バインダー]
本発明の農薬用バインダーは、エチレン単位の含有量が1.0モル%以上19モル%以下であり、1,2−グリコール結合単位の含有量が1.2モル%以上2.0モル%以下であり、粘度平均重合度が200以上5000以下であり、かつけん化度が80モル%以上99.9モル%以下であるエチレン変性ビニルアルコール系重合体(以下、ビニルアルコール系重合体を「PVA」と略記することがある)を含有する。このような特定のエチレン変性PVAを含有する農薬用バインダーは、耐水性及び水溶液にした際の粘度安定性に優れ、さらに該農薬用バインダーを用いて得られる農薬粒状組成物は崩壊しにくく、長期に亘って農薬活性成分を徐放できる。
上記エチレン変性PVAにおいて、エチレン単位の含有量は1.0モル%以上19モル%以下であり、1.5モル%以上15モル%以下が好ましく、2.0モル%以上12モル%以下がより好ましい。エチレン単位の含有量が1.0モル%未満の場合は、得られる農薬用バインダーの耐水性が不十分となり、結果として得られる農薬粒状組成物が崩壊しやすくなり、長期に亘って農薬活性成分を徐放する効果が弱くなる。一方、エチレン単位の含有量が19モル%を超える場合は、エチレン変性PVAの水への溶解が困難となる。
上記エチレン変性PVAにおいて、エチレン単位の含有量は、例えば、該エチレン変性PVAの前駆体または再酢化物であるエチレン単位を含有するビニルエステル系共重合体の1H−NMRから求める。すなわち、得られたビニルエステル系共重合体をn−ヘキサン/アセトンで再沈精製を3回以上十分に行った後、80℃で3日間減圧乾燥して分析用のビニルエステル系共重合体を作製する。該ポリマーをDMSO−d6に溶解し、1H−NMR(例:500MHz)を用いて80℃で測定する。ビニルエステルの主鎖メチレンに由来するピーク(4.7〜5.2ppm)とエチレン、ビニルエステル及び第3成分の主鎖メチレンに由来するピーク(0.8〜1.6ppm)を用いてエチレン単位の含有量を算出きる。
上記エチレン変性PVAの粘度平均重合度は200以上5000以下であり、300以上4000以下が好ましく、350以上3000以下がより好ましく、500以上2500以下がさらに好ましい。粘度平均重合度が200未満の場合は、得られる農薬用バインダーの耐水性が不十分となり、結果として得られる農薬粒状組成物が崩壊しやすくなり、長期に亘って農薬活性成分を徐放する効果が弱くなったり、農薬粒状組成物の粒強度が不十分となる。一方、粘度平均重合度が5000を超えるエチレン変性PVAは製造が困難である。エチレン変性PVAの粘度平均重合度(P)は、JIS−K6726(1994年)に準じて測定される。すなわち、エチレン変性PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から次式により求められる。
P=([η]×103/8.29)(1/0.62)
上記エチレン変性PVAのけん化度は80モル%以上99.9モル%以下であり、85モル%以上99.5モル%以下が好ましく、90モル%以上99.3モル%以下がより好ましく、95モル%以上99モル%以下が特に好ましい。けん化度が80モル%未満の場合は、水への溶解性が低下するため水溶液を調製するのが困難となったり、得られる農薬用バインダーの耐水性が不十分となる。一方、けん化度が99.9モル%を超える場合は、得られる農薬用バインダーの水溶液を調製した場合に、該水溶液の保管中に粘度が急激に上昇したり粘度安定性が不十分となる。
上記エチレン変性PVAの1,2−グリコール結合単位の含有量は1.2モル%以上2.0モル%以下であり、1.3モル%以上1.9モル%以下が好ましく、1.4モル%以上1.8モル%以下がより好ましい。1,2−グリコール結合単位の含有量が1.2モル%未満の場合は、エチレン変性PVA水溶液の粘度安定性が低下する。一方、1,2−グリコール結合単位の含有量が2.0モル%を超えるエチレン変性PVAは製造が困難である。1,2−グリコール結合単位の含有量はビニルエステルの種類、溶媒、重合温度、ビニレンカーボネートの共重合等の様々な方法で制御できる。工業的な制御法としては、本発明では重合温度による制御が好ましい。
1,2−グリコール結合単位の含有量は、得られたエチレン変性PVAを解放容器中で水に約2時間かけて溶解させた後、ポリエチレンテレフタレート基材上に溶液を流涎、乾燥させてキャストフィルムを作製した。得られたフィルムをDMSO−d6に溶解し、1H−NMR(500MHz)を用いて80℃で測定し、算出した。
上記エチレン変性PVAは、例えば、エチレンとビニルエステル系単量体とを共重合してエチレン単位を有するビニルエステル系共重合体とした後、該ビニルエステル系共重合体を水酸化ナトリウム等のけん化触媒を用いてけん化し、必要に応じて粉砕や乾燥を行うことで得られる。
エチレンとビニルエステル系単量体との共重合の方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法が挙げられる。中でも、無溶媒又はアルコール等の溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法を通常採用できる。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシジカーボネート等のアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤等の公知の開始剤が挙げられる。
重合温度に特に制限はなく、0℃〜150℃が好ましく、室温以上150℃以下がより好ましく、室温以上使用する溶媒の沸点以下がさらに好ましく、30〜60℃が特に好ましい。
上記ビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル及びバーサティック酸ビニル等が挙げられ、中でも酢酸ビニルが好ましい。
上記エチレン変性PVAには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ビニルアルコール単位、エチレン単位及びビニルエステル単位以外の単量体単位を含有していてもよい。このような単位としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有のビニルエーテル類;アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類;オキシアルキレン基を有する単量体;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類;酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等に由来するスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(N−メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミン等に由来するカチオン基を有する単量体が挙げられる。これらの単量体の含有量は、使用される目的や用途等によって異なるが、好ましくは10モル%以下であり、より好ましくは5.0モル%未満であり、さらに好ましくは1.0モル%未満であり、0.5モル%未満であってもよい。
本発明の農薬用バインダーは、実質的に上記エチレン変性PVAのみからなるものであってもよい。実質的に上記エチレン変性PVAのみからなるとは、該エチレン変性PVA以外の成分が、5.0質量%未満であってもよく、1.0質量%未満であってもよく、0.5質量%未満であってもよく、0.1質量%未満であってもよいことを意味する。また、農薬用バインダーは、エチレン変性PVA以外に、他の成分(無機物又は有機物)を含有していてもよい。無機物としては、例えば溶出性の調整や増量等の目的で、タルク、炭酸カルシウム、クレイ、ケイソウ土、シリカ、金属酸化物、イオウ等が挙げられる。有機物としては、例えば樹脂化合物、界面活性剤、ワックス、有機顔料等の有機物が挙げられる。これらの他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。樹脂化合物としては、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えばポリウレタン、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、尿素・メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレン等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等のビニル重合樹脂;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等のジエン系ポリマー;エチレン−プロピレン共重合体、ブテン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−一酸化炭素共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体等のポリオレフィン共重合体;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル共重合体が挙げられる。これらの他の成分の含有量に特に制限はないが、通常、エチレン変性PVA100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。
[農薬粒状組成物]
本発明の農薬粒状組成物は、上記農薬用バインダーと農薬活性成分とを含有し、農薬活性成分100質量部に対する上記農薬用バインダーの含有量は0.5質量部以上20質量部以下が好ましい。本発明の農薬粒状組成物は、上記エチレン変性PVAを含有する農薬用バインダーを用いて、農薬活性成分を造粒して得られる。農薬活性成分としては、肥料、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、植物調節剤等が挙げられる。農薬活性成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
肥料としては、例えばオキサミド、クロトニリデン二尿素(CDU)、イソブチリデン二尿素(IB)、ウレアホルム、熔性りん肥、混合りん酸肥料、副酸石灰肥料、炭酸カルシウム肥料、混合石灰肥料、鉱さいけい酸質肥料、その他けい酸質肥料、水酸化苦土肥料、副酸苦土肥料、加工苦土肥料、鉱さいマンガン肥料、熔性微量要素肥料等が挙げられる。その他、鉱さいけい酸質肥料と同様にけい酸供給及びアルカリ分によるpH矯正を目的とする加工鉱さいりん酸肥料等にも適用可能である。中でも、オキサミド、クロトニリデン二尿素(CDU)、イソブチリデン二尿素(IB)、ウレアホルム、加工鉱さいりん酸肥料、鉱さいけい酸質肥料、混合りん酸肥料が好ましい。
除草剤としては、例えば2,4−PA、MCP、MCPB、MCPAチオエチル(フェノチオール)、クロメプロップ、ナプロアニリド、CNP、クロメトキシニル、ビフェノックス、MCC、ベンチオカーブ、エスプロカルブ、モリネート、ジメピペレート、DCPA、ブタクロール、プレチラクロール、ブロモブチド、メフェナセット、ダイムロン、シメトリン、プロメトリン、ジメタメトリン、ベンダゾン、オキサジアゾン、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、ベンゾフェナップ、トリフルラリン、ピペロホス、ACN、ベンスルフロンメチル等が挙げられる。
殺虫剤としては、例えばMPP、MEP、ECP、ピリミホスメチル、ダイアジノン、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、フロルピリホスメチル、クロルピリホス、ESP、バミドチオン、プロフェノホス、マラソン、PAP、ジメトエート、ホルモチオン、チオメトン、エチルチオメトン、ホサロン、PMP、DMTP、プロチオホス、スルプロホス、ピラクロホス、DDVP、モノクロトホス、BRP、CVMP、ジメチルビンホス、CVP、プロパホス、アセフェート、イソフェンホス、サリチオン、DEP、EPN、エチオン、NAC、MTMC、MIPC、BPMC、PHC、MPMC、XMC、エチオフェンカルブ、ベンダイオカルブ、ピリミカーブ、カルボスルファン、ベンフラカルブ、メソミル、チオジカルブ、アラニカルブ、アレスリン、レスメトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シハロトリン、シフルトリン、フェンプロパトリン、トラロメトリン、シクロプロトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート、エトフェンプロックス、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、クロルフルアズロン、ブフロフェジン、フェノキシカルブ、除虫菊、デリス、硫酸ニコチン、マシン油、なたね油、CPCBS、ケルセン、クロルベンジレート、フェニソブロモレート、テトラジホン、BPPS、キノキサリン、アミトラズ、ベンゾメート、フェノチオカルブ、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ジエノクロル、フェンピロキシメート、フルアジナム、ピリダベン、クロフェンテジン、DPC、ポリナフチン複合体、ミルベメクチン、DCIP、ダゾメット、ベンゾエピン、メタアルデヒド、DCV、BT、フェントロチオン等が挙げられる。
殺菌剤としては、例えばカスガマイシン、ベノミル、チアベンダゾール、チオファネートメチル、チウラム、プロクロラズ、トリフミゾール、イプコナゾール、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅、水酸化第二銅、ノニルフェノールスルホン酸銅、DBEDC、テレフタル酸銅、無機硫黄、ジネブ、マンネブ、マンゼブ、アンバム、ポリカーバメイト、有機ニッケル、プロピネブ、ジラム、チアジアジン、キャプタン、スルフェン酸系、TPN、フサライド、IBP、EDDP、トルクロホスメチル、ピラゾホス、ホセチル、カルベンダゾール、ジエトフェンカルブ、イプロジオン、ビンクロゾリン、プロシミドン、フルオルイミド、オキシカルボキシン、メプロニル、フルトラニル、テクロフタラム、トリクラミド、ペンシクロン、メタラキシル、オキサジキシル、トリアジメホン、ビテルタノール、ミクロブタニル、ヘキサコナゾール、プロピコナゾール、フェナリモル、ピリフェノックス、トリホリン、ブラストサイジンS、ポリオキシン、バリダマイシン、ストレプトマイシン、オキシテトラサイクリン、ミルディオマイシン、PCNB、ヒドロキシイソキサゾール、エクロメゾール、クロロネブ、メタスルホカルブ、メチルイソチオシアネート、有機ひ素、硫酸亜鉛、ジチアノン、ベンゾチアゾール、キノキサリン系、CNA、ジメチリモール、ジクロメジン、トリアジン、フェリムゾン、フルアジナム、プロベナゾール、イソプロチオラン、トリシクラゾール、ピロキロン、オキソリニック酸、イミノクダジン酢酸塩、アルギン酸、対抗菌、シイタケ菌糸体抽出物、こうじ菌産生物、アグロバクテリウムラジオバクター、イミベンコナゾール等が挙げられる。
植物調節剤としては、例えばイナベンフィド、オキシエチレンドコサノール、ニコチン酸アミド、ベンジルアミノプリン等が挙げられる。
本発明の農薬粒状組成物において、農薬活性成分100質量部に対する上記農薬用バインダーの含有量は0.5質量部以上20質量部以下が好ましく、0.7質量部以上15質量部以下がより好ましく、0.8質量部以上10質量部以下がさらに好ましく、1.0質量部以上5質量部以下が特に好ましい。また、本発明の農薬粒状組成物においては、農薬活性成分100質量部に対する上記農薬用バインダー中のエチレン変性PVAの含有量は、0.5質量部以上20質量部以下が好ましく、0.7質量部以上15質量部以下がより好ましく、0.8質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。農薬活性成分に対する農薬用バインダー又はエチレン変性PVAの含有量が上記範囲であると、粒強度及び徐放性に優れる農薬粒状組成物を簡便に製造できる。
[農薬粒状組成物の製造方法]
本発明の農薬粒状組成物の製造方法としては、例えば上記農薬活性成分に対し、上記エチレン変性PVAを含有する農薬用バインダーを水溶液として又は水とともに加えて造粒する方法が挙げられる。農薬活性成分は粉末状であることが好ましく、平均粒子径0.1mm以下まで粉砕しておくことが好ましい。上記農薬活性成分からなる粉末に上記農薬用バインダーを水溶液として添加する場合、農薬用バインダーの水溶液を撹拌しながら、農薬活性成分からなる粉末にスプレーし、造粒する方法が好ましい。一方、上記農薬活性成分からなる粉末に上記農薬用バインダーを水とともに加えて造粒する場合、原料の農薬活性成分からなる粉末に予め必要量の水を加えて湿潤状態にしておくか、又は粉砕された農薬活性成分からなる粉末に粉末状の農薬用バインダーを添加及び混合した後、或いは混合しながら、水を加えて造粒する方法が挙げられる。中でも、得られる農薬粒状組成物に、より均一に農薬用バインダーを分散でき、バインダー性能をより一層発揮できる観点から、上記農薬活性成分からなる粉末に対し、上記エチレン変性PVAを含有する農薬用バインダーを水溶液として加えて造粒する方法が好ましい。ここで平均粒子径とは、本発明の農薬活性成分からなる粉末の任意の切断面について電子顕微鏡で観察を行ったとき、視野に入る100個の農薬活性成分からなる粉末のサイズを平均して算出した値をさす。農薬活性成分からなる粉末が楕円形等の円形以外の形状をしている場合には、長径の値を用いて算出する。
原料の農薬活性成分からなる粉末は、上記農薬用バインダーを加えながら又は加えた後に造粒工程に供される。この造粒工程は、一般に皿型造粒機を用い、上記農薬用バインダーの水溶液又は水をスプレーしながら行われる。これにより、造粒機内に投入された農薬活性成分からなる粉末がスプレーされた液体と会合してゆるい凝集体を形成し、これが造粒機の転動作用によって締めつけられて粒子間の空隙が少ない粒状体となる。この造粒の際にスプレーされる水の量は、粒表面の濡れ具合によって決定できる。水を比較的多く添加すると得られる農薬粒状組成物の粒子径は大きくなり、水が少ないと得られる農薬粒状組成物の粒子径は小さく粉の割合が多くなるため、造粒状況に応じて水分量を調整できる。
造粒された農薬粒状組成物は棚型乾燥器、流動乾燥器、ロータリーキルン等により乾燥される。例えば棚型乾燥器を用いるときには、乾燥棚に薄く均一に広げ、100℃において、30分程度乾燥することが好ましい。
本発明の農薬粒状組成物の粒子径には特に制限はなく、0.01μm以上10mm以下が好ましく、0.1μm以上8mm以下がより好ましく、1μm以上5mm以下がさらに好ましい。ここで粒子径とは、本発明の農薬粒状組成物の任意の切断面について電子顕微鏡で観察を行ったとき、視野に入る100個の農薬粒状組成物のサイズを平均して算出した値をさす。農薬粒状組成物が楕円形等の円形以外の形状をしている場合には、長径の値を用いて算出する。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた態様を含む。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。以下の実施例及び比較例において、特に断りがない場合、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
なお、以下の実施例及び比較例において、エチレン変性PVAの粘度平均重合度、けん化度及び1,2−グリコール結合単位の含有量、農薬用バインダーの耐水性、農薬用バインダー水溶液の粘度安定性、農薬粒状組成物の粒強度及び徐放性は以下の方法で測定または評価した。
[エチレン変性PVAの粘度平均重合度]
各エチレン変性PVAの粘度平均重合度は、JIS K 6726(1994年)に記載の方法により求めた。
[エチレン変性PVAのけん化度]
各エチレン変性PVAのけん化度は、JIS K 6726(1994年)に記載の方
法により求めた。
[エチレン変性PVAの1,2−グリコール結合単位の含有量]
以下の実施例で得られたエチレン変性PVAを解放容器中で水に約2時間かけて溶解させた後、ポリエチレンテレフタレート基材上に溶液を流涎、乾燥させることでキャストフィルムを作製した。
上記方法で得られたフィルムを、DMSO−d6に溶解して0.1質量%溶液にし、当該溶液にトリフルオロ酢酸を数滴(約0.1ml)加えて、1H−NMR(500MHz)を用いて80℃で測定した。1,2−グリコール結合単位(1,2−グリコール結合で結合した単量体単位)の含有量は、ビニルアルコール単位のメチンプロトンに由来する3.2〜4.0ppmのピーク(積分値α)と、1,2−グリコール結合単位の1つのメチンプロトンに由来する3.25ppmのピーク(積分値β)とから、下記式(I)に従って算出される。
エチレン変性PVAの1,2−グリコール結合単位の含有量(モル%)
=100×β/α (I)
[農薬用バインダーの耐水性]
後記する実施例及び比較例で得た農薬用バインダーの10質量%(エチレン変性PVAの固形分)水溶液を50℃でキャスト製膜して50μmの試験体膜を作製した。得られた試験体膜の一部を120℃で10分間熱処理を行った。該試験体膜を20℃の水中に24時間浸漬後に取り出し、手で膜をこすった感触を5段階で評価した。
A:膜は乾燥時と同一の感触で、しっかりしている。
B:膜は比較的しっかりしているが、ややヌメリ感がある。
C:膜は残っているが、ヌルヌルした感触がある。
D:膜は一部残っているが、取り出すことができない。
E:膜は完全に溶解している。
[農薬用バインダー水溶液の粘度安定性]
後記する実施例及び比較例で得た農薬用バインダーを10質量%(エチレン変性PVAの固形分)に調製し、水溶液を得た。ついで、該水溶液を300mlのガラス製ビーカーにいれ、5℃で1日間放置し、5℃放置後粘度(η1日)と5℃の初期粘度(η初期)との比(増粘倍率=η1日/η初期)を求め以下の基準で評価した。測定は、JIS K 6726(1994年)の回転粘度計法に準じてB型粘度計(回転数12rpm)を用い20℃で行った。
A:η1日/η初期が1以上5未満であった。
B:η1日/η初期が5以上であった。
[農薬粒状組成物の粒強度]
後記する実施例及び比較例で得られた農薬粒状組成物を3.35〜4.0mmの標準篩を重ねた篩にかけて、3.35mmの篩上に残った粒を試験試料とする。試験試料1個を最大秤量70Nであるばね式の台ばかりの皿部に乗せて、切り口が約10mm径で平らな端面を有する硬い丸棒で押し付けて、粒が壊れるときの指示値Nを読取り、その10個の平均値をその製品の粒強度(N/粒)とする。
[農薬粒状組成物の徐放性(非崩壊性)]
後記する実施例及び比較例で造粒された農薬粒状組成物を2mmと4mmの標準篩を重ねてふるって、2mm篩上を試験試料とする。試験試料を2mm目金網の上に並べてバットの中に置き、10℃の水を静かに注いで試料が十分に水に浸る状態とする。これを10℃の室内に5時間静置後、篩上にとどめた農薬粒状組成物の割合(質量)を測定し徐放性の指標とした。
[実施例1]
(PVA−1:エチレン変性PVAの製造)
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口及びディレー溶液添加口を備えた250L加圧反応槽に酢酸ビニル106.1kg、メタノール43.9kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が1.4kg/cm2となるようにエチレンを導入した。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液53mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を1.4kg/cm2に、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて168ml/hrでAMVを連続添加して重合した。4時間後に重合率が20%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放してエチレンを抜いた後、さらに窒素ガスをバブリングした。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しエチレン変性ポリ酢酸ビニル(エチレン変性PVAc)のメタノール溶液とした。得られた該エチレン変性PVAc溶液にメタノールを加えて濃度が25%となるように調整したエチレン変性PVAcのメタノール溶液400g(溶液中のエチレン変性PVAc100g)に、46.5g(エチレン変性PVAc中の酢酸ビニルユニットに対してモル比[MR]0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加して、40℃でけん化を行った。アルカリ添加後、ゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、合計1時間けん化反応を行った後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して、エチレン変性PVA(PVA−1)を得た。PVA−1の物性及び、PVA−1の農薬用バインダーとしての耐水性及び粘度安定性を上述の方法に従って評価した結果を表2に示す。
(農薬粒状組成物の調製)
造粒に適した粒度に粉砕した加工鉱さいりん酸肥料粉末に、農薬用バインダーの水溶液としてPVA−1の10質量%水溶液をスプレーしながら、直径240mmのミニ皿型造粒機(アズワン株式会社製)で造粒し、農薬粒状組成物を得た。得られた農薬粒状組成物において、原料となる加工鉱さいりん酸肥料粉末100質量部に対する、PVA−1の固形分は3質量部であった。得られた農薬粒状組成物を100℃に保持した棚型乾燥器で乾燥後、粒強度及び徐放性を上述の方法に従って評価した。結果を表2に示す。
[実施例2〜4]
(PVA−2〜PVA−4の製造)
エチレン、酢酸ビニル及びメタノール、開始剤の量、重合率等の重合条件、けん化時におけるエチレン変性PVAc溶液及びけん化触媒溶液の量、濃度やけん化温度を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により各種PVA(PVA−2〜PVA−4)を製造した。PVA−2〜PVA−4の物性及び、PVA−2〜PVA−4の農薬用バインダーとしての耐水性及び粘度安定性を上述の方法に従って評価した結果を表2に示す。
[比較例1]
(PVA−5の製造)
撹拌機、窒素導入口、開始剤添加口を備えた反応槽に酢酸ビニル2.4kg、メタノール1.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで開始剤として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)をメタノールに溶解した濃度10%溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液10mlを注入し重合を開始した。1.4時間後に重合率が30%となったところで冷却して重合を停止した。未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニル(PVAc)のメタノール溶液とした。得られた該PVAc溶液にメタノールを加えて濃度が25%となるように調整したPVAcのメタノール溶液400g(溶液中のPVAc100g)に、32.6g(PVAc中の酢酸ビニルユニットに対するモル比[MR]0.07)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加して、40℃でけん化を行った。アルカリ添加後、ゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、合計1時間けん化反応を行った後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥することで、PVA(PVA−5)を得た。PVA−5の物性及び、PVA−5の農薬用バインダーとしての耐水性及び粘度安定性を上述の方法に従って評価した結果を表2に示す。
[比較例2]
(PVA−6の製造)
酢酸ビニル及びメタノール、開始剤の量、重合率等の重合条件、けん化時におけるPVAc溶液及びけん化触媒溶液の量、濃度やけん化温度を表1に示すように変更したこと以外は、比較例1と同様の方法によりPVA−6を製造した。PVA−6の物性及び、PVA−6の農薬用バインダーとしての耐水性及び粘度安定性を上述の方法に従って評価した結果を表2に示す。
[比較例3]
(PVA−7の製造)
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口及びディレー溶液添加口を備えた5L加圧反応槽に酢酸ビニル1.36kg、メタノール2.04kgを仕込み、0℃にて30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が0.2kg/cm2となるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)を81.6g投入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を0.2kg/cm2に、重合温度を0℃に維持し、重合を実施した。35時間後に重合率が60%となったところで重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下で未反応酢酸ビニルモノマーを除去しエチレン変性ポリ酢酸ビニル(エチレン変性PVAc)のメタノール溶液とした。得られた該エチレン変性PVAc溶液にメタノールを加えて濃度が25%となるように調整したエチレン変性PVAcのメタノール溶液400g(溶液中のエチレン変性PVAc100g)に、46.5g(エチレン変性PVAc中の酢酸ビニルユニットに対するモル比[MR]0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加して、60℃でけん化を行った。アルカリ添加後、ゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、合計1時間けん化反応を行った後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥することで、PVA(PVA−7)を得た。PVA−7の物性及び、PVA−7の農薬用バインダーとしての耐水性及び粘度安定性を上述の方法に従って評価した結果を表2に示す。
[実施例2〜4、比較例1〜3]
(農薬粒状組成物の調製)
実施例1のPVA−1に代えて、表2に示した各種PVA(PVA−2〜PVA−7)を用いた以外は、実施例1と同様にして農薬粒状組成物を調製した。当該農薬粒状組成物の粒強度及び徐放性について上述の方法に従って評価した結果を表2に示す。
Figure 0006891058
Figure 0006891058
上記各実施例から明らかな通り、本発明のように特定のエチレン変性PVAを含有する農薬用バインダーは耐水性及び水溶液とした際の粘度安定性に優れ、該農薬用バインダーを用いて得られる農薬粒状組成物の粒強度が高く、10℃の網上残留率が高く長期に亘る徐放性に優れることが分かる。一方、用いたPVAがエチレン単位を有さない比較例1及び2は、特に農薬用バインダーの耐水性や、得られる農薬活性成分の徐放性が低下することが分かる。1,2−グリコール結合単位の含有量が低い比較例3のPVAは農薬用バインダーとして水溶液として用いる際に粘度安定性が悪く、取扱い性が悪いことが分かる。
本発明は農薬使用量の低減、収量及び品質面の向上、さらに環境保全面で有用であり、さらに本発明の農薬粒状組成物は、作物の生育環境を好ましい防虫状態や養分状態に維持することができ、収量及び品質を高めることが可能である。

Claims (4)

  1. エチレン単位の含有量が1.0モル%以上19モル%以下であり、1,2−グリコール結合単位の含有量が1.2モル%以上2.0モル%以下であり、粘度平均重合度が200以上5000以下であり、且つけん化度が80モル%以上99.9モル%以下であるエチレン変性ビニルアルコール系重合体を含有する、農薬用バインダー。
  2. 請求項1に記載の農薬用バインダーと農薬活性成分とを含有し、農薬活性成分100質量部に対する上記農薬用バインダーの含有量が0.5質量部以上20質量部以下である、農薬粒状組成物。
  3. 農薬活性成分が肥料である、請求項2に記載の農薬粒状組成物。
  4. 上記農薬活性成分に対し、上記エチレン変性ビニルアルコール系重合体を含有する農薬用バインダーを水溶液として又は水とともに加えて造粒する、請求項2又は3に記載の農薬粒状組成物の製造方法。
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