JP6889357B2 - スリットの形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スリットの形成方法に関し、特にコンクリート建築物形成する耐震用のスリットの形成方法に関する。
従来、日本は地震大国と呼ばれるほど地震が多い国であり、地震に対する様々な備えが不可欠となっている。この地震による被害で最も危険なものは建築物の倒壊による災害である。
耐震補強されていない多くの建物は、震度6以上の地震で倒壊する可能性があるといわれており、大切な生命や財産を地震などの災害から守るために、我々日本人の耐震に対する意識は日々高まってきている。
過去の地震被害では、建築物の柱際に設置される腰壁や垂れ壁などの雑壁による影響で、柱が大きく座屈してしまう被害が報告されている。これは雑壁が柱付近に取り付くことで柱の長さが短くなってしまい、短くなった柱に地震による応力が集中することで、せん断破壊が起きやすくなってしまうのが原因であった。
このせん断破壊による柱の損傷は建築物自体の倒壊につながり、被害を大きくしてしまうため大変危険であった。そこで、建築物の柱と壁との間にスリットを形成することで、柱と壁とを分断し、地震時に発生する応力が柱に与える影響を少なくする耐震補強が知られている。
図8は、建築物の柱際に耐震スリットを形成した様子を示す図である。
図8に示すように、柱1、柱2の間に形成された壁体3が形成され、その壁体3に窓枠などを設置するための開口部4が設けられている。
この開口部4を壁体3に形成することで、開口部4の下部には床面5までの腰壁3aが形成され、また開口部4の上部には、天井面6から開口部4の上面までの垂れ壁3bが形成される。
このように、柱1、柱2の間に腰壁3aや垂れ壁3bが取り付くことで柱1や柱2が拘束されてしまい、柱1や柱2の長さは区間L1ではなく、区間L2だけになってしまう。一般に、部材の長さが短いほど、せん断力は大きくなるので、区間L2のように短くなってしまった柱1、柱2ではせん断破壊が起きやすくなってしまっていた。
そこで、柱1および柱2に耐震スリット7および耐震スリット8を設け、柱1または柱2と壁体3とが繋がっていない状態にすることで、柱1や柱2の長さを区間L2より長い区間L1にすることができる。
このように、建築物に耐震スリット7および耐震スリット8を形成することで壁3と柱1または柱2とが分断され、柱1または柱2の長さが短くなることがないので、柱1または柱2のせん断破壊を抑制することができる。つまり地震発生時に、建築物の倒壊を最小限に抑えることができる。
また耐震スリット7および耐震スリット8は新築建物に形成するだけでなく、現在の耐震基準に満たない古い建築物に耐震スリット7および耐震スリット8を形成して耐震補強を施すことで、現在の耐震基準を満たす耐震性能を備えた建築物に改修することができる。
上記のように、コンクリート製の壁に耐震スリット7および耐震スリット8を効率よく形成するために、コンクリート構造物に複数の孔を一直線状にあけるための多軸コアドリル装置や、多軸コアドリル装置を使用したスリットの形成方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
図9は、コンクリート構造物にスリットを形成するための多軸コアドリル装置を示す図である。
図9に示すように、多軸コアドリル装置10は、コアドリル11A〜11Cが所定の間隔をあけて一直線上に整列して設けられているドリル本体11と、コアドリル11A〜11Cを回転駆動させるための駆動機構12とを備えている。
またドリル本体11には、コンクリート構造物が有するコンクリート壁20に対してドリル本体11を前進または後退させるための第一案内機構13と、第一案内機構13をコンクリート壁20と平行にコアドリル11A〜11Cの整列方向に沿って案内するための第二案内機構14とを備えている。
図10は、多軸コアドリル装置を用いてコンクリート構造物にスリットを形成する方法を示す図である。
図10に示すように、コンクリート壁20に矩形のスリットSを形成するために、多軸コアドリル装置10を用いてコンクリート壁20に連続孔を形成する。
まずコアドリル11A〜11Cがコンクリート壁20へのスリットSの形成位置に対応するように、第二案内機構14をコンクリート壁20に固定する。具体的には、第二案内機構14の固定位置を調整し、コアドリル11A〜11CがスリットSの形成位置の中心位置に来るようにドリル本体11の位置を決定する。
ドリル本体11の水平位置が決定したら、第二案内機構14を用いてドリル本体11の高さ位置を決定する。まずはドリル本体11が有する最上段のコアドリル11Aと、スリットSの上部にくるように第二案内機構14を調整する。
次に、駆動機構12を駆動させることでコアドリル11A〜11Cを回転させ、第一案内機構13によりドリル本体11をコンクリート壁20に向けて前進させる。これにより、コアドリル11A〜11Cがコンクリート壁20に設けられるスリットSの形成位置を穿孔する。
図9(A)は、多軸コアドリル装置10で1回目の穿孔により、コンクリート壁20に孔H1〜H3の独立した孔があけられたことを示している。孔H1はコアドリル11Aによって、孔H2はコアドリル11Bによって、また孔H3はコアドリル11Cによってあけられたものである。
次に、第一案内機構13によってドリル本体11を後退させ、第二案内機構14によってドリル本体11を鉛直下方向に移動させる。ドリル本体11の移動先は、形成された孔H1と孔H2との中間に位置する点P1に対向するようにコアドリル11Aの位置調整を行う。
第二案内機構14によって、ドリル本体11はコアドリル11A〜11Cの整列方向に沿って垂直移動するので、必然的にコアドリル11Bは孔H2と孔H3との中間に位置する点P2に移動し、コアドリル11Cは、孔H3の下方に位置する点P3に移動することになる。
図9(B)は、多軸コアドリル装置10で1回目の穿孔の後に、コアドリル11A〜11Cを2回目の穿孔位置に移動させた状態を示している。
コアドリル11A〜11Cを点P1〜点P3に対向する位置に調整した後、第一案内機構13によってドリル本体11を前進させることにより、コアドリル11A〜11Cがコンクリート壁20を穿孔し、コンクリート壁20に孔H4〜H6の新たな孔があけられる。
図9(C)は、コンクリート壁20にあけられた孔H1〜H6が連続し、スリットSの形状に近い穴あけが完了した状態を示している。
次に、第二案内機構14によって、ドリル本体11が有する最上段のコアドリル11Aの上部と、2回目の穿孔によってあけられた孔H6の下部とが若干重なる位置まで移動させる。位置調整後、第一案内機構13によってドリル本体11を前進させることで3回目の穿孔を行う。3回目の穿孔後。形成された孔と孔との間にコアドリルの位置を合わせ、穿孔を繰り替えしていく。
このように多軸コアドリル装置10を用いて、コンクリート壁20への穿孔を繰り返すことで連続した孔が形成され、スリットSに近い連続孔Hを形成することができる。この後、矩形のスリットSの形状に合わせて連続孔Hの周辺に残ったバリ部Bをハツリ取ることで矩形のスリットを形成することができる。
またコンクリート壁20の内部には、コンクリート壁20を補強するための鉄筋が埋設されている場合が多く、コンクリート壁20にスリットSを形成したことにより鉄筋が露出した場合は、露出した鉄筋の切断を行うことにより、矩形のスリットSを形成することができる。
特開2000−202827号公報
しかし、上記のような多軸コアドリル装置10で矩形のスリットSを形成する場合、矩形のスリットSに近い連続孔Hは形成できるが、このままでは矩形のスリットSは形成できなかった。つまり矩形のスリットSを形成するためには、連続孔Hを形成した後に連続孔Hの周辺のバリ部Bをハツリ取る仕上げ加工が必要となり、スリットSを形成するために多くの時間と手間がかかってしまっていた。
具体的には、多軸コアドリル装置10が備える複数のコアドリル11A〜11Cを、形成するスリットSの長手方向にずらしながら複数回穿孔することで、連続孔Hを形成するものである。
まず初回の穿孔で、孔H1〜H3を形成し、形成された孔H1〜H3の間を多軸コアドリル装置10が備える複数のコアドリル11A〜11Cで切削して連続孔を形成していくので、多軸コアドリル装置10を前後進させる回数が多く、また多軸コアドリル装置10を垂直方向に移動する距離も短いため、形成するスリット部位を切削するには多くの時間がかかっていた。
またコアドリル11A〜11Cで形成される孔は円形のため、形成された連続孔は円の連続孔となってしまう。こうした円の連続孔Hでは、矩形のスリットSのような直線の目地表面を形成することはできず、図9(C)に示すバリ部Bのような凹凸が残ってしまう。
矩形のスリットSを形成するためには、この残されたバリ部Bをハツリ取る必要がある。スリットSが矩形でなければならない理由は、形成したスリットSには、形成後に耐水性、耐塵性、防音性、耐火性を備えたスリット材でスリットSを充填する必要がある。
例えば、図9(C)に示すバリ部Bのような凹凸が残っていると、形成されたスリットSにスリット材を充填しても、スリット材と連続孔Hとの間に隙間が生じてしまう。このスリット材と連続孔Hとの間に生じた隙間は、後に水漏れなどの問題が生じてしまうため、スリット材とスリットSとの目地表面は密着することが好ましい。
このため形成された連続孔周辺に残されたバリ部Bをハツリ取り、矩形のスリットSのような滑らかな目地表面をもったスリットSを形成する必要がある。しかし複数のコアドリルで複数回穿孔することで、スリットSに近い形状の連続孔刃形成されるが、多くのバリ部Bが残されてしまい、これを一つ一つハツリ取って矩形のスリットSに仕上げるには非常に多くの時間がかかっていた。
またコンクリート壁20の内部には、コンクリート壁20を補強するための鉄筋が埋設されている。形成するスリットSの幅は25mm〜35mm程度であり、スリットSの形成後に狭いスリット内で露出された鉄筋を切断し、撤去する作業は大変困難なものであった。しかし、上記のようにスリット材をスリットSに充填したときに生じる隙間の要因となってしまうので、この露出した鉄筋の撤去も時間や手間はかかるが必要な作業であった。
このように多軸コアドリル装置を使ってスリットSを形成しても、バリ部Bをハツリ取り、形成されたスリットS内で露出した鉄筋を切断し撤去したりする作業に多くの時間がかかっていた。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、コンクリート建造物にコアドリルを使用してスリットを形成する際に生じるバリ取りや、形成されたスリット内で露出した鉄筋の撤去作業を軽減させるスリットの形成方法を提供することを目的とする。
本発明では上記問題を解決するために、壁体に矩形のスリットを形成するスリットの形成方法において、壁体に形成するスリットの長辺両側面位置に形成するスリットの深さを有する切込を入れる工程と、コアドリルで所定の間隔をあけながら前記切込の間をスリットの深さで穿孔していき、前記切込と切込とを穿孔孔で連結していく工程と、前記切込の間に所定の間隔で残された壁体を除去する工程とを備えることを特徴とするスリットの形成方法が提供される。
これにより、壁体に形成するスリットの長辺両側面位置に形成するスリットの深さを有する切込を入れ、コアドリルで所定の間隔をあけながら切込の間をスリットの深さで穿孔していき、切込と切込とを穿孔孔で連結していき、切込の間に所定の間隔で残された壁体を除去する。
本発明のスリット形成方法によれば、壁体に形成するスリットの長辺両側面位置に形成するスリットの深さを有する切込を入れ、コアドリルで所定の間隔をあけながら切込の間をスリットの深さで穿孔していき、切込と切込とを穿孔孔で連結していき、切込の間に所定の間隔で残された壁体を除去するので、壁体内に埋設された鉄筋は、長辺両側面位置に形成するスリットの深さを有する切込を入れる際に切断され、切込と切込とをコアドリルで穿孔して連結し、残された部位を撤去するので、スリットの目地表面は最初に形成した切込で形成されるため矩形で滑らかな目地表面となるので、矩形のスリットを短時間で形成することができる。
本実施の形態に係るスリットの形成方法の概要を示す図である。 壁体に溝を形成する工程を示す図である。 コアドリルで残部を切削する工程を示す図である。 多軸のコアドリルで残部を切削する工程を示す図である。 壁体に溝および孔を形成した状態を示す図である。 形成するスリットの長手方向の一端の詳細を示す図である。 矩形に形成されたスリットに目地材を充填した様子を示す図である。 建築物の柱際に耐震スリットを形成した様子を示す図である。 コンクリート構造物にスリットを形成するための多軸コアドリル装置を示す図である。 多軸コアドリル装置を用いてコンクリート構造物にスリットを形成する方法を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係るスリットの形成方法の概要を示す図である。
図1に示すように、壁体100にスリット幅25mm〜35mm程度の矩形のスリットSを形成するにあたり、まず壁体100に対して、形成する矩形のスリットSの長手方向の一辺の上端に図示しないウォールソー200を合わせ、駆動させたウォールソー200を壁体100に挿入する。ウォールソー200を壁体100に挿入する深さは、形成するスリットSの深さであり、壁体100の形状によって任意に設定できる。
次にウォールソー200を駆動させたまま壁体100の壁面に平行、かつ形成するスリットSの長手方向に合わせて移動させて壁体100を切削する。そのままウォールソー200を移動させ、形成するスリットSの下端にウォールソー200が到達した後、ウォールソー200を壁体100から抜き取る。これにより壁体100に形成するスリットSの長手方向の一辺に形成するスリットSの深さの溝G1が形成される。
同様に、壁体100に対して形成するスリットSの長手方向の他辺の上端にウォールソー200を合わせ、駆動させたウォールソー200を壁体100に挿入する。ウォールソー200が形成するスリットSの下端に到達することで、壁体100に形成するスリットSの長手方向の他辺に形成するスリットSの深さの溝G2が形成される。
次に、溝G1と溝G2との間に残された残部Rを除去することでスリットSが形成していく。残部Rの除去をハツリ機などで切削を行うと、形成するスリットは25mm〜35mm程度であり、この形成された狭小の部位をハツリ機で切削するのは時間と手間がかかってしまう。またハツリ機の衝撃で、スリットSの目地表面に傷がつくなどの問題も考えられる。
そこで本発明のスリットの形成方法では、この残部Rの切削にコアドリルを用いることで、短時間かつスリットSの目地表面を滑らかに形成することができる。
コアドリルは、形成するスリットSと同じ幅の径をもつコアドリルを使用する。さらには残部Rの幅以上かつ形成するスリットSの幅以下の径をもつコアドリルを使用することが望ましい。
残部Rの切削は、まず、形成するスリットSの上端かつ残部Rの中心線上にコアドリルを合わせ、駆動させたコアドリルを壁体100に対して垂直に挿入する。形成するスリットSの深さまでコアドリルの先端が到達した後に、コアドリルを抜き取ることで孔H1が形成される。
次に、コアドリルを残部Rの長手方向下部に向かって所定の間隔をあけて移動させ、再び残部Rを切削していく。こうすることで残部Rには孔H2が形成される。これを繰り返すことで残部Rに複数の孔Hを直線状に形成することができる。複数の孔Hは連続して形成する必要は無く、孔H1と孔H2との間には所定の間隔の残部Rが残されていても良い。
こうすることで、スリットSの長手方向の両端は、ウォールソー200によって形成された溝G1および溝G2によってスリットSの目地表面は滑らかな平面状に溝が形成され、溝G1と溝G2との間に残された残部Rは、コアドリルによって複数の孔Hがあけられる。孔H1と孔H2との間は、目地底でしか壁体100に結合しておらず、簡単に取り除くことができる。これにより、目地表面が滑らかなスリットSを短時間で形成することができる。
図2は、壁体に溝を形成する工程を示す図である。
図2(A)は、壁体100に溝G1および溝G2を形成する工程を示す正面図である。
図2(A)に示すように、まず壁体100に幅30mmのスリットSを形成するために、スリットSの長手方向両側面に溝G1およびG2を形成する。
スリットSの長手方向両側面に溝G1およびG2は、形成した後にスリットSの目地表面を形成するものであり、最初に溝G1および溝G2を切削することで、壁体100の内部に埋設された鉄筋をあらかじめ切断しておくこと、またスリットSの目地表面を滑らかな平面状に形成することができる。
あらかじめ埋設された鉄筋を切断することで、従来の施工で生じていた狭小スリット内での鉄筋切断作業がなくなり、施工時間を大きく削減することが可能となる。また従来の施工で残されたバリ部Bをハツリ取ることで生じていた目地表面の粗さも、あらかじめウォールソー200で溝G1およびG2を形成することで、目地表面が滑らかな平面状にすることができる。これにより矩形のスリットSの形成後にスリットS内に充填するスリット材と目地表面との隙間がなくなり、水漏れや音漏れなどを防止することができる。
溝G1およびG2の形成は、まずウォールソー200を形成するスリットSの長手方向の一辺の上端に合わせて設置する。ウォールソー200は、壁体100に形成するスリットSに沿って直線状のレールガイドを設置し、ウォールソー200をレールガイドに連結して上下に移動させることで、レールガイドに合わせて壁体100を直線状に切削することができる。
壁体100にレールガイドおよびレールガイドの設置が完了したら、次にウォールソー200を駆動させ、形成するスリットSの長手方向の一辺の上端位置で、壁体100の壁面に挿入していく。
ウォールソー200を駆動させたまま壁体100の壁面に平行、かつ形成するスリットSの長手方向に合わせて移動させて壁体100を切削する。そのままウォールソー200を移動させ、形成するスリットSの下端にウォールソー200が到達した後、ウォールソーを壁体100から抜き取る。
これによりウォールソー200の刃厚の溝G1が、壁体100に形成するスリットSの長手方向の一辺に形成される。また壁体100の内部のスリット形成位置に埋設されている鉄筋が、この工程で切断される。ウォールソー200の刃厚は任意のもので良いが、以下、刃厚3mmのウォールソー200を用いるとして説明する。
次に、壁体100に対して形成するスリットSの長手方向の他辺の上端にウォールソー200を合わせ、駆動させたウォールソー200を壁体100に挿入する。ウォールソー200が形成するスリットSの下端に到達することで、壁体100に形成するスリットSの長手方向の他辺に幅3mmの溝G2が形成される。
これにより形成する幅30mmのスリットSの長手方向一辺から刃厚3mmの溝G1、他辺から刃厚3mmの溝G2が形成されるので、溝G1と溝G2との間には、幅24mmの残部Rが残されることになる。
図2(B)は、壁体100に溝G1および溝G2を形成する工程を示す断面図である。
図2(B)に示すように、ウォールソー200を用いて、壁体100に溝G1および溝G2を形成している。
溝G1および溝G2の深さはウォールソー200を挿入する深さでスリットSの深さを任意に設定することができるが、壁体100を完全に切断して室内外を貫通させるのではなく、既存の建物においては、居住者等の生活に影響がないようにするため、室外から本発明のスリットの形成方法で壁体100にスリットSを形成し、壁体100の室内側の一部を残して切削することもできる。
このように壁体100の室内側の一部を残して切削することで、工事期間中の居住者の移動や、内装への影響をなくすことができる。また切削時に生じる削りカスなども建物の外側でのみ発生するので、室内を汚すことなく作業をすることができる。
図3は、コアドリルで残部を切削する工程を示す図である。
図3に示すように、コアドリルを用いて、残部Rをコアドリル300で切削していく。
コアドリル300の刃の径は、形成するスリットSの幅よりも小さく、かつ残部Rの幅よりも大きい径の刃を用いるとよい。
上記の径の刃を有するコアドリル300を、形成するスリットSの長手方向の中心線上に合わせて切削することで、コアドリル300の刃は溝G1および溝G2を越えて形成されるスリットSの目地表面を傷つけることはない。つまりコアドリル300で形成された目地表面を傷つけることなく、残部Rを切削していくことができる。
具体的には形成するスリットSが30mmで、長手方向に沿って両側から3mmの溝G1および溝G2が形成されているので、残部Rは24mmである。よってコアドリル300の刃の径は、24mm以上30mm未満の径を用いると良い。例えば、27mmのコアドリル300の刃を用いて幅24mmの残部Rを切削することで、溝G1および溝G2で形成された目地表面を傷つけることなく溝G1と溝G2を孔H1で連結することができる。
残部Rを切削するには、まず形成するスリットSの上端、かつ形成された残部Rの長手方向の中心線に合わせてコアドリル300の刃の先端を設置する。次にコアドリル300を駆動させ、壁体100に対して垂直にコアドリル300を前進させ、コアドリル300の刃を壁体100に挿入する。
形成するスリットSの深さまでコアドリル300の刃先が到達したら、コアドリル300を後退させ、壁体100からコアドリル300を抜き取る。これにより壁体100に孔H1が形成される。
幅24mmの残部Rの中心から径27mmのコアドリル300で残部Rを切削するので、コアドリル300の刃は残部Rから外側に1.5mmずつはみ出るように残部Rを切削することになる。つまり孔H1を残部Rに形成すると、溝G1と溝G2は孔H1で連結されることになる。ところが、溝G1および溝G2は幅30mmで形成されているので、コアドリル300の刃は溝G1および溝G2より外側を切削することはない。つまり形成されたスリットSの目地表面を傷つけることはない。
次に、コアドリル300を残部Rの長手方向下部に向かって所定の間隔をあけて移動させ、再び残部Rを切削していく。こうすることで残部Rには孔H2が形成される。孔H1と孔H2とは、連結して切削する必要はなく、孔H1と孔H2との間に所定の間隔をあけて、所定の間隔の残部Rが残されるように切削するとよい。
このようにコアドリル300で所定の間隔の残部Rを残して切削することで、コアドリル300を前後進させる回数が減り、またコアドリル300を1回の切削から次の切削位置までの距離を増やせるので、切削時間を短縮することができる。また所定の間隔で残された残部Rは、コアドリル300の振動で自然に落ちるか、またはバールなどの細長い棒状のものでこじることで、容易に取り除くことができるからである。詳細は後述する。
図4は、多軸のコアドリルで残部を切削する工程を示す図である。
図に示すように、複数の刃を備えた多軸のコアドリル310を用いて、残部Rを切削していく。
切削方法は、図3における1つの刃を備えたコアドリル300と同様であるが、複数の刃を備えた多軸のコアドリル310の場合は、刃が複数備えられているため、コアドリル310を壁体100に対して1度前後進させるだけで、複数の孔があけられる。
図4では、3つの刃を備えた多軸のコアドリル310で切削しているので、コアドリル310を1度前後進させるだけで孔H1〜孔H3までの3つの孔をあけることができる。つまり図3と比較すると3倍のスピードで孔をあけていくことができる。
また従来のスリット形成方法の場合、多軸のコアドリル310を用いてスリットSを切削していくが、孔H1と孔H2との間をさらに切削する必要があるため、切削スピードは図4の工法と比較して2倍必要となる。ところが本発明の工法は、所定の間隔で残部Rを残して切削してもスリットSが形成できるため、コアドリル300を1回の切削から次の切削位置までの距離を増やせるので、施工時間を大幅に短縮することができる。
図5は、壁体に溝および孔を形成した状態を示す図である。
図5に示すように、壁体100には、形成するスリットSの長手方向両側面に溝G1および溝G2が形成され、溝G1と溝G2との間に残された残部Rを、コアドリル300または複数の刃を備えた多軸のコアドリル310で所定の間隔をあけて複数の孔Hをあけた状態である。
複数の孔Hnと孔Hnとの間には、残された残部R1、R2、R3・・・と複数の分割された分割残部Rnが残されている。この分割残部は、目地底である結合部Kだけで壁体100と連結されている。
この図5の状態でドライバーやバールなどを孔Hに差し込み、分割残部Rnに力を加えると簡単に結合部Kは破断され、分割残部Rnを壁体100から取り除くことができる。またはコアドリル300で残部Rを切削しているときに生じる振動などで、自然にポロポロと壁体100から剥離させることができる。この剥離した分割残部Rnを撤去することで、容易に矩形のスリットSを形成することができる。
図6は、形成するスリットの長手方向の一端の詳細を示す図である。
図6(A)は、溝G1と溝G2との上端に、コアドリル300の刃の外周を合わせて切削した場合の端部を示している。
図6(A)に示すように、溝G1と溝G2との上端に、コアドリル300の刃の外周を合わせて切削することで孔H1と溝G1と溝G2との接合部にバリ部Bが形成される。このバリ部Bをハツリ取るだけで、矩形のスリットSを形成することができる。
図6(B)は、溝G1と溝G2が有する目地表面にコアドリル300の刃の直径を合わせて切削した場合の端部を示している。
図6(B)に示すように、溝G1と溝G2が有する目地表面にコアドリル300の刃の直径を合わせて切削することで、端部が環状のスリットSを形成することができる。このように切削するとバリ部Bが生じないので施工時間を短縮でき、目地表面を滑らかに仕上げることができる。
図7は、矩形に形成されたスリットに目地材を充填した様子を示す図である。
図7に示すように、形成されたスリットSには目地剤110を充填する。これにより、壁体100と同等の耐水性、耐塵性、防音性、耐火性などを備えることができる。また形成されたスリットSは、ウォールソー200で目地表面を形成しているため、表面が滑らかであり複雑な形状のバリ部Bが生じない。
つまり充填した目地剤110と滑らかな表面の目地表面とが密着し隙間が生じないため、従来のバリ部Bをハツリ取った目地表面に充填した目地剤110と比較して、密着性を向上することができる。つまり耐水性、耐塵性、防音性、耐火性を向上させることができる。
なお、ウォールソー200やコアドリル300で壁体100を切削する際は、ウォールソー200やコアドリル300に水ホースを接続し、水をまきながら切削を行うと良い。これにより切削時に生じる粉じん飛散をぼうしすることができる。
1、2 柱
3、100 壁体
3a 腰壁
3b 垂れ壁
4 開口部
5 床面
6 天井面
7、8 耐震スリット
10 多軸コアドリル装置
11 ドリル本体
11A、11B、11C コアドリル
12 駆動機構
13 第一案内機構
14 第二案内機構
20 コンクリート壁
110 目地剤
200 ウォールソー
300 コアドリル
310 多軸のコアドリル
B バリ部
G1、G2 溝
H、H1、H2、H3、H4、H5、H6、Hn 孔
K 結合部
L1、L2 区間
P1、P2、P3 点
R 残部
R1、R2、R3、Rn 分割残部
S スリット

Claims (8)

  1. 壁体に矩形のスリットを形成するスリットの形成方法において、
    壁体に形成するスリットの長辺両側面位置に形成するスリットの深さを有する切込を入れる工程と、
    コアドリルで前記切込の間をスリットの深さで穿孔し、前記切込と切込とを所定の間隔をあけながら穿孔した孔で連結していく工程と、
    前記切込の間に所定の間隔で残された壁体を除去する工程と、
    を備えることを特徴とするスリットの形成方法。
  2. 前記コアドリルは、
    複数の穿孔刃を備えた多軸のコアドリルであることを特徴とする請求項1記載のスリットの形成方法。
  3. 前記複数の穿孔刃は、
    所定の間隔をあけて一直線上に整列して設けられていることを特徴とする請求項2記載のスリットの形成方法。
  4. 前記コアドリルの径は、
    前記切込の間の幅以上、かつ形成するスリット幅未満であることを特徴とする請求項1記載のスリットの形成方法。
  5. 前記切込は、
    ウォールソーを前記壁体に挿入し、形成するスリットの長手方向に移動することで形成されることを特徴とする請求項1記載のスリットの形成方法。
  6. 前記スリットの深さは、
    前記壁体の厚さよりも浅くして、前記スリット部分に残存壁を形成することを特徴とする請求項1記載のスリットの形成方法。
  7. 前記切込の間に所定の間隔で残された壁体は、
    バールでこじって前記壁体から剥離することを特徴とする請求項1記載のスリットの形成方法。
  8. 前記切込の間に所定の間隔で残された壁体は、
    前記コアドリルの穿孔による振動により、前記壁体から剥離することを特徴とする請求項1記載のスリットの形成方法。
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