JP6882831B2 - 振動抑制装置 - Google Patents

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Description

本発明は、対象の振動に伴って発生した相対変位が伝達されることにより作動し、慣性質量を発生させる振動抑制装置に関する。
従来、この種の振動抑制装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この振動抑制装置は、作動流体が充填されたシリンダと、シリンダ内に軸線方向に摺動自在に設けられるとともに、シリンダ内を2つの流体室に区画するピストンと、ピストンをバイパスし、2つの流体室に連通する連通路と、連通路を流れる作動流体の圧力エネルギを回転エネルギに変換する歯車モータと、歯車モータで変換された回転エネルギが伝達されることによって回転する回転マスを備えている。振動抑制装置のシリンダ及びピストンは、鋼材などを介して高層の建築物の上梁及び下梁にそれぞれ連結される。
以上の構成の従来の振動抑制装置では、地震などで建築物が振動し、それに伴って発生した上下の梁の間の相対変位が鋼材などを介してシリンダ及びピストンに伝達される。これにより、ピストンがシリンダ内を2つの流体室の一方側に摺動すると、その一方の流体室内の作動流体がピストンで連通路に押し出されることによって、連通路内に他方の流体室側への作動流体の流動が生じる。この作動流体の圧力エネルギは、歯車モータにより回転エネルギに変換され、変換された回転エネルギが回転マスに伝達されることによって回転マスが回転し、それに伴い、回転マスの回転慣性質量に応じた慣性質量が発生する。
特許第5191579号
上述したように、従来の振動抑制装置では、建築物の振動に伴う上下の梁の間の相対変位が鋼材などを介してシリンダ及びピストンに伝達されることにより、ピストンがシリンダ内を摺動し、それにより発生した連通路内の作動流体の圧力エネルギが歯車モータで回転エネルギに変換された状態で回転マスに伝達される結果、回転マスが回転する。このため、シリンダ及びピストンに伝達された上下の梁の間の相対変位が比較的小さい場合には、回転マスの回転量が小さくなり、回転マスの回転慣性質量に応じた慣性質量を十分に発生させることができないおそれがある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、シリンダ及びピストンに伝達される振動に伴う相対変位が比較的小さい場合でも、慣性質量を十分に発生させることができ、ひいては、振動を適切に抑制することが可能になる振動抑制装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、構造物の振動に伴って発生した構造物を含む系内の所定の2つの部位の間の相対変位が伝達されることにより作動し、構造物の振動を抑制する振動抑制装置であって、作動流体が各々に充填された複数のシリンダと、複数のシリンダの各々内に軸線方向に摺動自在に設けられ、対応するシリンダ内を2つの流体室に区画するピストンから成る複数のピストンと、相対変位が複数のシリンダの各々及び複数のピストンの各々に伝達されることによって、各々のピストンが対応するシリンダ内を軸線方向の一方側に摺動したときに、各々のシリンダ内の2つの流体室のうち、摺動する各々のピストンで収縮させられる側の流体室から成る収縮側の複数の流体室同士を連通するとともに、摺動する各々のピストンで膨張させられる側の流体室から成る膨張側の複数の流体室同士を連通し、作動流体が充填された連通路と、複数のシリンダのうちの単一のシリンダに接続され、又は収縮側の複数の流体室同士を連通する連通路と膨張側の複数の流体室同士を連通する連通路とを連通するように接続され、作動流体が充填されるとともに、摺動する各々のピストンにより収縮側の複数の流体室の各々内の作動流体が押圧されたことに起因する作動流体の流動を互いに合流させるように構成された合流連通路と、合流連通路に一体に設けられたケーシングを有し、ケーシング内を作動流体が流動することによって発生した作動流体の圧力エネルギを、合流連通路に直交しかつケーシングに回転自在に支持された回転軸を中心として回転する回転エネルギに変換する流体圧モータと、円板状に形成されるとともに回転軸に同軸状に設けられ、流体圧モータで変換された回転エネルギが伝達されることにより、回転軸と一体に回転する回転マスと、を備え、構造物は支持体に立設され、2つの部位は、少なくとも2組の2つの部位から成り、複数のシリンダの一部は、上下方向に延びた状態で、2組のうちの1組の2つの部位の一方としての構造物の上端部及び支持体の一方に連結され、複数のシリンダの一部に対応する複数のピストンの一部は、1組の2つの部位の他方としての構造物の上端部及び支持体の他方に連結され、複数のシリンダの残りは、水平方向に延びた状態で、2組のうちの他の1組の2つの部位の一方としての構造物の所定の部位及び支持体の一方に連結され、複数のシリンダの残りに対応する複数のピストンの残りは、他の1組の2つの部位の他方としての構造物の所定の部位及び支持体の他方に連結されることを特徴とする。
この構成によれば、構造物の振動に伴って発生した2つの部位の間の相対変位が、作動流体が充填された複数のシリンダの各々及び複数のピストンの各々に伝達されることによって、各々のピストンが、対応するシリンダ内を2つの流体室の一方側又は他方側に摺動する。各々のシリンダの2つの流体室のうち、このピストンの軸線方向の一方側への摺動により収縮させられる流体室から成る収縮側の複数の流体室同士を連通するとともに、ピストンの摺動により膨張させられる流体室から成る膨張側の複数の流体室同士を連通するように、連通路が設けられている。また、連通路及び合流連通路には、作動流体が充填されるとともに、合流連通路には流体圧モータが設けられている。上述したように摺動するピストンにより収縮側の複数の流体室内の作動流体が合流連通路側に押圧され、それにより合流連通路内に、作動流体の流動が生じ、この作動流体の流動は互いに合流させられる。
また、上述したように作動流体の流動が合流連通路内で合流することによって発生した合流連通路内の作動流体の圧力エネルギは、流体圧モータによって回転エネルギに変換される。変換された回転エネルギは、回転マスに伝達され、それにより回転マスが回転する結果、回転マスの回転慣性質量に応じた慣性質量が発生する。以上のように、複数のピストンの摺動によって発生した作動流体の圧力エネルギを、合流連通路を用いて集約した状態で流体圧モータに供給するとともに、流体圧モータにより回転エネルギに変換した状態で回転マスに伝達することによって、回転マスを回転させる。したがって、シリンダ及びピストンに伝達される構造物の振動に伴う相対変位が比較的小さい場合でも、回転マスを十分に回転させ、慣性質量を十分に発生させることができ、ひいては、構造物の振動を適切に抑制することが可能になる。
アスペクト比が比較的大きい構造物が1次モードの振動モードで振動したときには、構造物の曲げ変形による変位の方向と、せん断変形による変位の方向は互いに同じ方向になり、これらの曲げ変形による変位とせん断変形による変位を足し合わせた変位量が、比較的大きくなる傾向にある。また、構造物の振動に伴って発生した曲げ変形の度合いは、構造物の上側の部分であるほど、より大きくなり、構造物の振動に伴って発生したせん断変形の度合いは、構造物の下側の部分であるほど、より大きくなる。以上の点に着目し、本発明は上述した構成を採用している。
すなわち、上下方向に延びる複数のシリンダの一部(以下「一部のシリンダ」という)が、構造物の上端部及び支持体の一方に連結され、一部のシリンダに対応する複数のピストンの一部(以下「一部のピストン」という)は、構造物の上端部及び支持体の他方に連結される。一部のシリンダ及び一部のピストンを、上記のように構造物及び支持体に設けることによって、構造物の1次モードの振動に伴って発生した曲げ変形による変位を、一部のシリンダ及び一部のピストンに適切に伝達することができる。
また、水平方向に延びる複数のシリンダの残り(以下「残りのシリンダ」という)が、構造物の所定の部位及び支持体の一方に連結され、残りのシリンダに対応する複数のピストンの残り(以下「残りのピストン」という)は、構造物の所定の部位及び支持体の他方に連結される。残りのシリンダ及び残りのピストンを、上記のように構造物及び支持体に設けることによって、構造物の1次モードの振動に伴って発生したせん断変形による変位を、残りのシリンダ及び残りのピストンに適切に伝達することができる。
以上のように、構造物の1次モードの振動に伴って発生した曲げ変形による変位を一部のシリンダ及び一部のピストンに、構造物の1次モードの振動に伴って発生したせん断変形による変位を、残りのシリンダ及び残りのピストンに、それぞれ適切に伝達できる。それに加え、請求項1に係る発明の説明で述べたように、シリンダ及びピストンに伝達される相対変位が比較的小さい場合でも、慣性質量を十分に発生させることができ、ひいては、構造物の1次モードの振動(例えば風揺れなどの比較的小さい振動)を適切に抑制することが可能になる。
請求項に係る発明は、請求項1に記載の振動抑制装置において、2つの部位はそれぞれ、構造物の第1部位、及び、第1部位よりも下側の第2部位であり、第1部位と第2部位の間に設けられるとともに、一端部が第1及び第2部位の一方に連結される連結部材をさらに備え、複数のシリンダ及び複数のピストンは、少なくとも一対のシリンダ及び少なくとも一対のピストンをそれぞれ含み、一対のシリンダは、連結部材の他端部を中心として互いに対称に配置され、一対のシリンダの一方と、一方に対応する一対のピストンの一方との一方は、連結部材の他端部に連結されるとともに、一対のシリンダの一方と、一対のピストンの一方との他方は、第1及び第2部位の他方に連結され、一対のシリンダの他方と、他方に対応する一対のピストンの他方との一方は、連結部材の他端部に連結されるとともに、一対のシリンダの他方と、一対のピストンの他方との他方は、第1及び第2部位の他方に連結されることを特徴とする。
この構成によれば、構造物の振動に伴って発生した第1部位と第2部位の間の相対変位が、一対のシリンダ及び一対のピストンに伝達される。このため、請求項1に係る発明の説明で述べたように、シリンダ及びピストンに伝達される第1部位と第2部位の間の相対変位が比較的小さい場合でも、慣性質量を十分に発生させることができ、ひいては、構造物を適切に抑制することが可能になる。また、一対のシリンダを、連結部材の他端部の周りにコンパクトに配置することができる。
請求項に係る発明は、請求項1又は2に記載の振動抑制装置において、複数のピストンの少なくとも1つには、少なくとも1つのピストンに対応する2つの流体室の一方における作動流体の圧力が所定圧力に達したときに開弁し、2つの流体室を互いに連通させる第1リリーフ弁と、2つの流体室の他方における作動流体の圧力が所定圧力に達したときに開弁し、2つの流体室を互いに連通させる第2リリーフ弁が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、複数のピストンの少なくとも1つに、第1及び第2リリーフ弁が設けられており、第1リリーフ弁は、少なくとも1つのピストンに対応する2つの流体室の一方における作動流体の圧力が所定圧力に達したときに開弁し、第2リリーフ弁は、これらの2つの流体室の他方における作動流体の圧力が上記所定圧力に達したときに開弁し、2つの流体室を互いに連通させる。これにより、複数のシリンダの各々の2つの流体室内の作動流体の圧力の過大化を防止し、振動抑制装置(複数のシリンダ及び複数のピストン)に作用する軸力を適切に制限することができる。
前記目的を達成するために、請求項に係る発明による振動抑制装置は、構造物の振動に伴って発生した構造物を含む系内の所定の2つの部位の間の相対変位が伝達されることにより作動し、構造物の振動を抑制する振動抑制装置であって、作動流体がそれぞれ充填されるとともに、互いに軸線方向に並んだ複数の流体室を有する単一のシリンダと、複数の流体室の各々に、軸線方向に摺動自在に設けられるとともに、各々の流体室を2つの区画流体室に区画するピストンから成る複数のピストンと、軸線方向に延び、複数のピストンを互いに連結する連結部材と、相対変位がシリンダ及び複数のピストンの各々に伝達されることによって、複数のピストンの各々が対応する流体室を軸線方向の一方側に摺動したときに、各々の流体室の2つの区画流体室のうち、摺動する各々のピストンで収縮させられる側の区画流体室から成る収縮側の複数の区画流体室同士を連通するとともに、摺動する各々のピストンで膨張させられる側の区画流体室から成る膨張側の複数の区画流体室同士を連通し、作動流体が充填された連通路と、シリンダに接続され、作動流体が充填されるとともに、摺動する各々のピストンにより収縮側の複数の区画流体室の各々内の作動流体が押圧されたことに起因する作動流体の流動を互いに合流させるように構成された合流連通路と、合流連通路に一体に設けられたケーシングを有し、ケーシング内を作動流体が流動することによって発生した作動流体の圧力エネルギを、合流連通路に直交しかつケーシングに回転自在に支持された回転軸を中心として回転する回転エネルギに変換する流体圧モータと、円板状に形成されるとともに回転軸に同軸状に設けられ、流体圧モータで変換された回転エネルギが伝達されることにより、回転軸と一体に回転する回転マスと、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、作動流体がそれぞれ充填されたシリンダの複数の流体室の各々に、複数のピストンの各々が軸線方向に摺動自在に設けられており、各流体室が対応するピストンによって2つの区画流体室に区画されている。また、構造物の振動に伴って発生した相対変位が、各々の流体室及び各々のピストンに伝達されることによって、各々のピストンが、対応する流体室を2つの区画流体室の一方側又は他方側に摺動する。各々の流体室の2つの区画流体室のうち、このピストンの摺動により収縮させられる区画流体室から成る収縮側の複数の区画流体室同士を連通するとともに、ピストンの摺動により膨張させられる区画流体室から成る膨張側の複数の区画流体室同士を連通するように、連通路が設けられている。また、連通路及び合流連通路には、作動流体が充填されるとともに、合流連通路には流体圧モータが設けられている。上述したように摺動するピストンにより収縮側の複数の区画流体室内の作動流体が合流連通路側に押圧され、それにより合流連通路内には、作動流体の流動が生じ、この作動流体の流動は互いに合流させられる。
また、上述したように作動流体の流動が合流連通路内で合流することによって発生した合流連通路内の作動流体の圧力エネルギは、流体圧モータによって回転エネルギに変換される。変換された回転エネルギは、回転マスに伝達され、それにより回転マスが回転する結果、回転マスの回転慣性質量に応じた慣性質量が発生する。以上のように、複数のピストンの摺動によって発生した作動流体の圧力エネルギを、合流連通路を用いて集約した状態で流体圧モータに供給するとともに、流体圧モータにより回転エネルギに変換した状態で回転マスに伝達することによって、回転マスを回転させる。したがって、流体室及びピストンに伝達される構造物の振動に伴う相対変位が比較的小さい場合でも、回転マスを十分に回転させ、慣性質量を十分に発生させることができ、ひいては、構造物の振動を適切に抑制することが可能になる。
請求項に係る発明は、請求項に記載の振動抑制装置において、複数のピストンの少なくとも1つには、少なくとも1つのピストンに対応する2つの区画流体室の一方における作動流体の圧力が所定圧力に達したときに開弁し、2つの区画流体室を互いに連通させる第1リリーフ弁と、2つの区画流体室の他方における作動流体の圧力が所定圧力に達したときに開弁し、2つの区画流体室を互いに連通させる第2リリーフ弁が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、複数のピストンの少なくとも1つに、第1及び第2リリーフ弁が設けられており、第1リリーフ弁は、少なくとも1つのピストンに対応する2つの区画流体室の一方における作動流体の圧力が所定圧力に達したときに開弁し、第2リリーフ弁は、これらの2つの区画流体室の他方における作動流体の圧力が上記所定圧力に達したときに開弁し、2つの区画流体室を互いに連通させる。これにより、複数の流体室の各々の2つの区画流体室内の作動流体の圧力の過大化を防止し、振動抑制装置(複数の流体室及び複数のピストン)に作用する軸力を適切に制限することができる。
本発明の第1実施形態による振動抑制装置を、これを適用した構造物とともに概略的に示す図である。 図1の左側の振動抑制装置及び構造物の一部を拡大して示す図である。 図2の第1シリンダなどを拡大して示す断面図である。 図2の第2シリンダなどを拡大して示す断面図である。 図2の振動抑制装置の動作を説明するための図である。 図2の振動抑制装置の変形例及び構造物の一部を示す図である。 本発明の第2実施形態による振動抑制装置を、これを適用した構造物の一部とともに示す図である。 図7の振動抑制装置の変形例及び構造物の一部を示す図である。 本発明の第3実施形態による振動抑制装置を示す断面図である。 図9の振動抑制装置を、これを適用した構造物の一部とともに概略的に示す図である。 図9の振動抑制装置の第1変形例を示す断面図である。 図9の振動抑制装置の第2変形例を示す断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。図1〜図5は、本発明の第1実施形態による振動抑制装置を示している。以下の説明では便宜上、図1の上側、下側、左側、及び右側をそれぞれ、「上」、「下」、「左」及び「右」とする。振動抑制装置は、構造物Bの振動を抑制するためのものであり、左右一対の振動抑制装置1L、1Rで構成されている。構造物Bは、例えば商用又は居住用の高層の建築物であって、複数の柱や梁を互いに井桁状に組み合わせたラーメン構造を有しており、基礎梁BFを含む支持体に立設されている。
左右の振動抑制装置1L、1Rは、互いに同様に構成されており、構造物Bを中心として、左右対称に配置されている点のみが異なっているので、両者1L、1Rを代表して、左側の振動抑制装置1Lについて説明する。
図1〜図5に示すように、振動抑制装置1Lは、円筒状の第1シリンダ11と、第1シリンダ11内に軸線方向に摺動自在に設けられた第1ピストン12と、第1シリンダ11に部分的に収容されたピストンロッド13を備えている。第1シリンダ11は、円筒状の周壁11aと、周壁11aの両端部にそれぞれ同心状に一体に設けられた円板状の第1端壁11b及び第2端壁11cを有しており、構造物Bの外周に配置されている。第1シリンダ11内は、第1ピストン12によって、第1端壁11b側の第1流体室11dと、第2端壁11c側の第2流体室11eに区画されており、第1及び第2流体室11d、11eには、作動流体HFが充填されている。作動流体HFは、粘性を有する適当な流体、例えばシリコンオイルや作動油などで構成されている。
また、第1端壁11b及び第2端壁11cの各々の径方向の中央には、軸線方向に貫通するロッド案内孔が形成されており、各ロッド案内孔には、シールが設けられている。さらに、第2端壁11cには、外方(下方)に突出する凸部11fが一体に設けられており、凸部11fの内部には、収容部11gが画成されている。また、凸部11fには、自在継手を介して第1取付具FL1が設けられている。第1取付具FL1が基礎梁BFに取り付けられることによって、第1シリンダ11は、第1取付具FL1を介して基礎梁BFに連結され、上下方向に延びる。
前記第1ピストン12は、円柱状に形成されており、その径方向の中央にピストンロッド13が一体に設けられている。ピストンロッド13は、第1ピストン12から軸線方向の両側に延びるとともに、第1シリンダ11の第1及び第2端壁11b、11cの各々のロッド案内孔に、シールを介して液密に挿入されている。また、ピストンロッド13は、その一端部が収容部11gに収容されており、一端部以外の大部分が第1シリンダ11に収容されている。さらに、ピストンロッド13の他端部は、第1シリンダ11から突出しており、自在継手を介して第2取付具FL2が設けられている。第2取付具FL2は、連結部材2の下端部に取り付けられる。
この連結部材2は、上下方向に互いに接合された複数の柱材2aで構成されており、各柱材2aは、比較的剛性が高い鋼材、例えばH形鋼で構成されている。また、連結部材2は、構造物Bの外側に配置され、構造物Bに沿って上下方向に延び、その上端部が、構造物Bの上端部、例えば最上部のブレース階FBの左端部に連結される。以上により、第1ピストン12は、ピストンロッド13、第2取付具FL2及び連結部材2を介して、構造物Bの上端部に連結される。
また、構造物Bには、第1シリンダ11よりも上側の部分に、4つの座屈防止機構BPが設けられる。各座屈防止機構BPは、構造物Bの振動に伴って作用する圧縮荷重による連結部材2の座屈を防止するためのものである。座屈防止機構BPの構成は、本出願の発明者により提案された特許第5149453号に開示されたものと同じであるので、その詳細な説明については省略する。
さらに、第1ピストン12の周面は、シールが設けられており、シールを介して周壁11aの内周面に液密に接触している。第1ピストン12の径方向の外端部には、軸線方向に貫通する複数の孔が形成されている(2つのみ図示)。これらの孔には、第1リリーフ弁14及び第2リリーフ弁15がそれぞれ設けられている。
第1リリーフ弁14は、弁体と、これを閉弁側に付勢するばねで構成されており、第1流体室11d内の作動流体HFの圧力が所定値に達したときに開弁し、それにより第1及び第2流体室11d、11eが互いに連通されることによって、第1流体室11d内の作動流体HFの圧力の過大化が防止される。第2リリーフ弁15は、第1リリーフ弁14と同様に構成されており、第2流体室11e内の作動流体HFの圧力が所定値に達したときに開弁し、それにより第1及び第2流体室11d、11eが互いに連通されることによって、第2流体室11e内の作動流体HFの圧力の過大化が防止される。
また、振動抑制装置1Lは、第1シリンダ11に接続された合流連通路16と、合流連通路16内を流動する作動流体HFの圧力エネルギを回転エネルギに変換する歯車モータ17と、回転マス18をさらに備えている。合流連通路16は、第1シリンダ11内における第1ピストン12の移動範囲の全体において第1ピストン12をバイパスし、第1及び第2流体室11d、11eに連通するように、第1シリンダ11に接続されている。また、合流連通路16の横断面積は、第1及び第2流体室11d、11eの横断面積よりも小さな値に設定されており、合流連通路16には、作動流体HFが充填されている。なお、図3では便宜上、合流連通路16内の作動流体HFの符号の図示を省略している。
歯車モータ17は、例えば外接歯車型のものであり、ケーシング17aと、ケーシング17aに収容された第1ギヤ17b及び第2ギヤ17cを有している。なお、歯車モータ17として内接歯車型のものを用いてもよい。
ケーシング17aは、合流連通路16の中央部に一体に設けられており、互いに対向する2つの出入口を介して、合流連通路16内に連通している。また、第1及び第2ギヤ17b、17cはそれぞれ、スパーギヤで構成され、第1及び第2回転軸17d、17eに一体に設けられるとともに、互いに噛み合っている。第1及び第2回転軸17d、17eはそれぞれ、合流連通路16に直交する方向に水平に延び、ケーシング17aに回転自在に支持されており、第1回転軸17dはケーシング17aの外部に突出している。
また、第1及び第2ギヤ17b、17cの互いの噛合い部分は、ケーシング17aの出入口に臨んでいる。さらに、ケーシング17aから突出した第1回転軸17dの部分には、回転マス18が同軸状に一体に設けられている。回転マス18は、比重の比較的大きな材料、例えば鉄で構成され、円板状に形成されており、第1回転軸17dと一体に回転自在である。
さらに、振動抑制装置1Lは、第2シリンダ21と、第2シリンダ21内に軸線方向に摺動自在に設けられた第2ピストン22を備えている。第2シリンダ21は、第1シリンダ11と同様に構成されており、円筒状の周壁21aと、周壁21aの両端部にそれぞれ一体に設けられた円板状の第1端壁21b及び第2端壁21cを有している。また、第2シリンダ21は、前記基礎梁BF、構造物Bの梁BE、及び左右の柱PL、PRによって取り囲まれた空間に配置される。この梁BEは、構造物Bの下部に設けられ、左右方向に水平に延びており、その左端部及び右端部が左右の柱PL、PRにそれぞれ接合されている。
さらに、第2シリンダ21内は、第2ピストン22によって第1端壁21b側の第3流体室21d及び第2端壁21c側の第4流体室21eに区画されており、第3及び第4流体室21d、21eには、作動流体HFが充填されている。また、第1端壁21b及び第2端壁21cの各々の径方向の中央には、軸線方向に貫通するケーブル案内孔(図示せず)が形成されており、ケーブル案内孔には、シール(図示せず)が設けられている。さらに、周壁21aは、連結部材3の取付部3aに取り付けられる。
この連結部材3は、例えばH形鋼から成るV字状のブレース材であって、上記の取付部3aと、取付部3aから上方に斜めに延びる左右の斜め材3b、3bを一体に有しており、梁BEと基礎梁BFの間に設けられている。左右の斜め材3b、3bは、それらの上端部が左右の柱PL、PRと梁BEとの接合部にそれぞれ取り付けられ、基礎梁BFの付近まで延びる。また、左右の斜め材3b、3bの下端部には、上記の取付部3aが一体に設けられており、取付部3aは、左柱PLと右柱PRとの中間に位置する。以上により、第2シリンダ21は、連結部材3を介して梁BEに連結され、基礎梁BFに沿って左右方向(梁BEの長さ方向)に水平に延びる。
また、第2ピストン22は、第1ピストン12と同様、円柱状に形成され、その周面に、シールが設けられており、第2ピストン22の周面は、シールを介して周壁21aの内周面に液密に接触している。作動流体HFに対する第2ピストン22の受圧面積は、第1ピストン12のそれと同じ大きさに設定されている。また、第2ピストン22の径方向の外端部には、軸線方向に貫通する複数の孔が形成されており(2つのみ図示)、これらの孔には、第1リリーフ弁24及び第2リリーフ弁25がそれぞれ設けられている。
これらの第1及び第2リリーフ弁24、25はそれぞれ、前述した第1ピストン12の第1及び第2リリーフ弁14、15と同様に構成されている。第1リリーフ弁24は、第2ピストン22の摺動により第3流体室21d内の作動流体HFの圧力が所定値に達したときに開弁し、それにより第3及び第4流体室21d、21eが互いに連通されることによって、第3流体室21d内の作動流体HFの圧力の過大化が防止される。第2リリーフ弁25は、第2ピストン22の摺動により第4流体室21e内の作動流体HFの圧力が所定値に達したときに開弁し、それにより第3及び第4流体室21d、21eが互いに連通されることによって、第4流体室21e内の作動流体HFの圧力の過大化が防止される。
なお、第1及び第2ピストン12、22の一方にのみ、第1及び第2リリーフ弁14、(24)、15、(25)を設けた場合でも、後述する第1及び第2連通路31、32との協働によって、作動流体HFの圧力の過大化が防止されることが分かる。
また、振動抑制装置1Lは、第2シリンダ21に部分的に収容された左右一対のケーブル26L、26Rと、第2シリンダ21に取り付けられた左右一対の第1滑車27L、27Rと、基礎梁BFに連結される左右一対の第2滑車28L、28Rをさらに備えている。左右のケーブル26L、26Rは、例えば鋼線で構成され、弾性を有している。左ケーブル26Lは、その一端部が第1端壁21b側の第2ピストン22の端部でかつ径方向の中央に取り付けられており、第2ピストン22から第1端壁21b側に延びるとともに、第1端壁21bの前記ケーブル案内孔に、シールを介して液密に挿通されている。また、左ケーブル26Lの他端部は、左連結部材4Lに取り付けられる。左連結部材4Lは、例えばH形鋼で構成されており、基礎梁BF及び左柱PLに取り付けられる。
左側の第1滑車27Lは第1端壁21bに取り付けられており、左側の第2滑車28Lは左連結部材4Lに取り付けられる。左ケーブル26Lは、その中間の部分において、第1及び第2滑車27L、28Lに折り返された状態で巻き回されており、所定のテンションが付与されている。
右ケーブル26Rは、その一端部が第2端壁21c側の第2ピストン22の端部でかつ径方向の中央に取り付けられており、第2ピストン22から第2端壁21c側に延びるとともに、第2端壁21cの前記ケーブル案内孔に、シールを介して液密に挿通されている。また、右ケーブル26Rの他端部は、右連結部材4Rに取り付けられる。右連結部材4Rは、左連結部材4Lと同様に例えばH形鋼で構成されており、基礎梁BF及び右柱PRに取り付けられる。以上により、第2ピストン22は、左右のケーブル26L、26R及び左右の連結部材4L、4Rを介して、基礎梁BFに連結される。
右側の第1滑車27Rは第2端壁21cに取り付けられており、右側の第2滑車28Rは右連結部材4Rに取り付けられる。右ケーブル26Rは、その中間の部分において、第1及び第2滑車27R、28Rに折り返された状態で巻き回されており、左ケーブル26Lのテンションと同じ大きさのテンションが付与されている。
また、振動抑制装置1Lは、第1連通路31及び第2連通路32をさらに備えている。第1連通路31は、可撓性を有する部材、例えばゴムチューブや鋼管などで構成されており、第1シリンダ11内における第1ピストン12の移動範囲の全体において、また、第2シリンダ21内における第2ピストン22の移動範囲の全体において、第1及び第3流体室11d、21dに連通するように、第1及び第2シリンダ11、21に接続されている。
第2連通路32は、可撓性を有する部材、例えばゴムチューブや鋼管などで構成されており、第1シリンダ11内における第1ピストン12の移動範囲の全体において、また、第2シリンダ21内における第2ピストン22の移動範囲の全体において、第2及び第4流体室11e、21eに連通するように、第1及び第2シリンダ11、21に接続されている。また、第1及び第2連通路31、32の横断面積は、第1〜第4流体室11d、11e、21d、21eの各々の横断面積よりも小さな値に設定されており、両連通路31、32には、作動流体HFが充填されている。なお、図3及び図4では便宜上、第1及び第2連通路31、32内の作動流体HFの符号の図示を省略している。
以上の構成の振動抑制装置1Lでは、構造物Bが静止しているときには、第1及び第2ピストン12、22は、図3及び図4にそれぞれ示す中立位置にある。
次に、図1及び図5を参照しながら、構造物Bが1次モードの振動モードで振動したときにおける振動抑制装置1Lの動作について説明する。なお、図5では便宜上、一部の構成要素の符号の図示を省略している。
図1に二点鎖線で示すように、1次モードによる構造物Bの振動は、その上端側が左右方向に繰り返し往復動するような態様で行われる。この場合、構造物Bの曲げ変形による変位の方向と、せん断変形による変位の方向は互いに同じ方向になり、構造物Bの振動に伴って発生した曲げ変形の度合いは、構造物Bの上側の部分であるほど、より大きくなり、構造物Bの振動に伴って発生したせん断変形の度合いは、構造物Bの下側の部分であるほど、より大きくなる。
また、図5に示すように、1次モードの振動に伴って構造物Bの上端部が基礎梁BFに対して右側に変位すると、この構造物Bの上端部と基礎梁BFの間の相対変位が、連結部材2を介して第1シリンダ11及び第1ピストン12に伝達され、それにより、第1ピストン12が第1シリンダ11内を第1流体室11d側に摺動し、第1流体室11dが収縮させられるとともに、第2流体室11eが膨張させられる。また、梁BEと基礎梁BFの間の相対変位が、連結部材3やケーブル26L、26Rを介して第2シリンダ21及び第2ピストン22に伝達され、それにより、第2ピストン22が第2シリンダ内21を第3流体室21d側に摺動し、第3流体室21dが収縮させられるとともに、第4流体室21eが膨張させられる。図5では、構造物B及び基礎梁BFから第1及び第2ピストン12、22にそれぞれ作用する力を、格子状のハッチング付きの矢印で示している。
上述したように第2ピストン22が摺動することによって、第2シリンダ21の第3流体室21d内の作動流体HFは、第2ピストン22により第1連通路31側に押圧され、それにより第1連通路31内に、第1シリンダ11の第1流体室11d側への作動流体HFの流動が生じる。また、上述したように第1ピストン12が摺動することによって、第1流体室11d内の作動流体HFが第1ピストン12により押圧され、この第1ピストン12による押圧に起因する作動流体HFの流動は、上述した第2ピストン22による押圧に起因する作動流体HFの流動と合流し、それにより、合流連通路16内に、第2流体室11e側への作動流体HFの流動が生じる。なお、図5において、合流連通路16、第1及び第2連通路31、32の付近に示した矢印は、各連通路内における作動流体HFの流動方向を示している。
この場合、合流連通路16内の作動流体HFの流量は、第2ピストン22による押圧により第3流体室21dから第1連通路31に押し出された作動流体HFの流量(=第2ピストン22の受圧面積・第2ピストン22の移動量)と、第1ピストン12による押圧により第1流体室11dから合流連通路16に押し出された作動流体HFの流量(=第1ピストン12の受圧面積・第1ピストン12の移動量)とを互いに足し合わせた大きさになる。
また、作動流体HFが合流連通路16内を流動する際に、合流連通路16に設けられた歯車モータ17のケーシング17aに流入した作動流体HFによって第1及び第2ギヤ17b、17cが回転駆動され、第1ギヤ17bと一体の回転マス18が回転する。すなわち、合流連通路16内の作動流体HFの圧力エネルギが、歯車モータ17により回転エネルギに変換されるとともに、変換された回転エネルギが回転マス18に伝達され、それにより回転マス18が回転する。
さらに、上述したように合流連通路16内を流動した作動流体HFは、第1シリンダ11の第2流体室11eに流入し、その一部が第2流体室11eに滞留し、残りは第2連通路32に流入する結果、第2連通路32内に、第4流体室21e側への作動流体HFの流動が生じる。
さらに、図示しないものの、構造物Bが1次モードの振動モードで振動することによりその上端部が基礎梁BFに対して左側に変位したときには、この構造物Bの上端部と基礎梁BFの間の相対変位が第1シリンダ11及び第1ピストン12に伝達されることによって、第1ピストン12が第2流体室11e側に摺動し、第2流体室11eが収縮させられるとともに、第1流体室11dが膨張させられる。また、梁BEと基礎梁BFの間の相対変位が第2シリンダ21及び第2ピストン22に伝達されることによって、第2ピストン22が第4流体室21e側に摺動し、第4流体室21eが収縮させられるとともに、第3流体室21dが膨張させられる。
上述したように第2ピストン22が摺動することによって、第4流体室21e内の作動流体HFは、第2ピストン22により第2連通路32側に押圧され、それにより第2連通路32内に、第1シリンダ11の第2流体室11e側への作動流体HFの流動が生じる。また、上述したように第1ピストン12が摺動することによって、第2流体室11e内の作動流体HFが第1ピストン12により押圧され、この第1ピストン12による押圧に起因する作動流体HFの流動は、上述した第2ピストン22による押圧に起因する作動流体HFの流動と合流し、それにより、合流連通路16内に、第1流体室11d側への作動流体HFの流動が生じる。
この場合、合流連通路16内の作動流体HFの流量は、第2ピストン22による押圧により第4流体室21eから第2連通路32に押し出された作動流体HFの流量(=第2ピストン22の受圧面積・第2ピストン22の移動量)と、第1ピストン12による押圧により第2流体室11eから合流連通路16に押し出された作動流体HFの流量(=第1ピストン12の受圧面積・第1ピストン12の移動量)とを互いに足し合わせた大きさになる。
また、作動流体HFが合流連通路16内を流動する際に、前述した図5の場合と同様、合流連通路16内の作動流体HFの圧力エネルギが、歯車モータ17により回転エネルギに変換されるとともに、変換された回転エネルギが回転マス18に伝達され、それにより回転マス18が回転する。
さらに、上述したように合流連通路16内を流動した作動流体HFは、第1シリンダ11の第1流体室11dに流入し、その一部が第1流体室11dに滞留し、残りは第1連通路31に流入する結果、第1連通路31内に、第3流体室21d側への作動流体HFの流動が生じる。
以上のように作動流体HFが流動するとともに回転マス18が回転するのに伴い、回転マス18による慣性質量(回転マス18の回転慣性質量に基づく慣性質量)Mrと、合流連通路16、第1及び第2連通路31、32内の作動流体HFによる慣性質量Mhとを合わせた慣性質量Md(Md=Mr+Mh)が発生する。この慣性質量Mdは、第1シリンダ11及び第1ピストン12ならびに第2シリンダ21及び第2ピストン22に入力された振動による外力に対する軸線方向の慣性質量である。また、回転マス18による慣性質量Mr及び作動流体HFによる慣性質量Mhは、次式(1)及び(2)によりそれぞれ表される。
Mr={2π(Ap1+Ap2)/vm}2・Im ……(1)
Mh=ρ(Aec・lc・αc2+Ae1・l1・α12
+Ae2・l2・α22) ……(2)
式(1)において、Ap1及びAp2はそれぞれ、作動流体HFに対する第1及び第2ピストン12、22の受圧面積(第1ピストン12の横断面積−ピストンロッド13の横断面積、第2ピストン22の横断面積−各ケーブル26L(26R)の横断面積)であって、vmは、歯車モータ17の押しのけ容積(第1回転軸17dの1回転当たりに押しのけられる作動流体HFの容積)である。また、Imは、回転マス18の慣性モーメントであり、回転マス18の実質量及び径によって定まる。
式(2)において、ρは作動流体HFの密度であり、Aecは合流連通路16の横断面積、lcは合流連通路16の長さであって、αcは、合流連通路16の横断面積Aecに対する第1及び第2ピストン12、22の受圧面積Ap1、Ap2の和の比である。また、Ae1は第1連通路31の横断面積、l1は第1連通路31の長さであって、α1は、第1連通路31の横断面積Ae1に対する第2ピストン22の受圧面積Ap2の比である。さらに、Ae2は第2連通路32の横断面積、l2は第2連通路32の長さであって、α2は、第2連通路32の横断面積Ae2に対する第2ピストン22の受圧面積Ap2の比である。また、作動流体HFが各種の連通路16、31、32内を流動するのに伴って、作動流体HFの粘性抵抗による反力が発生する。
以上のように、第1実施形態によれば、振動に伴う構造物Bの上端部と基礎梁BFの間の相対変位が、作動流体HFが充填された第1シリンダ11と第1ピストン12に伝達されることによって、第1ピストン12が第1シリンダ11内を第1及び第2流体室11d、11eの一方側又は他方側に摺動する。さらに、構造物Bの振動に伴う梁BEと基礎梁BFの間の相対変位が、作動流体HFが充填された第2シリンダ21と第2ピストン22に伝達されることによって、第2ピストン22が第2シリンダ21内を第3及び第4流体室21d、21eの一方側又は他方側に摺動する。また、合流連通路16が第1及び第2流体室11d、11eに連通し、第1連通路31が第1及び第3流体室11d、21dに連通するとともに、第2連通路32が第2及び第4連通路11e、21eに連通している。これらの連通路16、31、32には、作動流体HFが充填されており、合流連通路16には、歯車モータ17が設けられている。
上述したように摺動する第2ピストン22によって、第3又は第4流体室21d、21e内の作動流体HFが対応する第1又は第2連通路31、32側にそれぞれ押圧され、それにより第1又は第2連通路31、32内に、作動流体HFの流動が生じる。また、上述したように摺動する第1ピストン12によって、第1又は第2流体室11d、11e内の作動流体HFが合流連通路16側に押圧される。この第1ピストン12による押圧に起因する作動流体HFの流動と、上述した第2ピストン22による押圧に起因する作動流体HFの流動は、互いに合流させられ、それにより発生した合流連通路16内の作動流体HFの圧力エネルギは、歯車モータ17で回転エネルギに変換される。歯車モータ17で変換された回転エネルギは、回転マス18に伝達され、それにより回転マス18が回転する結果、回転マス18の回転慣性質量に応じた慣性質量Mdが発生する。
以上のように、第1及び第2ピストン12、22の摺動によって発生した作動流体HFの圧力エネルギを、合流連通路16、第1及び第2連通路31、32を用いて集約した状態で歯車モータ17に供給するとともに、歯車モータ17により回転エネルギに変換した状態で回転マス18に伝達することによって、回転マス18を回転させる。したがって、第1シリンダ11及び第1ピストン12ならびに第2シリンダ21及び第2ピストン22に伝達される構造物Bの振動に伴う相対変位が比較的小さい場合でも、回転マス18を十分に回転させ、慣性質量を十分に発生させることができる。
この場合、上下方向に延びる第1シリンダ11が基礎梁BFに連結され、第1ピストン12が構造物Bの上端部に連結されるので、構造物Bの1次モードの振動に伴って発生した曲げ変形による変位を、第1シリンダ11及び第1ピストン12に適切に伝達することができる。また、水平方向に延びる第2シリンダ21が構造物Bの下部に設けられた梁BEに連結され、第2ピストン22が基礎梁BFに連結されるので、構造物Bの1次モードの振動に伴って発生したせん断変形による変位を、第2シリンダ21及び第2ピストン22に適切に伝達することができる。以上により、構造物Bの1次モードの振動(例えば風揺れなどの比較的小さい振動)を適切に抑制することができる。
また、回転マス18による慣性質量Mrは前記式(1)で表され、前述したように、第1及び第2ピストン12、22の受圧面積Ap1、Ap2は、互いに同じ値に設定されているため、回転マス18による慣性質量Mrは、両者Ap1、Ap2を代表して前者Ap1を用いると、Mr={2π(2・Ap1)/vm}2・Im=4{2π・Ap1/vm}2・Imになる。このように、回転マス18による慣性質量Mrは、第1ピストン12の受圧面積Ap1、歯車モータ17の押しのけ容積及び回転マス18の慣性モーメントを、前述した従来の振動抑制装置のピストンの受圧面積、歯車モータの押しのけ容積及び回転マスの慣性モーメントとそれぞれ同じ値に設定したと仮定した場合に、従来の振動抑制装置の回転マスによる慣性質量の4倍になる。すなわち、従来の振動抑制装置を4基、設けた場合と同じ大きさの回転マスによる回転慣性質量を得ることができる。また、特開2015−137658号公報に開示された振動抑制装置と異なり、サブシリンダや、ピストン、ボールねじ機構を用いずに、歯車モータ17(流体圧モータ)を用いて作動流体HFの圧力エネルギを回転エネルギに変換するので、より大きな慣性質量を発生させることができるとともに、部品点数を削減でき、コストパフォーマンスを向上させることができる。
さらに、第1ピストン12に設けられた第1及び第2リリーフ弁14、15によって、第1及び第2流体室11d、11e内の作動流体HFの圧力の過大化を防止でき、第2ピストン22に設けられた第1及び第2リリーフ弁24、25によって、第3及び第4流体室21d、21e内の作動流体HFの圧力の過大化を防止できるので、第1シリンダ11及び第1ピストン12ならびに第2シリンダ21及び第2ピストン22に作用する軸力を適切に制限することができる。なお、第1及び第2ピストン12、22の一方にのみ、第1及び第2リリーフ弁14、(24)、15、(25)を設けた場合でも、第1及び第2連通路31、32との協働によって、作動流体HFの圧力の過大化を防止することができる。
また、構造物Bの振動時、左右の第1及び第2滑車27L、27R、28L、28Rの一方が他方に対して、いわゆる動滑車として機能し、それにより、構造物Bの振動による変位が増大された状態で第2ピストン22に伝達されるので、第2ピストン22の移動量及び作動流体HFの流動量を増大でき、ひいては、構造物Bの振動抑制効果を高めることができる。
なお、第1実施形態では、合流連通路16を第1シリンダ11に接続しているが、図6に示すように、合流連通路16の一端部及び他端部を、第1及び第2連通路31、32にそれぞれ連通するように接続してもよい。あるいは、合流連通路を、第3及び第4流体室に連通するように、第2シリンダに接続してもよい。また、第1実施形態では、第1シリンダ11を基礎梁BFに、第1ピストン12を連結部材2に、それぞれ連結しているが、これとは逆に、第1ピストンを基礎梁に、第1シリンダを連結部材に、それぞれ連結してもよい。
また、第1実施形態では、第1ピストン12を構造物Bの上端部に、連結部材2を介して連結しているが、連結部材2を介さずに直接、連結するとともに、第1シリンダ11を、連結部材を介して基礎梁BFに連結してもよい。これとは逆に、第1シリンダを構造物の上端部に直接、連結するとともに、第1ピストンを、連結部材を介して基礎梁に連結してもよい。
さらに、第1実施形態では、第1シリンダ11を、基礎梁BFに直接、連結しているが、柱材で構成された連結部材を介して連結してもよい。これとは逆に、第1ピストンを、連結部材を介して基礎梁に連結するとともに、第1シリンダを、連結部材を介して建物の上端部に連結してもよい。これらの場合、第1シリンダの位置は任意である。
また、第1実施形態では、第2シリンダ21を、連結部材3を介して梁BEに連結しているが、連結部材3を省略するとともに、第2シリンダを梁に直接、連結してもよい。さらに、第1実施形態では、第2シリンダ21を梁BEに、第2ピストン22を基礎梁BFに、それぞれ連結しているが、これとは逆に、第2ピストンを梁に、第2シリンダを基礎梁に、それぞれ連結してもよい。この場合、第2シリンダを、逆V字状に設けられた連結部材を介して、左右の柱と基礎梁との接合部に連結するとともに、梁の付近に配置してもよく、あるいは、連結部材を省略するとともに、第2シリンダを基礎梁に直接、連結してもよい。これらのいずれの場合にも、第2滑車は、左右の柱と梁との接合部に取り付けられる。
また、第1実施形態では、第2シリンダ21を、基礎梁BFとそのすぐ上側の梁BEとの間に設置し、2層間の層間変位を抑制しているが、3層以上の間の層間変位を抑制してもよいことはもちろんである。また、振動抑制装置による振動抑制効果を高めるために、第2シリンダ21及び第2ピストン22が連結された建物Bの連結部分の剛性を、他の部分の剛性よりも低くなるように設定してもよい。さらに、第1実施形態では、左右のケーブル26L、26Rは、鋼線であるが、テンションを付与することにより剛性を発揮するものであればよく、例えば帯状の鋼板でもよい。
また、第1実施形態では、第1ピストン12を構造物Bに、柱材2aで構成された連結部材2を介して連結しているが、テンションを付与することにより剛性を発揮する部材(例えばケーブル)を介して連結してもよい。この場合、ケーブルを上下方向にまっすぐ延びるように設けてもよく、ケーブルを上下方向に斜めに延びるように設けてもよい。あるいは、構造物Bに第1ピストン12を、本出願人による特開2017−89337号公報に開示された柱材とブレース材の組み合わせで構成された連結部材や、壁などで構成された連結部材を介して連結してもよい。
さらに、第1実施形態では、基礎梁BFに第2ピストン22を、左右のケーブル26L、26Rを介して連結しているが、これに代えて、第2ピストンに一体に設けられたピストンロッドを介して連結してもよい。また、第1実施形態では、第1ピストン12、12を建物Bの上端部の左端部及び右端部にそれぞれ連結するとともに、第2シリンダ22を左右方向に延びる梁BEに連結することによって、構造物Bの振動による左右方向の変位を抑制しているが、構造物の振動による前後方向の変位を抑制してもよい。この場合には、第1ピストンは、構造物の上端部の前端部(後端部)に連結されるとともに、第2シリンダは、前後方向に延びる梁に連結される。
さらに、第1実施形態では、左右一対の振動抑制装置1L、1Rを設けているが、両者の一方を省略してもよい。また、第1実施形態では、第1ピストン12を、最上部のブレース階FBに連結しているが、ブレース階FBよりも下側の部位でもよい。さらに、第1実施形態では、第2ピストン22を、基礎梁BFに連結しているが、構造物が立設された支持体に相当する部位であれば、他の適当な部位、例えば、基礎や、地下構造体、構造物の低層部に連結してもよい。
また、合流連通路16を第1シリンダ11に、第1ピストン12の移動範囲の全体において、第1及び第2流体室11d、11eに連通するように接続しているが、第1ピストンの移動範囲の一部において、第1及び第2流体室に連通するように接続してもよい。このことは、第1及び第2連通路31、32についても、同様に当てはまる。
さらに、本出願人による特開2015−206381号公報に開示された連通路を、合流連通路16と並列に設けることによって、振動抑制装置を、第1ピストンの摺動位置に応じてその慣性質量や減衰係数が変化するように構成してもよい。また、本出願人による特願2016−202281号や、特願2017−096599号、特願2017−100059号、特願2017−118577号に開示された連通路や、流量調整用のポンプ、バルブを合流連通路16と並列に設けることによって、振動抑制装置を、その慣性質量や減衰係数を変更可能に構成してもよい。これらのことは、後述する第2及び第3実施形態についても同様に当てはまる。
また、第1実施形態では、振動抑制装置1L、1Rの各々は、第1及び第2シリンダ11、21を備えているが、シリンダの数は3つ以上でもよく、このことは、第1及び第2ピストン12、22についても同様に当てはまる。一例として、第2シリンダ及び第2ピストンを2つずつ設けた場合には、2つの第2シリンダを連結部材の取付部を中心として対称に配置し、各第2シリンダを取付部に取り付けるとともに、各第2ピストンを基礎梁に連結してもよい。さらに、第1実施形態に関してこれまでに述べたバリエーションを適宜、組み合わせて適用してもよいことは、もちろんである。
次に、図7を参照しながら、本発明の第2実施形態による振動抑制装置51について説明する。この振動抑制装置51は、第1実施形態と比較して、第1シリンダ11及び第1ピストン12の構造物Bへの連結部位や、第2シリンダ52の構成などが主に異なっている。図7において、第1実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付している。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、以下の説明では便宜上、図7の上側、下側、左側及び右側をそれぞれ、「上」「下」「左」及び「右」とする。
第1シリンダ11は、第1実施形態の場合と異なり、構造物Bの外周に配置されず、構造物Bの左右の柱PL、PR、梁BE、及び基礎梁BFで囲まれた空間内に配置され、第1及び第2シリンダ11、52は、連結部材5の取付部5aを中心として、互いに左右対称に配置される。
この連結部材5は、第1実施形態で説明した連結部材3と同様に構成されたV字状のブレース材であって、上記の取付部5aと、取付部5aから上方に斜めに延びる左右の斜め材5b、5bを一体に有しており、梁BEと基礎梁BFの間に設けられている。左右の斜め材5b、5bは、それらの上端部が左右の柱PL、PRと梁BEとの接合部にそれぞれ取り付けられており、基礎梁BFの付近まで延びている。また、左右の斜め材5b、5bの下端部には、上記の取付部5aが一体に設けられており、取付部5aは、基礎梁BFの付近に位置するとともに、左柱PLと右柱PRの中間に位置する。
第1シリンダ11に設けられた前記第1取付具FL1は、前記左連結部材4Lに取り付けられ、それにより、第1シリンダ11は、第1取付具FL1を介して基礎梁BFに連結される。また、第2取付具FL2は取付部5aに取り付けられる。以上により、第1ピストン12は、ピストンロッド13、第2取付具FL2及び連結部材5を介して、梁BEに連結される。また、第1シリンダ11は、左柱PLと取付部5aの間に位置するとともに、基礎梁BFに沿って左右方向(梁BEの長さ方向)に水平に延びる。
第2シリンダ52は、第1シリンダ11と同様に構成されており、円筒状の周壁52aと、周壁52aの両端部にそれぞれ同心状に一体に設けられた円板状の第1及び第2端壁52b、52cを有している。第2シリンダ52内は、第2ピストン53によって、第1端壁52b側の第3流体室52dと、第2端壁52c側の第4流体室52eに区画されており、第3及び第4流体室52d、52eには、作動流体HFが充填されている。
また、第1端壁52b及び第2端壁52cの各々の径方向の中央には、軸線方向に貫通するロッド案内孔が形成されており、各ロッド案内孔には、シールが設けられている。さらに、第2端壁52cには、外方に突出する凸部52fが一体に設けられており、凸部52fの内部には、収容部52gが画成されている。さらに、凸部52fには、自在継手を介して第1取付具FL1が設けられており、第1取付具FL1は、前記右連結部材4Rに取り付けられる。以上により、第2シリンダ52は、第1取付具FL1及び右連結部材4Rを介して基礎梁BFに連結される。
第2ピストン53は、第1ピストン12と同様、円柱状に形成され、その周面に、シール(図示せず)が設けられており、第2ピストン53の周面は、このシールを介して、周壁52aの内周面に液密に接触している。また、第2ピストン53の径方向の中央には、ピストンロッド54が一体に設けられている。
ピストンロッド54は、第2ピストン53から軸線方向の両側に延びるとともに、第2シリンダ52の第1及び第2端壁52b、52cの各々のロッド案内孔に、シールを介して液密に挿入されている。また、ピストンロッド54は、その一端部が収容部52gに収容されており、一端部以外の大部分が第2シリンダ52に収容されている。さらに、ピストンロッド54の他端部は、第2シリンダ52から突出しており、自在継手を介して第2取付具FL2が設けられている。第2取付具FL2は前記連結部5aに取り付けられる。以上により、第2ピストン53は、ピストンロッド54、第2取付具FL2及び連結部材5を介して、構造物Bの梁BEに連結される。また、第2シリンダ52は、右柱PRと取付部5aの間に位置するとともに、基礎梁BFに沿って左右方向(梁BEの長さ方向)に水平に延びる。
また、作動流体HFに対する第2ピストン53の受圧面積は、第1ピストン12のそれと同じ大きさに設定されている。さらに、第2ピストン53の径方向の外端部には、軸線方向に貫通する複数の孔が形成されており(2つのみ図示)、これらの孔には、第1リリーフ弁55及び第2リリーフ弁56がそれぞれ設けられている。
これらの第1及び第2リリーフ弁55、56はそれぞれ、前述した第1ピストン12の第1及び第2リリーフ弁14、15と同様に構成されている。第1リリーフ弁55は、第2ピストン53の摺動により第3流体室52d内の作動流体HFの圧力が所定値に達したときに開弁し、それにより第3及び第4流体室52d、52eが互いに連通されることによって、第3流体室52d内の作動流体HFの圧力の過大化が防止される。第2リリーフ弁56は、第2ピストン53の摺動により第4流体室52e内の作動流体HFの圧力が所定値に達したときに開弁し、それにより第3及び第4流体室52d、52eが互いに連通されることによって、第4流体室52e内の作動流体HFの圧力の過大化が防止される。
また、振動抑制装置51の第1連通路31は、第1シリンダ11内における第1ピストン12の移動範囲の全体において、また、第2シリンダ52内における第2ピストン53の移動範囲の全体において、第1及び第4流体室11d、52eに連通するように、第1及び第2シリンダ11、52に接続されている。また、第2連通路32は、第1シリンダ11内における第1ピストン12の移動範囲の全体において、また、第2シリンダ52内における第2ピストン53の移動範囲の全体において、第2及び第3流体室11e、52dに連通するように、第1及び第2シリンダ11、52に接続されている。第1及び第2連通路31、32の横断面積は、第1〜第4流体室11d、11e、52d、52eの各々の横断面積よりも小さな値に設定されている。
以上の構成の振動抑制装置51では、構造物Bが静止しているときには、第1及び第2ピストン12、53は、図7に示す中立位置にある。
構造物Bの振動に伴い、梁BEが基礎梁BFに対して右方に変位すると、梁BEと基礎梁BFの間の相対変位が、連結部材5などを介して、第1シリンダ11及び第1ピストン12ならびに第2シリンダ52及び第2ピストン53に伝達される。これにより、第1ピストン12が第1シリンダ11内を第1流体室11d側に摺動し、第1流体室11dが収縮させられるとともに、第2流体室11eが膨張させられ、第2ピストン53が第2シリンダ52内を第4流体室52e側に摺動し、第4流体室52eが収縮させられるとともに、第3流体室52dが膨張させられる。
上述したように第2ピストン53が摺動することによって、第4流体室52e内の作動流体HFは、第2ピストン53により第1連通路31側に押圧され、それにより第1連通路31内に、第1流体室11d側への作動流体HFの流動が生じる。また、上述したように第1ピストン12が摺動することによって、第1流体室11d内の作動流体HFが第1ピストン12により押圧され、この第1ピストン12による押圧に起因する作動流体HFの流動は、上述した第2ピストン53による押圧に起因する作動流体HFの流動と合流し、それにより、合流連通路16内に、第2流体室11e側への作動流体HFの流動が生じる。
この場合、合流連通路16内の作動流体HFの流量は、第2ピストン53による押圧により第4流体室52eから第1連通路31に押し出された作動流体HFの流量(=第2ピストン53の受圧面積・第2ピストン53の移動量)と、第1ピストン12による押圧により第1流体室11dから合流連通路16に押し出された作動流体HFの流量(=第1ピストン12の受圧面積・第1ピストン12の移動量)とを互いに足し合わせた大きさになる。
また、作動流体HFが合流連通路16内を流動する際に、合流連通路16内の作動流体HFの圧力エネルギが、歯車モータ17により回転エネルギに変換されるとともに、変換された回転エネルギが回転マス18に伝達され、それにより回転マス18が回転する。
さらに、上述したように合流連通路16内を流動した作動流体HFは、第1シリンダ11の第2流体室11eに流入し、その一部が第2流体室11eに滞留し、残りは第2連通路32に流入する結果、第2連通路32内に、第3流体室52d側への作動流体HFの流動が生じる。
また、構造物Bの振動に伴い、梁BEが基礎梁BFに対して左方に変位すると、梁BEと基礎梁BFの間の相対変位が第1シリンダ11及び第1ピストン12に伝達されることによって、第1ピストン12が第1シリンダ11内を第2流体室11e側に摺動し、第2流体室11eが収縮させられるとともに、第1流体室11dが膨張させられる。また、梁BEと基礎梁BFの間の相対変位が第2シリンダ52及び第2ピストン53に伝達されることによって、第2ピストン53が第2シリンダ52内を第3流体室52d側に摺動し、第3流体室52dが収縮させられるとともに、第4流体室52eが膨張させられる。
上述したように第2ピストン53が摺動することによって、第3流体室52d内の作動流体HFは、第2ピストン53により第2連通路32側に押圧され、それにより第2連通路32内に、第2流体室11e側への作動流体HFの流動が生じる。また、上述したように第1ピストン12が摺動することによって、第2流体室11e内の作動流体HFが第1ピストン12により押圧され、この第1ピストン12による押圧に起因する作動流体HFの流動は、上述した第2ピストン53による押圧に起因する作動流体HFの流動と合流し、それにより、合流連通路16内に、第1流体室11d側への作動流体HFの流動が生じる。
この場合、合流連通路16内の作動流体HFの流量は、第2ピストン53による押圧により第3流体室52dから第2連通路32に押し出された作動流体HFの流量(=第2ピストン53の受圧面積・第2ピストン53の移動量)と、第1ピストン12による押圧により第2流体室11eから合流連通路16に押し出された作動流体HFの流量(=第1ピストン12の受圧面積・第1ピストン12の移動量)とを互いに足し合わせた大きさになる。
また、作動流体HFが合流連通路16内を流動する際に、合流連通路16内の作動流体HFの圧力エネルギが、歯車モータ17により回転エネルギに変換されるとともに、変換された回転エネルギが回転マス18に伝達され、それにより回転マス18が回転する。
さらに、上述したように合流連通路16内を流動した作動流体HFは、第1シリンダ11の第1流体室11dに流入し、その一部が第1流体室11dに滞留し、残りは第1連通路31に流入する結果、第1連通路31内に、第4流体室52e側への作動流体HFの流動が生じる。
以上のように作動流体HFが流動するとともに回転マス18が回転するのに伴い、回転マス18による慣性質量Mrと、合流連通路16、第1及び第2連通路31、32内の作動流体HFによる慣性質量Mhとを合わせた慣性質量Mdが発生する。この場合の慣性質量Mr及びMhも、第1実施形態の場合と同様、前記式(1)及び(2)でそれぞれ表される。
以上のように、第2実施形態によれば、構造物Bの振動に伴う梁BEと基礎梁BFの間の相対変位が、第1シリンダ11及び第1ピストン12ならびに第2シリンダ52及び第2ピストン53に伝達されることによって、第1ピストン12が第1シリンダ11内を第1及び第2流体室11d、11eの一方側又は他方側に摺動するとともに、第2ピストン53が第2シリンダ52内を第3及び第4流体室52d、52eの一方側又は他方側に摺動する。また、第1連通路31が第1及び第4流体室11d、52eに連通し、第2連通路32が第2及び第3連通路11e、52dに連通するとともに、合流連通路16が第1及び第2流体室11d、11eに連通している。
上述したように摺動する第2ピストン53によって、第3又は第4流体室52d、52e内の作動流体HFが対応する第1又は第2連通路31、32側にそれぞれ押圧され、それにより第1又は第2連通路31、32内に、作動流体HFの流動が生じる。また、上述したように摺動する第1ピストン12によって、第1又は第2流体室11d、11e内の作動流体HFが合流連通路16側に押圧される。この第1ピストン12による押圧に起因する作動流体HFの流動と、上述した第2ピストン53による押圧に起因する作動流体HFの流動は、互いに合流させられ、それにより発生した合流連通路16内の作動流体HFの圧力エネルギは、歯車モータ17で回転エネルギに変換される。歯車モータ17で変換された回転エネルギは、回転マス18に伝達され、それにより回転マス18が回転する結果、回転マス18の回転慣性質量に応じた慣性質量Mdが発生する。
以上のように、第1実施形態の場合と同様、第1及び第2ピストン12、53の摺動によって発生した作動流体HFの圧力エネルギを、合流連通路16、第1及び第2連通路31、32を用いて集約した状態で歯車モータ17に供給するとともに、歯車モータ17により回転エネルギに変換した状態で回転マス18に伝達することによって、回転マス18を回転させる。したがって、第1シリンダ11及び第1ピストン12ならびに第2シリンダ52及び第2ピストン53に伝達される振動に伴う梁BEと基礎梁BFの間の相対変位が比較的小さい場合でも、回転マス18を十分に回転させ、慣性質量を十分に発生させることができ、ひいては、構造物Bの振動を適切に抑制することができる。また、第1及び第2シリンダ11、52を、連結部材5の取付部5aの周りにコンパクトに配置することができる。また、特開2015−137658号公報に開示された振動抑制装置と異なり、サブシリンダや、ピストン、ボールねじ機構を用いずに、歯車モータ17(流体圧モータ)を用いて作動流体HFの圧力エネルギを回転エネルギに変換するので、より大きな慣性質量を発生させることができるとともに、部品点数を削減でき、コストパフォーマンスを向上させることができる。
さらに、第1ピストン12に設けられた第1及び第2リリーフ弁14、15によって、第1及び第2流体室11d、11e内の作動流体HFの圧力の過大化を防止でき、第2ピストン53に設けられた第1及び第2リリーフ弁55、56によって、第3及び第4流体室52d、52e内の作動流体HFの圧力の過大化を防止できるので、第1シリンダ11及び第1ピストン12ならびに第2シリンダ52及び第2ピストン53に作用する軸力を適切に制限することができる。なお、第1及び第2ピストン12、53の一方にのみ、第1及び第2リリーフ弁14、(55)、15、(56)を設けた場合でも、第1及び第2連通路31、32との協働によって、作動流体HFの圧力の過大化を防止することができる。
なお、第2実施形態では、合流連通路16を第1シリンダ11に接続しているが、図8に示すように、合流連通路16の一端部及び他端部を、第1及び第2連通路31、32にそれぞれ接続し、連通させてもよい。あるいは、合流連通路を、第3及び第4流体室に連通するように、第2シリンダに接続してもよい。また、第2実施形態では、第1及び第2ピストン12、53を梁BEに、第1及び第2シリンダ11、52を基礎梁BFに、それぞれ連結しているが、これとは逆に、第1及び第2シリンダの少なくとも一方を梁に、対応する第1及び第2ピストンの少なくとも一方を基礎梁に、それぞれ連結してもよい。
また、第2実施形態では、本発明における第1及び第2部位はそれぞれ、梁BE及び基礎梁BFであるが、他の適当な部位(例えば、構造物内の任意の層間にある上梁(第1部位)と下梁(第2部位))を採用してもよい。さらに、第2実施形態では、第1及び第2ピストン12、53を左右方向に延びる梁BEに連結することによって、構造物Bの振動による左右方向の変位を抑制しているが、構造物の振動による前後方向の変位や上下方向の変位を抑制してもよい。第1及び第2ピストンは、前後方向の変位を抑制する場合には、前後方向に延びる梁に、これと平行に延びた状態で連結され、上下方向の変位を抑制する場合には、構造物の第1及び第2部位に、上下方向に延びた状態で連結される。
また、第2実施形態では、第1及び第2ピストン12、53をそれぞれ、左右の柱PL、PRと梁BEとの接合部に、ピストンロッド13、54を介して連結しているが、これに代えて、両ピストンの少なくとも一方を、他の適当な部材、例えば、テンションを付与することにより剛性を発揮する部材(例えばケーブルや帯状の鋼板)を介して連結してもよい。
さらに、第2実施形態では、合流連通路16を第1シリンダ11に、第1ピストン12の移動範囲の全体において、第1及び第2流体室11d、11eに連通するように接続しているが、第1ピストンの移動範囲の一部において、第1及び第2流体室に連通するように接続してもよく、このことは、第1及び第2連通路31、32についても、同様に当てはまる。
また、第2実施形態では、振動抑制装置51は、第1及び第2シリンダ11、52を備えているが、シリンダの数は3つ以上でもよく、このことは、第1及び第2ピストン12、53についても同様に当てはまる。一例として、振動抑制装置を、2組の第1及び第2シリンダならびに第1及び第2ピストンを備えるように構成し、2組のうちの1組の第1及び第2シリンダを基礎梁に、対応する1組の第1及び第2ピストンを所定の第1梁に、それぞれ連結し、残りの1組の第1及び第2シリンダを基礎梁に、対応する残りの1組の第1及び第2ピストンを上記の第1梁と平行に設けられた第2梁に、それぞれ連結してもよい。さらに、第2実施形態に関してこれまでに述べたバリエーションを適宜、組み合わせて適用してもよいことは、もちろんである。
次に、図9を参照しながら、本発明の第3実施形態による振動抑制装置61について説明する。同図では、第1及び第2実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付している。この振動抑制装置61は、2つの流体室を有するシリンダ62と、2つの流体室にそれぞれ軸線方向に摺動自在に設けられた第1ピストン63及び第2ピストン64と、シリンダ62内に部分的に収容されたピストンロッド65を備えている。
シリンダ62は、円筒状の周壁62aと、周壁62aの両端部にそれぞれ同心状に一体に設けられた円板状の第1端壁62b及び第2端壁62cと、周壁62a内の中央部に同心状に一体に設けられた円板状の区画壁62dを有している。シリンダ62内には、これらの周壁62a、第1端壁62b、第2端壁62c及び区画壁62dによって、上記の2つの流体室が画成されており、これらの流体室の各々には、作動流体HFが充填されている。また、第1端壁62bには、自在継手を介して第1取付具FL1が設けられ、第2端壁62c及び区画壁62dの径方向の中央には、軸線方向に貫通するロッド案内孔が形成されており、各ロッド案内孔には、シールが設けられている。
さらに、2つの流体室のうち、第1端壁62bと区画壁62dなどで画成された流体室は、第1ピストン63によって、第1端壁62b側の第1流体室62eと、区画壁62d側の第2流体室62fに区画されている。また、2つの流体室のうち、第2端壁62cと区画壁62dなどで画成された流体室は、第2ピストン64によって、区画壁62d側の第3流体室62gと、第2端壁62c側の第4流体室62hに区画されている。
第1及び第2ピストン63、64は、円柱状に形成され、その周面に、シールが設けられている。第1及び第2ピストン63、64の周面は、このシールを介して、周壁62aの内周面に液密に接触しており、第1及び第2ピストン63、64の横断面積は、互いに同じ値に設定されている。また、第1及び第2ピストン63、64は、図9に示すシリンダ62内の所定の中立位置を初期位置としており、外力が一度も入力されていないときには、この中立位置に位置する。
さらに、第1ピストン63の径方向の中央の区画壁62d側の端部には、ピストンロッド65の一端部が、第2ピストン64の径方向の中央には、ピストンロッド65の中央部が、それぞれ一体に設けられている。ピストンロッド65は、第1ピストン63から区画壁62d側に延び、区画壁62dのロッド案内孔にシールを介して液密に挿入されており、また、第2ピストン64から第2端壁62c側に延び、第2端壁62cのロッド案内孔にシールを介して液密に挿入されるとともに、第2端壁62cから外方に延びている。また、ピストンロッド65の他端部には、自在継手を介して第2取付具FL2が設けられている。
さらに、第1及び第2ピストン63、64の各々の径方向の外端部には、軸線方向に貫通する複数の孔が形成されている(2つのみ図示)。各々のピストン63、64のこれらの孔には、第1及び第2リリーフ弁66(68)、67(69)がそれぞれ設けられており、これらの第1及び第2リリーフ弁66(68)、67(69)はそれぞれ、第1実施形態で説明した第1及び第2リリーフ弁14、15と同様に構成されている。
第1ピストン63に設けられた第1リリーフ弁66は、第1ピストン63の摺動により第1流体室62e内の作動流体HFの圧力が所定値に達したときに開弁し、それにより第1及び第2流体室62e、62fが互いに連通されることによって、第1流体室62e内の作動流体HFの圧力の過大化が防止される。第1ピストン63に設けられた第2リリーフ弁67は、第1ピストン63の摺動により第2流体室62f内の作動流体HFの圧力が所定値に達したときに開弁し、それにより第1及び第2流体室62e、62fが互いに連通されることによって、第2流体室62f内の作動流体HFの圧力の過大化が防止される。
第2ピストン64に設けられた第1リリーフ弁68は、第2ピストン64の摺動により第3流体室62g内の作動流体HFの圧力が所定値に達したときに開弁し、それにより第3及び第4流体室62g、62hが互いに連通されることによって、第3流体室62g内の作動流体HFの圧力の過大化が防止される。第2ピストン64に設けられた第2リリーフ弁69は、第2ピストン64の摺動により第4流体室62h内の作動流体HFの圧力が所定値に達したときに開弁し、それにより第3及び第4流体室62g、62hが互いに連通されることによって、第4流体室62h内の作動流体HFの圧力の過大化が防止される。
なお、第1及び第2ピストン63、64の一方にのみ、第1及び第2リリーフ弁66、(68)、67、(69)を設けた場合でも、後述する第1及び第2連通路72、73との協働によって、作動流体HFの圧力の過大化が防止されることが分かる。
また、振動抑制装置61は、シリンダ62に接続されるとともに、作動流体HFが充填された合流連通路71、第1連通路72及び第2連通路73をさらに備えている。なお、図9では便宜上、各連通路71〜73内の作動流体HFの符号の図示を省略している。合流連通路71は、シリンダ62の第2端壁62c側の流体室における第2ピストン64の移動範囲の全体において、第2ピストン64をバイパスし、第3及び第4流体室62g、62hに連通するように、シリンダ62に接続されている。また、合流連通路71の横断面積は、第3及び第4流体室62g、62hの横断面積よりも小さな値に設定されている。
また、合流連通路71には、前記歯車モータ17が設けられており、合流連通路71内を流動する作動流体HFの圧力エネルギは、歯車モータ17で回転エネルギに変換された状態で回転マス18に伝達される。
上記の第1連通路72は、シリンダ62の2つの流体室の各々における第1及び第2ピストン63、64の各々の移動範囲の全体において、第1及び第3流体室62e、62gに連通するように、シリンダ62に接続されている。また、第2連通路73は、シリンダ62の2つの流体室の各々における第1及び第2ピストン63、64の各々の移動範囲の全体において、第2及び第4流体室62f、62hに連通するように、シリンダ62に接続されている。
以上の構成の振動抑制装置61のシリンダ62は、例えば図10に示すように、連結部材6を介して、構造物Bの上梁BUに連結され、ピストンロッド65は、連結部材7を介して、構造物Bの下梁BDに連結される。
連結部材6は、第1実施形態の連結部材3と同様、V字状のブレース材で構成され、下側の取付部6aと、連結部6aから上方に斜めに延びる一対の斜め材6b、6bを一体に有しており、上下の梁BU、BDの間に設けられている。取付部6aは、下梁BDの付近に位置し、一対の斜め材6b、6bの上端部は、上梁BUと左柱PLの接合部、及び、上梁BUと右柱PRの接合部にそれぞれ取り付けられる。連結部材7は、剛性が比較的高い鋼材、例えばH形鋼で構成されている。
また、取付部6a及び連結部材7には、振動抑制装置61の第1及び第2取付具FL1、FL2がそれぞれ取り付けられ、振動抑制装置61は、下梁BDに沿ってその長さ方向に延びる。なお、図10では便宜上、合流連通路71、第1及び第2連通路72、73の図示を省略している。また、振動抑制装置61を連結する部位として、上下の梁BU、BDに限らず、他の適当な部位を採用してもよく、さらに、構造物への振動抑制装置の連結手法として、他の適当な手法を採用してもよい。
構造物Bの振動に伴い、下梁BDが上梁BUに対して左方に変位すると、これらの上下の梁BU、BDの間の相対変位が、連結部材6、7などを介して、シリンダ62、第1及び第2ピストン63、64に伝達される。これにより、第1ピストン63がシリンダ62内を第1流体室62e側に摺動し、第1流体室62eが収縮させられるとともに、第2流体室62fが膨張させられ、第2ピストン64がシリンダ62内を第3流体室62g側に摺動し、第3流体室62gが収縮させられるとともに、第4流体室62hが膨張させられる。
上述したように第1ピストン63が摺動することによって、第1流体室62e内の作動流体HFは、第1ピストン63により第1連通路72側に押圧され、それにより第1連通路72内に、第3流体室62g側への作動流体HFの流動が生じる。また、上述したように第1ピストン63が摺動することによって、第3流体室62g内の作動流体HFが第2ピストン64により押圧され、この第2ピストン64による押圧に起因する作動流体HFの流動は、上述した第1ピストン63による押圧に起因する作動流体HFの流動と合流し、それにより、合流連通路71内に、第4流体室62h側への作動流体HFの流動が生じる。
この場合、合流連通路71内の作動流体HFの流量は、第1ピストン63による押圧により第1流体室62eから第1連通路72に押し出された作動流体HFの流量(=第1ピストン63の受圧面積・第1ピストン63の移動量)と、第2ピストン64による押圧により第3流体室62gから合流連通路71に押し出された作動流体HFの流量(=第2ピストン64の受圧面積・第2ピストン64の移動量)とを互いに足し合わせた大きさになる。なお、第1ピストン63が第1流体室62e側に摺動しているときには、第1ピストン63の受圧面積は、第1ピストン63の横断面積になり、第2ピストン64の受圧面積は、第2ピストン64の摺動方向に拘わらず、第2ピストン64の横断面積からピストンロッド65の横断面積を減算した値になる。
また、作動流体HFが合流連通路71内を流動する際に、合流連通路71内の作動流体HFの圧力エネルギが、歯車モータ17により回転エネルギに変換されるとともに、変換された回転エネルギが回転マス18に伝達され、それにより回転マス18が回転する。
さらに、上述したように合流連通路71内を流動した作動流体HFは、第4流体室62hに流入し、その一部が第4流体室62hに滞留し、残りは第2連通路73に流入する結果、第2連通路73内に、第2流体室62f側への作動流体HFの流動が生じる。
また、構造物Bの振動に伴い、下梁BDが上梁BUに対して右方に変位すると、これらの上下の梁BU、BDの間の相対変位がシリンダ62、第1及び第2ピストン63、64に伝達されることによって、第1ピストン63が第2流体室62f側に摺動し、第2及び第1流体室62f、62eがそれぞれ収縮及び膨張させられるとともに、第2ピストン64が第4流体室62h側に摺動し、第4及び第3流体室62h、62gがそれぞれ収縮及び膨張させられる。
上述したように第1ピストン63が摺動することによって、第2流体室62f内の作動流体HFは、第1ピストン63により第2連通路73側に押圧され、それにより第2連通路73内に、第4流体室62h側への作動流体HFの流動が生じる。また、上述したように第2ピストン64が摺動することによって、第4流体室62h内の作動流体HFが第2ピストン64により押圧され、この第2ピストン64による押圧に起因する作動流体HFの流動は、上述した第1ピストン63による押圧に起因する作動流体HFの流動と合流し、それにより、合流連通路71内に、第3流体室62g側への作動流体HFの流動が生じる。
この場合、合流連通路71内の作動流体HFの流量は、第1ピストン63による押圧により第2流体室62fから第2連通路73に押し出された作動流体HFの流量(=第1ピストン63の受圧面積・第1ピストン63の移動量)と、第2ピストン64による押圧により第4流体室62hから合流連通路71に押し出された作動流体HFの流量(=第2ピストン64の受圧面積・第2ピストン64の移動量)とを互いに足し合わせた大きさになる。なお、第1ピストン63が第2流体室62f側に摺動しているときには、第1ピストン63の受圧面積は、第1ピストン63の横断面積からピストンロッド65の横断面積を減算した値になる。
また、作動流体HFが合流連通路71内を流動する際に、合流連通路71内の作動流体HFの圧力エネルギが、歯車モータ17により回転エネルギに変換されるとともに、変換された回転エネルギが回転マス18に伝達され、それにより回転マス18が回転する。
さらに、上述したように合流連通路71内を流動した作動流体HFは、第3流体室62gに流入し、その一部が第3流体室62gに滞留し、残りは第1連通路72に流入する結果、第1連通路72内に、第1流体室62e側への作動流体HFの流動が生じる。
以上のように作動流体HFが流動するとともに回転マス18が回転するのに伴い、回転マス18による慣性質量Mrと、合流連通路71、第1及び第2連通路72、73内の作動流体HFによる慣性質量Mhとを合わせた慣性質量Mdが発生する。この場合の慣性質量Mr及びMhも、第1実施形態の場合と同様、前記式(1)及び(2)でそれぞれ表される。
以上のように、第3実施形態によれば、作動流体HFがそれぞれ充填されたシリンダ62の2つの流体室に、第1及び第2ピストン63、64が軸線方向に摺動自在に設けられており、一方の流体室が第1ピストン63によって第1及び第2流体室62e、62fに、他方の流体室が第2ピストン64によって第3及び第4流体室62g、62hに、それぞれ区画されている。また、構造物Bの振動に伴って発生した上下の梁BU、BDの間の相対変位が、シリンダ62、第1及び第2ピストン63、64に伝達されることによって、第1ピストン63が、対応する流体室を第1及び第2流体室62e、62fの一方側又は他方側に摺動するとともに、第2ピストン64が、対応する流体室を第3及び第4流体室62g、62hの一方側又は他方側に摺動する。
さらに、合流連通路71が第3及び第4流体室62g、62hに連通し、第1連通路72が第1及び第3流体室62e、62gに連通するとともに、第2連通路73が第2及び第4流体室62f、62hに連通している。各連通路71〜73には、作動流体HFが充填されており、合流連通路71には、歯車モータ17が設けられている。
上述したように摺動する第1ピストン63によって、第1又は第2流体室62e、62f内の作動流体HFが対応する第1又は第2連通路72、73側にそれぞれ押圧され、それにより第1又は第2連通路72、73内に、作動流体HFの流動が生じる。また、上述したように摺動する第2ピストン64によって、第3又は第4流体室62g、62h内の作動流体HFが合流連通路71側に押圧される。この第2ピストン64による押圧に起因する作動流体HFの流動と、上述した第1ピストン63による押圧に起因する作動流体HFの流動は、互いに合流させられ、それにより発生した合流連通路71内の作動流体HFの圧力エネルギは、歯車モータ17で回転エネルギに変換される。歯車モータ17で変換された回転エネルギは、回転マス18に伝達され、それにより回転マス18が回転する結果、回転マス18の回転慣性質量に応じた慣性質量Mdが発生する。
以上のように、第1及び第2ピストン63、64の摺動によって発生した作動流体HFの圧力エネルギを、合流連通路71、第1及び第2連通路72、73を用いて集約した状態で歯車モータ17に供給するとともに、歯車モータ17により回転エネルギに変換した状態で回転マス18に伝達することによって、回転マス18を回転させる。したがって、シリンダ62、第1及び第2ピストン63、64に伝達される構造物Bの振動に伴う上下の梁BU、BDの間の相対変位が比較的小さい場合でも、回転マス18を十分に回転させ、慣性質量を十分に発生させることができる。また、特開2015−137658号公報に開示された振動抑制装置と異なり、サブシリンダや、ピストン、ボールねじ機構を用いずに、歯車モータ17(流体圧モータ)を用いて作動流体HFの圧力エネルギを回転エネルギに変換するので、より大きな慣性質量を発生させることができるとともに、部品点数を削減でき、コストパフォーマンスを向上させることができる。
さらに、第1ピストン63に設けられた第1及び第2リリーフ弁66、67によって、第1及び第2流体室62e、62f内の作動流体HFの圧力の過大化を防止でき、第2ピストン64に設けられた第1及び第2リリーフ弁68、69によって、第3及び第4流体室62g、62h内の作動流体HFの圧力の過大化を防止できるので、シリンダ62、第1及び第2ピストン63、64に作用する軸力を適切に制限することができる。なお、第1及び第2ピストン63、64の一方にのみ、第1及び第2リリーフ弁66、(68)、67、(69)を設けた場合でも、第1及び第2連通路72、73との協働によって、作動流体HFの圧力の過大化を防止することができる。
なお、第3実施形態では、合流連通路71をシリンダ62に、第3及び第4流体室62g、62hに連通するように接続しているが、図11に示すように、第1及び第4流体室62e、62hに連通するように接続してもよく、あるいは、第1及び第2流体室62e、62fに連通するように、又は、第2及び第3流体室62f、62gに連通するように、接続してもよい。あるいは、図12に示すように、合流連通路71の一端部及び他端部を、第1及び第2連通路72、73にそれぞれ連通するように接続してもよい。
また、第3実施形態では、本発明における複数のピストンを互いに連結する連結部材として、ピストンロッド65を用いているが、他の適当な部材、例えば、テンションを付与することにより剛性を発揮する部材(例えばケーブルや帯状の鋼板)を用いてもよい。さらに、第3実施形態では、振動抑制装置61は、第1及び第2ピストン63、64を備えているが、ピストンの数は3つ以上でもよい。また、シリンダ62、第1及び第2ピストン63、64を、本出願人による特願2016−015130号の図15などに記載されたように構成してもよい。さらに、合流連通路71をシリンダ62内の第2ピストン64の移動範囲の全体において、第3及び第4流体室62g、62hに連通するように接続しているが、第2ピストンの移動範囲の一部において、第3及び第4流体室に連通するように接続してもよく、このことは、第1及び第2連通路72、73についても、同様に当てはまる。また、第3実施形態に関してこれまでに述べたバリエーションを適宜、組み合わせて適用してもよいことは、もちろんである。
なお、本発明は、説明した第1〜第3実施形態(以下、総称して「実施形態」という)に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、本発明における流体圧モータとして、歯車モータ17を用いているが、他の適当な機構、例えば、ベーンモータや、プランジャ(ピストン)モータなどでもよい。また、この場合、可変容量型の流体圧モータを用いてもよく、その場合には、流体圧モータの押しのけ容積を変更することによって、前記式(1)から明らかなように、振動による外力に対する慣性質量を自由に変化させることができる。さらに、このように可変容量型の流体圧モータを用いる場合、流体圧モータを、その押しのけ容積を段階的に、又は、連続的に変更可能に構成してもよい。
また、実施形態では、合流連通路16、71に、歯車モータ17及び回転マス18を1組、設けているが、複数組、設けてもよい。この場合、複数組の歯車モータ及び回転マスを、合流連通路に互いに直列に設けてもよく、合流連通路を分岐させて互いに並列に設けてもよい。さらに、実施形態では、歯車モータ17に、単一の回転マス18を設けているが、複数の回転マスを設けてもよい。この場合、本出願人による特許第5191579号の図17などに記載されているように、複数の回転マスの一部を、歯車モータの回転軸に一体に設けるとともに、複数の回転マスの残りを、粘弾性体を介して歯車モータの回転軸に取り付けてもよい。
また、実施形態では、第1及び第2ピストン12、63、22、53、64の両方に、第1及び第2リリーフ弁14、24、55、66、68、15、25、56、67、69を設けているが、複数のピストンのすべてではなく、それらのいくつかに設けてもよく、あるいは、省略してもよい。さらに、実施形態では、構造物Bは、商用や居住用の建築物であるが、他の適当な構造物、例えば、橋梁や、鉄塔などでもよい。また、これまでに述べたバリエーション(各実施形態で説明したバリエーションを含む)を適宜、組み合わせて適用してもよいことは、もちろんである。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
B 構造物
FB ブレース階(構造物の上端部)
BE 梁 (所定の部位、第1部位)
BF 基礎梁(支持体、第2部位)
1L 振動抑制装置
1R 振動抑制装置
5 連結部材
11 第1シリンダ
11d 第1流体室(2つの流体室)
11e 第2流体室(2つの流体室)
12 第1ピストン
14 第1リリーフ弁
15 第2リリーフ弁
16 合流連通路(連通路)
17 歯車モータ(流体圧モータ)
18 回転マス
HF 作動流体
21 第2シリンダ
21d 第3流体室(2つの流体室)
21e 第4流体室(2つの流体室)
22 第2ピストン
24 第1リリーフ弁
25 第2リリーフ弁
31 第1連通路(連通路)
32 第2連通路(連通路)
51 振動抑制装置
52 第2シリンダ
52d 第3流体室(2つの流体室)
52e 第4流体室(2つの流体室)
53 第2ピストン
55 第1リリーフ弁
56 第2リリーフ弁
61 振動抑制装置
62 シリンダ
62e 第1流体室(2つの区画流体室)
62f 第2流体室(2つの区画流体室)
62g 第3流体室(2つの区画流体室)
62h 第4流体室(2つの区画流体室)
63 第1ピストン
64 第2ピストン
65 ピストンロッド(連結部材)
66 第1リリーフ弁
67 第2リリーフ弁
68 第1リリーフ弁
69 第2リリーフ弁
71 合流連通路(連通路)
72 第1連通路(連通路)
73 第2連通路(連通路)

Claims (5)

  1. 構造物の振動に伴って発生した当該構造物を含む系内の所定の2つの部位の間の相対変位が伝達されることにより作動し、前記構造物の振動を抑制する振動抑制装置であって、
    作動流体が各々に充填された複数のシリンダと、
    当該複数のシリンダの各々内に軸線方向に摺動自在に設けられ、対応する前記シリンダ内を2つの流体室に区画するピストンから成る複数のピストンと、
    前記相対変位が前記複数のシリンダの各々及び前記複数のピストンの各々に伝達されることによって、前記各々のピストンが対応する前記シリンダ内を軸線方向の一方側に摺動したときに、前記各々のシリンダ内の前記2つの流体室のうち、当該摺動する各々のピストンで収縮させられる側の流体室から成る収縮側の複数の流体室同士を連通するとともに、当該摺動する各々のピストンで膨張させられる側の流体室から成る膨張側の複数の流体室同士を連通し、作動流体が充填された連通路と、
    前記複数のシリンダのうちの単一のシリンダに接続され、又は前記収縮側の複数の流体室同士を連通する連通路と前記膨張側の複数の流体室同士を連通する連通路とを連通するように接続され、作動流体が充填されるとともに、前記摺動する各々のピストンにより前記収縮側の複数の流体室の各々内の作動流体が押圧されたことに起因する作動流体の流動を互いに合流させるように構成された合流連通路と、
    当該合流連通路に一体に設けられたケーシングを有し、当該ケーシング内を作動流体が流動することによって発生した作動流体の圧力エネルギを、前記合流連通路に直交しかつ前記ケーシングに回転自在に支持された回転軸を中心として回転する回転エネルギに変換する流体圧モータと、
    円板状に形成されるとともに前記回転軸に同軸状に設けられ、前記流体圧モータで変換された回転エネルギが伝達されることにより、前記回転軸と一体に回転する回転マスと、
    を備え
    前記構造物は支持体に立設され、前記2つの部位は、少なくとも2組の2つの部位から成り、
    前記複数のシリンダの一部は、上下方向に延びた状態で、前記2組のうちの1組の前記2つの部位の一方としての前記構造物の上端部及び前記支持体の一方に連結され、当該複数のシリンダの前記一部に対応する前記複数のピストンの一部は、前記1組の前記2つの部位の他方としての前記構造物の上端部及び前記支持体の他方に連結され、
    前記複数のシリンダの残りは、水平方向に延びた状態で、前記2組のうちの他の1組の前記2つの部位の一方としての前記構造物の所定の部位及び前記支持体の一方に連結され、前記複数のシリンダの前記残りに対応する前記複数のピストンの残りは、前記他の1組の前記2つの部位の他方としての前記構造物の所定の部位及び前記支持体の他方に連結されることを特徴とする振動抑制装置。
  2. 前記2つの部位はそれぞれ、前記構造物の第1部位、及び、当該第1部位よりも下側の第2部位であり、
    前記第1部位と前記第2部位の間に設けられるとともに、一端部が前記第1及び第2部位の一方に連結される連結部材をさらに備え、
    前記複数のシリンダ及び前記複数のピストンは、少なくとも一対のシリンダ及び少なくとも一対のピストンをそれぞれ含み、
    前記一対のシリンダは、前記連結部材の他端部を中心として互いに対称に配置され、
    前記一対のシリンダの一方と、当該一方に対応する前記一対のピストンの一方との一方は、前記連結部材の他端部に連結されるとともに、前記一対のシリンダの前記一方と、前記一対のピストンの前記一方との他方は、前記第1及び第2部位の他方に連結され、
    前記一対のシリンダの他方と、当該他方に対応する前記一対のピストンの他方との一方は、前記連結部材の他端部に連結されるとともに、前記一対のシリンダの前記他方と、前記一対のピストンの前記他方との他方は、前記第1及び第2部位の他方に連結されることを特徴とする、請求項1に記載の振動抑制装置。
  3. 前記複数のピストンの少なくとも1つには、当該少なくとも1つのピストンに対応する前記2つの流体室の一方における作動流体の圧力が所定圧力に達したときに開弁し、前記2つの流体室を互いに連通させる第1リリーフ弁と、前記2つの流体室の他方における作動流体の圧力が前記所定圧力に達したときに開弁し、前記2つの流体室を互いに連通させる第2リリーフ弁が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の振動抑制装置。
  4. 構造物の振動に伴って発生した当該構造物を含む系内の所定の2つの部位の間の相対変位が伝達されることにより作動し、前記構造物の振動を抑制する振動抑制装置であって、
    作動流体がそれぞれ充填されるとともに、互いに軸線方向に並んだ複数の流体室を有する単一のシリンダと、
    前記複数の流体室の各々に、軸線方向に摺動自在に設けられるとともに、前記各々の流体室を2つの区画流体室に区画するピストンから成る複数のピストンと、
    軸線方向に延び、前記複数のピストンを互いに連結する連結部材と、
    前記相対変位が前記シリンダ及び前記複数のピストンの各々に伝達されることによって、前記複数のピストンの各々が対応する前記流体室を軸線方向の一方側に摺動したときに、前記各々の流体室の2つの区画流体室のうち、当該摺動する各々のピストンで収縮させられる側の区画流体室から成る収縮側の複数の区画流体室同士を連通するとともに、当該摺動する各々のピストンで膨張させられる側の区画流体室から成る膨張側の複数の区画流体室同士を連通し、作動流体が充填された連通路と、
    前記シリンダに接続され、作動流体が充填されるとともに、前記摺動する各々のピストンにより前記収縮側の複数の区画流体室の各々内の作動流体が押圧されたことに起因する作動流体の流動を互いに合流させるように構成された合流連通路と、
    当該合流連通路に一体に設けられたケーシングを有し、当該ケーシング内を作動流体が流動することによって発生した作動流体の圧力エネルギを、前記合流連通路に直交しかつ前記ケーシングに回転自在に支持された回転軸を中心として回転する回転エネルギに変換する流体圧モータと、
    円板状に形成されるとともに前記回転軸に同軸状に設けられ、前記流体圧モータで変換された回転エネルギが伝達されることにより、前記回転軸と一体に回転する回転マスと、
    を備えることを特徴とする振動抑制装置。
  5. 前記複数のピストンの少なくとも1つには、当該少なくとも1つのピストンに対応する前記2つの区画流体室の一方における作動流体の圧力が所定圧力に達したときに開弁し、前記2つの区画流体室を互いに連通させる第1リリーフ弁と、前記2つの区画流体室の他方における作動流体の圧力が前記所定圧力に達したときに開弁し、前記2つの区画流体室を互いに連通させる第2リリーフ弁が設けられていることを特徴とする、請求項に記載の振動抑制装置。
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