JP6882623B2 - センターリングおよび真空ポンプ - Google Patents
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Description
(2)このセンターリングにおいて、好ましくは、前記第2のリング嵌合部の外周面の曲率半径をrとしたとき、前記第2のリング嵌合部の外周面がd=2rとなる直径dの円の円周上に配置された状態で、前記2箇所の切断部の端面同士の隙間は以下の式(3)で表され、式(3)で、ΔC1は前記隙間、Smaxは前記真空ポンプの前記ポンプ側嵌合部の直径と前記第2のリング嵌合部の直径との寸法差の最大値である。
0.5×π×Smax ≦ △C1・・・(3)
(3)(1)または(2)の好ましい脱落防止構造は、前記第2のリング嵌合部の外周面の曲率半径をrとしたとき、前記第2のリング嵌合部の外周面がd=2rとなる直径dの円の円周上に配置された状態で、前記2箇所の切断部において前記リング本体の端面同士が隙間をもって配置され、前記リング本体は、前記円からその周長を前記隙間に相当する長さだけ短くされている。
(4)本発明の一態様のセンターリングは、真空チャンバと真空ポンプとの間に介在されるセンターリングであり、前記真空チャンバのチャンバ側嵌合部に嵌合する第1のリング嵌合部、および前記真空ポンプのポンプ側嵌合部にしまり嵌めにより嵌合する第2のリング嵌合部を有するリング本体と、前記リング本体に設けられたゴミ侵入防止部材と、前記センターリングが前記真空ポンプのポンプ側嵌合部から脱落することを防止する脱落防止構造とを備え、前記リング本体は、内径方向に撓む際の剛性を調節する切欠部を備えている。
(5)上記センターリングにおいて、好ましくは、前記脱落防止構造は、前記第2のリング嵌合部にのみに、すなわち、真空ポンプ側にのみ設ける。
(6)本発明の他の態様の真空ポンプは、上記センターリングと、前記センターリングが装着される真空ポンプ側吸気フランジを有するポンプ本体とを備える。
(7)上記真空ポンプは、好ましくは、横置き形式で使用される。
ターボ分子ポンプ100のケーシング52内にはロータ40が回転自在に設けられている。図1に示したターボ分子ポンプ100は磁気軸受式のポンプであり、ロータ40は、上部ラジアル電磁石101、下部ラジアル電磁石102、スラスト電磁石104によって非接触支持される。磁気軸受によって磁気浮上されたロータ40は、モータ43により高速回転駆動される。
なお、真空チャンバ500の排気フランジ510には、ネジ穴514の代わりにボルト貫通孔を形成し、ボルト7とナットを用いて吸気フランジ20と排気フランジ510とを締結するようにしてもよい。
図3(a)はセンターリング60を排気フランジ510への取付面側から見た上面図、図3(b)は図3(a)のB−B線断面図、図3(c)は図3(a)のC−C線断面図である。センターリング60は、一対のリング本体61と、チャンバ500の排気フランジ510のシール面511とターボ分子ポンプ100の吸気フランジ20のシール面21との間をシールするOリング71と、ターボ分子ポンプ100への異物混入防止用の網72とを有する。
Oリング71の弾性力により一対のリング本体61は互いに接近する方向に付勢される。この付勢力によりリング本体61は網72の外周縁を内径方向に摺動する。ただし、後述するように、移動後のリング本体61の外径dと吸気フランジ20の内径Dとの差が所望の嵌め合いとなり、かつ、リング本体61の端面間距離ΔC1が所望の値となる。
センターリング60を吸気フランジ20に装着したターボ分子ポンプ100を真空チャンバ500に取り付ける際、すなわち、上述したように吸気フランジ20と排気フランジ510とを締結する際、センターリング60のチャンバ側円筒部65が排気フランジ510の内周面512に挿入される。チャンバ側円筒部65は、排気フランジ510の内周面512に嵌合する嵌合部である。
この実施の形態の真空ポンプは、たとえば横置き形式で取り付ける際の組立性を改善するものである。以下、説明する。
横置き形式での取付は、排気フランジ510のシール面511が水平方向を向いている場合に採用する取付方式である。横置き形式での取り付けに際して、たとえば、ターボ分子ポンプ100のロータ軸を鉛直方向としてセンターリング゛60が吸気フランジ20に装着される。その後、吸気フランジ20のシール面21が水平方向を向くようにターボ分子ポンプ100の姿勢を傾けた後、排気フランジ510と吸気フランジ20との位置合わせを行って、吸気フランジ20を排気フランジ510に取り付ける。この取付け工程でターボ分子ポンプ100の姿勢を傾けるとき、センターリング60が吸気フランジ20から脱落するおそれがある。
そこで、本実施の形態のターボ分子ポンプ100では、ターボ分子ポンプ100の姿勢を傾けてもセンターリング60が吸気フランジ20から脱落しないように、少なくともセンターリング60の構成要素である一対のポンプ側円筒部64の外径(直径)dを設定している。以下、図4も参照詳述する。
また、図2に示すように、吸気フランジ20の内周面26の直径をDとする。以下の説明では、吸気フランジ20の内周面26の直径Dを単に吸気フランジ20の内径Dとも呼ぶ。
本実施の形態では、たとえば横置き形式でターボ分子ポンプ100を設置する際に吸気フランジ20を傾けても、センターリング60が自重により吸気フランジ20から脱落せず、かつ、吸気フランジ20への着脱も容易となるように、吸気フランジ20の内径Dと一対のポンプ側円筒部64の円環の外径dとの寸法差を最適化する。すなわち、本実施の形態では、一対のポンプ側円筒部64の外径dは、吸気フランジ20の内径Dとの寸法差D−dが所定範囲内となるように設定されている。
そのため、ΔC1は、(D−dの絶対値)+(撓みで接近する方向に変形するときのポンプ円筒部64端部の径方向の変形量)となるように決定する必要がある。ΔC1の詳細な算出式は後述する。
したがって、上述した締め代(しまり嵌めの寸法)が取り得る最大値の分だけリング本体61の両端部を撓ませるまでは、切断部67において対向する端面61a同士が当接しないように離間距離△C1を確保しておく必要がある。
具体的には、以下の式(1)で示すように、リング本体61それぞれのポンプ側円筒部64の周長Lの合計値2Lが、ポンプ側円筒部64の外径dから締め代の最大値Smaxの分だけ小さい直径(d−Smax)に対応する円周長以下となればよい。
2L ≦ π×(d−Smax) ・・・(1)
したがって、以下の式(2)が成り立つ。
2×△C1= πd−2L
2L = πd−2×△C1 ・・・(2)
πd−2×△C1 ≦ π×(d−Smax)
−2×△C1 ≦ −π×Smax
π×Smax ≦ 2×△C1
0.5×π×Smax ≦ △C1 ・・・(3)
以下、具体例を示す。
−0.1[mm] ≦ D−d ≦ 0.05[mm] ・・・(4)
また、吸気フランジ20に装着する際のポンプ側円筒部64の撓みにより、一対のポンプ側円筒部64は吸気フランジ40の内周面を押圧する。この押圧の反力がセンターリング60の脱落防止に寄与する。
(1)実施の形態のセンターリング、すなわち真空チャンバ500とターボ分子ポンプ100との間に介在されるセンターリング60は、真空チャンバ500のチャンバ側嵌合部である排気フランジ510に嵌合する第1のリング嵌合部であるチャンバ側円筒部65、およびターボ分子ポンプ100のポンプ側嵌合部である吸気フランジ20に嵌合する第2のリング嵌合部であるポンプ側円筒部64を有するリング本体61と、リング本体61に設けられるゴミ侵入防止部材である網72と、たとえばターボ分子ポンプ100のロータ軸を鉛直方向から垂直方向に傾ける過程でセンターリング60が吸気フランジ20から脱落することを防止する脱落防止構造とを備える
実施の形態のターボ分子ポンプは、脱落防止構造を備えることにより、吸気フランジ20を傾けてもセンターリング60が自重により吸気フランジ20から脱落しない。また、実施の形態のように、一対のリング本体61の端面61a間距離ΔC1の寸法と、センタリング60と吸気フランジ200の内周面26との嵌め合い寸法を規定することにより、センターリング60の吸気フランジ20への着脱も容易となる。したがって、真空チャンバ500の排気フランジ510へのターボ分子ポンプ100の取り付け作業および排気フランジ510からのターボ分子ポンプ100の取り外し作業の作業効率が向上する。
(3)2分割構成の一対のリング本体61は、切断部67において端面61a同士が隙間ΔC1をもって配置されている。リング本体61の周長は、上記隙間ΔC1に相当する長さだけ短い。リング本体61の両端部を内径方向に所望の量撓ませた際、端面同士が当接しないので、センターリング60の吸気フランジ20への装着が円滑にできる。
(4)実施の形態のリング本体61は、内径方向に撓む際の剛性を調節する切り欠き部68を備えている。切り欠き部68により、リング本体61の両端部を内径方向に撓ませ易くなる。
(5)実施の形態の脱落防止構造は、第2のリング嵌合部であるポンプ側嵌合部64にのみ設けている。真空チャンバの排気フランジ510の寸法公差は、ターボ分子ポンプ製造メーカでは把握できないから、ポンプ側嵌合部とは異なり、必ず装着が容易となるような値のすきま嵌めとするのが好ましい。
(6)実施の形態の脱落防止構造は、ターボ分子ポンプ100の吸気フランジ内周面26の直径Dとポンプ側嵌合部64の直径dとの寸法差D−dをしまり嵌め、および中間嵌めのいずれかとした構造である。
(7)ターボ分子ポンプは、実施の形態のようなセンターリング60と、センターリング60が装着されるポンプ側嵌合部である吸気フランジ20を有するポンプ本体(たとえばケーシング500)とを備える。
(変形例1)
上述した実施の形態では、センターリング60は2箇所の切断部67で切断された一対のリング本体61を有する。これに対し、変形例1におけるセンターリング60Aは、1箇所の切断部67で切断されたC字状のリング本体61Aとした。
以下、図5を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、上述した実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、上述した実施の形態と同じである。
リング本体61Aは、上述したように1箇所の切断部67で円筒を軸方向に沿って切断したC字状を呈する部材である。リング本体61Aは、略円筒形状を呈する円筒部62Aと、フランジ部63とを有する。円筒部62Aは、図5(b)における上部の内径よりも下部の内径が小さい段付き円筒形状を呈する。上述した実施の形態では、網72は、円筒部62の溝66で挟持されているが、変形例1では、網72は、その外周縁を段部69の上面に載置して保持されている。なお、不図示のボルトで固定しても良い。
切り欠き部68は、ポンプ側円筒部64の周長の半分付近の1箇所に設けられている。変形例1におけるポンプ側円筒部64の外径d、および、チャンバ側円筒部65の外径は、上述した実施の形態と同様に設定される。
π×Smax ≦ △C2 ・・・(5)
なお、円筒部62Aは、図5(b)における下部の内径よりも上部の内径が小さい段付き円筒形状を呈するものであってもよい。
変形例1によっても、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏する。さらに、実施の形態に比べて部品点数が少ないので、コストも抑制できる。
上述した実施の形態では、センターリング60は2箇所の切断部67で切断された一対のリング本体61を有する。しかし、変形例2のように、センターリングは、切断部67が設けられていないでO字状のリング本体を有するものであってもよい。変形例2では、切断部67が存在しないので、ポンプ側円筒部64の外径dは、寸法差D−dの値が正の値の範囲内で上述した実施の形態と同様に設定されればよい。チャンバ側円筒部65の外径は、上述した実施の形態と同様に設定される。すなわち、すきま嵌めである。
変形例2によっても、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏する。
実施の形態、変形例1、2の脱落防止構造は、嵌め合い寸法の規定と、リング本体同士の端面間距離を規定した構造とした。しかし、端面間距離C1とリング本体の移動可能距離の規定により、センターリングの弾性力のみの脱落防止構造としてもよい。
すなわち、センターリング脱落防止構造は、(1)ΔC1と嵌め合い寸法を規定したもの、または、(2)ΔC1のみを規定したものと定義することができる。(2)の場合も、しまり嵌めの最大値は規定する必要があり、実施の形態、変形例1〜3における脱落防止構造の一例は、(1)と定義することができる。
変形例4の脱落防止構造では、確実にセンターリングの脱落を防止する目的で、リング本体61のポンプ側円筒部64の外周面に突起を設け、ポンプ側吸気フランジ20には、その突起を収容する軸方向に延在する縦溝と、突起の外れ止めとなる、縦溝と連続して円周方向に延在する横溝とを設けてもよい。
センターリング60の突起と吸気フランジ20の縦軸を整列させてセンターリング60を吸気フランジ20に挿入し、その後、センターリング60を回転させて突起を横溝に収容する。突起が横溝で係止されてセンターリング60の脱落が防止される。また、取付作業も容易である。
したがって、本発明はターボ分子ポンプに限定されず、タービン翼式真空排気部のみを備える真空ポンプ、ネジ溝式真空排気部のみを有する真空ポンプなど、種々の真空ポンプに適用することができる。ゴミ侵入防止部材も網状の部材に限らず、微細な孔が無数に穿設されて構成される部材でも良い。
26…内周面 60…センターリング
61…リング本体 61a…端面
63a…外周面 64…ポンプ側円筒部
65…チャンバ側円筒部 66…溝
67…切断部 68…切り欠き部
71…Oリング 72…網
100…ターボ分子ポンプ 500…真空チャンバ
510…排気フランジ 512…内周面
Claims (7)
- 真空チャンバと真空ポンプとの間に介在されるセンターリングにおいて、
前記真空チャンバのチャンバ側嵌合部に嵌合する第1のリング嵌合部、および前記真空ポンプのポンプ側嵌合部にしまり嵌めにより嵌合する第2のリング嵌合部を有するリング本体と、
前記リング本体に設けられたゴミ侵入防止部材と、
前記センターリングが前記真空ポンプのポンプ側嵌合部から脱落することを防止する脱落防止構造とを備え、
前記リング本体は、円周上の2箇所の切断部で切断されている一対の環状部材であるセンターリング。 - 請求項1に記載のセンターリングにおいて、
前記第2のリング嵌合部の外周面の曲率半径をrとしたとき、前記第2のリング嵌合部の外周面がd=2rとなる直径dの円の円周上に配置された状態で、前記2箇所の切断部の端面同士の隙間は以下の式(3)で表され、
0.5×π×Smax ≦ △C1 ・・・(3)
式(3)で、ΔC1は前記隙間、Smaxは前記真空ポンプの前記ポンプ側嵌合部の直径と前記第2のリング嵌合部の直径との寸法差の最大値であるセンターリング。 - 請求項1または2に記載のセンターリングにおいて、
前記第2のリング嵌合部の外周面の曲率半径をrとしたとき、前記第2のリング嵌合部の外周面がd=2rとなる直径dの円の円周上に配置された状態で、前記脱落防止構造は、前記2箇所の切断部において前記リング本体の端面同士が隙間をもって配置され、前記リング本体は、前記円からその周長が前記隙間に相当する長さだけ短くされているセンターリング。 - 真空チャンバと真空ポンプとの間に介在されるセンターリングにおいて、
前記真空チャンバのチャンバ側嵌合部に嵌合する第1のリング嵌合部、および前記真空ポンプのポンプ側嵌合部にしまり嵌めにより嵌合する第2のリング嵌合部を有するリング本体と、
前記リング本体に設けられたゴミ侵入防止部材と、
前記センターリングが前記真空ポンプのポンプ側嵌合部から脱落することを防止する脱落防止構造とを備え、
前記リング本体は、内径方向に撓む際の剛性を調節する切り欠き部を備えているセンターリング。 - 請求項1から4までのいずれか1項に記載のセンターリングにおいて、
前記脱落防止構造は、前記第2のリング嵌合部にのみ設けられているセンターリング。 - 請求項1から5までのいずれか一項に記載のセンターリングと、
前記センターリングが装着される前記ポンプ側嵌合部である吸気フランジを有するポンプ本体とを備える真空ポンプ。 - 請求項6に記載の真空ポンプにおいて、
横置き形式で使用される、真空ポンプ。
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