JP6880839B2 - 塗布フィルムおよび粘着シート積層体 - Google Patents
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Description
近年、スマートフォンやタブレット端末などのタッチパネル方式の画像表示装置の表面保護パネルは、強化ガラスと共にアクリル樹脂板やポリカーボネート板などのプラスチック材が用いられており、該表面保護パネルの視認開口面部以外の周縁部は、黒色印刷されている。また、タッチパネルでは、ガラスセンサーと共にプラスチックフィルムセンサーを用いたり、タッチパネル機能が表面保護パネルと一体化されたタッチオンレンズ(TOL)なる部材が用いられたり、タッチパネル機能が画像表示パネルに一体化されたオンセルやインセルなる部材が用いられている。
ところで、携帯電話やモバイル端末を中心とする画像表示装置の分野では、薄肉化、高精密化に加えて、デザインの多様化が進んでおり、表面保護パネルの周縁部には、枠状に黒色の隠蔽部を印刷するのが従来は一般的であったが、デザインの多様化に伴い、この枠状の隠蔽部を、黒色以外の色で形成することが行われ始めている。黒色以外の色で隠蔽部を形成する場合、隠蔽性が低いため、黒色に比べて隠蔽部、すなわち印刷部の高さが高くなる傾向にある。そのため、このような印刷部を備えた構成部材を貼り合わせるための粘着シートには、大きな印刷段差に追従して隅々まで充填することが求められている。
そこで従来から、印刷段差を埋めるための方法が種々提案されている。
しかし、通常の離型フィルムが粘着シートの両側に積層してなる粘着シート積層体を使用して、前記方法を実際に実施してみた結果、被着体表面の凹凸部と符合する凹凸形状を精度高く粘着シート表面に形成することが難しいという課題が明らかになってきた。
本発明の塗布フィルムを構成する共重合ポリエステルフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよく、例えば、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。また、例えば3層構成(表層/中間層/表層)とした場合に、その表層もしくは中間層のいずれか1つ、または2つ以上の層を共重合ポリエステル成分とし、それ以外の層は共重合成分を含まないポリエステル成分で構成することも可能である。
中でも、ジカルボン酸成分としてフタル酸、イソフタル酸、ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール等を任意に共重合させた共重合ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
次に得られた未延伸シートは少なくとも一軸方向に延伸されるのが好ましく、二軸方向に延伸される二軸延伸がより好ましい。例えば二軸延伸として、逐次二軸延伸の場合、前記未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により機械方向に延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは75〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7.0倍、好ましくは3.0〜6.0倍である。次いで、一段目の延伸方向(機械方向)と垂直方向に延伸する。延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7.0倍、好ましくは3.5〜6.0倍である。そして、引き続き150〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上述の二軸延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
本発明では、共重合ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層を設けることが重要である。塗布層としては、特に限定はされないが、離型層、帯電防止層、オリゴマー封止層、易接着層、プライマー層などが具体的に挙げられる。中でも、粘着シートと積層させた粘着シート積層体を製造する上では、離型層がより好ましい。また、上記のような機能層を2種類以上組み合わせることも可能である。
本発明の塗布フィルムの厚みは、通常、9μm〜250μmであり、好ましくは12μm〜125μm、さらに好ましくは25μm〜75μmである。
前記厚みが9μm未満の場合、フィルム張力が不十分となり、スリット時にしわが入り易い等の不具合を生じる場合がある。一方、250μmを超えると、例えば、曲面形状を有する成形品への追従性が不十分となる場合がある。
一方、下限としては特に限定はされないが、1.0×107Pa以上が好ましく、1.0×108Pa以上がより好ましい。
前記オリゴマー抽出量が当該範囲を超える場合、成形加工時、金型へのオリゴマー付着による汚染がひどくなる場合がある。一例として、何度も連続で加熱成形させる加工においては、析出オリゴマーの堆積により金型汚染が促進されるため、加熱時のオリゴマー析出量の制御が重要となる。前記理由により、前記オリゴマー抽出量は少なければ少ないほどより好ましい。
本発明の塗布フィルムは、粘着シートと積層させることによって、少なくとも一方の表面に凹形状、凸形状、または凹凸形状を形成することができる。
この場合、未架橋状態すなわち光重合される前の状態で、前記の粘弾性特性を満足することが必要である。かかる観点から、粘着シートのゲル分率は40%以下であるのが好ましい。
かかる観点から、粘着シートのゲル分率は40%以下であるのが好ましく、中でも20%以下、その中でも10%以下であるのが特に好ましい。なお、粘着シートのゲル分率の下限は限定されず、0%でもよい。
なお、上記の粘着シートのゲル分率は、ベース樹脂として(メタ)アクリル系共重合体と、架橋剤と、光重合開始剤とを含有する樹脂組成物を用いる場合に限らず、粘着シートとして他の樹脂組成物を用いる場合についても同様である。
(メタ)アクリル系共重合体は、これを重合するために用いられるアクリルモノマーやメタクリルモノマーの種類、組成比率、さらには重合条件等によって、ガラス転移温度(Tg)等の特性を適宜調整することが可能である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体を形成するために用いる(メタ)アクリレート、即ち、アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレート成分としては、アルキル基がn−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、n−ブチル、イソブチル、メチル、エチル、イソプロピルのうちのいずれか1つであるアルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートの1種又はこれらから選ばれた2種以上の混合物であるのが好ましい。
中でも好ましくは、イソ−オクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートの1種又はこれらから選ばれた2種以上の混合物か、或いは、イソ−オクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等から少なくとも1種類以上と、アクリル酸とを共重合させたものを挙げることができる。
粘着シートの好ましいベースポリマーの一例として、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなるアクリル系共重合体を挙げることができる。
よって、粘着シートのベースポリマーとしてアクリル系共重合体を使用すれば、未架橋状態であっても、室温(20℃)において粘着性を示し、且つ、50〜100℃、より好ましくは60℃以上或いは90℃以下の温度に加熱すると軟化乃至流動化する性質を備えることができる。
この際、幹成分を構成する共重合体成分のガラス転移温度とは、アクリル系共重合体の幹成分を組成するモノマー成分のみを共重合して得られるポリマーのガラス転移温度を指す。具体的には、当該共重合体各成分のホモポリマーから得られるポリマーのガラス転移温度と構成比率から、Foxの計算式によって算出される値を意味する。
なお、Foxの計算式とは、以下の式により求められる計算値であり、ポリマーハンドブック〔Polymer HandBook,J.Brandrup,Interscience,1989〕に記載されている値を用いて求めることができる。
1/(273+Tg)=Σ(Wi/(273+Tgi))
[式中、Wiはモノマーiの重量分率、TgiはモノマーiのホモポリマーのTg(℃)を示す。]
但し、当該共重合体成分のガラス転移温度が同じ温度であったとしても、分子量を調整することにより粘弾性を調整することができる。例えば共重合体成分の分子量を小さくすることにより、より柔軟化させることができる。
また、前記アクリルモノマーやメタクリルモノマーと共重合可能な、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルキルビニルモノマー等の各種ビニルモノマーも適宜用いることができる。
アクリル系共重合体の幹成分が、疎水性モノマーのみから構成されると、湿熱白化する傾向が認められるため、親水性モノマーも幹成分に導入して湿熱白化を防止するのが好ましい。
また、疎水性のビニルモノマーとしては酢酸ビニル、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アルキルビニルモノマーなどを挙げることができる。
マクロモノマーとは、末端の重合性官能基と高分子量骨格成分とを有する高分子単量体である。
具体的には、マクロモノマーのガラス転移温度(Tg)は、粘着シートの加熱溶融温度(ホットメルト温度)に影響するため、マクロモノマーのガラス転移温度(Tg)は30℃〜120℃であるのが好ましく、中でも40℃以上或いは110℃以下、その中でも50℃以上或いは100℃以下であるのがさらに好ましい。
このようなガラス転移温度(Tg)であれば、分子量を調整することにより、優れた加工性や保管安定性を保持できると共に、80℃付近でホットメルトするように調整することができる。
マクロモノマーのガラス転移温度とは、当該マクロモノマー自体のガラス転移温度をさし、示差走査熱量計(DSC)で測定することができる。
かかる観点から、マクロモノマーは、アクリル系共重合体中に5質量%〜30質量%の割合で含有することが好ましく、中でも6質量%以上或いは25質量%以下、その中でも8質量%以上或いは20質量%以下であるのが好ましい。
また、マクロモノマーの数平均分子量は500以上8000未満であることが好ましく、中でも800以上或いは7500未満、その中でも1000以上或いは7000未満であるのが好ましい。
マクロモノマーは、一般に製造されているもの(例えば、東亜合成社製マクロモノマーなど)を適宜使用することができる。
また前記マクロモノマーの末端重合性官能基としては、例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基などを挙げることができる。
架橋剤は、アクリル酸エステル重合体を架橋する際に用いる架橋モノマーを使用することができる。例えば(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、アジリジン基、ビニル基、アミノ基、イミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種の架橋性官能基を有する架橋剤を挙げることができ、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、前記架橋性官能基は、脱保護可能な保護基で保護されていてもよい。
湿熱白化を防止する観点からは、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体、例えばグラフト共重合体の幹成分として、疎水性のアクリレートモノマーと、親水性のアクリレートモノマーとを含有するのが好ましく、さらには、架橋剤として、水酸基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステルを用いるのが好ましい。
また、密着性や耐湿熱性、耐熱性等の効果を調整するために、架橋剤と反応する、単官能又は多官能の(メタ)アクリル酸エステルを、更に加えてもよい。
アクリル酸エステル重合体を架橋する際には、架橋開始剤(過酸化開始剤、光重合開始剤)や反応触媒(三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物など)を適宜添加すると効果的である。
光重合開始剤は、ラジカル発生機構によって大きく2つに分類され、光重合性開始剤自身の単結合を開裂分解してラジカルを発生させることができる開裂型光重合開始剤と、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させることができる水素引抜型光重合開始剤と、に大別される。
これらのうちの開裂型光重合開始剤は、光照射によってラジカルを発生する際に分解して別の化合物となり、一度励起されると反応開始剤としての機能をもたなくなる。このため、可視光線域に吸収波長をもつ光重合開始剤として該分子内開裂型を用いると、水素引抜型を用いる場合に比べて、光線照射によって粘着シートを架橋した後、光線反応性の光重合性開始剤が本粘着剤組成物中に未反応残渣として残り、粘着シートの予期せぬ経時変化や架橋の促進を招く可能性が低いため好ましい。また、光重合性開始剤特有の着色についても、反応分解物となることで、可視光線域の吸収がなくなり、消色するものを適宜選択することができるため好ましい。
他方、水素引抜型の光重合開始剤は、紫外線などの活性エネルギー線照射によるラジカル発生反応時に、開裂型光重合開始剤のような分解物を生じないので、反応終了後に揮発成分となりにくく、被着体へのダメージを低減させることができる。
さらに、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなるアクリル系共重合体との相性からは、光重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどを用いるのが好ましい。
光重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記範囲であれば、例えば厚み20μmのような薄い粘着シートであれば、印刷段差追従性に優れた粘着シートが提供できる。また、厚み500μmのような厚い粘着シートでは印刷段差相当分が予め賦形されていることにより、貼合時の粘着剤組成物のオーバーフローを抑制することも可能になる。
粘着シート積層体の製造方法の一例としては、例えば、粘着シートを2枚の塗布フィルムで挟み、ラミネータを用いて粘着シートを形成する方法を挙げることができる。また、その他の方法として、塗布フィルムに粘着剤組成物を塗布して粘着シートを形成する方法を挙げることができる。但し、かかる製造方法に限定するものではない。
粘着剤組成物を塗布する方法としては、例えばリバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等、従来公知の塗工方式を挙げることができる。
粘着シート積層体を用いて、次のように、粘着シート表面に凹凸形状が形成された賦形粘着シート積層体を作製することができる。
粘着シートは、一方の表面に凹形状、凸形状、または凹凸形状を備え、かつ、他方の表面は平坦面であり、
塗布フィルムは、前記粘着シートと密着しており、凹部、凸部、または凹凸部を備え、かつ、塗布フィルム裏面に前記粘着シート表面と符合する、言い換えれば嵌合する凹凸をなす凸部又は凹部又は凸凹部を備え、
もう一方の塗布フィルムは、前記粘着シートの表面に沿って平坦面からなる構成を備えたものとすることができる。
このように製造することにより、粘着シートの表面凹凸部、塗布フィルムの表面凹凸部は、同一箇所にそれぞれ対応して凹凸をなすものとすることができる。
すなわち、前記粘着シートの表面凹凸部は、前記被着体の貼り合わせ面(「貼合面」とも称する)における凹部又は凸部又は凹凸部(「被着体表面凹凸部」と称する)と符合するように、好ましくは同一輪郭形状に形成することができる。よって、被着体としての画像表示装置構成部材における被着体表面凹凸部に対して、賦形粘着シート積層体における粘着シートの表面凹凸部を嵌め合わせることができる。
そして、被着体としての画像表示装置構成部材とは、これら画像表示装置を構成する部材であり、例えば表面保護パネル、タッチパネル、画像表示パネルなどを挙げることができ、本賦形粘着シート積層体1は、例えば、表面保護パネル、タッチパネル及び画像表示パネルから選択されるいずれか2つの被着体を貼合するために用いることができる。例えば、表面保護パネルとタッチパネルとを、或いは、タッチパネルと画像表示パネルとを貼合するために用いることができる。ただし、被着体をこれらに限定するものではない。
ここで、本発明の粘着シート積層体の製造方法の詳細について説明する。
この際、成形加工方法としては、例えばプレス成形、真空成形、圧空成形、ロールによる賦形、積層による賦形などを挙げることができる。中でも成形性及び加工性の観点からプレス成形が特に好ましい。
粘着シート積層体をヒーターで予熱し、所定の温度に温まった段階で粘着シート積層体をプレス成形機に搬送し、予め被着体の印刷段差形状に相当する分の凹凸形状をかたどった金型でプレス加工を行うと共に冷却することで、粘着シート積層体の片面に金型形状を転写させて、片面に凹凸賦形された賦形粘着シート積層体を製造することができる。
また、プレス加工後の冷却は、型開き後に冷却してもよいし、金型を冷却しておき、プレスと同時に冷却するようにしてもよい。
また、成形加工後にトムソン刃やロータリー刃等を用いてカットしてもよい。
ここで、粘着シート積層体の利用用途の一例について説明する。
近年、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末などが汎用化されるに従い、使用者が誤って落下させる等によって画像表示部を破損する事例は多い。特に画像表示装置がタッチパネル方式である場合は、破損によって表示が見づらくなるばかりでなく、物理的障害や水の浸入等によってタッチパネル操作自体が不能となったり、故障の原因となったりする。そこで、画像表示部のみを交換するリペアすなわち修理が行われる場合がある。
画像表示装置のリペアにおいて、新たな画像表示部を装填する際にも粘着シートは使用される。通常、リペアは修理作業者による手作業として行われる場合が多く、修理作業者の熟練が必要である。すなわち、熟練者でないと、粘着シートを介して画像表示部を装填する際に、内部に空気が入ってしまったり、粘着材が食み出したりしてしまう。
これに対し、本発明の粘着シート積層体を用いれば、予め精度の高い段差形状等を付与することができるため、例えば画像表示装置の機種に応じた段差形状を予め粘着シートに付与しておくことにより、リペア作業が大幅に簡便化され、修理作業者の熟練を要しなくても実施することが可能となる。このように、本発明の粘着シート積層体は、画像表示装置のリペア用として有用に用いることができる。
得られたフィルムについて、長手方向が機械方向となるように、長手方向30mm×幅方向5mmのサンプルを採取した。次いで動的粘弾性装置(アイティー計測制御社製「DVA−220」)を用い、間隔を20mmにセットしたチャックにサンプルを挟んで固定した後、昇温速度が10℃/minにて常温〜200℃まで、周波数が10Hzにて貯蔵弾性率を測定した。得られたデータより、100℃での貯蔵弾性率を読み取った。
得られたフィルムの幅方向中央位置から、サンプル長手方向が測定方向となるように短冊状(15mm幅×150mm長)にサンプルを切り出し、無張力状態、120℃雰囲気下で5分間熱処理し、熱処理前後のサンプルの長さを測定して、下記式にてフィルムの熱収縮率(%)を計算した。なお、下記式におけるaは熱処理前のサンプル長、bは熱処理後のサンプル長である。
加熱収縮率(%)=[(a−b)/a]×100
得られたフィルムを、窒素雰囲気下、180℃の熱風循環オーブンにてポリエステルフィルムを10分間処理した。熱処理後のポリエステルフィルムの表面をDMF(ジメチルホルムアミド)と3分間接触させ、表面に析出したオリゴマーを溶解させた。かかる操作は、例えばポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準において、溶出試験の中の片面溶出法に用いる溶出用器具に記載されている方法が採用できる。
次いで得られたDMFを必要に応じて希釈等の方法で濃度を調整し、液体クロマトグラフィー(島津LC−2010)に供給してDMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/cm2)とした。
DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解して作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体として、数平均分子量2400のポリメタクリル酸メチルマクロモノマー(Tg:105℃)15質量部(18mol%)とブチルアクリレート(Tg:−55℃)81質量部(75mol%)とアクリル酸(Tg:106℃)4質量部(7mol%)とがランダム共重合してなるアクリル系共重合体(重量平均分子量23万)1kgと、架橋剤として、グリセリンジメタクリレート(日油社製、製品名:GMR)(b−1)90gと、光重合開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンの混合物(Lanberti社製、製品名:エザキュアTZT)15gを均一混合し、粘着シートに用いる樹脂組成物を作製した。
得られた樹脂組成物を実施例、比較例に示すポリエステルフィルから得られる離型フィルムを2枚で上下から挟み(上下の組み合わせは同じ離型フィルム同士で挟むものとする。)、ラミネータを用いて樹脂組成物の厚みが100μmとなるようにシート状に賦形し、粘着シート積層体を作製した。なお、ポリエステルフィルムの離型層側を樹脂組成物に接するように配置した。
得られた粘着シート積層体は、真空圧空成形機(第一実業社製、FKS−0632−20形)を用いて以下のプロセスで熱成形を行い、賦形粘着シート積層体を作製した。すなわち、400℃に予熱したIRヒーターで、粘着シート積層体の表面が100℃になるまで加熱し、続いて25℃に冷却した成形用金型を用いて、型締圧8MPaの条件で5秒間プレス成形を行い、表面に凹凸賦形してなる賦形粘着シート積層体を作製した。
凹凸を賦形した賦形粘着シート積層体のポリエステルフィルムを剥離し、賦形粘着シートの凹部と凸部との高さを、それぞれ走査型白色干渉顕微鏡を用いて非接触方式で計測し、成形体の高さをhとした。
金型の深さ100μmに対する成形体の凸部の高さhを計測し、下記計算式より導かれる転写率が70%以上のものを○、50%以上70%未満のものを△、50%未満のものを×としてそれぞれ評価した。
転写率(%)=h(成形体高さ)/100(金型深さ)×100
(4)に記載する方法で得られた、プレス成型前の粘着層積層体の外観を以下に示す評価方法でそれぞれ評価した。
<評価方法>
○:シワ無くラミネートされていて、良好な外観を保てている。
×:フィルムにシワが発生し粘着層にシワが転写して、製品として使えない状態である。
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール70部、および酢酸カルシウム一水塩0.07部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノール留去させエステル交換反応を行い、反応開始後、約4時間半を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。
次に燐酸0.04部および三酸化アンチモン0.035部を添加し、常法に従って重合した。すなわち、反応温度を徐々に上げて、最終的に280℃とし、一方、圧力は徐々に減じて、最終的に0.05mmHgとした。4時間後、反応を終了し、常法に従い、チップ化してポリエステルAを得た。得られたポリエステルチップの極限粘度IVは、0.70dl/gであった。
上記ポリエステルAの製造方法において、ジカルボン酸単位として、テレフタル酸を78mol%、イソフタル酸を22mol%とした以外は、ポリエステルAと同様な方法で製造しポリエステルBを得た。得られたポリエステルチップの極限粘度IVは、0.70dl/gであった。
上記ポリエステルAを製造する際、平均粒径3μmの非晶質シリカを6000ppm添加し、ポリエステルCを作成した。
上記ポリエステルAを製造する際、平均粒径4μmの非晶質シリカを6000ppm添加し、ポリエステルDを作成した。
上記ポリエステルB、A、およびDをそれぞれ65重量%、30重量%、5重量%の割合で混合した原料を、溶融押出機により溶融押出して単層の無定形シートを得た。
次いで、冷却したキャスティングドラム上に、シートを共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、機械方向(縦方向)に80℃で3.4倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て機械方向と垂直方向(横方向)に80℃で3.9倍延伸した。二軸延伸をした後は、185℃で3秒間の熱処理を行い、その後に幅方向に6.4%の弛緩処理を行い、厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。評価結果を下記表1に示す。
下記表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果は下記表1に示す。
上記ポリエステルAおよびCを、86重量%、14重量%の割合でそれぞれ混合した原料を表層用の原料とし、ポリエステルBおよびAを、45重量%、55重量%の割合でそれぞれ混合した原料を中間層用の原料とした。それぞれ異なる溶融押出機により溶融押出して、2種3層積層(表層/中間層/表層)の無定形シートを得た。
次いで、冷却したキャスティングドラム上にシートを共押出して、冷却固化させることで無配向シートを得た。次いで、機械方向(MD)に82℃で3.4倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て機械方向と垂直方向(幅方向、TD)に110℃で3.9倍延伸した。二軸延伸をした後は、210℃で3秒間の熱処理を行い、その後に幅方向に2.4%の弛緩処理を行い、厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。評価結果は下記表1に示す。
下記表1に示す条件に変更した以外は、実施例4と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果は下記表1に示す。
下記表2に示す条件に変更した以外は、実施例4と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果は下記表2に示す。
下記表2に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。評価結果は下記表2に示す。
Claims (5)
- 共重合ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層を設けた塗布フィルムが、粘着シートの両面にそれぞれ前記塗布層を介して積層してなる構成を備えた粘着シート積層体であり、
前記塗布フィルムは、100℃での貯蔵弾性率E’が1.5×109Pa以下であり、かつ、120℃で5分間加熱後の収縮率が3.0%以下であることを特徴とする粘着シート積層体。 - 前記塗布フィルムは、100℃の貯蔵弾性率E’が、1.0×108Pa以上である請求項1に記載の粘着シート積層体。
- 前記塗布フィルムは、180℃で10分間加熱後の表面オリゴマー量が1.0×10−3mg/cm2以下である請求項1または2に記載の粘着シート積層体。
- 前記塗布層が硬化型シリコーン樹脂を含有する離型層である、請求項1〜3のいずれかに記載の粘着シート積層体。
- 前記粘着シートの少なくとも一方の表面に凹形状、凸形状、または凹凸形状を備えた請求項1〜4のいずれかに記載の粘着シート積層体。
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