以下、図面を参照して、実施形態に係る画像処理装置及び画像処理方法を説明する。なお、以下では、実施形態に係る画像処理装置を含むX線診断装置を一例として説明する。また、以下では、実施形態に係る画像処理装置による画像処理の対象となる画像の一例として、X線画像について説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1を用いて第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を説明する。図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、高電圧発生装置101と、X線源102と、天板103と、X線検出器104と、保持アーム105と、ディスプレイ106と、入力回路107と、記憶回路108と、処理回路109とを備える。
高電圧発生装置101は、処理回路109による制御の下、高電圧を発生し、発生した高電圧をX線源102に供給する。X線源102は、X線管102aと、X線絞り102bとを備える。X線管102aは、高電圧発生装置101から供給された高電圧を用いてX線を発生する。X線絞り102bは、被検体Pに対する被ばく量の低減と画像の画質向上を目的とし、X線の照射野を制御する。
天板103は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台の上に配置される。X線検出器104は、X線検出素子を複数有し、被検体Pを透過したX線について信号強度の分布データを検出し、検出した分布データを処理回路109に送信する。保持アーム105は、X線源102とX線検出器104とを、被検体Pを挟んで対向するように保持する。
ディスプレイ106は、操作者によって参照されるモニタであり、処理回路109による制御の下、種々のX線画像を表示する。ディスプレイ106は、据え置きのモニタであってもよいし、携帯可能な端末(ノート型のPC(Personal Computer)やタブレット式PCといった携帯可能なPC、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等)の表示画面であってもよい。例えば、ディスプレイ106は、疑似階調処理を受けたX線画像や、疑似階調処理を受けないX線画像を表示する。なお、ディスプレイ106が表示するX線画像、及び、疑似階調処理については後述する。また、以下では、一例として、ディスプレイ106が、RGB(Red Green Blue)の各色について「8bit(256階調)」の階調で画像を表示するカラーモニタである場合について説明する。
入力回路107は、各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等を有し、操作者からの指示や設定の情報を、処理回路109に転送する。例えば、入力回路107は、ディスプレイ106に表示されたX線画像に対する一部の領域を指定する操作を操作者から受け付ける。また、例えば、入力回路107は、表示モードの切り替え操作を操作者から受け付ける。なお、一部の領域の指定、及び、表示モードについては後述する。
記憶回路108は、処理回路109がX線診断装置1による処理の全体を制御する際に用いるデータを記憶する。例えば、記憶回路108は、処理回路109によって実行される各プログラムを記憶する。また、記憶回路108は、各種の画像データを記憶する。また、記憶回路108は、X線画像の階調の各段階と、ディスプレイ106における複数の画素の表示パターンとを対応付けた対応情報を記憶する。なお、対応情報については後述する。
処理回路109は、制御機能109aと、画像生成機能109bと、変換機能109cと、表示制御機能109dと、領域指定機能109eと、受付機能109fと、関心領域設定機能109gを実行する。図1における実施形態では、構成要素の制御機能109a、画像生成機能109b、変換機能109c、表示制御機能109d、領域指定機能109e、受付機能109f及び関心領域設定機能109gにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路108へ記録されている。処理回路109はプログラムを記憶回路108から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路109は、図1の処理回路109に示された各機能を有することとなる。なお、図1においては単一の処理回路にて、制御機能109a、画像生成機能109b、変換機能109c、表示制御機能109d、領域指定機能109e、受付機能109f及び関心領域設定機能109gにて行われる処理機能が実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device;SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device;CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA))などの回路を意味する。プロセッサは記憶回路108に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路108にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
第1の実施形態における画像生成機能109bは、特許請求の範囲における画像生成部の一例である。また、第1の実施形態における変換機能109cは、特許請求の範囲における変換部の一例である。また、第1の実施形態における表示制御機能109dは、特許請求の範囲における表示制御部の一例である。また、第1の実施形態における領域指定機能109eは、特許請求の範囲における領域指定部の一例である。また、第1の実施形態における受付機能109fは、特許請求の範囲における受付部の一例である。また、第1の実施形態における関心領域設定機能109gは、特許請求の範囲における関心領域設定部の一例である。
処理回路109は、X線診断装置1による処理の全体を制御する。X線診断装置1による処理とは、例えば、X線画像の撮影やX線画像の表示など、X線画像を用いる検査に係る一連の処理である。例えば、処理回路109は、投影データの収集処理を制御する。また、例えば、処理回路109は、収集した投影データを用いてX線画像を生成する。そして、処理回路109は、生成した種々のX線画像を記憶回路108に格納する。
また、処理回路109は、記憶回路108が記憶するX線画像における一部の領域を指定する。また、処理回路109は、記憶回路108が記憶する対応情報に基づいて、生成したX線画像における一部の領域に含まれる各画素の階調の段階を、対応する表示パターンに変換する。また、処理回路109は、投影データに基づいて生成したX線画像の一部の領域に含まれる複数の画素を、対応情報に基づいて変換された表示パターンで示したX線画像を生成する。また、処理回路109は、表示パターンで示したX線画像を、ディスプレイ106に表示させる。なお、この点については後述する。
以上、第1の実施形態に係るX線診断装置1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、被検体Pを透過したX線に基づいて生成したX線画像における各画素の階調を、所定の対応情報に基づいて対応する表示パターンに変換し、画素を表示パターンで示したX線画像を生成することで、X線画像を用いる検査の精度を向上させる。
ここで、まず、ディスプレイ106にX線画像を表示する際の階調の変換について説明する。例えば、X線診断装置1が「10bit(1024階調)」で表示用のX線画像を生成して、「8bit(256階調)」のディスプレイ106(例えば、RGB各8bit(256色)のディスプレイ)に表示する場合、白黒の明度が「1024段階」で表現されたX線画像を「256段階」の明度に変換する。すなわち、X線画像において「4段階」の明度が「1段階」の明度に変換されることとなり、X線画像において異なる明度の画素がディスプレイ106では、同一の明度で表現されることとなる。
このように表示段階で減色されると、観察者によって観察される画像は、元の階調情報が失われてしまい、場合によっては、白とびや等高線のように見えてしまうこともある。そこで、第1の実施形態に係るX線診断装置1においては、ディスプレイ106にX線画像を表示させる前の段階においてX線画像に疑似階調処理を施し、疑似的に元の階調情報を示すX線画像をディスプレイ106に表示させる。
ここで、まず、X線診断装置1によって実行される階調の変換の詳細について説明する。図2は、X線画像の表示について説明するための図である。なお、図2においては、上段にX線診断装置1の本体側での処理(内部処理)を示し、下段に表示システム(例えば、ディスプレイ106)側での処理(外部処理)を示す。例えば、X線診断装置1は、図2の上段に示すように、X線検出器104によって検出されたピクセルデータ(投影データ)に対して画像処理を実行し、内部LUTを当てることで、多階調のX線画像を生成する。すなわち、X線診断装置1の本体側では、例えば、図2の上段に示すように、ピクセルデータからX線画像まで、「10bit」のデータで処理を実行する。なお、X線診断装置1においては、記憶回路108によって記憶されるデータも「10bit」のままである。
そして、生成したX線画像をディスプレイ106に表示させる場合に、表示システムが、多階調のX線画像を受信し、表示用減色LUTを当て、モニタγ処理を実行することで、X線画像の階調を「10bit」から「8bit」へ変換する。そして、ビデオカードが「8bit」のX線画像をディスプレイ106から出力させる。このように、X線診断装置1においては、ディスプレイ106が表示する階調よりも階調の多いX線画像を表示させる際に、ディスプレイ106が保持するLUTに従い、階調を単純に間引いたうえでX線画像を表示する。
第1の実施形態に係るX線診断装置1では、この階調の変換処理を行う前に、X線画像に疑似階調処理を施し、表示用減色LUTが当てられた場合でも、元の階調情報を保持したX線画像を表示する。これにより、例えば、単純間引きによる階調の変換処理で見えなくなっていた情報を表示させることができる。図3は、X線画像の表示について説明するための図である。図3においては、左側にディスプレイ106に表示される前(内部処理の段階)でのX線画像の元データを示し、右側に単純間引きによって表示されたX線画像を示す。
例えば、図3の左側の図に示すように、生成されたX線画像に情報として文字「あ」が含まれていたとする。この場合、元データは多階調であることから、文字「あ」の部分と背景部分で階調の段階が異なり、異なる色となる。しかしながら、元データに対して単純に階調の変換を行うと、図3の右側の図に示すように、文字「あ」の部分と背景部分とが同じ色に変換され、情報として識別することができない。そこで、X線診断装置1は、ディスプレイ106の有する階調への変換前に疑似階調処理を行うことにより、ディスプレイ106の階調への変換を行ったとしても情報を識別することができるX線画像を表示させる。すなわち、X線診断装置1は、図3のX線画像をディスプレイ106に表示させた際に、文字「あ」が識別可能となるX線画像をディスプレイ106に表示させる。以下、第1の実施形態に係るX線診断装置1が行う処理について詳細に説明する。
まず、制御機能109aは、高電圧発生装置101、X線源102、天板103、X線検出器104及び保持アーム105を含む撮像系を制御して、投影データを収集する。具体的には、制御機能109aは、上記撮像系を制御することで、被検体Pに対してX線を曝射し、被検体Pを透過したX線をX線検出器104で検出する。そして、制御機能109aは、X線検出器104によってX線から変換された電気信号を用いて投影データを生成し、生成した投影データを記憶回路108に格納する。例えば、制御機能109aは、X線検出器104から受信した電気信号に対して、電流・電圧変換やA(Analog)/D(Digital)変換、パラレル・シリアル変換を行い、投影データ(ピクセルデータ)を生成する。
次に、画像生成機能109bは、収集した投影データ(ピクセルデータ)を用いてX線画像を生成する。具体的には、画像生成機能109bは、投影データ(ピクセルデータ)に対して各種画像処理を行い、内部LUTを当ててX線画像を生成する。なお、以下では、被検体Pを透過したX線に基づいて、画像生成機能109bが生成するX線画像を、第1のX線画像とも記載する。第1のX線画像は、特許請求の範囲における第1の画像の一例である。
また、変換機能109cは、第1の階調の各段階と、第1の階調より少ない第2の階調にて画像を表示するディスプレイ106における複数の画素の表示パターンとを対応付けた対応情報に基づいて、第1のX線画像における各画素の第1の階調における段階を、対応する表示パターンに変換する。また、表示制御機能109dは、第1のX線画像の一部の領域に含まれる複数の画素を、変換機能109cによって変換された表示パターンで示したX線画像をディスプレイ106に表示させる。以下、図4を用いて、これらの処理を説明する。なお、以下では、一例として、第1のX線画像が「10bit(1024階調)」の階調を有するモノクロ画像である場合について説明する。ここで、モノクロ画像の階調とは、X線画像にて表現される色相の明度についての階調をいう。また、以下では、第1のX線画像の各画素が示す階調を、第1の階調とも記載する。また、以下では、ディスプレイ106の各画素が示す階調を、第2の階調とも記載する。また、以下では、第1の階調が、第2の階調よりも多い場合について説明する。
図4に示すように、画像生成機能109bが第1のX線画像を生成すると、変換機能109cは、第1のX線画像をディスプレイ106に出力するのに先立ち、疑似階調処理を行うか否かの判定処理を行い、また、疑似階調処理を行うと判定した場合、第1のX線画像に対して疑似階調処理を施す。ここで、変換機能109cが実行する疑似階調処理とは、第1のX線画像の各画素が有する第1の階調を、ディスプレイ106が表示する第2の階調を用いて表現することで、第1のX線画像の各画素が有していた階調情報を疑似的にディスプレイ106上に表現する処理をいう。なお、図4は、第1の実施形態に係るX線画像の表示について説明するための図である。また、図4においては、上段にX線診断装置1の本体側での処理(内部処理)を示し、下段に表示システム(例えば、ディスプレイ106)側での処理(外部処理)を示す。以下、変換機能109cが実行する疑似階調処理の一例について、図5を用いて説明する。ここで、図5は、第1の実施形態に係る疑似階調処理を説明するための図である。なお、図5の左図は、ディスプレイ106の階調の一部を示す。また、図5においては説明の便宜上、「256階調」のうちの「4段階」の色を示すが、実際には、「256階調」すべてに対して下記の内容が適用される。
例えば、画像生成機能109bによって生成された「10bit」の第1のX線画像は、1024の段階(白黒の濃淡)で表現される。この第1のX線画像は、表示用減色LUTにより「8bit」に変換すると、256の段階に減色されることとなる。すなわち、元の階調情報が「1/4」となる。そこで、この場合の対応情報は、256の段階を用いて「1024段階」それぞれを表現するための表示パターンが用いられる。例えば、図5に示すように、ディスプレイ106の階調の「1段階(1色)」に減色されてしまう第1のX線画像の「4段階(4色)」に対して、4つの表示パターンを対応づけた表示パターンが、記憶回路108によって予め記憶される。ここで、図5に示す表示パターンは、ディスプレイ106の階調によって表現されるため、4倍の階調情報を表現するために4つの画素が用いられる。このような表示パターンを用いて第1のX線画像の階調情報を変換することにより、ディスプレイ106の階調を用いて、元の階調情報を表現することができる。変換機能109cは、記憶回路108によって記憶された対応情報を参照して、第1のX線画像の各画素を当該画素の色に対応する表示パターンに変換する。
なお、図5においては、「256色」で「1024色」の情報を表現するために4倍の画素数を用いる場合を例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、ディスプレイ106の階調と第1のX線画像の階調に応じて、それぞれの対応情報が生成され、記憶回路108に格納される。例えば、記憶回路108は、「256色」で「4096色」の情報を表現するために16倍の画素数を用いた表示パターンの対応情報を記憶する。変換機能109cは、第1のX線画像の階調と表示先のディスプレイ106の階調とに基づいて用いる対応情報を選択し、選択した対応情報を用いて変換処理を実行する。
まず、変換機能109cは、記憶回路108から、第1の階調の各段階と、第2の階調にて画像を表示するディスプレイ106における複数の画素の表示パターンとを対応付けた対応情報を取得する。ここで、第1の階調の各段階とは、例えば、第1のX線画像における「1024階調」の各段階である。また、表示パターンとは、図5の右図に示すように、図5の左図に示すディスプレイ106の階調を用いて、元のX線画像の階調の各段階を示したものである。なお、以下では、対応情報を用いて、第1の階調の各段階を対応する表示パターンに変換する処理を、ディザ処理とも記載する。
即ち、変換機能109cは、ディザ処理によって、第1のX線画像の各画素の階調を、ディスプレイ106の各画素が表示する階調を用いて表現することができる。例えば、変換機能109cは、ディスプレイ106が表示する「8bit」の階調の「256段階」の色を用いて、第1のX線画像の各画素が有していた「10bit」の階調の「1024段階」の色を表現することができる。言い換えると、変換機能109cは、ディザ処理により、例えば、「10bit」の階調を有する第1のX線画像を、「8bit」で表現することができる。
また、「1024通り」のパターンに各画素が変換されたX線画像は、表示制御機能109dにより、ディスプレイ106に表示される。ここで、「1024通り」のパターンは、操作者が画像を観察する際の視覚効果により、「1024段階」の色として認識される。言い換えると、操作者が目にするX線画像は、実際にはディスプレイ106が表示する「8bit」の画像であるが、視覚効果により、「10bit」の画像として認識され
る。
従って、変換機能109cは、ディザ処理により、疑似的に階調の中間色を表現することができる。また、変換機能109cは、ディザ処理により疑似的に見た目上の階調を増やすことで、例えば、「8bit」のディスプレイ106上に、第1のX線画像の各画素が有していた「10bit」の階調情報を表現することができる。なお、以下では、「10bit」のX線画像を、ディザ処理により、「8bit」で表現したX線画像を、「疑似10bit」のX線画像と記載する。
「疑似10bit」に変換されたX線画像は、画素単位で見れば既に「8bit」である。従って、疑似階調処理を受けたX線画像は、ディスプレイ106が有する表示用減色LUTによる減色を受けず、「10bit」の階調情報に相当する情報を有したまま、ディスプレイ106に表示される。また、疑似階調処理を受けた「疑似10bit」のX線画像、及び、疑似階調処理を受ける前の「10bit」のX線画像は、記憶回路108に記憶される。
上述した例では、変換機能109cが、第1のX線画像の各画素を4つの画素において表現するディザ処理により、「256段階」の色を「1024段階」の色として表現する場合について説明した。しかし、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、変換機能109cは、第1のX線画像の各画素を、「3×3」の9つの画素により表現するディザ処理により、「256段階」の色を「2304段階」の色として表現することができる。また、例えば、変換機能109cは、第1のX線画像の各画素を、「4×4」の16の画素により表現するディザ処理により、「256段階」の色を「4096段階」の色として表現することができる。
上述したように、変換機能109cは、疑似階調処理によって疑似的に階調数を増加させることで、元データに含まれていた情報が失われることを防ぐことができる。更に、変換機能109cは、疑似階調処理により、階段状のノイズを低減することができる。ここで、疑似階調処理による階段状のノイズの低減について、図6を用いて説明する。図6は、第1の実施形態に係る疑似階調処理を説明するための図である。例えば、図6の上図に示す「8段階」の色の元データを、疑似階調処理を行わないでディスプレイ106に表示させた場合、図6の中図に示すように、表示用減色LUTでの単純減色により、「4段階」の色まで減色された画像が表示される。一方で、図6の上図に示す「8段階」の色の元データを、図6の下図に示すように、疑似階調処理を行ってディスプレイ106に表示させた場合、「4段階」の色で表示される点は同様であるものの、表示パターンにより中間色を表現することで、階段状のノイズを低減し、全体に滑らかな画像を表示することができる。
また、上述したように、変換機能109cが実行するディザ処理は、第1のX線画像の各画素の階調を、複数の画素での色の組み合わせである表示パターンに変換する処理である。従って、ディザ処理の実行に際しては、図7に示すように、X線画像の画素数の増加を伴う。図7は、第1の実施形態に係る疑似階調処理を説明するための図である。例えば、図7の左図に示すX線画像の「1画素」を、図7の右図に示す「2×2」の「4画素」により表現するディザ処理を施したX線画像の画素数は、元の画像に対して4倍まで増加する。
ここで、X線画像が有する画素数によって、ディザ処理により見た目上の階調数が増加する効果が得られなくなる場合がある。即ち、ディザ処理は、第1のX線画像の各画素を、ディスプレイ106上の複数の画素で表現する処理であるので、ディスプレイ106の画素数に対する第1のX線画像の画素数によっては、第1のX線画像の各画素をディスプレイ106上の複数画素で表示することができず、ディザ処理による視覚効果が得られない場合がある。
そこで、変換機能109cは、疑似階調処理の実行に先立ち、疑似階調処理を行うか否かの判定処理を行う。まず、変換機能109cは、例えば、画素数が「512×512」であり階調数が「10bit」である第1のX線画像を、疑似階調処理により、画素数が「1024×1024」であり階調数が「疑似10bit」であるX線画像に変換する。ここで、例えば、ディスプレイ106の全体画素数が「512×512」である場合は、変換後のX線画像における「4画素」(変換前の第1のX線画像における「1画素」)を、ディスプレイ106上の「1画素」で表現することとなる。この場合、ディザ処理後のX線画像をディスプレイ106に表示することはできないため、変換機能109cは、判定処理において、疑似階調処理を行わないと判定する。
一方で、例えば、ディスプレイ106が、大画面モニタや高解像度のモニタであり、疑似階調処理後のX線画像を表示可能な場合、ディザ処理を施すことでX線画像の画素数が増大しても、ディスプレイ106に表示することができる。従って、変換機能109cは、ディスプレイ106の画素数が十分に大きい場合は、判定処理において、階調数を補間したX線画像の表示ができると判定し、疑似階調処理を行う。即ち、変換機能109cは、判定処理において、ディスプレイ106の画素数とX線画像の画素数との関係において、階調数を補間したX線画像の表示の可否を判定し、表示可能と判定した場合に疑似階調処理を行う。なお、変換機能109cは、判定処理において、例えば、ディスプレイ106の表示する階調数よりも第1のX線画像の階調数が小さい場合等、疑似階調処理を行う必要がない場合は、疑似階調処理を行わないと判定する。
また、表示制御機能109dがディスプレイ106に表示させるX線画像が、画像生成機能109bが生成したX線画像の全体でなく、X線画像の一部の領域である場合には、変換機能109cは、X線画像の一部の領域について判定処理を行い、X線画像の一部の領域に含まれる画素について疑似階調処理を行う。例えば、X線画像全体のうち一部の領域のみを拡大表示する場合には、変換機能109cは、表示する一部の領域に相当する画素数とディスプレイ106の画素数との関係に基づいて、階調数を補間したX線画像の表示ができるか否かを判定することができる。以下、X線画像の拡大表示を伴う疑似階調処理について、図8を用いて説明する。図8は、第1の実施形態に係る階調補間モードについて説明するための図である。
例えば、まず、表示制御機能109dは、図8の左上図に示すように、ディスプレイ106に、疑似階調処理を行っていないX線画像の全体を表示させる。即ち、表示制御機能109dは、第1のX線画像における各画素の第1の階調の各段階を第2の階調において対応する段階に置換したX線画像を、ディスプレイ106に表示させる。
次に、受付機能109fは、第1のX線画像における各画素の第1の階調の各段階を第2の階調において対応する段階に置換してディスプレイ106に表示されたX線画像に対する操作を、操作者から受け付ける。例えば、受付機能109fは、図8の左上図に示すX線画像を参照した操作者から、X線画像の全体のうち、拡大して表示する一部の領域の指定を受け付ける。一例を挙げると、受付機能109fは、入力回路107が備えるマウス操作を通じて調整される図8の左上図に示す矩形の領域を、拡大表示する一部の領域として受け付ける。
次に、領域指定機能109eは、受付機能109fが受け付けた操作に基づいて、第1のX線画像における一部の領域を指定する。例えば、操作者によって図8の左上図に示す矩形の領域を指定する操作がされた場合、領域指定機能109eは、図8の左上図に示す矩形の領域を、第1のX線画像における一部の領域として指定する。
また、変換機能109cは、X線画像全体のうち拡大操作を受けた一部の領域について、疑似階調処理を行ってディスプレイ106上に表示できるか否かを判定する。ここで、疑似階調処理を行った一部の領域をディスプレイ106上に表示できると判定した場合、変換機能109cは、対応情報に基づいて、一部の領域に含まれる各画素の第1の階調における各段階を対応する表示パターンに変換する。即ち、変換機能109cは、指定された一部の領域について疑似階調処理を実行し、X線画像を「疑似10bit」に変換する。
次に、画像生成機能109bは、一部の領域に含まれる複数の画素を変換機能109cによって変換された表示パターンで示したX線画像(以下、第2のX線画像とも記載する)を生成する。例えば、画像生成機能109bは、「10bit」の第1のX線画像から、「疑似10bit」の第2のX線画像を生成する。なお、第2のX線画像は、第1のX線画像の一部の領域のみに対応する画像であってもよいし、一部の領域を含む第1のX線画像の領域に対応する画像であってもよい。また、第2のX線画像は、特許請求の範囲における第2の画像の一例である。
そして、表示制御機能109dは、図8の右下図に示すように、画像生成機能109bが生成した第2のX線画像を、ディスプレイ106に表示させる。即ち、表示制御機能109dは、「疑似10bit」のX線画像をディスプレイ106に表示させる。なお、図8において、第2のX線画像は、第1のX線画像の一部の領域のみに対応する画像である。
一方、画素数が足りない場合、あるいは、疑似階調処理を行わない設定の場合、変換機能109cはX線画像全体のうち拡大操作を受けた領域についての疑似階調処理を実行せず、表示制御機能109dは、図8の右上図に示すように、「8bit」のX線画像を拡大して表示する。なお、以下では、疑似階調処理を行ったX線画像を表示するモード(即ち、第2のX線画像を表示するモード)を階調補間モードと記載し、疑似階調処理を行わないX線画像を表示するモードを通常モードと記載する。
また、以下では、通常モードで表示制御機能109dがディスプレイ106に表示させたX線画像を、第3のX線画像とも記載する。例えば、図8の右上図に示すX線画像は第3のX線画像である。第3のX線画像は、第1のX線画像の一部の領域のみに対応する画像であってもよいし、一部の領域を含む第1のX線画像の領域に対応する画像であってもよい。図8における第3のX線画像は、第1のX線画像の一部の領域のみに対応する画像である。また、第3のX線画像は、特許請求の範囲における第3の画像の一例である。
一例を挙げると、変換機能109cは、図8の右下図に示すように、X線画像の一部を拡大して表示させる際に、自動的に階調補間モードに切り替え、表示制御機能109dは、「疑似10bit」のX線画像をディスプレイ106に表示させる。なお、通常モードと階調補間モードとの切り替えは自動であってもよいし、操作者が切り替える場合であってもよい。例えば、表示制御機能109dは、入力回路107が備えるボタンの押下を受けて、画像の表示モードを切り替えることができる。
以下、X線画像の拡大操作を伴う疑似階調処理について、より具体的に説明する。なお、以下では、一例として、ディスプレイ106の全体の画素数が「512×512」であり、画像生成機能109bが生成した第1のX線画像の全体の画素数が「512×512」である場合について説明する。例えば、図8の左上図において、ディスプレイ106は第1のX線画像の全体を表示し、ディスプレイ106の「1画素」が、第1のX線画像の「1画素」を表示する。また、以下では、一例として、表示制御機能109dが、第1のX線画像全体のうちの指定された一部の領域を、「2倍」に拡大してディスプレイ106に表示させる場合について説明する。例えば、図8の右上図において、ディスプレイ106は、第1のX線画像全体のうちの「1/4」の領域を表示し、ディスプレイ106の「2×2」の「4画素」が、第1のX線画像の「1画素」を表示する。
例えば、まず、変換機能109cは、図8の左上図に示すX線画像の全体のうち操作者が指定した一部の領域について、疑似階調処理を実行する。例えば、変換機能109cは、第1のX線画像における「1画素」を、「2×2」の「4画素」で表現する疑似階調処理を実行する。次に、画像生成機能109bは、図8の左上図に示すX線画像の一部の領域に含まれる複数の画素を、疑似階調処理により変換された表示パターンで示した第2のX線画像を生成する。次に、表示制御機能109dは、画像生成機能109bが生成した第2のX線画像を、図8の右下図に示すように、ディスプレイ106に表示させる。
上述したように、X線画像全体のうちの拡大操作を受けた一部を表示する場合、ディスプレイ106の画素数に対して、表示するX線画像の画素数が低下するため、ディザ処理後のX線画像をディスプレイ106に表示するための余裕が生じる。従って、例えば、ディスプレイ106の画素数の制限(例えば、X線画像の画素数が大きい場合や、ディスプレイ106の画素数が小さい場合等)により、ディザ処理を行ったX線画像の全体を表示できない場合であっても、X線画像の一部の領域を拡大して表示することで、ディザ処理を行ったX線画像の表示が可能となる。
また、変換機能109cは、ディスプレイ106の画素数と、表示するX線画像の画素数との関係において、疑似階調処理の内容を決定することができる。例えば、表示制御機能109dは、元データの階調数が「10bit」から更に大きくなっても、X線画像を拡大する倍率を調整することにより、階調補間モードでX線画像を表示させることができる。図8においては、X線画像全体のうちの指定された一部の領域を「2倍」(第1のX線画像全体のうちの「1/4」の領域を表示する表示倍率)に拡大してディスプレイ106に表示させる際に、変換機能109cが、第1のX線画像の「1画素」をディスプレイ106上の「4画素」を用いて表現する疑似階調処理を行う場合について説明した。ここで、例えば、X線画像全体のうちの指定された一部の領域を「4倍」(第1のX線画像全体のうちの「1/16」の領域を表示する表示倍率)に拡大してディスプレイ106に表示させる際には、変換機能109cは、第1のX線画像の「1画素」をディスプレイ106上の「4×4」の「16画素」を用いて表現する疑似階調処理を行うことができる。即ち、変換機能109cは、「12bit」のX線画像を「8bit」のディスプレイ106に表示する場合、第1のX線画像における「1画素」を、ディスプレイ106における「16画素」で表現する疑似階調処理により、X線画像を「12bit」から「疑似12bit」に変換する。そして、表示制御機能109dは、例えば、X線画像の一部を「4倍」に拡大してディスプレイ106上に表示させるとともに、「疑似12bit」のX線画像を表示する。
次に、X線診断装置1による処理の手順の一例を、図9を用いて説明する。図9は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS101、ステップS102及びステップS110は、制御機能109aに対応するステップである。ステップS103は、画像生成機能109bに対応するステップである。ステップS106は、変換機能109c及び画像生成機能109bに対応するステップである。ステップS104、ステップS107、ステップS108及びステップS109は、表示制御機能109dに対応するステップである。ステップS105は、領域指定機能109e及び受付機能109fに対応するステップである。
まず、処理回路109は、操作者から検査開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。検査開始要求を受け付けない場合(ステップS101否定)、処理回路109は待機状態となる。一方、検査開始要求を受け付けた場合(ステップS101肯定)、処理回路109は、被検体Pに対し撮影を実行し(ステップS102)、被検体Pから収集した信号に基づきX線画像を生成する(ステップS103)。
次に、処理回路109は、生成したX線画像の全体をディスプレイ106に表示させ(ステップS104)、操作者から拡大操作を受け付け、X線画像における一部の領域を指定する(ステップS105)。そして、処理回路109は、X線画像の全体のうち指定された一部の領域について、疑似階調処理を実行し、第2のX線画像を生成する(ステップS106)。また、処理回路109は、疑似階調処理を実行したX線画像(第2のX線画像)をディスプレイ106に表示させる(ステップS107)。
ここで、処理回路109は、表示モードの切り替え操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS108)。表示モードの切り替え操作を受け付けた場合(ステップS108肯定)、処理回路109は、操作の内容に応じて、疑似階調処理を実行したX線画像又は疑似階調処理を実行していないX線画像をディスプレイ106に表示させる(ステップS109)。一方、表示モードの切り替え操作を受け付けない場合(ステップS108否定)、処理回路109は、操作者から終了コマンドを受け付けたか否かを判定する(ステップS110)。終了コマンドを受け付けない場合(ステップS110否定)、処理回路109は、再度ステップS108に移行する。一方、終了コマンドを受け付けた場合(ステップS110肯定)、処理回路109は処理を終了する。
なお、ステップS107において、処理回路109は、疑似階調処理を実行していないX線画像をディスプレイ106に表示させる場合であってもよい。また、ステップS106において、拡大操作を受けた一部の領域について疑似階調処理を実行する場合について説明したが、予め第1のX線画像の全体について疑似階調処理を施し、第1のX線画像の全体のうちの拡大操作を受けた一部の領域に応じて、第2のX線画像を生成する場合であってもよい。また、処理回路109は、ステップS106における疑似階調処理に先立ち、疑似階調処理を行ったX線画像をディスプレイ106に表示できるか否かの判定を行うものとしてもよい。
上述したように、第1の実施形態によれば、画像生成機能109bは、被検体Pを透過したX線に基づいて、各画素が第1の階調で示される第1のX線画像を生成する。また、領域指定機能109eは、第1のX線画像における一部の領域を指定する。また、変換機能109cは、第1の階調の各段階と、第1の階調より少ない第2の階調にて画像を表示するディスプレイ106における複数の画素の表示パターンとを対応付けた対応情報に基づいて、第1のX線画像における一部の領域に含まれる各画素の第1の階調における段階を、対応する表示パターンに変換する。また、画像生成機能109bは、第1のX線画像の一部の領域に含まれる複数の画素を、変換機能109cによって変換された表示パターンで示した第2のX線画像を生成する。また、表示制御機能109dは、画像生成機能109bが生成した第2のX線画像をディスプレイ106に表示させる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、ディスプレイ106での単純減色によると失われてしまう情報を操作者に提示し、X線画像を用いた検査の精度を向上させることができる。
また、上述したように、第1の実施形態に係る表示制御機能109dは、RGBの各色について「8bit(256階調)」の階調で画像を表示するカラーモニタであるディスプレイ106に、疑似階調処理を行ったX線画像を表示させることができる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、近年、低価格化と高解像度化によりX線画像の表示に使用されるようになってきている「8bit」のカラーモニタを用いてX線画像を表示する場合であっても、「10bit」や「12bit」等の階調を有するX線画像に含まれる階調情報を操作者に提示することで、X線画像を用いた検査の精度を向上させることができる。
また、上述したように、第1の実施形態に係る変換機能109cはX線画像に対して疑似階調処理を実行し、表示制御機能109dは、疑似階調処理を施したX線画像をディスプレイ106上に表示させる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、ディスプレイ106に表示されるX線画像から階段状のノイズを低減し、全体的な見栄えが改善したX線画像を操作者に提示することで、X線画像を用いた検査の精度を向上させることができる。
また、上述したように、第1の実施形態に係る変換機能109cは、モニタ内の表示用減色LUTによる単純減色を受ける前に、X線画像に疑似階調処理を実行する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、単純減色を受けたX線画像の境界線をぼかすことによりX線画像の解像度が低下するアンチエイリアシング等とは異なり、減色前の画像データに含まれていた階調情報を有効に活用したX線画像を表示し、検査の精度を向上させることができる。
また、上述したように、第1の実施形態に係る変換機能109cは、判定処理を行った上で、X線画像に疑似階調処理を実行する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、ディスプレイ106の画素数との関係において、疑似階調処理を施したX線画像をディスプレイ106上に表示しても、ディザ処理による階調補間の効果が得られない場合等には、ディザ処理を行わないことで、計算負荷を低減することができる。
また、上述したように、第1の実施形態に係る表示制御機能109dは、疑似階調処理を施したX線画像をディスプレイ106上に拡大して表示させる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、ディスプレイ106が高解像度モニタや大画面モニタである場合に限らず、疑似階調処理を施したX線画像を操作者に提示し、X線画像を用いた検査の精度を向上させることができる。
また、上述したように、第1の実施形態に係る表示制御機能109dは、疑似階調処理を施したX線画像を、ディスプレイ106上に拡大して表示させる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、X線画像の階調が、「12bit」や「14bit」等、多階調である場合であっても、ディスプレイ106の画素数との関係においてディザ処理の内容及び表示倍率を決定し、階調補間の効果が最大限得られるディザ処理を施したX線画像を操作者に提示することで、X線画像を用いた検査の精度を向上させることができる。
また、上述したように、第1の実施形態に係る表示制御機能109dは、疑似階調処理を施したX線画像を表示する階調補間モードと、疑似階調処理を施さないX線画像を表示する通常モードとを切り替えることができる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、オリジナルの画像データを用いた従来通りの表示や比較を可能としつつ、更に、階調を補間したX線画像を用いた表示や比較を可能とし、検査の精度を向上させることができる。
なお、図8においては、表示制御機能109dは、指定された一部の領域を、ディスプレイ106の全体に表示させる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能109dは、ディスプレイ106にX線画像の全体を表示させつつ、X線画像上で移動するアイコン(例えば、「虫眼鏡」ツール等)に囲まれる領域を拡大し、X線画像全体のうちの一部に重ねるようにして表示させる場合であってもよい。そして、表示制御機能109dは、例えば、疑似階調化されていないX線画像全体のうちの一部に、疑似階調化されたX線画像の一部の領域を表示させることができる。
また、図8においては、領域指定機能109eが、受付機能109fが受け付けた操作に基づいて、第1のX線画像における一部の領域を指定する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。以下、領域指定機能109eによる一部の領域の指定の他の例について説明する。
まず、第1のX線画像にデバイスが含まれ、第1のX線画像におけるデバイスの情報に基づいて、一部の領域を指定する場合について説明する。例えば、画像生成機能109bが第1のX線画像を生成した後、関心領域設定機能109gは、第1のX線画像におけるデバイスを含む関心領域を設定する。なお、関心領域は、デバイスの輪郭に沿った領域でもよいし、デバイスを含む矩形の領域や、他の形状の領域でもよい。
ここで、関心領域の設定について、第1のX線画像に含まれるデバイスがステントである場合を一例として説明する。なお、ステントは、例えば、金属のメッシュであり、インターベンション治療において、被検体Pの血管中の狭窄部位に留置され、狭窄部位の再狭窄率を低下するために用いられる。
例えば、関心領域設定機能109gは、ステントの位置を示すステントマーカーに基づいて、関心領域を設定する。ここで、ステントマーカーは、例えば、X線不透過の金属である。例えば、バルーン付きカテーテルを用いた狭窄部位に対するインターベンション治療において、ステントマーカーは、バルーン部分の2箇所に取り付けられる。この場合、ステントは、バルーン付きカテーテルのバルーン部分の外側に密着した状態で被検体内に挿入されるため、バルーン部分に取り付けられたステントマーカーは、実質的にステントの位置を示すこととなる。なお、カテーテルは、医療用に用いられる管である。例えば、インターベンション治療において、バルーン付きカテーテルのバルーン部分が狭窄部位まで挿入され、カテーテルを通じてバルーン内に液体が注入されることにより、バルーンが拡張されて狭窄部位が拡張される。
ステントマーカーは、第1のX線画像において、被検体Pの体組織やステントと比較して鮮明に表れるため、関心領域設定機能109gは、第1のX線画像からステントの位置を直接特定できない場合であっても、ステントマーカーに基づいて、ステントの位置を特定することができる。以下では、第1のX線画像に含まれるステントマーカー等、第1のX線画像においてデバイスの位置を特定するために用いられる点を、特徴点とも記載する。
なお、ステントマーカーの位置に基づく関心領域の形状及びサイズについては、ステントの形状及びサイズに関する情報を用いて設定してもよいし、プリセットされた設定を用いてもよい。また、関心領域設定機能109gは、ステントマーカー等の特徴点を用いず、第1のX線画像におけるデバイスの像から関心領域を設定する場合であってもよい。
次に、領域指定機能109eは、関心領域に含まれるデバイスの情報に応じて、関心領域を一部の領域に指定するか否かを決定する。デバイスの情報とは、第1のX線画像から取得される情報であってもよいし、操作者によって入力される情報であってもよい。ここで、関心領域を一部の領域に指定するか否かの決定について、第1のX線画像に含まれるデバイスがステントである場合を一例として説明する。
例えば、領域指定機能109eは、まず、第1のX線画像におけるステントの像に基づいて、ステントの情報を取得する。ここで、ステントの情報は、例えば、ステントのメッシュの粗さ等、ステントの構成に係る情報である。例えば、領域指定機能109eは、ステントの像から、メッシュを構成する線状金属の太さや間隔を、ステントの情報として取得する。
ここで、ステントのメッシュが細かい場合(例えば、メッシュを構成する線状金属が細い場合や間隔が近い場合)、第1のX線画像におけるステントのコントラストは小さくなる。かかるステントを含む第1のX線画像がモニタ内の表示用減色LUTによる減色を受けると、ステントは更に少ない階調で表現され、視認性が低下する。
従って、領域指定機能109eは、ステントのメッシュが細かい場合、ステントを含む関心領域を、ディザ処理の対象となる一部の領域に指定する。例えば、領域指定機能109eは、第1のX線画像におけるステントの像からステントのメッシュの粗さを示す値(メッシュを構成する金属の太さや間隔など)を算出し、算出した値と閾値とを比較することにより、関心領域を一部の領域に指定するか否かを決定する。
あるいは、領域指定機能109eは、第1のX線画像におけるステントの像についてコントラスト(淡さ)を算出し、算出したコントラストに基づいて、関心領域を一部の領域に指定するか否かを決定する。例えば、領域指定機能109eは、ステントの像における画素値の最小値と最大値との比や差をコントラストとして算出し、算出したコントラストと閾値とを比較することにより、関心領域を一部の領域に指定するか否かを決定する。
なお、ステントの像についてのコントラストは、関心領域における画像について算出してもよいし、関心領域のうちステントの像を含む部分の画像について算出してもよい。例えば、関心領域がステントを含む矩形の領域である場合において、領域指定機能109eは、ステントの輪郭に沿った領域について、コントラストを算出することができる。
また、第1のX線画像が、インターベンション治療において用いられる透視画像など、時系列的に収集される複数の画像である場合において、同一の被検体P及び同一のステントを撮影した画像であっても、撮影の角度や造影剤の分布、ステントの位置などが変化することにより、ステントの像についてのコントラストが変化する場合がある。かかる場合、領域指定機能109eは、関心領域を一部の領域に指定するか否かを決定するためのコントラストを、画像ごとに算出してもよいし、複数の画像について1つの値を算出してもよい。例えば、領域指定機能109eは、複数の第1のX線画像の各々におけるステントの像についてコントラストを算出し、関心領域を一部の領域に指定するか否かを、画像ごとに決定する。また、例えば、領域指定機能109eは、時系列的に収集される複数の第1のX線画像のうちの最初の画像におけるステントの像についてのコントラストや、複数の第1のX線画像の各々におけるステントの像についてのコントラストの平均値に基づいて、複数の第1のX線画像の各々における関心領域を一部の領域に指定するか否かを一律に決定する。
また、領域指定機能109eは、操作者によって入力されたステントの情報に基づいて、関心領域を一部の領域に指定するか否かを決定する場合であってもよい。例えば、まず、ステントごとに(例えば、ステントの規格や製品名ごとに)、又は、メッシュの粗さを示す値ごとに、一部の領域に指定するか否かを定めた情報が記憶回路108に格納される。かかる情報は、領域指定機能109eが設定したものであってもよいし、操作者が設定したものであってもよい。
次に、入力回路107が、操作者から、ステントの情報の入力操作を受け付ける。ここで、入力操作を受け付けるステントの情報は、ステントの規格や製品名であってもよいし、メッシュの粗さを示す値であってもよい。そして、領域指定機能109eは、一部の領域に指定するか否かを定めた情報と、入力されたステントの情報とを比較することで、関心領域を一部の領域に指定するか否かを決定する。
関心領域が一部の領域として指定された場合、変換機能109cは、関心領域に含まれる各画素の第1の階調における段階を対応する表示パターンに変換し、画像生成機能109bは、第1のX線画像の関心領域に含まれる画素を表示パターンで示した第2のX線画像を生成する。ここで、第2のX線画像は、関心領域のみに対応する画像であってもよいし、関心領域を含む第1のX線画像の一部又は全部に対応する画像であってもよい。
即ち、関心領域に含まれる各画素を表示パターンに変換して画素数が増加することで、第2のX線画像の複数の画素がディスプレイ106の1つの画素で表示されることとなり、ディザ処理による階調補間の視覚効果が得られない場合がある。かかる場合、画像生成機能109bは、第2のX線画像を、関心領域のみに対応する画像、又は関心領域を含む第1のX線画像の一部に対応する画像として生成することで、第2のX線画像の画素数を低減し、ディスプレイ106に第2のX線画像が表示される際に、ディザ処理による階調補間の視覚効果を得られるようにすることができる。一方で、ディスプレイ106が大画面モニタや高解像度のモニタ等である場合、画像生成機能109bは、第2のX線画像を第1のX線画像の全部に対応する画像として生成しても、ディスプレイ106に第2のX線画像が表示される際に、ディザ処理による階調補間の視覚効果を得られるようにすることができる。
次に、第1のX線画像にデバイスが含まれるか否かに関わらず、第1のX線画像における関心領域を設定する場合について説明する。例えば、関心領域設定機能109gは、受付機能109fが操作者から受け付けた操作に基づいて関心領域を設定してもよいし、予め設定された範囲(例えば、第1のX線画像の中央にあって、所定の形状及び大きさを有する範囲など)を関心領域として設定してもよい。
関心領域が設定された後、領域指定機能109eは、関心領域におけるデバイスの有無に応じて、関心領域を一部の領域に指定するか否かを決定する。ここで、関心領域を一部の領域に指定するか否かの決定について、第1のX線画像がインターベンション治療において用いられる透視画像であり、カテーテルを用いて手技を行う医師が透視画像を参照している場合を一例として説明する。
透視画像を参照する医師は、関心領域にカテーテルが含まれている場合、主にカテーテルに着目する。ここで、カテーテルは、第1のX線画像において十分なコントラストをもって鮮明に表現されるため、ディザ処理によらずとも、医師は、カテーテルを十分に視認することができる。従って、領域指定機能109eは、関心領域にカテーテルが含まれる場合、関心領域を一部の領域に指定しない。
一方で、関心領域にカテーテルが含まれていない場合、医師は、例えば、被検体Pの体組織に着目する。ここで、第1のX線画像における体組織は、カテーテルと比較してコントラストが小さく、第1のX線画像がモニタ内の表示用減色LUTによる減色を受けると、体組織は更に少ない階調で表現されることとなり、視認性が低下する。従って、領域指定機能109eは、関心領域にカテーテルが含まれない場合、関心領域を一部の領域に指定する。
なお、カテーテルを一例として説明したが、領域指定機能109eは、カテーテル以外の線状のデバイスの有無に応じて、関心領域を一部の領域に指定するか否かを決定することもできる。ここで、線状のデバイスとは、ディザ処理によらずとも視認できるコントラストで第1のX線画像に表現されるデバイスであり、カテーテルの他、ガイドワイヤや穿刺針、TEE(transesophageal echocardiography:経食道心エコー用超音波)プローブなどを含む。
関心領域が一部の領域として指定された場合、変換機能109cは、関心領域に含まれる各画素の第1の階調における段階を対応する表示パターンに変換し、画像生成機能109bは、第1のX線画像の関心領域に含まれる画素を表示パターンで示した第2のX線画像を生成する。ここで、第2のX線画像は、関心領域のみに対応する画像であってもよいし、関心領域を含む第1のX線画像の一部又は全部に対応する画像であってもよい。また、第2のX線画像は、関心領域に含まれる各画素を表示パターンで示したものであってもよいし、関心領域に含まれる複数の画素ごとに、表示パターンで示したものであってもよい。
即ち、関心領域に含まれる各画素を表示パターンに変換することで画素数が増加するとディザ処理による階調補間の視覚効果が得られなくなる場合において、変換機能109cは、関心領域に含まれる複数の画素ごとに表示パターンに変換することで、画素数の増加を回避し、ディザ処理による階調補間の視覚効果を得られるようにすることができる。
例えば、第1の階調が「10bit」であり、第2の階調が「8bit」である場合において、変換機能109cは、関心領域のうち「2×2」のエリアに含まれる4つの画素ごとに、第1の階調における画素値の平均値を算出し、「2×2」のエリアの画素を、算出した平均値に対応する表示パターンに変換する。そして、画像生成機能109bは、関心領域に含まれる「2×2」のエリアの画素ごとに表示パターンで示した第2のX線画像を生成する。かかる第2のX線画像は、第1のX線画像における4つの画素を、第2のX線画像における1つの表示パターンとしているため、空間分解能は低下するものの、ディザ処理により濃度分解能は保たれる。
変換機能109cは、空間分解能と濃度分解能とのどちらが優先されるかに応じて、関心領域に含まれる各画素を表示パターンに変換するか、関心領域に含まれる複数の画素ごとに表示パターンに変換するかを切り替えることとしてもよい。また、関心領域に含まれる各画素を表示パターンに変換する場合、画像生成機能109bは、第2のX線画像の画素数を低減するため、第2のX線画像を、関心領域のみに対応する画像、又は関心領域を含む第1のX線画像の一部に対応する画像として生成してもよい。
次に、第1のX線画像に付加されたアノテーション情報に基づいて、一部の領域を指定する場合について説明する。ここで、アノテーション情報は、例えば、第1のX線画像を参照した技師や読影医が、腫瘤等の病変部位に付けた印やコメントなどである。また、例えば、アノテーション情報は、コンピュータ支援診断(Computer Aided Diagnosis:CAD)により検出され、病変部位として第1のX線画像に付された印やコメントなどである。
例えば、病変部位に付された印が、病変部位を囲む丸や矩形である場合、領域指定機能109eは、印により囲まれた領域を、一部の領域として指定する。また、例えば、領域指定機能109eは、印やコメントなどが付された位置に基づいて、一部の領域を指定する。一例を挙げると、領域指定機能109eは、印やコメントなどが付された位置の画素との画素値の差が閾値以下となる画素を病変部位に含まれる画素であると判定する処理を、病変部位に含まれる画素であると判定された画素に隣接する画素について順次行うことで、病変部位に対応する領域を算出し、算出した領域を一部の領域として指定する。
アノテーション情報に基づいて一部の領域が指定された場合、変換機能109cは、一部の領域に含まれる各画素の第1の階調における段階を対応する表示パターンに変換し、画像生成機能109bは、第1のX線画像の一部の領域に含まれる画素を表示パターンで示した第2のX線画像を生成する。ここで、第2のX線画像は、第1のX線画像における一部の領域のみに対応する画像であってもよいし、一部の領域を含む第1のX線画像の一部又は全部に対応する画像であってもよい。また、第2のX線画像は、一部の領域に含まれる各画素を表示パターンで示したものであってもよいし、一部の領域に含まれる複数の画素ごとに、表示パターンで示したものであってもよい。
例えば、カンファレンスやレポートシステム(Report System)において、被検体Pにおける腫瘤を観察するため、「8bit(256階調)」のカラーモニタを用いた読影が行われる場合には、一部の領域に含まれる複数の画素ごとに表示パターンに変換し、空間分解能よりも濃度分解能を優先することで、腫瘤の視認性を高めることができる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、指定された一部の領域に対し疑似階調処理を施す場合について説明した。これに対して第2の実施形態では、減色時に同色となる画素(ピクセル)に対し疑似階調処理を施す場合について説明する。なお、第2の実施形態に係るX線診断装置1は、図1に示した第1の実施形態に係るX線診断装置1と同様の構成を有し、変換機能109c及び画像生成機能109bにおける処理が一部相違する。そこで、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
まず、第2の実施形態に係る変換機能109cは、画像生成機能109bが生成した第1のX線画像のうち、ディスプレイ106に表示する際に同色となる領域を検索する。例えば、変換機能109cは、第1のX線画像の各画素の色(画像の階調における段階)を抽出し、表示用減色LUTを当てた場合の変換後の色を取得する。そして、変換機能109cは、変換後の色が同色となる領域を抽出する。ここで抽出される領域は、変換後の色が同色となる画素が連続し、所定のサイズとなる領域である。一例を挙げると、変換機能109cは、同色の画素の数が所定の数連続する領域を抽出する。次に、変換機能109cは、減色時に同色となる領域を疑似階調化する。例えば、変換機能109cは、抽出した領域に含まれる画素の階調を対応情報に基づいて表示パターンに変換する。
ここで、第2の実施形態に係る階調補間モードについて、図10を用いて説明する。図10は、第2の実施形態に係る階調補間モードについて説明するための図である。図10の左図は処理前の画像を示し、図10の右図は処理後の画像を示す。例えば、変換機能109cは、画像生成機能109bによって生成されたX線画像に対して表示用減色LUTを当てた場合に同色となる領域を検索し、図10に示す領域Rを抽出する。次に、変換機能109cは、抽出した領域Rに含まれる画素に対して疑似階調処理を実行する。そして、画像生成機能109bは、領域Rを疑似階調処理によって変換された表示パターンで示した第2のX線画像を生成する。これにより、表示制御機能109dによって表示される画像の領域Rは、図10の右図に示すように、元の階調情報を含む画像となる。
なお、同色となる領域とは、第1のX線画像の各画素のうち、ディスプレイ106が備える表示用減色LUTでの階調の変換を受けると、ディスプレイ106の階調において同一の段階に置換される画素に対応する領域をいう。例えば、元データの段階では「10bit」であったX線画像が、「8bit」のディスプレイ106に表示される場合、図10の左図に示す領域Rのように、元データの段階での階調では複数の段階で示されていた領域の画素が、全てディスプレイ106の階調において同一の段階に置換され、同色としてディスプレイ106に表示される場合がある。なお、以下では、同色となる領域(例えば、図10の左図に示す領域R)を、同一置換領域とも記載する。
以下、第2の実施形態に係る変換機能109cによる処理の詳細について、図11を用いて説明する。図11は、第2の実施形態に係る階調補間モードについて説明するための図である。なお、図11においては、画像生成機能109bが生成したX線画像を画素単位で示す。例えば、変換機能109cは、図11の上図に示すように、X線画像の端から順に「2×2」のエリアを順に抽出し、抽出したエリアに含まれる画素がすべて、ディスプレイ106の階調である「8bit」に減色することで同色となる場合、抽出したエリアに含まれる画素を、減色時に同色となる画素として特定する。なお、以下では、2進数による数値により、各画素の色を記載する。
例えば、図11の下図に示すように、「2×2」のエリアに含まれる4つの画素の色が、「10bit」の元データの段階では、それぞれ、「0101」、「0100」、「0100」及び「0111」であったとする。ここで、「10bit」の元データを、「8bit」のディスプレイ106に出力するために、表示用減色LUTによる単純減色を行うと、図11の下図に示すように、全て「01」で同色に置換されることから、変換機能109cは、図11の下図に示す4つの画素を、減色時に同色となる画素として特定する。
次に、変換機能109cは、「10bit」の元データの段階で、特定した4つの画素の平均値を、「10bit」で算出する。例えば、図11で示すように、変換機能109cは、4つの画素の平均値「((0101+0100+0100+0111)/4)=0101」を算出する。次に、変換機能109cは、算出した平均値「0101」を、対応する「8bit」での表示パターンにより置換する。例えば、変換機能109cは、図11の下図に示すように、平均値「0101」を、4つの画素の色がそれぞれ、「02」、「01」、「01」及び「01」である表示パターンに置換する。即ち、変換機能109cは、図11の下図に示すように、例えば、第1のX線画像における「2×2」のエリアに含まれる4つの画素を一組として、疑似階調処理を実行する。従って、変換機能109cは、元の画像データからマトリクス(画素数)を変更することなく、疑似階調処理を施すことができる。
即ち、変換機能109cは、対応情報に基づいて、同一置換領域に含まれる画素を表示パターンにおける画素数で複数の画素群に区分けし、画素群に含まれる複数の画素を画素群によって示される階調の段階に対応する表示パターンに置換する。例えば、変換機能109cは、まず、図11の上図に示す領域に含まれる画素を、表示パターンにおける画素数である「4画素」ごとに、複数の画素群に区分けする。次に、変換機能109cは、区分けした「4画素」を、「4画素」によって示される階調の段階(例えば、「4画素」の色の平均値である「0101」)に対応する表示パターンに置換する。そして、画像生成機能109bは、第1のX線画像における同一置換領域を、変換機能109cによって変換された表示パターンで示した第2のX線画像を生成する。
次に、X線診断装置1による処理の手順の一例を、図12を用いて説明する。図12は、第2の実施形態に係るX線診断装置1の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS201、ステップS202及びステップS210は、制御機能109aに対応するステップである。ステップS203は、画像生成機能109bに対応するステップである。ステップS205及びステップS206は、変換機能109c及び画像生成機能109bに対応するステップである。ステップS204、ステップS207、ステップS208及びステップS209は、表示制御機能109dに対応するステップである。
まず、処理回路109は、操作者から検査開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。検査開始要求を受け付けない場合(ステップS201否定)、処理回路109は待機状態となる。一方、検査開始要求を受け付けた場合(ステップS201肯定)、処理回路109は、被検体Pに対し撮影を実行し(ステップS202)、被検体Pから収集した信号に基づきX線画像を生成する(ステップS203)。
次に、処理回路109は、生成したX線画像の全体をディスプレイ106に表示させる(ステップS204)。また、処理回路109は、生成したX線画像の全体のうち、減色時に同色となる画素を検索し(ステップS205)、X線画像上で減色時に同色となる領域について疑似階調処理を実行し、第2のX線画像を生成する(ステップS206)。また、処理回路109は、疑似階調処理を実行した第2のX線画像をディスプレイ106に表示させる(ステップS207)。
ここで、処理回路109は、表示モードの切り替え操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS208)。表示モードの切り替え操作を受け付けた場合(ステップS208肯定)、処理回路109は、操作の内容に応じて、疑似階調処理を実行したX線画像又は疑似階調処理を実行していないX線画像をディスプレイ106に表示させる(ステップS209)。一方、表示モードの切り替え操作を受け付けない場合(ステップS208否定)、処理回路109は、操作者から終了コマンドを受け付けたか否かを判定する(ステップS210)。終了コマンドを受け付けない場合(ステップS210否定)、処理回路109は、再度ステップS208に移行する。一方、終了コマンドを受け付けた場合(ステップS210肯定)、処理回路109は処理を終了する。
上述したように、第2の実施形態によれば、画像生成機能109bは、被検体Pを透過したX線に基づいて、各画素が第1の階調で示される第1のX線画像を生成する。また、変換機能109cは、第1の階調の各段階と、第1の階調より少ない第2の階調にて画像を表示するディスプレイ106における複数の画素の表示パターンとを対応付けた対応情報に基づいて、第1のX線画像のうち第2の階調において同一の段階に置換される同一置換領域に含まれる画素を表示パターンにおける画素数で複数の画素群に区分けし、画素群に含まれる複数の画素を画素群によって示される第1の階調における段階に対応する表示パターンに変換する。また、画像生成機能109bは、第1のX線画像における同一置換領域を、変換機能109cによって変換された表示パターンで示した第2のX線画像を生成する。また、表示制御機能109dは、第2のX線画像をディスプレイ106に表示させる。従って、第2の実施形態に係るX線診断装置1は、ディスプレイ106での単純減色によると失われてしまう情報を操作者に提示し、X線画像を用いた検査の精度を向上させることができる。
また、上述したように、第2の実施形態に係る変換機能109cは、ディスプレイ106での減色により同色となる画素を検索し、X線画像全体のうち、同色となる領域について疑似階調処理を実行する。従って、第2の実施形態に係るX線診断装置1は、ディスプレイ106内の表示用減色LUTによっても同色とならない領域(例えば、図10の左図の領域R以外の領域)については、疑似階調処理を行うことなくオリジナルの画像データを用いた従来通りの表示や比較を可能とすることができる。
また、第2の実施形態に係る変換機能109cは、X線画像の画素数(マトリクスサイズ)を維持しつつ、疑似階調処理を実行する。従って、第2の実施形態に係るX線診断装置1は、ディスプレイ106の画素数とX線画像の画素数との関係において、X線画像の画素数が増加するとディスプレイ106上での表示が困難となる場合であっても、疑似階調処理を施したX線画像を操作者に提示し、検査精度を向上させることができる。
上述した第1〜第2の実施形態では、第1のX線画像について疑似階調処理を施す場合について説明した。これに対して第3の実施形態では、時系列的に生成された複数の第1のX線画像に基づいて複数の補正画像を生成し、生成した補正画像について、疑似階調処理を施す場合について説明する。なお、第3の実施形態に係るX線診断装置1は、図1に示した第1の実施形態に係るX線診断装置1と比較して、処理回路109が、後述する特徴点位置検出機能及び補正画像生成機能を更に備える点で異なる。また、第3の実施形態に係るX線診断装置1は、図1に示した第1の実施形態に係るX線診断装置1と比較して、画像生成機能109b、変換機能109c及び領域指定機能109eにおける処理が一部相違する。第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
第3の実施形態における特徴点位置検出機能は、特許請求の範囲における特徴点位置検出部の一例である。また、第3の実施形態における補正画像生成機能は、特許請求の範囲における補正画像生成部の一例である。
まず、処理回路109における特徴点位置検出機能は、画像生成機能109bにより時系列的に生成された複数の第1のX線画像の各々における特徴点の位置を検出する。ここで、特徴点は、例えば、第1のX線画像に含まれるステントマーカーなどである。例えば、特徴点位置検出機能は、複数の第1のX線画像ごとに、ステントマーカーが位置する画像上の座標を算出する。次に、補正画像生成機能は、複数の第1のX線画像に基づいて、画像内の特徴点の位置が実質的に同一となる複数の補正画像を生成する。
例えば、補正画像生成機能は、複数の第1のX線画像を、ステントマーカーの座標が相互に一致するように補正することで、複数の補正画像を生成する。一例を挙げると、補正画像生成機能は、複数の第1のX線画像のうち任意のX線画像(例えば、時系列的に最初のX線画像)におけるステントマーカーの座標を基準座標とし、複数の第1のX線画像のそれぞれにおけるステントマーカーの座標が基準座標と一致するように、複数の第1のX線画像のそれぞれに対して平行移動、回転移動などの画像移動処理やアフィン変換などの画像変形処理を行うことで、複数の補正画像を生成する。
あるいは、補正画像生成機能は、複数の第1のX線画像に含まれる複数のX線画像を、画像内の特徴点の位置に基づく位置合わせをして加算処理することで、複数の補正画像を生成する。言い換えると、補正画像生成機能は、複数の第1のX線画像に対してリカーシブフィルター(Recursive Filter)をかけることで、複数の補正画像を生成する。なお、リカーシブフィルターは、高周波ノイズ低減フィルターの一例である。
一例を挙げると、補正画像生成機能は、まず、複数の第1のX線画像を、画像内のステントマーカーの座標が相互に一致するように補正する。次に、補正画像生成機能は、補正後の複数の第1のX線画像のうちの複数のX線画像について、加算平均等の処理を行うことにより、複数の補正画像を生成する。例えば、複数の第1のX線画像が「時間T1におけるX線画像」、「時間T2におけるX線画像」及び「時間T3におけるX線画像」の3つのX線画像である場合、補正画像生成機能は、「時間T1におけるX線画像」及び「時間T2におけるX線画像」を加算処理した補正画像と、「時間T2におけるX線画像」及び「時間T3におけるX線画像」を加算処理した補正画像とを生成する。
なお、複数の第1のX線画像のうち、1つの補正画像を生成するのに用いるX線画像の数については任意であり、操作者が設定してもよいし、プリセット値を用いてもよいし、補正前の第1のX線画像の間におけるステントマーカーの座標の変化の大きさ等に基づいて補正画像生成機能が設定してもよい。また、第1のX線画像を加算処理して補正画像を生成する際には、第1のX線画像を構成する画素の画素値に重み付けを行ってもよい。例えば、補正画像生成機能は、時系列的に収集された複数の第1のX線画像について、時間的に近いほど重みが大きくなるように加算処理する。
次に、領域指定機能109eは、複数の補正画像における一部の領域を指定する。ここで、領域指定機能109eは、複数の補正画像の各々について一部の領域を指定してもよいし、複数の補正画像について一部の領域を1つ指定してもよい。例えば、領域指定機能109eは、複数の補正画像におけるステントマーカーの座標が相互に一致していることから、ステントマーカーの座標を基準とした領域(例えば、ステントマーカーの座標を中心とし、所定のサイズ及び形状を有する領域など)を指定することで、複数の補正画像における一部の領域を指定することができる。
次に、変換機能109cは、第1の階調の各段階と、第1の階調より少ない第2の階調にて画像を表示するディスプレイ106における複数の画素の表示パターンとを対応付けた対応情報に基づいて、複数の補正画像における一部の領域に含まれる各画素の第1の階調における段階を、対応する表示パターンに変換する。なお、第3の実施形態においては、補正画像生成機能により生成された補正画像における各画素が示す階調を、第1の階調と記載する。第1のX線画像の各画素が示す階調と、補正画像の各画素が示す第1の階調とは、同一であってもよい。
そして、画像生成機能109bは、複数の補正画像の一部の領域に含まれる複数の画素を変換機能109cによって変換された表示パターンで示した第2のX線画像を生成する。即ち、画像生成機能109bは、複数の第1のX線画像をステントマーカーの座標が相互に一致するように補正して生成された複数の補正画像の一部の領域における画素を表示パターンで示した第2のX線画像、又は、複数の第1のX線画像に含まれる複数のX線画像を画像内の特徴点の位置に基づく位置合わせをして加算処理することで生成された複数の補正画像の一部の領域における画素を表示パターンで示した第2のX線画像を生成する。また、表示制御機能109dは、第2のX線画像をディスプレイ106に表示させる。
これまで、第1のX線画像に対してリカーシブフィルター及びディザ処理をかけて第2のX線画像を生成する例として、ステントマーカーの位置に基づく位置合わせをした複数の画像を加算処理して補正画像を生成し、生成した補正画像の一部の領域についてディザ処理を施す場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数の第1のX線画像について、ステントマーカーの位置に基づく位置合わせをすることにより補正画像を生成し、生成した補正画像の一部の領域についてディザ処理を施した後、ディザ処理後の補正画像を加算処理する場合であってもよい。
リカーシブフィルターをかける場合、画像内のステントマーカー以外の背景部分については位置がずれた状態で加算処理がされるため、背景部分の視認性が低下する場合がある。特に、加算処理する画像が多いほど、背景部分の視認性は低下する。ここで、複数の第1のX線画像にリカーシブフィルターをかけた後にディザ処理を施し、又は、複数の第1のX線画像にディザ処理を施した後にリカーシブフィルターをかけることにより、リカーシブフィルターにおいて、加算処理する画像の数を低減することができる。例えば、図6に示す階段状のノイズが生じる場合等、表示の段階における減色によって高周波ノイズが顕著となる場合があるが、減色により失われてしまう階調の情報をディザ処理によってディスプレイ106上に表現することで、高周波ノイズを低減することができる。従って、加算処理する画像の数を減らしても高周波ノイズを十分に除去することができるため、リカーシブフィルターによる加算処理の画像の数を低減し、背景部分の視認性を向上させることができる。
上述した第1〜第3の実施形態では、ディスプレイ106が、RGBの各色について8bit(256階調)の階調で画像を表示するカラーモニタである場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ディスプレイ106は、モノクロのモニタであってもよいし、階調数は8bitに限定されるものではない。
また、上述した第1〜第3の実施形態では、画像生成機能109bが第2のX線画像を生成した後、表示制御機能109dが、第2のX線画像をディスプレイ106に表示させる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、画像生成機能109bが第2のX線画像を生成した後、第2のX線画像の表示を行なうことなく、記憶回路108に第2のX線画像を格納する場合であってもよい。記憶回路108に格納された第2のX線画像は、例えば、X線診断装置1又は他の装置により読み出され、ディスプレイ106又は他のディスプレイに表示される。
また、上述した第1〜第3の実施形態では、処理回路109が、画像生成機能109bにより生成された第1のX線画像について画像処理を実行する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、処理回路109は、他のX線診断装置や、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)のデータベース、電子カルテシステムのデータベース等から第1のX線画像を取得し、取得した第1のX線画像について画像処理を実行する場合であってもよい。
即ち、処理回路109は、第1のX線画像を取得する取得機能を備える。第1のX線画像を生成する画像生成機能109bは、処理回路109における取得機能の一例である。また、取得機能は、特許請求の範囲における取得部の一例である。処理回路109は、被検体を透過したX線に基づいて生成した第1のX線画像や、他のX線診断装置や種々のデータベース等から取得した第1のX線画像に対して、画像処理を実行することができる。
また、上述した画像処理方法は、X線診断装置とは独立に設置された画像処理装置により行われる場合であってもよい。例えば、図1に示した処理回路109と同様の機能を有する画像処理装置が、X線診断装置又はPACSのデータベースや、電子カルテシステムのデータベースから取得した画像データを用いて、上述した画像処理方法を行う場合であってもよい。
例えば、X線診断装置から独立した画像処理装置は、他のX線診断装置やPACS等のデータベースから第1のX線画像を取得し、取得した第1のX線画像に対してディザ処理を施すことで第2のX線画像を生成し、生成した第2のX線画像を、任意のディスプレイに表示する。例えば、X線診断装置から独立した画像処理装置は、カンファレンスが行われる部屋に据え置かれ、又は持ち込まれ、カンファレンスにおける画像表示に用いられるディスプレイと接続される。そして、画像処理装置は、接続されたディスプレイが表示できる階調に応じて、ディザ処理が必要か否かを判定する。例えば、画像処理装置は、取得した第1のX線画像が「10bit」であり、接続されたディスプレイが「8bit」のカラーモニタである場合、画像処理装置は、ディザ処理が必要と判定し、ディザ処理を施した第2のX線画像を生成して、ディスプレイに表示する。
また、上述した画像処理装置は、いわゆるビデオカード(グラフィックボードともいう)であってもよい。例えば、ビデオカードは、ディスプレイを備えたPCに追加される。かかる場合、ビデオカードは、PCから取得した第1のX線画像に対してディザ処理を施し、第2のX線画像を生成して、ディスプレイに出力する。
また、ディスプレイ106がタブレット等の携帯可能な端末の表示画面である場合においては、携帯可能な端末と別個の装置において上述した画像処理方法が行われてもよいし、携帯可能な端末において上述した画像処理方法が行われてもよい。
第1〜第3の実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
また、第1〜第3の実施形態で説明した画像処理方法は、予め用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、X線画像を用いる検査の精度を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。