JP6876275B2 - 環状アセタール骨格を有するジオールの製造方法 - Google Patents
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Description
〔1〕
酸触媒下、原料ヒドロキシピバルアルデヒドと、少なくともペンタエリスリトール及び/又はトリメチロールプロパンと、をアセタール化反応させて、環状アセタール骨格を有するジオールを得るアセタール化反応工程を有し、
該アセタール化反応工程から分離した反応母液を次のアセタール化反応工程に再使用し、
前記原料ヒドロキシピバルアルデヒドが、ホルムアルデヒド、ネオペンチルグリコール、下記式(III)で示されるネオペンチルグリコール骨格を持つエステル化合物、及びイソブチルアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも1種の不純物を含み、
前記不純物を含む場合において、
前記ホルムアルデヒドの含有量が、前記原料ヒドロキシピバルアルデヒド100質量%に対して、0.80質量%以下であり、
前記ネオペンチルグリコール及び/又は前記ネオペンチルグリコール骨格を持つエステル化合物の合計質量モル濃度が、前記原料ヒドロキシピバルアルデヒドの総量に対して、0.100mol/kg以下であり、
前記イソブチルアルデヒドの含有量が、前記原料ヒドロキシピバルアルデヒド100質量%に対して、0.05質量%以下である、
環状アセタール骨格を有するジオールの製造方法。
〔2〕
所定条件下のガスクロマトグラフィー分析における前記環状アセタール骨格を有するジオールの相対保持時間を1.00とした場合に、相対保持時間が1.45以下の成分を合計した面積分率濃度において、
アセタール化反応により得られる前記環状アセタール骨格を有するジオールが、不純物として、下記式(I)で示されるジオキサントリオールモノホルマールを0.04面積%以下含む、
〔3〕
所定条件下のガスクロマトグラフィー分析における前記環状アセタール骨格を有するジオールの相対保持時間を1.00とした場合に、相対保持時間が1.45以下の成分を合計した面積分率濃度において、
アセタール化反応により得られる前記環状アセタール骨格を有するジオールが、不純物として、下記式(II)で示されるヒドロキシピバルアルデヒドネオペンチルグリコールアセタールを0.19面積%以下含む、
〔4〕
所定条件下のガスクロマトグラフィー分析における前記環状アセタール骨格を有するジオールの相対保持時間を1.00とした場合に、相対保持時間が1.45以下の成分を合計した面積分率濃度において、
アセタール化反応により得られる前記環状アセタール骨格を有するジオールが、不純物として、下記式(IV)で示されるスピロモノアルコールを0.15面積%以下含む、
〔5〕
前記式(III)で示される前記エステル化合物が、下記式(V)で示されるイソ酪酸ネオペンチルグリコールモノエステル、及び/又は、下記式(VI)で示されるヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノエステルを含む、
〔6〕
前記環状アセタール骨格を有するジオールが、スピログリコール及び/又はジオキサングリコールである、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の環状アセタール骨格を有するジオールの製造方法。
〔7〕
ホルムアルデヒドとイソブチルアルデヒドのアルドール縮合反応により粗ヒドロキシピバルアルデヒドを得るアルドール縮合反応工程を有する、
〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の環状アセタール骨格を有するジオールの製造方法。
〔8〕
前記アルドール縮合反応工程により得られた前記粗ヒドロキシピバルアルデヒドに、水及び/又は有機溶媒を添加して前記原料ヒドロキシピバルアルデヒドを抽出する抽出工程、
前記アルドール縮合反応工程により得られた前記粗ヒドロキシピバルアルデヒドを蒸留して、前記原料ヒドロキシピバルアルデヒドを留出回収する蒸留工程、及び
前記アルドール縮合反応工程により得られた前記粗ヒドロキシピバルアルデヒドに、水及び/又は有機溶媒を添加して晶析し、固液分離により前記原料ヒドロキシピバルアルデヒドを回収する晶析工程の少なくともいずれかの工程を有する、
〔7〕に記載の環状アセタール骨格を有するジオールの製造方法。
〔9〕
前記アセタール化反応工程の反応温度が40〜105℃であり、
前記アセタール化反応工程中の反応液のpH値が、0.1〜4.0であり、
前記アセタール化反応工程後、前記反応液を、環状アセタール骨格を有するジオールの固体と反応母液に固液分離し、前記反応母液の30〜98質量%を再使用して、次のアセタール化反応工程を行う、
〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の環状アセタール骨格を有するジオールの製造方法。
本実施形態の環状アセタール骨格を有するジオールの製造方法は、酸触媒下、原料ヒドロキシピバルアルデヒド(以下、「原料HPA」ともいう。)と、少なくともペンタエリスリトール及び/又はトリメチロールプロパンと、をアセタール化反応させて、環状アセタール骨格を有するジオールを得るアセタール化反応工程を有し、
前記原料ヒドロキシピバルアルデヒドが、ホルムアルデヒド、ネオペンチルグリコール、下記式(III)で示されるネオペンチルグリコール骨格を持つエステル化合物、及びイソブチルアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも1種の不純物を含み、
前記不純物を含む場合において、
前記ホルムアルデヒドの含有量が、前記原料ヒドロキシピバルアルデヒド100質量%に対して、0.80質量%以下であり、
前記ネオペンチルグリコール及び/又は前記ネオペンチルグリコール骨格を持つエステル化合物の合計質量モル濃度が、前記原料ヒドロキシピバルアルデヒドの総量に対して、0.100mol/kg以下であり、
前記イソブチルアルデヒドの含有量が、前記原料ヒドロキシピバルアルデヒド100質量%に対して、0.05質量%以下である。
(条件)
測定試料 :2.5質量%のメタノール溶液に調製
装置 :GC−1700(株式会社島津製作所製)
使用カラム:DB−1長さ30m×内径0.53mm、膜厚1.5μm(アジレント・テクノロジー株式会社製)
分析条件 :injection temp.280℃
detection temp.280℃
キャリアーガス:ヘリウム
カラム温度:80℃で4分保持→250℃迄6℃/分で昇温→250℃で10分保持
→280℃迄10℃/分で昇温→280℃で15分保持
検出器 :水素炎イオン化検出器(FID)
本実施形態の製造方法は、環状アセタール骨格を有するジオールの原料である原料HPAを合成するアルドール縮合反応工程を含んでいてもよい。アルドール縮合反応工程は、ホルムアルデヒドとイソブチルアルデヒドのアルドール縮合反応により粗ヒドロキシピバルアルデヒド(以下、「粗HPA」ともいう。)を得る工程である。アルドール縮合反応工程においては、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。また、ホルムアルデヒドには、ホルムアルデヒド水溶液(ホルマリン)が含まれるものとする。なお、粗HPAには、原料HPAに含まれるような不純物が含まれていてもよいものとする。
本実施形態の製造方法は、アルドール縮合反応工程により得られた粗ヒドロキシピバルアルデヒドを精製して原料HPAを得る粗ヒドロキシピバルアルデヒド精製工程を有していてもよい。粗HPA精製工程としては、特に限定されないが、例えば、アルドール縮合反応工程により得られた粗HPAに、水及び/又は有機溶媒を添加して原料HPAを抽出する抽出工程;アルドール縮合反応工程により得られた粗HPAを蒸留して、原料HPAを留出回収する蒸留工程;アルドール縮合反応工程により得られた粗HPAに、水及び/又は有機溶媒を添加して晶析し、固液分離により原料HPAを回収する晶析工程が挙げられる。これら工程は、1種単独で実施しても、2種以上を併せて実施してもよい。
抽出工程において用いる有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、イソブチルアルデヒドが挙げられる。抽出工程においては、イソブチルアルデヒド層に原料HPAが抽出される。
粗HPAの蒸留条件としては、特に限定されないが、塔頂部の温度が、88〜150℃で、塔頂絶対圧力が1.0kPa〜1MPaが挙げられる。
晶析工程において用いる有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水が挙げられる。また、固液分離方法としては、特に限定されないが、例えば、濾過や、遠心分離など公知の手段を用いることができる。晶析の温度操作条件としては、特に限定されないが、10〜80℃が挙げられる。
アセタール化反応工程は、酸触媒下、原料HPAと、PEと、をアセタール化反応させて、環状アセタール骨格を有するジオールを得る工程である。アセタール化反応工程において、PEに対する原料HPAのモル比(HPA/PE)は、好ましくは1.0〜4.0であり、より好ましくは1.5〜2.5である。モル比(HPA/PE)が4.0以下であることにより、反応に関わらない過剰な原料HPA量が少なくなり、HPA同士が2量化するなどの副反応が抑制されるため、原単位の悪化や環状アセタール骨格を有するジオールの純度の悪化を抑制できる傾向にある。一方、モル比(HPA/PE)が1.0以上であることにより、環状アセタール骨格を有するジオールの反応中間体が多量にできてしまうことによる環状アセタール骨格を有するジオールの収率低下を抑制でき、この中間体による環状アセタール骨格を有するジオールの純度の悪化や、PEの原単位の悪化を抑制できる傾向にある。
本実施形態の製造方法は、反応液中に析出した環状アセタール骨格を有するジオールを分離し、分離した環状アセタール骨格を有するジオールを洗浄などする環状アセタール骨格を有するジオールの分離精製工程を有していてもよい。上記反応で得られた反応液は、目的物である環状アセタール骨格を有するジオールが析出したスラリー状であり、ここからろ過や遠心分離などによって環状アセタール骨格を有するジオールの結晶を分離することができる。ろ過によって分離された環状アセタール骨格を有するジオールは塩基性水溶液及び/又は水を用いて洗浄される。
本実施形態のポリエステル樹脂は、ジオール構成単位とジカルボン酸構成単位とを含み、前記ジオール構成単位が、下記式(A)及び/又は式(B)で表される環状アセタール骨格を有するジオールに由来する構成単位を含む。
ジオール構成単位は、式(A)及び/又は式(B)で表される環状アセタール骨格を有するジオールに由来する構成単位を含み、必要に応じて、その他のジオールに由来する構成単位を含んでもよい。
その他のジオールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール類;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノール等の脂環式ジオール類;4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(別名ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(別名ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(別名ビスフェノールS)等のビスフェノール類;上記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び上記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
ジカルボン酸構成単位としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。このなかでも、ポリエステル樹脂の機械的性能、及び耐熱性の面からテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および2,7−ナフタレンジカルボン酸といった芳香族ジカルボン酸が好ましく、特にテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、およびイソフタル酸が好ましい。その中でも、経済性の面からテレフタル酸がもっとも好ましい。ジカルボン酸は、は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂を製造する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を適用することができる。例えば、エステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法または溶液重合法を挙げることができる。原料としては、上述したように精製したものを用いることが好ましい。
本実施形態のポリエステル樹脂は、種々の用途に用いることができる。例えば、射出成形体、シート、フィルム、パイプ等の押し出し成形体、ボトル、発泡体、粘着材、接着剤、塗料等に用いることができる。更に詳しく述べるとすれば、シートは単層でも多層でもよく、フィルムも単層でも多層でもよく、また未延伸のものでも、一方向、又は二方向に延伸されたものでもよく、鋼板などに積層してもよい。ボトルはダイレクトブローボトルでもインジェクションブローボトルでもよく、射出成形されたものでもよい。発泡体は、ビーズ発泡体でも押出し発泡体でもよい。
得られた環状アセタール骨格を有するジオールの純度分析は下記条件のガスクロマトグラフィーにより行った。環状アセタール骨格を有するジオールの相対保持時間を1.00とした場合に、メタノールを除く相対保持時間が1.45以下の成分のGCチャート総面積を100面積%とし、各成分の面積分率濃度を求めた。
(条件)
測定試料 :2.5質量%のメタノール溶液に調製
装置 :GC−1700(株式会社島津製作所製)
使用カラム:DB−1長さ30m×内径0.53mm、膜厚1.5μm(アジレント・テクノロジー株式会社製)
分析条件 :injection temp.280℃
detection temp.280℃
キャリアーガス:ヘリウム
カラム温度:80℃で4分保持→250℃迄6℃/分で昇温→250℃で10分保持
→280℃迄10℃/分で昇温→280℃で15分保持
検出器 :水素炎イオン化検出器(FID)
以下のようにして得られた粗HPA及び精製HPAの純度は、下記条件のガスクロマトグラフィー分析及びホルムアルデヒドの定量方法により測定した。
(ガスクロマトグラフィー分析条件)
測定試料 :1質量%のアセトン溶液に調製
装置 :GC−6890N(アジレント・テクノロジー株式会社製)
使用カラム:DB−1長さ30m×内径0.53mm、膜厚1.5μm(アジレント・テクノロジー株式会社製)
分析条件 :injection temp.200℃
detection temp.250℃
キャリアーガス:ヘリウム
カラム温度:60℃で7分保持→250℃迄6℃/分で昇温→250℃で20分保持
検出器 :水素炎イオン化検出器(FID)
UVスペクトロメーターを用いてアセチルアセトン比色法で測定した。
イソブチルアルデヒド(和光純薬品)200質量部と、40質量%ホルマリン(三菱瓦斯化学品)225質量部と、を仕込み、40℃、窒素気流下で攪拌しながら、触媒としてトリエチルアミン(和光純薬品)9.9質量部を5分間かけて加え、アルドール縮合反応を行った。トリエチルアミン添加終了時、反応液温度は65℃に達した。ここから、反応液温度を徐々に上げ、30分後には反応液温度を90℃とした。反応液温度90℃で50分間反応を継続させた後、外部冷却によって、反応液温度を60℃まで冷却し、反応を停止させた。
製造例1で得られた粗HPA水溶液260質量部及び水590質量部を晶析槽に仕込み、HPAの濃度19.0質量%とし、60℃に保った。この溶液を攪拌しながら、40℃まで冷却し、39〜40℃で保持した。90分後、この後、HPAの結晶を含むスラリーの全量を遠心分離機にて固液分離し、得られたHPA結晶を水100質量部を使用して洗浄した。この結果、857.5質量部の濾液を回収し、湿ケーキを91.9質量部得た。このケーキを窒素気流下、30℃で乾燥し、HPAの結晶71.3質量部を得た。粗HPAに対するHPA結晶の回収率は44.1%であった。この結晶を、ガスクロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー社製)を用いて分析した。その結果、HPA結晶は、HPA99.3質量%、ネオペンチルグリコール0.00質量%(検出限界以下)、イソ酪酸ネオペンチルグリコールモノエステル0.00質量%(検出限界以下)、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸モノエステル0.50質量%、イソブチルアルヒド0.05質量%、ホルムアルデヒド0.00質量%(検出限界以下)、その他0.15質量%を含むものであった。得られた精製HPA結晶と水を混合し、精製HPA結晶を60質量%含むHPA水溶液Aを調製した。
ネオペンチルグリコール(三菱瓦斯化学品)280.8質量部、ピリジン(和光純薬品)79.0質量部、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(和光純薬品)12.2質量部、及び塩化メチレン(和光純薬品)2500質量部を混合し、25℃とした。ここにイソ酪酸クロリド(和光純薬品)95.4質量部の塩化メチレン溶液を4時間かけて滴下した。25℃にて16時間撹拌後、水を用いた抽出にて未反応のネオペンチルグリコールや不純物を除去した。得られた油層の溶媒を単蒸留にて除去した後の缶出液の純度を分析したところ、イソ酪酸ネオペンチルグリコールモノエステル96.4質量%、その他3.60質量%であった。
水1800質量部にペンタエリスリトール116質量部を溶解し、メタンスルホン酸(和光純薬品)を溶液のpHが1.6となるように添加した。ここに製造例2で調製したHPA水溶液A290質量部を3時間かけて滴下した。反応温度は90℃であった。滴下終了後90℃のまま12時間熟成した。熟成終了後、反応液を、765質量部と、1441質量部にわけ、1441質量部の反応液を固液分離することによって、湿スピログリコール183質量部と、ろ液1130質量部を得た。その後、得られた湿スピログリコールを、500ppm水酸化ナトリウム水溶液500質量部にて中和洗浄し、次いで、水500質量部にて洗浄を行った。その後、スピログリコールの乾燥を行った。なお、765質量部に分けた反応液にもスピログリコール結晶が含まれるが、当該スピログリコール結晶は続く2回目以降の反応において種晶として作用する。
1回目の反応で得られた反応液765質量部、1回目の反応で得られたろ液のうち1000質量部、水25質量部、ペンタエリスリトール116質量部、メタンスルホン酸0.7質量部を混合した。この際、溶液のpHは1.6であった。ここにHPA水溶液A290質量部を3時間かけて滴下した。反応温度は90℃であった。滴下終了後90℃のまま3時間熟成した。熟成終了後、反応液を、765質量部と、残りの1431.7質量部にわけ、1431.7質量部の反応液を固液分離することによって、湿スピログリコール244質量部と、ろ液1083質量部を得た。
参考例5の15回目の反応で得られた反応液765質量部と、ろ液1000質量部、水25質量部、ペンタエリスリトール116質量部、メタンスルホン酸0.7質量部を混合し、HPA水溶液A290質量部を3時間かけて滴下して、参考例5と同様の合成を行った(図1及び2中のSPG合成回数1回に相当)。そして、この1回目の反応で得られた反応液765質量部を用いて、ろ液1000質量部、水25質量部、ペンタエリスリトール116質量部、メタンスルホン酸0.7質量部を混合し、HPA水溶液A290質量部を3時間かけて滴下して、スピログリコールの合成反応を繰り返しおこなった。このようなスピログリコール合成反応を、得られたスピログリコールに含まれる不純物濃度が安定するまで、更に繰り返した。
製造例2で作製した精製HPAと水とホルムアルデヒドとを混合して、精製HPAを60質量%含み、且つ、精製HPA100質量%に対してホルムアルデヒド0.33質量%を含むHPA水溶液Bを調製した。HPA水溶液Aに代えて、HPA水溶液Bを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて合成反応を繰り返した。
製造例2で作製した精製HPAと水とイソ酪酸ネオペンチルグリコールモノエステルとを混合して、精製HPAを60質量%含み、且つ、精製HPA100質量%に対してイソ酪酸ネオペンチルグリコールモノエステル0.58質量%を含むHPA水溶液Cを調製した。HPA水溶液Aに代えて、HPA水溶液Cを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて合成反応を繰り返した。
製造例2で作製した精製HPAと水とホルムアルデヒドとを混合して、精製HPAを60質量%含み、且つ、精製HPA100質量%に対してホルムアルデヒド0.83質量%を含むHPA水溶液Dを調製した。HPA水溶液Aに代えて、HPA水溶液Dを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて合成反応を繰り返した。
製造例2で作製した精製HPAと水とネオペンチルグリコールとを混合して、精製HPAを60質量%含み、且つ、精製HPA100質量%に対してネオペンチルグリコール2.50質量%を含むHPA水溶液Eを調製した。HPA水溶液Aに代えて、HPA水溶液Eを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて合成反応を繰り返した。
製造例2で作製した精製HPAと水とヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノエステルとを混合して、精製HPAを60質量%含み、且つ、精製HPA100質量%に対してヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノエステル2.50質量%を含むHPA水溶液Fを調製した。HPA水溶液Aに代えて、HPA水溶液Fを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて合成反応を繰り返した。
製造例2で作製した精製HPAと水とイソブチルアルデヒドとを混合して、精製HPAを60質量%含み、且つ、精製HPA100質量%に対してイソブチルアルデヒド3.33質量%を含むHPA水溶液Gを調製した。HPA水溶液Aに代えて、HPA水溶液Gを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて合成反応を行った。
DOT−F;ジオキサントリオールモノホルマール
NPA ;ヒドロキシピバルアルデヒドネオペンチルグリコールアセタール
SPM ;スピロモノアルコール
HCHO ;ホルムアルデヒド
IBD ;イソブチルアルデヒド
BNE ;イソ酪酸ネオペンチルグリコールモノエステル
NPG ;ネオペンチルグリコール
ESG ;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノエステル
Claims (9)
- 酸触媒下、原料ヒドロキシピバルアルデヒドと、少なくともペンタエリスリトール及び/又はトリメチロールプロパンと、をアセタール化反応させて、環状アセタール骨格を有するジオールを得るアセタール化反応工程を有し、
該アセタール化反応工程から分離した反応母液を次のアセタール化反応工程に再使用し、
前記原料ヒドロキシピバルアルデヒドが、ホルムアルデヒド、ネオペンチルグリコール、下記式(III)で示されるネオペンチルグリコール骨格を持つエステル化合物、及びイソブチルアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも1種の不純物を含み、
前記不純物を含む場合において、
前記ホルムアルデヒドの含有量が、前記原料ヒドロキシピバルアルデヒド100質量%に対して、0.80質量%以下であり、
前記ネオペンチルグリコール及び/又は前記ネオペンチルグリコール骨格を持つエステル化合物の合計質量モル濃度が、前記原料ヒドロキシピバルアルデヒドの総量に対して、0.100mol/kg以下であり、
前記イソブチルアルデヒドの含有量が、前記原料ヒドロキシピバルアルデヒド100質量%に対して、0.05質量%以下である、
環状アセタール骨格を有するジオールの製造方法。 - 前記環状アセタール骨格を有するジオールが、スピログリコール及び/又はジオキサングリコールである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の環状アセタール骨格を有するジオールの製造方法。
- ホルムアルデヒドとイソブチルアルデヒドのアルドール縮合反応により粗ヒドロキシピバルアルデヒドを得るアルドール縮合反応工程を有する、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の環状アセタール骨格を有するジオールの製造方法。 - 前記アルドール縮合反応工程により得られた前記粗ヒドロキシピバルアルデヒドに、水及び/又は有機溶媒を添加して前記原料ヒドロキシピバルアルデヒドを抽出する抽出工程、
前記アルドール縮合反応工程により得られた前記粗ヒドロキシピバルアルデヒドを蒸留して、前記原料ヒドロキシピバルアルデヒドを留出回収する蒸留工程、及び
前記アルドール縮合反応工程により得られた前記粗ヒドロキシピバルアルデヒドに、水及び/又は有機溶媒を添加して晶析し、固液分離により前記原料ヒドロキシピバルアルデヒドを回収する晶析工程の少なくともいずれかの工程を有する、
請求項7に記載の環状アセタール骨格を有するジオールの製造方法。 - 前記アセタール化反応工程の反応温度が40〜105℃であり、
前記アセタール化反応工程中の反応液のpH値が、0.1〜4.0であり、
前記アセタール化反応工程後、前記反応液を、環状アセタール骨格を有するジオールの固体と反応母液に固液分離し、前記反応母液の30〜98質量%を再使用して、次のアセタール化反応工程を行う、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の環状アセタール骨格を有するジオールの製造方法。
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