本発明のいくつかの態様が例示のための適用例を参照して下に記載されている。本発明の完全な理解をもたらすために多数の特定の詳細、関係、および方法が記載されていることが理解されるべきである。しかし、本発明は、特定の詳細の1つまたは複数を用いずに、または他の方法を用いて実施することができることが当業者には容易に認識されよう。本発明は、いくつかの行為は異なる順序で、および/または他の行為または事象と同時に起こり得るので、例示された行為または事象の順序に限定されない。
さらに、例示された行為または事象の全てが本発明による方法体系を実行するために必要であるとは限らない。
本明細書において使用される用語法は、特定の実施形態を記載するためだけのものであり、本発明を限定するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、文脈によりそうでないことが明白に示されない限り、複数の形態も含むものとする。さらに、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語、またはその変形が発明の詳細な説明および/または特許請求の範囲のいずれかにおいて使用される限りでは、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語と同様に包括的なものとする。
「約」または「およそ」という用語は、値がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定システムの限定に一部依存する、当業者によって決定される特定の値の許容される誤差範囲内であることを意味する。例えば、「約」とは、当技術分野の慣習に従って、1または1超の標準偏差以内に入ることを意味し得る。あるいは、「約」とは、所与の値の20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%まで、より好ましくはさらに1%までの範囲を意味し得る。あるいは、特に、生物システムまたはプロセスに関しては、「約」という用語は、値の1桁分以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。特定の値が本出願および特許請求の範囲に記載されている場合、別段の指定のない限り、特定の値の許容される誤差範囲内を意味する「約」という用語が想定されるべきである。
I.免疫組織化学アッセイ
一般に、本発明は、組織試料中の標的分析物の存在または非存在を検出するための組成物、方法、およびキットを提供する。一般に、本方法は、(a)約15℃から約45℃の間のインキュベーション温度で約3分から約1時間の間のインキュベーション期間にわたって、標的分析物を含有する組織試料をポリマー酵素/抗体コンジュゲートと接触させて、標的分析物、およびポリマー酵素/抗体コンジュゲートの少なくとも1つを含む複合体を形成するステップであって、抗体が、標的分析物に特異的に結合することが可能なものであるステップと、(b)複合体を形成しないポリマー酵素/抗体コンジュゲートを除去するステップと、(c)組織試料を酵素の基質と接触させて、それにより、標的分析物を検出するステップとを含む。
一態様では、提供される組成物、方法、およびキットを、FFPE組織切片または凍結組織切片などの組織試料中の抗原などの標的分析物を迅速に検出するために使用する。一態様では、提供される組成物、方法、およびキットを、FFPE組織切片または凍結組織切片などの組織試料中の抗原などの標的分析物を感度よく検出するために使用する。一部の実施形態では、疾患を有する個体を治療のために選択し、ここで、本明細書に開示されている方法による標的分析物の検出を、個体を治療のために選択するための基礎として使用する。
A.組織試料
一般には、本発明で提供される組成物および方法を、被験体に由来する組織試料中の標的分析物を検出するために使用する。一部の実施形態では、本発明で提供される組成物および方法を、被験体に由来する組織内の標的分析物を検出するために使用し、ここで、標的分析物は腫瘍抗原である。
「被験体」または「患者」とは、本明細書では、ヒト、ウシ、イヌ、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ニワトリ、昆虫などを含めた、療法が望まれる任意の単一の被験体を意味する。疾患のいかなる臨床徴候も示していない、臨床試験に関与しているあらゆる被験体、または疫学試験に関与している被験体、または対照として使用される被験体も、被験体に含まれるものとする。
「組織試料」とは、本明細書では、好ましくは染色体性物質を有する有核細胞を含有する被験体または患者の組織から得られる類似した細胞の集合を意味する。4つの主要なヒト組織は、(1)上皮;(2)血管、骨および軟骨などの結合組織;(3)筋組織;および(4)神経組織である。組織試料の供給源は、新鮮な、凍結した、および/もしくは保存された臓器もしくは組織試料、または生検材料、または吸引物、または血液または任意の血液構成成分、または、脳脊髄液、羊水、腹腔液(peritoneal fluid)、もしくは間質液などの体液、または被験体の妊娠または発生の任意の時点での細胞に由来する固形組織であってよい。組織試料は、初代もしくは培養した細胞もしくは細胞株、または培養組織であってもよい。組織試料は、天然の組織と天然には混合しない化合物、例えば、防腐剤、抗凝固薬、緩衝液、固定剤、栄養分、抗生物質などを含有してよい。本発明の一部の実施形態では、組織試料は、「非血液組織」である(すなわち、血液でも骨髄組織でもない)。
本発明の方法は、例えば、がん組織を含めた任意の型の組織に適用することができる。凍結腫瘍組織は広範に入手可能ではないが、パラフィンブロックは、外科手術後に腫瘍から慣例的に調製され、例えば、チミジル酸シンターゼ発現および化学療法応答の大規模遡及的調査を実施することが可能になる。さらに、当該技法は、広範囲の腫瘍型および無制限の範囲の遺伝子産物のいずれにも適用することができる。本発明の方法は、個々の腫瘍「遺伝子発現プロファイル」を調製するために使用することができ、それにより、個々の患者試料において、1つまたは複数の遺伝子産物について、例えば、臨床転帰および種々の化学療法剤に対する応答に影響を及ぼすことが公知である一連の遺伝子産物などについて発現レベルを決定することができる。
一部の実施形態では、組織は、がん細胞を含む。一部の実施形態では、組織は、がん細胞に対して空間的近傍にある細胞を含む。一部の実施形態では、組織は、がん細胞およびがん細胞に対して空間的近傍にある細胞を含む。一部の実施形態では、組織は、がん細胞に対して密接に空間的近傍にある細胞を含む。一部の実施形態では、組織は、がん細胞に対して密接に空間的近傍にある正常細胞を含む。一部の実施形態では、組織は、がん細胞とがん細胞に対して空間的近傍にある正常細胞の混合物を含む。一部の実施形態では、混合物は、低百分率のがん細胞を含む。一部の実施形態では、混合物は、がん細胞を30%未満、20%未満、15%未満、10%未満、または5%未満含む。一部の実施形態では、混合物は、約5%から約30%の間のがん細胞を含む。
一部の実施形態では、組織試料は組織切片を含む。
組織試料の「切片」とは、本明細書では、組織試料の単一の部分または小片、例えば、組織試料から切り出された組織または細胞の薄いスライスを意味する。組織試料の複数の切片を取得し、本発明に従って分析に供することができることが理解される。一部の実施形態では、組織の選択された部分または切片は、均一な細胞の集団を含む。一部の実施形態では、組織の選択された部分または切片は、不均一な細胞の集団を含む。一部の実施形態では、選択された部分は、組織の領域、例えば、非限定的な例として内腔を含む。選択された部分は、例えば、1つの細胞または2つの細胞ほど小さくてもよく、何千もの細胞であってもよい。ほとんどの場合、細胞の集合が重要であり、また、本発明は細胞成分の検出における使用に関して記載されているが、本方法は、生物体の非細胞成分(例えば、非限定的な例として血液中の可溶性成分)を検出するためにも使用することができる。
被験体由来の任意の組織試料を使用することができる。使用することができる組織試料の例としては、これだけに限定されないが、***、前立腺、卵巣、結腸、肺、子宮内膜、胃、唾液腺、または膵臓が挙げられる。組織試料は、これだけに限定されないが、外科的切除、吸引、または生検を含めた種々の手順によって得ることができる。組織は新鮮なものであっても凍結したものであってもよい。
一部の実施形態では、組織は、時間を経たものである。「時間を経たもの」とは、本明細書では、ある期間、例えば、凍結またはFFPEが貯蔵される期間にわたって貯蔵されている組織を意味する。一部の実施形態では、組織試料は、凍結組織試料である。一部の実施形態では、組織は凍結組織である。一部の実施形態では、組織はパラフィン包埋組織である。一部の実施形態では、組織はホルマリン固定パラフィン包埋組織である。
一部の実施形態では、組織試料は、組織切片、臨床塗抹標本、または培養細胞もしくは組織である。一部の実施形態では、組織は、厚さ約5μm超の組織切片である。一部の実施形態では、組織は、厚さ約5μmの組織切片である。一部の実施形態では、組織は、厚さ約5μm未満の組織切片である。一部の実施形態では、組織は、厚さ約1.5μm〜厚さ約5.5μmの組織切片である。一部の実施形態では、組織は、厚さ約4.5μm〜厚さ約7.5μmの組織切片である。
一部の実施形態では、組織切片は、哺乳動物の脳、副腎、結腸、小腸、胃、心臓、肝臓、皮膚、腎臓、肺、膵臓、精巣、卵巣、前立腺、子宮、甲状腺、および脾臓の組織切片からなる群より選択される。一部の実施形態では、組織切片は固形腫瘍に由来するものである。
組織試料の調製
これらの粒子状検体から組織ブロックを調製する方法は、種々の予後因子に関する以前のIHC試験において首尾よく使用されており、かつ/または当業者には周知である。
簡単に述べると、任意のインタクトな臓器または組織を切断してかなり小さな片にし、種々の固定剤(例えば、ホルマリン、アルコールなど)中、組織が「固定」されるまで様々な期間にわたってインキュベートすることができる。試料は、事実上、身体から外科的に除去されたインタクトな任意の組織であってよい。試料は、病理組織検査室において慣例的に使用される設備に適合する合理的に小さな片(複数可)に切断することができる。切断される小片のサイズは、一般には、数ミリメートルから数センチメートルにわたる。
一部の実施形態では、凍結切片は、凍結「粉末化」組織50mgを、室温、小さなプラスチックカプセルに入ったリン酸緩衝食塩水(PBS)中で再湿潤化し(rehydrate);粒子を遠心分離によってペレット化し;粒子を粘性包埋媒体(OCT)中に再懸濁させ;カプセルを反転させ、かつ/または遠心分離によって再度ペレット化し;−70℃イソペンタン中でスナップ凍結させ;プラスチックカプセルを切断し、かつ/または凍結した組織の円柱を取り出し;組織円柱を低温保持装置ミクロトームチャック上に固定し;かつ/または25〜50の連続切片に切断することによって調製することができる。
恒久的切片は、プラスチック微量遠心チューブ中、試料50mgを再湿潤化すること;ペレット化すること;10%ホルマリン中に再懸濁させ4時間にわたって固定すること;洗浄/ペレット化すること;温かい2.5%寒天中に再懸濁させること;ペレット化すること;氷水中で冷却して寒天を硬化させること;チューブから組織/寒天ブロックを取り出すこと;ブロックをパラフィン中に浸潤および/もしくは包埋させること;ならびに/または50個までの連続的な恒久的切片に切断することを伴う同様の方法によって調製することができる。
一部の実施形態では、本発明では、例えば、標準の凍結切片(Frozen Section)病院検査室において使用されるものを含めた、OCTに包埋されたもの、および粉末化されていないものなどの標準の凍結試料を利用することができる。
組織試料は、多くの場合、固定剤を用いて固定する。一般には、ホルマリン(ホルムアルデヒド)およびグルタルアルデヒドなどのアルデヒド固定剤が使用される。アルコール浸漬などの他の固定技法を使用して固定された組織試料も同様に適切である。BattiforaおよびKopinski, J.、Histochem. Cytochem.、34巻:1095頁(1986年)を参照されたい。使用する試料は、パラフィンに包埋され得る。
一部の実施形態では、組織試料は、アルデヒドを含有する溶液中に固定される。
一部の実施形態では、組織試料は、ホルマリンを含有する溶液中に固定される。
一部の実施形態では、組織試料は、パラフィン包埋される。
一部の実施形態では、組織試料は、固定され、かつパラフィンなどに包埋される。
一部の実施形態では、試料は、ホルマリン固定され、かつパラフィン包埋される。
一部の実施形態では、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPET)ブロックを、FFPETコア試料のための特異的な領域(複数可)を選択するために、分析用に1つまたは複数の部分を選択する前にヘマトキシリン・エオシン染色する。
組織試料は、従来の方法体系によって固定(すなわち、保存)することができる。例えば、「Manual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology」、第3版(1960年)、Lee G. Luna、HT(ASCP)編、The Blakston Division McGraw−Hill Book Company、New York;The Armed Forces Institute of Pathology Advanced Laboratory Methods in Histology and Pathology(1994年)Ulreka V. Mikel編、Armed Forces Institute of Pathology、American Registry of Pathology、Washington、D.Cを参照されたい。固定剤の選択は、組織を組織学的に染色するまたは他の方法で分析する目的によって決定されることが当業者には理解されよう。当業者には、固定の長さが組織試料のサイズおよび使用する固定剤に依存することも理解されよう。例として、中性緩衝ホルマリン、ブアン、またはパラホルムアルデヒドを組織試料の固定に使用することができる。
一般に、組織試料を、まず固定し、次いで、増加系列(ascending series)のアルコールによって脱水し、浸潤させ、パラフィンまたは他の切片作製媒体を用いて包埋し、したがって、組織試料の切片作製を行うことができる。あるいは、組織の切片作製を行い、得られた切片を固定することができる。例として、従来の方法体系によって組織試料をパラフィン中で包埋し、そして加工することができる。例えば、「Manual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology」、上記を参照されたい。使用することができるパラフィンの例としては、これだけに限定されないが、Paraplast、Broloid、およびTissuemayが挙げられる。組織試料を包埋したら、ミクロトームなどによって試料の切片作製を行うことができる。例えば、「Manual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology」、上記を参照されたい。この手順の例として、切片の厚さは約3ミクロン〜約5ミクロンにわたってよい。切片作製したら、いくつかの標準の方法によって切片をスライドに付着させることができる。スライド接着剤の例としては、これだけに限定されないが、シラン、ゼラチン、ポリ−L−リシンなどが挙げられる。例として、パラフィン包埋した切片を、正に荷電したスライドおよび/またはポリ−L−リシンでコーティングしたスライドに付着させることができる。
試料の脱パラフィン
パラフィンを包埋材料として使用した場合、一般に、組織切片を脱パラフィンし、水で再湿潤化する。一部の実施形態では、組織をIHC前に脱パラフィンする。
脱パラフィンにより、パラフィン包埋試料からパラフィンの大半が除去される。脱パラフィンのためのいくつもの技法が公知であり、任意の適切な技法を本発明と共に使用することができる。本発明の好ましい方法では、パラフィンを溶解するために有機溶媒を用いた洗浄を利用する。そのような溶媒は、組織内のリガンドに悪影響を及ぼすことなく、組織試料からパラフィンを有効に除去することができるものである。適切な溶媒は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ならびにそれらの混合物などの例示的な溶媒から選択することができる。本発明の方法において使用することが好ましい溶媒はキシレンである。本発明の方法における溶媒単独または溶媒の組合せは、高純度、通常は約99%超のものであることが好ましい。
パラフィンは、一般には、激しく混合しながら有機溶媒を用いて洗浄し、その後、遠心分離することによって除去する。試料を、チューブ内の組織のペレット化を引き起こすために十分なスピード、通常は約10,000〜約20,000×gで遠心分離する。遠心分離した後、有機溶媒上清を廃棄する。使用する有機溶媒の体積および必要な洗浄の回数は、試料のサイズおよび除去するパラフィンの量に依存することは組織学的検査の当業者には認識されよう。除去するパラフィンの量が多いほど、より多くの洗浄が必要になる。一般には、試料を1回から約10回の間、好ましくは、約2回から約4回の間洗浄する。有機溶媒の典型的な体積は、組織検体10μmに対して約500μLである。
例えば直接融解を含めた、当業者に公知の脱パラフィンの他の方法も本発明の方法において使用することができる。
追加的な実施形態では、例えば、脱パラフィンのために使用される、独占所有権のある他の例示的な製剤(例えば、HEMO−DE(登録商標)(PMP Medical Industries,Inc.、Irving、TX);CLEAR−RITE(登録商標)(Microm International;Walldorf、Germany);EZ−DEWAX(商標)(BioGenex、San Ramon、CA))を含む柑橘類に基づく脂肪族炭化水素(例えばD−リモネン(D−Limolene)に基づくもの)を使用することができる。EZ−DEWAX(商標)は、脱蝋および再湿潤化剤として公知である。
組織切片は、いくつかの従来の標準の方法体系によって脱パラフィンすることができる。例えば、キシレンおよび徐々に低下する系列のアルコールを使用することができる。例えば、「Manual of Histological Staining Method of the Armed Forces Institute of Pathology」、上記を参照されたい。あるいは、Hemo−De(登録商標)(CMS、Houston、Texas)などの市販の脱パラフィン非有機薬剤を使用することができる。
再湿潤化
試料を脱パラフィン後に再湿潤化することができる。再湿潤化するための好ましい方法は、漸減濃度の水性低級アルコール性溶液を用いた段階的な洗浄である。再湿潤化のために好ましい低級アルコールはエタノールである。メタノール、イソプロパノールおよびC1〜C5範囲の他の同様のアルコールを含めた他のアルコールも本発明と共に使用するのに適し得る。あるいは、試料をアルコール性溶液と激しく混合し、遠心分離する。好ましい実施形態では、アルコールの濃度範囲を約3〜5の増分ステップにわたって水中約100%から約70%まで段階的に低下させ、各ステップにおける溶液濃度の変化は通常、約10%未満である(例えば、例示的なシークエンス:100%、95%、90%、80%、70%)。一部の実施形態では、例えばEZ−DEWAX(商標)(BioGenex、San Ramon、CA)などの試薬を使用して脱パラフィンおよび再湿潤化を同時に行う。
前処理
本発明の一部の実施形態では、例えば、本発明の方法を直接または間接的に容易にするなどのために、試料を前処理することができる。一部の実施形態では、組織の前処理により、標的分析物の抗体結合に対する利用可能性が増大する。標的を利用可能にするための前処理(熱により誘導されるエピトープ回復(epitope retrieval)、またはタンパク質分解酵素により媒介される)を利用することができる。クエン酸緩衝液、Tris、およびEDTA塩基を例示的な熱誘導性試薬として使用することができる。本発明のある特定の態様では、ペプシン、プロテイナーゼK、トリプシン、プロテアーゼ、およびサブタイプの全ても、例えば、独占所有権のある利用可能な多くの製剤を利用することによってなどで使用することができる。
B.標的分析物
提供される組成物および方法を、組織試料中の1つまたは複数の標的分析物を検出するために使用する。
「標的分析物」または「分析物」または「標的」または文法上の等価物は、本明細書では、検出される任意の分子、化合物、または粒子を意味する。
一部の実施形態では、標的分析物は、未分化新生物/未知の原発性(primary)の診断におけるバイオマーカー、例えば、上皮マーカー(サイトケラチンおよびEMA)、筋上皮マーカー(p63、S100、カルポニン、SMA、SMMH−1、CK14、マスピン)、間葉系マーカー(ビメンチン、SMA、MSA、デスミン、MyoD1、ミオゲニン、NF、S100、P63、CD10、カルポニン、ミオグロビン、MDM2、CDK4、FLI−1、CD117、DOG1、CD31、CD34、第XIIIa因子、CD99)、メラニン細胞マーカー(S100、HMB−45、MART−1、チロシナーゼ、MiTF)、中皮マーカー(カルレチニン、CK5/6、WT1、D2−40、HBME−1、メソテリン、トロンボモジュリン)、神経内分泌マーカー(クロモグラニン、シナプトフィジン、CD56、PGP9.5、NSE、インスリン、PTH、カルシトニン、サイログロブリン、プロラクチン)、生殖細胞腫瘍マーカー(PLAP、OCT4、CD117またはc−kit、SALL4、CD30、アルファ−フェトプロテイン、ベータ−hCG、グリピカン−3、インヒビン−アルファ、カルレチニン、EMA、CAM5.2)、B細胞マーカー(CD79aおよびPAX5)、および造血マーカー(CD1a、CD2、CD3、CD5、CD10、CD38、CD21、CD35、CD15、CD30、CD79a、CD43、CD138、CD68、Bcl−2、Bcl−6、サイクリンD1、MUM1、S100、MPO)などである。
一部の実施形態では、標的分析物は、腫瘍起源を同定するためのバイオマーカー、例えば、甲状腺髄様癌に関するカルシトニンおよびCEA;膵臓内分泌新生物に関するインスリン、グルカゴンおよびソマトスタチン;メルケル細胞癌に関するCK20;血管筋脂肪腫に関するHMB−45、MART−1およびSMA;黒色腫に関するS100、HMB−45、MART−1、SOX10、およびビメンチン;GIおよびGI外間質腫瘍に関するCD117およびDOG−1;胸腺癌に関するCD5およびp63;結腸直腸癌に関するCK20、CDX−2、ベータカテニンおよびビリン;唾液腺管癌に関するアンドロゲン受容体およびGCDFP−15;乳癌に関するGCDFP−15、ER、PR、マンマグロビン;肺腺癌に関するTTF1、ナプシンAおよびサーファクタントA;甲状腺乳頭状癌(thyroid paoillary carcinoma)および濾胞状癌に関するTTF1、サイログロブリン、PAX8;ランゲルハンス細胞組織球増殖症(langerhans cell histicytosis)に関するCD1aおよびS100;前立腺腺癌に関するPSA、PSAPおよびP504S;脊索腫に関するCK、EMA、S100;乳頭状RCCに関するP504S/KIM−1/RCCMa;明細胞RCCに関するRCCMa、KIM−1、PAX8、pVHL;甲状腺のヒアリン化小柱状腺腫(hyalinizing trabecular adenoma of the thyroid)に関するMIB1(Ki−67);セミノーマに関するOCT4/CD117/PLAP/D2−40;線維形成性小円形細胞腫瘍(DPSRCT)に関するCK、デスミン;肝細胞癌に関するグリピカン−3、Hep Par1;悪性胚細胞性腫瘍に関するアルファ−フェトプロテイン/グリピカン−3/PLAP/SALL4;胎生期癌に関するOCT4/CD30/SOX2/SALL4/PLAP;脂肪組織/脂肪肉腫に関するDM2、CDK4;横紋筋肉腫に関するミオゲニン、デスミン、myoD1;平滑筋肉腫/平滑筋腫瘍に関するSAM、MSA、デスミン;子宮頸癌(cervical carcinoma)および頚管内癌(endocervical carcinoma)に関するp16、HPV in situ;漿液性卵巣癌に関するER、WT1、PAX8;子宮内膜間質部肉腫に関するCD10、ER;膵管腺癌(PDA)に関するマスピン、VHL;T細胞に関するCD2、CD3;B細胞に関するCD20、PAX5、CD69a;骨髄性細胞に関するCD43、CD34、CD33、MPO;肥満細胞に関するCD117、トリプターゼ;ならびに濾胞樹状細胞に関するCD21、CD35などである。
一部の実施形態では、標的分析物は、疾患カテゴリー内での詳細な分類に関するバイオマーカー、例えば、リンパ腫/白血病に関するCD3、CD20、CD79a、PAX5、CD45rb、CD15、CD30、ALK−1、CD138、CD56、免疫グロブリン、HHV8、EMA、TdT、CD34、CD117、およびMPOなどである。
一部の実施形態では、標的分析物は、コンパニオン診断のためのバイオマーカー、例えば、ER、PR、HER2、EGFR、およびCD117(c−kit)などである。
一部の実施形態では、標的は、タンパク質、炭水化物、脂質、および/または核酸を含む。一部の実施形態では、標的は、タンパク質および/またはその特徴的な部分、例えば、腫瘍マーカー、インテグリン、細胞表面受容体、膜貫通タンパク質、細胞間タンパク質、イオンチャネル、膜輸送体タンパク質、酵素、抗体、キメラタンパク質、糖タンパク質などを含む。一部の実施形態では、標的は、例えば、糖タンパク質、糖(例えば、単糖、二糖、多糖)、グリコカリックス(すなわち、大多数の真核細胞の外側表面上の炭水化物に富む辺縁ゾーン)などの炭水化物および/またはその特徴的な部分を含む。一部の実施形態では、標的は、例えば、油、脂肪酸、グリセリド、ホルモン、ステロイド(例えば、コレステロール、胆汁酸)、ビタミン(例えば、ビタミンE)、リン脂質、スフィンゴ脂質、リポタンパク質などの脂質および/またはその特徴的な部分を含む。
多数のマーカーが当技術分野で公知である。典型的なマーカーとしては、細胞表面タンパク質、例えば、受容体が挙げられる。例示的な受容体としては、これだけに限定されないが、トランスフェリン受容体;LDL受容体;増殖因子受容体、例えば、上皮増殖因子受容体ファミリーメンバー(例えば、EGFR、Her2、Her3、Her4)または血管内皮増殖因子受容体、サイトカイン受容体、細胞接着分子、インテグリン、セレクチン、およびCD分子が挙げられる。マーカーは、悪性細胞において排他的にまたは多量に存在する分子、例えば腫瘍抗原であってよい。一部の実施形態では、マーカーまたは標的分析物は、対照におけるマーカーまたは標的分析物よりも多量に存在する。
一部の実施形態では、標的分析物は、上皮マーカー(サイトケラチン(cytokertin)およびEMA)、筋上皮マーカー(p63、S100、カルポニン、SMA、SMMH−1、CK14、マスピン)、間葉系マーカー(ビメンチン、SMA、MSA、デスミン、MyoD1、ミオゲニン、NF、S100、P63、CD10、カルポニン、ミオグロビン、MDM2、CDK4、FLI−1、CD117、DOG1、CD31、CD34、第XIIIa因子、CD99)、メラニン細胞マーカー(S100、HMB−45、MART−1、チロシナーゼ、MiTF)、中皮マーカー(カルレチニン、CK5/6、WT1、D2−40、ヘム−1、メソテリン、トロンボモジュリン)、神経内分泌マーカー(クロモグラニン、シナプトフィジン、CD56、PGP9.5、NSE、インスリン、PTH、カルシトニン、サイログロブリン、プロラクチン)、生殖細胞腫瘍マーカー(PLAP、OCT4、CD117またはc−kit、SALL4、CD30、アルファフェトプロテイン、ベータ−hCG、グリピカン−3、インヒビン−アルファ、カルレチニン、EMA、CAM5.2)、ならびに造血マーカー(CD1a、CD2、CD3、CD5、CD10、CD38、CD21、CD35、CD15、CD30、CD79a、CD43、CD138、CD68、Bcl−2、Bcl−6、サイクリンD1、MUMI、S100、MPO)から選択される、未分化新生物および/または未知の原発腫瘍の診断のためのバイオマーカー;以下から選択される腫瘍起源を同定するためのバイオマーカー:甲状腺髄様癌に関するカルシトニンおよびCEA;膵臓内分泌新生物に関するインスリン、グルカゴンおよびソマトスタチン;メルケル細胞癌に関するCK20;血管筋脂肪腫に関するHMB−4S、MART−1およびSMA;黒色腫に関するS100、HMB−45、MART−1、SOX10、およびビメンチン;GIおよびGI外間質腫瘍に関するCD117およびDOG−1;胸腺癌に関するCD5およびp63;結腸直腸癌に関するCK20、CDX−2、ベータカテニンおよびビリン;唾液腺管癌に関するアンドロゲン受容体およびGCDFP−15;乳癌に関するGCDFP−15、ER、PR、マンマグロビン;肺腺癌に関するTTF1、ナプシンAおよびサーファクタントA;甲状腺乳頭状癌および濾胞状癌に関するTTF1、サイログロブリン、PAX8;ランゲルハンス細胞組織球増殖症に関するCD1aおよびS100;前立腺腺癌に関するPSA、PSAPおよびP504S;脊索腫に関するCK、EMA、S100;乳頭状RCCに関するP504S/KIM−1/RCCMa;明細胞RCCに関するRCCMa、KIM−1、PAX8、pVHL;甲状腺のヒアリン化小柱状腺腫に関するMIBI(Ki−67);セミノーマに関するOCT4/CD117/PLAP/D2−40;線維形成性小円形細胞腫瘍(DPSRCT)に関するCK、デスミン;肝細胞癌に関するグリピカン−3、Hep Parl;悪性胚細胞性腫瘍に関するアルファ−フェトプロテイン/グリピカン− 3/PLAP/SALL4;胎生期癌に関するOCT4/CD30/SOX2/SALL4/PLAP;脂肪組織/脂肪肉腫に関するDM2、CDK4;横紋筋肉腫に関するミオゲニン、デスミン、myoDI;平滑筋肉腫/平滑筋腫瘍に関するSAM、MSA、デスミン;子宮頸癌および頚管内癌に関するp16、HPV in situ;漿液性卵巣癌に関するER、WT1、PAX8;子宮内膜間質部肉腫に関するCD10、ER;膵管腺癌(PDA)に関するマスピン、VHL;T細胞に関するCD2、CD3;B細胞に関するCD20、PAX5、CD69a;骨髄性細胞に関するCD43、CD34、CD33、MPO;肥満細胞に関するCD117、トリプターゼ;もしくは濾胞樹状細胞に関するCD21、CD35;CD3、CD20、CD79a、PAX5、CD45rb、CD15、CD30、ALK−1、CD138、CD56、免疫グロブリン、HHV8、EMA、TdT、CD34、CD117、およびMPOから選択される疾患カテゴリー内での詳細な分類に関するバイオマーカー;または、ER、PR、HER2、EGFR、およびCD117(c−kit)から選択されるコンパニオン診断のためのバイオマーカーから選択される。
腫瘍抗原
ある特定の実施形態では、標的は、腫瘍マーカーである。一部の実施形態では、腫瘍マーカーは、腫瘍に存在し、正常な器官、組織、および/または細胞には存在しない抗原である。一部の実施形態では、腫瘍マーカーは、腫瘍に関連し、正常な器官、組織、および/または細胞には関連しない抗原である。一部の実施形態では、腫瘍マーカーは、腫瘍の細胞表面上にあり、正常な器官、組織、および/または細胞の細胞表面上にはない抗原である。一部の実施形態では、腫瘍マーカーは、腫瘍において正常な器官、組織、および/または細胞よりもより広く行き渡っている抗原である。一部の実施形態では、腫瘍マーカーは、腫瘍に、正常な器官、組織、および/または細胞よりもより広く行き渡って関連する抗原である。一部の実施形態では、腫瘍マーカーは、悪性がん細胞において正常細胞よりも広く行き渡っている抗原である。一部の実施形態では、腫瘍マーカーは、悪性がん細胞に、正常細胞よりも広く行き渡って関連する抗原である。一部の実施形態では、腫瘍マーカーは、腫瘍マーカーが対照において見いだされるよりも高レベルで存在する。一部の実施形態では、腫瘍マーカーは、腫瘍マーカーが非がん性組織において見いだされるよりも高レベルで存在する。
一部の実施形態では、標的分析物は腫瘍抗原を含む。
「腫瘍抗原」とは、本明細書では、腫瘍細胞において産生される抗原性物質を意味する、すなわち、腫瘍抗原とは、宿主における免疫応答を誘発するものである。身体内の正常なタンパク質は、自己反応性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)および自己抗体産生Bリンパ球が、一次リンパ組織(BM)に「中心的に」、および二次リンパ組織に「末梢性に」選別される(大部分は、T細胞について胸腺およびB細胞について脾臓/リンパ節)プロセスである自己寛容に起因して、抗原性ではない。したがって、免疫系に曝露されないあらゆるタンパク質が免疫応答を誘発する。これは、免疫系から十分に隔離された正常なタンパク質、通常は極めて少量しか産生されないタンパク質、通常はある特定の発生段階でのみ産生されるタンパク質、または変異に起因して構造が改変されたタンパク質を含み得る。
一部の実施形態では、標的は、腫瘍組織および/または細胞において正常組織および/または細胞よりも優先的に発現する。一部の実施形態では、標的は、腫瘍組織において正常組織よりも高レベルで発現する。一部の実施形態では、標的は、対照よりも高レベルで発現する。
本発明の一部の実施形態では、マーカーは腫瘍マーカーである。マーカーは、***細胞において非***細胞よりも高レベルで発現するポリペプチドであってよい。例えば、Her−2/neu(ErbB−2としても公知)はEGF受容体ファミリーのメンバーであり、乳がんに関連する腫瘍の細胞表面上に発現する。別の例は、ナノ粒子をヌクレオリンに誘導するために適した標的化薬剤であるF3として公知のペプチドである。Porkkaら、Proc Natl Acad Sci、99巻:7444頁(2002年);およびChristianら、J Cell Biol、163巻:871頁(2003年)を参照されたい。ナノ粒子およびA10アプタマー(PSMAに特異的に結合する)を含む標的化された粒子により、ドセタキセルを前立腺がん腫瘍に特異的かつ有効に送達できたことが示されている。
腫瘍細胞の生物学的挙動のシグナル伝達経路に特異的に干渉し、それを調節するこれらの腫瘍標的を特異的に標的化する抗体または他の薬物は、シグナル伝達経路を直接調節または遮断して腫瘍細胞の成長を阻害するまたはアポトーシスを誘導する。現在まで、固形腫瘍または血液悪性疾患の臨床研究および治療に関して多数の標的薬物が承認されており、血液悪性疾患に対して標的化された薬物がいくつも存在する。
一部の実施形態では、腫瘍抗原(または腫瘍標的)は、CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD79、およびCD137からなる群より選択される。
一部の実施形態では、腫瘍抗原(または腫瘍標的)は、4−1BB、5T4、AGS−5、AGS−16、アンジオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT−062、BTLA、CAIX、がん胎児性抗原、CTLA4、クリプト(Cripto)、ED−B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαν、インテグリンανβ、KIR、LAG−3、ルイスY抗原、メソテリン、c−MET、MN炭酸脱水酵素IX、MUC1、MUC16、Nectin−4、NKGD2、NOTCH、OX40、OX40L、PD−1、PDL1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、シンデカン−1、TACI、TAG−72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、およびそのバリアントからなる群より選択される。腫瘍抗原のバリアントは、当技術分野で公知であり、かつ/または天然に存在する種々の変異体または多型を包含する。
一部の実施形態では、標的分析物は、低レベルで発現する。一部の実施形態では、例えばROR1およびROR2など、標的分析物のコピー数は細胞当たり約1×103〜1×104個である。S. Baskarら、Unique cell surface expression of receptor tyrosine kinase ROR1 in human B−cell chronic lymphocytic leukemia、Clin Cancer Res 2008年:14巻(2号)396頁、V. Walkammら、Live Imaging of Xwnt5A−ROR2 complexes、PLOS ONE 2014年、9巻(10号)1〜9頁を参照されたい。
C.ポリマー酵素/抗体コンジュゲート
別の態様では、本発明は、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートであって、抗体が、標的分析物に特異的に結合することが可能なものであるポリマー酵素/抗体コンジュゲートを提供する。
抗体
一般に、コンジュゲートは、抗体またはその機能性断片を含む。
「免疫グロブリン」または「抗体」とは、本明細書では、全長(すなわち、天然に存在するもしくは正常な免疫グロブリン遺伝子断片組換えプロセスによって形成される)免疫グロブリン分子(例えば、IgG抗体)、または、抗体断片のような、免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な(すなわち、特異的に結合する)部分を意味する。抗体または抗体断片は、特許請求された主題の範囲内でコンジュゲートまたは他のやり方で誘導体化することができる。そのような抗体としては、IgG1、lgG2a、IgG3、IgG4(およびIgG4サブフォーム)、ならびにIgAアイソタイプが挙げられる。
「抗体」という用語は、本明細書では、最も広範な意味で使用され、所望の抗原結合活性を示し、免疫グロブリンのFc領域またはFc領域と同等の領域を含む限りは、それだけに限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば二特異性抗体)、および抗体断片を含めた種々の抗体構造を包含する。「全長の抗体」、「インタクトな抗体」および「全抗体」という用語は、本明細書では互換的に使用され、ネイティブな抗体構造と実質的に類似した構造を有するまたは本明細書で定義されているFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指す。
「ネイティブな抗体」とは、本明細書では、様々な構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を意味する。例えば、ネイティブなIgG抗体は、約150,000ダルトンの、ジスルフィド結合した2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖で構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端まで、各重鎖は、可変重ドメインまたは重鎖可変ドメインとも称される可変領域(VH)、その後に、重鎖定常領域とも称される3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)を有する。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも称される可変領域(VL)、その後に、軽鎖定常領域とも称される定常軽(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と称される2つの型のうちの1つ割り当てることができる。
「抗体断片」とは、本明細書では、インタクトな抗体が結合する抗原に結合する、インタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を意味する。抗体断片の例としては、これだけに限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、ダイアボディ(diabody)、直鎖状抗体、単鎖抗体分子(例えばscFv)、単一ドメイン抗体、および抗体断片から形成される多特異性抗体が挙げられる。ある特定の抗体断片の概説については、Hudsonら、Nat Med 9巻、129〜134頁(2003年)を参照されたい。scFv断片の概説については、例えば、Pliickthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、RosenburgおよびMoore編、Springer−Verlag、New York、269〜315頁(1994年)を参照されたい;WO93/16185;ならびに米国特許第5,571,894号および同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合性エピトープ残基を含み、in vivo半減期が増大したFabおよびF(ab’)2断片に関する考察については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。ダイアボディは、二価または二特異性であり得る2つの抗原結合性部位を有する抗体断片である。例えば、EP404,097;WO1993/01161;Hudsonら、Nat Med、9巻、129〜134頁(2003年);およびHollingerら、Proc Natl Acad Sci、90巻、6444〜6448頁(1993年)を参照されたい。トリアボディ(triabody)およびテトラボディ(tetrabody)もHudsonら、Nat Med、9巻、129〜134頁(2003年)に記載されている。単一ドメイン抗体とは、抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部または軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部を含む抗体断片である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体とはヒト単一ドメイン抗体である(Domantis, Inc.、Waltham, MA;例えば、米国特許第6,248,516B1号を参照されたい)。抗体断片は、これだけに限定されないが、本明細書に記載の通り、インタクトな抗体のタンパク質分解性消化ならびに組換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)による産生を含めた種々の技法によって作製することができる。
「抗原結合性ドメイン」とは、本明細書では、抗原の一部または全部に特異的に結合し、それと相補的である領域を含む抗体の部分を意味する。抗原結合性ドメインは、例えば、1つまたは複数の抗体可変ドメイン(抗体可変領域とも称される)からもたらすことができる。特に、抗原結合性ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)および抗体重鎖可変領域(VH)を含む。
「可変領域」または「可変ドメイン」とは、本明細書では、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを意味する。ネイティブな抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は、一般に、同様の構造を有し、各ドメインが4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つの超可変領域(HVR)を含む。例えば、Kindtら、Kuby Immunology、第6版、W.H. Freeman and Co.、91頁(2007)を参照されたい。単一のVHドメインまたはVLドメインが、抗原結合特異性を付与するために十分であり得る。
「超可変領域」または「HVR」とは、本明細書では、配列が超可変性であり、かつ/または構造的に定義されたループである「超可変ループ」を形成する抗体可変ドメインの領域のそれぞれを意味する。一般に、ネイティブな4鎖抗体は、6つのHVR;VHに3つ(H1、H2、H3)、およびVLに3つ(L1、L2、L3)を含む。HVRは、一般に、超可変ループからのアミノ酸残基および/または相補性決定領域(CDR)からのアミノ酸残基を含み、後者は配列可変性が最も高く、かつ/または抗原認識に関与する。VHのCDR1は例外として、CDRは、一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。超可変領域(HVR)は、「相補性決定領域」(CDR)とも称され、これらの用語は、抗原結合性領域を形成する可変領域の部分に関して、本明細書では互換的に使用される。この特定の領域は、Kabatら、U.S. Dept. of Health and Human Services、Sequences of Proteins of Immunological Interest(1983年)およびChothiaら、J Mol Biol 196巻:901〜917頁(1987年)により記載されており、そこでは、互いと比較した際のアミノ酸残基の重複またはサブセットが定義に含まれる。それにもかかわらず、抗体のCDRまたはそのバリアントを指すいずれの定義の適用も、本明細書で定義され、使用されるこの用語の範囲内であるものとする。特定のCDRを包含する正確な残基数は、CDRの配列およびサイズに応じて変動する。当業者は、どの残基が特定のCDRを含むかを、抗体の可変領域アミノ酸配列を考慮して慣例的に決定することができる。
本発明の抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、または抗体融合タンパク質であってよい。
「キメラ抗体」とは、本明細書では、1つの種に由来する抗体、好ましくはげっ歯類抗体、より好ましくはマウス抗体の相補性決定領域(CDR)を含む、抗体重鎖および軽鎖の両方の可変ドメインを含有するが、抗体分子の定常ドメインはヒト抗体の定常ドメインに由来する組換えタンパク質を意味する。獣医学的適用に関しては、キメラ抗体の定常ドメインは、類人霊長類、ネコまたはイヌなどの他の種の定常ドメインに由来するものであり得る。
「ヒト化抗体」とは、本明細書では、1つの種に由来する抗体、例えば、げっ歯類抗体からのCDRが、げっ歯類抗体の重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインからヒト重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインに移入されたものである、組換えタンパク質を意味する。当該抗体分子の定常ドメインはヒト抗体の定常ドメインに由来するものである。一部の実施形態では、ヒト化抗体のフレームワーク領域の特定の残基、特にCDR配列と接触しているまたはその近くにある残基を改変すること、例えば、元のげっ歯類、類人霊長類、または他の抗体からの対応する残基で置き換えることができる。
「ヒト抗体」とは、本明細書では、例えば、抗原性攻撃に応答して特定のヒト抗体を産生するように「操作された」トランスジェニックマウスから得られる抗体を意味する。この技法では、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子座の構成要素を、内在性の重鎖および軽鎖遺伝子座の標的化破壊を含む胚性幹細胞株に由来するマウスの系統に導入する。トランスジェニックマウスは、ヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成することが可能であり、当該マウスを使用して、ヒト抗体を分泌するハイブリドーマを産生することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得るための方法は、Greenら、Nature Genet 7巻:13頁(1994年)、Lonbergら、Nature 368巻:856頁(1994年)、およびTaylorら、Int Immun. 6巻:579頁(1994年)に記載されている。完全ヒト抗体は、全て当技術分野で公知である、遺伝子または染色体トランスフェクション方法ならびにファージディスプレイ技術によって構築することもできる。例えば、免疫化していないドナー由来の免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーからのin vitroにおけるヒト抗体およびその断片の産生に関しては、McCaffertyら、Nature 348巻:552〜553頁(1990年)を参照されたい。この技法では、抗体可変ドメイン遺伝子を糸状バクテリオファージの主要または副コートタンパク質遺伝子のいずれかにインフレームでクローニングし、ファージ粒子の表面上に機能性抗体断片としてディスプレイさせる。糸状粒子は、ファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能的性質に基づく選択により、それらの性質を示す抗体をコードする遺伝子の選択ももたらされる。このように、ファージは、B細胞の性質のいくつかを模倣する。ファージディスプレイは様々な形式で実施することができ、それらの総説については、例えば、JohnsonおよびChiswell、Current Opinion in Structural Biology 3巻:5564〜571頁(1993年)を参照されたい。ヒト抗体は、in vitroで活性化したB細胞によって生成させることもできる。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,567,610号および同第5,229,275号を参照されたい。
「抗体融合タンパク質」とは、本明細書では、同じまたは異なる特異性を有する同じまたは異なる天然の抗体、単鎖抗体または抗体断片セグメントのうちの2つまたはそれ超が連結した、組換え産生された抗原結合性分子を意味する。融合タンパク質は、特異的な結合部位を少なくとも1つ含む。融合タンパク質の価数は、融合タンパク質が抗原(複数可)またはエピトープ(複数可)に対して有する結合アームまたは部位の総数、すなわち、一価、二価、三価、または多価を示す。抗体融合タンパク質の多価とは、抗体融合タンパク質が、抗原への結合に複数の相互作用を活用することができ、したがって、抗原への、または異なる抗原への結合のアビディティが増大することを意味する。特異性とは、抗体融合タンパク質がどれほど多くの異なる型の抗原またはエピトープに結合することができるか、すなわち、単一特異性、二特異性、三重特異性、多特異性を示す。これらの定義を使用すると、天然の抗体、例えばIgGは、結合アームを2つ有するので二価であるが、1つの型の抗原またはエピトープに結合するので、単一特異性である。単一特異性多価融合タンパク質は、同じ抗原またはエピトープに対する結合部位を1つ超有する。例えば、単一特異性ダイアボディは、同じ抗原に反応する結合部位を2つ有する融合タンパク質である。融合タンパク質は、異なる抗体成分の多価または多特異性の組合せを含んでもよく、同じ抗体成分の複数のコピーを含んでもよい。融合タンパク質は、治療剤をさらに含んでよい。
一部の実施形態では、抗体を、組織試料中の目的の標的細胞上または標的部位において発現する抗原に対する特異性に基づいて選択する。多種多様な、腫瘍に特異的な抗原または他の疾患に特異的な抗原が同定されており、これらの抗原に対する抗体は、そのような腫瘍または他の疾患の治療において使用されているまたは使用が提唱されている。当技術分野で公知の抗体を、特に、標的抗原が関連する疾患を治療するための本発明の化合物に使用することができる。本発明の抗体−リンカー−薬物コンジュゲートにより標的化することが可能な標的抗原(およびそれらの関連する疾患)の例としては、CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD79、CD137、4−1BB、5T4,AGS−5,AGS−16、アンジオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT−062、BTLA、CAIX、がん胎児性抗原、CTLA4、クリプト、ED−B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαν、インテグリンανβ、KIR、LAG−3、ルイスY、メソテリン、c−MET、MN炭酸脱水酵素IX、MUC1、MUC16、Nectin−4、NKGD2、NOTCH、OX40、OX40L、PD−1、PDL1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、シンデカン−1、TACI、TAG−72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR−1、VEGFR−2、およびVEGFR−3。
一部の実施形態では、抗体は、抗ROR2抗体、抗Ck8/18抗体、抗Ki−67抗体、抗Ck5抗体、抗Mart−1抗体、抗S100抗体、または抗CD45抗体である。
一部の実施形態では、コンジュゲートは、Fab、Fab’、F(ab’)2、単一ドメイン抗体、TおよびAbs二量体、Fv、scFv、dsFv、ds−scFv、Fd、直鎖状抗体、ミニボディ(minibody)、ダイアボディ、二特異性抗体断片、バイボディ(bibody)、トリボディ、sc−ダイアボディ、カッパ(ラムダ)ボディ、BiTE、DVD−Ig、SIP、SMIP、DART、または1つもしくは複数のCDRを含む抗体類似体を含む。
一部の実施形態では、コンジュゲートは一次抗体を含む。
「一次抗体」とは、本明細書では、組織試料中の標的タンパク質抗原に特異的に結合する抗体を意味する。一次抗体とは、一般に、免疫組織化学的(IHC)手順において使用される第1の抗体である。一部の実施形態では、一次抗体は、IHC手順において使用される唯一の抗体である。
一部の実施形態では、コンジュゲートは、二次抗体を含む。
「二次抗体」とは、本明細書では、もしあれば、一次抗体に特異的に結合し、それにより、一次抗体とその後の試薬の間に橋を形成する抗体を意味する。二次抗体は、一般に、免疫組織化学的手順において使用される第2の抗体である。
一部の実施形態では、標的分析物を認識する抗体は、直接結合によるものである。一部の実施形態では、標的分析物を認識する抗体は、間接的な結合によるものである。一部の実施形態では、標的分析物への特異的な抗体結合は、直接結合によるものである。一部の実施形態では、標的分析物への特異的な抗体結合は、間接的な結合によるものである。
一部の実施形態では、抗体の結合親和性は、約10−7〜10−13(Kd)である。
酵素
一般に、抗体コンジュゲートは、複数の酵素分子を含む。一部の実施形態では、抗体コンジュゲートは、複数の酵素分子を含み、複数の酵素分子は、同じ酵素型を含む(例えば、抗体コンジュゲートの酵素分子は全て西洋ワサビペルオキシダーゼである)。
酵素は、一般に、種々の技法を使用して測定することができる発色基質の化学的変質を触媒する。例えば、酵素は、分光光度的に測定することができる基質の色の変化を触媒し得る。あるいは、酵素は、基質の蛍光または化学発光を変更し得る。化学発光基質は、化学反応によって電子的に励起され、次いで、(例えばケミルミノメーターを使用して)測定することができる光を放出し得るまたは蛍光アクセプターにエネルギーを供与し得る。酵素標識の例としては、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖類オキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)、複素環オキシダーゼ(例えば、ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼなど)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼなどが挙げられる。酵素を抗体にコンジュゲートするための技法は、O’Sullivanら、Methods for the Preparation of Enzyme−Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay、in Methods in Enzym(J. LangoneおよびH. Van Vunakis編)、Academic press、New York、73巻:147〜166頁(1981年)に記載されている。酵素−基質の組合せの例としては、例えば、(i)西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)と、基質として水素ペルオキシダーゼ、ここで、水素ペルオキシダーゼにより色素前駆体[例えば、オルトフェニレンジアミン(OPD)または3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン塩酸塩(TMB)]が酸化される;(ii)アルカリホスファターゼ(AP)と、発色基質としてパラ−ニトロフェニルホスフェート;および(iii)β−D−ガラクトシダーゼ(β−D−Gal)と発色基質(例えば、p−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシダーゼ)または蛍光原基質(例えば、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトシダーゼ)が挙げられる。
一部の実施形態では、酵素は、ベータ−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ラクタマーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ウリカーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、ルシフェラーゼ、ピルビン酸キナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、エンテロキナーゼ、チロシナーゼ、およびキサンチンオキシダーゼからなる群より選択される。
ポリマー酵素
一般に、抗体コンジュゲートは、複数の酵素分子を含むポリマー酵素を含む。
一部の実施形態では、ポリマー酵素の複数の酵素分子は、共有結合によって連結している。一部の実施形態では、ポリマー酵素の複数の酵素分子は、架橋試薬を介して共有結合によって連結している。一部の実施形態では、酵素は、タンパク質成分を含む。一部の実施形態では、ポリマー酵素の複数の酵素分子は、タンパク質成分を介して共有結合によって連結している。一部の実施形態では、酵素分子は、多糖成分を含む。一部の実施形態では、ポリマー酵素の複数の酵素分子は、多糖成分を介して共有結合によって連結している。一部の実施形態では、ポリマー酵素の複数の酵素分子は、多糖成分およびタンパク質成分を介して共有結合によって連結している。一部の実施形態では、ポリマー酵素の複数の酵素分子は、非共有結合によって連結している。一部の実施形態では、複数の酵素分子は、多量体酵素を含む。一部の実施形態では、複数の酵素分子は、酵素凝集体を含む。
一般に、重合手順は、事前に選択されたサイズのポリマー酵素の制御された再現性のある形成が可能になる条件下で行う。酵素の濃度、緩衝液のpH、架橋試薬に対する遊離の官能基の化学量論、温度、および反応時間は全て、この制御可能なプロセスの達成における重要な因子である。
一部の実施形態では、ポリマー酵素は、約5〜約500個の酵素分子を含む。一部の実施形態では、ポリマー酵素は、少なくとも約5個、約10個、約15個、約20個、約25個、約50個、約75個、約100個、約150個、約200個、または約250個の酵素分子を含む。一部の実施形態では、ポリマー酵素は、約250個未満、約200個未満、約150個未満、約100個未満、約75個未満、約50個未満、約25個未満、約20個未満、約15個未満、約10個未満、または約5個未満の酵素分子を含む。
一部の実施形態では、ポリマー酵素の酵素分子は架橋試薬を介して共有結合によって連結している。一部の実施形態では、ポリマー酵素の酵素分子は、長さゼロの架橋試薬を介して共有結合によって連結している。一部の実施形態では、ポリマー酵素の酵素分子は直鎖様式で共有結合によって連結している。一部の実施形態では、ポリマー酵素の酵素分子は、分枝様式で共有結合によって連結している。一部の実施形態では、ポリマー酵素の酵素分子は、直鎖と分枝が混在する様式で共有結合によって連結している。一部の実施形態では、ポリマー酵素の酵素分子は、直鎖構造が形成されるように共有結合によって連結している。一部の実施形態では、ポリマー酵素の酵素分子は共有結合によって連結され、球状構造を形成している。
一部の実施形態では、複数のポリマー酵素を含むポリマー酵素の集団は、ポリマー酵素当たりの酵素分子の数によって特徴付けられるポリマー酵素のサイズ分布を含む。一部の実施形態では、複数のポリマー酵素を含むポリマー酵素の集団は、ポリマー酵素の構造によって特徴付けられるポリマー酵素の形状分布(shape distribution)を含む。
一部の実施形態では、ポリマー酵素の分子量は約500kDa〜約5メガダルトン(MDa)である。一部の実施形態では、ポリマー酵素の分子量は少なくとも約500kDaである。一部の実施形態では、ポリマー酵素の分子量は5MDa未満または約5MDaである。一部の実施形態では、ポリマー酵素の分子量は少なくとも約750kDaである。一部の実施形態では、ポリマー酵素の分子量は少なくとも約1MDa、約2MDa、約3MDa、または約4MDaである。
一部の実施形態では、抗体とコンジュゲートする前にまずポリマー酵素を形成する。
酵素/抗体コンジュゲート
一般に、酵素を抗体とコンジュゲートする。一部の実施形態では、1つ超の酵素分子を1つの(an)抗体とコンジュゲートする。一部の実施形態では、酵素分子を1つ超の抗体とコンジュゲートする。一部の実施形態では、1つ超の抗体を1つの(an)酵素分子とコンジュゲートする。一部の実施形態では、1つ超の酵素分子を1つ超の抗体とコンジュゲートする。一部の実施形態では、1つ超の抗体を1つ超の酵素とコンジュゲートする。
「コンジュゲートされる」または「付着される」または「連結される」とは、本明細書では、結合性作用物質(例えば抗体)とポリマー(例えば酵素ポリマー)または酵素分子の、共有結合性または非共有結合性の、ならびに直接または間接的な関連を意味する。
本発明で企図されている抗体コンジュゲートとしては、in vitroにおいて使用するためのものが挙げられ、その場合、抗体は、発色基質と接触すると呈色した生成物を生成する二次結合性リガンドおよび/または酵素(酵素タグ)に連結している。適切な酵素の例としては、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、(西洋ワサビ)水素ペルオキシダーゼおよび/またはグルコースオキシダーゼが挙げられる。好ましい二次結合性リガンドは、ビオチンおよび/またはアビジンおよびストレプトアビジン化合物である。そのような標識の使用は当業者には周知であり、例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;および同第4,366,241号に記載されている。
アジド基を含有する分子を使用して、低強度の紫外線によって生成される反応性ニトレン中間体を通じてタンパク質との共有結合を形成することもできる(PotterおよびHaley、1983年)。具体的には、プリンヌクレオチドの2−アジド類似体および8−アジド類似体が、粗製細胞抽出物中のヌクレオチド結合性タンパク質を同定するための部位特異的光プローブ(photoprobe)として使用されている(OwensおよびHaley、1987年;Athertonら、1985年)。2−アジドヌクレオチドおよび8−アジドヌクレオチドは、精製されたタンパク質のヌクレオチド結合性ドメインをマッピングするためにも使用されており(Khatoonら、1989年;Kingら、1989年;およびDholakiaら、1989年)、また、抗体結合性作用物質としても使用することができる。
抗体とそのコンジュゲート部分を付着またはコンジュゲートさせるためのいくつかの方法が当技術分野で公知である。いくつかの付着方法は、例えば、抗体に付着させたジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA);エチレントリアミン四酢酸;N−クロロ−p−トルエンスルホンアミド;および/またはテトラクロロ−3α−6α−ジフェニルグルコウリル−3(tetrachloro−3α−6α−diphenylglycouril−3)のような有機キレート化剤を利用する金属キレート複合体の使用を伴う(米国特許第4,472,509号および同第4,938,948号、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる)。モノクローナル抗体をグルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩などのカップリング剤の存在下で酵素と反応させることもできる。フルオレセインマーカーとのコンジュゲートは、これらのカップリング剤の存在下でまたはイソチオシアネートとの反応によって調製する。米国特許第4,938,948号では、例えば、乳腺腫瘍のイメージングは、モノクローナル抗体を使用して達成され、検出可能なイメージング部分をメチル−p−ヒドロキシベンズイミデートまたはN−スクシンイミジル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのリンカーを使用して抗体に結合する。
他の実施形態では、抗体結合部位を変更することのない反応条件を使用してスルフヒドリル基を免疫グロブリンのFc領域に選択的に導入することによる免疫グロブリンの誘導体化が企図されている。この方法体系に従って作出された抗体コンジュゲートは、改善された寿命、特異性および感受性を示すことが開示されている(米国特許第5,196,066号、参照により本明細書に組み込まれる)。Fc領域内の炭水化物残基とコンジュゲートしたエフェクターまたはレポーター分子の部位特異的付着も文献(O’Shannessyら、1987年)に開示されている。
ポリマー酵素/抗体コンジュゲート
一般に、複数の酵素分子を含むポリマー酵素を抗体とコンジュゲートする。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを、その全体が参照によって組み込まれる米国特許第4,657,853号に開示されているものなどの方法に従って生成する。一部の実施形態では、本方法は、(a)少なくとも2つの酵素分子を共有結合によってカップリングしてポリマー酵素を作出するステップ、および(b)ポリマー酵素と抗体またはその断片を共有結合によってカップリングするステップの逐次的なステップを含む。
一部の実施形態では、ポリマー酵素を、抗体またはその断片上の特異的な部位とコンジュゲートする。一部の実施形態では、ポリマー酵素を、抗体またはその断片上の1つまたは複数の特異的な部位とコンジュゲートする。一部の実施形態では、ポリマー酵素を、抗体またはその断片上のランダムな部位とコンジュゲートする。一部の実施形態では、ポリマー酵素を、抗体またはその断片上の1つまたは複数のランダムな部位とコンジュゲートする。一部の実施形態では、ポリマー酵素を、抗体またはその断片と、アミノ酸の固有のまたは外因性の化学的特性を介してコンジュゲートする。一部の実施形態では、ポリマー酵素を、抗体またはその断片と、アミノ酸残基の固有のまたは外因性の化学的特性を介してコンジュゲートする。
一部の実施形態では、抗体コンジュゲートは、1つまたは複数のポリマー酵素を含む。一部の実施形態では、抗体コンジュゲートは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、または20のポリマー酵素を含む。一部の実施形態では、抗体コンジュゲートは、1から20の間のポリマー酵素を含む。
一部の実施形態では、抗体コンジュゲートは、コンジュゲート当たり約6個から約16個、約18個、約20個、約22個、約24個、約26個、約28個、約30個、約40個、約50個、約60個、約80個、約90個、約100個、約110個、約120個、約130個、約140個、約150個、約160個、約170個、約180個、約190個、または約200個、またはそれ超の間の酵素分子を含む。
一部の実施形態では、抗体コンジュゲートは、コンジュゲート当たり少なくとも6個から24個の間、6個から26個の間、6個から28個の間、6個から30個の間、6個から40個の間、6個から50個の間、6個から60個の間、6個から70個の間、6個から80個の間、6個から90個の間、または6個から100個の間の酵素分子を含む。
一部の実施形態では、抗体コンジュゲートは、コンジュゲート当たり少なくとも6個、8個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、170個、180個、190個、または200個、しかし250個以下、300個以下、350個以下、400個以下、または500個以下の酵素分子を含む。
一部の実施形態では、抗体コンジュゲートの分子量は、約400kDaから約500kDa、約600kDa、約700kDa、約800kDa、約900kDa、約1000kDa、約2000kDa、約3000kDa、約4000kDa、約5000kDa、約6000kDa、約7000kDa、約8000kDa、約9000kDa、または約10000kDaの間である。
一部の実施形態では、抗体コンジュゲートの分子量は、約470kDaから約4.7メガDaの間である。
一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートは、1つ超の抗体を含む。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートは、複数のポリマー酵素を含む。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートは複数のポリマー酵素を含み、ポリマー酵素のそれぞれがほぼ同じ数の酵素分子を含む。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートは複数のポリマー酵素を含み、複数のポリマー酵素はポリマー酵素それぞれの酵素分子の数の分布を示す。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートは複数のポリマー酵素を含み、複数のポリマー酵素は、ポリマー酵素の形状に差異を示す。
一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの比(抗体:酵素)は1:8超である。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの比(抗体:酵素)は1:6超である。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの比(抗体:酵素)は約1:6、約1:8、約1:15、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:75、約1:100、約1:125、約1:150、約1:200である。
一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートにコンジュゲートするポリマー酵素の数を、組織透過および標的分析物検出の増加が可能になるように調整する。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの重量比を、組織透過および標的分析物検出の増加が可能になるように調整する。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートにコンジュゲートするポリマー酵素当たりの酵素の数により、組織透過および標的分析物検出の増加を可能にする。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートにコンジュゲートするポリマー酵素のサイズにより、組織透過および標的分析物検出の増加を可能にする。
一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートは、Novodiax,Inc.(Hayward、CA)、カタログ番号K29301−1/8、Q31001、Q31002、Q31003、Q31004、Q31005、D28001、D28002、D28003、D28004、D28005、またはD28006から入手可能なコンジュゲートである。
酵素基質
一般に、検出を可能にするために、酵素に特異的な基質を含む溶液をポリマー酵素/抗体コンジュゲートと一緒にインキュベートする。一部の実施形態では、酵素に特異的な基質を含む溶液は、前記酵素に特異的な基質のストック溶液から調製する。
一部の実施形態では、酵素に特異的な基質を含む溶液、および/または酵素に特異的な基質のストック溶液は不純物を含まない。一部の実施形態では、酵素に特異的な基質を含む溶液を調製するために使用する溶液(例えば、緩衝液)、および/または酵素に特異的な基質のストック溶液は不純物を含まない。一部の実施形態では、不純物により、酵素の触媒反応が阻害される。
一部の実施形態では、酵素に特異的な基質は実質的に純粋である。一部の実施形態では、酵素に特異的な基質の純度は、80%、85%、90%、95%、99%、99.5%、または99.9%純粋である。
一部の実施形態では、酵素に特異的な基質を含む溶液は、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートと一緒にインキュベートする直前に調製する。
一部の実施形態では、ポリマー酵素の酵素分子は、1つ超の基質型を触媒するものである。
一部の実施形態では、酵素は西洋ワサビペルオキシダーゼであり、基質はDAB(3,3’−ジアミノベンジジン色素原)である。一部の実施形態では、酵素は西洋ワサビペルオキシダーゼであり、基質はAEC(3−アミノ−9−エチルカルバゾール)である。一部の実施形態では、酵素は西洋ワサビペルオキシダーゼであり、基質はAMEC Redである。一部の実施形態では、酵素は西洋ワサビペルオキシダーゼであり、基質はTMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)である。一部の実施形態では、酵素はアルカリホスファターゼであり、基質はFast Red(Sigma−Aldrich,ST.Louis、MO)である。一部の実施形態では、酵素はアルカリホスファターゼであり、基質はBCIP/NBT(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウム)である。
E.免疫検出方法
2種の一般的なIHC方法:間接アッセイなおよび直接アッセイが利用可能である。
典型的な間接アッセイでは、コンジュゲートしていない一次抗体を抗原に結合させ、次いで、標識した二次抗体を一次抗体に結合させる。抗原の可視化を可能にするために、二次抗体を酵素標識、発色または蛍光原基質とコンジュゲートする。いくつかの二次抗体は一次抗体上の異なるエピトープと反応し得るので、シグナル増幅を行う。
典型的な直接アッセイでは、抗体と標的抗原の結合を直接決定する。この直接アッセイでは、さらなる抗体相互作用を用いずに可視化することができる蛍光タグまたは酵素で標識した一次抗体などの標識された試薬を使用する。
直接アッセイ
一態様では、本発明は、直接IHCアッセイのための組成物および方法を提供する。この直接アッセイでは、一次抗体を含むポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用する。
一部の実施形態では、組織内の標的分析物を検出するために直接アッセイを使用する。一部の実施形態では、組織内の標的分析物を直接検出するためにポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用する。一部の実施形態では、組織内の標的分析物を検出するために直接IHC方法を使用し、この方法は、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの使用を含む。一部の実施形態では、組織内の標的分析物のレベルを決定するために直接IHC方法を使用し、この方法は、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの使用を含む。一部の実施形態では、組織内の標的分析物の存在を決定するために直接IHC方法を使用し、この方法は、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの使用を含む。一部の実施形態では、組織内に標的分析物が検出可能には存在しないことを決定するために直接IHC方法を使用し、この方法は、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの使用を含む。一部の実施形態では、組織試料(例えば、組織切片)、好ましくはFFPE切片または凍結組織切片における標的分析物を検出するために直接アッセイを使用する。
上記で検討された試料の調製手順に加えて、IHCの前、その間、またはその後に組織切片をさらに処理することが望ましい場合がある。例えば、組織試料をクエン酸緩衝液中で加熱するなど、エピトープ回復方法を行うことができる。例えば、Leongら、Appl Immunohistochem 4巻(3号):201頁(1996年)を参照されたい。任意選択のブロッキングステップの後、組織切片を一次抗体(例えば、ポリマー酵素/抗体コンジュゲート)に、一次抗体が組織試料中の標的タンパク質抗原に結合するのに適した条件下、十分な期間(「インキュベーション時間」)にわたって曝露する。一部の実施形態では、組織を、一次ポリマー酵素/抗体コンジュゲートと一緒に、一次ポリマー酵素/抗体コンジュゲートが組織内の標的タンパク質抗原に結合するのに適切な条件下、十分な期間にわたってインキュベートする。一部の実施形態では、組織を、一次ポリマー酵素/抗体コンジュゲート(例えば、1つ超)のセットであって、セット内の別のポリマー酵素/抗体コンジュゲートとは標的分析物に対する結合特異性が異なるポリマー酵素/抗体コンジュゲートを少なくとも1つ含むポリマー酵素/抗体コンジュゲートのセットと一緒に、一次ポリマー酵素/抗体コンジュゲートが組織内の標的タンパク質抗原に結合するのに適切な条件下、十分な期間にわたってインキュベートする。これを達成するために適した条件は、慣例的な実験によって決定することができる。抗体と試料の結合の程度は、上記で検討された検出可能な標識のいずれか1つを使用することによって決定する。好ましくは、標識は、3,3’−ジアミノベンジジン色素原などの発色基質の化学的変質を触媒する酵素標識(例えば、HRP)である。標識は、3,3’−ジアミノベンジジン色素原などの発色基質の化学的変質を触媒するポリマー酵素(例えば、ポリHRPまたはポリマーHRP)であることがより好ましい。
一部の実施形態では、本明細書に記載のIHC方法をハイスループットな様式で実施する。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用するIHC方法をハイスループットな様式で実施する。一部の実施形態では、本明細書に記載の直接IHC方法をハイスループットな様式で実施する。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用する直接IHC方法をハイスループットな様式で実施する。
標的分析物/抗体複合体の形成
一般に、約15℃から約50℃の間のインキュベーション温度で約3分から約1時間の間のインキュベーション期間にわたって、標的分析物を含有する組織試料(例えば、組織切片)をポリマー酵素/抗体コンジュゲートと接触させて、標的分析物と抗体コンジュゲートのうちの少なくとも1つとを含む複合体を形成し、抗体コンジュゲートは、標的分析物に特異的に結合することが可能な一次抗体である。
一部の実施形態では、約15℃から約50℃の間のインキュベーション温度で約3分から約1時間の間のインキュベーション期間にわたって、一連の標的分析物(例えば、分析物Aおよび分析物B)を含む組織をポリマー酵素/抗体コンジュゲートのセット(例えば、分析物Aに特異的に結合するポリマー酵素/抗体複合体、および分析物Bに特異的に結合するポリマー酵素/抗体複合体)と接触させて、標的分析物と抗体コンジュゲートのうちの少なくとも1つとを含む一連の複合体を形成し、抗体コンジュゲートは、それらのそれぞれの標的分析物に特異的に結合することが可能な一次抗体である。
一部の実施形態では、リン酸塩、トリス、MOPS、MES、HEPES、または炭酸水素塩(orbicarbonate)を含み、任意選択で、チオメルサール、proclin 300、マンガン、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、分子量が400Daから40,000Daまでのポリエチレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、ウシ血清アルブミン、ウマ血清アルブミン、ヤギ血清アルブミン、ウサギ血清アルブミン、トレハロース、スクロース、ゼラチン、Tween20、Tween30、分子量が300〜30,000Daの硫酸デキストラン、または分子量が500〜25,000DaのDEAEデキストランから選択される1つまたは複数の成分を含む緩衝液を用いてIHC染色を行う。含まれる場合の各成分の量は、一般に、当技術分野において使用される量である。標的抗原への抗体結合を増加させるための緩衝液の最適化、およびその使用方法は当技術分野において周知である。
一部の実施形態では、任意選択でウシ血清アルブミン(BSA)および/またはポリエチレングリコール(「PEG」)、例えば、分子量が200、300、400、600、1000、1500、2000、3000、4000、50000、6000、10000、または20000のPEG、好ましくはPEG400、1500、または6000などを伴うPBS緩衝液またはTBS緩衝液などの緩衝液を用いてIHC染色を行う。一部の実施形態では、緩衝液は、Novodiax,Inc.(Hayward、CA)から市販されている緩衝液、例えば、製品カタログ番号C30001である。
一部の実施形態では、インキュベーション温度は、約15℃から約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、もしくは約50℃の間、約20℃から約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、もしくは約50℃の間、約25℃から約30℃の間、または約25℃から約37℃の間である。
一部の実施形態では、インキュベーション温度は、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、または約50℃である。
一部の実施形態では、インキュベーション温度は、約14℃未満、約15℃未満、約16℃未満、約17℃未満、約18℃未満、約19℃未満、約20℃未満、約21℃未満、約22℃未満、約23℃未満、約24℃未満、約25℃未満、約26℃未満、約27℃未満、約28℃未満、約29℃未満、約30℃未満、約31℃未満、約32℃未満、約33℃未満、約34℃未満、約35℃未満、約36℃未満、約37℃未満、約38℃未満、約39℃未満、約40℃未満、約41℃未満、約42℃未満、約43℃未満、約44℃未満、約45℃未満、約46℃未満、約47℃未満、約48℃未満、約49℃未満、または約50℃未満である。
一部の実施形態では、インキュベーション温度は、約14℃超、約15℃超、約16℃超、約17℃超、約18℃超、約19℃超、約20℃超、約21℃超、約22℃超、約23℃超、約24℃超、約25℃超、約26℃超、約27℃超、約28℃超、約29℃超、約30℃超、約31℃超、約32℃超、約33℃超、約34℃超、約35℃超、約36℃超、約37℃超、約38℃超、約39℃超、約40℃超、約41℃超、約42℃超、約43℃超、約44℃超、約45℃超、約46℃超、約47℃超、約48℃超、約49℃超、または約50℃超である。
一部の実施形態では、インキュベーション期間は、約3分間から約5分間、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、または約60分間の間、5分間から約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、または約60分間の間、10分間から約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、または約60分間の間、約15分間から約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、または約60分間の間、約20分間から約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、または約60分間の間、約25分間から約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、または約60分間の間、約30分間から約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、または約60分間の間である。
一部の実施形態では、インキュベーション期間は、約3分間、約4分間、約5分間、約6分間、約7分間、約8分間、約9分間、約10分間、約11分間、約12分間、約13分間、約14分間、約15分間、約16分間、約17分間、約18分間、約19分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、または約60分間である。
一部の実施形態では、インキュベーション期間は、約3分間未満、約4分間未満、約5分間未満、約6分間未満、約7分間未満、約8分間未満、約9分間未満、約10分間未満、約11分間未満、約12分間未満、約13分間未満、約14分間未満、約15分間未満、約16分間未満、約17分間未満、約18分間未満、約19分間未満、約20分間未満、約25分間未満、約30分間未満、約35分間未満、約40分間未満、約45分間未満、約50分間未満、約55分間未満、または約60分間未満である。
一部の実施形態では、インキュベーション期間は、約3分間超、約4分間超、約5分間超、約6分間超、約7分間超、約8分間超、約9分間超、約10分間超、約11分間超、約12分間超、約13分間超、約14分間超、約15分間超、約16分間超、約17分間超、約18分間超、約19分間超、約20分間超、約25分間超、約30分間超、約35分間超、約40分間超、約45分間超、約50分間超、約55分間超、または約60分間超である。
洗浄ステップ
インキュベート後、一般に、組織試料を、任意選択でTween(例えば、0.01〜0.2%)などの界面活性剤を含むPBS、TBS、MOPS、MES、HEPES、または炭酸水素塩緩衝液などの洗浄緩衝液を用いて洗浄する。例示的な緩衝液の1つは、0.05%のTween20を伴う10mMのPBSである。
洗浄ステップは、2回〜6回、好ましくは3回、4回、または5回、洗浄ステップ当たり1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、6分間、7分間、8分間、9分間、または10分間またはそれ超の期間にわたり行う。
一部の実施形態では、洗浄温度は、約15℃から約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、もしくは約50℃の間、約20℃から約21℃、約22℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、もしくは約50℃の間、約25℃から約30℃の間、または約25℃から約37℃の間である。
一部の実施形態では、洗浄温度は、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、または約50℃である。
一部の実施形態では、洗浄温度は、約14℃未満、約15℃未満、約16℃未満、約17℃未満、約18℃未満、約19℃未満、約20℃未満、約21℃未満、約22℃未満、約23℃未満、約24℃未満、約25℃未満、約26℃未満、約27℃未満、約28℃未満、約29℃未満、約30℃未満、約31℃未満、約32℃未満、約33℃未満、約34℃未満、約35℃未満、約36℃未満、約37℃未満、約38℃未満、約39℃未満、約40℃未満、約41℃未満、約42℃未満、約43℃未満、約44℃未満、約45℃未満、約46℃未満、約47℃未満、約48℃未満、約49℃未満、または約50℃未満である。
一部の実施形態では、洗浄温度は、約14℃超、約15℃超、約16℃超、約17℃超、約18℃超、約19℃超、約20℃超、約21℃超、約22℃超、約23℃超、約24℃超、約25℃超、約26℃超、約27℃超、約28℃超、約29℃超、約30℃超、約31℃超、約32℃超、約33℃超、約34℃超、約35℃超、約36℃超、約37℃超、約38℃超、約39℃超、約40℃超、約41℃超、約42℃超、約43℃超、約44℃超、約45℃超、約46℃超、約47℃超、約48℃超、約49℃超、または約50℃超である。
一部の実施形態では、洗浄期間は、約3分間から約5分間、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、もしくは約60分間の間、5分間から約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、もしくは約60分間の間、10分間から約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、もしくは約60分間の間、約15分間から約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、もしくは約60分間の間、約20分間から約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、もしくは約60分間の間、約25分間から約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、もしくは約60分間の間、または約30分間から約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、もしくは約60分間の間である。
一部の実施形態では、洗浄期間は、約3分間、約4分間、約5分間、約6分間、約7分間、約8分間、約9分間、約10分間、約11分間、約12分間、約13分間、約14分間、約15分間、約16分間、約17分間、約18分間、約19分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、または約60分間である。
一部の実施形態では、洗浄期間は、約3分間未満、約4分間未満、約5分間未満、約6分間未満、約7分間未満、約8分間未満、約9分間未満、約10分間未満、約11分間未満、約12分間未満、約13分間未満、約14分間未満、約15分間未満、約16分間未満、約17分間未満、約18分間未満、約19分間未満、約20分間未満、約25分間未満、約30分間未満、約35分間未満、約40分間未満、約45分間未満、約50分間未満、約55分間未満、または約60分間未満である。
一部の実施形態では、洗浄期間は、約3分間超、約4分間超、約5分間超、約6分間超、約7分間超、約8分間超、約9分間超、約10分間超、約11分間超、約12分間超、約13分間超、約14分間超、約15分間超、約16分間超、約17分間超、約18分間超、約19分間超、約20分間超、約25分間超、約30分間超、約35分間超、約40分間超、約45分間超、約50分間超、約55分間超、または約60分間超である。
一部の実施形態では、洗浄ステップは、2回〜6回、洗浄ステップ当たり約1分間、約2分間、約3分間、約4分間、約5分間、約6分間、約7分間、約8分間、約9分間、または約10分間またはそれ超の期間にわたり行い、洗浄温度は、約14℃未満、約15℃未満、約16℃未満、約17℃未満、約18℃未満、約19℃未満、約20℃未満、約21℃未満、約22℃未満、約23℃未満、約24℃未満、約25℃未満、約26℃未満、約27℃未満、約28℃未満、約29℃未満、約30℃未満、約31℃未満、約32℃未満、約33℃未満、約34℃未満、約35℃未満、約36℃未満、約37℃未満、約38℃未満、約39℃未満、約40℃未満、約41℃未満、約42℃未満、約43℃未満、約44℃未満、約45℃未満、約46℃未満、約47℃未満、約48℃未満、約49℃未満、または約50℃未満である。
一部の実施形態では、洗浄ステップは、2回〜6回、洗浄ステップ当たり約1分間、約2分間、約3分間、約4分間、約5分間、約6分間、約7分間、約8分間、約9分間、または約10分間またはそれ超の期間にわたり行い、洗浄温度は、約14℃超、約15℃超、約16℃超、約17℃超、約18℃超、約19℃超、約20℃超、約21℃超、約22℃超、約23℃超、約24℃超、約25℃超、約26℃超、約27℃超、約28℃超、約29℃超、約30℃超、約31℃超、約32℃超、約33℃超、約34℃超、約35℃超、約36℃超、約37℃超、約38℃超、約39℃超、約40℃超、約41℃超、約42℃超、約43℃超、約44℃超、約45℃超、約46℃超、約47℃超、約48℃超、約49℃超、または約50℃超である。
一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの使用を含む方法の洗浄ステップの数は、単一の酵素分子とコンジュゲートした抗体を使用する方法と比較して減少する。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの使用を含む方法の洗浄ステップの長さは、単一の酵素分子とコンジュゲートした抗体を使用する方法と比較して短縮される。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの使用を含む方法の洗浄ステップの数および洗浄ステップの長さは、単一の酵素分子とコンジュゲートした抗体を使用する方法と比較して減少する。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの使用を含む方法の洗浄溶液のストリンジェンシーは、単一の酵素分子とコンジュゲートした抗体を使用する方法において使用される洗浄溶液のストリンジェンシーよりも高い。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの使用を含む方法の洗浄溶液のストリンジェンシーは、単一の酵素分子とコンジュゲートした抗体を使用する方法において使用される洗浄溶液のストリンジェンシーよりも低い。
ブロッキングステップ
一部の実施形態では、IHC染色プロセスは、抗体コンジュゲートを組織と一緒にインキュベートするステップの前にブロッキングステップをさらに含み、前記ブロッキングステップは、前記組織をブロッキング剤と接触させることを含む。
一部の実施形態では、ブロッキング剤は、脱脂乳、BSA、冷水魚皮膚ゼラチン、カゼイン、または動物血清を含む。
一部の実施形態では、ブロッキング剤は、BSAを伴うTBSまたはPBSなどの緩衝液を含む。
一部の実施形態では、ブロッキング剤は、任意選択で0.5〜6%のウシ血清アルブミン、ウマ血清アルブミン、ヤギ血清アルブミン、ウサギ血清アルブミン、またはゼラチン、および0.001〜0.05%のTween20を伴うPBS、TBS、MOPS、MES、HEPES、および炭酸水素塩から選択される緩衝系を含む。
一部の実施形態では、ブロッキング剤は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%または約10%の脱脂乳を含む。
一部の実施形態では、ブロッキング剤は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%のBSAを含む。
一部の実施形態では、ブロッキング温度は、約15℃から約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、もしくは約50℃の間、約20℃から約21℃、約22℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、もしくは約50℃の間、約25℃から約30℃の間、または約25℃から約37℃の間である。
一部の実施形態では、ブロッキング温度は、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、または約50℃である。
一部の実施形態では、ブロッキング温度は、約14℃未満、約15℃未満、約16℃未満、約17℃未満、約18℃未満、約19℃未満、約20℃未満、約21℃未満、約22℃未満、約23℃未満、約24℃未満、約25℃未満、約26℃未満、約27℃未満、約28℃未満、約29℃未満、約30℃未満、約31℃未満、約32℃未満、約33℃未満、約34℃未満、約35℃未満、約36℃未満、約37℃未満、約38℃未満、約39℃未満、約40℃未満、約41℃未満、約42℃未満、約43℃未満、約44℃未満、約45℃未満、約46℃未満、約47℃未満、約48℃未満、約49℃未満、または約50℃未満である。
一部の実施形態では、ブロッキング温度は、約14℃超、約15℃超、約16℃超、約17℃超、約18℃超、約19℃超、約20℃超、約21℃超、約22℃超、約23℃超、約24℃超、約25℃超、約26℃超、約27℃超、約28℃超、約29℃超、約30℃超、約31℃超、約32℃超、約33℃超、約34℃超、約35℃超、約36℃超、約37℃超、約38℃超、約39℃超、約40℃超、約41℃超、約42℃超、約43℃超、約44℃超、約45℃超、約46℃超、約47℃超、約48℃超、約49℃超、または約50℃超である。
一部の実施形態では、ブロッキング期間は、約3分間から約5分間、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、もしくは約60分間の間、5分間から約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、もしくは約60分間の間、10分間から約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、もしくは約60分間の間、約15分間から約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、もしくは約60分間の間、約20分間から約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、もしくは約60分間の間、約25分間から約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、もしくは約60分間の間、または約30分間から約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、もしくは約60分間の間である。
一部の実施形態では、ブロッキング期間は、約3分間、約4分間、約5分間、約6分間、約7分間、約8分間、約9分間、約10分間、約11分間、約12分間、約13分間、約14分間、約15分間、約16分間、約17分間、約18分間、約19分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、または約60分間である。
一部の実施形態では、ブロッキング期間は、約3分間未満、約4分間未満、約5分間未満、約6分間未満、約7分間未満、約8分間未満、約9分間未満、約10分間未満、約11分間未満、約12分間未満、約13分間未満、約14分間未満、約15分間未満、約16分間未満、約17分間未満、約18分間未満、約19分間未満、約20分間未満、約25分間未満、約30分間未満、約35分間未満、約40分間未満、約45分間未満、約50分間未満、約55分間未満、または約60分間未満である。
一部の実施形態では、ブロッキング期間は、約3分間超、約4分間超、約5分間超、約6分間超、約7分間超、約8分間超、約9分間超、約10分間超、約11分間超、約12分間超、約13分間超、約14分間超、約15分間超、約16分間超、約17分間超、約18分間超、約19分間超、約20分間超、約25分間超、約30分間超、約35分間超、約40分間超、約45分間超、約50分間超、約55分間超、または約60分間超である。
一部の実施形態では、ブロッキングステップを1回、2回、3回、4回、または5回実施する。
一部の実施形態では、ブロッキングステップを1回、2回、または3回実施し、ブロッキング剤は約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、または約7%の脱脂乳を含み、ブロッキング期間は、約3分間未満、約4分間未満、約5分間未満、約6分間未満、約7分間未満、約8分間未満、約9分間未満、約10分間未満、約11分間未満、約12分間未満、約13分間未満、約14分間未満、約15分間未満、約16分間未満、約17分間未満、約18分間未満、約19分間未満、約20分間未満、約25分間未満、約30分間未満、約35分間未満、約40分間未満、約45分間未満、約50分間未満、約55分間未満、または約60分間未満である。
一部の実施形態では、ブロッキングステップを1回、2回、または3回実施し、ブロッキング剤は約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、または約7%の脱脂乳を含み、ブロッキング期間は、約3分間超、約4分間超、約5分間超、約6分間超、約7分間超、約8分間超、約9分間超、約10分間超、約11分間超、約12分間超、約13分間超、約14分間超、約15分間超、約16分間超、約17分間超、約18分間超、約19分間超、約20分間超、約25分間超、約30分間超、約35分間超、約40分間超、約45分間超、約50分間超、約55分間超、または約60分間超である。
一部の実施形態では、ブロッキングステップを1回、2回、または3回実施し、ブロッキング剤は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、または約7%のBSAを含み、ブロッキング期間は、約3分間未満、約4分間未満、約5分間未満、約6分間未満、約7分間未満、約8分間未満、約9分間未満、約10分間未満、約11分間未満、約12分間未満、約13分間未満、約14分間未満、約15分間未満、約16分間未満、約17分間未満、約18分間未満、約19分間未満、約20分間未満、約25分間未満、約30分間未満、約35分間未満、約40分間未満、約45分間未満、約50分間未満、約55分間未満、または約60分間未満である。
一部の実施形態では、ブロッキングステップを1回、2回、または3回実施し、ブロッキング剤は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、または約7%のBSAを含み、ブロッキング期間は、約3分間超、約4分間超、約5分間超、約6分間超、約7分間超、約8分間超、約9分間超、約10分間超、約11分間超、約12分間超、約13分間超、約14分間超、約15分間超、約16分間超、約17分間超、約18分間超、約19分間超、約20分間超、約25分間超、約30分間超、約35分間超、約40分間超、約45分間超、約50分間超、約55分間超、または約60分間超である。
一部の実施形態では、組織を形態学的に染色することができる。一部の実施形態では、組織を対比染色して細胞または細胞成分の同定を可能にすることができる。
一部の実施形態では、組織試料を、ヘマトキシリンを用いて対比染色し、当技術分野で公知の方法を使用して長期貯蔵のために脱水する。一部の実施形態では、組織試料を、H/Eを用いて染色することができる。
検出ステップ
洗浄ステップの後、酵素の基質、例えば、HRPに対するDAB、またはAPに対するFast Redなどを含む検出剤を組織試料に添加する。
一部の実施形態では、検出試薬は、任意選択でBSAおよび/またはポリエチレングリコールを伴うPBS緩衝液またはTBS緩衝液などの緩衝液を含む。
一部の実施形態では、リン酸塩、トリス、MOPS、MES、HEPES、または炭酸水素塩を含み、任意選択でチオメルサール(hiomersal)、proclin 300、マンガン、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、分子量が400Daから40,000Daまでのポリエチレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、ウシ血清アルブミン、ウマ血清アルブミン、ヤギ血清アルブミン、ウサギ血清アルブミン、トレハロース、スクロース、ゼラチン、Tween20、Tween30、分子量が300〜30,000Daの硫酸デキストラン、または分子量が500〜25,000のDEAEデキストランを含む緩衝液を用いて染色を行う。
一部の実施形態では、検出温度は、約15℃から約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、もしくは約50℃の間、約20℃から約21℃、約22℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、もしくは約50℃の間、約25℃から約30℃の間、または約25℃から約37℃の間である。
一部の実施形態では、検出温度は、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、または約50℃である。
一部の実施形態では、検出温度は、約14℃未満、約15℃未満、約16℃未満、約17℃未満、約18℃未満、約19℃未満、約20℃未満、約21℃未満、約22℃未満、約23℃未満、約24℃未満、約25℃未満、約26℃未満、約27℃未満、約28℃未満、約29℃未満、約30℃未満、約31℃未満、約32℃未満、約33℃未満、約34℃未満、約35℃未満、約36℃未満、約37℃未満、約38℃未満、約39℃未満、約40℃未満、約41℃未満、約42℃未満、約43℃未満、約44℃未満、約45℃未満、約46℃未満、約47℃未満、約48℃未満、約49℃未満、または約50℃未満である。
一部の実施形態では、検出温度は、約14℃超、約15℃超、約16℃超、約17℃超、約18℃超、約19℃超、約20℃超、約21℃超、約22℃超、約23℃超、約24℃超、約25℃超、約26℃超、約27℃超、約28℃超、約29℃超、約30℃超、約31℃超、約32℃超、約33℃超、約34℃超、約35℃超、約36℃超、約37℃超、約38℃超、約39℃超、約40℃超、約41℃超、約42℃超、約43℃超、約44℃超、約45℃超、約46℃超、約47℃超、約48℃超、約49℃超、または約50℃超である。
一部の実施形態では、インキュベーション期間は、約3分間から約30分間の間、約5分間から約15分間の間、または約3分間から約5分間の間である。
一部の実施形態では、インキュベーション期間は、約1分間、約2分間、約3分間、約5分間、約7分間、約9分間、約10分間、約12分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、または約60分間である。
一部の実施形態では、インキュベーション期間は、約1分間未満、約2分間未満、約3分間未満、約5分間未満、約7分間未満、約9分間未満、約10分間未満、約12分間未満、約15分間未満、約20分間未満、約25分間未満、約30分間未満、約35分間未満、約40分間未満、約45分間未満、約50分間未満、約55分間未満、または約60分間未満である。
一部の実施形態では、インキュベーション期間は、約1分間超、約2分間超、約3分間超、約5分間超、約7分間超、約9分間超、約10分間超、約12分間超、約15分間超、約20分間超、約25分間超、約30分間超、約35分間超、約40分間超、約45分間超、約50分間超、約55分間超、または約60分間超である。
一部の実施形態では、検出温度は、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、または約50℃であり、インキュベーション期間は、約1分間、約2分間、約3分間、約5分間、約7分間、約9分間、約10分間、約12分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、または約60分間である。
一部の実施形態では、検出温度は、約14℃未満、約15℃未満、約16℃未満、約17℃未満、約18℃未満、約19℃未満、約20℃未満、約21℃未満、約22℃未満、約23℃未満、約24℃未満、約25℃未満、約26℃未満、約27℃未満、約28℃未満、約29℃未満、約30℃未満、約31℃未満、約32℃未満、約33℃未満、約34℃未満、約35℃未満、約36℃未満、約37℃未満、約38℃未満、約39℃未満、約40℃未満、約41℃未満、約42℃未満、約43℃未満、約44℃未満、約45℃未満、約46℃未満、約47℃未満、約48℃未満、約49℃未満、または約50℃未満であり、インキュベーション期間は、約1分間未満、約2分間未満、約3分間未満、約5分間未満、約7分間未満、約9分間未満、約10分間未満、約12分間未満、約15分間未満、約20分間未満、約25分間未満、約30分間未満、約35分間未満、約40分間未満、約45分間未満、約50分間未満、約55分間未満、または約60分間未満である。
一部の実施形態では、検出温度は、約14℃超、約15℃超、約16℃超、約17℃超、約18℃超、約19℃超、約20℃超、約21℃超、約22℃超、約23℃超、約24℃超、約25℃超、約26℃超、約27℃超、約28℃超、約29℃超、約30℃超、約31℃超、約32℃超、約33℃超、約34℃超、約35℃超、約36℃超、約37℃超、約38℃超、約39℃超、約40℃超、約41℃超、約42℃超、約43℃超、約44℃超、約45℃超、約46℃超、約47℃超、約48℃超、約49℃超、または約50℃超であり、インキュベーション期間は、約1分間未満、約2分間未満、約3分間未満、約5分間未満、約7分間未満、約9分間未満、約10分間未満、約12分間未満、約15分間未満、約20分間未満、約25分間未満、約30分間未満、約35分間未満、約40分間未満、約45分間未満、約50分間未満、約55分間未満、または約60分間未満である。
一部の実施形態では、検出温度は、約14℃未満、約15℃未満、約16℃未満、約17℃未満、約18℃未満、約19℃未満、約20℃未満、約21℃未満、約22℃未満、約23℃未満、約24℃未満、約25℃未満、約26℃未満、約27℃未満、約28℃未満、約29℃未満、約30℃未満、約31℃未満、約32℃未満、約33℃未満、約34℃未満、約35℃未満、約36℃未満、約37℃未満、約38℃未満、約39℃未満、約40℃未満、約41℃未満、約42℃未満、約43℃未満、約44℃未満、約45℃未満、約46℃未満、約47℃未満、約48℃未満、約49℃未満、または約50℃未満であり、インキュベーション期間は、約1分間超、約2分間超、約3分間超、約5分間超、約7分間超、約9分間超、約10分間超、約12分間超、約15分間超、約20分間超、約25分間超、約30分間超、約35分間超、約40分間超、約45分間超、約50分間超、約55分間超、または約60分間超である。
一部の実施形態では、検出温度は、約14℃超、約15℃超、約16℃超、約17℃超、約18℃超、約19℃超、約20℃超、約21℃超、約22℃超、約23℃超、約24℃超、約25℃超、約26℃超、約27℃超、約28℃超、約29℃超、約30℃超、約31℃超、約32℃超、約33℃超、約34℃超、約35℃超、約36℃超、約37℃超、約38℃超、約39℃超、約40℃超、約41℃超、約42℃超、約43℃超、約44℃超、約45℃超、約46℃超、約47℃超、約48℃超、約49℃超、または約50℃超であり、インキュベーション期間は、約1分間超、約2分間超、約3分間超、約5分間超、約7分間超、約9分間超、約10分間超、約12分間超、約15分間超、約20分間超、約25分間超、約30分間超、約35分間超、約40分間超、約45分間超、約50分間超、約55分間超、または約60分間超である。
インキュベーション後、組織試料を、水道水などの水を用いて1回または複数回すすぐ。
一部の実施形態では、分光光度計を使用して酵素反応を検出する。一部の実施形態では、ケミルミノメーターを使用して酵素反応を検出する。一部の実施形態では、蛍光検出器を使用して酵素反応を検出する。一部の実施形態では、比色定量シグナル検出器を使用して酵素反応を検出する。一部の実施形態では、光学顕微鏡または蛍光顕微鏡を使用して酵素反応を検出する。
一部の実施形態では、標的分析物を定量する。一部の実施形態では、標的分析物を相対的に定量する。一部の実施形態では、標的分析物を標準物質と比べて定量する。一部の実施形態では、標的分析物を標準曲線と比べて定量する。
D.形態学的染色
組織切片を調製した後、スライド上にマウントした切片を、評価のために形態学的染色を用いて染色することができる。一般に、それぞれが異なる細胞成分を明瞭に染色する1つまたは複数の色素を用いて切片を染色する。一部の実施形態では、キサンチン色素もしくはその機能的等価物および/またはチアジン色素もしくはその機能的等価物を使用して各組織切片内の核、細胞質、および「顆粒状の」構造を増強し、区別可能にする。そのような色素は市販されており、多くの場合、セットで販売されている。例として、HEMA3(登録商標)(CMS、Houston、Texas)染色セットは、キサンチン色素およびチアジン色素を含む。一部の実施形態では、メチレンブルーも使用することができる。本方法に使用することができる他の形態学的染色の例としては、これだけに限定されないが、別の蛍光標識と同じ波長では有意に自己蛍光しない色素が挙げられる。染色は、スライドを色素にとどめておく時間の長さを延ばすまたは短縮することによって所与の組織に対して最適化することができることが当業者には理解されよう。
染色後、組織切片を顕微鏡法の標準の技法によって分析することができる。一般に、病理学者などが、組織を異常細胞または正常細胞または特定の細胞型の存在について評価し、目的の細胞型の遺伝子座をもたらす。したがって、例えば、乳がんにおけるHER2/neu増幅を相関付ける試験では、病理学者などがスライドを精査し、正常な***細胞および異常な***細胞を同定する。
一部の実施形態では、形態学的染色およびポリマー酵素/抗体コンジュゲート染色を組織に対して実施する。
II.診断方法
本出願は、一態様において、診断(例えば、コンパニオン診断)のための組成物、方法、およびキットを提供する。一般に、診断方法は、個体における標的分析物の存在または非存在(すなわち、測定可能なレベルの欠如)を、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの使用を含む方法によって検出することを含む。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートは、治療用抗体を含む。当該方法は、個体における治療用抗体の標的分析物への結合を検出することにより、その治療用抗体を使用する治療に特に適する個体を選択することを可能にする。
したがって、例えば、一部の実施形態では、異常なレベルの標的分析物を特徴とする疾患(例えばがんなど)を有する個体を治療する方法であって、1)標的分析物を認識する抗体とコンジュゲートした複数の酵素分子を含むポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して標的分析物のレベルまたは存在を検出するステップと、2)標的分析物を標的化する薬剤を有効量で個体に投与するステップとを含む方法が提供される。一部の実施形態では、薬剤は、標的分析物に特異的に結合する抗体である。一部の実施形態では、薬剤は、ポリマー酵素抗体コンジュゲートに含まれるものと同じ抗体である。一部の実施形態では、疾患はがんであり、標的分析物は腫瘍抗原である。
一部の実施形態では、異常なレベルの標的分析物を特徴とする疾患(例えばがんなど)を有する個体の、標的分析物を標的化する薬剤を用いた治療に対する適合性を評価する方法であって、標的分析物を認識する抗体とコンジュゲートした複数の酵素分子を含むポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して標的分析物のレベルまたは存在を検出するステップを含み、標的分析物のレベルまたは存在を、治療の適合性を評価するための基礎として使用する方法が提供される。一部の実施形態では、薬剤は、標的分析物に特異的に結合する抗体である。一部の実施形態では、薬剤は、ポリマー酵素抗体コンジュゲートに含まれるものと同じ抗体である。一部の実施形態では、本方法は、治療を臨床医に推奨するステップをさらに含む。一部の実施形態では、疾患はがんであり、標的分析物は腫瘍抗原である。
一部の実施形態では、異常なレベルの標的分析物を特徴とする疾患(例えばがんなど)を有する個体を、標的分析物を標的化する薬剤を用いた治療のために選択する(同定を含む)方法であって、標的分析物を認識する抗体とコンジュゲートした複数の酵素分子を含むポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して標的分析物のレベルまたは存在を検出するステップを含み、標的分析物のレベルまたは存在を、個体を治療のために選択(同定を含む)するための基礎として使用する方法が提供される。一部の実施形態では、薬剤は、標的分析物に特異的に結合する抗体である。一部の実施形態では、薬剤は、ポリマー酵素抗体コンジュゲートに含まれるものと同じ抗体である。一部の実施形態では、本方法は、治療を臨床医に推奨するステップをさらに含む。一部の実施形態では、疾患はがんであり、標的分析物は腫瘍抗原である。
一部の実施形態では、標的抗原の検出をIHCによって実施する。一部の実施形態では、標的抗原の検出を直接IHCによって実施する。一部の実施形態では、薬剤を標的分析物に直接結合する。一部の実施形態では、薬剤を標的分析物に間接的に結合する。一部の実施形態では、薬剤は、小分子に基づく薬剤、ヌクレオチドに基づく薬剤、またはアミノ酸に基づく薬剤である。一部の実施形態では、薬剤は、抗体またはその断片である。一部の実施形態では、抗体は、標的分析物を検出するために使用するポリマー酵素/抗体コンジュゲートの抗体と同じ標的分析物のエピトープに結合する。一部の実施形態では、抗体は、標的分析物を検出するために使用するポリマー酵素/抗体コンジュゲートの抗体と同じ標的分析物のエピトープに、同じ結合親和性で結合する。一部の実施形態では、抗体は、標的分析物を検出するために使用するポリマー酵素/抗体コンジュゲートの抗体と異なるエピトープに結合し得る。一部の実施形態では、標的組織において標的分析物の存在を検出する。一部の実施形態では、疾患は、がんである。一部の実施形態では、個体はヒトである。
一部の実施形態では、個体はヒトである。
一部の実施形態では、標的分析物は、ER、PR、HER2、EGFR、CD117(c−kit)などのコンパニオン診断のためのバイオマーカーである。
一部の実施形態では、治療用抗体は、Gタンパク質共役受容体またはイオンチャネルに特異的である。一部の実施形態では、治療用抗体は、1−40−β−アミロイド、4−1BB、5AC、5T4、ACVR2B、腺癌抗原、AGS−22M6、アルファ−フェトプロテイン、アンジオポエチン2、アンジオポエチン3、AOC3(VAP−1)、B7−H3、Bacillus anthracis(炭疽菌)、BAFF、ベータ−アミロイド、B−リンパ腫細胞、C242抗原、C5、CA−125、炭酸脱水酵素9(CA−IX)、心臓ミオシン、CCL11(エオタキシン−1)、CCR4、CCR5、CD11、CD18、CD125、CD140a、CD147(ベイシジン)、CD15、CD152、CD154(CD40L)、CD19、CD2、CD20、CD200、CD22、CD221、CD23(IgE受容体)、CD25(IL−2受容体のα鎖)、CD27、CD28、CD3、CD3イプシロン、CD30(TNFRSF8)、CD33、CD37、CD38(サイクリックADPリボースヒドロラーゼ)、CD4、CD40、CD41(インテグリンアルファ−IIb)、CD44v6、CD5、CD51、CD52、CD56、CD6、CD70、CD74、CD79B、CD80、CEA、CEA関連抗原、CFD、ch4D5、CLDN18.2、Clostridium difficile、クランピング因子(clumping factor)A、CSF2、CTLA−4、DLL4、DR5、EGFL7、EGFR、内毒素、EpCAM、CD3、エピシアリン(episialin)、ERBB3、FAP、フィブリンII、ベータ鎖、フィブロネクチンエクストラドメイン−B、葉酸受容体1、Frizzled受容体、ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、GMCSF受容体α鎖、GPNMB、赤血球凝集素、HER1、HER2/neu、HER3、HGF、HHGFR、HNGF、Hsp90、ヒト散乱因子受容体キナーゼ(Human scatter factor receptor kinase)、ICAM−1(CD54)、IFN−α、IFN−γ、IGF−1受容体、IGF−I、IGHE、IL20、IL−1、IL−12、IL−23、IL−17A、IL−1β、IL−22、IL23、IL−4、IL−5、IL−6、IL−6受容体、IL9、ILGF2、インテグリンα4β7、インテグリンα5β1、インテグリンα7β7、インテグリンαIIbβ3、インテグリンαvβ3、インターフェロン受容体、インターフェロンα/β受容体、インターフェロンガンマ誘導性タンパク質、ITGA2、ITGB2(CD18)、KIR2D、ルイスY抗原、LFA−1(CD11a)、リポテイコ酸、LOXL2、L−セレクチン(CD62L)、LTA、MCP−1、メソテリン、MS4A1、MUC1、ムチン CanAg、ミオスタチン、NARP−1、NCA−90(顆粒球抗原)、NGF、N−グリコリルノイラミン酸、NOGO−A、Notch受容体、NRP1、OX−40、OXLDL、PCSK9、PD−1、PD−L1、PDCD1、PDCD1、PDGF−Rα、リン酸ナトリウム共輸送体、ホスファチジルセリン、RANKL、RHD、Rh因子、RON、RTN4、スクレロスチン、SDC1、セレクチンP、SLAMF7、SOST、スフィンゴシン−1−リン酸、TAG−72、T細胞受容体、TEM1、テネイシンC、TFPI、TGFベータ1、TGFベータ2、TGF−β、TNF−α、TRAIL−R1、TRAIL−R2、腫瘍抗原CTAA16.88、MUC1の腫瘍特異的グリコシル化、TWEAK受容体、TYRP1(糖タンパク質75)、VEGF−A、VEGFR−1、VEGFR2、ビメンチン、またはVWFに特異的である。
本明細書では、疾患を有する個体が治療に応答する可能性があるかどうかを評価する方法であって、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して標的分析物の存在を決定するステップを含む方法も提供される。
さらに、本明細書では、治療に応答する可能性がある、疾患を有する個体を選択(同定を含む)するための方法であって、(a)ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して標的分析物の存在を検出するステップと、(b)標的分析物を標的化する薬剤を有効量で投与するステップとを含む方法が提供される。
本明細書では、標的分析物を標的化する薬剤を有効量で受けている、疾患を有する個体の療法治療を調整する方法であって、個体から単離した試料においてポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して標的分析物の存在を検出するステップと、評価に基づいて療法治療を調整するステップとを含む方法も提供される。一部の実施形態では、薬剤の量を調整する。一部の実施形態では、疾患は、がんである。
本明細書におけるいずれかの方法の一部の実施形態では、本方法により、腫瘍サイズまたは疾患もしくは疾患の進行の証拠の測定可能な減少、完全奏効、部分奏効、安定病態、無増悪生存の増加もしくは延長、または全生存の増加もしくは延長が予測され、かつ/またはそれがもたらされる。上記のいずれかの方法の一部の実施形態では、個体において、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートによって測定される検出可能な標的分析物が存在する場合、その個体は、標的分析物を標的化する薬剤に応答する可能性があり、この応答は、腫瘍サイズまたは疾患もしくは疾患の進行の証拠の測定可能な縮小、完全奏効、部分奏効、安定病態、無増悪生存の増加もしくは延長、全生存の増加もしくは延長によって明らかである。
本方法の一部の実施形態では、個体におけるがんの無増悪生存を延ばす方法であって、個体を、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートによって測定される標的分析物の存在に基づいて治療のために選択するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本方法により、疾患の進行までの時間が少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または12週間のいずれかだけ延ばされる。
本方法の一部の実施形態では、がんを有する個体の生存を延ばす方法であって、個体を、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートによって測定される標的分析物の存在に基づいて治療のために選択するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本方法により、個体の生存が、少なくとも1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月、18カ月、または24カ月のいずれかだけ延ばされる。
本方法の一部の実施形態では、がんを有する個体におけるAEおよびSAEを減少させる方法であって、個体を、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートによって測定される標的分析物の存在に基づいて治療のために選択するステップを含む方法が提供される。本明細書に記載のいずれかの方法の一部の実施形態では、本方法により、客観的な応答(例えば、部分奏効または完全奏効など)が予測され、かつ/またはそれがもたらされる。
本明細書に記載のいずれかの方法の一部の実施形態では、本方法により、生活の質の改善が予測され、かつ/またはそれがもたらされる。
一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して、測定可能な標的分析物の存在を有する個体の、集団内での百分率を決定するための方法が提供される。一部の実施形態では、IHCを使用して標的分析物の発現を決定する。一部の実施形態では、直接IHCを使用して標的分析物の発現を決定する。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して標的分析物の発現を決定する。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用した直接IHCを使用して標的分析物の発現を決定する。一部の実施形態では、標的分析物は腫瘍抗原である。一部の実施形態では、個体はヒトである。
一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して個体における標的分析物の組織分布を決定するための方法が提供される。一部の実施形態では、個体における1つ超の組織型について標的分析物の組織分布を決定する。一部の実施形態では、1または複数の個体に由来する組織型について標的分析物の組織分布を決定する。一部の実施形態では、1または複数の個体に由来する1つ超の組織型について標的分析物の組織分布を決定する。一部の実施形態では、IHCを使用して標的分析物の組織分布を決定する。一部の実施形態では、直接IHCを使用して標的分析物の組織分布を決定する。一部の実施形態では、組織は、がんである。一部の実施形態では、個体はヒトである。
一部の実施形態では、組織における標的分析物の存在を決定するための、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの使用を含む方法により、組織における標的分析物の存在を層別化することもできる。一部の実施形態では、組織は標的分析物について陽性である。一部の実施形態では、組織は標的分析物について弱く陽性である。一部の実施形態では、組織は標的分析物について陰性である。
一部の実施形態では、標的抗原の存在を決定するための、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの使用を含む方法により、標的抗原のレベルを検出することもできる。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して決定される、個体における標的分析物のレベルを、同じくポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して決定される対照試料中の標的分析物のレベルと比較する。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して決定される個体における標的分析物のレベルを、それぞれポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して決定される複数の対照試料中の標的分析物のレベルと比較する。一部の実施形態では、複数の対照試料を使用して、がんを有する個体における標的分析物のレベルを分類するために使用する統計量を生成する。
ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して決定される標的分析物のレベルは、以下のいずれかを決定するためにも有用であり得る:(a)個体が最初に受ける治療(複数可)に適合する可能性が高いまたは可能性があること;(b)個体が最初に受ける治療(複数可)に適合しない可能性が高いまたは可能性があること;(c)治療への応答性;(d)個体が治療(複数可)を受け続けることに適合する可能性が高いまたは可能性があること;(e)個体が治療(複数可)を受け続けることに適合しない可能性が高いまたは可能性があること;(f)投与量の調整;(g)臨床的利益の可能性の予測。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して決定される標的分析物のレベルは、以下のいずれかの評価を補助するためにも有用であり得る:(a)個体が最初に受ける治療(複数可)に適合する可能性が高いまたは可能性があること;(b)個体が最初に受ける治療(複数可)に適合しない可能性が高いまたは可能性があること;(c)治療への応答性;(d)個体が治療(複数可)を受け続けることに適合する可能性が高いまたは可能性があること;(e)個体が治療(複数可)を受け続けることに適合しない可能性が高いまたは可能性があること;(f)投与量の調整;(g)臨床的利益の可能性の予測。
本明細書で使用される場合、「に基づいて(based upon)」または「に基づいて(based on)」とは、本明細書に記載の通り個体の特性を評価、決定、または測定すること(および好ましくは治療を受けるのに適した個体を選択すること)を含む。ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して決定される標的分析物の存在またはレベルを、本明細書に記載の治療方法を選択するため、評価(または評価を補助)するため、測定するため、または決定するための基礎として使用する場合、標的分析物のレベルを治療前および/または治療中に測定し、得られた値を臨床医が以下のいずれかの評価において使用することができる:(a)個体が最初に受ける治療(複数可)に適合する可能性が高いまたは可能性があること;(b)個体が最初に受ける治療(複数可)に適合しない可能性が高いまたは可能性があること;(c)治療への応答性;(d)個体が治療(複数可)を受け続けることに適合する可能性が高いまたは可能性があること;(e)個体が治療(複数可)を受け続けることに適合しない可能性が高いまたは可能性があること;(f)投与量の調整;または(g)臨床的利益の可能性の予測。
一部の実施形態では、個体はヒトである。一部の実施形態では、個体は女性である。一部の実施形態では、個体は男性である。一部の実施形態では、個体は約65歳未満である。一部の実施形態では、個体は、少なくとも約65歳、少なくとも約70歳、または少なくとも約75歳である。一部の実施形態では、個体は、がんに付随する身体的ストレスおよび心理学的ストレスを含めた慢性ストレス、例えば、不安、うつ病、頭痛、疼痛、疲労、不眠症、食欲不振、悪心、栄養不良、またはそれらの任意の組合せなどの1つまたは複数の症状を有する。一部の実施形態では、個体は、進行期のがん、例えば、TNM病期分類系に基づくステージT2、T3、T4、N1、N2、N3またはM1のがんのいずれかなどを有する。一部の実施形態では、個体は、高腫瘍量、例えば、大きな腫瘍サイズおよび/または腫瘍床(tumor bed)内の多数のがん細胞などを有する。一部の実施形態では、個体は、リンパ節が触知できる、または、近くのリンパ節にがん細胞が拡散している。一部の実施形態では、個体は、遠隔腫瘍転移を有する。
いずれかの方法の一部の実施形態では、がんは、肺がん、子宮がん、腎がん、卵巣がん、乳がん、子宮体がん、頭頸部がん、膵がん、および黒色腫からなる群より選択される。一部の実施形態では、がんは、乳がん、肺がん、および膵がんからなる群より選択される。一部の実施形態では、がんは、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)である。一部の実施形態では、がんは非小細胞肺がん(NSCLC)である。一部の実施形態では、がんは膵管腺癌(PDAC)である。一部の実施形態では、がんは、副腎皮質がん、胆管がん、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん(cervical cancer)、結腸がん、子宮内膜がん(endometroid cancer)、食道がん、神経膠芽腫(glioblasoma)、頭頸部がん、腎嫌色素性がん(kidney chromophobe cancer)、腎明細胞癌(kidney clear cell carcinoma)、乳頭状腎細胞癌(kidney papillary cell carcinoma)、肝がん、低グレード神経膠腫、肺腺癌、肺扁平上皮癌、黒色腫、中皮腫、眼の黒色腫、卵巣がん、膵がん、褐色細胞腫および傍神経節腫、前立腺がん、肉腫、胃がん(stomach cancer)、精巣がん、甲状腺がん、および子宮癌肉腫からなる群より選択される。
一部の実施形態では、がんは、固形上皮腫瘍または肉腫である。一部の実施形態では、がんは、副腎皮質癌、カポジ肉腫、肛門がん、消化管カルチノイド腫瘍、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん(例えば、膀胱移行上皮癌、膀胱扁平上皮癌、および膀胱腺癌など)、骨がん(例えば、ユーイング肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、および悪性線維性組織球腫など)、乳がん(例えば、腺管癌、小葉癌、線維腺腫など)、気管支腫瘍、原発不明の癌、子宮頸がん、脊索腫、結腸がん、直腸がん、子宮体がん、食道がん(食道扁平上皮癌および食道腺癌を含む)、眼内黒色腫、卵巣がん(例えば、卵巣上皮がん、卵管がん、および腹膜がんなど)、胆嚢がん、胃がん(gastric cancer)、頭頸部がん(例えば、下咽頭がん、喉頭がん、***・口腔がん、原発不明転移性扁平上皮性頸部がん治療(metastatic squamous neck cancer with occult primary treatment)、鼻咽頭がん、中咽頭がん、副鼻腔および鼻腔がん、唾液腺がん、および化学療法および頭部/頸部放射線の口腔合併症など)、心臓腫瘍(例えば、横紋筋腫、粘液腫、線維腫、線維肉腫、および血管肉腫など)、肝細胞(肝)がん、腎がん(例えば、腎細胞がん、腎盤および尿管の移行上皮がん、およびウィルムス腫瘍)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん、および小細胞肺がんなど)、皮膚がん(例えば、基底細胞癌、扁平上皮癌、皮膚神経内分泌癌、黒色腫、およびメルケル細胞癌など)、膵がん、褐色細胞腫、副甲状腺がん、陰茎がん、下垂体腫瘍、前立腺がん、子宮肉腫(例えば、平滑筋肉腫および子宮内膜間質部肉腫など)、小腸がん(例えば、小腸腺癌および小腸肉腫、および消化管間質腫瘍など)、軟部組織肉腫(例えば、成人軟部組織肉腫、および小児期軟部組織肉腫など)、甲状腺がん(例えば、甲状腺乳頭状がん、甲状腺濾胞状がん、甲状腺髄様がんおよび甲状腺未分化がんなど)、尿道がん(尿道移行上皮癌、尿道扁平上皮癌、および尿道腺癌を含む)、膣がん(例えば、膣扁平上皮癌および膣腺癌など)、ならびに外陰がんからなる群より選択される。
本方法の一部の実施形態では、本方法は、第一選択療法である。
一部の実施形態では、がんは、進行期(例えば、III期またはIV期など)にある。一部の実施形態では、がんは転移性がんである。
ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して決定される標的分析物レベルの分類または順位付け(すなわち、高いか低いか)は、対照レベルの統計学的分布と比べて決定することができる。一部の実施形態では、分類または順位付けは、正常組織などの対照試料と相対的なものである。一部の実施形態では、標的分析物のレベルを対照レベルの統計学的分布と比べて分類するまたは順位付ける。一部の実施形態では、標的分析物のレベルを個体から得た対照試料からのレベルと比べて分類するまたは順位付ける。
対照試料は、非対照試料と同じ供給源および方法を使用して得ることができる。一部の実施形態では、対照試料は、異なる個体(例えば、がんを有さない個体、がんに対応する疾患の良性形態またはより進行していない形態を有する個体、および/または同様の民族、年齢、および性別同一性を共有する患者)から得られる。一部の実施形態では、試料が腫瘍組織試料である場合、対照試料は、同じ個体に由来する非がん性試料であってよい。一部の実施形態では、複数の対照試料(例えば、異なる個体に由来するもの)を使用して、特定の組織、器官、または細胞集団における標的分析物のレベルの範囲を決定する。
一部の実施形態では、標的分析物のレベルの決定および分類のために、バイオインフォマティクス方法を使用する。
一部の実施形態では、標的分析物レベルを、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用して、例えば、直接的な免疫組織化学的検査によって決定する。例えば、低レベルまたは高レベルの判定基準は、例えば標的分析物を特異的に認識する抗体を使用することにより、陽性染色細胞の数および/または染色の強度に基づいて作成することができる。一部の実施形態では、陽性染色の細胞が約1%未満、約5%未満、約10%未満、約15%未満、約20%未満、約25%未満、約30%未満、約35%未満、約40%未満、約45%未満、または約50%未満であれば、レベルが低い。一部の実施形態では、染色の強度が陽性対照染色よりも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低ければ、レベルが低い。一部の実施形態では、約40%超、約45%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、または約90%超の細胞が陽性染色される場合、レベルが高い。
一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの染色の強度が陽性対照染色と同程度であれば、レベルが高い。一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの染色の強度が、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの陽性対照染色の80%、85%、または90%であれば、レベルが高い。
一部の実施形態では、強力な染色、中程度の染色、および弱い染色は、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートの染色の較正されたレベルであり、範囲が確立されており、染色の強度はその範囲内においてビンに分ける(bin)。一部の実施形態では、強力な染色とは、強度範囲の75パーセンタイルを超えるポリマー酵素/抗体コンジュゲートの染色であり、中程度の染色とは、強度範囲の25パーセンタイルから75パーセンタイルまでのポリマー酵素/抗体コンジュゲートの染色であり、弱い染色とは、強度範囲の25パーセンタイルを下回るポリマー酵素/抗体コンジュゲートの染色である。一部の態様では、特定の染色技法に詳しい当業者により、ビンサイズが調整され、染色カテゴリーが定義される。
一部の実施形態では、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートによって決定される、試料、患者などにおける標的分析物レベルの評価およびスコア化は、1人または複数人の経験のある臨床医、すなわち、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを使用した標的分析物発現および標的分析物染色パターンの経験がある臨床医により実施される。例えば、一部の実施形態では、臨床医(複数可)は、評価およびスコア化される試料、患者などの臨床的特性および転帰に関して盲検にされる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を診療所で実施する。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を診療所の外部で実施する。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を診断検査室で実施する。
III.キット
さらなる態様では、本発明は、本発明の組成物の1つまたは複数、および組成物を使用し、かつ/または開示されている方法を行うための指示を含有するキットを提供する。
一部の実施形態では、本発明は、上記の免疫検出方法と共に使用する免疫検出キットを提供する。一般に、野生型および/または変異体タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを検出するために抗体が使用されるので、抗体がキットに含まれることが好ましい。したがって、免疫検出キットは、適切な容器手段中に、野生型および/もしくは変異体タンパク質、ポリペプチドおよび/もしくはペプチドに結合する一次抗体、ならびに/または、任意選択で、免疫検出用試薬、ならびに/または、さらに、任意選択で、野生型および/もしくは変異体タンパク質、ポリペプチドおよび/もしくはペプチドを含む。
キットの免疫検出用試薬は、所与の一次抗体に付随し、かつ/または連結した、検出可能な標識を含めた、好ましくは、ポリマー酵素/抗体コンジュゲートとして、種々の形態のうちの任意の1つを取ってよい。
キットは、標識されていようとおよび/または標識されていまいと、検出アッセイ用の標準曲線を調製するために使用することができる、野生型および/または変異体タンパク質、ポリペプチドおよび/またはポリペプチドの適切に分注した組成物をさらに含んでよい。キットは、抗体−標識コンジュゲートを完全にコンジュゲートした形態で、中間体の形態で、および/またはキットの使用者によってコンジュゲートされる別々の部分として、含有してよい。キットの成分は、水性媒体中に、および/または凍結乾燥した形態で包装されていてよい。
キットの容器手段は、一般に、抗体を入れ、および/または好ましくは適切に分注することが可能な少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ビン、シリンジおよび/または他の容器手段を含む。本発明のキットは、一般には、抗体、抗原、および/または任意の他の試薬容器を販売用に密封するための手段も含む。そのような容器は、所望のバイアルを保持する射出成型および/またはブロー成形されたプラスチック容器を含む。
本発明のキットは、適切に包装中にある。適切な包装としては、これだけに限定されないが、バイアル、ビン、ジャー、柔軟な包装(例えば、Mylarまたはプラスチックの袋)などが挙げられる。任意選択で、キットにより、緩衝液および説明的情報などの追加的な成分を提供することができる。したがって、本出願は、バイアル(例えば、密閉バイアルなど)、ビン、ジャー、柔軟な包装などを含む製造品も提供する。
例えば、本発明の一実施形態では、キットにより、広範な臨床の場および研究の場において分子(例えば、がんにおいて臨床的に関連のある予後因子および予測因子)の包括的なパネルを評価する。
一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従った使用のための説明書をさらに含む。キットは、治療に適した個体の選択に関する説明を含んでよい。本発明のキットで供給される説明書は、一般には、ラベルまたは添付文書(例えば、キットに含まれる紙シート)上の書面での説明書であるが、機械可読説明書(例えば、磁気または光学保存ディスクに保持された説明書)も許容される。
例えば、一部の実施形態では、キットは、a)ポリマー酵素/抗体コンジュゲートを含む。一部の実施形態では、キットは、a)ポリマー酵素/抗体コンジュゲート、およびb)使用説明書を含む。一部の実施形態では、キットは、a)ポリマー酵素/抗体コンジュゲート、およびb)ポリマー酵素の基質を含む。一部の実施形態では、キットは、a)ポリマー酵素/抗体コンジュゲート、b)ポリマー酵素の基質、およびc)使用説明書を含む。一部の実施形態では、ポリマー酵素はポリマーHRPである。一部の実施形態では、抗体は治療用抗体である。
本発明の好ましい実施形態が本明細書において示され、記載されているが、そのような実施形態が単に例として提供されていることは当業者には明白であろう。当業者は、本発明から逸脱することなく多数の変形、変化および置換をすぐに思いつくであろう。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する種々の代替物を本発明の実施において使用することができることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲により本発明の範囲が定義されること、ならびにこれらの特許請求の範囲内の方法および構造およびそれらの等価物がそれに包含されることが意図されている。
本発明を、本発明の化合物の調製を例示する以下の実施例によりさらに例示するが、本発明はそれにより限定されない。
(実施例1 凍結組織スライドに対する直接IHCのプロトコール)
本実施例では、凍結組織試料から得た組織切片に対する直接IHCを実施するためのプロトコールを実証する。
組織切片を以下の例示的な方法に記載の通り調製する。新鮮に切開した組織ブロック(厚さ<5mm)を、予め標識した組織基礎型に入れる。組織ブロック全体を低温包埋媒体(cryo−embedding media)(例えば、OCT)で覆う。組織ブロックを含有する基礎型をゆっくりと液体窒素に入れ、組織ブロック全体を液体窒素に浸して確実に組織ブロックを完全に凍結させる。凍結組織ブロックをクライオトーム低温保持装置(例えば、−20℃)に移す。クライオトームを使用して凍結組織ブロックの切片作製を行って所望の厚さ(一般には、5〜10μm)にする。組織切片を免疫組織化学的検査に適したガラススライド(例えば、Superfrost(登録商標)Plus、VWR)に置く。
組織切片を以下の典型的な方法に記載の通り免疫染色する。組織切片を、75%のメタノール、5%の氷酢酸(glacial acidic acid)、および20%の37%ホルムアルデヒドを含有する固定剤を用いて1〜2分間固定する。次に、組織切片を伴うスライドを、ブロッキング緩衝液、例えば、5%脱脂乳または2%BSAを用いて2分間ブロッキングする。ブロッキング後、スライドを中性pH、10mMのリン酸緩衝食塩水(PBS)中で10秒間すすぐ;スライドを3回すすぐ。1%BSAで希釈したポリマーHRP/抗体コンジュゲートをスライドに適用して組織切片の全面積を覆い、室温で3〜5分間インキュベートする。インキュベート後、スライドをPBS緩衝液で3回、毎回10秒間洗浄する。DAB溶液をスライドに適用して組織切片の全面積を覆い、1〜3分間インキュベートする。水道水で洗浄することによって反応を停止させる。スライドを、ヘマトキシリンを用いて10秒にわたって対比染色し、次いで水で洗浄する。その後、スライドを酸アルコール(濃縮塩酸11mLと80%エタノール4400mLを組み合わせることによる0.25%酸アルコール溶液)に短時間浸漬する;スライドを1〜3回浸漬する。次に、スライドを炭酸リチウム(炭酸リチウム2.3gと80%エタノール200mLを組み合わせることによる炭酸リチウム溶液)に15秒にわたって短時間浸漬し、次いで、水道水で10秒間すすぐ。次いで、スライドを100%エタノールに3回、それぞれ10秒間浸漬して組織切片を脱水する。脱水後、キシレンに3回、それぞれ10秒間浸漬することによってスライドをきれいにする。
(実施例2 組織スライドの脱パラフィンおよび再湿潤化)
本実施例では、組織切片の脱パラフィン、再湿潤化、およびエピトープ回復後の組織切片に対する直接IHCを実施するためのプロトコールを実証する。
組織切片を伴うスライドをキシレンに5分間浸漬する。キシレンへの浸漬を、きれいなキシレンを用いてさらに2回、それぞれ5分間、繰り返す。次に、スライドを以下の一連のエタノール溶液に浸漬する:100%エタノールに3分;100%エタノールに3分;95%エタノールに3分;および75%エタノールに3分。その後、スライドをきれいな水道水に3分間浸漬することによってスライドを水道水ですすぐ;さらに2回繰り返す。
組織切片の再湿潤化後、トリプシンを使用してタンパク質エピトープを露出させる。まず、0.1%トリプシン溶液を、蒸留水を使用して0.1%塩化カルシウムに調製する。トリプシン溶液のpHを、1Mの水酸化ナトリウムを使用して7.2に調整する。加湿チャンバー、0.1%トリプシン溶液、および蒸留水中の組織切片を伴うスライドを37℃で予め温める。その後、組織切片を伴うスライドを0.1%トリプシン溶液中、20分間インキュベートする。次に、スライドを室温で10分間冷ます。10分後、スライドをきれいな水道水に2分間浸漬することによってスライドを水道水ですすぐ;さらに1回繰り返す。次いで、スライドを、3%過酸化水素溶液で2分間ブロッキングする。次いで、スライドを0.05%のTween20を伴うPBS中、スライドを2分間浸漬することによってすすぐ;さらに1回繰り返す。その後、スライドを1%BSAで30分間ブロッキングする。
ブロッキング後、組織切片を、ポリマーHRP/抗体コンジュゲートを用いて免疫染色する。ポリマーHRP/抗体コンジュゲートを含む溶液をスライドに適用して組織切片の全面積を覆い、室温で5〜30分間インキュベートする。インキュベート後、スライドを、PBS Tween20緩衝液を用いて3回、毎回2分間洗浄する。
希釈剤1mL当たり色素原30μlを含有するDAB溶液をスライドに適用して組織切片の全面積を覆い、室温で5分間インキュベートする。水道水で洗浄することによって反応を停止させる。スライドを、ヘマトキシリンを用いて10秒にわたって対比染色し、次いで水で洗浄する。次いで、スライドを0.1%炭酸ナトリウム、pH8(青み付け溶液(bluing solution))に15秒間浸漬する。その後、スライド上の組織切片を、スライドを以下の溶液に浸漬することによって脱水する:95%エタノールに3分;100%エタノールに3分;および100%エタノールに3分。この後、キシレンによる5分間の洗浄を2回行う。その後、スライドをキシレンに2回、毎回10秒間浸漬することによってスライドをきれいにする。
(実施例3 ポリマーHRP抗Ck8/18抗体コンジュゲートを使用した直接IHC)
本実施例では、ポリマーHRP抗Ck8/18抗体コンジュゲートを用いた直接IHC染色を使用した、組織試料中のCk8/18の検出を実証する。
FFPE前立腺組織切片および凍結ヒトリンパ節組織切片を調製し、実施例1および2に記載の技法を使用して免疫染色した。FFPE前立腺組織切片を、トリプシンを使用して処理してタンパク質エピトープを回復させ、ポリマーHRPとコンジュゲートした抗Ck8/18マウスモノクローナル抗体を組織試料と一緒に37℃で5分間インキュベートした。凍結ヒトリンパ節組織切片を、ポリマーHRPとコンジュゲートした抗Ck8/18マウスモノクローナル抗体と一緒に室温で3分間インキュベートした。
FFPE前立腺組織切片(図9A)および凍結ヒトリンパ節組織切片(図9B)についての染色されたがん組織の代表的な画像を提供する。
(実施例4 ポリマーHRP抗Ki−67抗体コンジュゲートを使用した直接IHC)
本実施例では、ポリマーHRP抗Ki−67抗体コンジュゲートを用いた直接IHC染色を使用した、組織試料中のKi−67の検出を実証する。
ヒト扁桃組織切片を調製し、実施例1および2に記載の技法を使用して免疫染色した。さらに、組織切片をQ−染色を用いて染色した。
ヒト扁桃組織切片について抗Ki−67により染色された組織の代表的な画像を提供する(図10)。
(実施例5 ポリマーHRP抗Ck5抗体コンジュゲートを使用した直接IHC)
本実施例では、ポリマーHRP抗Ck5抗体コンジュゲートを用いた直接IHC染色を使用した、ヒト扁桃組織試料中のCk5の検出を実証する。
凍結ヒト扁桃組織切片を調製し、実施例1および2に記載の技法を使用して免疫染色した。凍結ヒト扁桃組織切片をポリマーHRP抗Ck5抗体コンジュゲートと一緒に室温で10分間インキュベートした。
ヒト扁桃組織切片について抗Ck5により染色された組織の代表的な画像を提供する(図11)。
(実施例6 ポリマーHRP抗Mart−1抗体コンジュゲートを使用した直接IHC)
本実施例では、ポリマーHRP抗Mart−1抗体クローンA103コンジュゲートを用いた直接IHC染色を使用した、黒色腫組織試料中のMart−1の検出を実証する。
黒色腫組織切片を調製し、実施例1および2に記載の技法を使用して免疫染色した。
黒色腫組織切片について抗Mart−1により染色された組織の代表的な画像を提供する(図12)。
(実施例7 ポリマーHRP抗CD45抗体コンジュゲートを使用した直接IHC)
本実施例では、ポリマーHRP抗CD45抗体クローン3A4コンジュゲートを用いた直接IHC染色を使用した、扁桃組織試料中のCD45の検出を実証する。
扁桃組織切片を調製し、実施例1および2に記載の技法を使用して免疫染色した。
扁桃組織切片について抗CD45により染色された組織の代表的な画像を提供する(図13)。
(実施例8 治療用抗体を使用した直接IHCの方法および結果)
本実施例では、ポリマーHRPとコンジュゲートした治療用抗体を使用した、種々の組織試料の直接IHC染色の方法を実証する。
ROR2に特異的に結合するヒト治療用抗体を得た。治療用抗体をポリマーHRPで標識して治療用抗体のポリマーHRPコンジュゲートを作出した。
組織切片を調製し、実施例1および2に記載されているものなどの、本明細書に記載の技法を使用して免疫染色した。
免疫染色画像を、「0〜4」にスコア化し、4を最も強力とし、「3〜4」を陽性とし、「1〜2」を弱い陽性とし、0を陰性とした。
ポリマーHRP抗ROR2抗体コンジュゲートの作業条件を、ROR2を発現することまたはROR2の発現を欠くことが既知である組織切片に基づいて最適化した。既知の陽性組織切片および陰性組織切片の染色分類結果を表1に報告する。本方法を用いたROR2を発現する組織の同定は、組織試料中のROR2の既知の発現と相関した。
以下の染色された組織の代表的な画像を提供する:扁桃(図14A)、前立腺(図14B)、胃(図14C)、および腎臓(図14D)。
その後、ポリマーHRP抗ROR2抗体コンジュゲートを使用する最適化した直接IHC方法を使用して、一連のがん組織試料を分類した。染色分類結果を表2に報告する。
以下の直接IHC染色された組織の代表的な画像を提供する:黒色腫(図15Aおよび15B)、肝細胞癌(図15Cおよび15D)、神経内分泌腫瘍(図15Eおよび15F)、肺癌(図15G)、および腎明細胞癌(図15H)。