JP6873083B2 - ステイン除去用口腔用組成物 - Google Patents

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Description

本願発明は、ステイン除去効果を有するチューインガム等の食品に関する。
人の顔貌の審美性は前歯部によって左右され、歯肉色、***色などとは違った色彩を有する特徴的な存在としてきわめて重要な役割をしている。すなわち、歯は人と対面してコミュニケーションするときに必ず相手に見えるため、歯が白く綺麗な場合には気持ちよく会話できるものである。このように、口腔衛生の観点とは別に歯の色は人間の印象に大きく影響する。
歯の表面の着色は、食品由来の色素(茶、コーヒー、赤ワインなど)の外因性ステイン(extrinsic stain)としての沈着、歯の表面を被覆している唾液中の糖タンパク質の変性によるメイラード反応由来の着色、含硫アミノ酸や金属による着色、また、タンパク中の二重結合部分の着色化が原因といわれている。
近年では「歯を白く美しく」という意識の高まりから、過酸化水素を使ったオフィスホワイトニングや過酸化尿素を使ったホームホワイトニングが行われている。歯磨剤などにおいても歯を白くする成分などを配合したものも市販されてきている。
しかし、オフィスホワイトニングは非常に高い漂白効果がある一方で、30%〜35%と高濃度の過酸化水素を用いるため、歯にダメージを与えると懸念されている。また、ホームホワイトニングにおいても過酸化尿素が分解されて効果的に働くまでに数時間を要するため、生活に制限がでてしまう点が問題である。さらに、チューインガムにポリリン酸塩を含有させて歯の着色成分を除去する試みがなされている(特許文献1)。しかしながら、その美白作用にはいまだ解決すべき課題が残っている。
本発明者等は、低価格で時間を選ばずに安全に美味しく歯の外因性着色を除去できる食品の開発を目指している。食品であるチューインガムを基材として用いる場合に使用できる素材としては研磨剤または化学薬剤に限られるが、それは食品成分あるいは食品添加物に指定されているものでなければならない。そこで、本発明者等はこれまで歯磨剤のステイン除去もしくはステイン予防の研究がなされてきたメタリン酸ナトリウムに着目した(非特許文献1)。メタリン酸ナトリウムはわが国でも食品添加物として指定されており、海外ではメタリン酸ナトリウムを配合したチューインガムのステイン除去効果についての臨床研究も報告されている。本発明では、効果成分としてはメタリン酸ナトリウムをステイン除去素材の候補とし、チューインガムの成分である糖アルコールや酸味料の影響を評価するとともに、チューインガム製品の唾液による抽出液においてステイン除去効果を検討した。
特開2006−6264号公報
J Clin Dent.13:15−8、2002
歯表面に沈着したステインを除去して審美性を高めることを目的として、研磨剤による歯面の研磨や酵素によるタンパク質分解、リン酸類によるイオン交換など様々な方法が検討され、いくつもの口腔用組成物が提案されてきた。しかし、実際の応用範囲の大部分は薬用歯磨剤であり、歯磨き時に限られているため、簡便に摂取できるステイン除去効果をもつチューインガムなどの食品の開発を目指した。
食品の摂取でステイン除去を可能にするため、食品添加物として用いられるメタリン酸ナトリウムを0.33重量%〜2.0重量%配合したチューインガムを提供した。
審美歯科という分野に対する関心は高まっており、チューインガムの摂取によってホワイトニングを手軽に行なえることは新規市場の開拓に繋がると考えられる。
近年「歯を白く」という意識の高まりと共に、ホワイトニングを中心とした審美歯科分野に注目が集まっている。本発明者等が鋭意検討した結果、メタリン酸ナトリウムを配合したチューインガムにコーヒーなどの食品由来のステインを除去し歯を白くする効果を見出した。
本願発明は、食品由来のステインを除去し「歯を白くする」ことを手軽に実施できる口腔用組成物に関するものであり、種々のチューインガムの開発が期待される。
メタリン酸ナトリウムのステイン除去効果の評価結果を示すグラフである。 糖アルコールのステイン除去効果の評価結果を示すグラフであり、aは糖アルコールそのもののステイン除去効果の評価結果を示すグラフであり、bは糖アルコールがメタリン酸ナトリウムのステイン除去効果に与える影響を示すグラフである。 酸味料のステイン除去効果の評価結果を示すグラフであり、aは酸味料そのもののステイン除去効果の評価結果を示すグラフであり、bは酸味料がメタリン酸ナトリウムのステイン除去効果に与える影響を示すグラフであり、cはpH変化がメタリン酸ナトリウムのステイン除去効果に与える影響を示すグラフであり、dは有機酸アニオン部がメタリン酸ナトリウムのステイン除去効果に与える影響を示すグラフである。 チューインガム抽出液のステイン除去効果の評価結果を示すグラフ及び画像であり、aはチューインガム抽出液のステイン除去効果の評価を示すグラフであり、bは49回処理後および着色前後の各群のハイドロキシアパタイトディスク。左から順に着色直後のディスク、唾液のみ群、対照ガム群、0.33%メタリン酸ナトリウム配合ガム群、1.0%メタリン酸ナトリウム配合ガム群、未着色のディスクを示す画像である。
本発明は歯のステイン除去効果を持つメタリン酸ナトリウムのチューインガムへの応用を検討したものである。
本願発明は、メタリン酸ナトリウム含有ステイン除去用口腔用組成物に関する。
本願発明は、さらに糖アルコールを含有する上記に記載のステイン除去用口腔用組成物に関する。
本願発明は、さらに酸味料を含有する上記に記載のステイン除去用口腔用組成物に関する。
本願発明は、前記糖アルコールが、マルチトールまたはキシリトールである、上記に記載のステイン除去用口腔用組成物に関する。
本願発明は、前記酸味料が、クエン酸、リンゴ酸およびフマル酸から選択される上記に記載のステイン除去用口腔用組成物に関する。
本願発明は、前記メタリン酸ナトリウムの配合量が0.33重量%〜2.0重量%である、上記に記載のステイン除去用口腔用組成物に関する。
まず、メタリン酸ナトリウムの効果を調べるため、唾液に含まれているタンパク質によって形成される獲得皮膜である唾液の保護膜としてのペリクルを形成させたハイドロキシアパタイトディスクを着色液で染色した。そのディスクを、メタリン酸ナトリウムを加えた唾液溶液に浸漬し、ディスク表面の色差変化を評価した。その結果、有意な色差の減少が見られた。
次に、チューインガムに含まれる糖アルコール及び酸味料がステイン除去に与える影響を調べた。その結果、糖アルコールは影響を及ぼさなかったが、酸味料によって有意に阻害された。
さらに、酸味料を加えても唾液pHが6以下にならないように設計したメタリン酸ナトリウム配合チューインガムの唾液による抽出液は、対照ガム抽出液に比べて有意な色差の減少が認められた。1日7回摂取の1週間継続により、メタリン酸ナトリウム配合チューインガムにステイン除去効果が期待できる。
以下に本発明の実施例と試験例について説明するが、本発明の範囲がこれによって限定されるものではない。
チューインガムにメタリン酸ナトリウムを配合する場合、メタリン酸ナトリウムに由来するえぐみや刺激感が目立ってしまい、香味のバランスが崩れてしまうことがある。そのため、チューインガム中における配合量が最大となる糖質原料を調整することにより、メタリン酸ナトリウム由来のえぐみや刺激感を低減させることを試みた。
(試験方法(その1))
Figure 0006873083
※糖質原料は、キシリトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、砂糖の中から1種類を選択した。
表1に基づき、メタリン酸ナトリウムの配合量を0.33重量%に固定し、糖質原料をキシリトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、砂糖の中から1種類選択したのち80重量%配合して、糖質原料の違いがチューインガムの香味に与える影響について試験を行った。ガムの製造方法は常法に従い、製造後のガムについて、専門パネラー4名で試食して評価した。
評価項目は、「えぐみの強さ」「刺激感」「甘さの質」、並びにそれらを総合的に勘案した「総合評価」の4項目とした。評価基準となる評価点については、「えぐみの強さ」と「刺激感」については、5:全く不快でない、4:不快でない、3:わずかに不快感を感じるも、一般消費者が不快感を感じない程度、2:やや不快感を感じる、1:不快感を感じるとし、「甘さの質」と「総合評価」については、5:非常に良い、4:良い、3:普通(一般消費者が美味しいと感じる程度)、2:やや悪い、1:悪い、とした。なお、「甘さの質」に関しては、評価対象のチューインガムに使用される糖質原料についてだけではなく、メタリン酸ナトリウムなども含めたガム全体について、各原料間の相互的な影響を考慮した上で評価を行った。上記の基準をもとに、評価点を1〜5の間で0.5ずつ刻み、9段階で評価を行った。
(試験結果)
メタリン酸ナトリウム0.33重量%配合チューインガムにおける糖質原料を変更した場合の、ガムの官能評価結果を表2に示す。
Figure 0006873083
表2より、糖質原料としてキシリトールを使用した場合に、メタリン酸ナトリウム由来のえぐみや刺激感が最もよくマスキングされ、かつ質の良い甘味が発現することが判明した。次いで、糖質原料としてマルチトールを使用した場合に、総合評価はそれほど高くないものの、メタリン酸ナトリウム由来のえぐみや刺激感による不快感がほとんど感じられず、バランスの良い甘さが発現することが判明した。なお、糖質原料としてマンニトール、エリスリトール、砂糖を使用した場合には、えぐみや刺激感が不快に感じられてしまう傾向が見られた。
この結果より、メタリン酸ナトリウム配合チューインガムにおいては、糖質原料としてキシリトールもしくはマルチトールを使用するのが好適であることが判明した。
(試験方法(その2))
Figure 0006873083
※糖質原料は、キシリトール、マルチトールを併用し、各々の配合量は、配合するメタリン酸ナトリウムの量によって適宜調整した。
表3に基づき、メタリン酸ナトリウムの配合量を0.33〜2.5重量%の間で適宜変更し、糖質原料としてキシリトールとマルチトールを配合して、メタリン酸ナトリウム配合量の違い、並びにキシリトール配合量の違いがチューインガムの香味に与える影響について、試験を行った。
なお、メタリン酸ナトリウム配合量が0.33重量%の場合は、キシリトールとマルチトールの合計量が80重量%となるようにし、メタリン酸ナトリウム配合量が0.80重量%の場合は、キシリトールとマルチトールの合計量が79.53重量%となるようにした。メタリン酸ナトリウム配合量が2.0重量%の場合は、キシリトールとマルチトールの合計量が78.33重量%となるようにし、メタリン酸ナトリウム配合量が2.5%の場合は、キシリトールとマルチトールの合計量が77.83重量%となるようにした。
また、キシリトールの配合量は、チューインガム総量中、0重量%、10重量%、16重量%、64重量%、約80重量%とした。キシリトール配合量が0〜64重量%の場合は、配合するマルチトール量を調整して、キシリトールとマルチトールの合計が特定量になるように配合したが、使用する糖質原料が全てキシリトールである、すなわちマルチトールを使用しない場合は、メタリン酸ナトリウム配合量が0.33重量%、0.80重量%、2.0重量%、2.5重量%である場合、キシリトール配合量はそれぞれ、80重量%、79.53重量%、78.33重量%、77.83重量%となるようにした。
ガムの製造方法は常法に従い、製造後のガムについて、専門パネラー4名で試食して評価した。
評価項目は、「えぐみの強さ」「刺激感」「甘さの質」を総合的に勘案した「総合評価」の1項目とした。評価基準となる評価点については、5:非常に良い、4:良い、3:普通(一般消費者が美味しいと感じる程度)、2:やや悪い、1:悪い、とし、上記の基準をもとに、評価点を1〜5の間で0.5ずつ刻み、9段階で評価を行った。
(試験結果)
メタリン酸ナトリウムの配合量、並びにキシリトールの配合量を変更した場合の、ガムの官能評価結果を表4に示す。
Figure 0006873083
*1刺激感、えぐみは出るも、キシリトールを配合することで大幅に改善され、香味とのバランスがとれている
*2キシリトールを配合することで、えぐみが低減し甘さの質も向上している
*3キシリトールを配合しても、やや刺激感やえぐみが出るが、不快には感じられない程度
*4噛み始めからギシギシした感触で刺激感があり、キシリトール配合量が約80重量%でもえぐみが強く出た
表4より、キシリトールを配合することによって全体的に、メタリン酸ナトリウムに由来するえぐみや刺激感による不快感が低減され、甘さの質が向上していることが判明した。しかし、メタリン酸ナトリウムの配合量が増えるに従って評価結果は悪くなり、えぐみや刺激感による不快感が生じる傾向が見られたものの、キシリトール配合量が10〜80重量%の場合は、メタリン酸ナトリウムを2.0重量%配合しても、評価点が3.0以上、すなわち、一般消費者が美味しいと感じる程度を満たしている、との評価結果が得られた。ただし、メタリン酸ナトリウムを2.5重量%配合した場合は、糖質原料を全てキシリトールとした場合、すなわちキシリトールを77.83重量%配合した場合においても、評価点が3.0未満、すなわち、一般消費者が美味しいと感じる程度を満たしていない、との評価結果となった。また、キシリトール配合量が0重量%、すなわちキシリトールを使用しない場合は、メタリン酸ナトリウムの配合量が0.33重量%と少ない場合においても、許容範囲ではない、との評価結果となった。
これらの結果より、メタリン酸ナトリウム配合チューインガムにおいては、メタリン酸ナトリウムの配合量を2.0重量%以下とし、かつキシリトール配合量を10〜80重量%とした場合に、メタリン酸ナトリウム由来のえぐみや刺激感による不快感が感じられない良好な甘味のチューインガムが得られることが判明した。
上記実施例1及び2の結果に基づき、メタリン酸ナトリウム含有チューインガムのステイン除去効果を以下の方法により検討した。
1.試料
1)使用素材
(1)メタリン酸ナトリウム(太平化学産業(株)製)
(2)糖アルコール
・キシリトール
・マルチトール
(3)酸味料
・クエン酸
・リンゴ酸
・フマル酸
2)供試チューインガム(粒ガム 1.5 g/粒)
本実施例で用いたチューインガムは3種類で、各組成を表5に示す。すなわち、メタリン酸ナトリウムを含有しない対照ガムと、メタリン酸ナトリウムを0.33重量%と1.0重量%とを夫々含有する2種類のメタリン酸ナトリウム配合ガムを使用した。
Figure 0006873083
2.唾液の収集・処理
サリバリーガム(モリタ社)1粒を試験研究協力者に咀嚼してもらい、唾液をそれぞれ30ml程度採取した。集めた唾液をすべて1つの容器(ビーカー)に集め、個人情報の追跡ができないようにした。集めた唾液を2,500×gにて10分間遠心分離し、上清を唾液試料として試験溶液の溶媒に使用した。
3.試験溶液の調製
1) チューインガム成分を含む唾液溶液の調整
ガム2粒を5分間咀嚼した時の唾液回収量は平均15mlであった。2.の手順で処理した唾液試料15mlに対し、供試チューインガム2粒相当の重量比で糖アルコールまたは酸味料を撹拌溶解させた。すなわち、唾液試料15mlに対して糖アルコールは2.31g(15.4%)、酸味料は15mg(0.1%)添加し溶解させた。メタリン酸ナトリウムは各試験における必要量を撹拌溶解させた。pHの調整には塩酸または水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
2) 唾液によるチューインガム抽出液の調整
あらかじめ50℃で加温しておいたチューインガム2粒に対し40℃に加温した唾液試料7.5mlを加え、乳鉢中で5分間圧縮抽出した。この操作を2回繰り返して混合した。
4.着色液の調製
緑茶、紅茶については茶葉約20gに対して200mlの蒸留水を加え、60℃で2時間撹拌抽出した(緑茶;(株)伊藤園、紅茶;三井農林(株))。抽出液を吸引濾過し、濾液を凍結乾燥させて得たサンプルをそれぞれ緑茶抽出物、紅茶抽出物とした。
緑茶抽出物3%、紅茶抽出物1%、インスタントコーヒー1%となるように100℃のミネラルウォーターに撹拌溶解させ着色液とした(インスタントコーヒー;味の素ゼネラルフーヅ(株)、ミネラルウォーター;サントリーフーズ(株))。
5.ハイドロキシアパタイトディスクの着色および溶液処理
ヒトエナメル質モデルとしてハイドロキシアパタイトディスク(10mm×10mm,APP−100,HOYA(株))の表面をP400の耐水研磨紙で均一に研磨したものを用いた。研磨後のハイドロキシアパタイトディスクを後述する6.の方法で測色し、各ディスクの基準値とした。ハイドロキシアパタイトディスクを個別に12ウェルプレート(IWAKI(株))に入れ、2.5mlの唾液試料に浸漬させて37℃にて2時間静置し、表面に唾液ペリクルを形成させた。ディスクを水洗し、各ウェルにそれぞれ2.5mlの着色液を加えた新しい12ウェルプレート中に浸漬させ、37℃にて緩やかに24時間振とうしてステインを形成させた。着色後のハイドロキシアパタイトディスクを後述する6.の方法で測色し、着色後の測定値とした。
測色した着色後のハイドロキシアパタイトディスクを新しい12ウェルプレートに入れ、各ウェルに2.5mlの唾液試料、チューインガム成分を含む唾液溶液またはチューインガム抽出液を分注したのち5分または35分浸漬させた。浸漬したディスクは、蒸留水で水洗しペーパーで余分な水分を拭きとって乾燥させ測色した。
6.色差の評価
分光光度計(CM−700d,コニカミノルタ(株))を測色方向が上向きになるよう直立して設置し、測色光源上に、ペリクル形成前、着色後、または溶液処理後のハイドロキシアパタイトディスクを静置し、連続的に3回測色してその平均値を採用した。測色においてはJIS Z 8722:2009に基づくL表色系のL軸(明度)、a軸(彩度:赤色・緑色軸)、b軸(彩度:黄色・青色軸)で、反射光を含むSCIの条件で測定した。着色する前のハイドロキシアパタイトディスクの測定値の平均値(L 、a 、b )を基準値とし、着色後および溶液処理後の測定値の平均値(L after、a after、b after)を用いて、次の式により色差・Eabとして算出した。
Figure 0006873083
Figure 0006873083
7.統計解析
ステイン除去の反復試験についての各群の色差の変動推移の比較については二元配置分散分析によって有意水準0.05で行った。また、チューインガム抽出液浸漬回数ごとの群間の比較は一元配置分散分析後、7回(1日分想定)のデータについてTukeyで多重比較した。
8.結果
(1)ステイン除去におけるメタリン酸ナトリウムの効果確認(図1)
チューインガム2粒咀嚼時に15ml唾液によって希釈されると仮定し、配合量が異なる2種類のチューインガムの咀嚼を想定して、濃度0.066%または0.2%メタリン酸ナトリウムの唾液中でのステイン除去効果を検証した。いずれも着色したハイドロキシアパタイトディスクの色差は浸漬時間とともに低下し、唾液のみで処理した場合と比べ有意差が認められた。(図1、n=6、p<0.05)。また、0.066%と0.2%メタリン酸ナトリウムの群の間には有意差は認められなかった。
(2)メタリン酸ナトリウムによるステイン除去における糖アルコールの影響(図2)
チューインガムに甘味料として用いている糖アルコールであるキシリトール及びマルチトールのメタリン酸ナトリウムによるステイン除去効果に及ぼす影響について検討した。まず、糖アルコールそのものがステイン除去に寄与するかを評価するため、チューインガムに含まれる糖アルコールの全てがキシリトールまたはマルチトールであると想定し、それぞれ終濃度15.4%となるよう添加した唾液溶液のステイン除去効果を評価したところ、ハイドロキシアパタイトディスクの色差の低下は見られず、糖アルコール無添加群と比較しても有意差が見られなかった(図2a、n=6、p<0.05)。
次に、各糖アルコールに0.1%メタリン酸ナトリウムを添加したものを作製し、糖アルコールがメタリン酸ナトリウムのステイン除去効果に与える影響を評価したところ、色差の変動推移に変化は認められなかった(図2b、n=6、p<0.05)。
(3)メタリン酸ナトリウムによるステイン除去における酸味料の影響(図3)
チューインガムに酸味料として用いているクエン酸、リンゴ酸およびフマル酸そのものがステイン除去効果に寄与するかを検証した。チューインガムに含まれる酸味料(クエン酸、リンゴ酸およびフマル酸)がそれぞれ0.1%となるように唾液溶液に加えた。また、チューインガム咀嚼唾液がpH6であったことから、酸味料添加唾液溶液をpH6の条件に統一してステイン除去効果を評価した。その結果、いずれの酸味料においても色差の低下が見られ、色差の変動推移も唾液のみで処理した場合(pH7)と比べて有意な差が認められた(図3a、n=5、p<0.05)。
また、各酸味料に0.1%メタリン酸ナトリウムを添加したものを作製し、酸味料がメタリン酸ナトリウムのステイン除去効果に影響を及ぼすかを評価した結果、いずれの酸味料についても0.1%メタリン酸ナトリウム添加唾液(pH7)と比べて色差の低下を有意に阻害していた(図3b、n=5、p<0.05)。酸味料の種類による差異は認められなかった。
次に、メタリン酸ナトリウムのステイン除去に対する酸味料の阻害作用が、pHによる影響であるのか有機酸アニオン部の影響であるのかを検討した。
1)メタリン酸ナトリウムによるステイン除去におけるpHの影響
0.1%メタリン酸ナトリウム添加唾液を塩酸でpH5、6および7に調整し、ステイン除去効果を評価したところ、pH5の条件ではpH7の場合と比べて色差の変動推移に有意差が認められたことから、プロトンによってメタリン酸ナトリウムのステイン除去効果を阻害することが示唆された(図3c、n=6、p<0.05)。
2)メタリン酸ナトリウムによるステイン除去における有機酸アニオン部の影響
0.1%の各酸味料と0.1%メタリン酸ナトリウムとを添加した唾液溶液にpH6の一定条件で有機酸アニオン部の影響を評価したところ、色差の変動推移に変化は認められなかった(図3d、n=6、p<0.05)。
(4)メタリン酸ナトリウム配合チューインガム抽出液のステイン除去効果(図4)
1日に7回チューインガム2粒を5分間咀嚼し、1週間継続することを想定して、着色したハイドロキシアパタイトディスクをチューインガム抽出液へ5分間ずつ計49回浸漬させたところ、浸漬回数とともに色差が低下し、その色差の変動推移はすべての群の組合せで比較して有意に差が認められた(図4a、n=6、p<0.05)。また、浸漬回数ごとの多重比較からメタリン酸ナトリウム終濃度0.066%および0.2%のチューインガム抽出液(各々、0.33重量%および1.0重量%メタリン酸ナトリウム配合ガムに対応)はいずれも6回目の浸漬(通算30分間処理)で、唾液処理群と比べて初めて有意な差が認められた(p<0.05)。さらに、49回浸漬後の各群間のディスクは目視においてもステイン除去が確認できた(画像4b)。メタリン酸ナトリウム濃度(0.066%、0.2%)依存的にステイン除去効果が観察された。
歯のステイン除去を目的としたメタリン酸ナトリウムを配合したチューインガムを咀嚼した場合には、チューインガム成分である甘味料(糖アルコール)や酸味料が同時に口中に存在することになる。メタリン酸ナトリウムのステイン除去効果に対して糖アルコールは阻害作用を示さなかった(図2b)が酸味料の添加により阻害された(図3b)。この酸味料による阻害の原因はクエン酸イオン、リンゴ酸イオンおよびフマル酸イオンではなく、pHの低下、すなわちプロトンの増加が原因であると考えられた(図3cおよび図3d)。この理由は歯とステインの結合によって説明できると考える。すなわち、歯の表面においてはエナメル質の主成分であるハイドロキシアパタイト中の正に帯電しているカルシウムに対して負に帯電している唾液由来のタンパク質がイオン結合することによりペリクル(薄膜)を形成し、さらにペリクルに色素などが沈着してステインとなる。リン酸塩によってステインを除去する際には、ペリクルと色素の結合を解離するのではなく、リン酸イオンがペリクルとイオン交換することによって歯面とペリクルのイオン結合を解離させ、ペリクルと一体としてステインを除去していると報告されている。この推察に基づくと、本研究の図3cで示すpHの低下によってメタリン酸ナトリウムのステイン除去効果が阻害された原因は、水素イオン濃度の上昇によってメタリン酸の電離平衡が非電離側に移動し、その結果メタリン酸イオン濃度が低下したためと考えることができる。すなわち、メタリン酸イオン濃度の低下によりペリクルとのイオン交換が減少し、ステイン除去を阻害したと考えられる。
一方、チューインガム抽出液のステイン除去実験では対照ガムの抽出液でも色差の減少がみられた。糖アルコールおよび酸味料のステイン除去効果を確認したところ、糖アルコールでは有意な色差の減少はみられなかった(図2a)。それは、糖アルコールのpKaは一般的に大きく、ほとんど電離せず、リン酸イオンと同様のイオン交換が起こらないためと考えられる。また、酸味料の添加では、有意な色差の減少が認められたこと(図3a)、メタリン酸ナトリウムにクエン酸イオン、リンゴ酸イオンまたはフマル酸イオンを加えても、それ以上の色差減少がみられなかったこと(図3d)をあわせて考えると、有機酸イオンのステイン除去効果は弱く、酸味料のステイン除去の主たる要因はpHの低下(pH約7から6への低下)であると考えられる。クエン酸イオン、リンゴ酸イオンまたはフマル酸イオンがメタリン酸イオンと同様の作用機序で色差減少を起こさないのは酸解離定数pKaの差に起因すると考えることができる。メタリン酸のpKaは水系では測定できないほど小さく、クエン酸(pKa=2.87)、リンゴ酸(pKa=3.24)およびフマル酸(pKa=2.85)と比較して極めてイオン化しやすい。つまり、溶液中ではメタリン酸イオンはアニオンとして非常に安定しており、歯の表面上でのペリクルとのイオン交換が起こりやすい物質であると考えられる。したがって、メタリン酸ナトリウムを配合したチューインガムを繰り返し摂取することで日常的に付着したステインを除去できることが示唆された。また、一般にチューインガムには嗜好性を加味して酸味料が添加されているが、pH低下がメタリン酸ナトリウムの効果を抑制することから、酸味料を配合しないシュガーレスガムではさらに高い効果が期待される。
メタリン酸ナトリウムのステイン除去効果は糖アルコールに影響を受けなかったが、酸味料の添加により阻害され、その要因がpHの低下であると示唆された。口中pHが6以下にならないよう設計したメタリン酸ナトリウム配合チューインガムの唾液抽出液において有意なステイン除去効果が確認された。この結果は、1日7回摂取を1週間継続することにより、メタリン酸ナトリウム配合ガムにステイン除去効果が期待できることを示唆している。なお、本願発明の、ステイン除去効果を有するメタリン酸ナトリウム配合チューインガムについては、ガムの形態は、板状であってもブロック型であっても良い。また、糖衣を施した粒ガムであっても良く、メタリン酸ナトリウムをセンターガム中に配合しても糖衣中に配合しても、同様の効果が得られる。

Claims (3)

  1. 0.80重量%〜2.0重量%のメタリン酸ナトリウム、および16重量%〜80重量%のキシリトールを含有するステイン除去用食品
  2. さらに酸味料を含有する請求項1に記載のステイン除去用食品
  3. 前記酸味料が、クエン酸、リンゴ酸およびフマル酸から選択される請求項2に記載のステイン除去用食品
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