JP6870938B2 - 硬質樹脂管の接続構造及び接続方法 - Google Patents
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Description
本発明は、前記事情に鑑み、硬質樹脂管の接続施工性を高めるとともにシール部材の損傷を防止又は低減できる硬質樹脂管接続構造及び接続方法を提供することを目的とする。
前記挿口の外周面に設けられ、かつ前記受口の内周面との間をシールする環状のシール部材と、
前記挿口における前記シール部材よりも挿口先端側の外周面に設けられた挿側離脱防止部材と、
前記受口の内周面に設けられた受側離脱防止部材と、
を備え、前記硬質樹脂管どうしの接続状態における前記受側離脱防止部材が、前記挿側離脱防止部材と前記シール部材との間に配置されることを特徴とする。
ここで、硬質樹脂とは、一般的なポリオレフィン系樹脂やポリ塩化ビニルより硬度が高い樹脂を言う。硬質樹脂の弾性係数は、好ましくは30000kgf/cm2(3000MPa)以上である。
これによって、離脱防止部材どうしが互いに乗り越える際の挿入力を確実に低減できる。
これによって、挿側離脱防止部材を挿口とは別体に作製して挿口に装着できる。挿側離脱防止部材は、硬質樹脂管どうしの接続前に挿口に接着してもよい。
挿口を受口に挿入する時は挿側離脱防止部材を挿口から分離させておき、挿入後に挿側離脱防止部材を挿口に接着してもよい。すなわち、挿側離脱防止部材が挿口に接着可能であってもよい。この場合、挿口を受口に挿入する時、受側離脱防止部材と挿側離脱防止部材が相互に乗り越える必要がなく、所要の挿入力を確実に低減できる。ひいては、硬質樹脂管の接続施工性を高めることができる。
挿側離脱防止部材が挿口と一体になっていてもよい。挿口の成形金型に挿側離脱防止部材の成形部を設けておき、挿側離脱防止部材が挿口と一体に成形されるようにしてもよい。
受側離脱防止部材が受口と一体になっていてもよい。受口の成形金型に受側離脱防止部材の成形部を設けておき、受側離脱防止部材が受口と一体に成形されるようにしてもよい。
前記挿口の外周面及び前記挿側離脱防止部材の内周面のうち他方には、前記嵌合溝に嵌め込まれる嵌合突起が形成されていることが好ましい。
これによって、挿側離脱防止部材と挿口との接合強度を高めることができる。更には、抜け力の作用時における係止強度を高めることができる。
前記挿側離脱防止部材の内周面が前記配置部分へ向かって拡径するテーパ状になっていることが好ましい。
これによって、挿側離脱防止部材が金属や硬質樹脂等の硬質材によって構成されていても、挿側離脱防止部材の内周面と挿口の外周面を確実に密着させることができる。挿側離脱防止部材の内周面と挿口の外周面との間のクリアランスを高精度に設定する必要がない。
これによって、挿口を受口に挿入する時は挿側離脱防止部材を挿口から分離しておくことができる。そうすることで、受側離脱防止部材と挿側離脱防止部材とが相互に乗り越える必要がなく、硬質樹脂管どうしの接続時の挿入力を大幅に低減できる。また、一度接続した後であっても、挿側離脱防止部材を取り外すことで硬質樹脂管どうしを分離でき、接続作業のやり直し等を行なうことができる。
これによって、挿側離脱防止部材を拡径させて挿口の外周に配置した後、拡径を解除して縮径させることで挿口の外周面に密着させることができ、挿側離脱防止部材の装着作業を一層容易化できる。
前記挿側離脱防止部材を前記挿口から外した状態で、前記挿口を前記受口に挿し入れ、
その後、前記挿側離脱防止部材を前記挿口に取付けることを特徴とする。
本発明方法によれば、挿口を受口に挿入する時、受側離脱防止部材と挿側離脱防止部材とが相互に乗り越える必要がなく、所要の挿入力を大幅に低減できる。ひいては、硬質樹脂管の接続施工性を高めることができる。前記取付工程は、作業者が硬質樹脂管の内部に入って行ってもよく、専用の治具又は装置を用いて行ってもよい。
<第1実施形態>
図1〜図5は、本発明の第1実施形態を示したものである。図1に示すように、本発明形態は、複数(図では2つだけ図示)の硬質樹脂管10の接続構造1に係る。これら硬質樹脂管10が一列に連ねられ、例えば下水管、農業用水管等として提供される。各硬質樹脂管10は、FRPやFRPM等の硬質樹脂にて構成されている。
以下の説明では、特に断らない限り、挿口13は、硬質樹脂管10Aのものを指し、受口12は、硬質樹脂管10Bのものを指す。
なお、挿側離脱防止部材30の厚みが、全長にわたって一定になっていてもよい。
なお、受側離脱防止部材20の厚みが、全長にわたって一定になっていてもよい。
樹脂管10に離脱方向の力が働いたとき、挿側離脱防止部材30及び受側離脱防止部材20に圧縮方向の力が加わり変形することがあるが、シール部材14には荷重がかからないため変形など損傷を受けることがない。
2つの硬質樹脂管10どうしは、次のようにして接続される。
予め、挿口13には挿側離脱防止部材30及びシール部材14を設置し、かつ受口12には受側離脱防止部材20を設置しておく。
図4(a)に示すように、硬質樹脂管10どうしを一直線上に並べるとともに、挿口13を受口12に挿し入れる。
図4(b)に示すように、やがて離脱防止部材20,30どうしが当たる。ここで、強い挿入力を加えることで、離脱防止部材20,30どうしを相互に乗り越えさせる。離脱防止部材20,30のうち少なくとも一方を弾性材料にて構成しておくことで、該一方の離脱防止部材を弾性変形させることができる。したがって、所要の挿入力を低減できる。更には、受側離脱防止部材20の内周面及び挿側離脱防止部材30の外周面がそれぞれテーパ状になっているため一層挿入しやすくできる。
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態を示したものである。第2実施形態に係る硬質樹脂管接続構造1Bにおいては、挿口13と挿側離脱防止部材30Bが凹凸嵌合されている。詳しくは、挿口13における挿口先端13eの近傍の外周面に嵌合溝13bが形成されている。嵌合溝13bは、挿口13の周方向の全周にわたる環状になっている。挿側離脱防止部材30Bの内周面には嵌合突起33が形成されている。嵌合突起33は、挿側離脱防止部材30Bの周方向の全周にわたる環状になっている。嵌合突起33が嵌合溝13bに嵌め込まれている。
これによって、挿側離脱防止部材30Bと挿口13との接合強度を高めることができる。この結果、抜け力F(図5参照)の作用時における係止強度を高めることができる。
図7及び図8は、本発明の第3実施形態を示したものである。図7に示すように、第3実施形態に係る硬質樹脂管接続構造1Cにおいては、挿側離脱防止部材30Cが、挿口13とは別体に作製され、かつ挿口13に接着可能である。すなわち、挿側離脱防止部材30Cが、挿口13及び受口12どうしの嵌め込み後に挿口13に装着可能になっている。
なお、受側離脱防止部材20の内周面及び挿側離脱防止部材30の外周面が、第1実施形態(図2)と同様のテーパ状になっていてもよい。
図8(a)に示すように、その状態で挿口13を受口12に挿し入れる。ひいては、図8(b)に示すように、挿口13を受側離脱防止部材20に挿し入れるとともに、シール部材14を受口12の内周面に圧接させる。挿口13に挿側離脱防止部材30Cが設けられていないため、離脱防止部材20,30Cどうしを相互に乗り越えさせる必要がなく、所要の挿入力を大幅に低減できる。
続いて、図8(c)に示すように、挿側離脱防止部材30Cを挿口1における受側離脱防止部材20よりも挿口先端13e側の外周に嵌め込む。これによって、受側離脱防止部材20がシール部材14と挿側離脱防止部材30Cとの間に配置される。受側離脱防止部材20がシール部材14を乗り越える必要がなく、シール部材14の損傷を防止又は低減することができる。
挿口13への挿側離脱防止部材30Cの嵌め込みは、作業者が硬質樹脂管10の内部に入って行ってもよく、専用の治具又は装置を用いて行ってもよい。その後、前記接着剤が硬化するまで養生することによって、挿側離脱防止部材30Cと挿口13とを接着させる。接着剤としては、空隙充填性の接着剤を用いてもよい。
図9は、本発明の第4実施形態を示したものである。第4実施形態は、第3実施形態(図7、図8)の後付方式と、第2実施形態(図6)の凹凸嵌合とを組み合わせたものである。すなわち、第4実施形態の硬質樹脂管接続構造1Dにおいては、挿側離脱防止部材30Dが、挿口13及び受口12どうしの嵌め込み後に挿口13に装着可能になっている。かつ、挿側離脱防止部材30Dの内周面に嵌合突起33が形成されている。挿口13の外周面には嵌合溝13bが形成されている。
図9(b)に示すように、挿口13の挿し入れ後、挿側離脱防止部材30Dを挿口13の外周に嵌め込む。このとき、嵌合突起33が挿口13と干渉するために圧入することになるが、離脱防止部材20,30どうしを相互に乗り越えさせる場合(図4(b)等)と比べると、挿入力を大幅に低減できる。圧入には打撃治具等を用いてもよい。
更に、挿口13と挿側離脱防止部材30Dとを接着剤によって接着してもよい。接着剤としては、空隙充填性の接着剤を用いてもよい。
図10は、本発明の第5実施形態を示したものである。第5実施形態は、挿側離脱防止部材を後付けする第3実施形態(図8)の変形態様に係る。硬質樹脂管接続構造1Eにおいては、挿口13における受側離脱防止部材20の配置部分よりも挿口先端13e側(図10(a)において右側)の外周面にテーパ部13aが形成されている。テーパ部13aは、挿口先端13eへ向かって緩やかに縮径されるとともに挿口先端13eに達している。挿口13の先端側部分が、挿口先端13eへ向かって薄肉になっている。
図10(b)に示すように、挿口13の挿し入れ後、挿側離脱防止部材30Eを挿口13の外周に嵌め込む。挿側離脱防止部材30Eの内周面及び挿口13の外周面が共にテーパ部36,13aになっているため、挿側離脱防止部材30Eと挿口13を全周にわたって互いに密着させることができる。挿側離脱防止部材30Eが金属や硬質樹脂等の硬質材によって構成されていても、挿側離脱防止部材30Eと挿口13とを確実に密着させることができる。したがって、挿側離脱防止部材30Eの内周面と挿口13の外周面との間のクリアランスを高精度に設定する必要がない。
挿側離脱防止部材30Eと挿口13とは接着剤によって接着する。接着剤としては、空隙充填性の接着剤を用いてもよい。
図11及び図12は、本発明の第6実施形態を示したものである。第6実施形態は、挿側離脱防止部材を後付けする第3実施形態(図8)の変形態様に係る。図11に示すように、第6実施形態の硬質樹脂管接続構造1Fにおいては、挿側離脱防止部材30Fが、周方向の一箇所に切欠部35を有する環状(C字状)になっている。挿側離脱防止部材30Fの材質は、例えば鉄、鋼鉄、ステンレス等の金属(硬質材)にて構成されている。好ましくは、挿側離脱防止部材30Fは、バネ鋼によって構成されている。なお、挿側離脱防止部材30Fが、金属に代えて、FRP、その他の硬質樹脂にて構成されていてもよい。
図12に示すように、挿口13の外周面には嵌合溝13bが形成されている。嵌合溝13bは、挿口13の周方向に沿う閉環状になっている。
例えば、第2実施形態(図6)等において、嵌合突起33が挿口13に設けられ、嵌合溝13bが挿側離脱防止部材30Bに設けられていてもよい。
複数の実施形態を互いに組み合わせてもよい。例えば、挿側離脱防止部材30Fを挿口13に設置後、接着剤で接着してもよい。
10 硬質樹脂管
10A 一方の硬質樹脂管
10B 他方の硬質樹脂管
12 受口
12e 受口先端
13 挿口
13a テーパ部
13b 嵌合溝
13e 挿口先端
14 シール部材
20 受側離脱防止部材
30,30B〜30F 挿側離脱防止部材
33 嵌合突起
35 切欠部
36 テーパ部
Claims (2)
- 挿口を有する一方の硬質樹脂管と、前記挿口を受け入れる受口を有する他方の硬質樹脂管とからなる硬質樹脂管接続構造であって、
前記挿口の外周面に設けられ、かつ前記受口の内周面との間をシールする環状のシール部材と、
前記挿口における前記シール部材よりも挿口先端側の外周面に設けられた挿側離脱防止部材と、
前記受口の内周面に設けられた受側離脱防止部材と、
を備え、前記硬質樹脂管どうしの接続状態における前記受側離脱防止部材が、前記挿側離脱防止部材と前記シール部材との間に配置され、
前記挿口の外周面が、前記接続状態での前記受側離脱防止部材の配置部分を含む一定径の円筒状の部分と、前記円筒状の部分の挿口先端側の端部と同径をなして連なるとともに挿口先端側へ向かって縮径するテーパ状のテーパ部とを含み、
前記挿側離脱防止部材の内周面が前記配置部分へ向かって前記テーパ部と同じ傾斜角度で拡径して前記挿側離脱防止部材の前記配置部分を向く端面に達するテーパ状になっており、前記挿側離脱防止部材が、前記テーパ部に配置されて前記テーパ部と接着されていることを特徴とする硬質樹脂管接続構造。 - 外周面に挿側離脱防止部材及び環状のシール部材が設けられた挿口を有する一方の硬質樹脂管と、内周面に受側離脱防止部材が設けられた受口を有する他方の硬質樹脂管とを、前記受口が前記挿口を受け入れるように、かつ前記受側離脱防止部材が、前記挿側離脱防止部材と前記シール部材との間に配置されるようにして接続する方法であって、
前記挿側離脱防止部材を前記挿口から外した状態で、前記挿口における前記シール部材より挿口先端側の部分を前記受口に挿し入れ、さらには前記受側離脱防止部材に挿し入れ、
その後、前記受側離脱防止部材を通過した前記挿口における前記挿口先端側の部分の外周に前記挿側離脱防止部材を取付け、
前記挿口における前記受側離脱防止部材の配置部分よりも挿口先端側の外周面が前記挿口先端へ向かって縮径するテーパ状になっており、
前記挿側離脱防止部材の内周面が前記配置部分へ向かって拡径するテーパ状になっていることを特徴とする硬質樹脂管の接続方法。
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