JP6869113B2 - 正極活物質粉末およびその製造方法並びに全固体リチウム二次電池 - Google Patents

正極活物質粉末およびその製造方法並びに全固体リチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の正極活物質粒子の表面を固体電解質で被覆した粒子からなる正極活物質粉末およびその製造方法並びに当該正極活物質粉末を用いた全固体リチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池の正極活物質は、従来一般的にLiと遷移金属の複合酸化物で構成される。なかでも、Coを成分に持つ複合酸化物であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)が多用されている。また、最近ではニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)、あるいは三元系(LiNi1/3Mn1/3Co1/32など)や、それらの複合タイプの利用も増加している。
リチウムイオン二次電池の電解液としては、電解質LiPF6、LiBF4等のリチウム塩を、PC(プロピレンカーボネート)、EC(エチレンカーボネート)等の環状炭酸エステルと、DMC(ジメチルカーボネート)、EMC(エチルメチルカーボネート)、DEC(ジエチルカーボネート)等の鎖状エステルの混合溶媒に溶解したものが主として用いられている。このような有機溶媒は酸化雰囲気に弱く、特に正極表面でCo、Ni、Mn等の遷移金属に触れると酸化分解反応を起こしやすい。その要因として、正極表面が高い電位であること、高酸化状態の遷移金属が触媒的に作用することなどが考えられる。したがって、電解液と正極活物質を構成する遷移金属(例えばCo、Ni、Mnの1種以上)との接触をできるだけ防止することが、電解液の性能を維持するうえで有効となる。
電解液と遷移金属との接触を防止する技術としては、例えば固体電解質でありLiイオンを伝導する性質を有するTiとLiの複合酸化物や、LiおよびTiのリン酸塩(LTP)、Li、AlおよびTiのリン酸塩(LATP)により正極活物質を被覆する技術が知られている。
特開2008−226463号公報 特開2012−074240号公報 特開2002−151078号公報 特開2014−239030号公報 特開2015−167095号公報
特許文献3、特許文献4および5には、液相法により正極活物質を固体電解質で被覆することにより、活物質の最表面近傍に存在する遷移金属の量を低減することにより、電解液の劣化を防止する技術が記載されている。これらの技術は、例えば特許文献1に開示されているメカニカルミリングによる被覆方法と比較して優れたものである。しかし、これらの特許文献に記載された固体電解質被覆した正極活物質を用いた全固体リチウム二次電池の場合であっても、低電流と高電流で充放電した際の電池容量変化が大きいという課題があった。
本発明は、全固体リチウム二次電池において低電流と高電流で充放電した際の電池容量変化を少なくできる固体電解質を被覆したリチウムイオン二次電池用正極活物質の提供、および、それを用いた全固体リチウム二次電池を提供することを目的とする。
上記の目的は、Liと遷移金属Mの複合酸化物で構成されるリチウムイオン二次電池用正極活物質の粒子表面に、組成がmLi1+XAlTi2−X(PO・nLiOH、ただし0≦X≦0.5、または、p(Li2YTi10+Y)・qLiOH、ただし1≦Y≦2、で表される固体電解質の被覆層を有する固体電解質被覆正極活物質粉末であって、前記LiOHの含有量が0.05〜2.00mass%である固体電解質被覆正極活物質粉末によって達成される。また、前記の固体電解質被覆正極活物質粉末は、前記被覆層中の前記LiOHの含有量が1〜45mass%のものであっても構わない。
なお、ここでm、nおよびp、qは、それぞれLi1+XAlTi2−X(POおよび(Li2YTi10+Y)がLiOHと任意の割合で複合化していることを示すものである
前記の固体電解質被覆正極活物質粉末は、XPSによる深さ方向分析で当該被覆層の最表面からエッチング深さ1nmまでのAl、Ti、M、Pの合計原子数に占めるAl、Ti、Pの合計原子数の平均割合で定義されるLATP被覆率、または、TiおよびMの合計原子数に占めるTiの原子数の平均割合で定義されるLTO被覆率が50%以上である固体電解質被覆正極活物質粉末が好適な対象となる。前記エッチング深さはSiO標準試料のスパッタエッチングレートを用いて換算した深さである。
上記遷移金属Mは当該正極活物質を構成する1種または2種以上の遷移金属元素を意味し、例えばCo、Ni、Mnの1種以上が挙げられる。上記固体電解質の被覆層は、例えば、活物質の粒子表面にLi、Al、Ti、Pの各元素またはLi、Ti、Pの各元素を含む溶液との接触を利用して前記各元素を含む固形物層をコーティングしたのち、その粒子を酸素含有雰囲気で熱処理することによって形成することができる。
具体的には以下のコーティング工程を開示することができる。
[液中コート法]
Li、Al、Ti、Pの各元素またはLi、Ti、Pの各元素が溶解している水溶液(以下、A液という)と、Liおよび遷移金属Mを成分に持つ複合酸化物で構成されるリチウムイオン二次電池用正極活物質の粉末粒子が水溶性有機溶媒中または水溶性有機溶媒と水との混合媒体中に分散している液(以下、B液という)、および水酸化Li水溶液(以下、C液という)を用意し、A液をB液中へ添加することにより、B液中の前記粉末粒子表面にLi、Al、Ti、PまたはLi、Ti、Pを被着させた後、A液とB液の混合溶液にC液を添加しLi、Al、Ti、PまたはLi、Ti、Pを被着させた粉末粒子にさらにLi化合物を被着させる工程(以下LATPコートと称する。)、
または、
LiおよびTiの各元素またはTi元素が溶解している水溶液(以下、A液という)と、Liおよび遷移金属Mを成分に持つ複合酸化物で構成されるリチウムイオン二次電池用正極活物質の粉末粒子が水溶性有機溶媒中または水溶性有機溶媒と水との混合媒体中に分散している液(B液)、および水酸化Li水溶液(C液)を用意し、A液をB液中へ添加することにより、B液中の前記粉末粒子表面にLiおよびTi、PまたはTiを被着させた後、A液とB液の混合溶液にC液を添加しLiおよびTiまたはTiを被着させた粉末粒子にさらにLi化合物を被着させる工程(以下LTOコートと称する。)、
を行った後、
上記被着後の粉末粒子が含まれるスラリーを固液分離して固形分を回収することができる。A液およびC液の添加方法は連続的であってもよいし断続的であってもよい。
液中コート法で得られた固形分を酸素含有雰囲気中で焼成することによって、上記の固体電解質被覆正極活物質粉末が得られる。
本発明に従うリチウムイオン二次電池用正極活物質の粉末は、全固体リチウム二次電池において低電流と高電流で充放電した際の電池容量変化を少なくできる。したがって、本発明はリチウムイオン二次電池の性能向上に寄与しうる。
全固体リチウムイオン二次電池の組み立て方法を説明するための断面図。
[正極活物質]
本発明で適用対象となる正極活物質は、Liと遷移金属Mの複合酸化物でからなるものであり、従来からリチウムイオン二次電池に使用されている物質が含まれる。例えばリチウム酸コバルト(Li1+XCoO2、−0.1≦X≦0.3)が挙げられる。この正極活物質からなる原料粉末を後述の固体電解質の被覆処理に供することによって、本発明の固体電解質被覆正極活物質粉末が得られる。原料粉末の平均粒子径(レーザー回折式粒度分布測定装置による体積基準の累積50%粒子径D50)は例えば1〜20μmの範囲とすればよい。
正極活物質としては、上記のコバルト酸リチウムの他、例えばLi1+XNiO2、Li1+XMn24、Li1+XNi1/2Mn1/22、Li1+XNi1/3Co1/3Mn1/32(いずれも−0.1≦X≦0.3)、Li1+X[NiYLi1/3-2Y/3Mn2/3-Y/3]O2(0≦X≦1、0<Y<1/2)や、これらのLiあるいは遷移金属元素の一部をAlその他の元素で置換したリチウム遷移金属酸化物や、Li1+XFePO4、Li1+XMnPO4(いずれも−0.1≦X≦0.3)などのオリビン構造を持つリン酸塩などが適用対象となる。
[固体電解質]
被覆層を構成する固体電解質は、mLi1+XAlXTi2-X(PO43・nLiOH、ただし0≦X≦0.5、または、p(Li2YTi510+Y)・qLiOH、ただし1≦Y≦2、で表されるものが対象となる。ここでLi1+XAlXTi2-X(PO43のXが0.5を超えるとLiイオン伝導性が低下するので好ましくない。Xは0でもよい。その場合のLiイオン伝導性はAlを含有するものより劣るが、LiNbO3よりも良好である。また、Yが1未満の場合には、Liを伝導しないTiO2相が発生する為、好ましくない。Yが2を超えると、結晶中に取り込まれない過剰なLiOHが発生するので好ましくない。
本明細書では以下、Li1+XAlXTi2-X(PO43、ただし0≦X≦0.5、で表される物質を「LATP」と称する(特にX=0のものを「LTP」と称する場合がある)。また、Li2YTi510+Y、ただし1≦Y≦2、で表される物質を「LTO」と称する。したがって、本発明の被覆層は、LATPもしくはLTOとLiOHの混合物であり、LATPもしくはLTOの化学量論比と比較してLiを過剰に含有するものである。
本発明の固体電解質被覆正極活物質の場合、被覆層にLiOHを含有させるとその電池特性、特に電池容量の維持特性が向上する理由については現在のところ不明であるが、本発明者等は、LiOHの融点が462℃と低いため、被覆層を焼成する際にLiOHが溶融して溶媒の蒸発痕を埋めるか、LiOHとLATPまたはLTPが反応してできる反応生成物の融点が下がることによりやはり被覆層を焼成する際にそれらが溶融して溶媒の蒸発痕を埋めるものと推定している。
LiOHの含有量は、固体電解質被覆正極活物質の全質量に対して0.05〜2.00mass%であることが好ましい。含有量が0.05mass%未満であると被覆層の多孔度が高くなり、電解質の酸化を防止する能力が劣ることになるので好ましくない。また、含有量が2.00mass%を超えるとLiを伝導しないLiOHが増加し、Liイオンの移動を阻害するようになるため、好ましくない。また、LiOHの含有量は、被覆層の全質量に対して1〜45mass%のものであっても良い。被覆層中の含有量が1mass%未満であると被覆層の多孔度が高くなり、電解質の酸化を防止する能力が劣ることになるので好ましくなく、45mass%超えるとLiを伝導しないLiOHが増加し、Liイオンの移動を阻害するようになるため、好ましくない。
[表層のLATP被覆率およびLTO被覆率]
本発明に従う固体電解質被覆正極活物質粉末は、均一性の高い被覆層を有していることに特徴がある。すなわち、正極活物質の原料粉末表面の露出が極めて少ない。発明者の検討によれば、リチウムイオン二次電池における電解液の酸化防止効果を考慮すると、XPS(光電子分光分析)による深さ方向の元素分析プロフィールにおいて、最表面から1nm深さまでの原子比率によって原料粉末表面の露出度を評価することができる。1nmはSiO2標準試料のエッチングレート換算である。
具体的には、LATPの場合、上記XPSによる深さ方向分析で最表層から1nm深さまでのAl、Ti、P、Mの合計原子数に占めるAl、Tiの合計原子数の平均割合「平均Al+Ti+P原子比」を、本明細書では「LATP被覆率」と称する。LTOの場合は、上記XPSによる深さ方向分析で最表層から1nm深さまでのTiおよびMの合計原子数に占めるTiの合計原子数の平均割合「平均Ti原子比」を、本明細書では「LTO被覆率」と称する。本発明の場合、LATP被覆率またはLTO被覆率は50%以上であることが望ましい。70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。実験によれば、98%程度のものを得ることが可能である。上記MはTi以外の遷移金属である。被覆率が50%未満では、電解質の酸化を防止する効果が得られないので好ましくない。
ある深さ位置におけるLATP被覆率は下記(1)式で表される。
LATP被覆率=Al+Ti+P原子比(%)
=(Al+Ti+P)×100/(Al+Ti+M+P) …(1)
ここで、元素記号およびMの箇所にはそれぞれの元素のXPSによる分析値(mol%)の値が代入される。
また、ある深さ位置におけるLTO被覆率は下記(2)式で表される。
LTO被覆率=Ti×100/(Ti+M) …(2)
[被覆層の平均厚さ]
被覆層の平均厚さは1〜80nmの範囲とすればよい。薄すぎると、原料粉末表面の露出部分が生じやすい。厚すぎると導電性が低下し、また不経済となる。
正極活物質の原料粉末のBET値(比表面積)をS(m2/g)、被覆層の密度をd(g/cm3)、正極活物質粉体に占める被覆層の質量割合をA(mass%)とするとき、LATP被覆層もしくはLTO被覆層の平均厚さT(nm)は下記式(3)により計算できる。
T(nm)=10×A/(d×S)・・・(3)
ここで、LATP被覆層の場合、被覆層の質量は、誘導結合プラズマ発光分光分析法(以下、ICP−AES法)によりTiとAlを分析してTiとAlのmol数を求め、Li1+XAlXTi2-X(PO43の分子量から算出する。
密度dは、0≦X≦0.5の範囲で2.9g/cm3として計算すればよい。また、LTO被覆の場合、被覆層の質量は、ICP−AES法によりTiを分析してTiのmol数を求め、Li2YTi510+Yの分子量から算出する。密度dは、前記のLi2YTi510+Yの組成に対応する密度を用いればよい。例として、後述する実施例8の場合にはLi4Ti512(Y=2)の密度d=3.5g/cm3を計算に用いた。右辺の係数10は単位換算係数である。
[固体電解質の被覆処理]
上記の均一性の高い被覆層は、Li、Al、Ti、Pの各元素またはLi、Ti、Pの各元素を含む溶液、もしくは、LiおよびTiの各元素またはTiを含む溶液を用いてコーティング処理することにより実現できる。すなわち、リチウムイオン二次電池用正極活物質の原料粉末粒子の表面に、Li、Al、Ti、Pの各元素またはLi、Ti、Pの各元素を含む液(A液)、もしくは、LiおよびTiの各元素またはTiを含む溶液(A液)を接触させて、前記各元素を含む固形物層をコーティングした後、その粒子を酸素含有雰囲気で熱処理して前記固形物層を結晶化させ、上述の固体電解質の層を形成する。上記の固形物層をコーティングする手法としては蒸発乾固法を用いることも可能であるが、本発明においては、薄く均一な被覆層を形成することが可能な液中コート法を採用する。
以下、Li、Al、Ti、Pの各元素をコーティングするためのA液を「LATPコート液」、Li、Tiの各元素をコーティングするためのA液を「LTOコート液」と称する。
液中コート法において原料粉末を分散させる液(B液)に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のプロトン供与性溶媒や、エーテル類(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフランなど)、ジメチルスルホキシド(CH32SO(略称DMSO)、ジメチルホルムアミド(CH32NCHO(略称DMF)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド[(CH32N]3P=O(略称HMPA)などの極性非プロトン供与性溶媒を用いることができる。
上記コーティング処理に用いる溶液(液中コート法の場合はA液)としては、チタンが[Ti(OH)32-、リチウムがLi+、アルミニウムがAlO2 -、[Al(OH)4-または[Al(OH)4(H2O)2-、リンがPO4 3-、HPO4 2-またはH2PO4 -の形で溶解している液が挙げられる。
上記のようにして原料粉末粒子表面にAl、Ti、Pの各元素またはTi、Pの各元素を含有し、かつ化学量論比以上のLiを含有する固形物層を形成した後、その粒子を酸素含有雰囲気で熱処理することによって、上述の被覆層を形成することができる。熱処理雰囲気は炭酸を含まない空気か、酸素が良い。炭酸を含むと炭酸リチウムの層が生成し、電池の内部抵抗を増大させる要因となる。LATPやLTOの結晶化は概ね300℃以上で開始するため、熱処理温度は300℃以上とすることが望ましく、500℃以上とすることがより好ましい。500℃以上で結晶化スピードが顕著に向上する。ただし、950℃を超えると、活物質内部への固体電解質の拡散が大きくなるので、950℃以下の温度とすることが望ましい。
[全固体リチウムイオン二次電池]
前述の製造方法により得られた固体電解質被覆正極活物質粉末、固体電解質および負極活物質を用い、全固体リチウムイオン二次電池を組み立てることが出来る。
固体電解質は、全固体リチウムイオン二次電池において正極と負極を分離するセパレータの役割と、正極活物質と負極活物質の間のイオン伝導体の役割を担う。本発明の全固体リチウムイオン二次電池においては、硫化物系および酸化物系の固体電解質の何れを用いても構わないが、イオン伝導性の点で有利な硫化物系の固体電解質を用いることが好ましい。
硫化物イオンと酸化物イオンを含有する固体電解質としては、Li3PO4−Li2S−SiS2系や、Li4SiO4−Li2S−SiS2系などのオキシ硫化物ガラスが挙げられる。硫化物イオンのみを含有する固体電解質としては、Li2S−GeS2−P25系、Li2S−P25系などのガラスセラミックが挙げられる。また、LiI−Li2S−P25系、LiI−Li2S−B23系、LiI−Li2S−Si22系などのLiI含有硫化物ガラスを用いることもできる。
本発明の全固体リチウムイオン二次電池においては、負極活物質については特に規定するものではなく、従来公知の負極活物質を適用すればよい。
[供試粉末の被覆率の測定]
粒子表面にLiOHを含むLATP層またはLTO層が形成された供試粉末のLATP被覆率またはLTO被覆率のXPSによる測定は、アルバック・ファイ社製PHI5800 ESCA SYSTEMを用いて行った。分析エリアはφ800μmとし、X線源:Al管球、X線源の出力:150W、分析角度:45°、スペクトル種:Coは2p軌道、Tiは2p軌道、Alは2p軌道、Pは2p軌道とした。なお、Mn、Niを分析する場合もスペクトル種は2p軌道とする。バックグラウンド処理はshirley法を用いた。最表面からSiO2換算エッチング深さ1nmまでを0.1nm刻みの深さ位置で11点の測定を行い、それぞれの深さ位置において前記(1)式および(2)式によりLATP被覆率またはLTO被覆率を求め、それら11点の平均値を当該供試粉末の平均LATP被覆率またはLTO被覆とした。
[供試粉末の化学分析]
供試粉末を硝酸等で溶解し、アジレント・テクノロジー社製720-ESを用いてICP−AESにて化学分析を行った。
[被覆層中に含まれるLiOH量の測定]
1.000gを秤取った供試粉末を室温の純水100mL中に浸漬し、スターラーを用いて10min間撹拌し、供試粉末に含まれる水に可溶性のLiを抽出した。抽出液は強アルカリ性であり、イオンクロマトグラフ法により確認したところ、抽出液中にLiイオンとCO3 2-イオンが検出されたことから、水可溶性のLi化合物の大部分はLiOHであった。
LiOHの量は、0.45μmのフィルターを用いて固形物を濾過した抽出液を、フェノールフタレインとメチルオレンジを指示薬として用い、0.1mol/LのHCl溶液で中和滴定することにより求めた。ここで、フェノールフタレインの変色までのHClの滴定量は抽出液中に含まれるOH-イオンとCO3 2-イオンの量の和であり、フェノールフタレインの変色からメチルオレンジの変色までのHClの滴定量はCO3 2-イオンがHCO3 2-イオンに加水分解することに対応する量なので、LiOHの量はメチルオレンジの変色までに要したHClの滴定量からフェノールフタレインの変色までのHClの滴定量を差し引くことにより求めることが出来る。
前記の測定方法により求めたLiOHの量と、供試粉末の質量、もしくは、供試粉末のLATP層LTO層の質量から、それらに対するLiOHの含有量(mass%)を算出することができる。
なお、ここで記述するLiOH量の測定は、中和滴定の常法に従って行えばよい。
[全固体リチウムイオン二次電池の作製]
(1)硫化物系固体電解質
25(アルドリッチ社製)0.927gと、Li2S(アルドリッチ社製)0.573gを、ジルコニアボールφ10mmとともに、遊星ボールミル(フリッチュ社製、P−7)にて、アルゴンガス雰囲気中350rpmで35時間撹拌混合して、淡い黄色の硫化物系固体電解質の粉体を得た。
(2)負極
インジウム箔(φ8mm、厚さ0.1mm)にリチウム箔(φ6mm、厚さ0.1mm)を圧接し、インジウム中にリチウムを拡散させることにより負極を得た。
(3)正極合材
正極活物質粉体60mgと、上記硫化物系固体電解質39mg、導電剤(ケッチャンブラック、ライオンEJ300J)1mgを混合して得た混合物から7mgを分取し、成形荷重10kNでプレス成形して、φ8mm×厚さ0.1mmの成形体からなる正極合材を得た。
(4)電池の組み立て
図1に、全固体リチウムイオン二次電池の組み立て方法を表す断面図を模式的に示す。内径φ10mm、高さ12mmのポリエチレン製円筒1の内部に、ステンレス鋼からなる正極集電体2、前記正極合材3、および60mgの前記硫化物系固体電解質4を入れ、36kNの荷重を付与して加圧成形体を得た。この成形体の上に前記負極5、およびステンレス鋼からなる負極集電体6をセットして、20kNの荷重を付与して加圧成形し、3層構造のセルを有する全固体リチウムイオン二次電池を作製した。得られた電池の正極層、電解質層、および負極層の厚さは、それぞれ約100μm、500μmおよび100μmである。正極側の電極面積は0.5cm2(φ8mm)である。なお、図1は、セルの直径に対し、厚さ(図の縦方向長さ)を極めて誇張して描いてある。
[電池評価]
作製した電池について、以下の放電容量A、Bを調べ、変化率を求めた。
(1)放電容量A
電流密度0.1mA/cm2で3.8Vまで定電流充電した後、電流密度が0.001mA/cm2となるまで3.8Vで定電圧充電を行った。その後、3.8Vから2.0Vまで(Li電位基準で4.4Vから2.6Vまで)0.1mA/cm2で放電を行い、放電容量の測定を行った。そして、正極活物質の単位質量(コート物質の質量は除く)あたりの放電容量を「放電容量A」とした。放電容量Aの値が大きい電池ほど、エネルギー密度の大きい電池であると評価される。
(2)放電容量B
放電容量Aの測定後、電流密度0.3A/cm2で3.8Vまで定電流充電した後、電流密度が0.003mA/cm2となるまで3.8Vで定電圧充電を行った。その後、3.8Vから2.0Vまで(Li電位基準で4.4Vから2.6Vまで)0.3mA/cm2で放電を行い、放電容量の測定を行った。そして、正極活物質の単位質量(コート物質の質量は除く)あたりの放電容量を「放電容量B」とした。
(3)変化率
下記(4)式により、変化率(%)を求めた。
変化率(%)=(放電容量A−放電容量B)×100/放電容量A …(4)
この変化率が小さいほど、低電流と高電流で充放電した際の電池容量変化が少ないため、当該正極活物質を使用した電池の設計が容易となる。すなわち、変化率が低いものほど、正極活物質の遷移金属と固体電解質の硫黄の反応が抑制され、優れた性能を有する正極を備えていると判断できる。
[実施例1]
[原料粉末]
リチウムイオン二次電池用正極活物質の原料粉末として、平均粒子径(レーザー回折式粒度分布測定装置による体積基準の累積50%粒子径D50、以下同様)4.0μm、BET値(比表面積)0.80m2/gのコバルト酸リチウム(LiCoO2)粉体を準備した。なお、BET値はユアサイオニクス株式会社製の4ソーブUSを用いて、BET一点法により測定した。
[LATPコート液の作成]
濃度30mass%の過酸化水素水13gを準備した。この過酸化水素水溶液へ、チタン粉末(和光純薬工業製)0.297gを添加したのち、更に、濃度28mass%のアンモニア水3gを添加し、十分に撹拌して黄色の透明溶液を得た。この溶液に水酸化リチウム・1水和物(LiOH・H2O)0.199gと、リン酸水素二アンモニウム((NH3)2HPO4)1.44gを添加した。更にその溶液に、Al箔0.0295g、濃度28質量%のアンモニア水11g、純水90gをそれぞれ添加し、完全に透明になるまで3時間撹拌を続け、LATPコート液を得た。
[水酸化リチウム水溶液(C液)の作成]
純水10gに水酸化リチウム・1水和物(LiOH・H2O)0.060gを添加した。
[LATPの被覆]
1リットルのガラス製ビーカーに、イソプロピルアルコール400gと、前記正極活物質原料粉Aを30g投入し、撹拌機を用いて撹拌した。温度は40℃に設定し、原料粉が沈殿しないように600rpmで撹拌を維持した。雰囲気中の炭酸ガスの吸収を防ぐ目的で、撹拌は窒素ガス雰囲気中で行った。この撹拌中の液に前記LATPコート液を120分間かけて連続的に添加した。添加終了後、この撹拌中の液に前記水酸化リチウム水溶液(C液)を10分間かけて連続的に添加した。
更に40℃で600rpmの撹拌を継続し、反応を進行させた。反応終了後、得られたスラリーを加圧濾過器に投入し、固液分離を行った。固形分として得られた粉体を、脱炭酸空気中で1時間かけて乾燥した。得られた乾燥粉体を空気中400℃で3時間焼成し、LATPで粒子表面が被覆された正極活物質粉体を得た。LATP被覆層の平均厚さTは、BET値(比表面積)表面積をS(m2/g)、被覆層の密度をd(g/cm3)、正極活物質粉体に占める被覆層の質量割合をA(mass%)により上述の(3)式で計算した。
なお、被覆層の質量は、供試粉末を硝酸で溶解し、ICP−AES法によりTiとAlを分析してTiとAlのmol数を求め、Li1+XAlXTi2-X(PO43の分子量から算出した。また、密度dは2.9g/cm3として計算した。
LATP被覆率は、XPSによる深さ方向分析で最表層から1nm深さまでのAl、Ti、P、Mの合計原子数に占めるAl、Tiの合計原子数の平均割合「平均Al+Ti+P原子比」を上述の(1)式で求めた。
供試粉末のLATP被覆層平均厚さTは20nm、LATP被覆率は85%であった。
また、前記の測定方法により求めたLiOHの含有量は、固体電解質被覆正極活物質粉末全体に対して0.10mass%であり、被覆層に対しては2.25mass%であった。
本実施例で得られた供試粉末を用いて全固体リチウムイオン二次電池を作成し、前述の方法により求めた放電容量の変化率は11%であり、後述する比較例のそれらよりも優れた値であった。この結果は、前述の様に、LiOHの存在により、被覆層の多孔度が減少したためと考えられる。
本実施例で用いた被覆条件および各種の測定結果を表1に示す(以下の各例において同じ)。なお、表1に記載のBET表面積は、被覆後に測定した値である。
[実施例2]
得られた乾燥粉体を空気中500℃で3時間焼成し、LATPで粒子表面が被覆された正極活物質粉体を得たことを除き、実施例1と同じ条件で供試粉末を得た。
本実施例で得られた供試粉末のLiOHの含有量は、固体電解質被覆正極活物質粉末全体に対して0.10mass%、被覆層に対しては2.25mass%であり、放電容量の変化率は7%であった。
[実施例3]
得られた乾燥粉体を空気中600℃で3時間焼成し、LATPで粒子表面が被覆された正極活物質粉体を得たことを除き、実施例1と同じ条件で供試粉末を得た。
本実施例で得られた供試粉末のLiOHの含有量は、固体電解質被覆正極活物質粉末全体に対して0.10mass%、被覆層に対しては2.25mass%であり、放電容量の変化率は7%であった。
[比較例1]
水酸化リチウム水溶液の作成を行わず、LATPの被覆において、水酸化リチウム水溶液の添加を行わなかったことを除き、実施例1と同じ条件で供試粉末を得た。
本比較例で得られた供試粉末を蒸留水中に浸漬したところ、中和滴定の結果、Liの溶出は観察されなかった。
また、放電容量の変化率は27%であり、前記の実施例についてのそれらより劣っていた。
[比較例2]
水酸化リチウム水溶液の作成を行わず、LATPの被覆において、水酸化リチウム水溶液の添加を行わなかったことを除き、実施例2と同じ条件で供試粉末を得た。
本比較例で得られた供試粉末を蒸留水中に浸漬したところ、Liの溶出は観察されなかった。また、放電容量の変化率は26%であった。
[比較例3]
水酸化リチウム水溶液の作成を行わず、LATPの被覆において、水酸化リチウム水溶液の添加を行わなかったことを除き、実施例3と同じ条件で供試粉末を得た。
本比較例で得られた供試粉末を蒸留水中に浸漬したところ、Liの溶出は観察されなかった。また、放電容量の変化率は25%であった。
[実施例4]
水酸化リチウム水溶液の作成において、純水10gに水酸化リチウム・1水和物(LiOH・H2O)を0.4g添加したことを除き、実施例1と同じ条件で供試粉末を得た。
本実施例で得られた供試粉末のLiOHの含有量は、固体電解質被覆正極活物質粉末全体に対して0.75mass%、被覆層に対しては16.8mass%であり、放電容量の変化率は8%であった。
[実施例5]
水酸化リチウム水溶液の作成において、純水10gに水酸化リチウム・1水和物(LiOH・H2O)を0.6g添加したことを除き、実施例1と同じ条件で供試粉末を得た。
本実施例で得られた供試粉末のLiOHの含有量は、固体電解質被覆正極活物質粉末全体に対して0.95mass%、被覆層に対しては21.3mass%であり、放電容量の変化率は13%であった。
[実施例6]
水酸化リチウム水溶液の作成において、純水10gに水酸化リチウム・1水和物(LiOH・H2O)を0.8g添加したことを除き、実施例1と同じ条件で供試粉末を得た。
本実施例で得られた供試粉末のLiOHの含有量は、固体電解質被覆正極活物質粉末全体に対して1.50mass%、被覆層に対しては33.7mass%であり、放電容量の変化率は14%であった。
[実施例7]
LATPの被覆において、1リットルのガラス製ビーカーに、イソプロピルアルコール400gと、前記正極活物質原料粉Aを30g投入し、撹拌機を用いて撹拌した。温度は40℃に設定し、原料粉が沈殿しないように600rpmで撹拌を維持した。雰囲気中の炭酸ガスの吸収を防ぐ目的で、撹拌は窒素ガス雰囲気中で行った。この撹拌中の液に前記LATPコート液と水酸化リチウム水溶液を120分間かけて連続的に添加したことを除き、実施例1と同じ条件で供試粉末を得た。
本実施例で得られた供試粉末のLiOHの含有量は、固体電解質被覆正極活物質粉末全体に対して0.05mass%、被覆層に対しては1.1mass%であり、放電容量の変化率は15%であった。
[実施例8]
水酸化リチウム水溶液の作成において、純水10gに水酸化リチウム・1水和物(LiOH・H2O)を0.03g添加したことを除き、実施例1と同じ条件で供試粉末を得た。
本実施例で得られた供試粉末のLiOHの含有量は、固体電解質被覆正極活物質粉末全体に対して0.05mass%、被覆層に対しては2.20mass%であり、放電容量の変化率は6%であった。
[実施例9]
[原料粉末]
原料粉末として、実施例1で使用したものと同じものを準備した。
[LTOコート液の作成]
純水3gに、濃度30質量%の過酸化水素水41gを添加した過酸化水素水溶液を準備した。この過酸化水素水溶液へ、チタン粉末(和光純薬工業製)0.876gを添加したのち、更に、濃度28質量%のアンモニア水7gを添加し、十分に撹拌して黄色の透明溶液を得た。この溶液に水酸化リチウム・1水和物(LiOH・H2O)0.921gを添加し、完全に透明になるまで3時間撹拌を続け、LTOコート液を得た。
[水酸化リチウム水溶液の作成]
純水10gに水酸化リチウム・1水和物(LiOH・H2O)0.460gを添加した。
[LTOの被覆]
1リットルのガラス製ビーカーに、イソプロピルアルコール400gと、前記正極活物質原料粉Aを30g投入し、撹拌機を用いて撹拌した。温度は40℃に設定し、原料粉が沈殿しないように600rpmで撹拌を維持した。雰囲気中の炭酸ガスの吸収を防ぐ目的で、撹拌は窒素ガス雰囲気中で行った。この撹拌中の液に前記LTOコート液を120分間かけて連続的に添加した。添加終了後、この撹拌中の液に前記水酸化リチウム水溶液を10分間かけて連続的に添加した。
更に40℃で600rpmの撹拌を継続し、反応を進行させた。反応終了後、得られたスラリーを加圧濾過器に投入し、固液分離を行った。固形分として得られた粉体を、脱炭酸空気中で1時間かけて乾燥した。得られた乾燥粉体を空気中600℃で3時間焼成し、LTOで粒子表面が被覆された正極活物質粉体を得た。
またLTO被覆層の平均厚さは、BET値(比表面積)表面積をS(m2/g)、被覆層の密度をd(g/cm3)、正極活物質粉体に占める被覆層の質量割合をA(mass%)により上述の(3)式で計算した。
また、密度dは3.5g/cm3として計算した。
LTO被覆率は、XPSによる深さ方向分析で最表層から1nm深さまでのTiおよびMの合計原子数に占めるTiの合計原子数の平均割合「平均Ti原子比」を上述の(2)式で求めた。
前記原料粉末のBET値(比表面積)と使用したLTO原料から求めた供試粉末のLTO被覆層平均厚さは20nm、平均のLTO被覆率は80%であった。
本実施例で得られた供試粉末のLiOHの含有量は、固体電解質被覆正極活物質粉末全体に対して0.25mass%、被覆層に対しては4.7mass%であり、放電容量の変化率は9%であった。
[実施例10]
水酸化リチウム水溶液の作成において、純水10gに水酸化リチウム・1水和物(LiOH・H2O)を0.230g添加したことを除き、実施例1と同じ条件で供試粉末を得た。
本実施例で得られた供試粉末のLiOHの含有量は、固体電解質被覆正極活物質粉末全体に対して0.13mass%、被覆層に対しては4.7mass%であり、放電容量の変化率は8%であった。
[比較例4]
水酸化リチウム水溶液の作成を行わず、LTOの被覆において、水酸化リチウム水溶液の添加を行わなかったことを除き、実施例1と同じ条件で供試粉末を得た。
本比較例で得られた供試粉末を蒸留水中に浸漬したところ、Liの溶出は観察されなかった。
また、放電容量の変化率は27%であり、前記の実施例8についてのそれより劣っていた。
[参考例]
本実施例および参考例に供した原料粉末のコバルト酸リチウム(LiCoO2)粉体について、被覆を施さずに測定した放電容量の変化率は58%であった。
Figure 0006869113
表1からわかるように、上述の手法でLiOHを含むLATP被覆層またはLTO被覆層を形成した正極活物質粉体を用いた各実施例の全固体リチウムイオン二次電池では、当該被覆層を持たない正極活物質粉体を用いた比較例のものより、放電容量の変化率が顕著に減少した。
1 ポリエチレン製円筒
2 正極集電体
3 正極合材
4 硫化物系固体電解質
5 負極
6 負極集電体

Claims (9)

  1. Liと遷移金属Mの複合酸化物で構成されるリチウムイオン二次電池用正極活物質の粒子表面に、組成がmLi1+XAlTi2−X(PO・nLiOH、ただし0≦X≦0.5、または、p(Li2YTi10+Y)・qLiOH、ただし1≦Y≦2、で表される固体電解質の被覆層を有する固体電解質被覆正極活物質粉末であって、前記LiOHの含有量が0.05〜2.00mass%である固体電解質被覆正極活物質粉末。
    ここでmおよびnは、前記の被覆層中のLi 2Y Ti 10+Y およびLiOHの組成比がモル比でm:nであること、また、pおよびqは、前記の被覆層中のLi 2Y Ti 10+Y およびLiOHの組成比がモル比でp:qであることを意味する。
  2. Liと遷移金属Mの複合酸化物で構成されるリチウムイオン二次電池用正極活物質の粒子表面に、組成がmLi1+XAlTi2−X(PO・nLiOH、ただし0≦X≦0.5、または、p(Li2YTi10+Y)・qLiOH、ただし1≦Y≦2、で表される固体電解質の被覆層を有する固体電解質被覆正極活物質粉末であって、被覆層中の前記LiOHの含有量が1〜45mass%である固体電解質被覆正極活物質粉末。
    ここでmおよびnは、前記の被覆層中のLi 2Y Ti 10+Y およびLiOHの組成比がモル比でm:nであること、また、pおよびqは、前記の被覆層中のLi 2Y Ti 10+Y およびLiOHの組成比がモル比でp:qであることを意味する。
  3. XPSによる深さ方向分析で前記被覆層の最表面からエッチング深さ1nmまでのAl、Ti、M、Pの合計原子数に占めるAl、Ti、Pの合計原子数の平均割合で定義されるLATP被覆率、または、TiおよびMの合計原子数に占めるTiの原子数の平均割合で定義されるLTO被覆率が50%以上である、請求項1または2に記載の固体電解質被覆正極活物質粉末。
  4. 遷移金属Mが、Co、Ni、Mnの1種以上の元素である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質被覆正極活物質粉末。
  5. Li、Al、Ti、Pの各元素またはLi、Ti、Pの各元素が溶解している水溶液(A液という)と、Liおよび遷移金属Mを成分に持つ複合酸化物で構成されるリチウムイオン二次電池用正極活物質の粉末粒子が水溶性有機溶媒中または水溶性有機溶媒と水との混合媒体中に分散している液(B液という)、および水酸化Li水溶液(C液)を用意し、A液をB液中へ添加することにより、B液中の前記粉末粒子表面にLi、Al、Ti、PまたはLi、Ti、Pを被着させた後、A液とB液の混合溶液にC液を添加しLi、Al、Ti、PまたはLi、Ti、Pを被着させた粉末粒子にさらにLi化合物を被着させる工程、
    前記被着後の粉末粒子が含まれるスラリーを固液分離して固形分を回収する工程、
    前記固形分を酸素含有雰囲気中で焼成する工程、
    を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質被覆正極活物質粉末の製造方法。
  6. LiおよびTiの各元素またはTi元素が溶解している水溶液(A液という)と、Liおよび遷移金属Mを成分に持つ複合酸化物で構成されるリチウムイオン二次電池用正極活物質の粉末粒子が水溶性有機溶媒中または水溶性有機溶媒と水との混合媒体中に分散している液(B液という)、および水酸化Li水溶液(C液)を用意し、A液をB液中へ添加することにより、B液中の前記粉末粒子表面にLiおよびTi、PまたはTiを被着させた後、A液とB液の混合溶液にC液を添加しLiおよびTiまたはTiを被着させた粉末粒子にさらにLi化合物を被着させる工程、
    前記被着後の粉末粒子が含まれるスラリーを固液分離して固形分を回収する工程、
    前記固形分を酸素含有雰囲気中で焼成する工程、
    を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質被覆正極活物質粉末の製造方法。
  7. B液の水溶性有機溶媒が水溶性アルコールである請求項5または6に記載の固体電解質被覆正極活物質粉末の製造方法。
  8. 遷移金属Mが、Co、Ni、Mnの1種以上の元素である請求項5〜7のいずれか1項に記載の固体電解質被覆正極活物質粉末の製造方法。
  9. Liおよび遷移金属Mの複合酸化物で構成される正極活物質、固体電解質、および負極活物質を備える全固体リチウムイオン二次電池であって、前記の正極活物質として請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体電解質被覆正極活物質粉末を用いる全固体リチウムイオン二次電池。
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