JP6867743B2 - 抗ウイルス性を有する表面処理剤及び表面処理剤が塗布されている抗ウイルス性シート状物 - Google Patents

抗ウイルス性を有する表面処理剤及び表面処理剤が塗布されている抗ウイルス性シート状物 Download PDF

Info

Publication number
JP6867743B2
JP6867743B2 JP2014239937A JP2014239937A JP6867743B2 JP 6867743 B2 JP6867743 B2 JP 6867743B2 JP 2014239937 A JP2014239937 A JP 2014239937A JP 2014239937 A JP2014239937 A JP 2014239937A JP 6867743 B2 JP6867743 B2 JP 6867743B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antiviral
treatment agent
sulfonic acid
surface treatment
sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014239937A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016102072A (ja
Inventor
智大 小野
智大 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lonseal Corp
Original Assignee
Lonseal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=56088348&utm_source=***_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP6867743(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Lonseal Corp filed Critical Lonseal Corp
Priority to JP2014239937A priority Critical patent/JP6867743B2/ja
Publication of JP2016102072A publication Critical patent/JP2016102072A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6867743B2 publication Critical patent/JP6867743B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

抗ウイルス性を有する表面処理剤及び表面処理剤が塗布されている抗ウイルス性シート状物に関する。
重症呼吸器感染症(SARS)ウイルス、鳥インフルエンザウイルス、***ウイルス、新型インフルエンザウイルス等のウイルス病が次々と社会的問題となっている。
本来、ウイルスの宿主域は限定され、哺乳類に感染するものは哺乳類だけ、鳥類に感染するものは鳥類だけというのが通常である。しかし、鳥インフルエンザウイルスは、鳥類のみならず哺乳類にも感染することができる広い宿主域をもつウイルスであるため、ヒトに対して感染する恐れがある。昨今では、アジアやヨーロッパでもH5N1型鳥インフルエンザウイルスが蔓延し、それをベースに変異した強毒型インフルエンザの出現が危惧されている。最近では、耐性の高いノロウイルスや感染した際の死亡率の高いエボラウイルスが猛威をふるっており、ウイルスによるパンデミック(感染爆発)への備えのみならず、内装材等の建築材や日常品にまで抗ウイルス製品が期待されるようになってきている。
様々な建築材や日常品に簡易的に抗ウイルス性を付与する方法として無機系充填剤を添加した塗料を塗布する方法があり、特許文献1にはカルシウムおよび/またはマグネシウムの酸化物および/または水酸化物を含む抗ウイルス性成分と塗料樹脂成分を含有することを特徴とする抗ウイルス性塗料組成物が開示されている。そして、塗料樹脂成分(固形分)に対する抗ウイルス性成分の含有量は、50〜500質量%であることが好ましく、50質量%未満では抗ウイルス性の発現が困難となることが示されている。したがって、カルシウム酸化物、カルシウム水酸化物等を抗ウイルス性成分として用いる場合には、抗ウイルス性発現のためにこれらの無機系充填剤を比較的多量に添加する必要がある。
特開2007−106876号公報
このように、無機系充填剤を添加した塗料は抗ウイルス性の発現のために比較的多量の抗ウイルス性成分の添加が必要となり、この塗料は添加された抗ウイルス性成分である無機系充填材により透明性が低下し、さらに不透明となる場合もある。この様に塗料の透明性が低下すると、被塗装体である建築材等の外観が損なわれる。特に建築材や日常品はその表面に意匠性を付与している場合が多く、その意匠性を害することなく抗ウイルス性を付与することが求められる。
本発明は上記問題を解決するものであり、抗ウイルス性を有するとともに塗布された際に被塗装体の外観を損ねることがない、抗ウイルス性に優れ透明性を有する表面処理剤およびこれを塗布した被塗装体、特にシート・フィルム等の抗ウイルス性シート状物を提供することを目的とする。
前述の課題を解決するために本発明が用いた手段は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1つ以上の樹脂を分散質とするアニオン系水性樹脂エマルジョンにアルキルベンゼンスルホン酸系化合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系化合物、アルキルナフタレンスルホン酸系化合物、アルキル硫酸エステル系化合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル系化合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物系化合物から選ばれる少なくとも1つである被塗装体に抗ウイルス性を付与するためのスルホン酸系界面活性剤が添加された抗ウイルス性表面処理剤とすることであり、またアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1つ以上の樹脂を分散質とするアニオン系水性樹脂エマルジョンに被塗装体に抗ウイルス性を付与するためのスルホン酸系界面活性剤および水に不溶な充填剤が添加され、前記水性樹脂エマルジョンの固形分に対する前記充填剤の含有量が1〜10重量%であり、前記充填剤がシリカである抗ウイルス性表面処理剤とすることである。さらに、アニオン系水性樹脂エマルジョンの固形分とスルホン酸系界面活性剤の合計に対しスルホン酸系界面活性剤が1〜10重量%含有されている抗ウイルス性表面処理剤とすることが好ましい。また、シート状物の少なくとも片面に、前述した抗ウイルス性表面処理剤が塗布されて前記シート状物の表面に膜厚が1〜100μmである前記水性樹脂エマルジョンによる膜が形成されている抗ウイルス性シート状物である。

本発明によれば、抗ウイルス性に優れる抗ウイルス性表面処理剤を得ることができる。また、被塗装体に塗付された膜が透明性を有する抗ウイルス性表面処理剤を得ることができる。さらにシート状物に塗布することで抗ウイルス性および透明性を有するシート状物を得ることができる。
以下、本発明について詳細を説明する。
本発明の水性樹脂エマルジョンは分散質である樹脂が分散媒である水中に分散された物である。ここで分散媒である水にはアルコール等の親水性溶剤を含んでいてもよい。樹脂を水に分散させる方法には、界面活性剤を乳化剤として使用した強制乳化型と樹脂中に親水基を導入した自己乳化型がある。本発明においては強制乳化型および自己乳化型の両方を用いることができる。
また、分散した樹脂粒子がコロイドの範囲内にあるコロイダルディスパーションタイプと分散した樹脂粒子がコロイドの範囲を超えたエマルジョンタイプがある。本発明の水性樹脂エマルジョンには両方が含まれる。樹脂の高分子量化による耐汚染性付与、溶剤含有量が低いによるVOC低減の観点からエマルジョンタイプが好ましい。
ここで、水性樹脂エマルジョンにはスルホン酸系界面活性剤を添加するが、スルホン酸系界面活性剤はアニオン性である。したがって、水性樹脂エマルジョンもアニオン性であることが好ましい。水性樹脂エマルジョンがアニオン性であればアニオン性界面活性剤を添加しても安定した分散状態の抗ウイルス性表面処理剤を得ることができる。一方、カチオン性の水性樹脂エマルジョンを用いるとアニオン性のスルホン酸系界面活性剤の添加によりエマルジョンが破壊される場合がある。したがって、アニオン性の水性樹脂エマルジョンを用いることでより安定した抗ウイルス性表面処理剤を得ることができ好ましい。
水性樹脂エマルジョンに使用される樹脂としてアクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、スチレンアクリル系、ポリカーボネート系、エポキシ系、EVA系、酢ビ系、塩ビアクリル系等、一般的に使用されているものを用いることができる。これらの樹脂を混合して用いてもよい。
本発明に用いるスルホン酸系界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸系化合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系化合物、アルキルナフタレンスルホン酸系化合物、アルキル硫酸エステル系化合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル系、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物系化合物等が挙げられる。この中でも抗ウイルス性に優れるとの観点からアルキルベンゼンスルホン酸系化合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系化合物、アルキルナフタレンスルホン酸系化合物が好ましく、特に抗ウイルス性に優れるアルキルベンゼンスルホン酸系化合物がより好ましい。
本発明で用いるスルホン酸系界面活性剤において、スルホン酸基は例えばインフルエンザウイルスのノイライミダーゼとの親和性が高く、阻害作用を現すことができると想定している。また官能基の構造はノイライミダーゼへの接近に関して影響を示し、嵩高くなく立体障害を受け難い構造が重要となると考えられる。その点において、アルキルベンゼンスルホン酸系界面活性剤は好適であり、特にドデシルベンゼンスルホン酸が好ましい。
さらに、上記のスルホン酸系界面活性剤としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩等がある。抗ウイルス性に優れる点でアルカリ金属塩が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)がさらに好ましい。
また、複数のスルホン酸系界面活性剤を抗ウイルス性が阻害されない限りにおいて添加してもよく、その他の種類の界面活性剤を加えることも制限されない。
スルホン酸系界面活性剤の含有量は水性樹脂エマルジョンの固形分とスルホン酸系界面活性剤の合計に対し1〜10重量%とすることが好ましく、3〜7重量%とすることがより好ましい。1重量%未満では抗ウイルス性に乏しく、10重量%より多くなると耐汚染性が乏しくなる場合がある。
また、水性樹脂エマルジョンの媒体である水に不溶な充填剤を添加することができる。ここで、媒体は水のみに限られず、水と親水性溶剤の混合物であってもよい。すなわち、水性樹脂エマルジョンの水性媒体に対し不溶な充填剤を添加することができる。水に不溶な充填剤を添加することでスルホン酸系界面活性剤の添加量が低い場合でも高い抗ウイルス効果が期待できる。この様な水に不溶な充填剤は有機系および無機系の充填剤を用いることができる。水に不溶な有機系の充填剤として各種樹脂ペレットや架橋樹脂等が用いられる。特にアクリル系の架橋樹脂を好ましく用いることができる。また無機系の充填剤としてはシリカ、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレーなどがあげられる。透明性や艶消性の観点からシリカが好ましい。
水性樹脂エマルジョンの固形分に対する充填剤の含有量としては、1〜10重量%とすることが好ましく、3〜7重量%とすることがより好ましい。すなわち、充填剤を含む水性樹脂エマルジョンの固形分に対する充填剤の含有量が上記重量パーセントとすることが好ましい。充填剤が含有されることで抗ウイルス性の向上が図られるが、充填剤の添加量が増加すると耐汚染性や透明性が低下する。
水に不溶な充填剤を含有することで抗ウイルス性が向上する理由は現時点で以下のように想定している。充填剤を含む抗ウイルス性表面処理剤が塗布されると、被塗装体の表面で水性樹脂エマルジョンによる膜が形成される。この膜の表面には含有されている充填剤により微小な凹凸が形成される。この膜表面の微小な凹凸により膜とウイルスとの接触面積が大きくなる。また、この膜の表面に存在する充填剤にウイルスが吸着されスルホン酸系界面活性剤とウイルスとの接触機会が増大する。
したがって、本発明の水に不溶な充填剤は水性樹脂エマルジョンの媒体である水性媒体に分散され、被塗装体の表面で造膜した際に粒子として存在するような物質であれば良い。
本発明において、水に不溶な充填剤は水性樹脂エマルジョンの固形分に含まれ、スルホン酸系界面活性剤の添加量は水性樹脂エマルジョンの固形分に対して規定される。また、水性樹脂エマルジョンには、消泡材、レベリング剤、造膜助剤、湿潤剤、増粘剤、減粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、紫外線遮蔽剤、帯電防止剤、難燃剤、蛍光剤、抗菌、防カビ剤、難燃剤、防炎剤、pH調整剤等が添加されていてもよく、これらの固形分も含めて水性樹脂エマルジョンの固形分としている。
さらに、本発明の抗ウイルス性表面処理剤には、消泡材、レベリング剤、造膜助剤、湿潤剤、増粘剤、減粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、紫外線遮蔽剤、帯電防止剤、難燃剤、蛍光剤、架橋剤、抗菌、防カビ剤、難燃剤、防炎剤、pH調整剤等を適宜用いることができる。
本発明の抗ウイルス性表面処理剤は様々な物品の表面に塗布することができる。例えば、建築材、日用品、家具、防護服、マスク、フィルター等に用いることができる。ここで、フィルム、シート、レザー等のシート状物に抗ウイルス性表面処理剤を塗布することで様々な用途に用いることができて好ましい。
シート状物としては、特に制限はないが、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエステルなどのポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニルやエチレン‐塩化ビニル、プロピレン‐塩化ビニル共重合体、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル‐塩化ビニリデン共重合体などのポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などの合成樹脂製シート、紙、織布、不織布等の材料を用いることができる。
さらに前記シート状物の材料1種類以上からなる層を積層した多層としてもよく、各種樹脂発泡層、印刷層や着色層などの意匠層等の層を設けることで使用する用途や要求される物性に応じたシート状物を得ることができる。ここで、意匠層としては例示した印刷層、着色層以外にも視覚を通じて美観を起こさせるような層であればよい。
シート状物等の被塗装体に用いた素材に応じて水性樹脂エマルジョンの組成を選択することが好ましい。水性樹脂エマルジョンは被塗装体との密着性や耐久性を考慮して選択されることが好ましい。ここで、シート状物等の被塗装体がポリ塩化ビニル系樹脂で構成されている場合において、水性樹脂エマルジョンの樹脂はウレタン系、アクリル系、ウレタンアクリル系およびこれらの混合物を用いることが好ましい。
また、本発明の抗ウイルス性表面処理剤を塗付する被塗装体にも抗ウイルス性を付与することが好ましく、抗ウイルス性表面処理剤の層と合わせて抗ウイルス効果の持続性向上が期待できる。したがって、被塗装体をシート状物とする場合にはシート状物に抗ウイルス性を有する層を設けることが好ましい。そして、抗ウイルス性を有する層を樹脂で形成する場合、樹脂に抗ウイルス性を有する抗ウイルス剤を添加することができる。
例えば、シート状物を塩化ビニル系樹脂製シートとした場合、抗ウイルス剤としてはスルホン酸系界面活性剤が好適に用いられる。具体的にはアルキル硫酸エステル系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸系界面活性剤、アルキルナフタレンスルホン酸系界面活性剤、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル系界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物が挙げられる。抗ウイルス性の効果が高いことからアルキルベンゼンスルホン酸系界面活性剤が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸系界面活性剤がさらに好ましい。さらに、上記のスルホン酸系界面活性剤としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩を好適に用いることができる。
ポリ塩化ビニル系樹脂製シートを構成するポリ塩化ビニル系樹脂へのスルホン酸系界面活性剤の含有量はポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.1重量部〜10重量部が好ましい。またスルホン酸系界面活性剤を添加することで着色を起こす場合があることから、スルホン酸系界面活性剤が製造段階で予め添加されているペースト用塩化ビニル系樹脂をポリ塩化ビニル系樹脂の一部または全部として用いることで着色を解消することができる。
本発明の抗ウイルス性シート状物は、本発明の抗ウイルス性表面処理剤を、シート状物の表面に塗布して得る。抗ウイルス性表面処理剤は水性樹脂エマルジョンとスルホン酸系界面活性剤とをミキサー等で攪拌して得る。また、塗工後に抗ウイルス性表面処理剤を乾燥固化する必要がある。乾燥固化する条件として、例えば、オーブン等を用いて100〜150℃の温度で3〜5分加熱する方法が挙げられる。
塗工の膜厚としては1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。1μm未満では摩耗により抗ウイルス効果がなくなってしまい易く、100μmより厚いと乾燥時に部分的に発泡し外観を損ねるおそれがある。
水性樹脂エマルジョンとスルホン酸系界面活性剤とを攪拌するには、ディゾルバー式ミキサー、バタフライミキサー、万能撹拌機などを用いることができる。
抗ウイルス性表面処理剤をシート状物に塗工するには、ナイフコーティング、グラビアコーティング、ロールコーティング、バーコーティング、ダイコーティングなどを用いることができる。
塗工後に抗ウイルス性表面処理剤を乾燥固化するには、熱風乾燥炉、遠赤外線乾燥炉等を用いることができる。
抗ウイルス性シート状物の表層の上面にエンボス加工などによって絞を形成することができる。絞を形成することで、意匠のバリエーションが増やすことが可能である。
本発明の抗ウイルス性表面処理剤は各種のウイルスにおいて抗ウイルス性の効果が期待されるが、特にエンベロープを有するウイルスに対し高い抗ウイルス性を発現する。エンベロープを有するウイルスとしては、例えば鳥インフルエンザウイルス、人インフルエンザウイルス、豚インフルエンザウイルス等のイフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、RSウイルス、エボラウイルス等が挙げられる。
本発明を実施例によって、さらに詳しく説明するが本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例および比較例に使用した各配合剤の具体的な物質名は以下の通りである。
水性樹脂エマルジョンA−1:ウレタン系処理剤(アニオン性) 固形分33重量% シリカ固形分中3重量%
(商品名;ダイプラコート(登録商標) WF、大日精化工業社製)
水性樹脂エマルジョンA−2:ウレタン系処理剤(アニオン性) 固形分30重量%
(商品名;RS−2014、トクシキ社製)
水性樹脂エマルジョンA−3:ウレタン系処理剤(アニオン性) 固形分30重量% シリカ固形分中3.6量%
(商品名;RS−2014、トクシキ社製)
水性樹脂エマルジョンA−4:アクリル系処理剤(アニオン性) 固形分25.8重量%
(商品名;ピオリューム(登録商標)、コニシ社製)
スルホン酸系界面活性剤B−1:アルキルベンゼンスルホン酸Na 純度65%
(商品名;ネオペレックス(登録商標) G−65、花王社製)
カチオン系界面活性剤C−1:4級アンモニウム塩 純度50%
(商品名;アーカードCB−50、ライオン社製)
カチオン系界面活性剤C−2:4級アンモニウム塩 純度95%
(商品名;アーカード210−80E、ライオン社製)
焼成ドロマイトD−1:
(商品名;バリエールP−2、モチガセ社製)
架橋剤E−1:
(商品名;カルボジライト(登録商標)E−01、日清紡ケミカル社製)
表1に示した実施例及び比較例の配合物を万能撹拌器を用いて回転数1000rpmにて2分間混合し、抗ウイルス性表面処理剤を作製した。そして、この抗ウイルス性表面処理剤をシート状物として基布付き軟質PVCシートにバーコーターで塗布した。次に130℃のオーブンで4分間乾燥し抗ウイルス処理剤を固化し抗ウイルス性シート状物を得た。抗ウイルス性表面処理剤の膜厚は30μmであった。
<エマルジョン安定性>
表1に記載の実施例、比較例で作製した表面処理剤を混合後のエマルジョンの安定性を評価した。
○:1日静置後も安定している。
△:混合直後から1時間は安定している。
×:混合直後にエマルジョンが破壊され固形分が凝集している。
<抗ウイルス性>
被検ウイルスとして、鳥インフルエンザウイルスA/whistling swan/Shimane/499/83(H5N3)株を使用した。(以下、H5N3株という)。
H5N3株を滅菌リン酸緩衝食塩液(PBS;pH7.2)で1.0×10EID50/0.1mLになるように希釈して試験用ウイルス液を調製した。
表1に記載の実施例及び比較例で作製したシート状物5cm×5cmを、シャーレに置き、シート状物表面に、試験用ウイルス液を0.22ml載せ、その上に4cm×4cmポリエチレンフィルムを被せ、シャーレに蓋をし、20℃に設定したインキュベーター内で1時間静置した。1時間後、シート状物表面のウイルス液を採取し、前記PBSで10倍段階希釈し、希釈したウイルス液を10日齢発育鶏卵の漿尿膜腔内に注射針を用いて0.1mL接種した。
接種後、発育鶏卵を37℃で2日間培養した後、漿尿膜腔でのウイルス増殖の有無を赤血球凝集試験により判定し、Reed&Muenchの方法によってウイルス力価(log10EID50/0.1ml )を算出した。
またブランクとして試験前(シート状物に接触させる前)の試験用ウイルス液のウイルス力価(log10EID50/0.1ml )も上記手順で算出し、シート状物の抗ウイルス性は試験前のウイルス液のウイルス力価からシート状物に接触させて1時間後のウイルス液のウイルス力価を引いた差で評価した。この差が大きいほどシート状物の抗ウイルス性が強いことを示す。
○:ウイルス力価(試験前)とウイルス力価(1時間後)の差が3以上 抗ウイルス効果が高い
△:ウイルス力価(試験前)とウイルス力価(1時間後)の差が1以上3未満 抗ウイルス効果を有する
×:ウイルス力価(試験前)とウイルス力価(1時間後)の差が1未満 抗ウイルス効果が低い
<透明性>
表1に記載の実施例及び比較例で作製したシート状物の透明性を目視にて評価した。
○:透明。
△:若干透明性に欠けるが使用上問題ないレベル。
×:不透明。
<耐汚染性>
JIS K 3920に記載のスネルカプセルテスターに標準ゴムブロックを6個入れ、シート状物の表面層がゴムブロックと接触する向きにセットして50rpmの回転数で正転5分・反転5分を5サイクル回転させたあと、シート状物を取り出してヒールマークの付着の程度を観察し、汚れ性を評価した。さらに汚染面を乾いた布で拭いた後のヒールマークの付着の程度から清掃性を評価した。汚れ性と清掃性の両面から耐汚染性を評価した。
汚れ性
I:ほとんど付着なし(わずかに付着が認められる程度)
II:付着があるが目立たない
III:付着あり
清掃性
I:汚れの除去が可能(清掃後、汚れが目立たない)
II:一部の汚れが除去しにくい(清掃後、目に付く汚れがある)
III:多くの汚れが除去しにくい
Figure 0006867743
実施例1〜7と比較例1及び5を比べるとスルホン酸塩系界面活性剤を含有することで抗ウイルス性が付与されていることがわかる。
実施例1〜7と比較例2及び3を比べるとスルホン酸塩系界面活性剤を用いることでエマルジョンが安定していることがわかる。
実施例1〜7と比較例4を比べるとスルホン酸塩系界面活性剤を用いることで透明性を有していること外観に優れることがわかる。
本発明によれば、接触したウイルスのウイルス力価を迅速に低減してウイルスを不活化させる外観の優れたシート状物を提供できることから、さまざまな日常品や建築物や乗り物等に好適である。特に、病院、オフィス、老建施設、学校等の公共施設、バス、電車などの一度に多くの人が集まりウイルスの感染リスクが高い場所に適している。

Claims (5)

  1. アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1つ以上の樹脂を分散質とするアニオン系水性樹脂エマルジョンにアルキルベンゼンスルホン酸系化合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系化合物、アルキルナフタレンスルホン酸系化合物、アルキル硫酸エステル系化合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル系化合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物系化合物から選ばれる少なくとも1つである被塗装体に抗ウイルス性を付与するためのスルホン酸系界面活性剤が添加された抗ウイルス性表面処理剤。
  2. アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1つ以上の樹脂を分散質とするアニオン系水性樹脂エマルジョンに被塗装体に抗ウイルス性を付与するためのスルホン酸系界面活性剤および水に不溶な充填剤が添加され、前記水性樹脂エマルジョンの固形分に対する前記充填剤の含有量が1〜10重量%であり、前記充填剤がシリカである抗ウイルス性表面処理剤。
  3. 前記アニオン系水性樹脂エマルジョンの分散質がウレタン系樹脂である請求項1または請求項2に記載の抗ウイルス性表面処理剤。
  4. 前記アニオン系水性樹脂エマルジョンの固形分と前記スルホン酸系界面活性剤の合計に対し前記スルホン酸系界面活性剤が1〜10重量%含有されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の抗ウイルス性表面処理剤。
  5. シート状物の少なくとも片面に、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の抗ウイルス性表面処理剤が塗布されて前記シート状物の表面に膜厚が1〜100μmである前記水性樹脂エマルジョンによる膜が形成されている抗ウイルス性シート状物。
JP2014239937A 2014-11-27 2014-11-27 抗ウイルス性を有する表面処理剤及び表面処理剤が塗布されている抗ウイルス性シート状物 Active JP6867743B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014239937A JP6867743B2 (ja) 2014-11-27 2014-11-27 抗ウイルス性を有する表面処理剤及び表面処理剤が塗布されている抗ウイルス性シート状物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014239937A JP6867743B2 (ja) 2014-11-27 2014-11-27 抗ウイルス性を有する表面処理剤及び表面処理剤が塗布されている抗ウイルス性シート状物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016102072A JP2016102072A (ja) 2016-06-02
JP6867743B2 true JP6867743B2 (ja) 2021-05-12

Family

ID=56088348

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014239937A Active JP6867743B2 (ja) 2014-11-27 2014-11-27 抗ウイルス性を有する表面処理剤及び表面処理剤が塗布されている抗ウイルス性シート状物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6867743B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018235816A1 (ja) * 2017-06-21 2018-12-27 中国塗料株式会社 光硬化性樹脂組成物、硬化被膜、硬化被膜付き基材、これらの製造方法およびウイルス不活化方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4950583B2 (ja) * 2006-07-28 2012-06-13 大日精化工業株式会社 抗菌性樹脂組成物及びその製造方法、抗菌性樹脂成形品、並びに抗菌性物品
MX2009003766A (es) * 2006-10-10 2009-07-10 Michael Lynch Metodos para inactivar virus.
US10563153B2 (en) * 2010-05-20 2020-02-18 Ecolab Usa Inc. Rheology modified low foaming liquid antimicrobial compositions and methods of use thereof
JP5614804B2 (ja) * 2010-09-29 2014-10-29 ユニチカ株式会社 抗ウイルス剤担持シート及びその製造方法
WO2014132607A1 (ja) * 2013-02-27 2014-09-04 パナソニック株式会社 酸化チタン粒子分散液、コーティング剤組成物及び抗菌・抗ウイルス性部材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016102072A (ja) 2016-06-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20160030993A (ko) 항바이러스성 염화비닐계 수지 조성물, 항바이러스성 염화비닐계 수지제 시트, 및 그 제조 방법, 내장 시트, 내장 시트의 제조 방법, 폴리염화비닐계 수지제 내장 시트, 항바이러스성 벽지, 및 항바이러스성 벽지의 제조 방법
JP6608534B2 (ja) 印刷特性に優れる装飾材用インク収容層組成物、装飾材および装飾材の製造方法
JP6762759B2 (ja) 抗ウイルス性を有する表面処理剤及び表面処理剤が塗布されている抗ウイルス性シート状物
CN104470995B (zh) 掺有一种或更多种抗菌生物表面活性剂的水性涂料和油漆、及其使用方法
JP2010168578A (ja) 抗ウイルス性塗料および抗ウイルス性塗料が塗布乾燥された部材
JP6867743B2 (ja) 抗ウイルス性を有する表面処理剤及び表面処理剤が塗布されている抗ウイルス性シート状物
KR960004473A (ko) 수성 에어로졸 코팅조성물 및 그 제조방법
JP6837732B2 (ja) 抗ウイルス性成形材料及びその製造方法
JP6912165B2 (ja) 抗ウイルス剤を添加した抗ウイルス性合成樹脂組成物
JP6182386B2 (ja) 抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂壁紙および製造方法
JP2011088965A (ja) 抗ウイルス性を有するポリ塩化ビニル系樹脂製シート
JP6436563B2 (ja) 抗ウイルス性内装シート
JP2024034272A (ja) 抗ウイルス性シート状物
JPH0463095B2 (ja)
JP6436562B2 (ja) 抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂組成物および抗ウイルス性塩化ビニル系樹脂製シートならびに製造方法
CN105625663A (zh) 墙基布及其制备方法
JP6433647B2 (ja) 抗ウイルス性内装シート
JP6892199B2 (ja) 抗ウイルス性内装シート
JP4372893B2 (ja) 壁装用シートの製造方法
JP6246512B2 (ja) 抗ウイルス性壁紙
JP2010065101A (ja) 装飾用粘着シート
JP2022128898A (ja) 水系塗料組成物、被膜および被膜付基材
JP6228423B2 (ja) 抗ウイルス性内装シート
JP7158797B2 (ja) 壁紙
US11433695B2 (en) Ink-receiving layer composition having excellent printing characteristics for decorative member, decorative member, and method for manufacturing decorative member

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171013

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180620

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180703

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181211

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190207

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190313

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190613

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20190613

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20190701

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20190702

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20190823

C211 Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C211

Effective date: 20190827

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20200225

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20200413

C13 Notice of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C13

Effective date: 20200622

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200821

C13 Notice of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C13

Effective date: 20201117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210115

C23 Notice of termination of proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C23

Effective date: 20210310

C03 Trial/appeal decision taken

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C03

Effective date: 20210409

C30A Notification sent

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C3012

Effective date: 20210409

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210409

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6867743

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250