以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。但し、第2実施形態以降において、第1実施形態と同一又は類似の構成要素は、第1実施形態と同一又は類似の符号で表し、詳細な説明を適宜省略する。また、第2実施形態以降の実施形態において得られる効果について、第1実施形態と同様のものについては説明を適宜省略する。各実施形態の図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
<第1実施形態>
まず、図1及び図2を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る集合素子の製造方法を用いて製造される水晶振動子1について説明する。図1は、水晶振動子の構成を概略的に示す分解斜視図である。図2は、図1に示した水晶振動子のII−II線に沿った断面の構成を概略的に示す断面図である。なお、図中に示した第1方向D1、第2方向D2、及び第3方向D3は、それぞれ互いに直交する方向である。但し、それぞれ互いに交差する方向であればこれに限定されるものではなく、互いに90°以外の角度で交差する方向であってもよい。
本発明の第1実施形態は、圧電振動子に備えられる圧電振動素子の製造に適用可能である。つまり、第1実施形態において基板が有する素子領域とは、圧電振動素子を形成することが可能な領域に相当し、集合素子は、圧電振動素子の集合体に相当する。以下の説明において、圧電振動子の一例として、水晶振動素子(Quartz Crystal Resonator)を備えた水晶振動子(Quartz Crystal Resonator Unit)を例に挙げて説明する。水晶振動素子は、印加電圧に応じて振動する基板片として水晶片(Quartz Crystal Blank)を利用するものである。圧電振動子は水晶振動子に限定されるものではなく、セラミック等の他の圧電体を利用するものであってもよい。但し、本発明の第1実施形態は、基板の高精度の位置決めが必要な複数の加工工程を経て1つの基板の中に互いに連結した複数の素子を形成する集合素子の製造方法ではあれば、水晶振動素子等の圧電振動素子への適用に限定されるものではない。
図1に示すように、水晶振動子1は、水晶振動素子10と、蓋部材20と、ベース部材30と、接合部材40と、を備える。ベース部材30及び蓋部材20は、水晶振動素子10を収容するための保持器である。ここで図示した例では、蓋部材20は凹状、具体的には開口部を有する箱状、をなしており、ベース部材30は平板状をなしている。蓋部材20及びベース部材30の形状は、上記に限定されるものではなく、例えばベース部材が凹状をなしていてもよく、蓋部材及びベース部材の両方が互いに対向する側に開口部を有する凹状であってもよい。
水晶振動素子10は、薄片状の水晶片11を有する。水晶片11は、互いに対向する第1主面12a及び第2主面12bを有する。水晶片11は、例えば、ATカット型の水晶片(Quartz Crystal Blank)である。ATカット型の水晶片は、人工水晶をX軸及びZ´軸によって特定される面と平行な面(以下、「XZ´面」と呼ぶ。他の軸又は他の方向によって特定される面についても同様である。)を主面として切り出されたものである。なお、X軸、Y軸、Z軸は、人工水晶の結晶軸であり、Y´軸及びZ´軸は、それぞれ、Y軸及びZ軸をX軸の周りにY軸からZ軸の方向に35度15分±1分30秒回転させた軸である。つまり、ATカット型の水晶片11において、第1主面12a及び第2主面12bは、それぞれXZ´面に相当する。なお、水晶片のカット角度は、ATカット以外の異なるカット(例えばBTカットなど)を適用してもよい。
ATカット型の水晶片11は、X軸方向に平行な長辺が延在する長辺方向と、Z´軸方向に平行な短辺が延在する短辺方向と、Y´軸方向に平行な厚さが延在する厚さ方向を有する。水晶片11は、第1主面12aの法線方向から平面視したときの外形が矩形状をなしており、中央に位置し励振に寄与する励振部17と、X軸の負方向側で励振部17と隣り合う周縁部18と、X軸の正方向側で励振部17と隣り合う周縁部19と、を有している。励振部17と周縁部19との間には段差13が設けられている。水晶片11は、励振部17が周縁部18,19よりも厚いメサ型構造である。但し、水晶片11の外形は矩形状に限定されるものではなく、例えば、第1主面12aの法線方向から平面視したときに、一対の平行な両腕部と、両腕部を連結する連結部と、を有する音叉型であってもよい。また、水晶片11の厚さ方向における形状はメサ型構造に限定されるものではなく、X軸方向及びZ´軸方向の厚みが略均一な平板構造であってもよく、励振部17が周縁部18,19よりも薄い逆メサ型構造であってもよい。また、励振部17と周縁部18,19との厚みの変化が連続的に変化するコンベックス形状又はベヘル形状であってもよい。
図1及び図2に示した例では、水晶振動素子10は、X軸が第1方向D1と平行であり、Z´軸が第2方向D2と平行であり、Y´軸が第3方向D3と平行となるように配置されている。
水晶振動素子10は、一対の電極を構成する第1励振電極14a及び第2励振電極14bを有する。第1励振電極14aは、励振部17の第1主面12aに設けられている。また、第2励振電極14bは、励振部17の第2主面12bに設けられている。第1主面12aは、ベース部材30と対向する側とは反対側に位置し、第2主面12bは、ベース部材30と対向する側に位置している。第1励振電極14aと第2励振電極14bは、水晶片11を挟んで互いに対向して設けられている。第1励振電極14aと第2励振電極14bとは、XZ´面において略全体が重なり合うように配置されている。第1励振電極14a及び第2励振電極14bは、それぞれ、X軸方向に平行な長辺と、Z´軸方向に平行な短辺と、Y´軸方向に平行な厚さ方向の辺とを有している。
水晶振動素子10は、一対の引出電極15a及び15bと、一対の接続電極16a及び16bと、を有する。接続電極16aは、引出電極15aを介して第1励振電極14aと電気的に接続されている。また、接続電極16bは、引出電極15bを介して第2励振電極14bと電気的に接続されている。接続電極16a及び16bは、それぞれ、第1励振電極14a及び第2励振電極14bをベース部材30に電気的に接続するための端子である。
引出電極15aは第1主面12aに設けられ、引出電極15bは第2主面12bに設けられている。接続電極16aは、周縁部18の第1主面12aから第2主面12bに亘って設けられ、接続電極16bは、周縁部18の第2主面12bから第1主面12aに亘って設けられている。第1励振電極14a、引出電極15a、及び接続電極16aは連続しており、例えば同じ製造工程によって同時に形成される。第2励振電極14b、引出電極15b、及び接続電極16bも同様である。
第1励振電極14a及び第2励振電極14bの材料は、特に限定されるものではないが、例えば、下地層として水晶片11に接する側にクロム(Cr)層を有し、表層として下地層よりも水晶片11から遠い側に金(Au)層を有している。下地層に酸素との反応性が高い金属層を設けることで水晶片と励振電極との密着力が向上し、表層に酸素との反応性が低い金属層を設けることで励振電極の劣化が抑制され電気的信頼性が向上する。
蓋部材20は、凹状をなしており、ベース部材30の第1主面32aに向かって開口した箱状である。蓋部材20は、ベース部材30に接合されて蓋部材20及びベース部材30に囲まれた内部空間26を設け、この内部空間26に水晶振動素子10を収容する。蓋部材20は、水晶振動素子10を収容することができればその形状は特に限定されるものではなく、一例では、天面部21の主面の法線方向から平面視したときに矩形状をなしている。
図2に示すように、蓋部材20は、内面24及び外面25を有している。内面24は、内部空間26側の面であり、外面25は、内面24とは反対側の面である。蓋部材20は、ベース部材30の第1主面32aに対向する天面部21と、天面部21の外縁に接続されており且つ天面部21の主面に対して交差する方向に延在する側壁部22と、を有する。また、蓋部材20は、凹状の開口端部(側壁部22のベース部材30に近い側の端部)においてベース部材30の第1主面32aに対向する対向面23を有する。この対向面23は、水晶振動素子10の周囲を囲むように枠状に延在している。
ベース部材30は、水晶振動素子10を励振可能に保持するものである。ベース部材30は平板状をなしている。ベース部材30は、第1方向D1方向に平行な長辺と、第2方向D2に平行な短辺と、第3方向D3に平行な厚さ方向の辺とを有する。
ベース部材30は基体31を有する。基体31は、互いに対向する第1主面32a(表面)及び第2主面32b(裏面)を有する。基体31は、例えば絶縁性セラミック(アルミナ)などの焼結材である。
ベース部材30は、第1主面32aに設けられた電極パッド33a,33bと、第2主面32bに設けられた外部電極35a,35b,35c,35dと、を有する。電極パッド33a,33bは、ベース部材30と水晶振動素子10とを電気的に接続するための端子である。また、外部電極35a,35b,35c,35dは、図示しない回路基板と水晶振動子1とを電気的に接続するための端子である。電極パッド33aは、第3方向D3に延在するビア電極34aを介して外部電極35aに電気的に接続され、電極パッド33bは、第3方向D3に延在するビア電極34bを介して外部電極35bに電気的に接続されている。ビア電極34a,34bは基体31を第3方向D3に貫通するビアホール内に形成される。
導電性保持部材36a,36bは、ベース部材30の一対の電極パッド33a,33bに、水晶振動素子10の一対の接続電極16a及び16bをそれぞれ電気的に接続している。また、導電性保持部材36a,36bは、ベース部材30の第1主面32aに水晶振動素子10を励振可能に保持している。導電性保持部材36a,36bは、例えば、熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂等を含む導電性接着剤によって形成されており、ベース部材と水晶振動素子との間隔を保つためのフィラー、導電性保持部材に導電性を与えるための導電性粒子、等の添加剤を含んでいる。
ベース部材30の第1主面32aには、封止部材37が設けられている。図1に示す例では、封止部材37は、第1主面32aの法線方向から平面視したときに矩形の枠状をなしている。第1主面32aの法線方向から平面視したときに、電極パッド33a,33bは、封止部材37の内側に配置されており、封止部材37は水晶振動素子10を囲むように設けられている。封止部材37は、導電材料により構成されている。例えば、封止部材37を電極パッド33a,33bと同じ材料で構成することで、電極パッド33a,33bを設ける工程で同時に封止部材37を設けることができる。
蓋部材20及びベース部材30の両者が封止部材37及び接合部材40を挟んで接合されることによって、水晶振動素子10が、蓋部材20とベース部材30とによって囲まれた内部空間(キャビティ)26に封止される。この場合、内部空間26は、気圧が大気圧力よりも低圧な真空状態であることが好ましく、これによれば、第1励振電極14a及び第2励振電極14bの酸化による水晶振動子1の周波数特性の経時的な変動などが低減できる。
接合部材40は、例えば、蓋部材20及びベース部材30の各全周に亘って設けられている。具体的には、接合部材40は封止部材37上に設けられ、矩形の枠状に形成されている。封止部材37及び接合部材40は、蓋部材20の側壁部22の対向面23と、ベース部材30の第1主面32aとの間に挟まれる。つまり、蓋部材20及びベース部材30は、封止部材37及び接合部材40を挟んで接合される。
水晶振動子1は、ベース部材30の外部電極35a,35bを介して、水晶振動素子10を構成する第1励振電極14a及び第2励振電極14bの間に交番電界が印加される。これにより、厚みすべり振動モードなどの所定の振動モードによって水晶片11が振動し、該振動に伴う共振特性が得られる。
次に、図3及び図4を参照しつつ、第1実施形態に係る集合素子の製造方法について説明する。図3は、第1実施形態に係る水晶振動素子の集合素子の製造方法を示すフローチャートである。図4は、第1実施形態に係る水晶振動素子の集合素子の製造装置の構成を概略的に示す図である。
なお、水晶片は基板片に相当し、水晶振動素子は素子に相当し、集合素子は水晶振動素子が連結部を介して互いに連結した集合体に相当する。つまり、第1実施形態に係る集合素子とは、図1及び図2に図示した水晶振動素子10の製造過程における個片化前の集合体に相当し、集合素子から切り離して個片化した水晶振動素子10をベース部材30に実装し蓋部材20で封止することによって水晶振動子1が製造される。以下の説明では、上記と共通の事柄についての記述を省略する。特に、同様の構成による同様の作用効果については特に言及しない。
まず、水晶基板を準備する(S11)。水晶基板は、人工水晶の単結晶からXZ´面が主面となるように切り出された板状の部材であり、いわゆる水晶ウエハである。なお、水晶基板は、水晶片を設けることが可能な素子領域を複数有し、水晶振動素子の集合素子を形成することができれば、水晶ウエハに限定されるものではない。例えば、水晶基板は、水晶ウエハから切り分けられた板状の部材であってもよい。水晶基板は、例えば化学機械研磨等の研磨処理によって、水晶基板の表面を平坦化してもよい。厚みすべり振動モードの水晶振動素子は、水晶片の厚みの大きさが圧電振動素子としての周波数特性に大きな影響を与えるため、狙いの周波数特性を実現できるように、本工程の研磨処理によって水晶基板の厚みを調整してもよい。
次に、第1コート工程を実施する(S12)。以下の説明において、第1コート工程を「第1コート工程S12」と呼ぶ(他の工程についても同様とする)。第1コート工程S12では、水晶基板の主面上に金属層及びフォトレジスト層を設ける。次に、第1パターニング工程を実施する(S13)。第1パターニング工程S13では、フォトリソグラフィによって第1パターン及び基準面パターンが転写されたフォトレジスト層をエッチングレジストとし、水晶基板の一部をエッチング加工によって除去する。これにより、複数の第1パターンを水晶基板に付与するとともに、少なくとも2つの交差する方向に延在する基準面を水晶基板に設ける。第1パターンは、互いに連結する複数の水晶片の外形を形成するための外形パターン、すなわち所定のパターンに相当する。外形パターンは、水晶基板の主面の法線方向から平面視したときの連結する水晶片の形状を描画したものである。当該基準面は、水晶基板の主面の法線方向から平面視したときに主面を囲む外周面の一部となる。
次に、第2コート工程を実施する(S14)。第2コート工程S14においても、水晶基板の主面上に金属層及びフォトレジスト層を設ける。次に、第1アライメント工程を実施する(S15)。なお、アライメント工程とは、水晶基板のステージに対する位置決め工程に相当する。第1アライメント工程S15では、水晶基板の基準面をステージの載置面から突出した受け部に接触させることで、水晶基板の位置決めを実施する。次に、第2パターニング工程を実施する(S16)。第2パターニング工程S16では、フォトリソグラフィによって第2パターンが転写されたフォトレジスト層をエッチングレジストとし、水晶基板の一部をエッチング加工によって除去する。これにより、複数の第2パターンを水晶基板に付与する。第2パターンは、複数の素子領域の厚さを部分的に変化させてメサ形状に加工するための厚み形状パターンに相当する。なお、第1パターニング工程S13及び第2パターニング工程S16は、それぞれ、水晶基板の一部を除去する除去加工に相当する。除去加工は、水晶基板の任意の部分を除去できる加工方法であればエッチング加工に限定されるものではなく、例えばレーザ加工等であってもよい。
ハーフトーンエッチング等の手法を利用することによって、連結する水晶片の外形を形成すると同時に、素子領域の厚さを部分的に変化させて連結する水晶片をメサ形状等に加工してもよい。このような場合、所定のパターンは、連結する水晶片の外形を形成するための外形パターンと、連結する水晶片の厚さを部分的に変化させるための厚み形状パターンとの組合せに相当する。
次に、第3コート工程を実施する(S17)。第3コート工程S17においても、水晶基板の主面上に金属層及びフォトレジスト層を設ける。次に、第2アライメント工程を実施する(S18)。第2アライメント工程S18においても、第1アライメント工程S15を同様に水晶基板の位置決めを実施する。次に、第3パターニング工程を実施する(S19)。第3パターニング工程S19では、フォトリソグラフィによって第3パターンが転写されたフォトレジスト層をエッチングレジストとし、金属層をエッチング加工する。これにより、水晶基板に第3パターンの金属層を設ける。この水晶基板上に設けた金属層は、水晶振動素子の励振電極、接続電極、等に相当し、第3パターンは、電極パターンに相当する。つまり、第3パターニング工程S19は、電極を設ける工程に相当する。但し、第3パターニング工程S19は、エッチング工程によるパターン成形に限定されるものではない。例えば、第3パターンが転写されたフォトレジスト層及び水晶片の上に金属層を設け、フォトレジスト層を除去する際にフォトレジスト層上の金属層も同時に除去し水晶片上に直接設けられた金属層だけを残す、いわゆるリフトオフによるパターン成形であってもよい。
上記の第2コート工程S14から第2パターニング工程S16は水晶基板の複数の素子領域を加工する工程の一例に相当し、上記の第3コート工程S17から第3パターニング工程S19は複数の素子領域を加工する工程の他の一例に相当する。第1コート工程S12及び第1パターニング工程S13についての詳細な説明は、図5〜図8を参照して後述する。第2コート工程S14から第2パターニング工程S16による加工工程についての詳細な説明は、図9及び図10を参照して後述する。第3コート工程S17から第3パターニング工程S19による加工工程についての詳細な説明は、図11を参照して後述する。
各工程の詳細な説明の前に、図4を参照しつつ、第1実施形態に係る集合素子の製造方法において用いられる製造装置100について説明する。図4は、第1実施形態に係る水晶振動素子の集合素子の製造装置の構成を概略的に示す図である。
製造装置100は、第1システム101、第2システム102、及び第3システム103を備えている。第1システム101は、水晶基板をエッチング加工して、互いに連結した複数の水晶片の外形を形成する装置である。第2システム102は、水晶基板をエッチング加工して、複数の素子領域の厚さを部分的に変化させる装置である。第3システム103は、エッチング加工によって複数の素子領域に電極を設ける装置である。第1システム101、第2システム102、及び第3システム103は、それぞれフォトリソグラフィ装置を備えている。なお、第2システム102及び第3システム103は、第1システム101による水晶基板の加工跡に対して精度よく加工位置を合わせる必要がある加工装置であれば、フォトリソグラフィ装置に限定されない。
第1システム101は、第1ステージ151及び第1光源171を備え、第1マスク161を交換可能に備えている。第1ステージ151、第1光源171、及び第1マスク161は、第1パターニング工程S13において用いられる露光装置の一部である。なお図示を省略しているが、第1システム101は、金属層を真空蒸着やスパッタリングによって成膜する成膜装置、第1フォトレジスト層をスピンコート法やスプレーコート法によって塗工する塗工装置、第1フォトレジスト層を固化させる乾燥炉、露光された第1フォトレジスト層を現像するための現像装置、水晶基板をエッチング加工するエッチング装置、等を備えている。これらの図示しない装置については、一般的な装置を利用可能であり、詳細な説明は省略する。
第1ステージ151は、平坦な載置面151Aを有している。載置面151Aには、第1システム101が露光する水晶基板が載置される。第1マスク161は、載置面151A上に載置された水晶基板と対向するように配置される。第1マスク161は、複数の第1パターンPT1、及び少なくとも2つの基準面パターンAP11及び基準面パターンAP12が描画されている。基準面パターンAP11及び基準面パターンAP12を総称して基準面パターンAP1と呼称する。第1マスク161は、第1マスク161の第1パターンPT1が水晶基板の複数の素子領域に対向し、基準面パターンAP1が水晶基板の外縁を横断するように配置される。第1パターンPT1は、互いに連結した複数の水晶片の外形を、エッチング加工によって水晶基板に付与するためのパターンである。水晶片の外形とは、水晶基板の主面の法線方向から平面視したときの水晶片の形状に相当する。また、基準面パターンAP1は、エッチング加工によって水晶基板にガイド部を形成するための基準パターンに相当する。基準面パターンAP11の長手方向及び基準面パターンAP12の長手方向は、互いに直交している。但し、基準面パターンAP11及び基準面パターンAP12の延在方向はこれに限定されるものではなく、互いに90°以外の方向で交差してもよい。第1光源171は、第1マスク161を通して載置面151A上の水晶基板に光を照射し、第1フォトレジスト層に第1マスク161の第1パターンPT1及び基準面パターンAP1を転写可能であれば、その構成については特に限定されない。
第2システム102は、第2ステージ152及び第2光源172を備え、第2マスク162を交換可能に備えている。第2ステージ152、第2光源172、及び第2マスク162は、第1アライメント工程S15及び第2パターニング工程S16において用いられる露光装置の一部である。なお、第1システム101と同様、第2システム102も、図示及び説明を省略する成膜装置、塗工装置、乾燥炉、現像装置、エッチング装置、等を備えている。
第2ステージ152は、平坦な載置面152Aと、載置面152Aから突出した第1受け部ST11及び第2受け部ST12とを有している。第1受け部ST11及び第2受け部ST12を総称して受け部ST1と呼称する。受け部ST1は、第2ステージ152のストッパに相当する。載置面152Aには、第2システム102が露光する水晶基板が載置される。受け部ST1は、水晶基板の外縁を規定する側面(外周面)の一部である基準面に接触することで、水晶基板に転写された第1パターンと、第2マスク162が有する第2パターンとの位置関係を決める。つまり、受け部ST1は、水晶基板と接触する接触面を有している。第1受け部ST11及び第2受け部ST12は、互いに異なる方向が長手となっており、それぞれの接触面は、それぞれの長手方向に延在している。例えば、第1受け部ST11及び第2受け部ST12のそれぞれの接触面は、直交する方向に延在している。なお、第1受け部ST11及び第2受け部ST12のそれぞれの接触面は、互いに90°以外の角度で交差する方向に延在してもよい。
第2マスク162は、載置面152A上に載置される水晶基板に対向するように配置される。第2マスク162は、第2パターンPT2が描画されている。第2マスク162の第2パターンPT2は、複数の素子領域、すなわち複数の水晶片の外形に対向するように設けられている。第2パターンPT2は、エッチングによって水晶基板の厚みを部分的に変化させ、素子領域に水晶片の厚さ方向の形状を付与するためのパターンである。第2光源172は、第1光源171と同様に、第2フォトレジスト層に第2パターンPT2を転写可能であれば、その構成については特に限定されない。
第3システム103は、第3ステージ153及び第3光源173を備え、第3マスク163を交換可能に備えている。第3ステージ153、第3光源173、及び第3マスク163は、第2アライメント工程S18及び第3パターニング工程S19において用いられる露光装置の一部である。なお、第1システム101と同様、第3システム103も、図示及び説明を省略する成膜装置、塗工装置、乾燥炉、現像装置、エッチング装置、等を備えている。
第3ステージ153は、平坦な載置面153Aと、載置面153Aから突出した複数の第3受け部ST21及び第4受け部ST22とを有している。第3受け部ST21及び第4受け部ST22を総称して受け部ST2と呼称する。受け部ST2は、第3ステージ153のストッパに相当する。載置面153Aには、第3システム103が露光する水晶基板が載置される。受け部ST2は、受け部ST1と同様の構成であり、例えば、第3受け部ST21及び第4受け部ST22のそれぞれの接触面は直交する方向に延在しているが、90°以外の角度で交差する方向に延在してもよい。
第3マスク163は、載置面153A上に載置される水晶基板に対向するように配置される。第3マスク163は、第3パターンPT3が描画されている。第3マスク163の第3パターンPT3は、複数の素子領域、すなわち複数の水晶片の外形に対向するように設けられている。第3パターンPT3は、励振電極等の電極パターンをパターン成形するためのパターンである。なお、電極パターンのパターン成形は、エッチング又はリフトオフのいずれの方法であってもよい。第3光源173は、第1光源171と同様に、第3フォトレジスト層に第3パターンPT3を転写可能であれば、その構成については特に限定されない。
製造装置100は、複数の光源(第1光源171、第2光源172、及び第3光源173)を有しているが、第1システム101、第2システム102、及び第3システム103において同じ光源を共有してもよい。また、第1ステージ151、第2ステージ152、及び第3ステージ153も、共有のステージを用いてもよい。製造装置100が第1システム101、第2システム102及び第3システム103で共有ステージを用いる場合、例えば、受け部ST1及び受け部ST2を着脱可能に設けてもよい。つまり、共有ステージは、第1ステージ151として用いる場合に受け部を取り外し、第2ステージ152として用いる場合に受け部ST1を取り付けられてもよい。他の構成例としては、受け部ST1及び受け部ST2は、共有ステージの載置面からの高さが制御可能であってもよい。つまり、共有ステージは、第1ステージ151として用いられる場合に受け部を引込め、第2ステージ152として用いられる場合に受け部ST1を突出させてもよい。共有ステージを備えるような構成によれば、製造装置100を小型化することができる。反対に製造装置100が複数の光源(第1光源171、第2光源172、及び第3光源173)及び複数のステージ(第1ステージ151、第2ステージ152、及び第3ステージ153)を有する場合には、第1システム101、及び第2システム102、及び第3システム103における製造工程を並列処理することが可能となり、製造能力を向上させることができる。
次に、図5〜図8を参照しつつ、第1コート工程S12及び第1パターニング工程S13の詳細について説明する。図5は、水晶基板に、複数の水晶片の面方向における形状を付与し、同時に基準面を設ける工程を示すフローチャートである。図6は、第1マスクを通して第1フォトレジストを露光する工程を概略的に示す図である。図7は、第1フォトレジスト層を現像する工程を概略的に示す図である。図8は、第1パターニング工程が終了した段階における基板を概略的に示す図である。
まず、水晶基板110上に第1金属層121A及び第1金属層121Bを設ける(S121)。図6に示すように、第1金属層121A及び第1金属層121Bが水晶基板110を挟むように、第1金属層121Aが水晶基板110の一方の主面上に設けられ、第1金属層121Bが他方の主面上に設けられる。第1金属層121A及び第1金属層121Bの成膜方法は特に限定されず、例えば蒸着法やスパッタ法等の乾式めっき(ドライプロセス)によって設けられてもよく、電解めっき等の湿式めっき(ウェットプロセス)によって設けられてもよい。第1金属層121A及び第1金属層121Bは、水晶基板をエッチングする際に用いられるエッチング液(例えば、フッ化アンモニウムあるいは緩衝フッ酸)に対する耐蝕膜として機能し、エッチングの加工精度を向上させる。このような耐蝕膜としては、例えば、クロム(Cr)層と金(Au)層とを有する多層膜が用いられる。Cr層は、第1金属層121A及び第1金属層121Bの水晶基板に対する密着力を確保する下地層として機能する。また、Au層は、第1金属層121A及び第1金属層121Bの耐蝕性を確保する最表層として機能する。
次に、第1金属層121A及び第1金属層121B上に第1フォトレジスト層131A及び第1フォトレジスト層131Bを設ける(S122)。図6に示すように、第1フォトレジスト層131A及び第1フォトレジスト層131Bが水晶基板110を挟むように、一方の第1フォトレジスト層131Aが一方の第1金属層121Aの上に設けられ、他方の第1フォトレジスト層131Bが他方の第1金属層121Bの上に設けられる。第1フォトレジスト層131A及び第1フォトレジスト層131Bは、それぞれ、フォトレジスト材料を含むフォトレジスト溶液を第1金属層121A及び121Bの上に塗工し、加熱により溶媒を揮発させることで成膜される。フォトレジスト溶液の塗工方法は特に限定されず、例えばスピンコート法やスプレーコート法によって塗工される。第1フォトレジスト層131A及び第1フォトレジスト層131Bは、感光性樹脂であれば特に限定されるものではないが、現像して得られるパターンの加工精度の観点から、露光された部分の溶解性が高くなるポジ型の感光性樹脂によって設けられることが望ましい。
次に、第1ステージ151に水晶基板110を載置する(S131)。図6に示すように、一方の第1フォトレジスト層131Aを露光する際には、第1ステージ151の載置面151Aと他方の第1フォトレジスト層131Bとが対向するように、水晶基板110を載置面151A上に載置する。逆に他方の第1フォトレジスト層131Bを露光する際には、第1ステージ151の載置面151Aと一方の第1フォトレジスト層131Aとが対向するように、水晶基板110を載置面151A上に載置する。
次に、第1マスク161Aを通して第1フォトレジスト層131Aを露光する(S132)。第1マスク161Aは遮光性を有し、一方の第1フォトレジスト層131Aに転写する第1パターンPT1及び基準面パターンAP1が開口部として描画されている。光源171からの出射光は、第1マスク161Aの第1パターンPT1及び基準面パターンAP1に基づいた開口部を透過し、開口部以外の領域で遮光される。なお、図示を省略しているが、他方の第1フォトレジスト層131Bには、水晶基板110を対称面として一方の第1フォトレジスト層131Aに転写されたのと対称な第1パターンPT1及び基準面パターンAP1が転写される。他方の第1フォトレジスト層131Bを露光する際には、他方の第1マスク161Bが用いられる。他方の第1マスク161Bに描画されたパターンは、一方の第1マスク161Aに描画されたパターンの鏡面構造である。
次に、第1フォトレジスト層131A及び第1フォトレジスト層131Bを現像する(S133)。第1フォトレジスト層131A及び第1フォトレジスト層131Bがポジ型の感光性樹脂の場合、第1フォトレジスト層131A及び第1フォトレジスト層131Bを現像液に浸し、露光された部分を除去する。これにより、図7に示すように、一方の第1金属層121Aは、露光工程S132において一方の第1マスク161Aの開口部に対向していた部分が露出する。また、他方の第1金属層121Bは、露光工程S132において他方の第1マスク161Bの開口部に対向していた部分が露出する。つまり、第1フォトレジスト層131A及び第1フォトレジスト層131Bの素子領域111と重なる部分に第1パターンPT1が転写され、第1パターンPT1から離れる部分に基準面パターンAP1が転写される。
次に、水晶基板110に水晶片の面方向の形状パターン及び基準面AS1をエッチングする(S134)。面方向の形状パターンとは、水晶基板110の主面の法線方向から平面視したときの、水晶片の外形のパターンである。本工程S134では、まず、第1パターンPT1及び基準面パターンAP1に基づいて露出した第1金属層121A及び121Bをエッチング加工する。これにより、水晶基板110の一部が露出する。次に、水晶基板110の露出した部分を貫通するようにエッチング加工する。水晶基板110は、両主面側から同時にエッチング加工されることで、一方の主面側からエッチング加工する場合と比べて加工速度及び加工精度を向上させることができる。これによって、図8に示すように、水晶基板110において、複数の素子領域111に水晶片の外形パターンが付与されると同時に、交差する方向に延在する第1基準面AS11及び第2基準面AS12が素子領域111から離れる部分に設けられる。第1基準面AS11及び第2基準面AS12を総称して基準面AS1と呼称する。基準面AS1は、水晶基板110のガイド部に相当する。基準面AS1は、水晶基板110の主面の法線方向から平面視したとき、水晶基板110の外縁の一部を規定している。また、第1基準面AS11及び第2基準面AS12は、角度θ1で交差する方向に延在している。角度θ1は、90°である。但し、角度θ1はこれに限定されるものではなく、90°以外の角度であってもよい。
第1金属層121A及び第1金属層121Bは、例えば、セリウム系のエッチング溶液を用いたCr層のウェットエッチング、及びヨウ素系のエッチング溶液を用いたAu層のウェットエッチングによって加工される。水晶基板110は、例えば、フッ酸系のエッチング溶液を用いたウェットエッチングによって加工される。
次に、第1フォトレジスト層131A及び第1フォトレジスト層131Bを除去する(S135)。水晶基板110のエッチングが終了した段階では、水晶基板110の両主面に第1フォトレジスト層131A及び第1フォトレジスト層131Bが残っている。この第1フォトレジスト層131A及び第1フォトレジスト層131Bの残渣を溶剤等によって除去し、水晶基板110の両主面を露出させる。
次に、図9及び図10を参照しつつ、加工工程の一例として素子領域111を平板状からメサ型構造へ加工する工程について説明する。図9は、水晶片の厚さ方向における形状をパターン成形する工程を示すフローチャートである。図10は、第2ステージに対する水晶基板の位置決めを概略的に示す図である。なお、本工程は、素子領域111の厚さ方向の形状を変化させるものであれば特に限定されるものではなく、逆メサ型、コンベックス型、ベヘル型、等への加工であってもよい。
図9に示すように、まずは水晶基板110上に第2金属層を設ける(S141)。次に、第2金属層上に第2フォトレジスト層を設ける(S142)。これらの工程S141及び工程S142は、それぞれ、上記の工程S121及び工程S122と同様である。
次に、第2ステージ152に水晶基板110を載置する(S151)。このとき、図10に示すように、水晶基板110は、第2ステージ152の載置面152A上において載置面152Aと平行な方向にスライドできるように載置される。また、水晶基板110は、第1基準面AS11が第2ステージ152の一方の第1受け部ST11と対向し、且つ第2基準面AS12が第2ステージ152の他方の第2受け部ST12と対向するように載置される。
次に、水晶基板110の基準面AS1を第2ステージ152の受け部ST1に接触させる(S152)。図10に示すように、第1受け部ST11及び第2受け部ST12の水晶基板110に接触する接触面は、載置面152Aの法線方向から平面視したとき、角度θ2で交差する方向に延在している。受け部ST1の接触面の角度θ2は、水晶基板110の基準面AS1の角度θ1と略等しい。水晶基板110の第1基準面AS11を第2ステージ152の一方の第1受け部ST11に接触させ、且つ水晶基板110の第2基準面AS12を第2ステージ152の他方の第2受け部ST12に接触させる。これにより、第2ステージ152に対する水晶基板110の位置が定まる。
次に、第2マスク162を通して第2フォトレジスト層を露光する(S161)。次に、第2フォトレジスト層を現像する(S162)。第2フォトレジスト層は、複数の素子領域111と重なる部分に、第1パターンとは異なる第2パターンが転写される。このとき、第2フォトレジスト層には、新たな基準面パターンが転写されてもよい。次に、水晶基板110に水晶片の厚さ方向の形状パターンをエッチングする(S163)。第2フォトレジスト層の第2パターンに基づき、水晶基板110がその両主面から貫通しないようにエッチング加工され、素子領域111の厚さが部分的に変化する。次に、第2フォトレジスト層を除去する(S164)。これらの工程S161、工程S162、工程S163、及び工程S164は、それぞれ、上記の工程S132、工程S133、工程S134、及び工程S135と同様である。
次に、図11を参照しつつ、加工工程の一例として素子領域111への電極の形成について説明する。図11は、水晶片に電極をパターン形成する工程を示すフローチャートである。なお、ここでは電極の形成方法としてフォトリソグラフィによるエッチングレジストを用いてエッチングするパターン成形を例に挙げて説明する。電極の形成方法はこれに限定されるものではなく、リフトオフ工法を用いたパターン成形であってもよい。
まず、水晶基板110上に第3金属層を設ける(S171)。次に第3金属層上に第3フォトレジスト層を設ける(S172)。これらの工程S171及びS172は、それぞれ、上記の工程S121及び工程S122と同様である。
次に、第3ステージ153に水晶基板110を載置する(S181)。次に水晶基板110の基準面AS1を第3ステージ153の受け部ST2に接触させる(S182)。これらの工程S181及びS182は、上記の工程S151及び工程S152と同様である。
次に、第3マスク163を通して第3フォトレジスト層を露光する(S191)。次に、第3フォトレジスト層を現像する(S192)。第3フォトレジスト層は、複数の素子領域111と重なる部分に、第1パターン及び第2パターンとは異なる第3パターンが転写される。次に、第3金属層に電極パターンをエッチングする(S193)。第3フォトレジスト層の第3パターンに基づき、第3金属層の一部をエッチング加工し、励振電極等をパターン成形する。次に、第3フォトレジスト層を除去する(S194)。これらの工程S191、工程S192、工程S193、及び工程S194は、それぞれ、上記の工程S132、工程S133、工程S134、及び工程S135と同様である。
上記の工程を経ることで、水晶基板110は互いに連結した複数の水晶振動素子を有する集合素子へと加工される。この後、水晶振動素子を集合素子の連結部から切り離して個片化する(以下、個片化工程と呼ぶ。)。そして、個片化した水晶振動素子をベース部材にマウントし、蓋部によって封止することで水晶振動子へと加工する。なお、個片化工程は、複数の素子領域111を加工する工程に相当し、第2パターニング工程S16及び第3パターニング工程S19と同様に、基準面を受け部に接触させることで水晶基板(集合素子)の位置決めを行ってもよい。
<第2実施形態>
次に、図12を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る集合素子の製造方法について説明する。図12は、本発明の第2実施形態に係る水晶振動素子の集合素子の製造工程における、第2ステージに対する水晶基板の位置決めを概略的に示す図である。図12に示した工程は、図10に示した第1実施形態の工程S152に相当する。なお、水晶基板210の位置決め工程以外の工程は、第1実施形態で説明した工程と同様である。
第2実施形態に係る集合素子の製造方法は、水晶基板210に基準面ではなく第1基準孔AH11及び第2基準孔AH12を設け、第1基準孔AH11及び第2基準孔AH12のそれぞれに第1突出部PJ11及び第2突出部PJ12を挿入する点で、第1実施形態に係る集合素子の製造方法と相違している。第1基準孔AH11及び第2基準孔AH12を総称して基準孔AH1と呼称する。第1突出部PJ11及び第2突出部PJ12を総称して突出部PJ1と呼称する。基準孔AH1は水晶基板210のガイド部に相当し、突出部PJ1は第2ステージ252のストッパに相当する。
具体的には、第2ステージ252は、第2ステージ252の載置面252Aから突出する第1突出部PJ11及び第2突出部PJ12を備えている。載置面252Aの法線方向から平面視したとき、第1突出部PJ11は水晶基板210と接触する第1接触面に囲まれ、第2突出部PJ12は水晶基板210と接触する第2接触面に囲まれている。図12に示した例では、載置面252Aの法線方向から平面視したとき、第1突出部PJ11及び第2突出部PJ12は互いに異なる大きさであり、第1突出部PJ11は、第2突出部PJ12よりも大きい。また、第1突出部PJ11及び第2突出部PJ12は類似の形状であり、それぞれ円形状である。なお、第1突出部PJ11及び第2突出部PJ12は、互いに形状が異なっていてもよく、互いに大きさが略等しくてもよい。
水晶基板210は、素子領域211に水晶片の外形がエッチングによって付与されると同時に、第1基準孔AH11及び第2基準孔AH12が設けられる。水晶基板210の主面の法線方向から平面視したとき、第1基準孔AH11及び第2基準孔AH12は、水晶基板210の主面に囲まれるように設けられた貫通孔であり、互いに異なる形状である。また、第1基準孔AH11は、第2基準孔AH12よりも小さい。第1基準孔AH11は円形状であり、第2基準孔AH12は長円形状である。なお、第1基準孔AH11及び第2基準孔AH12は、互いに形状が略同じでもよく、互いに大きさが略等しくてもよい
なお、第2基準孔AH12の長円形状の伸びる方向が、第1基準孔AH11と第2基準孔AH12とを結ぶ方向に平行である。第1基準孔AH11は、第1突出部PJ11に対するクリアランスが等方的となるように設けられている。第2基準孔AH12は、第2突出部PJ12に対するクリアランスが第2基準孔AH12の伸び方向で大きく、伸び方向と直交する方向で小さくなるように設けられている。これによって、第1突出部PJ11と第2突起部P12のピッチ変動が、第2基準孔AH12の長円の伸び方向のクリアランスによって吸収できる。また、第1突出部PJ11を中心とした水晶基板210の回転変位は、小さく設定された第2基準孔AH12のクリアランス寸法内で拘束される。つまり、まず第1基準孔AH11に第1突出部PJ11を挿入することで水晶基板210の並進変位を拘束し、次に第2基準孔AH12に第2突出部PJ12を挿入することで水晶基板210の回転変位を拘束する。これにより、水晶基板210の第2ステージ252に対する位置決めを実施することができる。
基準孔AH1は、水晶基板210を貫通している構成を示した。しかし、これに限定されるものではなく、基準孔AH1に代えて、水晶基板210の一方の主面から、水晶基板210の厚さよりも浅い深さの凹部を有する基準溝であってもよい。また、図12に示した水晶基板210は、中央部の複数の素子領域211に水晶片の外形パターンが付与され、複数の素子領域211よりも外側に基準孔AH1が設けられている。しかし、素子領域211と基準孔AH1の位置はこれに限定されるものではなく、基準孔AH1の一部が、複数の素子領域211に囲まれるように設けられる構成を用いることができる。
突出部PJ1の数は、平面視して円形形状が2つ設けられている構成が望ましい。しかし、突出部PJ1の数は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。また、突出部PJ1の形状も、ステージ252の載置面252Aの法線方向から平面視したときに円形状に限定されるものではなく、楕円形状、多角形状およびそれらを組み合わせた形状、もしくは、十字状やL字状によって構成できる。
ストッパは、第1実施形態で示した受け部と、第2実施形態で示した突出部との組合せであってもよい。そして、ガイド部は、第1実施形態に示した基準面と、第2実施形態に示した基準孔との組み合わせであってもよい。その場合、ステージは、少なくとも1つの受け部と、少なくとも1つの突出部とを有し、水晶基板は、少なくとも1つの基準面と、少なくとも1つの基準孔とを有する。そして、アライメント工程では、例えば、基準面を受け部に当接させた状態で水晶基板を載置面と平行な方向にスライドさせ、基準孔に突出部が挿入可能な位置を探し、基準孔に突出部を挿入することで、水晶基板のステージに対する位置を決めることができる。
<変形例>
次に、図13を参照しつつ、本発明の一態様を利用して形成される水晶振動素子の変形例について説明する。図13は、水晶振動素子の変形例の構成を概略的に示す斜視図である。本変形例に係る水晶振動素子910は、音叉型水晶振動素子である点で、図1に示した第1実施形態に係る水晶振動子1における水晶振動素子10と相違している。
具体的には、水晶片911が互いに平行に配置された2つの音叉腕部919a,919bを有する。音叉腕部919a,919bは、Y軸方向に延在し、X軸方向に並び、端面912c側の連結部919cで互いに連結されている。音叉腕部919aでは、XY面に平行であり互いに対向する一対の主面にそれぞれ励振電極914bが設けられ、当該一対の主面と交差し互いに対向する一対の側端面にそれぞれ励振電極914aが設けられている。音叉腕部919bでは、一対の主面にそれぞれ励振電極914aが設けられ、一対の側端面にそれぞれ励振電極914bが設けられている。なお、圧電振動素子910の構成は特に限定されるものではなく、音叉腕部の形状や励振電極の配置などが異なっていてもよい。
以上のように、本発明の一態様によれば、複数の素子領域111を有する基板110を準備する工程と、フォトリソグラフィによって複数の素子領域111と重なる部分に所定のパターンPT1が転写され且つ所定のパターンPT1から離れる部分に基準パターンが転写されたフォトレジスト層131A,131Bを設ける工程と、フォトレジスト層131A,131Bの所定のパターンPT1に基づいて基板110の一部を除去加工して互いに連結した複数の基板片の外形を形成するとともに、基準パターンに基づいて基板110の一部を除去加工してガイド部を形成する工程と、複数の素子領域111を加工する工程とを含み、複数の素子領域111を加工する工程は、基板110をステージ152の載置面152Aに載置し、載置面152Aから突出したストッパにガイド部を接触させることによって、基板110をステージ152に対して位置決めする工程を含む集合素子の製造方法が提供される。
上記態様によれば、位置決め工程において、撮像装置を用いたアライメントマークの撮影及び画像処理を行う必要がなく、基板のガイド部をステージのストッパに接触させるだけでよいため、集合素子の製造工程を簡略化することができる。また、アライメントマークを撮影するための撮像装置や、画像処理のための計算機等が不要であるため、集合素子の製造装置を小型化することができる。また、集合素子の製造工程に要する時間を短縮することができ、集合素子の製造装置を低廉化することができるため、集合素子の製造コストを抑制することができる。
ガイド部は、基板110の主面の法線方向から平面視したときに、基板110の外縁を規定するとともに互いに交差する方向に延在する、第1基準面AS11及び第2基準面AS12を有してもよい。これによれば、基板のステージに対する位置を容易に決めることができる。
第1基準面AS11及び第2基準面AS12は、基板110の主面の法線方向から平面視したときに、互いに直交する方向に延在してもよい。
位置決め工程は、基板110を載置面152Aに載置した後、基板110を載置面152Aと平行な方向にスライドさせ、第1基準面AS11及び第2基準面AS12をそれぞれストッパST1に当接させることによって実施されてもよい。これによれば、基板のステージに対する位置を容易に決めることができる。
ガイド部は、基板210の主面の法線方向から平面視したときに、基板210の内側に位置する第1基準孔AH11を有してもよい。これによれば、基板のステージに対する位置を容易に決めることができる。
位置決め工程は、第1基準孔AH11にストッパを挿入することを含んでもよい。これによれば、基板を載せたステージを動かした際に基板の位置がずれることを抑制することができる。
ガイド部は、基板210の主面の法線方向から平面視したときに、基板210の内側に位置するとともに第1基準孔AH11とは異なる形状又は大きさからなる第2基準孔AH12をさらに有してもよい。これによれば、ストッパである突出部を本来挿入するべき基準孔とは別の基準孔に挿入し、基板がステージに対して誤った方向で位置決めされる事態を防ぐことができる。
複数の素子領域111を加工する工程は、除去加工によって複数の基板片の厚さ方向における形状を付与することを含んでもよい。これによれば、素子領域の厚さを部分的に変化させてメサ型形状等に加工する工程を、容易かつ精度よく実施することができる。
複数の素子領域111を形成する工程は、電極を設けることを含んでもよい。これによれば、例えば、水晶基板に形成された複数の水晶片に対して、励振電極等の電極パターンを設ける工程を、容易かつ精度よく実施することができる。
複数の素子領域111を加工する工程は、互いに連結した複数の素子を連結部から切り離して個片化することを含んでもよい。これによれば、素子の個片化工程を、容易かつ精度よく実施することができる。
本発明の別の一態様によれば、複数の素子領域を有する基板110を加工して互いに連結した複数の素子を形成する集合素子の製造装置100であって、基板110を載置する載置面152Aを有するステージ152と、ステージ152の載置面152Aから突出したストッパとを備え、基板110は、基板110の一部を除去加工して形成されたガイド部を有し、基板110がステージ152の載置面152Aに載置されたとき、ストッパに基板110のガイド部が接触することによって、基板110がステージ152に対して位置決めされる集合素子の製造装置が提供される。
上記態様によれば、位置決め工程において、例えば、撮像装置を用いたアライメントマークの撮影及び画像処理を行う必要がなく、基板のガイド部をステージのストッパに接触させることによって位置決めを行うことができるため、集合素子の製造工程を簡略化することができる。また、アライメントマークを撮影するための撮像装置や、画像処理のための計算機等が不要であるため、集合素子の製造装置を小型化することができる。また、集合素子の製造工程に要する時間を短縮することができる。さらに、集合素子の製造装置を低廉化することができるため、集合素子の製造コストを抑制することができる。
ストッパは、載置面152Aの法線方向から平面視したとき、互いに交差する方向に延在する第1接触面及び第2接触面を有してもよい。これによれば、基板のステージに対する位置を容易に決めることができる。
第1接触面及び第2接触面は、載置面152Aの法線方向から平面視したとき、互いに直交する方向に延在してもよい。
ストッパは、第1突出部PJ11を有してもよい。これによれば、基板のステージに対する位置を容易に決めることができる。
ストッパは、載置面252Aの法線方向から平面視したとき、第1突出部PJ11とは異なる形状又は大きさからなる第2突出部PJ12をさらに有してもよい。これによれば、ストッパである突出部を本来挿入するべき基準孔とは別の基準孔に挿入し、基板がステージに対して誤った方向で位置決めされる事態を防ぐことができる。
基板110を露光する露光装置をさらに備え、露光装置が、基板110と対向するフォトレジスト層131A,131Bにおいて、複数の素子領域111と重なる部分に互いに連結した複数の基板片の外形を形成するための所定のパターンPT1を転写するとともに、少なくとも2つのガイド部を形成するための基準パターンを所定のパターンPT1から離れる部分に転写してもよい。これによれば、基板片の外形の付与と同時にガイド部を形成することができる。
以上説明したように、本発明の一態様によれば、製造工程の簡略化を図ることが可能な集合素子の製造方法及び製造装置を提供することが可能となる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。