JP6867177B2 - 光学用ブロック共重合体 - Google Patents

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Description

本発明は、光学用ブロック共重合体及びそれを用いた光学フィルムに関する。
アクリル系樹脂は透明性が高く、光学用材料、特に光学フィルム用材料として従来から使用されている。中でも主鎖に環構造を有するアクリル系樹脂は、透明性を維持したまま耐熱性を高めることが可能である(特許文献1など)。しかし、耐熱性を高めることにより樹脂自体は硬脆くなり、フィルム加工時に耐折強度などの機械特性が低下する傾向がある。例えば、特許文献2は、主鎖にグルタルイミドを有するアクリル系樹脂の可撓性が不足することを指摘している。そこで特許文献2では、当該アクリル系樹脂の可撓性不足を改善するために、アクリル酸エステル重合体ブロック(B1)とメタクリル酸エステル重合体ブロック(B2)から構成されるブロック共重合体を配合している。このアクリル酸エステル重合体ブロック(B1)がソフトセグメントとして可撓性改善に貢献し、具体的にはアクリル酸ブチル重合体ブロックが使用されている。
特許文献3では、メタクリル樹脂の機械的特性を改善する目的で、メタクリル酸エステル重合体ブロック(b1)とアクリル酸エステル重合体ブロック(b2)とを有するブロック共重合体が該メタクリル樹脂に添加されている。そして前記アクリル酸エステル重合体ブロック(b2)がソフトセグメントとして可撓性改善に貢献し、具体的にはアクリル酸ブチル重合体ブロックが使用されている。
特開2006−171464号公報 特開2016−71218号公報 WO2014/073216号公報
しかし、前記ブロック共重合体は可撓性改善に効果がある一方で、ゲル化物を生じるという不具合を有していた。従って本発明の課題は、可撓性改善に効果があるだけでなく、ゲル化物の発生が少ないブロック共重合体を提供すること、及びそれを用いた光学フィルム、偏光板、画像表示装置などを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ハードセグメント及びソフトセグメントの両方にアルキルメタクリレート由来の単位を含ませ、かつ、共重合体のガラス転移温度を適切な範囲に制御することで、ゲル化物の発生を抑制できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の発明を含む。
[1]重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体であって、ガラス転移温度を80℃以上と80℃未満に有し、かつ前記重合体ブロック(A)及び(B)のいずれもがアルキルメタクリレート由来の単位を有している光学用ブロック共重合体。
[2]前記重合体ブロック(A)が、アルキルメタクリレート由来の単位を、重合体ブロック(A)100質量部中、30質量部以上含むブロックであり、前記重合体ブロック(B)が、アルキル基の炭素数が1又は2であるアルキルメタクリレート由来の単位を、重合体(B)100質量部中、50質量部以上含むブロックである[1]に記載の光学用ブロック共重合体。
[3]前記重合体ブロック(A)が、アルキル基の炭素数が1又は2であるアルキルメタクリレート由来の単位を、重合体ブロック(A)100質量部中、30質量部以上含み、さらにアルキル基の炭素数が3以上であるアルキルアクリレート由来の単位を含む[1]又は[2]に記載の光学用ブロック共重合体。
[4]前記重合体ブロック(A)が、アルキル基の炭素数が3以上であるアルキルメタクリレート由来の単位を、重合体ブロック(A)100質量部中、30質量部以上含む[1]又は[2]に記載の光学用ブロック共重合体。
[5]重量平均分子量(Mw)が10万以上であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.0である[1]〜[4]のいずれかに記載の光学用ブロック共重合体。
[6]ガラス転移温度を−30〜35℃の範囲に有する[1]〜[5]のいずれかに記載の光学用ブロック共重合体。
[7]アクリル酸エステル由来の単位が、全単量体単位100質量部中、30質量部以下である[1]〜[6]のいずれかに記載の光学用ブロック共重合体。
[8]温度240℃、絶対圧5kPa以下で、1時間加熱した後の大きさ3.0μm以上のクロロホルム不溶性成分が、ブロック共重合体中、1.0質量%以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の光学用ブロック共重合体。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の光学用ブロック共重合体を含む光学用樹脂組成物。
[10][9]に記載の樹脂組成物から形成される光学フィルム。
[11]厚みが400μm以下である[10]に記載の光学フィルム。
[12][10]又は[11]に記載の光学フィルムと偏光子とを有する偏光板。
[13][12]に記載の偏光板を備える画像表示装置。
本発明のブロック共重合体によれば、ハードセグメント及びソフトセグメントの両方がアルキルメタクリレート由来の構成単位を有し、かつ所定のガラス転移温度を有しているため、ゲル化物の発生を抑制できる。
(1)ブロック共重合体(C)
本発明では前記ブロック共重合体(C)が、光学用(好ましくは光学フィルム用)に用いられるものであり、低温側のガラス転移温度(80℃未満。以下「低Tg特性」という場合がある)と高温側のガラス転移温度(80℃以上。以下「高Tg特性」という場合がある)とを有する点に特徴がある。ブロック共重合体(C)が低Tg特性と高Tg特性とを有するため、該ブロック共重合体(C)を含む樹脂組成物の成形体の可撓性を確保することが可能である。
低温側のガラス転移温度は、80℃未満、好ましくは35℃以下、より好ましくは25℃以下、さらに好ましくは10℃以下、よりいっそう好ましくは5℃以下であり、例えば、−40℃以上、好ましくは−30℃以上、より好ましくは−20℃以上である。また高温側のガラス転移温度は、80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上であり、例えば160℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下である。
(1.1)重合体ブロック(A)
前記ブロック共重合体(C)は、少なくとも重合体ブロック(A)(以下、「ソフトセグメント(A)」と称する場合がある)と重合体ブロック(B)(以下、「ハードセグメント(B)」と称する場合がある)とを有しており、これらを有することによって前記低Tg特性と高Tg特性とを示すことが可能となる。
ソフトセグメント(A)となる重合体ブロック(A)は、アルキルメタクリレート由来の単位を有しており、該アルキルメタクリレートの単独重合体ブロックであってもよく、共重合体ブロックであってもよい。前記低Tg特性と高Tg特性とを併せ持つブロック共重合体にはゲル化物が発生しやすい場合が多いものの、ソフトセグメント(A)と後述するハードセグメント(B)とはいずれもアルキルメタクリレート由来の単位を有するため、ゲル化物の発生を抑制することができる。ソフトセグメント(A)を構成する全単位100質量部中、アルキルメタクリレート単位の量は、例えば、30質量部以上、好ましくは50質量部以上であり、例えば、100質量部以下、好ましくは90質量部以下である。
前記アルキルメタクリレートとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ペンタデシルが好ましい。これらアルキルメタクリレートは単独で用いても、適宜組み合わせてもよいが、製造のし易さの観点から単独で用いるのが好ましい。
前記アルキルメタクリレートにおけるアルキル基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは8以下である。前記アルキルメタクリレートにおけるアルキル基の炭素数は、1〜3であってもよい。
ソフトセグメント(A)において、前記アルキルメタクリレートと共重合体可能な成分には、アルキルアクリレートが含まれる。
前記アルキルアクリレートとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ペンタデシルが好ましい。これらアルキルアクリレートは単独で用いても、適宜組み合わせてもよいが、製造のし易さの観点から単独で用いるのが好ましい。
前記アルキルアクリレートにおけるアルキル基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは8以下、特に好ましくは6以下である。
ソフトセグメント(A)において、アルキルメタクリレートとアルキルアクリレートの好ましい組合せや共重合割合は、アルキルメタクリレートの炭素数に応じて設定できる。
例えば、ソフトセグメント(A)に30質量%以上含まれるアルキルメタクリレートが、アルキル基の炭素数が1〜2であるアルキルメタクリレート(以下、「C1〜2メタクリレート」と称する場合がある)である場合、C1〜2メタクリレートは、アルキル基の炭素数が3以上であるアルキルアクリレート(以下、「C3以上のアクリレート」と称する場合がある)と共重合させることが好ましい。この場合、C3以上のアクリレート由来の単位の量は、ソフトセグメント(A)100質量部中、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、さらに好ましくは45質量部以上であり、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、さらに好ましくは55質量部以下である。
ソフトセグメント(A)に30質量%以上含まれるアルキルメタクリレートが、アルキル基の炭素数が3以上であるアルキルメタクリレート(以下「C3以上のメタクリレート」と称する場合がある)である場合、アルキルアクリレートと共重合させてもよく、共重合させなくともよい。ソフトセグメント(A)に30質量%以上含まれるアルキルメタクリレートが、C3以上のメタクリレートであり、アルキルアクリレートと共重合させる場合、アルキルアクリレート由来の単位の量は、ソフトセグメント(A)100質量部中、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、さらに好ましくは45質量部以上であり、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、さらに好ましくは55質量部以下である。
さらに、C3以上のメタクリレートとC1〜2メタクリレートとは、共重合させてもよく、させなくともよい。
ソフトセグメント(A)は、さらに、アルキルメタクリレート及び必要に応じて用いるアルキルアクリレートと共重合可能な他の単量体(以下、「共重合単量体A」と称する場合がある)由来の単位を有していてもよい。
共重合単量体Aとしては、前記アルキルアクリレート以外のアクリル酸エステル、前記アルキルメタクリレート以外のメタクリル酸エステル、不飽和カルボン酸、芳香族ビニル化合物、オレフィン、共役ジエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどが挙げられ、好ましくは芳香族環を有するアクリル酸エステル、芳香族環を有するメタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物などの芳香族性単量体が挙げられる。芳香族性単量体を共重合させることで、屈折率を調整し、樹脂組成物との混合時における相溶性、透明性を改善することが出来る。前記芳香族性単量体としては、芳香族ビニル化合物が好ましい。
共重合単量体Aとしてのアクリル酸エステルには、環状脂肪族炭化水素基を有するアクリル酸エステル(アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなど)、ヒドロキシ基、エーテル結合、エポキシ基、アリル基などの官能基を有する脂肪族性アクリル酸エステル(アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリルなど)などの非芳香族性アクリル酸エステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチルなどの芳香族環を有するアクリル酸エステルなどが含まれる。
共重合単量体Aとしてのメタクリル酸エステルには、環状脂肪族炭化水素基を有するメタクリル酸エステル(メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなど)、ヒドロキシ基、エーテル結合、エポキシ基、アリル基などの官能基を有する脂肪族性メタクリル酸エステル(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリルなど)などの非芳香族性メタクリル酸エステル;メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチルなどの芳香族環を有するメタクリル酸エステルなどが含まれる。
共重合単量体Aとしての芳香族ビニル化合物には、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレンなどのベンゼン環含有化合物;N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルチオフェンなどの芳香族性複素環を有する化合物などが挙げられる。
ソフトセグメント(A)において、共重合単量体A(好ましくは前記アルキルアクリレート以外のアクリル酸エステル、芳香族性単量体など)に由来する単位の量は、アルキルメタクリレート及び必要に応じて用いるアルキルアクリレートに由来する単位の合計100質量部に対して、例えば、0質量部以上、好ましくは1質量部以上であり、例えば、30質量部以下、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)は、機械的特性、光学特性と流動性の観点から、例えば、5000以上、好ましくは1万以上、より好ましくは2万以上であり、例えば、50万以下、好ましくは40万以下、より好ましくは25万以下、よりいっそう好ましくは15万以下、特に好ましくは10万以下である。また重合体ブロック(A)の数平均分子量(Mn)は、例えば、3000以上、好ましくは1万以上、より好ましくは1万5000以上であり、例えば、50万以下、好ましくは40万以下、より好ましくは25万以下、よりいっそう好ましくは10万以下、特に好ましくは8万以下である。重合体ブロック(A)の分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、例えば、1.05以上、好ましくは1.1以上であり、例えば、2.5以下、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.8以下である。
重合体ブロック(A)の屈折率は、例えば1.468以上、好ましくは1.470以上であり、より好ましくは1.480以上であり、例えば1.600以下、好ましくは1.580以下、より好ましくは1.550以下である。
(1.2)重合体ブロック(B)
重合体ブロック(B)は、ブロック共重合体(C)が高Tg特性を示すために導入され、ブロック共重合体(C)においてハードセグメントを構成する。このハードセグメント(B)は、アルキルメタクリレート由来の単位を有しており、該アルキルメタクリレートの単独重合体ブロックであってもよく、共重合体ブロックであってもよい。ハードセグメント(B)を構成する全単位100質量部中、アルキルメタクリレート由来の単位の量は、好ましくは50質量部以上であり、例えば、100質量部以下、好ましくは90質量部以下である。
ハードセグメント(B)の単位の由来となるアルキルメタクリレートとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ペンタデシルが挙げられる。特に確実に高Tg特性を示すことが可能である観点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのC1〜2メタクリレートを必ず含むのが好ましく、メタクリル酸メチルを必ず含むのが最も好ましく、C3以上のメタクリレートは、前記C1〜2メタクリレートと組み合わせることが好ましい。C1〜2メタクリレートに由来する単位の量(好ましくはメタクリル酸メチルに由来する単位の量)は、ハードセグメント(B)100質量部中、例えば、50質量部以上、好ましくは70質量部以上、より好ましくは90質量部以上であり、100質量部以下である。
ハードセグメント(B)において、前記アルキルメタクリレート(特にC1〜2メタクリレート)と共重合可能な他の単量体(以下、「共重合単量体B」と称する場合がある)としては、前記アルキルメタクリレート以外のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、不飽和カルボン酸、芳香族ビニル化合物、オレフィン、共役ジエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどが挙げられ、好ましくはアクリル酸エステル、芳香族性単量体(芳香族環を有するアクリル酸エステル、芳香族環を有するメタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物など。特に芳香族ビニル化合物)が挙げられる。
共重合単量体Bとして使用可能なメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリルなどが挙げられる。
共重合単量体Bとして使用可能なアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリルなどが挙げられ、好ましくはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチルなどのアルキル基の炭素数が1〜4(好ましくは1〜3)であるアルキルアクリレートが挙げられる。
共重合単量体Bとして使用可能な芳香族性単量体としては、共重合単量体Aとして使用可能な芳香族性単量体と同様の化合物が例示できる。好ましい芳香族性単量体も共重合単量体Aの場合と同様である。芳香族性単量体を用いることで、ブロック共重合体の複屈折性を調整することができる。
ハードセグメント(B)において、共重合単量体B(好ましくはアクリル酸エステル、芳香族性単量体など)に由来する単位の量は、メタクリル酸エステル単位100質量部に対して、例えば、0質量部以上、好ましくは1質量部以上であり、例えば、30質量部以下、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
前記ソフトセグメント(A)が、C1〜2メタクリレート及びC3以上のアクリレート(好ましくはC4以上のアクリレート)に由来する単位を含み、ハードセグメント(B)もC1〜2メタクリレート及びC3以上のアクリレート(好ましくはC4以上のアクリレート)に由来する単位を含む場合、ハードセグメント(B)におけるC3以上のアクリレート由来の単位の量は、ハードセグメント(B)100質量部中、好ましくは45質量部未満、より好ましくは40質量部未満、さらに好ましくは30質量部未満である。
さらに重合体ブロック(B)は、流動性の観点では環構造を有する単位(好ましくは主鎖に環構造を有する単位)を実質的に含まなくてもよいが(例えば、5質量%以下。特に0質量%)、耐熱性の観点では環構造を有する単位(好ましくは主鎖に環構造を有する単位)を実質的に含んでいてもよい(例えば、5質量%超)。環構造を有する単位(好ましくは主鎖に環構造を有する単位)は、通常、前記メタクリル酸エステル単位(特にC1〜3メタクリレート単位)の共重合単位として、重合体ブロック(B)に導入される。環構造を有する単位(好ましくは主鎖に環構造を有する単位)をブロック共重合体(C)に導入すると、該ブロック共重合体(C)自体の光学特性を良好にできる。また該ブロック共重合体(C)を、環構造を有する樹脂(好ましくは主鎖に環構造を有する単位)に添加した場合に、樹脂との相溶性を向上できる。環構造を有する単位(好ましくは主鎖に環構造を有する単位)の量は、メタクリル酸エステル単位100質量部に対して、例えば、0質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
環構造としては、例えば、ラクトン環構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造、無水マレイン酸構造、N−置換マレイミド構造などが挙げられ、好ましくはラクトン環構造及びN−置換マレイミド構造が挙げられ、これらの環構造は主鎖に含まれることが好ましい。前記ラクトン環構造は、例えば、4員環から8員環のラクトン環構造が好ましく、環構造の安定性に優れることから5員環または6員環であることがより好ましく、6員環であることが最も好ましい。6員環であるラクトン環構造としては、例えば、特開2004−168882号公報に開示されている構造が挙げられ、ラクトン環構造の導入が容易であること、具体的には、前駆体(ラクトン環化前の重合体)の重合収率が高いこと、前駆体の環化縮合反応におけるラクトン環含有率を高めることができること、メタクリル酸メチル単位を構成単位として有する重合体を前駆体にできること、などの理由から下記一般式(1)に示される構造が特に好ましい。
Figure 0006867177
上記一般式(1)において、R1、R2およびR3は、互いに独立して、水素原子または炭素数1から20の有機残基であり、当該有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。
一般式(1)における有機残基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1から20の飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基等)、エテニル基、プロペニル基などの炭素数2から20の不飽和脂肪族炭化水素基(アルケニル基等)、フェニル基、ナフチル基などの炭素数6から20の芳香族炭化水素基(アリール基等)のほか、これら飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基における水素原子の一つ以上が、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エーテル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1種類の基により置換された基などが挙げられる。
ラクトン環構造は、例えば、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーAと、(メタ)アクリル酸系モノマーBとを重合(好ましくは共重合)して分子鎖にヒドロキシ基とエステル基またはカルボキシル基とを導入した後、これらヒドロキシ基とエステル基またはカルボキシル基との間で脱アルコールまたは脱水環化縮合を生じさせることにより形成できる。重合成分として、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーAは必須であり、(メタ)アクリル酸系モノマーBは前記モノマーAを包含する。モノマーBはモノマーAと一致していてもよいし、一致しなくてもよい。モノマーBがモノマーAと一致する時には、モノマーAの単独重合となる。なお「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸を総称したものを意味し、「(メタ)アクリル酸系モノマー」や「(メタ)アクリル酸エステル」などの様に「(メタ)アクリル酸」が他の名称と結合した場合でも同様である。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーAとしては、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキル(例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸n−ブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチル)、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸アルキル(例えば、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸エチル)等が挙げられ、好ましくは、ヒドロキシアリル部位を有するモノマーである2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸や2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキルが挙げられる。特に好ましくは2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが例示できる。
(メタ)アクリル酸系モノマーBとしては、ビニル基とエステル基またはカルボキシル基とを有するモノマーが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等、好ましくはメタクリル酸メチル)、(メタ)アクリル酸アリール(例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等)、2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキル(例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸n−ブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチルなどの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキル、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸アルキル等)などが挙げられる。
前記無水グルタル酸構造または前記グルタルイミド構造としては、例えば、下記一般式(2)に示される構造(下記一般式(2)において、X1が酸素原子である場合には無水グルタル酸構造となり、X1が窒素原子である場合にはグルタルイミド構造となる)が好ましく挙げられる。
Figure 0006867177
上記一般式(2)におけるR4、R5は、互いに独立して、水素原子またはメチル基であり、X1は酸素原子または窒素原子である。X1が酸素原子であるとき、R6は存在せず、X1が窒素原子のとき、R6は、水素原子、炭素数1から6の直鎖アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基である。
上記一般式(2)におけるX1が酸素原子である無水グルタル酸構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体を分子内で脱アルコール環化縮合させることにより形成できる。上記一般式(2)におけるX1が窒素原子であるグルタルイミド構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル重合体をメチルアミンなどのイミド化剤によりイミド化することにより形成できる。
前記無水マレイン酸構造または前記N−置換マレイミド構造としては、例えば、下記一般式(3)に示される構造(下記一般式(3)において、X2が酸素原子である場合には無水マレイン酸構造となり、X2が窒素原子である場合にはN−置換マレイミド構造となる)が好ましく挙げられる。
Figure 0006867177
上記一般式(3)におけるR7、R8は、互いに独立して、水素原子またはメチル基であり、X2は酸素原子または窒素原子である。X2が酸素原子であるとき、R9は存在せず、X2が窒素原子のとき、R9は、水素原子、炭素数1から6の直鎖アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基またはフェニル基である。
上記一般式(3)におけるX2が酸素原子である無水マレイン酸構造は、例えば、無水マレイン酸を重合に供することにより形成できる。上記一般式(3)におけるX2が窒素原子であるN−置換マレイミド構造は、例えば、フェニルマレイミドなどのN−置換マレイミドを重合に供することにより形成できる。
前記環構造を有する単位(好ましくは主鎖に環構造を有する単位)は、1種又は2種以上を適宜組み合わせることができる。好ましくは2種以上を組み合わせず、環構造を有する単位(好ましくは主鎖に環構造を有する単位)を1種だけ重合体ブロック(B)に導入する。
前記重合体ブロック(A)は1種又は2種以上あってもよく、前記重合体ブロック(B)も1種又は2種以上あってもよい。さらにブロック共重合体(C)は、これら重合体ブロック(A)及び(B)とは異なる重合体ブロック(X)を含んでいてもよく、この重合体ブロック(X)も1種又は2種以上であってもよい。重合体ブロック(X)を構成する単量体単位は、重合体ブロック(A)や(B)に使用可能な単量体単位から適宜選択できる。
重合体ブロック(A)の量(ソフトセグメント量)は、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の合計100質量部中、例えば、5質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは27質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下である。また重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の合計は、ブロック共重合体(C)100質量部中、例えば、70質量部以上、好ましくは80質量部以上、より好ましくは90質量部以上であり、100質量部でもよい。
なお前記ソフトセグメント量は、1H−NMRの積分値に基づいて算出できる。
ブロック共重合体(C)は、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体であって、重合体ブロック(A)及び(B)のいずれもがアルキルメタクリレート由来の単位を有しており、アクリル酸エステル由来の単位の割合が抑制されている。アクリル酸エステル由来の単位は、ブロック共重合体(C)に含まれる全単量体単位100質量部中、好ましくは30質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下であり、0質量部以上であり、1質量部以上であってもよい。
ブロック共重合体(C)が重合体ブロック(A)(ソフトセグメントA)と重合体ブロック(B)(ハードセグメントB)とから構成される場合、ブロック構造は、A−B型、B−A−B型、A−B−A型、A−B−A−B型、A−B−A−B−A型、B−A−B−A−B型などが適宜採用でき、好ましくはA−B型、B−A−B型である。
本発明のブロック共重合体(C)は、重量平均分子量(Mw)が好ましくは2万以上、より好ましくは7万以上、さらに好ましくは10万以上、よりいっそう好ましくは15万以上であり、100万以下、好ましくは80万以下、より好ましくは50万以下、よりいっそう好ましくは30万以下である。ブロック共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)を適切な範囲にすることで、ゲル化物の発生を抑制でき、また樹脂フィルムのヘイズ値を下げることができる。
ブロック共重合体(C)の数平均分子量(Mn)は、前記重量平均分子量を達成可能な限り、特に限定されないが、例えば、1万以上、好ましくは3万以上、より好ましくは5万以上であり、例えば、100万以下、好ましくは80万以下、より好ましくは50万以下、よりいっそう好ましくは30万以下である。ブロック共重合体(C)の数平均分子量(Mn)を制御することもまた、ゲル化物の発生の抑制や樹脂フィルムのヘイズ値を低下するのに有効である。
またブロック共重合体(C)の分子量分布(Mw/Mn)もまた特に限定されないが、例えば、1.0以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.4以上であり、例えば、3.0以下、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下である。
以上のようにして構成されるブロック共重合体(C)は、温度24℃、絶対圧5kPa以下で、1時間加熱した後のクロロホルム不溶性成分(ゲル発生量)が抑制されている。大きさ3.0μm以上のクロロホルム不溶性成分の割合は、ブロック共重合体(C)中、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下であり、例えば0.01質量%以上であることも許容される。
<ゲル発生量の測定方法>
ブロック共重合体3gを240℃、絶対圧5.0kPa以下で1時間減圧下加熱処理を行い、加熱後のブロック共重合体をクロロホルムに溶解させ、孔径3.0μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、80℃で12時間以上乾燥させた後、フィルター上のゲル質量を測定する。クロロホルムによる溶解に供した加熱後のブロック共重合体質量をW1、篩又はメンブレンフィルター上のゲル質量をW2としたとき、下記式に基づいてゲル発生量を算出する。
ゲル発生量(%) = W2/W1×100
(1.3)重合体ブロック(C)の製造方法
本発明のブロック共重合体の製造方法は、特に制限はなく、公知の手法に準じた方法を採用することができる。
例えば、各ブロックの構成単位であるモノマーをリビング重合する方法(例えば、「精密重合が拓く高分子合成」(日本化学会編、化学同人出版、14〜39項、2016年)に記載の方法)が一般に使用される。このようなリビング重合の手法としては、例えば、特開平11−335432号公報に記載の方法である有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法、特開平6−93060号公報に記載の方法である有機希土類金属錯体を重合開始剤として重合する方法、Macromol.Chem.Phys.201巻、1108〜1114頁(2000年)に記載の方法であるα−ハロゲン化エステル化合物を開始剤として銅化合物の存在下ラジカル重合する方法、Macromolecules、26巻、2987頁(1993)に記載の方法であるニトロキシル基媒介重合、Macromolecules、28巻、2093頁(1995)に記載の方法である原子移動ラジカル重合、Macromolecules、31巻、5559頁(1998)に記載の方法である可逆的付加−開裂連鎖移動重合等が挙げられる。
(2)樹脂組成物
本発明には、前記ブロック共重合体(C)を含む樹脂組成物も含まれる。前記ブロック共重合体(C)を含む樹脂組成物から得られるフィルムは、耐屈折回数が良好であって可撓性に優れるだけでなく、ヘイズ値が小さくて透明性にも優れる。
該樹脂組成物は、ブロック共重合体(C)自体を樹脂成分として含んでいてもよく、ブロック共重合体(C)以外の樹脂(D)を樹脂成分として含んでいてもよい。樹脂(D)を含む場合、ブロック共重合体(C)の量は、樹脂(D)100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上であり、例えば、60質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。またブロック共重合体(C)のソフトセグメント(A)の量が、該樹脂組成物100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、例えば、30質量部以下、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下であってもよい。
(2.1)樹脂(D)
樹脂(D)としては、(メタ)アクリル系樹脂(D1)が好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(D1)としては、(メタ)アクリル酸エステル単位および/または(メタ)アクリル酸単位を必須の構成単位として有するものが好ましく、(メタ)アクリル酸の誘導体に由来する構成単位を有していてもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステル(単位)は、(メタ)アクリル酸エステル(単位)及び(メタ)アクリル酸エステル誘導体(単位)のいずれであってもよく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルなどの(メタ)アクリル酸とヒドロキシ炭化水素とのエステル類((メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸アリール、(メタ)アクリル酸アラルキルなど)、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチルなどのエーテル結合導入誘導体;(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチルなどのハロゲン導入誘導体;及びヒドロキシ基導入誘導体が挙げられる。前記ヒドロキシ基導入誘導体には、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル類;2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキル(例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸n−ブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチルなど)、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸アルキル(例えば、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなど)の2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルが含まれる。
前記(メタ)アクリル酸(単位)は、(メタ)アクリル酸(単位)及び(メタ)アクリル酸誘導体(単位)のいずれであってもよく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸類;クロトン酸などのアルキル化(メタ)アクリル酸類;2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などのヒドロキシアルキル化(メタ)アクリル酸類などが挙げられる。これらの中でも特に、フィルムの耐熱性、および透明性の観点からは、メタクリル酸メチルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル(単位)、(メタ)アクリル酸(単位)およびこれらの誘導体(単位)は、それぞれ1種のみ有していてもよいし2種以上有していてもよい。
(メタ)アクリル系樹脂(D1)は、相溶性や光学特性改良の為、上述した(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、およびこれらの誘導体から選ばれる1種以上のモノマーを他のモノマーと共重合することによって導入される他の構成単位を有していてもよい。このような他のモノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタリルアルコール、アリルアルコール、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、酢酸ビニル、2−ヒドロキシメチル−1−ブテン、メチルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなどの重合性二重結合を有する単量体が挙げられる。これら他のモノマー(構成単位)は1種のみを有していてもよいし2種以上有していてもよい。
前記(メタ)アクリル系樹脂(D1)は、環構造を有するものが好ましく、主鎖に環構造を有するものがより好ましい。当該環構造としては、ラクトン環構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造、無水マレイン酸構造、N−置換マレイミド構造などが挙げられる。各環構造の好ましい例、具体例、及びそれらの導入方法は重合体ブロック(B)で説明した環構造と同様である。
(メタ)アクリル系樹脂(D1)がラクトン環構造を有する場合(好ましくは主鎖にラクトン環構造を有する場合)、当該樹脂(D1)におけるラクトン環構造の含有率は、特に限定はされないが、例えば5〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは15〜60質量%である。
(メタ)アクリル系樹脂(D1)が無水グルタル酸構造あるいはグルタルイミド構造を有する場合(好ましくは主鎖に無水グルタル酸構造あるいはグルタルイミド構造を有する場合)、当該樹脂(D1)における無水グルタル酸構造あるいはグルタルイミド構造の含有率は、特に限定はされないが、例えば5〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは20〜50質量%である。
(メタ)アクリル系樹脂(D1)が無水マレイン酸構造あるいはN−置換マレイミド構造を有する場合(好ましくは主鎖に無水マレイン酸構造あるいはN−置換マレイミド構造を有する場合)、当該樹脂(D1)における無水マレイン酸構造あるいはN−置換マレイミド構造の含有率は、特に限定はされないが、例えば5〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは15〜50質量%である。
樹脂(D)としては、上述した(メタ)アクリル系樹脂(D1)以外の樹脂を含有することも可能である。樹脂(D1)以外の樹脂を、正の固有複屈折性を有するポリマー(D2)、負の固有複屈折性を有するポリマー(D3)に分けて例示する。なお、ポリマーの固有複屈折の正負は、ポリマーの分子鎖が一軸配向した層(例えばフィルム)において、当該層の主面に垂直に入射した光のうち、当該層における分子鎖が配向する方向(配向軸)に平行な振動成分に対する層の屈折率n1から、配向軸に垂直な振動成分に対する層の屈折率n2を引いた値(n1−n2)に基づいて判断できる。ポリマーの固有複屈折の正負は、当該ポリマーに含まれる各構成単位によって生じる複屈折の兼ね合いにより決まる。ポリマーに正(あるいは負)の固有複屈折を与える作用を有する構成単位とは、当該単位のホモポリマーを形成したときに、形成したホモポリマーの固有複屈折が正(あるいは負)となる構成単位をいう。上述した環構造を有する重合体(好ましくは主鎖に環構造を有する重合体)は、典型的には正の固有複屈折性を示す。
正の固有複屈折性を示すポリマー(D2)としては、シクロオレフィン重合体、セルロース誘導体等が挙げられる。
負の固有複屈折性を示すポリマー(D3)としては、典型的には、側鎖に環構造を備えた構造単位を有するポリマーが挙げられる。例えば、芳香族基(フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基など)または複素芳香族基(例えばカルバゾール基、ピリジン基、イミダゾール基、チオフェン基など)を有するα,β−不飽和単量体単位、N−ビニルラクタム単位等の負の固有複屈折性に寄与する構造単位を有するポリマーが挙げられる。具体的には、芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位としては、例えばスチレン単位が挙げられ、具体的なポリマーとして、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体、スチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体が挙げられる。複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位としては、例えばN−ビニルカルバゾール単位、ビニルピリジン単位、ビニルイミダゾール単位およびビニルチオフェン単位が挙げられ、N−ビニルラクタム単位としては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−ε−カプロラクタム単位、N−ビニル−2−ピペリドン単位、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−ω−ヘプタラクタム単位が挙げられる。これら構造単位は1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
負の固有複屈折性を示すポリマーは、上述した負の固有複屈折性に寄与する構造単位のほかに、負の複屈折性を損なわない範囲において、他の構造単位を有していてもよい。他の構造単位としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル(例えばメチルアクリルレート、エチルアクリレート、カルバゾイルエチルアクリレート)、メタクリル酸アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、カルバゾイルエチルメタクリレート)、アクリル酸アミノアルキルエステル(例えばジエチルアミノエチルアクリレート)、メタクリル酸アミノアルキルエステル、アクリル酸とグリコールとのモノエステル、メタクリル酸とグリコールとのモノエステル(例えばヒドロキシエチルメタクリレート)、アクリル酸のアルカリ金属塩、メタクリル酸のアルカリ金属塩、アクリル酸のアンモニウム塩、メタクリル酸のアンモニウム塩、アクリル酸アミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体、メタクリル酸アミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体、ジエチルアミノエチルアクリレートとメチルサルフェートとの第4級アンモニウム化合物、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルスルホン酸のアルカリ金属塩、ビニルスルホン酸のアンモニウム塩、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸塩、酢酸ビニル、ビニルステアレート、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、グリコールジアクリレート、グリコールジメタクリレート、グリコールジアリルエーテル、アクリロニトリル等の単量体の重合により形成される構成単位が挙げられる。
(2.2)添加剤
前記樹脂組成物は、必要に応じて、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;などが挙げられる。
酸化防止剤は、特に限定されないが、例えば、フェノール系、リン系あるいはイオウ系などの公知の酸化防止剤を、1種で、または2種以上を併用して用いることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アセテート、n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオドデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミド−N,N−ビス−[エチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノ−N,N−ビス−[エチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−1−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス−[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタントリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオールビス[(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
リン酸系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミン、ジフェニルトリデシルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)フォスファイト等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアゾール系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノン)−ブタン等が挙げられる。
サリシケート系化合物としては、例えば、p−t−ブチルフェニルサリシケート等が挙げられる。
ベンゾエート系化合物としては、例えば、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
また、トリアゾール系化合物としては、例えば、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−C7−9側鎖及び直鎖アルキルエステルが挙げられる。
さらに、トリアジン系化合物としては、例えば、2−モノ(ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン化合物や2,4−ビス(ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン化合物、2,4,6−トリス(ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン化合物が挙げられ、具体的には、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−エトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−プロポキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−メトキシカルボニルプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−エトキシカルボニルエチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−(1−(2−エトキシヘキシルオキシ)−1−オキソプロパン−2−イルオキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−エトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−プロポキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−メトキシカルボニルプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−エトキシカルボニルエチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−(1−(2−エトキシヘキシルオキシ)−1−オキソプロパン−2−イルオキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
その中でも、非晶性の熱可塑性樹脂、特にアクリル樹脂と相溶性が高く吸収特性が優れている点から、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル]−s−トリアジン骨格(アルキルオキシ;オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシなどの長鎖アルキルオキシ基)を有する紫外線吸収剤が挙げられる。
また、2,4,6−トリス(ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤が好ましく用いられ、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−長鎖アルキルオキシ基置換フェニル)−1,3,5−トリアジン骨格や2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−アルキル−4−長鎖アルキルオキシ基置換フェニル)−1,3,5−トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤が特に好ましいトリアジン系紫外線吸収剤である。市販品としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤として「チヌビン1577」、「チヌビン460」、「チヌビン477」(BASFジャパン製)、「アデカスタブLA−F70」(ADEKA製)、トリアゾール系紫外線吸収剤として「アデカスタブLA−31」(ADEKA製)等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上の組み合わせで使用することができる。
樹脂組成物中の前記添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%である。
(3)光学フィルム
本発明の樹脂組成物は、光学特性に優れ、かつ可撓性にも優れたものとなるため、多岐にわたる用途への適用が可能である。中でも、光学用に好適に使用することができ、特に光学フィルム等の原料として好適に使用することができる。光学フィルムは、本発明の樹脂組成物を溶融成形することによって形成できる。
光学フィルムは、例えば、光ディスクの保護フィルム、液晶表示装置等の画像表示装置の偏光板に用いられる偏光子保護フィルム、位相差フィルム、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルム、拡散板、導光体、プリズムシート等の用途に用いることができる。従って、光学フィルムは、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置等の画像表示装置、静電容量式タッチパネル等の用途に好適に使用することが期待される。
光学フィルムは、例えば、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出成形法、キャスト成形法、プレス成形法等によって製造することができ、溶融押出成形法によって製造する場合は、単軸押出機や二軸押出機等を用いることができる。
光学フィルムは、未延伸フィルムまたは延伸フィルムのいずれでもよいが、好ましくは、延伸フィルムである。延伸フィルムである場合は、一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムのいずれでもよいが、二軸延伸フィルムが特に好ましい。二軸延伸した場合は、直交する2つの方向に延伸するので、フィルム面内の任意の方向についての機械的破壊強度が向上し、フィルム性能が向上する。また、フィルムの面内位相差を小さくし、光学等方性の高い光学フィルムを得やすくなる。二軸延伸フィルムである場合は、同時二軸延伸フィルムまたは逐次二軸延伸フィルムのいずれでもよい。
光学フィルムの延伸倍率は、縦方向および当該縦方向に直交する横方向のいずれの方向においても、それぞれ、1.5倍〜3.0倍程度であることが好ましく、1.5倍〜2.8倍程度であることがより好ましい。
光学フィルムの厚さは、その用途によって異なるので一概には定めることはできないが、例えば、1μm以上、400μm以下であることが好ましい。特に、光学フィルムを、画像表示装置に用いられる保護フィルム、反射防止フィルム、偏光フィルム等の用途に用いる場合には、当該光学フィルムの厚さは、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましく、また250μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、80μm以下がさらに好ましい。また、光学フィルムを透明導電性フィルムの用途に用いる場合には、当該光学フィルムの厚さは、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、40μm以上がさらに好ましく、また400μm以下が好ましく、350μm以下がより好ましく、300μm以下がさらに好ましい。光学フィルムの厚さは、例えば、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ社製)を用いて測定する。
光学フィルムを偏光子保護フィルムに適用する場合は、偏光子の片面または両面に光学フィルム(偏光子保護フィルム)を設けて、偏光板を構成すればよい。偏光子の種類は特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコールフィルムを染色、延伸して得た偏光子;脱水処理したポリビニルアルコールあるいは脱塩酸処理したポリ塩化ビニルなどのポリエン偏光子;多層積層体あるいはコレステリック液晶を用いた反射型偏光子;薄膜結晶フィルムからなる偏光子等が挙げられる。偏光板の構造の一例としては、ポリビニルアルコールをヨウ素または二色性染料などの二色性物質により染色した後に一軸延伸して偏光子を得て、この偏光子の片面または両面に偏光子保護フィルム(光学フィルム)を接合させた構造が挙げられる。
光学フィルムの表面に透明導電層が形成された光学フィルムは、透明導電フィルムとして用いることができる。透明導電層としては、例えば、インジウム−スズ系酸化物(ITO)層等の赤外線を反射する性質を有する無機化合物層、銀、銅、ニッケル、タングステン等の金属からなる金属メッシュ層などが挙げられる。
光学フィルムは、必要に応じて、少なくとも一方の表面にコーティング層が設けられていてもよい。コーティング層としては、例えば、帯電防止層、粘着剤層、接着剤層、易接着層、防眩(ノングレア)層、光触媒層、防汚層、反射防止層、ハードコート層、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤー層等が挙げられる。また、光学フィルムの表面に、入射される光線の透過率または反射率を適宜調整するための光学調整層が設けられていてもよい。
光学フィルムを備えた画像表示装置としては、例えば、液晶表示装置が挙げられる。液晶表示装置は、画像表示部が、液晶セル、偏光板、バックライト等の部材とともに、本発明の光学フィルムを有するように構成することができる。この場合、画像表示装置は、例えば、偏光板を構成する偏光子保護フィルムとして光学フィルムを備える。
本発明を以下の実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお以下では特にことわりのない場合、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ示す。
以下の実施例における各種物性の測定および評価は、以下の方法で行った。
<重量平均分子量>
ブロック共重合体及び重合体の重量平均分子量Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置および測定条件は以下の通りである。
・システム:東ソー株式会社製GPCシステム HLC−8220
測定側カラム構成
・ガードカラム:東ソー株式会社製、TSKguardcolumn SuperHZ−L
・分離カラム:東ソー株式会社製、TSKgel SuperHZM−M 2本直列接続
リファレンス側カラム構成
・リファレンスカラム:東ソー株式会社製、TSKgel SuperH−RC
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業株式会社製、特級)
展開溶媒の流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー株式会社製、PS−オリゴマーキット)
カラム温度:40℃
<モノマー転化率の算出>
転化率は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、装置名:GC−2014)を用いて残存モノマー量を測定することで求めた。
<屈折率の測定>
ブロック共重合体の屈折率は、(株)アタゴ製アッベ屈折計DR−M2を用いて、干渉フィルター589(D)nm下で緩衝液に1−ブロモナフタレン溶液を用い測定した。
<ガラス転移温度>
ブロック共重合体のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121の規定に準拠して始点法により求めた。40℃以上で観測されるTgは、具体的には、示差走査熱量計(株式会社リガク製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを25℃から毎分10℃の昇温速度で200℃まで昇温を複数回繰り返すことで安定させたDSC曲線から得た。尚、リファレンスにはα−アルミナを用いた。
また、40℃未満で観測されるTgは、示差走査熱量計(NETZSCH社製、DSC3500A)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを−100℃から毎分20℃の昇温速度で100℃まで昇温を複数回繰り返すことで安定させたDSC曲線から得た。
<ゲル発生量>
ブロック共重合体のゲル発生量は、以下の条件にて測定した。
ブロック共重合体3gを240℃、絶対圧5.0kPa以下で1時間減圧下加熱処理を行い、加熱後のブロック共重合体をクロロホルムに溶解させ、孔径3.0μmのメンブレンフィルターでろ過を行い、80℃で12時間以上乾燥させた後、フィルター上のゲル(大きさ3.0μm以上のクロロホルム不溶性成分)質量を測定した。ゲル発生量(%)は、クロロホルムによる溶解に供した加熱後のブロック共重合体質量をW1、篩又はメンブレンフィルター上のゲル質量をW2とした時、以下の計算により算出した。
ゲル発生量(%) = W2/W1×100
<ソフトセグメント量>
1H−NMR、13C−NMRより、メタクリレート単量体由来の繰り返し単位、およびアクリレート単量体由来の繰り返し単位を同定し、1H−NMRでの積分値から各単位の存在量を算出した。
測定機器:Varian社製 Unity Plus400、またはBRUKER製、AVANCEIII
測定溶媒:CDCl3、又はd−acetone
<フィルムの作製>
ブロック共重合体あるいは樹脂組成物を、手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC−180C型)を用い溶融プレス成形し、100±10μmまたは160±10μmの未延伸フィルムを作製した。
<フィルムの厚さ>
フィルムの厚さは、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ社製)を用いて測定した。以降に評価方法を示す物性を含め、フィルムの物性を測定、評価するためのサンプルは、フィルムの幅方向の中央部から取得した。
<フィルムのヘイズ>
フィルムのヘイズは、日本電色工業社製NDH−1001DPを用いて石英セルに1,2,3,4−テトラヒドロナフタリン(テトラリン)を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定し、100μmあたりの内部ヘイズ値として算出した。
<耐折回数(MIT)>
フィルムの耐折回数は、JIS P8115に準拠して測定した。具体的には、長さ90mm、幅15mmの2種類の試験フィルムを23℃、50%RHの状態に1時間以上静置させてから使用し、MIT耐折疲労試験機(東洋精機製、DA型)を用いて、折り曲げ角度135°、折り曲げ速度175cpm、荷重200gの条件で試験を行い、5枚のサンプルのフィルムが破断するまでの回数の平均値をそれぞれ求めた。
<製造例1> :重合体ブロック(A−1)(ソフトセグメント)の合成
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、0.17質量部の臭化第一銅、0.35質量部の2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、87.1質量部のメタクリル酸n−ブチル(BMA)を仕込み、これに窒素を通じつつ、80℃まで昇温した。次いで、0.21質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、3.5質量部のアセトニトリル、8.7質量部のメチルエチルケトンを加え、3.5時間反応を進行させた。
反応溶液を活性アルミナでろ過し触媒残渣を除去した後、絶対圧5.0kPa以下、80℃で約1時間以上加熱して残存モノマーおよび溶媒を除去し、重合体ブロック(A−1)を得た。重合体ブロック(A−1)の数平均分子量Mnは4.2万、重量平均分子量Mwは5.8万、分子量分布Mw/Mnは1.4、80℃未満の領域におけるガラス転移温度(ソフトセグメントTg)は20℃、屈折率は1.483であった。
<実施例1> :B−A−B型ブロック共重合体(C−1)の合成
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、製造例1で合成した重合体ブロック(A−1)15.1質量部、57.4質量部のメタクリル酸メチル(MMA)、3.0質量部のアクリル酸メチル(MA)、12.1質量部のメチルエチルケトンを仕込み、窒素を通じつつ80℃まで昇温させた。次いで、開始剤として0.18質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミンと、0.12質量部の臭化第一銅と、12.1質量部のメチルエチルケトンの混合液を加え、4時間反応を進行させ、製造例1と同様に触媒残渣を除去した。得られた反応溶液を多量のメタノールに沈殿させ、ろ過、乾燥することによりブロック共重合体(C−1)を得た。ブロック共重合体(C−1)は、重合体ブロック(A−1)(ソフトセグメント)の両側に重合体ブロック(B−1)(ハードセグメント)が結合したB−A−B型のブロック共重合体である。ブロック共重合体(C−1)の数平均分子量Mnは7.8万、重量平均分子量Mwは14.8万、分子量分布Mw/Mnは1.9であり、80℃以上の領域におけるガラス転移温度(Tg)は112℃であった。
<製造例2> :重合体ブロック(A−2)(ソフトセグメント)の合成
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、0.19質量部の臭化第一銅、0.57質量部の2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、47.3質量部のメタクリル酸n−ブチル(BMA)、47.3質量部のアクリル酸n−ブチル(BA)を仕込み、これに窒素を通じつつ、80℃まで昇温した。次いで、0.3質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、1.9質量部のメチルエチルケトンを加え、4時間反応を進行させた。さらに0.19質量部の臭化第一銅、0.3質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、1.9質量部のメチルエチルケトンを加え、3時間反応を進行させた。
製造例1と同様に触媒残渣を除去し、モノマーおよび溶媒を除去し、重合体ブロック(A−2)を得た。重合体ブロック(A−2)の数平均分子量Mnは3.9万、重量平均分子量Mwは5.3万、分子量分布Mw/Mn=1.4、ガラス転移温度は−20℃、屈折率は1.475であった。
<実施例2> :B−A−B型ブロック共重合体(C−2)の合成
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、製造例2で合成した重合体ブロック(A−2)14.2質量部、67.6質量部のメタクリル酸メチル(MMA)、3.6質量部のアクリル酸メチル(MA)を仕込み、窒素を通じつつ80℃まで昇温させた。次いで、開始剤として0.21質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミンと、0.14質量部の臭化第一銅と、14.2質量部のメチルエチルケトンの混合液を加え、2時間反応を進行させ、製造例1と同様に触媒残渣を除去した。得られた反応溶液を多量のメタノールに沈殿させ、ろ過、乾燥することによりブロック共重合体(C−2)を得た。
ブロック共重合体(C−2)の数平均分子量Mnは8.2万、重量平均分子量Mwは16.1万、分子量分布Mw/Mnは2.0であり、80℃以上の領域におけるガラス転移温度(Tg)は114℃であった。
<製造例3> :重合体ブロック(A−3)(ソフトセグメント)の合成
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、0.17質量部の臭化第一銅、0.33質量部の2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、83.4質量部のメタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA)、12.5質量部のメチルエチルケトンを仕込み、これに窒素を通じつつ、80℃まで昇温した。次いで、0.33質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、3.3質量部のアセトニトリルを加え、7時間反応を進行させた。
製造例1と同様に触媒残渣を除去し、モノマーおよび溶媒を除去し、重合体ブロック(A−3)を得た。重合体ブロック(A−3)の数平均分子量Mnは3.7万、重量平均分子量Mwは5.6万、分子量分布Mw/Mn=1.5、ガラス転移温度は−10℃、屈折率は1.478であった。
<実施例3> :B−A−B型ブロック共重合体(C−3)の合成
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、製造例3で合成した重合体ブロック(A−3)14.2質量部、67.6質量部のメタクリル酸メチル(MMA)、3.6質量部のアクリル酸メチル(MA)を仕込み、窒素を通じつつ80℃まで昇温させた。次いで、開始剤として0.21質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミンと、0.14質量部の臭化第一銅と、14.2質量部のメチルエチルケトンの混合液を加え、3時間反応を進行させ、製造例1と同様に触媒残渣を除去した。得られた反応溶液を多量のメタノールに沈殿させ、ろ過、乾燥することによりブロック共重合体(C−3)を得た。
ブロック共重合体(C−3)の数平均分子量Mnは8.0万、重量平均分子量Mwは18.4万、分子量分布Mw/Mnは2.3であり、80℃以上の領域におけるガラス転移温度(Tg)は114℃であった。
<製造例4> :重合体ブロック(A−4)(ソフトセグメント)の合成
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、0.19質量部の臭化第一銅、0.45質量部の2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、95.3質量部のアクリル酸n−ブチル(BA)を仕込み、これに窒素を通じつつ、80℃まで昇温した。次いで、0.24質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、3.8質量部のアセトニトリルを加え、2時間反応を進行させた。さらに、0.15質量部の臭化第一銅、0.42質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、6.6質量部のアセトニトリルを加え、7時間反応を進行させた。
製造例1と同様に触媒残渣を除去し、モノマーおよび溶媒を除去し、重合体ブロック(A−4)を得た。重合体ブロック(A−4)の数平均分子量Mnは5.7万、重量平均分子量Mwは6.6万、分子量分布Mw/Mn=1.2、ガラス転移温度は−49℃、屈折率は1.466であった。
<比較例1> :B−A−B型ブロック共重合体(C−4)の合成
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、製造例4で合成した重合体ブロック(A−4)15.1質量部、57.4質量部のメタクリル酸メチル(MMA)、3.0質量部のアクリル酸メチル(MA)、12.1質量部のメチルエチルケトンを仕込み、窒素を通じつつ80℃まで昇温させた。次いで、開始剤として0.18質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミンと、0.12質量部の臭化第一銅と、12.1質量部のメチルエチルケトンの混合液を加え、2時間反応を進行させ、製造例1と同様に触媒残渣を除去した。得られた反応溶液を多量のメタノールに沈殿させ、ろ過、乾燥することによりブロック共重合体(C−4)を得た。
ブロック共重合体(C−4)の数平均分子量Mnは8.4万、重量平均分子量Mwは16.0万、分子量分布Mw/Mnは1.9であり、80℃以上の領域におけるガラス転移温度は112℃であった。
<実施例4〜6および比較例2>
実施例1〜3および比較例1で得られたブロック共重合体(C−1〜C−3、C−4)とPMMA(住友化学製:「スミペックス(登録商標)EX」)とを、混合後の樹脂組成物全体を100質量部とした時にソフトセグメント量が10質量部になるように溶液混合し、絶対圧5.0kPa以下、240℃で1時間乾燥させた。
得られた樹脂からプレスフィルムを成形し、Hazeを測定した。またTg+18℃で2×2倍に延伸して厚さ40μmの延伸フィルムを作製し、MITを測定した。
以上の結果を下記表1〜3に示す。また各実施例及び比較例で得られたブロック共重合体のソフト成分量及びゲル発生量を調べ、その結果も表2に示す。
Figure 0006867177
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Claims (12)

  1. 重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体であって、
    ガラス転移温度を80℃以上と80℃未満に有し、
    前記重合体ブロック(A)がガラス転移温度を80℃未満に、前記重合体ブロック(B)がガラス転移温度を80℃以上に有し、
    前記重合体ブロック(A)の量が、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の合計100質量部中、60質量部以下であり、
    前記重合体ブロック(A)と前記重合体ブロック(B)の合計量が、ブロック共重合体100質量部中、70質量部以上であり、
    記重合体ブロック(A)及び(B)のいずれもがアルキルメタクリレート由来の単位を有し、
    かつアクリル酸エステル由来の単位が、全単量体単位100質量部中、30質量部以下である光学用ブロック共重合体。
  2. 前記重合体ブロック(A)が、アルキルメタクリレート由来の単位を、重合体ブロック(A)100質量部中、30質量部以上含むブロックであり、
    前記重合体ブロック(B)が、アルキル基の炭素数が1又は2であるアルキルメタクリレート由来の単位を、重合体ブロック(B)100質量部中、50質量部以上含むブロックである請求項1に記載の光学用ブロック共重合体。
  3. 前記重合体ブロック(A)が、アルキル基の炭素数が1又は2であるアルキルメタクリレート由来の単位を、重合体ブロック(A)100質量部中、30質量部以上含み、さらにアルキル基の炭素数が3以上であるアルキルアクリレート由来の単位を含む請求項1又は2に記載の光学用ブロック共重合体。
  4. 前記重合体ブロック(A)が、アルキル基の炭素数が3以上であるアルキルメタクリレート由来の単位を、重合体ブロック(A)100質量部中、30質量部以上含む請求項1又は2に記載の光学用ブロック共重合体。
  5. 重量平均分子量(Mw)が10万以上であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.0である請求項1〜4のいずれかに記載の光学用ブロック共重合体。
  6. ガラス転移温度を−30〜35℃の範囲に有する請求項1〜5のいずれかに記載の光学用ブロック共重合体。
  7. 温度240℃、絶対圧5kPa以下で、1時間加熱した後の大きさ3.0μm以上のクロロホルム不溶性成分が、ブロック共重合体中、1.0質量%以下である請求項1〜のいずれかに記載の光学用ブロック共重合体。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の光学用ブロック共重合体を含む光学用樹脂組成物。
  9. 請求項に記載の樹脂組成物から形成される光学フィルム。
  10. 厚みが400μm以下である請求項に記載の光学フィルム。
  11. 請求項又は10に記載の光学フィルムと偏光子とを有する偏光板。
  12. 請求項11に記載の偏光板を備える画像表示装置。
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