以下、本発明の実施形態に係る光波長変換組成物、光波長変換粒子、光波長変換部材、光波長変換シート、バックライト装置、および画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「シート」、「フィルム」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」は、フィルムとも呼ばれるような部材も含む意味で用いられ、また「フィルム」はシートとも呼ばれ得るような部材も含む意味で用いられる。図1は本実施形態に係る光波長変換粒子の概略構成図であり、図2は本実施形態に係る光波長変換シートの概略構成図であり、図3は本実施形態に係る光波長変換シートの作用を示す図であり、図4〜図7、図9、図10は本実施形態に係る他の光波長変換シートの概略構成図であり、図8は図7の光波長変換シートのI−I線に沿った断面図であり、図11および図12は本実施形態に係る光波長変換シートの製造工程を模式的に示す図である。
<<<光波長変換組成物>>>
光波長変換組成物は、量子ドットと、硬化性のバインダ樹脂前駆体とを含むものである。バインダ樹脂前駆体は、硬化後にバインダ樹脂となるものである。光波長変換組成物は、触媒やラジカル重合開始剤をさらに含んでいることが好ましい。また、光波長変換組成物は、光拡散性粒子を含んでいることが好ましい。
光波長変換組成物を用いて、光波長変換層を形成する場合には、光波長変換組成物の粘度は、10mPa・s以上10000mPa・s以下であることが好ましい。光波長変換組成物の粘度が、10mPa・s未満であると、充分な膜厚を形成することが困難な場合があり、また10000mPa・sを超えると、光波長変換組成物を塗布する際に塗出が困難となり、レベリング性が悪くなるおそれがある。光波長変換組成物の粘度の下限は10mPa・s以上であることが好ましく、光波長変換組成物の粘度の上限は10000mPa・s以下であることが好ましい。
<<量子ドット>>
量子ドットは、量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)を有するナノサイズの半導体粒子である。量子ドットの粒子径および平均粒子径は、例えば、1nm以上20nm以下となっている。量子ドットは、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、量子ドットのエネルギーバンドギャップに該当するエネルギーを放出する。よって、量子ドットの粒子径又は物質の組成を調節すると、エネルギーバンドギャップを調節することができ、様々なレベルの波長帯のエネルギーを得ることができる。とりわけ、量子ドットは、狭い波長帯で強い蛍光を発生することができる。
具体的には、量子ドットは粒子径が小さくなるに従い、エネルギーバンドギャップが大きくなる。すなわち、結晶サイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へとシフトする。そのため、量子ドットの粒子径を変化させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長全域にわたって、その発光波長を調節することができる。例えば、量子ドットが後述するCdSe/ZnSから構成されている場合には、量子ドットの粒子径が2.0nm以上4.0nm以下の場合は青色光を発し、量子ドットの粒子径が3.0nm以上6.0nm以下の場合は緑色光を発し、量子ドットの粒子径が4.5nm以上10.0nm以下の場合は赤色光を発する。なお、上記においては、青色光を発する量子ドットの粒子径と緑色光を発する量子ドットの粒子径の範囲は一部において重複しており、また緑色光を発する量子ドットの粒子径と赤色光を発する量子ドットの粒子径の範囲は一部において重複しているが、同じ粒子径を有する量子ドットであっても、量子ドットのコアの大きさによっても発光色が異なる場合があるので、何ら矛盾するものではない。量子ドットの平均粒子径は、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡による光波長変換粒子の断面観察において量子ドット20個の粒子径を測定し、その平均値を算出することで求めるものとする。
量子ドットとしては、1種類の量子ドットを用いてもよいが、粒子径または材料等が異なることにより、それぞれ単独の波長域の発光帯を有する2種類以上の量子ドットを用いることも可能である。量子ドットは、第1の量子ドットと、第1の量子ドットとは異なる波長域の発光帯を有する第2の量子ドットとを含んでいてもよい。
量子ドットは、所望の狭い波長域で強い蛍光を発生することができる。このため、光波長変換シートを用いたバックライト装置は、色純度の優れた三原色の光で、表示パネルを照明することができる。この場合、表示パネルは、優れた色再現性を有することになる。
量子ドットは、例えば、第1の半導体化合物からなるコアと、およびこのコアを覆い、かつ第1の半導体化合物と異なる第2の半導体化合物からなるシェルと、シェルの表面に結合したリガンドとから構成されている。
コアを構成する第1の半導体化合物としては、例えば、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe及びHgTeのようなII−VI族半導体化合物、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs及びTiSbのようなIII−V族半導体化合物、Si、Ge及びPbのようなIV族半導体、等の半導体化合物又は半導体を含有する半導体結晶が挙げられる。また、InGaPのような3元素以上を含んだ半導体化合物を含む半導体結晶を用いることもできる。これらの中でも、作製の容易性、可視域での発光を得られる粒子径の制御性等の観点から、CdS、CdSe、CdTe、InP、InGaP等の半導体結晶が好適である。
シェルを構成する第2の半導体化合物としては、励起子がコアに閉じ込められるように、コアを構成する第1の半導体化合物よりもバンドギャップの高い半導体化合物を用いることが好ましい。これにより、量子ドットの発光効率を高めることができる。シェルを構成する第2の半導体化合物としては、例えば、ZnS、ZnSe、CdS、GaN、CdSSe、ZnSeTe、AlP、ZnSTe、ZnSSe等が挙げられる。
コアとシェルからなるコアシェル構造(コア/シェル)の具体的な組み合わせとしては、例えば、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InP/ZnSSe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
リガンドは、不安定な量子ドットを安定化させるためのものである。リガンドとしては、チオール等の硫黄系化合物、ホスフィン系化合物またはホスフィン酸化物等のリン系化合物、アミン等の窒素系化合物、カルボキシル基含有化合物等が挙げられる。
量子ドットの形状は特に限定されず、例えば、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。量子ドットの粒子径は、量子ドットの形状が球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
量子ドットの粒子径、平均粒子径、形状、分散状態等の情報については、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡により得ることができる。また、量子ドットは粒子径によって発光色が変化するので、量子ドットの発光色の確認から量子ドットの粒子径を求めることも可能である。また、量子ドットの結晶構造、結晶子サイズについては、X線結晶回折(XRD)により知ることができる。さらには、紫外−可視(UV−Vis)吸収スペクトルによって、量子ドットの粒子径等に関する情報を得ることもできる。
光波長変換組成物中の量子ドットの含有量は、0.01質量%以上2質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。量子ドットの含有量が0.01質量%未満であると、充分な発光強度が得られないおそれがあり、また、量子ドットの含有量が2質量%を超えると、充分な励起光の透過光強度が得られないおそれがある。
<<バインダ樹脂前駆体>>
バインダ樹脂前駆体は、チオール基、イソシアネート基、およびエチレン性不飽和基からなる群から選択される1種以上の官能基を有する1種以上の化合物からなり、かつバインダ樹脂前駆体全体として、チオール基、イソシアネート基、およびエチレン性不飽和基を含むものである。本明細書において、「エチレン性不飽和基」とは、炭素−炭素二重結合を有する基であり、この炭素−炭素二重結合は他の飽和結合と共役していてもよいが、ベンゼン環のような、安定な芳香環における二重結合は含まない。エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。また、本明細書における「バインダ樹脂前駆体全体として、チオール基、イソシアネート基、およびエチレン性不飽和基を含む」とは、バインダ樹脂前駆体全体として、チオール基、イソシアネート基、およびエチレン性不飽和基を含んでいればよく、必ずしも、1種類の化合物にチオール基、イソシアネート基、およびエチレン性不飽和基の全てが含まれていなくともよい。すなわち、1種類の化合物にチオール基、イソシアネート基、およびエチレン性不飽和基が含まれていてもよいが、例えば、ある化合物にチオール基が含まれ、他の化合物にイソシアネート基が含まれ、さらに他の化合物にエチレン性不飽和基が含まれていてもよい。
バインダ樹脂前駆体としては、例えば、(1)チオール基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、およびエチレン性不飽和基を有する化合物を含み、(2)チオール基、イソシアネート基、およびエチレン性不飽和基からなる群から選択される2種の官能基を有する化合物と、チオール基、イソシアネート基、およびエチレン性不飽和基からなる群から選択され、かつ前記2種の官能基を有する化合物の前記官能基とは異なる1種の官能基を有する化合物とを含み、または(3)チオール基、イソシアネート基、およびエチレン性不飽和基を有する化合物を含むものであってもよい。これらの中でも、化合物の入手が容易である点から、(2)チオール基、イソシアネート基、およびエチレン性不飽和基からなる群から選択される2種の官能基を有する化合物、ならびにチオール基、イソシアネート基、およびエチレン性不飽和基からなる群から選択され、かつ前記2種の官能基を有する化合物の前記官能基とは異なる1種の官能基を有する化合物を含むものが好ましい。
上記(2)に記載された化合物の組み合わせとしては、(i)チオール基およびイソシアネート基を有する化合物と、エチレン性不飽和基を有する化合物との組み合わせ、(ii)チオール基およびエチレン性不飽和基を有する化合物と、イソシアネート基を有する化合物との組み合わせ、(iii)チオール基を有する化合物と、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を有する化合物との組み合わせが挙げられる。これらの中でも、保存安定性の観点から、(iii)チオール基を有する化合物と、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を有する化合物との組み合わせが好ましい。
上記1種の官能基を有する化合物においては、上記2種の官能基を有する化合物の前記官能基とは異なる1種の官能基を有していれば、上記2種の官能基のいずれかの官能基をさらに有していてもよい。例えば、上記2種の官能基を有する化合物が、チオール基およびエチレン性不飽和基を有する化合物である場合には、上記1種の官能基を有する化合物は、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を有する化合物であってもよい。
チオール基を有する化合物においては、チオール基当量(チオール基を有する化合物の重量平均分子量/チオール基数)は、量子ドットの周囲にチオール基を存在させやすくする観点から、100以上50000以下であることが好ましい。上記チオール基当量の下限は150以上であることがより好ましく、上限は10000以下であることがより好ましい。本明細書において、「重量平均分子量」は、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解して、従来公知のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算により得られる値である。
イソシアネート基を有する化合物においては、イソシアネート基当量(イソシアネート基を有する化合物の重量平均分子量/イソシアネート基数)は、反応性の観点から、100以上50000以下であることが好ましい。上記イソシアネート基当量の下限は150以上であることがより好ましく、上限は10000以下であることがより好ましい。
バインダ樹脂前駆体がチオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を含んでいるか否かは、(1)赤外分光分析(IR)、(2)ガスクロマトグラフィー分析(GCMS)、(3)ゲル浸透クロマトグラフィー分析(GPC)、核磁気共鳴分光分析(NMR分光分析)を複合的に用いることによって確認することができる。具体的には、赤外分光分析においては光波長変換組成物中に含まれる化合物を大まかに特定でき、ガスクロマトグラフィー分析においては光波長変換組成物中に含まれる化合物の分子量を特定でき、ゲル浸透クロマトグラフィー分析においては光波長変換組成物中に含まれる化合物を分離でき、核磁気共鳴分光分析においては光波長変換組成物中に含まれる化合物の構造式を特定できるので、これらを複合的に用いることでバインダ樹脂前駆体がチオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を含んでいるか確認することができる。
光波長変換組成物中のチオール基を有する化合物の含有量は、5質量%以上80質量%以下であることが好ましい。上記チオール基を有する化合物の含有量が5質量%以上であると、耐熱性試験時や耐湿熱性試験時に量子ドットの劣化をより抑制でき、またチオール基を有する化合物の含有量が80質量%以下であると、光波長変換組成物を十分に硬化させることができる。チオール基を有する化合物の含有量は、下記の方法によって確認することができる。具体的には、例えば、核磁気共鳴分光分析によって光波長変換組成物中に含まれるチオールを有する化合物を特定(同定)し、その後、上記チオール基を有する化合物に該当するガスクロマトグラフィー分析やゲル浸透クロマトグラフィー分析によって得られたピーク面積比から、光波長変換組成物中のチオール基を有する化合物の含有量を求めることができる。光波長変換組成物中のチオール基を有する化合物の含有量の下限は、20質量%以上であることがより好ましく、上限は60質量%以下であることがより好ましい。
光波長変換組成物中のイソシアネート基を有する化合物の含有量は、5質量%以上80質量%以下であることが好ましい。上記イソシアネート基を有する化合物の含有量が5質量%以上であると、ゾルゲル層を備えるバリアフィルムを設ける場合において、ゾルゲル層との密着性をより向上させることができ、またイソシアネート基を有する化合物の含有量が80質量%以下であると、光波長変換組成物を十分に硬化させることができる。イソシアネート基を有する化合物の含有量は、上記チオール基を有する化合物の含有量と同様の方法によって確認することができる。光波長変換組成物中のイソシアネート基を有する化合物の含有量の下限は、20質量%以上であることがより好ましく、上限は60質量%以下であることがより好ましい。
<チオール基を有する化合物>
チオール基を有する化合物は、1分子中に1以上のチオール基を有するものである。チオール基を有する化合物は、チオール基の他、他の官能基を有していてもよい。チオール基を有する化合物は、以下の観点から、1分子中に2以上のチオール基を有するものであることが好ましい。すなわち、チオール基は熱や電離放射線によって他の特定の化合物のエチレン性不飽和基と反応するが、反応物において未反応のチオール基が存在している方が、量子ドットを劣化から保護する機能が高いため、好ましい。1分子中に2以上のチオール基を有している場合には、反応物において未反応のチオール基が存在しやすいので、チオール基は1分子中に2以上存在していることが好ましい。
チオール基は、熱や電離放射線による硬化性に優れることから、特に第1級チオール基であることが好ましいが、2級チオール基または3級チオール基を用いてもよい。2級チオール基または3級チオール基を用いた場合には、塗工時のポットライフが長く、また臭気を抑制できる。
1級チオール基とは、チオール基が結合する炭素原子が第1級炭素原子であるチオール基を意味し、2級チオール基とは、チオール基が結合する炭素原子が第2級炭素原子であるチオール基を意味し、3級チオール基とは、チオール基が結合する炭素原子が第3級炭素原子であるチオール基を意味する。
チオール基を含む化合物は、チオール基を含むチオール含有基の状態で特定の化合物に含まれていてもよい。チオール基を含むチオール含有基としては、特に限定されないが、光波長変換層の形成の際の硬化性や量子ドットの耐熱性および耐湿熱性向上の観点から、下記一般式(1)で示される基が好ましい。
式中、R
1は水素原子、置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R
2は置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、mは1〜20の整数であり、*は、結合位置を表す。
R1のアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい。R1のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
R2のアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよい。R2のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。
R1のアルキル基やR2のアルキレン基が置換されている場合、置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびフェニル基等から選択される基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、および臭素原子が挙げられる。
R1のアルキル基中またはR2のアルキレン基中の1つのメチレン基または隣接しない2以上のメチレン基は、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR3−、−CONR3−、−NR3CO−、−N=CH−および−CH=CH−からなる群から選択された少なくとも1つの基で置換されていてもよい(式中、R3はそれぞれ独立して水素又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
これらのうち、バインダ樹脂の形成の際の硬化性や量子ドットの耐熱性および耐湿熱性向上の観点から、チオール基を有する化合物としては、R1が水素原子または置換されていてもよい炭素原子数1〜5のアルキル基であり、R2が置換されていてもよい炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、mが1〜10である1級チオール基を有する化合物または2級チオール基を有する化合物が好ましい。ここでのR2のアルキレン基中の1つのメチレン基または隣接しない2以上のメチレン基も、上記と同様の基によって置換されていてもよい。
1級チオール基を有する化合物の具体例としては、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−プロピレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,3−プロピレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、グリセリントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
2級チオール基を有する化合物の具体例としては、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)等が挙げられる。3級チオール基を有する化合物の具体例としては、tert−ブチルメルカプタン等が挙げられる。
これらの中でも、チオール基を有する化合物としては、官能基数が多く、より密な架橋を形成できる観点から、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等が好ましい。
<イソシアネート基を有する化合物>
イソシアネート基を有する化合物は、1分子中に1以上のイソシアネート基を有するものである。イソシアネート基を有する化合物は、イソシアネート基の他、他の官能基を有していてもよい。イソシアネート基を有する化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリフェニルメタンジイソシアネート(ポリメリックMDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(1,5−NDI)、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニレンジイソシアネート(TODI)、キシレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族イソシアネート;トラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環式イソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、イソシアネート基を有する化合物としては、入手が容易であり、かつ高い反応性を有する点から、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が好ましい。
<エチレン性不飽和基を有する化合物>
エチレン性不飽和基を有する化合物は、1分子中に1以上のエチレン性不飽和基を有するものである。エチレン性不飽和基を有する化合物は、エチレン性不飽和基の他、他の官能基を有していてもよい。エチレン性不飽和基を有する化合物は、1つのエチレン性不飽和基を有するものであってもよい。エチレン性不飽和基としては、モノマー、オリゴマー、またはプレポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。
モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましく、エチレン性不飽和基が3つ(3官能)以上の多官能オリゴマーがより好ましい。上記多官能オリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
プレポリマーは、重量平均分子量が1万を超えるものであり、重量平均分子量としては1万以上8万以下が好ましく、1万以上4万以下がより好ましい。重量平均分子量が8万を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる光波長変換部材の外観が悪化するおそれがある。このため、重量平均分子量が8万を超えるプレポリマーを用いている場合には、上記モノマーや上記オリゴマーを混合して用いることが好ましい。多官能重合性プレポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
<チオール基およびイソシアネート基を有する化合物>
チオール基およびイソシアネート基を有する化合物は、1分子中に1以上のチオール基および1以上のイソシアネート基を有するものである。チオール基およびイソシアネート基を有する化合物は、チオール基およびイソシアネート基の他、他の官能基を有していてもよい。チオール基およびイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス(2−チオグリコニルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス[2−(β−チオグリコニルオキシエトキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス(2−チオグリコニルオキシエトキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス[3−(β−チオプロピオニルオキシ)プロピル]イソシアヌレート、トリス-[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、トリス(3−チオグリコニルオキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらの中でも、チオール基およびイソシアネート基を有する化合物としては、入手容易な点から、トリス-[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート等が好ましい。
<チオール基およびエチレン性不飽和基を有する化合物>
チオール基およびエチレン性不飽和基を有する化合物は、1分子中に1以上のチオール基および1以上のエチレン性不飽和基を有するものである。チオール基およびエチレン性不飽和基を有する化合物は、チオール基およびエチレン性不飽和基の他に、他の官能基を有していてもよい。チオール基およびエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−メルカプトエチル、2−メルカプトプロピオン酸アリル、(メタ)アクリル酸2−メルカプト−1−カルボキシエチル、N−(2−メルカプトエチル)アクリルアミド、N−(2−メルカプトー1−カルボキシエチル)アクリルアミド、N−(2−メルカプトエチル)メタクリルアミド、N−(4−メルカプトフェニル)アクリルアミド、N−(7−メルカプトナフチル)アクリルアミド、マレイン酸モノ2−メルカプトエチルアミド、2−チオフェンアクリル酸、ビニルスルホン酸、フェニルビニルスルフィド、エチルビニルスルフィド、フェニルビニルスルホン、ジビニルスルホン、ビス(ビニルスホンニル)メタン等が挙げられる。
<イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を有する化合物>
イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を有する化合物は、1分子中に1以上のイソシアネート基および1以上のエチレン性不飽和基を有するものである。イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を有する化合物は、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基の他、他の官能基を有していてもよい。イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、ビニルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルメチルベンジルイソシアネート、メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を有する化合物としては、高い反応性を有する点から、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
<チオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を有する化合物>
チオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を有する化合物は、1分子中に1以上のチオール基、1以上のイソシアネート基、および1以上のエチレン性不飽和基を有するものである。チオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を有する化合物は、チオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基の他、他の官能基を有していてもよい。
<<触媒>>
触媒は、チオール基を有する化合物とイソシアネート基を有する化合物との反応およびチオール基を有する化合物とエチレン性不飽和基を有する化合物との反応の少なくともいずれかの反応を促進させる機能を有するものである。このような触媒としては、例えば、ジブチル錫ラウレート、ジ(2−エチルヘキサン酸))錫等の錫系触媒;テトラアルキルチタネート等のチタン化合物;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等のリン系触媒;トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のアミン系触媒;ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等のピリジン系触媒;及び、1−メチルイミダゾール等のイミダゾール系触媒等が挙げられる。これらの中でも、迅速にチオール基を有する化合物とイソシアネート基とを反応させることができ、また迅速にチオール基を有する化合物とエチレン性不飽和基を有する化合物との反応させることができる観点から、リン系触媒が好ましい。
光波長変換組成物中の触媒の含有量は、0.1質量%以上80質量%以下であることが好ましい。触媒の含有量が5質量%未満であると、チオール基を有する化合物とイソシアネート基を有する化合物が反応しにくく、また触媒の含有量が80質量%を超えると、未反応の触媒が信頼性に悪影響を及ぼすおそれがある。光波長変換組成物中の触媒の含有量の下限は1質量%以上であることがより好ましく、上限は60質量%以下であることがより好ましい。
<<ラジカル重合開始剤>>
ラジカル重合開始剤は、光または熱により分解されて、ラジカルを発生させてバインダ樹脂前駆体の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。光波長変換層用組成物に用いられるラジカル重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤、またはこれらの混合物が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、チオキサントン等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE379、IRGACURE651、IRGACURE819、IRGACURE907、IRGACURE2959、IRGACURE OXE01、ルシリンTPO(いずれもBASFジャパン社製)、NCI−930(ADEKA社製)、SPEEDCURE EMK(日本シーベルヘグナー社製)、ベンソインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル(いずれも東京化成工業社製)等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化物やアゾ化合物等が挙げられる。これらの中でも、高分子アゾ化合物からなる高分子アゾ開始剤が好ましい。高分子アゾ開始剤としては、例えば、アゾ基を介してポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等のユニットが複数結合した構造を有するものが挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ開始剤としては、例えば、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、パーブチルO、パーヘキシルO、パーブチルPV(いずれも日油社製)、V−30、V−501、V−601、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
光波長変換組成物中におけるラジカル重合開始剤の含有量は、バインダ樹脂前駆体100質量部に対し0.3質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量が、0.3質量部未満であると、バインダ樹脂前駆体が硬化しにくく、また、5.0質量部を超えると、光波長変換組成物の硬化物が黄変してしまうおそれがある。
<<光散乱性粒子>>
光散乱性粒子は、後述する光波長変換層や光波長変換部に進入した光を散乱させることによって光の進行方向を変化させる作用を有する粒子である。
光散乱性粒子の平均粒子径は、量子ドットの平均粒子径の20倍以上2000倍以下であることが好ましく、50倍以上1000倍以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が量子ドットの平均粒子径の20倍未満であると、光波長変換層や光波長変換部において充分な光散乱性能が得られないことがあり、光散乱性粒子の平均粒子径が量子ドットの平均粒子径の2000倍を超えると、添加量が同じであっても光散乱性粒子の数が少なくなるため、散乱点の数が減り充分な光散乱効果が得られないおそれがある。なお、光散乱性粒子の平均粒子径は、上述した量子ドットの平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
また、光散乱性粒子の平均粒子径は、後述する光波長変換層の平均膜厚の1/300以上1/20以下であることが好ましく、1/200以上1/30以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が光波長変換層の平均膜厚の1/300未満であると、光波長変換層において充分な光散乱性能が得られないことがあり、光散乱性粒子の平均粒子径が光波長変換層の平均膜厚の1/20を超えると、添加量が同じであっても光波長変換部材に対する光散乱性粒子の割合が低下するため、散乱点の数が減り充分な光散乱効果が得られない。
具体的には、光散乱性粒子の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.3μm以上5μm以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、光波長変換シートの光波長変換効率が不充分となることがあり、充分な光散乱性を出すためには光散乱性粒子の添加量を多くする必要がある。一方、光散乱性粒子の平均粒子径が10μmを超えると、添加量(質量%)が同じであっても光散乱粒子の数が少なくなるため、散乱点の数が減り充分な光散乱効果が得られない。
光散乱性粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状(真球状、略真球状、楕円球状等)、多面体状、棒状(円柱状、角柱状等)、平板状、りん片状、不定形状等が挙げられる。なお、光散乱性粒子の粒子径は、光散乱性粒子の形状が球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
光散乱性粒子は、光散乱性粒子をバインダ樹脂中に強固に固定する観点から、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。シランカップリング剤で表面処理されることによって、後述するバインダ樹脂と化学結合させることができる。
シランカップリング剤としては、用いる重合性化合物の種類にもよるが、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、チオール基、スルフィド基およびイソシアネート基からなる群から選択される1種以上の反応性官能基を有するものを使用することが可能である。重合性化合物として(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いる場合には、カップリング剤は、チオール基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基およびスチリル基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を有することが好ましい。また、重合性化合物としてエポキシ基、イソシアネート基、および水酸基からなる群から選択される少なくとも1種の基を有する化合物を用いる場合には、シランカップリング剤はエポキシ基、イソシアネート基、チオール基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を有することが好ましい。
光散乱性粒子は、アクリル樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、およびウレタン樹脂粒子等の有機粒子であってもよいが、耐熱性試験の前後における輝度変化率を小さくことができ、また光波長変換シートへの入射光を好適に散乱させることが可能となり、この入射光に対する光波長変換効率の向上を好適に図ることできることから、無機粒子が好ましい。
無機粒子は、Al2O3等のアルミニウム含有化合物、ZrO2等のジルコニウム含有化合物、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)や酸化インジウムスズ(ITO)等のスズ含有化合物、MgOやMgF2等のマグネシウム含有化合物、TiO2やBaTiO3等のチタン含有化合物、Sb2O5等のアンチモン含有化合物、SiO2等のケイ素含有化合物、およびZnO等の亜鉛含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、バインダ樹脂との屈折率差を大きくすることができるので、大きなミー散乱強度を得ることができる観点からも好ましい。光波長変換シート10による入射光に対する光波長変換効率の向上をより好適に図ることができることから、光散乱性粒子は、2種以上の材料からなるものであってもよい。
光波長変換組成物の全固形分質量に対する光散乱性粒子の含有量は、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の含有量が1質量%未満であると、光散乱効果が充分に得られないおそれがあり、また、光散乱性粒子の含有量が50質量%を超えると、ミー散乱が起こり難くなるので、光散乱効果を充分に得られないおそれがあり、さらに光散乱性粒子が多すぎるために加工性が低下するおそれがある。
<<<光波長変換粒子>>>
図1に示される光波長変換粒子1は、入射する光の波長を他の波長に変換する粒子である。光波長変換粒子1は、量子ドット含有樹脂粒子2を備えている。量子ドット含有樹脂粒子2は、光透過性のバインダ樹脂3と、バインダ樹脂3に内包された1以上の量子ドット4とを含むものであり、また量子ドット含有樹脂粒子2は、上記光波長変換組成物の硬化物である。光波長変換粒子1は、量子ドット4として、1種類の量子ドットを含んでいてもよいが、図1に示されるように、第1の量子ドット4Aと、第1の量子ドット4Aとは異なる波長域の発光帯を有する第2の量子ドット4Bとを含んでいてもよい。図1に示される光波長変換粒子1は、量子ドット含有樹脂粒子2の表面を覆うコート層5をさらに備えている。
光波長変換粒子1においては、蛍光X線分析(XRF)により測定される光波長変換粒子1中の硫黄元素の含有量は、0.5質量%以上となっていることが好ましい。硫黄元素の含有量が0.5質量%以上であると、量子ドットの劣化をより抑制できる。硫黄元素の含有量の測定は、蛍光X線分析装置(製品名「EDX−800HS」、島津製作所製)を用いることにより行うことができる。硫黄元素の含有量は、3回測定して得られた値の平均値とする。蛍光X線分析(XRF)により測定される光波長変換粒子1中の硫黄元素の含有量の下限は、1質量%以上であることがより好ましく、硫黄元素の含有量の上限は20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。硫黄元素の含有量が20質量%を越えると、光波長変換粒子の形成時に充分な硬化が行われないおそれがある。
光波長変換粒子1の平均粒子径は、量子ドット4の平均粒子径の2倍以上であり、かつ50μm以下であることが好ましい。光波長変換粒子1の平均粒子径が、量子ドット4の平均粒子径の2倍以上であると、量子ドット4からの光波長変換粒子1の表面までの距離を充分に確保できるので、水分や酸素から量子ドット4の劣化をより抑制できる。また、光波長変換粒子1の平均粒子径が、50μm以下であると、分散性が良好で、光波長変換部材の加工時に欠点となりにくい。光波長変換粒子1の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)による光波長変換粒子の観察において光波長変換粒子20個の粒子径を測定し、その平均値を算出することで求めるものとする。光波長変換粒子1の平均粒子径の下限は、量子ドットの劣化をより抑制する観点から、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましく、また光波長変換粒子1の平均粒子径の上限は30μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。
光波長変換粒子1の形状は特に限定されず、例えば、球状(真球状、略真球状、楕円球状等)、多面体状、棒状(円柱状、角柱状等)、平板状、りん片状、不定形状等が挙げられる。なお、光波長変換粒子1の粒子径は、光波長変換粒子1の形状が球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
光波長変換粒子1は、1個あたり1個以上の量子ドット4を含んでいることが好ましい。光波長変換粒子1個に含まれる量子ドットの数が1個を下回ると、輝度が低くなるおそれがある。1個の光波長変換粒子に含まれる量子ドットの個数は、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡を用いてランダムに20個の光波長変換粒子の断面を10万倍〜50万倍の倍率で撮影し、得られた断面の画像から1個の光波長変換粒子に含まれる量子ドットの個数を算出し、算出した量子ドットの個数の平均値を算出することにより求めるものとする。
光波長変換粒子1は、1個あたり2個以上の量子ドット4を含んでおり、かつ1個の光波長変換粒子1に含まれる量子ドット4における量子ドット4間の平均距離が1nm以上であることが好ましい。量子ドット間の平均距離が1nm未満であると、量子ドット間のエネルギー移動に起因してクエンチングを起こす濃度消光により、発光効率が低下するおそれがある。量子ドット間の平均距離は、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡を用いてランダムに20個の光波長変換粒子の断面を10万倍〜50万倍の倍率で撮影し、得られた断面の画像から量子ドット間の距離を算出し、算出した量子ドット間の距離の平均値を算出することにより求めるものとする。量子ドット4における量子ドット4間の平均距離の上限は100nm以下であることがより好ましい。
<<量子ドット含有樹脂粒子>>
量子ドット含有樹脂粒子2は、上述したように上記光波長変換組成物の硬化物である。したがって、量子ドット含有樹脂粒子2のバインダ樹脂3は、チオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を含むバインダ樹脂前駆体の硬化物からなる樹脂であり、また量子ドット含有樹脂粒子2の量子ドット4は、光波長変換組成物の欄で説明した量子ドットである。
バインダ樹脂3は、チオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を含むバインダ樹脂前駆体の硬化物からなる樹脂であるので、硫黄元素を含んでいるが、量子ドットのシェルの表面には、硫黄系化合物等からなるリガンドが結合しているので、光波長変換粒子から硫黄元素が検出された場合であっても、検出された硫黄元素は、バインダ樹脂に含まれる硫黄元素であるとは限らない。このため、バインダ樹脂が、硫黄元素を含んでいるか否かは、以下のようにして確認する。まず、量子ドットのリガンドはシェルの表面に結合しており、またリガンドの配位部位の大きさは通常1nm以内程度であるので、シェルの表面から3nm以上離れた位置には存在しない。したがって、量子ドットのシェルの表面から3nm以上離れたバインダ樹脂の表面または内部の任意の位置において、X線光電子分光分析(XPS)やエネルギー分散型X線分析(EDS)によって硫黄元素が検出されれば、バインダ樹脂が硫黄元素を含んでいると判断できる。
<<コート層>>
コート層5は、量子ドット含有樹脂粒子2の表面を被覆するものである。コート層5の機能は、特に限定されないが、例えば、コート層5は、量子ドット含有樹脂粒子2の形状保持機能、量子ドット含有樹脂粒子中の成分の粒子外への溶出防止機能、樹脂粒子内への分散液や組成物中の成分の浸透防止機能、酸素や水蒸気に対するバリア性付与機能、量子ドット含有樹脂粒子に入射する励起光の反射防止機能、および分散液や組成物としたときの量子ドット含有樹脂粒子分散性付与機能の少なくともいずれかの機能を有する。
コート層5の膜厚は、コート層5が発揮する機能にもよるが、製造のしやすさおよび樹脂粒子を適度な大きさとする観点から、10nm以上5000nm以下となっていることが好ましく、20nm以上1000nm以下がより好ましい。特にコート層5がバリア性付与機能を発揮する場合には、バリア性を保ちつつ、コート層のクラック等を防止する観点からコート層5の膜厚は50nm以上1000nm以下となっていることがより好ましい。また、コート層5が反射防止機能を発揮し、かつ屈折率が後述する光波長変換層のバインダ樹脂<コート層<量子ドット含有樹脂粒子のバインダ樹脂の関係または光波長変換層のバインダ樹脂>コート層>量子ドット含有樹脂粒子のバインダ樹脂の関係を満たす場合には、光波長変換粒子1表面での反射を抑制し、励起光を効率よく量子ドット含有樹脂粒子2内に取り込む観点からコート層5の膜厚は50nm以上300nm以下となっていることがより好ましい。コート層5の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光波長変換粒子1の断面を撮影し、その断面の画像において光波長変換粒子1の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の平均値とする。
コート層5の機能にもよるが、コート層5が量子ドット含有樹脂粒子の形状保持機能を有する場合には、コート層5は、例えば、重合性化合物を含むコート層用組成物を用いて形成することが可能である。
<重合性化合物>
コート層用組成物に含まれる重合性化合物(硬化性化合物)は、重合可能な化合物であり、例えば、電離放射線重合性化合物(電離放射線硬化性化合物)や熱重合性化合物(熱硬化性化合物)が挙げられる。
(電離放射線重合性化合物)
電離放射線重合性化合物は、分子内に電離放射線重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。電離放射線重合性官能基としては、例えば、エチレン性不飽和基が挙げられる。電離放射線重合性化合物としては、例えば、上記光波長変換組成物の欄で説明したエチレン性不飽和基を有する化合物と同様の化合物が挙げられるので、ここでは説明を省略するものとする。
(熱重合性化合物)
熱重合性化合物は、分子内に熱重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。熱重合性官能基としては、例えば、エポキシ基やオキセタニル基等の環状エーテル基、ビニルエーテル基、シラノール基およびアルコキシシリル基等が挙げられる。
エポキシ化合物は、分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、ノボラックフェノール型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、これらの変性物等の芳香族系、あるいは、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、及びアルキレンオキサイド等の脂肪族系が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等の脂肪族系エポキシ化合物、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート等の分子内に1個以上のエポキシ基と1個以上のエステル基を含有する脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。
<<<光波長変換粒子の製造方法>>>
光波長変換粒子1は、例えば、以下の方法によって作製することができる。まず、上記光波長変換組成物に電離放射線または熱を加え、硬化させて、光波長変換組成物の硬化物を得る。そして、この硬化物を、例えば、ビーズミルによって、粉砕する。これにより、光波長変換粒子1を得ることができる。
また、光波長変換粒子1は、以下の方法によっても作製することもできる。まず、上記光波長変換組成物を、水等の貧溶媒中で粒状に分散させる。そして、光波長変換組成物を粒状に分散させた状態で、光波長変換組成物中の重合性化合物を、例えば懸濁重合または乳化重合などによって重合させて、光波長変換粒子1を得る。「貧溶媒」とは、光波長変換組成物がほぼ溶解しない溶媒を意味し、水等の極性溶媒が挙げられる。光波長変換組成物は、ラジカル重合開始剤を含んでいることが好ましい。
<<<光波長変換粒子分散液>>>
光波長変換粒子分散液は、分散媒と、分散媒中に分散された光波長変換粒子1とを含むものである。分散媒としては、特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコ−ル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも、量子ドットの分散性を向上させる観点から、エタノールやトルエンが好ましい。
光波長変換粒子分散液の光波長変換粒子1の含有量は、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。光波長変換粒子の含有量が1質量%未満であると、充分な波長変換機能を得られないおそれがあり、また、光波長変換粒子1の含有量が50質量%を超えると、沈殿を生じて分散液における分散性が不十分となるおそれがある。
<<<光波長変換粒子含有組成物>>>
光波長変換粒子含有組成物は、光波長変換粒子1と、硬化後に後述するバインダ樹脂16となる重合性化合物とを含むものである。光波長変換粒子含有組成物は、光波長変換粒子1および重合性化合物の他、重合開始剤をさらに含んでいてもよい。光波長変換粒子含有組成物は、光散乱性粒子をさらに含んでいることが好ましく、また添加剤や溶剤を含んでいてもよい。
<<重合性化合物>>
光波長変換粒子含有組成物の重合性化合物としては、コート層の欄で説明した重合性化合物と同様のものを用いることができるので、ここでは説明を省略するものとする。なお、光波長変換粒子含有組成物を用いて後述する光源を形成する場合には、光源内の発光体を封止する観点から、光波長変換粒子含有組成物中の重合性化合物は、エポキシ化合物やシラノール基および/またはアルコキシシリル基を有するポリシロキサン化合物であることが好ましい。また、光波長変換粒子含有組成物を用いて後述するカラーフィルタを形成する場合には、各光波長変換層をパターニングする観点から、光波長変換粒子含有組成物中の重合性化合物は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、重合性官能基およびカルボキシル基等の酸性基を有するものであり、アルカリ可溶性樹脂としては、パターニングの際に用いられるアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
<<重合開始剤>>
重合開始剤は、光または熱により分解されて、ラジカルやイオン種を発生させて重合性化合物の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。重合開始剤としては、光重合開始剤(例えば、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤)、熱重合開始剤(例えば、熱ラジカル重合開始剤、熱カチオン重合開始剤、熱アニオン重合開始剤)、またはこれらの混合物が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤および熱ラジカル重合開始剤は、上記光波長変換組成物の欄で説明した光ラジカル重合開始剤および熱ラジカル重合開始剤と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
上記光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等が挙げられる。上記光カチオン重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、アデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−170(いずれもADEKA社製)等が挙げられる。
上記熱カチオン重合開始剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩等の各種オニウム塩類等が挙げられる。上記熱カチオン重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、アデカオプトンCP−66、アデカオプトンCP−77(いずれもADEKA社製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L(いずれも三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)等が挙げられる。
光波長変換粒子含有組成物中における重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対し0.3質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。重合開始剤の含有量が、0.3質量部未満であると、重合性化合物が硬化しにくく、また、5.0質量部を超えると、光波長変換粒子含有組成物の硬化物が黄変してしまうおそれがある。
<<光散乱性粒子>>
光波長変換粒子含有組成物の光散乱性粒子は、上記光波長変換組成物の欄で説明した光散乱性粒子と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<添加剤>>
添加剤としては、特に限定されないが、量子ドットの酸化や劣化を抑制する化合物が好ましい。量子ドットの酸化や劣化を抑制する化合物としては、フェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物、カルボシキシ基含有化合物、ヒドラジン系化合物、アミド系化合物、およびヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。添加剤は、電離放射線重合性官能基や熱重合性官能基等の重合性官能基を有していてもよい。
<<溶剤>>
溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコ−ル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、シクロヘキサン等が挙げられる。
<<<光波長変換部材>>>
光波長変換部材は、上記光波長変換粒子または上記光波長変換組成物の硬化物を含むものである。光波長変換部材は、光波長変換部材が組み込まれる箇所等によって、適宜、形状や構造を変えることができる。例えば、光波長変換部材は、次に説明するような光波長変換シート、後述する光源、または光源近傍に設置される光波長変換層であってもよい。また、光波長変換部材は、カラーフィルタであってもよい。
<<<光波長変換シート>>>
図2に示される光波長変換シート10は、光波長変換部材の一形態であり、入射する光のうち一部の光の波長を他の波長に変換し、入射した光の他の一部および波長変換された光を出射させるシートである。図2に示される光波長変換シート10は、光波長変換層11と、光波長変換層11の両面に設けられた光透過性基材12、13と、光透過性基材12、13における光波長変換層11側の面とは反対側に設けられた光拡散層14、15とを備えている。
光波長変換シート10においては、光拡散層14、15の表面が光波長変換シート10の表面10A、10Bを構成している。光波長変換シート10は、光透過性基材12、13を備えているが、バリア層を備えていないので、光透過性基材およびバリア層からなるバリアフィルムを備えていない。なお、光波長変換シート10は、光拡散層14/光透過性基材12/光波長変換層11/光透過性基材13/光拡散層15の構造となっているが、光波長変換層を有していれば、光波長変換シートの構造は特に限定されない。
光波長変換シート10においては、図3に示されるように、光波長変換シート10の表面10Aから光を入射させた場合には、光波長変換層11中の量子ドット4に入射した光L1は光L1とは異なる波長の光L2に変換されて、表面10Bから出射する。一方、表面10Aから光を入射させた場合であっても、光波長変換層11中の量子ドット4間を通過する光L1は波長変換されずに、表面10Bから出射する。
光波長変換シート10においては、光波長変換層11のバインダ樹脂3によって優れた耐熱性および耐湿熱性が得られるため、シート全体で、40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率(WVTR:Water Vapor Transmission Rate)が0.1g/(m2・24h)以上となっていてもよい。水蒸気透過率はJIS K7129:2008に準拠した手法で得られる数値である。水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(製品名「PERMATRAN−W3/31」、MOCON社製)を用いて測定することができる。水蒸気透過率は、3回測定して得られた値の平均値とする。従来の光波長変換シートはバリアフィルムが形成されているので、光波長変換シート10は、従来の光波長変換シートに比べて水蒸気透過率が高くなっている、すなわち、光波長変換シート10は、従来の光波長変換シートに比べて水分が透過しやすい。後述するように、光波長変換シートが、光波長変換層の他、光学部材を備えている場合には、水蒸気透過率は光学部材を含めた光波長変換シート全体での水蒸気透過率である。
光波長変換シート10においては、光波長変換層11のバインダ樹脂3によって優れた耐熱性および耐湿熱性が得られるため、シート全体で、23℃、相対湿度90%での酸素透過率(OTR: Oxygen Transmission Rate)が0.1cm3/(m2・24h・atm)以上となっていてもよい。光波長変換シート10は、上記水蒸気透過率および上記酸素透過率を同時に満たすものであってもよい。酸素透過率はJIS K7126:2006に準拠した手法で得られる数値である。酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(製品名「OX−TRAN 2/21」、MOCON社製)を用いて測定することができる。酸素透過率は、3回測定して得られた値の平均値とする。従来の光波長変換シートはバリアフィルムが形成されているので、光波長変換シート10は、従来の光波長変換シートに比べて酸素透過率が高くなっている、すなわち、光波長変換シート10は、従来の光波長変換シートに比べて水分のみならず酸素が透過しやすい。上記と同様に、光波長変換シートが、光波長変換層の他、光学部材を備えている場合には、酸素透過率は光学部材を含めた光波長変換シート全体での酸素透過率である。
光波長変換シート10における40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率は1g/(m2・24h)以上となっていてもよく、また光波長変換シート10における23℃、相対湿度90%での酸素透過率が1cm3/(m2・24h・atm)以上となっていてもよい。
光波長変換シート10における内部ヘイズ値は50%以上となっていることが好ましい。内部ヘイズは、光波長変換シートの内部に起因するヘイズ値であり、光波長変換シートにおける表面の凹凸形状を加味しないものである。光波長変換シート10の内部ヘイズ値が50%以上であることにより、内部ヘイズによって光を充分に拡散させて、量子ドットを複数回励起させることができ、また、外部ヘイズ値をより小さくすることができる。光波長変換シート10における内部ヘイズ値は60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
光波長変換シート10における外部ヘイズ値は10%以下(0%を含む)であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。外部ヘイズ値は、光波長変換シートにおける表面の凹凸形状のみに起因するものである。光波長変換シート10の外部ヘイズ値が10%以下であることにより、レンズシート等の再帰反射性シートで再帰反射が生じやすくなる。
光波長変換シート10においては、光波長変換シート10の外部ヘイズ値は光波長変換シート10の内部ヘイズ値よりも小さくなっていることが好ましい。すなわち、光波長変換シート10は、下記式の関係を満たしていることが好ましい。
内部ヘイズ値>外部ヘイズ値
内部ヘイズ値および外部ヘイズ値は、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、求めることができる。具体的には、まず、ヘイズメーターを用いて、JIS K7136:2000に従って光波長変換シートの全ヘイズ値を測定する。その後、光波長変換シートの両面に、膜厚が25μmの透明光学粘着層(製品名「パナクリーンPD−S1」、パナック社製)を介して厚みが60μmのトリアセチルセルロース基材(製品名「TD60UL」、富士フイルム社製)を貼り付ける。これによって、光波長変換シートの表面の凹凸形状が潰れ、光波長変換シートの表面が平坦化される。そして、この状態で、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136:2000に従ってヘイズ値を測定することで内部ヘイズ値を求める。また、外部ヘイズ値は、全ヘイズから内部ヘイズを差し引くことによって求められる。本明細書における「外部ヘイズ値」は、光波長変換シート全体の外部ヘイズ値を意味する。すなわち、本明細書における外部ヘイズ値は、光波長変換シートの一方の表面における外部ヘイズ値と光波長変換シートの他方の表面における外部ヘイズ値の合計を意味する。内部ヘイズ値および外部ヘイズ値は、それぞれ3回測定して得られた値の算術平均値とする。
内部ヘイズ値と外部ヘイズ値は関係性がある。具体的には、内部ヘイズ値が大きくなると、同一の表面凹凸を有する場合でも外部ヘイズが小さくなる傾向がある。これは、以下の理由からであると考えられる。JIS K7136:2000には、ヘイズは、試験片を通過する透過光のうち、前方散乱によって、入射光から0.044rad(2.5°)以上それた透過光の百分率であることが規定されている。すなわち、ヘイズの定義においては入射光に対し2.5°以上それた透過光はヘイズとして測定されるが、入射光に対し2.5°未満の透過光であればヘイズとして測定されない。一方で、内部ヘイズが大きい光波長変換シートにおいては、内部ヘイズがそれよりも小さい光波長変換シートに比べて、光はシート内部でより散乱されるので、シート表面に到達する入射光に対して2.5°未満の透過光は少なくなる。このため、内部ヘイズが大きい光波長変換シートと内部ヘイズがそれよりも小さい光波長変換シートが同一の表面凹凸を有する場合、内部ヘイズが大きい光波長変換シートの方が、内部ヘイズがそれよりも小さい光波長変換シートに比べて、表面凹凸による影響が少なくなる。したがって、シート表面に存在する表面凹凸の影響のみを考えた場合、内部ヘイズが大きい光波長変換シートと内部ヘイズがそれよりも小さい光波長変換シートが同じ表面凹凸を有していたとしても、内部ヘイズが大きい光波長変換シートの方が、内部ヘイズがそれよりも小さい光波長変換シートに比べて、表面凹凸から出射する入射光に対して2.5°未満の透過光のみならず、表面凹凸から出射する入射光に対して2.5°以上それた透過光も、少なくなる。よって、内部ヘイズ値が大きくなると、同一の表面凹凸を有する場合でも外部ヘイズが小さくなると考えられる。
光波長変換シート10において、光波長変換シート10の外部ヘイズ値を光波長変換シート10より小さくするためには、例えば、光波長変換シート10の内部に光散乱性粒子を添加することが挙げられる。光波長変換シートがバリアフィルムおよび光拡散層の少なくともいずれかを備えている場合には、光散乱性粒子は、光波長変換層11の他、バリアフィルム中にも添加されてもよく、また光拡散層中にも添加されてもよい。光散乱性粒子が添加された層が最外層である場合には、外部ヘイズを伴うことがあるため、最外層の表面凹凸を制御することにより上記の内部ヘイズと外部ヘイズの関係性を満たすことができる。
光波長変換シート10における内部ヘイズ値に対する外部ヘイズ値の割合(外部ヘイズ値/内部ヘイズ値)は、0以上0.1以下であることが好ましく、0以上0.05以下であることがより好ましい。この割合がこの範囲内にあれば、内部ヘイズによって光を充分に拡散させて、量子ドットを複数回励起させることができる。
光波長変換シート10の表面10A、10Bの算術平均粗さ(Ra)は、それぞれ0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。光波長変換シート10の表面10A、10BのRaが0.1μmであることが好ましいとしたのは、以下の理由からである。光波長変換シートはバックライト装置内では後述する光学板やレンズシートと接触するが、光波長変換シートと光学板やレンズシートとが貼り付いてしまうと、光波長変換シートと光学板との間の界面や光波長変換シートとレンズシートとの間の界面にウエットアウトと呼ばれる水で濡らしたようなパターンが形成されてしまうおそれがあるので、光波長変換シート10と光学板やレンズシートとの貼り付きを防止するために、Raは、0.1μm以上であることがより好ましい。
上記「Ra」の定義は、JIS B0601:1994に従うものとする。Raは、例えば、表面粗さ測定器(製品名「SE−3400」、小坂研究所社製)を用いて測定することができる。Raは、光波長変換シート10の表面10A、10Bの目視で異常のない箇所(大きい異物や擦りキズ等がない箇所)において、ランダムに15点測定して得られた値の算術平均値とする。
青色光を発する光源を用い、青色光を緑色光に変換する量子ドットおよび青色光を赤色光に変換する量子ドットの両方を含む光波長変換シート10に照射したとき、光波長変換シートにおける透過光のうち青色光の光強度のピーク値に対する緑色光の光強度のピーク値の割合(緑色光の光強度のピーク値/青色光の光強度のピーク値)は、0.3以上2.0以下であることが好ましく、0.5以上1.5以下であることがより好ましい。
また光波長変換シート10における透過光のうち青色光の光強度のピーク値に対する赤色光の光強度のピーク値の割合(赤色光の光強度のピーク値/青色光の光強度のピーク値)は、0.3以上2.0以下であることが好ましく、0.5以上1.5以下であることがより好ましい。
本明細書における「青色光」とは、380nm以上480nm未満の波長域を有する光であり、「緑色光」とは、480nm以上590nm未満の波長域を有する光であり、「赤色光」とは、590nm以上750nm以下の波長域を有する光である。また、上記各光の光強度は、分光放射輝度計(例えば、製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いて測定することができる。
光波長変換シート10の厚みは、10μm以上500μm以下となっていることが好ましい。光波長変換シート10の平均厚みがこの範囲であれば、バックライト装置の軽量化および薄膜化に適している。
光波長変換シート10の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光波長変換シート10の断面を撮影し、その断面の画像において光波長変換シート10の厚みを20箇所測定し、その20箇所の厚みの平均値とする。SEMでの測定の際には、加速電圧を30kV、倍率を1000〜7000倍とすることが好ましい。
<<光波長変換層>>
光波長変換層11は、光波長変換粒子1と、重合性化合物の硬化物であるバインダ樹脂16とを含んでいる。図2に示される光波長変換層11はさらに光散乱性粒子17を含んでいる。光散乱性粒子17を含むことにより、光波長変換効率および内部ヘイズを高めることができる。なお、光波長変換層11に含まれる光波長変換粒子1は、上記光波長変換粒子の欄で説明した光波長変換粒子1と同様であり、また光波長変換層11に含まれる光散乱性粒子17は、光波長変換組成物の欄で説明した光散乱性粒子と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
光波長変換層11においては、蛍光X線分析(XRF)により測定される光波長変換層11中の硫黄元素の含有量は、0.5質量%以上となっていることが好ましい。硫黄元素の含有量が0.5質量%以上であると、量子ドットの劣化をより抑制できる。硫黄元素の含有量の測定は、蛍光X線分析装置(製品名「EDX−800HS」、島津製作所製)を用いることにより行うことができる。硫黄元素の含有量は、3回測定して得られた値の平均値とする。蛍光X線分析(XRF)により測定される光波長変換層11中の硫黄元素の含有量の下限は、1質量%以上であることがより好ましく、硫黄元素の含有量の上限は20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。硫黄元素の含有量が20質量%を越えると、光波長変換層の形成時に充分な硬化が行われないおそれがある。
光波長変換層11においては、蛍光X線分析(XRF)により測定される光波長変換層11中の窒素元素の含有量は、0.5質量%以上となっていることが好ましい。窒素元素の含有量が0.5質量%以上であると、ゾルゲル層を備えるバリアフィルムとの密着性をより改善できる。窒素元素の含有量の測定は、蛍光X線分析装置(製品名「EDX−800HS」、島津製作所製)を用いることにより行うことができる。蛍光X線分析(XRF)により測定される光波長変換層11中の窒素元素の含有量の下限は、1質量%以上であることがより好ましく、窒素元素の含有量の上限は20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。窒素元素の含有量が20質量%を越えると、光波長変換層の形成時に充分な硬化が行われないおそれがある。
光波長変換層11の膜厚は、10μm以上200μm以下となっていることが好ましい。この光波長変換層11の平均厚みがこの範囲であれば、バックライト装置の軽量化および薄膜化に適している。光波長変換層11の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光波長変換層11の断面を撮影し、その断面の画像において光波長変換層11の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の平均値とする。光波長変換層11の平均膜厚の上限は170μm未満であることがより好ましい。
<バインダ樹脂>
バインダ樹脂16としては、重合性化合物の硬化物を用いることができる。重合性化合物としては、上記コート層の欄で説明した重合性化合物と同様ものを用いることができるので、ここでは説明を省略するものとする。
光散乱性粒子17とバインダ樹脂16との屈折率差の絶対値は、充分な光散乱を得る観点から、0.05以上であることが好ましく、0.10以上であることがより好ましい。なお、光散乱性粒子17の屈折率とバインダ樹脂16の屈折率とは、いずれの方が大きくてもよい。ここで、光波長変換層に含有させる前の光散乱性粒子の屈折率の測定方法としては、例えば、ベッケ法、最小偏角法、偏角解析、モード・ライン法、エリプソメトリ法等によって測定することができる。また、光波長変換層11中のバインダ樹脂16の屈折率は、例えば、光波長変換層11中からバインダ樹脂16の欠片を切り出し等により10個取り出し、取り出した10個の欠片において、ベッケ法によりバインダ樹脂16の屈折率をそれぞれ測定し、測定したバインダ樹脂16の屈折率の10個の平均値として求めることができる。また、光散乱性粒子17の屈折率は、例えば、バインダ樹脂16から光散乱性粒子17の表面の一部が露出した欠片を光波長変換層11中から切り出し等により取り出し、取り出した欠片において、ベッケ法により表面が露出した10個の光散乱性粒子17の屈折率をそれぞれ測定し、測定した光散乱性粒子17の屈折率の10個の平均値として求めることができる。ベッケ法とは、屈折率が既知の屈折率標準液を用い、上記欠片をスライドガラスなどに置き、そのサンプル上に屈折率標準液を滴下し、屈折率標準液で欠片を浸漬し、その様子を顕微鏡観察によって観察し、バインダ樹脂や光散乱性粒子の表面と屈折率標準液の屈折率が異なることによってバインダ樹脂や光散乱性粒子の表面に生じる輝線(ベッケ線)が目視で観察できなくなる屈折率標準液の屈折率を、バインダ樹脂や光散乱性粒子の屈折率とする方法である。なお、取り出した欠片において、光散乱性粒子の表面が露出していない場合には、光散乱性粒子の表面はバインダ樹脂によって覆われているので、光散乱性粒子の周囲に存在するバインダ樹脂と屈折率差が生じない。このため、光散乱性粒子の周囲に存在するバインダ樹脂との屈折率差をベッケ法等で測定することによって、光散乱性粒子の表面の一部が露出しているか否か判断することができる。このほか、位相シフトレーザー干渉顕微鏡(エフケー光学研究所製の位相シフトレーザー干渉顕微鏡や溝尻光学工業所製の二光束干渉顕微鏡等)を用いてバインダ樹脂と光散乱性粒子との屈折率差を測定することができる。
<<光透過性基材>>
光透過性基材12、13の厚みは、特に限定されないが、10μm以上300μm以下であることが好ましい。光透過性基材12、13の厚みが、10μm未満であると、光波長変換シートのアッセンブリ、取扱い時における皺や折れが発生するおそれがあり、また300μmを超えると、ディスプレイの軽量化および薄膜化に適さないおそれがある。光透過性基材12、13の厚みのより好ましい下限は50μm以上、より好ましい上限は200μm以下である。
光透過性基材12、13の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光透過性基材12、13の断面を撮影し、その断面の画像において光透過性基材12、13の厚みを20箇所測定し、その20箇所の膜厚の平均値とする。
光透過性基材12、13の構成原料としては、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。光透過性基材12、13の構成材料としては、好ましくは、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が挙げられる。
光透過性基材12、13は、単一の基材から構成されていてもよいが、複数の基材から構成される積層基材であってもよい。このような積層基材は、用途に応じて、同種の構成原料の層からなる複数の層から構成されていてもよく、異なる種類の構成原料の層からなる複数の層から構成されていてもよい。
<<光拡散層>>
光拡散層14、15は、表面に凹凸形状を有しており、この凹凸形状によって光波長変換シート10に入射する光および出射する光を拡散させることができる。光拡散層14、15を設けることにより、光波長変換シート10における光波長変換効率をより高めることができる。光拡散層14、15は、光散乱性粒子とバインダ樹脂とを含んでいる。
<光散乱性粒子>
光拡散層14、15中の光散乱性粒子は、主に、光拡散層14、15の表面に凹凸形状を形成するとともに光散乱性機能を発揮するためのものである。
光拡散層14、15中の光散乱性粒子の平均粒子径は、上述した量子ドット4の平均粒子径の10倍以上2万倍以下であることが好ましく、10〜5000倍であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が量子ドットの平均粒子径の10倍未満であると、光拡散層に充分な光拡散性が得られないことがあり、また光散乱性粒子の平均粒子径が量子ドットの平均粒子径の2万倍を超えると、光拡散層の光拡散性能は優れたものとなるが、光拡散層の光の透過率が大幅にダウンしやすくなる。なお、光散乱性粒子の平均粒子径は、上述した量子ドットの平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
具体的には、光拡散層14、15中の光散乱性粒子の平均粒子径は、例えば、1μm以上30μm以下であることが好ましく、1μm以上20μm以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が1μm未満であると、光波長変換シートの光波長変換効率が不充分となることがあり、充分な光拡散性を出すためには光散乱性粒子の添加量を多くする必要がある。一方、光散乱性粒子の平均粒子径が30μmを超えると、光拡散性能は優れたものとなるが、光拡散層の光の透過率が大幅にダウンしやすくなる。
光拡散層14、15中の光散乱性粒子とバインダ樹脂との屈折率差の絶対値は、0.02以上0.15以下であることが好ましい。0.02未満であると、光学的に光散乱性粒子の持つ屈折率による光拡散性が得られず、光波長変換シートの光波長変換効率の向上が不充分となることがあり、0.15を超えると、光拡散層の透過率が低下してしまうことがある。光散乱性粒子とバインダ樹脂との屈折率差のより好ましい下限は0.03以上、より好ましい上限は0.12以下である。なお、光散乱性粒子の屈折率とバインダ樹脂の屈折率とは、いずれの方が大きくてもよい。光散乱性粒子およびバインダ樹脂の屈折率は、光散乱性粒子17およびバインダ樹脂の屈折率と同様の手法によって測定することができる。
光拡散層14、15中の光散乱性粒子の形状は光波長変換層11中の光散乱性粒子17の形状と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。光拡散層14、15中の光散乱性粒子は、光散乱性粒子をバインダ樹脂中に強固に固定する観点から、バインダ樹脂と化学結合していることが好ましい。この化学結合は、シランカップリング剤で表面修飾された光散乱性粒子を用いることによって実現できる。シランカップリング剤は、光波長変換層中の光散乱性粒子の欄で説明したシランカップリング剤と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
光散乱性粒子は、有機材料からなる粒子または無機材料からなる粒子であってもよい。光散乱性粒子を構成する有機材料としては特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、メラミン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、アクリル−スチレン共重合体樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。なかでも、架橋アクリル樹脂が好適に用いられる。また、上記光拡散粒子を構成する無機材料としては特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛微粒子等の無機酸化物等が挙げられる。なかでも、シリカ及び/又はアルミナが好適に用いられる。
<バインダ樹脂>
光拡散層14、15のバインダ樹脂としては、重合性化合物の硬化物を用いることができる。重合性化合物としては、コート層の欄で説明した重合性化合物と同様のものを用いることができるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<他の光波長変換シート>>
光波長変換シートは、図4に示されるように、上記光波長変換組成物の硬化物であるが、光波長変換粒子1を含まない光波長変換層21を備える光波長変換シート20であってもよい。光波長変換シート20においては、上記光波長変換組成物の硬化物であるので、光波長変換層21に含まれるバインダ樹脂3は、光波長変換粒子1のバインダ樹脂3と同様であり、光波長変換層21に含まれる量子ドット4は光波長変換粒子1の量子ドット4と同様である。
<<他の光波長変換シート>>
光波長変換シートは、図5に示されるように、光波長変換層11のみ(単層構造)の光波長変換シート30であってもよい。また、光波長変換シートは、図6に示されるように、光波長変換層11と、光波長変換層11を支持する光透過性基材41とを備える光波長変換シート40であってもよい。光透過性基材31を備えることにより、光波長変換シート30より光波長変換シートの強度を高めることができる。
<光透過性基材>
光波長変換シート40の光透過性基材41としては、光透過性基材12、13と同様のものを用いることができるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<他の光波長変換シート>>
光波長変換シートは、図7および図8に示されるように、光波長変換層11と、光波長変換層11の少なくとも一方の面側に配置され、かつ光波長変換層11と一体化された光学部材51とを備える光波長変換シート50であってもよい。
<光学部材>
本明細書において、「光学部材」とは、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性など)を有する部材を意味し、光学的特性を有するシート(フィルム)状ないし板状の部材であれば、特に限定されない。光学部材としては、レンズシート、導光板および光拡散板等の光学板、ならびに反射型偏光分離シート、偏光板等が挙げられる。なお、光学部材シートが、光波長変換シートの両面側に設けられている場合には、光学部材はそれぞれ別の光学的特性を有する光学部材であってもよい。本実施形態においては、光学部材がレンズシートである例について説明する。
光学部材51は、図7および図8に示されるように、光透過性基材52と、光透過性基材52の一方の面に設けられたレンズ層53とを備えている。レンズ層53は、図7および図8に示されるように、シート状の本体部54、および本体部54の出光側に並べて配置された複数の単位レンズ55を備えている。光透過性基材52、レンズ層53、本体部54、および単位レンズ55は、後述する光透過性基材111、レンズ層112、本体部113、および単位レンズ114と同様の構成となっているので、ここでは説明を省略するものとする。
光波長変換シート50においては、光学部材51の一方の面に光波長変換組成物を直接塗布、硬化させることによって光波長変換層11と光学部材51とが一体化されている。なお、光波長変換層11と光学部材51は接着層を介して貼り合わせられていてもよい。
<<他の光波長変換シート>>
光波長変換シートは、図9に示されるように、光波長変換層11と、光波長変換層11の両面を覆うオーバーコート層61、62とを備える光波長変換シート60であってもよい。本実施形態においては、光波長変換層11の両面にオーバーコート層61、62が形成されているが、オーバーコート層は光波長変換層の少なくとも一方の面に形成されていれば、光波長変換層11の両面に形成されていなくともよい。なお、光波長変換層の一方の面のみにオーバーコート層が設けられている場合、光波長変換層の他方の面には光透過性基材が設けられていてもよい。
<オーバーコート層>
オーバーコート層61、62は、光波長変換層11の表面を覆い、かつ塗工によって形成された樹脂からなる層である。オーバーコート層61、62上に光拡散層等の他の層が形成されていてもよい。
オーバーコート層61、62は、光波長変換層11が直接大気に暴露されるのを防ぐために設けられているものである。このようなオーバーコート層61、62を光波長変換層11の少なくとも一方の面に設けることにより、量子ドット4を水分や酸素からより保護することができ、また光透過性基材を光波長変換層11の少なくとも一方の面に設けるよりも、光波長変換シートの厚みを薄くできる。
オーバーコート層61、62は、光波長変換層11が直接大気に暴露されるのを防ぐ機能以外に、何らかの機能を有していてもよい。具体的には、オーバーコート層61、62は、例えば、アンチブロッキング性、光拡散性、帯電防止性、および反射防止性等の少なくともいずれかの機能を有する層であってもよい。オーバーコート層61、62が、光波長変換層11が直接大気に暴露されるのを防ぐ機能およびその他何らかの機能を有する層である場合、オーバーコート層61、62には、何らかの機能を有するための材料が添加されていてもよい。
オーバーコート層61、62の膜厚は、光波長変換層11が直接大気に暴露されるのを防ぐとともに、光波長変換シートを薄型化する観点から、0.1μm以上100μm以下となっていることが好ましい。オーバーコート層61、62の膜厚は、光波長変換層11の膜厚と同様の手法によって測定することができる。オーバーコート層61、62の膜厚の下限は1μm以上であることがより好ましく、上限は50μm以下であることがより好ましい。
オーバーコート層61、62は、スクラッチ試験において垂直力10μN以上および水平力−5μN以下の少なくともいずれかとなる硬度を有することが好ましい。オーバーコート層51、52がこのような硬度を有している場合には、オーバーコート層61、62は緻密な膜となるので、光波長変換層11を大気暴露から防ぐ能力が高い。スクラッチ試験における垂直力および水平力は、ナノインデンテーション装置(製品名「TI950 TriboIndenter」、HYSITRON(ハイジトロン)社製)を用いて、オーバーコート層の断面からオーバーコート層の内部方向に圧子(Cube Corner:Ti037_110410(12))を50nm押し込み、その深さを一定として、30秒間この圧子を移動速度4μm/minで水平方向に移動させた際に測定される垂直力(荷重)および水平力の平均値をそれぞれ求め、さらにこのスクラッチ試験を5回繰り返すことによって求めた垂直力の5つの平均値の平均値(5回平均値)および水平力の5つの平均値の平均値(5回平均値)とする。垂直力は数値が大きいほど、水平力は数値が小さいほどオーバーコート層61、52の硬度が高い。光波長変換層11を大気暴露から防ぐ能力を高める観点から、オーバーコート層61、62のスクラッチ試験における垂直力は15μN以上であることがより好ましく、また水平力は−8μN以下であることがより好ましい。
オーバーコート層61、62は、上記硬度を有すれば、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ化合物、イソシアネートおよびポリオールの組み合わせ、金属アルコキシド、ケイ素含有樹脂、水溶性高分子、またはこれらの混合物を含むオーバーコート層用組成物を用いて形成することが可能である。これらの中でも、オーバーコート層61、62は、光波長変換層11が直接大気に暴露されるのを防ぐ観点から、アクリル酸亜鉛、アルコキシシランの加水分解生成物、ポリビニルアルコール、ポリシラザン、またはこれらの混合物を含むオーバーコート層用組成物を用いて形成されることが好ましい。
光波長変換シート20、30、40、50、60においては、シート全体で、40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率が0.1g/(m2・24h)以上となっていてもよい。光波長変換シート20、30、40、50、60においては、シート全体で、23℃、相対湿度90%での酸素透過率が0.1cm3/(m2・24h・atm)以上となっていてもよい。光波長変換シート20、30、40、50、60における40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率は1g/(m2・24h)以上となっていてもよく、また光波長変換シート20、30、40、50、60における23℃、相対湿度90%での酸素透過率が1cm3/(m2・24h・atm)以上となっていてもよい。
<<他の光波長変換シート>>
光波長変換シートは、図10に示されるような光波長変換シート70であってもよい。この場合、光波長変換シート70の水蒸気透過率や酸素透過率は、上述した範囲内になくてよい。
図10に示される光波長変換シート70は、光波長変換層11と、光波長変換層11の両面に設けられたバリアフィルム71、72と、バリアフィルム71、72における光波長変換層11側の面とは反対側に設けられた光拡散層13、14とを備えている。光波長変換シート70においては、光拡散層13、14の表面が光波長変換シート70の表面70A、70Bを構成している。
<バリアフィルム>
バリアフィルム71、72は、水分や酸素の透過を抑制して、量子ドット4を水分や酸素から保護するための部材である。ここで、本明細書における「バリアフィルム」とは、部材単体で、40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率が0.1g/(m2・24h)未満となり、かつ23℃、相対湿度90%での酸素透過率が0.1cm3/(m2・24h・atm)未満となる部材を意味するものとする。バリアフィルムには、単層構造のフィルムのみならず、多層構造のフィルムも含まれる。光波長変換層11を挟持する状態でバリアフィルム71、72を設置することで、より量子ドット4の耐熱性および耐湿熱を向上させることができる。図10に示されるバリアフィルム71、72は、光透過性基材12、13と、光透過性基材12、13における光波長変換層11側に設けられ、かつ水分や酸素の透過を抑制する機能を有するバリア層73、74とを備えている。
バリアフィルム71、72の水蒸気透過率(WVTR:Water Vapor Transmission Rate)は、40℃、相対湿度90%の条件下において、1.0×10−2g/(m2・24h)以下であることが更に好ましい。なお、上記水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(製品名「PERMATRAN−W3/31」、MOCON社製)を用いて測定することができる。
バリアフィルム71、72の酸素透過率(OTR: Oxygen Transmission Rate)は、23℃、相対湿度90%の条件下において、1.0×10−2cm3/(m2・24h・atm)以下であることが更に好ましい。なお、上記酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(製品名「OX−TRAN 2/21」、MOCON社製)を用いて測定することができる。
(バリア層)
バリア層73、74は、水分や酸素の透過を抑制する機能を有する蒸着層75、76と、蒸着層75、76における光波長変換層11側に設けられ、光波長変換層11に密着し、水分や酸素の透過を抑制し、かつ蒸着層75、76の割れ性を抑制するゾルゲル層77、78との積層体となっている。また、バリア層を構成する蒸着層やゾルゲル層はそれぞれ2層以上存在してもよい。例えば、バリア層は、蒸着層/ゾルゲル層/蒸着層/ゾルゲル層の順に積層された積層体であってもよい。この場合、光透過性基材は備えていても、備えていなくともよく、また蒸着層としてシリカの蒸着層を用いた場合にはバリア性が優れているものの、光波長変換シートが曲げられたときに割れが発生してしまいバリア性が低下してしまうおそれがあるので、蒸着層としては、シリカ蒸着層よりバリア性が劣るものの、光波長変換シートが曲げられた場合であっても割れ難いという観点から、シリカ以外の無機酸化物材料、例えばアルミナの蒸着層を用いてもよい。
蒸着層75、76は、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長(PVD)法や化学気相成長(CVD)法等の蒸着法で形成された層である。蒸着層73、74は、バリア性を高めることができるという利点を有する。蒸着層75、76の形成材料としては、蒸着法によって蒸着でき、かつバリア性が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の無機酸化物や金属等が挙げられる。
蒸着層75、76の膜厚は、特に限定されないが、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。蒸着層の膜厚が0.01μm未満であると、蒸着層のバリア性能が不充分となることがあり、また1μmを超えると、蒸着層のクラック等によりバリア性能の劣化が起こりやすくなることがある。蒸着層の厚みのより好ましい下限は0.03μm以上であり、より好ましい上限は0.5μm以下である。
蒸着層75、76の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光波長変換シート70の断面を撮影し、その断面の画像において蒸着膜の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の平均値とする。また、蒸着層は、単一の層であってもよく、複数の層が積層されたものであってもよい。蒸着層が複数層積層されたものである場合、蒸着層を構成する各層は、直接積層形成されていてもよく、貼り合わされていてもよい。
(ゾルゲル層)
ゾルゲル層77、78は、金属アルコキシドを加水分解し、縮合重合することによって得られた層である。金属アルコキシドは、加水分解性を有するものの中から適宜選択して用いることができ、例えば、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
(RX)nM(ORY)(m−n) (2)
一般式(2)中、Mは金属原子である。RXは炭素数1〜8の有機基を表す。RYは、炭素数1〜12のアルキル基を表し、mは金属原子Mの価数であり、nは0以上、m以下の整数である。RX及びRYが複数ある場合、複数あるRX、及び複数あるRYは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
金属原子としては、Si、Al、Sr、Ba、Pb、Ti、Zr、La、Na等が挙げられる。
上記有機基とは、炭素原子を1個以上有する基をいう。RXにおける有機基としては、アルキル基又はフェニル基であることが好ましく、該アルキル基及びフェニル基は、更に置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また、上記アルキル基は二重結合を有していてもよい。
RYは、炭素数1〜12のアルキル基を表し、当該アルキル基中の水素原子が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子に置換されていてもよい。
金属アルコキシドとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、ジメチルジエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のジルコニウムアルコキシド化合物、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、テトラブトキシチタニウム等のチタニウムアルコキシド化合物等が挙げられる。これらの金属アルコキシドは、1種または2種以上を組み合わせて使用することも可能である。上記の金属アルコキシドとしては、その取扱性、硬化反応性、経済性、その他等の点から、アルコキシシラン化合物を使用することが好ましい。
このような金属アルコキシドは、水またはアルコールの共存下で加水分解反応および縮合重合反応を起こし、または、この反応の過程や反応終了後に有機物や触媒を添加し、高分子化して、加熱することにより、非晶質のセラミック質の透明なゾルゲル層を形成することができる。
蒸着層上に金属アルコキシドを含むゾルゲル層用組成物を塗布する方法としては、例えば、ロールコート法、スピンコート法等が挙げられる。
ゾルゲル層77、78の膜厚は、特に限定されないが、0.01μm以上30μm以下であることが好ましい。ゾルゲル層77、78の膜厚が、0.01μm未満であると、ゾルゲル層のバリア性能が不充分となることがあり、また30μmを超えると、加熱による乾操をしたとしても、縮合が十分進行せず、本来のバリア性能が発現されなくなるおそれがある。ゾルゲル層77、78の膜厚の下限は0.1μm以上でることがより好ましく、上限は10μm以上であることがより好ましい。ゾルゲル層77、78の膜厚は、蒸着層75、76の膜厚の測定方法と同様の方法によって求めることができる。
光波長変換シート30、40、50、60、70においては、光波長変換層11は光波長変換粒子1を含んでいるが、光波長変換層11に代えて光波長変換粒子を含まず、かつ上記光波長変換組成物の硬化物からなる光波長変換層を用いてもよい。
<<<光波長変換シートの製造方法>>>
光波長変換シート10は、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、図示しないが、光透過性基材12の一方の面に、光散乱性粒子および重合性化合物を含む光拡散層用組成物を塗布し、乾燥させて、光拡散層用組成物の塗膜を形成する。また、同様に、光透過性基材13の一方の面に、光拡散層用組成物の塗膜を形成する。
次いで、電離放射線照射等によって、光拡散層用組成物の塗膜を硬化させる。これにより、図11(A)に示されるように、光透過性基材12の一方の面に光拡散層14が形成されて、光拡散層14付き光透過性基材12が形成される。また、図示しないが、同様にして、光拡散層15付き光透過性基材13を形成する。
光拡散層15付き光透過性基材13を形成した後、図11(B)に示されるように、光拡散層15付き光透過性基材13における光拡散層15側の面とは反対側の面に、上記光波長変換組成物を塗布し、乾燥させて、光波長変換組成物の塗膜17を形成する。
光波長変換組成物の塗膜17形成後、図12(A)に示されるように光拡散層14付き光透過性基材12における光拡散層14側の面とは反対側の面が上記光波長変換粒子含有組成物の塗膜18と接するように、上記光波長変換粒子含有組成物の塗膜18上に光拡散層14付き光透過性基材12を配置する。これにより、光波長変換粒子含有組成物の塗膜18が、光透過性基材12、13間で挟まれる。
次いで、図12(B)に示されるように光透過性基材12を介して上記光波長変換粒子含有組成物の塗膜18を加熱して、または塗膜18に電離放射線を照射して、光波長変換粒子含有組成物合物を硬化させて、光波長変換層11を形成するとともに、光波長変換層11と、光拡散層14付き光透過性基材12および光拡散層15付き光透過性基材13とを一体化させる。これにより、図2に示される光波長変換シート10が得られる。
光波長変換シート20は、上記光波長変換粒子含有組成物の代わりに、上記光波長変換組成物を用いれば、後は光波長変換シート10と同様の工程によって形成することが可能である。
光波長変換シート30、40、60は、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、基材(図示せず)上に、上記光波長変換粒子含有組成物を塗布し、乾燥させて、光波長変換粒子組成物の塗膜を形成する。そして、この塗膜に熱を加え、または電離放射線を照射して、重合性化合物を硬化させることによって、光波長変換層11を形成する。その後、光波長変換層11から基材を剥離する。これにより、図5に示される光波長変換シート30が得られる。一方、基材として光透過性基材41を用いた場合には、この基材を光波長変換層11から剥離せずに、そのまま残存させることにより、図6に示される光波長変換シート40が得られる。図9に示される光波長変換シート60は、光波長変換シート30の少なくとも一方の面にオーバーコート層用組成物を塗布して、オーバーコート層用組成物の塗膜を形成し、この塗膜を硬化させることによって形成することが可能である。また、光波長変換シート60は、次のような方法によっても形成することが可能である。まず、2枚の基材の一方の面にオーバーコート層用組成物を塗布して、オーバーコート層用組成物の塗膜を形成する。塗膜を形成した後、それぞれのオーバーコート層用組成物の塗膜に電離放射線を照射して、または熱を加えて、オーバーコート層を形成する。オーバーコート層を形成した後、一方の基材に形成されたオーバーコート層上に上記光波長変換粒子含有組成物を塗布して、光波長変換粒子含有組成物の塗膜を形成する。次いで、光波長変換粒子含有組成物の塗膜に他方の基材に形成されたオーバーコート層が接するように光波長変換粒子含有組成物の塗膜上に他方の基材を配置する。次いで、この状態で、光波長変換粒子含有組成物の塗膜に電離放射線を照射して、または熱を加えて、光波長変換層を形成するとともに、光波長変換層と、オーバーコート層とを一体化させる。最後に両方の基材を剥離すれば、図9に示される光波長変換シート60が得られる。
光波長変換シート50は、光学部材51の一方の面側に、上記光波長変換粒子含有組成物を塗布し、乾燥させて、光波長変換粒子含有組成物の塗膜を形成する。そして、この塗膜に熱を加えて、または電離放射線を照射して、重合性化合物を硬化させることによって、光波長変換層11を形成する。これにより、図7に示される光波長変換シート50が得られる。
光波長変換シート70は、光拡散層14、15を、光透過性基材12、13と、光透過性基材12、13の一方の面に形成されたバリア層73、74とを備えるバリアフィルム71、72に形成すれば、後は光波長変換シート10と同様の工程によって形成することが可能である。なお、この場合、ゾルゲル層77、78が光波長変換層11と密着するようにバリアフィルム71、72を配置する。
光波長変換シート10、20、30、40、50、60、70は、バックライト装置および画像表示装置に組み込んで使用することができる。以下、光波長変換シート10をバックライト装置および画像表示装置に組み込んだ例について説明する。図13は本実施形態に係るバックライト装置を含む画像表示装置の概略構成図であり、図14は図13に示されるレンズシートの斜視図であり、図15は図14のレンズシートのII−II線に沿った断面図である。図16、図17、図19は本実施形態に係る他のバックライト装置の概略構成図であり、図18は図17に示される光源の概略構成図であり、図20は図19に示される光学板の入光面付近の拡大図である。図21は本実施形態に係る他の画像表示装置の概略構成図であり、図22は図21に示されるカラーフィルタ付近の拡大図である。
<<<画像表示装置>>>
図13に示される画像表示装置80は、バックライト装置90と、バックライト装置90の出光側に配置された表示パネル130とを備えている。画像表示装置80は、画像を表示する表示面80Aを有している。図13に示される画像表示装置80においては、表示パネル130の表面が表示面80Aとなっている。
バックライト装置90は、表示パネル130を背面側から面状に照らすものである。表示パネル130は、バックライト装置90からの光の透過または遮断を画素毎に制御するシャッターとして機能し、表示面80Aに像を表示するように構成されている。
<<表示パネル>>
図13に示される表示パネル130は、液晶表示パネルであり、入光側に配置された偏光板131と、出光側に配置された偏光板132と、偏光板131と偏光板132との間に配置された液晶セル133とを備えている。偏光板131、132は、入射した光を直交する二つの直線偏光成分(S偏光およびP偏光)に分解し、一方の方向(透過軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、P偏光)を透過させ、前記一方の方向に直交する他方の方向(吸収軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、S偏光)を吸収する機能を有している。
液晶セル133は、主に、ガラス基材等の光透過性基材134と、カラーフィルタ135と、光透過性基材134とカラーフィルタ135の間に配置された液晶層136とから構成されている。
カラーフィルタ135は、ガラス基材等の光透過性基材137と、光透過性基材137の一方の面側に設けられた複数の着色層138と、着色層137間に設けられた遮光層139とから構成されている。カラーフィルタ135は、オーバーコート層、透明電極層、および配向膜や配向突起、柱状スペーサ等をさらに備えていてもよい。
着色層138は、顔料や染料等の色材およびバインダ樹脂から構成されている。着色層138は、通常、光透過性基材137上の遮光層138間に形成され、またそれぞれ異なる色を有する3種類の着色層から構成されている。
<<バックライト装置>>
図13に示されるバックライト装置90は、エッジライト型のバックライト装置として構成され、光源100と、光源100の側方に配置された導光板としての光学板105と、光学板105の出光側に配置された光波長変換シート10と、光波長変換シート10の出光側に配置されたレンズシート110と、レンズシート110の出光側に配置されたレンズシート115と、レンズシート115の出光側に配置された反射型偏光分離シート120と、光学板105の出光側とは反対側に配置された反射シート125とを備えている。バックライト装置90は、光学板105、レンズシート110、115、反射型偏光分離シート120、反射シート125を備えているが、これらのシート等は備えられていなくともよい。本明細書において、「出光側」とは、各部材においてバックライト装置から出射する方向に向かう光が出射される側を意味する。
バックライト置90は、面状に光を発光する発光面90Aを有している。図13に示されるバックライト装置90においては、反射型偏光分離シート120の出光面がバックライト装置90の発光面90Aとなっている。
光波長変換シート10における光学板105側の面が表面10A(入光面)となっており、光波長変換シート10におけるレンズシート110側の面が表面10B(出光面)となっている。
<光源>
光源100は、例えば、線状の冷陰極管等の蛍光灯や、点状の発光ダイオード(LED)や白熱電球等の発光体を備えている。本実施の形態において、光源100は、光学板105の後述する入光面95C側に、線状に並べて配置された多数の点状発光体、具体的には、多数の発光ダイオード(LED)によって、構成されている。
バックライト装置90においては光波長変換シート10が配置されていることに伴い、光源100は、単一の波長域の光を放出する発光体のみを用いることができる。例えば、光源は、色純度の高い青色光を発する青色発光ダイオードのみを用いることができる。
<光学板>
導光板としての光学板105は、平面視形状が四角形形状に形成されている。光学板105は、表示パネル130側の一方の主面によって構成された出光面105Aと、出光面105Aに対向するもう一方の主面からなる裏面105Bと、出光面105Aおよび裏面105Bの間を延びる側面とを有している。側面のうちの光源100側の側面が、光源100からの光を受ける入光面105Cとなっている。入光面105Cから光学板105内に入射した光は、入光面105Cと、入光面105Cと対向する反対面とを結ぶ方向(導光方向)に光学板内を導光され、出光面105Aから出射される。
<レンズシート>
レンズシート110、115は、入射した光の進行方向を変化させて出光側から出射させる機能を有する。本実施形態においては、図15に示されるように、入射角度が大きい光L3の進行方向を変化させて出光側から出射させて、正面方向の輝度を集中的に向上させる機能(集光機能)とともに、入射角度が小さい光L4を反射させて、光波長変換シート10側に戻す機能(再帰反射機能)を有している。レンズシート110、115は、光透過性基材111と、光透過性基材111の一方の面に設けられたレンズ層112とを備えている。
光波長変換シート10の表面10A、10Bが凹凸面となっている場合には、光学板105の出光面105Aは、表面10Aの一部(例えば、凸部)と光学的に密着し、また表面10Aの他の部分(例えば、凹部)と離間していることが好ましく、またレンズシート110の入光面110Aは、表面10Bの一部(例えば、凸部)と光学的に密着し、また表面10Bの他の部分(例えば、凹部)と離間していることが好ましい。この場合、出光面105Aと表面10Aの他の部分との隙間および入光面110Aと表面10Bの他の部分との隙間は空気層となっている。この空気層を設けることにより、出光面105Aと表面10Aおよび入光面110Aと表面10Bが光学的に密着するように光波長変換シート10と光学板105およびレンズシート110とを固定した場合であっても、光波長変換シート10と光学板105およびレンズシート110とが貼り付くことを抑制できるので、光波長変換シート10と光学板105との間の界面および光波長変換シート10とレンズシート110との間の界面にウエットアウトが形成されることを抑制できる。
(光透過性基材)
光透過性基材111は、光透過性基材12、13と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。
(レンズ層)
レンズ層112は、図14および図15に示されるように、シート状の本体部113、および本体部113の出光側に並べて配置された複数の単位レンズ114を備えている。
本体部113は、単位レンズ114を支持するシート状部材として機能する。図14および図15に示されるように、本体部113の出光側面113A上には、単位レンズ114が隙間をあけることなく並べられている。したがって、レンズシート110、115の出光面110B、115Bは、レンズ面によって形成されている。その一方で、図15に示すように、本体部113は、出光側面113Aに対向する入光側面113Bとして、レンズ層112の入光側面をなす平滑な面を有している。
単位レンズ114は、本体部113の出光側面113A上に並べて配列されている。図14に示されるように単位レンズ114は、単位レンズ114の配列方向ADと交差する方向に線状、とりわけ本実施の形態においては直線状に、延びている。また本実施の形態において、一つのレンズシート110、115に含まれる多数の単位レンズ114は、互いに平行に延びている。また、レンズシート110、115の単位レンズ114の長手方向LDは、レンズシート110、115における単位レンズ114の配列方向ADと直交している。
単位レンズ114は、三角柱状であってもよいし、波状や例えば半球状のような椀状であってもよい。具体的には、単位レンズとしては、単位プリズム、単位シリンドリカルレンズ、単位マイクロレンズ等が挙げられる。なお、そのような単位レンズ形状を有するレンズシートとしては、プリズムシート、レンチキュラーレンズシート、マイクロレンズシート等が挙げられる。本実施形態では、単位レンズとして、出光側に向けて幅が狭くなる三角柱状の単位プリズムについて説明する。レンズシート110、115のシート面の法線方向NDおよび単位レンズ114の配列方向ADの両方に平行な断面(レンズシートの主切断面とも呼ぶ)の形状は、出光側に突出する三角形形状となっている。とりわけ、正面方向輝度を集中的に向上させるという観点から、主切断面における単位レンズ114の断面形状は二等辺三角形形状であるとともに、等辺の間に位置する頂角が本体部113の出光側面113Aから出光側に突出するように、各単位レンズ114が構成されている。
単位レンズ114は、光の利用効率を向上させる観点から、80°以上100°以下の頂角を有することが好ましく、約90°の頂角を有することがより好ましい。ただし、光波長変換シートの巻き取りの際における単位レンズの先端の破損を考慮すると、単位レンズ104の先端は曲面であってもよい。
レンズシート110、115の寸法は、一例として、以下のように設定され得る。まず、単位レンズ114の具体例として、単位レンズ114の配列ピッチ(図示された例では、単位レンズ104の幅に相当)を10μm以上200μm以下とすることができる。ただし、昨今においては、単位レンズ114の配列の高精細化が急速に進んでおり、単位レンズ114の配列ピッチを10μm以上50μm以下とすることが好ましい。また、レンズシート110、115のシート面への法線方向NDに沿った本体部113からの単位レンズ114の突出高さを5μm以上100μm以下とすることができる。さらに、単位レンズ114の頂角θを60°以上120°以下とすることができる。
図13から理解され得るように、レンズシート110の単位レンズ114の配列方向とレンズシート115の単位レンズ114の配列方向とは交差、さらに限定的には直交している。
<反射型偏光分離シート>
反射型偏光分離シート120は、レンズシート115から出射される光のうち、第1の直線偏光成分(例えば、P偏光)のみを透過し、かつ第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分(例えば、S偏光)を吸収せずに反射する機能を有する。反射型偏光分離シート120で反射された第2の直線偏光成分は再度反射され、偏光が解消された状態(第1の直線偏光成分と第2の直線偏光成分とを両方含んだ状態)で、再度、反射型偏光分離シート120に入射する。よって、反射型偏光分離シート120は再度入射する光のうち第1の直線偏光成分を透過し、第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分は再度反射される。このような過程を繰り返す事により、レンズシート115から出光した光の70〜80%程度が第1の直線偏光成分となった光源光として出光される。したがって、反射型偏光分離シート120を配置することによって、光波長変換シート10の波長変換効率がさらに上昇させることができる。したがって、更なる光の利用効率の改善を期待することができる。
反射型偏光分離シート120としては、3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)を用いることができる。また、「DBEF」以外にも、Shinwha Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」やワイヤーグリッド偏光子等を、反射型偏光分離シート90として用いることができる。
<反射シート>
反射シート125は、光学板105の裏面105Bから漏れ出した光を反射して、再び光学板105内に入射させる機能を有する。反射シート125は、白色の散乱反射シート、金属等の高い反射率を有する材料からなるシート、高い反射率を有する材料からなる薄膜(例えば金属薄膜)を表面層として含んだシート等から、構成され得る。反射シート125での反射は、正反射(鏡面反射)でもよく、拡散反射でもよい。反射シート125での反射が拡散反射の場合には、当該拡散反射は、等方性拡散反射であってもよいし、異方性拡散反射であってもよい。
<<他のバックライト装置>>
光波長変換シート10を組み込むバックライト装置は、図16に示されるような直下型のバックライト装置であってもよい。図16に示されるバックライト装置140は、光源100と、光源100の光を受け、かつ光拡散板として機能する光学板141と、光学板141の出光側に配置された光波長変換シート10、光波長変換シート10の出光側に配置されたレンズシート110と、レンズシート110の出光側に配置されたレンズシート115と、レンズシート115の出光側に配置された反射型偏光分離シート120とを備えている。本実施形態においては、光源100は、光学板141の側方ではなく、光学板141の直下に配置されている。図16において、図13と同じ符号が付されている部材は、図13で示した部材と同じものであるので、説明を省略するものとする。なお、バックライト装置140においては、反射シート125は備えられていない。
<光学板>
光拡散板としての光学板141は、平面視形状が四角形形状に形成されている。光学板141は、光源105側の一方の主面によって構成された入光面141Aと、光波長変換シート10側の他方の主面によって構成された出光面141Bとを有している。入光面141Aから光学板141内に入射した光は、光学板141内で拡散され、出光面141Bから出射される。
<<他のバックライト装置>>
図13に示されるバックライト装置90は、光波長変換シート10を備えているが、光波長変換部材を備えていれば、バックライト装置の構造は、特に限定されない。例えば、バックライト装置は、図17に示されるように、光波長変換シート10および光源100の代わりに、光源160を備えるバックライト装置150であってもよい。光源160は、光波長変換部材の一形態である。
光源160は、図18に示されるように、基板161と、基板161上に配置された開口部162Aを有する反射部材162と、基板161上かつ反射部材162の開口部162A内に配置された発光ダイオード等の発光体163と、発光体163を覆うように反射部材162の開口部162Aに充填された光波長変換部164とを備えている。
光波長変換部164は、光波長変換層11と形状および配置箇所が異なるだけで、光波長変換部164の構成や物性は光波長変換層11と同様である。光波長変換部164は、光波長変換粒子1と、重合性化合物としてのエポキシ化合物やシラノール基および/またはアルコキシシリル基を有するポリシロキサン化合物とを含む光波長変換粒子含有組成物の硬化物であることが好ましい。光波長変換部164は反射部材162の開口部162A内に上記光波長変換含有組成物を充填し、熱硬化させることによって形成することが可能である。なお、光波長変換部164を有する光源160を用いる場合には、光波長変換部164は発光体163を覆うように配置されていれば、構造は特に限定されない。
<<他のバックライト装置>>
バックライト装置は、図19に示されるバックライト装置170であってもよい。具体的には、図19に示されるバックライト装置170は、光波長変換シート10の代わりに、光源100と光学板105との間に配置された光透過性の光波長変換層180を備えている。光波長変換層180は、光波長変換部材の一形態である。
光波長変換層180は、図20に示されるように光学板105の入光面105Cに設けられている。光波長変換層180は、長手方向が光源90の配列方向に沿うように線状に配置されている。
光波長変換層180は、光波長変換層11と配置箇所や形状が異なるだけで、光波長変換層180の構成や物性は光波長変換層11と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<他の画像表示装置>>
画像表示装置は、図21に示される画像表示装置190であってもよい。具体的には、図21に示される画像表示装置190は、カラーフィルタ135の代わりに、光波長変換層201を備えるカラーフィルタ200を備えている。なお、画像表示装置190においては、光波長変換層201を備えるカラーフィルタ200を備えているので、光波長変換シート10は設けられていない。カラーフィルタ200は、光波長変換部材の一形態である。
カラーフィルタ200は、図21に示されるように、ガラス基材等の光透過性基材137と、光透過性基材137の一方の面側に設けられた複数の光波長変換層201と、光波長変換層201間に設けられた遮光層139とを備えている。なお、カラーフィルタ200は、オーバーコート層、透明電極層、および配向膜や配向突起、柱状スペーサ等をさらに備えていてもよい。
<光波長変換層>
光波長変換層201は、図22に示されるように、第1の光波長変換層201Aと、第1の光波長変換層201Aから出射される光とは異なる色の光を出射する第2の光波長変換層201Bとから構成されている。具体的には、第1の光波長変換層201Aは、第1の量子ドット4Aを含み、かつ第2の量子ドット4Bを含まない第1の光波長変換粒子1Aと、バインダ樹脂16とを含むものであり、第2の光波長変換層201Bは、第2の量子ドット4Bを含み、かつ第1の量子ドット4Aを含まない第2の光波長変換粒子1Bと、バインダ樹脂16とを含むものである。すなわち、第1の量子ドット4Aとして青色光を緑色光に変換する量子ドットおよび第2の量子ドット4Bとして青色光を赤色光に変換する量子ドットを用いて、第1の光波長変換層201Aおよび第2の光波長変換層201Bに青色光を照射した場合には、第1の光波長変換層201Aからは青色光および緑色光が出射され、また第2の光波長変換層201Bからは青色光および赤色光が出射される。
第1の光波長変換層201Aおよび第2の光波長変換層201Bの配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。例えば、図22においては、第1の光波長変換層201Aと第2の光波長変換層201Bとが遮光層139を介して交互に配置されている。
(光波長変換粒子)
第1の光波長変換粒子1Aは、第1の量子ドット4Aを含み、第2の量子ドット4Bを含まないものであり、第2の光波長変換粒子1Bは、第2の量子ドット4Aを含み、第1の量子ドット4Aを含まないものであること以外、光波長変換粒子1と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。
(バインダ樹脂)
第1の光波長変換層201Aおよび第2の光波長変換層201B中のバインダ樹脂16は、光波長変換層11の欄で説明したバインダ樹脂16と同様に重合性化合物の硬化物から構成されているが、重合性化合物としては、光波長変換層のパターニングを行う観点から、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
量子ドットが耐熱性試験や耐湿熱性試験によって劣化しやすいのは、以下のことが原因であると考えられる。まず、上記したように、量子ドットの表面には硫黄系化合物やリン系化合物等からなるリガンドが配位しているが、このリガンドは光や熱で脱離しやすい。リガンドが量子ドットから脱離すると、量子ドットに水分や酸素が付着しやすくなるので、量子ドットは、酸化され、劣化してしまう。これにより、量子ドットが耐熱性試験や耐湿熱性試験によって劣化してしまうものと考えられる。これに対し、本実施形態においては、光波長変換粒子1のバインダ樹脂3や光波長変換層21のバインダ樹脂3が、チオール基およびエチレン性不飽和基を含むバインダ樹脂前駆体の硬化物から構成されているので、耐熱性および耐湿熱性を向上させることができる。これは、リガンドが量子ドットから脱離した場合であっても、バインダ樹脂中に存在する硫黄成分がリガンドの役割を補助するような機能(例えば、リガンドの代わりに量子ドットに結合して、リガンドを代替する機能および酸素を捕捉する機能の少なくともいずれかの機能)を発揮するので、量子ドットの劣化が抑制されるためであると考えられる。なお、第1の光波長変換粒子1Aや第2の光波長変換粒子1Bにおいても、バインダ樹脂3を含んでいるので、同様の理由から、耐熱性および耐湿熱性を向上させることができる。
本実施形態によれば、イソシアネート基を含むバインダ樹脂前駆体を用いているので、光波長変換層の表面にゾルゲル層を備えるバリアフィルムを設けた場合には、ゾルゲル層との密着性を向上させることができる。また、上記したように、チオール基を含むバインダ樹脂前駆体を用いることにより、耐熱性および耐湿熱性を向上させることができるので、バリアフィルムを用いなくとも、量子ドットの劣化を抑制でき、バリアフィルムを設けない場合にも対応することができる。これにより、汎用性に優れた光波長変換組成物を提供することができる。
光波長変換粒子のバインダ樹脂が電離放射線重合性化合物の硬化物のみからなる場合には、光波長変換粒子を含む光波長変換層のバインダ樹脂を熱重合性化合物の硬化物から形成すると、光波長変換粒子と光波長変換層のバインダ樹脂との密着性に劣ることがある。これに対し、本実施形態によれば、光波長変換粒子1がイソシアネート基を含むバインダ樹脂前駆体を用いて形成されているので、光波長変換層11のバインダ樹脂16が熱重合性化合物の硬化物である場合に、光波長変換粒子1とバインダ樹脂16との密着性を高めることができる。
光波長変換粒子のバインダ樹脂や光波長変換層のバインダ樹脂中に、チオール基を有する化合物を固定せずに単に含ませた場合には、チオール基を有する化合物はバインダ樹脂中から脱離しやすい。特に、光波長変換粒子を分散媒に分散させたときに、チオール基を有する化合物を有する化合物はバインダ樹脂中から溶出することにより脱離しやすい。これに対し、本実施形態においては、チオール基を有する化合物はエチレン性不飽基を有する化合物とチオール−エン反応する。したがって、光波長変換粒子1のバインダ樹脂3や光波長変換層21のバインダ樹脂3が、チオール基を有する化合物とエチレン性不飽和基を有する化合物との反応物(硬化物)を含んでいるので、バインダ樹脂3中にチオール基由来の硫黄成分を固定することができる。これにより、安定的に量子ドット4の劣化抑制効果を得ることができる。
量子ドットをガラス粒子に内包させた場合には、水分や酸素の浸入を抑制できるものの、脆いので、製造時や加工時、または耐熱性試験や耐湿熱性試験の際にクラックによる欠陥が発生しやすく、安定な品質を有する光波長変換粒子が得られにくい。これに対し、本実施形態における光波長変換粒子1は、量子ドット4をバインダ樹脂3に内包させているので、優れた柔軟性を有し、クラックによる欠陥を抑制することができる。これにより、安定な品質を有する光波長変換粒子1を提供することができる。
本実施形態によれば、光波長変換粒子1のバインダ樹脂3や光波長変換層21のバインダ樹脂3により量子ドット4の劣化を抑制できるので、光波長変換シート10、20、30、40、50、60のように、バリアフィルムを省略できる。これにより、光波長変換シートの工程を簡素化できることにより品質を良化させやすくなるとともに、光波長変換シートの薄型化を図ることができる。
バリアフィルムを備える光波長変換シートにおいては、耐熱性試験や耐湿熱性試験を行うと、バリアフィルムにピンホールやクラック等の点状の欠点部が発生しやすい。バリアフィルムに欠点部が発生すると、そこから水分や酸素が入り込み、一部の量子ドットが劣化して、光波長変換シートにおいて点状に輝度が低下した部分(輝度欠点)が発生するおそれがある。この点状の輝度欠点は、全体的に量子ドットが劣化して、均一に輝度が低下する場合よりも、視認されやすい。これに対し、本実施形態によれば、光波長変換粒子1のバインダ樹脂3や光波長変換層21のバインダ樹脂3により量子ドット4の劣化を抑制できるので、たとえ、バリアフィルム71、72に欠点部が発生して、この欠点部から水分や酸素が入り込んだ場合であっても、点状の輝度欠点を抑制することができる。
本実施形態によれば、光波長変換粒子1のバインダ樹脂3や光波長変換層11のバインダ樹脂16により量子ドット4の劣化を抑制できるので、光波長変換シート10、20、30、40、50、60、70において、周縁部10C、20A、30A、40A、50A、60A、70Cに存在する量子ドット4の劣化も抑制できる。
光波長変換シート50においては、光波長変換層11と光学部材51が一体化されているので、光波長変換シートと光学部材とを別個独立に配置する場合に比べて、簡素化された薄型のバックライト装置を得ることができる。すなわち、光波長変換シートと光学部材とを別個独立に配置する場合には、光波長変換シートと光学部材との間には空気界面が存在するので、バックライト装置の中に比較的大きな空隙を要する。これに対し、本実施形態においては、光波長変換層11と光学部材51とが一体化されているので、光波長変換層11と光学部材51との間には空気界面が存在しない。これにより、簡素化された薄型のバックライト装置を得ることができる。
発光ダイオード等の発光体は、発光時に熱も発する。このため、通常であれば、光源に光波長変換部を組み込む場合や光源に近接した位置に光波長変換部材を配置する場合には、量子ドットの劣化を抑制するために光波長変換部を覆うバリア部材が必要となる。これに対し、本実施形態においては、光波長変換部164や光波長変換線層180中の光波長変換粒子1のバインダ樹脂3により光波長変換部164における耐熱性および耐湿熱性を向上させることができるので、光波長変換部164や光波長変換層180をバリア部材で覆わなくとも、量子ドット4の劣化を抑制できる。
従来から、光波長変換シートの出光側に、光波長変換シートから出射される量子ドットによって波長変換された光を集光し、かつ光波長変換シートによって波長変換されなかった光を光波長変換シート側に戻すレンズシートを配置して、光波長変換効率を高めることが検討されている。しかしながら、このようなレンズシートを配置するだけでは光波長変換効率が充分ではなく、更なる光波長変換効率の向上が望まれている。本実施形態によれば、光波長変換シート10の外部ヘイズ値が光波長変換シート10の内部ヘイズ値よりも小さくした場合には、光波長変換効率をさらに向上させることができる。すなわち、光源から発せられる光は直進性を有しているので、光波長変換シートに入射して、量子ドットによって波長変換されずに、光波長変換シートを出射する光も直進性を有している。ここで、光波長変換シートの外部ヘイズ値が高いと、光波長変換シートの表面で直進性を有する波長変換されていない光が屈折し、光波長変換シートから出射する波長変換されていない光においては出射角度が大きい成分が多くなってしまう。一方、集光機能および再帰反射機能を有するレンズシートは、レンズシートへの入射角度が小さい光ほどレンズシートを再帰反射させやすい傾向がある。すなわち、レンズシートへの入射角度が大きい光ほどレンズシートを透過しやすいという傾向がある。本実施形態においては、光波長変換シート10においては、外部ヘイズ値が内部ヘイズ値よりも小さくなっているので、光波長変換シート10の表面で波長変換されていない光が屈折したとしても、出射角度が小さい状態で出射させることができ、これにより、光波長変換シート10から出射される波長変換されていない光においては出射角度が小さい成分を多くすることができる。したがって、レンズシート100によって、波長変換されずに光波長変換シートから出射した光を再帰反射させて、光波長変換シート10側に戻すことができるので、波長変換される機会が増える。また、内部ヘイズ値が外部ヘイズ値より大きくなっているので、光波長変換シート内部で光が複数回散乱されることにより光路長が伸び、波長変換される機会がさらに増える。これにより、光波長変換効率を向上させることができる。なお、量子ドット4は等方的に発光するので、量子ドット4によって波長変換された光は様々な方向を向いており、光波長変換シート10の表面に到達すると、さらに光波長変換シートの表面で光が屈折し、波長変換された光は角度が大きい光となって光波長変換シートから出射しやすい。このため、波長変換された光は比較的レンズシート110を透過しやすい。
上記において、外部ヘイズ値を用いて光波長変換シートの表面における光拡散特性(外部拡散特性)を表したのは、以下の理由からである。まず、光波長変換シートの光拡散特性はゴニオフォトメータのような公知の変角光度計により透過光の光強度を角度毎に測定することによって評価することができるが、測定された透過光の光強度の結果を用いて光波長変換シートの光拡散特性を規定することは極めて困難である。一方、上記したように、ヘイズの定義においては入射光に対し2.5°以上それた透過光はヘイズとして測定されるが、入射光に対し2.5°未満の透過光であればヘイズとして測定されない。このようにヘイズとしては入射光に対し2.5°未満の透過光は測定されないが、上記したようにレンズシートへの入射角度が大きい光、すなわち光波長変換シートにおける出射角度が大きい透過光が問題となっているので、入射光に対し2.5°未満の透過光よりも2.5°以上それた透過光がどの程度存在するかが重要である。このため、光波長変換シートの光拡散特性は、変角光度計による透過光の角度毎の光強度を測定しなくとも、光波長変換シートのヘイズ値の大きさで表すことができる。一方で、光波長変換シートの表面で光が屈折してしまい、出射角度が大きくなるということを考慮する必要があるので、光波長変換シートの表面での光拡散特性を表すために、外部ヘイズ値を用いた。
本実施形態によれば、光波長変換層11が光散乱性粒子17を含んでいるので、光波長変換効率を一層向上させることができる。したがって、例えば、光源100として青色光を発する光源を用い、第1の量子ドット4Aとして青色光を緑色光に変換する量子ドットを用い、第2の量子ドット4Bとして青色光を赤色光に変換する量子ドットを含む光波長変換シートに青色光を照射した場合、光散乱性粒子を含んでいない光波長変換シートと比べて、色度x、yを上昇させることでき、白色光または白色に近い色味の光を得ることができる。
本実施形態によれば、光波長変換層11が光散乱性粒子17を含んでいるので、緑色の発光が赤色の発光よりも優先的に増強させることができる。この理由は明確ではないが、光散乱性粒子は、青色光を緑色光に変換する第1の量子ドットから、青色光を赤色光に変換する第2の量子ドットへのエネルギー移動を阻害するような役割を果たしていると考えられ、本来上記エネルギー移動により失活していた緑色の発光が失活することなく発光過程に至り、結果として緑色の発光が増加するためであると考えられる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。
<<光波長変換組成物の調整>>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、光波長変換組成物を得た。
<実施例1>
(光波長変換組成物1)
・2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(製品名「カレンズAOI」、昭和電工社製):40質量部
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「PEMP」、SC有機化学社製):60質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例2>
(光波長変換組成物2)
・2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(製品名「カレンズAOI」、昭和電工社製):40質量部
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「PEMP」、SC有機化学社製):60質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・アルミナ粒子(光散乱性粒子、製品名「DAM−03」、電気化学工業社製、平均粒子径4μm):10質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例3>
(光波長変換組成物3)
・2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(製品名「カレンズMOI」、昭和電工社製):40質量部
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(製品名「カレンズMT PE1」、昭和電工社製):60質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例4>
(光波長変換組成物4)
・トリス-[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート(製品名「TEMPIC」、SC有機化学社製):65質量部
・2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(製品名「NKエステル A−SA」、新中村化学工業社製):35質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例5>
(光波長変換組成物5)
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「PEMP」、SC有機化学社製):45質量部
・2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(製品名「NKエステル A−SA」、新中村化学工業社製):30質量部
・ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン(製品名「MDI」、東京化成工業社製):25質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例6>
まず、重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63質量部、アクリル酸(AA)を12質量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6質量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88質量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2、2’ーアゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7質量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7質量部、トリエチルアミンを0.4質量部、及びハイドロキノンを0.2質量部添加し、100℃で5時間攪拌し、エチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂溶液1(固形分50%)を得た。
次いで、上記アルカリ可溶性樹脂溶液1を用いて、以下の組成の硬化性樹脂組成物1を得た。
(硬化性樹脂組成物1)
・アルカリ可溶性樹脂溶液1(固形分50%):58質量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(製品名「SR399」、サートマー社製):17質量部
・重合開始剤(製品名「Irgacure(登録商標)907」、BASFジャパン社製):4質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル:21質量部
そして、下記に示す組成となるように各成分を配合して、光波長変換組成物6を得た。
(光波長変換組成物6)
・2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(製品名「カレンズAOI」、昭和電工社製):2質量部
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「PEMP」、SC有機化学社製):3質量部
・硬化性樹脂組成物1(固形分50%):20質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.04質量部
・酢酸−3−メトキシブチル:70質量部
<実施例7>
(光波長変換組成物7)
・2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(製品名「カレンズAOI」、昭和電工社製):2質量部
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「PEMP」、SC有機化学社製):3質量部
・硬化性樹脂組成物1(固形分50%):20質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.04質量部
・酢酸−3−メトキシブチル:70質量部
<実施例8>
(光波長変換組成物8)
・2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(製品名「カレンズAOI」、昭和電工社製):40質量部
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「PEMP」、SC有機化学社製):60質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):1.0質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):1.0質量部
・ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製):1質量部
<実施例9>
(光波長変換組成物9)
・2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(製品名「カレンズMOI」、昭和電工社製):40質量部
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(製品名「カレンズMT PE1」、昭和電工社製):60質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):1.0質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):1.0質量部
・ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製):1質量部
<実施例10>
(光波長変換組成物10)
・トリス-[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート(製品名「TEMPIC」、SC有機化学社製):65質量部
・2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(製品名「NKエステル A−SA」、新中村化学工業社製):35質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):1.0質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):1.0質量部
・ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製):1質量部
<実施例11>
(光波長変換組成物11)
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「PEMP」、SC有機化学社製):45質量部
・2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(製品名「NKエステル A−SA」、新中村化学工業社製):30質量部
・ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン(製品名「MDI」、東京化成工業社製):25質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):1.0質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):1.0質量部
・ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製):1質量部
<実施例12>
(光波長変換組成物12)
・2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(製品名「カレンズAOI」、昭和電工社製):40質量部
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「PEMP」、SC有機化学社製):60質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):1.0質量部
・ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製):1質量部
<実施例13>
(光波長変換組成物13)
・2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(製品名「カレンズAOI」、昭和電工社製):40質量部
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「PEMP」、SC有機化学社製):60質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):1.0質量部
・ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製):1質量部
<比較例1>
(光波長変換組成物14)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):100質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製):1質量部
<比較例2>
(光波長変換組成物15)
・硬化性樹脂組成物1(固形分50%):40質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・酢酸−3−メトキシブチル:60質量部
<比較例3>
(光波長変換組成物16)
・硬化性樹脂組成物1(固形分50%):40質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・酢酸−3−メトキシブチル:60質量部
<比較例4>
(光波長変換組成物17)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):100質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):1.0質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):1.0質量部
・ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製):1質量部
<比較例5>
(光波長変換組成物18)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):100質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):1.0質量部
・ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製):1質量部
<比較例6>
(光波長変換組成物19)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):100質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):1.0質量部
・ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製):1質量部
<<光波長変換粒子の製造>>
下記の手順に従って、光波長変換粒子を得た。
<実施例14>
(光波長変換粒子1)
攪拌装置を有する重合容器内に、まず、上記光波長変換組成物8を投入し、そこに貧溶媒として、分散剤であるポリビニルアルコール10質量部をイオン交換水900質量部に溶解させたものを投入した。その後、撹拌装置によって攪拌速度400rpmで10分間攪拌して、光波長変換組成物8を貧溶媒中に液滴として微分散させた。続いて、攪拌装置による攪拌を攪拌速度400rpmで継続させ、光波長変換組成物8および貧溶媒を含む反応液の温度を60℃になるまで昇温し、反応液の温度が60℃の状態で3時間かけて懸濁重合を行い、その後、熱ラジカル開始剤を完全に失活させるため、反応液の温度を80℃になるまで昇温し、反応液の温度が80℃の状態で3時間撹拌して、粒子状の重合物を得た。その後、重合容器内の重合物を含む反応液を攪拌装置により攪拌しながら室温まで冷却した。次いで、反応液を吸引ろ過し、ろ過の残渣をイオン交換水で洗浄し、その後脱液して、光波長変換粒子1を得た。光波長変換粒子1においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子1の平均粒子径は0.5μmであった。光波長変換粒子1の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により20個の光波長変換粒子1の粒子径を測定し、その平均値を算出することによって求めた。なお、以下の光波長変換粒子2〜10の平均粒子径も、光波長変換粒子1と同様の方法と求めた。
<実施例15>
(光波長変換粒子2)
光波長変換粒子1の表面にコート層を形成するため、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)30質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)0.3質量部を含むコート層用組成物1を実施例14の吸引ろ過前の反応液に加え、コート層用組成物1を含むこの反応液の温度を60℃になるまで昇温し、反応液の温度が60℃の状態で3時間かけて懸濁重合を行った。その後、熱ラジカル開始剤を完全に失活させるため、反応液の温度を80℃になるまで昇温し、反応液の温度が80℃の状態で3時間撹拌して、表面にコート層を形成した粒子状の重合物を得た。その後、重合容器内の重合物を含む反応液を攪拌装置により攪拌しながら室温まで冷却した。次いで、反応液を吸引ろ過し、ろ過の残渣をイオン交換水で洗浄し、その後脱液して、光波長変換粒子2を得た。光波長変換粒子2においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットがバインダ樹脂中に内包され、また光波長変換粒子2の平均粒子径は0.6μmであった。
<実施例16>
(光波長変換粒子3)
光波長変換組成物8の代わりに、光波長変換組成物9を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子3を得た。光波長変換粒子3においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットがバインダ樹脂中に内包され、また光波長変換粒子3の平均粒子径は0.5μmであった。
<実施例17>
(光波長変換粒子4)
光波長変換組成物8の代わりに、光波長変換組成物10を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子4を得た。光波長変換粒子4においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットがバインダ樹脂中に内包され、また光波長変換粒子4の平均粒子径は0.5μmであった。
<実施例18>
(光波長変換粒子5)
光波長変換組成物8の代わりに、光波長変換組成物11を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子5を得た。光波長変換粒子5においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットがバインダ樹脂中に内包され、また光波長変換粒子5の平均粒子径は0.5μmであった。
<実施例19>
(光波長変換粒子6)
光波長変換組成物8の代わりに、光波長変換組成物12を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子6を得た。光波長変換粒子6においては緑色発光量子ドットがバインダ樹脂中に内包され、また光波長変換粒子6の平均粒子径は0.5μmであった。
<実施例20>
(光波長変換粒子7)
光波長変換組成物8の代わりに、光波長変換組成物13を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子7を得た。光波長変換粒子7においては赤色発光量子ドットがバインダ樹脂中に内包され、また光波長変換粒子7の平均粒子径は0.5μmであった。
<比較例7>
(光波長変換粒子8)
光波長変換組成物8の代わりに、光波長変換組成物17を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子8を得た。光波長変換粒子8においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットがバインダ樹脂中に内包され、また光波長変換粒子8の平均粒子径は0.5μmであった。
<比較例8>
(光波長変換粒子9)
光波長変換組成物8の代わりに、光波長変換組成物18を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子9を得た。光波長変換粒子9においては緑色発光量子ドットがバインダ樹脂中に内包され、また光波長変換粒子9の平均粒子径は0.5μmであった。
<比較例9>
(光波長変換粒子10)
光波長変換組成物8の代わりに、光波長変換組成物19を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子10を得た。光波長変換粒子10においては赤色発光量子ドットがバインダ樹脂中に内包され、また光波長変換粒子10の平均粒子径は0.5μmであった。
<<光波長変換粒子含有組成物の調製>>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、光波長変換粒子含有組成物を得た。
<実施例21>
(光波長変換粒子含有組成物1)
・光波長変換粒子1:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例22>
(光波長変換粒子含有組成物2)
・光波長変換粒子2:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例23>
(光波長変換粒子含有組成物3)
・光波長変換粒子3:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例24>
(光波長変換粒子含有組成物4)
・光波長変換粒子4:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例25>
(光波長変換粒子含有組成物5)
・光波長変換粒子5:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<実施例26>
(光波長変換粒子含有組成物6)
・光波長変換粒子1:20質量部
・脂環式エポキシ樹脂(製品名「セロキサイド2021P」、ダイセル化学工業社製):80質量部
・カチオン重合開始剤(製品名「サンエイドSI−60L」、三新化学工業社製):1質量部
<実施例27>
(光波長変換粒子含有組成物7)
・光波長変換粒子6:4質量部
・硬化性樹脂組成物1(固形分50%):32質量部
・酢酸−3−メトキシブチル:64質量部
<実施例28>
(光波長変換粒子含有組成物8)
・光波長変換粒子7:4質量部
・硬化性樹脂組成物1(固形分50%):32質量部
・酢酸−3−メトキシブチル:64質量部
<比較例10>
(光波長変換粒子含有組成物9)
・光波長変換粒子8:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・ラジカル重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
<比較例11>
(光波長変換粒子含有組成物10)
・光波長変換粒子8:20質量部
・脂環式エポキシ樹脂(製品名「セロキサイド2021P」、ダイセル化学工業社製):80質量部
・カチオン重合開始剤(製品名「サンエイドSI−60L」、三新化学工業社製):1質量部
<比較例12>
(光波長変換粒子含有組成物11)
・光波長変換粒子9:4質量部
・硬化性樹脂組成物1(固形分50%):32質量部
・酢酸−3−メトキシブチル:64質量部
<比較例13>
(光波長変換粒子含有組成物12)
・光波長変換粒子10:4質量部
・硬化性樹脂組成物1(固形分50%):32質量部
・酢酸−3−メトキシブチル:64質量部
<オーバーコート層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、オーバーコート層用組成物を得た。
(オーバーコート層用組成物1)
・アクリル酸亜鉛(製品名「ZN−DA」日本触媒社製):25質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(製品名「アロニックス(登録商標)M−403」、東亞合成社製):5質量
・メタノール:70質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184、BASFジャパン社製):1質量部
(オーバーコート層用組成物2)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(製品名「アロニックス(登録商標)M−403」、東亞合成社製):30質量部
・メタノール:70質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184、BASFジャパン社製):1質量部
<光拡散層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、光拡散層用組成物1を得た。
(光拡散層用組成物1)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート:99質量部
・光散乱性粒子(架橋ポリスチレン樹脂粒子、製品名「SBX−4」、積水化成品工業株式会社製、平均粒子径4μm):158質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184、BASFジャパン社製):1質量部
・溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1(質量比)):170質量部
<ゾルゲル層用組成物1の調製>
下記に示す組成に従って、組成(a)のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、イソプロピルアルコール、及びイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成(b)のエチルシリケート、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて攪拌し、さらに予め調製した組成(c)のポリビニルアルコール水溶液、酢酸、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液を加えて攪拌し、無色透明のゾルゲル層用組成物1を得た。
(組成(a))
・エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH、エチレン共重合率29%):0.122質量部
・イソプロピルアルコール:0.659質量部
・水:0.439質量部
(組成(b))
・エチルシリケート(製品名「エチルシリケート40」、コルコート社製):9.146質量%
・イソプロピルアルコール:8.780質量部
・アルミニウムアセチルアセトン:0.018質量部
・水:16.291質量部
(組成(c))
・ポリビニルアルコール:1.220質量部
・イソプロピルアルコール:19.893質量部
・水:43.329質量部
・酢酸:0.103質量部
<遮光層用組成物の調整>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、黒色顔料分散液1を得た。
(黒色顔料分散液1)
・黒色顔料:23質量部
・高分子分散材(製品名「Disperbyk111」、ビックケミー・ジャパン社製):2質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル:75質量部
次に、下記に示す組成となるように各成分を配合して、遮光層用組成物1を得た。
(遮光層用組成物1)
・黒色顔料分散液1:61質量部
・硬化性樹脂組成物1:20質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル:30質量部
<実施例29>
大きさ7インチおよび厚みが50μmの光透過性基材としての2枚のポリエチレンテレフタレート(PET)基材(製品名「ルミラーT60」、東レ社製)の片面にそれぞれ上記光拡散層用組成物を、塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、80℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。その後、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより膜厚が10μmの光拡散層を形成し、光拡散層付きPET基材を形成した。
次いで、一方の光拡散層付きPET基材における光拡散層側の面とは反対側の面に光波長変換組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、塗膜に他方の光拡散層付きPET基材における光拡散層側の面とは反対側の面が接するように他方の光拡散層付きPET基材を塗膜に積層した。この状態で、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させ、膜厚が100μmの光波長変換層を形成するとともに、光波長変換層と、2枚の光拡散層付きPET基材とを一体化した。これにより、実施例29に係る光波長変換シートを得た。
<実施例30〜38および比較例14、15>
実施例30〜38および比較例14、15においては、光波長変換組成物1の代わりに表2に示される各光波長変換組成物または光波長変換粒子含有組成物を用いたこと以外は、実施例29と同様にして、光波長変換シートを作製した。
<実施例39>
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材(製品名「ルミラーT60」、東レ社製)の一方の面に光波長変換組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して、塗膜を硬化させて、光波長変換層を形成した。そして、光波長変換層のPET基材側の面とは反対側の面に、オーバーコート層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させて、膜厚5μmのオーバーコート層を得た。次いで、PET基材を剥離した後、光波長変換層のオーバーコート層側の面とは反対側の面に、オーバーコート層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させて、膜厚5μmのオーバーコート層を得た。これにより、光波長変換層と、光波長変換層の両面に形成されたオーバーコート層とからなる光波長変換シートを得た。
<実施例40>
実施例41においては、オーバーコート層用組成物1の代わりにオーバーコート層用組成物2を用いたこと以外は、実施例39と同様にして、光波長変換シートを作製した。
<実施例41および比較例16、17>
実施例41および比較例16、17においては、光波長変換組成物1の代わりに表2に示される各光波長変換組成物または光波長変換粒子含有組成物を用いたこと以外は、実施例39と同様にして、光波長変換シートを作製した。
<実施例42>
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材(製品名「ルミラーT60」、東レ社製)の一方の面にウレタンアクリレートを含むプリズム層用組成物を均一に塗布して、プリズム層用組成物の塗膜を形成し、プリズムシート用積層体を形成した。そして、所望の単位プリズムの形状に対し逆形状の凹部を有し、かつ回転する成形用型にレンズ層用組成物の塗膜が成形用型側となるようにプリズムシート用積層体を走行速度20m/分で供給して成形用型によってプリズム層用組成物の塗膜に単位プリズムの形状を賦形するとともに、PET基材を介してプリズム層用組成物の塗膜に紫外線等の光を照射して、プリズム層用組成物の塗膜を硬化させた。最後に、硬化させたプリズム層用組成物の塗膜をPET基材と共に成形用型から剥離して、PET基材の一方の面にプリズム層が形成されたプリズムシートを得た。プリズム層は、シート状の本体部と、この本体部上に並べて配置され、かつ各々が配列方向と交差する方向に延びており、頂角が90°であり、幅が47μmであり、高さが30μmである複数の三角柱状の単位プリズムを有していた。
次いで、プリズムシートにおけるPET基材のプリズム層側の面とは反対側の面に光波長変換組成物1を塗布して、塗膜を形成した。そして、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して、塗膜を硬化させることにより、プリズムシートと一体化した膜厚が100μmの光波長変換層を形成した。これにより、実施例42に係る光波長変換シートを得た。
<実施例43および比較例18、19>
実施例43および比較例18、19においては、光波長変換組成物1の代わりに表2に示される各光波長変換組成物または光波長変換粒子含有組成物を用いたこと以外は、実施例42と同様にして、光波長変換シートを作製した。
<実施例44>
まず、2枚のバリアフィルムを次のような方法で作製した。高周波スパッタリング装置において、電極に周波数13.56MHz、電力5kWの高周波電力を印加することにより、チャンバー内で放電を生じさせて、大きさ7インチおよび厚みが50μmの光透過性基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「ルミラーT60」、東レ社製)の片面にターゲット物質(シリカ)からなる、厚みが50nmであり、かつ屈折率が1.46であるシリカ蒸着層を形成した。また、シリカ蒸着層の表面に上記ゾルゲル層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜を160℃で加熱して、ゾルゲル層を形成した。これにより、ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面にシリカ蒸着層およびゾルゲル層が形成されたバリアフィルムを2枚形成した。
次いで、両方のバリアフィルムにおけるシリカ蒸着層側の面とは反対側の面に上記光拡散層用組成物1を、塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、80℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。その後、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより膜厚が10μmの光拡散層を形成し、光拡散層付きバリアフィルムを形成した。
次いで、一方の光拡散層付きバリアフィルムのゾルゲル層の面に光波長変換組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、塗膜の表面にゾルゲル層が接するように他方の光拡散層付きバリアフィルムを積層した。この状態で、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して、塗膜を硬化させることにより、両方の光拡散層付きバリアフィルムに密着した膜厚が100μmの光波長変換層を形成した。これにより、実施例44に係る光波長変換シートを得た。
<実施例45および比較例20、21>
実施例45および比較例20、21においては、光波長変換組成物1の代わりに表2に示される各光波長変換組成物または光波長変換粒子含有組成物を用いたこと以外は、実施例44と同様にして、光波長変換シートを作製した。
<実施例46>
発光ピーク波長が450nmの青色発光ダイオードの反射部材の開口部に光波長変換組成物1を充填した。そして、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して充填物を硬化させて、青色発光ダイオードの反射部材の開口部に充填された光波長変換部を備える実施例46に係る光源を得た。
<比較例22>
比較例22においては、光波長変換組成物1の代わりに表2に示される光波長変換組成物14を用いたこと以外は、実施例46と同様にして、光源を作製した。
<実施例47>
発光ピーク波長が450nmの青色発光ダイオードの反射部材の開口部に光波長変換粒子含有組成物6を充填した。そして、100℃で3時間加熱して充填物を硬化させて、青色発光ダイオードの反射部材の開口部に充填された光波長変換部を備える実施例47に係る光源を得た。
<比較例23>
比較例23においては、光波長変換組成物1の代わりに表2に示される光波長変換粒子含有組成物10を用いたこと以外は、実施例47と同様にして、光源を作製した。
<実施例48>
後述するKindle Fire(登録商標)HDX7のバックライト装置の導光板の入光面に光波長変換組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、紫外線を積算光量が500mJ/cm2になるように照射して、塗膜を硬化させて、導光板の入光面に形成された実施例48に係る光波長変換層を得た。
<実施例49および比較例24、25>
実施例49および比較例24、25においては、光波長変換組成物1の代わりに表2に示される各光波長変換組成物または光波長変換粒子含有組成物を用いたこと以外は、実施例48と同様にして、光波長変換層を作製した。
<実施例50>
まず、厚み0.7mmのガラス基板(製品名「AN100」、旭硝子社製)上に遮光層用組成物1をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、膜厚約1μmの塗膜を形成した。そして、この塗膜を、超高圧水銀ランプで所定の形状に露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して、所定の形状にパターニングされた遮光層を形成した。
遮光層を形成した基板上に、光波長変換組成物6をスピンコーティング法により塗布し、その後、70℃のオーブン中で3分間乾燥した。次いで、光波長変換組成物7の塗膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて緑色画素を形成すべき領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05質量%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、この塗膜の未硬化部分のみを除去した。その後、基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより、加熱処理を施して緑色画素を形成すべき領域に膜厚2.5μmの緑色用光波長変換層を形成した。
次いで、光波長変換組成物7を用いて、緑色用光波長変換層の形成と同様の工程で、赤色画素を形成すべき領域に膜厚2.5μmの赤色用光波長変換層を形成した。これにより、実施例50に係るカラーフィルタを得た。
<実施例51および比較例26、27>
実施例51および比較例26、27においては、光波長変換組成物6、7の代わりに表2に示される各光波長変換組成物または光波長変換粒子含有組成物を用いたこと以外は、実施例50と同様にして、カラーフィルタを作製した。なお、光波長変換粒子含有組成物7、11および光波長変換組成物15は、緑色用光波長変換層を形成する際に用いられ、光波長変換粒子含有組成物8、12および光波長変換組成物16は、赤色用光波長変換層を形成する際に用いられた。
<光波長変換粒子中の硫黄元素の確認>
実施例14〜20および比較例7〜9に係る光波長変換粒子1〜10において、バインダ樹脂から硫黄元素が検出されるか否か確認した。具体的には、エネルギー分散型X線分析装置(製品名「JEM−2800」(100mm2シリコンドリフト検出器(SDD)搭載)、日本電子社製)を用いて、加速電圧100kVおよび測定時間30秒の条件下で、量子ドットのシェルの表面から3nm以上離れたバインダ樹脂の表面または内部の任意の位置において、硫黄元素が検出されるか否か確認した。確認基準は以下の通りとした。
○:硫黄元素が検出された。
×:硫黄元素が検出されなかった。
<光波長変換粒子中の硫黄元素の含有量測定>
光波長変換粒子1〜10において、光波長変換粒子に含まれる硫黄元素の含有量を、蛍光X線分析装置(製品名「「EDX−800HS」」、島津製作所製)を用いて測定した。硫黄元素の含有量は、3回測定して得られた値の平均値とした。
<光波長変換層中の硫黄元素の含有量測定>
実施例29〜45および比較例14〜21に係る光波長変換シートにおいて、光波長変換層に含まれる硫黄元素の含有量を、蛍光X線分析装置(製品名「「EDX−800HS」」、島津製作所製)を用いて測定した。硫黄元素の含有量は、3回測定して得られた値の平均値とした。
<水蒸気透過率および酸素透過率測定>
上記実施例29〜45および比較例14〜21に係る光波長変換シートにおいて、水蒸気透過率および酸素透過率をそれぞれ測定した。光波長変換シートの水蒸気透過率は、JIS K7129:2008に準拠して、水蒸気透過率測定装置(製品名「PERMATRAN−W3/31」、MOCON社製)を用いて、40℃、相対湿度90%の条件下で測定した。また、光波長変換シートの酸素透過率は、JIS K7126:2006に準拠して、酸素ガス透過率測定装置(製品名「OX−TRAN 2/21」、MOCON社製)を用いて23℃、相対湿度90%の条件下で測定した。水蒸気透過率および酸素透過率は、それぞれ3回測定して得られた値の平均値とした。
<耐熱性試験後における輝度維持率測定>
上記実施例および比較例に係る光波長変換シート、光源、光波長変換層、およびカラーフィルタにおいて、光波長変換シート、光源、光波長変換層、およびカラーフィルタを80℃の環境下に500時間放置する耐熱性試験を行い、光波長変換シート、光源、光波長変換層、およびカラーフィルタにおける耐熱性試験前の輝度に対する耐熱性試験後における輝度の維持率を調べた。具体的には、まず、Kindle Fire(登録商標)HDX7のバックライト装置を用意し、耐熱性試験前の光波長変換シートをこのバックライト装置に組み込んだ。このバックライト装置は、発光ピーク波長が450nmの青色発光ダイオード、導光板、第1のプリズムシート、および第2のプリズムシートをこの順に備えているものであった。
実施例29〜41、44、45および比較例14〜17、20、21においては、青色発光ダイオード側が入光面となるように導光板を配置するとともに、導光板の出光面上に実施例29〜41、44、45および比較例14〜17、20、21に係る光波長変換シート、第1のプリズムシート、第2のプリズムシートをこの順で配置して、バックライト装置を得た。なお、第2のプリズムシートは、単位プリズムの配列方向が第1のプリズムシートの単位プリズムの配列方向と直交するように配置された。
実施例42、43および比較例18、19においては、青色発光ダイオード側が入光面となるように導光板を配置するとともに、導光板の出光面上にプリズムシートにおけるプリズム面が出光側となるように実施例42、43および比較例18、19に係る光波長変換シート、第2のプリズムシートをこの順で配置して、バックライト装置を得た。なお、第2のプリズムシートは、単位プリズムの配列方向が実施例42、43および比較例18、19に係る光波長変換シートにおけるプリズムシートの単位プリズムの配列方向と直交するように配置された。このようにして、実施例42、43および比較例18、19に係る光波長変換シートが組み込まれたバックライト装置を得た。
そして、光波長変換シートを組み込んだバックライト装置の青色発光ダイオードを点灯させ、青色光を光波長変換シートの一方の表面に照射して、光波長変換シートの他方の表面を介してバックライト装置の発光面(第2のプリズムシートの表面)から出射する光の輝度を、光波長変換シートの厚み方向から、分光放射輝度計(製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いて、測定角1°の条件で、測定した。
次いで、バックライト装置から耐熱性試験前の光波長変換シートを外し、この光波長変換シートに、光波長変換シートを80℃の環境下に500時間放置する耐熱性試験を行った。そして、耐熱性試験後の光波長変換シートを上記と同様に上記バックライト装置に組み込んだ。この状態で、上記と同様に、青色光を光波長変換シートの一方の表面に照射して、光波長変換シートの他方の表面を介してバックライト装置の発光面(第2のプリズムシートの表面)から出射する光の輝度を、光波長変換シートの厚み方向から、分光放射輝度計(製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いて、測定角1°の条件で、測定した。
測定したこれらの輝度から、耐熱性試験前の輝度に対する耐熱性試験後の輝度の維持率をそれぞれ求めた。輝度維持率は、輝度維持率をAとし、耐熱性試験前のバックライト装置の発光面から出射する光の輝度をBとし、耐熱性試験後のバックライト装置の発光面から出射する光の輝度をCとし、下記式によって求めた。
A=C/B×100
実施例46、47および比較例22、23においても、上記と同様にして、耐熱性試験前の輝度に対する耐熱性試験後の輝度の維持率をそれぞれ求めた。ただし、実施例46、47および比較例22、23においては、光源に対して耐熱性試験を行い、また上記青色発光ダイオードを実施例46、47および比較例22、23に係る光源に代え、光源側が入光面となるように導光板を配置するとともに、導光板の出光面上に第1のプリズムシート、第2のプリズムシートをこの順で配置したバックライト装置を用いた。
実施例48、49および比較例24、25においても、上記と同様にして、耐熱性試験前の輝度に対する耐熱性試験後の輝度の維持率をそれぞれ求めた。ただし、実施例48、49および比較例24、25においては、導光板の入光面に形成された実施例48、49および比較例24、25に係る光波長変換層に対して導光板ごと耐熱性試験を行い、また青色発光ダイオード側が光波長変換層となるようにこの導光板を配置するとともに、導光板の出光面上に第1のプリズムシート、第2のプリズムシートをこの順で配置したバックライト装置を用いた。
実施例50、51および比較例26、27においては、カラーフィルタに対して上記と同様の条件で耐熱性試験を行い、またKindle Fire(登録商標)HDX7のバックライト装置上にカラーフィルタを配置して、カラーフィルタから出射される光の輝度を上記と同様に測定することにより、カラーフィルタにおける耐熱性試験前の輝度に対する耐熱性試験後における輝度の維持率を求めた。
<耐湿熱性試験後における輝度維持率測定>
上記実施例および比較例に係る光波長変換シート、光源、光波長変換層、およびカラーフィルタにおいて、光波長変換シート、光源、光波長変換層、およびカラーフィルタを60℃、相対湿度90%の環境下に500時間放置する耐湿熱性試験を行い、光波長変換シート、光源、光波長変換層、およびカラーフィルタにおける耐湿熱性試験前の輝度に対する耐湿熱性試験後における輝度の維持率を調べた。具体的には、まず、Kindle Fire(登録商標)HDX7のバックライト装置を用意し、実施例29〜45および比較例14〜21に係る耐湿熱性試験前の光波長変換シートを上記耐熱性試験と同様にそれぞれこのバックライト装置に組み込んだ。
そして、光波長変換シートを組み込んだバックライト装置の青色発光ダイオードを点灯させ、青色光を光波長変換シートの一方の表面に照射して、光波長変換シートの他方の表面を介してバックライト装置の発光面(第2のプリズムシートの表面)から出射する光の輝度を、光波長変換シートの厚み方向から、分光放射輝度計(製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いて、測定角1°の条件で、測定した。
次いで、バックライト装置から耐湿熱性試験前の光波長変換シートを外し、この光波長変換シートに、光波長変換シートを60℃、相対湿度90%の環境下に500時間放置する耐熱性試験を行った。そして、実施例29〜45および比較例14〜21に係る耐湿熱性試験後の光波長変換シートを上記と同様にそれぞれ上記バックライト装置に組み込んだ。この状態で、上記と同様に、青色光を光波長変換シートの一方の表面に照射して、光波長変換シートの他方の表面を介してバックライト装置の発光面(第2のプリズムシートの表面)から出射する光の輝度を、光波長変換シートの厚み方向から、分光放射輝度計(製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いて、測定角1°の条件で、測定した。
測定したこれらの輝度から、耐湿熱性試験前の輝度に対する耐湿熱性試験後の輝度の維持率をそれぞれ求めた。輝度維持率は、輝度維持率をDとし、耐湿熱性試験前のバックライト装置の発光面から出射する光の輝度をEとし、耐湿熱性試験後のバックライト装置の発光面から出射する光の輝度をFとし、下記式によって求めた。
D=F/E×100
実施例46、47および比較例22、23においても、上記と同様にして、耐湿熱性試験前の輝度に対する耐湿熱性試験後の輝度の維持率をそれぞれ求めた。ただし、実施例47、48および比較例22、23においては、光源に対して耐湿熱性試験を行い、また上記青色発光ダイオードを実施例46、47および比較例22、23に係る光源に代え、光源側が入光面となるように導光板を配置するとともに、導光板の出光面上に第1のプリズムシート、第2のプリズムシートをこの順で配置したバックライト装置を用いた。
実施例48、49および比較例24、25においても、上記と同様にして、耐湿熱性試験前の輝度に対する耐湿熱性試験後の輝度の維持率をそれぞれ求めた。ただし、実施例48、49および比較例24、25においては、導光板の入光面に形成された実施例48、49および比較例24、25に係る光波長変換層に対して導光板ごと耐湿熱性試験を行い、また青色発光ダイオード側が光波長変換層となるようにこの導光板を配置するとともに、導光板の出光面上に第1のプリズムシート、第2のプリズムシートをこの順で配置したバックライト装置を用いた。
実施例50、51および比較例26、27においては、カラーフィルタに対して上記と同様の条件で耐湿熱性試験を行い、またKindle Fire(登録商標)HDX7のバックライト装置上にカラーフィルタを配置して、カラーフィルタから出射される光の輝度を上記と同様に測定することにより、カラーフィルタにおける耐湿熱性試験前の輝度に対する耐熱性試験後における輝度の維持率を求めた。
<点状の輝度欠点評価>
実施例29〜45および比較例14〜21に係る耐熱性試験後の光波長変換シートを組み込んだ上記のバックライト装置を用いて、バックライト装置における発光時の発光面に点状の輝度欠点が存在するかを目視で観察し、評価した。また、実施例29〜45および比較例14〜21に係る耐湿熱性試験後の光波長変換シートを組み込んだ上記のバックライト装置を用いて、同様に、バックライト装置における発光時の発光面に点状の輝度欠点が存在するかを目視で観察し、評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:点状の輝度欠点が確認されなかった。
△:点状の輝度欠点が数点確認された。
×:点状の輝度欠点が多数確認された。
<光波長変換シートの周縁部の劣化幅測定>
実施例29〜45および比較例14〜21に係る耐熱性試験後の光波長変換シートを組み込んだ上記のバックライト装置を用いて、バックライト装置における発光時の発光面における輝度分布を、光波長変換シートの厚み方向から、2D色彩輝度計(製品名「UA−200」、トプコンテクノハウス社製)を用いて、測定した。そして、測定した発光面の輝度分布から、発光面の中央部の輝度に対して輝度が80%となる発光面の位置(輝度80%位置)を求め、発光面における輝度80%位置に最も近い端から輝度80%位置までの最短距離を求めた。そして、この最短距離をランダムに20箇所について求め、この20箇所の最短距離の平均値を、光波長変換シートの周縁部の劣化幅とした。また、実施例29〜45および比較例14〜21に係る耐湿熱性試験後の光波長変換シートを組み込んだ上記のバックライト装置を用いて、同様にして、発光面の輝度分布を測定し、発光面の中央部の輝度に対して輝度が80%となる発光面の位置(輝度80%位置)を求め、発光面における輝度80%位置に最も近い端から輝度80%位置までの最短距離を求めた。
以下、結果について述べる。表3および表4から分かるように、実施例29〜42に係る光波長変換シートにおいては、チオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を含むバインダ樹脂前駆体を用いて光波長変換層や光波長変換粒子を形成しているので、チオール基を含まないバインダ樹脂前駆体を用いて光波長変換層や光波長変換粒子を形成した比較例14〜19に係る光波長変換シートに比べて、耐熱性試験後および耐湿熱性試験後の輝度維持率が高かった。また、実施例44、45に係る光波長変換シートにおいては、チオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を含むバインダ樹脂前駆体を用いて光波長変換層や光波長変換粒子を形成しているので、チオール基を含まないバインダ樹脂前駆体を用いて光波長変換層や光波長変換粒子を形成した比較例20、21に係る光波長変換シートに比べて、耐熱性試験後および耐湿熱性試験後の輝度維持率が高かった。また、実施例46、47に係る光源においては、チオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を含むバインダ樹脂前駆体を用いて光波長変換層や光波長変換粒子を形成しているので、チオール基を含まないバインダ樹脂前駆体を用いて光波長変換層や光波長変換粒子を形成した比較例22、23に係る光源に比べて、耐熱性試験後および耐湿熱性試験後の輝度維持率が高かった。また、実施例48、49に係る光波長変換層においては、チオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を含むバインダ樹脂前駆体を用いて光波長変換層や光波長変換粒子を形成しているので、チオール基を含まないバインダ樹脂前駆体を用いて光波長変換層や光波長変換粒子を形成した比較例24、25に係る光波長変換層に比べて、耐熱性試験後および耐湿熱性試験後の輝度維持率が高かった。さらに、実施例50、51に係るカラーフィルタにおいては、チオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を含むバインダ樹脂前駆体を用いて光波長変換層や光波長変換粒子を形成しているので、チオール基を含まない光波長変換組成物を用いて光波長変換層や光波長変換粒子を形成した比較例26、27に係るカラーフィルタに比べて、耐熱性試験後および耐湿熱性試験後の輝度維持率が高かった。これは、実施例1〜13に係る光波長変換組成物1〜13の硬化物の耐熱性および耐湿熱性が高く、また光波長変換層や光波長変換粒子中の硫黄成分が、量子ドットの劣化を抑制できることを意味している。
実施例29〜43および比較例14〜19に係る光波長変換シートにおいては、バリアフィルムを用いていなかったので、点状の輝度欠点は確認されなかった。また、実施例44、45に係る光波長変換シートにおいては、バリアフィルムを用いているが、チオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を含むバインダ樹脂前駆体を用いて光波長変換層や光波長変換粒子を形成しているので、点状の輝度欠点は確認されなかった。これに対し、チオール基を含まない光波長変換組成物を用いて光波長変換層や光波長変換粒子を形成した比較例20、21に係る光波長変換シートにおいては、点状の輝度欠点が確認された。これは、光波長変換層または光波長変換粒子中の硫黄成分が、量子ドットの劣化を抑制できることを意味している。
実施例29〜45に係る光波長変換シートにおいては、チオール基、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基を含むバインダ樹脂前駆体を用いて光波長変換層や光波長変換粒子を形成しているので、周縁部の劣化は抑制されていた。これに対し、チオール基を含まないバインダ樹脂前駆体を用いて光波長変換層や光波長変換粒子を形成した比較例14〜19に係る光波長変換シートにおいては、周縁部の劣化が確認された。これは、周縁部のような量子ドットが酸素や水蒸気に多く曝される環境においても、光波長変換層または光波長変換粒子中の硫黄成分が、量子ドットの劣化を抑制できることを意味している。また、比較例20、21に係る光波長変換シートは、バリアフィルムによって中央部の劣化が比較的抑制されたが、周縁部の劣化が抑制されなかった。
また、実施例44および比較例20に係る光波長変換シートにおいて、バリアフィルムの剥離強度を測定したところ、実施例44に係る光波長変換シートにおいては、バリアフィルムの剥離強度は4.3N/25mmであり、比較例20に係る光波長変換シートにおいては、バリアフィルムの剥離強度は1.2N/25mmであった。これは、実施例44に係る光波長変換シートにおいては、バインダ樹脂前駆体としてイソシアネート基を含んでいたので、比較例20に係る光波長変換シートよりも剥離強度が高くなったと考えられる。これにより、ゾルゲル層を備えるバリアフィルムを用いたとしても、光波長変換層とバリアフィルムとの密着性に優れる光波長変換シートを提供できるので、汎用性が高い光波長変換組成物が提供できることが確認された。なお、上記剥離強は以下のようにして測定された。まず、耐熱性試験や耐湿熱性試験が行われていない各光波長変換シートから、25mm幅の試験片を、端部に浮きが生じないようにカッターを用いて切り出した。次いで、得られた試験片を引っ張り試験機(機器名「テンシロン」、エ−・アンド・デ−(A&D)社製)に付属している、チャッキング用冶具に固定し、室温で、試験片の表面を0°として、この表面に対して剥離角180°の方向に引張速度0.3m/分の条件でバリアフィルムを引っ張り、光波長変換層からバリアフィルムを引き剥がし、そのときの光波長変換層からバリアフィルムを引き剥がすのに要する力(剥離強度)を測定した。なお、この剥離強度が2.0(N/25mm)以上であれば、光波長変換層とバリアフィルムとの密着性は確保されていると判断できる。
実施例29に係る光波長変換シートの全ヘイズ値は98.9%、内部ヘイズ値は96.7%、外部ヘイズ値は2.2%であり、実施例30に係る光波長変換シートの全ヘイズ値は99.3%、内部ヘイズ値は99.3%、外部ヘイズ値は0%であった。両方の光波長変換シートにおいては、外部ヘイズ値が内部ヘイズ値よりも小さくなっているので、両方とも耐熱性試験前後および耐湿熱性試験前後に関わらず輝度が高いが、実施例29に係る光波長変換シートと実施例30に係る光波長変換シートを比べると、実施例30に係る光波長変換シートの方が耐熱性試験前後に関わらず輝度が高かった。これは、実施例30に係る光波長変換シートは光散乱性粒子としてのアルミナ粒子を含んでいるので、実施例30に係る光波長変換シートの内部ヘイズ値が実施例29に係る波長変換シートの内部ヘイズ値に比べて大きくなり、これにより外部ヘイズ値が小さくなったためである。したがって、光波長変換シートに光散乱性粒子を含ませて、内部ヘイズ値をより高めることによって、外部ヘイズ値をより小さくすることができ、これにより光波長変換効率をより向上できることが確認できた。なお、光波長変換シートにおける全ヘイズ値、内部ヘイズ値、ヘイズ値は以下のようにして測定した。まず、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136に従って光波長変換シートの全ヘイズ値を測定した。その後、光波長変換シートの両面に、膜厚が25μmの透明光学粘着層(製品名「パナクリーンPD−S1」、パナック社製)を介して厚みが60μmのトリアセチルセルロース基材(製品名「TD60UL」、富士フイルム社製)を貼り付けた。これによって、光波長変換シートにおける表面の凹凸形状が潰れ、光波長変換シートの表面が平坦になった。この状態で、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136に従ってヘイズ値を測定して内部ヘイズ値を求めた。そして、全ヘイズ値から内部ヘイズ値を差し引くことにより、外部ヘイズ値を求めた。内部ヘイズ値および外部ヘイズ値は、それぞれ3回測定して得られた値の算術平均値とした。なお、透明光学粘着層およびトリアセチルセルロース基材も光波長変換シートの内部ヘイズ値や外部ヘイズ値に影響を与えるおそれがあるが、光波長変換シートの内部散乱が極めて大きい場合には、これらが内部ヘイズ値や外部ヘイズ値に与える影響は極めて小さくなるので、無視できる。また、光波長変換シートの内部散乱が極めて大きい場合には、内部ヘイズ値が全ヘイズ値と同じ値になることがあるので、外部ヘイズ値が0%になることもある。
また、実施例39、40に係る光波長変換シートにおいて、オーバーコート層に対してスクラッチ試験を行い、その際の垂直力および水平力を測定したところ、実施例39に係る光波長変換シートは、垂直力が21μNであり、水平力が−11μNであり、実施例40に係る光波長変換シートは、垂直力が11μNであり、水平力が−6μNであった。これらのオーバーコート層は緻密な膜となり、光波長変換層を大気暴露から防ぐ能力を有していたが、光波長変換層を大気暴露から防ぐ能力においては実施例39に係る光波長変換シートのオーバーコート層の方が実施例40に係る光波長変換シートのオーバーコート層よりも高いと言える。スクラッチ試験は、ナノインデンテーション装置(製品名「TI950 TriboIndenter」、HYSITRON(ハイジトロン)社製)を用いて、オーバーコート層の断面からオーバーコート層の内部方向に圧子(Cube Corner:Ti037_110410(12))を50nm押し込み、その深さを一定として、30秒間この圧子を移動速度4μm/minで水平方向に移動させることによって行い、その際の垂直力(荷重)および水平力を測定し、測定された垂直力および水平力の平均値を求め、さらにこのスクラッチ試験を5回繰り返すことによって求めた垂直力の5つの平均値の平均値(5回平均値)を垂直力とし、また水平力の5つの平均値の平均値(5回平均値)を水平力とした。
実施例29〜45に係る光波長変換シートにおいては、蛍光X線分析により測定された硫黄元素の含有量が、0.5質量%以上であった。これに対し、比較例14〜21に係る光波長変換シートにおいては、蛍光X線分析により測定された硫黄元素の含有量が、0.5質量%未満であった。なお、比較例14〜21に係る光波長変換シートにおいて、光波長変換組成物に特定の元素が含まれていないにも関わらず、硫黄元素の含有量が0質量%となっていないのは、量子ドット自体に硫黄成分が含まれていたためであると考えられる。
上記実施例においては、緑色発光量子ドットや赤色発光量子ドットのコア材料としてCdSeを用いているが、コア材料としてInP、InAs等の非Cd系材料を用いても、上記実施例と同様の結果が得られた。