JP6866222B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物およびその成形品に関する。
熱可塑性樹脂からなる成形品同士を接合する方法としては、加工工程の削減、接合品の軽量化、環境負荷の低減、接合部分の外観等の点から、レーザー溶着法が有用性を高めている。レーザー溶着法においては、通常、レーザー光を透過する透過材とレーザー光を吸収する吸収材との2つの部材を接合する。
レーザー溶着法においては、照射するレーザー光が強すぎると、吸収材の発熱量が増大するため、溶着部に発泡、焦げ、変色等の外観不良が引き起こされる。一方、照射するレーザー光が弱すぎると、接合強度が低下する。このため、レーザー溶着法においては、吸収材の発熱量を適切な範囲に制御することが非常に重要になる。
ところで、熱可塑性樹脂からなる成形品は、顔料によって着色された着色成形品として利用されることが多い。着色成形品においては、意匠性の点から、色調が非常に重要視される。例えば、車両用部品においては、市場で好まれる黒の色調に対する要求は年々高くなる傾向にある。
黒色の着色剤として代表的なカーボンブラックは、レーザー光の吸収性が高いため、レーザー溶着時に着色成形品の発熱量を増大して樹脂を溶融させることにおいては効率がよい。しかし、カーボンブラックの含有量が増え過ぎると、着色成形品の発熱量が過剰になるため、レーザー溶着時に溶着部に発泡、焦げ、変色等の外観不良が引き起こされやすい。つまり、着色成形品において深い黒味を出すためにカーボンブラックの含有量を増やすと、逆にレーザー溶着後の外観は低下してしまう。よって、着色成形品の色調(特に黒味)とレーザー溶着後の外観とを両立させることは非常に困難である。
特許文献1には、レーザーマーキング性、成形外観(表面光沢)に優れた着色スチレン系樹脂成形体として、スチレン系樹脂および着色剤(カーボンブラック)を含有し、成形体中に0.1〜10μmの二次粒子で存在する着色剤の個数が100〜20000個/mmであるものが開示されている。
特許文献2には、ランプハウジングと他の部材との接合においてレーザー溶着時に発生する不良現象を改善するランプハウジング用熱可塑性樹脂組成物として、ゲル含有量が70%以上であるゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られたゴム強化共重合樹脂またはゴム強化共重合樹脂とビニル系単量体の(共)重合体との組成物からなるゴム強化樹脂と、マレイミド系単量体単位を含む共重合体および/またはα−メチルスチレンの(共)重合体とを特定の割合で組み合わせたものが開示されている。
特開2000−309639号公報 特開2004−182835号公報
しかし、特許文献1の着色スチレン系樹脂成形体においては、色調(特に黒味)とレーザー溶着後の外観とを両立させることについては着目されていない。特許文献1の着色スチレン系樹脂成形体には、着色成形品としての黒味とレーザー溶着法におけるレーザー光の吸収とのバランス、および耐衝撃性の点において技術的に問題がある。
特許文献2のランプハウジング用熱可塑性樹脂組成物においても、成形品の色調(特に黒味)とレーザー溶着後の外観とを両立させることについては着目されていない。特許文献2の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品では、黒味に対する要求レベルを十分に満足させることができていない。
本発明は、色調、耐衝撃性、成形外観(蒸着外観)、耐候性およびレーザー溶着外観に優れた成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物;および、色調、耐衝撃性、成形外観(蒸着外観)、耐候性およびレーザー溶着外観に優れた成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の複合ゴム含有グラフト共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物に、カーボンブラックおよび酸化鉄(III)を特定の配合量で配合することによって上記の課題を解消できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記の態様を有する。
<1>熱可塑性樹脂(A)と、カーボンブラック(B)と、酸化鉄(III)(C)とを含み;前記熱可塑性樹脂(A)として、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレート系重合体とが複合した複合ゴム状重合体の存在下にビニル系単量体を重合して得られたグラフト共重合体(A1)を含み;前記カーボンブラック(B)の含有量が、前記熱可塑性樹脂(A)の100質量部に対して0.1〜3.0質量部であり;前記酸化鉄(III)(C)の含有量が、前記熱可塑性樹脂(A)の100質量部に対して0.1〜3.0質量部であり;前記カーボンブラック(B)の含有量x(質量部)と前記酸化鉄(III)(C)の含有量y(質量部)とが、0.2≦y/x≦5の関係を満足する、熱可塑性樹脂組成物。
<2>前記酸化鉄(III)(C)の平均粒子径が、1μm以下である、前記<1>の熱可塑性樹脂組成物。
<3>前記<1>または<2>の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、色調、耐衝撃性、成形外観(蒸着外観)、耐候性およびレーザー溶着外観に優れた成形品を得ることができる。
本発明の成形品は、色調、耐衝撃性、成形外観(蒸着外観)、耐候性およびレーザー溶着外観に優れる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「成形品」とは、熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものである。
「色調が優れる」とは、成形品の黒味が深い(濃い)ことを意味する。
「レーザー溶着外観が優れる」とは、成形品をレーザー溶着した後、溶着部に外観不良がないことを意味する。
「外観不良」とは、溶着部における発泡、焦げ、変色、溶着不足等を意味する。
「アルキル(メタ)アクリレート」とは、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートの総称である。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)と、カーボンブラック(B)と、酸化鉄(III)(C)とを含む。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内において、必要に応じて熱可塑性樹脂(A)、カーボンブラック(B)および酸化鉄(III)(C)以外の他の添加剤を含んでいてもよい。
(熱可塑性樹脂(A))
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)としてグラフト共重合体(A1)を含む。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)としてグラフト共重合体(A1)のみを含んでいてもよく;グラフト共重合体(A1)と、グラフト共重合体(A1)以外の他の熱可塑性樹脂(A2)とを含んでいてもよい。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形品の耐衝撃性と組成物の流動性とのバランスの点から、熱可塑性樹脂(A)として他の熱可塑性樹脂(A2)をさらに含むことが好ましい。
(グラフト共重合体(A1))
グラフト共重合体(A1)は、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレート系重合体とが複合した複合ゴム状重合体の存在下にビニル系単量体を重合して得られたものである。
なお、グラフト共重合体(A1)においては、複合ゴム状重合体の存在下にビニル系単量体がどのように重合しているか、特定することは困難である。例えば、ビニル系単量体が重合したビニル系重合体としては、複合ゴム状重合体に結合したものと、複合ゴム状重合体に結合していないものとが存在する。また、複合ゴム状重合体に結合したビニル系重合体の分子量、構成単位の割合等を特定することも困難である。すなわち、グラフト共重合体(A1)をその構造または特性により直接特定することが不可能であるか、またはおよそ実際的でないという事情(不可能・非実際的事情)が存在する。したがって、本発明においては、グラフト共重合体(A1)は「ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレート系重合体とが複合した複合ゴム状重合体の存在下にビニル系単量体を重合して得られたもの」と規定することがより適切とされる。
グラフト共重合体(A1)における複合ゴム状重合体とビニル系重合体との質量比は、複合ゴム状重合体が10〜80質量%、ビニル系重合体が20〜90質量%であることが好ましく、複合ゴム状重合体が30〜70質量%、ビニル系重合体が30〜70質量%であることがより好ましい(ただし、複合ゴム状重合体とビニル系重合体との合計を100質量%とする。)。複合ゴム状重合体とビニル系重合体との質量比が前記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性がより優れる。
(ポリオルガノシロキサン)
複合ゴム状重合体を構成するポリオルガノシロキサンとしては、ビニル重合性官能基を有するポリオルガノシロキサン(ビニル重合性官能基含有ポリオルガノシロキサン)が好ましく、ビニル重合性官能基含有シロキサン単位とジメチルシロキサン単位とを有するポリオルガノシロキサンがより好ましい。
ビニル重合性官能基としては、例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
ビニル重合性官能基含有シロキサンは、ビニル重合性官能基を有し、かつジメチルシロキサンとシロキサン結合を介して結合し得るものであればよい。ビニル重合性官能基含有シロキサンとしては、ジメチルシロキサンとの反応性の点から、ビニル重合性官能基を有するアルコキシシラン化合物が好ましい。
ビニル重合性官能基を有するアルコキシシラン化合物としては、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシロキサン;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン等のビニルシロキサン;等が挙げられる。
ポリオルガノシロキサンが有するビニル重合性官能基含有シロキサン単位は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
ビニル重合性官能基含有シロキサン単位の含有量は、ポリオルガノシロキサンを構成する全単位の総モル数(100モル%)に対して、0.3〜3モル%が好ましい。ビニル重合性官能基含有シロキサン単位の含有量が前記範囲内であれば、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレート系重合体とが十分に複合化し、成形品の表面においてポリオルガノシロキサンがブリードアウトしにくくなる。よって、成形品の表面外観がより良好となり、成形品の耐衝撃性もより向上する。
ポリオルガノシロキサンにおける3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子の含有量は、ポリオルガノシロキサン中の全ケイ素原子の総モル数に対して、0〜1モル%が好ましい。3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、成形品の表面外観がさらに良好となる。
ポリオルガノシロキサンの好ましい形態としては、ビニル重合性官能基含有シロキサン単位0.3〜3モル%と、ジメチルシロキサン単位99.7〜97モル%(ただし、ビニル重合性官能基含有シロキサン単位とジメチルシロキサン単位の合計を100モル%とする。)とからなり、3個以上のシロキサン結合を有するケイ素原子の含有量が全ケイ素原子に対し1モル%以下であるポリオルガノシロキサンが挙げられる。
ポリオルガノシロキサンは、典型的には、粒状である。ポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径は、成形品の表面外観がさらに良好となる点から、400nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。ポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径は、キャピラリー方式の粒度分布測定器を用いて質量基準の粒子径分布を測定し、得られた粒子径分布より算出できる。
ポリオルガノシロキサンは、例えば、ビニル重合性官能基含有シロキサンとジメチルシロキサンオリゴマーとを含むシロキサン混合物を重合することで得られる。
ジメチルシロキサンオリゴマーとしては、3員環以上のジメチルシロキサン系環状体が好ましく、3〜7員環のジメチルシロキサン系環状体がより好ましい。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。ジメチルシロキサンオリゴマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シロキサン混合物の重合の方法としては、乳化重合が好ましい。乳化重合は、通常、乳化剤と水と酸触媒とを用いて行われる。
乳化剤としてはアニオン系乳化剤が好ましい。アニオン系乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム等が挙げられる。アニオン系乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸系の乳化剤が好ましい。乳化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
乳化剤の使用量は、シロキサン混合物100質量部に対して0.05〜5質量部が好ましく、1〜3質量部がより好ましい。乳化剤の使用量が前記範囲の下限値以上であれば、分散状態が安定しやすく、微小な粒子径の乳化状態を保持しやすくなる。乳化剤の使用量が前記範囲の上限値以下であれば、乳化剤に起因する成形品の着色を抑制できる。
酸触媒としては、スルホン酸類(例えば脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸等)等の有機酸触媒;鉱酸類(例えば硫酸、塩酸、硝酸等)等の無機酸触媒等が挙げられる。酸触媒としては、後述するシロキサンラテックスのラテックスの安定化作用にも優れている点から、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸がより好ましい。また、n−ドデシルベンゼンスルホン酸と硫酸等の鉱酸とを併用すると、ポリオルガノシロキサンの製造に用いた乳化剤の色が成形品の色に与える影響を小さく抑えることができる。酸触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸触媒の添加量は、通常、シロキサン混合物100質量部に対して0.1〜20質量部程度である。
酸触媒は、シロキサン混合物と乳化剤と水とを混合するタイミングでそれらと混合してもよく;シロキサン混合物と乳化剤と水とを混合し乳化させてラテックス(シロキサンラテックス)とし、該シロキサンラテックスを微粒子化した後、該シロキサンラテックスと混合してもよい。ポリオルガノシロキサンの粒子径を制御しやすい点から、シロキサンラテックスを微粒子化した後に、該シロキサンラテックスと酸触媒とを混合することが好ましい。特に、微粒子化したシロキサンラテックスを酸触媒水溶液中に一定速度で滴下することが好ましい。
酸触媒を、シロキサン混合物と乳化剤と水とを混合するタイミングでそれらと混合する場合は、これらを混合した後に微粒子化することが好ましい。
シロキサンラテックスは、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー等を用いることで微粒子化できる。ホモミキサーは、高速回転による剪断力で微粒子化を行う。ホモジナイザーは、高圧発生機による噴出力で微粒子化を行う。
シロキサン混合物と乳化剤と水と酸触媒とを混合する方法や、微粒子化したシロキサンラテックスと酸触媒とを混合する方法としては、例えば、高速撹拌による混合、ホモジナイザー等の高圧乳化装置による混合等が挙げられる。ポリオルガノシロキサンの粒子径の分布を小さくできる点から、ホモジナイザーを用いる方法が好ましい。
重合温度は、50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。
微粒子化したシロキサンラテックスを酸触媒水溶液中に滴下する場合、酸触媒水溶液の温度は50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。
重合時間は、シロキサン混合物と乳化剤と水とを混合するタイミングで酸触媒を混合する場合は、2時間以上が好ましく、5時間以上がさらに好ましい。微粒子化したシロキサンラテックスと酸触媒とを混合する場合は、微粒子化したシロキサンラテックスの全量を酸触媒水溶液中に滴下した後、1〜10時間程度保持することが好ましい。
重合の停止は、反応液を冷却した後、反応液の25℃におけるpHが6〜8程度になるように水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ性物質で反応液を中和することによって行うことができる。
ポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径は、シロキサン混合物の組成、酸触媒の使用量(酸触媒水溶液中の酸触媒の含有量)、重合温度等を調整することで制御できる。例えば、酸触媒の使用量が少なくなるほど質量平均粒子径は大きくなる傾向にあり、重合温度が高くなるほど質量平均粒子径は小さくなる傾向にある。
(アルキル(メタ)アクリレート系重合体)
複合ゴム状重合体を構成するアルキル(メタ)アクリレート系重合体は、アルキル(メタ)アクリレート単位を有する重合体である。アルキル(メタ)アクリレート系重合体は、アルキル(メタ)アクリレート単位以外の他の単量体単位をさらに有していてもよい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−ラウリル等のメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。アルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜8がより好ましい。アルキル(メタ)アクリレートとしては、成形品の耐衝撃性がより向上する点から、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート系重合体中、アルキル(メタ)アクリレート単位の含有量は、アルキル(メタ)アクリレート系重合体を構成する全単位の総質量に対して、80〜100質量%が好ましく、90〜100質量%がより好ましい。
他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な単量体が挙げられ、例えば、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等)、シアン化ビニル化合物(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、酸基含有単量体(例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシ基を有する不飽和化合物)等が挙げられる。他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルキル(メタ)アクリレート系重合体は、アルキル(メタ)アクリレートを1種以上含む単量体成分を重合して得られる。重合法としては、公知の重合法が挙げられる。
(複合ゴム状重合体)
グラフト共重合体(A1)を構成する複合ゴム状重合体は、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレート系重合体とが複合したものである。
複合ゴム状重合体におけるポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレート系重合体との比率は、特に制限されない。ポリオルガノシロキサンの割合は、成形品の耐衝撃性と表面外観がより優れたものとなる点から、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレート系重合体との合計100質量%のうち、2〜14質量%が好ましい。
複合ゴム状重合体のゲル含有量は、50〜99質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜85質量%が特に好ましい。複合ゴム状重合体のゲル含有量が前記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性がより優れる。複合ゴム状重合体のゲル含有量は、以下の方法によって求めることができる。
秤量した複合ゴム状重合体を、適当な溶剤に室温(23℃)で20時間かけて溶解させ、遠心分離した後、上澄みをデカンテーションによって除去して、残存した不溶分を60℃で24時間乾燥し、秤量する。最初に秤量した複合ゴム状重合体に対する不溶分の割合(質量%)を求め、該割合を複合ゴム状重合体のゲル含有量とする。複合ゴム状重合体の溶解に用いる溶剤としては、例えば、トルエン、アセトンが挙げられる。
複合ゴム状重合体は、典型的には、粒状である。複合ゴム状重合体の体積平均粒子径は、100〜1000nmが好ましく、150〜500nmがより好ましい。複合ゴム状重合体の体積平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、成形品の耐衝撃性がより優れる。複合ゴム状重合体の体積平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、成形品の蒸着外観がより優れる。複合ゴム状重合体の体積平均粒子径は、レーザー回析、散乱方式の粒度分布測定器を用いて体積基準の粒子径分布を測定し、得られた粒子径分布から算出できる。
複合ゴム状重合体の製造方法としては、例えば、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレート系重合体を各々含む複数のラテックスをヘテロ凝集もしくは共肥大化する方法;ポリオルガノシロキサンおよびアルキル(メタ)アクリレート系重合体のいずれか一方を含むラテックスの存在下で、他方の重合体を形成する単量体成分を重合させて複合化させる方法等が挙げられる。
複合ゴム状重合体の製造方法としては、複合ゴム状重合体の体積平均粒子径を上述した範囲内となるように容易に調整できることから、ラテックス状のポリオルガノシロキサンの存在下で、アルキル(メタ)アクリレートを1種以上含む単量体成分をラジカル重合させて重合体ラテックスを得る工程(ラジカル重合工程)と、重合体ラテックスと酸基含有共重合体ラテックスとを混合して重合体ラテックスを肥大化させる工程(肥大化工程)とを有する方法が好ましい。この方法は、ラジカル重合工程の後、肥大化工程の前に、重合体ラテックスに縮合酸塩を添加する工程(縮合酸塩添加工程)をさらに有することが好ましい。
ラジカル重合工程:
ラジカル重合工程は、ラテックス状のポリオルガノシロキサンの存在下で、アルキル(メタ)アクリレートを1種以上含む単量体成分をラジカル重合する工程である。
アルキル(メタ)アクリレートを1種以上含む単量体成分は、ラテックス状のポリオルガノシロキサンに一括して添加してもよく、連続的にまたは断続的に添加してもよい。
アルキル(メタ)アクリレートを1種以上含む単量体成分をラジカル重合する際に、必要に応じて、グラフト交叉剤および架橋剤のいずれか一方または両方を用いてもよい。
グラフト交叉剤または架橋剤としては、例えば、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸プロピレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコールジエステル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合には、通常、ラジカル重合開始剤および乳化剤が用いられる。例えば、室温下、ポリオルガノシロキサンのラテックスに、乳化剤と、単量体成分と、必要に応じてグラフト交叉剤および架橋剤のいずれか一方または両方を加えて50〜100℃に昇温し、そこにラジカル重合開始剤を加え、重合発熱が確認されなくなるまで重合を行い、さらに1〜5時間程度その状態を維持する。これにより、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレート系重合体とが複合した複合ゴムを含む重合体ラテックスが得られる。
ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、酸化剤と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤等が挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、レドックス系開始剤が好ましく、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩とナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートとハイドロパーオキサイドとを組み合わせたスルホキシレート系開始剤がより好ましい。
乳化剤としては、ラジカル重合時のラテックスの安定性に優れ、重合率を高められる点から、サルコシン酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボン酸塩が好ましい。グラフト共重合体(A1)およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物を高温成形した際にガス発生を抑制できる点から、アルケニルコハク酸ジカリウムが好ましい。
縮合酸塩添加工程:
縮合酸塩添加工程は、ラジカル重合工程にて得られた重合体ラテックスに対し、肥大化工程に先立ち、縮合酸塩を添加する工程である。肥大化工程で酸基含有共重合体ラテックスと混合する前に、重合体ラテックスに縮合酸塩を添加することで、肥大化が進行しやすくなる。そのため、酸基含有共重合体ラテックスの添加量を減らすことが可能となり、複合ゴム状重合体の体積平均粒子径を上述した範囲内に調整することが容易になる。
縮合酸塩としては、例えば、縮合酸とアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属との塩が挙げられる。縮合酸としては、例えば、リン酸、ケイ酸等が挙げられる。縮合酸塩としては、リン酸の縮合酸であるピロリン酸とアルカリ金属との塩が好ましく、ピロリン酸ナトリウムまたはピロリン酸カリウムがより好ましい。
縮合酸塩の添加量は、複合ゴム状重合体の体積平均粒子径が上述した範囲内となるように調整すればよく、通常は、ラジカル重合工程にて得られる重合体ラテックスの固形分100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.3〜3質量部がより好ましい。縮合酸塩の添加量が前記範囲の下限値以上であれば、重合体ラテックスの肥大化が十分に進行しやすくなる。縮合酸塩の添加量が前記範囲の上限値以下であれば、重合体ラテックスの肥大化が十分に進行する、または重合体ラテックスが安定化しやすく、多量の凝塊物が発生することを抑制できる。
縮合酸塩は、重合体ラテックスに一括して添加することが好ましい。
縮合酸塩が添加された重合体ラテックス(重合体ラテックスと縮合酸塩との混合物)の25℃におけるpHは7以上であることが好ましい。pHが7以上であれば、重合体ラテックスの肥大化が十分に進行しやすくなる。重合体ラテックスのpHを7以上とするために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ化合物を添加することができる。
肥大化工程:
肥大化工程は、ラジカル重合工程にて得られ、必要に応じて縮合酸塩添加工程にて縮合酸塩が添加された重合体ラテックスと、酸基含有共重合体ラテックスとを混合することによって重合体ラテックスを肥大化させる工程である。
酸基含有共重合体は、酸基含有単量体単位と、アルキル(メタ)アクリレート単位とを有する。必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体単位をさらに有していてもよい。酸基含有単量体としては、カルボキシ基を有する不飽和化合物が好ましい。カルボキシ基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等が挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましい。酸基含有単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他の単量体は、酸基含有単量体およびアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な単量体であり、かつ酸基含有単量体およびアルキル(メタ)アクリレート以外の単量体である。他の単量体としては、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等)、シアン化ビニル化合物(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、2つ以上の重合性官能基を有する化合物(例えば、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸ポリエチレングリコールエステル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、トリメリット酸トリアリル等)等が挙げられる。他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸基含有共重合体としては、酸基含有共重合体を構成する全単位の総質量に対して、酸基含有単量体単位の割合が5〜40質量%、アルキル(メタ)アクリレート単位の割合が60〜95質量%、他の単量体単位の割合が0〜35質量%であるものが好ましく、酸基含有単量体単位の割合が8〜30質量%、アルキル(メタ)アクリレート単位の割合が70〜92質量%、他の単量体単位の割合が0〜22質量%であるものがより好ましい。酸基含有単量体単位の割合が5質量%以上、アルキル(メタ)アクリレート単位の割合が95質量%以下であれば、十分な肥大化能力が得られる。酸基含有単量体単位の割合が40質量%以下、アルキル(メタ)アクリレート単位の割合が60質量%以上であれば、酸基含有共重合体ラテックス製造の際に多量の凝塊物が生成することを抑制できる。他の単量体単位の割合が35質量%以下であれば、酸基含有共重合体ラテックスが十分な肥大化能力を有することができる。
肥大化に用いる酸基含有共重合体ラテックスは、水中にて、酸基含有単量体、アルキル(メタ)アクリレート、および必要に応じてこれらと共重合可能な他の単量体を含む単量体成分を重合して得られる。重合法としては、通常の乳化重合法が挙げられる。乳化重合は、通常、乳化剤とラジカル重合開始剤とを用いて行われる。
乳化剤としては、公知の乳化剤を用いることができ、例えば、脂肪酸(オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ロジン酸等)のアルカリ金属塩、アルケニルコハク酸のアルカリ金属塩等のカルボン酸系の乳化剤;アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム等のアニオン系乳化剤;等が挙げられる。乳化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
乳化剤は、重合初期に全量を一括して添加してもよく;連続的にまたは断続的に添加してもよい。乳化剤の量やその使用方法によっては、酸基含有共重合体ラテックスの粒子径を、ひいては肥大化された複合ゴム状重合体ラテックスの粒子径に影響を及ぼす場合があるため、適正な量および使用方法を選択することが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、熱分解型開始剤、レドックス系開始剤等が挙げられる。熱分解型開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。レドックス系開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイドに代表される有機過酸化物−ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート−鉄塩等の組み合わせが例示される。ラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
乳化重合の際には、分子量を調整するためにメルカプタン類(例えばt−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等)、テルピノレン、α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤を用いてもよく、pHを調節するためにアルカリまたは酸を添加してもよく、減粘剤として電解質を添加してもよい。
肥大化工程において、重合体ラテックスに対する酸基含有共重合体ラテックスの添加量(固形分換算量)は、複合ゴム状重合体の体積平均粒子径が上述した範囲内となるように調整すればよく、通常、重合体ラテックスの固形分100質量部に対し、0.1〜5質量部が好ましく、0.3〜3質量部がより好ましい。酸基含有共重合体ラテックスの添加量が前記範囲の下限値以上であれば、重合体ラテックスの肥大化が十分に進行する。また、凝塊物が多量に発生することを抑制できる。酸基含有共重合体ラテックスの添加量が前記範囲の上限値以下であれば、肥大化ラテックスのpHが低下することを抑制でき、ラテックスが不安定になりにくい。
酸基含有共重合体ラテックスは、重合体ラテックスに一括して添加してもよく、滴下によって連続的または断続的に添加してもよい。
肥大化時の撹拌は適度に制御することが好ましい。撹拌が不十分な場合には、局部的に肥大化が進行することによって未肥大のゴム状重合体が残留することがある。撹拌が過度な場合には、肥大化ラテックスが不安定になり、凝塊物が多量に発生することがある。
肥大化を行う際の温度は、20〜90℃が好ましく、30〜80℃がより好ましい。温度が前記範囲外であると、重合体ラテックスの肥大化が十分に進行しない場合がある。
なお、複合ゴム状重合体は、ラジカル重合工程にて得られ、必要に応じて縮合酸塩が添加された重合体ラテックスを、酸基含有共重合体ラテックスを用いて肥大化した後、アルキル(メタ)アクリレートを1種以上含む単量体成分をさらに添加して重合させることによって製造してもよい。
(ビニル系重合体)
グラフト共重合体(A1)を構成するビニル系重合体は、ビニル系単量体に基づく構成単位を有する。ビニル系単量体は、重合性不飽和二重結合を有する単量体である。ビニル系単量体としては、例えば、芳香族ビニル化合物、アルキル(メタ)アクリレート、シアン化ビニル化合物等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル等が挙げられる。シアン化ビニル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。ビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ビニル系単量体としては、成形品の耐衝撃性がより向上する点から、スチレンとアクリロニトリルとの併用が好ましい。すなわち、ビニル系重合体は、スチレン単位と、アクリロニトリル単位とを有することが好ましい。
(グラフト共重合体(A1)の製造方法)
グラフト共重合体(A1)は、複合ゴム状重合体の存在下にビニル系単量体を重合して得られる。
重合法としては、反応が安定して進行するように制御可能である点から、乳化重合法が好ましい。具体的には、複合ゴム状重合体のラテックスにビニル系単量体を一括して仕込んだ後に重合する方法;複合ゴム状重合体のラテックスにビニル系単量体の一部を先に仕込み、随時重合させながら残りを重合系に滴下する方法;複合ゴム状重合体のラテックスにビニル系単量体の全量を滴下しながら随時重合する方法等が挙げられる。ビニル系単量体の重合は、1段で行ってもよく、2段以上に分けて行ってもよい。2段以上に分けて行う場合、各段におけるビニル系単量体の種類や組成比を変えて行うことも可能である。
乳化重合は、通常、ラジカル重合開始剤および乳化剤を用いて行われる。例えば、複合ゴム状重合体と水と乳化剤とを含む複合ゴム状重合体のラテックスにビニル系単量体を加え、ラジカル重合開始剤の存在下でビニル系単量体をラジカル重合させる。
ラジカル重合を行う際には、得られるグラフト共重合体(A1)の分子量やグラフト率を制御するため、各種公知の連鎖移動剤を添加してもよい。
ラジカル重合の条件としては、例えば、50〜100℃で1〜10時間の重合条件が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、酸化剤と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤等が挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、レドックス系開始剤が好ましく、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩とナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートとハイドロパーオキサイドとを組み合わせたスルホキシレート系開始剤がより好ましい。
乳化剤としては、ラジカル重合時のラテックスの安定性に優れ、重合率を高められる点から、サルコシン酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボン酸塩が好ましく、グラフト共重合体(A1)およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物を高温成形した際にガスの発生を抑制できる点から、アルケニルコハク酸ジカリウムがより好ましい。
複合ゴム状重合体とビニル系単量体との質量比は、複合ゴム状重合体が10〜80質量%、ビニル系単量体が20〜90質量%であることが好ましく、複合ゴム状重合体が30〜70質量%、ビニル系単量体が30〜70質量%であることがより好ましい(ただし、複合ゴム状重合体とビニル系単量体の合計を100質量%とする。)。複合ゴム状重合体とビニル系単量体との質量比が前記範囲内であれば、グラフト共重合体(A1)における複合ゴム状重合体とビニル系重合体との質量比が前記の好ましい範囲内となりやすい。
乳化重合法によって得られるグラフト共重合体(A1)は、通常、ラテックスの状態である。
グラフト共重合体(A1)のラテックスからグラフト共重合体(A1)を回収する方法としては、例えば、グラフト共重合体(A1)のラテックスを、凝固剤を溶解させた熱水中に投入することによってスラリー状に凝析する湿式法;加熱雰囲気中にグラフト共重合体(A1)のラテックスを噴霧することによって半直接的にグラフト共重合体(A1)を回収するスプレードライ法等が挙げられる。
湿式法に用いる凝固剤としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸;塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の金属塩等が挙げられ、重合で用いた乳化剤に応じて選定される。例えば、乳化剤として脂肪酸石鹸、ロジン酸石鹸等のカルボン酸石鹸のみを用いた場合には、上述した凝固剤の1種以上を用いることができる。乳化剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の酸性領域でも安定な乳化力を示す乳化剤を用いた場合には、凝固剤としては金属塩が好適である。
湿式法によって、スラリー状のグラフト共重合体(A1)が得られる。スラリー状のグラフト共重合体(A1)から乾燥状態のグラフト共重合体(A1)を得る方法としては、残存する乳化剤残渣を水中に溶出させて洗浄し、このスラリーを遠心分離機、プレス脱水機等で脱水した後に気流乾燥機等で乾燥する方法;圧搾脱水機、押出機等で脱水と乾燥とを同時に実施する方法等が挙げられる。これらの方法によって、粉体または粒子状のグラフト共重合体(A1)が得られる。
洗浄条件としては、乾燥後のグラフト共重合体(A1)の100質量%中に含まれる乳化剤残渣量が0.5〜2質量%となる条件で洗浄することが好ましい。グラフト共重合体(A1)中の乳化剤残渣が0.5質量%以上であれば、グラフト共重合体(A1)およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物の流動性がより向上する傾向にある。グラフト共重合体(A1)中の乳化剤残渣が2質量%以下であれば、熱可塑性樹脂組成物を高温成形した際のガスの発生を抑制できる。
なお、圧搾脱水機や押出機から排出されたグラフト共重合体(A1)を回収せず、直接、押出機や成形機に送って成形品とすることも可能である。
(他の熱可塑性樹脂(A2))
他の熱可塑性樹脂(A2)としては、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体(αSAN樹脂)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−スチレン−N−置換マレイミド三元共重合体、スチレン−無水マレイン酸−N−置換マレイミド三元共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエン−スチレン共重合体(AES樹脂)、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、スチレン系エラストマー(スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエン(SBR)、水素添加SBS、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)等)、各種のオレフィン系エラストマー、各種のポリエステル系エラストマー、ポリスチレン、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE樹脂)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリフェニレンサルファイド(PPS樹脂)、ポリエーテルサルフォン(PES樹脂)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK樹脂)、ポリアリレート、液晶ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂(各種ナイロン等)等が挙げられる。他の熱可塑性樹脂(A2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(カーボンブラック(B))
カーボンブラック(B)としては、例えば、チャネルブラック系、ファーネスブラック系、ランプブラック系、サーマルブラック系、ケッチェンブラック系、ナフタレンブラック系等が挙げられる。カーボンブラック(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラック(B)は、粒子表面が二次処理されたものであってもよい。二次処理としては、例えば、酸化処理による表面官能基の付与、不活性雰囲気下での加熱処理による結晶構造による黒鉛化、水蒸気または炭酸ガスでの賊活処理等が挙げられる。酸化処理としては、オゾン、硝酸、亜硝酸、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素のいずれかによる処理が挙げられる。酸化処理によってカーボンブラック(B)の表面にカルボキシ基、フェノール性水酸基等の酸性官能基が生成し、カーボンブラック(B)の表面の濡れ性や分散性が向上する。
(酸化鉄(III)(C))
酸化鉄(III)(C)は、酸化鉄(III)を主成分とする。ここで主成分とするとは、酸化鉄(III)(Fe)の純度が80質量%以上であることをいう。したがって、酸化鉄(III)(C)には、酸化鉄(III)鉄(II)(Fe)、いわゆる四酸化三鉄は包含されない。
酸化鉄(III)(C)としては、例えば、酸化鉄(III)を主成分とする顔料(赤色顔料等)等が挙げられる。
酸化鉄(III)(C)の平均粒子径は、1μm以下が好ましく、0.8μm以下がより好ましい。酸化鉄(III)(C)の平均粒子径が前記上限値以下であれば、成形外観が優れる。
酸化鉄(III)(C)の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察画像から無作為に10個の粒子を選び出し、それぞれの粒子径を測定し、これらの粒子径を平均することによって算出される。
(他の添加剤)
他の添加剤としては、例えば、各種安定剤(酸化防止剤、光安定剤等)、滑剤、可塑剤、離型剤、染料、顔料、帯電防止剤、難燃剤、無機充填剤、金属粉末等が挙げられる。
(各成分の含有量)
熱可塑性樹脂(A)は、グラフト共重合体(A1)の20〜100質量%と、他の熱可塑性樹脂(A2)の0〜80質量%とからなることが好ましく、グラフト共重合体(A1)の20〜60質量%と、他の熱可塑性樹脂(A2)の40〜80質量%とからなることがより好ましい(ただし、グラフト共重合体(A1)と他の熱可塑性樹脂(A2)との合計を100質量%とする。)。熱可塑性樹脂(A)におけるグラフト共重合体(A1)の含有量が20質量%以上であれば、成形品の耐衝撃性、レーザー溶着外観、耐候性がより優れる。
カーボンブラック(B)の含有量は、熱可塑性樹脂(A)の100質量部に対して0.1〜3.0質量部であり、0.3〜2.0質量部が好ましく、0.4〜1.0質量部がより好ましい。カーボンブラック(B)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、成形品の色調が優れる。また、レーザー溶着後に十分な接合強度が得られる。カーボンブラック(B)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、レーザー溶着時に焦げや変色が発生しにくく、レーザー溶着外観が優れる。
酸化鉄(III)(C)の含有量は、熱可塑性樹脂組成物(A)の100質量部に対して0.1〜3.0質量部であり、0.2〜1.5質量部が好ましく、0.5〜1.0質量部がより好ましい。酸化鉄(III)(C)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、成形品のレーザー溶着外観が優れる。また、レーザー溶着後に十分な接合強度が得られる。酸化鉄(III)(C)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、成形品の色調および成形外観(蒸着外観)が優れる。
カーボンブラック(B)の含有量x(質量部)と酸化鉄(III)(C)の含有量y(質量部)とは、0.2≦y/x≦5の関係を満足し、0.5≦y/x≦3の関係を満足することが好ましい。y/xが前記範囲の下限値以上であれば、レーザー溶着後に十分な接合強度が得られる。y/xが前記範囲の上限値以下であれば、成形品の色調が優れる。
他の添加剤の含有量は、他の添加剤の種類に応じて適宜設定される。他の添加剤の含有量は、熱可塑性樹脂(A)の100質量部に対して10質量部以下が好ましく、0質量部であってもよい。
(熱可塑性樹脂組成物の製造方法)
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、熱可塑性樹脂(A)とカーボンブラック(B)と酸化鉄(III)(C)と、必要に応じて他の添加剤とを、V型ブレンダ、ヘンシェルミキサー等によって混合し、混合物をスクリュー式押出機、バンバリーミキサ、加圧ニーダ、ミキシングロール等の溶融混練機等を用いて溶融混練することによって製造される。また、必要に応じてペレタイザー等を用いて溶融混練物をペレット化してもよい。
(作用効果)
以上説明した本発明の熱可塑性樹脂組成物にあっては、特定のグラフト共重合体(A1)を含む熱可塑性樹脂(A)とカーボンブラック(B)と酸化鉄(III)(C)とを特定の割合で含むため、成形品としたときに、樹脂部材として十分な耐衝撃性を有するとともに、優れた色調(特に黒味)、耐候性および成形外観(蒸着外観)を発現できる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形品としたときに、レーザー溶着外観に優れ、十分な接合強度を発現できる。
<成形品>
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるものである。
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形することによって製造できる。
成形方法としては、公知の成形方法を利用でき、例えば、射出成形法、プレス成形法、押出成形法、真空成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
本発明の成形品は、レーザー溶着によって溶着することができる。例えば、本発明の成形品同士、または本発明の成形品と他の成形品とをレーザー溶着によって溶着することで、接合品が得られる。接合品は、溶着部の外観や接合強度に優れる。
本発明の成形品および本発明の成形品を備えた接合品の用途としては、例えば、車両用部品(灯具、内装、外装等)、OA機器、家電部品、医療用器具、各種の工業用材料等が挙げられ、車両用灯具が好適である。
(作用効果)
以上説明した本発明の成形品にあっては、特定のグラフト共重合体(A1)を含む熱可塑性樹脂(A)とカーボンブラック(B)と酸化鉄(III)(C)とを特定の割合で含む本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形品であるため、樹脂部材として十分な耐衝撃性を有するとともに、優れた色調(特に黒味)および成形外観(蒸着外観)を発現できる。また、レーザー溶着外観に優れ、十分な接合強度を発現できる。
以下、具体的に実施例を示す。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の「%」および「部」は、明記しない限りは質量基準である。
<測定、評価>
実施例および比較例における各種測定および評価方法は、以下の通りである。
(ラテックスにおける重合体の体積平均粒子径の測定)
動的光散乱式粒子径分布測定装置(日機装株式会社製、Nanotrac UPA−EX150)を用い、動的光散乱法によってラテックスにおける重合体の体積平均粒子径を求めた。
(ゴム状重合体のゲル含有量の測定)
秤量したゴム状重合体を、トルエンに室温(23℃)で20時間かけて溶解させ、遠心分離した後、上澄みをデカンテーションにより除去して、残存した不溶分を60℃で24時間乾燥し、秤量した。最初に秤量したゴム状重合体に対する不溶分の割合(%)を求め、該割合をゴム状重合体のゲル含有量とした。
(耐衝撃性の評価(シャルピー衝撃強度の測定))
ISO 3167に準拠して、実施例または比較例のペレット状の熱可塑性樹脂組成物から、射出成形機(東芝機械株式会社製、IS55FP−1.5A)によって試験片(成形品1)を作製した。この試験片のシャルピー衝撃強度をISO 179−1:2000に準拠して、ノッチ付、23℃雰囲気下で測定した。
(レーザー溶着外観の評価)
実施例または比較例のペレット状の熱可塑性樹脂組成物から、4オンス射出成形機(株式会社日本製鋼所製)を用い、シリンダー設定温度260℃、金型温度60℃、射出率20g/秒の条件で、長さ100mm、幅100mm、厚さ2mmの板状の試験片(成形品2)を作製し、これを吸収材とした。
実施例または比較例の熱可塑性樹脂組成物を、ペレット状のアクリル樹脂に変更した以外は、吸収材と同様の手順で透過材を作製した。
吸収材と透過材とを重ね合わせ、レーザー溶着機(ライスター社製、NOVOLAS(登録商標)−C型)を用い、出力3W、焦点径2mm、走査速度20mm/秒、溶着長30mmの条件でレーザー光を透過材側から照射し、吸収材と透過材とを溶着させて接合品を得た。接合品の溶着部の外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:溶着部に発泡がない。
△:溶着部の一部に発泡がある。
×:溶着部全体に発泡がある、または焦げがある。
(蒸着外観の評価(拡散反射率の測定))
成形品2の表面に、真空蒸着装置(株式会社アルバック製、VPC−1100)を用い、真空度6.0×10−3Pa、成膜速度10Å/秒の条件でアルミニウムをダイレクト蒸着し、厚さ50nmのアルミニウム膜を成膜した。成形品2の成膜面について、反射率計(有限会社東京電色製、TR−1100AD)を用い、拡散反射率(%)を測定した。拡散反射率の値が低いほど、成形品の表面が光輝性に優れることを示す。
(色調の測定)
レーザー溶着外観の評価に用いたものと同じ試験片について、測色計を用い、色調(L)を測定した。Lの値が小さいほど、成形品の黒味が深い(濃い)ことを示す。
(耐候性の評価)
前記と同様にして成形品2を作製した。促進耐候性試験機(スガ試験機株式会社製、サンシャインスーパーロングライフウェザーメーターWEL−SUN−DCH型)を用い、63℃、サイクル条件:60分(降雨:12分)の環境下に成形品2を1000時間暴露した。1000時間の暴露前後の成形品2の変色の度合い(△E)を、色差計を用いて測定した。
<グラフト共重合体(A1)の製造>
(製造例1)
酸基含有共重合体ラテックス(K)の製造:
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、イオン交換水200部、オレイン酸カリウム2部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム4部、硫酸第一鉄七水塩0.003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.009部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を窒素気流下で仕込み、60℃に昇温した。60℃になった時点から、アクリル酸n−ブチル85部、メタクリル酸15部、クメンヒドロパーオキサイド0.5部からなる混合物を120分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、さらに2時間、60℃を維持した状態で熟成を行い、固形分が33%、重合転化率が96%、酸基含有共重合体の体積平均粒子径が120nmである酸基含有共重合体ラテックス(K)を得た。
(製造例2)
ポリオルガノシロキサン(F)の製造:
オクタメチルシクロテトラシロキサン98部とγ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部とを混合してシロキサン混合物100部を得た。これに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部およびイオン交換水300部からなる水溶液を添加し、ホモミキサーにて10000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに30MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
別途、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、ドデシルベンゼンスルホン酸10部とイオン交換水90部とを投入し、10%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液(酸触媒水溶液)を調製した。
酸触媒水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガノシロキサンラテックスを2時間にわたって滴下し、滴下終了後3時間その温度を維持した後、40℃以下に冷却した。次いで、この反応物を10%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサン(F)のラテックスを得た。
得られたポリオルガノシロキサン(F)のラテックス2gを180℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ18.2%であった。また、ラテックス中のポリオルガノシロキサン(F)の質量平均粒子径は50nmであった。
(製造例3)
グラフト共重合体(A1−1)の製造:
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、ポリオルガノシロキサン(F)のラテックスを固形分換算で2.0部と、アルケニルコハク酸ジカリウム0.8部と、イオン交換水190部とを仕込んで混合した。次いで、アクリル酸n−ブチル48.0部、アリルメタクリレート0.6部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.1部およびt−ブチルハイドロパーオキサイド0.1部からなる混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによって雰囲気の窒素置換を行い、内温を60℃まで昇温した。内温が60℃に達した時点で、硫酸第一鉄七水塩0.000075部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.00023部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部およびイオン交換水10部からなる水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。重合発熱が確認された後、ジャケット温度を75℃とし、重合発熱が確認されなくなるまで重合を継続し、さらに1時間この状態を維持し、ポリオルガノシロキサンとポリブチルアクリレートゴムとが複合した複合ゴムのラテックスを得た。複合ゴムの体積平均粒子径は90nmであった。
反応器内部の液温が70℃に低下した後、複合ゴムのラテックスに5%ピロリン酸ナトリウム水溶液を固形分として0.60部添加した。内温を70℃に制御した後、複合ゴムのラテックスに酸基含有共重合体ラテックス(K)を固形分として0.60部添加し、30分間撹拌して肥大化を行い、複合ゴム状重合体のラテックスを得た。複合ゴム状重合体の体積平均粒子径は180nmであり、ゲル含有量は88%であった。
複合ゴム状重合体のラテックスに、硫酸第一鉄七水塩0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ロンガリット0.3部、イオン交換水10部からなる水溶液を添加した。次いで、アクリロニトリル10部、スチレン30部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.18部からなる混合液を80分間にわたって滴下し、重合した。滴下終了後、温度75℃の状態を30分間保持した後、アクリロニトリル2.5部、スチレン7.5部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.05部、n−オクチルメルカプタン0.02部からなる混合物を20分間にわたって滴下し、重合した。滴下終了後、温度75℃の状態を30分間保持した後、クメンヒドロパーオキサイド0.05部を添加し、さらに温度75℃の状態を30分間保持した後、冷却し、複合ゴム状重合体に、アクリロニトリルとスチレンとをグラフト重合させたシリコーン/アクリル複合ゴム系のグラフト共重合体(A1−1)のラテックスを得た。
1%酢酸カルシウム水溶液150部を60℃に加熱し、この中へグラフト共重合体(A1−1)のラテックス100部を徐々に滴下して凝固させた。析出物を分離し、脱水、洗浄した後に乾燥して、グラフト共重合体(A1−1)を得た。
(製造例4)
グラフト共重合体(A1’−2)の製造:
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、イオン交換水150部、ポリブタジエンラテックス(体積平均粒子径0.2μm、ゲル含有量84%)を固形分換算で50部、不均化ロジン酸カリウム1部、水酸化カリウム0.03部を仕込み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄七水塩0.007部、ピロリン酸ナトリウム0.1部、結晶ブドウ糖0.3部を添加した。次いで、アクリロニトリル15部、スチレン35部、クメンハイドロパーオキサイド0.4部、t−ドデシルメルカプタン0.5部からなる混合液を120分間にわたって滴下し、重合した。滴下終了後、温度70℃の状態を60分間保持した後、クメンハイドロパーオキサイド0.05部を添加し、さらに温度70℃の状態を30分間保持した後、冷却し、ポリブタジエンに、アクリロニトリルとスチレンをグラフト重合させたポリブタジエン系のグラフト共重合体(A1’−2)のラテックスを得た。
ラテックスに酸化防止剤を添加した。1%硫酸水溶液150部を60℃に加熱し、この中へグラフト共重合体(A1’−2)のラテックス100部を徐々に滴下して凝固させた。析出物を分離し、脱水、洗浄した後に乾燥して、グラフト共重合体(A1’−2)を得た。
(製造例5)
グラフト共重合体(A1’−3)の製造:
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、ポリブタジエンラテックス(体積平均粒子径200nm)を固形分換算で2.0部と、アルケニルコハク酸ジカリウム0.8部と、イオン交換水190部とを仕込んで混合した。次いで、アクリル酸n−ブチル48.0部、アリルメタクリレート0.6部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.1部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.1部からなる混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによって雰囲気の窒素置換を行い、内温を60℃まで昇温した。内温が60℃に達した時点で、硫酸第一鉄七水塩0.000075部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.00023部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部、イオン交換水10部からなる水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。重合発熱が確認された後、ジャケット温度を75℃とし、重合発熱が確認されなくなるまで重合を継続し、さらに1時間この状態を維持し、ポリブタジエンとポリブチルアクリレートゴムとが複合した複合ゴムのラテックスを得た。複合ゴムの体積平均粒子径は280nmであった。
反応器内部の液温が70℃に低下した後、複合ゴムのラテックスに5%ピロリン酸ナトリウム水溶液を固形分として0.60部添加した。内温を70℃に制御した後、複合ゴムのラテックスに酸基含有共重合体ラテックス(K)を固形分として0.60部添加し、30分間撹拌して肥大化を行い、複合ゴム状重合体のラテックスを得た。複合ゴム状重合体の体積平均粒子径は300nmであり、ゲル含有量は83%であった。
複合ゴム状重合体のラテックスに、硫酸第一鉄七水塩0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ロンガリット0.3部、イオン交換水10部からなる水溶液を添加した。次いで、アクリロニトリル10部、スチレン30部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.18部からなる混合液を80分間にわたって滴下し、重合した。滴下終了後、温度75℃の状態を30分間保持した後、アクリロニトリル2.5部、スチレン7.5部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.05部、n−オクチルメルカプタン0.02部からなる混合物を20分間にわたって滴下し、重合した。滴下終了後、温度75℃の状態を30分間保持した後、クメンヒドロパーオキサイド0.05部を添加し、さらに温度75℃の状態を30分間保持した後、冷却し、複合ゴム状重合体に、アクリロニトリルとスチレンをグラフト重合させたブタジエン/アクリル複合ゴム系のグラフト共重合体(A1’−3)のラテックスを得た。
1%酢酸カルシウム水溶液150部を60℃に加熱し、この中へグラフト共重合体(A1’−3)のラテックス100部を徐々に滴下して凝固させた。析出物を分離し、脱水、洗浄した後に乾燥して、グラフト共重合体(A1’−3)を得た。
(製造例6)
グラフト共重合体(A1’−4)の製造:
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、イオン交換水190部、アルケニルコハク酸ジカリウム0.6部、アクリル酸n−ブチル50部、アリルメタクリレート0.6部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.1部からなる混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによって雰囲気の窒素置換を行い、内温を55℃まで昇温した。内温が55℃に達した時点で、硫酸第一鉄七水塩0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部、イオン交換水10部からなる水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。重合発熱が確認された後、ジャケット温度を75℃とし、重合発熱が確認されなくなるまで重合を継続し、さらに1時間この状態を維持し、ゴム状重合体のラテックスを得た。ゴム状重合体の体積平均粒子径は100nmであった。
反応器内部の液温が70℃に低下した後、ゴム状重合体のラテックスに5%ピロリン酸ナトリウム水溶液を固形分として0.6部添加した。内温を70℃に制御した後、ゴム状重合体のラテックスに酸基含有共重合体ラテックス(K)を固形分として1.2部添加し、30分間撹拌して肥大化を行い、ゴム状重合体のラテックスを得た。ゴム状重合体の体積平均粒子径は290nm、ゲル含有量は85%であった。
ゴム状重合体のラテックスに、硫酸第一鉄七水塩0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、イオン交換水10部からなる水溶液を添加した。次いで、アクリロニトリル15部、スチレン35部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.225部からなる混合液を100分間にわたって滴下し、重合した。滴下終了後、温度80℃の状態を30分間保持した後、クメンヒドロパーオキサイド0.05部を添加し、さらに温度75℃の状態を30分間保持した後、冷却し、グラフト共重合体(A1’−4)のラテックスを得た。
1.5%硫酸水溶液100部を80℃に加熱し、この中へグラフト共重合体(A1’−4)のラテックス100部を徐々に滴下して凝固させた。析出物を分離し、脱水、洗浄した後に乾燥して、グラフト共重合体(A1’−4)を得た。
<他の熱可塑性樹脂(A2)の製造>
(製造例7)
他の熱可塑性樹脂(A2−1)の製造:
アクリロニトリル27部およびスチレン73部を公知の懸濁重合法によって重合し、N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25℃で測定した還元粘度が0.61dL/gであるアクリロニトリル−スチレン共重合体を得た。これを他の熱可塑性樹脂(A2−1)として用いた。
(製造例8)
他の熱可塑性樹脂(A2−2)の製造:
アクリロニトリル19部、スチレン53部およびN−フェニルマレイミド28部を公知の連続溶液重合法によって重合し、N,Nジメチルホルムアミド溶液から25℃で測定した還元粘度が0.65dL/gであるアクリロニトリル−スチレン−N−フェニルマレイミド三元共重合体を得た。これを他の熱可塑性樹脂(A2−2)として用いた。
<カーボンブラック(B)>
カーボンブラック(B−1):越谷化成工業株式会社製、RB−92995S。
<酸化鉄(III)(C)他>
酸化鉄(III)(C−1):戸田工業株式会社製、130ED、酸化鉄(III)を主成分とする赤色顔料、平均粒子径0.2μm。
酸化鉄(III)(C−2):チタン工業株式会社製、R−110−7、酸化鉄(III)を主成分とする赤色顔料、平均粒子径0.7μm。
酸化鉄(III)鉄(II)(C’−3):戸田工業株式会社製、KN−320、酸化鉄(III)鉄(II)を主成分とする黒色顔料、平均粒子径0.3μm。
酸化鉄(III)鉄(II)(C’−4):チタン工業株式会社製、ABL−205、酸化鉄(III)鉄(II)を主成分とする黒色顔料、平均粒子径0.3μm。
<熱可塑性樹脂組成物の調製>
(実施例1〜7、比較例1〜10)
表1、表2に示す種類および量のグラフト共重合体(A1)、他の熱可塑性樹脂(A2)カーボンブラック(B)および酸化鉄(III)(C)、ならびにエチレンビスステアリルアミド1部、シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング株式会社製、SH200)0.2部、フェノール系酸化防止剤(株式会社ADEKA製、アデカスタブAO−60)0.2部およびヒンダードアミン系光安定剤(株式会社ADEKA製、アデカスタブLA−57)0.4部をヘンシェルミキサーを用いて混合した。混合物を、スクリュー式押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX−30α型二軸押出機)を用いて250℃にて溶融混練した後、ペレタイザーにてペレット化してペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
熱可塑性樹脂組成物について、前記の手順で耐衝撃性、レーザー溶着外観、成形外観(蒸着外観)、色調および耐候性を評価した。これらの結果を表1、表2に示す。
Figure 0006866222
Figure 0006866222
表1、表2に示すように、各実施例で得られた熱可塑性樹脂組成物からは、耐衝撃性、レーザー溶着外観、成形外観(蒸着外観)、色調および耐候性に優れた成形品が得られた。
一方、各比較例の場合、成形品の耐衝撃性、レーザー溶着外観、成形外観(蒸着外観)、色調および耐候性のいずれか一つ以上の項目に劣る結果となった。
具体的には、比較例1の場合、カーボンブラック(B)の含有量が多いため、レーザー溶着外観が劣っていた。
比較例2の場合、カーボンブラック(B)の含有量が少ないため、レーザー溶着外観および色調が劣っていた。
比較例3の場合、酸化鉄(III)(C)の含有量が多いため、レーザー溶着外観、成形外観(蒸着外観)、および色調が劣っていた。
比較例4の場合、酸化鉄(III)(C)の含有量が少ないため、レーザー溶着外観が劣っていた。
比較例5、6の場合、顔料が酸化鉄(III)を主成分に含まないため、レーザー溶着外観が劣っていた。
比較例7の場合、グラフト共重合体(A1)を含まないため耐衝撃性が劣っていた。
比較例8、9の場合、特定のグラフト共重合体(A1)を含まず、代わりに他のグラフト共重合体を含むため、耐候性が劣っていた。
比較例10の場合、グラフト共重合体(A1)を含まず、代わりに他のグラフト共重合体を含むため、耐衝撃性が劣っていた。
本発明によれば、色調、成形外観(蒸着外観)、耐候性およびレーザー溶着外観に優れ、さらに樹脂部材として十分な耐衝撃性を有した成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。特に本発明の成形品の色調と、成形外観(蒸着外観)およびレーザー溶着外観とのバランスは、従来知られている熱可塑性樹脂組成物では得られない非常に高いレベルであり、本発明の成形品は、車両用部品(灯具、内装、外装等)、OA機器、家電部品、医療用器具、各種工業用材料としての利用価値は極めて高い。

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂(A)と、カーボンブラック(B)と、酸化鉄(III)(C)とを含み、
    前記熱可塑性樹脂(A)として、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレート系重合体とが複合した複合ゴム状重合体の存在下にビニル系単量体を重合して得られたグラフト共重合体(A1)を含み、
    前記カーボンブラック(B)の含有量が、前記熱可塑性樹脂(A)の100質量部に対して0.1〜3.0質量部であり、
    酸化鉄(III)(Cの含有量が、前記熱可塑性樹脂(A)の100質量部に対して0.1〜3.0質量部であり、
    前記カーボンブラック(B)の含有量x(質量部)と前記酸化鉄(III)(C)の含有量y(質量部)とが、0.5≦y/x≦の関係を満足する、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記酸化鉄(III)(C)の平均粒子径が、1μm以下である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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