JP6866136B2 - デュロキセチン塩酸塩を含む口腔内崩壊錠 - Google Patents
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Description
また、特許文献1には、デュロキセチンを含むコア;およびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを含む腸溶コーティングを含む、デュロキセチン製剤が開示されている。より具体的には、デュロキセチン塩酸塩と球状糖とポピドンとを含むコア;およびヒプロメロースフタル酸エステルを含む腸溶コーティングを含む、デュロキセチンペレットおよびカプセル製剤が開示されている(特許文献1参照)。
[1](a)粒子径が150μmより大きく250μm未満であるマンニトールからなる核粒子と、
(b)前記核粒子にデュロキセチン塩酸塩を被覆した主薬層と、
(c)前記主薬層を被覆した分離層と、
(d)前記分離層を被覆した腸溶層と、
からなる顆粒を含む口腔内崩壊錠。
(a)粒子径が150μmより大きく250μm未満であるマンニトールからなる核粒子と、
(b)前記核粒子に主薬であるデュロキセチン塩酸塩を被覆した主薬層と、
(c)前記主薬層を被覆した分離層と、
(d)前記分離層を被覆した腸溶層と、
からなる顆粒を含む口腔内崩壊錠である。
本発明の口腔内崩壊錠は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて更に他の成分、又は他の層を含んでいてもよい。
核粒子は、造粒核として機能するものである。
通常、核粒子には、賦形剤として用いられているものを使用しており、例えば、白糖・デンプン、球状糖、微結晶性セルロースが用いられている。
しかしながら、白糖・デンプン球状顆粒、球状糖は、粒子径が355μmよりも大きいものしか製造されておらず、その粒子径を用いて口腔内崩壊錠に製剤化した場合、口腔内でのざらつきが生じてしまい、服用感が低下してしまう場合がある。
また、白糖・デンプン球状顆粒のデンプンと微結晶性セルロースとは、水不溶性の性質を有するため、デュロキセチン塩酸塩の溶出性が低下してしまう場合がある。
本発明の核粒子には、粒子径が150μmより大きく250μm未満であるマンニトールであることが好ましい。
粒子径が150μm以下のマンニトールの核粒子を用いた場合、一粒子の質量が軽いため、静電気が発生し、粒子同士が凝集してしまう。そのため、腸溶性コーティング工程において、粒子表面全体に腸溶性コーティング剤を均一に被膜することができず、耐酸性が低下してしまう場合がある。
また、粒子の比表面積が増加するため、腸溶性コーティング剤が増量し、成膜性や作業性が低下してしまう場合がある。
一方、粒子径が250μm以上のマンニトールの核粒子を用いた場合、口腔内でのざらつきが生じてしまい、服用感が低下してしまう場合がある。
以上の結果より、粒子径が150μmより大きく250μm未満であるマンニトールを用いることが好ましく、粒子径が190μm以上230μm以下であることが好ましく、粒子径が190μm以上210μm以下であることがさらに好ましい。
主薬層は、核粒子を被覆し、核粒子の外側に設ける層である。
主薬層の主薬成分として、デュロキセチン塩酸塩を含有する。デュロキセチン塩酸塩とは、一般名(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミン塩酸塩であり、以下に示す分子構造を有する。
上記の範囲の体積平均粒径であれば、レイヤリング効率が向上するからである。
体積平均粒径(D50)の測定方法としては、レーザー回折式粒度分布測定法が挙げられ、具体例としてはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(SALD−2300型、島津製作所社製)を用いる方法が挙げられる。
主薬層に含まれる水溶性ポリマーとしては、接触する溶液のpH値に依存することなく、酸性、中性及びアルカリ性のいずれの溶液にも溶解し得る成分であれば特に制限されず、公知のものを用いることができる。
本明細書において水溶性ポリマーとは、20℃の水への溶解度が、10g/L以上であるポリマーを意味する。
より具体的には、水溶性セルロース誘導体としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。水溶性ビニルポリマー誘導体としては、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドン等が挙げられる。
水溶性アクリル酸共重合体としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、又はメタクリル酸エステル等を含むポリマーで、酸性、中性及びアルカリ性のいずれの水溶液にも溶解しうるポリマーが挙げられる。
多価アルコールポリマーとしては、マクロゴール又はポリグリセリン等が挙げられる。これらのポリマーの共重合体としては、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコールポリビニルアルコールグラフト共重合体、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。
水溶性ポリマーとしては、中でも、微粒子コーティングに適した粘度や結着性の観点から、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
水溶性ポリマーは、いずれかの水溶性ポリマーを1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、主薬層の形成に際しては、核粒子の全質量に対して、質量基準で、0.01倍量以上50倍量以下、0.1倍量以上5倍量以下、又は0.5倍量以上3倍量以下の質量の主薬層を構成する成分を、薬理学的に許容される溶媒に溶解又は懸濁して、核粒子に噴霧すればよい。
分離層は、主薬層を被覆し、腸溶層と主薬層の接触を防止する層である。分離層は、ポリマーを含むことができ、例えば、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、アルカリ性ポリマー等を含むことができる。また、分離層は後述するように、2層、3層等の多層であってもよいが、単層で構成されていること好ましい。
また、水溶性ポリマーとしては、分離層を被覆する腸溶層が腸で溶解した後に、被覆した有効成分の溶出を妨げない水溶性ポリマーであることが好ましい。
本明細書において水溶性ポリマーとは、20℃の水への溶解度が、10g/L以上であるポリマーを意味する。
より具体的には、水溶性セルロース誘導体としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。水溶性ビニルポリマー誘導体としては、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドン等が挙げられる。
水溶性アクリル酸共重合体としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、又はメタクリル酸エステル等を含むポリマーで、酸性、中性及びアルカリ性のいずれの水溶液にも溶解しうるポリマーが挙げられる。
多価アルコールポリマーとしては、マクロゴール又はポリグリセリン等が挙げられる。これらのポリマーの共重合体としては、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコールポリビニルアルコールグラフト共重合体、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。
水溶性ポリマーとしては、中でも、微粒子コーティングに適した粘度や結着性の観点から、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
水溶性ポリマーは、いずれかの水溶性ポリマーを1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、水不溶性ポリマーとしては、分離層を被覆する腸溶層が腸で溶解した後に、被覆したデュロキセチン塩酸塩を徐放するなど、デュロキセチン塩酸塩の溶出を制御するポリマーであることが好ましい。
本明細書において水不溶性ポリマーとは、20℃の水への溶解度が、10g/L未満であるポリマーを意味する。
水不溶性ポリマーは、いずれかの水不溶性ポリマーを1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ性ポリマーは、いずれかのアルカリ性ポリマーを1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、分離層の形成に際しては、主薬層の全質量に対して、質量基準で、0.01倍量以上50倍量以下、0.1倍量以上5倍量以下、又は0.5倍量以上2倍量以下の質量の分離層を構成する成分を、薬理学的に許容される溶媒に溶解又は懸濁して、主薬層に噴霧すればよい。
単層で構成されていることにより、レイヤリング効率が向上するという効果を有するからである。
なお、2層以上又はそれ以上の複数の層の分離層を設ける場合には、組成等を変えた複数の分離層コーティング液を、それぞれの分離層コーティング液ごとに複数回に分けて、主薬層に噴霧すればよい。例えば、主薬層に直接噴霧する分離層コーティング液の組成を、結合剤として機能し得る成分、賦形剤として機能し得る成分、滑沢剤として機能し得る成分、着色剤として機能し得る成分、および水を含む組成にすることが好ましい。
腸溶層は、分離層を被覆する層であり、腸溶性コーティング剤を含むことが好ましい。また、腸溶層は、1つ以上の層から構成されていればよく、腸溶層は2層等の多層であってもよい。
腸溶性コーティング剤が可溶性であるとは、20℃の接触する溶液への溶解度が、10g/L以上であることを意味する。
腸溶性セルロース誘導体としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース等が挙げられる。
腸溶性(メタ)アクリル酸共重合体としては、メタクリル酸共重合体及びアクリル酸共重合体が挙げられ、具体的には、メタクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸メチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
ここで、適切な腸溶性コーティング剤を選択するため、デュロキセチン塩酸塩と腸溶性コーティング剤との吸着性を、下記の評価試験により実施した。
デュロキセチン塩酸塩25mgを溶かした溶液と下記表1に示す腸溶性コーティング剤250mgを溶かした溶液とを混合した溶液のピーク面積と、デュロキセチン塩酸塩のみの溶液のピーク面積とを比較した。
デュロキセチン塩酸塩25mgを量り取り、日局 溶出試験第2液に溶解させ、当該液の総容量を50mLとし、この液を試料溶液Aとした。
別途、腸溶性コーティング剤250mgを量り取り、日局 溶出試験第2液に溶解させ、当該液の総容量を50mLとし、この液を試料溶液Bとした。
試料溶液Aの1mL、試料溶液Bの10mLを量り取り、更に日局 溶出試験第2液を加えて20mLとした。得られた溶液を、孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し、ろ液を試料溶液とした。
[試験条件]
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:230nm)
カラム:内径4.6mm、長さ100mmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクチルシリル化シリカゲルを充てんする。
カラム温度:45℃付近の一定温度
移動相:リン酸二水素カリウム3.4g及びトリエチルアミン15mLを水1000mLに溶かし、リン酸を加えてpH5.5に調製する。この液600mLにメタノール300mL及びテトラヒドロフラン100mLを加える。
流量:デュロキセチンの保持時間が約7分になるように調整する。
システムの性能:標準溶液10μLにつき、上記の条件で操作するとき、デュロキセチンのピークの理論段数及びシンメトリー係数は、それぞれ2000段以上、2.0以下である。
システムの再現性:標準溶液10μLにつき、上記の条件で試験を6回繰り返すとき、デュロキセチンのピーク面積の比の相対標準偏差は2.0%以下である。
吸着率(%)=((試料溶液のピーク面積)/(標準溶液のピーク面積)−1)×100
一方、試験例1のヒプロメロースフタル酸エステル(HP−50)、試験例2のヒプロメロースフタル酸エステル(HP−55)及び試験例4のヒプロメロースフタル酸エステルコハク酸エステル(AS−MF)のpH6.8における吸着率が−10.00%以下であり、デュロキセチン塩酸塩の吸着率が抑制されていることが分かった。
また、試験例1のヒプロメロースフタル酸エステル(HP−50)、試験例2のヒプロメロースフタル酸エステル(HP−55)のpH6.8における吸着率が−8.50%以下に抑制されていることが分かった。
さらに、試験例2のヒプロメロースフタル酸エステル(HP−55)のpH6.8における吸着率は−7.57%であり、デュロキセチン塩酸塩の吸着率が一番抑制されていることが分かった。
また、デュロキセチン塩酸塩に対するヒプロメロースフタル酸エステルの含有量は、100質量%以上200質量%以下であることが好ましく、150質量%以上175質量%以下であることがさらに好ましい。
ここで、適切な可塑剤を選択するため、デュロキセチン塩酸塩と、腸溶性コーティング剤であるヒプロメロースフタル酸エステル(HP−55)と表2に示す各可塑剤との吸着性を、下記の評価試験により実施した。
デュロキセチン塩酸塩25mgを量り取り、日局 溶出試験第2液に溶解させ、当該液の総容量を50mLとし、この液を試料溶液Aとした。
別途、腸溶性コーティング剤であるヒプロメロースフタル酸エステル(HP−55)50mgと可塑剤50mgとを量り取り、日局 溶出試験第2液に溶解させ、その中に試験溶液Aの1mLを入れて、当該液の総容量を20mLとし、この液を試料溶液Bとした。
試料溶液Bを、孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し、ろ液を試料溶液とした。
[試験条件]
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:230nm)
カラム:内径4.6mm、長さ100mmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクチルシリル化シリカゲルを充てんする。
カラム温度:45℃付近の一定温度
移動相:リン酸二水素カリウム3.4g及びトリエチルアミン15mLを水1000mLに溶かし、リン酸を加えてpH5.5に調製する。この液600mLにメタノール300mL及びテトラヒドロフラン100mLを加える。
流量:デュロキセチンの保持時間が約7分になるように調整する。
システムの性能:標準溶液10μLにつき、上記の条件で操作するとき、デュロキセチン塩酸塩のピークの理論段数及びシンメトリー係数は、それぞれ2000段以上、2.0以下である。
システムの再現性:標準溶液10μLにつき、上記の条件で試験を6回繰り返すとき、デュロキセチンのピーク面積の比の相対標準偏差は2.0%以下である。
吸着率(%)=((試料溶液のピーク面積)/(標準溶液のピーク面積)−1)×100
一方、試験例9のHP−55+クエン酸トリエチル、試験例10のHP−55+モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)のpH6.8における吸着率が−7.00%以下に抑制されており、デュロキセチン塩酸塩の吸着率が抑制されていることが分かった。
また、試験例9のHP−55+クエン酸トリエチルのpH6.8における吸着率は、−6.37であり、デュロキセチン塩酸塩の吸着率が一番抑制されていることが分かった。
また、デュロキセチン塩酸塩に対するクエン酸トリエチルの含有量は、10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上45質量%以下であることがさらに好ましい。
複数の腸溶層を設けることにより、デュロキセチン塩酸塩の保存安定性等に影響を及ぼす成分の使用量を減らすこと、柔軟性の異なる層を設けて細粒の破損を抑制すること、溶解性の異なる層を設けることで有効成分の溶出を調整すること、製造性を向上させること等ができるため、腸溶層は2層以上であることが好ましい。
2層以上の腸溶層を設ける場合には、組成等を変えた複数の腸溶層コーティング液を、それぞれの腸溶層コーティング液ごとに複数回に分けて、分離層に噴霧すればよい。
最外層は、腸溶層を被覆し、静電気を防止する層であり、任意で設けられる層である。
最外層は、ポリマーを含むことができ、例えば、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、アルカリ性ポリマー等を含むことができる。また、最外層は後述するように、2層、3層等の多層であってもよいが、単層で構成されていること好ましい。
また、水溶性ポリマーとしては、分離層を被覆する腸溶層が腸で溶解した後に、被覆した有効成分の溶出を妨げない水溶性ポリマーであることが好ましい。
本明細書において水溶性ポリマーとは、20℃の水への溶解度が、10g/L以上であるポリマーを意味する。
より具体的には、水溶性セルロース誘導体としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。水溶性ビニルポリマー誘導体としては、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドン等が挙げられる。
水溶性アクリル酸共重合体としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、又はメタクリル酸エステル等を含むポリマーで、酸性、中性及びアルカリ性のいずれの水溶液にも溶解しうるポリマーが挙げられる。
多価アルコールポリマーとしては、マクロゴール又はポリグリセリン等が挙げられる。これらのポリマーの共重合体としては、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコールポリビニルアルコールグラフト共重合体、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。
水溶性ポリマーとしては、中でも、微粒子コーティングに適した粘度や結着性の観点から、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
水溶性ポリマーは、いずれかの水溶性ポリマーを1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、水不溶性ポリマーとしては、分離層を被覆する腸溶層が腸で溶解した後に、被覆したデュロキセチン塩酸塩を徐放するなど、デュロキセチン塩酸塩の溶出を制御するポリマーであることが好ましい。
本明細書において水不溶性ポリマーとは、20℃の水への溶解度が、10g/L未満であるポリマーを意味する。
水不溶性ポリマーは、いずれかの水不溶性ポリマーを1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ性ポリマーは、いずれかのアルカリ性ポリマーを1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、最外層の形成に際しては、腸溶層の全質量に対して、質量基準で、0.01倍量以上50倍量以下、0.01倍量以上5倍量以下、又は0.05倍量以上1倍量以下の質量の最外層を構成する成分を、薬理学的に許容される溶媒に溶解又は懸濁して、腸溶層に噴霧すればよい。
単層で構成されていることにより、レイヤリング効率が向上するという効果を有するからである。
2層以上又はそれ以上の複数の層の最外層を設ける場合には、組成等を変えた複数の最外層コーティング液を、それぞれの最外層コーティング液ごとに複数回に分けて、腸溶層に噴霧すればよい。例えば、腸溶層に直接噴霧する最外層コーティング液の組成を、結合剤として機能し得る成分、賦形剤として機能し得る成分、滑沢剤として機能し得る成分、着色剤として機能し得る成分、および水を含む組成にすることが好ましい。
顆粒の体積平均粒径(D50)は、耐酸性の観点から、1mm以下であることが好ましく、750μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。
なお、ここでいう体積平均粒径(D50)の測定方法としては、レーザー回折式粒度分布測定法が挙げられ、具体例としてはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(SALD−2300型、島津製作所社製)で測定された値のことを示す。
核粒子を主薬層で被覆する方法、被覆された主薬層を分離層で被覆する方法、及び被覆された分離層を腸溶層で被覆する方法等は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、流動層造粒法、攪拌造粒法、スプレードライ等が挙げられる。
口腔内崩壊錠を製造する際には、マンニトール、デュロキセチン塩酸塩を含む主薬層、分離層、腸溶層及び任意により最外層を含む顆粒については、前述した事項をそのまま適用する。
口腔内崩壊錠は、崩壊剤、滑沢剤、賦形剤、結合剤、甘味剤、矯味剤、流動化剤、香料、着色料等の医薬品の製造に一般的に用いられる製剤用添加物として公知の成分を含んでいてもよい。
崩壊剤は、いずれかの崩壊剤を一種単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
崩壊剤の含有量は、適宜設定することができるが、顆粒の全質量に対し、5質量%以上25質量%以下であることが好ましく、8質量%以上20質量%以下であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。
滑沢剤は、打錠時に臼や杵に粉体が付着するのを防止する目的で配合されるが、滑沢効果が強すぎると、成形性が弱くなり、実用的な錠剤硬度を得るために高い打錠圧をかけなければならない。高い圧力で打錠された錠剤は、錠剤の崩壊速度が遅くなる傾向にあるため、できるだけ低い圧力で打錠する必要がある。その点で、少量でも滑沢効果を得ることができるステアリン酸マグネシウムが好ましい。
この範囲であれば、打錠機への錠剤成分の付着が抑制される。
糖アルコールとしては、例えば、マンニトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチロール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。これらの糖アルコールの中でも、口腔内崩壊錠の溶解性の点から、マンニトール及びエリスリトールが好ましく、マンニトールであることがさらに好ましい。
製剤用添加物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
製剤用添加物の含有量は、デュロキセチン塩酸塩の含有量、1日投与量、粒子径等を考慮して、適宜決定することができる。
本発明において、錠剤の硬度は、錠剤硬度計(TH−303MP、富山産業社製)で測定した値である。
顆粒製剤と、製剤用添加物とを混合する方法は特に制限されない。例えば、流動層造粒機等の公知の混合器を用いて混合することができる。
また、得られた混合物を打錠する方法も特に制限されるものではない。例えば、ロータリー打錠機等の公知の打錠機を用いて打錠することができる。
(主薬層コーティング粒子の製造方法)
表3に示す処方の顆粒を得た。具体的には、粒子径が210.13μmであるD−マンニトール4.02kgの核粒子を複合型流動層造粒乾燥機に入れ、ヒプロメロース763.8gと体積平均粒径(D50)が4.54μmであるデュロキセチン塩酸塩4.51044kgとを精製水に投入した後、攪拌混合して作成した主薬層コーティング液23.3642kgを噴霧乾燥し、造粒物を得た。得られた造粒物をスクリーン径0.5mmで整粒し、主薬層で被覆された顆粒(以下、主薬層コーティング粒子という。)を得た。
整粒した主薬層コーティング粒子9.2942kgを複合型流動層造粒乾燥機に入れ、ヒプロメロース1.005kgと白糖2.00196kgと酸化チタン1.005kgとタルク2.9346kgとを精製水に投入した後、攪拌混合して作成した分離層コーティング液25.03656kgを噴霧乾燥し、造粒物を得た。得られた造粒物をスクリーン径0.5mmで整粒し、分離層で被覆された顆粒(以下、分離層コーティング粒子という。)を得た。
(第1の腸溶層コーティング粒子の製造方法)
整粒した分離層コーティング粒子16.3212kgを複合型流動層造粒乾燥機に入れ、タルク201gを散布しながら、クエン酸トリエチル381.9mgとヒプロメロースフタル酸エステル3.76875kgとを無水エタノールに投入し攪拌混合した後、タルク1.5075kgを投入し攪拌混合して作成した第1の腸溶層コーティング液を噴霧乾燥し、造粒物を得た。得られた造粒物をスクリーン径0.5mmで整粒し、第1の腸溶層で被覆された顆粒(以下、第1の腸溶層コーティング粒子という。)を得た。
整粒した第1の腸溶層コーティング粒子22.18035kgを複合型流動層造粒乾燥機に入れ、タルク201gを散布しながら、クエン酸トリエチル381.9gとヒプロメロースフタル酸エステル3.76875kgとを無水エタノールに投入し攪拌混合した後、タルク1.5075kgを投入し攪拌混合して作成した第2の腸溶層コーティング液を噴霧乾燥し、第2の腸溶層で被覆された顆粒(以下、第2の腸溶層コーティング粒子という。)を得た。
第2の腸溶層コーティング粒子を、ヒプロメロース201gと酸化チタン562.8gとを精製水に投入した後、攪拌混合して作成した最外層コーティング液を噴霧乾燥し、造粒物を得た。得られた造粒物をスクリーン径0.5mmで整粒し、最外層で被覆された顆粒(以下、顆粒という。)を得た。
比較例1は、粒子径が109.52μmであるD−マンニトールの核粒子を用いること以外は、実施例1と同様の操作により、顆粒を得た。
実施例1及び比較例1で得られた顆粒の耐酸性を以下の手順で評価した。
実施例1及び比較例1の顆粒を、カプセル剤(製品名:HPMCカプセル、クォリカプス社製)に入れて、溶出試験装置2 パドル法、溶出試験第1液(pH1.2)を用いて60分間、120分間の溶出試験を実施し、耐酸性を評価した。
なお、耐酸性の評価基準として、120分間の耐酸性は5%以下であると、顆粒内部への水分透過は起こっておらず、結果、腸溶性被膜が十分な耐酸性を有すると判断した。
試験液に溶出試験第1液900mL(pH1.2)を用い、パドル法により毎分50回転で試験を行った。
〔試験条件〕
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:230nm)
カラム:内径4.6mm、長さ10cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクチルシリル化シリカゲルを充てんする。
カラム温度:45℃付近の一定温度
移動相:リン酸二水素カリウム3.4g及びトリエチルアミン15mLを水1000mLに溶かし、リン酸を加えてpH5.5に調製する。この液600mLにメタノール300mL及びテトラヒドロフラン100mLを加える。
流量:デュロキセチンの保持時間が約6分になるように調整する。
システムの性能:標準溶液10μLにつき、上記の条件で操作するとき、デュロキセチンのピークの理論段数及びシンメトリー係数はそれぞれ2000段以上、2.0以下である。
システムの再現性:標準溶液10μLにつき、上記の条件で試験を6回繰り返すとき,デュロキセチンのピーク面積の相対標準偏差は2.0%以下である。
デュロキセチンの量(mg)=MS×(AT/AS)×0.8×0.891
MS:デュロキセチン塩酸塩の秤取量(mg)
0.8:(試料溶液の希釈率/標準溶液の希釈率)
0.891:(デュロキセチンの分子量/デュロキセチン塩酸塩の分子量)
一方、比較例1の顆粒は、60分後は5.2%、120分値は13.4%と、溶出率が5%以上であるため、耐酸性が悪いことが分かった。
得られた口腔内崩壊錠の硬度を、錠剤破壊強度測定器TH−303MP(富山産業社製)を用いて測定した。
得られた口腔内崩壊錠の崩壊時間を測定した。崩壊時間の測定は、口腔内崩壊錠試験機(ODT−101、富山産業社製)を用いて行った。具体的には、測定装置の試料台に、15g/φ20mmの荷重治具(錘)で錠剤を固定して、試験液である37℃の精製水を錠剤に提供しながら、30rpmで荷重治具を回転させ、錠剤が崩壊するまでの時間を測定した。
測定した結果、崩壊時間は25秒であり、崩壊性に優れていることがわかった。
また、得られた口腔内崩壊錠は、口中で溶かした際に、粉っぽい味やザラザラ感はほとんど感じられず、味と舌触りともに服用感が優れていることがわかった。
Claims (4)
- (a)粒子径が150μmより大きく250μm未満であるマンニトールからなる核粒子と、(b)前記核粒子を被覆した、デュロキセチン塩酸塩を含む主薬層と、(c)前記主薬層を被覆した分離層と、(d)前記分離層を被覆した腸溶層と、を含む顆粒であって、上記分離層の質量が上記主薬層の全質量に対して0.01倍量以上50倍量以下である顆粒、を含む口腔内崩壊錠。
- 上記腸溶層の質量が、上記分離層の全質量に対して0.1倍量以上15倍量以下である、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
- 上記分離層が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、ポリグリセリン、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコールポリビニルアルコールグラフト共重合体、ビニルピロリドン・ビニルアルコール共重合体、エチルセルロース、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、メタクリル酸メチル・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、及びメタクリル酸メチル・メタクリル酸ジエチルアミノエチル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマーを含む、請求項1又は2に記載の口腔内崩壊錠。
- 上記顆粒の他に、デンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、及びデンプングリコール酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の崩壊剤を含む、請求項1〜3の何れかに記載の口腔内崩壊錠。
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