JP6858005B2 - 摺動部材成形用シート、摺動部材、及び、その製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、摺動部材成形用シート、摺動部材、及び、その製造方法に関する。
従来、繊維強化プラスチック(以下、「FRP」ともいう。)は、強度とともに軽量性が求められるような用途において広く用いられ、小型船舶のトラックのボディーの形成材料として広く用いられている。
この種の用途に利用される、FRPは、通常、複数本の補強繊維からなるマルチフィラメント糸からなる繊維シートにエポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂といったマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグシートを熱硬化させることで形成されている。
近年、FRPは、その用途が拡大しており、船舶や車両のような大型の製品ばかりでなく、小型電気製品のハウジング、歯車、軸受などの比較的小型で複雑な形状を有する製品などにも利用される機会が増えている(例えば、特許文献1)。
特開2009−039966号公報
ところで、プリプレグシートでは、経糸と緯糸とがマトリックス樹脂によって接着された状態になり、糸同士や、糸を構成している繊維同士が滑り合うことがなくなってしまうので、繊維シートだけの状態に比べて柔軟性が大きく失われた状態になっている。
そこで、この種のプリプレグシートに対して曲率半径の小さな曲げ加工を施そうとすると、補強繊維の抗張力が強く作用するため、当該プリプレグシートを型で成形して小型製品や形状の複雑な製品を作製する際には作業性が十分に良好なものとはなり難い。
これについて、プリプレグシートに含有させる補強繊維を繊維シートのような状態ではなく短繊維にし、射出成形や圧縮成形により、小型かつ形状の複雑な製品を作製することが考えられる。
しかし、このような手法により得られる軸受などは、過酷な条件下では摺動部材として十分に適なさいものとなる。
即ち、短繊維で補強された摺動部材の場合、得られる摺動部材は、摺動面から補強繊維が脱落し易いものになり、補強繊維が脱落した箇所によって摩耗が進行しやすくなるという問題を有する。
そこで、本発明は、耐摩耗性に優れた摺動部材を製造容易なものとし得る摺動部材成形用シート、耐摩耗性に優れ且つ容易に製造し得る摺動部材、及び、その製造方法を提供することを課題とする。
本発明に係る摺動部材成形用シートは、繊維強化プラスチックで形成された摺動面を有する摺動部材の形成に用いられ、
補強繊維と、熱可塑性樹脂を含有するマトリックス樹脂とを含む前記摺動面を形成すべく用いられ、
第1連続繊維と、第2連続繊維とを含む少なくとも2種類以上の連続繊維で構成された繊維シートであり、
前記第1連続繊維が前記補強繊維であり、
前記第2連続繊維は、前記マトリックス樹脂となる前記熱可塑性樹脂を含む連続繊維である。
斯かる摺動部材成形用シートは、マトリックス樹脂となる樹脂を連続繊維の状態で含んだ繊維シートであるため、マトリックス樹脂で繊維同士が接着され拘束されてしまうことを抑制できる。
そのため、斯かる摺動部材成形用シートは、従来のプリプレグシートを用いるような場合に比べて成形加工における作業性を向上させ得る。
また、斯かる摺動部材成形用シートは、マトリックス樹脂となる樹脂が熱可塑性を有することから、摺動部材の形成時には、この連続繊維を溶融させて繊維間に含浸させ得る。
しかも、斯かる摺動部材成形用シートで形成された摺動部材は、補強繊維が連続繊維であるため、使用時における摺動面からの補強繊維の脱落を抑制でき、優れた耐摩耗性が発揮され得る。
また、本発明に係る摺動部材は、前記摺動部材成形用シートが加熱加圧成形された成形体を有する。
さらに、本発明に係る摺動部材の製造方法は、前記摺動部材成形用シートを加熱加圧成形して成形体を得、該成形体を有する摺動部材を得る。
以上のように、本発明によれば、耐摩耗性に優れた摺動部材を製造容易なものとし得る摺動部材成形用シート、耐摩耗性に優れ且つ容易に製造し得る摺動部材、及び、その製造方法を提供し得る。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る摺動部材成形用シートについて説明する。
本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、繊維強化プラスチックで形成された摺動面を有する摺動部材の形成に用いられる。
また、本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、補強繊維と、熱可塑性樹脂を含有するマトリックス樹脂とを含む前記摺動面を形成すべく用いられる。
さらに、本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、第1連続繊維と、第2連続繊維と第3連続繊維とで構成された繊維シートである。
前記第1連続繊維は、前記補強繊維である。
前記第2連続繊維は、前記マトリックス樹脂となる前記熱可塑性樹脂を含む連続繊維である。
前記第3連続繊維は、機能性繊維である。
前記補強繊維は、マトリックス樹脂よりも引張弾性率が高い繊維である。補強繊維は、主として摺動部材の抗張力を高める繊維である。
前記機能性繊維は、抗張力を高める以外の機能を摺動部材に付与する繊維であり、滑り性、熱伝導性又は吸油性を高める機能を有してもよく、また、磁性特性や導電性能を摺動部材に付与できる繊維であってもよい。
また、前記機能性繊維は、マトリックス樹脂よりも引張弾性率が低い繊維、又は、マトリックス樹脂と引張弾性率が同じ繊維である。
前記補強繊維しては、無機繊維、有機繊維が挙げられる。
無機繊維としては、金属繊維(スチール繊維等)、セラミックス繊維(アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維等)、ガラス繊維、バサルト繊維、炭素繊維、ボロン繊維等が挙げられる。
前記炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、植物由来の原料(リグニン、セルロース等)を焼成して得られた炭素繊維等が挙げられる。
有機繊維としては、合成繊維、天然繊維が挙げられる。合成繊維としては、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、ポリオキシメチレン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、超高分子量ポリエチレン繊維などが挙げられる。天然繊維としては、ケナフ繊維、竹繊維等が挙げられる。
前記補強繊維としては、軽量でありながら、高強度及び高弾性率を有するという観点から、炭素繊維が好適に用いられる。
前記炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル系炭素繊維やピッチ系炭素繊維が好適に用いられる。
また、前記補強繊維しては、電気絶縁性を高めるという観点からは、ガラス繊維、バサルト繊維、セラミックス繊維が好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリオレフィン(PO)、ポリアミド(PA)、ポリエステル等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、耐熱性や耐薬品性に優れるという観点から、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)等が好適に用いられる。
熱硬化性樹脂は保管時に硬化反応が進行してしまうので、本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、熱可塑性樹脂を用いることにより、長期保存しても、物性が変化してしまうのを抑制することができる。
前記機能性繊維は、摺動特性(滑り性)を向上させる機能を摺動部材に付与する繊維であり、前記機能性繊維としては、フッ素樹脂繊維が挙げられる。
本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、フッ素樹脂繊維を有することで、優れた耐摩耗性を維持しつつ、摺動部材の相手材(摺動部材と接触するもの)との摩擦係数を小さくすることができる摺動部材を提供することができるという利点を有する。
フッ素樹脂繊維に含まれるフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−p−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を用いることができる。また、フッ素樹脂としては、単独または2種類以上ブレンドしたものを使用することもできる。
後述するように、摺動部材は摺動部材成形用シートを加熱加圧成形して得ることができるが、摺動部材に優れた摺動特性(滑り性)を付与できる(摺動部材の相手材(摺動部材と接触するもの)との摩擦係数を小さくすることができる)観点から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
なお、摺動部材の相手材(摺動部材と接触するもの)との摩擦係数を小さくすることができると、摺動部材と相手材との間で摩擦熱が発生するのを抑制することができる。これにより、摩擦熱による相手材や摺動部材の変形を抑制することができる。また、摺動部材の相手材(摺動部材と接触するもの)との摩擦係数を小さくすることができると、初期トルクも抑制できる。
前記繊維シートは、第1連続繊維と第2連続繊維と第3連続繊維とを含む織物、第1連続繊維と第2連続繊維と第3連続繊維とを含む編物、及び、第1連続繊維と第2連続繊維と第3連続繊維とが交絡した不織布の内の何れかである。
前記繊維シートを構成する糸は、モノフィラメント糸であってもよく、マルチフィラメント糸であってもよい。マルチフィラメント糸としては、撚り糸、引き揃え糸、カバードヤーン、コミングルヤーン、開繊糸等が挙げられる。
前記繊維シートは、1又は2以上の第1連続繊維で構成された第1連続繊維糸を有する。
前記第1連続繊維糸の繊度(総繊度)は、好ましくは500〜20,000dtex、より好ましくは500〜4,000dtexである。
本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、前記第1連続繊維糸の繊度(総繊度)が20,000dtex以下であることにより、第1連続繊維糸が、第1連続繊維糸自体又は他の連続繊維糸との交錯によって生じる屈曲が大きくなるのを抑制できる。
その結果、本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、補強繊維の性能をより一層発揮しやすくなる。また、本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、補強繊維が存在しない空隙部が大きくなるのを抑制でき、その結果、摺動部材に樹脂がリッチとなる箇所が大きくなるのを抑制できるので、摺動部材の耐摩耗性をより一層向上させ得る。
前記繊維シートは、1又は2以上の第2連続繊維で構成された第2連続繊維糸を有する。
前記第2連続繊維糸の繊度(総繊度)は、好ましくは500〜20,000dtex、より好ましくは500〜4,000dtexである。
前記繊維シートは、1又は2以上の第3連続繊維で構成された第3連続繊維糸を有する。
前記第3連続繊維糸の繊度(総繊度)は、好ましくは15〜2,000dtex、より好ましくは200〜2,000dtexである。
前記繊維シートは、前記第1連続繊維の体積と、前記第2連続繊維の体積との比は、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜70:30である。
さらに、前記繊維シートは、前記第3連続繊維の体積と、前記第1連続繊維の体積及び前記第2連続繊維の体積の合計の体積との比は、好ましくは1:99〜40:60、より好ましくは5:95〜30:70である。前記繊維シートは、斯かる体積比となっていることにより、摺動部材に摺動特性(滑り性)の向上させることが可能である。
前記織物の形態は、従来公知の織物組織であってもよく、例えば、平織、八枚朱子織、四枚朱子織、綾織などであってもよい。
また、前記織物の形態は、経糸と緯糸との交差角度が90°以外の角度となった、いわゆるバイアス織であってもよい。
さらに、前記織物は、一方向性織物となっていてもよい。
前記編物の形態は、従来公知の編物組織であってもよく、例えば、たて編み、よこ編み、ラッセル編み等であってもよい。
前記繊維シートは、芯糸と、該芯糸に巻きかけられた巻糸とを有するカバードヤーンを備え、前記芯糸が複数の前記第1連続繊維で構成され、前記巻糸が1又は2以上の第2連続繊維で構成されていることが好ましい。
前記繊維シートは、斯かる構成を有することにより、第2連続繊維の熱可塑性樹脂を溶融させた際に、複数の前記第1連続繊維の間に熱可塑性樹脂が入り込み易くなり、第1連続繊維に熱可塑性樹脂が含浸されやすくなるという利点を有する。
前記繊維シートの目付けは、好ましくは50〜1,000g/m、より好ましくは200〜700g/mである。
本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、前記繊維シートの目付けが50g/m以上であることにより、摺動部材を成形する際に、繊維シートを積層する枚数が多くなるのを抑制でき、その結果、成形体を作製する際のコストを抑制し得るという利点を有する。
また、本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、前記繊維シートの目付けが1,000g/m以下であることにより、金型形状への賦型がしやすくなるという利点を有する。
本実施形態に係る摺動部材は、前記摺動部材成形用シートが加熱加圧成形された成形体を有する。
本実施形態に係る摺動部材は、ブッシュ形状(円筒状やドーナツ状)となっていてもよく、また、平板状となっていてもよい。
本実施形態に係る摺動部材は、軸受、シール部材、歯車等の機械部品として用いることができる。例えば、本実施形態に係る摺動部材は、ブッシュ形状に成形することで軸受として用いることができる。
本実施形態に係る摺動部材は、内周面又は外周面の少なくとも一方が前記摺動部材成形用シートで形成されたブッシュ形状となっている場合には、前記補強繊維が前記内周面又は前記外周面の周方向となるように配向されていることが好ましく、言い換えれば、前記補強繊維の延びる方向が前記内周面又は前記外周面の周方向となるように前記補強繊維が配されていることが好ましい。
本実施形態に係る摺動部材は、斯かる構成を有することにより、前記周方向への熱膨張を抑制できるという利点を有する。すなわち、本実施形態に係る摺動部材は、斯かる構成を有することにより、温度上昇による膨張を抑制でき、相手材とのクリアランスが小さくなるのを抑制できる。その結果、本実施形態に係る摺動部材は、異常摩耗を起こす危険性を低減できる。
本実施形態に係る摺動部材の製造方法では、前記摺動部材成形用シートを加熱加圧成形して成形体を得、該成形体を有する摺動部材を得る。
本実施形態に係る摺動部材の製造方法では、前記摺動部材成形用シートの前記熱可塑性樹脂の融点以上に加熱しつつ、前記摺動部材成形用シートを加圧することで前記成形体を成形することができる。
前記成形方法としては、プレス成形、ロール成形、オートクレーブ成形、真空成形等が挙げられる。
本実施形態に係る摺動部材の製造方法では、平板状の摺動部材を作製するには、まず、摺動部材成形用シートを複数枚積層する。そして、前記摺動部材成形用シートの前記熱可塑性樹脂の融点以上に加熱しつつ、金型を用いて前記摺動部材成形用シートを加圧することで前記成形体を得ることができる。
また、本実施形態に係る摺動部材の製造方法では、ブッシュ形状となる摺動部材を作製するには、まず、摺動部材成形用シートを円筒状の型に巻き付ける。そして、前記摺動部材成形用シートの前記熱可塑性樹脂の融点以上に加熱しつつ、金型を用いて前記摺動部材成形用シートを加圧することで前記成形体を得ることができる。
本実施形態に係る摺動部材成形用シート、摺動部材、及び、その製造方法は、上記のように構成されているので、以下の利点を有するものである。
即ち、本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、繊維強化プラスチックで形成された摺動面を有する摺動部材の形成に用いられる。また、本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、補強繊維と、熱可塑性樹脂を含有するマトリックス樹脂とを含む前記摺動面を形成すべく用いられる。
さらに、本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、第1連続繊維と、第2連続繊維とを含む少なくとも2種類以上の連続繊維で構成された繊維シートである。
前記第1連続繊維は、前記補強繊維である。
前記第2連続繊維は、前記マトリックス樹脂となる前記熱可塑性樹脂を含む連続繊維である。
斯かる摺動部材成形用シートは、マトリックス樹脂となる樹脂を連続繊維の状態で含んだ繊維シートであるため、マトリックス樹脂で繊維同士が接着され拘束されてしまうことを抑制できる。
そのため、斯かる摺動部材成形用シートは、従来のプリプレグシートを用いるような場合に比べて成形加工における作業性を向上させ得る。
また、斯かる摺動部材成形用シートは、マトリックス樹脂となる樹脂が熱可塑性を有することから、摺動部材の形成時には、この連続繊維を溶融させて繊維間に含浸させ得る。
しかも、斯かる摺動部材成形用シートで形成された摺動部材は、補強繊維が連続繊維であるため、使用時における摺動面からの補強繊維の脱落を抑制でき、優れた耐摩耗性が発揮され得る。
斯かる摺動部材成形用シートで形成された摺動部材は、耐摩耗性が向上されることで、摺動部材が用いられる装置のメンテナンス頻度を低減できるという利点も有する。
また、本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、補強繊維と熱可塑性樹脂繊維が隣接していることから、含浸距離が近くなり、前記第2連続繊維の熱可塑性樹脂を溶融させた際に、第1連続繊維にマトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂が含浸されやすくなる利点を有する。
従って、本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、成形体において補強繊維や熱可塑性樹脂の疎密を抑制できるため、摩擦係数の変動を抑制できる利点もある。
特に、本実施形態に係る摺動部材成形用シートは、第1連続繊維糸が複数の第1連続繊維で構成されている場合には、第1連続繊維糸の内部に熱可塑性繊維が入り込みやすく、前記第1連続繊維糸にマトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂がより一層含浸されやすくなる利点を有する。
なお、本発明に係る摺動部材成形用シート、摺動部材、及び、その製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明に係る摺動部材成形用シート、摺動部材、及び、その製造方法は、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明に係る摺動部材成形用シート、摺動部材、及び、その製造方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態に係る摺動部材形成用シートでは、前記第3連続繊維がフッ素樹脂繊維であるが、本発明に係る摺動部材形成用シートでは、前記第3連続繊維がフッ素樹脂繊維以外の機能性繊維であってもよい。
フッ素樹脂繊維以外の機能性繊維としては、例えば、優れた導電性を摺動部材に付与できる繊維として、繊維に銀をメッキした銀繊維(例えば、商品名AGposs(ミツフジ(株)製))が挙げられる。優れた導電性が付与された摺動部材は、接触インピーダンスを測定する機器の部材として用いることができ、その結果、機器に生体センサー機能を付与する事が出来る。
また、優れた吸油性を摺動部材に付与できる機能性繊維としては、レーヨン(例えば、ビスコースレーヨン)等が挙げられる。
ビスコースレーヨンは、植物原料(例えば、セルロース)をアルカリ(水酸化ナトリウム等)及び二硫化炭素と反応させてアルカリ水溶液(ビスコース)を得、ビスコースを口金から酸性水溶液(硫酸水溶液など)中に押し出して紡糸することにより製造される(湿式紡糸法)。
ビスコースレーヨンに油を含浸させる方法としては、油を含んだビスコースを得た後に、前記紡糸を実施する方法が挙げられる。また、ビスコースは、乳化液を含んでいてもよい。
さらに、優れた磁性特性を前記補強繊維よりも摺動部材に付与できる機能性繊維としては、繊維に磁性粉を定着させた磁性粉繊維が挙げられる。
前記磁性粉としては、フェライト(マグネタイト、マグヘマイト、ヘマタイト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Ni−Cu−Znフェライト、Ni−Mgフェライト、Cu−Znフェライト、バリウムフェライト、Niフェライト、Liフェライト、Gaフェライト等)の粉末、鉄・シリコン合金系磁性粉、サマリウム・コバルト合金系磁性粉、ネオジウム−鉄−ホウ素系磁性粉などが挙げられる。
また、本実施形態に係る摺動部材成形用シートでは、繊維シートが第3連続繊維を備えてなるが、本発明に係る摺動部材成形用シートでは、繊維シートが第1連続繊維と第2連続繊維とを含む少なくとも2種類以上の連続繊維で構成されていれば、第3連続繊維を備えない態様であってもよい。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
(実施例1)
補強繊維たる炭素繊維(CF)の連続繊維で形成された糸(トレカ(登録商標)T300−3000、東レ社製)(フィラメント数:3000本、総繊度:1980dtex)と、熱可塑性樹脂繊維たるポリエーテルイミド(PEI)繊維の連続繊維で形成された糸(マルチフィラメント600f、クラレ社製)(フィラメント数:600本、総繊度:1320dtex)との撚り糸を編んで、実施例1の摺動部材形成用シートたる平編の編物を作製した。
得られた編物は以下のとおりであった。
縦方向密度(度目):6目/半インチ
横方向密度(度目):5目/半インチ
目付け:600g/m
炭素繊維(CF)の連続繊維で形成された糸の体積と、ポリエーテルイミド(PEI)繊維の連続繊維で形成された糸の体積との比 = 50:50
次に、編物を金型に配置し、電気炉で室温から330℃まで3時間かけて昇温しながら編物を加熱し、その後、330℃で3時間編物を加熱した。
そして、加熱された編物をプレス装置にて30MPaで30分間加圧することで成形体を得た。成形体を二次加工することで、ピン形状の試験片を得た。
(実施例2)
補強繊維たる炭素繊維(CF)の連続繊維で形成された糸(テナックスHTS40、東邦テナックス社製)(フィラメント数:3000本、総繊度:2000dtex)たる経糸と、熱可塑性樹脂繊維たるポリエーテルイミド(PEI)繊維の連続繊維で形成された糸(マルチフィラメント1200f、クラレ社製)(フィラメント数:1200本、総繊度:2640dtex)、及び、機能性繊維(フッ素樹脂繊維)たるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の連続繊維で形成された糸(トヨフロン(登録商標)、東レ社製)(繊度:440dtex)の撚り糸たる緯糸を織って、実施例2の摺動部材形成用シートたる平織の織物を作製した。
得られた織物は以下のとおりであった。
縦糸密度:13.5本/インチ
横糸密度:14本/インチ
目付け:300g/m
炭素繊維(CF)の連続繊維で形成された糸の体積:ポリエーテルイミド(PEI)繊維の連続繊維で形成された糸の体積:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の連続繊維で形成された糸の体積 = 40:52:8
次に、織物を金型に配置し、電気炉で室温から330℃まで3時間かけて昇温しながら織物を加熱し、その後、330℃で3時間織物を加熱した。
そして、加熱された織物をプレス装置にて30MPaで30分間加圧することで成形体を得た。成形体を二次加工することで、ピン形状の試験片を得た。
(比較例1)
補強繊維たる炭素繊維のチョップドファイバー(短繊維)と、熱可塑性樹脂たるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の粉末と、フッ素樹脂たるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粉末とを金型に配置し、電気炉で室温から380℃まで3時間かけて昇温しながら加熱し、その後、380℃で3時間加熱した。
そして、溶融物をプレス装置にて30MPaで30分間加圧することで成形体を得た。成形体を二次加工することで、ピン形状の試験片を得た。
なお、金型に配置した材料の比率は以下のとおりである。
炭素繊維のチョップドファイバー(短繊維)の体積:ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の粉末の体積:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粉末の体積
= 20:70:10
(比較例2)
補強繊維たる炭素繊維の連続繊維で構成された織物と熱可塑性樹脂たるポリフェニレンサルファイド(PPS)のフィルムとを積層したもの(積層物)を金型に配置し、電気炉で室温から315℃まで3時間かけて昇温しながら積層物を加熱し、その後、315℃で3時間積層物を加熱した。
そして、加熱された積層物をプレス装置にて30MPaで30分間加圧することで成形体を得た。成形体を二次加工することで、ピン形状の試験片を得た。
なお、金型に配置した材料の比率は以下のとおりである。
炭素繊維の体積:ポリフェニレンサルファイド(PPS)のフィルムの体積
= 26:74
<摺動特性試験>
実施例及び比較例のピン形状の試験片について、ピンオンディスク試験により摺動特性の評価を、下記の条件、及び、下記表1の条件で行った。結果を下記表1に示す。
試験片の形状:ピン形状(直径:5mm)
相手材:炭素鋼 S45C(Ra=0.3〜0.4μm)
温度:室温
潤滑:無潤滑
試験時間:20時間
摩擦係数の測定頻度:試験開始10分までは、360回/時間
試験開始10分以降は、12回/時間
Figure 0006858005
表1に示すように、本発明の範囲内の実施例1、2の摺動部材形成用シートで形成された成形体(実施例1、2の成形体)では、比較例1、2の成形体に比べて、摩耗量が小さかった。さらに、機能性繊維であるフッ素樹脂繊維(PTFE繊維)を有する実施例2の成形体では、実施例1の成形体に比べて、摩擦係数が低かった。
実施例1、2の成形体では比較例1の成形体に比べて摩耗量が小さかった理由は以下の理由と考えられる。すなわち、比較例1の成形体では、相手材と摺動している間に補強繊維たる短繊維が脱落し、短繊維が脱落した箇所が欠けやすくなり、摩耗が進行しやすくなるが、実施例1、2の成形体では補強繊維が脱落し難い構成となっており、摩耗が進行し難いものとなっているからであると考えられる。
また、実施例1、2の成形体では比較例2の成形体に比べて摩耗量が小さかった理由は以下の理由と考えられる。すなわち、比較例2の成形体では補強繊維の連続繊維で構成された織物に熱可塑性樹脂が十分に含浸しなかったことにより、熱可塑性樹脂が主に存在し補強繊維で補強されていない箇所や、反対に、補強繊維が主に存在し熱可塑性樹脂が十分には含浸されていない箇所で摩耗が進行しやすくなると考えられる。一方で、実施例1、2の摺動部材形成用シートでは補強繊維の近くに熱可塑性樹脂繊維が存在することから含浸距離が近くなり、その結果、実施例1、2の成形体では、熱可塑性樹脂が十分に含浸したことにより、摩耗が進行し難いものとなっているからであると考えられる。また、実施例1、2の成形体と比較例2の成形体とのこのような構造の違いにより、実施例1、2の成形体では安定した摩擦係数を示したが、比較例2の成形体では摩擦係数が激しく変動し安定しなかったものと考えられる。
従って、本発明によれば、耐摩耗性に優れた摺動部材を作製し得る。

Claims (6)

  1. 繊維強化プラスチックで形成された摺動面を有する摺動部材の形成に用いられ、
    補強繊維と、熱可塑性樹脂を含有するマトリックス樹脂とを含む前記摺動面を形成すべく用いられ、
    第1連続繊維と、第2連続繊維とを含む少なくとも2種類以上の連続繊維で構成された繊維シートであり、
    前記第1連続繊維が前記補強繊維であり、
    前記第2連続繊維は、前記マトリックス樹脂となる前記熱可塑性樹脂を含む連続繊維であり、
    前記繊維シートは、芯糸と、該芯糸に巻きかけられた巻糸とを有するカバードヤーンを備え、
    前記芯糸が複数の前記第1連続繊維で構成され、
    前記巻糸が1又は2以上の前記第2連続繊維で構成されている、摺動部材成形用シート。
  2. 前記繊維シートは、
    前記第1連続繊維と、前記第2連続繊維とを含む織物、
    前記第1連続繊維と、前記第2連続繊維とを含む編物、及び、
    前記第1連続繊維と、前記第2連続繊維とが交絡した不織布の内の何れかである請求項1に記載の摺動部材成形用シート。
  3. 前記繊維シートは、更に、第3連続繊維たるフッ素樹脂繊維で構成されている、請求項1又は2に記載の摺動部材成形用シート。
  4. 請求項1〜の何れか1項に記載の摺動部材成形用シートが加熱加圧成形された成形体を有する、摺動部材。
  5. 内周面又は外周面の少なくとも一方が前記摺動部材成形用シートで形成されたブッシュ形状であり、
    前記補強繊維が周方向となるように配向されている、請求項に記載の摺動部材。
  6. 請求項1〜の何れか1項に記載の摺動部材成形用シートを加熱加圧成形して成形体を得、該成形体を有する摺動部材を得る、摺動部材の製造方法。
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