JP6855201B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物に関する。
目的物の表面を被覆する被覆層としては、例えば、目的物の破損や劣化を抑制するものや、目的物の意匠性を向上させるものなど、目的に応じて様々なものが産業界で幅広く利用されている。このような被覆層は、例えば、樹脂を構成材料とし、樹脂が配合されてなる樹脂組成物を目的物の表面に塗工して形成する。
例えば、電子機器分野において利用されるカラーフィルタは、透明基材上に、遮光層によって区画された着色層を備え、これら着色層及び遮光層を覆う被覆層を備えて構成される。
このようなカラーフィルタとしては、例えば、その製造時において、被覆層(保護膜)を形成するための樹脂組成物(保護膜用樹脂組成物)を被覆層の形成面、すなわち塗布面に塗布したときに、樹脂組成物の一部が塗布面から弾かれて、ピンホール状の塗布抜けを生じる、いわゆるハジキの発生を抑制できるものが開示されている(特許文献1参照)。ハジキは、通常、樹脂組成物の塗布面における異物の付着等が原因となって生じる。そして、ハジキが生じた被覆層は、目的物を十分に被覆できず、欠陥を有するものとなってしまう。これに対して、上述の樹脂組成物は、特定範囲の成分を組み合わせて含有していることで、ハジキの発生を抑制する。
一方で、上述のカラーフィルタと同様に積層構造を有し、電子機器分野において利用されるものとしては、基材上に導電層が設けられてなる積層体も挙げられる。例えば、導電層がパターニングされた前記積層体は、通信機器等の回路基板として利用されている。また、パターニングされた導電層として、極微細配線又は極薄配線を備えた積層体は、さらに透明基材と組み合わせることにより、タッチパネルや光学ディスプレイを構成できる。そして、このような積層体においても、通常、導電層上にこの導電層を覆う被覆層が設けられ、この場合の被覆層にも、ハジキの発生に起因する欠陥を有しないことが求められる。また、基材は、被覆層を形成するための樹脂組成物の影響を受け易いが、前記積層体においては、樹脂組成物によって基材が劣化しないことも求められる。
特許第5178407号公報
しかし、特許文献1で開示されている被覆層は、着色層及び遮光層を備えた基材上に形成されるものであり、これら各層(基材、着色層、遮光層)の表面が樹脂組成物の塗工面となる。これに対して、前記積層体における被覆層は、導電層を備えた基材上に形成されるものであり、これら各層(基材、導電層)の表面が樹脂組成物の塗工面となる。すなわち、導電層を備えた前記積層体は、特許文献1で開示されているカラーフィルタとは、被覆層の形成対象、換言すると樹脂組成物の塗工面の特性が全く異なる。したがって、特許文献1で開示されている樹脂組成物を、導電層を備えた前記積層体の製造時において、被覆層を形成するために用いても、ハジキの発生を抑制できるか定かではなく、また、前記積層体中の基材の劣化を抑制できるかも定かではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基材、導電層及び被覆層がこの順に積層されてなる積層体の製造時において、被覆層の形成に使用可能な樹脂組成物であって、基材を劣化させることなく、被覆層の形成時に、ハジキの発生を抑制できる樹脂組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、ポリウレタン(メタ)アクリレート、アクリル酸エステル、及び溶媒が配合されてなり、前記溶媒がケトアルコール及びアルコールエーテルである、樹脂組成物を提供する。
本発明の樹脂組成物においては、前記ケトアルコールのSP値が10.4〜11.0であり、前記アルコールエーテルのSP値が9.3〜10.3であることが好ましい。
本発明によれば、基材、導電層及び被覆層がこの順に積層されてなる積層体の製造時において、被覆層の形成に使用可能な樹脂組成物であって、基材を劣化させることなく、被覆層の形成時に、ハジキの発生を抑制できる樹脂組成物が提供される。
本発明の樹脂組成物を用いて得られる積層体の一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の樹脂組成物を用いて得られる積層体の他の実施形態を模式的に示す断面図である。 図1に示す積層体の製造方法を模式的に説明するための断面図である。 実施例及び比較例の被覆層用組成物における、粘度と表面張力との関係を示すグラフである。
<<樹脂組成物>>
本発明の樹脂組成物は、ポリウレタン(メタ)アクリレート、アクリル酸エステル、及び溶媒が配合されてなり、前記溶媒がケトアルコール及びアルコールエーテルとなっているものである。
本発明の樹脂組成物は、硬化性を有し、通常はエネルギー線硬化性である。本発明の樹脂組成物は、目的物に被覆層を形成するために使用でき、前記樹脂組成物の硬化物は、例えば、保護膜として好適である。
前記エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線等の紫外線;赤外線;X線、γ線等の電磁放射線;電子線、陽子線、中性子線等の粒子放射線等が挙げられる。
前記樹脂組成物において、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート及びアクリル酸エステルは樹脂成分であり、被覆層の主たる構成成分となる。
また、前記樹脂組成物において、前記ケトアルコール及びアルコールエーテルは溶媒である。前記樹脂組成物は、前記ケトアルコール及びアルコールエーテルが配合されていることで、樹脂組成物の塗工面、すなわち被覆層の形成面に塗工したときに、樹脂組成物のハジキの発生を抑制できる。なお、本明細書において「ハジキ」とは、特に断りのない限り、塗工された樹脂組成物の一部が塗工面から弾かれて、塗工面の一部が樹脂組成物で被覆されずに、塗工抜けの状態が発生することを意味する。そして、塗工抜けの形状は特に限定されない。また、前記樹脂組成物は、基材、導電層及び被覆層がこの順に積層されてなる積層体の製造時において、被覆層を形成するのに用いた場合に、基材を劣化させることがなく、例えば、基材の浸食等による白濁化を生じることもない。
<ポリウレタン(メタ)アクリレート>
前記樹脂組成物において、ポリウレタン(メタ)アクリレートは、特に限定されず、エネルギー線の照射によって硬化する性質を有する、すなわちエネルギー線硬化性のものであれば、特に限定されない。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念である。「(メタ)アクリレート」と類似の用語につても同様であり、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念である。
ポリウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、特に限定されないが、500〜30000であることが好ましく、800〜20000であることがより好ましく、1200〜15000であることが特に好ましい。
前記樹脂組成物において、ポリウレタン(メタ)アクリレートは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
<アクリル酸エステル>
前記樹脂組成物において、アクリル酸エステル(アクリレート)は、特に限定されず、例えば、アクリル酸アルキルエステル(アルキルアクリレート)、アクリル酸アリールエステル(アリールアクリレート)、アクリル酸アラルキルエステル(アラルキルアクリレート)等から適宜選択できる。
前記樹脂組成物において、アクリル酸エステルは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記樹脂組成物において、配合成分の総量に対する、ポリウレタン(メタ)アクリレート及びアクリル酸エステルの合計配合量(すなわち樹脂成分の配合量)の割合は、14質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、基材を劣化させず、前記樹脂組成物のハジキの発生を抑制する効果がより高くなる。
さらに、形成される被覆層において、滲みが高度に抑制され、かつ表面平滑性がより高くなる点から、前記割合は、16.5質量%以上であることが好ましく、17質量%以上であることがより好ましく、17.5質量%以上であることが特に好ましい。
前記樹脂組成物において、配合成分の総量に対する、ポリウレタン(メタ)アクリレート及びアクリル酸エステルの合計配合量の割合は、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、26質量%以下であることがさらに好ましく、22質量%以下であることが特に好ましい。前記割合が前記上限値以下であることで、前記樹脂組成物の取り扱い性がより良好となる。
前記樹脂組成物においては、配合成分の総量に対する、ポリウレタン(メタ)アクリレート及びアクリル酸エステルの合計配合量の割合を、上述のいずれかの下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に含まれるように、調節できる。
前記樹脂組成物において、ポリウレタン(メタ)アクリレート及びアクリル酸エステルの配合量の比は、[ポリウレタン(メタ)アクリレートの配合量(質量)]:[アクリル酸エステルの配合量(質量)]の質量比で表して、45:55〜95:5であることが好ましく、50:50〜90:10であることがより好ましく、55:45〜85:15であることがさらに好ましく、60:40〜80:20であることが特に好ましい。前記配合量の比がこのような範囲内であることで、基材を劣化させず、前記樹脂組成物のハジキの発生を抑制する効果がより高くなる。
<ケトアルコール>
前記ケトアルコールは、1分子中にカルボニル基及び水酸基をともに有し、エーテル結合を有さず、常温で液状の化合物であれば、特に限定されない。すなわち、ケトアルコールには、前記アルコールエーテルは含まれない。
なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜30℃の温度等が挙げられる。
例えば、前記ケトアルコールは、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれであってもよい。
1分子のケトアルコールが有するカルボニル基及び水酸基の数は、それぞれ1個でもよいし、2個以上でもよく、特に限定されない。
1分子のケトアルコールが有するカルボニル基及び水酸基の数は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいが、互いに同一であることが好ましい。
1分子のケトアルコールが有するカルボニル基及び水酸基の数は、いずれも2個以下であることが好ましく、いずれも1個であることがより好ましい。
ケトアルコールにおける、カルボニル基及び水酸基の結合位置は、特に限定されない。例えば、ケトアルコールが鎖状構造を有する場合、水酸基は主鎖の末端部に存在していてもよいし、非末端部に存在していてもよい。
なお、本明細書において、鎖状構造を有する化合物の「主鎖」とは、「鎖状骨格を構成している原子数が最も多い部位」を意味する。
ケトアルコールのSP値は、10.4〜11.0であることが好ましく、10.6〜11.0であることがより好ましい。ケトアルコールのSP値がこのような範囲内であることで、基材を劣化させず、前記樹脂組成物のハジキの発生を抑制する効果がより高くなる。
好ましいケトアルコールとしては、例えば、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、SP値10.8)等が挙げられる。
前記樹脂組成物において、ケトアルコールは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
<アルコールエーテル>
前記アルコールエーテルは、1分子中に水酸基及びエーテル結合をともに有し、カルボニル基を有さず、常温で液状の化合物であれば、特に限定されない。すなわち、アルコールエーテルには、前記ケトアルコールは含まれない。
例えば、前記アルコールエーテルは、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれであってもよい。
1分子のアルコールエーテルが有する水酸基及びエーテル結合の数は、それぞれ1個でもよいし、2個以上でもよく、特に限定されない。
1分子のアルコールエーテルが有する水酸基及びエーテル結合の数は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいが、互いに同一であることが好ましい。
1分子のアルコールエーテルが有する水酸基及びエーテル結合の数は、いずれも2個以下であることが好ましく、いずれも1個であることがより好ましい。
アルコールエーテルにおける、水酸基及びエーテル結合の結合位置は、特に限定されない。例えば、アルコールエーテルが鎖状構造を有する場合、水酸基は主鎖の末端部に存在していてもよいし、非末端部に存在していてもよい。
アルコールエーテルのSP値は、9.3〜10.3であることが好ましく、9.5〜10.3であることがより好ましい。アルコールエーテルのSP値がこのような範囲内であることで、基材を劣化させず、前記樹脂組成物のハジキの発生を抑制する効果がより高くなる。
好ましいアルコールエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノプロピルエーテル(SP値10.2)、1−ブトキシ−2−プロパノール(プロピレングリコール1−モノ−n−ブチルエーテル、SP値9.7)等が挙げられる。
前記樹脂組成物において、アルコールエーテルは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記樹脂組成物において、ケトアルコールのSP値と、アルコールエーテルのSP値は、いずれも上述の好ましい数値範囲であることが好ましい。
前記樹脂組成物において、ケトアルコールのSP値と、アルコールエーテルのSP値と、の差([ケトアルコールのSP値]−[アルコールエーテルのSP値])は、0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。前記SP値の差が前記下限値以上であることで、基材を劣化させず、前記樹脂組成物のハジキの発生を抑制する効果がより高くなる。
一方、前記SP値の差の上限値は、特に限定されないが、例えば、1.3とすることができる。
前記樹脂組成物においては、上述のいずれかの下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に含まれるように、前記SP値の差を調節できる。
前記樹脂組成物において、配合成分の総量に対する、ケトアルコール及びアルコールエーテルの合計配合量の割合は、65〜86質量%であることが好ましく、70〜85質量%であることがより好ましく、74〜84質量%であることが特に好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、基材を劣化させず、前記樹脂組成物のハジキの発生を抑制する効果がより高くなる。
前記樹脂組成物において、ケトアルコール及びアルコールエーテルの配合量の比は、[ケトアルコールの配合量(質量)]:[アルコールエーテルの配合量(質量)]の質量比で表して、80:20〜20:80であることが好ましく、76:24〜24:76であることがより好ましく、72:28〜28:72であることが特に好ましい。前記配合量の比がこのような範囲内であることで、基材を劣化させず、前記樹脂組成物のハジキの発生を抑制する効果がより高くなる。
<硬化剤>
前記樹脂組成物は、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート、アクリル酸エステル、ケトアルコール及びアルコールエーテル以外に、硬化剤が配合されてなるものが好ましい。
前記硬化剤は、公知のものでよく、目的に応じて適宜選択すればよい。
前記樹脂組成物において、硬化剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記樹脂組成物において、ポリウレタン(メタ)アクリレート及びアクリル酸エステルの合計配合量(すなわち樹脂成分の配合量)に対する、硬化剤の配合量の割合は、1〜10質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましく、3〜7質量%であることが特に好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、硬化剤を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。また、前記割合が前記上限値以下であることで、硬化剤の過剰使用が抑制される。
<添加剤>
前記樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内において、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート、アクリル酸エステル、ケトアルコール、アルコールエーテル及び硬化剤のいずれにも該当しない、公知の各種添加剤が配合されてなるものでもよい。
前記樹脂組成物において、添加剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記樹脂組成物における、添加剤の配合量は、添加剤の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
好ましい添加剤としては、例えば、マイグレーション抑制剤、界面活性剤等が挙げられる。
[マイグレーション抑制剤]
前記樹脂組成物は、後述するように、基材、導電層及び被覆層がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなる積層体中の、被覆層を形成するものとして好適である。このような積層体については、後ほど詳細に説明する。また、このような被覆層の形成に用いる前記樹脂組成物を、本明細書においては特に「被覆層用組成物」と称することがある。
前記マイグレーション抑制剤は、このような積層体において、基材上での導電層の形成位置が変化(導電層がマイグレーション)することを抑制するための成分である。導電層のマイグレーションは、例えば、導電層がラインアンドスペースパターンにパターニングされている場合、隣り合うライン間で生じ易い。
マイグレーション抑制剤としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、5−メチルベンゾトリアゾール、1,2−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオニル]ヒドラジン等が挙げられる。
前記樹脂組成物において、ポリウレタン(メタ)アクリレート及びアクリル酸エステルの合計配合量(すなわち樹脂成分の配合量)に対する、マイグレーション抑制剤の配合量の割合は、1〜10質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましく、3〜7質量%であることが特に好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、マイグレーション抑制剤を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。また、前記割合が前記上限値以下であることで、基材を劣化させず、前記樹脂組成物のハジキの発生を抑制する効果と、マイグレーション抑制剤を用いたことによる効果とが、より優れたバランスで得られる。
[界面活性剤]
前記界面活性剤は、公知のものでよく、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン界面活性剤のいずれでもよく、目的に応じて適宜選択すればよい。
なかでも、前記界面活性剤は、ノニオン界面活性剤であることが好ましい。
ノニオン界面活性剤は、フッ素原子を有するものが好ましく、フルオロアルケニル基を有するものがより好ましく、パーフルオロアルケニル基を有するものが特に好ましい。
前記樹脂組成物において、界面活性剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
界面活性剤を用いる場合、前記樹脂組成物において、配合成分の総量に対する、界面活性剤の配合量の割合は、0.05〜1質量%であることが好ましく、0.05〜0.5質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、界面活性剤を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。また、前記割合が前記上限値以下であることで、界面活性剤の過剰使用が抑制される。
<他の溶媒>
前記樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内において、前記ケトアルコール及びアルコールエーテル以外に、溶媒(本明細書においては、「他の溶媒」と略記することがある)が配合されていてもよい。他の溶媒を配合することで、前記樹脂組成物の特性を調節できることがある。
前記他の溶媒は特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
前記他の溶媒としては、例えば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール(イソブチルアルコール)、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブチルアルコール)等の一価アルコール;エチレングリコール(1,2−エタンジオール)、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、ジエチレングリコール(2,2’−オキシジエタノール)等のニ価アルコールをはじめとする多価アルコール;2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール等のアミノアルコール(アミノ基及び水酸基を有する化合物);ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、グルタル酸モノメチル、グルタル酸ジメチル等のエステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、イソホロン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
なお、本発明においては、特に断りのない限り、ケトンはケトアルコールを含まないものとする。すなわち、本発明において、ケトンとは水酸基(−OH)を含まないものであり、ケトンをケトアルコールとは異なるものとして区別する。
また、本発明においては、特に断りのない限り、アルコールはケトアルコール及びアルコールエーテルを含まないものとする。すなわち、本発明において、アルコールとはカルボニル基(−C(=O)−)及びエーテル結合(−O−)をともに含まないものであり、アルコールをケトアルコール及びアルコールエーテルとは異なるものとして区別する。
前記樹脂組成物において、他の溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記樹脂組成物における、他の溶媒の配合量は特に限定されず、他の溶媒の種類に応じて適宜調節すればよい。
例えば、他の溶媒のSP値が、前記ケトアルコールの好ましいSP値(すなわち、SP値10.4〜11.0)、及び前記アルコールエーテルの好ましいSP値(すなわち、SP値9.3〜10.3)の、いずれかに含まれる場合には、前記樹脂組成物において、前記ケトアルコール及びアルコールエーテルの合計配合量に対する、他の溶媒の配合量の割合は、0〜10質量%、0〜5質量%、及び0〜2質量%のいずれかとすることができる。ただし、これは一例である。
一方、他の溶媒のSP値が、前記ケトアルコールの好ましいSP値(すなわち、SP値10.4〜11.0)、及び前記アルコールエーテルの好ましいSP値(すなわち、SP値9.3〜10.3)の、いずれにも含まれない場合には、前記樹脂組成物において、前記ケトアルコール及びアルコールエーテルの合計配合量に対する、他の溶媒の配合量の割合は、0〜3質量%であることが好ましく、0〜1質量%であることがより好ましい。
<他の樹脂>
前記樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内において、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート及びアクリル酸エステル以外の樹脂(本明細書においては、「他の樹脂」と略記することがある)が配合されていてもよい。他の樹脂を配合することで、前記樹脂組成物の特性を調節できることがある。
前記他の樹脂は特に限定されず、エネルギー線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、目的に応じて適宜選択すればよい。
前記樹脂組成物において、他の樹脂は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記樹脂組成物における、他の樹脂の配合量は特に限定されず、他の樹脂の種類に応じて適宜調節すればよい。
通常は、前記樹脂組成物において、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート及びアクリル酸エステルの合計配合量に対する、他の樹脂の配合量の割合は、0〜5質量%であることが好ましく、0〜3質量%であることがより好ましく、0〜1質量%であることが特に好ましい。
後述する実施例に記載の方法で測定された、前記樹脂組成物の25℃における粘度は、5〜13.5mPa・sであることが好ましく、6〜13.5mPa・sであることがより好ましく、7〜13.5mPa・sであることがさらに好ましく、7.5〜13.5mPa・sであることが特に好ましい。前記粘度がこのような範囲であることで、基材を劣化させず、前記樹脂組成物のハジキの発生を抑制する効果がより高くなる。
前記樹脂組成物のハジキの発生を抑制するという観点では、前記粘度は、例えば、5.3〜13.5mPa・sであってもよい。
後述する実施例に記載の方法で測定された、前記樹脂組成物の25℃における表面張力は、22.5〜29.8mN/mであることが好ましく、22.7〜29.7mN/mであることがより好ましく、22.9〜29.6mN/mであることがより好ましく、23.1〜29.5mN/mであることが特に好ましい。前記表面張力がこのような範囲であることで、基材を劣化させず、前記樹脂組成物のハジキの発生を抑制する効果がより高くなる。
前記樹脂組成物においては、前記粘度及び表面張力がいずれも上述の好ましい数値範囲であることが好ましい。
前記樹脂組成物は、先に説明したように、基材、導電層及び被覆層がこの順に積層されてなる積層体の製造時において、被覆層を形成するために使用することが好適なものである。ただし、前記樹脂組成物の使用対象は、これに限定されるものではなく、通常の樹脂組成物の使用時に、ハジキの発生が懸念される塗工面全般に使用可能である。
<<樹脂組成物の製造方法>>
前記樹脂組成物は、前記ポリウレタン(メタ)アクリレート、アクリル酸エステル、ケトアルコール、アルコールエーテル、及び必要に応じて、これらのいずれにも該当しない他の成分を配合することで得られる。ここで、「他の成分」としては、例えば、前記硬化剤、添加剤、他の溶媒及び他の樹脂等が挙げられる。
前記樹脂組成物の製造時において、各成分の配合後は、得られたものをそのまま樹脂組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを樹脂組成物としてもよい。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、15〜50℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、配合成分が均一に溶解又は分散するのに必要な時間であることが好ましく、例えば、10分〜12時間であることが好ましい。
<<第2樹脂組成物>>
ここまでは、ポリウレタン(メタ)アクリレート、アクリル酸エステル、ケトアルコール及びアルコールエーテルが配合されてなる樹脂組成物について説明した。そして、ケトアルコールのSP値が10.4〜11.0であることが好ましく、アルコールエーテルのSP値が9.3〜10.3であることが好ましいことについても、説明した。
一方、ポリウレタン(メタ)アクリレート、アクリル酸エステル、SP値が10.4〜11.0である溶媒、及びSP値が9.3〜10.3である溶媒が配合されてなる樹脂組成物も、上述の本発明の樹脂組成物と同様の効果を奏する。本明細書においては、前者を「第2樹脂組成物」と称し、この第2樹脂組成物と区別するために、先に詳細に説明した後者の樹脂組成物を「第1樹脂組成物」と称することがある。すなわち、第2樹脂組成物も、前記積層体の製造時において、被覆層の形成に使用可能であり、基材を劣化させることなく、被覆層の形成時にハジキの発生を抑制できる。
第2樹脂組成物において、SP値が10.4〜11.0である溶媒は、常温で液状であれば、ケトアルコールであってもよいし、ケトアルコール以外の溶媒であってもよい。
また、第2樹脂組成物において、SP値が9.3〜10.3である溶媒は、常温で液状であれば、アルコールエーテルであってもよいし、アルコールエーテル以外の溶媒であってもよい。
第2樹脂組成物は、ケトアルコールが配合されているのに代わり、ケトアルコールに限定されずにSP値が10.4〜11.0である溶媒が配合され、アルコールエーテルが配合されているのに代わり、アルコールエーテルに限定されずにSP値が9.3〜10.3である溶媒が配合されている点を除けば、第1樹脂組成物と同じものである。
<<積層体>>
前記樹脂組成物は、基材、導電層及び被覆層がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなる積層体において、被覆層を形成するための材料として好適である。
以下、前記樹脂組成物を用いて製造できる積層体について、詳細に説明する。
図1は、本発明の樹脂組成物を用いて得られる積層体の一実施形態を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明で用いる図は、説明を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
ここに示す積層体1は、基材11、導電層12及び被覆層13がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなる。換言すると、積層体1は、基材11上に被覆層13を備え、基材11と被覆層13との間に導電層12を備えて、構成されている。被覆層13は、本発明の樹脂組成物を用いて形成されたものである。
基材11は、フィルム状又はシート状であることが好ましい。
導電層12は線状であり、基材11の一方の表面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)11aの一部の領域に設けられている。導電層12の線長方向(長手方向)は、図1での導電層12の断面に対して直交する方向である。導電層12は、基材11の前記第1面11aに直接接触して積層されている。
被覆層13は、基材11における導電層12の形成面全面を被覆しており、基材11の第1面11aのうち、導電層12が設けられていない領域と、導電層12の表面12aと、に直接接触して積層されている。被覆層13は、フィルム状又はシート状であることが好ましい。なお、図1中、符号13aは、被覆層の表面を示す。
図2は、本発明の樹脂組成物を用いて得られる積層体の他の実施形態を模式的に示す断面図である。なお、図2以降の図において、図1に示すものと同じ構成要素には、図1の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここ示す積層体2は、導電層22がフィルム状又はシート状であり、基材11の第1面11aの一部又はすべての領域を被覆して積層されており、それに伴い被覆層23の断面形状が異なっている点以外は、図1に示す積層体1と同じものである。図2中、符号22aは、導電層22の表面を示し、符号23aは、被覆層の表面を示す。
本発明の樹脂組成物を用いて得られる積層体は、図1及び図2に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、例えば、図1及び図2に示すものに他の構成が追加されたり、一部構成が適宜変更されたものでもよい。
例えば、基材の前記表面を上方から見下ろすように、積層体を平面視したときの、導電層の形状は、目的に応じて任意に設定でき、導電層は線状以外の形状にパターニングされていてもよい。線状にパターニングされた導電層は、例えば、配線として有用である。
また、前記積層体は、例えば、基材上に導電層及び被覆層以外のその他の層が設けられたものでもよい。前記その他の層としては、例えば、基材と導電層との間、又は導電層と被覆層との間に設けられた中間層が挙げられる。前記中間層としては、例えば、互いに隣接する層同士の密着性を向上させる密着層や、互いに隣接する層同士を安定して固着させる粘着剤層又は接着剤層等が挙げられるが、目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
ただし、前記積層体は、前記中間層を有さず、基材に導電層が直接接触して積層され、導電層に被覆層が直接接触して積層されてなるものが好ましい。そして、導電層がパターニングされている場合には、基材の導電層が設けられていない領域に、被覆層が直接接触して積層されてなるものが好ましい。このような積層体においては、本発明の効果がより顕著に得られる。また、このような積層体は、構成が簡略化されており、簡略化された工程で製造できる。さらに、このような積層体においては、中間層を設けないことにより、中間層が導電層や被覆層に品質上の悪影響を与える可能性を排除できる。
また、前記積層体は、例えば、基材の他方の表面(図1及び図2では、符号11bを付した面、本明細書においては、「第2面」と称することがある)に、何らかの層が積層されたものでもよい。ここで、基材の前記第2面に積層されるものとしては、導電層、被覆層、中間層等、基材の第1面に積層されるものと同様のものが挙げられる。
例えば、基材の第2面上に設けられている(第2面側の)被覆層は、本発明の樹脂組成物を用いて形成されたものであってもよいし、そうでなくても(本発明の樹脂組成物以外のものを用いて形成されたものであっても)よい。そして、基材の第2面側の被覆層が、本発明の樹脂組成物を用いて形成されたものである場合、この被覆層は、基材の第1面上に設けられている(第1面側の)被覆層と組成が同じあってもよいし、異なっていてもよい。
同様に、基材の第2面側の導電層、中間層等の他の層も、それぞれ基材の第1面側の導電層、中間層等の他の層と、組成が同じあってもよいし、異なっていてもよい。
基材の第2面側の導電層、被覆層、中間層等は、それぞれ基材の第1面側の導電層、被覆層、中間層等と形態(例えば、形状、厚さ等)が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
次に、前記積層体の各構成について、より詳細に説明する。
<基材>
前記基材の厚さは、10〜5000μmであることが好ましく、10〜3000μmであることがより好ましい。
基材の材質は、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
また、基材の材質としては、上記以外にも、ガラス、シリコン等のセラミックスや、紙が挙げられる。
また、基材は、ガラスエポキシ樹脂、ポリマーアロイ等の、2種以上の材質を併用したものでもよい。
基材は、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。基材が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。
なお、本明細書においては、基材の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の材質及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
なお、基材が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材の厚さとなるようにするとよい。
ただし、基材が単層及び複数層のいずれであるかによらず、前記樹脂組成物が直接接触する基材は、ポリカーボネートからなるものか、又はポリカーボネートを主成分とするものが好ましい。このような基材を用いることで、基材を劣化させず、前記樹脂組成物のハジキの発生を抑制する効果がより高くなる。
ここで「ポリカーボネートを主成分とする基材」とは、「ポリカーボネートとそれ以外の成分を含有し、ポリカーボネートの含有量が50質量%以上である基材」を意味する。そして、ポリカーボネートを主成分とする基材の、ポリカーボネートの含有量は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、例えば、95質量%以上、97質量%以上及び99質量%以上のいずれであってもよい。
<導電層>
前記導電層の材質は、導電性を有するものであれば特に限定されないが、抵抗値が低い導電層を容易に形成できる点から、銀、銅等の単体金属、又は合金(以下、これらをまとめて「金属」と略記することがある)であることが好ましく、銀又は銅であることがより好ましい。
導電層の厚さは、目的に応じて任意に設定できるが、3nm〜40μmであることが好ましく、4nm〜30μmであることがより好ましい。導電層の厚さが前記下限値以上であることで、導電性をより向上させることができ、また、導電層の構造をより安定して維持できる。また、導電層の厚さが前記上限値以下であることで、積層体をより薄層化できる。
導電層は、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。導電層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。
導電層が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい導電層の厚さとなるようにするとよい。
<被覆層>
前記被覆層は、本発明の樹脂組成物を用いて形成されたものであり、樹脂からなるか、又は樹脂を主成分とする。
そして、被覆層は樹脂として、ポリウレタン(メタ)アクリレート及びその硬化物からなる群から選択される1種又は2種以上と、アクリル酸エステル及びその硬化物からなる群から選択される1種又は2種以上と、を含有する。
なお、本明細書において「主成分」とは、対象となる層において、含有量が30質量%以上100質量%未満である成分を意味する。
被覆層は、光透過性を有するものが好ましく、透明性が高いものが好ましい。
被覆層において、前記樹脂の含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、例えば、92質量%以上、94質量%以上及び96質量%以上等のいずれかであってもよい。
一方、被覆層において、前記樹脂の含有量の上限値は特に限定されず、例えば、98質量%及び99質量%のいずれかであってもよいし、前記樹脂の含有量は100質量%であってもよい。
被覆層の厚さは、目的に応じて任意に設定できるが、200nm〜50μmであることが好ましく、500nm〜40μmであることがより好ましく、800nm〜30μmであることが特に好ましい。被覆層の厚さが前記下限値以上であることで、導電層の被覆効果をより向上させることができ、また、被覆層の構造をより安定して維持できる。また、被覆層の厚さが前記上限値以下であることで、被覆層が過剰に厚くなることを抑制できる。
被覆層は、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。被覆層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。
被覆層が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい被覆層の厚さとなるようにするとよい。
<<積層体の製造方法>>
前記積層体は、例えば、基材上に導電層を形成する工程(以下、「導電層形成工程」と略記することがある)と、前記導電層上に被覆層を形成する工程(以下、「被覆層形成工程」と略記することがある)と、を有する製造方法で製造できる。
図3は、図1に示す積層体1の製造方法を模式的に説明するための断面図である。
図1に示す積層体1を製造する場合には、図3(a)に示す基材11を用い、まず、図3(b)に示すように、導電層形成工程において、基材11の第1面11a上に導電層12を形成する。
次いで、図3(c)に示すように、被覆層形成工程において、基材11での導電層12の形成面を被覆層13で被覆する。これにより、導電層12の表面12aと、基材11の第1面11aのうち、導電層12を備えていない領域とに、被覆層13を形成する。
以上により、積層体1が得られる。
なお、ここでは、図1に示す積層体1を引用して説明したが、積層体1以外の本発明の積層体も、この方法と同様の方法、又はこの方法の一部を変更した方法により製造できる。
以下、各工程について、より詳細に説明する。
<導電層形成工程>
前記導電層は、例えば、これを形成するための原料となる組成物(以下、「導電層用組成物」と略記することがある)を基材上の目的とする箇所に付着させて組成物層を形成し、この組成物層(導電層用組成物)に対して、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理を適宜選択して行うことで形成できる。加熱処理は、乾燥処理を兼ねて行ってもよい。
また導電層は、前記導電層用組成物を基材表面の所定の領域又は全面に付着させて組成物層を形成し、この組成物層(導電層用組成物)から上記と同様の方法で導電層(パターニング前の導電層)を形成した後、エッチング等の公知の手法でこの導電層を所望の形状となるようにパターニングすることでも形成できる。
導電層の材質が金属である場合には、前記導電層用組成物として、金属又は金属の形成材料が配合されてなる金属インク組成物を用いればよい。
金属インク組成物中の金属の形成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
配合される前記金属(単体金属又は合金)は、粒子状又は繊維状(チューブ状、ワイヤー状等)であることが好ましく、ナノ粒子又はナノワイヤーであることがより好ましく、銀ナノ粒子、銀ナノワイヤー、銅ナノ粒子又は銅ナノワイヤーであることが特に好ましい。
なお、本明細書において、「ナノ粒子」とは、粒径が1nm以上1000nm未満、好ましくは1〜100nmである粒子を意味し、「ナノワイヤー」とは、幅が1nm以上1000nm未満、好ましくは1〜100nmであるワイヤーを意味する。
配合される前記金属の形成材料は、該当する金属原子(元素)を有し、分解等の構造変化によって金属を生じるものであればよく、例えば、金属塩、金属錯体、有機金属化合物(金属−炭素結合を有する化合物)等が挙げられる。前記金属塩及び金属錯体は、有機基を有する金属化合物及び有機基を有しない金属化合物のいずれでもよい。なかでも金属の形成材料は、金属塩であることが好ましく、銀塩又は銅塩であることがより好ましい。
金属の形成材料を用いることで、前記材料から金属が生じ、この金属を含む導電層が形成される。この場合の導電層において、前記金属の比率は、導電層が見かけ上金属だけからなるとみなし得る程度に十分に高くすることができ、導電層中の金属の比率は、好ましくは97質量%以上、より好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。導電層中の金属の比率の上限値は、例えば、100質量%、99.9質量%、99.8質量%、99.7質量%、99.6質量%、99.5質量%、99.4質量%、99.3質量%、99.2質量%及び99.1質量%のいずれかとすることができるが、これらに限定されない。
金属インク組成物は、液状のものが好ましく、前記金属の形成材料が均一に分散されたものが好ましい。
以下、金属インク組成物として、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物を用いた場合の、導電層の形成方法について説明するが、金属種が銀以外の場合にも同様の方法で、導電層を形成できる。
前記金属銀の形成材料は、加熱等によって分解し、金属銀を形成するものである。
[カルボン酸銀]
金属銀の形成材料としては、例えば、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀等が挙げられる。
本発明において、カルボン酸銀は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
前記カルボン酸銀は、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀(以下、「β−ケトカルボン酸銀(1)」と略記することがある)及び下記一般式(4)で表されるカルボン酸銀(以下、「カルボン酸銀(4)」と略記することがある)からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Figure 0006855201
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり;
はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
Figure 0006855201
(式中、Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基又は式「−C(=O)−OAg」で表される基であり、前記脂肪族炭化水素基がメチレン基を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。)
(β−ケトカルボン酸銀(1))
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基である。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。そして、前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。Rにおける好ましい前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
Rにおける直鎖状又は分枝鎖状の前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。
Rにおける前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基、−CH=CH)、アリル基(2−プロペニル基、−CH−CH=CH)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH)、イソプロペニル基(−C(CH)=CH)、1−ブテニル基(−CH=CH−CH−CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、3−ブテニル基(−CH−CH−CH=CH)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換された基等が挙げられる。
Rにおける前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基等が挙げられる。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての置換基が同一であってもよいし、すべての置換基が異なっていてもよく、一部の置換基のみが異なっていてもよい。
Rにおけるフェニル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基(−OH)、シアノ基(−C≡N)、フェノキシ基(−O−C)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるYは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子である。そして、一般式「R−CY −」、「CY −」及び「R−C(=O)−CY −」においては、それぞれ複数個のYは、互いに同一でも異なっていてもよい。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基(C−)であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R及びRは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
Rは、上記の中でも、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、一般式「R−C(=O)−CY −」で表される基、水酸基又はフェニル基であることが好ましい。そして、Rは、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基(C−CH−)、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基(C−O−CH=CH−)、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基である。
における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
におけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
におけるRは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基(CS−)、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基(ビフェニル基、C−C−)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜10である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、Rにおけるフェニル基及びジフェニル基の前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
一般式(1)において、2個のXは、2個のカルボニル基で挟まれた炭素原子と二重結合を介して1個の基として結合していてもよく、このようなものとしては、例えば、式「=CH−C−NO」で表される基等が挙げられる。
は、上記の中でも、水素原子、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、ベンジル基、又は一般式「R−C(=O)−」で表される基であることが好ましく、少なくとも一方のXが水素原子であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、アセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−エチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、プロピオニル酢酸銀(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、カプロイル酢酸銀(CH(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−n−ブチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCHCHCH)−C(=O)−OAg)、2−ベンジルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−アセチルピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、2−アセチルイソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、又はアセトンジカルボン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された導電体(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。原料や不純物が少ない程、例えば、形成された金属銀同士の接触が良好となり、導通が容易となり、抵抗率が低下する。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、後述するように、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、好ましくは60〜210℃、より好ましくは60〜200℃という低温で分解し、金属銀を形成することが可能である。そして、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。還元剤については後ほど説明する。
本発明において、β−ケトカルボン酸銀(1)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(カルボン酸銀(4))
カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表される。
式中、Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(−COOH)又は式「−C(=O)−OAg」で表される基である。
における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。ただし、Rにおける前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
における前記脂肪族炭化水素基がメチレン基(−CH−)を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。カルボニル基で置換されていてもよいメチレン基の数及び位置は特に限定されず、すべてのメチレン基がカルボニル基で置換されていてもよい。ここで「メチレン基」とは、単独の式「−CH−」で表される基だけでなく、式「−CH−」で表される基が複数個連なったアルキレン基中の1個の式「−CH−」で表される基も含むものとする。
カルボン酸銀(4)は、ピルビン酸銀(CH−C(=O)−C(=O)−OAg)、酢酸銀(CH−C(=O)−OAg)、酪酸銀(CH−(CH−C(=O)−OAg)、イソ酪酸銀((CHCH−C(=O)−OAg)、2−エチルへキサン酸銀(CH−(CH−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、ネオデカン酸銀(CH−(CH−C(CH−C(=O)−OAg)、シュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)、又はマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。また、上記のシュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)及びマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)の2個の式「−COOAg」で表される基のうち、1個が式「−COOH」で表される基となったもの(HO−C(=O)−C(=O)−OAg、HO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)も好ましい。
カルボン酸銀(4)も、β−ケトカルボン酸銀(1)と同様に、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された導電体(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。そして、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。
本発明において、カルボン酸銀(4)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、カプロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀、アセトンジカルボン酸銀、ピルビン酸銀、酢酸銀、酪酸銀、イソ酪酸銀、2−エチルへキサン酸銀、ネオデカン酸銀、シュウ酸銀及びマロン酸銀からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
そして、これらカルボン酸銀の中でも、2−メチルアセト酢酸銀及びアセト酢酸銀は、後述する含窒素化合物(なかでもアミン化合物)との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に、特に適したものとして挙げられる。
銀インク組成物において、前記金属銀の形成材料に由来する銀の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。このような範囲であることで、形成された導電体(金属銀)は品質により優れたものとなる。前記銀の含有量の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると25質量%であることが好ましい。
なお、本明細書において、「金属銀の形成材料に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物の製造時に配合された前記金属銀の形成材料中の銀と同義であり、配合後も引き続き金属銀の形成材料を構成している銀と、配合後に金属銀の形成材料の分解で生じた分解物中の銀と、配合後に金属銀の形成材料の分解で生じた銀そのもの(金属銀)と、のすべてを含む概念とする。
[含窒素化合物]
銀インク組成物は、特に前記金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合、前記金属銀の形成材料以外に、さらに含窒素化合物が配合されてなるものが好ましい。
前記含窒素化合物は、炭素数25以下のアミン化合物(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩(以下、「第4級アンモニウム塩」と略記することがある)、アンモニア、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アミン化合物由来のアンモニウム塩」と略記することがある)、及びアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある)からなる群から選択される1種以上のものである。すなわち、配合される含窒素化合物は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(アミン化合物、第4級アンモニウム塩)
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
前記第1級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいモノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられ、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン(2−アミノヘプタン)、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、炭素数が6〜10であることが好ましい。
前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、芳香族環骨格を構成する原子として、ヘテロ原子を有するものであり、前記ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子等が挙げられる。また、芳香族環骨格を構成する前記へテロ原子の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよい。2個以上である場合、これらへテロ原子は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これらへテロ原子は、すべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけ異なっていてもよい。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜4個有する単環状のものとしては、例えば、ピロリル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、フラニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、チエニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、例えば、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは、アミノ基を2個有していればよく、2個のアミノ基の位置関係は特に限定されない。好ましい前記ジアミンとしては、例えば、前記モノアルキルアミン、モノアリールアミン又はモノ(ヘテロアリール)アミンにおいて、アミノ基(−NH)を構成する水素原子以外の1個の水素原子が、アミノ基で置換されたもの等が挙げられる。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン等が挙げられる。
前記第2級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(ヘテロアリール)アミン等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン等が挙げられる。
前記ジアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。また、ジアリールアミン一分子中の2個のアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基と同様であり、6〜12員環であることが好ましい。また、ジ(ヘテロアリール)アミン一分子中の2個のヘテロアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記第3級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいトリアルキルアミン、ジアルキルモノアリールアミン等が挙げられる。
前記トリアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、トリアルキルアミン一分子中の3個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、3個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルモノアリールアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
本発明において、前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
ここまでは、主に鎖状のアミン化合物及び第4級有機アンモニウム塩について説明したが、前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子が環骨格構造(複素環骨格構造)の一部であるようなヘテロ環化合物であってもよい。すなわち、前記アミン化合物は環状アミンでもよく、前記第4級アンモニウム塩は環状アンモニウム塩でもよい。この時の環(アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子を含む環)構造は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されず、脂肪族環及び芳香族環のいずれでもよい。
環状アミンであれば、好ましいものとして、例えば、ピリジン等が挙げられる。
前記第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び第4級アンモニウム塩において、「置換基で置換されていてもよい水素原子」とは、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子に結合している水素原子以外の水素原子である。この時の置換基の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよく、前記水素原子のすべてが置換基で置換されていてもよい。置換基の数が複数の場合には、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数個の置換基はすべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。また、置換基の位置も特に限定されない。
前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩における前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、トリフルオロメチル基(−CF)等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基としてアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は置換基として好ましくは炭素数が1〜5のアルキル基を有する、炭素数が3〜7の環状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するモノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、例えば、2−ブロモベンジルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基が置換基を有する場合、前記アリール基は、置換基としてハロゲン原子を有する、炭素数が6〜10のアリール基が好ましく、このような置換基を有するモノアリールアミンとして、具体的には、例えば、ブロモフェニルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基として水酸基又はアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、ジエタノールアミン、N−メチルベンジルアミン等が挙げられる。
前記アミン化合物は、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン又はN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンであることが好ましい。
そして、これらアミン化合物の中でも、2−エチルヘキシルアミンは、前記カルボン酸銀との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に特に適しており、さらに導電層13の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。
(アミン化合物由来のアンモニウム塩)
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩であり、前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、例えば、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
(アンモニア由来のアンモニウム塩)
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩であり、ここで酸としては、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが挙げられる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム等が挙げられるが、これに限定されない。
本発明においては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩は、それぞれ1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
本発明においては、例えば、前記含窒素化合物として、炭素数が8以上の第1含窒素化合物と、炭素数が7以下の第2含窒素化合物と、を併用してもよい。
前記第1含窒素化合物及び第2含窒素化合物を併用する場合、銀インク組成物において、第1含窒素化合物の配合量に対する第2含窒素化合物の配合量の割合は、0モル%より大きく、18モル%未満であることが好ましく、1〜17モル%であることがより好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、例えば、細線状の銀層をより安定して形成できる。
銀インク組成物において、前記含窒素化合物の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.3〜15モルであることが好ましく、0.3〜5モルであることがより好ましい。前記含窒素化合物の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は安定性がより向上し、導電体(金属銀)の品質がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して導電体を形成できる。
[還元剤]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらに還元剤が配合されてなるものが好ましい。還元剤を配合することで、前記銀インク組成物は、金属銀をより形成し易くなり、例えば、低温での加熱処理でも十分な導電性を有する導電体(金属銀)を形成できる。
前記還元剤は、シュウ酸、ヒドラジン及び下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」と略記することがある)からなる群から選択される1種以上の還元性化合物(以下、単に「還元性化合物」と略記することがある)であることが好ましい。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
(還元性化合物)
前記還元性化合物は、シュウ酸(HOOC−COOH)、ヒドラジン(HN−NH)及び前記一般式(5)で表される化合物(化合物(5))からなる群から選択される1種以上のものである。すなわち、配合される還元性化合物は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
21における炭素数20以下のアルキル基は、炭素数が1〜20であり、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
21における炭素数20以下のアルコキシ基は、炭素数が1〜20であり、例えば、R21における前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基等が挙げられる。
21における炭素数20以下のN,N−ジアルキルアミノ基は、炭素数が2〜20であり、窒素原子に結合している2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記アルキル基はそれぞれ炭素数が1〜19である。ただし、これら2個のアルキル基の炭素数の合計値が2〜20である。
窒素原子に結合している前記アルキル基は、それぞれ直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、炭素数が1〜19である点以外は、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
前記還元性化合物として、ヒドラジンは、一水和物(HN−NH・HO)を用いてもよい。
前記還元性化合物で好ましいものとしては、例えば、ギ酸(H−C(=O)−OH);ギ酸メチル(H−C(=O)−OCH)、ギ酸エチル(H−C(=O)−OCHCH)、ギ酸ブチル(H−C(=O)−O(CHCH)等のギ酸エステル;プロパナール(H−C(=O)−CHCH)、ブタナール(H−C(=O)−(CHCH)、ヘキサナール(H−C(=O)−(CHCH)等のアルデヒド;ホルムアミド(H−C(=O)−NH)、N,N−ジメチルホルムアミド(H−C(=O)−N(CH)等のホルムアミド類(式「H−C(=O)−N(−)−」で表される基を有する化合物);シュウ酸等が挙げられる。
銀インク組成物において、還元剤の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.04〜3.5モルであることが好ましく、0.06〜2.5モルであることがより好ましい。還元剤の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は、より容易に、より安定して導電体(金属銀)を形成できる。
[アルコール]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらにアルコールが配合されてなるものでもよい。
前記アルコールは、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類(以下、「アセチレンアルコール(2)」と略記することがある)であることが好ましい。
Figure 0006855201
(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
(アセチレンアルコール(2))
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
R’及びR’’におけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基としては、例えば、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等が挙げられ、Rにおけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基と同様である。そして、置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R’及びR’’は、水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
好ましいアセチレンアルコール(2)としては、例えば、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、2−プロピン−1−オール、4−エチル−1−オクチン−3−オール、3−エチル−1−ヘプチン−3−オール等が挙げられる。
アセチレンアルコール(2)を用いる場合、銀インク組成物において、アセチレンアルコール(2)の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.01〜0.7モルであることが好ましく、0.02〜0.3モルであることがより好ましい。アセチレンアルコール(2)の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物の安定性がより向上する。
前記アルコールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
[その他の成分]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、還元剤及びアルコール以外の、その他の成分が配合されてなるものでもよい。
銀インク組成物における前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されず、好ましいものとしては、例えば、アルコール以外の溶媒等が挙げられ、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。
銀インク組成物における前記その他の成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(溶媒)
前記溶媒は、アルコール以外のもの(水酸基を有しないもの)であれば、特に限定されない。
ただし、前記溶媒は、常温で液状であるものが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、グルタル酸モノメチル、グルタル酸ジメチル等のエステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられる。
銀インク組成物における前記その他の成分の配合量は、前記その他の成分の種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、前記その他の成分がアルコール以外の溶媒である場合、前記溶媒の配合量は、銀インク組成物の粘度等、目的に応じて選択すればよい。ただし通常は、銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記溶媒の配合量の割合は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
また、前記その他の成分が前記溶媒以外の成分である場合、銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合が0質量、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物は十分にその効果を発現する。
銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
[銀インク組成物の製造方法]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、及び前記金属銀の形成材料以外の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま銀インク組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを銀インク組成物としてもよい。本発明においては、特に前記金属銀の形成材料としてβ−ケトカルボン酸銀(1)を用いた場合、上記の各成分の配合時において、導電性を阻害する不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できるため、精製操作を行っていない銀インク組成物を用いても、十分な導電性を有する導電体(金属銀)が得られる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。ただし、本発明においては、前記還元剤は滴下により配合することが好ましく、さらに滴下速度の変動を抑制することで、金属銀の表面粗さをより低減できる傾向にある。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
銀インク組成物において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用するのが好ましい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10分〜36時間であることが好ましい。
好ましい銀インク組成物としては、例えば、含窒素化合物に、金属銀の形成材料を添加し、次いで還元剤を添加し、次いでアルコールを添加して得られたものが挙げられる。そして、このような添加順で上記の各成分を添加する場合、金属銀の形成材料は、含窒素化合物に前記溶媒を添加した後に、添加することが好ましい。
このような添加順で得られた銀インク組成物を用いることにより、細線状の銀層をより安定して形成できる。
[二酸化炭素]
銀インク組成物は、さらに二酸化炭素が供給されてなるものでもよい。このような銀インク組成物は高粘度となり、例えば、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等の、インクを厚盛りすることが必要な印刷法への適用に好適である。
二酸化炭素は、銀インク組成物製造時のいずれの時期に供給してもよい。
そして、本発明においては、例えば、前記金属銀の形成材料及び含窒素化合物が配合されてなる第1混合物に、二酸化炭素を供給して第2混合物とし、必要に応じて前記第2混合物に、さらに、前記還元剤を配合して、銀インク組成物を製造することが好ましい。また、前記アルコール又はその他の成分を配合する場合、これらは、第1混合物及び第2混合物のいずれか一方又は両方の製造時に配合でき、目的に応じて任意に選択できる。
前記第1混合物は、配合成分が異なる点以外は、上記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。
第1混合物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
第1混合物製造時の配合温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜30℃であることが好ましい。また、配合時間は、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜12時間であることが好ましい。
第1混合物に供給される二酸化炭素(CO)は、ガス状及び固形状(ドライアイス)のいずれでもよく、ガス状及び固形状の両方でもよい。二酸化炭素が供給されることにより、この二酸化炭素が第1混合物に溶け込み、第1混合物中の成分に作用することで、得られる第2混合物の粘度が上昇すると推測される。
二酸化炭素ガスの供給は、液体中にガスを吹き込む公知の各種方法で行えばよく、適した供給方法を適宜選択すればよい。例えば、配管の一端を第1混合物中に浸漬し、他端を二酸化炭素ガスの供給源に接続して、この配管を通じて二酸化炭素ガスを第1混合物に供給する方法等が挙げられる。この時、配管の端部から直接二酸化炭素ガスを供給してもよいが、例えば、多孔質性のものなど、ガスの流路となり得る空隙部が多数設けられ、導入されたガスを拡散させて微小な気泡として放出することが可能なガス拡散部材を配管の端部に接続し、このガス拡散部材を介して二酸化炭素ガスを供給してもよい。また、第1混合物の製造時と同様の方法で、第1混合物を撹拌しながら二酸化炭素ガスを供給してもよい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
二酸化炭素ガスの供給量は、供給先の第1混合物の量や、目的とする銀インク組成物又は第2混合物の粘度に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、20〜25℃における粘度が5Pa・s以上である銀インク組成物を100〜1000g程度得るためには、二酸化炭素ガスを100L以上供給することが好ましく、200L以上供給することがより好ましい。なお、ここでは銀インク組成物の20〜25℃における粘度について説明したが、銀インク組成物の使用時の温度は、20〜25℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。また、ここで「粘度」とは、超音波振動式粘度計を用いて測定したものを意味する。
二酸化炭素ガスの流量は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量を考慮して適宜調節すればよいが、第1混合物1gあたり0.5mL/分以上であることが好ましく、1mL/分以上であることがより好ましい。流量の上限値は特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると、混合物1gあたり40mL/分であることが好ましい。
そして、二酸化炭素ガスの供給時間は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量や、流量を考慮して適宜調節すればよい。
二酸化炭素ガス供給時の第1混合物の温度は、5〜70℃であることが好ましく、7〜60℃であることがより好ましく、10〜50℃であることが特に好ましい。前記温度が前記下限値以上であることで、より効率的に二酸化炭素を供給でき、前記温度が前記上限値以下であることで、不純物が少ないより良好な品質の銀インク組成物が得られる。
二酸化炭素ガスの流量及び供給時間、並びに二酸化炭素ガス供給時の前記温度は、それぞれの値を相互に考慮しながら適した範囲に調節すればよい。例えば、前記温度を低めに設定しても、二酸化炭素ガスの流量を多めに設定するか、二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。また、二酸化炭素ガスの流量を少なめに設定しても、前記温度を高めにするか、二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。すなわち、二酸化炭素ガスの流量、二酸化炭素ガス供給時の前記温度として例示した上記数値範囲の中の数値を、二酸化炭素ガスの供給時間も考慮しつつ柔軟に組み合わせることで、良好な品質の銀インク組成物が効率的に得られる。
二酸化炭素ガスの供給は、第1混合物を撹拌しながら行うことが好ましい。このようにすることで、供給した二酸化炭素ガスがより均一に第1混合物中に拡散し、より効率的に二酸化炭素を供給できる。
この時の撹拌方法は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時における前記混合方法の場合と同様でよい。
ドライアイス(固形状二酸化炭素)の供給は、第1混合物中にドライアイスを添加することで行えばよい。ドライアイスは、全量を一括して添加してもよいし、分割して段階的に(添加を行わない時間帯を挟んで連続的に)添加してもよい。
ドライアイスの使用量は、上記の二酸化炭素ガスの供給量を考慮して調節すればよい。
ドライアイスの添加中及び添加後は、第1混合物を撹拌することが好ましく、例えば、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時と同様の方法で撹拌することが好ましい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
撹拌時の温度は、二酸化炭素ガス供給時と同様でよい。また、撹拌時間は、撹拌温度に応じて適宜調節すればよい。
第2混合物の粘度は、銀インク組成物又は第2混合物の取り扱い方法など、目的に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、銀インク組成物をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の高粘度インクを使用する印刷法へ適用する場合には、第2混合物の20〜25℃における粘度は、3Pa・s以上であることが好ましい。なお、ここでは第2混合物の20〜25℃における粘度について説明したが、第2混合物の使用時の温度は、20〜25℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。
前記第2混合物には、さらに、必要に応じて前記還元剤、アルコール及びその他の成分からなる群から選択される1種以上を配合して、銀インク組成物とすることができる。
このときの銀インク組成物は、配合成分が異なる点以外は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。そして、得られた銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
前記還元剤配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間は、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜12時間であることが好ましい。
前記その他の成分は、先に説明したように、前記第1混合物及び第2混合物のいずれかの製造時に配合されてもよく、両方の製造時に配合されてもよい。すなわち、第1混合物及び第2混合物を経て銀インク組成物を製造する過程において、二酸化炭素以外の配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合([その他の成分(質量)]/[金属銀の形成材料、含窒素化合物、還元剤、アルコール、及びその他の成分(質量)]×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、0質量、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物は十分にその効果を発現する。
二酸化炭素が供給されてなる銀インク組成物は、例えば、銀インク組成物をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の高粘度インクを使用する印刷法へ適用する場合には、20〜25℃における粘度が、1Pa・s以上であることが好ましい。
例えば、還元剤の配合時には、得られる配合物(銀インク組成物)は比較的発熱し易い。そして、還元剤の配合時の温度が高い場合、この配合物は、後述する銀インク組成物の加熱処理時と同様の状態になるため、還元剤による前記金属銀の形成材料の分解促進作用によって、金属銀の形成材料の少なくとも一部において金属銀の形成が開始されることがあると推測される。このような金属銀を含有する銀インク組成物は、導電体形成時において、金属銀を含有しない銀インク組成物よりも温和な条件で後処理を行うことにより、導電体を形成できることがある。また、還元剤の配合量が十分に多い場合にも、同様に温和な条件で後処理を行うことにより、導電体を形成できることがある。このように、金属銀の形成材料の分解を促進する条件を採用することで、後処理として、より低温での加熱処理で、あるいは加熱処理を行わずに常温での乾燥処理のみで、導電体を形成できることがある。また、このような金属銀を含有する銀インク組成物は、金属銀を含有しない銀インク組成物と同様に取り扱うことができ、特に取り扱い性が劣ることもない。
なお、本発明における第2混合物は、上記のように二酸化炭素の供給によって、粘度が通常よりも高い。一方で、第2混合物への還元剤の配合時には、第2混合物又は還元剤の種類によっては、上記のように前記金属銀の形成材料の少なくとも一部において金属銀の形成が開始され、金属銀が析出することがある。ここで、第2混合物の粘度が高い場合には、析出した金属銀の凝集が抑制され、得られた銀インク組成物中での金属銀の分散性が向上する。このような銀インク組成物を用いて、後述する方法で金属銀を形成して得られた導電体は、粘度が低い、すなわち二酸化炭素が供給されていない混合物に還元剤が配合されて得られた銀インク組成物を用いた場合の導電体よりも、導電性が高く(体積抵抗率が低く)、表面粗さも小さくなり、より好ましい特性を有するものとなる。
また、本発明においては、前記金属銀の形成材料、アルコール及び含窒素化合物が配合されてなる混合物に、二酸化炭素を供給して、銀インク組成物を製造することも好ましい。この場合、二酸化炭素の供給方法としては、上記と同様の方法が採用できる。
銀インク組成物は、例えば、印刷法、塗布法、浸漬法等の公知の方法で基材上に付着させることができる。
前記印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、ジェットディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が挙げられる。
前記塗布法としては、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法等が挙げられる。
導電層形成工程においては、基材上に付着させる銀インク組成物の量、又は銀インク組成物における前記金属銀の形成材料の配合量を調節することで、導電層の厚さを調節できる。
銀インク組成物を乾燥処理する場合には、公知の方法で行えばよく、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれでおこなってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれでもよい。加熱処理が不要な場合の好ましい乾燥方法としては、例えば、18〜30℃で大気下において乾燥させる方法が挙げられる。
銀インク組成物を加熱(焼成)処理する場合、その条件は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよい。通常は、加熱温度が60〜370℃であることが好ましく、70〜280℃であることがより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜24時間であることが好ましく、1分〜12時間であることがより好ましい。前記金属銀の形成材料の中でも前記カルボン酸銀、特にβ−ケトカルボン酸銀(1)は、例えば、酸化銀等の金属銀の形成材料とは異なり、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、低温で分解する。そして、このような分解温度を反映して、前記銀インク組成物は、上記のように、従来のものより極めて低温で金属銀を形成できる。
後述するように、銀インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、加熱温度は130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
銀インク組成物の加熱処理の方法は、特に限定されず、例えば、電気炉による加熱、感熱方式の熱ヘッドによる加熱、遠赤外線照射による加熱、高熱ガスの吹き付けによる加熱等で行うことができる。また、銀インク組成物の加熱処理は、大気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、加湿条件下で行ってもよい。そして、常圧下、減圧下及び加圧下のいずれで行ってもよい。
本明細書において「加湿」とは、特に断りのない限り、湿度を人為的に増大させることを意味し、好ましくは相対湿度を5%以上とすることである。加熱処理時には、処理温度が高いことによって、処理環境での湿度が極めて低くなるため、5%という相対湿度は、明らかに人為的に増大されたものであるといえる。
銀インク組成物の加熱処理を加湿条件下で行う場合の相対湿度は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましく、90%以上であってもよいし、100%であってもよい。そして、加湿条件下での加熱処理は、100℃以上に加熱した高圧水蒸気の吹き付けにより行ってもよい。このように加湿条件下で加熱処理することにより、短時間でより高純度の金属銀を形成できる。
銀インク組成物の加熱処理は、二段階で行ってもよい。例えば、一段階目の加熱処理では、金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理で、金属銀の形成を最後まで行う方法が挙げられる。
一段階目の加熱処理において、加熱温度は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜120℃であることが好ましく、70〜110℃であってもよい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、5秒〜12時間であることが好ましく、30秒〜2時間であることがより好ましい。
二段階目の加熱処理において、加熱温度は、金属銀が良好に形成されるように、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜280℃であることが好ましく、70〜260℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜12時間であることが好ましく、1分〜10時間であることがより好ましい。
後述するように、銀インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目及び二段階目の加熱処理における加熱温度は、130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
ここまでで説明した銀インク組成物の加熱処理は、いずれも気相中で行うものであるが、銀インク組成物の加熱処理を二段階で行う場合、二段階目の加熱処理は、気相中ではなく液相中で行ってもよい。一段階目の加熱処理を経て、完全に又はある程度乾燥した銀インク組成物は、加熱した液体と接触させることで、その形状を損なうことなく、二段階目の加熱処理を行うことができる。そして、銀インク組成物の、一段階目の加熱処理を行った後の二段階目の液相中での加熱処理は、加熱した液体に銀インク組成物を浸漬することで行うことが好ましい。この液相中での加熱処理における加熱温度及び加熱時間は、先に説明した二段階目の加熱処理における加熱温度及び加熱時間と同じである。
上記の加熱した液体は湯(加熱した水)であることが好ましく、二段階目の加熱処理は、一段階目の加熱処理を行った銀インク組成物を湯中に浸漬すること、すなわち湯煎によって行うことが好ましい。
二段階目の加熱処理を液相中で行った場合には、この加熱処理によって形成された金属銀を、さらに乾燥させればよい。
銀インク組成物の二段階目の加熱処理を液相中で行う場合、銀インク組成物の一段階目の加熱処理は、非加湿条件下で行うことが好ましい。
なお、本明細書において「非加湿」とは、上述の「加湿」を行わないこと、すなわち、湿度を人為的に増大させないことを意味し、好ましくは相対湿度を5%未満とすることである。
加湿条件下での加熱処理を採用する場合、銀インク組成物の加熱処理は、一段階目の加熱処理において、非加湿条件下で、上述のように金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理において、加湿条件下で、上述のように金属銀の形成を最後まで行う、二段階の方法で行うことが特に好ましい。
二段階目の加熱処理を加湿条件下で行う場合、一段階目の非加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜120℃であることが好ましく、70〜110℃であってもよい。また、加熱時間は、5秒〜1時間であることが好ましく、30秒〜30分であることがより好ましく、30秒〜15分であることが特に好ましい。
一段階目の非加湿条件下での加熱処理に次いで行う、二段階目の加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、1分〜2時間であることが好ましく、1分〜1時間であることがより好ましく、1分〜30分であることが特に好ましい。
後述するように、銀インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目の非加湿条件下での加熱処理及び二段階目の加湿条件下での加熱処理における加熱温度は、いずれも130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
ここまでは、金属インク組成物として、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物を用いた場合の、導電層の形成方法について説明した。金属種が銀以外の場合の金属インク組成物等、その他の導電層用組成物を用いて導電層を形成する場合には、例えば、上述の銀インク組成物を用いた場合の製造方法において、導電層用組成物の種類に応じて、一部の構成を変更した方法を適用することで、導電層を形成できる。
<被覆層形成工程>
前記被覆層は、前記樹脂組成物(以下、本工程においては「被覆層用組成物」と称することがある)を、導電層を形成した基材上の目的とする箇所に付着させて導電層を被覆する組成物層を形成し、この組成物層(被覆層用組成物)に対して、乾燥処理や加熱処理等の固化処理を適宜選択して行うことで形成できる。前記被覆層用組成物が硬化性樹脂組成物である場合、前記組成物層を硬化させて被覆層としてもよい。そして、前記加熱処理は、乾燥処理や硬化を兼ねて行ってもよい。
被覆層用組成物は、例えば、銀インク組成物の場合と同様に、印刷法、塗布法、浸漬法等の公知の方法で、目的とする箇所に付着させることができる。
被覆層形成工程においては、目的とする箇所に付着させる被覆層用組成物の量、又は被覆層用組成物における硬化性樹脂等の配合量を調節することで、被覆層の厚さを調節できる。
被覆層用組成物の乾燥処理や加熱処理等の固化処理は、銀インク組成物の場合と同様の方法で行うことができる。
被覆層用組成物の硬化させるためには、配合されている樹脂成分の種類に応じて、紫外線等のエネルギー線の照射又は加熱を行えばよい。
例えば、エネルギー線の照射により硬化させる場合には、エネルギー線の照射量は、200〜1200mJ/cmであることが好ましく、300〜1000mJ/cmであることがより好ましい。
被覆層形成工程においては、本発明の被覆層用組成物(樹脂組成物)は、その塗工面(すなわち、基材及び導電層の表面)に塗工したときに、ハジキの発生が抑制される。したがって、均一性が高い被覆層を形成できる。
<その他の層の形成工程>
本発明の積層体として、基材上に導電層及び被覆層以外のその他の層が設けられたものを製造する場合には、上記の製造方法において、所定のタイミングでその他の層を形成する工程を適宜追加して行えばよい。
<<電子機器、透明導電膜>>
前記積層体は、各種電子機器、透明導電膜等を構成するのに好適である。
例えば、電子機器は、前記積層体を用い、前記基材を筐体(外装材)として備えるように構成でき、前記積層体中の基材で筐体(外装材)の少なくとも一部を構成した点以外は、公知の電子機器と同様の構成とすることができる。例えば、携帯電話機等の通信機器における外装材の平面又は曲面部分を前記基材とし、この外装材(基材)上に前記導電層からなる細線を形成し、この細線を回路とすることで、前記積層体を回路基板として用いることができる。そして、例えば、前記積層体に加え、音声入力部、音声出力部、操作スイッチ、表示部等を組み合わせることにより、携帯電話機を構成できる。また、パターニングされた導電層をアンテナとすることで、前記積層体をアンテナ構造体とすることができ、前記アンテナ構造体を用いた点以外は、公知のデータ受送信体と同様の構成とすることで、新規のデータ受送信体とすることができる。例えば、前記積層体において、基材上に導電層と電気的に接続されたICチップを設けてアンテナ部とすることにより、非接触型データ受送信体を構成できる。
また、透明導電膜は、前記積層体を用い、導電層を極微細配線又は極薄配線として備えるように構成でき、導電層を極微細配線又は極薄配線として備えた点以外は、公知の透明導電膜と同様の構成とすることができる。特に前記積層体は、タッチパネルや光学ディスプレイ等を構成するのに好適である。
極微細配線の線幅は、1〜20μmであることが好ましく、1.3〜15μmであることがより好ましく、1.5〜13μmであることが特に好ましい。
また、極微細配線の断面形状は、好ましくは楕円の短軸方向のほぼ半分の領域が切り取られた半楕円形状である。
一方、極薄配線の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、7nm〜5μmであることがより好ましく、10nm〜1μmであることが特に好ましい。
極薄配線の断面形状は、前記極微細配線の断面形状と同様である。
前記透明導電膜は、導電層がこのような線幅及び厚さの少なくとも一方を満たしていることが好ましい。導電層がこのような線幅又は厚さであれば、目視によってその存在が認識困難となるので、透明導電膜として好ましいものとなる。
また、前記積層体においては、導電層が銀層である場合、この銀層を低温で形成することも可能であり、基材等の材質を幅広く選択できるので、設計の自由度が飛躍的に向上し、電子機器、透明導電膜等をより合理的な構造とすることも可能である。
上記のような電子機器、透明導電膜等は、長期に渡って高い性能を維持することが可能である。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
被覆層用組成物の製造に用いた成分を以下に示す。
[樹脂成分]
(a)−1:日本合成化学社製「UV−7610B」、紫外線硬化性樹脂、ポリウレタンアクリレート65〜75質量%及びアクリル酸エステル25〜35質量%の混合物、分子量11000、オリゴマー官能基数9。この紫外線硬化性樹脂は、80℃で10分加熱した後、400mJ/cmの照射量で紫外線を照射することにより、硬化させることが推奨されている。
(a’)−1:大阪有機化学工業社製「TCG004」、紫外線硬化性樹脂、ポリウレタンアクリレート25〜55質量%及びアクリル酸エステル30〜55質量%の混合物。この紫外線硬化性樹脂は、120℃で30分加熱した後、400mJ/cmの照射量で紫外線を照射することにより、硬化させることが推奨されている。
(a’)−2:宇部興産社製「UA0262」、ポリウレタンアクリレート(紫外線硬化性樹脂)。この紫外線硬化性樹脂は、80℃で10分加熱した後、400mJ/cmの照射量で紫外線を照射することにより、硬化させることが推奨されている。
(a’)−3:宇部興産社製「UA0282」、ポリウレタンアクリレート(紫外線硬化性樹脂)。この紫外線硬化性樹脂は、80℃で10分加熱した後、400mJ/cmの照射量で紫外線を照射することにより、硬化させることが推奨されている。
[硬化剤]
(b)−1:チバ・ジャパン社製「IRGACURE127」、光重合開始剤、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン
[マイグレーション抑制剤]
(c)−1:5−メチルベンゾトリアゾール
[界面活性剤]
(d)−1:ネオス社製「フタージェント610FM」、ノニオン界面活性剤、含フッ素基(親水性基/親油性基)含有オリゴマー
(d)−2:ネオス社製「フタージェント602A」、ノニオン界面活性剤、含フッ素基(親水性基/親油性基、紫外線反応性基)含有オリゴマー
[溶媒]
DAA:ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)
EGMPE:エチレングリコールモノプロピルエーテル
PGMBE:プロピレングリコール1−モノ−n−ブチルエーテル(1−ブトキシ−2−プロパノール)
DEGEME:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
PGMMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
DPGDME:ジプロピレングリコールジメチルエーテル
CHOHA:シクロヘキサノールアセテート(酢酸シクロヘキシル)
DEGDEE:ジエチレングリコールジエチルエーテル
EGMBEA:エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート(酢酸2−ブトキシエチル)
CHON:シクロヘキサノン
MBA:3−メトキシブチルアセテート(酢酸3−メトキシブチル)
DEGIPME:ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル
[実施例1]
<被覆層用組成物の製造>
25℃の条件下で、硬化剤(b)−1をジアセトンアルコール(DAA)及びエチレングリコールモノプロピルエーテル(EGMPE)の混合溶媒(DAA/EGMPE=70/30(質量比))に添加して溶解させ、溶液を得た。硬化剤(b)−1の添加量は、後述する樹脂成分(a)−1の添加量に対して5質量%となる量とした。
次いで、45℃に温度調節したこの溶液に、樹脂成分(a)−1、マイグレーション抑制剤(c)−1を添加して撹拌することにより、被覆層用組成物を得た。このときの樹脂成分(a)−1の添加量は、被覆層用組成物の樹脂成分(a)−1の含有量が20.0質量%となる量とした。また、マイグレーション抑制剤(c)−1の添加量は、樹脂成分(a)−1の添加量に対して5質量%となる量とした。
各配合成分の種類及び配合量を表2に示す。なお、表2中、配合成分の欄の「−」との記載は、その成分が未配合であることを意味する。
上記で得られた被覆層用組成物の粘度及び表面張力を、下記方法で測定した。結果を表8に示す。
(被覆層用組成物の粘度)
室温(25℃)下に置いた被覆層用組成物について、振動式粘度計(セコニック社製「VISCOMATE VM−10A」)を用いて、粘度を測定した。
(被覆層用組成物の表面張力)
室温(25℃)下に置いた被覆層用組成物について、動的表面張力計(英弘精機社製「SITA science line t60」)を用いて、気泡発生周期が0.1Hzのときの表面張力を測定した。
<積層体の製造(被覆層用組成物の評価)>
(銀インク組成物の製造)
ビーカー中に2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1.45倍モル量)と、n−ヘキサン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1.63倍モル量)と、をこの順に加えて、メカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、液温が50℃以下となるように、ビーカー中に2−メチルアセト酢酸銀を添加した。
2−メチルアセト酢酸銀の添加終了後、同様の状態を維持したまま、ビーカー中にシリンジポンプを用いて、ギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.5倍モル量)を10分かけて滴下し、ギ酸の滴下終了後、さらにそのままの状態で1.5時間撹拌した。
次いで、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(以下、「DMHO」と略記することがある)(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.032倍モル量)及び4−エチル−1−オクチン−3−オール(以下、「EOO」と略記することがある)(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.004倍モル量)の混合物をビーカー中に添加し、添加終了後、さらにそのままの状態で5分撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
なお、DMHOとしては、エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」を用い、EOOとしては、東京化成工業社製のものを用いた。
各配合成分の種類と配合比を表1に示す。表1中、「含窒素化合物(モル比)」とは、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの含窒素化合物の配合量(モル数)([含窒素化合物のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。「還元剤(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの還元剤の配合量(モル数)([還元剤のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。「アセチレンアルコール(2)(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりのアセチレンアルコール(2)の配合量(モル数)([アセチレンアルコール(2)のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。「溶媒(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの溶媒の配合量(モル数)([溶媒のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。
なお、本実施例において「金属銀の形成材料」とは、「β−ケトカルボン酸銀(1)」のことである。
(銀層の形成)
ポリカーボネート製基材(厚さ2mm)の一方の表面上に、グラビアオフセット印刷法により、上記で得られた銀インク組成物を塗工して、印刷パターンを形成した。印刷パターンは、同じ幅のラインが所定の間隔を空けて多数配置されているラインアンドスペースパターンが、直交する2方向に形成されたメッシュパターンとした。
次いで、上述の印刷パターンが形成された基材に対して、65℃の熱風を5分吹き付けた後、この基材を120℃で5分、さらに100℃で10分乾燥させ、さらに、相対湿度70〜100%の加湿条件下において120℃で10分加熱(焼成)処理することにより、幅4μm、隣り合う同方向のライン間の距離が200μmである金属銀のラインアンドスペースパターンが、直交する2方向に形成された、金属銀のメッシュパターンを形成した。このメッシュパターンを形成している金属銀(銀層)の厚さは0.06〜0.07μmであった。
(被覆層の形成、積層体の製造)
金属銀のメッシュパターンを形成した前記基材の前記パターン形成面の全面に、インクジェット式印刷法により、上記で得られた被覆層用組成物を塗工し、塗膜を形成した。このとき、インクジェット印刷装置としては、コニカミノルタ社製「EB100」を用いた。
次いで、この形成した塗膜を80℃で10分乾燥させた後、この乾燥後の塗膜に、400mJ/cmの照射量で紫外線を照射して、樹脂成分を硬化させることにより、前記基材の前記パターン形成面の全面、すなわち、前記パターン形成面上の金属銀のメッシュパターンの表面と、金属銀のメッシュパターンが形成されていない前記基材の表面と、の全面を被覆する被覆層を形成した。この被覆層の厚さは最大で5μmであった。
以上により、基材上に導電層としてメッシュ状の銀層が形成され、前記銀層上と、前記基材上の前記銀層が設けられていない領域と、に被覆層が形成されてなる積層体を得た。
上記で得られた積層体の外観について、目視観察と、オプトデジタルマイクロスコープ「DSX500」(オリンパス社製)を用いた観察と、を行った。そして、その結果から、被覆層用組成物のハジキ、基材の白濁、被覆層の滲み・表面平滑性について、下記評価基準に従って評価した。これら評価結果を表8に示す。
(被覆層用組成物のハジキ)
○:被覆層用組成物のハジキが発生しなかった。
×:被覆層用組成物のハジキが発生した。
(基材の白濁)
○:基材が白濁しなかった。
×:基材が白濁した。
(被覆層の滲み・表面平滑性)
○:被覆層が滲んでおらず、被覆層の表面平滑性が高かった。
×:被覆層が滲んでおり、被覆層の表面平滑性が低かった。
<被覆層用組成物の製造、積層体の製造(被覆層用組成物の評価)>
[実施例2〜17、比較例1〜32]
被覆層用組成物の製造時において、配合成分の種類及び配合量のいずれか一方又は両方を、表2〜4に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法で、被覆層用組成物を製造し、積層体を製造した(被覆層用組成物を評価した)。
評価結果を表8〜9に示す。なお、表8〜9において、評価結果の欄における「−」との記載は、その項目が未評価であることを意味する。
Figure 0006855201
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上記結果から明らかなように、実施例1〜17の被覆層用組成物は、ケトアルコール及びアルコールエーテルがともに配合されていることにより、その塗工時において、ハジキの発生が抑制されており、また、基材の白濁も抑制されるなど、基材における品質劣化も抑制されていた。さらに、実施例1〜12、14〜17の積層体においては、被覆層が滲んでおらず、被覆層の表面平滑性が高く、これら実施例では、特に好ましい積層体が得られた。実施例13の積層体のみ、被覆層が滲んでおり、被覆層の表面平滑性が低かったが、これは、被覆層用組成物の樹脂成分の含有量が他の実施例の場合よりも低かったためであると推測される。
これに対して、比較例1〜32の被覆層用組成物は、ケトアルコール及びアルコールエーテルが併用されていない、より具体的には、アルコールエーテルが配合されていないことにより、少なくとも、その塗工時においてハジキが発生するか、又は基材が白濁した。さらに、一部の比較例では、被覆層が滲んでおり、被覆層の表面平滑性が低かった。
上記の実施例及び比較例の被覆層用組成物について、その粘度を横軸に、表面張力を縦軸にとって、プロットして得られたグラフを図4に示す。
このグラフでは、被覆層用組成物における、粘度と表面張力との関係を示すだけでなく、被覆層用組成物のハジキの発生の有無も同時に示している。
図4から明らかなように、ハジキの発生が抑制された被覆層用組成物は、粘度が概ね5.5〜13.5mPa・sの範囲内で、かつ表面張力が23.2〜29.5mN/mの範囲内のものであった。すなわち、このような特定範囲の粘度及び表面張力を有する被覆層用組成物は、ハジキの抑制の点において、好ましいものの一例であるといえる。
本発明は、基材上に導電層及び被覆層を備えた各種電子機器に利用可能であり、例えば、タッチパネルや光学ディスプレイ等の光学用途での利用に好適である。
1,2・・・積層体、11・・・基材、11a・・・基材の一方の表面(第1面)、11b・・・基材の他方の表面(第2面)、12,22・・・導電層、12a,22a・・・導電層の表面、13,23・・・被覆層、13a,23a・・・被覆層の表面

Claims (1)

  1. ポリウレタン(メタ)アクリレート、アクリル酸エステル、及び溶媒が配合されてなり、
    前記溶媒がケトアルコール及びアルコールエーテルであり、
    前記ケトアルコールがジアセトンアルコールであり、
    前記アルコールエーテルが、エチレングリコールモノプロピルエーテル及び1−ブトキシ−2−プロパノールのいずれか一方又は両方である、樹脂組成物。
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