配列表
配列番号1(本明細書では(BIF_917)とも称する)は、配列番号22の887アミノ酸切断断片である。
配列番号2(本明細書では(BIF_995)とも称する)は、配列番号22の965アミノ酸切断断片である。
配列番号3(本明細書では(BIF_1068)とも称する)は、配列番号22の1038アミノ酸切断断片である。
配列番号4(本明細書では(BIF_1172)とも称する)は、配列番号22の1142アミノ酸切断断片である。
配列番号5(本明細書では(BIF_1241)とも称する)は、配列番号22の1211アミノ酸切断断片である。
配列番号6(本明細書では(BIF_1326)とも称する)は、配列番号22の1296アミノ酸切断断片である。
配列番号7は、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)グリコシドヒドロラーゼ触媒コアである。
配列番号8は、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)DSM20215由来の細胞外ラクターゼをコードするヌクレオチド配列である。
配列番号9は、BIF_917をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号10は、BIF_995をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号11は、BIF_1068をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号12は、BIF_1172をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号13は、BIF_1241をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号14は、BIF_1326をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号15は、上記のBIF変異体を生成するためのフォワードプライマーである。
配列番号16は、BIF917のためのリバースプライマーである。
配列番号17は、BIF995のためのリバースプライマーである。
配列番号18は、BIF1068のためのリバースプライマーである。
配列番号19は、BIF1241のためのリバースプライマーである。
配列番号20は、BIF1326のためのリバースプライマーである。
配列番号21は、BIF1478のためのリバースプライマーである。
配列番号22は、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)DSM20215由来の細胞外ラクターゼである。
配列番号23は、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)DSM20215由来の細胞外ラクターゼのシグナル配列である。
詳細な説明
本発明の方法は概して、ガラクトース部分を含む第1のサッカリドとフルクトース部分を含む第2の異なるサッカリドとを接触させることであって、その結果、ガラクトース部分が第1のサッカリドから第2のサッカリドへと転移され、ガラクトース部分とフルクトース部分とを含む生成物サッカリドが生成される、接触させることを含む。一実施形態では、ガラクトース部分はフルクトース部分に連結されている。別の実施形態では、ガラクトース部分とフルクトース部分とがガラクトースまたはフルクトース以外の少なくとも1個の単糖部分(グルコースが挙げられるがこれに限定されない)により離れている。下記の段落において、第1のサッカリドを「ドナー」とも称し、第2のサッカリドを「アクセプター」とも称する。
サッカリド
本明細書では、最も広い意味での用語「サッカリド」は、天然に存在するおよび合成のおよび半合成のサッカリド等の全てのサッカリド(糖)を包含するように意図されている。この用語には、単糖(即ち、より単純な糖へと加水分解され得ないサッカリド)、二糖(即ち、グリコシド結合により互いに連結されている2個の単糖単位(部分)を有する化合物)、オリゴ糖(即ち、分枝鎖または非分枝鎖または環(任意選択でサッカリド側鎖を有する)でグリコシド結合により互いに連結されている3〜10個の単糖単位を有する化合物)、および多糖(即ち、分枝鎖または非分枝鎖または環(任意選択でサッカリド側鎖を有する)でグリコシド結合により互いに連結されている10個超の単糖単位を有する化合物)が包含される。
このサッカリドはその他の分子に結合していてもよく、例えば生体分子(例えばペプチド/タンパク質、脂質および核酸)に結合していてもよい。しかしながら、本発明の目的のためには、このサッカリドは単糖単位のみから形成されていることが好ましい。
一実施形態では、このサッカリドは単糖であり、即ち、より単純な糖へと加水分解され得ないサッカリドである。この単糖はD−立体配置を有してもよいしL−立体配置を有してもよく、アルドースであってもよいしケトースであってもよい。単糖の例として、ヘキソース、例えばアルドヘキソース、例えばグルコース、ガラクトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドースおよびタロース、ならびにケトヘキソース、例えばフルクトース、タガトース、プシコースおよびソルボース、ならびにペントース(この例として、アルドペントース、例えばリボース、アラビノース、キシロースおよびリキソースが挙げられる)、ならびにケトペントース、例えばリブロースおよびキシルロースが挙げられる。
代替実施形態では、このサッカリドは高級サッカリド(higher saccharide)であり、即ち、グリコシド結合により互いに連結されている複数個の単糖部分を含むサッカリドであって、このサッカリドの構成単糖へと概して加水分解可能であるサッカリドである。そのような高級サッカリドの例として、二糖(2個の単糖部分)、オリゴ糖(3〜10個の単糖部分)および多糖(10個超の単糖部分)が挙げられる。これに関して、この高級サッカリドを形成する単糖部分は同一であってもよいし異なっていてもよく、それぞれ独立してD−立体配置を有してもよいしL−立体配置を有してもよく、それぞれ独立してアルドース部分であってもよいしケトース部分であってもよい。
この高級サッカリドを形成する単糖単位は同数の炭素原子を有してもよいし異なる数の炭素原子を有してもよい。一実施形態では、この高級サッカリドの単糖部分はヘキソース部分であり、このヘキソース部分の例として、アルドヘキソース、例えばグルコース、ガラクトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドースおよびタロース、ならびにケトヘキソース、例えばフルクトース、タガトース、プシコースおよびソルボースが挙げられる。別の実施形態では、この高級サッカリドの単糖部分は、アルドペントース部分、例えばリボース、アラビノース、キシロースおよびリキソースならびにケトペントース、例えばリブロースおよびキシルロースである。
この高級サッカリドを形成する単糖部分はグリコシド結合により互いに連結されている。これらの単糖部分がヘキソース部分である場合、グリコシド結合は、1,4’−グリコシド結合(1,4’−α−グリコシド結合であってもよいし1,4’−β−グリコシド結合であってもよい)、1,6’−グリコシド結合(1,6’−α−グリコシド結合であってもよいし1,6’−β−グリコシド結合であってもよい)、1,2’−グリコシド結合(1,2’−α−グリコシド結合であってもよいし1,2’−β−グリコシド結合であってもよい)もしくは1,3’−グリコシド結合(1,3’−α−グリコシド結合であってもよいし1,3’−β−グリコシド結合であってもよい)またはこれらの任意の組合せであることができる。
一実施形態では、この高級サッカリドは2個の単糖単位を含む(即ち二糖である)。二糖の例として、ラクトース、ガラクトビオース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、イソマルツロースおよびトレハルロースが挙げられる。別の実施形態では、この高級サッカリドは3〜10個の単糖単位を含む(即ちオリゴ糖である)。
第1のサッカリド(ドナー)
第1のサッカリドは、フルクトース含有サッカリドに転移され得るガラクトース部分を含むあらゆるサッカリドであることできる。本発明では、第1のサッカリドは、転移されるガラクトース部分がグリコシド結合により1個または複数個のその他の単糖部分(上記で定義しているおよび例示している)に連結されている高級サッカリドである。
一実施形態では、第1のサッカリドはラクトースである。
一実施形態では、第1のサッカリドはガラクトオリゴ糖である。ガラクトオリゴ糖(GOS)は、グリコシド結合により連結されているガラクトース部分の短鎖(典型的には2〜10個のガラクトース部分)からなる。一実施形態では、GOSはガラクトース部分のみを含むことができ、即ち一般式(Gal)nを有することができ、この一般式中、nは概して2〜10であり、例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、例としてガラクトビオース(Gal−Gal)、ガラクトトリオース(Gal−Gal−Gal)、ガラクトテトラオース(Gal−Gal−Gal−Gal)、ガラクトペンタオース(Gal−Gal−Gal−Gal−Gal)および同類のものが挙げられる。一実施形態では、GOSは、異なる単糖部分(上記で定義しており、および例示しており、特にグルコース部分)で終わるガラクトース部分の鎖を含むことができ、即ち一般式(Gal)n−Gluを有することができ、この一般式中、nは概して2〜10であり、例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、具体例として、ガラクトビオシルグルコース(Gal−Gal−Glu)、ガラクトトリオシルグルコース(Gal−Gal−Gal−Glu)および同類のものが挙げられる。
第1のサッカリドは、測定可能な量のガラクトース部分が転移されるのを可能にするのに十分な量で存在する。正確な濃度は第1のサッカリドの性質に応じて変化する。一部の実施形態(具体的には、最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とが連結されている実施形態)では、第1のサッカリドの濃度は0.01〜10mol/Lであり、例えば0.02〜5mol/Lであり、例えば0.05〜2mol/Lであり、例えば0.1〜1mol/Lであり、例えば0.5mol/L未満であり、例えば0.49mol/L未満であり、例えば0.48mol/L未満であり、例えば0.47mol/L未満であり、例えば0.46mol/L未満であり、例えば0.45mol/L未満であり、例えば0.44mol/L未満であり、例えば0.43mol/L未満であり、例えば0.42mol/L未満であり、例えば0.41mol/L未満であり、例えば0.4mol/L未満であり、例えば0.39mol/L未満であり、例えば0.38mol/L未満であり、例えば0.37mol/L未満であり、例えば0.36mol/L未満であり、例えば0.35mol/L未満であり、例えば0.34mol/L未満であり、例えば0.33mol/L未満であり、例えば0.32mol/L未満であり、例えば0.31mol/L未満であり、例えば0.3mol/L未満であり、例えば0.088〜0.380mol/Lであり、例えば0.117〜0.292mol/Lであり、例えば0.132〜0.277mol/Lであり、例えば0.132〜0.160mol/Lであり、例えば0.190〜0.220mol/Lであり、例えば0.249〜0.277mol/Lである。
一部の実施形態(具体的には、最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とがガラクトースまたはフルクトース以外の少なくとも1個の単糖部分により離れている実施形態)では、第1のサッカリドの濃度は0.5mol/L未満であり、例えば0.001〜0.5mol/Lであり、例えば0.005〜0.4mol/Lであり、例えば0.01〜0.25mol/Lであり、例えば0.05〜0.2mol/Lであり、例えば0.1〜0.15mol/Lである。
一実施形態(具体的には、最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とが連結されている実施形態)では、第1のサッカリドはラクトースであり、このラクトースの濃度は171.2g/L(0.5mol/L)未満であり、例えば167.7g/L(0.49mol/L)未満であり、例えば164.3g/L(0.48mol/L)未満であり、例えば160.9g/L(0.47mol/L)未満であり、例えば157.5g/L(0.46mol/L)未満であり、例えば154.0g/L(0.45mol/L)未満であり、例えば150.6g/L(0.44mol/L)未満であり、例えば147.2g/L(0.43mol/L)未満であり、例えば143.8g/L(0.42mol/L)未満であり、例えば140.3g/L(0.41mol/L)未満であり、例えば136.2g/L(0.4mol/L)未満であり、例えば133.5g/L(0.39mol/L)未満であり、例えば130.1g/L(0.38mol/L)未満であり、例えば126.7g/L(0.37mol/L)未満であり、例えば123.3g/L(0.36mol/L)未満であり、例えば119.8g/L(0.35mol/L)未満であり、例えば116.4g/L(0.34mol/L)未満であり、例えば113.0g/L(0.33mol/L)未満であり、例えば109.5g/L(0.32mol/L)未満であり、例えば106.1g/L(0.31mol/L)未満であり、例えば102.7g/L(0.3mol/L)未満であり、例えば30〜130g/L(0.088〜0.380mol/L)であり、例えば40〜100g/L(0.117〜0.292mol/L)であり、例えば45〜95g/L(0.132〜0.277mol/L)であり、例えば45〜55g/L(0.132〜0.160mol/L)であり、例えば65〜75g/L(0.190〜0.220mol/L)であり、例えば85〜95g/L(0.249〜0.277mol/L)である。
別の実施形態(具体的には、最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とがガラクトースまたはフルクトース以外の少なくとも1個の単糖部分により離れている実施形態)では、第1のサッカリドはラクトースであり、このラクトースの濃度は171.2g/L(0.5mol/L)未満であり、例えば167.7g/L(0.49mol/L)未満であり、例えば164.3g/L(0.48mol/L)未満であり、例えば160.9g/L(0.47mol/L)未満であり、例えば157.5g/L(0.46mol/L)未満であり、例えば154.0g/L(0.45mol/L)未満であり、例えば150.6g/L(0.44mol/L)未満であり、例えば147.2g/L(0.43mol/L)未満であり、例えば143.8g/L(0.42mol/L)未満であり、例えば140.3g/L(0.41mol/L)未満であり、例えば136.2g/L(0.4mol/L)未満であり、例えば133.5g/L(0.39mol/L)未満であり、例えば130.1g/L(0.38mol/L)未満であり、例えば126.7g/L(0.37mol/L)未満であり、例えば123.3g/L(0.36mol/L)未満であり、例えば119.8g/L(0.35mol/L)未満であり、例えば116.4g/L(0.34mol/L)未満であり、例えば113.0g/L(0.33mol/L)未満であり、例えば109.5g/L(0.32mol/L)未満であり、例えば106.1g/L(0.31mol/L)未満であり、例えば102.7g/L(0.3mol/L)未満であり、例えば0.001〜0.5mol/Lであり、例えば0.005〜0.4mol/Lであり、例えば0.01〜0.25mol/Lであり、例えば0.05〜0.2mol/Lであり、例えば0.1〜0.15mol/Lである。
第2のサッカリド(アクセプター)
第2のサッカリドは、フルクトース部分を含むおよび第1のサッカリド由来のガラクトース部分を受容することができるあらゆるサッカリドであることができる。第2のサッカリドは、グリコシド結合により1種または複数種のその他の単糖部分(上記で定義しているおよび例示している)に連結されている転移されるガラクトース部分をフルクトース部分が許容するフルクトースまたは高級サッカリドであることができる。
一実施形態では、第2のサッカリドはフルクトースである。一実施形態では、第1のサッカリドはラクトースであり、第2のサッカリドはフルクトースであり、その結果、生成されるサッカリドはラクツロースである。
一実施形態では、第2のサッカリドはスクロースである。一実施形態では、第1のサッカリドはラクトースであり、第2のサッカリドはスクロースであり、その結果、生成されるサッカリドはラクトスクロースである。
一実施形態では、第1のサッカリドはラクトースであり、第2のサッカリドはラクツロースであり、その結果、生成されるサッカリドはガラクトシル−ラクツロース(Gal−Gal−Fru)である。一実施形態では、第1のサッカリドはラクトースであり、第2のサッカリドはガラクトシル−ラクツロースであり、その結果、生成されるサッカリドは式Gal−Gal−Gal−Fruである。これを繰り返して、フルクトース部分で終わる最大で10個のガラクトース部分を有するガラクトオリゴ糖(上記で定義している)を生成することができる。
一実施形態では、第1のサッカリドはラクトースであり、第2のサッカリドはラクトスクロースであり、その結果、生成されるサッカリドはガラクトシル−ラクトスクロース(Gal−Gal−Glu−Fru)である。一実施形態では、第1のサッカリドはラクトースであり、第2のサッカリドはガラクトシル−ラクトスクロースであり、その結果、生成されるサッカリドは、ジガラクトシル−ラクトスクロース(Gal−Gal−Gal−Glu−Fru)である。一実施形態では、第1のサッカリドはラクトースであり、第2のサッカリドはジガラクトシル−ラクトスクロースであり、その結果、生成されるサッカリドは、トリガラクトシル−ラクトスクロース(Gal−Gal−Gal−Gal−Glu−Fru)である。これを繰り返して、フルクトース部分に連結されたグルコース部分で終わる最大で10個のガラクトース部分を有するガラクトオリゴ糖(上記で定義している)を生成することができる。
一実施形態では、第2のサッカリドはフルクト−オリゴ糖(FOS)である。FOSは、別の単糖部分(特にグルコース部分)で任意選択的に終わることができるフルクトース分子の短鎖からなる。一実施形態では、FOSはフルクトース部分のみを含むことができ、即ち一般式(Fru)nを有することができ、この一般式中、nは概して2〜7であり、例えば2、3、4、5、6、7であり、例として、イヌロビオース(Fru−Fru)、イヌロトリオース(Fru−Fru)およびイヌロテトラオース(Fru−Fru−Fru−Fru)が挙げられる。そのようなフルクトオリゴ糖は概して、イヌリンの分解により製造される。
一実施形態では、FOSは、一般式Glu−(Fru)nを有するもの等の異なる単糖部分(上記で定義しており、および例示しており、特にグルコース部分)で終わるフルクトース部分の鎖を含むことができ、この一般式中、nは概して1〜7であり、例えば1、2、3、4、5、6または7、8、9または10であり、具体例として、スクロース(Glu−Fru)、ケストース(Glu−Fru−Fru)、ニストース(Glu−Fru−Fru−Fru)、フルクトシルニストース(Glu−Fru−Fru−Fru−Fru)および同類のものが挙げられる。この実施形態では、本発明の方法により、ガラクトース部分にグルコース部分またはフルクトース部分のいずれかへの結合が形成され得る。好ましくは、本発明の方法により、ガラクトース部分にグルコース部分への結合が形成される。
第2のサッカリドは、測定可能な量のガラクトース部分が転移されるのを可能にするのに十分な量で存在する。正確な濃度は、第2のサッカリドの性質に応じて変化する。一部の実施形態(具体的には、最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とが連結されている実施形態)では、第2のサッカリドの濃度は0.01〜10mol/Lであり、例えば0.02〜5mol/Lであり、例えば0.05〜2mol/Lであり、例えば0.1〜1mol/Lであり、例えば0.02〜0.5mol/Lである。一部の実施形態では、第2のサッカリドの濃度は0.8mol/L未満であり、例えば0.79mol/L未満であり、例えば0.78mol/L未満であり、例えば0.77mol/L未満であり、例えば0.76mol/L未満であり、例えば0.75mol/L未満であり、例えば0.74mol/L未満であり、例えば0.73mol/L未満であり、例えば0.72mol/L未満であり、例えば0.71mol/L未満であり、例えば0.7mol/L未満であり、例えば0.69mol/L未満であり、例えば0.68mol/L未満であり、例えば0.67mol/L未満であり、例えば0.66mol/L未満であり、例えば0.65mol/L未満であり、例えば0.64mol/L未満であり、例えば0.63mol/L未満であり、例えば0.62mol/L未満であり、例えば0.61mol/L未満であり、例えば0.6mol/L未満であり、例えば0.59mol/L未満であり、例えば0.58mol/L未満であり、例えば0.57mol/L未満であり、例えば0.56mol/L未満であり、例えば0.55mol/L未満であり、例えば0.54mol/L未満であり、例えば0.53mol/L未満であり、例えば0.52mol/L未満であり、例えば0.51mol/L未満であり、例えば0.5mol/L未満であり、例えば0.49mol/L未満であり、例えば0.48mol/L未満であり、例えば0.47mol/L未満であり、例えば0.46mol/L未満であり、例えば0.45mol/L未満であり、例えば0.44mol/L未満であり、例えば0.43mol/L未満であり、例えば0.42mol/L未満であり、例えば0.41mol/L未満であり、例えば0.4mol/L未満であり、例えば0.39mol/L未満であり、例えば0.38mol/L未満であり、例えば0.37mol/L未満であり、例えば0.36mol/L未満であり、例えば0.35mol/L未満であり、例えば0.34mol/L未満であり、例えば0.33mol/L未満であり、例えば0.32mol/L未満であり、例えば0.31mol/L未満であり、例えば0.3mol/L未満である。一部の実施形態では、第2のサッカリドの濃度は0.1mol/L超であり、例えば0.11mol/L超であり、例えば0.12mol/L超であり、例えば0.13mol/L超であり、例えば0.14mol/L超であり、例えば0.15mol/L超であり、例えば0.16mol/L超であり、例えば0.17mol/L超であり、例えば0.18mol/L超であり、例えば0.19mol/L超であり、例えば0.2mol/L超であり、例えば0.21mol/L超であり、例えば0.22mol/L超であり、例えば0.23mol/L超であり、例えば0.24mol/L超であり、例えば0.25mol/L超であり、例えば0.26mol/L超であり、例えば0.27mol/L超である。一部の実施形態では、第2のサッカリドの濃度は0.083〜0.472mol/Lである。一部の実施形態では、第2のサッカリドの濃度は0.278〜0.444mol/Lである。
本発明の一部の実施形態(具体的には、最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とが連結されている実施形態)では、第2のサッカリドはフルクトースであり、このフルクトースの濃度は0.8mol/L未満であり、例えば0.79mol/L未満であり、例えば0.78mol/L未満であり、例えば0.77mol/L未満であり、例えば0.76mol/L未満であり、例えば0.75mol/L未満であり、例えば0.74mol/L未満であり、例えば0.73mol/L未満であり、例えば0.72mol/L未満であり、例えば0.71mol/L未満であり、例えば0.7mol/L未満であり、例えば0.69mol/L未満であり、例えば0.68mol/L未満であり、例えば0.67mol/L未満であり、例えば0.66mol/L未満であり、例えば0.65mol/L未満であり、例えば0.64mol/L未満であり、例えば0.63mol/L未満であり、例えば0.62mol/L未満であり、例えば0.61mol/L未満であり、例えば0.6mol/L未満であり、例えば0.59mol/L未満であり、例えば0.58mol/L未満であり、例えば0.57mol/L未満であり、例えば0.56mol/L未満であり、例えば0.55mol/L未満であり、例えば0.54mol/L未満であり、例えば0.53mol/L未満であり、例えば0.52mol/L未満であり、例えば0.51mol/L未満であり、例えば0.5mol/L未満であり、例えば0.49mol/L未満であり、例えば0.48mol/L未満であり、例えば0.47mol/L未満であり、例えば0.46mol/L未満であり、例えば0.45mol/L未満であり、例えば0.44mol/L未満であり、例えば0.43mol/L未満であり、例えば0.42mol/L未満であり、例えば0.41mol/L未満であり、例えば0.4mol/L未満であり、例えば0.39mol/L未満であり、例えば0.38mol/L未満であり、例えば0.37mol/L未満であり、例えば0.36mol/L未満であり、例えば0.35mol/L未満であり、例えば0.34mol/L未満であり、例えば0.33mol/L未満であり、例えば0.32mol/L未満であり、例えば0.31mol/L未満であり、例えば0.3mol/L未満である。一部の実施形態では、フルクトースの濃度は15〜85g/L(0.083〜0.472mol/L)であり、例えば20〜80g/L(0.111〜0.444mol/L)であり、例えば45〜85g/L(0.25〜0.472mol/L)であり、例えば50〜80g/L(0.278〜0.444mol/L)であり、例えば45〜55g/L(0.25〜0.306mol/L)であり、例えば55〜65g/L(0.306〜0.361mol/L)であり、例えば65〜75g/L(0.361〜0.417mol/L)であり、例えば75〜85g/L(0.417〜0.472mol/L)である。驚いたことに、たとえフルクトースがこのように低濃度であってもガラクトース部分のフルクトースへの酵素的転移が起こり得ることを発見した。このことは先行技術の教示に反しており、なぜならば、低濃度のフルクトースでは、酵素によって触媒される主な反応はその他の反応(典型的には第1のサッカリドの加水分解および/またはガラクトオリゴ糖の生成)であろうと予想されていたからである。
一部の実施形態(具体的には、最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とがガラクトースまたはフルクトース以外の少なくとも1個の単糖部分により離れている実施形態)では、第2のサッカリドの濃度は0.5mol/L未満であり、例えば0.001〜0.5mol/Lであり、例えば0.005〜0.4mol/Lであり、例えば0.01〜0.35mol/Lであり、例えば0.1〜0.3mol/Lであり、例えば0.15〜0.2mol/Lである。
一部の実施形態(具体的には、最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とがガラクトースまたはフルクトース以外の少なくとも1個の単糖部分により離れている実施形態)では、第2のサッカリドはスクロースであり、このスクロースの濃度は0.5mol/L未満であり、171.2g/L(0.5mol/L)未満であり、例えば167.7g/L(0.49mol/L)未満であり、例えば164.3g/L(0.48mol/L)未満であり、例えば160.9g/L(0.47mol/L)未満であり、例えば157.5g/L(0.46mol/L)未満であり、例えば154.0g/L(0.45mol/L)未満であり、例えば150.6g/L(0.44mol/L)未満であり、例えば147.2g/L(0.43mol/L)未満であり、例えば143.8g/L(0.42mol/L)未満であり、例えば140.3g/L(0.41mol/L)未満であり、例えば136.2g/L(0.4mol/L)未満であり、例えば133.5g/L(0.39mol/L)未満であり、例えば130.1g/L(0.38mol/L)未満であり、例えば126.7g/L(0.37mol/L)未満であり、例えば123.3g/L(0.36mol/L)未満であり、例えば119.8g/L(0.35mol/L)未満であり、例えば116.4g/L(0.34mol/L)未満であり、例えば113.0g/L(0.33mol/L)未満であり、例えば109.5g/L(0.32mol/L)未満であり、例えば106.1g/L(0.31mol/L)未満であり、例えば102.7g/L(0.3mol/L)未満である。一部の実施形態では、スクロースの濃度は3.4g/L(0.01mol/L)超であり、例えば6.8g/L(0.02mol/L)超であり、例えば10.3g/L(0.03mol/L)超であり、例えば13.7g/L(0.04mol/L)超であり、例えば17.1g/L(0.05mol/L)超であり、例えば20.5g/L(0.06mol/L)超であり、例えば24.0g/L(0.07mol/L)超であり、例えば27.3g/L(0.08mol/L)超であり、例えば30.8g/L(0.09mol/L)超であり、例えば34.2g/L(0.1mol/L)超であり、例えば37.7g/L(0.11mol/L)超であり、例えば41.1g/L(0.12mol/L)超であり、例えば44.5g/L(0.13mol/L)超であり、例えば47.9g/L(0.14mol/L)超であり、例えば51.3g/L(0.15mol/L)超であり、例えば0.001〜0.5mol/Lであり、例えば0.005〜0.4mol/Lであり、例えば0.01〜0.35mol/Lであり、例えば0.1〜0.3mol/Lであり、例えば0.15〜0.2mol/Lである。
酵素
本発明で使用する酵素は、ガラクトースを含有する第1のサッカリド(特にラクトース)からフルクトースを含有する第2のサッカリド(特にフルクトース)へのガラクトース部分の転移を触媒することができる限り、特に限定されない。ガラクトース含有サッカリドから水以外の分子(具体的には第2のサッカリド)へのガラクトース部分の転移を触媒することができる酵素は一般に、「トランスガラクトシラーゼ」と称される。トランスガラクトシル化活性を、国際公開第2013/182686号パンフレットで説明されているHPLC定量アッセイまたは酵素アッセイにより測定することができる。
この酵素は、この酵素のトランスガラクトシダーゼ活性に加えて、その他の副活性を有してもよい。典型的な副活性として、サッカリド加水分解活性(例えば、サッカリド(特に、ガラクトースを含有する第1のサッカリドおよび/またはフルクトースを含有する第2のサッカリド)中のグリコシド結合を加水分解する能力)、プロテアーゼ活性、リパーゼ活性、ホスホリパーゼ活性が挙げられる。好ましくは、この酵素の相対トランスガラクトシラーゼ活性は、この酵素の総活性の少なくとも50%を占めており、例えば少なくとも60%を占めており、例えば少なくとも70%を占めており、例えば少なくとも75%を占めており、例えば少なくとも80%を占めており、例えば少なくとも85%を占めており、例えば少なくとも90%を占めており、例えば少なくとも95%を占めており、例えば少なくとも97%を占めており、例えば少なくとも98%を占めており、例えば少なくとも99%を占めている。本文脈において、用語「トランスガラクトシル化活性」は、ガラクトース部分の水以外の分子への転移を意味する。この活性を、反応中の任意の時点で生成される[グルコース]−[ガラクトース]として、または反応中の任意の時点で生成されるGOSの直接的定量により、測定することができる。次いで、相対トランスガラクトシル化活性を、([グルコース]−[ガラクトース])/[グルコース]×100として算出することができる。グルコースおよびガラクトースの濃度を測定する手段は当業者に既知である、または国際公開第2013/182686号パンフレットで既知である。
一実施形態では、この酵素はβ−ガラクトシダーゼである。β−ガラクトシダーゼは、β−ガラクトシドの単糖への加水分解を触媒するヒドロラーゼ酵素である。そのような酵素は概して、Enzyme Classification(E.C.)3.2.1.23に分類される。
一実施形態では、この酵素は細菌起源または真菌起源である。一実施形態では、この酵素は細菌起源である。一実施形態では、この酵素はビフィドバクテリア(Bifidobacteria)起源である。一実施形態では、この酵素はビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)起源である。
一実施形態では、この酵素は、
a)配列番号1との少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、トランスガラクトシル化活性を有するポリペプチドであって、最大で980個のアミノ酸残基からなるポリペプチド、
b)少なくとも低ストリンジェンシー条件下で、i)配列番号1のポリペプチドをコードする配列番号9に含まれる核酸配列またはii)i)の相補鎖とハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド
からなる群から選択される。そのような酵素は一般に開示されており、国際公開第2013/186286号パンフレットで具体的に開示されている。
一実施形態(具体的には、ラクツロース等の最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とが連結されている実施形態)では、酵素の濃度は、トランスガラクトシル化反応が起こる組成物1kg当たり500〜10,000ユニットの酵素活性(U)が適切である。好ましくは、酵素の濃度は、この組成物1kg当たり1000〜5000ユニットの酵素活性(U)である。この酵素の活性のユニットを、方法4としての国際公開第2013/186286号パンフレットで開示されているアッセイに従って測定し、本明細書において実施例4、方法4として再現する。
一実施形態では、この反応を乳組成物中においてin situで実行する場合、酵素の濃度は、乳組成物1リットル当たり500〜10,000ユニットの酵素活性(U)が適切である。好ましくは、酵素の濃度は乳組成物1リットル当たり1000〜5000ユニットの酵素活性(U)である。
一実施形態(具体的には、ラクトスクロース等の最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とがガラクトースまたはフルクトース以外の少なくとも1個の単糖部分により離れている実施形態)では、酵素の濃度は、トランスガラクトシル化反応が起こる組成物1kg当たり500〜10,000ユニットの酵素活性(U)が適切である。好ましくは、酵素の濃度は、この組成物1kg当たり1000〜5000ユニットの酵素活性(U)である。この酵素の活性のユニットを、方法4としての国際公開第2013/186286号パンフレットで開示されているアッセイに従って測定し、本明細書において実施例4、方法4として再現する。
一実施形態では、この反応を乳組成物中においてin situで実行する場合、酵素の濃度は、乳組成物1リットル当たり500〜10,000ユニットの酵素活性(U)が適切である。好ましくは、酵素の濃度は乳組成物1リットル当たり1000〜5000ユニットの酵素活性(U)である。
一実施形態(具体的には、ラクツロース等の最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とが連結されている実施形態)では、酵素の濃度は、トランスガラクトシル化反応が起こる組成物1kg当たり純粋な酵素タンパク質0.2〜4gが適切である。好ましくは、酵素の濃度は、この組成物1kg当たり純粋な酵素タンパク質0.4〜2gである。
この実施形態では、この反応を乳組成物中においてin situで実行する場合、酵素の濃度は、乳組成物1リットル当たり純粋な酵素タンパク質0.2〜4gが適切である。好ましくは、酵素の濃度は乳組成物1リットル当たり純粋な酵素タンパク質0.4〜2gである。
一実施形態(具体的には、ラクトスクロース等の最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とがガラクトースまたはフルクトース以外の少なくとも1個の単糖部分により離れている実施形態)では、酵素の濃度は、トランスガラクトシル化反応が起こる組成物1kg当たり純粋な酵素タンパク質0.2〜4gが適切である。好ましくは、酵素の濃度は、この組成物1kg当たり純粋な酵素タンパク質0.4〜2gである。
この実施形態では、この反応を乳組成物中においてin situで実行する場合、酵素の濃度は、乳組成物1リットル当たり純粋な酵素タンパク質0.2〜4gが適切である。好ましくは、酵素の濃度は乳組成物1リットル当たり純粋な酵素タンパク質0.4〜2gである。
一態様では、本明細書で開示されているのは、配列番号1との少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、トランスガラクトシル化活性を有するポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、前記ポリペプチドをコードする核酸を含む適切な宿主株(例えばバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis))中での発現産物である場合、トランスガラクトシル化活性を示す前記核酸配列のポリペプチド発現産物のみである、ポリペプチドである。
一態様では、本明細書で開示されているのは、
a.配列番号1との少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大で980個のアミノ酸残基からなるポリペプチド、
b.配列番号2との少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸を含むポリペプチドであって、最大で975個のアミノ酸残基からなるポリペプチド、
c.配列番号3との少なくとも96.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大で1300個のアミノ酸残基からなるポリペプチド、
d.少なくとも低ストリンジェンシー条件下で、i)配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチドをコードする配列番号9、10、11、12もしくは13に含まれる核酸配列またはii)i)の相補鎖とハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、
e.配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に対してまたは成熟ポリペプチドをコードする配列番号9、10、11、12もしくは13に含まれるヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、ならびに
f.配列番号1、2、3、4または5の1個または複数個のアミノ酸残基の欠失、挿入および/または保存的置換を含むポリペプチド
からなる群から選択される、トランスガラクトシル化活性を有するポリペプチドである。
別の態様では、本明細書で開示されているのは、
a.配列番号3との少なくとも96.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大で1300個のアミノ酸残基からなるポリペプチド、
b.配列番号1との少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大で980個のアミノ酸残基からなるポリペプチド、
c.少なくとも低ストリンジェンシー条件下で、i)配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチドをコードする配列番号9、10、11、12もしくは13に含まれる核酸配列またはii)i)の相補鎖とハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、
d.配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に対してまたは成熟ポリペプチドをコードする配列番号9、10、11、12もしくは13に含まれるヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、ならびに
e.配列番号1、2、3、4または5の1個または複数個のアミノ酸残基の欠失、挿入および/または保存的置換を含むポリペプチド
からなる群から選択される、トランスガラクトシル化活性を有するポリペプチドである。
一態様では、本明細書で開示されているのは、トランスガラクトシル化活性を有する配列番号22のC末端がトランケートされた断片であるおよびバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)等の適切な生物中で産生された場合にタンパク質分解等の更なるトランケーションに対して安定であるおよび/または最終製剤化後の貯蔵中に更なるトランケーションに対して安定であるポリペプチドである。一態様では、本明細書で開示されているのは、配列番号1との少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大で980個のアミノ酸残基からなるポリペプチドである。一態様では、本明細書で開示されているのは、配列番号2との少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大で975個のアミノ酸残基からなるポリペプチドである。
一態様では、本明細書で開示されているのは、配列番号3との少なくとも96.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大で1300個のアミノ酸残基からなるポリペプチドである。一態様では、本明細書で開示されているのは、本明細書で開示するポリペプチドをコードすることができる核酸である。一態様では、本明細書で開示されているのは、本明細書で説明する核を含むまたは本明細書で説明するポリペプチドを発現することができる発現ベクターおよび/またはプラスミドである。一態様では、本明細書で開示されているのは、本明細書で説明するポリペプチドを発現することができる細胞である。
用語「単離(された)」は、そのポリペプチドが、その配列が天然では自然に関連していて自然に見いだされる少なくとも1つの他の成分を少なくとも実質的に含んでいないことを意味する。1つの態様では、「単離ポリペプチド」はSDS−PAGEで決定したときに、少なくとも30%純粋、少なくとも40%純粋、少なくとも60%純粋、少なくとも80%純粋、少なくとも90%純粋および少なくとも95%純粋であるポリペプチドを意味する。
用語「実質的に純粋なポリペプチド」は、本明細書においてそれが自然に関連している他のポリペプチド物質を最大10重量%、好ましくは最大8重量%、より好ましくは最大6重量%、より好ましくは最大5重量%、より好ましくは最大4重量%、最大3重量%、いっそうより好ましくは最大2重量%、最も好ましくは最大1重量%およびいっそう最も好ましくは最大0.5重量%を含有していることを意味する。このため、実質的に純粋なポリペプチドは、調製物中に存在する総ポリペプチド物質の重量に比して少なくとも92重量%純粋、好ましくは少なくとも94重量%純粋、より好ましくは少なくとも95重量%純粋、より好ましくは少なくとも96重量%純粋、より好ましくは少なくとも97重量%純粋、より好ましくは少なくとも98重量%純粋、いっそうより好ましくは少なくとも99重量%純粋、最も好ましくは99.5重量%純粋、いっそう最も好ましくは100重量%純粋であることが好ましい。本明細書に開示したポリペプチドは、好ましくは実質的に純粋形にある。特に、ポリペプチドは、「本質的に純粋形」である、すなわちポリペプチド調製物は、それと自然に関連している他のポリペプチド物質を本質的に含んでいないことが好ましい。これは、例えば、周知の組換え法または伝統的な精製方法によってポリペプチドを調製することによって達成できる。本明細書では、用語「実質的に純粋なポリペプチド」は、用語「単離ポリペプチド」および「単離形にあるポリペプチド」と同義語である。
用語「精製(された)」または「純粋」の語は、所定の成分が高レベル状態−例えば、少なくとも約51%純粋、例えば少なくとも51%純粋、または少なくとも約75%純粋、例えば少なくとも75%純粋、または少なくとも約80%純粋、例えば少なくとも80%純粋、または少なくとも約90%純粋、例えば少なくとも90%純粋、または少なくとも約95%純粋、例えば少なくとも95%純粋または少なくとも約98%純粋、例えば少なくとも98%純粋で存在することを意味する。この成分は、望ましくは組成物中に存在する主要な活性成分である。
本発明に関連する用語「微生物」には、本発明によるヌクレオチド配列または本明細書に定義した特異性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むことができた任意の「微生物」およびまたはそれらから得られた生成物が含まれる。本発明の状況では、「微生物」は、ミルク基質を発酵させることのできる任意の細菌もしくは真菌を含むことができる。
本発明に関連する用語「宿主細胞」には、本明細書で定義した特異性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または上記に定義され、本明細書で定義した特異性を有するポリペプチドの製造に使用される発現ベクターのいずれかを含む任意の細胞が含まれる。1つの態様では、この製造は組換え製造である。
本発明の状況では、用語「Pfamドメイン」は、タンパク質配列内で複数の配列アラインメントおよび隠れマルコフモチーフの存在に基づいてPfam−AもしくはPfam−Bのいずれかであると同定される領域を意味する(“The Pfam protein families database”:R.D.Finn,J.Mistry,J.Tate,P.Coggill,A.Heger,J.E.Pollington,O.L.Gavin,P.Gunesekaran,G.Ceric,K.Forslund,L.Holm,E.L.Sonnhammer,S.R.Eddy,A.Bateman Nucleic Acids Research(2010)Database Issue 38:D211−222.)。Pfamドメインの例としては、Glyco_hydro2N(PF02837)、Glyco_hydro(PF00703)、Glyco_hydro 2C(PF02836)および細菌性Ig様ドメイン(第4群)(PF07532)を挙げることができる。
本明細書で使用する「位置に対応する1つの位置」は、本明細書で記載されるアラインメントが特定のクエリーポリペプチドと参照ポリペプチドとの間で作成されることを意味する。参照ポリペプチドにおける特定の位置に対応する位置は、次に最高配列同一性でそのアラインメント内の対応するアミノ酸に対応すると同定される。
「1つの変異体」もしくは「複数の変異体」は、ポリペプチドもしくは核酸のいずれかに関する。用語「変異体」は、用語「突然変異体」と互換的に使用される。変異体には、アミノ酸配列もしくはヌクレオチド配列それぞれにおける1つ以上の場所での挿入、置換、塩基転換、切断および/または転化が含まれる。語句「変異ポリペプチド」、「ポリペプチド変異体」、「ポリペプチド」、「変異体」および「変異酵素」は、例えば配列番号1、2、3、4もしくは5などの選択されたアミノ酸配列を有するか、または配列番号1、2、3、4もしくは5などの選択されたアミノ酸配列と比較して修飾されているのいずれかであるアミノ酸配列を有するポリペプチド/タンパク質を意味する。
本明細書で使用する「参照酵素」、「参照配列」、「参照ポリペプチド」は、変異ポリペプチドのいずれかが例えば、配列番号1、2、3、4もしくは5に基づく酵素およびポリペプチドを意味する。「参照核酸」は、参照ポリペプチドをコードする核酸配列を意味する。
本明細書で使用する用語「参照配列」および「主題配列」は、互換的に使用される。
本明細書で使用する「クエリー配列」は、それが本発明の範囲内に含まれるかどうかを確かめるために、参照配列とアラインメントされる外来配列を意味する。したがって、そのようなクエリー配列は、例えば、先行技術の配列または第三者配列であってよい。
本明細書で使用する用語「配列」は、その状況に依存して、ポリペプチド配列または核酸配列であると言うことができる。
本明細書で使用する用語「ポリペプチド配列」および「アミノ酸配列」は、互換的に使用される。
「変異体」のシグナル配列は、野生型バチルス(Bacillus)属シグナルペプチドのシグナル配列もしくはポリペプチドを分泌する任意のシグナル配列と同一であってよい、または相違していてよい。変異体は、異種ポリペプチドを含有する融合タンパク質として発現することができる。例えば、変異体は、例えばHis−Tag配列などの発現融合タンパク質の同定もしくは精製に役立つように設計されたまた別のタンパク質もしくは配列のシグナルペプチドを含むことができる。
本開示に含まれることが企図されている様々な変異体を記載するためには、下記の命名法が参照の容易さのために採用されるであろう。置換が数および文字、例えば、592Pを含む場合は、これは{ナンバリングシステムによる位置/置換されたアミノ酸}に関する。したがって、例えば、592位にあるプロリンとのアミノ酸の置換は592Pと指定される。置換が文字、数および文字、例えば、D592Pを含む場合は、これは{元のアミノ酸/ナンバリングシステムによる位置/置換されたアミノ酸}を意味する。
したがって、例えば、592位にあるプロリンとのアラニンの置換はA592Pと指定される。
2つ以上の置換が特定位置で可能な場合は、これは任意選択的にスラッシュ記号「/」によって分離されてよい連続する文字、例えば、G303EDもしくはG303E/Dによって指定されることになる。
位置および置換は、例えば、配列番号1、2、3、4もしくは5のいずれかを参照して列挙される。例えば、また別の配列における同等の位置は、最高同一性率を備えるアラインメントを見いだすために、この配列を配列番号1、2、3、4もしくは5のいずれかと整列させ、その後にどのアミノ酸が1、2、3、4もしくは5のいずれかの特定位置の1つのアミノ酸に対応して整列するのかを決定することによって見いだすことができる。第1参照としての1つの配列のそのようなアラインメントおよび使用は、単純に当業者にとっては日常的問題である。
本明細書で使用する用語「発現」は、それによりポリペプチドが遺伝子の核酸配列に基づいて生成される工程を意味する。この工程は、転写および翻訳の両方を含む。
本明細書で使用する「ポリペプチド」は、用語「アミノ酸配列」、「酵素」、「ペプチド」および/または「タンパク質」と互換的に使用される。本明細書で使用する「ヌクレオチド配列」もしくは「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド配列もしくはポリヌクレオチド配列およびそれらの変異体、相同体、断片および誘導体を意味する。ヌクレオチド配列は、ゲノム、合成もしくは組換え起源であってよく、センスもしくはアンチセンス鎖のいずれを表すかにはかかわらず、二本鎖もしくは一本鎖であってよい。本明細書で使用する用語「ヌクレオチド配列」には、ゲノムDNA、cDNA、合成DNAおよびRNAが含まれる。
「相同体」は、主題アミノ酸配列および主題ヌクレオチド配列との所定の同一性率もしくは「相同性」を有する実体を意味する。1つの態様では、主題アミノ酸配列は、配列番号1、2、3、4もしくは5であり、主題ヌクレオチド配列は、好ましくは、配列番号9、10、11、12もしくは13である。
「相同配列」には、また別の配列との所定のパーセント、例えば、80%、85%、90%、95%もしくは99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドが含まれる。同一性率は、整列させた場合に、塩基もしくはアミノ酸残基の百分率が2つの配列を比較した場合と同一であることを意味する。アミノ酸配列は、アミノ酸が主題配列と比較して置換されている、欠失しているまたは付加されている場合は同一ではない。配列同一性率は、典型的には、主題タンパク質の成熟配列と比較して、つまり、例えばシグナル配列の除去後に測定される。典型的には、相同体は、主題アミノ酸配列と同一活性部位残基を含むであろう。相同体はさらに酵素活性を保持するが、相同体は野生型とは異なる酵素特性を有する場合がある。
本明細書で使用する「ハイブリダイゼーション」は、それにより核酸の鎖が塩基対合を通して相補鎖と結合する工程ならびにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)テクノロジーにおいて実施されるような増幅の工程を含んでいる。変異核酸は、一本鎖もしくは二本鎖DNAもしくはDNA、RNA/DNAヘテロ二本鎖もしくはRNA/DNAコポリマーとして存在することができる。本明細書で使用する用語「コポリマー」は、リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの両方を含む一本鎖核酸を意味する。変異核酸は、さらに発現を増加させるためにコドン最適化されてよい。
本明細書で使用する「合成」化合物は、in vitro化学的合成もしくは酵素的合成によって生成される。合成化合物には、宿主生物のための最適なコドン使用を用いて作成された変異核酸、例えば酵母細胞宿主もしくは最適な他の発現宿主が含まれるがそれらに限定されない。
本明細書で使用する「形質転換細胞」には、細菌細胞および真菌細胞の両方を含む、組換えDNA技術の使用によって形質転換されている細胞が含まれる。形質転換は、典型的には細胞内への1つ以上のヌクレオチド配列の挿入によって発生する。挿入されたヌクレオチド配列は、異種ヌクレオチド配列であってよい、すなわち、例えば融合タンパク質などの形質転換されなければならない細胞にとって自然ではない配列である。
本明細書で使用する「機能的に連結した」は、本明細書に記載した成分がそれらの所定の方法において機能することを許容する関係にあることを意味する。例えば、コーディング配列に機能的に連結した調節配列は、コーディング配列の発現がコントロール配列と適合する条件下で達成されるような方法でライゲートされる。
本明細書で使用する用語「断片」は、本明細書ではアミノ末端および/またはカルボキシル末端から1つ以上(数個)のアミノ酸が欠失しているポリペプチドであると定義されており、このとき断片は活性を有する。
1つの態様では、本明細書で使用する用語「断片」は、本明細書では配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチドのアミノ末端および/またはカルボキシル末端から1つ以上(数個)のアミノ酸が欠失しているポリペプチドであると定義されており、このとき断片はトランスガラクトシル化活性を有する。
本明細書で使用する用語「ガラクトース結合ドメイン様」は、用語「GBD」と略記され、用語「GBD」と互換可能である。
同一性の程度
2つのアミノ酸配列間または2つのヌクレオチド配列間の関連性は、パラメーター「同一性」によって記載される。
1つの実施形態では、クエリー配列と参照配列との配列同一性の程度は、1)2つの配列を任意の好適なアラインメントプログラムによってデフォルトのスコアリングマトリックスおよびデフォルトのgap penaltyを使用して整列させる工程、2)正確なマッチ数を同定する工程であって、このとき正確なマッチはアラインメントプログラムがアラインメントにおいて所定の位置上にある2つの整列させた配列内の同一アミノ酸もしくはヌクレオチドを同定している場合である工程、および3)正確なマッチ数を参照配列の長さで割る工程によって決定される。
1つの実施形態では、クエリー配列と参照配列との配列同一性の程度は、1)2つの配列を任意の好適なアラインメントプログラムによってデフォルトのスコアリングマトリックスおよびデフォルトのgap penaltyを使用して整列させる工程、2)正確なマッチ数を同定する工程であって、このとき正確なマッチはアラインメントプログラムがアラインメントにおいて所定の位置上にある2つの整列させた配列内の同一アミノ酸もしくはヌクレオチドを同定している場合である工程、および3)正確なマッチ数を2つの配列の内で最長配列の長さで割る工程によって決定される。
また別の実施形態では、クエリー配列と参照配列との配列同一性の程度は、1)2つの配列を任意の好適なアラインメントプログラムによってデフォルトのスコアリングマトリックスおよびデフォルトのgap penaltyを使用して整列させる工程、2)正確なマッチ数を同定する工程であって、このとき正確なマッチはアラインメントプログラムがアラインメントにおいて所定の位置上にある2つの整列させた配列内の同一アミノ酸もしくはヌクレオチドを同定している場合である工程、および3)正確なマッチ数を「アラインメント長」で割る工程であって、このときアラインメント長は、配列のgapおよび突出部分を含む全アラインメントの長さである工程によって決定される。
配列同一性の比較は、目測で、または通常は、容易に利用可能な配列比較プログラムを活用して実施することができる。これらの市販で入手可能なコンピュータープログラムは、2つ以上の配列を整列させて、2つ以上の配列間の相違を生じさせた可能性がある進化的事象を裁量に反映する複雑な比較アルゴリズムを使用する。このため、これらのアルゴリズムは、同一もしくは類似のアミノ酸のアラインメントを与える、およびgap、gap extensionのpenaltyを与えるスコアリングシステムおよび非類似アミノ酸のアラインメントを用いて機能する。比較アルゴリズムのスコアリングシステムには:
i)gapが挿入された時間毎のpenaltyスコアの指定(gap penaltyスコア)、
ii)既存のgapが割増位置を伴って伸長する各時間のpenaltyスコアの指定(extension penaltyスコア)、
iii)同一アミノ酸がアライメントされた時点の高スコアの指定、および
iv)非同一アミノ酸がアラインメントされた時点の可変スコアの指定、が含まれる。
大多数のアラインメントプログラムは、gap penaltyが修飾されることを許容する。しかし、配列比較のためにそのようなソフトウエアを使用する場合にはデフォルト値を使用することが好ましい。
非同一アミノ酸のアラインメントに対して与えられるスコアは、置換マトリックスとも呼ばれるスコアリングマトリックスにしたがって指定される。そのような置換マトリックスにおいて提供されるスコアは、進化中に1つのアミノ酸が別のアミノ酸で置換される可能性が変動し、置換対象のアミノ酸の物理的/化学的性質に依存するという事実を反映している。例えば、1つの極性アミノ酸がまた別の極性アミノ酸と置換される可能性は、疎水性アミノ酸と置換される場合に比較して高い。このため、スコアリングマトリックスは同一アミノ酸に対して最高スコア、非同一であるが類似のアミノ酸に対してはより低いスコア、および非同一で非類似のアミノ酸に対してはいっそう低いスコアを指定するであろう。最も頻回に使用されるスコアリングマトリックスは、PAMマトリックス(Dayhoff et al.(1978),Jones et al.(1992))、BLOSUMマトリックス(HenikoffおよびHenikoff(1992))およびGonnetマトリックス(Gonnet et al.(1992))である。
そのようなアラインメントを実施するために好適なコンピュータープログラムには、Vector NTI(Invitrogen Corp.)ならびにClustalV、ClustalWおよびClustalW2プログラム(Higgins DG & Sharp PM(1988),Higgins et al.(1992),Thompson et al.(1994),Larkin et al.(2007)が含まれるがそれらに限定されない。選りすぐりの様々なアラインメントツールは、www.expasy.org.のExPASy Proteomicsサーバーから入手できる。配列アラインメントを実施できるソフトウエアのまた別の例は、現在はhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/に見いだすことができる全米バイオテクノロジー情報センターのウェブページから入手でき、最初にAltschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215;403−410に記載されたBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)である。
本発明の好ましい実施形態では、アラインメントプログラムは、配列の全長にわたるアラインメントを最適化する、グローバルアラインメントプログラムを実施する。また別の好ましい実施形態では、グローバルアラインメントプログラムは、Needleman−Wunschアルゴリズム(Needleman,Saul B.;およびWunsch,Christian D.(1970),“A general method applicable to the search for similarities in the amino acid sequence of two proteins”,Journal of Molecular Biology 48(3):443−53)に基づく。Needleman−Wunschアルゴリズムを用いてグローバルアラインメントを実施する最新プログラムの例は、どちらもhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/psa/から入手可能であるEMBOSS NeedleおよびEMBOSS Stretcherプログラムである。EMBOSS Needleは、2つの配列の全体の長さの最適な(gapを含む)アラインメントを見いだすために、Needleman−Wunschアラインメントアルゴリズムを使用して最適なグローバル配列アラインメントを実施する。EMBOSS Stretcherは、より大きな配列をグローバルに整列させることを可能にするNeedleman−Wunschアラインメントの修飾を使用する。1つの実施形態では、配列はグローバルアラインメントプログラムによって整列させられ、配列同一性はプログラムによって同定された正確なマッチの数を「アラインメント長」で割ることによって計算されるが、このときアラインメント長はgapおよび配列の突出部分を含む全アラインメントの長さである。
また別の実施形態では、グローバルアラインメントプログラムはNeedleman−Wunschアルゴリズムを使用し、配列同一性はプログラムによって同定された正確なマッチの数を「アラインメント長」で割ることによって計算されるが、このときアラインメント長はgapおよび配列の突出部分を含む全アラインメントの長さである。
さらに別の実施形態では、グローバルアラインメントプログラムは、EMBOSS NeedleおよびEMBOSS Stretcherからなる群から選択され、配列同一性はプログラムによって同定された正確なマッチの数を「アラインメント長」で割ることによって計算されるが、このときアラインメント長はgapおよび配列の突出部分を含む全アラインメントの長さである。
ソフトウエアがアラインメントを生成すると、類似性率(%)および配列同一性率(%)を計算することが可能である。ソフトウエアは、典型的にはこれを配列比較の一部として実行し、数的結果を生成する。
1つの実施形態では、配列アラインメントを実施するためにClustalWソフトウエアを使用するのが好ましい。好ましくは、ClustalWを用いたアラインメントは、ペアワイズアラインメントのために下記のパラメーターを用いて実施される:
ClustalW2は、例えば、インターネット上でEuropean Bioinformatics研究所によってEMBL−EBIウェブページwww.ebi.ac.ukのtools−sequence analysis−ClustalW2の下で入手可能にされている。現在、ClustalW2ツールの正確なアドレスは、www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw2である。
また別の実施形態では、配列アラインメントを実施するためにプログラムAlign X in Vector NTI(Invitrogen)を使用するのが好ましい。1つの実施形態では、Exp10がデフォルト設定を用いて使用可能にされている:
Gap opening penalty:10
Gap extension penalty:0.05
Gap separation penalty range:8
また別の実施形態では、1つのアミノ酸配列とまた別のアミノ酸配列との、またはまた別のアミノ酸配列とのアラインメントは、スコアマトリックス:blosum62mt2およびVectorNTIペアワイズアラインメント設定の使用によって決定される。
1つの実施形態では、1つのアミノ酸配列とまた別のアミノ酸配列との、またはまた別のアミノ酸配列との同一性率(%)は、ワードサイズ3および置換マトリックスとしてBLOSUM 62を用いるBlastによって決定される。
ポリペプチド
1つの実施形態では、本明細書に開示されるのは、3重量/重量%の初期ラクトース濃度以上の濃度で、少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11もしくは少なくとも12のトランスガラクトシル化活性:β−ガラクトシダーゼ活性の比率を有するポリペプチドである。
1つの態様では、本明細書に開示されるのは、グリコシドヒドロラーゼ触媒コアが配列番号7のアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
1つの態様では、本明細書に開示されるのは、Glyco_hydro2N(PF02837)、Glyco_hydro(PF00703)および/またはGlyco_hydro 2C(PF02836)ドメインを含有するポリペプチドである。
1つの態様では、本明細書において、細菌性Ig様ドメイン(第4群)(PF07532)を含有するポリペプチドが開示される。
1つの実施形態では、本明細書において、下記からなる群から選択されるトランスガラクトシル化活性を有するポリペプチドが開示される:
a.配列番号1との少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大980個のアミノ酸残基からなるポリペプチド、
b.配列番号2との少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大975個のアミノ酸残基からなるポリペプチド、
c.配列番号3との少なくとも96.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大1,300個のアミノ酸残基からなるポリペプチド、
d.i)配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチドをコードする配列番号9、10、11、12もしくは13からなる核酸配列、またはii)i)の相補鎖と、少なくとも低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド、
e.配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列または1つの成熟ポリペプチドをコードする配列番号9、10、11、12もしくは13からなるヌクレオチド配列との少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド、および
f.配列番号1、2、3、4もしくは5の1つ以上のアミノ酸残基の欠失、挿入および/または保存的置換を含むポリペプチド。
また別の実施形態では、本明細書に開示されるのは、下記からなる群から選択されるトランスガラクトシル化活性を有するポリペプチドである:
a.配列番号3との少なくとも96.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大1,300個のアミノ酸残基からなるポリペプチド、
b.配列番号1との少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大980個のアミノ酸残基からなるポリペプチド、
c.i)配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチドをコードする配列番号9、10、11、12もしくは13からなる核酸配列、またはii)i)の相補鎖を含む、少なくとも低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド、
d.配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列または1つの成熟ポリペプチドをコードする配列番号9、10、11、12もしくは13からなるヌクレオチド配列との少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド、および
e.配列番号1、2、3、4もしくは5の1つ以上のアミノ酸残基の欠失、挿入および/または保存的置換を含むポリペプチド。
1つの態様では、本明細書に開示されるのは、アミノ酸配列が配列番号1、2、3、4もしくは5の成熟アミノ酸配列との少なくとも68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するポリペプチドである。
1つの態様では、本明細書に開示されるのは、配列番号1の成熟アミノ酸配列との90%配列同一性を有するポリペプチドである。
1つの態様では、本明細書に開示されるのは、配列番号2の成熟アミノ酸配列との90%配列同一性を有するポリペプチドである。
1つの態様では、本明細書に開示されるのは、配列番号3の成熟アミノ酸配列との96.5%配列同一性を有するポリペプチドである。
1つの態様では、本明細書に開示されるのは、配列番号4の成熟アミノ酸配列との96.5%配列同一性を有するポリペプチドである。
1つの態様では、本明細書に開示されるのは、配列番号5の成熟アミノ酸配列との96.5%配列同一性を有するポリペプチドである。
1つの実施形態では、本明細書に開示されるのは、配列番号1、2、3、4もしくは5のアミノ酸配列を含む、またはそれらからなるポリペプチドである。
1つの態様では、本明細書に開示されるのは、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)に由来するポリペプチドである。
1つの態様では、本明細書に開示されるのは、6.5〜7.5の最適pHを有するポリペプチドである。
1つの態様では、本明細書に開示されるのは、例えば42〜60℃などの30〜60℃の最適温度を有するポリペプチドである。
炭水化物への活性を有するポリペプチドは、それらの基質特異性に基づくIUBMB分類システムまたは現行の125種のグリコシドヒドロラーゼファミリーの1つへのCaZy割当てのいずれかを使用して分類することができる。CaZyデータベースでは、割当ては、基質および生成物の立体化学の知識と組み合わせた配列および構造の両方に関する情報に基づいている。
本明細書では、前記ポリペプチドをコードする核酸配列を含む好適な宿主菌株(例えば、枯草菌(Bacillus subtilis))中で発現生成物である場合に、トランスガラクトシル化活性を示す前記核酸配列の唯一のポリペプチド発現生成物であるポリペプチドが開示される。これは、当業者には公知の下記の技術を使用することによって評価することができる。評価対象のサンプルはSDS−PAGEを受けさせられ、例えばBio−Rad Criterionシステムなどのタンパク質定量のために適切な染料を使用して可視化される。ゲルは、次に例えばBio−Rad Criterionシステムなどの適切な密度計スキャナーを使用してスキャンされ、結果として生じた画像がダイナミックレンジ内にあることが確証される。配列番号8に由来する任意の変異体/断片に対応するバンドが定量され、ポリペプチドのパーセンテージは以下:問題のポリペプチドの百分率=問題のポリペプチド/(トランスガラクトシル化活性を示す全ポリペプチドの合計)*100として計算される。組成物中の配列番号8に由来するポリペプチド変異体/断片の総数は、当業者には公知の方法によってポリクローナル抗体を使用するウェスタンブロッティングによって配列番号8に由来する断片を検出することによって決定できる。
本明細書に開示したポリペプチドは、酵素内に含有された少なくとも2つの別個の機能的ドメインを含む。最初に、ポリペプチドは、下記に記載するようなグリコシドヒドロラーゼ触媒コアを含有するはずである。触媒コアは、関連するグリコシドヒドロラーゼファミリーのGH−Aクランに属するはずである。GH−Aクランは、保持機構によってグリコシド結合を開裂することを特徴とし、TIMバレルフォールドに基づく触媒ドメインを有する(Wierenga,2001,FEBS Letters,492(3),p193−8)。この触媒ドメインは、バレルドメインの第4および第7ストランドから生じるプロトン供与体および求核基として作用する2つのグルタミン酸残基を含有する(Jenkins,1995,FEBS Letters,362(3),p281−5)。TIMバレルの全体構造は、8本のβストランドおよび8本のαヘリックスからなる(β/α)8フォールドである。1つの態様では、本明細書に開示したグリコシドヒドロラーゼ触媒コアは、グリコシドヒドロラーゼファミリーGH−2およびGH−Aクランに属する全TIMバレル酵素であるGH−35のいずれかに属する。また別の態様では、グリコシドヒドロラーゼ触媒コアは、GH−2もしくはGH−35ファミリーに属する。また別の態様では、グリコシドヒドロラーゼ触媒コアは、GH−2ファミリーに属する。一般的基準は、これらの酵素がいわゆる保持酵素であるので、基質の立体化学が生成物内で保存されていることである(Henrissat,1997,Curr Opin Struct Biol,7(5),637−44)。
1つの態様では、本明細書に開示したポリペプチドは、β(1→4)構造を有する炭水化物結合への活性を有する。この活性は効果的に、これらの酵素をβ−ガラクトシダーゼのIUMBMB EC3.2.1.23クラスに分類する。この活性は、例えば、色素生成アグリコン(XGal)とともにパラ−ニトロフェノール−β−D−ガラクトピラノシド(PNPG)、オルト−ニトロフェノール−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)またはβ−D−ガラクトピラノシドなどの合成基質を利用することによって決定できるが、それらに限定されない。酵素がβ−ガラクトシダーゼのEC3.2.1.23クラスに属するかどうかを決定する代替法としては、ラクトースなどの基質とともにインキュベートし、例えば酵素決定法、HPLC、TLCもしくは当業者には公知の他の方法によってグルコースの遊離を測定することである。
ポリペプチドの機能的実体を予測するためには、数種の利用可能な好適な公衆リポジトリ、例えばPfam(Nucl.Acids Res.(2010)38(suppl 1):D211−D222.doi:10.1093/nar/gkp985)およびInterpro(Nucl.Acids Res.(2009)37(suppl 1):D211−D215.doi:10.1093/nar/gkn785)などを適用できる。そのような分析を実施する場合は、分析は、好適な保存データベースから入手できるポリペプチドの全長配列上で実施されなければならないことを明白にすべきである。
また別の態様では、Glyco_hydro2N(PF02837)、Glyco_hydro(PF00703)、Glyco_hydro 2C(PF02836)および細菌性Ig様ドメイン(第4群)(PF07532)から選択される1つ以上のPfamドメインを含有するポリペプチドが提供される。さらにまた別の態様では、PfamドメインGlyco_hydro2N(PF02837)、Glyco_hydro(PF00703)、Glyco_hydro 2C(PF02836)および細菌性Ig様ドメイン(第4群)(PF07532)を含有するポリペプチドが提供される。さらにまた別の態様では、ポリペプチドの触媒ドメインを構成するGlyco_hydro2N(PF02837)、Glyco_hydro(PF00703)およびGlyco_hydro 2C(PF02836)ドメインを含有するポリペプチドが提供される。
更なる態様では、本明細書で開示されており、180分等の15分、30分または180分の反応後の37℃および5重量/重量%のラクトースでの乳ベースのアッセイにおいて100ppmの濃度で測定した場合にトランスガラクトシル化活性:β−ガラクトシダーゼ活性の比が少なくとも1、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11または少なくとも12であるポリペプチドが提供される。更なる態様では、このポリペプチドはビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)に由来する。
一態様では、本明細書で開示するポリペプチドは、180分等の15分、30分または180分の反応後の37℃および5重量/重量%のラクトースでの乳ベースのアッセイにおいて100ppmの濃度で測定した場合に最初のラクトースの20%超、30%超、40%超、最大で50%がトランスガラクトシル化されるようなトランスガラクトシル化活性を有する。
更なる態様では、本明細書で開示するポリペプチドは、180分等の15分、30分または180分の反応後の37℃および5重量/重量%のラクトースでの乳ベースのアッセイにおいて100ppmの濃度で測定した場合にラクトースの80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満が加水分解されているようなβ−ガラクトシダーゼ活性を有する。
一態様では、β−ガラクトシダーゼ活性および/またはトランスガラクトシル化活性を、国際公開第2013/182626号パンフレットの方法4で詳述されている2.13LAUに対応する100ppmの濃度で測定する。
また別の態様では、本明細書に開示したポリペプチドは、下記の特徴:
a)15、30もしくは180分間、例えば180分間の反応後に、37℃および5重量/重量%のラクトースでのミルクベースのアッセイにおいて100ppmの濃度で測定して、少なくとも1、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11または少なくとも12のトランスガラクトシル化活性:β−ガラクトシダーゼ活性の比率を有する、および/または
b)15、30もしくは180分間、例えば180分間の反応後に、37℃および5重量/重量%のラクトースでのミルクベースアッセイにおいて100ppmの濃度で測定して、初期ラクトースの20%超、30%超、40%超および50%までがトランスガラクトシル化されているようなトランスガラクトシル化活性を有する、の内の1つ以上を有する。
1つの態様では、配列番号3との少なくとも96.5%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記ポリペプチドは、最大1,300個のアミノ酸残基からなるポリペプチドが提供される。また別の態様では、配列番号1との少なくとも90%の配列同一性、例えば前記配列同一性が例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくは少なくとも100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大980個のアミノ酸残基からなるポリペプチドが提供される。また別の態様では、配列番号1との少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大980個のアミノ酸残基からなるポリペプチドが提供される。さらにまた別の態様では、配列番号1との少なくとも90%の配列同一性を有する、例えば前記ポリペプチドが配列番号1との例えば少なくとも90%、例えば,少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドが提供される。また別の態様では、配列番号2との少なくとも96.5%の配列同一性を有する、例えば前記ポリペプチドが配列番号2との少なくとも97%、例えば少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチド。1つの態様では、本明細書に開示したポリペプチドは、最大975個のアミノ酸残基、例えば最大970個のアミノ酸残基、例えば最大950個のアミノ酸残基、例えば最大940個のアミノ酸残基、最大930個のアミノ酸残基、最大920個のアミノ酸残基、最大910個のアミノ酸残基、最大900個のアミノ酸残基、最大895個のアミノ酸残基もしくは最大890個のアミノ酸残基からなり、提供される。1つの態様では、特定のポリペプチドは887もしくは965個のアミノ酸残基からなり、提供される。1つの態様では、配列番号2との少なくとも97%の配列同一性、例えば前記配列同一性が例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%、もしくは少なくとも100%の同一性であるようなアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大975個のアミノ酸残基、例えば最大970個もしくは少なくとも965個のアミノ酸残基からなるポリペプチドが提供される。1つの態様では、配列番号2と少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大975個のアミノ酸残基からなるポリペプチドが提供される。
また別の好ましい態様では、配列番号1、2、3、4もしくは5を含むポリペプチドが提供される。さらに別の好ましい態様では、配列番号1、2、3、4もしくは5のアミノ酸配列からなるポリペプチド、特に配列番号1または2のアミノ酸配列からなるポリペプチドが提供される。
また別の態様では、配列番号3との少なくとも96.5%の配列同一性、例えば前記配列同一性が例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、少なくとも99%もしくは少なくとも100%の配列同一性であるアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、最大1,300個のアミノ酸残基からなるポリペプチドが提供される。
また別の態様では、前記ポリペプチドが配列番号5との少なくとも98.5%、例えば少なくとも99%もしくは少なくとも99.5%の配列同一性を有するポリペプチドが提供される。1つの態様では、そのようなポリペプチドは、最大1,290個のアミノ酸残基、例えば最大1,280個、最大1,270個、最大1,260個、最大1,250個、最大1,240個、最大1,230個、最大1,220個もしくは最大1,215個のアミノ酸残基からなり、提供される。1つの好ましい態様では、1,211個のアミノ酸残基からなるポリペプチドが提供される。
また別の態様では、前記ポリペプチドが配列番号4との少なくとも96%、例えば少なくとも少なくとも97%、例えば少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドが提供される。1つの態様では、最大1,210個のアミノ酸残基、例えば最大1,200個、最大1,190個、最大1,180個、最大1,170個、最大1,160個、最大1,150個もしくは最大1,145個のアミノ酸残基、例えば1,142個のアミノ酸残基からなるポリペプチドが提供される。
また別の態様では、前記ポリペプチドが配列番号3との少なくとも96.5%、例えば少なくとも少なくとも97%、例えば少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドが提供される。1つの態様では、最大1,130個のアミノ酸残基、例えば最大1,120個、最大1,110個、最大1,100個、最大1,090個、最大1,080個、最大1,070個、最大1,060個、最大1,050個、最大1,055個もしくは最大1,040個のアミノ酸残基からなるポリペプチドが提供される。1つの好ましい態様では、1,038個のアミノ酸残基からなるポリペプチドが提供される。
また別の態様では、本明細書に開示したポリペプチドは、100%超、例えば150%超、175%超もしくは200%超のトランスガラクトシル化活性の比率を有する。
タンパク質は、一般に、通例ドメインと呼ばれる1つ以上の機能的領域から構成される。異なるタンパク質中に様々な組み合わせで様々なドメインが存在することは、自然に見いだされる多様なタンパク質レパートリーを生じさせる。ドメインを記載する1つの方法は、“The Pfam protein families database”:R.D.Finn,J.Mistry,J.Tate,P.Coggill,A.Heger,J.E.Pollington,O.L.Gavin,P.Gunesekaran,G.Ceric,K.Forslund,L.Holm,E.L.Sonnhammer,S.R.Eddy,A.Bateman Nucleic Acids Research(2010)Database Issue 38:D211−222に記載されたタンパク質ドメインファミリーの大きな集団であるPfamデータベースを用いることによる。各ファミリーは、複数の配列アラインメントおよび隠れマルコフモデル(HMM)によって表示される。さらなる態様では、本発明者らは、本明細書で提供するポリペプチドが、PfamドメインGlyco_hydro2N(PF02837)、Glyco_hydro(PF00703)、Glyco_hydro 2C(PF02836)および細菌性Ig様ドメイン(第4群)(PF07532)の内の1つ以上を含有することを見い出した。1つの態様では、本明細書で提供するポリペプチドは、Glyco_hydro2N(PF02837)、Glyco_hydro(PF00703)、Glyco_hydro 2C(PF02836)および細菌性Ig様ドメイン(第4群)(PF07532)を含有する。
1つの態様では、このポリペプチドは、4〜9、例えば5〜8、例えば5.5〜7.5、例えば6.5〜7.5などのpH範囲にわたって有用なトランスガラクトシル化活性を有する。
本発明は、本明細書に定義したアミノ酸または本明細書に定義した特定の特性を有するポリペプチドとの所定の程度の配列同一性もしくは配列相同性を有するポリペプチドを含む。本発明は、特に、下記に定義する配列番号1、2、3、4もしくは5またはそれらの相同体のいずれか1つとのある程度の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
1つの態様では、相同性アミノ酸配列および/またはヌクレオチド配列は、配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチドと比較して機能的トランスガラクトシル化活性を保持する、および/またはトランスガラクトシル化活性を増強するポリペプチドを提供する、および/またはコードするはずである。
本発明の状況では、相同配列は主題配列と少なくとも66%、70%、75%、78%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一である可能性があるアミノ酸配列を含むと考えられる。典型的には、相同体は、主題アミノ酸配列と同一活性部位などを含むであろう。相同性は類似性(すなわち、類似の化学的特性/機能を有するアミノ酸残基)の観点から考慮することもできるが、本発明の状況では、相同性は配列同一性によって表現するのが好ましい。
したがって、本発明はさらに、本明細書に定義したタンパク質もしくはポリペプチドのいずれかのアミノ酸配列、特別には下記に定義する配列番号1、2、3、4もしくは5のアミノ酸配列の変異体、相同体および誘導体を含む。
下記に定義した配列番号1、2、3、4もしくは5の変異体、相同体および誘導体は、さらにサイレントな変化を生成し、結果として機能的に同等の物質を生じさせるアミノ酸残基の欠失、挿入もしくは置換もまた有する可能性がある。意図的なアミノ酸置換は、その物質の二次的結合活性が保持される限り、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性および/または両親媒性の性質における類似性に基づいて行うことができる。例えば、負荷電アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる;正荷電アミノ酸には、リシンおよびアルギニンが含まれる;ならびに類似の親水性値を有する非荷電極性頭部基を備えるアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラニンおよびチロシンが含まれる。
本発明はさらに、発生する可能性がある、つまり同種置換、例えば塩基性と塩基性、酸性と酸性、極性と極性などの保存的置換(置換および交換は、本明細書ではどちらも既存のアミノ酸残基と代替残基との入れ替えを意味するために使用される)も含む。非保存的置換もまた、1クラスの残基からまた別のクラス、または非天然アミノ酸、例えばオルニチン(下記ではZと呼ぶ)、ジアミノ酪酸オルニチン(以下ではBと呼ぶ)、ノルロイシンオルニチン(以下ではOと呼ぶ)、ピリジルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニンおよびフェニルグリシンなどの包含を含むクラスの残基から発生する可能性がある。
作成できる可能性がある保存的置換は、例えば、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシンおよびヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸およびアスパラギン酸)、脂肪族アミノ酸(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン)、極性アミノ酸(グルタミン、アスパラギン、セリン、トレオニン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシン)、ヒドロキシルアミノ酸(セリン、トレオニン)、大きいアミノ酸(フェニルアラニンおよびトリプトファン)ならびに小さいアミノ酸(グリシン、アラニン)のグループ内にある。
1つの態様では、本発明において使用されるポリペプチド配列は、精製形にある。
1つの態様では、本発明において使用されるポリペプチドもしくはタンパク質は、単離形にある。
1つの態様では、本発明のポリペプチドは、組換え生成される。
変異ポリペプチドには、配列番号1または2との所定のパーセント、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するポリペプチドが含まれる。
変異ポリペプチドには、配列番号3、4または5との所定のパーセント、例えば少なくとも96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するポリペプチドが含まれる。
1つの態様では、本明細書に開示されるポリペプチドは、本明細書では配列番号22として示したビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)DSM20215に含有されるトランスガラクトシラーゼをコードするヌクレオチド配列によってコードされる成熟ポリペプチドのアミノ酸配列との少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。配列番号1、2、3、4もしくは5に関して検討される配列同一性および官能性に関する全ての考察および制限は、これらのポリペプチドおよびヌクレオチドの配列同一性および官能性に必要な変更を加えて適用される。
1つの態様では、主題アミノ酸配列は、配列番号1、2、3、4もしくは5であり、主題ヌクレオチド配列は、好ましくは、配列番号9、10、11、12もしくは13である。
1つの態様では、ポリペプチドは、配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチドのアミノ末端および/またはカルボキシル末端から1つ以上(数個)のアミノ酸が欠失している断片であり、このときこの断片はトランスガラクトシル化活性を有する。
1つの態様では、断片は、少なくとも500、550、600、650、700、750、800、850、900、950もしくは1,000個のアミノ酸残基を含有する。
また別の態様では、ポリペプチド変異体の長さは、500〜1,300アミノ酸残基である。また別の態様では、ポリペプチド変異体の長さは、600〜1,300アミノ酸である。また別の態様では、ポリペプチド変異体の長さは、700〜1,300アミノ酸である。また別の態様では、ポリペプチド変異体の長さは、800〜1,300アミノ酸である。また別の態様では、ポリペプチド変異体の長さは、800〜1,300アミノ酸である。
配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチド変異体
1つの態様では、配列番号1、2、3、4もしくは5に比較して、例えば改良されたトランスガラクトシル化などの変化した特性を実行する1つ以上の位置で置換を有する配列番号1、2、3、4もしくは5の変異体が提供される。そのような変異ポリペプチドは、本文献においては便宜的に、「変異ポリペプチド」、「ポリペプチド変異体」または「変異体」とも呼ばれる。1つの態様では、本明細書に定義したポリペプチドは、配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチドに比較して改良されたトランスガラクトシル化活性を有する。また別の態様では、本明細書に定義したポリペプチドは、配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチドに比較して改良された反応速度を有する。
一態様では、本明細書で定義するポリペプチドおよび多様体は酵素活性を示す。一態様では、本明細書で説明するポリペプチドおよび多様体ポリペプチドは、トランスガラクトシル化活性を含む。
1つの態様では、トランスガラクトシル化活性:β−ガラクトシダーゼ活性の比率は、3重量/重量%の初期ラクトース濃度を超える濃度などの30分間の反応後には、少なくとも0.5、例えば少なくとも1、例えば少なくとも1.5または例えば少なくとも2である。
1つの態様では、トランスガラクトシル化活性:β−ガラクトシダーゼ活性の比率は、3重量/重量%の初期ラクトース濃度を超える濃度などの30分間の反応後に、少なくとも2.5、例えば少なくとも3、例えば少なくとも4、例えば少なくとも5、例えば少なくとも6、例えば少なくとも7、例えば少なくとも8、例えば少なくとも9、例えば少なくとも10、例えば少なくとも11もしくは例えば少なくとも12である。
1つの態様では、本明細書に定義したポリペプチドおよび変異体は、微生物起源に、特に糸状真菌もしくは酵母または細菌に由来する可能性がある。酵素は、例えば、Agaricus、例えばA.bisporus;Ascovaginospora;Aspergillus、例えばA.niger,A.awamori,A.foetidus,A.japonicus,A.oryzae;Candida;Chaetomium;Chaetotomastia;Dictyostelium、例えばD.discoideum;Kluveromyces、例えばK.fragilis,K.lactis;Mucor、例えばM.javanicus,M.mucedo,M.subtilissimus;Neurospora、例えばN.crassa;Rhizomucor、例えばR.pusillus;Rhizopus、例えばR.arrhizus,R.japonicus,R.stolonifer;Sclerotinia、例えばS.libertiana;Torula;Torulopsis;Trichophyton、例えばT.rubrum;Whetzelinia、例えばW.sclerotiorum;Bacillus、例えばB.coagulans,B.circulans,B.megaterium,B.novalis,B.subtilis,B.pumilus,B.stearothermophilus,B.thuringiensis;Bifidobacterium、例えばB.Iongum,B.bifidum,B.animalis;Chryseobacterium;Citrobacter、例えばC.freundii;Clostridium、例えばC.perfringens;Diplodia、例えばD.gossypina;Enterobacter、例えばE.aerogenes,E.cloacae Edwardsiella,E.tarda;Erwinia、例えばE.herbicola;Escherichia、例えばE.coli;Klebsiella、例えばK.pneumoniae;Miriococcum;Myrothesium;Mucor;Neurospora、例えばN.crassa;Proteus、例えばP.vulgaris;Providencia、例えばP.stuartii;Pycnoporus、例えばPycnoporus cinnabarinus,Pycnoporus sanguineus;Ruminococcus、例えばR.torques;Salmonella、例えばS.typhimurium;Serratia、例えばS.liquefasciens,S.marcescens;Shigella、例えばS.flexneri;Streptomyces,e.g..S.antibioticus,S.castaneoglobisporus,S.violeceoruber;Trametes;Trichoderma、例えばT.reesei,T.viride;Yersinia、例えばY.enterocoliticaの菌株に由来する可能性がある。
本明細書に定義したポリペプチドもしくは変異ポリペプチドを含む単離および/または精製ポリペプチドが提供される。1つの実施形態では、変異ポリペプチドは、ポリペプチド(配列番号1、2、3、4もしくは5)の成熟形である。1つの態様では、変異体には、C末端ドメインが含まれる。
1つの態様では、本明細書に定義した変異ポリペプチドには、1〜約25個の間のアミノ酸残基が配列番号1、2、3、4もしくは5と比較して付加されている、または欠失している変異体が含まれる。1つの態様では、本明細書に定義した変異ポリペプチドには、1〜25個の間のアミノ酸残基が配列番号1、2、3、4もしくは5と比較して置換、付加されている、または欠失している変異体が含まれる。1つの態様では、変異体は、配列番号1、2、3、4もしくは5のアミノ酸配列を有し、このとき1〜約25個の間の任意の数のアミノ酸が置換されている。また別の態様では、変異体は、配列番号1、2、3、4もしくは5のアミノ酸配列を有し、このとき3〜12個の間の任意の数のアミノ酸が置換されている。また別の態様では、変異体は、配列番号1、2、3、4もしくは5のアミノ酸配列を有し、このとき5〜9個の間の任意の数のアミノ酸が置換されている。
1つの態様では配列番号1、2、3、4もしくは5の内の少なくとも2個、また別の態様では少なくとも3個、およびさらにまた別の態様では少なくとも5個のアミノ酸が置換されている。
1つの態様では、本明細書に開示したポリペプチドは、配列番号1、2、3、4もしくは5を有する。
1つの態様では、本明細書に開示したポリペプチドは、配列番号1、2、3、4もしくは5の配列を有するが、このときN末端における10、例えば9、例えば8、例えば7、例えば6、例えば5、例えば4、例えば3、例えば2、例えば1個のアミノ酸が置換されている、および/または欠失している。
酵素およびそれらの酵素変異体は、それらの核酸および一次ポリペプチド配列、三次元構造モデリングおよび/またはそれらの特異的活性によって特徴付けることができる。本明細書に定義したポリペプチドもしくはポリペプチド変異体の追加の特徴には、例えば、安定性、pH範囲、酸化安定性および熱安定性が含まれる。発現および酵素活性のレベルは、当業者には公知の標準的アッセイを使用すると評価できる。また別の態様では、変異体は、配列番号1、2、3、4もしくは5を備えるポリペプチドに比較して改良された性能特性、例えば高温、例えば65〜85℃で改良された安定性を示す。
ポリペプチド変異体は、配列番号1、2、3、4もしくは5のポリペプチドとの少なくとも約66%、68%、70%、72%、74%、78%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%の同一性を有するアミノ酸配列を用いて本明細書に定義したように提供される。
ヌクレオチド
1つの態様では、本発明は、超低ストリンジェンシー条件下、好ましくは低ストリンジェンシー条件下、より好ましくは中ストリンジェンシー条件下、より好ましくは中−高ストリンジェンシー条件下、いっそうより好ましくは高ストリンジェンシー条件下、および最も好ましくは超高ストリンジェンシー条件下で、i)配列番号1、2、3、4もしくは5の成熟ポリペプチドをコードする配列番号9、10、11、12もしくは13に含まれる核酸配列;ii)i)のcDNA配列、またはiii)i)もしくはii)の相補鎖とハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる上述したトランスガラクトシル化活性を有する単離ポリペプチドに関する(J.Sambrook,E.F.Fritsch,およびT.Maniatis,1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d edition,Cold Spring Harbor,New York)。配列番号9、10、11、12もしくは13の部分配列は、少なくとも100個の連続ヌクレオチドまたは好ましくは少なくとも200個の連続ヌクレオチドを含有する。さらに、部分配列は、ラクターゼ活性を有するポリペプチド断片をコードする可能性がある。
配列番号9、10、11、12もしくは13のヌクレオチド配列もしくはそれらの部分配列ならびに配列番号1、2、3、4もしくは5のアミノ酸配列もしくはそれらの断片は、当業者には周知の方法にしたがって様々な属もしくは種の菌株由来のトランスガラクトシル化活性を有するポリペプチドをコードするDNAを同定およびクローン化するための核酸プローブを設計するために使用できる。特に、そのようなプローブは、その中の対応する遺伝子を同定および単離するために、標準サウザンブロッティング手順にしたがって、問題の属もしくは種のゲノムもしくはcDNAとのハイブリダイゼーションのために使用できる。そのようなプローブは、全配列より相当に短い可能性があるが、長さが少なくとも14個、好ましくは少なくとも25個、より好ましくは少なくとも35個および最も好ましくは少なくとも70個のヌクレオチドでなければならない。しかし、核酸プローブは、長さが少なくとも100個のヌクレオチドであるのが好ましい。例えば、核酸プローブは、長さが少なくとも200ヌクレオチド、好ましくは少なくとも300ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも400ヌクレオチドまたは最も好ましくは少なくとも500ヌクレオチドであってよい。いっそうより長いプローブ、長さが例えば少なくとも600ヌクレオチド、少なくとも好ましくは700ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも800ヌクレオチドまたは最も好ましくは少なくとも900ヌクレオチドである核酸プローブを使用できる。DNAプローブおよびRNAプローブの両方を使用できる。これらのプローブは、典型的には、対応する遺伝子を検出するために(例えば、32P、3H、35S、ビオチンもしくはアビジンを用いて)標識される。そのようなプローブは、本発明によって含まれる。
このため、そのような他の生物から調製されたゲノムDNAライブラリーは、上述したプローブとハイブリダイズする、およびラクターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAについてスクリーニングすることができる。そのような他の生物からのゲノムもしくは他のDNAは、アガロースもしくはポリアクリルアミドゲル電気泳動法または他の分離技術によって分離することができる。ライブラリー由来のDNAもしくは分離DNAは、ニトロセルロースもしくは他の好適な担体材料上に移して固定化することができる。配列番号9、10、11、12もしくは13もしくはそれらの部分配列と相同性であるクローンもしくはDNAを同定するためには、サウザンブロットにおいて担体材料が使用される。
本発明のためには、ハイブリダイゼーションは、ヌクレオチド配列が配列番号9、10、11、12もしくは13に示したヌクレオチド配列、その相補鎖またはそれらの部分配列に、超低から超高ストリンジェンシー条件下で対応する標識核酸プローブにハイブリダイズすることを示している。これらの条件下で核酸プローブがそれにハイブリダイズする分子は、X線フィルムを使用して検出することができる。
また別の好ましい態様では、核酸プローブは、配列番号9、10、11、12もしくは13の成熟ポリペプチドコーディング領域である。
長さが少なくとも100ヌクレオチドの長いプローブに対しては、最適には12〜24時間の標準サウザンブロッティング手順にしたがって、超低〜超高ストリンジェンシー条件が5×のSSPE、0.3%のSDS、200g/mLの剪断および変性サケ***DNAならびに超低および低ストリンジェンシーに対しては25%のホルムアミド、中および中高ストリンジェンシーに対しては35%のホルムアミドまたは高および超高ストリンジェンシーに対しては50%のホルムアミドいずれか中の42℃でのプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションであると定義されている。
長さが少なくとも100ヌクレオチドの長いプローブに対しては、担体材料は、2×のSSC、0.2%のSDSを用いて、好ましくは少なくとも45℃(超低ストリンジェンシー)、より好ましくは少なくとも50℃(低ストリンジェンシー)、より好ましくは55℃(中ストリンジェンシー)、より好ましくは少なくとも60℃(中−高ストリンジェンシー)、いっそうより好ましくは少なくとも65℃(高ストリンジェンシー)および最も好ましくは少なくとも70℃(超高ストリンジェンシー)で最終的にそれぞれ15分間ずつ3回洗浄される。
特定の実施形態では、洗浄は、0.2×のSSC、0.2%のSDSを用いて、好ましくは少なくとも45℃(超低ストリンジェンシー)、より好ましくは少なくとも50℃(低ストリンジェンシー)、より好ましくは55℃(中ストリンジェンシー)、より好ましくは少なくとも60℃(中−高ストリンジェンシー)、いっそうより好ましくは少なくとも65℃(高ストリンジェンシー)および最も好ましくは少なくとも70℃(超高ストリンジェンシー)で実施される。また別の特定の実施形態では、洗浄は、0.1×のSSC、0.2%のSDSを用いて、好ましくは少なくとも45℃(超低ストリンジェンシー)、より好ましくは少なくとも50℃(低ストリンジェンシー)、より好ましくは55℃(中ストリンジェンシー)、より好ましくは少なくとも60℃(中−高ストリンジェンシー)、いっそうより好ましくは少なくとも65℃(高ストリンジェンシー)および最も好ましくは少なくとも70℃(超高ストリンジェンシー)で実施される。
長さが約15ヌクレオチド〜約70ヌクレオチドである短いプローブに対しては、ストリンジェンシー条件は、標準サウザンブロッティング手順にしたがって、0.9MのNaCl、0.09MのTris−HCl(pH7.6)、6mMのEDTA、0.5%のNP−40、1×のデンハルト溶液、1mMのピロリン酸ナトリウム、1mMの一塩基性リン酸ナトリウム、0.1mMのATPおよび0.2mg/mLの酵母RNA中で、BoltonおよびMcCarthy(1962,Proceedings of the National Academy of Sciences USA 48:1390)にしたがった計算を使用して計算Tmより約5℃〜約10℃下でのプレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション後洗浄として定義されている。
長さが約15ヌクレオチド〜約70ヌクレオチドである短いプローブに対しては、担体材料は、15分間にわたり6×のSCC+0.1%のSDS中で1回および計算Tmより約5℃〜約10℃下で6×のSSCを使用してそれぞれ15分間ずつ2回洗浄される。
塩含有ハイブリダイゼーション条件下では、有効Tmは上首尾のハイブリダイゼーションのためにプローブとフィルター結合DNAとの間に必要とされる同一性の程度を制御するTmである。有効Tmは、様々なストリンジェンシー条件下で2つのDNAがハイブリダイズするために必要とされる同一性の程度を決定するために下記の式を使用して決定することができる。
有効Tm=81.5+16.6(log M[Na+])+0.41(%G+C)−0.72(ホルムアミドの比率)
(www.ndsu.nodak.edu/instruct/mcclean/plsc731/dna/dna6.htmを参照されたい)
配列番号10のG+C含量は42%であり、配列番号11のG+C含量は44%である。中ストリンジェンシーに対しては、ホルムアミドは35%であり、5×のSSPEに対するNa+濃度は0.75Mである。
また別の重要な関係は、2つのDNAの1%のミスマッチがTmを1.4℃低下させることである。42℃の中ストリンジェンシー条件下で2つのDNAがハイブリダイズするために必要とされる同一性の程度を決定するためには、下記の式が使用される:
相同性率(%)=100−[(有効Tm−ハイブリダイゼーション温度)/1.4]
(www.ndsu.nodak.edu/instruct/mcclean/plsc731/dna/dna6.htmを参照されたい)
変異核酸には、配列番号1、2、3、4もしくは5をコードする核酸との所定のパーセント、例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドが含まれる。1つの態様では、本明細書に開示したポリペプチドをコードできる核酸が提供される。また別の態様では、本明細書に開示した核酸は、配列番号9、10、11、12または13と少なくとも60%、例えば少なくとも65%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%同一である核酸配列を有する。
1つの態様では、本明細書に記載した核酸を含むプラスミドを提供する。1つの態様では、本明細書に記載した核酸を含む、または本明細書に記載したポリペプチドを発現できる発現ベクターを提供する。
本明細書に定義し、本明細書に規定したポリペプチド変異体のいずれかをコードする核酸に相補的な核酸が提供される。さらに、相補体にハイブリダイズすることができる核酸も提供される。また別の実施形態では、本明細書に記載した方法および組成物において使用するための配列は、合成配列である。それには、例えば酵母などの宿主生物内で発現するための最適なコドンを使用して作成された配列が含まれるがそれらに限定されない。本明細書に提供したポリペプチド変異体は、当技術分野において周知の手法にしたがって、合成的に、または宿主細胞内での組換え発現を通して生成することができる。1つの態様では、本明細書に開示したポリペプチドは、組換えポリペプチドである。本明細書に定義した発現ポリペプチド変異体は、任意選択的に使用前に単離される。
また別の実施形態では、本明細書に定義したポリペプチド変異体は、発現後に精製される。ポリペプチド変異体の遺伝子修飾および組換え生産の方法は、例えば、米国特許第7,371,552号明細書、同第7,166,453号明細書;同第6,890,572号明細書;および同第6,667,065号明細書および米国公開公報特許第2007/0141693号明細書;同第2007/0072270号明細書;同第2007/0020731号明細書;同第2007/0020727号明細書;同第2006/0073583号明細書;同第2006/0019347号明細書;同第2006/0018997号明細書;同第2006/0008890号明細書;同第2006/0008888号明細書;および同第2005/0137111号明細書に記載されている。ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、プライマー、ベクター、選択方法、宿主細胞、発現ポリペプチド変異体の精製および再構成ならびに酵素アッセイのために有用なバッファー、pH範囲、Ca2+濃度、基質濃度および酵素濃度を含む本明細書に定義したポリペプチド変異体の特性解析を含むこれらの開示の重要な教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
配列番号1、2、3、4または5のタンパク質、または配列番号1、2、3、4もしくは5のタンパク質をコードする核酸との少なくとも約66%、68%、70%、72%、74%、78%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する核酸配列をコードする核酸配列が提供される。1つの実施形態では、核酸配列は、配列番号9、10、11、12または13の核酸との少なくとも約60%、66%、68%、70%、72%、74%、78%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。
ベクター
1つの態様では、本発明は、ポリヌクレオチドを含むベクターに関する。1つの態様では、細菌細胞がそのベクターを含む。一部の実施形態では、変異体をコードする核酸を含むDNA構築物は、コーディング配列と機能的に連結した調節配列を含む発現ベクター内の宿主細胞に移される。ベクターは、真菌宿主細胞ゲノム内に統合して、宿主細胞内に導入されると複製できる任意のベクターであってよい。ミズーリ大学のFGSC菌株カタログは、好適なベクターを列挙している。好適な発現ベクターおよび/または組込み型ベクターの追加の例は、Sambrook et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUUAL,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York(2001);Bennett et al.,MORE GENE MANIPULATIONS IN FUNGI,Academic Press,San Diego(1991),pp.396−428;および米国特許第5,874,276号明細書に提供されている。典型的なベクターには、pFB6、pBR322、PUC18、pUC100およびpENTR/D、pDONTM201、pDONRTM221、pENTRTM、pGEM(登録商標)3ZおよびpGEM(登録商標)4Zが含まれる。細菌細胞中で使用するための典型には、大腸菌(E.coli)内での複製を許容するpBR322およびpUC19ならびに例えばバチルス(Bacillus)属における複製を許容するpE194が含まれる。
一部の実施形態では、変異体をコードする核酸は、宿主細胞内での転写を可能にする好適なプロモーターに機能的に連結している。プロモーターは、宿主細胞にとって同種もしくは異種いずれかであるタンパク質をコードする遺伝子由来であってよい。プロモーターの好適な非限定的な例には、cbh1、cbh2、egl1およびegl2プロモーターが含まれる。1つの実施形態では、プロモーターは、宿主細胞にとって天然であるプロモーターである。例えば、P.サッカロフィラ(P.saccharophila)が宿主である場合、プロモーターは天然P.サッカロフィラ(P.saccharophila)プロモーターである。「誘導性プロモーター」は、環境的調節および発生的調節下で活性であるプロモーターである。また別の実施形態では、プロモーターは、宿主細胞にとって異種であるプロモーターである。
一部の実施形態では、コーディング配列は、シグナル配列をコードするDNA配列と機能的に連結している。また別の態様では、代表的なシグナルペプチドは、配列番号27である。代表的なシグナルペプチドは、枯草菌(Bacillus subtilis)aprE前駆体の天然シグナル配列である配列番号9である。他の実施形態では、シグナル配列をコードするDNAは、他の細胞外枯草菌(Bacillus subtilis)前駆体由来のシグナル配列をコードするヌクレオチド配列で置換される。1つの実施形態では、シグナル配列をコードするポリヌクレオチドは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのすぐ上流およびフレーム内にある。シグナル配列は、宿主細胞と同一種から選択することができる。追加の実施形態では、真菌宿主細胞内に導入すべきDNA構築物もしくはベクターを含むシグナル配列およびプロモーター配列は同一起源に由来する。一部の実施形態では、発現ベクターはさらに、終止配列を含む。1つの実施形態では、終止配列およびプロモーター配列は、同一起源に由来する。また別の実施形態では、終止配列は、宿主細胞にとって同種である。
一部の実施形態では、発現ベクターは選択可能なマーカーを含む。好適な選択可能なマーカーの例には、抗微生物剤、例えばハイグロマイシンもしくはフレオマイシンに耐性を付与するマーカーが含まれる。栄養選択的マーカーは、さらに好適であり、amdS、argBおよびpyr4が含まれる。1つの実施形態では、選択的マーカーは、酵素アセトアミダーゼをコードするamdS遺伝子である:amdS遺伝子は、形質転換細胞が窒素源としてのアセトアミド上で増殖することを許容する。選択的マーカーとしてのA.ニデュランス(A.nidulans)amdS遺伝子の使用は、Kelley et al.,EMBO J.4:475−479(1985)およびPenttila et al.,Gene 61:155−164(1987)に記載されている。
変異体をコードするポリヌクレオチドを備えるDNA構築物を含む好適な発現ベクターは、所定の宿主生物内で自律的に複製できる、または宿主のDNAに組み込むことができる任意のベクターであってよい。一部の実施形態では、発現ベクターはプラスミドである。一部の実施形態では、遺伝子の発現を得るための2つのタイプの発現ベクターが企図されている。第1発現ベクターは、その中のプロモーター、コーディング領域およびターミネーター全部が発現対象の遺伝子を起源とするDNA配列を含む。一部の実施形態では、遺伝子切断は、その独自の転写および翻訳調節配列の制御下で発現対象のドメインから離れるために望ましくないDNA配列を欠失させることによって入手される。第2のタイプの発現ベクターは、前組立てされ、高レベルの転写および選択可能なマーカーのために必要とされる配列を含有する。一部の実施形態では、遺伝子またはその一部に対するコーディング領域は、それが発現構築物およびターミネーター配列の転写制御下にあるようにこの汎用発現ベクター内に挿入される。一部の実施形態では、遺伝子もしくはその一部は、強力なcbh1プロモーターの下流に挿入される。
宿主/宿主細胞の発現
また別の態様では、本明細書に記載したプラスミドまたは本明細書に記載した発現ベクターを含む、好ましくはそれらを用いて形質転換された宿主細胞が提供される。
また別の態様では、本明細書に記載したポリペプチドを発現できる細胞が提供される。
1つの態様では、本明細書に記載した宿主細胞または本明細書に記載した細胞は、細菌細胞、真菌細胞もしくは酵母細胞である。
また別の態様では、宿主細胞は、ルミノコッカス(Ruminococcus)属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属、エシェリキア(Escherichia)属、バチルス(Bacillus)属、ストレプトミセス(Streptomyces)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、カンジダ(Candida)属、トルラ(Torula)属、トルロプシス(Torulopsis)属およびアスペルギルス(Aspergillus)属からなる群より選択される。
また別の態様では、宿主細胞は、ルミノコッカス・ハンセニイ(Ruminococcus hansenii)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)およびラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)からなる群から選択される。
また別の実施形態では、好適な宿主細胞には、枯草菌(Bacillus subtilis)、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)、B.レンタス(B.lentus)、B.ブレビス(B.brevis)、B.ステアロサーモフィラス(B.stearothermophilus)、B.アルカロフィラス(B.alkalophilus)、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.コアギュランス(B.coagulans)、B.サーキュランス(B.circulans)、B.ラウタス(B.lautus)、B.ツリンギエンシス(B.thuringiensis)、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)もしくはS.ムリナス(S.murinus)からなる群より選択されるグラム陽性細菌、または大腸菌(Escherichia coli)もしくはシュードモナス種(Pseudomonas species)であるグラム陰性細菌が含まれる。1つの態様では、宿主細胞は、枯草菌(B.subtilus)もしくはB.リケニフォルミス(B.licheniformis)である。1つの態様では、宿主細胞は、枯草菌(B.subtilis)であり、発現タンパク質は下記でさらに詳述するように、枯草菌(B.subtilis)シグナル配列を含むように遺伝子組換えされる。1つの態様では、宿主細胞は、特許請求の範囲に規定したポリヌクレオチドを発現する。
一部の実施形態では、宿主細胞は、配列番号1、2、3、4または5のポリペプチドとの少なくとも約66%、68%、70%、72%、74%、78%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%の同一性を有するアミノ酸配列を用いて本明細書に定義したポリペプチド変異体を発現するように遺伝子組換えされる。一部の実施形態では、本明細書に定義したポリペプチド変異体をコードするポリヌクレオチドは、配列番号1、2、3、4または5のタンパク質または配列番号1、2、3、4または5のタンパク質をコードする核酸との少なくとも約66%、68%、70%、72%、74%、78%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する核酸配列をコードするであろう。1つの実施形態では、核酸配列は、配列番号9、10、11、12または13の核酸との少なくとも約60%、66%、68%、70%、72%、74%、78%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。
ポリペプチドを製造するための方法
また別の態様では、本明細書に記載したポリペプチドを発現する方法は、本明細書に記載した宿主細胞もしくは細胞を入手する工程およびその細胞もしくは宿主細胞からポリペプチドを発現させる工程、および任意選択的にそのポリペプチドを精製する工程を含む。
発現の特徴は、特定の宿主細胞内で変異体が生成された場合に、変化した変異体の発現レベルを意味する。発現は、一般に、所定の期間にわたり当技術分野において公知の標準技術を使用して発酵ブロスから回収可能な活性変異体の量に関する。発現はさらに、宿主細胞内で生成された、または宿主細胞によって分泌された変異体の量もしくは比率に関する可能性がある。発現はさらに、変異ポリペプチドをコードするmRNAの翻訳の比率に関する可能性もある。
宿主細胞の形質転換、発現および培養
宿主細胞へのDNA構築物もしくはベクターの導入には、例えば、形質転換法;エレクトロポレーション法;核マイクロインジェクション法;形質導入;トランスフェクション、例えば、リポフェクション媒介性およびDEAE−デキストリン媒介性トランスフェクション;リン酸カルシウムDNA沈降物とのインキュベーション;DNA被覆微粒子弾丸を用いた高速衝撃法;およびプロトプラスト融合法などの技術が含まれる。一般的形質転換技術は、当技術分野において公知である。例えば、Ausubel et al.(1987),上記参照,chapter 9;Sambrook et al.(2001),上記参照;およびCampbell et al.,Curr.Genet.16:53−56(1989)を参照されたい。トリコデルマ(Trichoderma)属内での異種タンパク質の発現は、例えば、米国特許第6,022,725号明細書;同第6,268,328号明細書;Harkki et al.,Enzyme Microb.Technol.13:227−233(1991);Harkki et al.,BioTechnol.7:596−603(1989);欧州特許第244,234号明細書;および欧州特許第215,594号明細書に記載されている。1つの実施形態では、遺伝的に安定性の形質転換体は、それにより変異体をコードする核酸が宿主細胞染色体内に安定性で統合されるベクター系を用いて構築される。形質転換体は、次に、公知の技術によって精製される。
1つの非限定的な例では、amdSマーカーを含む安定性形質転換体は、非安定性形質転換体とは、それらのより高速の増殖速度およびアセトアミドを含有する固体培養培地上のギザギザではなくむしろ平滑な輪郭を備える環状コロニーの形成によって識別される。さらに、一部の場合には、安定性のまた別の試験は、固体の非選択的培地、例えばアセトアミドが欠如する培地上で形質転換体を増殖させる工程、この培養培地から胞子を採取する工程、および引き続いてアセトアミドを含有する選択的培地上で発芽および増殖するこれらの胞子の百分率を決定する工程によって実施される。形質転換体を選択するためには、当技術分野において公知の他の方法を使用できる。
活性の同定
宿主細胞内での変異体の発現を評価するために、アッセイは、発現タンパク質、対応するmRNAまたはβ−ガラクトシダーゼ活性を測定することができる。例えば、好適なアッセイには、ノーザンブロッティングおよびサウザンブロッティング、RT−PCR(逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応)および適切に標識したハイブリダイジングプローブを使用するin situハイブリダイゼーションが含まれる。好適なアッセイには、さらにサンプル中の活性を測定する工程もまた含まれる。変異体の活性の好適なアッセイには、ONPGベースアッセイまたは例えば本明細書の方法および実施例に記載したような反応混合物中のグルコースを決定する工程が含まれるがそれらに限定されない。
本明細書に開示したポリペプチドを精製するための方法
一般に、細胞培養内で生成された変異体は培地中に分泌され、例えば、細胞培養培地から望ましくない成分を除去することによって、精製もしくは単離することができる。一部の場合には、変異体は、細胞溶解物から回収できる。そのような場合には、酵素は当業者によって日常的に使用される技術を使用して生成された細胞から精製される。例には、例えば、アフィニティクロマトグラフィー、高分解能イオン交換を含むイオン交換クロマトグラフィー法、疎水性相互作用クロマトグラフィー、二相分配法、エタノール沈降法、逆相HPLC、シリカ上もしくは例えばDEAEなどのカチオン交換樹脂上のクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈降法およびSephadex G−75を使用するゲル濾過法が含まれるがそれらに限定されない。意図された用途に応じて、本明細書で開示するポリペプチドは、例えば凍結乾燥されていてもよいし溶液で調製されていてもよい。一態様では、本明細書で開示するポリペプチドは凍結乾燥形態である。別の態様では、本明細書で開示するポリペプチドは溶液である。
本明細書で開示するポリペプチドを固定化する方法および製剤化する方法
当分野で既知の方法に従ってポリペプチド組成物を調製することができ、このポリペプチド組成物は液体組成物の形態であってもよいし乾燥組成物の形態であってもよい。例えば、ポリペプチド組成物は顆粒状の形態であってもよいし微顆粒状の形態であってもよい。この組成物に含めるポリペプチドを、当分野で既知の方法に従って安定化させることができる。
下記に、本発明の方法で使用するポリペプチドまたはポリペプチド組成物の好ましい使用の例を示す。
方法
本発明の方法では、第1のサッカリドおよび第2のサッカリドを、ガラクトース部分の第1のサッカリドから第2のサッカリドへの転移を可能にする酵素と接触させる。一実施形態では、この酵素を、第1のサッカリドと第2のサッカリドとの混合物に添加する。一実施形態では、第2のサッカリドを、第1のサッカリドと酵素との混合物に添加する。一実施形態では、第1のサッカリドを、第2のサッカリドと酵素との混合物に添加する。
本発明の方法では、ガラクトース部分の第1のサッカリドから第2のサッカリドへの転移を酵素が触媒することができるような温度で、第1のサッカリドおよび第2のサッカリドと酵素とを接触させる。正確な温度は、酵素の性質および量ならびに第1のサッカリドおよび第2のサッカリドの性質および量等の因子によって決まる。
一実施形態(具体的には、ラクツロース等の最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とが連結されている実施形態)では、この方法を0〜100℃の温度で実行する。一実施形態では、この方法を0〜10℃の温度で実行する。一実施形態では、この方法を45〜60℃の温度で実行する。
別の実施形態(具体的には、ラクトスクロース等の最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とがガラクトースまたはフルクトース以外の部分により離れている実施形態)では、この方法を0〜100℃の温度で実行する。一実施形態では、この方法を30〜70℃の温度で実行する。一実施形態では、この方法を40〜60℃の温度で実行し、特に45〜55℃の温度で実行し、最も好ましくは50℃の温度で実行する。
本発明の方法では、ガラクトース部分の第1のサッカリドから第2のサッカリドへの転移を酵素が触媒するのを可能にするのに十分な時間にわたり、第1のサッカリドおよび第2のサッカリドと酵素とを接触させる。正確な反応時間は、酵素の性質および量ならびに第1のサッカリドおよび第2のサッカリドの性質および量等の因子によって決まる。
一実施形態(具体的には、ラクツロース等の最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とが連結されている実施形態)では、この方法を1分〜24時間の期間にわたり実行する。一実施形態では、この方法を10分〜6時間の期間にわたり実行する。一実施形態では、この方法を15分〜5時間の期間にわたり実行する。
別の実施形態(具体的には、ラクトスクロース等の最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とがガラクトースまたはフルクトース以外の部分により離れている実施形態)では、この方法を1分〜48時間の期間にわたり実行する。一実施形態では、この方法を10分〜24時間の期間にわたり実行する。一実施形態では、この方法を30分〜12時間の期間にわたり実行し、特に2〜8時間の期間にわたり実行する。
本発明の方法では、典型的にはガラクトース部分の第1のサッカリドから第2のサッカリドへの転移を酵素が触媒することができるようなpHで、第1のサッカリドおよび第2のサッカリドと酵素とを接触させる。正確なpHは、酵素の性質および量、第1のサッカリドおよび第2のサッカリドの性質および量ならびにこの方法を実行する組成物等の因子によって決まる。
一実施形態(限定されないが具体的には、この方法を乳組成物中においてin situで実行する実施形態)では、この方法を低くとも5.5のpHで実行し、例えば低くとも5.6のpHで実行し、例えば低くとも5.7のpHで実行し、例えば低くとも5.8のpHで実行し、例えば低くとも5.9のpHで実行し、例えば低くとも6.0のpHで実行し、例えば低くとも6.1のpHで実行し、例えば低くとも6.2のpHで実行し、例えば低くとも6.3のpHで実行し、例えば低くとも6.4のpHで実行し、例えば低くとも6.5のpHで実行し、例えば5.5〜9.5のpHで実行し、例えば5.75〜8.5のpHで実行し、例えば6.0〜8.0のpHで実行し、例えば6.25〜7.5のpHで実行し、例えば6.4〜7.0のpHで実行し、例えば6.5〜6.8のpHで実行する。
一実施形態(具体的には、ラクツロース等の最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とが連結されている実施形態)では、この方法を低くとも5.5のpHで実行し、例えば低くとも5.6のpHで実行し、例えば低くとも5.7のpHで実行し、例えば低くとも5.8のpHで実行し、例えば低くとも5.9のpHで実行し、例えば低くとも6.0のpHで実行し、例えば低くとも6.1のpHで実行し、例えば低くとも6.2のpHで実行し、例えば低くとも6.3のpHで実行し、例えば低くとも6.4のpHで実行し、例えば低くとも6.5のpHで実行し、例えば5.5〜9.5のpHで実行し、例えば5.75〜8.5のpHで実行し、例えば6.0〜8.0のpHで実行し、例えば6.25〜7.5のpHで実行し、例えば6.4〜7.0のpHで実行し、例えば6.5〜6.8のpHで実行する。
別の実施形態(具体的には、ラクトスクロース等の最終生成物においてガラクトース部分とフルクトース部分とがガラクトースまたはフルクトース以外の部分により離れている実施形態)では、この方法を低くとも5.5のpHで実行し、例えば低くとも5.6のpHで実行し、例えば低くとも5.7のpHで実行し、例えば低くとも5.8のpHで実行し、例えば低くとも5.9のpHで実行し、例えば低くとも6.0のpHで実行し、例えば低くとも6.1のpHで実行し、例えば低くとも6.2のpHで実行し、例えば低くとも6.3のpHで実行し、例えば低くとも6.4のpHで実行し、例えば低くとも6.5のpHで実行し、例えば5.5〜9.5のpHで実行し、例えば5.75〜8.5のpHで実行し、例えば6.0〜8.0のpHで実行し、例えば6.25〜7.5のpHで実行し、例えば6.4〜7.0のpHで実行し、例えば6.5〜6.8のpHで実行する。
好ましくは、温度、pHおよび/またはインキュベーション時間の組合せは、少なくとも5%のトランスフェラーゼ活性、好ましくは少なくとも10%のトランスフェラーゼ活性、好ましくは少なくとも15%、20%、25%、26%、28%、30%、40%、50%、60%または75%のトランスフェラーゼ活性が確実に存在するのに有効である。
一実施形態では、ラクツロースの収率は少なくとも10%である。一実施形態では、ラクツロースの収率は少なくとも12%である。一実施形態では、ラクツロースの収率は少なくとも15%である。一実施形態では、ラクツロースの収率は少なくとも18%である。一実施形態では、ラクツロースの収率は少なくとも20%である。一実施形態では、ラクツロースの収率は少なくとも22%である。一実施形態では、ラクツロースの収率は少なくとも25%である。この収率は、出発物質として使用するラクトースおよびフルクトースの総重量に基づいて重量で算出される。
本発明の方法を食品組成物中においてin situで実行することができる。一実施形態では、この食品組成物は乳製品組成物(dairy composition)である。一実施形態では、この食品組成物は乳または乳を含む組成物である。
用語「乳」は、本明細書で使用する場合、動物または野菜のいずれかを起源とする乳を含むことができ、全乳、脱脂乳および半脱脂乳が挙げられる。スイギュウ、(伝統的な)ウシ、ヒツジ、ヤギ等の動物源由来の乳を単独でまたは組み合わせて使用することができる。豆乳等の野菜乳を単独でまたは動物乳と組み合わせて使用することもできる。野菜乳を動物乳と組み合わせて使用する場合、この組合せは概して、約15重量/重量%未満または20重量/重量%未満または25重量/重量%未満の低い割合(の野菜乳)を含む。
1つの態様では、本明細書において、ラクトースを含む基質を本明細書に記載したポリペプチドで処理することにより食品を製造するための方法が提供される。
1つの態様では、本明細書において、ラクトースを含むミルクベース基質を本明細書に記載したポリペプチドで処理することにより乳製品を製造するための方法が提供される。1つの態様では、ラクトースを含む基質は、さらにβ−ガラクトシダーゼを加水分解する工程により処理される。
本発明に従って調製した食品成分の形態等の酵素調製物は、用途および/または適用の様式および/または投与の様式に応じて、溶液の形態であってもよいし固体としての形態であってもよい。固体形態は、乾燥酵素粉末または顆粒状酵素のいずれかであることができる。
乾燥酵素製剤の例として、噴霧乾燥製品、ミキサー造粒製品、層状製品(例えば流動床顆粒)、押し出し顆粒またはペレット化顆粒、小球化製品および凍結乾燥製品が挙げられる。
一態様では、本明細書で開示する細胞またはポリペプチドを含む組成物(好ましくは食品組成物、より好ましくは乳製品組成物)が提供される。
一実施形態では、この乳製品組成物の初期成分としてラクトースが存在する。一実施形態では、この乳製品組成物にラクトースを添加する。
用途および製品
本発明の方法の生成物は、ガラクトース部分とフルクトース部分とを含むサッカリドである。
一実施形態では、本発明の方法の生成物は、典型的にはグリコシド結合によりガラクトース部分がフルクトース部分に連結されているサッカリドである。この実施形態では、このグリコシド結合は、1,4’−グリコシド結合(1,4’−α−グリコシド結合であってもよいし1,4’−β−グリコシド結合であってもよい)、1,6’−グリコシド結合(1,6’−α−グリコシド結合であってもよいし1,6’−β−グリコシド結合であってもよい)、1,2’−グリコシド結合(1,2’−α−グリコシド結合であってもよいし1,2’−β−グリコシド結合であってもよい)または1,3’−グリコシド結合(1,3’−α−グリコシド結合であってもよいし1,3’−β−グリコシド結合であってもよい)であることができる。一実施形態では、このグリコシド結合は1,4’−グリコシド結合である。一実施形態では、このグリコシド結合は1,4’−α−グリコシド結合である。一実施形態では、このグリコシド結合は1,4’−β−グリコシド結合である。
一実施形態では、この生成物はラクツロース(即ち4−O−β−D−ガラクトピラノシル−β−D−フルクトフラノース)である。このラクツロースは概して、第1のサッカリドがラクトースであり第2のサッカリドがフルクトースである本発明の方法により形成される。
一実施形態では、本発明の方法の生成物は、ガラクトース部分とフルクトース部分とがガラクトースまたはフルクトース以外の少なくとも1個の単糖部分により離れているサッカリドである。典型的には、この生成物中において、ガラクトース部分とフルクトース部分とが、1〜10個の、好ましくは1〜5個の、より好ましくは1個、2個または3個の、更により好ましくは1個または2個の、最も好ましくは1個のみの単糖部分により離れている。
この生成物中においてガラクトース部分とフルクトース部分とを離す単糖部分は、上記で列挙した単糖部分のいずれかであることができるが、但しガラクトースまたはフルクトースではない。一実施形態では、ガラクトース部分とフルクトース部分とを離す単糖部分はグルコース部分である。
ガラクトース部分とフルクトース部分とを離す単糖部分は概して、これらの部分にグリコシド結合により連結されている。この実施形態では、このグリコシド結合は、1,4’−グリコシド結合(1,4’−α−グリコシド結合であってもよいし1,4’−β−グリコシド結合であってもよい)、1,6’−グリコシド結合(1,6’−α−グリコシド結合であってもよいし1,6’−β−グリコシド結合であってもよい)、1,2’−グリコシド結合(1,2’−α−グリコシド結合であってもよいし1,2’−β−グリコシド結合であってもよい)または1,3’−グリコシド結合(1,3’−α−グリコシド結合であってもよいし1,6’−β−グリコシド結合であってもよい)であることができる。一実施形態では、このグリコシド結合は1,4’−グリコシド結合である。一実施形態では、このグリコシド結合は1,4’−α−グリコシド結合である。一実施形態では、このグリコシド結合は1,4’−β−グリコシド結合である。
一実施形態では、この生成物はラクトスクロース(即ちβ−D−ガラクトピラノシル−(1→4)−α−D−グルコピラノシル−(1→2)−β−D−フルクトフラノース)である。このラクトスクロースは概して、第1のサッカリドがラクトースであり第2のサッカリドがスクロースである本発明の方法を使用して形成される。
本発明の生成物(典型的にはラクツロースおよび/またはラクトスクロース)を食料品に組み込むことができる。用語「食料品」は、本明細書で使用する場合、ヒトおよび/または動物による消費に適している物質を意味する。
適切には、用語「食料品」は、本明細書で使用する場合、消費の準備ができている形態の食料品を意味することができる。しかしながら、或いはまたは加えて、用語食料品は、本明細書で使用する場合、食料品の調製で使用する1種または複数種の食品材料を意味することができる。食料品は、用途および/または適用の様式および/または投与の様式に応じて、溶液もしくは乳濁液の懸濁液の形態であってもよいし固体としての形態であってもよい。
機能性食品等の食品としてまたはこの食品の調製で使用する場合、本発明の組成物を、下記の内の1種または複数種と共に使用することができる:栄養的に許容される担体、栄養的に許容される希釈剤、栄養的に許容される賦形剤、栄養的に許容される添加剤、栄養的に許容されるアジュバント、栄養的に許容される活性成分。
食料品の例として下記の内の1種または複数種が挙げられるがこれらに限定されない:卵、卵ベースの製品、例えば限定されないがマヨネーズ、サラダドレッシング、ソース、アイスクリーム、卵粉、改質された卵黄およびこれらから作られた製品;ベークド製品、例えばパン、ケーキ、甘いパン生地製品(sweet dough product)、積層状生地、液状バター、マフィン、ドーナツ、ビスケット、クラッカーおよびクッキー;菓子、例えばチョコレート、キャンディ、キャラメル、ハラワ(halawa)、ガム、例えば無糖ガムおよび砂糖入りガム、バブルガム、ソフトバブルガム、チューイングガムおよびプディング;冷凍製品、例えばソルベ、好ましくは冷凍乳製品、例えばアイスクリームおよびアイスミルク;乳製品、例えばチーズ、バター、ミルク、コーヒークリーム、ホイップクリーム、カスタードクリーム、乳飲料およびヨーグルト;ムース、ホイップ野菜クリーム、肉製品、例えば加工肉製品;食用油および食用脂、気泡ホイップ製品および非気泡ホイップ製品、水中油型乳濁液、油中水型乳濁液、マーガリン、ショートニングおよびスプレッド、例えば低脂肪スプレッドおよび超低脂肪スプレッド;ドレッシング、マヨネーズ、ディップ、クリームベースのソース、クリームベースのスープ、飲料、スパイスエマルションおよびソース。
ある特定の実施形態では、本発明に従う食料品は「高付加価値食品」(例えばケーキ、ペストリー、菓子、チョコレート、ファッジおよび同類のもの)であることができる。
一態様では、本発明に従う食料品は、生地製品またはベークド製品、例えばパン、フライ製品、スナック、ケーキ、パイ、ブラウニー、クッキー、ヌードル、スナック品、例えばクラッカー、グラハムクラッカー、プレッツェルおよびポテトチップスおよびパスタであることができる。
更なる態様では、本発明に従う食料品は、植物由来の製品、例えば小麦粉、プレミックス、油、脂、カカオバター、コーヒーホワイトナー、サラダドレッシング、マーガリン、スプレッド、ピーナッツバター、ショートニング、アイスクリーム、食用油であることができる。
別の態様では、本発明に従う食料品は、乳製品、例えばバター、ミルク、クリーム、様々な形態(例えば細切り、ブロック、スライスまたは粉)のチーズ(例えばナチュラルチーズ、プロセスチーズおよび模造チーズ)、クリームチーズ、アイスクリーム、冷菓、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、バター脂肪、無水乳脂肪、乳清を含有する食品および飲料、ならびにその他の乳製品であることができる。
用語「乳」は、本発明の文脈において、任意の動物(例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウまたはラクダ)から得られる乳状分泌物と理解すべきである。
本文脈において、用語「乳ベースの基質」は、あらゆる生のおよび/もしくは加工された乳物質または乳成分に由来する物質を意味する。有用な乳ベースの基質として、ラクトースを含むあらゆる乳または乳様製品の溶液/懸濁液、例えば全乳または低脂肪乳、脱脂乳、バター乳、再構成粉乳、練乳、粉乳の溶液、UHT乳、乳清、乳清透過物、酸性乳清またはクリームが挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、この乳ベースの基質は乳または脱脂粉乳の水溶液である。この乳ベースの基質は生乳と比べて濃縮されていてもよい。一実施形態では、この乳ベースの基質はタンパク質対ラクトースの比が少なくとも0.2であり、好ましくは少なくとも0.3であり、少なくとも0.4であり、少なくとも0.5であり、少なくとも0.6である、または最も好ましくは少なくとも0.7である。この乳ベースの基質を、当分野で既知の方法に従って均質化してもよい、および/または低温殺菌してもよい。
「均質化」は、本明細書で使用する場合、可溶性の懸濁液または乳濁液を得るための激しい混合を意味する。均質化を実施して、乳脂肪がもはや乳から分離しないように乳脂肪をより小さいサイズへと粉砕することができる。このことを、小さい開口部に高圧で乳を無理に通すことにより達成することができる。
「低温殺菌」は、本明細書で使用する場合、乳ベースの基質中において微生物等の生きた生物の存在を低減することまたは除去することを意味する。好ましくは、低温殺菌は特定の期間にわたり特定の温度を維持することにより達成される。この特定の温度は通常、加熱により達成される。温度および持続時間を、乳中のある特定の細菌(例えば有害な細菌)を死滅させるもしくは不活性化させるためにおよび/または酵素を不活性化させるために選択することができる。急冷工程が続いてもよい。本発明の文脈における「食品」または「食品組成物」は、動物またはヒトによる消費に適したあらゆる食品または飼料製品であることができる。
本発明の文脈における「乳製品」は、主成分の1種が乳ベースであるあらゆる食品であることができる。好ましくは、主成分は乳ベースである。より好ましくは、主成分は、トランスガラクトシル化活性を有する酵素で処理されている乳ベースの基質である。 本明細書に記載した乳製品は、例えば、スキムミルク、低脂肪乳、全乳、クリーム、UHT乳、延長された貯蔵寿命を有するミルク、発酵乳製品、チーズ、ヨーグルト、バター、デイリースプレッド、バターミルク、酸性化ミルク飲料、サワークリーム、ホエイベース飲料、アイスクリーム、コンデンスミルク、加糖練乳もしくはフレーバードミルク飲料であってよい。乳製品は、当技術分野において公知の任意の方法によって製造できる。
乳製品は、追加して、非ミルク成分、例えば植物性成分、例えば植物油、植物性タンパク質および/または植物性炭水化物を含むことができる。乳製品は、さらに添加物、例えば酵素、矯味剤、微生物培養、例えばプロバイオティクス培養、塩、甘味料、糖、酸、果実、果汁または当技術分野において乳製品の成分もしくは添加物として公知の任意の他の成分を含むことができる。
本発明の1つの実施形態では、1つ以上のミルク成分および/またはミルク分画は、乳製品の少なくとも50重量/重量%、例えば少なくとも70重量/重量%、例えば少なくとも80重量/重量%、好ましくは少なくとも90重量/重量%を占める。
本発明の1つの実施形態では、トランスガラクトシル化活性を有する本明細書に定義した酵素を用いて処理されている1つ以上のミルクベース基質は、乳製品の少なくとも50重量/重量%、例えば少なくとも70重量/重量%、例えば少なくとも80重量/重量%、好ましくは少なくとも90重量/重量%を占める。
本文脈において、「主成分の1種」は、乳製品の総乾燥物質の20%超を構成する、好ましくは30%超を構成するまたは40%超を構成する乾燥物質を有する成分を意味しており、「主成分」は、乳製品の総乾燥物質の50%超を構成する、好ましくは60%超を構成するまたは70%超を構成する乾燥物質を有する成分を意味する。
本文脈における「発酵乳製品」は、製造プロセスの一部が任意のタイプの発酵で形成されいてるあらゆる乳製品と理解すべきである。発酵乳製品の例は、ヨーグルト、バターミルク、クリームフレッシュ、クォーク(quark)およびフロマージュフレのような製品である。発酵乳製品の別例はチーズである。発酵乳製品を当分野で既知の任意の方法により製造することができる。
用語「発酵」は、スターター培養等の微生物の作用による炭水化物のアルコールまたは酸への変換を意味する。一態様では、発酵は、ラクトースの乳酸への変換を含む。この文脈において、「微生物」として、乳基質を発酵させることができるあらゆる細菌または真菌を挙げることができる。
大多数の発酵乳製品のために使用される微生物は、一般に乳酸菌と呼ばれる細菌の群から選択される。本明細書で使用する用語「乳酸菌」は、糖を発酵させて主として生成される酸としての乳酸、酢酸およびプロピオン酸を含む酸を生成するグラム陽性菌、微好気性菌もしくは嫌気性菌を指定する。工業的に最も有用な乳酸菌は、ラクトコッカス種(Lactococcus spp.)、ストレプトコッカス種(Streptococcus spp.)、ラクトバチルス種(Lactobacillus spp.)、ロイコノストック種(Leuconostoc spp.)、シュードロイコノストック種(Pseudoleuconostoc spp.)、ペプチドコッカス種(Pediococcus spp.)、ブレビバクテリウム種(Brevibacterium spp.)、エンテロコッカス種(Enterococcus spp.)およびプロピオニバクテリウム種(Propionibacterium spp.)を含むラクトバチルス(Lactobacillales)目内で見いだされる。さらに、嫌気性菌、単独もしくは乳酸菌と組み合わせて食品培養として頻回に使用されるビフィドバクテリア、すなわちビフィドバクテリウム種(Bifidobacterium spp.)に属する乳酸産生菌は、一般に乳酸菌の群に含まれる。乳酸菌は、通常は、バルクスターター増殖のための冷凍もしくはフリーズドライ培養として、または発酵乳製品を製造するための発酵容器内もしくはバット内への直接接種のために企図されたいわゆる「Direct Vat Set」(DVS)培養としてのいずれかで乳業に供給される。そのような培養は、一般に、「スターター培養物」もしくは「スターター」と呼ばれる。
乳酸菌の通例使用されるスターター培養物菌株は、一般に約30℃の最適増殖温度を有する中温性生物および約40〜45℃の範囲内の最適増殖温度を有する高温性生物に分けられる。中温性群に属する典型的な生物には、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)、ロイコノストック・メセンテロイデス亜種クレモリス(Leuconostoc mesenteroides subsp.cremoris)、シュードロイコノストック・メセンテロイデス亜種クレモリス(Pseudoleuconostoc mesenteroides subsp.cremoris)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)、ラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティス次亜種ジアセチルラクティス(Lactococcus lactis subsp.lactis biovar.diacetylactis)、ラクトバチルス・カゼイ亜種カゼイ(Lactobacillus casei subsp.casei)およびラクトバチルス・パラカゼイ亜種パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp.paracasei)が含まれる。高温性乳酸菌種には、例として、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ラクトバチルス・デルブリュッキイ亜種ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp.lactis)、ラクトバチルス・ヘルベティクス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・デルブリュッキイ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus)およびラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)が含まれる。さらに、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)を含むビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する嫌気性細菌も通例は乳製品スターター培養物として使用され、一般に乳酸菌の群に含まれる。さらに、プロピオニバクテリウムの種は、特にチーズの製造における乳製品スターター培養物として使用される。さらに、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属に属する生物は、通例は食品スターター培養物として使用される。
微生物スターター培養物の別の群は、特に所定のタイプのチーズおよび飲料の製造において使用される酵母培養物および糸状菌の培養物を含む真菌培養物である。真菌の例には、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)、ペニシリウム・カンディダム(Penicillium candidum)、ゲオトリクム・カンディダム(Geotrichum candidum)、トルラ・ケフィア(Torula kefir)、サッカロミセス・ケフィア(Saccharomyces kefir)およびサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)が含まれる。
本発明の1つの実施形態では、ミルクベース基質の発酵のために使用される微生物は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)またはストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)およびラクトバチルス・デルブリュッキイ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus)である。
本発明の方法において使用できる発酵工程は当技術分野において周知であり、当業者であれば、例えば温度、酸素、微生物の量および特性、例えば炭水化物、香味料、鉱物、酵素などの添加物および処理時間などを好適な工程条件を選択する方法を知っているであろう。発酵条件は、本発明の目的の製品を支持できるように選択される。
発酵の結果として、ミルクベース基質のpHが低下させられるであろう。本発明の発酵乳製品のpHは、3.5〜6の範囲内、例えば3.5〜5の範囲内、好ましくは3.8〜4.8の範囲内であってよい。
別の態様では、本発明に従う食料品は、動物由来成分を含む食品(例えば加工肉製品、食用油、ショートニング)であることができる。
更なる態様では、本発明に従う食料品は、飲料、果実、混合果実、野菜、マリネまたはワインであることができる。
一部の食品は栄養補助食品である。「栄養補助食品」は、栄養価に加えて健康上の利益をもたらす食品を意味する。健康食品は食品と薬との間の境界線を横切る。
本発明の方法の生成物(典型的にはラクツロース)を医薬組成物に組み込むこともできる。そのような組成物は、本発明の方法の生成物に加えて、従来の医薬用添加剤およびその他の従来の薬学的に不活性な薬剤を含むことができる。更に、この組成物は、本発明の方法の生成物に加えて活性剤を含むことができる。
この組成物は液体、半液体または固体の形態であることができ、使用する投与経路に適した様式で処方される。経口投与の場合、カプセルおよび錠剤が概して使用される。非経口投与の場合、本明細書で説明するように調製された凍結乾燥粉末の再構成が概して使用される。
本発明の方法の生成物を含む組成物を、経口的に、非経口的に、腹腔内に、静脈内に、動脈内に、経皮的に、舌下に、筋肉内に、直腸に、経口腔的に(transbuccally)、鼻腔内に、リポソームに、吸入を介して、経膣的に、眼内に、(例えばカテーテルまたはステントによる)局所送達を介して、皮下に、脂肪内に、関節内に、または髄腔内に投与することができる、または共投与することができる。本発明の方法の生成物を徐放剤形で投与することもできる、または共投与することもできる。
本発明の方法の生成物を、あらゆる従来の剤形で投与することができる、または共投与することができる。本発明の文脈における共投与は、臨床転帰の改善を達成するための協調的処置の経過において複数種の治療薬(この治療薬の内の1種は本発明の方法の生成物を含む)の投与を意味するように意図されている。そのような共投与は同一の広がりを持っていてもよく、即ち重複する期間中に生じてもよい。
非経口投与、皮内投与、皮下投与または局所投与に使用する溶液または懸濁液は、下記の成分の内の1種または複数種を任意選択で含むことができる:無菌希釈剤、例えば注射用の水、生理食塩溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたはその他の合成溶媒;抗微生物剤、例えばベンジルアルコールおよびメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝液、例えば酢酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩;浸透圧の調整用の薬剤、例えば塩化ナトリウムまたはブドウ糖、ならびに組成物の酸性度またはアルカリ度の調整用の薬剤、例えばアルカリ剤または酸性化剤または緩衝液、例えば炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、塩酸および有機酸(例えば酢酸およびクエン酸)。非経口製剤を、ガラス、プラスチックまたはその他の適切な材料で作られたアンプル、ディスポーザブルシリンジまたは単回用量バイアルもしくは複数回用量バイアルに任意選択で封入することができる。
本発明の方法の生成物を組成物に混合してまたは添加して、溶液、懸濁液、乳濁液または同類のものを形成することができる。結果として生じる組成物の形態を、意図される投与様式および選択される担体または賦形剤での化合物の溶解性等の多くの因子によって決めることができる。処置する疾患を寛解させるのに必要な有効濃度を経験的に決定することができる。
本発明に係る組成物は、本発明の方法の生成物を適量含む単位剤形(例えば錠剤、カプセル、丸剤、粉末、吸入用の乾燥粉末、顆粒、無菌非経口溶液または無菌非経口懸濁液、および経口溶液または経口懸濁液、油−水型乳濁液)にてヒトまたは動物への投与用に任意選択で提供される。この組成物は、本発明に係る1種または複数種の化合物に加えて下記を含むことができる:希釈剤、例えばラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムまたはカルボキシメチルセルロース;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルク;ならびに結合剤、例えばデンプン、天然ガム、例えばガムアカシア、ゼラチン、グルコース、糖蜜、ポリビニルピロリドン、セルロースおよびこの誘導体、ポビドン、クロスポビドンおよび当業者に既知のその他のそのような結合剤。
例えば担体(例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールおよび同類のもの等)中に上記で定義した活性化合物および任意選択で薬学的アジュバントを溶解させて、分散させてまたは別の方法で混合して溶液または懸濁液を形成することにより、液状の薬学的に投与可能な組成物を調製することができる。
剤形または組成物は、本発明に係る方法の1種または複数種の生成物を0.005%〜100%(重量/重量)の範囲にて任意選択で含むことができ、明細書で説明するもの等の追加の物質が残余を構成する。経口投与の場合、薬学的に許容される組成物は任意の1種または複数種の一般に用いられる添加剤(例えば医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルカム、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム等)を任意選択で含むことができる。
これらの製剤を調製する方法は当業者に既知である。この組成物は、本発明に係る方法の生成物の内の1種または複数種を任意選択で0.01%〜100%(重量/重量)含むことができ、任意選択で0.1〜95%含むことができ、任意選択で1〜95%含むことができる。
実施例1−ラクツロースの生成
Arla Minimaelk0.5%脂肪(Arla、Brabrand、Denmark)(1リットル当たりラクトース約45gを含む)をラクトース(Sigma−Aldrich、Schnelldorf、Germany)で45、70および90g/ラクトースLの濃度まで強化した。加えて、フルクトース(50、60、70および80g/L)を個々のミルクに添加した。その後、実施例4で開示されている(国際公開第2013/182626号パンフレットにおいて「BIF 917」としても開示されている)β−ガラクトシダーゼ(2625U/L)を添加し、このミルクを最大で8時間にわたり50℃でインキュベートした後、ラクツロースの濃度をHPLCにより分析した。
全ての標準物質(ラクトース、グルコース、ガラクトースおよびGOS)を再蒸留水(ddH2O)で調製し、0.45μmシリンジフィルタに通してろ過した。各標準物質のセットを10〜200,000ppmの濃度範囲で調製した。
ヨーグルト/ミルクマトリックス中での上記糖のセットの定量を評価するために、上記標準物質をミルク試料およびヨーグルト試料に添加し、内部コントロールとして使用した。10分にわたり95℃まで試料を加熱することにより、活性なβ−ガラクトシダーゼを含む全てのミルク試料およびヨーグルト試料を不活性化した。全てのミルク試料を96ウェルMTPプレート(Corning、NY、USA)中で調製し、最低20倍に希釈し、0.20μm96ウェルプレートフィルタに通してろ過した後に分析した(Corningフィルタプレート、PVDF親水性膜、NY、USA)。50,000ppm(5重量/体積%)超のラクトースを含む試料を30℃まで加熱して、適切な可溶化を確実なものとした。全てのヨーグルト試料を秤量し、ddH2Oで10倍に希釈した後、この試料を、数分にわたりUltra turrax TP18/10(Janke & Kunkel Ika−labortechnik、Bie & Berntsen、Denmark)を使用して均質化した。β−ガラクトシダーゼを加熱処理により不活性化し、試料を96ウェルMTPプレート中で更に希釈し、0.20μm96ウェルプレートフィルタに通してろ過した後に分析した(Corningフィルタプレート、PVDF親水性膜、NY、USA)。全ての試料を、テープで密封した96ウェルMTPプレート中で分析した。
計器による計測
ガラクト−オリゴ糖(GOS)、ラクトース、グルコースおよびガラクトースの定量をHPLCにより実施した。試料の分析を、DGP−3600SD Dual−Gradient分析用ポンプ、WPS−3000TSLサーモスタットオートサンプラ、TCC−3000SDサーモスタットカラムオーブンおよびRI−101屈折率検出器(Shodex、JM Science)を備えたDionex Ultimate 3000 HPLCシステム(Thermo Fisher Scientific)で実行した。データの取得および分析にChromeleonデータシステムソフトウェア(Version 6.80、DU10A Build 2826、171948)を使用した。
クロマトグラフ条件
70℃で操作する分析ガードカラム(Carbo−Ag+中性、AJ0−4491、Phenomenex、The Netherlands)を備えたRSOオリゴ糖カラム、Ag+4%架橋(Phenomenex、The Netherlands)を使用するHPLCにより試料を分析した。このカラムを、0.3ml/分の流速で再蒸留水(0.45μmの再生セルロース膜に通してろ過し、ヘリウムガスでパージした)により溶出させた。
総実行時間が37分である分析の間中、0.3ml/分のアイソクラチックフロー(isocratic flow)を維持し、注入量を10μLに設定した。全ての成分の可溶化を確実なものとするために、サーモスタットオートサンプラのコンパートメント中において試料を30℃で保持した。溶出液を屈折率検出器(RI−101、Shodex、JM Science)でモニタリングし、所与の標準物質のピーク面積に対するピーク面積によって定量を行なった。Vivinal GOSシロップ(Friesland Food Domo、The Netherlands)での3以上の程度のピーク(DP3+)を、この製品中のGOS含有量に関する製造業者の公表内容に従って、全てのガラクトオリゴ糖(DP3+)の定量用の標準として使用した。全てのDP3+ガラクト−オリゴ糖成分に対する応答が同一であるという仮定を、物質収支により確認した。
HPLC分析の前に、このミルクを水で20倍に希釈し(95℃/15分)、続いて0.22μmろ過した。
図1、図2および図3は、それぞれ4.5%、7.0%および9.0%(重量/体積)のラクトース(45、70および90g/Lのラクトースに相当する)を使用して達成された結果を示す。これらの図に示すように、生成されたラクツロースの濃度は、最初に加えたラクトースおよびフルクトースの濃度に依存した。
表1は、7%のラクトースと様々な濃度のフルクトースとを使用したラクツロースの収率(糖の合計)[%]を示す。
実施例2−ラクツロースの生成
Arla Minimaelk0.5%脂肪(Arla、Brabrand、Denmark)(1リットル当たりラクトース約45gを含む)を、フルクトース(MW:180.16Da;Sigma−Aldrich、Schnelldorf、Germany)または13C−標識フルクトース(MW:181.16Da;Sigma−Aldrich、Schnelldorf、Germany)のいずれかで、このミルク1リットル当たり80gまで強化した。その後、実施例4で開示されている(国際公開第2013/182626号パンフレットにおいて「BIF 917」としても開示されている)β−ガラクトシダーゼ(2625U/L)を添加し、このミルクを最大で4時間にわたり50℃でインキュベートした後、ラクツロースの濃度をHPLC−MSにより分析した。HPLC分析の前に、このミルクを水で20倍に希釈した(95℃/15分)。75℃で維持したPhenomenex REZEX RSO 4%Ag+ドープ200×10mmIDを使用するAgilent 1290 UPLCでクロマトグラフィーを実施し、0.25ml/分でオンライン真空脱気したmilli−Q水で溶出させた。25℃で維持した、水で10倍に希釈した試料ならびに4−ラクツロース、ラクトース、グルコースおよびガラクトースの標準物質(全て100μg/ml)5μlを注入した。試料および標準物質を、5分にわたり12500×gで遠心分離した後に使用した。カラム溶出液をBruker Maxis四重極飛行時間型質量分析計(QTOF MS)で分析した。
図4に示すように、両方のクロマトグラムは、非標識フルクトース(MW:180.16g/mol)または13C標識フルクトース(MW:181.16g/mol)の適用とは無関係に類似しているように見えた。32.1分で溶出しているピークを、標準物質を用いる4−ラクツロース(Sigma−Aldrich、Schnelldorf、Germany)と割り当てることができた。加えて、34.5分での、13C標識フルクトースに関する366.1086m/zの検出質量(図4(A))および非標識フルクトースを用いる365.1054m/zの検出質量(図4(B))を、ラクツロース異性体であるフルクトース含有二糖(即ちフルクトース分子のトランスガラクトシル化の結果)に割り当てることができた。
実施例3−ラクトスクロースおよびガラクトシル化オリゴマーの生成
材料&方法
約4.6%(重量/体積)のラクトース、3.6%(重量/体積)のタンパク質および0.5%(重量/体積)の脂肪からなる半脱脂ミルク(Minimaelk;Arla foods、Viby、Denmark)に、完全に13C標識されたスクロース−13C12(Sigma−Aldrich、Schnelldorf、Germany;分子量:354.21g/mol)または非標識スクロース[6%(重量/体積);Sigma−Aldrich、Schnelldorf、Germany;分子量:342.3g/mol]を補充した。実施例4で開示されている(国際公開第2013/182626号パンフレットにおいて「BIF 917」としても開示されている)β−ガラクトシダーゼを添加して、ラクトスクロースの生成を開始した。ミルク1リットル当たり2,625LAU単位の全活性を添加し、これはミルク1ml当たり酵素1.04mgに相当する。最大で6時間にわたりEppendorf Thermomixer(Eppendorf、Hamburg、Germany)中において50℃でラクトスクロースの生成を実施し、0時間後に、2時間後に、4時間後におよび6時間後に試料を採取した。このミルクを、予め加熱した水(95℃)で20倍に希釈して10分にわたり保持することにより、反応を停止させた。
試料および標準物質を4部のアセトニトリル(Sigma−Aldrich、Schnelldorf、Germany)で希釈して遠心分離した後、注入バイアルに移した。生成された(オリゴ−ガラクト)−ラクトスクロースの検出および分析を、先に説明したように一部を改変して実行した(Hernandez−Hernandez,Calvillo et al.Journal of Chromatography A,2012,1220 57−67)。
希釈した溶液を、プレカラムを有するWaters BEH Amide 2.1×150、1.7μm(130Å)(Waters、Hedehusene、Denmark)カラムおよび移動相アセトニトリル/水/25%NH4OH(水性)800/200/1(体積/体積/体積)(A)およびアセトニトリル/水/25%NH4OH(水性)200/800/1(体積/体積/体積)を使用する親水性相互作用クロマトグラフィーにより分析した。流量が350μl*分−1であるAgilent 1290 UPLC(Agilent、Waldbronn、Germany)で液体クロマトグラフィーを実施した。注入体積は10μlであった。カラムオーブン温度は35℃であった。勾配は下記の通りであった:0%B(0分)、50%B(15分)、サイクル時間30分。エレクトロスプレーポジティブモードによりBruker maXis QTOF−MSで検出を実施した。
下記の標準物質を使用した(高級のラクトスクロースオリゴマーの保持時間の予測を可能にするためにカラムでの反応時間を較正すべくマルトオリゴース(maltooligose)を使用する)。
マルトトリオースバッチ017K0679 Opb:T108 Kemikalieskab 5(Hylde 3)
マルトテトラオースバッチ084K1750 Opb:T108 Kemikalieskab 5(Hylde 3)
マルトペンタオースバッチ110M1442 Opb:T108 Kemikalieskab 5(Hylde 3)
マルトヘキサオースバッチ048K1472 Opb:T108 Kemikalieskab 5(Hylde 3)
マルトヘプタオースバッチ029K1194 Opb:T108 Kemikalieskab 5(Hylde 3)
スクロースバッチK29959887 204 Opb:T216
グルコース一水和物バッチ325 K19714474 Opb:T108 Kemikalieskab 5(Hylde 2)
「ラクトスクロース」(即ち4−O−β−D−ガラクトシルスクロース;Carbosynth)バッチOG448541401 Opb:T216
ストック溶液を組み合わせて希釈し、各成分の濃度が約100μg/mlである試験溶液を形成した。完全に13C標識された試料(スクロースの完全な溶解を確実なものとするために15〜30分後にサンプリングした)をラクトスクロースの100μg/ml標準溶液と1:1の比で混合することにより、添加溶液を形成した。
結果
ヘキソーストリオース(Hex−DP3)ラクトスクロース(Gal−Glu−Fru)の100μg/ml参照試料の抽出イオンクロマトグラム(EIC)を図5での上部トレースに示す。
EICは、±0.005の許容誤差での[M+NH4]+および[2M+NH4]+の付加物の正確なモノアイソトピック質量に基づく(図5)。同様に、形成された[M+NH4]+13C12標識ヘキソースDP3〜6オリゴマー(即ち13C12−Hex−DP3〜6)のEICをトレースに示す(図5)。観測した質量は、±0.005の許容誤差で理論質量に対応する。各m/zトレース、例えば13C12−Hex−DP4に関するm/zトレースは、いくつかの異性体を示す一群のピークを示した。このピーク群は、HILICでの炭水化物オリゴマーの相同範囲に関して予想したように溶出し、保持時間はHex−DPの数と共に増加した。従って、クロマトグラムは、2時間の生体内変換後の標識試料中での13C12−Hex DP3〜6オリゴマーの形成および存在を示す。
分析の前に、試料を不活性化して10倍希釈した。本研究は定性的ではあるが、ラクトスクロース標準溶液は約5×105のピーク高さで100μg/mlの公称濃度を有した。13C12−Hex−DP3〜4のピーク高さは同じ範囲内に現れており、このことは、形成された標識オリゴマーの濃度は0.1mg/ml(注入)の範囲内であることができ、希釈前は生体内変換混合物中で約1mg/mlの範囲内であることができることを示す。13C12−Hex−DP5および13C12−Hex−DP6は容易に検出され、相対応答は13C12−Hex−DP3〜4レベルの1/10および1/100であった。
図2で概説したクロマトグラフEICトレースを組み合わせることにより、生体内変換反応(t=0、2、4および6時間)の場合の標識物質の相対的形成を、図6に示すように概説することができる。
生体内変換により、約t=0.25〜0.5時間に実際に対応する第1サンプリング点(t=0)で既に有意な量の13C12−Hex−DP3(即ち、完全に13C標識されたラクトスクロース)が最初に得られた。2時間後、生体内変換により、より多量のDP313C12−Hex−DP3およびDP313C12−Hex−DP3のより多くの異性体が得られたが、特に有利な量の高級オリゴマーが得られた。13C12−Hex−DP3オリゴマーと比べて高次のオリゴマーの量は6時間の生体内変換後に減少するように見えたが、13C12−Hex−DP3異性体(特に6.0、7.0および7.5分でのピーク)は増加した。
結論
13C12−標識スクロースを使用する生体内変換プロセスにより、13C12−Hex−DP3〜DP6オリゴマーが形成され、即ちGal−Glu−Fru(即ちラクトスクロース)、Gal−Gal−Glu−Fru(即ちガラクトシル−ラクトスクロース)、Gal−Gal−Gal−Glu−Fru(即ちジガラクソシル−ラクトスクロース)およびGal−Gal−Gal−Gal−Glu−Fru(即ちトリガラクトシル−ラクトスクロース)が形成された。形成された物質の大部分は13C12−Hex−DP3〜4オリゴマーであった。13C12−Hex−DP3オリゴマーと比べて高次の存在は2時間の反応まで増加し、次いで経時的に低下した。
従って、この実験は、アクセプター分子としてのスクロースに対する、用いたβ−ガラクトシダーゼの転移反応中に、ラクトスクロース(ガラクトース−グルコース−フルクトース;Gal−Glu−Fru;DP3)、ガラクトシル−ラクトスクロース(Gal−Gal−Glu−Fru;DP4)およびオリゴ−ガラクトシル−ラクトスクロース(Galn−Glu−Fru、nは2または3)が生成されていることを裏付ける。
実施例4−ポリペプチドの生成およびLAU活性の測定
方法1
ポリペプチドの生成
枯草菌(Bacillus subtilis))内での発現のために最適化されたコドンを備える(ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)全長(1,752残基)遺伝子をコードするために設計された合成遺伝子は、GeneART(Regensburg,Germany)配列番号8から購入した。
ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)切断突然変異体は、合成遺伝子の選択した領域の特異的増幅を許容したリバースプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応を使用して構築した。
切断突然変異体および対応するリバースプライマーについての配列番号は、下記の表2に指示した。
合成遺伝子は、固有の制限部位SpeIおよびPacIを使用してpBNspe枯草菌(Bacillus subtilis)発現ベクター内にクローン化し(図1)、単離プラスミドを枯草菌(Bacillus subtilis)菌株BG3594内に形質転換させた。形質転換体は、選択として10μg/mLのネオマイシンを含有するLBプレート上で再画線培養した。
前培養は、10μg/mLのネオマイシンを含有するLB培地中に準備し、37℃および180rpmで振とうしながら7時間にわたり培養した。この500μLの前培養を使用して、33℃および180rpmで浸透しながら68時間にわたり増殖させるために10μg/mLのネオマイシンを含有する50mLのGrant’s改変培地を接種した。
細胞は、培養培地への1mg/mLのリゾチーム(Sigma−Aldrich)および10U/mLのベンゾナーゼ(Merck)最終濃度の直接的添加によって溶解させ、33℃、180rpmで1時間にわたりインキュベートした。溶解物は、20分間にわたる10,000×gでの遠心分離によって取り出し、引き続いて滅菌濾過した。
Grant’s改変培地は、下記の指示書にしたがって調製した:
PART I(オートクレーブ)
ソイトン 10g
1L当たり500mLにする
PART II
1MのK2HPO4 3mL
グルコース 75g
尿素 3.6g
Grant’s 10×のMOPS 100mL
1L当たり400mLにする
PART I(2重量/重量%のソイトン)を調製し、121℃で25分間にわたりオートクレーブ滅菌する。
PART IIを調製し、PART 1と混合し、pHは、HCl/NaOHを用いてpHを7.3に調整した。体積を全量にして、0.22μmのPESフィルターに通して滅菌した。
10×のMOPSバッファーは、下記の指示書にしたがって調製した:
83.72g トリシン
7.17gのKOHペレット
12gのNaCl
29.22g 0.276MのK2SO4
10mLの0.528MのMgCl2
10mLのGrant’s微量栄養素 100×
水を用いておよそ900mLにして、溶解させる。KOHを用いてpHを7.4に調整し、1Lまで満たし、この溶液を0.2μmのPESフィルターに通して滅菌濾過する。
100×の微量栄養素は、下記の指示書にしたがって調製した:
クエン酸ナトリウム2H2O 1.47g
CaCl2.2H2O1.47g
FeSO4.7H2O0.4g
MnSO4.H2O0.1g
ZnSO4.H2O0.1g
CuCl2.2H2O0.05g
CoCl2.6H2O0.1g
Na2MoO4.2H2O0.1g
溶解させて、水を用いて体積を1Lに調整する。滅菌は、0.2μmのPESフィルターに通して実施した。4℃で光線を回避して貯蔵した。
方法2
精製および酵素の調製
濾過した酵素単離体は、10kDaのMWカットオフ値を備えるVivaSpin超濾過装置(Vivaspin 20、Sartorius、Lot番号12VS2004)を使用して濃縮し、この濃縮物はPD10脱塩化ラム(GE healthcare、Lot番号6284601)に装填し、20mMのTris−HCl(pH8.6)中で溶離させた。クロマトグラフィーは、Akta FPLCシステム(GE Healthcare)上で手動で実施した。およそ20mgのタンパク質を含有する4mLの脱塩サンプルは、1mL/分の流量で20mMのTris−HCl(pH8.6)を用いて平衡させた2mLのHyperQカラム(HyperCel(商標)Q sorbent)上に装填した。カラムは、30CV(カラム容積)洗浄バッファーを用いて完全に洗浄し、結合β−ガラクトシダーゼは100CV長勾配を用いて20mMのTris−HCl(pH8.6)、250mMのNaCl中に溶出させた。カラム上の残留不純物は、20mMのTris−HCl(pH8.6)、500mMのNaClを用いて一工程溶出により除去した。貫流液および溶離液中のタンパク質をβ−ガラクトシダーゼ活性についてSDS−PAGEによって分析した。
SDS−PAGEゲルは、Invitrogen NuPage(登録商標)Novex 4−12%のBis−Trisゲル、1.0mm、10ウエル(製品番号NP0321box)、See−Blue(登録商標)Plus2予備染色標準物質(製品番号LC5925)およびNuPAGE(登録商標)MES SDSランニングバッファー(製品番号NP0002)を用いて製造業者のプロトコルにしたがってランした。ゲルは、Simply Blue Safestain(Invitrogen、製品番号LC6060)を用いて染色した(図2)。
方法3
β−ガラクトシダーゼ活性の測定
酵素活性は、市販で入手できる基質2−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)(Sigma N1127)を使用して測定した。
ONPG(水なし)アクセプター
100mMのKXH3−XPO4(リン酸バッファー)(pH6.0)
12.3mMのONPG
アクセプターが補給されたONPG
100mMのKXH3−XPO4(リン酸バッファー)(pH6.0)
20mMのセロビオース
12.3mMのONPG
停止液:10%のNa2CO3
精製酵素の10μLの希釈系列は、アクセプターを含む、または含まない90μLのONPGバッファーを含有するマイクロタイタープレートのウエル内に加えた。サンプルを混合し、10分間にわたり37℃でインキュベートし、引き続いて100μLの停止液を各ウエルに加えて反応を終了させた。吸光度測定値は、Softmaxソフトウエアパッケージによって制御されるMolecular Device SpectraMaxプレートリーダー上で420nmで記録した。
トランスガラクトシル化活性の比率は、下記のように計算した:
吸光度が0.5〜1.0の間にあった希釈液に対して、トランスガラクトシル化活性の比率=(Abs420+セロビオース/Abs420−セロビオース)*100(図3)。
方法4
LAU活性の決定
原理:
本アッセイ法の原理は、ラクターゼが37℃で2−o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)を2−o−ニトロフェノール(ONP)およびガラクトースに加水分解することにある。反応は炭酸ナトリウムを用いて停止させ、遊離したONPを420nmで分光光度計または比色計で測定する。
試薬:
MESバッファー(pH6.4)(100mMのMES(pH6.4)、10mMのCaCl2):19.52gのMES水和物(Mw:195.2g/モル、Sigma−Aldrich、製品番号M8250−250G)および1.470gのCaCl2二水和物(Mw:147.01g/モル、Sigma−Aldrich)を1,000mLのddH2O中に溶解させ、10MのNaOHによってpHを6.4に調整する。この溶液を0.2μmフィルターに通して濾過し、1カ月間まで4℃で貯蔵する。ONPG基質(pH6.4)(12.28mMのONPG、100mMのMES(pH6.4)、10mMのCaCl2):0.370gの2−o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG、Mw:301.55g/モル、Sigma−Aldrich、製品番号N1127)を100mLのMESバッファー(pH6.4)中に溶解させ、4℃の暗所で7日間まで貯蔵する。停止試薬(10%のNa2CO3):20.0gのNa2CO3を200mLのddH2O中に溶解させ、この溶液を0.2μmのフィルターに通して濾過し、室温で1カ月間まで貯蔵する。
手順:
酵素サンプルの希釈系列をMESバッファー(pH6.4)中で作成し、10μLの各サンプル希釈液を、90μLのONPG基質(pH6.4)を含有するマイクロタイタープレート(96ウエルフォーマット)に移した。サンプルを混合し、5分間にわたり37℃でサーモミキサー(Comfort Thermomixer、Eppendorf)を使用してインキュベートし、引き続いて100μLの停止液を各ウエルに加えて反応を終了させた。酵素サンプルの代わりにMESバッファー(pH6.4)を使用してブランクを構築した。420nmでのブランクに比較した吸光度の増加をELISAリーダー(SpectraMaxプレートリーダー、Molecular Device)で測定した。
酵素活性の計算:
MESバッファー(pH6.4)中の2−o−ニトロフェノール(Sigma−aldrich、製品番号33444−25G)のモル吸光係数を決定した(0.5998×10
−6M
−1×cm
−1)。1単位(U)のラクターゼ活性(LAU)は、1分当たり1モルのONPGの加水分解に対応すると定義された。200μLの全反応体積を備えるマイクロタイタープレート(0.52cmの光路)を使用すると、酵素サンプル1mL当たりのラクターゼ活性は、下記の方程式を使用して計算することができる:
本明細書に配列番号1として示したBIF917についての比活性の計算:
BIF917濃度の決定:
標的酵素(BIF917)および切断生成物の定量は、Criterion Stain free SDS−PAGEシステム(BioRad)を使用して決定した。任意のkDのStain freeプレキャストゲル、4〜20%のTris−HCl、18ウエル(Comb、製品345−0418)をServa Tris−グリシン/SDSバッファー(BioRad、製品番号42529)とともに使用した。ゲルは、以下のパラメーターを用いてランした:200V、120mA、25W、50分間。BSA(1.43mg/ml)(Sigma−Aldrich、製品番号500−0007)をタンパク質標準物質として使用し、トリプトファン含量の相関を伴うバンド強度を用いた定量のためにはStain Free Imager(BioRad)をImage Labソフトウエア(BioRad)とともに使用した。BIF917の特異的LAU活性は、2つの独立発酵の(方法1に記載したように)粗発酵素(限外濾過濃縮液)から5つの異なる希釈液を使用して決定した(表3を参照されたい)。BIF917の比活性は21.3LAU/mgまたは0.0213LAU/ppmであることが分かった。
上記の明細書に言及した全刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の記載した方法およびシステムの様々な修飾および変動は、本発明の範囲および精神から逸脱せずに、当業者には明白になるであろう。本発明は特定の好ましい実施形態と結び付けて記載してきたが、本明細書で要求した本発明はそのような特定の実施形態に過度に限定すべきではないと理解すべきである。実際に、化学、生化学、生物学または関連分野の当業者には明白である、本発明を実施するための本明細書に記載した様式の様々な修飾は、下記の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが企図されている。
配列表
>配列番号16 BIF917のためのリバースプライマー
GCGCTTAATTAATTATGTTTTTTCTGTGCTTGTTC
>配列番号17 BIF995のためのリバースプライマー
GCGCTTAATTAATTACAGTGCGCCAATTTCATCAATCA
>配列番号18 BIF1068のためのリバースプライマー
GCGCTTAATTAATTATTGAACTCTAATTGTCGCTG
>配列番号19 BIF1241のためのリバースプライマー
GCGCTTAATTAATTATGTCGCTGTTTTCAGTTCAAT
>配列番号20 BIF1326のためのリバースプライマー
GCGCTTAATTAATTAAAATTCTTGTTCTGTGCCCA
>配列番号21 BIF1478のためのリバースプライマー
GCGCTTAATTAATTATCTCAGTCTAATTTCGCTTGCGC
>配列番号23 ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)DSM20215由来の細胞外ラクターゼのシグナル配列
Vrskklwisllfalaliftmafgstssaqa