以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯機1の縦断面右側面図である。以下では、図1における上下方向を洗濯機1の上下方向Zといい、図1における左右方向を洗濯機1の前後方向Yといい、図1の紙面に直交する方向を洗濯機1の左右方向Xという。上下方向Zは、図1の上側に相当する上側Z1と、図1の下側に相当する下側Z2とを含む。前後方向Yは、図1の左側に相当する前側Y1と、図1の右側に相当する後側Y2とを含む。左右方向Xは、図1の紙面奥側に相当する左側X1と、図1の紙面手前側に相当する右側X2とを含む。左右方向Xおよび前後方向Yは、横方向に含まれる。
洗濯機1のサイズは、一般的な家庭用洗濯機と同程度の大きさであってもよいし、例えば卓上に設置できる程度に小型であってもよい。洗濯機1は、上下方向Zに延びる中心軸線Jを有する略円筒状の全体形状を有する。以下では、中心軸線Jまわりの周方向を周方向Qといい、中心軸線Jを基準とした径方向を径方向Rという。周方向Qおよび径方向Rは、横方向つまり水平方向に含まれる。径方向Rのうち、中心軸線Jに近づく方向を径方向内側R1といい、中心軸線Jから離れる方向を径方向外側R2という。洗濯機1は、洗濯機本体2と、扉3と、脱水槽4と、回転部材5とを含む。以下では、洗濯機本体2、扉3、脱水槽4および回転部材5を、この順番で説明する。
洗濯機本体2は、有底筒状に形成される。洗濯機本体2は、中心軸線Jに一致した中心軸線を有する円筒状の円周壁10と、円周壁10の外周面の周上1箇所に設けられた延設部11と、円周壁10の下端縁に同軸状で接続された円盤状の底壁12とを含む。円周壁10によって径方向外側R2から取り囲まれて底壁12によって下側Z2から塞がれた空間は、洗濯機本体2に形成された収容空間2Aである。収容空間2Aは、中心軸線Jに一致した中心軸線を有する円筒状に形成される。
円周壁10の上端部によって取り囲まれた領域は、洗濯機本体2の上端に位置する着脱口2Bを構成する。着脱口2Bは、洗濯機本体2の収容空間2Aを上側Z1へ開放する。延設部11は、円周壁10における後側Y2の外周面に設けられて後側Y2へ突出して上下方向Zに延びる柱状に形成される。
底壁12の上面部は、中心軸線Jの周囲に位置する中央部12Aと、中央部12Aを径方向外側R2から取り囲んで中央部12Aよりも低い位置にある外周部12Bと、径方向Rにおける中央部12Aと外周部12Bとの間に位置する途中部12Cとを含む。中央部12A、外周部12Bおよび途中部12Cは、周方向Qに延びる円環状に形成される。中央部12Aおよび外周部12Bは、横方向に沿ってほぼ平坦に延びるが、途中部12Cは、径方向外側R2に向かうにつれて下側Z2にずれるように横方向に対して傾斜し、中央部12Aと外周縁と外周部12Bの内周縁との間に架設される。中央部12Aには、中心軸線Jに一致した中心軸線を有する円形状の開口部12Dと、開口部12Dを縁取りつつ上側Z1へ突出した円環状のフランジ部12Eとが形成される。
このような上面部を有する底壁12は、中心軸線Jに近づくにつれて上下方向Zに厚くなるが、中空体である。底壁12は、固定部13と、支持部14と、駆動軸15と、モータ16と、排水路17と、排水機構18とを内蔵する。
固定部13は、周方向Qに沿って延びる円環状に形成され、底壁12の上面部における中央部12Aの真下において底壁12に固定される。固定部13を底壁12の一部とみなしてもよい。固定部13の下面部には、固定部13の内周面を縁取りつつ下側Z2に突出した円筒状の筒部13Aが形成される。
支持部14は、中心軸線Jに一致した中心軸線を有する円盤状の円盤部14Aと、円盤部14Aの下面部の中心から下側Z2に突出した円筒状の筒部14Bとを一体的に含む。円盤部14Aの上面部の中央部には、下側Z2へ延びる貫通穴14Cが形成される。筒部14Bの内部空間は、貫通穴14Cの一部である。
支持部14では、円盤部14Aが固定部13の内側空間に上側Z1から嵌め込まれて、筒部14Bが固定部13の内側を通って、筒部14Bの下端部が固定部13の筒部13Aの内部から下側Z2にはみ出した状態にある。支持部14は、筒部13Aと筒部14Bとの間に介挿された軸受19によって回転自在に支持される。軸受19よりも上側Z1における固定部13と筒部14Bとの隙間は、オイルシールなどの環状のシール部材20によって塞がれる。円盤部14Aと固定部13との隙間は、別のシール部材21によって塞がれる。円盤部14Aの上面部は、底壁12の上面部の中央部12Aの開口部12Dから上側Z1へ露出される。
駆動軸15は、中心軸線Jに一致した中心軸を有する円柱状に形成される。駆動軸15の上端面には、下側Z2へ凹んだ凹状の受入部15Aが形成される。横方向に沿って切断したときの受入部15Aの断面は、六角形などの略多角形状である(後述する図2参照)。駆動軸15は、支持部14の貫通穴14Cに挿通される。駆動軸15の上端面は、支持部14の円盤部14Aの上面部において貫通穴14Cから上側Z1に露出して配置され、駆動軸15の下端部は、支持部14の筒部14Bから下側Z2にはみ出して配置される。駆動軸15は、駆動軸15と支持部14との間に介挿された軸受22によって回転自在に支持される。円盤部14Aと駆動軸15の上端部との隙間は、オイルシールなどの環状のシール部材23によって塞がれる。
モータ16は、固定部13に対して下側Z2から固定される。洗濯機本体2における任意の位置には、マイコンピュータなどによって構成された制御部24が設けられ、モータ16は、制御部24によって駆動が制御されることによって駆動力を発生する。モータ16が発生した駆動力は、支持部14および駆動軸15のそれぞれに対して選択的に伝達される。これにより、支持部14および駆動軸15のそれぞれが、中心軸線Jまわりの周方向Qに沿って別々に駆動回転される。
排水路17は、底壁12内で延びる。排水路17の一端は、出口17Aとして、底壁12の上面部における外周部12Bの周上1箇所に配置され(図2参照)、排水路17の他端(図示せず)は、洗濯機本体2の外に引き出される。厳密には、出口17Aは、底壁12の上面部における外周部12Bと途中部12Cとの境界において外周部12Bと途中部12Cとに跨って形成され、洗濯機本体2の収容空間2Aに対して下側Z2から接続される。底壁12の下面部には、洗濯機1を床などの載置面に載置したときに載置面に接触する脚部25が設けられる。脚部25は、延設部11の下面部にも設けられてもよい。
排水機構18は、上下方向Zに延びるピン26と、ソレノイドなどによって構成されてピン26を上下方向Zにスライドさせるアクチュエータ27とを含む。ピン26は、底壁12の上面部における外周部12Bの周上1箇所、詳しくは、周方向Qにおいて出口17Aから180度ずれた後側Y2の位置に配置される(図2参照)。ピン26における上側Z1の先端部26Aは、底壁12から上側Z1に露出される。ピン26は、アクチュエータ27の駆動に応じて、上位置(図1参照)と上位置よりも下側Z2の下位置(図示せず)との間で上下方向Zにスライド可能である。アクチュエータ27の駆動は、制御部24によって制御される。ピン26は、通常では下位置に配置される。
次に、扉3について説明する。扉3は、洗濯機本体2の着脱口2Bを開閉する。扉3は、上下方向Zに厚みを有する円盤状に形成された扉本体部30と、扉本体部30における後側Y2の外周面から後側Y2へ突出した扉連結部31とを一体的に含む。扉本体部30の外径は、洗濯機本体2の円周壁10の外径とほぼ同じである。扉連結部31は、扉本体部30の周方向に対する接線方向に延びる連結軸32を介して延設部11の上端部に連結される。これにより、扉3は、洗濯機本体2によって支持される。扉3は、水平になった閉位置(図1参照)と、略垂直になった開位置(図示せず)との間において連結軸32まわりに回動可能である。
閉位置の扉3では、扉本体部30が、洗濯機本体2と同軸状に配置され、洗濯機本体2の着脱口2Bを上側Z1から閉じることよって、洗濯機本体2の収容空間2Aを密閉する。開位置の扉3では、扉本体部30が、着脱口2Bから後側Y2にずれるので、着脱口2Bの真上には扉3が存在せず、着脱口2Bの全域が上側Z1へ開放される。
次に、脱水槽4について説明する。図3は、脱水槽4の縦断面右側面図である。脱水槽4は、有底円筒状に形成される。脱水槽4は、中心軸線Jに一致した中心軸線を有する円筒状の円周壁35と、円周壁35の上端部に同軸状で取り付けられる円環状のリング部材36と、リング部材36に取り付けられた取っ手37と、円周壁35の下端縁に下側Z2から同軸状で接続された円盤状の底壁38とを含む。
円周壁35は、例えば金属製である。径方向Rにおける円周壁35の厚みは、上下方向Zおよび周方向Qのほぼ全域にわたって一定であって、円周壁35は、上側Z1ヘ向かうにつれて縮径する。そのため、円周壁35の外周面35Aおよび内周面35Bは、円周壁35における上端35Cから下端35Dへ向けて次第に拡径するように形成される。上下方向Zに対する外周面35Aおよび内周面35Bのそれぞれの傾斜角度は、少なくとも1度以上であるが、数度程度の小さな値である。なお、この実施形態では、少なくとも内周面35Bが上端35Cから下端35Dへ向けて次第に拡径するように形成されればよく、外周面35Aが垂直に延びてもよい。
円周壁35の外周面35Aの下端部には、この下端部を縁取りつつ周方向Qに延びる円環状のフランジ部材40が一体的に設けられる。フランジ部材40は、例えば樹脂製である。フランジ部材40における下部分40Aは、フランジ部材40における上部分40Bよりも大径であって、周方向Qの全域にわたって円周壁35の下端35Dよりも下側Z2へはみ出して配置される。フランジ部材40において下部分40Aと上部分40Bとの境界部分は、径方向Rに延びる横部分40Cである。このようなフランジ部材40の周上1箇所で切断したときの断面は、略クランク状に形成される。
円周壁35の内周面35Bの下端部には、この下端部を縁取りつつ周方向Qに延びる円環状の隙間埋め部材41が取り付けられる。隙間埋め部材41は、例えば樹脂製である。隙間埋め部材41は、内周面35Bに沿って上下に延びる縦部分41Aと、縦部分41Aの下端部から径方向内側R1に突出した横部分41Bとを一体的に含む。そのため、周上1箇所で切断したときの隙間埋め部材41の断面は、略L字状に形成される。縦部分41Aの下端は、内周面35Bの下端35Dと上下方向Zにおいてほぼ同じ位置にある。隙間埋め部材41には、縦部分41Aを上下方向Zに貫通した複数の切欠き41Cが、周方向Qに並んで形成される。各切欠き41Cでは、上下方向Zにおける全域が、径方向外側R2の内周面35Bへ向けて開放される。
リング部材36は、例えば樹脂製である。リング部材36は、円周壁35の外周面35Aの上端部を縁取った下部分36Aと、円周壁35の内周面35Bから上側Z1および径方向内側R1の両方にはみ出た上部分36Bとを一体的に含む。そのため、周上1箇所で切断したときのリング部材36の断面は、略クランク状に形成される。円周壁35の内周面を貫通したボルトなどの締結部材42が下部分36Aに組み付けられることによって、リング部材36は、円周壁35の上端部に固定され、脱水槽4の一部をなす。上部分36Bによって取り囲まれた領域は、脱水槽4の上端に位置する出入口4Aを構成する。
リング部材36において例えば周方向Qに180度ずれた2箇所には、把持部43が一体的に設けられる。各把持部43は、リング部材36の上部分36Bの一部として周方向Qに延びるブロック状に形成される。各把持部43において、径方向Rにおける両側面は、凹湾曲した曲面状に形成される(後述する図7参照)。リング部材36には、下部分36Aの上面と上部分36Bの外周面とによって段差36Cが形成される。段差36Cは、2つの把持部43の間で周方向Qに延びる円弧状に形成され、中心軸線Jを挟んで2つ存在する(図7参照)。各段差36Cは、径方向外側R2および上側Z1に開放される。
取っ手37は、針金などによって周方向Qに延びる円弧状に形成され、各段差36Cに1つずつ存在する。各取っ手37の両端部37Aは、径方向内側R1に折り曲げられる。リング部材36の上部分36Bにおいて各取っ手37の両端部37Aと周方向Qで一致する位置には、径方向Rに延びる貫通穴36Dが1つずつ形成され、各取っ手37の両端部37Aは、周方向Qで一致する貫通穴36Dに径方向外側R2から1つずつ挿通される。これにより、各取っ手37は、リング部材36によって支持され、両端部37Aを中心として回動可能である。詳しくは、各取っ手37は、図3に示すように水平になって段差36Cに収納された収納位置と、段差36Cから上側Z1へ引き出されて略垂直になった引出位置(図示せず)との間で回動する。
底壁38は、例えば樹脂製であり、上下方向Zに一致した板厚方向を有する。底壁38は、中心軸線Jの周囲に位置する中央部38Aと、中央部38Aを径方向外側R2から取り囲んで中央部38Aよりも低い位置にある外周部38Bと、径方向Rにおける中央部38Aと外周部38Bとの間に位置する途中部38Cとを一体的に含む。中央部38A、外周部38Bおよび途中部38Cは、周方向Qに延びる環状に形成され、ほぼ同じ板厚を有する。中央部38Aおよび外周部38Bは、横方向に沿って平坦に延びるが、途中部38Cは、径方向内側R1に向かうにつれて上側Z1にずれるように横方向に対して傾斜し、中央部38Aと外周縁と外周部38Bの内周縁との間に架設される。そのため、中央部38Aおよび外周部38Bのそれぞれの上面部は、横方向に沿って平坦であるが、途中部38Cの上面部は、横方向に対して傾斜する。
中央部38Aの中心には、中央部38Aを上下方向Zに貫通した円形状の貫通穴38Dが形成される。中央部38Aにおいて貫通穴38Dを縁取った内周面38Eは、下側Z2へ向かうにつれて縮径するテーパ状に形成される。中央部38Aには、その下面部の外周部から下側Z2へ突出して貫通穴38Dを取り囲んだ円筒状の筒部38Fが一体的に形成される。
外周部38Bの周上1箇所には、外周部38Bを上下方向Zに貫通した円形状の排水口38Gが形成される。外周部38Bにおいて排水口38Gを縁取った内周面38Hは、下側Z2へ向かうにつれて縮径するテーパ状に形成される。そのため、排水口38Gは、下側Z2へ向かうにつれて縮径した略円錐台形状に形成される。外周部38Bの下面部には、排水口38Gを取り囲みつつ下側Z2へ突出した円筒状のガイド部38Iが形成される。外周部38Bには、その外周縁を全域にわたって縁取って上側Z1へ延びる外縁部38Jが一体的に設けられる。外縁部38Jは、円周壁35のフランジ部材40の下部分40Aに対して径方向内側R1から接触した状態にある。ボルトなどの締結部材44が、径方向外側R2から下部分40Aを貫通して外周部38Bに組み付けられる。これによって、底壁38は、円周壁35に固定される。円周壁35によって径方向外側R2から取り囲まれて底壁38によって下側Z2から塞がれた空間は、脱水槽4の内部空間4Bである。内部空間4Bは、出入口4Aから上側Z1に開放される。円周壁35の内周面35Bが下側Z2へ向かうにつれて次第に拡径することに応じて、内部空間4Bは、下側Z2へ向かうにつれて径方向外側R2へ徐々に広くなる。内部空間4Bには洗濯物が収容される。
底壁38の平面図である図4を参照して、底壁38では、中央部38Aおよび途中部38Cは、中心軸線Jと一致した中心軸線を有して円周壁35の内周面35Bの上端35C(1点鎖線の円を参照)および下端35D(破線の円を参照)と同軸状に配置された真円の環状に形成される。一方、外周部38Bおよびその外縁部38Jは、厳密には、中心軸線Jと排水口38Gの中心とを通る長軸L(2点鎖線を参照)を有する略楕円の環状に形成され、長軸Lの中点つまり外周部38Bの中心Kは、中心軸線Jと一致せず、中心軸線Jよりも排水口38G側にずれて配置される。なお、このような略楕円の輪郭を有する外周部38Bの外縁部38Jを取り囲んだフランジ部材40の下部分40A(図3参照)も、平面視において外縁部38Jと一致した略楕円の環状に形成される。
略楕円の環状の外周部38Bにおける長軸Lの長さL1は、下端35Dにおける円周壁35の内周面35Bの直径D1よりも大きい。そして、長軸Lにおいて排水口38G側とは反対側の端L2は、平面視において、下端35Dの周上1箇所とほぼ一致して配置される。そのため、底壁38において内周面35Bの下端35Dよりも下側Z2の領域には、図4においてハッチングを付して示すように、平面視において下端35Dに沿って延びる略環状に形成されて下端35Dよりも径方向外側R2へ窪んだ凹部38Kが形成される。凹部38Kは、フランジ部材40における横部分40C(図3参照)と外周部38Bとによって上下方向Zから挟まれて、外周部38Bの外縁部38Jによって径方向外側R2から塞がれた空間であって、脱水槽4の内部空間4Bの下端部を構成する。内部空間4Bは、内周面35Bの上端35Cから下端35Dまでの範囲では、前述したように下側Z2へ向かうにつれて径方向外側R2へ徐々に広くなり、下端35Dよりも下側Z2の下端部では、凹部38Kによって径方向外側Z2へ一段広がるように形成される(図3参照)。
凹部38Kは、底壁38において下端35Dに下側Z2から隣接し、内周面35Bよりも径方向内側R1へ突出しない非突出部の一例である。凹部38Kは、周方向Qにおいて排水口38Gに近い領域ほど径方向外側R2へ大きく、つまり深くなるように形成される。そのため、凹部38Kにおいて周方向Qにおいて排水口38Gと一致する排水口領域38Lが、径方向外側R2へ最も大きい。一方、凹部38Kは、周方向Qにおいて排水口38Gから遠ざかって長軸Lの端L2に近づくほど径方向Rにおいて小さく、つまり浅くなる。凹部38Kは、端L2において途切れてもよく、この場合、端L2における外周部38Bの外縁部38Jの内周面38Mは、前述した非突出部の別の例として、下端35Dに連続して内周面35Bと面一に配置される(図3参照)。
排水口38Gの少なくとも一部は、平面視において内周面35Bの下端35Dと重なるように配置される。そのため、排水口38Gの一部は、平面視で凹部38Kの排水口領域38Lと重なって、内周面35Bの下端35Dよりも径方向外側R2に位置する。または、排水口38Gにおいてどの部分も下端35Dよりも径方向外側R2に位置せず、排水口38Gの端縁が径方向Rにおいて下端35Dと同じ位置にあってもよい。
図3を参照して、脱水槽4は、底壁38に取り付けられる支持軸50、連結部材51、開閉機構52および脚部材53をさらに含む。支持軸50は、金属製であり、中心軸線Jに一致した中心軸線を有して上下方向Zに延びる柱状に形成される。支持軸50の下端部には下側係合部50Aが形成され、支持軸50の上端部には上側係合部50Bが形成される。上側係合部50Bおよび下側係合部50Aのそれぞれを横方向に沿って切断したときの断面は、六角形などの略多角形状である。支持軸50において下側係合部50Aと上側係合部50Bとの間の途中部50Cは、周方向Qに延びる円周状の外周面を有する。途中部50Cは、上側係合部50Bおよび下側係合部50Aよりも太い。途中部50Cの外周面の上端部には、周方向Qに延びる環状の溝50Dが1つ形成される。途中部50Cの外周面において溝50Dよりも下側Z2には、径方向外側R2へ張り出してから下側Z2に折れ曲がった円環状のフランジ部50Eが一体形成される。
支持軸50は、底壁38の中央部38Aにおける貫通穴38Dに挿通されることによって、中心軸線Jにおいて底壁38を貫通する。支持軸50では、下側係合部50Aが中央部38Aよりも下側Z2に突出し、上側係合部50Bが中央部38Aよりも上側Z1に突出する。また、支持軸50では、溝50Dが、貫通穴38Dとほぼ同じ高さ位置にあり、フランジ部50Eが、中央部38Aにおける下側Z2の筒部38Fとほぼ同じ高さ位置にあって、筒部38Fによって径方向外側R2から非接触で取り囲まれた状態にある。
連結部材51は、金属製である。連結部材51は、中心軸線Jに一致した中心軸線と、上下方向Zに一致した板厚方向とを有する円盤状に形成される。連結部材51の外径は、筒部38Fの外径とほぼ同じである。連結部材51の中心には、連結部材51を上下方向Zに貫通した貫通穴51Aが形成される。連結部材51の上面部には、貫通穴51Aを縁取って上側Z1へ突出した円筒状の内側筒部51Bと、内側筒部51Bを取り囲んで上側Z1へ突出した円筒状の外側筒部51Cとが一体形成される。
連結部材51は、底壁38の中央部38Aに下側Z2から取り付けられる。このとき、連結部材51の外周部が、中央部38Aの筒部38Fの下端面に下側Z2から接触した状態にある。ボルトなどの締結部材54が、連結部材51の外周部を下側Z2から貫通して筒部38Fに組み付けられる。これにより、連結部材51は、中央部38Aに同軸状で固定されて、底壁38の一部となる。
連結部材51では、貫通穴51Aに支持軸50の途中部50Cが挿入される。支持軸50の下側係合部50Aは、貫通穴51Aからはみ出して連結部材51の下面部よりも下側Z2に突出する。連結部材51では、内側筒部51Bが、途中部50Cのフランジ部50Eに対して内嵌され、外側筒部51Cが、筒部38Fに対して内嵌される。支持軸50は、フランジ部50Eにおいて内側筒部51Bに上側Z1から引っ掛かることによって、連結部材51に対して上下方向Zに位置決めされた状態にある。連結部材51において貫通穴51Aにおける内周面と途中部50Cの外周面との隙間には、軸受55が配置される。これにより、支持軸50は、中心軸線Jまわりに回転可能な状態で、連結部材51および底壁38によって支持される。
支持軸50のフランジ部50Eと、フランジ部50Eを取り囲む連結部材51の外側筒部51Cとにおける径方向Rの隙間には、円環状のシール部材56が嵌め込まれる。また、底壁38の筒部38Fの下端面において、締結部材54が組み付けられるねじ穴38Nよりも径方向内側R1には、周方向Qに延びる円環状の溝38Oが形成される。溝38Oには、円環状の別のシール部材57が嵌め込まれる。底壁38において貫通穴38Dを通って底壁38よりも下側Z2へ向かう隙間が、隣り合う部材の境界に形成されるが、この隙間は、シール部材56およびシール部材57によって塞がれる。そのため、脱水槽4内に水を溜めた場合に、この隙間を通って脱水槽4内の水が漏れ出すことを防止できる。
開閉機構52は、脱水槽4の底壁38の排水口38Gを開閉するための機構である。図1において破線の円で囲った部分を拡大した図5と、脱水槽4を下側Z2から見た斜視図である図6とを参照して、開閉機構52は、固定部材60と、回動部材61と、回動軸62と、重り部材63と、付勢部材64と、支持部材65と、止水部材66と、挟込部67とを含む。
固定部材60は、上下方向Zに一致した板厚方向を有する横部分60Aと、横部分60Aから下側Z2へ突出した縦部分60Bとを一体的に含む。横部分60Aは、脱水槽4の底壁38の外周部38Bにおいてガイド部38Iに径方向内側R1から隣接する部分に対して、ボルトなどの締結部材68を介して下側Z2から固定される。縦部分60Bは一対存在し、周方向Qに対する接線方向Tに並んで配置される。
回動部材61は、平板のレバー状に形成され、排水口38Gおよびガイド部38Iの真下に配置される。回動部材61において径方向内側R1の端部は、一対の縦部分60Bによって挟まれる。回動軸62は、接線方向Tに延び、回動部材61と一対の縦部分60Bとを連結する。これにより、回動部材61は、径方向外側R2へ向かうにつれて下側Z2へずれるように傾いた姿勢において、回動軸62および固定部材60を介して底壁38に連結され、回動軸62まわりに上下に回動可能である。
重り部材63は、例えば金属製であり、回動部材61と一致した板厚方向を有する平板状の横部分63Aと、接線方向Tにおける横部分63Aの両端部から上側Z1へ延びる一対の縦部分63Bとを一体的に含む。横部分63Aの上面部には、上側Z1へ突出した突出部63Cが一体的に設けられる。突出部63Cには、径方向Rに沿って突出部63Cを貫通した穴63D(図5参照)が形成される。横部分63Aは、回動部材61において回動軸62から径方向外側R2の部分、つまり、回動部材61において回動軸62よりも中心軸線Jから離れた部分に対して上側Z1から重ねられ、ボルトなどの締結部材69を介して当該部分に固定される。
付勢部材64は、例えば、回動軸62に巻き付けられるねじりコイルばねである。付勢部材64は、回動軸62に巻き付けられた部分から延び出た2つの腕部64Aを有する。一方の腕部64Aは、重り部材63の突出部63Cに形成された穴63Dに差し込まれ、他方の腕部64Aは、固定部材60の横部分60Aに形成された穴60Cに差し込まれる(図5参照)。この状態の付勢部材64は、回動部材61を常に下向きに付勢する。
支持部材65は、例えば金属製であり、上下方向Zに延びる中心軸線を有する円筒状の本体部65Aと、本体部65Aの下端から接線方向Tの両外側へ張り出してから上側Z1へ折り曲げられた一対の張り出し部65Bとを一体的に含む。本体部65Aは、下部65C、途中部65Dおよび上部65Eを下側Z2からこの順番で含む。本体部65Aの外径は、下部65C、途中部65Dおよび上部65Eの順に階段状に小さくなるよう設定される。下部65Cの外径は、脱水槽4の底壁38のガイド部38Iの内径より僅かに小さい。途中部65Dの外径は、底壁38の排水口38Gの下端における内径より僅かに小さい。上部65Eは、第1上部65F、第2上部65Gおよび第3上部65Hを下側Z2からこの順番で含む。上部65Eの外径は、第1上部65F、第2上部65Gおよび第3上部65Hの順に階段状に小さくなるよう設定される。下部65Cの下面部には、上側Z1へ窪んだ円環状の凹部65Iと、凹部65I内で下側Z2へ突出した突出部65Jとが形成される。
支持部材65は、回動部材61の真上に配置され、支持部材65の本体部65Aは、脱水槽4の底壁38のガイド部38Iおよび排水口38Gに対して、遊びを持って下側Z2から嵌め込まれる。詳しくは、支持部材65では、下部65Cがガイド部38Iに対して嵌め込まれ、途中部65Dおよび上部65Eが排水口38Gに対して嵌め込まれる。支持部材65は、下部65Cにおいてガイド部38Iによってガイドされることにより、上下方向Zに移動可能である。支持部材65における一対の張り出し部65Bは、ガイド部38Iを接線方向Tの両側から非接触で挟むように配置される。回動部材61に固定された重り部材63における一対の縦部分63Bが、支持部材65の一対の張り出し部65Bに対して接線方向Tの外側に配置される。隣り合う縦部分63Bと張り出し部65Bとは、接線方向Tに延びる連結軸70によって連結される。張り出し部65Bにおいて連結軸70が挿通される挿通穴(図示せず)は、上下方向Zに長い長穴なので、この挿通穴内で連結軸70が上下に移動することによって、重り部材63と支持部材65とは、少なくとも上下方向Zに若干の遊びを持って連結される。支持部材65は、付勢部材64によって、回動部材61および重り部材63とともに下側Z2へ向けて付勢される。
止水部材66は、例えばゴム製の弁であり、上下方向Zに延びる中心軸線を有する略円筒状に形成される。止水部材66の中心には、止水部材66を上下方向Zに貫通した貫通穴66Aが形成される。貫通穴66Aの下端部では、内径が一段大きい。止水部材66の外周面66Bは、下側Z2へ向かうにつれて縮径するテーパ状に形成される。そのため、止水部材66は、厳密には略円錐台形状の全体形状を有する。止水部材66は、支持部材65の本体部65Aの途中部65Dに上側Z1から載せられる。本体部65Aでは、第1上部65Fが貫通穴66Aの下端部に下側Z2から嵌め込まれ、第2上部65Gが貫通穴66A内に配置され、第3上部65Hが貫通穴66Aから上側Z1へはみ出して配置される。止水部材66において貫通穴66Aを区画した内周面に形成された環状の凸部66Cが第2上部65Gによって押し潰されることによって、貫通穴66Aにおける止水部材66と第2上部65Gとの隙間が塞がれる。凸部66Cと同様の凸部66Dが、外周面66Bにも形成される。
挟込部67は、例えば円環状のワッシャであって、止水部材66の上面部に上側Z1から載せられる。支持部材65の本体部65Aの第3上部65Hは、挟込部67の中心の穴に挿通される。別のワッシャ75が挟込部67の上に載せられて、ボルトなどの締結部材71が挟込部67およびワッシャ75の内側を通って支持部材65の上部65Eに組み付けられる。これにより、止水部材66は、本体部65Aと挟込部67とによって上下方向Zから挟み込まれた状態で、これらに固定される。そのため、止水部材66は、支持部材65を介して回動部材61に連結され、付勢部材64によって、回動部材61、重り部材63および支持部材65とともに下側Z2へ向けて付勢される。
止水部材66は、脱水槽4の底壁38の排水口38Gに配置される。止水部材66は、回動部材61の回動に応じて、支持部材65と一緒に、開位置と閉位置との間で上下方向Zに移動可能である。図5に示す止水部材66は、開位置にあって、止水部材66の外周面66Bは、底壁38において排水口38Gを縁取った内周面38Hから上側Z1へ離間する。そのため、止水部材66が開位置にあるときには、外周面66Bと内周面38Hとの隙間が広がることによって、排水口38Gが開放される。止水部材66は、下側Z2への回動部材61の回動に伴って開位置から下降すると閉位置に到達する(図3参照)。閉位置にある止水部材66では、外周面66Bの凸部66Dが内周面38Hによって押し潰され、外周面66Bが、内周面38Hの周方向における全域に対して上側Z1から密着する。そのため、止水部材66が閉位置あるときには、排水口38Gが塞がれる。前述したように下側Z2へ向けて付勢された止水部材66は、閉位置へ向けて付勢された状態にある。
脚部材53は、例えば金属製であり、複数存在する。図6を参照して、この実施形態では、3つの脚部材53が、底壁38の外周部38Bの下面部において周方向Qに例えば等間隔で並んで配置される。各脚部材53は、下側Z2へ突出して周方向Qに沿って湾曲した湾曲部53Aと、湾曲部53Aの両端部から径方向内側R1へ折れ曲がった一対の折曲部53Bとを一体的に含む。ボルトなどの締結部材72が各折曲部53Bと貫通して底壁38に組み付けられることによって、各脚部材53は、底壁38に固定される。3つの脚部材53のうち、1つの脚部材53Cは、開閉機構52から周方向Qに180度離れた位置、詳しくは、底壁38において排水口38Gとの間で中心軸線Jを挟む位置に配置される。底壁38の下面部において脚部材53Cによって囲まれた部分には、例えば平板状のカウンターウェイト73が固定される。
図6では図示が省略されるが、底壁38の下面部における開閉機構52の周囲には、脚部材53と近似した形状を有する保護部材74(図3参照)が取り付けられる。開閉機構52は、保護部材74によって周方向Qの両側および径方向外側R2から保護される。各脚部材53および保護部材74の下端は、脱水槽4内で最も下側Z2に位置する。そのため、単体の脱水槽4が床面などの載置面に載置された場合には、各脚部材53および保護部材74の下端が載置面に接触することによって、連結部材51や開閉機構52が載置面から離されるので、連結部材51や開閉機構52が載置面に衝突して破損することを防止できる。
図1を参照して、脱水槽4は、洗濯機本体2の収容空間2Aに収容される。脱水槽4では、底壁38の連結部材51が、洗濯機本体2の底壁12の中央部12Aの開口部12Dに上側Z1から嵌め込まれ、底壁12内の支持部14の円盤部14Aに対して一体回転可能に連結される。そのため、モータ16によって支持部14が駆動回転されると、脱水槽4は、支持部14とともに中心軸線Jまわりに駆動回転される。また、底壁38によって回転可能に支持された支持軸50では、下側係合部50Aが洗濯機本体2の駆動軸15の受入部15Aに上側Z1から嵌め込まれることによって、支持軸50が駆動軸15に対して一体回転可能に連結される。モータ16によって駆動軸15が駆動回転されると、支持軸50は、駆動軸15とともに中心軸線Jまわりに駆動回転される。洗濯機本体2の底壁12では、外周部12Bおよび途中部12Cが、収容空間2A内の底壁38に対して間隔を隔てて下側Z2から対向する。
なお、例えば脱水槽4を周方向Qにずらして持ち上げることによって、支持部14に対する脱水槽4のロックが外れて、脱水槽4が洗濯機本体2から離脱できてもよい。この場合、離脱とは逆の手順によって、脱水槽4が支持部14に対してロックされて洗濯機本体2に装着される。洗濯機本体2に対する脱水槽4の着脱の際に、脱水槽4の把持部43が使用者によって把持される。また、使用者は、脱水槽4の取っ手37を、前述した取出位置(図示せず)まで回動させてから掴むことによって、離脱後の脱水槽4を単体で移動させることができる。
図7は、底壁38周辺における縦断面を含む脱水槽4および回転部材5の斜視図である。次に、回転部材5について説明する。回転部材5のほとんどは、樹脂製であり、中心軸線Jに一致した中心軸線を有する円盤状に形成される。回転部材5は、その大部分をなす円盤状の本体部80と、回転部材5を脱水槽4に対して着脱するための着脱機構81とを含む。本体部80の上面部において径方向Rにおける中央部80Aは、上側Z1へ盛り上がって形成される。中央部80Aの中心には、下側Z2へ半球状に窪んだ窪み80Bが形成される。本体部80の上面部において中央部80Aを取り囲んだ外周部80Cには、上側Z1へ盛り上がった複数の***部80Dが、周方向Qに等間隔で並んで形成される。外周部80Cには、本体部80を上下方向Zに貫通した貫通穴80Eが多数形成される。
貫通穴80Eは、窪み80Bの底にも1つ形成される。中央部80Aにおいて窪み80Bの底の貫通穴80Eを挟む2箇所には、本体部80を上下方向Zに貫通した挿通穴80Fが1つずつ形成される。中央部80Aにおいて窪み80Bよりも下側Z2には、外周部80Cによって取り囲まれて本体部80の下面部から下側Z2に開放されたスペース82が形成される。2つの挿通穴80Fは、スペース82に上側Z1から連通した状態にある。
着脱機構81は、いわゆるボールロック機構であり、保持部材83と、ロック部材84と、昇降部材85とを含む。保持部材83は、中心軸線Jに一致した中心軸線を有する円筒状に形成され、スペース82内において中央部80Aに固定される。横方向に沿って切断したときの保持部材83の内部の断面は、脱水槽4の支持軸50の上側係合部50B(図4参照)の断面にほぼ一致した略多角形状に形成される。保持部材83の下端部には、保持部材83を径方向Rに貫通した円形状の保持穴83Aが、周方向Qに並んで複数形成される。
ロック部材84は、例えば金属製の球であり、保持部材83の保持穴83Aに対応して複数存在し、各保持穴83Aに1つずつ嵌め込まれる。各ロック部材84は、嵌め込まれた保持穴83Aから外れ不能な状態で、径方向Rに移動可能である。
昇降部材85は、上部86と下部87とを含む。上部86は、本体部80における2つの挿通穴80Fの間で径方向Rに沿って延び、折れ曲がって各挿通穴80Fに上側Z1から挿通される。下部87は、スペース82に配置される。下部87は、上部86において各挿通穴80Fに上側Z1から挿通された両端部に連結される。下部87には、保持部材83が上側Z1から挿通される貫通穴87Aが形成される。貫通穴87Aにおける下部87の内周面には、径方向内側R1へ突出した環状の凸部87Bが形成される。
昇降部材85は、図7に示すロック位置と、ロック位置よりも上側Z1の解除位置(図示せず)との間で昇降可能である。ロック位置の昇降部材85では、凸部87Bが上下方向Zにおいて各ロック部材84と同じ位置にあり、各ロック部材84を径方向外側R2から押圧することによって、各ロック部材84の一部を、保持部材83の内周面から径方向内側R1へはみ出させる。昇降部材85は、回転部材5内に設けられたバネなどの付勢部材によって、ロック位置へ向けて常に付勢される。
このような回転部材5は、脱水槽4の内部空間4Bの下部に配置される。脱水槽4の支持軸50の上側係合部50Bが、回転部材5の保持部材83の内部に下側Z2から挿入されることによって、回転部材5は、支持軸50に対して周方向Qに相対移動不能に固定される。また、回転部材5では、ロック位置にある昇降部材85の凸部87Bが、各ロック部材84を径方向外側R2から押圧するので、各ロック部材84の一部が保持部材83の内周面から径方向内側R1へはみ出て支持軸50の溝50Dに嵌り込む。これにより、回転部材5は、支持軸50に対して上下方向Zに相対移動不能に固定される。そのため、回転部材5は、支持軸50にロックされ、支持軸50によって中心軸線Jまわりに一体回転可能に支持される。洗濯機本体2のモータ16によって駆動軸15が駆動回転されると(図1参照)、回転部材5は、駆動軸15および支持軸50とともに中心軸線Jまわりに駆動回転される。
脱水槽4の内部空間4Bにおける回転部材5の本体部80は、隙間埋め部材41の縦部分41Aによって径方向外側R2から非接触で取り囲まれ、隙間埋め部材41の横部分41Bに上側Z1から対向した状態にある。縦部分41Aは、本体部80と円周壁35の内周面35Bの下端部との径方向Rにおける隙間を埋めた状態にある。これにより、内部空間4Bにおいて本体部80および縦部分41Aよりも上側Z1の領域に配置された洗濯物Sや異物が、この隙間に入り込むことを抑制できる。
この実施形態における回転部材5は、脱水槽4に対して着脱可能である。その場合、使用者が、図7のように脱水槽4に装着された回転部材5における上部86を上側Z1へ引っ張ると、昇降部材85が解除位置(図示せず)まで上昇する。すると、解除位置の昇降部材85では、凸部87Bが各ロック部材84よりも上側Z1にずれて各ロック部材84を径方向外側R2から押圧しないので、各ロック部材84は、径方向外側R2に移動することによって、保持部材83の内周面からはみ出なくなり、支持軸50の溝50Dから径方向外側R2へ外れる。これにより、支持軸50に対する回転部材5のロックが解除される。そこで、使用者が、上部86を引き続き上側Z1へ引っ張って回転部材5を持ち上げると、支持軸50の上側係合部50Bが回転部材5の保持部材83から外れる。使用者が回転部材5を脱水槽4の出入口4Aよりも上側Z1まで移動させると、回転部材5は脱水槽4から離脱される。回転部材5が脱水槽4に着脱不能に固定された構成もあり得る。
次に、洗濯機1で実行される洗濯運転について説明する。洗濯運転は、洗い工程と、洗い工程後のすすぎ工程と、脱水工程とを含む。すすぎ工程および脱水工程は、複数回実施されてもよく、その場合、脱水工程は、各すすぎ工程の後に実施されてもよい。
図1を参照して、洗濯運転の開始に先立って、使用者は、扉3を開いて洗濯機本体2の着脱口2Bおよび脱水槽4の出入口4Aを上側Z1へ開放し、洗濯物Sを出入口4Aから脱水槽4の内部空間4Bに収容してから扉3を閉じる。この際、必要に応じて、内部空間4Bに洗剤が投入されてもよい。内部空間4Bにおける洗濯物Sは、前述したように本体部80および縦部分41Aよりも上側Z1の領域に配置されるので、脱水槽4の底壁38の凹部38Kよりも上側Z1に位置する。そして、使用者が、例えば扉3の表面に設けられたスイッチなどの操作部(図示せず)を操作すると、制御部24が洗い工程を開始する。
制御部24は、洗い工程の最初に、例えば扉3に設けられた給水機構(図示せず)によって、脱水槽4の内部空間4Bに給水する。給水機構は、蛇口につながった給水路と、制御部24の制御によって給水路を開閉する給水弁とを含む。なお、前述したように洗濯物Sを脱水槽4内に投入する際に、例えばバケツで汲んだ水を脱水槽4に注ぐことによって給水してもよい。さらに、予め水を汲んで内部空間4Bに溜めておいた脱水槽4を、洗濯運転の開始に先立って洗濯機本体2に装着してもよく、この場合には、脱水槽4自体がバケツとなる。
ここで、脱水槽4では、閉位置の止水部材66が、底壁38における排水口38Gの内周面38Hに上側Z1から密着して排水口38Gを塞ぐので、洗濯機1では、脱水槽4だけに水を溜めて洗濯することができる(図3参照)。一方、多数の水抜き穴が円周壁に形成された回転体である脱水槽と、脱水槽を収容して水が溜められる静止体である水槽とを備える従来の洗濯機では、水槽に排水機構を設けねばならないし、洗濯運転の際に脱水槽内だけでなく、水槽と脱水槽との隙間も水で満たす必要がある。このような従来の洗濯機に対し、脱水槽4の円周壁35に水抜き穴が存在せず、脱水槽4だけに水を溜めて洗濯できる洗濯機1では、構造がシンプルになるし、洗濯運転における水の使用量を抑えることができる。
また、排水口38Gの内周面38Hに上側Z1から密着することによって排水口38Gを塞ぐ止水部材66には、止水部材66の自重とともに、脱水槽4内の水の重さが上側Z1から止水部材66に加わる(図3参照)。これにより、脱水槽4内に水が溜まるほど、排水口38Gの内周面38Hに対する止水部材66の密着性が向上する。また、止水部材66に連結された回動部材61および重り部材63の重さを利用して、排水口38Gの内周面38Hに対する閉位置の止水部材66の密着性を一層向上させることができる。以上の結果、止水部材66によって排水口38Gを確実に塞いで、脱水槽4に水を確実に溜めることができる。
また、回動部材61を下向きに付勢する付勢部材64の付勢力を利用することによって、重り部材63の重量を増やさなくても、排水口38Gの内周面38Hに対する閉位置の止水部材66の密着性を一層向上させることができる。これにより、重り部材63の重量を増やすことによる脱水槽4の重量化を抑制しつつ、止水部材66によって排水口38Gを確実に塞いで、脱水槽4内に水を確実に溜めることができる。なお、付勢部材64の付勢力を利用しなくても止水部材66の密着性を必要最低限確保できるのであれば、付勢部材64を省略できる。付勢部材64を省略しても、止水部材66は、自重と、支持部材65などの重さとによって、開位置から閉位置まで下降できる。
そして、制御部24は、内部空間4Bに所定水位まで水が溜まったことを水位センサ(図示せず)などによって確認すると、モータ16を駆動させることによって、駆動軸15を駆動回転させる。これにより、支持軸50を介して駆動軸15に連結された回転部材5だけが、中心軸線Jまわりに駆動回転される。すると、内部空間4Bにおいて回転部材5の上側Z1に位置する洗濯物Sは、回転する回転部材5の***部80Dに触れたり、回転部材5が内部空間4Bに発生させた水流に乗ったりすることによって撹拌される。これにより、洗濯物Sから汚れが除去される。また、内部空間4Bに洗剤が投入された場合には、洗濯物Sの汚れが洗剤によって分解される。
制御部24は、回転部材5が所定時間回転した後に、回転部材5の回転を停止させてから、排水機構18のピン26を今までの下位置から、図1に示す上位置まで上昇させる。すると、ピン26の先端部26Aが、脱水槽4の開閉機構52の回動部材61を下側Z2から押し上げるので、回動部材61に連結された止水部材66は、今までの閉位置から開位置まで上昇し、脱水槽4の底壁38の排水口38Gを開く。そのため、内部空間4Bにおける水は、排水口38Gを通過して、洗濯機本体2の底壁12の上面部における途中部12Cに受けられて途中部12Cに沿って流れ落ちた後に、外周部12Bを伝って出口17Aに到達し、排水路17から機外に排出される。
底壁12の外周部12Bは、平坦面でなく、出口17Aへ向けて徐々に下がるように傾斜して形成されるので、排水口38Gから流れ落ちて外周部38Bを伝う水は、途中に留まることなく、確実に出口17Aに到達できる。図2を参照して、出口17Aは、排水機構18のピン26に対して180度ずれた回転対称の位置にある。そのため、外周部12Bにおいて平面視で時計回りに出口17Aへ向かう部分(1点鎖線の矢印を参照)と、反時計回りに出口17Aへ向かう部分(2点鎖線の矢印を参照)とでは、水平方向に対する傾斜角度を同じすることができ、ピン26と出口17Aとの間での高低差を最小に抑えることができる。そのため、水が外周部38Bにおいて時計回りに出口17Aへ流れる場合でも、反時計回りに出口17Aへ流れる場合でも、最短距離で出口17Aに到達できる。なお、出口17Aが周方向Qにおいてピン26と同じ位置に配置される構成もあり得る。
図1を参照して、以上のように脱水槽4の排水が完了すると、制御部24がピン26を下位置まで下降させるので、止水部材66が閉位置(図3参照)まで戻る。これにより、洗い工程が終了する。なお、回転部材5の回転が停止した時点において、周方向Qにおいてピン26が回動部材61と同じ位置になければ、制御部24は、モータ16を駆動させることによって脱水槽4を回転させて、回動部材61を周方向Qにおいてピン26に一致させる。これに関連して、洗濯機1は、周方向Qにおける回動部材61の位置を検知するセンサ(図示せず)を含んでもよい。
洗い工程後に、制御部24は、すすぎ工程を開始する。すすぎ工程において、制御部24は、まず、脱水槽4の内部空間4Bに給水する。制御部24は、内部空間4Bに所定水位まで水、厳密には水道水が溜まったことを確認すると、モータ16を駆動させることによって、駆動軸15だけを駆動回転させる。これにより、内部空間4Bの洗濯物Sは、回転する回転部材5が内部空間4Bに発生させた水流によってすすがれる。回転部材5が所定時間回転させた後に、制御部24は、前述したように排水機構18のピン26を上位置まで上昇させて止水部材66を開位置まで移動させることによって、脱水槽4の排水を行う。脱水槽4の排水が完了すると、制御部24が、ピン26を下位置まで下降させて止水部材66を閉位置まで戻す。これにより、すすぎ工程が終了する。
すすぎ工程後に、制御部24は、脱水工程を開始し、モータ16を駆動させることによって、支持部14だけを駆動回転させる。これにより、支持部14によって支持された脱水槽4が、中心軸線Jに一致した回転軸線まわりに駆動回転される。このとき、排水機構18のピン26は、回転する脱水槽4に接触しないように、下位置にある(図5参照)。脱水槽4の回転による遠心力が洗濯物Sに作用することによって、洗濯物Sにおける水分が絞り出されて、円周壁35の内周面35Bに向けて径方向外側R2へ飛ばされる。内周面35Bは、上端35Cから下端35Dへ向けて次第に拡径するように傾斜して形成されるので、洗濯物から絞り出されて内周面35Bに到達した水分には、遠心力における下向きの成分と重力とが作用する。これにより、この水分は、水滴となって、この内周面35Bの傾斜に沿って脱水槽4の底壁38へ向けて流れ落ちる。
そして、脱水槽4の回転数が所定値まで上昇すると、脱水槽4の底壁38の開閉機構52では、回動部材61が、脱水槽4の回転に伴って重り部材63に発生した遠心力によって径方向外側R2に移動しようとし、付勢部材64の付勢力に抗して上向きに回動する。すると、回動部材61に連結された支持部材65が、回動部材61の上向きの回動に連動して、止水部材66を伴って上昇するので、止水部材66が、今までの閉位置から開位置まで上昇し、脱水槽4の底壁38の排水口38Gを開放する(図5も参照)。そのため、脱水槽4内において洗濯物Sから絞り出されて底壁38まで流れ落ちた水は、排水口38Gを通って流出し、前述したように排水路17を通って機外に排出される。なお、回転する脱水槽4の底壁38では、カウンターウェイト73が重り部材63とバランスするので、重り部材63による脱水槽4の偏心回転を抑制できる。そのため、脱水槽4の偏心回転による振動の発生を抑制できる。
ここで、本実施形態とは異なり、底壁38における排水口38Gを止水部材66によって下側Z2から塞ぐ比較例を想定する。比較例では、脱水槽4内の水圧に抗して止水部材66を移動させて排水口38Gを塞ぐために、大きな力が必要であり、その分、排水口38Gを開くためにも大きな遠心力が必要である。これでは、大きな遠心力を発生させるために、脱水槽4の回転数を必要以上に上昇させねばならないので、脱水槽4の回転数が上昇するまでに洗濯物Sから絞り出された水が脱水槽4内に溜まって脱水槽4の偏心回転を引き起こす虞がある。しかし、排水口38Gを止水部材66によって上側Z1から塞ぐ構成を有する本実施形態であれば、これらの不具合を回避することができる。
そして、脱水槽4が所定時間回転した後に、制御部24は、脱水槽4の回転を停止させる。すると、遠心力が小さくなることによって、回動部材61および支持部材65が付勢部材64の付勢力によって元の位置に戻るので、止水部材66が開位置から閉位置に戻る(図3参照)。これにより、脱水工程が終了するとともに洗濯運転の全体が終了する。洗濯運転終了後に、使用者は、扉3を開いて、脱水槽4内の洗濯物Sを回収する。一例として、使用者は、洗濯物Sを収容した脱水槽4そのものを洗濯機本体2から離脱させてもよい。その場合には、使用者は、脱水槽4の取っ手37を引出位置(図示せず)まで回動させて、取っ手37を掴んで脱水槽4を、例えば物干し場に持って行き、脱水槽4内の洗濯物Sを干す。
脱水工程における排水に関し、底壁38に形成された排水口38Gの一部は、前述したように、径方向Rにおいて、円周壁35の内周面35Bの下端35Dと同じ位置、または、下端35Dよりも外側に位置する。つまり、下端35Dと排水口38Gの一部とが径方向Rにおいて同じ位置にあって、下端35Dの周上1箇所が、平面視において排水口38Gの一部と重なる(図4参照)。そのため、図5を参照して、円周壁35の内周面35Bの下端35Dに到達した水は、太い破線矢印で示すように、径方向Rで同じ位置にある排水口38Gを速やかに通って底壁38よりも下側Z2に流れ落ち、排水路17(図1参照)を通って機外に排出される。この場合、脱水による水は、脱水槽4の円周壁35の外周面35Aや、洗濯機本体2の円周壁10において円周壁35を取り囲んだ内壁面10Aに付着することなく、速やかに機外に排出される。そのため、洗濯機1内において脱水による水が付着する部分を少なくすることができるので、この水によって脱水槽4および脱水槽4の周囲において汚れやカビが広範囲にわたって発生することを抑制して、脱水槽4および脱水槽4の周囲を清潔に保つことができる。また、洗濯物Sから絞り出されて円周壁35の内周面35Bの下端35Dに到達した水は、脱水槽4内に溜まって洗濯物Sに再付着することなく排出されるので、脱水効果の向上を図れるし、水が脱水槽4内に溜まることによる脱水槽4の偏心回転を抑制できる。
また、脱水槽4の底壁38において円周壁35の内周面35Bの下端35Dに下側Z2から隣接する部分には、下端35Dから径方向外側R2へ窪んだ凹部38Kや、外周部38Bの外縁部38Jにおいて内周面35Bと面一になった内周面38M(図3参照)が、前述した非突出部として設けられる。図5において、フランジ部材40の横部分40Cにおける径方向内側R1の端部から凹部38K内へ下側Z2に僅かに突出した凸部40Dは、内周面35Bと面一になるように配置されることによって、非突出部の一例をなす。
脱水時に洗濯物Sから絞り出されて円周壁35の内周面35Bの下端35Dの下端35Dまで流れ落ちた水は、脱水槽4の内部空間4Bの下端部では、これらの非突出部を通過することによって、下向きの流れを阻害されることなく、速やかに排水口38Gに通って機外に排出される。そのため、脱水による水によって脱水槽4および脱水槽4の周囲に汚れやカビが広範囲にわたって発生することを一層抑制できる。また、平面視で排水口38Gの一部が凹部38Kと重なるように、排水口38Gを凹部38K側つまり径方向外側R2へ寄せて配置すると、内周面35Bを流れ落ちる水の行き先に排水口38Gが近付くので、排水口38Gにおける排水効率を向上できる。なお、非突出部は、底壁38において周方向Qにおける全域に設けられることが好ましいが、非突出部が周方向Qにおける一部だけに設けられる構成もあり得る。
また、脱水時に洗濯物Sから絞り出されて円周壁35の内周面35Bの下端35Dまで流れ落ちた水の一部は、太い破線矢印で示すように、遠心力によって、凹部38Kにおいて脱水槽4内の洗濯物Sから径方向外側R2へ離される。これにより、洗濯物Sから絞り出された水が洗濯物Sに再付着することを抑制できるので、脱水効果の向上を一層図れる。
図4を参照して、凹部38Kは、周方向Qにおいて排水口38Gに近い領域ほど径方向外側R2へ大きくなるように形成される。この場合、洗濯物Sから絞り出されて円周壁35の内周面35Bの下端35Dから凹部38Kに進入した水は、遠心力によって当該領域、詳しくは排水口領域38Lに導かれるので(太い破線矢印参照)、排水口38Gに到達しやすくなる。これにより、凹部38Kに進入した水は、速やかに排水口38Gを通って機外に排出される。そのため、水が凹部38Kに溜まることによって、脱水槽4内の洗濯物Sが濡れたり、脱水槽4の底壁38に汚れやカビが発生したりすることを抑制できる。また、水が脱水槽4内に溜まることによる脱水槽4の偏心回転を抑制できる。
図5を参照して、脱水槽4の円周壁35の内周面35Bと回転部材5との径方向Rにおける隙間を埋める隙間埋め部材41には、隙間埋め部材41を上下方向Zに貫通して円周壁35の内周面35Bへ向けて開放された切欠き41Cが形成される。この場合、脱水時に洗濯物Sから絞り出されて円周壁35の内周面35Bを流れ落ちる水は、太い破線矢印で示すように、この切欠き41Cを通過することによって、流れを阻害されることなく、速やかに内周面35Bの下端35Dに到達し、排水口38Gを通って機外に排出される。そのため、一定の脱水効果を獲得しつつ、脱水による水によって脱水槽4および脱水槽4の周囲に汚れやカビが広範囲にわたって発生することを一層抑制できる。
また、以上のように洗い工程、すすぎ工程および脱水工程のいずれにおいても脱水槽4における排水口38Gから排水される構成であれば、脱水槽4における止水および排水に関連する構成を排水口38Gという1箇所だけに設ければ済むので、構造の簡素化を図れる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、洗濯機1は、洗濯機本体2の収容空間2Aに配置されて脱水槽4を収容する外槽(図示せず)を別途備えてもよい。
また、洗濯機1は、脱水工程だけを実行する脱水機であってもよい。