JP6846015B2 - 繊維強化樹脂成形材料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不連続強化繊維の束状集合体、とくに特定の形態の不連続強化繊維の束状集合体とマトリックス樹脂とを含む繊維強化樹脂成形材料と、その製造方法に関する。
不連続の強化繊維(例えば、炭素繊維)の束状集合体(以下、繊維束ということもある)とマトリックス樹脂(例えば、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂)からなる繊維強化樹脂成形材料を用いて、加熱、加圧成形により、所望形状の成形体を成形する技術が知られている(例えば、特許文献1〜5)。このような従来の繊維強化樹脂成形材料において、繊維強化樹脂成形材料中の繊維束が所定のストランドから形成された、所定の単糸数の繊維束からなる場合、通常、単糸数が多い繊維束からなる成形材料では、成形の際の流動性には優れるが成形品の力学特性は劣る傾向がある。
例えば特許文献1には、成形材料中のチョップド繊維束のフィラメント本数が10,000〜700,000本の範囲内で規定された成形材料が開示されている。このような成形材料では、繊維束のフィラメント本数が多いため成形の際には樹脂とともに強化繊維が繊維束の形態で効率よく移動できるので優れた流動性が得られるが、この成形材料による成形後の成形品については、成形品が破断する際等に成形品中の繊維束端部部位などで応力集中が発生する可能性が高く、高力学特性が要求される成形品の成形には適していない。
一方、例えば特許文献2には、単糸数が100本以下となるように分繊された繊維束が用いられた繊維強化樹脂が開示されているが、上記特許文献1に開示の形態に比べ繊維束の単糸数がはるかに少ないため、成形品中で強化繊維が良好に分散し、成形品中の繊維束端部部位などで応力集中が発生する可能性が低くなって成形品の力学特性が高められる反面、成形の際には期待したほど高い流動性が得られないおそれが残されている。
特開2013−202890号公報 特開2008−174605号公報 特開2009−191116号公報 特開2010−163536号公報 WO2014/021315号公報
上述の如く、比較的単糸数の多い繊維束を用いた繊維強化樹脂成形材料では、生産効率もよく、成形の際に優れた流動性が得られる傾向にあるが、成形品の力学特性は劣る傾向があり、比較的単糸数の少ない繊維束を用いた繊維強化樹脂成形材料では、逆に、成形品の力学特性には優れるものの、成形の際の流動性は高くし難いという傾向がある。
上記のような従来技術における傾向に着目し、未だ出願未公開の段階ではあるが、先に本出願人により、少なくとも不連続の強化繊維の束状集合体とマトリックス樹脂とを含む繊維強化樹脂成形材料であって、前記強化繊維の束状集合体が、連続強化繊維のストランドが該ストランドを複数の束に完全分割する割繊処理を施された後切断されて形成された強化繊維集合体Aと、前記割繊処理が施されていない、または/および、前記割繊処理が不十分な未割繊部を含む強化繊維集合体Bとの両方を所定の割合にて含む繊維強化樹脂成形材料が提案されている(PCT/JP2015/074736号)。この提案により、成形の際の良好な流動性と成形品の優れた力学特性とをバランス良く両立させることが可能となっている。
しかしながら、上記本出願人による先の提案における繊維強化樹脂成形材料よりもさらに成形品の高い力学特性(強度、弾性率)とそのばらつきのさらなる低減が要求されつつある。
そこで本発明の課題は、上記のような要求に鑑み、上記本出願人による先の提案における繊維強化樹脂成形材料よりもさらに成形品における高い力学特性(強度、弾性率)とそのばらつきのさらなる低減が可能な繊維強化樹脂成形材料、およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る繊維強化樹脂成形材料は、少なくとも不連続強化繊維の束状集合体[A]と、マトリックス樹脂[M]とを含む繊維強化樹脂成形材料であって、
前記束状集合体[A]は、複数の単糸からなる繊維束の長手方向に沿って、複数の束に分繊された分繊処理区間と、未分繊処理区間とが交互に形成されてなる部分分繊繊維束を、前記繊維束の長手方向に対して角度θ(0°<θ<90°)で切断したものであることを特徴とするものからなる。
このような本発明に係る繊維強化樹脂成形材料においては、不連続強化繊維の束状集合体[A]は、分繊処理区間と未分繊処理区間とが交互に形成されてなる部分分繊繊維束が、繊維束の長手方向に対して斜めに、つまり、繊維束の長手方向に対して角度θ(0°<θ<90°)で切断されることによって形成されたものからなる。すなわち、前述の本出願人により先に提案された繊維強化樹脂成形材料では、不連続強化繊維の束状集合体[A]は、繊維束の長手方向と直交する方向に切断されて形成されていたが、本発明では、とくに、分繊処理区間と未分繊処理区間とが交互に形成されてなる部分分繊繊維束が繊維束の長手方向に対して斜めに切断されることによって形成されている。繊維束の長手方向に対して斜めに切断されることにより、切断面が分繊処理区間と未分繊処理区間とにわたって延びることが可能になり、それによって特に、形成された束状集合体[A]の端部が成形品において応力の集中しにくい形状(各種例を後述)に形成されやすくなり、さらに、前述の先出願(PCT/JP2015/074736号)における強化繊維集合体Bのような繊維束を、より小幅化することも可能となる。その結果、成形品において、より高い力学特性(強度、弾性率)の発現とその力学特性のばらつきのさらなる低減が可能になる。成形の際の良好な流動性については、部分分繊繊維束が不連続強化繊維の束状集合体[A]へと切断されることによって確保されている。
上記本発明に係る繊維強化樹脂成形材料においては、上記部分分繊繊維束において、少なくとも1つの上記分繊処理区間の少なくとも一方の端部に上記単糸が交絡した絡合部、および/または該絡合部が集積されてなる絡合集積部が形成されている形態を採ることができる。
また、本発明に係る繊維強化樹脂成形材料においては、上記束状集合体[A]が、
分繊処理によって任意の束本数へと分割された分繊束集合体[a]と、
上記未分繊処理区間、および/または上記絡合部、および/または上記絡合集積部によって、繊維束の単糸同士が結合された結合束集合体[b]と、
上記未分繊処理区間、および/または上記絡合部、および/または上記絡合集積部と、上記部分分繊繊維束の切断時の切断面とが交差し、該交差部において、上記繊維束の単糸同士の結合が切断されている結合切断集合体[c]のうちの、少なくとも一種の集合体を含む形態を採ることができる。この形態においては、上記束状集合体[A]において、上記結合束集合体[b]の含有率が0〜15%の範囲にあることが好ましい。すなわち、結合束集合体[b]は、含まれていなくてもよいが、含まれている場合には、含有率を高くても15%に抑えておくことが好ましい。
本発明は、上記のような繊維強化樹脂成形材料の製造方法についても提供する。すなわち、本発明に係る繊維強化樹脂成形材料の製造方法は、上記のような繊維強化樹脂成形材料を製造する方法であって、前記束状集合体[A]を得る際に、下記式(1)を満たすように前記部分分繊繊維束を切断することを特徴とする方法からなる。
W・cosθ/D≧3 ・・・(1)
W:部分分繊繊維束切断時の繊維束幅
D:束状集合体[A]における切断面の間隔
この本発明に係る繊維強化樹脂成形材料の製造方法においては、上記部分分繊繊維束を切断する前の任意のタイミングにおいて、上記部分分繊繊維束に拡幅処理を施すことが好ましい。この拡幅処理は、部分分繊繊維束の切断前であれば、部分分繊繊維束の形成前後のいずれでもよく、例えば部分分繊繊維束を形成する際に同時に拡幅処理を施し、いわゆる拡幅・部分分繊繊維束を形成しておいてもよいし、部分分繊繊維束を切断する直前に拡幅処理を施し、連続的に切断工程へと導入してもよい。
本発明に係る繊維強化樹脂成形材料およびその製造方法によれば、分繊処理区間と未分繊処理区間とが交互に形成されてなる部分分繊繊維束を、繊維束の長手方向に対して斜めに切断することによって形成された特定の不連続強化繊維の束状集合体[A]を有していることにより、成形品にした際の極めて高い力学特性(強度、弾性率)を実現できるとともにその力学特性のばらつきを小さく抑えることができる。
本発明における部分分繊繊維束とその切断を示す概略斜視図である。 本発明における部分分繊繊維束の一形態例を示す繊維束の概略平面図である。 本発明における部分分繊繊維束の他の形態例を示す繊維束の概略平面図である。 本発明における部分分繊繊維束のさらに他の形態例を示す繊維束の概略平面 図である。 本発明における部分分繊繊維束の作製方法の一例を示す概略平面図(A)と概略側面図(B)である。 本発明における斜め切断の基本的な技術思想を示す部分分繊繊維束の概略平面図である。 直交切断の一例を示す部分分繊繊維束の概略平面図である。 本発明における分繊束集合体[a]の作製方法の一例を示す概略平面図である。 本発明における結合束集合体[b]の作製方法の一例を示す概略平面図である。 本発明における結合束集合体[b]の作製方法の別の例を示す概略平面図である。 本発明における結合束集合体[b]の作製方法のさらに別の例を示す概略平面図である。 本発明における結合切断集合体[c]の作製方法の一例を示す概略平面図である。 本発明における式(1)について説明するための概略平面図である。 本発明におけるインサイドプル方式の一形態例を示す概略斜視図である。
以下に、本発明について、実施の形態とともに、図面を参照しながら詳細に説明する。
先ず、図1に、複数の単糸からなる繊維束の長手方向に沿って、複数の束に分繊された分繊処理区間と、未分繊処理区間とが交互に形成されてなる部分分繊繊維束と、その切断について説明する。図1に示すように、分繊処理区間2と未分繊処理区間3とが繊維束の長手方向に沿って交互に形成されてなる部分分繊繊維束1が方向Aに走行され、切断刃4により繊維束1が繊維束1を横断する方向に切断されて不連続強化繊維の束状集合体[A]5が形成される。このとき、繊維束の長手方向に対し角度θで切断されるが、この切断角度θが本発明では0°<θ<90°の斜め方向切断とされ、前述の本出願人による先の提案における繊維強化樹脂成形材料では繊維束の長手方向に直交する方向(θ=90°)とされている。ここで本発明における角度θの好ましい範囲としては、0°<θ<45°であり、より好ましくは5°<θ<30°である。かかる範囲において、高い力学特性と低ばらつきの発現と、切断ミスを抑制し、所望の角度で切断可能な高プロセス性の両立を図ることができる。
切断前の上記部分分繊繊維束1は、基本的には図1に示したような分繊処理区間2と未分繊処理区間3とが繊維束の長手方向に沿って交互に形成されてなる形態を有するが、図2や図3に示すように、少なくとも1つの分繊処理区間2の少なくとも一方の端部に単糸が交絡した絡合部11、および/または、該絡合部が集積されてなる絡合集積部12が形成されている形態も採り得る。
また、図4に示すように、分繊処理区間13と未分繊処理区間14とが繊維束の長手方向に沿って交互に形成されてなる形態と、分繊処理区間15と未分繊処理区間16とが繊維束の長手方向に沿って交互に形成されてなる形態との組み合わせ形態からなり、一方の分繊処理区間15が他方の未分繊処理区間14にわたって延びるように形成された形態の部分分繊繊維束17も、本発明における部分分繊繊維束に含まれる。
上記のような本発明における部分分繊繊維束は、特に限定されるものではないが、例えば図5に示すように形成される。図5は、走行する繊維束20に分繊手段21を突き入れた一例を示す(A)概略平面図、(B)概略側面図である。図中の繊維束走行方向A(矢印)が繊維束20の長手方向であり、図示されない繊維束供給装置から連続的に繊維束20が供給されていることを表す。分繊手段21は、繊維束20に突き入れ易い突出形状を有する突出部22を具備しており、走行する繊維束20に突き入れ、繊維束20の長手方向に略平行な分繊処理区間23を生成する。分繊する繊維束数に応じて、複数の分繊手段21を同時に用いることも可能である。複数の分繊手段21を、並列、互い違い、位相をずらす等して、複数の突出部22を任意に配置することができる。
複数の単糸からなる繊維束20を、分繊手段21により本数のより少ない分繊束に分けていく場合、複数の単糸は、実質的に繊維束20内で、引き揃った状態ではなく、単糸レベルでは交絡している部分が多いため、分繊処理中に接触部24付近に単糸が交絡した絡合部25を形成する場合がある。ここで、絡合部25を形成するとは、例えば、分繊処理区間内に予め存在していた単糸同士の交絡を分繊手段21により接触部24に形成(移動)させる場合や、分繊手段21によって新たに単糸が交絡した集合体を形成(製造)させる場合等が挙げられる。
任意の範囲に分繊処理区間23を生成した後、分繊手段21を繊維束20から抜き取る。この抜き取りによって分繊処理が施された分繊処理区間23が生成し、それと同時に絡合部25が集積した絡合集積部26が生成する。また、分繊処理中に繊維束から発生した毛羽は毛羽溜まり27として分繊処理時に絡合集積部26付近に生成することがある。
その後再度分繊手段21を繊維束20に突き入れることで、未分繊処理区間28が生成する。
本発明において使用する強化繊維の繊維束は、複数の単糸からなる繊維束であれば繊維種類は特に限定されるものではない。中でも、炭素繊維、アラミド繊維およびガラス繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらは単独で使用してもよく2種類以上を併用することもできる。中でも炭素繊維は、軽量でかつ強度に優れた複合材料を提供することが可能となるので、特に好適である。炭素繊維としては、PAN系、ピッチ系のいずれでもよく、その平均繊維径は3〜12μmが好ましく、6〜9μmがより好ましい。
炭素繊維の場合は、通常、連続繊維からなる単糸が3000〜60000本程度集束した繊維束を、ボビンに巻き取った巻糸体(パッケージ)として供給される。繊維束は無撚りが好ましいものの、撚りが入っているストランドでも使用可能であり、搬送中に撚りが入っても、本発明には適用可能である。単糸数にも制約はなく、単糸数が多い、いわゆるラージトウを用いる場合は、繊維束の単位重量あたりの価格は安価であるため、単糸数が多いほど、最終製品のコストを減らすことができて好ましい。また、ラージトウとして、繊維束同士を1つの束にまとめて巻き取った、いわゆる合糸した形態を使用してもよい。
上記のような強化繊維を用いる際は、マトリックス樹脂[M]との接着性を向上する等の目的で表面処理されていることが好ましい。表面処理の方法としては,電解処理、オゾン処理、紫外線処理等がある。また、強化繊維の毛羽立ちを防止したり、繊維束の収束性を向上させたり、マトリックス樹脂[M]との接着性を向上する等の目的でサイジング剤が付与されていても構わない。サイジング剤としては、特に限定されないが、エポキシ基、ウレタン基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を有する化合物が使用でき、これらは1種または2種以上を併用してもよい。
本発明において使用する繊維束は、予め集束された状態であることが好ましい。ここで予め集束された状態とは、例えば、繊維束を構成する単糸同士の交絡による集束した状態や、繊維束に付与されたサイジング剤による集束した状態、繊維束の製造工程で含有されてなる撚りによる集束した状態を指す。
次に、図6に、部分分繊繊維束の斜め切断を採用した本発明における基本的な技術思想を、図7の部分分繊繊維束の直交切断を採用した場合と比較しながら説明する。図6、図7において、31は、複数の単糸からなる繊維束の長手方向に沿って、複数の束に分繊された分繊処理区間32と、前述の絡合部等を含む未分繊処理区間33とが交互に形成されてなる部分分繊繊維束を示している。図7においては、部分分繊繊維束31に対する切断面35が繊維束の長手方向X−Xに対して直交する方向(90°方向)とされているのに対し、本発明においては繊維束の長手方向X−Xに対する切断面34の角度θが斜め方向の角度θ(0°<θ<90°)とされている。
そして、上記のような切断により得られた不連続強化繊維の束状集合体[A]と、マトリックス樹脂[M]とを含む繊維強化樹脂成形材料をランダムに分散し加熱・加圧して成形された成形品からマトリックス樹脂[M]を焼き飛ばして不連続強化繊維の束状集合体[A]のみを残して平面図として観察すると、例えば図6、図7の右側に例示されるような不連続強化繊維束状集合体分布図となる。図7における分布図では、主として絡合部等を含む未分繊処理区間33の両側で切断面35で切断されることによって形成された、繊維束長手方向端部が比較的幅広で繊維束長手方向に対し直交する方向に延びる端部として形成された束状集合体36が実質的に元の形態と同様の形態でそのまま残っている。このような束状集合体36の端部では前述したように、応力集中が起こりやすく、成形品の力学特性の低下やそのばらつきの原因となる。これに対し、図6における分布図では、このような応力集中の起こりやすい形態の束状集合体36は無く、例えば絡合部等を含む未分繊処理区間33を含んで斜めに切断されることによって形成された束状集合体37においても、比較的狭幅でかつ端部にいくほどより狭幅になり、しかも束状集合体36におけるような応力集中の起こりやすい端部を有さない束状集合体の形態となる。したがって、成形品の力学特性の向上や、力学特性のばらつきの低減が可能となる。
上記のように形成される不連続強化繊維の束状集合体[A]は、例えば、
分繊処理によって任意の束本数へと分割された分繊束集合体[a]と、
未分繊処理区間、および/または絡合部、および/または絡合集積部によって、繊維束の単糸同士が結合された結合束集合体[b]と、
未分繊処理区間、および/または絡合部、および/または絡合集積部と、部分分繊繊維束の切断時の切断面とが交差し、該交差部において、繊維束の単糸同士の結合が切断されている結合切断集合体[c]のうちの、少なくとも一種の集合体を含む形態とすることができる。
上記分繊束集合体[a]は、例えば図8に示すように、部分分繊繊維束41の分繊処理区間42内において切断角度θ(0°<θ<90°)で繊維束の長手方向に対して斜めの切断面43にて切断されることにより、小幅で所定長の、任意の複数の分繊束集合体[a]として形成される。
上記結合束集合体[b]について例示するに、結合束集合体[b]は、例えば図9に示すように、部分分繊繊維束51の主として未分繊処理区間52において切断角度θ(0°<θ<90°)で繊維束の長手方向に対して斜めの切断面53にて切断されることにより、繊維束長手方向端部に切り込みが入ったような結合束集合体[b]として形成される。あるいは、結合束集合体[b]は、例えば図10に示すように、部分分繊繊維束61の未分繊処理区間62と端部に絡合部63を有する分繊処理区間64とにわたって、切断角度θ(0°<θ<90°)で繊維束の長手方向に対して斜めの切断面65にて切断されることにより、繊維束長手方向端部に深い切り込みが入ったような、絡合部63を有する結合束集合体[b]として形成される。あるいは、結合束集合体[b]は、例えば図11に示すように、部分分繊繊維束71の未分繊処理区間72と端部に絡合集積部73を有する分繊処理区間74とにわたって、切断角度θ(0°<θ<90°)で繊維束の長手方向に対して斜めの切断面75にて切断されることにより、繊維束長手方向端部に深い切り込みが入ったような、絡合集積部73を有する結合束集合体[b]として形成される。
また、上記結合切断集合体[c]は、例えば図12に示すように、部分分繊繊維束81の主として未分繊処理区間82を含むようにあるいは未分繊処理区間82を全長にわたって斜めに横切るように、切断角度θ(0°<θ<90°)で繊維束の長手方向に対して斜めの切断面83にて切断されることにより、平均繊維束長が比較的長い小幅の、長手方向端部がさらに小幅になった結合切断集合体[c]として形成される。図示例では、未分繊処理区間82と、部分分繊繊維束81の切断時の切断面83とが交差し、該交差部において、繊維束81の単糸同士の結合が切断されている。
なお、上記結合切断集合体[c]は平均繊維束長が比較的長くなることから、繊維束切断時や、集合体の散布時などにおいて、未分繊処理区間においても自然と繊維束に割れが生じ、より単糸数の少ない集合体が形成される場合がある。このような小束化した集合体も本発明においては上記結合切断集合体[c]に含む。
不連続強化繊維の束状集合体[A]は、上記のような分繊束集合体[a]と、結合束集合体[b]と、結合切断集合体[c]のうちの、少なくとも一種の集合体を含む形態を採ることができる。上記束状集合体[A]において、より優れた力学特性と低ばらつきを発現する観点から、上記結合束集合体[b]の含有率が0〜15%の範囲にあることが好ましい。ここで本発明において含有率とは、束状集合体[A]中に占める結合束集合体[b]の頻度割合を指す。すなわち、束状集合体[A]の総本数をN(A)とし、その中に含まれる結合束集合体[b]の本数をN(b)とすると、下記式(2)によって表される。
{N(b)/N(A)}×100 ・・・(2)
本発明においては、上記のような束状集合体[A]を含む繊維強化樹脂成形材料を製造する場合、上記束状集合体[A]を得る際に、下記式(1)を満たすように部分分繊繊維束を切断することが望ましい。
W・cosθ/D≧3 ・・・(1)
W:部分分繊繊維束切断時の繊維束幅
D:束状集合体[A]における切断面の間隔
例えば図13に示すように、切断角度をθ、部分分繊繊維束91の切断時の繊維束の幅をW、切断面92の間隔をDとすると、△xyzにおける辺xyの長さtは、
t=D/cosθ
となり、繊維束の幅Wを幅方向に切断面によって切断する数W/tが望ましくは、
W/t≧3
とすると、上記式より、前記式(1)が成り立つ。前記式(1)を満たすように部分分繊繊維束を切断することによって、前記結合切断集合体[c]が効果的に細束化され、力学特性の向上に寄与するため好ましい。
この式(1)からは、結合集合体[b]を小さく細断するにはWを大きくする(繊維束幅を広げる)のが効果的であることが分かる。この時、Wを大きくすることによって、切断して得られた束状集合体[A]の厚みが薄くなるため、成形品中において束状集合体[A]端部の応力集中の緩和や、束状集合体[A]とマトリックス樹脂の分布の均一性が向上するため、優れた力学特性を発現しやすくなる観点からも好ましい。ただし、Wの値が大きすぎると、繊維束を構成する単糸同士の集束力が低下し、部分分繊繊維束を切断時に、束状集合体としての形態を維持できず、単糸割れが発生しやすくなり、前記繊維強化樹脂成形材料の成形時に流動性の低下を招く場合がある。したがって、Wは5mm≦W≦100mmの範囲であるのが好ましく、より好ましくは5mm≦W≦50mmである。
また、切断角度θ(0°<θ<90°)を小さくするのも良い。ただし、束形態保持性やプロセス性から限界がある。また、上記式(1)を満たすためには、切断面の間隔Dでも制御できるが、繊維長が変動してしまうおそれがあるため、狙いの繊維長に切断できるように基本的にはDは固定値としておくのが良い。
本発明に係る繊維強化樹脂成形材料の製造方法において、前記束状集合体[A]を得る際に、部分分繊繊維束をインサイドプル方式で巻き出し、切断工程に供するのが好ましい。本発明においてインサイドプル方式とは、繊維束が巻き芯(一般的に紙製の管が用いられる)に巻き取られたボビンをクリールに設置し、ボビンの外側の繊維束末端から繊維束を巻きだす手法とは異なり、ボビンの巻き芯を除去し、図14に示すように、ボビンの巻き方向100に対して垂直に設置した状態で、ボビン内側に存在する繊維束末端をボビンの巻き方向に対して垂直に引き出す方式を指す。
上記インサイドプル方式によれば、部分分繊繊維束を切断工程に供する際に、ボビンの外側の繊維束末端と、同様に巻き芯を除去した他のボビンのボビン内側の繊維束末端とを糸つなぎしておくことで、切断加工を長時間連続的に実施することができるため好ましい。特に前記インサイドプル方式では、切断加工と平行して糸つなぎの作業を実施することができ、生産性を向上できるため好ましい。また、繊維束巻き出し時に、巻き出された繊維束がボビン上でトラバースした際に生じるボビンとの擦過が無くなるため、擦過毛羽の発生を抑制できる観点からも好ましい。
一方、前記インサイドプル方式では、繊維束を巻き方向に対して垂直に引き出すため(繊維束の引き出し方向101)、繊維束に解じょ撚り102が生じる場合がある。このような解じょ撚りを含む部分分繊繊維束103を切断すると、撚りの入り方によっては得られる前記束状集合体[A]の繊維長が不均一になったり、部分分繊繊維束の切断面が直線にならない場合があるが、いずれも本発明の効果を損なうレベルではなく、実質的には撚りの無い繊維束を切断したものと同等に扱うことができる。
このように、本発明により、分繊処理区間と未分繊処理区間とが交互に形成されてなる部分分繊繊維束を、繊維束の長手方向に対して斜めに切断することによって形成された特定の不連続強化繊維の束状集合体[A]を有していることにより、成形品にした際の極めて高い力学特性(強度、弾性率)を実現できるとともにその力学特性のばらつきを小さく抑えることが可能になる。
次に、本発明の実施例、比較例について説明する。なお、本発明は本実施例や比較例によって何ら制限されるものではない。
[使用原料]
繊維束[A−1]:
繊維径7μm、引張弾性率230GPa、単糸数12,000本の連続した炭素繊維束(東レ(株)製、“トレカ(登録商標)”T700S−12K−50−E)を用いた。
繊維束[A−2]:
繊維径7.2μm、引張弾性率240GPa、単糸数50,000本の連続した炭素繊
維束(ZOLTEK社製、“Panex35(登録商標)”)を用いた。
マトリックス樹脂[M−1]:
ビニルエステル樹脂(ダウ・ケミカル(株)製、“デラケン(登録商標)790”)を100重量部、硬化剤としてtert−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製、“パーブチル(登録商標)Z”)を1重両部、増粘剤として酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製、MgO#40)を4重量部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛(堺化学工業(株)製、SZ−2000)を2重量部を、十分に混合・攪拌して得られた樹脂コンパウンドを用いた。
[束状集合体[A]の分類、及び、結合束集合体[b]含有率の算出方法]
繊維強化樹脂成形材料から100mm×100mmの試料を切り出し、前記試料を600℃×1時間、炉内にて加熱し樹脂を除去した。続いて、樹脂を除去した試料から、束状集合体[A]を400本ピンセットを用いて取り出し、以下の基準によって、分繊束集合体[a]、結合束集合体[b]、結合切断集合体[c]へと分類した。
分繊束集合体[a]:部分分繊繊維束において、施された分繊処理に起因して分割された細束を分繊束集合体[a]とした。
結合束集合体[b]:部分分繊繊維束において、未分繊処理区間や絡合部、絡合集積部などの束間結合因子によって、「束同士が結合された形状である」と判断できるものを結合束集合体[b]とした。なお、本発明において、前記「束同士が結合された形状」とは、ピンセットを用いて束状集合体[A]を持ち上げた際に、少なくとも2束以上の束状集合体[A]が同時に持ち上がり、軽く振動させても個別の束へと分離されない状態を指す。
結合切断集合体[c]:部分分繊繊維束において、未分繊処理区間や絡合部、絡合集積部などの束間結合因子を切断して分割された形跡のあるもの、もしくは切断された後にプロセス上の自然な糸割れによって小片化したものと判断できるものを結合切断集合体[c]とした。
さらに、上記で分類された結合束集合体[b]の総本数から、繊維強化樹脂成形材料中の結合束集合体[b]の含有率を算出した。
[力学特性の評価方法]
平板を製作することが可能である金型No.1を用いた。繊維強化樹脂成形材料を金型No.1の中央部に配置(チャージ率にして50%)した後、加圧型プレス機により10MPaの加圧のもと、約140℃×5分間の条件により硬化させ、300×400mmの平板を得た。平板長手方向を0°とし、得られた平板より0°と90°方向から、それぞれ100×25×1.6mmの試験片を5片(合計10片)切り出し、JIS K7074(1988年)に準拠し測定を実施した。
(実施例1)
繊維束[A−1]を、ワインダーを用いて一定速度10m/minで巻出し、5Hzで軸方向へ振動する振動拡幅ロールに通し、拡幅処理を施した後に、20mm幅の幅規制ロールを通すことで20mmへ拡幅した拡幅繊維束を得た。得られた拡幅繊維束に対して、厚み0.2mm、幅3mm、高さ20mmの突出形状を具備する分繊処理用鉄製プレートを、強化繊維束の幅方向に対して5mm等間隔に並行にセットした分繊処理手段を準備した。この分繊処理手段を拡幅繊維束に対して、間欠式に抜き挿しし、部分分繊繊維束を得た。
この時、分繊処理手段は一定速度10m/minで走行する拡幅繊維束に対して、3sec間分繊処理手段を突き刺し分繊処理区間を生成し、0.2sec間で分繊処理手段を抜き、再度突き刺す動作を繰り返し行なった。
得られた部分分繊繊維束は、分繊処理区間で繊維束が幅方向に対して4分割に分繊されており、少なくとも1つの分繊処理区間の少なくとも1つの端部に、単糸が交絡した絡合部が集積されてなる絡合集積部を有していた。部分分繊繊維束を1500m作成したところ、一度も糸切れ、巻きつきを起こすこと無く、繊維束内に存在した繊維の撚りは分繊処理手段を抜き挿しする際に走行方向へ通過し、安定した幅で分繊処理を行うことが出来た。
得られた部分分繊繊維束をクリールに設置し、ボビン外側の繊維束端部から巻き出し、繊維束の長手方向に対して角度15°に切断刃が傾いたロータリーカッターへ連続的に挿入して繊維束を切断し、不連続強化繊維の束状集合体[A]を得た。この時、繊維長25mmに切断できるように事前に切断間隔を6.5mmに調整した。また、挿入した部分分繊繊維束は、部分分繊繊維束の巻取り工程や、切断工程中の糸張力がかかることによって、上述の分繊処理工程を施す際に20mm幅まで拡幅したものであるが、切断時における繊維束幅Wは7mmであった。
上記切断工程から続いて、束状集合体[A]を均一分散するように散布することにより、繊維配向が等方的である不連続繊維不織布を得た。得られた不連続繊維不織布の目付は1kg/mであった。
マトリックス樹脂[M−1]をドクターブレードを用いて均一にポリプロピレン製の離型フィルム2枚それぞれに塗布し、2枚の樹脂シートを作製した。これら2枚の樹脂シートで上記の得られた不連続繊維不織布を上下から挟み込み、ローラーで樹脂を不織布中に含浸させることにより、シート状の繊維強化樹脂成形材料を得た。この時、繊維強化樹脂成形材料の強化繊維重量含有率が47%になるように、樹脂シート作製の段階で樹脂の塗布量を調整した。
得られた繊維強化樹脂成形材料について、前述の束状集合体[A]の分類、及び、結合束集合体[b]含有率の算出方法に基づき、結合束集合体[b]含有率を算出したところ、13%であった。また、前述の力学特性の評価方法に基づき、繊維強化樹脂成形材料を成形し、力学特性を評価した。得られた一連の評価結果は表1に示す。
(実施例2)
繊維束[A−2]を、ワインダーを用いて一定速度10m/minで巻出し、10Hzで軸方向へ振動する振動拡幅ロールに通し、拡幅処理を施した後に、60mm幅の幅規制ロールを通すことで60mmに拡幅した拡幅繊維束を得た。得られた拡幅繊維束に対して突出形状を具備する分繊処理用鉄製プレートを強化繊維束の幅方向に対して3.5mm等間隔に並行にセットした分繊処理手段を用いて部分分繊繊維束を作製した以外は実施例1と同様にして評価を行った。この時、得られた部分分繊繊維束は分繊処理区間で繊維束が幅方向に対して17分割に分繊されており、少なくとも1つの分繊処理区間の少なくとも1つの端部に、単糸が交絡した絡合部が集積されてなる絡合集積部を有していた。また、繊維束[A−1]に比べて繊維束の単糸数が多いため、繊維束切断時の幅Wは20mmであった。得られた一連の評価結果は表1に示す。
(実施例3)
束状集合体[A]の繊維長が12.5mmになるように、切断間隔を3.2mmに調整した以外は、実施例2と同様にして評価を行った。得られた一連の評価結果は表1に示す。
(実施例4)
繊維束の切断角度が30°、繊維長が12.5mmになるように、ロータリーカッターの切断刃の傾きと切断間隔を6.2mmに調整した以外は実施例2と同様にして評価を行った。得られた一連の評価結果は表1に示す。
(実施例5)
繊維束の切断角度が45°、繊維長が12.5mmになるように、ロータリーカッターの切断刃の傾きと切断間隔を8.8mmに調整した以外は実施例2と同様にして評価を行った。得られた一連の評価結果は表1に示す。
(実施例6)
繊維束切断時の幅Wが30mmになるように、部分分繊繊維束を巻き取る直前に、繊維束の拡幅幅維持のためのしごきローラーを設置し、部分分繊繊維束幅を調整した以外は実施例3と同様にして評価を行った。得られた一連の評価結果は表1に示す。
(実施例7)
繊維束切断時の幅Wが45mmになるように、部分分繊繊維束を巻き取る直前に、繊維束の拡幅幅維持のためのしごきローラーを設置し、部分分繊繊維束幅を調整した以外は実施例2と同様にして評価を行った。得られた一連の評価結果は表1に示す。
(実施例8)
繊維束をロータリーカッターへ挿入するために巻き出す際に、繊維束が巻き取られた紙管を除去し、ボビン内側の繊維束端部から巻き出すインサイドプル方式にて繊維束を巻き出した以外は実施例3と同様にして評価を行った。得られた一連の評価結果は表1に示す。
(比較例1)
部分分繊繊維束を切断する際に、繊維束の長手方向に対して角度90°、切断間隔25mmに切断刃が設置されたロータリーカッターを用いて束状集合体[A]を得た以外は実施例1と同様にして評価を行った。得られた一連の評価結果は表2に示す。
(比較例2)
部分分繊繊維束を切断する際に、繊維束の長手方向に対して角度90°、切断間隔25mmに切断刃が設置されたロータリーカッターを用いて束状集合体[A]を得た以外は実施例2と同様にして評価を行った。得られた一連の評価結果は表2に示す。
(比較例3)
繊維束[A−2]に分繊処理を施さないまま、切断し、束状集合体[A]を得た以外は実施例2と同様にして評価を行った。得られた一連の評価結果は表2に示す。
Figure 0006846015
Figure 0006846015
実施例1〜8について、優れた力学特性(曲げ強度、弾性率)、低ばらつきを両立して発現することが確認できた。実施例4、5については、切断角度を大きくすることにより、繊維束端部部位における応力集中が大きくなるため、力学特性の低下が見られたが、問題ないレベルであることを確認した。また、実施例3、6、7については、切断時の繊維束幅を調整することによって、未分繊処理区間や絡合部、絡合集積部などの束間結合因子を細分化することができ、力学特性の向上と、ばらつきの低減(例えば、曲げ弾性率のCV(Coefficient of Variation)値の低減)に著しい効果があることを確認できた。実施例8については、部分分繊繊維束を切断して得られた束状集合体[A]を散布時に少量採取し、繊維長の確認を行ったところ、繊維長が12.5mmから外れたものも見られたが、その割合は小さく、実質的には狙いの繊維長に切断されていると判断できるレベルであった。
一方、比較例1〜3について、比較例1、2においては、繊維束の切断角度を90°で切断したため、繊維束端部部位での応力集中が発生し、さらに結合束集合体[b]の含有率も高く、力学特性の低下とばらつきの増大が見られた。また、比較例3においては、強化繊維束に分繊処理を施さなかったがために、結合束集合体[b]の含有率が高く、比較例1、2と同様、力学特性の低下とばらつきの増大が見られた。
本発明は、とくに高い力学特性とその力学特性のばらつきの低減が求められるあらゆる成形品の製造に使用可能な繊維強化樹脂成形材料を提供できる。
1、17、31、41、51、61、71、81、91 部分分繊繊維束
2,13、15、23、32、42、64、74 分繊処理区間
3、14、16、28、33、52、62、72、82 未分繊処理区間
4 切断刃
5 束状集合体[A]
11、25、63 絡合部
12、26、73 絡合集積部
20 繊維束
21 分繊手段
22 突出部
24 接触部
27 毛羽溜まり
34、35、43、53、65、75、83、92 切断面
36、37 束状集合体
100 ボビンの巻き方向
101 繊維束の引き出し方向
102 繊維束の解じょ撚り
103 解じょ撚りを含む部分分繊繊維束

Claims (6)

  1. 少なくとも不連続強化繊維の束状集合体[A]と、マトリックス樹脂[M]とを含む繊維強化樹脂成形材料であって、
    前記束状集合体[A]は、複数の単糸からなる繊維束の長手方向に沿って、複数の束に分繊された分繊処理区間と、未分繊処理区間とが交互に形成されてなる部分分繊繊維束を、前記繊維束の長手方向に対して角度θ(0°<θ<90°)で切断したものであることを特徴とする繊維強化樹脂成形材料。
  2. 前記部分分繊繊維束において、少なくとも1つの前記分繊処理区間の少なくとも一方の端部に前記単糸が交絡した絡合部、および/または該絡合部が集積されてなる絡合集積部が形成されている、請求項1に記載の繊維強化樹脂成形材料。
  3. 前記束状集合体[A]が、
    分繊処理によって任意の束本数へと分割された分繊束集合体[a]と、
    前記未分繊処理区間、および/または前記絡合部、および/または前記絡合集積部によって、繊維束の単糸同士が結合された結合束集合体[b]と、
    前記未分繊処理区間、および/または前記絡合部、および/または前記絡合集積部と、前記部分分繊繊維束の切断時の切断面とが交差し、該交差部において、前記繊維束の単糸同士の結合が切断されている結合切断集合体[c]のうちの、少なくとも一種の集合体を含む、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂成形材料。
  4. 前記束状集合体[A]において、前記結合束集合体[b]の含有率が0〜15%の範囲にある、請求項3に記載の繊維強化樹脂成形材料。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料を製造する方法であって、前記束状集合体[A]を得る際に、下記式(1)を満たすように前記部分分繊繊維束を切断することを特徴とする、繊維強化樹脂成形材料の製造方法。
    W・cosθ/D≧3 ・・・(1)
    W:部分分繊繊維束切断時の繊維束幅
    D:束状集合体[A]における切断面の間隔
  6. 前記部分分繊繊維束を切断する前の任意のタイミングにおいて、前記部分分繊繊維束に拡幅処理を施す、請求項5に記載の繊維強化樹脂成形材料の製造方法。
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