JP6841014B2 - 脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂及びそれを含んでなる粘着性組成物 - Google Patents

脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂及びそれを含んでなる粘着性組成物 Download PDF

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本発明は、新規な脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂に関するものであり、特にホットメルト型粘着性組成物に適度のタック(初期粘着性)、粘着力、保持性(保持力、凝集力)のバランスに優れた粘着性を付与することが可能となる脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂及びそれを含んでなる粘着性組成物に関するものである。
粘着剤は、水、溶剤、熱などを用いることなく、常温で短時間わずかな圧力を加えるだけで粘(接)着することを可能とする。一般的な粘着剤は、プラスチックフィルム、セロハン、紙、布などに塗布し、各種粘着テープ、粘着ラベル、粘着シートとして多様な粘着製品に加工され、使用されている。
これら粘着剤は、各種の高分子エラストマーをベースに必要に応じて粘着付与剤、架橋剤、安定剤、可塑剤などを配合して構成される。そして、現在は溶剤回収・乾燥が不要、火災の心配がない、大気や作業環境の汚染がない等の理由から、ホットメルト型粘着剤が普及している。
ホットメルト型粘着剤は、一般的にスチレン−イソプレン−スチレン型ブロック共重合体をベースポリマーとして、石油樹脂などの粘着付与剤、必要に応じてナフテン系オイルやパラフィン系オイルなどの軟化剤を配合し構成される粘着性組成物が知られている。
そして、この際の石油樹脂とは、石油類の分解、精製の際に得られる不飽和炭化水含有留分を重合して得られるものであり、その製造方法としては、不飽和炭化水素含有留分を原料として、フリーデルクラフツ型触媒の存在下に重合する方法が良く知られている。その炭化水素含有留分としては、沸点範囲が20〜110℃(C5留分と称する場合もある。)、沸点範囲が140〜280℃(C9留分と称する場合もある。)の2種類が一般的であり、C5留分から得られる石油樹脂を脂肪族石油樹脂、C9留分から得られる石油樹脂を芳香族石油樹脂、C5留分とC9留分とを共重合して得られる石油樹脂を脂肪族−芳香族共重合石油樹脂として分類している。また、ジシクロペンタジエン類を熱重合することで得られるジジクロペンタジエン重合体を脂環族石油樹脂と称する場合もある。
その中で脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂およびそれらを共重合する脂肪族−芳香族共重合石油樹脂、また芳香族−脂環族共重合石油樹脂などがスチレン−イソプレン−スチレン型ブロック共重合体を含む粘着性組成物の粘着付与剤として使用されることが知られている(例えば特許文献1〜3参照)。また、芳香族化合物で変性した脂肪族炭化水素樹脂に(ジ)シクロジオレフィンを含む原料を使用する石油樹脂が使用されている(例えば特許文献4参照)。
脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂として、さらに不飽和カルボン酸による変性を施し、パラフィンワックスを配合した組成物を水性媒体中に乳化分散することにより、優れた乳化分散性を示すとともに撥水効果を発現するエマルション溶液が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
特開平07−011220号公報 特公平02−028624号公報 特開平08−041436号公報 特許第4430816号公報 特開2013−107953号公報
しかし、特許文献1〜4に記載の石油樹脂を粘着付与剤として用い粘着剤とした場合、得られる粘着剤にはまだまだ改良の余地を有するものであった。
また、特許文献5に提案の変性脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂、エマルションは粘着付与剤、粘着剤としての提案はなされていないものであった。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱可塑性エラストマー等をベースポリマーとするホットメルト型粘着性組成物として配合した際に、適度のタック、粘着力、保持性のバランスに優れる粘着性を付与する新規の脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、C5留分に由来する脂肪族成分、C9留分に由来する芳香族成分、ジシクロペンタジエン類成分(DCPD類成分と記す場合もある。)の共重合成分が特定の範囲にある新規な脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂が粘着付与剤として優れた性能を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、JIS K−2531(1960)(環球法)に準拠した軟化点が75〜110℃、ポリスチレンを標準物質とし、JIS K−0124(1994年)に準拠し、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと記す場合もある。)により測定した重量平均分子量(以下、Mwと記す場合もある。)/数平均分子量(以下、Mnと記す場合もある。)が2.3〜3.0、プロトンNMRにより測定した(1)脂肪族性水素面積比率が79〜85%、(2)DCPD類二重結合性水素面積比率が9〜7%、(3)芳香族性水素面積比率が12〜8%を示すことを特徴とする脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂に関するものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂は、C5留分、C9留分、ジシクロペンタジエン類留分を共重合してなる石油樹脂であり、JIS K−2531(1960)(環球法)に準拠した軟化点が75〜110℃、ポリスチレンを標準物質とし、JIS K−0124(1994年)に準拠し、GPCにより測定したMw/Mnが2.3〜3.0、プロトンNMRにより測定した(1)脂肪族性水素面積比率が79〜85%、(2)DCPD類二重結合性水素面積比率が9〜7%、(3)芳香族性水素面積比率が12〜8%を示す脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂である。
本発明の脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂は、C5留分に由来する脂肪族成分、C9留分に由来する芳香族成分、ジシクロペンジエン類留分に由来するDCPD類成分を共重合成分として構成される石油樹脂である。
該脂肪族成分としては、例えばブテン、ブタジエン、イソブテン等の炭素数4の脂肪族化合物;2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、イソプレン、ピペリレン等の炭素数5の鎖状脂肪族化合物;シクロペンタジエン等の炭素数5の環状脂肪族化合物;1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−2−ペンテン、3−メチル−2−ペンテン、4−メチル−2−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン等の炭素数6の鎖状脂肪族化合物;メチルシクロペンタジエン等の炭素数6の環状脂肪族化合物;1−へプテン、2−へプテン、3−へプテン、2−メチル−3−ヘキセン、4−メチル−2−ヘキセン、3,4−ジメチル−2−ペンテン等の炭素数7の鎖状脂肪族化合物;これらの混合物、さらにはC5留分と称される混合物に基づく成分を挙げることができ、特に入手が容易であり、粘着付与剤として優れた性能を有することから、炭素数4〜6の鎖状脂肪族化合物に基づく成分であることが好ましい。
該芳香族成分としては、例えばスチレン等の炭素数8の芳香族化合物;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン等の炭素数9の芳香族化合物;1−メチルインデン、2−メチルインデン、3−メチルインデン等の炭素数10の芳香族化合物;2,3−ジメチルインデン、2,5−ジメチルインデン等の炭素数11の芳香族化合物;これらの混合物、さらにはC9留分と称される混合物に基づく成分を挙げることができ、特に入手が容易であり、粘着付与剤として優れた性能を有することから、炭素数8〜10の芳香族化合物に基づく成分であることが好ましい。
DCPD類成分としては、例えばジシクロペンタジエン等の炭素数10の環状脂肪族化合物;メチルジシクロペンタジエン等の炭素数11の環状脂肪族化合物;ジメチルジシクロペンタジエン等の炭素数12の環状脂肪族化合物;これらの混合物、さらにはジシクロペンタジエン類留分と称される混合物に基づく成分を挙げることができ、特に入手が容易であり、粘着付与剤として優れた性能を有することから、炭素数10〜12のジシクロペンタジエン化合物に基づく成分が挙げられる。
本発明の脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂は、クロロホルム−dを溶媒として用いたプロトンNMRにより測定し、観測したスペクトルの面積百分率が下記(1)〜(3)の条件を満たすものである。
(1)0.2〜4.0ppmに観測される脂肪族成分に由来する水素の面積比率が79〜85%である。
(2)4.4〜6.3ppmに観測されるDCPD類成分の二重結合に由来する水素の面積比率が9〜7%である。
(3)6.3〜7.6ppmに観測される芳香族成分に由来する水素の面積比率が8〜12%である。
これら(1)〜(3)を満足する、即ち、本発明の脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂を構成する脂肪族成分、芳香族成分、DCPD類成分が特定の構成割合を満足することにより、粘着性組成物とした際にタック、粘着力、保持性のバランスに優れた粘着性を付与することが可能となる脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂となるものである。
本発明の脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂は、JIS K−2531(1960)(環球法)に準拠し、測定した軟化点が75〜110℃のものであり、80〜100℃であることが好ましい。ここで、軟化点が75℃未満である場合、又は110℃を超える場合、粘着付与剤としての性能に劣る石油樹脂となる。
本発明の脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂は、ポリスチレンを標準物質とし、JIS K−0124(1994年)に準拠し、GPCにより測定したMw/Mnが2.3〜3.0のものである。ここで、Mw/Mnが2.3未満のものである場合、又は3.0を超えるものである場合、粘着性組成物とする際の混合性(相溶性)に劣るものとなり、粘着性の劣るものとなる。また、粘着性組成物とした際に加工性に優れる粘着性組成物となることから、Mwが2000〜4000の脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類石油樹脂であることが好ましい。
本発明の脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂は、粘着性組成物とした際に外観の優れるものとなることから、50重量%トルエン溶液として、ASTM D−1544−63Tに準拠し測定した色相(ガードナー色相)が4〜9であることが好ましく、特に5〜7であることが好ましい。
本発明の脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂の製造方法としては特に制限はなく、いかなる方法で製造しても差し支えなく、例えば、石油類の熱分解により得られる、沸点範囲が20〜110℃の留分(C5留分;脂肪族成分)沸点範囲が140〜280℃の留分(C9留分;芳香族成分)、ジシクロペンタジエン類留分を含む混合物を原料油として用い、この混合物に触媒を加え、加熱し重合することにより製造できる。重合に用いる触媒としては、特に限定はなく、例えば三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三フッ化ホウ素あるいはその錯体等が挙げられる。中でも触媒活性に優れることから、三フッ化ホウ素のフェノール錯体が好ましい。重合時の溶媒は、C5留分およびC9留分中の飽和炭化水素を挙げることができる。また、原料油としては、特に軟化点、色相に優れる脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂が得られることから、脂肪族成分35〜45重量%、芳香族成分24〜15重合%及びDCPD類成分50〜31重量%を混合配合してなる原料油であることが好ましい。
製造を行う際の重合温度としては、特に制限はなく、重合活性が高く生産性に優れるものとなることから、20〜80℃が好ましく、特に30〜60℃であることが好ましい。また、触媒量及び重合時間は、温度や原料油中の水分濃度により適宜選択可能であり、通常、例えば、原料油に対して触媒0.1〜2.0重量%、重合時間0.1〜10時間が好ましい。反応圧力も特に制限はなく、大気圧〜1MPaが好ましい。雰囲気も特に制限はなく、中でも窒素雰囲気が好ましい。
本発明の脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂は、粘着性組成物にタック、粘着力、保持性のバランスに優れた粘着性を付与する粘着付与剤として適したものであり、熱可塑性エラストマー、プロセスオイル等と配合することによりタック、粘着力、保持性のバランスに優れた粘着性組成物とすることができる。
該熱可塑性エラストマーとしては、特に制限はなく、例えばスチレン−イソプレン−スチレン型ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン型ブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系熱可塑性エラストマー;ウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、その中でもスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、特にスチレン−イソプレン−スチレン型ブロック共重合体が好ましい。
該プロセスオイルとしては、特に制限はなく、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル等が挙げられる。
該粘着性組成物の構成割合としては、特に制限はなく、中でも、特にタック、粘着力、保持性のバランスに優れた粘着性組成物となることから、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂20〜200重量部、特に好ましくは70〜130重量部、プロセスオイル5〜150重量部、特に好ましくは20〜70重量部、を配合してなるものであること好ましい。
また、該粘着性組成物は、熱耐久性を付与したものとなることから、酸化防止剤を配合することが好ましい。配合量としては熱可塑性エラストマー100重量部に対して、3重量部以下が好ましく、特に好ましくは2重量部以下である。具体的な酸化防止剤としては、粘着剤の分野で酸化防止剤として一般に使用されているものであれば特に限定はなく、例えば(商品名)イルガノックス1010が挙げられる。
該粘着性組成物の製造方法としては、該粘着剤組成物が得られる限り特に制限はなく、例えば混練のための適当な形状を持つブレードを備えたブレードミキサーに各配合成分を投入して加熱混練し製造する方法;一軸または二軸のスクリューを備えた押出機型混練機を用いて連続的に製造する方法等が挙げられる。また各配合成分をトルエンなどの溶剤の存在下に攪拌混合して粘着剤溶液とすることができ、さらにゴムラテックスに予めエマルジョン化した炭化水素樹脂を攪拌混合して粘着剤エマルジョンとすることもできる。
該粘着性組成物は、良好なタック、粘着力、保持力を有すると共に、それらのバランスにも優れるものであり、具体的にはタック(JIS Z−0237に準拠)は8ボールNo以上が好ましく、特に好ましくは11ボールNo以上、粘着力(JIS Z−0237に準拠)は11N/25mm以上が好ましく、特に好ましくは14N/25mm以上、保持力(JIS Z−0237に準拠)は150分以上が好ましく、特に好ましくは200分以上である。
該粘着性組成物は、通常、塗布機を用いて所望の基材に塗布され、各種の粘着テープあるいは粘着ラベル製品等とすることができる。
本発明によれば、新規な脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂を提供し、該脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂は、タック、粘着力、保持性のバランスに優れた粘着性組成物を提供するものであり、工業的にも非常に有用である。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限を受けるものではない。
脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂の分析方法を下記に示す。
〜Mn、Mw〜
ポリスチレンを標準物質とし、JIS K−0124(1994年)に準拠してGPCにより測定した。
〜軟化点〜
JIS K−2531(1960)(環球法)に準拠した方法で測定した。
〜色相〜
50重量%トルエン溶液として、ASTM D−1544−63Tに従って測定した。
〜プロトンNMR(核磁気共鳴スペクトル)測定〜
石油樹脂をクロロホルム−d(和光純薬工業(株)製)に溶解させ、通常のNMR測定法で測定した。得られたスペクトルについて、下記の計算式に基づき面積比率を求めた。
面積比率(%)=(各ピーク面積)/(全ピーク面積の合計)×100
なお、各ピークは次の通りである。
脂肪族性水素ピーク:0.2〜4.0ppm。
DCPD類二重結合性水素ピーク:4.4〜6.3ppm。
芳香族性水素ピーク:6.3〜7.6ppm。
また、粘着性組成物の粘着物性の評価方法、評価基準を下記に示す。
〜タック〜
JIS Z−0237に準じ、23℃において傾斜角30度のガラス板上の斜面に長さ10cmの粘着面を上にして貼り付け、直径3/32インチから1インチまでの30種類の大きさの鋼球を斜面の上方10cmの位置より初速度0で転がして粘着テープ上で停止する最大径の球の大きさ(単位:ボールNo(=×1/32インチ))で表示した。
〜粘着力〜
JIS Z−0237に準じ、ダンボールに幅25mm×長さ100mmとした粘着テープを貼り付け、23℃において300mm/分の速度で180度の方向に剥離して剥離力(単位:N/25mm)を測定した。
〜保持力〜
JIS Z−0237に準じ、ダンボールに25mm×25mmの面積が接するように粘着テープを貼り付け、50℃において1kgの荷重を加えて粘着テープがダンボールより脱落するのに要する時間(単位:分)を測定した。
実施例1
内容積2リットルのガラス製オートクレーブに、原料油としてナフサの分解により得た脂肪族成分40重量%、芳香族成分20重量%およびDCPD類成分40重量%からなる原料油を調製し仕込んだ。次に、窒素雰囲気下で40℃に調節した後、フリーデルクラフツ型触媒として三フッ化ホウ素フェノール錯体(ステラケミファ(株)製)を原料油100重量部に対して、1.0重量部加えて2時間重合した。その後、苛性ソーダ水溶液で触媒を除去し、油相の未反応油を蒸留して脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂(樹脂Aと称する。)を得た。評価結果を表1に示す。
熱可塑性エラストマーとしてスチレン−イソプレン−スチレン型ブロック共重合体(商品名D−1161、クレイトン社製;以下SISと記す。)100重量部に対して、樹脂A100重量部、ナフテン系プロセスオイル(商品名ダイアナ プロセスオイル NS−100、出光興産社製)50重量部、酸化防止剤(商品名イルガノックス 1010、チバスペシャルティケミカルズ社製)2重量部を160℃、窒素置換した攪拌翼型混練器に投入し、粘着性組成物を得た。
約20分攪拌後、ホットメルトアプリケーターを用いて、得られた粘着性組成物をホットプレート上160℃の厚さ25μmのポリエステルフィルムに塗工し、厚さ35μmの粘着シートを作成し、そのシートのタック(初期接着力)、粘着力および保持力を測定した。その結果を表2に示す。
得られた粘着性組成物はバランスの優れたタック、粘着力及び保持力を示した。
実施例2
原料油としてナフサの分解により得た脂肪族成分40重量%、芳香族成分20重量%およびDCPD類成分40重量%からなる原料油の代わりに、脂肪族成分40重量%、芳香族成分25重量%およびDCPD類成分35重量%からなる原料油を調製した以外は、実施例1と同様の方法により、脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂(樹脂Bと称する。)を得た。評価結果を表1に示す。
樹脂Aの代わりに、樹脂Bを用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着性組成物を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
得られた粘着性組成物はバランスの優れたタック、粘着力及び保持力を示した。
実施例3
原料油としてナフサの分解により得た脂肪族成分40重量%、芳香族成分20重量%およびDCPD類成分40重量%からなる原料油の代わりに、脂肪族成分40重量%、芳香族成分15重量%およびDCPD類成分45重量%からなる原料油を調製した以外は、実施例1と同様の方法により、脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂(樹脂C称する。)を得た。評価結果を表1に示す。
樹脂Aの代わりに、樹脂Cを用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着性組成物を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
得られた粘着性組成物はバランスの優れたタック、粘着力及び保持力を示した。
実施例4〜7
樹脂A100重量部の代わりに、表2に示す量を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着性組成物を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
得られた粘着性組成物はバランスの優れたタック、粘着力及び保持力を示した。
Figure 0006841014
Figure 0006841014
比較例1
原料油としてナフサの分解により得た脂肪族成分40重量%、芳香族成分20重量%およびDCPD類成分40重量%からなる原料油の代わりに、脂肪族成分45重量%、芳香族成分25重量%およびDCPD類成分30重量%からなる原料油を調製した以外は、実施例1と同様の方法により、石油樹脂(樹脂Dと称する。)を得た。評価結果を表1に示す。
樹脂Aの代わりに、樹脂Dを用いた以外は、実施例1と同様の方法により組成物を調製し、評価を行った。その結果を表3に示す。
得られた組成物は、石油樹脂として芳香族由来水素ピーク割合が多い樹脂Dを用いたため、粘着力及び保持力が高いが、タックに劣るものであった。
比較例2
原料油としてナフサの分解により得た脂肪族成分40重量%、芳香族成分20重量%およびDCPD類成分40重量%からなる原料油の代わりに、脂肪族成分34重量%、芳香族成分15重量%およびDCPD類成分51重量%からなる原料油を調製した以外は、実施例1と同様の方法により、石油樹脂(樹脂Eと称する。)を得た。評価結果を表1に示す。
樹脂Aの代わりに、樹脂Eを用いた以外は、実施例1と同様の方法により組成物を調製し、評価を行った。その結果を表3に示す。
得られた組成物は、石油樹脂として芳香族由来水素ピーク割合が少ない樹脂Eを用いたため、タックが高いが、粘着力及び保持力に劣るものであった。
比較例3
樹脂Aの代わりに、脂肪族−芳香族共重合石油樹脂((商品名)ペトロタック90HM、東ソー社製;樹脂Fと記す。)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により組成物を調製し、評価を行った。その結果を表3に示す。
得られた組成物は、粘着力が高いがタック及び保持力に劣るものであった。
比較例4
樹脂Aの代わりに、石油樹脂((商品名)クイントンU−190、日本ゼオン社製;樹脂Gと記す。)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により組成物を調製し、評価を行った。その結果を表3に示す。
得られた組成物は、タック及び粘着力が高いが、保持力に劣るものであった。
比較例5
樹脂Aの代わりに、石油樹脂((商品名)コーポレックス2100、東邦化学工業社製;樹脂Hと記す。)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により組成物を調製し、評価を行った。その結果を表3に示す。
得られた組成物は、粘着力及び保持力が高いが、タックに劣るものであった。
Figure 0006841014
本発明によれば、新規な脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂を提供し、該脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂は、タック、粘着力、保持性のバランスに優れた粘着性組成物を提供するものであり、産業上にも非常に有用である。

Claims (4)

  1. 石油類の熱分解による沸点範囲20〜110℃の留分35〜45重量%、沸点範囲140〜280℃の留分24〜15重量%及びジシクロペンタジエン類留分50〜31重量%の混合配合を原料油とする脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂であって、JIS K−2531(1960)(環球法)に準拠した軟化点が75〜110℃、ポリスチレンを標準物質とし、JIS K−0124(1994年)に準拠し、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量/数平均分子量が2.3〜3.0、プロトンNMRにより測定した(1)0.2〜4.0ppmに由来する脂肪族性水素面積比率が79〜85%、(2)4.4〜6.3ppmに由来するジシクロペンタジエン類二重結合性水素面積比率が9〜7%、(3)6.3〜7.6ppmに由来する芳香族性水素面積比率が12〜8%を示すことを特徴とする脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂。
  2. ASTM D−1544−63Tに準拠し測定した色相が4〜9であることを特徴とする請求項1に記載の脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂。
  3. 熱可塑性エラストマー100重量部に対して、請求項1又は2に脂肪族−芳香族−ジシクロペンタジエン類共重合石油樹脂70〜130重量部、プロセスオイル20〜70重量部を含むことを特徴とする粘着性組成物。
  4. 熱可塑性エラストマーが、スチレン−イソプレン−スチレン型ブロック共重合体であることを特徴とする請求項3に記載の粘着性組成物。
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