JP6837850B2 - エンジン制御装置、エンジン、およびエンジン制御方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、排気バイパス弁として機能するウエストゲート弁とスロットル弁とを組み合わせた制御を行うことが開示されている。また、特許文献2には、エンジン負荷に対応した排気バイパス弁の開度を記憶したデータテーブルを参照し、排気バイパス弁に対してマップ制御を行うことが開示されている。
また、上記特許文献2に開示された発明においても、負荷によって排気バイパス弁の弁開度マップを参照して弁開度を決定しているため、運用の柔軟性に欠けるとともに負荷の変動や環境条件の変化などへの対応が困難であるという問題があった。
本発明の第一態様に係るエンジン制御装置は、燃料と空気の混合気の流量を調整するスロットル弁と過給機のタービンへの排気のバイパス量を調整する排気バイパス弁とを具備するエンジンの負荷に応じて前記燃料の流量制御を行うエンジン制御装置であって、空燃比が空燃比目標値と一致するように前記スロットル弁のフィードバック制御を行うとともに、スロットル弁開度がスロットル弁目標開度と一致するように前記排気バイパス弁のフィードバック制御を行い、前記負荷を入力とする前記スロットル弁目標開度のテーブルに基づき制御を行う。
スロットル弁による空燃比制御では、制御代(制御のために余分に必要な弁開度)を確保しておく必要があり、運転条件によっては定格点でもスロットル弁が全開とならない可能性がある。スロットル弁が全開とならない場合は、圧力損失が発生し、結果として発電効率が低下することとなる。
圧力損失を低減し、発電効率を向上させるために、スロットル弁を廃止または全開とし、排気バイパス弁による空燃比制御を行うことが考えられる。しかし、排気バイパス弁はスロットル弁と比較すると応答性が悪いため、スロットル弁による空燃比制御に比べて負荷投入性能が悪化する。
本態様では、この制御において、スロットル弁及び排気バイパス弁のフィードバック制御を行うこととした。
これにより、本構成によれば、負荷投入性能の向上と発電効率の向上とを両立させることができる。
また、シーケンス処理や不連続な制御の切替を行うこと無く、単純な構成のみで実現が可能である。またシーケンス処理でないことから、負荷の変動や、環境条件の変化などに柔軟に対応することができる。
また本構成によれば、目標値をテーブル情報として設定することにより、任意の値を設定することが可能であり、負荷投入性能と効率とのバランスを調整することができる。また、負荷の変動や環境条件の変化などに柔軟に対応することができる。
これにより、本構成によれば、スロットル弁により空燃比制御が行われ、排気バイパス弁は全閉またはほぼ全閉となることから、過給圧が上がり負荷投入性能を確保することができる。
ここで、低負荷とは0%の負荷を示し、中負荷とは50%の負荷を示すものとする。
これにより、本構成によれば、スロットル弁は全開またはほぼ全開となり、排気バイパス弁により空燃比制御が行われることから、圧力損失を低減し、発電効率の向上を図ることができる。
ここで、定格点とは100%の負荷を示すものとする。
以下、本発明の一実施形態について、図1乃至8を用いて説明する。
図1には、本実施形態に係るエンジンが概略構成図に示されている。
このエンジンは、例えば発電用に用いられ、図示しない発電機を駆動するためのものであり、燃料をガスとする発電用ガスエンジンであるとする。
また、インテークマニホルド11には、インテークマニホルド11の圧力を計測するインテークマニホルド圧力センサ20が設置されている。
ガスエンジン1の負荷が低負荷から中負荷までの範囲の場合は、負荷投入性能を確保する必要がある。排気バイパス弁26は、タービン12tへの排気をバイパスさせるために作動していることから、例えば負荷投入性能を上げるためには、空気(排気)を増やすために排気バイパス弁26を閉じる必要がある。これによりタービン12tへの空気(排気)が増加するが、スロットル弁14による空燃比制御と比較すると、応答が遅いことから負荷投入性能が悪化する。
そこで、低負荷から中負荷までの範囲の場合は、図2に示されるように排気バイパス弁26は全閉とすることが望ましい。排気バイパス弁26を全閉とすることにより、過給機12の過給圧を上昇させ、負荷投入性能を確保することができる。よって、空燃比制御はスロットル弁14で行うこととなる。
そこで、中負荷から定格点の範囲の場合は、図2に示されるようにスロットル弁14は全開とすることが望ましい。スロットル弁14を全開とすることにより、絞りによる圧力損失を低減し、発電効率の向上を図ることができる。よって、空燃比制御は排気バイパス弁26で行うこととなる。
図2に示される制御を行うため、本実施形態ではスロットル弁14と排気バイパス弁26のフィードバック制御を行うものとする。
ガスエンジン制御装置50は、スロットル弁フィードバック制御部505と、排ガスバイパス弁フィードバック制御部510とを主な構成として備えている。
減算器501において、ガスエンジン1の目標回転数(rpm)から実回転数(rpm)を減算し、回転数フィードバック制御部502においてガスエンジン1の回転数に対しPI制御を行う。目標混合気量演算部503は、回転数フィードバック制御部502の出力値及び目標空燃比を入力値とし、目標混合気量を算出する。
また、実混合気量演算部507は、実回転数及びインテークマニホルド圧力センサ20によって計測されたインテークマニホルド11の圧力(インマニ圧)を入力値とし、実混合気量を算出する。
このように、空燃比が目標空燃比に一致するようにスロットル弁14のフィードバック制御が行われる。
このように、スロットル弁開度がスロットル弁目標開度に一致するように排気バイパス弁26のフィードバック制御が行われる。
図3のスロットル弁フィードバック制御部505において、空燃比が目標空燃比に一致するようにスロットル弁14をフィードバック制御する。ここで、例えばスロットル弁14の開度の制御量が15%であるとすると、減算器509においてスロットル弁目標開度テーブル508から出力されたスロットル弁目標開度からスロットル弁フィードバック制御部505の出力値15%を減算する。ガスエンジン1の負荷が低負荷から中負荷までの範囲であることから、スロットル弁目標開度は図4より10%であり、減算器509により算出されるスロットル弁14の開度の偏差は−5%、すなわち負の値となる。負の値を入力値とする排気バイパス弁フィードバック制御部510によって、排気バイパス弁26はスロットル弁14の開度を10%に一致させるように空気流量を増やす方向、すなわち排気バイパス弁26を閉じる方向に制御される。
これにより、ガスエンジン1の負荷が低負荷から中負荷の範囲において、排気バイパス弁26は全閉とされる。
図3のスロットル弁フィードバック制御部505において、空燃比が目標空燃比に一致するようにスロットル弁14をフィードバック制御する。ここで、例えばスロットル弁14の開度の制御量が80%であるとすると、減算器509においてスロットル弁目標開度テーブル508から出力されたスロットル弁目標開度からスロットル弁フィードバック制御部505の出力値80%を減算する。ガスエンジン1の負荷が中負荷から定格点の範囲であることから、スロットル弁目標開度は図4より100%であり、減算器509により算出されるスロットル弁14の開度の偏差は20%、すなわち正の値となる。正の値を入力値とする排気バイパス弁フィードバック制御部510によって、排気バイパス弁26はスロットル弁14の開度を100%(全開)に一致させるように空気流量を減らす方向、すなわち排気バイパス弁26を開く方向に制御される。
また、スロットル弁14が全開となっている時に、目標空燃比と実空燃比との間に偏差が生じる場合には、まずスロットル弁開度指令値が変化するため、スロットル弁14の実開度とスロットル弁目標開度との間にも偏差が生じる。この場合、スロットル弁14の開度の偏差を解消するように排気バイパス弁26が動作し、結果としてスロットル弁14の開度がスロットル弁目標開度となるように排気バイパス弁26による空燃比制御が行われ、排気バイパス弁26は整定する。
図5乃至8は各値の時間t0からt12までのタイムチャートであり、横軸は時間を示し、図5の縦軸はガスエンジン1のエンジン回転数、図6の縦軸はガスエンジン1の負荷、図7の縦軸はスロットル弁14の開度及び排気バイパス弁26の開度、図8の縦軸は実空燃比及び目標空燃比を示す。また、図7において、実線はスロットル弁14の開度、破線は排気バイパス弁26の開度を示し、図8において、実線は目標空燃比、破線は実空燃比を示す。
図6に示されるように、ガスエンジン1の負荷は、時間t0からt4の間は40%、時間t4からt12の間は60%となっている。つまり、時間t0からt4の間は低負荷から中負荷までの範囲であり、時間t4からt12の間は中負荷から定常点の範囲であるといえる。
また、時間t4からt9の期間において図8の破線に示される実空燃比が目標空燃比に一致するように、排気バイパス弁26によって図7の破線で示されるように空燃比制御が行われる。
本実施形態によれば、スロットル弁及び排気バイパス弁のフィードバック制御を行うこととしたため、負荷投入性能の向上と発電効率の向上とを両立させることができる。
また、シーケンス処理や不連続な制御の切替を行うこと無く、単純な構成のみで実現が可能である。またシーケンス処理でないことから、負荷の変動や、環境条件の変化などに柔軟に対応することができる。
3 シリンダ
11 インテークマニホルド
12 過給機
12c コンプレッサ
12t タービン
14 スロットル弁
20 インテークマニホルド圧力センサ
22 エキゾーストマニホルド
24 排気管
25 排気バイパス通路
26 排気バイパス弁
50 ガスエンジン制御装置(エンジン制御装置)
Claims (6)
- 燃料と空気の混合気の流量を調整するスロットル弁と過給機のタービンへの排気のバイパス量を調整する排気バイパス弁とを具備するエンジンの負荷に応じて前記燃料の流量制御を行うエンジン制御装置であって、
空燃比が空燃比目標値と一致するように前記スロットル弁のフィードバック制御を行うとともに、
スロットル弁開度がスロットル弁目標開度と一致するように前記排気バイパス弁のフィードバック制御を行い、
前記負荷を入力とする前記スロットル弁目標開度のテーブルに基づき制御を行うエンジン制御装置。 - 前記エンジンの前記負荷が低負荷から中負荷までの範囲の場合は、前記スロットル弁目標開度を0%から10%の範囲の値とする請求項1に記載のエンジン制御装置。
- 前記エンジンの前記負荷が中負荷から定格点の範囲の場合は、前記スロットル弁目標開度を90%から100%の範囲の値とする請求項1または2に記載のエンジン制御装置。
- 前記スロットル弁目標開度のテーブルに基づき前記スロットル弁目標開度を設定する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエンジン制御装置。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載のエンジン制御装置を備えたエンジン。
- 燃料と空気の混合気の流量を調整するスロットル弁と過給機のタービンへの排気のバイパス量を調整する排気バイパス弁とを具備するエンジンの負荷に応じて前記燃料の流量制御を行うエンジン制御方法であって、
空燃比が空燃比目標値と一致するように前記スロットル弁のフィードバック制御を行うとともに、
スロットル弁開度がスロットル弁目標開度と一致するように前記排気バイパス弁のフィードバック制御を行い、
前記負荷を入力とする前記スロットル弁目標開度のテーブルに基づき制御を行うエンジン制御方法。
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