JP6837750B2 - 油脂含有排水処理システム及び油脂含有排水処理方法 - Google Patents

油脂含有排水処理システム及び油脂含有排水処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、油脂含有排水処理システム及び油脂含有排水処理方法に関する。
食品工場排水等の油脂含有排水の処理方法としては、特許文献1に示すように、油脂を分離除去した後に、分離水を好気処理により処理する方法が一般的である。
特開平4−235799号公報
しかしながら、特許文献1記載の油脂含有排水の処理方法では、分離除去された油脂に係る処理が別途必要となる。油脂含有排水から油脂を除去せずに好気状態において生物学的処理をする方法も検討されているが、好気状態にするには曝気に必要な動力がかなり大きくなり、コストが上昇するという課題がある。
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、油脂含有排水をより低コストで処理することが可能な油脂含有排水処理システム及び油脂含有排水処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る油脂含有排水処理システムは、油脂含有排水を限定的な酸素供給状態で嫌気処理する前段処理部と、前記前段処理部での前段処理後の前記油脂含有排水を嫌気処理する嫌気処理部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の一形態に係る油脂含有排水処理方法は、油脂含有排水を限定的な酸素供給状態で嫌気処理する前段処理工程と、前記前段処理工程後の前記油脂含有排水を嫌気処理する嫌気処理工程と、を有することを特徴とする。
上記の油脂含有排水処理システム及び油脂含有排水処理方法によれば、嫌気処理を行う前に油脂含有排水に対して限定的な酸素供給状態で嫌気処理が行われ、このときに、限定的な酸素供給状態での嫌気処理状態で優勢となる通性嫌気性菌により油脂の分解が促進される。したがって、好気処理よりも低コストでの処理が可能な嫌気処理を採用しながら、油脂が好適に分解され、油脂含有排水の処理を行うことができる。
ここで、前記前段処理部と前記嫌気処理部とは独立している態様とすることができる。
上記のように、前段処理部と嫌気処理部とが独立していることで、前段処理部での限定的な酸素供給状態での嫌気処理、及び、嫌気処理部での嫌気処理のそれぞれについて、より好ましい条件で処理することが可能となり、処理効率の向上につながる。
前記前段処理部の酸化還元電位は−200mV〜−300mVである態様とすることができる。
上記のように前段処理部の酸化還元電位を−200mV〜−300mVの状態とすると、前段処理部において限定的な酸素供給状態で嫌気処理を行う主体となる通性嫌気性菌が優勢な状態を好適に維持することができる。
前記嫌気処理部から前記前段処理部に対して、汚泥及び処理水の一部を返送する返送部を備える態様とすることができる。
上記のように返送部を備えることで、汚泥及び処理水の一部と共に油脂の分解能力が高い通性嫌気性菌を返送することが可能となり、前段処理部での通性嫌気性菌の維持を好適に行うことができることから、前段処理部での油脂分解性能が向上する。
本発明によれば、油脂含有排水をより低コストで処理することが可能な油脂含有排水処理システム及び油脂含有排水処理方法が提供される。
第1実施形態に係る排水処理システムを説明する図である。 第2実施形態に係る排水処理システムを説明する図である。 第3実施形態に係る排水処理システムを説明する図である。 比較例に係る排水処理システムを説明する図である。 実施例に係るシステムにおける前段処理槽の菌叢の分析結果を示す図である。 実施例に係るシステムにおける酸生成槽の菌叢の分析結果を示す図である。 比較例に係るシステムにおける酸生成槽の菌叢の分析結果を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る油脂含有排水処理方法を採用した油脂含有排水処理システムを示す概略構成図である。
図1に示すように、排水処理システム100(油脂含有排水処理システム)は、油脂を含有する有機性排水(油脂含有排水)を処理する設備であり、原水となる油脂含有排水を導入し前段処理としての限定的な酸素供給状態における嫌気処理を行う前段処理槽1(前段処理部)と、前段処理後の水を酸発酵する酸生成槽2と、酸発酵液を導入しメタン発酵するメタン発酵槽3と、を有する。酸生成槽2及びメタン発酵槽3は、嫌気状態での生物学的処理(嫌気処理)を行う嫌気処理部として機能する。
前段処理槽1は、ラインL1を介して油脂含有排水を受け入れる。前段処理槽1は、槽内の水を限定的な酸素供給状態に維持するための酸素供給部10を備える。
本実施形態において、限定的な酸素供給状態とは、酸素含有ガスの供給下において、溶存酸素量(DO)が0mg/Lに近い値の状態のことを指す。そのため、溶存酸素量(DO)0mg/Lで酸化還元電位(ORP)0mV以下の状態、例えば、DOが0mg/LでORPが−100mVは一般的には嫌気状態であるが、酸素含有ガスを供給している場合には、本実施形態における限定的な酸素供給状態に該当する。
前段処理槽1に供給される酸素含有ガスとしては、空気等を用いることができる。また、ガス分離膜、PSA(圧力変動吸着)方式のガス分離装置等を用いて得られる高濃度化された酸素を前段処理槽1に供給してもよい。また、酸素供給部10としては、散気管、散気パネル、開口を有する配管、マイクロバブル発生装置、ブロア・ファン、水中エアレータ等の公知のガス供給手段を利用することができる。
前段処理槽1では、酸素供給部10による酸素含有ガスの導入により、槽内の水を限定的な酸素供給状態に維持すると共に、油脂含有排水を限定的な酸素供給状態で嫌気処理(Oxygen-Limited anaerobic treatment)する。前段処理槽1内に、微生物の保持のために、ウレタンやPVA、ポリオレフィンなどの一般的な担体を配置することができる。担体は、微生物が固定できれば、形態は立方体、直方体、円柱状、円筒状、ひも状などいずれでもよい。
なお、前段処理槽1では、酸素供給部10によって、ORPが−100mV〜−500mVの状態で維持されていることが好ましい。この状態であると前段処理槽1における限定的な酸素供給状態下での嫌気処理が好適に行われ、油脂の加水分解及びβ酸化が促進されて、低級脂肪酸が生成される。前段処理槽1における限定的な酸素供給状態における嫌気処理については、後述する。
酸生成槽2は、ラインL2を介して前段処理槽1で生物学的処理された油脂含有排水を導入すると共に、槽内に収容される酸生成菌によって、油脂含有排水に含有される有機物(糖、タンパク質、高分子の有機酸、アルコール等)を分解し、低級脂肪酸を生成する。
メタン発酵槽3は、ラインL3を介して酸生成槽2からの水を導入し、槽内に収容されるメタン生成菌による嫌気性処理によって、低級脂肪酸を分解し、メタン及び二酸化炭素を主成分とするバイオガスを発生する。嫌気性処理後の処理水は、ラインL4によって後段に移送される。バイオガスは回収されて、エネルギーとして活用される。
また、メタン発酵槽3には、酸生成槽2の菌体濃度を高めるため、メタン発酵槽3から汚泥及び処理水の一部を酸生成槽2に返送するラインL5が接続される。同様に、前段処理槽1の菌体濃度を高めるため、メタン発酵槽3から汚泥及び処理水の一部を前段処理槽1に返送するラインL6が接続される。ラインL6は、嫌気処理部から前段処理部に対して、汚泥及び処理水の一部を返送する返送部として機能する。
続いて、本実施形態に係る排水処理システム100にて行われる水処理方法を説明する。まず、ラインL1を介して、油脂含有排水を前段処理槽1に供給し、酸素供給部10により酸素含有ガスを槽内に導入することで、前段処理槽1内の水を限定的な酸素供給状態に維持しつつ嫌気処理する(前段処理工程)。限定的な酸素供給状態に維持することで、槽内の菌叢を通性嫌気性菌が優位な状態とすることができ、油脂含有排水に含まれる油脂の低級脂肪酸への分解が促進される。
続いて、前段処理槽1で前段処理を行った水をラインL2を介して酸生成槽2に供給し、嫌気状態下で生物学的処理する。前段処理槽1で酸素が十分に消費されることで、酸生成槽2以降では嫌気状態下となり、槽内に収容される酸生成菌によって、油脂含有排水に含有される有機物が低級脂肪酸に分解される。
さらに、酸生成槽2で生物学的処理を受けた水をラインL3を介してメタン発酵槽3に供給し、嫌気状態下で生物学的処理をする。これにより、水中の低級脂肪酸が二酸化炭素とメタンに分解される(嫌気処理工程)。これらの工程により得られたメタンは、例えばエネルギー源として有効に利用できる。また、メタン発酵槽3からの汚泥及び処理水の一部が、前段処理槽1及び酸生成槽2へ返送される。
ここで、本実施形態に係る排水処理システム100における排水処理方法では、前段処理槽1において限定的な酸素供給状態において嫌気処理をしている。前段処理槽1では、上記のように限定的な酸素供給状態を形成することで、槽内の菌叢を通性嫌気性菌が優勢な状態とすることができる。通性嫌気性菌が優勢な状態とすることで、油脂含有排水における油脂の低級脂肪酸への分解が促進される。
油脂は、加水分解とβ酸化とを経て低級脂肪酸へ分解される。油脂(グリセリンエステル)は、まず、加水分解によってグリセリンと高級脂肪酸に分解される。その後、高級脂肪酸がβ酸化により低級脂肪酸へと分解される。前段処理槽1において、菌叢において通性嫌気性菌が優勢な状態が形成されていると、嫌気性菌が優勢な状態と比較して、油脂を低級脂肪酸へ分解するための加水分解及びβ酸化が促進される。
油脂含有排水を処理する方法としては、従来から油脂を分離除去した後に分離水を好気処理により処理する方法が一般的であった。しかしながら、油脂の分離除去のためのコスト及び分離除去した油脂を処分するためのコスト等が増大することから、油脂含有排水を直接生物学的処理する方法が検討され始めた。油脂含有排水を生物学的処理する場合には、高級脂肪酸である油脂を分解する必要があるため、より分解能力の高い好気処理が用いられることが考えられる。しかしながら、油脂含有排水を好気処理する場合には、大容量の曝気槽が必要となり、曝気動力等のエネルギーが必要となるためコストが上昇する。一方、油脂含有排水を嫌気処理する構成とすることで排水処理に係る動力コストを低減することが可能となるが、好気処理と比較して油脂の分解速度が遅いため、効率の面から問題があった。
これに対して、本実施形態に係る排水処理システム100における排水処理方法では、前段処理槽1を限定的な酸素供給状態として菌叢を制御し、通性嫌気性菌が優勢な状況を形成して生物学的処理を行うことで、油脂の加水分解及びβ酸化を促進させる。その後、酸生成槽2及びメタン発酵槽3において、嫌気処理を行うことで、油脂含有排水のように、嫌気処理のように油脂の分解に時間がかかる生物学的処理であっても、前段処理槽1における限定的な酸素供給状態における嫌気処理により油脂の分解が促進されているため、後段が嫌気状態下での嫌気処理であっても、処理速度の低下を抑制することができる。したがって、油脂含有排水をより低コストで処理することが可能となる。
また、排水処理システム100のように前段処理槽1と、酸生成槽2及びメタン発酵槽3と、が独立していることで、前段処理槽1での限定的な酸素供給状態での嫌気処理、及び、酸生成槽2及びメタン発酵槽3での嫌気処理のそれぞれについて、より好ましい条件で処理することが可能となり、処理効率の向上につながる。
また、前段処理槽1を限定的な酸素供給状態とすることで、前段処理槽1内の菌叢において通性嫌気性菌が優勢な状態になると、前段処理槽1で生存する通性嫌気性菌は、水の移動と共に、後段の酸生成槽2及びメタン発酵槽3へも流入する。通性嫌気性菌は、酸生成槽2及びメタン発酵槽3のような嫌気状態でも育成可能な菌である。酸生成槽2及びメタン発酵槽3に流入した通性嫌気性菌は、前段処理槽1の通性嫌気性菌と同様に、各槽において油脂の低級脂肪酸への分解を行う。したがって、油脂含有排水における油脂の分解をさらに促進することができる。
また、ラインL5により、汚泥及び処理水の一部と共に油脂の分解能力が高い通性嫌気性菌をメタン発酵槽3から酸生成槽2に返送することで、酸生成槽2での通性嫌気性菌の維持を好適に行うことができる。同様に、ラインL6により、汚泥及び処理水の一部と共に油脂の分解能力が高い通性嫌気性菌をメタン発酵槽3から前段処理槽1に返送することで、前段処理槽1での通性嫌気性菌の維持を好適に行うことができる。
なお、前段処理槽1は、ORPが−100mV〜−500mVの状態で維持されていることで、通性嫌気性菌が優勢な状態を形成することができる。このうち、ORPを−200mV〜−300mVの状態とすると、通性嫌気性菌が優勢な状態を好適に維持することができる。なお、ORPが−500mVよりも低くなると、通性嫌気性菌の割合が減少し嫌気性菌の割合が増加するため、油脂に係る処理効率が低下する可能性がある。一方、ORPが−100mVよりも大きくなると、通性嫌気性菌の割合が減少し好気性菌の割合が増加するため、油脂以外の易分解性有機物が分解される。この場合、後段の嫌気処理の対象となる有機物が減少し、その結果、バイオガスの発生量が低減する。上述したように、バイオガスは回収してエネルギーとして利用されるため、嫌気処理の対象となる有機物の減少はエネルギーの損失につながる。
また、前段処理槽1での油脂含有排水の滞留時間が長くなり、前段処理槽1における限定的な酸素供給状態における嫌気処理により分解される有機物が増加すると、上記と同様に、嫌気処理の対象となる有機物が減少し、エネルギーの損失につながる。したがって、前段処理槽1では、有機物の分解率が、投入前の油脂含有排水における有機物の全量に対して10%〜50%程度となるように、前段処理槽1内の環境及び油脂含有排水の滞留時間を設定することが好ましい。油脂含有排水の油脂を含む有機物の含有量等に応じて、前段処理槽1における油脂含有排水の滞留時間は大きく変わるが、例えば、1時間〜12時間程度とすることができる。
なお、上記実施形態では、前段処理槽1を限定的な酸素供給状態に維持するために酸素供給部10が設けられている例を説明したが、限定的な酸素供給状態に維持することで、菌叢の状態を通性嫌気性菌が優勢となるように制御することが目的である。したがって、限定的な酸素供給状態を維持するための手法は酸素含有ガスの供給に限定されず、例えば、酸化剤・還元剤、pH調整剤、栄養塩等の添加により、限定的な酸素供給状態を維持する構成としてもよい。なお、pHは6〜8程度に調整することで、菌叢の状態を通性嫌気性菌が優勢としやすくなる。
また、上記実施形態では、ラインL5,L6により、汚泥及び処理水の一部と共に油脂の分解能力が高い通性嫌気性菌をメタン発酵槽3から酸生成槽2及び前段処理槽1に返送する構成について説明したが、メタン発酵槽3から汚泥及び処理水の一部を返送するラインをラインL5,L6の一方側のみにしてもよい。
(第2実施形態)
次に、図2を参照して、本発明の第2実施形態に係る排水処理システム200について説明する。本実施形態に係る排水処理システム200が、第1実施形態に係る排水処理システム100と異なる点は、メタン発酵槽3から汚泥及び処理水の一部を前段処理槽1へ返送するラインL6に代えて、酸生成槽2から汚泥及び処理水の一部を前段処理槽1へ返送するラインL7を備える点である。
上記の排水処理システム200のように、ラインL7により、汚泥及び処理水の一部と共に油脂の分解能力が高い通性嫌気性菌を酸生成槽2から前段処理槽1に返送する構成とした場合であっても、前段処理槽1での通性嫌気性菌の維持を好適に行うことができる。
なお、メタン発酵槽3から汚泥及び処理水の一部を酸生成槽2へ返送するラインL5を備えず、ラインL7のみを備える構成であっても、前段処理槽1での通性嫌気性菌の維持を好適に行うことができる。
(第3実施形態)
次に、図3を参照して、本発明の第3実施形態に係る排水処理システム300について説明する。本実施形態に係る排水処理システム300が、第1実施形態に係る排水処理システム100と異なる点は、前段処理槽1が酸生成槽2を兼ねている点である。
すなわち、排水処理システム300は、メタン発酵槽3の前段に、前段処理槽/酸生成槽4を有していて、前段処理槽/酸生成槽4を限定的な酸素供給状態に維持することで、通性嫌気性菌による油脂含有排水に含有される油脂の分解を促進すると共に、槽内に収容される酸生成菌によって、油脂含有排水に含有される有機物(糖、タンパク質、高分子の有機酸、アルコール等)を分解し、低級脂肪酸を生成する。前段処理槽/酸生成槽4で生物学的処理を受けた水をラインL3を介してメタン発酵槽3に供給し、嫌気状態下で生物学的処理をする。
また、排水処理システム300では、メタン発酵槽3から汚泥及び処理水の一部がラインL8により前段処理槽/酸生成槽4へ返送される。
上記の排水処理システム300においても、前段処理槽/酸生成槽4を限定的な酸素供給状態として菌叢を制御し、通性嫌気性菌が優勢な状況を形成して生物学的処理を行うことで、酸生成菌による有機物の分解だけでなく、油脂の加水分解及びβ酸化を促進させることができる。その後、メタン発酵槽3において嫌気処理を行うことで、油脂含有排水のように、嫌気処理のように油脂の分解に時間がかかる生物学的処理であっても、前段処理槽/酸生成槽4における限定的な酸素供給状態における嫌気処理により油脂の分解が促進されているため、後段が嫌気状態下での嫌気処理であっても、処理速度の低下を抑制することができる。したがって、油脂含有排水をより低コストで処理することが可能となる。
また、ラインL8により、汚泥及び処理水の一部と共に油脂の分解能力が高い通性嫌気性菌をメタン発酵槽3から前段処理槽/酸生成槽4に返送する構成とすることで、前段処理槽/酸生成槽4での通性嫌気性菌の維持を好適に行うことができる。
以上、本発明は上記実施形態に限定されず様々な変形態様が可能である。例えば、各槽の形式は特に限定されず、種々の形態を取ることができる。
また、前段処理槽1及び酸生成槽2(もしくは、前段処理槽/酸生成槽4)に溶存酸素濃度の検出器(DO計)、酸化還元電位の検出器(ORP計)を取り付けて、酸素供給部10からの酸素供給量、及び/又は、前段処理槽1、酸生成槽2及びメタン発酵槽3間(もしくは、前段処理槽/酸生成槽4とメタン発酵槽3間)のラインを利用した汚泥及び処理水の返送量を制御してよい。
また、メタン発酵槽3からの処理水の有機物濃度検出器(例えばCOD計)を取り付けて、汚泥及び処理水の返送量を制御してよい。
さらに、メタン発酵部は、EGSB(Expanded Granular Sludge Bed)、UASB(Upflow AnaerobicSludge Blanket)、担体や膜分離を用いた嫌気性処理など形式を問わない。また、酸生成槽2を備えず、メタン発酵槽3のみで嫌気処理を行う構成としてもよい。
また、上記実施形態では、限定的な酸素供給状態における嫌気処理を前段処理槽1で行い、通常の嫌気状態下での嫌気処理をメタン発酵槽3で行う構成について説明したが、限定的な酸素供給状態における嫌気処理及び嫌気状態下での嫌気処理を行うための槽を準備することに代えて、例えば、配管内で限定的な酸素供給状態における嫌気処理及び嫌気状態下での嫌気処理の少なくとも一方を行う構成としてもよい。また、限定的な酸素供給状態における嫌気処理を行う前段処理部と嫌気状態下での嫌気処理を行う嫌気処理部とを同一とすることもできる。この場合、例えば、酸素含有ガスの供給下で、溶存酸素量(DO)0mg/Lで酸化還元電位(ORP)0mV以下の状態のような、嫌気状態に近い状態を作ることで、限定的な酸素供給状態における嫌気処理と嫌気状態下での嫌気処理とを同時に行うことが可能となる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例に係る排水処理システム)
実施例として、図1に示す排水処理システム100を準備した。
(比較例に係る排水処理システム)
比較例として、図4に示すように前段での限定的な酸素供給状態における嫌気処理を行わない排水処理システム400を準備した。図4に示す排水処理システム400は、前段処理槽1を備えず、油脂含有排水を原水としてラインL1により、酸生成槽2に直接流入するシステムである。また、メタン発酵槽3からの汚泥及び処理水の一部を酸生成槽2に返送するラインL5は備えているが、当然ながら前段処理槽1に対して返送するラインL6は備えていない。
<油脂含有排水処理時の油脂分解量の評価>
処理対象液(油脂含有排水に対応する液体)として、牛乳の100倍希釈液を用いた。このとき、処理対象液のCOD濃度は2,000〜2,300mg/L、処理対象液における油脂濃度の指標であるN−ヘキサン抽出物濃度は200〜260mg/Lであった。
実施例に係る排水処理システム100では、前段処理槽1において、ORPが−350〜−250mV程度になるように酸素供給部10による空気吹き込み量を調整した。このときの前段処理槽1のDOは、ほぼ0であった。また、前段処理槽1では苛性ソーダでpHを7に調整した。さらに、ラインL6を介して、メタン発酵槽3の処理水を原水に対して約10%植種液として前段処理槽1へ返送した。
また、実施例に係る排水処理システム100及び比較例に係る排水処理システム400の双方において、酸生成槽2では苛性ソーダでpHを7に調整した。またメタン発酵槽3の処理水を原水に対して約40%植種液として酸生成槽2へ返送した。
また、実施例に係る排水処理システム100及び比較例に係る排水処理システム400の双方において、メタン発酵槽3には有効容量1.5Lとなるようにグラニュールを充填した。
上記の条件で、実施例に係る排水処理システム100及び比較例に係る排水処理システム400の双方を運転した結果を表1に示す。実施例1及び実施例2は、排水処理システム100において運転条件を変更した結果である。表1に示すように、実施例1は、空気供給量を抑えてORPを低めに設定した運転条件である。また、実施例2は、空気供給量を調整してORPを実施例1よりも50程度高めに設定した運転条件である。
また、比較例1は、排水処理システム400を運転した結果である。実施例1,2及び比較例1における各条件において、1か月程度の馴養運転期間後、2週間以上の運転を行い、処理状態が安定した時点で、各槽での油脂濃度を測定した。
表1の結果によれば、実施例1と比べて実施例2のほうが前段処理槽、酸生成槽及び処理水の油脂濃度が低下している。実施例2では、空気供給量を調整し、実施例1よりもORPが50程度高くなるように設定し、ORPの平均が−250mV程度の状態で運転を行った。その結果、実施例2では、油脂の分解が進んだものと考えられる。
また、比較例1は、前段処理槽1における限定的な酸素供給状態における嫌気処理を行わない従来のシステムで試験を行った結果である。従来の排水処理システム400の酸生成槽2では油脂の分解速度が遅いことから、実施例1,2における前段処理槽1と酸生成槽2を合わせた容量よりも、酸生成槽2の容量が大きい条件で試験を行った。しかし、処理水の油脂濃度は59mg/Lと高い値であり、油脂の分解が他の条件よりも進まなかったことが確認された。
また、上記の実施例1,2及び比較例1の結果から求められた各槽での油脂分解量を表2に示す。また、各槽での油脂分解速度を表3に示す。油脂分解量は、メタン発酵槽3からの汚泥及び処理水の返送を考慮して計算したものである。また、油脂分解速度は、表2の油脂分解量を各槽の水槽容量で割った結果である。
表3の結果によれば、実施例1,2と比較例1とを比較すると、前段処理槽1を設けた場合(実施例1,2)のほうが、油脂分解速度が高いことが確認された。さらに、油脂分解速度は実施例1よりも実施例2のほうが高かった。これは、ORPの違いに由来するものと考えられる。
<各槽における菌叢の分析>
実施例に係る排水処理システム100において上記実施例2の条件で運転した際の前段処理槽1及び酸生成槽2内の菌叢を分析した。その結果を図5(前段処理槽)及び図6(酸生成槽)に示す。また、比較例に係る排水処理システム400における酸生成槽2内の菌叢を分析した。その結果を図7に示す。なお、図5〜図7では、分析結果を円グラフとして示している。図5〜図7中の各数字は、菌叢中における各菌種の割合を百分率(%)で示したものである。
図5及び図6に示した通り、実施例に係る排水処理システム100では、前段処理槽1及び酸生成槽2の双方において、Brachymonas、Cloacibacterium、Lactococcus、Acetobacter等通性嫌気性菌が優先化していた。一方、比較例に係る従来の排水処理システム400の酸生成槽2では、Clostridium、Blautia等の偏性嫌気性菌が優先化していた。このように実施例に係る排水処理システム100では、前段処理槽1において限定的な酸素供給状態における嫌気処理を行うことで、通性嫌気性菌が優位となり、油脂の分解性が高められると考えられる。
なお、排水処理システム100におけるメタン発酵槽3のグラニュールの菌叢についても確認を行ったが、Methanosaeta、Methanobacterium等のメタン菌に加えて、Thermobaculaceae、Syntrophaceae、Syntrophus、Treponemaなどの偏性嫌気性菌が検出された。なお、メタン発酵槽のグラニュール以外の液中に存在する菌叢は、前段の酸生成槽の菌叢とほぼ同等ではないかと考えられる。したがって、排水処理システム100におけるメタン発酵槽3内でも油脂の分解が進みやすい環境になっていると考えられる。
1…前段処理槽、2…酸生成槽、3…メタン発酵槽、4…前段処理槽/酸生成槽、100,200,300…排水処理システム。

Claims (5)

  1. 油脂含有排水を限定的な酸素供給状態で嫌気処理する前段処理部と、
    前記前段処理部での前段処理後の前記油脂含有排水を嫌気処理する嫌気処理部と、を備え、
    前記前段処理部は、酸素含有ガスの供給下において、溶存酸素量が0mG/Lで酸化還元電位が0mV以下となるように制御する油脂含有排水処理システム。
  2. 油脂含有排水を限定的な酸素供給状態で嫌気処理する前段処理部と、
    前記前段処理部での前段処理後の前記油脂含有排水を嫌気処理する嫌気処理部と、
    前記嫌気処理部から前記前段処理部に対して、汚泥及び処理水の一部を返送する返送部と、を備え、
    前記前段処理部は、酸素含有ガスの供給下において、溶存酸素量が0mG/Lで酸化還元電位が0mV以下である油脂含有排水処理システム。
  3. 前記前段処理部と前記嫌気処理部とは独立している、又は、
    前記嫌気処理部は、酸生成槽と、前記酸生成槽の後段に設けられたメタン発酵槽と、を含む請求項1又は2に記載の油脂含有排水処理システム。
  4. 油脂含有排水を限定的な酸素供給状態で嫌気処理する前段処理工程と、
    前記前段処理工程後の前記油脂含有排水を嫌気処理する嫌気処理工程と、を有し、
    前記前段処理工程は、酸素含有ガスの供給下において、溶存酸素量が0mG/Lで酸化還元電位が0mV以下となるように制御された状態で行われる油脂含有排水処理方法。
  5. 油脂含有排水を限定的な酸素供給状態で嫌気処理する前段処理工程と、
    前記前段処理工程での前段処理後の前記油脂含有排水を嫌気処理する嫌気処理工程と、
    前記嫌気処理工程から前記前段処理工程に対して、汚泥及び処理水の一部を返送する返送工程と、を有し、
    前記前段処理工程は、酸素含有ガスの供給下において、溶存酸素量が0mG/Lで酸化還元電位が0mV以下の状態で行われる油脂含有排水処理方法。
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