以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。各図面において前後を示す矢印は、車両用空調ユニット1を車両Cに搭載した状態における前後方向DRfrを示している。各図面において左右を示す矢印は、車両用空調ユニット1を車両に搭載した状態における左右方向(すなわち、車両幅方向DRw)を示している。各図面において上下を示す矢印は、車両用空調ユニット1を車両に搭載した状態における上下方向DRudを示している。
本実施形態では、車両幅方向DRwの右側にハンドルHdが設けられた車両Cに車両用空調ユニット1を適用した例について説明する。図1に示すように、車両Cの内部は、ダッシュパネルDPによってエンジンEG等の機器が収容される機器収容室MRと車室内とが区分されている。
ダッシュパネルDPには、機器収容室MRに配置された機器に接続される各種配管を車室内に引き込むための配管引込穴H1、H2が形成されている。本実施形態のダッシュパネルDPには、車両幅方向DRwの右側に第1配管引込穴H1が設けられ、車両幅方向DRwの左側に第2配管引込穴H2が設けられている。
車両用空調ユニット1は、車室内の前部のインストルメントパネルIPの内側に配置される。すなわち、車両用空調ユニット1は、車室内のうちインストルメントパネルIPとダッシュパネルDPとの間に形成される空間に配置されている。
車両用空調ユニット1は、車室内へ空気を送風する送風ユニット部10A、車室内へ送風する空気の温度を調整する温調ユニット部10B、温度調整された空気を車室内へ配風する図示しない配風ユニット部を有している。本実施形態の車両用空調ユニット1は、温調ユニット部10Bの空気流れ上流側に送風ユニット部10Aが接続されている。
また、本実施形態の車両用空調ユニット1は、温調ユニット部10Bが車両幅方向DRwの略中央部に配置され、送風ユニット部10Aが車両幅方向DRwの左側にオフセット配置される構成になっている。すなわち、本実施形態の車両用空調ユニット1は、いわゆるセミセンタ置きのレイアウトになっている。本実施形態の車両用空調ユニット1は、送風ユニット部10Aが車両幅方向DRwの左側にオフセット配置されることで、送風ユニット部10Aと温調ユニット部10Bとの接続部位が車両幅方向DRwに沿って延びる構成になっている。
車両用空調ユニット1は、内気および外気を区分して流す内外気二層モードを設定可能に構成されている。以下、本実施形態の車両用空調ユニット1の内部構造について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、車両用空調ユニット1は、外殻を構成する空調ケース12を備えている。本実施形態の空調ケース12は、送風ユニット部10Aの外殻を構成する送風ケース部12A、温調ユニット部10Bの外殻を構成する温調ケース部12Bを含んで構成されている。
空調ケース12には、送風ケース部12Aおよび温調ケース部12Bそれぞれの内部を上層通路121と下層通路122とを区画形成するための隔壁部13が設けられている。上層通路121は、内外気二層モード時に外気が流れる外気通路を構成する。また、下層通路122は、内外気二層モード時に内気が流れる内気通路を構成する。
また、空調ケース12の送風ケース部12Aには、外気を導入するための外気導入口124、上層通路121に内気を導入するための第1内気導入口125、下層通路122に第2内気導入口126等が形成されている。本実施形態の送風ケース部12Aは、下層通路122に対しても外気を導入可能なように、外気導入口124と下層通路122とを連通させる連通路127が設定されている。
また、送風ケース部12Aには、外気導入口124と第1内気導入口125とを選択的に開閉するための第1内外気切替ドア128、および連通路127と第2内気導入口126とを選択的に開閉する第2内外気切替ドア129が配置されている。なお、図2では、第1内外気切替ドア128が外気導入口124を開放すると共に第1内気導入口125を閉鎖する状態であって、第2内外気切替ドア129が第2内気導入口126を開放すると共に連通路127を閉鎖する状態を示している。
本実施形態の第1内外気切替ドア128および第2内外気切替ドア129は、それぞれロータリドアで構成されている。なお、第1内外気切替ドア128および第2内外気切替ドア129は、スライドドアや片持ドア等の他のドアで構成されていてもよい。
送風ケース部12Aには、エアフィルタ11が配置されている。エアフィルタ11は、外気導入口124、第1内気導入口125、第2内気導入口126のいずれから導入された空気に含まれる異物等を除去するために設けられている。
送風ケース部12Aにおけるエアフィルタ11の空気流れ下流側には、車室内に向かう空気流を発生させる送風機14が配置されている。具体的には、送風機14は、上層通路121に配置される上層ファン141、下層通路122に配置される下層ファン142、上層ファン141および下層ファン142を回転駆動させる電動モータ143を有している。
また、送風ケース部12Aには、車室内に向かう空気流を発生させる送風機14が配置されている。具体的には、送風機14は、上層通路121に配置される上層ファン141、下層通路122に配置される下層ファン142、上層ファン141および下層ファン142を回転駆動させる電動モータ143を有している。
本実施形態の上層ファン141および下層ファン142は、回転中心となる軸線CLの方向から吸い込んだ空気を軸線CLと交差する方向に吹き出す遠心ファンで構成されている。上層ファン141および下層ファン142は、射出成形等の成形技術によって一体に成形された一体成形物として構成されている。なお、送風ケース部12Aは、上層ファン141を収容する部位、並びに、下層ファン142を収容する部位の双方が渦巻き状に形成されている。
電動モータ143は、送風ケース部12Aの底面部に固定されている。電動モータ143は、上方側に向かって突き出る回転軸143aを有する。この回転軸143aには、上層ファン141および下層ファン142の双方が図示しない連結部材によって連結されている。
送風ケース部12Aには、送風機14の空気流れ下流側に温調ケース部12Bが接続されている。図1に示すように、温調ケース部12Bには、冷却用熱交換器16、および加熱用熱交換器18が収容されている。
冷却用熱交換器16は、熱媒体である冷媒と空調ケース12の温調ケース部12Bの内部を流れる空気とを熱交換させて空調ケース12の内部を流れる空気を冷却する熱交換器である。図2に示すように、冷却用熱交換器16は、上層通路121を流れる空気および下層通路122を流れる空気の双方を冷却可能なように上層通路121と下層通路122に跨るように配置されている。
本実施形態の冷却用熱交換器16は、図3に示すように、圧縮機51、放熱器52、減圧器53と共に蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置50を構成する。冷却用熱交換器16は、減圧器53で減圧された冷媒と温調ケース部12Bの内部を流れる空気と熱交換させて冷媒を蒸発させる蒸発器である。温調ケース部12Bを流れる空気は、冷却用熱交換器16を通過する際に冷媒の蒸発時の吸熱作用によって冷却される。
図1に示すように、圧縮機51および放熱器52は、機器収容室MRに収容されている。圧縮機51は、走行用の駆動力を発生させるエンジンEGにより駆動され、冷媒を圧縮する機器である。放熱器52は、圧縮機51から吐出された冷媒を外気との熱交換によって放熱させる熱交換器である。
また、減圧器53は、冷却用熱交換器16と共に車室内に配置されている。減圧器53は、放熱器52から流出した冷媒を減圧させる機器である。減圧器53は、冷却用熱交換器16に隣接して配置されている。
ここで、放熱器52の冷媒出口側と減圧器53の冷媒入口側とは、圧縮機51で圧縮された高温高圧の冷媒が流れる高圧冷媒配管54によって接続されている。また、圧縮機51の冷媒吸入側と冷却用熱交換器16とは、冷却用熱交換器16から流出した低温低圧の冷媒が流れる低圧冷媒配管55によって接続されている。
これにより、圧縮機51から吐出された高温高圧の冷媒は、放熱器52→高圧冷媒配管54→減圧器53→冷却用熱交換器16→低圧冷媒配管55の順に流れた後、再び圧縮機51に吸入される。
本実施形態では、高圧冷媒配管54を介して冷却用熱交換器16に冷媒が供給され、低圧冷媒配管55を介して冷却用熱交換器16から冷媒が排出される。このため、本実施形態では、高圧冷媒配管54が冷却用熱交換器16に対して熱媒体である冷媒を供給するための熱媒体供給管を構成し、低圧冷媒配管55が冷却用熱交換器16から熱媒体である冷媒を排出するための熱媒体排出管を構成する。また、本実施形態では、高圧冷媒配管54が高温配管を構成し、低圧冷媒配管55が低温配管を構成する。
図1に示すように、本実施形態の冷凍サイクル装置50は、圧縮機51および放熱器52が機器収容室MRに配置される一方で、減圧器53および冷却用熱交換器16が車室内に配置されている。このため、高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55は、ダッシュパネルDPに設けられた第2配管引込穴H2を介して機器収容室MRから車室内へ引き込まれている。
温調ケース部12Bには、冷却用熱交換器16の空気流れ下流側に、冷却用熱交換器16を通過した空気を加熱する加熱用熱交換器18が配置されている。本実施形態の加熱用熱交換器18は、熱媒体であるエンジンEGを冷却する冷却水と空調ケース12の温調ケース部12Bの内部を流れる空気とを熱交換させて空調ケース12の内部を流れる空気を加熱する熱交換器である。図示しないが、加熱用熱交換器18は、上層通路121を流れる空気および下層通路122を流れる空気の双方を加熱可能なように上層通路121と下層通路122に跨るように配置されている。
加熱用熱交換器18には、エンジンEGにて昇温された高温の冷却水が流れる高温水配管19、および加熱用熱交換器18を通過した低温の冷却水をエンジンEG側に戻すための低温水配管20が接続されている。高温水配管19および低温水配管20は、ダッシュパネルDPに設けられた第1配管引込穴H1を介して機器収容室MRから車室内へ引き込まれている。
図示しないが、温調ケース部12Bには、加熱用熱交換器18をバイパスして空気を流れるバイパス通路が形成されると共に、加熱用熱交換器18を通過する空気の風量とバイパス通路を通過する空気の風量との割合を調整するエアミックスドアが配置されている。
さらに、温調ケース部12Bには、加熱用熱交換器18およびバイパス通路の空気流れ下流側に配風ユニット部が接続されている。
図示しないが配風ユニット部は、車両Cのフロントガラス付近に向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出部、乗員の上半身側に向けて空気を吹き出すフェイス吹出部、乗員の下半身側に向けて空気を吹き出すフット吹出部を備えている。また、配風ユニット部には、車室内への空気の吹出モードを変更するためのモード切替機構が設けられている。
ここで、本実施形態の車両用空調ユニット1は、送風ユニット部10Aと温調ユニット部10Bとの接続部分が車両の前後方向DRfrにおいて第2配管引込穴H2と重なり合っている。
このような構造では、高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55と空調ケース12との干渉を避けるために、高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55を空調ケース12の外形状に合わせて曲げる場合がある。
しかしながら、高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55を空調ケース12の外形状に合わせて曲げる場合、冷凍サイクル装置50における圧力損失が増大したり、車両用空調ユニット1の体格が増大したりしてしまう。
そこで、本実施形態の車両用空調ユニット1は、空調ケース12に対して冷却用熱交換器16に接続される高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55を貫通させる構造となっている。
図2に示すように、本実施形態の車両用空調ユニット1は、空調ケース12の内部に設定された隔壁部13に対して、高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55を貫通させるための単一の貫通穴130が形成されている。この貫通穴130は、上層通路121および下層通路122を流れる空気流れに対して略直交する方向(本例では、前後方向DRfr)に沿って延びている。
具体的には、隔壁部13には、送風機14と冷却用熱交換器16との間の部位に、上層通路121側に膨出する第1膨出壁部131、および下層通路122側に膨出する第2膨出壁部132が設けられている。そして、第1膨出壁部131と第2膨出壁部132との隙間によって、高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55を貫通させるための貫通穴130が形成される。この貫通穴130は、上層通路121と下層通路122との並び方向に沿って高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55を並べて配置可能なように、上下方向DRudの寸法が設定されている。
本実施形態の第1膨出壁部131および第2膨出壁部132は、上層通路121および下層通路122の双方に対して略均等に張り出すように、上下対称となる形状を有している。具体的には、本実施形態の第1膨出壁部131および第2膨出壁部132は、菱形形状の貫通穴130が形成されるように、それぞれL字状に曲がった形状を有している。
高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55は、隔壁部13に対して形成された単一の貫通穴130に対して束ねられた状態で挿通されている。本実施形態の高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55は、貫通穴130において、上層通路121と下層通路122との並び方向(すなわち、上下方向DRud)に並ぶように配置されている。換言すれば、本実施形態の高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55は、上下方向DRudにおいて互いに重なり合うように束ねられた状態で、貫通穴130に挿通されている。
具体的には、本実施形態の低圧冷媒配管55は、貫通穴130のうち高圧冷媒配管54よりも上層通路121側に配置されている。換言すれば、低圧冷媒配管55は、第2膨出壁部132よりも第1膨出壁部131に近接するように、貫通穴130のうち高圧冷媒配管54よりも上方側に配置されている。
一方、本実施形態の高圧冷媒配管54は、貫通穴130のうち低圧冷媒配管55よりも下層通路122側に配置されている。換言すれば、高圧冷媒配管54は、第1膨出壁部131よりも第2膨出壁部132に近接するように、貫通穴130のうち低圧冷媒配管55よりも下方側に配置されている。
次に、本実施形態の車両用空調ユニット1の作動について説明する。本実施形態の車両用空調ユニット1は、空気の吸込モードが、外気だけを導入する外気モード、内気だけを導入する内気モード、内気と外気とを区分して導入する内外気二層モードに設定可能に構成されている。なお、吸込モードの切替制御を含む各種機器の制御処理は、図示しない制御装置によって実行される。制御装置は、プロセッサとメモリを含む周知のマイクロコンピュータおよびその周辺回路で構成される。
まず、外気モード時には、図4に示すように、制御装置によって、第1内外気切替ドア128が外気導入口124を開放し、且つ、第1内気導入口125を閉鎖する位置に設定される。また、外気モード時には、制御装置によって、第2内外気切替ドア129が連通路127を開放し、且つ、第2内気導入口126を閉鎖する位置に設定される。
この状態で、制御装置によって送風機14が駆動されると、外気導入口124から導入された外気が上層通路121に導入される。この際、連通路127が開放されているので、外気導入口124から導入された外気の一部が下層通路122にも導入される。
上層通路121および下層通路122に導入された空気は、送風機14の各ファン141、142を介して冷却用熱交換器16に流入して所定温度まで冷却される。冷却用熱交換器16を通過した空気は、加熱用熱交換器18およびバイパス通路の少なくとも一方を通過した後に混合されることで、所望の温度に調整される。この温度調整された空気は、空調風として配風ユニットを介して車室内の所望の箇所に吹き出される。外気モード時には、車室外の新鮮な空気を導入することで車室内を換気したり、車室外の乾いた空気を導入することで窓曇りを抑制したりすることができる。
続いて、内気モード時には、図5に示すように、制御装置によって、第1内外気切替ドア128が第1内気導入口125を開放し、且つ、外気導入口124を閉鎖する位置に設定される。また、内気モード時には、制御装置によって、第2内外気切替ドア129が第2内気導入口126を開放し、且つ、連通路127を閉鎖する位置に設定される。
この状態で、制御装置によって送風機14が駆動されると、第1内気導入口125から導入された内気が上層通路121に導入されると共に、第2内気導入口126から導入された内気が下層通路122に導入される。
上層通路121および下層通路122に導入された空気は、送風機14の各ファン141、142を介して冷却用熱交換器16に流入して所定温度まで冷却される。冷却用熱交換器16を通過した空気は、加熱用熱交換器18およびバイパス通路の少なくとも一方を通過した後に混合されることで、所望の温度に調整される。この温度調整された空気は、空調風として配風ユニットを介して車室内の所望の箇所に吹き出される。内気モード時には、車室内の空気を循環させることで空調効率の向上を図ることができる。
続いて、内外気二層モード時には、図2に示すように、制御装置によって、第1内外気切替ドア128が外気導入口124を開放し、且つ、第1内気導入口125を閉鎖する位置に設定される。また、内外気二層モード時には、制御装置によって、第2内外気切替ドア129が第2内気導入口126を開放し、且つ、連通路127を閉鎖する位置に設定される。
この状態で、制御装置によって送風機14が駆動されると、外気導入口124から導入された外気が上層通路121に導入されると共に、第2内気導入口126から導入された内気が下層通路122に導入される。
上層通路121に導入された外気および下層通路122に導入された内気は、送風機14の各ファン141、142によって冷却用熱交換器16に向かって送風される。この際、上層通路121における隔壁部13に沿って流れる外気は、貫通穴130を構成する第1膨出壁部131によって斜め上向きの流れとなる。一方、下層通路122における隔壁部13に沿って流れる内気は、貫通穴130を構成する第2膨出壁部132によって斜め下向きの流れとなる。
これにより、隔壁部13における冷却用熱交換器16の近傍では隔壁部13に沿った空気の流れが抑えられるので、冷却用熱交換器16と隔壁部13との隙間Gを介した外気と内気との混合を抑制することができる。すなわち、本実施形態の車両用空調ユニット1は、内外気分離性を充分に確保可能な構造になっている。
上層通路121を流れる外気は、冷却用熱交換器16に流入して所定温度まで冷却され、加熱用熱交換器18およびバイパス通路の少なくとも一方を通過した後に、配風ユニットのデフロスタ吹出部を介して車室内のフロントガラス付近に吹き出される。これにより、フロントガラスの窓曇りが抑制される。
一方、下層通路122を流れる内気は、冷却用熱交換器16に流入して所定温度まで冷却され、加熱用熱交換器18およびバイパス通路の少なくとも一方を通過した後に、配風ユニットのフット吹出部等を介して車室内の乗員に向けて吹き出される。これにより、乗員に対して快適な空調感を提供することができる。
以上説明した本実施形態の車両用空調ユニット1は、内外気二層モードを設定可能に構成されている。このため、本実施形態の車両用空調ユニット1は、換気ロスを抑えつつ、窓曇りを抑制することが可能となる。
ここで、図6は、本実施形態の車両用空調ユニット1の比較例となる車両用空調ユニットCEを示す模式図である。図6に示す車両用空調ユニットCEは、高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55を貫通させる貫通穴THが、空調ケース12のうち上層通路121を形成する部位に形成されている点が本実施形態の車両用空調ユニットCEと異なっている。なお、図6では、比較例の車両用空調ユニットCEにおける本実施形態の車両用空調ユニット1と同様の構成要素について、本実施形態の車両用空調ユニット1と同一の参照符号を付している。
図6に示すように、比較例の車両用空調ユニットCEは、空調ケース12のうち上層通路121を形成する部位に、高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55を貫通させる貫通穴THが設けられている。そして、上層通路121には高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55が貫通するように配置されている。比較例の車両用空調ユニットCEにおける他の構成は、本実施形態の車両用空調ユニット1と同様に構成されている。
続いて、比較例の車両用空調ユニットCEにおける内外気二層モード時の空気の流れ方について説明する。内外気二層モード時には、制御装置によって、第1内外気切替ドア128が外気導入口124を開放する位置に設定されると共に、第2内外気切替ドア129が第2内気導入口126を開放する位置に設定される。
この状態で、制御装置によって送風機14が駆動されると、外気導入口124から導入された外気が上層通路121に導入されると共に、第2内気導入口126から導入された内気が下層通路122に導入される。
上層通路121に導入された外気および下層通路122に導入された内気は、送風機14の各ファン141、142によって冷却用熱交換器16に向かって送風される。この際、下層通路122を流れる内気は、配管等が配置されていないので、二股に分流されることなく、そのまま冷却用熱交換器16に流入する。一方、上層通路121を流れる外気は、各冷媒配管54、55に衝突して上下に分流された後、冷却用熱交換器16に流入する。すなわち、上層通路121では、各冷媒配管54、55が貫通することに起因する通路形状の変化および分岐損失によって通風抵抗が増大する。
このように、比較例の車両用空調ユニットCEでは、通風抵抗の増大が上層通路121および下層通路122のうち上層通路121に偏って生ずる。このため、比較例の車両用空調ユニットCEでは、上層通路121と下層通路122との風量割合を空調性能と防曇性能との両立に適した割合に設定することが困難となる。このことは、空調ケース12のうち下層通路122を形成する部位に対して各冷媒配管54、55を配置する構成においても同様に生ずる。
これに対して、本実施形態の車両用空調ユニット1は、高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55を貫通させる貫通穴130を隔壁部13に対して形成している。このため、本実施形態の車両用空調ユニット1では、上層通路121および下層通路122の一方が角冷媒配管54、55によって上下に分岐すること等がない。
このため、本実施形態の車両用空調ユニット1によれば、比較例の車両用空調ユニットCEに比べて、各冷媒配管54、55を貫通させることに伴う通風抵抗の増大が上層通路121および下層通路122の一方の通路に偏ることを抑制することができる。したがって、本実施形態の車両用空調ユニット1によれば、内外気二層モード時に、空調ケース12に各冷媒配管54、55を貫通させることに起因する上層通路121および下層通路122の風量割合の変化を抑制することができる。
また、本実施形態の車両用空調ユニット1は、低圧冷媒配管55が貫通穴130のうち高圧冷媒配管54よりも上層通路121側に配置され、高圧冷媒配管54が貫通穴130のうち低圧冷媒配管55よりも下層通路122側に配置されている。
このように、高圧冷媒配管54よりも低温となる低圧冷媒配管55を上層通路121側に配置する構成とすれば、内外気二層モード時に下層通路122を流れる内気と低圧冷媒配管55配管との熱交換による熱損失が抑制される。この結果、内気導入による車両用空調ユニット1の暖房効率の向上を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図7を参照して説明する。本実施形態では、隔壁部13における高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55の配置構成等が第1実施形態と相違している。
図7に示すように、本実施形態の車両用空調ユニット1は、隔壁部13に形成された貫通穴130の形状が第1実施形態と相違している。
本実施形態の貫通穴130は、上層通路121および下層通路122における空気流れ方向に沿って高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55を並べて配置可能な形状になっている。すなわち、本実施形態の貫通穴130は、上層通路121および下層通路122における空気流れ方向の寸法が上層通路121および下層通路122の並び方向の寸法よりも大きくなっている。
具体的には、本実施形態の貫通穴130は、上層通路121および下層通路122における空気流れ方向の寸法が高圧冷媒配管54の管径および低圧冷媒配管55の管径の合計値よりも大きくなっている。また、本実施形態の貫通穴130は、上層通路121および下層通路122の並び方向の寸法が、高圧冷媒配管54の管径および低圧冷媒配管55の管径の合計値よりも小さくなっている。
また、本実施形態の第1膨出壁部131Aおよび第2膨出壁部132Aは、上層通路121および下層通路122側に突き出る方向の寸法が第1実施形態よりも短くなっている。具体的には、本実施形態の第1膨出壁部131Aおよび第2膨出壁部132Aは、六角形状の貫通穴130が形成されるように、それぞれ曲折した形状を有している。なお、本実施形態の第1膨出壁部131Aおよび第2膨出壁部132Aは、上層通路121および下層通路122の双方に対して略均等に張り出すように、上下対称となる形状を有している。
また、本実施形態の高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55は、貫通穴130において、上層通路121および下層通路122を流れる空気の流れ方向に沿って並ぶように配置されている。換言すれば、本実施形態の高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55は、上層通路121および下層通路122を流れる空気の流れ方向において互いに重なり合うように束ねられた状態で、貫通穴130に挿通されている。
具体的には、本実施形態の低圧冷媒配管55は、貫通穴130のうち高圧冷媒配管54よりも上層通路121および下層通路122の空気流れ上流側となる位置に配置されている。換言すれば、低圧冷媒配管55は、貫通穴130のうち高圧冷媒配管54よりも送風機14に近い位置に配置されている。
一方、本実施形態の高圧冷媒配管54は、貫通穴130のうち低圧冷媒配管55よりも上層通路121および下層通路122の空気流れ下流側となる位置に配置されている。換言すれば、高圧冷媒配管54は、貫通穴130のうち低圧冷媒配管55よりも冷却用熱交換器16に近い位置に配置されている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の車両用空調ユニット1は、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の車両用空調ユニット1は、高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55が空調ケース12の内部における空気流れ方向に並ぶように配置されている。これによれば、高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55が空調ケース12の内部における空気流れ方向に交差する方向に並ぶ配置構成に比べて、上層通路121および下層通路122における通路形状の急激な変化が抑制される。このため、空調ケース12に対して高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55を貫通させることに起因する上層通路121および下層通路122の通風抵抗を充分に抑制することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図8を参照して説明する。本実施形態では、隔壁部13における高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55の配置構成等が第1実施形態と相違している。
図8に示すように、本実施形態の車両用空調ユニット1は、高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55が、貫通穴130において、上層通路121と下層通路122との並び方向(すなわち、上下方向DRud)に並ぶように配置されている。
具体的には、本実施形態の高圧冷媒配管54は、貫通穴130のうち低圧冷媒配管55よりも上層通路121側に配置されている。換言すれば、高圧冷媒配管54は、第2膨出壁部132よりも第1膨出壁部131に近接するように、貫通穴130のうち低圧冷媒配管55よりも上方側に配置されている。
一方、本実施形態の低圧冷媒配管55は、貫通穴130のうち高圧冷媒配管54よりも下層通路122側に配置されている。換言すれば、低圧冷媒配管55は、第1膨出壁部131よりも第2膨出壁部132に近接するように、貫通穴130のうち高圧冷媒配管54よりも下方側に配置されている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の車両用空調ユニット1は、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の車両用空調ユニット1は、高圧冷媒配管54が貫通穴130のうち低圧冷媒配管55よりも上層通路121側に配置され、低圧冷媒配管55が貫通穴130のうち高圧冷媒配管54よりも下層通路122側に配置されている。
このように、低圧冷媒配管55よりも高温となる高圧冷媒配管54を上層通路121側に配置する構成とすれば、上層通路121を流れる外気が貫通穴130付近を流れる際に、高圧冷媒配管54から受熱して昇温する。すなわち、本実施形態の構成によれば、内外気二層モード時に上層通路121を流れる外気を昇温させる補助熱源として高圧冷媒配管54を利用可能となる。この結果、車両用空調ユニット1の暖房効率の向上を図ることができる。
また、高圧冷媒配管54からの受熱によって上層通路121を流れる外気が昇温すると、外気の相対湿度が低下する。このため、車両用空調ユニット1における防曇性能の向上も期待することができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図9を参照して説明する。本実施形態では、隔壁部13における高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55の配置構成等が第2実施形態と相違している。
図9に示すように、本実施形態の高圧冷媒配管54は、貫通穴130のうち低圧冷媒配管55よりも上層通路121および下層通路122の空気流れ上流側となる位置に配置されている。換言すれば、高圧冷媒配管54は、貫通穴130のうち低圧冷媒配管55よりも送風機14に近い位置に配置されている。
一方、本実施形態の低圧冷媒配管55は、貫通穴130のうち高圧冷媒配管54よりも上層通路121および下層通路122の空気流れ下流側となる位置に配置されている。換言すれば、低圧冷媒配管55は、貫通穴130のうち高圧冷媒配管54よりも冷却用熱交換器16に近い位置に配置されている。
その他の構成は、第2実施形態と同様である。本実施形態の車両用空調ユニット1は、第2実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第2実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の車両用空調ユニット1は、高圧冷媒配管54が貫通穴130のうち低圧冷媒配管55よりも空調ケース12における空気流れ上流側に配置されている。これによれば、上層通路121を流れる外気および下層通路122を流れる内気が貫通穴130付近を流れる際に、高圧冷媒配管54から受熱して昇温する。すなわち、本実施形態の構成によれば、内外気二層モード時に上層通路121を流れる外気および下層通路122を流れる内気を昇温させる補助熱源として高圧冷媒配管54を利用可能となる。この結果、車両用空調ユニット1の暖房効率の向上を図ることができる。
ここで、上層通路121における隔壁部13に沿って流れる空気は、貫通穴130を構成する第1膨出壁部131の空気流れ上流側の部位によって斜め上向きの流れとなる。また、下層通路122における隔壁部13に沿って流れる空気は、貫通穴130を構成する第2膨出壁部132の空気流れ上流側の部位によって斜め下向きの流れとなる。
これにより、上層通路121を流れる外気および下層通路122を流れる内気は、各膨出壁部131、132の空気流れ下流側の部位に沿って流れ難くなるので、外気および内気と低圧冷媒配管55との熱交換が抑制される。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、図10、図11を参照して説明する。本実施形態では、車両用空調ユニット1をハンドルHdが車両幅方向DRwの左側に配置されている車両Cに適用している点等が第1実施形態と相違している。
図10に示すように、本実施形態の車両用空調ユニット1は、温調ユニット部10Bが車両幅方向DRwの略中央部に配置され、送風ユニット部10Aが車両幅方向DRwの右側にオフセット配置される構成になっている。本実施形態の車両用空調ユニット1は、送風ユニット部10Aが車両幅方向DRwの右側にオフセット配置されることで、送風ユニット部10Aと温調ユニット部10Bとの接続部位が車両幅方向DRwに沿って延びる構成になっている。
また、本実施形態の車両用空調ユニット1は、送風ユニット部10Aと温調ユニット部10Bとの接続部分が車両の前後方向DRfrにおいて第1配管引込穴H1と重なり合っている。
このような構造では、加熱用熱交換器18に接続される高温水配管19および低温水配管20と空調ケース12との干渉を避けるために、高温水配管19および低温水配管20を空調ケース12の外形状に合わせて曲げる場合がある。
しかしながら、高温水配管19および低温水配管20を空調ケース12の外形状に合わせて曲げる場合、エンジンEGの冷却水回路における圧力損失が増大したり、車両用空調ユニット1の体格が増大したりしてしまう。
そこで、本実施形態の車両用空調ユニット1は、空調ケース12に対して加熱用熱交換器18に接続される高温水配管19および低温水配管20を貫通させる構造となっている。なお、本実施形態の車両用空調ユニット1は、送風ユニット部10Aと温調ユニット部10Bとの接続部分が車両の前後方向DRfrにおいて第2配管引込穴H2と重なり合っていない。このため、本実施形態の車両用空調ユニット1は、高圧冷媒配管54および低圧冷媒配管55が空調ケース12を貫通しない構造になっている。
図11に示すように、本実施形態の車両用空調ユニット1は、空調ケース12の内部に設定された隔壁部13に対して、高温水配管19および低温水配管20を貫通させるための単一の貫通穴130が形成されている。この貫通穴130は、上層通路121および下層通路122を流れる空気流れに対して略直交する方向(本例では、前後方向DRfr)に沿って延びている。
具体的には、隔壁部13には、送風機14と冷却用熱交換器16との間の部位に、上層通路121側に膨出する第1膨出壁部131、および下層通路122側に膨出する第2膨出壁部132が設けられている。そして、第1膨出壁部131と第2膨出壁部132との隙間によって、高温水配管19および低温水配管20を貫通させるための貫通穴130が形成される。なお、本実施形態の第1膨出壁部131および第2膨出壁部132は、第1実施形態と同様に構成されているので、その説明を省略する。
高温水配管19および低温水配管20は、隔壁部13に対して形成された単一の貫通穴130に対して束ねられた状態で挿通されている。本実施形態の高温水配管19および低温水配管20は、貫通穴130において、上層通路121と下層通路122との並び方向(すなわち、上下方向DRud)に並ぶように配置されている。
具体的には、本実施形態の低温水配管20は、貫通穴130のうち高温水配管19よりも上層通路121側に配置されている。換言すれば、低温水配管20は、第2膨出壁部132よりも第1膨出壁部131に近接するように、貫通穴130のうち高温水配管19よりも上方側に配置されている。
一方、本実施形態の高温水配管19は、貫通穴130のうち低温水配管20よりも下層通路122側に配置されている。換言すれば、高温水配管19は、第1膨出壁部131よりも第2膨出壁部132に近接するように、貫通穴130のうち低温水配管20よりも下方側に配置されている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の車両用空調ユニット1は、第1実施形態と同様の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。すなわち、本実施形態の車両用空調ユニット1は、空調ケース12に対して各温水配管19、20を貫通させることに伴う通風抵抗の増大が上層通路121および下層通路122の一方に偏ることを抑制することができる。したがって、本実施形態の車両用空調ユニット1によれば、内外気二層モード時に、空調ケース12に各温水配管19、20を貫通させることに起因する上層通路121および下層通路122の風量割合の変化を抑制することができる。
ここで、本実施形態では、高温水配管19を介して加熱用熱交換器18にエンジンEGの冷却水が供給され、低温水配管20を介して加熱用熱交換器18から冷却水が排出される。このため、本実施形態では、高温水配管19が加熱用熱交換器18に対して熱媒体である冷却水を供給するための熱媒体供給管を構成し、低温水配管20が加熱用熱交換器18から熱媒体である冷却水を排出するための熱媒体排出管を構成する。また、本実施形態では、高温水配管19が高温配管を構成し、低温水配管20が低温配管を構成する。
(第5実施形態の変形例)
上述の第5実施形態では、低温水配管20を貫通穴130のうち上層通路121側に配置し、高温水配管19を貫通穴130のうち下層通路122側に配置する例について説明したが、これに限定されない。
車両用空調ユニット1は、例えば、高温水配管19が貫通穴130のうち上層通路121側に配置され、低温水配管20が貫通穴130のうち下層通路122側に配置される構成になっていてもよい。また、車両用空調ユニット1は、例えば、高温水配管19および低温水配管20のうち一方の管が、他方の管よりも空調ケース12の内部における空気流れの上流側に位置するように配置されていてもよい。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の各実施形態では、単一の貫通穴130に対して各冷媒配管54、55等を束ねた状態で挿通させる構成について説明したが、これに限定されない。車両用空調ユニット1は、例えば、隔壁部13に2つの貫通穴が形成され、各貫通穴に対して各冷媒配管54、55を個別に挿通させる構成になっていてもよい。
上述の各実施形態では、上下対称となる第1膨出壁部131および第2膨出壁部132によって貫通穴130を形成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、上下非対称となる第1膨出壁部131および第2膨出壁部132によって貫通穴130が形成されていてもよい。例えば、上層通路121および下層通路122の一方の通路に向かって膨出する膨出壁部と平坦形状の壁部とで貫通穴130が形成されていてもよい。
上述の各実施形態では、ダッシュパネルDPに対して2つの配管引込穴H1、H2が形成されている車両Cに対して、本開示の車両用空調ユニット1を適用する例について説明したが、これに限定されない。本開示の車両用空調ユニット1は、例えば、ダッシュパネルDPに対して単一の配管引込穴が形成されている車両Cに対しても適用可能である。この場合、単一の配管引込穴には、各冷媒配管54、55および各温水配管19、20が束ねられた状態で挿通されることになる。
上述の各実施形態では、冷却用熱交換器16の空気流れ上流側に送風機14が配置される構成について説明したが、これに限定されない。車両用空調ユニット1は、例えば、送風機14が冷却用熱交換器16と加熱用熱交換器18との間に配置される構成であったり、加熱用熱交換器18の空気流れ下流側に配置される構成であったりしてもよい。
上述の各実施形態では、冷却用熱交換器16として冷凍サイクル装置50を構成する蒸発器を採用する例について説明したが、これに限定されない。冷却用熱交換器16は、例えば、冷凍サイクル装置50の蒸発器で冷却された流体が導入される熱交換器で構成されていてもよい。
上述の各実施形態では、加熱用熱交換器18としてエンジンEGの冷却水を放熱させる熱交換器を採用する例について説明したが、これに限定されない。冷却用熱交換器16は、例えば、エンジンEG以外の他の機器(例えば、高圧バッテリ)の冷却水を放熱させる熱交換器で構成されていてもよい。
上述の各実施形態では、車両用空調ユニット1として、送風ユニット部10Aが温調ユニット部10Bの側方にオフセット配置される構成を例示したが、これに限定されない。車両用空調ユニット1は、送風ユニット部10Aおよび温調ユニット部10Bの双方が車両幅方向DRwの略中央部に配置されるセンタ置きのレイアウトになっていてもよい。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、車両用空調ユニットは、空調ケースと、空調ケースの内部に配置される熱交換器と、熱交換器に対して熱媒体を供給する熱媒体供給管と、熱交換器から熱媒体を排出する熱媒体排出管と、を備える。空調ケースの内部には、内外気二層モード時に外気を流すための外気通路と、内外気二層モード時に内気を流すための内気通路とを区画形成するための隔壁部が設定されている。そして、隔壁部には、熱媒体供給管および熱媒体排出管を貫通させるための貫通穴が形成されている。
第2の観点によれば、車両用空調ユニットの熱媒体供給管および熱媒体排出管は、一方の管が他方の管を流れる熱媒体よりも高温の熱媒体が流れる高温配管を構成し、他方の管が低温配管を構成している。低温配管は、貫通穴のうち高温配管に比べて外気通路側に配置されている。そして、高温配管は、貫通穴のうち低温配管に比べて内気通路側に配置されている。
このように、低温配管を外気通路側に配置する構成とすれば、内外気二層モード時に内気通路を流れる内気と低温配管との熱交換による熱損失が抑制されるので、内気導入による車両用空調ユニットの暖房効率の向上を図ることができる。
第3の観点によれば、車両用空調ユニットの熱媒体供給管および熱媒体排出管は、貫通穴において空調ケースの内部を流れる空気の空気流れ方向に沿って並ぶように、一方の管が他方の管よりも空調ケースの内部における空気流れ上流側となる位置に配置されている。
これによれば、熱媒体供給管および熱媒体排出管が空気流れ方向に交差する方向に並ぶ配置構成に比べて、内気通路および外気通路における通路形状の急激な変化が抑制される。このため、空調ケースに対して熱媒体供給管および熱媒体排出管を貫通させることに起因する外気通路および内気通路の通風抵抗を充分に抑制することができる。
第4の観点によれば、車両用空調ユニットの熱媒体供給管および熱媒体排出管は、一方の管が他方の管を流れる熱媒体よりも高温の熱媒体が流れる高温配管を構成し、他方の管が低温配管を構成している。
このように、高温配管を空気流れ上流側に配置する構成とすれば、車室内の暖房時における補助熱源として高温配管を利用可能となるので、車両用空調ユニットにおける暖房効率の向上を図ることができる。
第5の観点によれば、車両用空調ユニットの熱媒体供給管および熱媒体排出管は、一方の管が他方の管を流れる熱媒体よりも高温の熱媒体が流れる高温配管を構成し、他方の管が低温配管を構成している。低温配管は、貫通穴のうち高温配管に比べて内気通路側に配置されている。そして、高温配管は、貫通穴のうち低温配管に比べて外気通路側に配置されている。
このように、高温配管を外気通路側に配置する構成とすれば、内外気二層モード時に外気を昇温させる補助熱源として高温配管を利用可能となるので、車両用空調ユニットにおける暖房効率の向上を図ることができる。
第6の観点によれば、車両用空調ユニットの熱媒体供給管および熱媒体排出管は、互いに隣り合うように束ねられた状態で、単一の貫通穴に対して挿通されている。これによれば、空調ケース内部に対して単一の貫通穴を設けだけでよいので、空調ケースに対して熱媒体供給管および熱媒体排出管を貫通させる構造の簡素化を図ることができる。
第7の観点によれば、車両用空調ユニットの熱交換器は、熱媒体と空調ケースの内部を流れる空気とを熱交換させて空調ケースの内部を流れる空気を冷却する冷却用熱交換器として構成されている。冷却用熱交換器に接続される熱媒体供給管および熱媒体排出管を空調ケースに対して貫通させる必要がある場合、各管を隔壁部の貫通穴に配置することで、内外気二層モード時における外気通路および内気通路の風量割合の変化を抑制することができる。
第8の観点によれば、車両用空調ユニットの熱交換器は、熱媒体と空調ケースの内部を流れる空気とを熱交換させて空調ケースの内部を流れる空気を加熱する加熱用熱交換器として構成されている。加熱用熱交換器に接続される熱媒体供給管および熱媒体排出管を空調ケースに対して貫通させる必要がある場合、各管を隔壁部の貫通穴に配置することで、内外気二層モード時における外気通路および内気通路の風量割合の変化を抑制することができる。