JP6834458B2 - アーク故障検出システム - Google Patents
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例えば、特許文献1に記載されたアーク検出手段では、太陽電池パネルに接続された端子台でのネジの締め忘れ等により、アークの発生、短絡及び断路故障が発生すると考え、端子台から出力側配線との間の電圧の変動と、端子台から出力側配線に流れる電流の変動とを同時に検出している。
このアーク検出装置では、複数個の太陽電池パネルが直列接続された直流回路の両端電圧を検出し、その出力をパワースペクトルに変換した後にインバータのスイッチングノイズに相当する周波数帯域を除去し、除去した後のパワースペクトルの複数点で求めたパワースペクトルの傾きが所定の基準値を超えた場合に、直流回路におけるアークの発生を判定している。
このため、端子台より太陽電池パネル側のケーブル等で発生したアーク故障に関しては、端子台付近の電圧センサの設置位置における急激な電圧変動はほとんどなく、検出が困難である。
しかしながら、近年における太陽光発電システムの世界的な主流では、逆流に対する安全策としてPVヒューズが使用されている。この種のシステムによると、特許文献2に記載の検出方法では故障系統と健全系統とを区別できないため、故障発生時にはシステム全体を停止する必要があると共に、故障点の特定や復旧に多くの時間や手間が必要であった。
すなわち、太陽光発電システムの構成によっては故障系統を判別することができず、太陽光発電を安定的に継続することが困難であった。
すなわち、各分岐系統における並列アーク故障は、故障が発生した分岐系統の電流検出値が、他系統からの電流の流入によって特異な値になること、及び、直流母線40の電圧検出値が大幅に低下すること等によって検出可能である。
しかし、分岐系統に上記の逆流防止ダイオードが設けられている場合には、ある分岐系統で並列アーク故障が発生しても他の健全系統から電流が流入せず、また、電圧の変動も検出できないため、並列アーク故障を検出することができないという問題があった。
国内の太陽光発電システムでは、通常、分岐系統と主幹系統とを接続する接続箱に逆流防止ダイオードが取り付けられており、このようなシステムにおいても分岐系統の直列・並列アーク故障を検出可能であることが求められている。
前記分岐系統に、前記正側母線から前記直流発電設備に向かう方向の電流を阻止するための逆流防止素子が接続されたシステムにおいて、
前記逆流防止素子の両端の電圧を検出する第1の電圧検出装置と、
前記直流発電設備と前記直流母線との間の正負の直流線路の線間電圧を検出する第2の電圧検出装置と、
前記直流線路を流れる電流の交流成分及び直流成分を検出する電流検出装置と、
を備え、
前記第2の電圧検出装置及び前記電流検出装置を、前記逆流防止素子と前記直流発電設備との間に配置すると共に、
各分岐系統に設けられた前記逆流防止素子より前記直流発電設備側に発生した並列アーク故障を、
当該分岐系統内の前記第1の電圧検出装置による電圧検出値の変化、または、当該分岐系統内の前記第1,第2の電圧検出装置による電圧検出値の変化及び前記電流検出装置による電流検出値の変化に基づいて検出することを特徴とする。
図1は、本発明の実施形態に係るアーク故障検出システムの構成図である。図1において、図17と同一の部分については同一の番号を付してあり、以下では図17との相違点を中心に説明する。なお、直流母線40に接続される分岐系統の数は、図示例に何ら限定されないのは言うまでもない。
ここで、直列アーク19及び並列アーク20〜24は、どの分岐系統においても発生し得る故障ケースであるが、図4では分岐系統Aで生じた場合を表している。なお、アーク19〜27の全てが同時に発生することはなく、通常はそれぞれ単独で発生するが、便宜上、図4には全てのアーク19〜27を記載してある。
なお、主幹系統で発生する直列アーク26に対しては、全ての分岐系統A,Bの電流検出装置5,6による電流検出値にアーク故障特有の交流成分が含まれることから、この交流成分に基づいて検出可能である。
また、分岐系統Aで発生する直列アーク19については、当該分岐系統Aの電流検出装置5による電流検出値に含まれるアーク故障特有の交流成分に基づいて検出可能である。
更に、主幹系統において発生する並列アーク25,27については、以下に述べる並列アーク24と同様の方法により対応可能であるため、ここでは説明を省略する。
この並列アーク24が発生すると、太陽電池パネル16からの電流は、並列アーク24を通って太陽電池パネル16に戻る経路28を流れる。一方、他の分岐系統Bの太陽電池パネル17からの電流も、交流電源系統100側には流れず、並列アーク24を通る経路29を流れる。上記の例に限らず、並列アーク24が発生すると、全ての分岐系統内の太陽電池パネルからの電流が並列アーク24に集中する。
すなわち、電流交流成分の増加に基づいて並列アークを検出する方法は適用できず、また、電圧検出装置3,4による測定波形に着目する場合には、並列アーク発生時と健全時とで変わらないため、並列アークの発生を検出することができない。
このため、電圧検出装置7,8による測定電圧の低下のみに着目して並列アーク故障を検出しようとすると、誤検出する可能性がある。
前述したように、太陽電池パネルの発電量が著しく低下した場合には、電圧だけでなく電流も大きく低下するはずである。従って、電圧検出装置7,8により測定される電圧低下と電流検出装置5,6により測定される直流成分の増加という二つの変化は、並列アーク故障時にのみ生じる現象として、健全時と明確に区別可能である。よって、これらの電圧及び電流の変化量に適当な閾値を設定し、線間電圧(電圧直流成分)が閾値を下回り、かつ電流直流成分が閾値を上回る状態が成立した場合に、並列アーク24の発生を検出することができる。
前述したごとく、主幹系統側の並列アーク25,27についても同様の方法で検出可能である。
図6(a),(b)は、それぞれ電流検出装置5,6による測定波形に含まれる電流交流成分、図6(c),(d)は同じく電流直流成分、図6(e),(f)は、それぞれ電圧検出装置7,8による測定波形に含まれる電圧直流成分、図6(g),(h)はそれぞれ電圧検出装置3,4による測定波形に含まれる電圧直流成分である。
並列アーク24(並列アーク25,27についても同様)の発生を検出するためには、前述した検出原理に基づいて、図6(c),(d)により測定電流の直流成分が増加し、かつ健全時と同一方向であること、及び、図6(e),(f)により測定電圧の直流成分が低下したことを確認すれば良い。
既に説明したように、並列アーク24が発生した際の電流は図5の経路28,29を通るため、これらの経路の電流を遮断することによりアークを消弧することができる。すなわち、並列アーク24を検出したら、図7に示すごとく、分岐系統A,Bの断路用開閉器9,10をオンからオフにする。これにより、並列アーク24を介して流れていた太陽電池パネル16,17からの電流が遮断されて並列アーク24が消弧するので、故障個所の切り離しと系統保護が可能となる。なお、図7において、30は除去後の並列アークを示す。
まず、健全時では、分岐系統Aと主幹系統との線間電圧はほぼ同じであり、数百[V]である。このとき、逆流防止ダイオード1の両端には1[V]程度の順方向電圧Vfが生じている。一方、図8に示す位置で並列アーク20が発生すると、太陽電池パネル16の線間電圧は数十[V]程度まで低下し、逆流防止ダイオード1がオフする。このとき、太陽電池パネル16から見ると、並列アーク20が最も低インピーダンスとなる。このため、並列アーク20が発生した際の電流は、太陽電池パネル16から流出して並列アーク20を通り、太陽電池パネル16へ戻る経路31をたどることになる。
まず、図9(b),(d),(f),(h)に示すように、アークが生じていない分岐系統Bに設置された電流検出装置6及び電圧検出装置8では、健全時と同じ波形が測定される。これは、並列アーク20が発生すると、逆流防止ダイオード1がオフするためである。
図9(c)に示す電流検出装置5による直流成分の測定波形は、並列アーク20により逆流防止ダイオード1がオフするためゼロとなる。図9(e)に示すように、電圧検出装置7では、太陽電池パネル16の線間電圧がアーク電圧相当の数十[V]まで低下する変化が測定される。また、図9(g)に示すように、電圧検出装置3では、主幹電圧とアーク電圧との差分として逆方向電圧の増加が測定される。
まず、図9(c)に示す電流直流成分のゼロへの減少と図9(e)に示す電圧低下は、日射量の急激な変化等に起因して健全時でも生じ得るので、これらの測定波形に基づく確実な故障検出は望めない。また、図9(a)の電流交流成分についても、健全時との区別がつかないため故障検出に利用することができない。
並列アーク20を除去するには、より低インピーダンスの電流経路を生成すれば良いため、図10に示すように短絡用開閉器11をオフからオンにして電流経路33を形成する。更に、断路用開閉器9をオンからオフにすることにより、故障点を切り離して健全な分岐系統による運転を継続する。なお、図10において、32は除去後の並列アークを示す。
図11において、34は並列アーク21が発生した場合の電流経路を示している。並列アーク21により逆流防止ダイオード1がオフするため、並列アーク21が発生した分岐系統Aのみにおいて、故障に起因した信号が検出される。
以下、図12(a)〜(h)の測定波形を参照しつつ、並列アーク21を検出する方法について説明する。
ここで、図12(c),(e)は、前述したように並列アーク24の検出時に用いた測定波形(図6(c),(e))と同一であるが、並列アーク24と並列アーク21とは保護動作が異なるため、これらを区別して検出する必要がある。
従って、電圧検出装置3による測定電圧に適当な閾値を設定しておき、図12(g)に示す電圧の増加が検出され、かつ、図12(c),(e)の変化が検出された場合、つまり、図12(c),(e),(g)の測定波形がAND条件で成立した場合に、並列アーク21の発生を検出することができる。
並列アーク21は、図13に示すごとく、短絡用開閉器11をオフからオンにして太陽電池パネル16からの電流経路33を形成することにより、除去可能である。なお、35は除去後の並列アークを示している。
次に、断路用開閉器9をオンからオフにすれば、故障点の切り離し、及び、健全系統の保護並びに健全系統による運転継続が可能になる。
並列アーク23が発生すると電流経路36が形成されると共に、図15に示すように、故障が発生した系統以外の分岐系統(例えば分岐系統B)では、健全時と同じ波形が測定される。これらについては既に説明済みであるため詳述を省略する。
並列アーク23の検出は、並列アーク21と同様に、図15(c),(e),(g)の三つの測定波形が観測されたことにより、つまり、並列アーク24と区別するために、図15(c),(e),(g)の三つの測定波形のAND条件により行う。
図14の経路36から明らかなように、並列アーク23の除去及び保護のためには断路用開閉器9のみをオフすれば良いが、本実施形態では並列アーク21の発生時と同様の方法(図13を参照)に統一する。つまり、図16に示す如く、短絡用開閉器11をオフからオンにすると共に、断路用開閉器9をオンからオフにして並列アーク23を除去し、系統を保護する。なお、図16において、37は除去後の並列アークである。
まず、並列アーク21及び並列アーク23発生時の各検出装置の測定波形は全て同じであるため、測定波形に基づいて発生箇所が異なる並列アーク故障を判別して検出することができない。このため、並列アーク21,23の保護動作を何れかに統一する必要がある。
並列アーク23については、前述したように断路用開閉器9をオンからオフにすれば、短絡用開閉器11をオフのまま維持してもアークの除去は可能である。一方、並列アーク21については、アークを除去するために短絡用開閉器11をオフからオンにする動作が必須である。そこで、並列アーク23の保護動作を並列アーク21の発生時の保護動作に統一すれば、共通の保護動作により並列アーク21,23の両方の除去及び系統保護が可能となる。
3,4,7,8:電圧検出装置
5,6:電流検出装置
9,10,13:断路用開閉器
11,12:短絡用開閉器
14,15:一体型開閉器
16,17:太陽電池パネル
18:PCS(パワーコンディショナ)
19,26:直列アーク
20,21,22,23,24,25,27:並列アーク
28,29,31,33,34,36:電流経路
30,32,35,37:並列アーク(除去後)
40:直流母線
100:交流電源系統
P:正側母線
N:負側母線
Claims (8)
- 主幹系統を構成する直流母線と、前記直流母線の正側母線と負側母線との間に接続された直流発電設備を有する一または複数の分岐系統と、を有し、
前記分岐系統に、前記正側母線から前記直流発電設備に向かう方向の電流を阻止するための逆流防止素子が接続されたシステムにおいて、
前記逆流防止素子の両端の電圧を検出する第1の電圧検出装置と、
前記直流発電設備と前記直流母線との間の正負の直流線路の線間電圧を検出する第2の電圧検出装置と、
前記直流線路を流れる電流の交流成分及び直流成分を検出する電流検出装置と、
を備え、
前記第2の電圧検出装置及び前記電流検出装置を、前記逆流防止素子と前記直流発電設備との間に配置すると共に、
各分岐系統に設けられた前記逆流防止素子より前記直流発電設備側に発生した並列アーク故障を、
当該分岐系統内の前記第1の電圧検出装置による電圧検出値の変化、または、当該分岐系統内の前記第1,第2の電圧検出装置による電圧検出値の変化及び前記電流検出装置による電流検出値の変化に基づいて検出することを特徴とするアーク故障検出システム。 - 請求項1に記載したアーク故障検出システムであって、前記分岐系統を複数備えたアーク故障検出システムにおいて、
前記逆流防止素子より前記主幹系統側に発生した並列アーク故障を、
複数の前記分岐系統内の前記第2の電圧検出装置による電圧検出値の変化、及び、前記電流検出装置による電流検出値の変化に基づいて検出することを特徴とするアーク故障検出システム。 - 請求項1に記載したアーク故障検出システムであって、前記分岐系統を複数備えたアーク故障検出システムにおいて、
前記主幹系統に発生した直列アーク故障を、複数の前記分岐系統内の前記電流検出装置により測定される電流の交流成分に基づいて検出することを特徴とするアーク故障検出システム。 - 請求項1に記載したアーク故障検出システムにおいて、
各分岐系統に発生した直列アーク故障を、当該分岐系統に設けられた前記電流検出装置により測定される電流の交流成分に基づいて検出することを特徴とするアーク故障検出システム。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載したアーク故障検出システムにおいて、
前記主幹系統に断路用開閉器を配置すると共に、前記分岐系統に、正負の直流線路の間を短絡するための短絡用開閉器と前記直流線路を断路するための断路用開閉器とを配置したことを特徴とするアーク故障検出システム。 - 請求項5に記載したアーク故障検出システムにおいて、
前記分岐系統に配置された断路用開閉器及び短絡用開閉器を、当該分岐系統における前記逆流防止素子と前記直流発電設備との間に配置したことを特徴とするアーク故障検出システム。 - 請求項5または6に記載したアーク故障検出システムにおいて、
前記分岐系統内に配置された断路用開閉器及び短絡用開閉器を、両開閉器の間でアークが発生しないように単一の筐体内に密接して配置することにより、一体型開閉器として構成したことを特徴とするアーク故障検出システム。 - 請求項1〜7の何れか1項に記載されたアーク故障検出システムにおいて、
前記直流母線が、パワーコンディショナシステムを介して交流電源系統に接続されることを特徴とするアーク故障検出システム。
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