JP6832579B2 - リン酸基含有重合性化合物を含む歯科用接着前処理材組成物 - Google Patents

リン酸基含有重合性化合物を含む歯科用接着前処理材組成物 Download PDF

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Description

本発明は、リン酸基含有重合性化合物を含む歯科用接着前処理材組成物に関する。
歯質に対する接着では、コンポジットレジン(CR)と呼ばれる歯科用の樹脂充填剤、歯冠等の補綴物との接着に、歯科用接着材が使用されている。その際に接着前処理材としてエッチング材という材料が使用される。このようなエッチング材は、酸性水溶液であって、歯科用接着材を適用する前の歯面に塗布し、その後水洗することで、歯質表面が粗造化されることから、その後に使用する歯科用接着材の機械的接着力を向上させることができる(特許文献1)。
このようなエッチング材の例としては、リン酸を含む接着前処理材がある。歯質の硬組織を形成している主な無機成分は、ハイドロキシアパタイトから形成される。このリン酸を含む接着前処理材を、窩洞形成後、接着材適用前に被接着面に塗布することによって、ハイドロキシアパタイト表面において、部分的にカルシウム分が溶出し、被接着面に粗面が形成される。また、接着阻害の原因の1つとなりうる窩洞形成時の歯質の切削粉末も溶解し除去することができる。
歯冠部の硬組織は、エナメル質と象牙質によって構成されているが、前述したリン酸を含むエッチング材は、これらの歯質に対して全般的に有効ではなく、使い分けが必要である。
エナメル質に対しては、上述の原理により、該エッチング材の使用が、その後の接着に有効であることが認知されている。
一方、象牙質は、スポンジ状のリン酸カルシウム骨格に多量のコラーゲン線維が絡みついた構造体であり、緻密なリン酸カルシウム結晶のみでほとんど構成されていることから、エナメル質と比較して脆弱である。このため、象牙質を強い酸で過度にエッチングすると、リン酸カルシウム骨格が比較的容易に溶出することによってコラーゲンが露出されたり、象牙質が変性することによって接着材の浸透が妨げられる等の原因により、接着強さが低下するリスクが想定される。このため、象牙質に適用できる操作性の良好なエッチング材が検討されている(特許文献2)が、何れにしても使用者に繊細な操作が要求されるものである。
また、象牙質へのエッチング処理は上記のリスクを伴うが、窩洞形成時に生じる切削屑を除去する点で重要である。象牙質に堆積又は象牙細管に詰まった切削屑は歯科用接着材の浸透を妨げるために、切削屑のエッチング材による除去が好ましい。ただし、象牙質の損傷がないような穏やかなエッチングのために、リン酸よりも酸性度の弱いクエン酸を含むエッチング材を用いるが、該クエン酸は、エナメル質へのエッチング処理には効果的ではない。そのため、エナメル質と象牙質において2つの異なる硬組織において材料の使い分けが求められる。
また、リン酸を含むエッチング材は、表面洗浄剤として歯質以外に歯科材料に有効であると考えられる。実際に補綴物の材質によっては表面の洗浄に有効であることが公知である。しかしながら、リン酸を含むエッチング材をジルコニアで作製された補綴物の洗浄で使用すると、接着力を低下することが知られている(非特許文献1)。
これは、リン酸がジルコニア表面に強く吸着してしまうために、水洗の後に適用する歯科用接着材組成物の結合を阻害するからである。このため、通常はエッチング材ではなく修復物内面洗浄液が使用されるなど、補綴物の材質によって洗浄材料の使い分けが要求される。
上記のように、補綴物の洗浄においては、補綴物の材質に合わせた材料を選定しなければならず、材料の選定を誤ると接着力の低下又は支台歯からの補綴物の脱落という大きなリスクを伴っていた。また、歯質へのエッチング処理においてもエナメル質に限局した塗布という細かい作業が必要であり、術者の操作ミスなどで象牙質まで塗布した場合に接着不良の可能性が増大するという問題点を有していた。
特開2015−017049号公報 特開2015−063489号公報
J. Dent. Res., 86(8), 2007, 749-753.
本発明の課題は、口腔内において、補綴物の材質を問わず使用でき、かつエナメル質にも象牙質にも適用できる歯科用接着前処理材組成物を提供することである。
本発明の他の課題は、単一の液材で各種歯科材料における接着不良のリスクを低減できる接着前処理材組成物を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、リン酸性基含有重合性化合物、無機フィラー、及び高粘度溶媒を含有する歯科用接着前処理材組成物が、上記課題が解決できることを見出した。本発明は、この成果からさらに研究を重ね、完成させたものである。
すなわち、本発明としては、以下のリン酸基含有重合性化合物、無機フィラー、及び高粘度溶媒を含有する歯科用接着前処理材組成物等が挙げられる。
項1.
(A)一般式(1):
[式中、Rは、水素原子又はアルキル基を示す。
Xは、酸素原子、硫黄原子又は置換基を有していてもよい窒素原子を示す。
Yは、下記(Y1)又は(Y2)で表される基を示す。
、R、R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。
n及びmは、1〜1000の整数を示す。
*は、結合部位を示す。]
で表されるリン酸基含有重合性化合物、
(B)無機フィラー、及び
(C)高粘度溶媒を含有する、歯科用接着前処理材組成物。
項2.
処理対象の濡れ性が向上する、項1に記載の歯科用接着前処理材組成物。
項3.
水の接触角が大きな材質の場合、該水の接触角を低減できる、項1又は2に記載の歯科用接着前処理材組成物。
項4.
上記(A)リン酸基含有重合性化合物が、水に可溶性である、項1〜3の何れか一項に記載の歯科用接着前処理材組成物。
項5.
さらに、(D)低粘度溶媒を含有する、項1〜4の何れか一項に記載の歯科用接着前処理材組成物。
項6.
さらに、(E)添加剤を含有する、項1〜5の何れか一項に記載の歯科用接着前処理材組成物。
項7.
上記(A)一般式(1)で表わされるリン酸基含有重合性化合物が、全組成物中、0.5〜40重量%である、項1〜6の何れか一項に記載の歯科用接着前処理材組成物。
項8.
エナメル質及び象牙質のエッチャント液である、項1〜7の何れか一項に記載の歯科用接着前処理材組成物。
項9.
(A)一般式(1):
は、水素原子又はアルキル基を示す。
Xは、酸素原子、硫黄原子又は置換基を有していてもよい窒素原子を示す。
Yは、下記(Y1)又は(Y2)で表される基を示す。
、R、R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。
n及びmは、1〜1000の整数を示す。
*は、結合部位を示す。]
で表されるリン酸基含有重合性化合物、
(B)無機フィラー、及び
(C)高粘度溶媒を含有する歯科用組成物を、接着の前処理に使用する方法。
本発明の歯科用接着前処理材組成物は、上記一般式(1)で表わされるリン酸基含有重合性化合物が水に可溶であることから、水を主とした極性溶媒を使用でき、接着工程前に本材を使用した後、水で簡単に洗浄し除去できる。
この効果により歯科用材料の材質等に関わらず、また、異なる材質が混在する症例においても塗り分けをすることなく、本発明の接着前処理材のみで、接着工程の前処理が実施でき、かつ接着の効果を高めることができる。
本発明の歯科用接着前処理材組成物は、生体に安全な組成物であるので、口腔内にも直接適用できる。
本発明の歯科用接着前処理材組成物は、接着対象となる歯質であるエナメル質だけでなく、コラーゲン線維を含む象牙質にも過度の脱灰によって組織を損なうことなく、窩洞形成時の切削屑除去と表面の粗面形成を行うことができる。したがって、上記の歯科材料と同様に、異なる歯質であるエナメル質と象牙質に対しても使い分け又は塗り分けをすることなく使用できる。
セラミック材料、具体的には、ジルコニアに対して、従来の技術では、リン酸系接着前処理剤(表面洗浄剤)はリン酸の表面吸着による接着力低下の原因となり使用が避けるべき材料であったが、本発明の歯科用接着前処理材組成物は、上記一般式(1)で表わされるリン酸基含有重合性化合物を含有する歯科用接着前処理材は重合性基を有しているので、表面の汚濁物が同リン酸基含有重合単量体に置き換わり、表面がそれらに覆われることによる表面処理の効果を与えることができ、接着効果を向上させることができる。
本発明の歯科用接着前処理材組成物によれば、貴金属(金、銀、白金、パラジウム及びそれらからなる合金)、非貴金属又は有機-複合材料からなる補綴物に対して、上記一般式(1)で表わされるリン酸基含有重合性化合物が界面活性作用により、有機物等の金属表面に付着している汚濁物に対する洗浄剤として使用でき、接着効果の向上又は接着の不首尾を防ぐことができる。
図1は、実施例7の歯科用接着前処理材組成物を用いて、エナメル質又は象牙質に対して処理を行う前後の走査型電子顕微鏡(卓上顕微鏡Miniscope(登録商標)TM3030:日立ハイテクノロジーズ)で観察した写真を示す。 図2は、接着前処理材組成物の適用前(a)並びに適用後(b, c, d)のPMMAペレットと水との接触角及びその外観の写真を示す(b:実施例4、c:比較例1、d:比較例3)。 図3は、接着前処理材組成物の稠度を示す試験結果の写真である(比較例2、実施例4、5、1及び8)。 図4は、接着前処理材組成物の稠度を示す試験結果の写真である(比較例1、実施例4、7及び6)。
以下、本発明の歯科用接着前処理材組成物について詳細に説明する。
[歯科用接着前処理材組成物]
本発明の歯科用接着前処理材組成物(以下、「本発明の組成物」ということもある。)は、(A)一般式(1)で表されるリン酸基含有重合性化合物、(B)無機フィラー、及び(C)高粘度溶媒を含有している。
(A)リン酸基含有重合性化合物
本発明の組成物は、一般式(1)で表されるリン酸基含有重合性化合物(以下、「(A)成分」ともいうこともある。)を含有する。
上記一般式(1)中、Xは、酸素原子、硫黄原子又は置換基を有していてもよい窒素原子を示す。すなわち、該(A)成分には、下記に示すように、リン酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物(1−1)、リン酸基を有する(メタ)アクリル酸チオエステル化合物(1−2)、又はリン酸基を有する(メタ)アクリル酸アミド化合物(1−3)が含まれる。本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の少なくとも一方を意味する。
(式中、R、及びYは、上記で定義したとおりである。Rは、水素原子又は置換基を示す。)
Yは、下記(Y1)又は(Y2)で表される基を示す。
(式中、R、R、R、R、R、R、n及びmは、上記で定義したとおりである。)
すなわち、(A)成分は、リン酸基(-P(=O)-(OH)2)と、(メタ)アクリル酸エステル基(CH2=C(-R1)-C(=O)-O-)、(メタ)アクリル酸チオエステル基(CH2=C(-R1)-C(=O)-S-)、又は(メタ)アクリル酸アミド基(CH2=C(-R1)-C(=O)-NR8-)との間に、上記(Y1)又は(Y2)で示すリンカー部位(連結基)を有する。
nは、1〜1000の整数を示し、中でも、2〜100が好ましく、3〜30がより好ましく、4〜15が特に好ましい。
nが1〜1000のリンカー(エチレンオキシ基)としては、例えば、テトラエチレンオキシ鎖(n=4)、ペンタエチレングリコール(n=5)、ヘキサエチレングリコール鎖(n=6)等が挙げられる。
なお、該リンカーのnが大きくなっても上記一般式(1)に示す構造の化合物の水溶性はほぼ維持される。実際にポリエチレングリコール600鎖(n=6から23、数平均分子量Mn 600)でも水に対して任意に溶解する。
mは、1〜1000の整数を示し、中でも、2〜100が好ましく、3〜30がより好ましく、4〜20が特に好ましい。
mが1〜1000のリンカー(アルキレンオキシ基)としては、例えば、メチレンオキシ(m=1)、エチレンオキシ基(m=2)、n−プロピレンオキシ基(m=3)、n−ブチレンオキシ(m=4)、n−ペンチレンオキシ(m=5)、n−ヘキシレンオキシ(m=6)、n−ヘプチレンオキシ(m=7)、n−オクチレンオキシ(m=8)、n−ノニレンオキシ(m=9)、n−デシレンオキシ(m=10)、n−ウンデシレンオキシ(m=11)等が挙げられる。
本明細書における「アルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の鎖状又は分岐鎖状のC1〜4アルキル基が挙げられる。本明細書中において「n−」とはノルマルを、「sec−」とはセカンダリーを、「t−」とはターシャリーを意味する。
本明細書における「置換基」としては、特に限定はなく、例えば、上記アルキル基;アシル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ぺルフルオロベンゾイル基等のハロゲン原子を1〜5個有していてもよいC1〜4アルキルカルボニル基等が挙げられる。
本明細書における「ハロゲン原子」としては、特に限定はなく、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
具体的には、本発明の(A)成分は、公知の製造方法(例えば、J. Am. Chem. Soc., 1982, 586.等)、特願2015−228130に記載の製造方法等を組み合わせることにより、製造することができる。
例えば、下記一般式(2)で表される化合物と、下記一般式(3)で表される化合物を反応させ、下記一般式(4)で表される化合物を得る工程(反応式1)
(式中、R、X及びYは、上記で定義したとおりである。ZはXと反応可能な官能基を示す。);
該一般式(4)で表される化合物とオキシ塩化リン(以下、「塩化ホスホリル」又は「POCl」ともいう。)を反応させる工程;及び
加水分解工程を経ることにより、一般式(1)で表される化合物を製造することができる。
Zとしては、−OH基、−OR’基(R’は、アルキル基を示す。)、−Cl基、−O−C(=O)C(−R)=CH基等が挙げられる。
また、例えば、上記リン酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物(1−1)は、まず(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸クロライド若しくは酸無水物等の活性化されたカルボン酸誘導体とジオール化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、デカンジオール等)とを縮合剤の存在下、必要に応じて補助塩基存在下で反応させて、前駆体となるヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートを得る工程、及び該ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートと塩化ホスホリルとを、水分を制御する条件下によって反応させる工程、及び、加水分解反応(必要に応じて、トリエチルアミン等の塩基存在下、水を添加することにより加水分解する)工程を経て製造することができる。
リン酸基を有する(メタ)アクリル酸チオエステル化合物(1−2)は、まず(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸クロライド若しくは酸無水物等の活性化されたカルボン酸誘導体とヒドロキシ基を有するチオール化合物(例えば、チオエタノール等)を縮合剤、必要に応じて補助塩基存在下で前駆体となるヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸チオエステルを得る工程、及び該チオエステルと塩化ホスホリルとを、水分を制御する条件下によって反応させる工程、及び、加水分解反応(必要に応じて、トリエチルアミン等の塩基存在下、水を添加することにより加水分解する)工程を経て製造することができる。
リン酸基を有する(メタ)アクリル酸アミド化合物(1−3)は、まず(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸クロライド若しくは酸無水物等の活性化されたカルボン酸誘導体とヒドロキシ基を有するアミン化合物(例えば、アミノエタノール等)を縮合剤で前駆体となるヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸アミドを得る工程、及び該アクリル酸アミドと塩化ホスホリルとを、水分を制御する条件下によって反応させる工程、及び、加水分解反応(必要に応じて、トリエチルアミン等の塩基存在下、水を添加することにより加水分解する)工程を経て製造することができる。
該(A)成分は、水に溶解し(水に可溶性であり)、また、該水と混合しない有機溶媒にも可溶な両親媒性のラジカル重合性単量体である。本発明の組成物は、(A)成分を含むことにより、歯質に対する脱灰作用を付与することができる。
(A)成分は、リン酸の1つの水酸基が有機基で置換された構造を有し、リン酸より分子量が大きく、立体的に嵩高くなっている。このような分子設計により、ハイドロキシアパタイトとの反応性は形状によって制御できる。すなわち、窩洞形成時に生じる切削屑となったハイドロキシアパタイトは選択的に反応し除去することができ、未切削の硬組織にあるハイドキシアパタイトは溶出しにくくなる。とくに、象牙質は、ハイドロキシアパタイトが高度に結晶化しているエナメル質とは大きく異なり、象牙細管という歯髄から延びる細孔が存在する。象牙質を切削する際に、象牙細管に切削屑が侵入し、孔を封鎖する(以下、このような切削屑を「スメアプラグ」ともいう)。
(A)成分を含む本発明の接着前処理材組成物は、象牙質に適用すると、象牙細管辺縁のハイドロキシアパタイト並びに切削屑としての粉末状ハイドロキシアパタイトから構成されるスメア層及びスメアプラグのうち、スメア層及びスメアプラグを選択的に溶解して除去することができる。したがって、(A)成分を含む本発明の接着前処理材組成物は、エナメル質かつ象牙質に有効なエッチャント液として使用できる。
また、ジルコニアに対しては、(A)成分のリン酸基の部分が、ジルコニアに化学的相互作用等から吸着され、重合性の(メタ)アクリロイル基が表面に存在するような状態となる。このような改質された表面へ重合性接着材が塗布され硬化する時、表面とも共重合によるσ結合形成により、ポリマーとも複合化が可能となる。この効果よりポリマー/ジルコニア界面が強固に化学結合することができる。したがって、ジルコニア材料への接着力を向上させることができる。
貴金属、非貴金属、有機-無機複合フィラー等に使用する場合、(A)成分は、酸性基の性質かつエチレングリコール鎖由来の界面活性作用により、表面に付着している有機物あるいは無機物由来の汚濁物を除去することができる。とくに、銀又は銀合金のような化学的に変色し易い材料においても、変色を伴うことなく表面を洗浄することができる。従来の洗浄剤では水酸化ナトリウム等の強アルカリを含む組成物が有効ではあるが、そのような強アルカリ化合物は生体に対して有害あって、その使用は口腔外の使用に限られていた。
一方、本発明における(A)成分は、生体に対して安全に使用できる。
このように、本発明の歯科用接着前処理材組成物で使用する(A)の水溶性及び両親媒性の効果により、各材料に対して包括的に、かつ、口腔内及び口腔外の使用条件を問わず効果的に使用できる材料の実現に貢献している。
一般式(1)のうち、式中Yが(Y1)である場合の(A)成分の具体例としては、例えば、
11−(メタ)アクリロイルオキシテトラエチレングリコールジハイドロジェンホスフェート(MTEGP)、
14−(メタ)アクリロイルオキシペンタエチレングリコールジハイドロジェンホスフェート(M5EGP)、
16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサエチレングリコールジハイドロジェンホスフェート(M6EGP)、
(メタ)アクリロイルオキシポリエチレングリコール300ジハイドロジェンホスフェート(MPEG300P:ポリエチレングリコールユニットとして数平均分子量Mn=300である上記一般式(1)で示した構造を持つリン酸基含有重合性単量体を複数含有する混合物)、
(メタ)アクリロイルオキシポリエチレングリコール400ジハイドロジェンホスフェート(MPEG400P:ポリエチレングリコールユニットとして数平均分子量Mn=400である上記一般式(1)で示した構造を持つリン酸重合性単量体を複数含有する混合物)、
(メタ)アクリロイルオキシポリエチレングリコール600ジハイドロジェンホスフェート(MPEG600P:ポリエチレングリコールユニットとして数平均分子量Mn=600である上記一般式(1)で示した構造を持つリン酸重合性単量体を複数含有する混合物)、
(メタ)アクリロイルオキシポリエチレングリコール800ジハイドロジェンホスフェート(MPEG800P:ポリエチレングリコールユニットとして数平均分子量Mn=800である上記一般式(1)で示した構造を持つリン酸重合性単量体を複数含有する混合物)、
(メタ)アクリロイルオキシポリエチレングリコール1000ジハイドロジェンホスフェート(MPEG1000P:ポリエチレングリコールユニットとして数平均分子量Mn=1000である上記一般式(1)で示した構造を持つリン酸重合性単量体を複数含有する混合物)、
(メタ)アクリロイルオキシポリエチレングリコール2000ジハイドロジェンホスフェート(MPEG2000P:ポリエチレングリコールユニットとして数平均分子量Mn=2000である上記一般式(1)で示した構造を持つリン酸重合性単量体を複数含有する混合物)、
(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレングリコール400ジハイドロジェンホスフェート(MPPG400P:ポリプロピレングリコールユニットとして数平均分子量Mn=400である上記一般式(1)で示した構造を持つリン酸重合性単量体を複数含有する混合物)等が挙げられる。これらの中でも、歯質の良好な脱灰性、浸透性及び接着性を得る観点から、MTEGP、M5EGP、又はM6EGPが好ましく、特にMTEGPが好ましい。
一般式(1)のうち、式中Yが(Y2)である場合の(A)成分の具体的な例としては、例えば、6−メタクリロイルオキシへキシルジハイドロジェンホスフェート、8−メタクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート(MDP)、12−メタクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート等が挙げられる。
(A)成分は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の歯科用接着性組成物における(A)成分の配合量は、特に制限はなく、広い範囲から適宜決定すればよい。歯質の良好な脱灰性及び表面改質作用、界面活性作用を得る観点から、(A)成分の配合量としては、本発明組成物の全重量に対して、通常0.5〜40重量%、好ましく1〜35重量%、より好ましくは3〜30重量%である。本明細書において、重量%は質量%と同義である。
(B)無機フィラー
本発明の組成物は、増粘剤として無機フィラー(以下、「(B)成分」、又は「無機フィラー(B)」ということもある。)を含有している。該無機フィラーとしては、特に制限はなく、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物粒子、又はこれらからなる複合酸化物粒子、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フッ化イットリウム、フッ化イッテルビウム等の球状もしくは不定形の無機フィラー等が挙げられる。
該無機フィラーとして好ましくは、火炎熱分解法で作製されるシリカ、アルミナ、チタニア等の粒子であり、より具体的には、例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル(登録商標)、アエロキサイド(登録商標)AluC、アエロキサイドTiOP25、アエロキサイドTiOP25S、VP Zirconium Oxide 3−YSZ、VP Zirconium Oxide 3−YSZ PH等が挙げられる。
無機フィラー(B)は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
無機フィラー(B)の平均粒子径としては、通常、5〜500nm、好ましくは5〜200nm、より好ましくは5〜100nmである。中でも、平均粒子径が50nm以下である無機フィラーは、組成物の沈降及び相分離が起こりづらいため、歯質に対する脱灰能力、被接着体に対する表面処理能力及び組成物の操作性が低下しないことから特に好ましい。
また、具体的に、例えば、シリカフィラーを用いる場合、該シリカフィラーは、アモルファスのガラス状で、球状もしくは不定形で、かつ細孔のないシリカゲルの一次粒子であり、一次粒子径が5nmから200nm程度までの表面が親水性フィラーでも、カップリング剤によりメチル基等の有機基を反応させた疎水性フィラーでもよい。
なお、無機フィラー(B)の平均粒子径は、超微粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、無作為に選択した100個の超微粒子の粒子径の平均値として測定できる。なお、超微粒子が非球状である場合には、粒子径は、超微粒子の最長と最短の長さの算術平均をもって粒子径とする。
無機フィラー(B)の配合量としては、本発明組成物の全重量に対して、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。
(C)高粘度溶媒
本発明の組成物は、高粘度溶媒(以下、「(C)成分」、又は「高粘度溶媒(C)」ということもある。)を含有している。
本発明の高粘度溶媒(C)は、組成物の被接着体に対する塗布性、ぬれ性あるいは組成物の操作性を改善するために必須である。(C)成分は、本発明の組成物の増粘性を与えながら、組成を均一に保つことができる化合物であれば、特に制限はなく、公知の有機化合物又は無機化合物が使用できる。
高粘度溶媒(C)としては、20 mPa・s(20℃)以上であれば特に限定はなく、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均数分子量200から20000)等の高粘度有機液体;シリコーンオイル、鉱油等の不揮発性或いは難揮発性の高粘度無機液体が挙げられる。
高粘度溶媒(C)は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
高粘度溶媒(C)の配合量としては、本発明組成物の全重量に対して、通常、1〜90重量%、好ましくは10〜88重量%、より好ましくは25〜87重量%である。
(D)低粘度溶媒
本発明の組成物は、さらに、低粘度溶媒(以下、「(D)成分」、又は「低粘度溶媒(D)」ということもある。)を含有することができる。該低粘度溶媒(D)とは、上記高粘度溶媒(C)よりも粘度が低い溶媒であれば特に限定はなく、例えば、20 mPa・s(20℃)未満の粘度である低粘度溶媒を用いることができる。
低粘度溶媒(D)は、(A)成分かつその他の成分を溶解することができる化合物が望ましい。さらに、本発明の前処理材に歯質に対する効果的な脱灰作用を付与する観点で極性が高い水、又は有機溶媒が望ましい。
(D)成分の具体的な化合物としては、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert-ブタノール、n−ペンチルアルコール、2−ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量200)、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF);ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
中でも、低粘度溶媒としては、水、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、tert-ブタノール、又はアセトンが好ましい。
低粘度溶媒(D)は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
低粘度溶媒(D)を用いる場合は、その配合量としては、歯質の良好な脱灰性及び表面改質作用及び塗布後の容易に水洗できるという観点から、本発明組成物の全重量に対して、通常0.1〜90重量%、好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%である。
(E)添加剤
本発明の組成物は、上記(A)〜(D)成分以外にも、機能性を補うために、さらに、添加剤(E)(以下、「(E)成分」ともいう。)を含有することができる。
このような(E)成分としては、特に限定はなく、例えば、接着前処理材の視認性を高めるための顔料(例えば、青色1号、赤色40号、緑色3号、ウルトラマリン等)、染料、(A)成分の化学的安定性を付与するための重合禁止剤又は重合抑制剤、(A)成分とは区別される特別な官能基を有しないラジカル重合性単量体、無機充填材、有機充填材、無機−有機複合充填材等の充填材、組成の洗浄作用を高めるための添加剤等が挙げられる。
(E)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。(E)成分を用いる場合は、その配合量は、本発明組成物の全重量に対して、通常30重量%以下であり、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは0.1〜3重量%である。
これらは単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
接触角
本発明の歯科用接着前処理材組成物は、処理対象の塗布面の濡れ性を向上させることができる。また、本発明の歯科用接着前処理材組成物は、水の接触角が大きな材質の場合、該水の接触角を低減できる。例えば、水との接触角が通常65〜75度の範囲の処理対象(被着物)表面を、本発明の歯科用接着前処理材組成物は60度未満とすることができ、その後適用する歯科用接着材と被着物表面の親和性向上に寄与することができる。
稠度
本発明の歯科用接着前処理材組成物は、適度な稠度を有しており、ペースト状であることから、幅広い場面において使用することができる。
本発明の歯科用接着前処理材組成物は、0.25g採取し、傾き30°の板上に1分間保持した時、5cm未満であることが好ましく、3cm未満であることがより好ましく、0〜1cmであることが特に好ましい。
稠度が上記範囲内であることによって、本発明の歯科用接着前処理材組成物は、補綴物の材質を問わず同じ洗浄材による洗浄が行え、かつ口腔内においてもエナメル質にも象牙質にも適用できる。
本発明組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の歯科用接着性組成物の製造方法に従えばよく、一般的には、配合される全成分を秤取り、均一溶液になるまでよく混合することで製造できる。
本発明の組成物もまた、公知の水溶性重合単量体を含む歯科用接着前処理材の使用方法に従って使用できる。具体的には、歯質の接着に関して、一般的には、齲蝕部を取り除くなどした被着体となる歯質に塗布し水洗すればよい。例えば、エナメル質に対して使用する場合は、本発明の接着前処理材を塗布し、10〜30秒程度放置後、水で10秒程度あるいは接着前処理材由来の染料の色が消失するまで洗浄して接着前処理が完了する。象牙質に対して使用する場合は、30〜60秒程度放置後、上記と同様に水洗すればよい。さらに両歯質が混合する場合は、30〜60秒程度放置後、上記と同様に水洗すればよい。
歯質以外の歯科用材料に関して、すなわち、貴金属、非貴金属、セラミック及び有機−無機複合材料に対する接着前処理の場合、本発明の接着前処理材組成物を塗布し、10〜30秒程度放置後、水で10秒程度あるいは接着前処理材由来の染料の色が消失するまで洗浄して、歯科材料の洗浄あるいは表面改質が完了する。
以下、実施例及び比較例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
なお、実施例及び比較例において用いた各成分並びにその略称及び略号については、以下のとおりである。
[(A)成分]リン酸基含有重合性化合物:
[a1]MTEGP:
11−メタクリロイルオキシテトラエチレングリコールジハイドロジェンホスフェート(分子量342.28)
[a2]MPEG600P:
メタクリロイルオキシポリエチレングリコール600ジハイドロジェンホスフェート(分子量748.09)
[a3]MDP:
10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート342.00;
[比較成分]
リン酸(和光純薬社製)
[(B)成分]無機フィラー:
[b1]アエロジル(登録商標)OX50(一次平均粒子径:16 nm;日本アエロジル社製)
[(C)成分]高粘度溶媒:
[c1]グリセリン(粘度:1410 mPa・s(20℃);新日本理化社製)
[c2]PEG(分子量200,粘度:45〜65 mPa・s(20℃);和光純薬社製)
[比較成分]
ブタノール(粘度:3.0 mPa・s(20℃);シグマアルドリッチ社製)
[(D)成分]低粘度溶媒:
[d1]水(精製水、粘度:1.0 mPa・s;昭和製薬社製)
[d2]エタノール(粘度:1.2 mPa・s;日本アルコール社製)
[d3]アセトン(粘度:0.32 mPa・s;純正化学社製)
[(E)成分]添加剤:
[e1]青色1号(三栄源エフエフアイ社製)
<(A)成分の作製方法>
参考例1:M−TEG-P
禁水条件下、室温にてオキシ塩化リン(1.00mol)のTHF(1.0L)溶液を−30℃に冷却した後、この溶液にテトラエチレングリコールモノメタクリレート(0.95 mol)、トリエチルアミン(0.99 mol)及びTHF(1.0 L)の混合溶液を滴下した。得られた溶液を0℃で1時間攪拌後、これに水を過剰量、トリエチルアミン(1.60mol)及びTHF(0.2 L)の混合溶液を滴下し、室温へ戻し一夜攪拌した。不溶物を吸引ろ過した後、ろ液を濃縮した。濃縮物に水(2.0 L)を加え、ジクロロメタン(1.5 L)で3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(1.0 L)、水(1.0 L)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウム(300 g)上で3時間以上乾燥した。乾燥剤をろ別し、ろ液に重合禁止剤のMEHQ(100 mg)を添加し、濃縮した後、重合禁止剤のBHT(150 mg)を加えて、目的の(A)成分(淡黄色油状物114 g、収率41.7%、HPLCで確認した純度は95%以上)を得た。
HPLCで確認した純度は95%以上であり、H−NMRで構造を確認した。NMRは、日本電子(JEOL)製のJNM−ECX400(400MHz)にて測定した。測定したH−NMRにおいて、各試料の化学シフト値は、テトラメチルシラン(0ppm)、クロロホルム(7.24ppm)を内部標準としたときのσ値(ppm)で示した。カップリングパターンは、singlet(s)、triplet(t)、multiplet(m)、broad(br)で表記した。なお、上記(A)成分の作製方法は、参考文献1(J. Dent., 2008, 36, 171-177.)に記載の方法を参照した。ただし、リン酸化に使用する試薬は、ポリリン酸を利用するよりもオキシ塩化リンを用いる上記の合成方法が歯科で有効な(A)成分を製造する上で好ましい。
[M−TEG-P]
H NMR(CDCl, MeSi)σ 1.94(s, 3H),3.67(m, 12H),4.17(m, 2H),4.30(m, 2H),5.58(s, 1H),6.13(s, 1H),8.45(brs, 2H)。
31P NMR(CDCl, MeSi)σ 1.00。
参考例2:M−PEG300-P
オキシ塩化リンを153 g、テトラエチレングリコールモノメタクリレートを285 g、トリエチルアミンを合計263 g、及び水を46 g 用いることに代えた以外は参考例1に記載の方法に従って、M−PEG300-P(淡黄色油状物198 g、収率44%、HPLCで確認した純度は95%以上)を製造した。
[M−PEG300-P]
H NMR(CDCl, MeSi)σ 1.94(s, 3H),3.60−3.74(m, 14H),4.29(t, 2H),5.57(s, 1H),6.13(s, 1H),8.40(brs, 2H)。
31P NMR(CDCl, MeSi)σ 1.00。
参考例3:M−PEG600-P
オキシ塩化リンを153 g、テトラエチレングリコールモノメタクリレートを570 g、トリエチルアミンを合計263 g、水を46 g 用いることに代えた以外は参考例1に記載の方法に従って、M−PEG600-P(淡黄色油状物288 g、収率38.4%、HPLCで確認した純度は95%以上)を製造した。
[M−PEG600-P]
H NMR(CDCl, MeSi)σ 1.95(s, 3H),3.49(brs, 2H),3.64−3.75(m, 42H),4.30(t, 2H),5.57(s, 1H),6.13(s, 1H)。
31P NMR(CDCl, MeSi)σ 1.04。
参考例4:MDP
窒素雰囲気下、オキシ塩化リン55 gのジエチルエーテル溶液(100 ml)を−40℃に冷却した。この溶液にデカンジオールモノメタクリレート125 gとトリエチルアミン 37 gのジエチルエーテル溶液(100 ml)を同温でゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を−30℃に3時間保ち、その後0℃とした。次に、同温で水30 gを滴下後、トリエチルアミン 72.9 gのジエチルエーテル溶液を滴下した。滴下終了後、反応液を0℃に保ち、一晩静置した。析出したトリエチルアミン塩酸塩をガラスフィルターでろ過し、ろ液を塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ジエチルエーテルを減圧留去し、黄色液体が得られた。得られた黄色液体をn-ヘキサンで3回洗浄し、不純物を取り除いた。n-ヘキサンに不溶な粘稠性オイルからn-ヘキサンを減圧留去し、目的のMDP64.8 g (HPLCで確認した純度は59 %)が得られた。
[MDP]
H NMR(CDCl, MeSi)σ 1.28(m,12H),1.64(m,4H),1.95(s,3H),3.96(m,2H),4.20(t,2H),5.54(s,1H),6.12(s,1H),6.20(brs,2H),
31P NMR(CDCl, MeSi)σ 0.61。
参考例5:Xが硫黄原子であるリン酸エステル(2−メタクリロイルチオグリコールジハイドロジェンホスフェート)
禁水条件下、室温にてオキシ塩化リン(1.00mol)のTHF(1.0L)溶液を−30℃に冷却した後、この溶液に2-ヒドロキシエチルモノチオメタクリレート(0.95 mol)、トリエチルアミン(0.99 mol)及びTHF(1.0 L)の混合溶液を滴下した。得られた溶液を0℃で1時間攪拌後、これに水を過剰量、トリエチルアミン(1.60mol)及びTHF(0.2 L)の混合溶液を滴下し、室温へ戻し一夜攪拌した。不溶物を吸引ろ過した後、ろ液を濃縮した。濃縮物に水(2.0 L)を加え、ジクロロメタン(1.5 L)で3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(1.0 L)、水(1.0 L)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウム(300 g)上で3時間以上乾燥した。乾燥剤をろ別し、ろ液に重合禁止剤のMEHQ(100 mg)を添加し、濃縮した後、重合禁止剤のBHT(150 mg)を加えて、目的の(A)成分として淡黄色油状物(115.34g、51%)して得ることができる。
参考例6:XがNH基であるリン酸エステル(N-(2-ヒドロキシエチルアクリルアミドジハイドロジェンホスフェート)
禁水条件下、室温にてオキシ塩化リン(0.50mol)のTHF(0.75L)溶液を−30℃に冷却した後、この溶液に2-ヒドロキシエチルアクリルアミド(0.45 mol)、トリエチルアミン(0.49 mol)及びTHF(0.75 L)の混合溶液を滴下した。得られた溶液を0℃で1時間攪拌後、これに水を過剰量、トリエチルアミン(0.80mol)及びTHF(0.15 L)の混合溶液を滴下し、室温へ戻し一夜攪拌した。不溶物を吸引ろ過した後、ろ液を濃縮した。濃縮物に水(0.30 L)を加え、クロロホルム(0.5 L)で3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(0.15 L)、水(0.30 L)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウム(50 g)上で3時間以上乾燥した。乾燥剤をろ別し、ろ液に重合禁止剤のMEHQ(100 mg)を添加し、濃縮した後、重合禁止剤のBHT(30 mg)を加えて、目的の(A)成分として黄色油状物(26.01g、23%)して得ることができる。
[歯科用接着前処理材組成物]
実施例1
以下の表1に示す組成に従い、各成分を混合後、これらが均一になるまで攪拌して実施例1に係る歯科用接着前処理材組成物を製造した。なお、該組成物には、視認性を良くするために顔料として青色1号0.03重量%を加えた。
実施例2〜13及び比較例1〜4
以下の表1〜5に記載の組成に基いて製造したこと以外は、実施例1と同様に、実施例2〜13及び比較例1〜4に係る各歯科用接着前処理材組成物を製造した。なお、表5の実施例12及び比較例3において、顔料である青色1号は加えていない。これらの歯科用接着前処理材組成物を以下のように評価した。
試験例1(エナメル質及び象牙質に対する接着強度の測定)
まず、屠殺後24時間以内に抜去した牛前歯を、流水下、P600の耐水研磨紙で研磨し、唇面と平行になるようにエナメル質平面及び象牙質平面を削り出した。次に、これらの面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥させた後、これらの面に直径3 mmの円孔の開いた両面テープをそれぞれ固定し、接着面積を規定した。次に、直径5 mmの孔の開いた厚さ2.0 mmのシリコンゴム型を、該孔が上記両面テープの円孔と同一中心となる位置で両面テープ上に貼り付けて模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞に実施例1〜17及び比較例1〜4に係る接着前処理材組成物を塗布し、エナメル質に対しては30秒間及び象牙質に対しては60秒間放置した後、約10秒間流水で洗浄し、歯科用接着材(製品名:グルーマセルフエッチ、製造販売元:ヘレウスクルツァー社)を塗布し、指定された方法に従い、塗布し放置後、圧縮空気にて所定時間乾燥させた。
次いで、可視光線照射器(製品名:ペンキュアー2000、製造販売元:モリタ製作所)を用いて10秒間光照射し、歯科用接着性組成物を硬化させた。更に、その上に歯科用コンポジットレジン(製品名:クリアフィルAP−X A3シェード、製造販売元:クラレノリタケデンタル)を充填し、可視光線照射器を用いて30秒間光照射して接着試験片を作製した。
上記接着試験片を24時間、37℃の水中に浸漬させた後、引張り試験機(製品名:オートグラフ、製造販売元:島津製作所)を用いて、クロスヘッドスピード1mm/minの条件で引張り試験を行い、上記エナメル質平面及び上記象牙質平面に対する実施例1〜13及び比較例1〜4に係る各歯科用接着材の接着強さを測定した。1試験当り、5本の引張り接着強さを上記方法で測定し、その平均値を接着強さとしたものであり、また、標準偏差についても算出した。
上記で得た測定結果を本発明の前処理材によるエッチング処理なしの接着試験結果をネガティブコントロールとして有効性を平均値と有意差より比較した。
試験例2(ジルコニアに対する接着強度の測定)
規定された手順に従って円盤状に成型、焼結したジルコニア試験体(KZR−CADジルコニア;山本貴金属地金製)をP1000までの耐水研磨紙で、被接着面が一様になるまで流水下研磨を行った。超音波洗浄後に風乾し、実施例4、6,7,8,9と比較例1,2を塗布後に10秒間放置し、10秒間流水洗浄を行った。再度風乾した後、直径3 mmの円孔の開いた両面テープをそれぞれ固定し、接着面積を規定した。ここに歯科用レジンセメント(製品名:パナビアV5、製造販売元:クラレノリタケ)を可視光線照射器を用いて20秒間光照射して接着試験片を作製した。歯質の場合と同様に24時間、37℃の水中に浸漬させた後、引張り試験機(製品名:オートグラフ、製造販売元:島津製作所)を用いて、歯科用レジンセメントのJIS規格に則りクロスヘッドスピード0.75mm/minの条件で引張り試験を行った。
接着強さの平均値は、5MPa以上であれば優れた接着性を発揮していると判断される。
各試験結果を下記表1〜6に示した。
[(D)成分含有量の検討]
<試験結果>
上記表1の結果から、本発明の歯科用接着前処理材組成物(実施例1〜5)は、エナメル質及び象牙質の何れに対しても同等に優れた脱灰能力を示し、接着力を補強することが明らかとなった。
[(A)成分含有量の検討]
<試験結果>
上記表2の結果から、本発明の歯科用接着前処理材組成物(実施例4、6及び7)は、エナメル質及び象牙質の何れに対しても同等に優れた脱灰能力を示し、接着力を補強することが明らかとなった。一方、MTEGPを含まない組成物は、エナメル質に対しても象牙質に対しても、何れも接着強さが低下した。
また、本発明の歯科用接着前処理材組成物(実施例4、6及び7)は、ジルコニアに対して表面処理しても、エナメル質及び象牙質と同様に、材料の接着力が改善した。一方、MTEGPを含まない組成物は、ジルコニアに対しても接着強さが低下した。
[(A)成分の検討]
<試験結果>
上記表3の結果から、(A)成分が、上記の各種リン酸基含有重合性化合物である歯科用接着前処理材組成物(実施例4、8及び9)は、エナメル質及び象牙質の何れに対しても同等に優れた脱灰能力を示し、接着力を補強することが明らかとなった。
一方、リン酸基含有重合性化合物に代えて、リン酸を含む歯科用接着前処理材組成物(比較例2)は、エナメル質に対して、ある程度の接着性を有していたものの、象牙質に対して、接着性が低下することが分かった。
また、本発明の歯科用接着前処理材組成物(実施例4、8及び9)は、ジルコニアに対して表面処理しても、エナメル質及び象牙質と同様に、材料の接着力が改善した。既存のリン酸系エッチャント液についてジルコニア表面へのリン酸付着によって接着が低下するが、リン酸含有重合性化合物を用いることによって、ジルコニア表面への良好な表面処理が達成してた。したがって、表2及び表3の結果から、本発明は上述したとおり全ての歯質にも有効に使用でき、画期的な処理剤である。
[(D)成分の検討]
<試験結果>
上記表4の結果から、(D)成分の溶媒として、水に代えて、エタノール、アセトン等の有機溶媒を用いた本発明の歯科用接着前処理材組成物(実施例10及び11)は、エナメル質及び象牙質の何れに対しても同等に優れた脱灰能力を示し、接着力を補強することが明らかとなった。
[(C)成分の検討]
<試験結果>
上記表5の結果から、(C)成分の高粘度溶媒として、グリセリンに代えて、PEGを用いた本発明の歯科用接着前処理材組成物(実施例12)は、エナメル質及び象牙質の何れに対しても同等に良好な脱灰能力を示し、接着力を補強することが明らかとなった。一方、(C)成分の増粘剤として、ブタノールを用いた歯科用接着前処理材組成物は、エナメル質に対して、ある程度の接着性を有していたものの、象牙質に対して、接着性が低下することが分かった。
試験例3(SEM撮像)
また、本発明のうち、実施例7の歯科用接着前処理材組成物を用いて処理した後の歯表面をSEMで撮像し、その表面の状態を観察した。
<試験結果>
本発明の歯科用接着前処理材組成物は、象牙質に対して既存のリン酸系エッチング材では不可能であった過度の脱灰が起こらずにスメア層及び/又はスメアプラグの選択的除去を達成していることが示され、この効果によりエナメル質にも象牙質にも同等に有効であった(図1参照)。
試験例4(ぬれ性:接触角)
市販の人工唾液(製品名:サリベート、製造販売元:帝人ファーマ)に牛血清アルブミン(製造販売元:シグマアルドリッチ)を濃度2000 mg/lまで溶かし、一般的な唾液相等のタンパク質濃度となるよう調整して疑似人工唾液を作製した。ポリメタクリル酸(赤着色)の試験体の表面に、6〜8 mgの水滴を垂らし、その水滴と試験体がなす角度を接触角として測定した。また、疑似人工唾液を試験体表面全体に塗布し、エアブローした表面(疑似人工唾液汚染後)、さらに蒸留水にて洗浄しエアブローにて乾燥した表面(水洗後)、下記表6に示す組成の各歯科用接着前処理材組成物を塗布、水洗、乾燥した表面(実施例・比較例適用後)にて、同様の試験を行った。
その結果を表7及び図2に示す。
<試験結果>
表7の結果から、本発明の歯科用接着前処理材組成物(実施例4)は、水の接触角が、比較例1の組成物に比べて低減した。つまり、M-TEG-Pの有無で適用表面の濡れ性(接触角)に大きな違いを生じることが示され、適用表面の濡れ性がM-TEG-Pにより向上することを確認した。
一方、リン酸を加えた場合の比較例3の組成物は、濡れ性の効果は得られなかった。
試験例5(稠度試験)
1cmおきに線が書かれたプラスチックトレー上に(図3及び4)、下記表9に記載の組成の各試料0.25 g採取し、傾き30°の板上に1分間保持した。その結果、各試料が垂れた長さで稠度を判定した。
[判定]
○:垂れた試料の長さが5.0cm未満である。
×:垂れた試料の長さが5.0cm以上である。
<試験結果>
表8の結果から、本発明の歯科用接着前処理材組成物(実施例1、4、6及び7)は、適度な稠度を有しており、ペースト状であることから、幅広い場面において使用できることがわかった。
一方、比較例1及び4の組成物は、稠度の結果が悪く、前処理剤として使用しづらいことがわかった。

Claims (9)

  1. (A)一般式(1):
    [式中、Rは、水素原子又はアルキル基を示す。
    Xは、酸素原子、硫黄原子又は置換基若しくは水素原子を有する窒素原子を示す。
    Yは、下記(Y1)又は(Y2)で表される基を示す。
    、R、R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。
    n及びmは、1〜1000の整数を示す。
    *は、結合部位を示す。]
    で表されるリン酸基含有重合性化合物、
    (B)無機フィラー、及び
    (C)20mPa・s(20℃)以上の粘度を有する溶媒を含有する、歯科用接着前処理材組成物。
  2. 処理対象の濡れ性が向上する、請求項1に記載の歯科用接着前処理材組成物。
  3. 水の接触角が大きな材質の場合、該水の接触角を低減できる、請求項1又は2に記載の歯科用接着前処理材組成物。
  4. 上記(A)リン酸基含有重合性化合物が、水に可溶性である、請求項1〜3の何れか一項に記載の歯科用接着前処理材組成物。
  5. さらに、(D)20mPa・s(20℃)未満の粘度を有する溶媒を含有する、請求項1〜4の何れか一項に記載の歯科用接着前処理材組成物。
  6. さらに、(E)添加剤を含有する、請求項1〜5の何れか一項に記載の歯科用接着前処理材組成物。
  7. 上記(A)一般式(1)で表わされるリン酸基含有重合性化合物が、全組成物中、0.5〜40重量%である、請求項1〜6の何れか一項に記載の歯科用接着前処理材組成物。
  8. エナメル質及び象牙質のエッチャント液である、請求項1〜7の何れか一項に記載の歯科用接着前処理材組成物。
  9. (A)一般式(1):
    は、水素原子又はアルキル基を示す。
    Xは、酸素原子、硫黄原子又は置換基若しくは水素原子を有する窒素原子を示す。
    Yは、下記(Y1)又は(Y2)で表される基を示す。
    、R、R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。
    n及びmは、1〜1000の整数を示す。
    *は、結合部位を示す。]
    で表されるリン酸基含有重合性化合物、
    (B)無機フィラー、及び
    (C)20mPa・s(20℃)以上の粘度を有する溶媒を含有する歯科用組成物を、貴金属、非貴金属、セラミック及び有機−無機複合材料からなる群から選択される少なくとも1種の歯科用材料に対する接着の前処理に使用する方法。
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