JP6831908B2 - 多孔質焼結シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は多孔質焼結シート及びその製造方法に関する。
液晶用ガラス板や積層セラミックコンデンサ用のグリーンシート等、薄膜もしくは板状、フィルム状の物を固定又は搬送するための手段のひとつに、減圧吸引での吸着ステージで吸着固定又は吸着搬送する方法がある。この吸着ステージでは、被吸着部材に傷や接触痕が生じることを防ぐために、吸着面に吸着緩衝材として通気性を有する樹脂多孔質体を装着することが行われている。このような樹脂多孔質体としては、剛性やクッション性などの観点から、ポリエチレン粉末を焼結成形して得られる焼結成形体が用いられることがある。
近年、液晶や積層セラミックコンデンサは小型化及び高性能化が急激に進行しており、その原料であるガラス板やセラミックグリーンシートの薄型化が進んでいる。このため非常に精密な吸着固定又は吸着搬送を行う必要が生じている。したがって、減圧吸引での吸着ステージに装着する吸着緩衝材としても、優れた表面平滑性や強度剛性などが求められている。
表面平滑性に優れる緻密な構造を有する多孔質焼結シートとして、全体の厚み方向の通気度が高く、表面の開孔率が小さく、表面粗さが小さいシートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ろ過精度に優れ、剛性が高く、取扱いに優れた多孔質複合体として、連続気孔を形成している樹脂多孔体と微多孔膜とが実質的に一体化している多孔質複合体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、無端ベルト上に原料樹脂を堆積後加熱することにより連続気孔の多孔質体を形成できる成形法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001−28390号公報 特開2000−177040号公報 特開平3−143821号公報
しかしながら、特許文献1においては、シートの表面平滑性を向上させるために、表面平滑性の高いPETシートなどを被吸着部材が接する面に接触させ、一定以上の圧力をかけた状態で加熱処理を行う。表面平滑性を高めるために強く圧縮すると、厚み方向全体の空隙率が小さくなる。このため、高い通気度を得るためにシートの厚みを薄くしなければならない問題が生じる。この場合、薄くなったシートを補強するために、別の通気性の高いシートを被吸着部材が接触する面と逆側に積層しなければならなくなる問題が生じる。
また、特許文献2においても、濾過精度に優れるシートを得るために、空隙率が小さく透過性に劣る薄いシート、及び空隙率が大きく透過性に優れる厚いシートの二種類のシートを別々に作成した後、貼り合わせる必要がある。さらには、別々のシートを張り合わせるために熱プレスを行う際に、空隙率が低下したり、張り合わせ面の孔が潰れたりする問題が生じる。
特許文献3においては、連続気孔の厚み方向の構造制御については開示も示唆もされていない。
そこで本発明においては、上述した従来技術の問題点に鑑み、少なくとも一方の面(例えば、表面及び/又は表面と反対側の面)近傍の空隙率が小さいにもかかわらず、気体又は液体の透過性に優れ、さらには機械強度が大きく、圧力損失が小さいことにより長期に亘る耐久性に優れた多孔質焼結シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、樹脂を含有し、かつ連続気孔を有する多孔質焼結シートであって、該多孔質焼結シートの空隙率の最小値を特定値以上とし、空隙率の最小値が存在する位置を焼結シートの一方の面から厚み方向の特定の範囲内とすると、上記の目的を達成することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)
樹脂を含有し、かつ連続気孔を有する多孔質焼結シートであって、
前記多孔質焼結シートの断面空隙率の最小値が10%以上であり、かつ断面空隙率の最小値が存在する位置が、前記焼結シートの一方の面から厚み方向の深さ20%以内である、多孔質焼結シート。
(2)
前記多孔質焼結シート全体の平均空隙率と、前記多孔質焼結シートの断面空隙率の最小値との差が10%以上50%以下である、(1)の多孔質焼結シート。
(3)
前記多孔質焼結シートの通気量と、前記多孔質焼結シートの厚みの積が0.2cm/cm/sec以上である、(1)又は(2)の多孔質焼結シート。
(4)
前記多孔質焼結シート全体の平均空隙率が20%以上80%以下である、(1)〜(3)のいずれかの多孔質焼結シート。
(5)
前記一方の面から厚み方向の深さにおいて、前記多孔質焼結シート全体の平均空隙率に達した深さ位置よりも深く、かつ前記平均空隙率よりも20%以上大きい断面空隙率を有する深さ位置が存在しない、(1)〜(4)のいずれかの多孔質焼結シート。
(6)
1m以上の前記多孔質焼結シートを100cm以下に区切ることにより得られる各区画が、下記条件Aを満たす(1)〜(5)のいずれかの多孔質焼結シート。
(条件A)
X≦Y×0.2
X:断面空隙率の最小値が存在する深さ位置と、断面空隙率の最大値が存在する深さ位置との差
Y:区画の厚さ

(7)
前記多孔質焼結シートの厚さが0.05mm以上5.0mm以下である、(1)〜(6)のいずれかの多孔質焼結シート。
(8)
無端コンベアベルト上に樹脂を供給し、シート状の成形体に成形した後、前記成形体を加熱、加圧して、(1)〜(7)のいずれかのシート状の多孔質焼結シートを製造する方法。
(9)
前記成形体を加熱してから、前記樹脂の融点±30℃の温度範囲内で、加熱した前記成形体を加圧手段により圧縮する、(8)の多孔質焼結シートの製造方法。
(10)
前記加圧手段により圧縮する圧縮率が、0.5%以上2%以下である(9)の多孔質焼結シートの製造方法。
(11)
(1)〜(7)のいずれかの多孔質焼結シートを有する、吸着固定搬送用シート。
(12)
(1)〜(7)のいずれかの多孔質焼結シートを有する、イムノクロマト法による迅速検査キットの支持体用シート。
本発明によれば、少なくとも一方の面(例えば、表面及び/又は表面と反対側の面)近傍の空隙率が小さく緻密な構造を有するために、気体又は液体の透過性に優れ、機械強度が大きく、圧力損失が小さいことにより長期に亘る耐久性に優れた多孔質焼結シート及びその製造方法を提供可能である。本発明の多孔質焼結シートは、少なくとも一方の面近傍の空隙率が小さく、透過性に優れるため、シートとして用いる際に、透過性を高めるために、別の透過性の高いシートを張り合わせる必要がない。
実施例1の多孔質焼結シートX線CT測定チャートを示す。 比較例1の多孔質焼結シートX線CT測定チャートを示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[多孔質焼結シート]
本実施形態の多孔質焼結シートは、樹脂を含有し、かつ連続気孔を有する多孔質焼結シートであって、多孔質焼結シートの断面空隙率の最小値が10%以上であり、かつ断面空隙率の最小値が存在する位置が、前記焼結シートの一方の面(例えば、表面又は表面と反対側の面)から厚み方向の深さ20%以内である。これにより、本実施形態の多孔質焼結シートは、気体又は液体の透過性に優れ、機械強度が大きく、かつ圧力損失が小さいことにより長期に亘る耐久性に優れる。
多孔質焼結シート(例えば、多孔質シート)を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、フッ素系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイドなどが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アリル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、賦形性、及び二次加工性に優れる観点から熱可塑性樹脂が好ましい。さらに熱可塑性樹脂の中でも、安価であり、耐薬品性及び加工性、並びに素材の低吸湿性及び低吸水性に優れる観点から、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、エチレンの単独重合体、又はエチレンと、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などの1種以上のα−オレフィン系モノマーとのエチレン系共重合体、エチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどのα−オレフィン系以外のモノマーとのエチレン系共重合体、プロピレンの単独重合体、又はプロピレンと、エチレン、ブテン−1などの1種以上のα−オレフィン系モノマーとのプロピレン系共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂粒子の中でも、安価であり、焼結成形が容易であり、成形後の加工性及び耐薬品性に優れ、素材自身の吸湿性及び吸水性が低い観点から、ポリエチレン粒子が最も好ましい。
樹脂(例えば、熱可塑性樹脂、特にポリエチレン)の密度は、890〜970kg/mであることが好ましい。密度が890kg/m以上であることにより、多孔質焼結シート(例えば、多孔質シート)により一層十分な剛性を付与できる傾向にある。同様の観点から、密度は、920kg/m以上であることがより好ましく、930kg/m以上であることがさらに好ましく、特に940kg/m以上である。また、密度が970kg/m以下であることにより、取扱い容易性がより一層優れる傾向にある。同様の観点から、密度は、960kg/m以下であることがより好ましい。
樹脂の密度は、異なる種類の各共重合体成分の量を調節したり、分子量を調節したり、同じ種類ではあるが密度の異なる2種類以上の共重合体成分を混合したりすることにより調整できる。例えば、樹脂がポリエチレンである場合、ポリエチレンの密度は、エチレンと共重合する他のモノマー(例えば、α−オレフィン系モノマー)の量を調節したり、分子量を調節したり、密度の異なる2種以上のポリエチレンを混合したりすることにより調整することができる。尚、ポリエチレンの密度は、JIS K 7112:1999に準拠し、密度勾配管法(23℃)により測定できる。
また、樹脂(例えば、熱可塑性樹脂、特にポリエチレン)は、焼結成形時に空孔の形成を阻害する要因となる樹脂の流動が少なく、かつ、隣り合う樹脂粒子の融着性に優れる観点から、粘度平均分子量が1000〜1000万であることが好ましく、1万以上であることがより好ましく、さらに好ましくは10万以上である。
樹脂粒子(例えば、熱可塑性樹脂粒子、特にポリエチレン粒子)の粘度平均分子量(Mv)は、重合条件等を適宜調整することで制御することができる。具体的には、重合系に水素を存在させたり、重合温度を変化させたりすることにより粘度平均分子量を調節することができる。
粘度平均分子量は、例えば、以下に示す方法によって求めることができる。まず、樹脂(例えば、ポリエチレン)をデカリン(デカヒドロナフタレン)に溶解させ、濃度の異なる複数の溶液を作成する。それらの溶液を135℃の恒温槽で、ウベローデタイプの粘度計を用いて、それぞれの還元粘度(ηsp/C)を求める。濃度(C)とポリマーの還元粘度(ηsp/C)の直線式を導き、濃度0に外挿した極限粘度([η])を求める。この極限粘度([η])から以下の式に従い、粘度平均分子量(Mv)を求めることができる。
Mv=5.34×10 4 ×[η]1.49
多孔質焼結シート(例えば、多孔質シート)は、原料である樹脂が密度及び/又は粘度平均分子量の異なる同一種類の樹脂(例えば、ポリエチレン)の混合原料であってもよく、異なる種類の樹脂との混合原料であってもよい。
これらの樹脂(例えば、ポリオレフィン系樹脂)は、親水基を有するモノマーと共重合したり、親水基を有するモノマーとグラフト共重合したり、界面活性剤を添加したりすることにより、親水化してもよい。尚、親水化は、粉末の形態で親水化されたものを多孔質体に成形し、親水性多孔質焼結シートを得てもよく、予め多孔質焼結体に成形したものを公知の方法で親水化してもよい。本発明にいう「親水化」とは、例えば、成形品に約50マイクロリットルの水滴を落下させた時に、30秒以内に水滴が成形品内部に吸収される状態をいう。
[多孔質焼結シートの製造方法]
本実施形態の多孔質焼結シートを製造する方法としては、公知の方法が用いられる。公知の方法としては、例えば、焼結成形法等の方法が主に用いられるが、その他には、例えば、抽出可能な成分と共に溶融させた樹脂で成形体を成形後、抽出可能な成分を抽出して連続気孔の多孔質焼結シートを形成する方法も用いられる。焼結成形法の具体例としては、金型に原料(例えば、パウダー状の樹脂)を充填し、融点以上で温度維持された加熱炉内に投入して焼結させ、その後冷却し、金型から成形体を取り出しても連続気孔の多孔質焼結シートを形成できる。
シート状の多孔質焼結体を製造する方法としては、特に限定されず、金型での焼結成形法、押出し成形法、もしくは上記の成形法を用いて成形した多孔質焼結体をスライス加工したり、又はスカイブ加工したりすることによりシート状に成形する方法などが好適に用いられる。
特に、無端コンベアベルト上に原料である樹脂を供給(堆積)し、シート状に成形(賦形)した後、加熱することによりシート状の多孔質焼結体を製造することが、連続生産性及び厚みの自由度に優れる観点から好ましい。
なお、本明細書にいう「連続気孔」とは、成形体のある面から他の面へ気孔が連続していることをいう。この気孔は、直線的でも曲線的でもよい。尚、気孔の寸法は、例えば表層と内部、又は一つの表層と他の表層とで気孔の寸法を変えてもよい。
上記の種々の成形方法で得た多孔質焼結シートを、さらに加圧手段により圧縮してもよい。より詳細には、加圧板に多孔質焼結シートを挟み、加圧圧縮してもよいし、加圧ローラー、無端コンベアベルトの加圧装置などにより、加圧圧縮してもよい。加圧圧縮する際の温度は融点±30℃の温度範囲内であることが好ましい。融点よりも30℃を超えて低い場合は樹脂粒子の硬化がすでに始まっており加圧圧縮の効果が得られない傾向にあり、融点よりも30℃を超えて高い場合には加圧板、加圧ローラーに多孔質焼結シートが付着する虞があり、また一方の面(例えば、表面)の気孔がつぶれてしまったりする虞がある。多孔質焼結シートを加圧圧縮する場合の圧縮率は、圧縮前の厚みに対して0.5%以上2%以下が好ましく、0.7%以上1%以下がさらに好ましい。圧縮率が0.5%未満では表面の粉落ち性や耐摩耗性が劣り、2%以下であることにより、本実施形態の多孔質焼結シートは、透過度(例えば、通気度)により一層優れる傾向にある。ここでいう圧縮率とは、元の厚みから最終厚みを引いた値をもとの厚みで割った割合のことを言う。
多孔質焼結シートを焼結成形によって得る場合は、原料樹脂は粉状の形態が好適に用いられる。この場合、多孔質焼結シートにおいて、十分な透過性(例えば、通気性)を有しながらも、十分な機械強度と適度な剛性を得るため、原料樹脂の平均粒径は、10〜300μmであることが好ましく、20〜250μmであることがより好ましく、30〜200μmであることがさらに好ましく、特に50〜180μmである。原料樹脂の平均粒径は、累積重量が50%となる粒子径、すなわちメディアン径であり、レーザ回析式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製「SALD−2100」)を用い、メタノールを分散媒として測定して得ることができる。
「断面空隙率」とは、多孔質焼結シートの表面に平行な断面の空隙率をいう。断面空隙率は、X線CT装置を用いて測定することができる。多孔質焼結シートの一方の面から、厚み方向に段階ごとに断面画像を得て、各層の空隙の画像を2値化することにより求めることができる。この方法により、多孔質焼結シートの厚み方向の断面空隙率のプロファイルを得ることができる。
平均空隙率とは、すべての層の断面空隙率の平均値であり、多孔質焼結シートの厚みは、X線CT測定において空隙率が100%(多孔質焼結シートに接していない状態)以下となる最初の測定点から反対側に向かい100%を超える前の最後の測定点までの距離のことをいう。
本実施形態における多孔質焼結シートの断面空隙率の最小値が存在する位置は、焼結シートの一方の面から厚み方向の深さ20%以内であり、好ましくは18%以内であり、より好ましくは16%以内である。通常、多孔質焼結シートは、一方の面から厚み方向に深くなるにつれて、空隙率が徐々に減少していき、ある深さでほぼ一定の空隙率となった後、厚みの中央付近(一方の面から厚み方向の深さ50%付近)で最小の空隙率となる傾向にある。一方、本実施形態の多孔質焼結シートは、一方の面から厚み方向に深くなるにつれて、空隙率が徐々に減少していき、一方の面から厚み方向の深さ20%以内に空隙率が最小となり、さらに深くなるにつれて、空隙率が大きくなっていき、その後にほぼ一定の空隙率となる。一方の面から厚み方向の深さ20%以内に空隙率の最小値が存在することにより、例えば、多孔質焼結シート内部で欠落した粉末状の樹脂(例えば、パウダーなど)が外部に放出されにくい傾向にある。また、本実施形態の多孔質焼結シートをフィルターや吸引搬送板として使用する際に、多孔質焼結シートの孔を通過する物体が孔に詰まっても、圧力損失を小さくできる。さらに、多孔質焼結シートの一方の面の機械強度が優れ、外部からの応力に対し、一方の面が削れたり、潰れたり、変形したりし難い。このため、長期に亘り、透過能力(例えば、通気能力)及び濾過能力を維持でき、カスが発生しにくい傾向にある。
一般的に、金型に原料パウダーを充填し、融点以上に温度維持された加熱炉内に投入して焼結させる金型法においては、加熱時に原料樹脂(例えば、パウダー状の樹脂)が膨張するが金型があることによって圧縮される状態になる。また、金型法では、加熱後、空冷で徐々に多孔質焼結シートが冷却されるが、この場合、一方の面から深さ50%付近に空隙率の最小値が存在する多孔質焼結シートになる傾向にある。
これに対し、本実施形態の一方の面から厚み方向の深さ20%以内に空隙率の最小値が存在する多孔質焼結シートを作製する方法としては、特に限定されない。無端コンベアベルト上に原料樹脂を堆積した後、加熱して焼結し、その後、加圧板で挟み加圧することが好ましい。加熱焼結時の樹脂温度を180℃〜230℃に調整すること、圧縮時の温度は該樹脂の融点に対して±30℃に設定すること等の方法によって、多孔質焼結シートの一方の面から厚み方向の深さ20%以内に空隙率の最小値が存在できるように調整できる。
本実施形態の多孔質焼結シートにおいて、断面空隙率の最小値は、例えば、10%以上40%以下であり、好ましくは12%以上38%以下であり、より好ましくは15%以上36%以下である。断面空隙率の最小値が10%以上であることにより、十分な透過性(例えば、通気性及び通水性)を付与できる。一方、断面空隙率の最小値が40%以下であることにより、機械強度に優れ、濾過精度に優れる多孔質焼結シートを得ることができる。
本実施形態の多孔質焼結シート全体の平均空隙率は、好ましくは20%以上80%以下であり、より好ましくは25%以上75%以下であり、さらに好ましくは30%以上70%以下である。平均空隙率が20%以上であることにより、本実施形態の多孔質焼結シートは、気体又は液体が通過したり、保持されたりするのに必要な多孔質焼結シート中の空間をより一層確保でき、機械強度により一層優れ、耐久性により一層優れる傾向にある。一方、平均空隙率が80%以下であることにより、本実施形態の多孔質焼結シートは、機械強度がより一層優れる傾向にある。平均空隙率を20%以上80%以下に調整する方法としては、樹脂粒子の平均粒子径、成形体製造時の焼成温度、焼成時間、圧縮温度、圧縮圧力、及び圧縮時間等を調整することによって制御することができる。本明細書にいう「平均空隙率」とは、X線CTで測定したすべての層の断面空隙率の平均値をいう。
本実施形態の多孔質焼結シートは貼り合せ等をせずに深さ方向の空隙構造の異なる多孔質焼結シートを得ることを特徴としている。異なる構造のシートを例えば粘着剤等で貼り合せた場合、粘着層の空隙率が極端に異なり、全体の平均空隙率より極端に空隙率の低い位置が深さ方向に存在する。
本実施形態の多孔質焼結シートは、一方の面から厚さ方向の深さにおいて、多孔質焼結シート全体の平均空隙率に達した深さ位置よりも深く、かつ平均空隙率よりも20%以上大きい断面空隙率を有する深さ位置が存在しないことが好ましい。これにより、剥離の原因となる粘着層を介在せずに表層部分が緻密な構造を有する多孔質焼結シートが得られる。
本実施形態の多孔質焼結シートにおいて、1m以上の前記多孔質焼結シートを100cm以下に区切ることにより得られる各区画が、下記条件Aを満たすことが好ましい。
(条件A)
X≦Y×0.2
X:断面空隙率の最小値が存在する深さ位置と、断面空隙率の最大値が存在する深さ位置との差
Y:区画の厚さ
条件Aを満たすことにより、多孔質焼結シートは、より均一なシートとなり、場所によって液体や気体の透過性が異なったり、均一な吸引チャックやろ過ができなくなる等の不具合が一層低減される。同様の観点から、Xは、Y×0.1以下であることがより好ましく、Y×0.05以下であることが更に好ましい。
本実施形態における多孔質焼結シート全体の平均空隙率と、該多孔質焼結シートの断面空隙率の最小値との差は、例えば、10%以上50%以下であり、好ましくは12%以上40%以下であり、より好ましくは15%以上30%以下である。平均空隙率と断面空隙率の最小値との差が10%以上であることにより、機械強度に優れ、濾過精度に優れる多孔質焼結シートを得ることができる。一方、平均空隙率と断面空隙率の最小値との差が50%以下であることにより、気体又は液体の透過性に優れ、圧力損失が小さくなる傾向にある。
平均空隙率と断面空隙率の最小値との差を10%以上にする方法としては、多孔質焼結シートの一方の面から厚み方向の深さ20%以内の空隙率の最小値を存在させる方法と同様の方法により調整することができる。
本実施形態における多孔質焼結シートの通気度と厚みの積は0.2cm/cm/sec以上であり、好ましくは0.3cm/cm/sec以上(例えば、0.3〜1.0cm/cm/sec)であり、より好ましくは0.4cm/cm/sec以上である。通気度と厚みの積が0.2cm/cm/sec以上であることにより、本実施形態の多孔質焼結シートは、透過性(例えば、通気性及び通水性)により一層優れ、機械強度に優れることにより耐久性により一層優れる傾向にある。尚、通気度は、通気度測定機(TEXTEST社製「FX3360PORTAIR」)を用い、測定範囲20cm、測定差圧125Paの条件にて測定することができる。
本実施形態の多孔質焼結シートの厚さは好ましくは0.05mm以上5mm以下であり、より好ましくは0.1mm〜3mmであり、さらに好ましくは0.2mm〜2mmある。厚さが上記範囲内にあることにより、本実施形態の多孔質焼結シートは、自立性及び取扱い性により一層優れ、透過性(例えば、通気性及び通水性)により一層優れ、かつ濾過精度により一層優れる傾向にある。
本実施形態の多孔質焼結シートの表面粗さ(Ra)は好ましくは0.1μm以上20μm以下であり、より好ましくは0.1μm以上10μm以下であり、さらに好ましくは0.1μm以上5μm以下である。表面粗さが上記範囲内にあることにより、本実施形態の多孔質焼結シートを吸着緩衝材として使用する際に、被吸着部材に傷や接触痕が生じるのをより一層防ぐことができる。多孔質焼結シートの表面粗さ(Ra)を上記範囲内に調整する方法としては、特に限定されず、堆積法により多孔質焼結シートを作製する方法、得られた多孔質焼結シートをプレス成形する方法、得られた多孔質焼結シートを切削する方法等が挙げられる。また、多孔質焼結シートの表面から厚み方向の深さ20%以内に断面空隙率の最小値が存在することによって、該表面が緻密な構造となり、表面粗さが小さくなる傾向にある。尚、表面粗さ(Ra)は、触針式表面粗さ計(株式会社東京精密社製「ハンディサーフE−35B」)を用い、先端径R:5μm、速度:0.6mm/s、測定長:12.5mm、カットオフ値λc:2.5mm、測定回数:n=5の条件にて測定することができる。
[用途]
本実施形態の多孔質焼結シートは、通気性に優れ、例えば、表面付近に緻密構造を有することのより、表面粗さが小さいため、吸着緩衝材として好適に用いることができる。吸着緩衝材とは、吸着固定搬送用シート、イムノクロマト法による迅速検査キットの支持体用シート、液晶用ガラス板や積層セラミックコンデンサ用のシート等、薄膜もしくは板状、フィルム状の物を固定又は搬送するための手段のひとつに、減圧吸引での吸着ステージで吸着固定又は吸着搬送する方法があるが、その吸着ステージの吸着面に装着するものである。
薄膜としては、セラミックグリーンシートが挙げられる。セラミックグリーンシートは、通常、セラミック粉体、バインダ(アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂等)、可塑剤(フタル酸エステル類、グリコール類、アジピン酸、燐酸エステル類)及び有機溶剤(トルエン、MEK、アセトン等)からなるセラミック塗料を準備し、このセラミック塗料を、ドクターブレード法などによりキャリアシート上に塗布し、加熱乾燥させたものである。
また、一方の面付近に緻密構造がありながら全体としての通気性が高いことから濾過効率の高いろ過材として用いることができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
各材料の各物性の測定は以下のとおりに行った。
(1)断面空隙率
X線CT装置(マイクロフォーカスX線CTシステムHPCinspeXioSMX−225CT:島津製作所製)を用い、X線条件を160kV/40μAで金属フィルター無、撮影条件は、露光時間0.33秒相当にて1200枚/360°回転で1024×1024pixの画像サイズにて空間解像度5μm/pixで多孔質焼結シートの三次元構造を得た。多孔質シートの一方の面から、厚み方向に段階ごとに断面画像を得て、各層の空隙を画像のOtsuの方法により2値化し、断面空隙率を求めた。この方法により、多孔質焼結シートの厚み方向の空隙率のプロファイル(例えば図1)を得ることができ、すべての層の断面空隙率の平均が多孔質焼結シート全体の平均空隙率となる。
(2)表面粗さ(Ra)
表面粗さ(Ra)の測定は、触針式表面粗さ計(株式会社東京精密社製「ハンディサーフE−35B」)を用い、先端径R:5μm、速度:0.6mm/s、測定長:12.5mm、カットオフ値λc:2.5mmの条件にて測定した。測定位置は、被測定物の面の中心1箇所と、面を同じ形状になるように4等分した際、その4等分された面の中心1箇所ずつ、合計5箇所を測定した。
(3)通気度
通気度の測定は、通気度測定機(TEXTEST社製「FX3360PORTAIR」)を用い、測定範囲20cm、測定差圧125Paの条件にて測定した。
(4)厚さ
多孔質焼結シートの厚さの測定は、X線CT測定において空隙率が100%以下となる最初の測定点から反対側に向かい100%を超える前の最後の測定点までの距離を厚みとした。
(5)粉落ち性評価
ポリオレフィン多孔質焼結シートの粉落ち性の評価は、ポリオレフィン多孔質焼結シートの原料粒子の色と反対色の紙の上で、200mm×200mmサイズの1枚のポリオレフィン多孔質焼結シートを、バイブレータ(神鋼電機株式会社製「バイブレートリパッカVP−15D」)を用いて2分間振動を加えた後、反対色の紙の上に原料粒子があるか否かを目視で確認し、以下の判定基準に基づき評価した。
○:原料パウダーの脱落が殆どなかった。
×:原料パウダーの脱落が多数あった。
(6)圧力損失評価
圧力損失の測定は、多孔質焼結シートを濾過フィルターとしてシリカ分散液を吸引濾過したときの濾過速度と濾液中のシリカ含有量によって測定した。ガラス製フィルターフォルダーKG−47(東京ガラス器械株式会社製)を用い、多孔質焼結シートをフォルダーサイズに合わせて切り出し、フォルダーに装着してクランプで挟んだ。アスピレーターで−40kPaで減圧し、シリカ分散液スノーテックスMP−4540M(日産化学工業株式会社製)を1L流し入れて、水が通過するまでにかかる時間を測定した。次に、濾液中のシリカの含有量を乾燥重量を測定することで求め、以下の判定基準に基づき評価した。
◎:20秒未満で通過した。
○:20秒以上40秒未満で通過した。
×:40秒以上で通過した。又は、40秒未満で通過してもシリカ含有量がろ過前の含有量の50%以上となっていた。
(7)多孔質焼結シート表面の耐擦傷性評価
#0000のスチールウールを用いて荷重100gで多孔質焼結シートの表面を50往復擦り、削りカスの発生状況を観察し、以下の判定基準に基づき評価した。
○:削りカスの発生量が少なく、削りカスが長径1mm以下であった。
×:削りカスの発生量が多く、長径1mm以上の削りカスがあった。
[実施例1]
粘度平均分子量(Mv)が40万、平均粒径が95μm、嵩密度が0.53g/cc、融点が136℃の超高分子量ポリエチレン100重量部に対して、ポリオキシソルビタンモノラウレート0.3重量部を添加して、ブレンダーで混合した。該超高分子量ポリエチレン組成物をホッパーに投入して供給した。供給された樹脂は、移動速度10cm/minで回転している金属製の無端コンベアベルト上に厚さ0.505mmになるように堆積させた。次に200℃にセットされた加熱ゾーンを10分間かけて通過させた。加熱ゾーンの出口の樹脂温度は190℃であった。加熱ゾーン通過後、15秒後に無端コンベアベルトから剥がれ、両面から空冷し、ロールに巻きつけて多孔質焼結シートの原反を得た。続いて該多孔質焼結シートの原反を適当な大きさにカットし、140℃にて型枠厚み0.500mmで90秒間1MPaの条件で加圧プレスすることにより、厚み0.501mmの多孔質焼結シートを得た。該多孔質焼結シートの特性を表1に示す。また、断面空隙率のプロファイルを図1に示す。
また、得られたシートを10cm四方にカットしたものを100枚用意し、それぞれの最小空隙率を示す深さ方向の位置を測定したところ、最大値が0.075mm、最小値が0.055mmであり、その差は全体の厚みの4%となり、全体に均一なシートとなった。
[実施例2]
供給された樹脂を移動速度9cm/minで回転している金属製の無端コンベアベルト上に厚さ0.121mmになるように堆積させたこと、加圧プレスを型枠厚み0.120mmで行った以外は、実施例1と同様にして厚み0.120mmの多孔質焼結シートを得た。該多孔質焼結シートの特性を表1に示す。
[実施例3]
粘度平均分子量(Mv)が100万、平均粒径が50μm、嵩密度が0.50g/cc、融点が136℃の超高分子量ポリエチレンを使用したこと以外は、実施例1と同様にして厚み0.501mmの多孔質焼結体を得た。該多孔質焼結シートの特性を表1に示す。
[実施例4]
粘度平均分子量(Mv)が300万、平均粒径が50μm、嵩密度が0.33g/cc、融点が136℃の超高分子量ポリエチレンを使用したこと以外は、実施例1と同様にして厚み0.500mmの多孔質焼結シートを得た。該多孔質焼結シートの特性を表1に示す。
[実施例5]
粘度平均分子量(Mv)が500万、平均粒径が80μm、嵩密度が0.49g/cc、融点が136℃の超高分子量ポリエチレンを使用したこと、厚さ0.101mmになるように堆積させたこと以外は、実施例1と同様にして厚み0.100mmの多孔質焼結シートを得た。該多孔質焼結体の特性を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で用いた樹脂を使用し、クリアランス0.510mmに調整されたアルミニウム製の金型に30秒間バイブレータで振動を与えながら樹脂を充填し、金型温度が180℃になるまで加熱、冷却後離形し、厚み0.506mmの多孔質焼結シートを得た。該多孔質焼結シートの特性を表1に示す。また、断面空隙率のプロファイルを図2に示す。
[比較例2]
実施例5で用いた樹脂を使用し、メッシュ状の円筒状金型(内径250mm、高さ500mm)に充填し、30秒間バイブレータで振動を与えながら樹脂を充填した。これを耐圧容器に入れ、水蒸気(160℃、8気圧)を導入し、10時間加熱焼結し、その後、25℃の室温に放置して冷却した。得られた円筒状の多孔質焼結体ブロックを切削することにより、厚み0.101mmの多孔質焼結シートを得た。該多孔質焼結シートの特性を表1に示す。
[比較例3]
実施例1で用いた樹脂を使用し、金属無端コンベアベルト上に厚さ0.140mmになるように堆積させ、加圧プレスを型枠厚み0.120mmで行った以外は、実施例1と同様にして厚み0.120mmの多孔質焼結シートを得た。該多孔質焼結シートの特性を表1に示す。
[比較例4]
実施例1で用いた樹脂を使用し、加圧プレス温度を180℃に調整した以外は実施例1と同様にして多孔質焼結シートを得た。該多孔質焼結シートの特性を表1に示す。
[比較例5]
比較例1で得られた多孔質体を95℃にて型枠厚み0.500mmで90秒間1MPの条件で加圧プレスすることにより、厚み0.503mmの多孔質焼結シートを得た。該多孔質焼結シートの特性を表1に示す。
[比較例6]
実施例1で用いた樹脂を使用し、型枠厚み0.505mmで加圧プレスすること以外は、実施例1と同様にして厚み0.505mmの多孔質焼結シートを得た。該多孔質焼結シートの特性を表1に示す。
[比較例7]
実施例1で用いた樹脂を使用し、加圧プレスを行わなかった以外は、実施例1と同様にして厚み0.505mmの多孔質焼結シートを得た。該多孔質焼結シートの特性を表1に示す。
[比較例8]
比較例4で得られた多孔質焼結シートに、比較例3で得られた多孔質焼結シートを、スプレー粘着剤(3M製スプレーのり55)にて接着層の厚みが0.001mmとなるように接着し、平均空隙率30%、厚み0.621mmの積層多孔質シートを得た。該積層多孔質シートの平均空隙率に達した深さは比較例3を積層したシート側から全体の厚みの8%位置(深さ0.05mm)であり、さらに深い位置である全体の厚みの20%の位置(深さ0.125mm)で空隙率69.3%となった。該積層多孔質シートは圧力損失評価の際に、粘着層が剥がれてしまい評価できなかった。
本発明の多孔質焼結シートは、エレクトロニクス分野や医療関連分野等におけるフィルター、吸着緩衝材、吸着固定搬送用材、散気管、液体の誘導材及び保持材、支持材等として、産業上の利用可能性を有している。
本出願は、2017年5月9日出願の日本特許出願(特願2017−093107)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Claims (12)

  1. 粘度平均分子量(Mv)が10万〜1000万であるポリエチレン樹脂を含有し、かつ連続気孔を有する多孔質焼結シートであって、
    前記多孔質焼結シートの断面空隙率の最小値が15%以上であり、かつ断面空隙率の最小値が存在する位置が、前記焼結シートの一方の面から厚み方向の深さ20%以内である、多孔質焼結シート。
  2. 前記多孔質焼結シート全体の平均空隙率と、前記多孔質焼結シートの断面空隙率の最小値との差が10%以上50%以下である、請求項1に記載の多孔質焼結シート。
  3. 前記多孔質焼結シートの通気量と、前記多孔質焼結シートの厚みの積が0.2cm3/cm/sec以上である、請求項1又は2に記載の多孔質焼結シート。
  4. 前記多孔質焼結シート全体の平均空隙率が20%以上80%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質焼結シート。
  5. 前記一方の面から厚み方向の深さにおいて、前記多孔質焼結シート全体の平均空隙率に達した深さ位置よりも深く、かつ前記平均空隙率よりも20%以上大きい断面空隙率を有する深さ位置が存在しない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質焼結シート。
  6. 1m2以上の前記多孔質焼結シートを100cm2以下に区切ることにより得られる各区画が、下記条件Aを満たす請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔質焼結シート。
    (条件A)
    X≦Y×0.2
    X:断面空隙率の最小値が存在する深さ位置と、断面空隙率の最大値が存在する深さ位置との差
    Y:区画の厚さ
  7. 前記多孔質焼結シートの厚さが0.05mm以上5.0mm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多孔質焼結シート。
  8. 無端コンベアベルト上に樹脂を供給し、シート状の成形体に成形した後、前記成形体を加熱、加圧して、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシート状の多孔質焼結シートを製造する方法。
  9. 前記成形体を加熱してから、前記樹脂の融点±30℃の温度範囲内で、加熱した前記成形体を加圧手段により圧縮する、請求項8に記載の多孔質焼結シートの製造方法。
  10. 前記加圧手段により圧縮する圧縮率が、0.5%以上2%以下である請求項9に記載の多孔質焼結シートの製造方法。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の多孔質焼結シートを有する、吸着固定搬送用シート。
  12. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の多孔質焼結シートを有する、イムノクロマト法による迅速検査キットの支持体用シート。
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