JP6830666B2 - コアシェル型農薬粒剤組成物及びその製造方法 - Google Patents

コアシェル型農薬粒剤組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、コアシェル型農薬粒剤組成物及びその製造方法に関する。
農薬の剤型としては、種々のものが知られているが、その1つとしてマイクロカプセルがある。
マイクロカプセルは、農薬が重合体で被覆された微粒子で、分解や揮発による消失を抑えて持続性を保つことができるとともに、徐放性を制御できるという利点がある。
このようなマイクロカプセルの製法は種々知られている。
例えば、イソシアネート/ポリウレアを利用したもの(例えば、特許文献1,2等参照。)、メラミン樹脂を利用したもの(例えば、特許文献3等参照。)等が挙げられる。
しかし、イソシアネート/ポリウレアを利用したものは高価である。
また、メラミン樹脂を利用したものは、残存ホルムアルデヒドの危険性が問題となる。
上記の他に、ラジカル重合性モノマーを利用した安価で簡便なマイクロカプセルの製法も知られている。
例えば、疎水性の抗生物活性化合物を疎水性の重合性ビニルモノマーに溶解し、この疎水性溶液を水に分散させる方法(特許文献4参照。)、抗生物活性化合物と疎水性の第1ビニルモノマーを懸濁重合後に親水性の第2ビニルモノマーを被覆する方法(特許文献5,特許文献6参照)が挙げられる。
一方、疎水性有機芳香族化合物などの農薬は、水田の有害生物を防除するための本田及び育苗箱への均一散布が可能で、当該防除作業の回数を削減することが可能な粒状農薬組成物として使用される重要なものである(例えば、特許文献7参照。)。
疎水性有機芳香族化合物などの農薬では、苗に対する薬害の影響から初期の徐放性を抑制する必要がある一方、中/長期にかけては薬効を発現するために徐放性を高める必要があり、徐放性の精密なコントロールが求められる。
現状、これらの農薬は、農薬を含む粒剤の表面にポリマー(重合体)を被覆することでカプセル化して徐放性をコントロールした製剤としている。しかしながら、製造過程が多くコストが掛かるため、低コストで製造でき、より高度の徐放性を持った農薬製剤が求められている。
特許第5309504号公報 特許第6098394号公報 特許第4426119号公報 特許第5547589号公報 特許第4538787号公報 特開平7−053835号公報 特許第4538787号公報
従来のマイクロカプセル型農薬製剤では農薬の徐放性の制御性を精緻にコントロールすることが困難であり、またコントロール可能な構成では製造コストが高くなるという課題があった。
そこで、本発明は、ラジカル重合性モノマーを用い、徐放性の制御性、特に初期徐放性の抑制と中/長期での徐放性に優れた農薬粒剤組成物を提供することを目的とし、併せて、このような農薬粒剤組成物について、凝集等の問題を生じず、粒度のバラツキの少ない均一な粒剤を低コストで製造することのできる製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を備える。
すなわち、本発明のコアシェル型農薬粒剤組成物(以下、単に「農薬粒剤組成物」ということがある)は、固体状の農薬と、前記農薬を被覆あるいは分散する第1の親水性重合体とを含むコア部と、前記第1の親水性重合体よりも疎水性の高い第2の重合体を含み、前記コア部を被覆するシェル部とを備え、前記第1の重合体が、ヒドロキシル基、エチレンオキシド基、カルボキシル基及びその塩並びにアミノ基及びその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を備える親水性モノマーを20質量%以上含むラジカル重合性モノマーの重合体であり、前記第2の重合体が芳香族基を含むラジカル重合性モノマーの重合体である
また、本発明の農薬粒剤組成物の製造方法は、固体状の農薬を水相に分散させて分散液を調製する工程(a)と、第1のモノマーを前記分散液に加えて当該分散液中に分散されている前記農薬を前記第1のモノマーの液滴に溶解させることにより、農薬とモノマーとが混合した液滴からなる懸濁液を調製する工程(b)と、前記懸濁液における前記第1のモノマーを重合し、第1の重合体を生成させて、前記農薬を前記第1のモノマーの重合体で被覆した、あるいは分散したコア部を形成する工程(c)と、前記コア部形成後の懸濁液に、前記第1のモノマーよりも疎水性の高い第2のモノマーを加えて、前記コア部表面に当該第2のモノマーを重合し、前記コア部を被覆する第2の重合体を生成する工程(d)とを含前記第1のモノマーが、ヒドロキシル基、エチレンオキシド基、カルボキシル基及びその塩並びにアミノ基及びその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を備える親水性モノマーを20質量%以上含むラジカル重合性モノマーであり、前記第2のモノマーが芳香族基を含むラジカル重合性モノマーである
本発明によれば、初期の徐放性を十分に抑制しつつ、中/長期にかけての徐放性低下を防ぐことが出来る。加えて、凝集等の問題が生じず、粒度のバラツキの少ない粒子状重合体複合物やマイクロカプセルとして、農薬粒剤組成物を安価に提供することができる。
上記効果を奏するメカニズムについては明らかではないが、相対的に疎水性の高い第2の重合体で構成されるシェル部により、農薬の初期徐放性が抑制され、他方、時間の経過とともに相対的に親水性の高い第1の重合体で構成されるコア部が膨潤し、シェル部に亀裂が生じて、中/長期での徐放性が発揮されるものと推測される。
図1は、実施例1〜4の初期溶出試験のグラフを示す。 図2は、実施例5〜8の初期溶出試験のグラフを示す。 図3は、実施例9,10の初期溶出試験のグラフを示す。 図4は、実施例11の初期溶出試験のグラフを示す。 図5は、比較例1,2の初期溶出試験のグラフを示す。 図6は、実施例1〜4の中/長期溶出試験のグラフを示す。 図7は、実施例5〜8の中/長期溶出試験のグラフを示す。 図8は、実施例9,10の中/長期溶出試験のグラフを示す。 図9は、実施例11の中/長期溶出試験のグラフを示す。 図10は、比較例1,2の中/長期溶出試験のグラフを示す。
以下、本発明にかかる農薬粒剤組成物及びその製造方法の好ましい実施形態について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
なお、説明の便宜上、本発明の農薬粒剤組成物の製造方法について先に説明するが、本発明の農薬粒剤組成物は本発明の農薬粒剤組成物の製造方法により製造されたものに限定されるものではなく、他の製造方法により製造されたものであっても本発明の農薬粒剤組成物に含まれる。
〔農薬粒剤組成物の製造方法〕
本発明の農薬粒剤組成物の製造方法は、固体状の農薬を水相に分散させて分散液を調製する工程(a)と、ラジカル重合性の第1のモノマーを前記分散液に加えて当該分散液中に分散されている前記農薬を前記第1のモノマーの液滴に溶解させることにより、農薬とモノマーとが混合した液滴からなる懸濁液を調製する工程(b)と、前記懸濁液における前記第1のモノマーを重合し、第1の重合体を生成させて、前記農薬を前記第1のモノマーの重合体で被覆した、あるいは分散したコア部を形成する工程(c)と、前記コア部形成後の懸濁液に、前記第1のモノマーよりも疎水性の高いラジカル重合性の第2のモノマーを加えて、前記コア粒子表面に当該第2のモノマーを重合し、前記コア部を被覆する第2の重合体を生成する工程(d)とを含む。
以下では、まず、各種原料について詳述し、そののち、前記工程(a)〜(d)を含む各工程について詳述する。
<農薬>
農薬は、一般に、農作物等(樹木及び農林産物を含む)を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物又はウイルス(病害虫)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤(その薬剤を原料又は材料として使用した資材で当該防除に用いられるものを含む。)及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる植物成長調整剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう。
本発明における「農薬」も、上記のような一般的な意味での農薬を指すものとする。
本発明における農薬は固体状である。
本発明において、上記「固体状」とは、農薬粒剤組成物の製造方法を実施する環境において固体状であれば良く、通常は、室温(20〜25℃程度)において固体状であることを意味する。
また、農薬は粒子状のものが製造工程上の利便性から使用される。粒子状の場合の粒径は特に限定は無いが、その体積平均粒子径が0.1μmから2mm程度のものが好適である。
従来、水に微溶な農薬、特に芳香族基を含み水に微溶である農薬は、徐放性のコントロールが困難であったが、本発明はこのような農薬への適用に特に適しており、従来技術に対する高い優位性がある。
例えば、水に対する25℃における溶解度が、質量基準で、0.0001質量部/水100質量部(1ppm)以上、好ましくは、0.0005質量部/水100質量部(5ppm)以上、さらに好ましくは、0.001質量部/水100質量部(10ppm)以上であり、容量基準で、例えば、0.0001g/水100mL以上、好ましくは、0.0005g/水100mL以上、さらに好ましくは、0.001g/水100mL以上である農薬への適用に適している。
また、芳香族基としては、例えば、ベンゼン環、トリアジン環、ピリミジン環、ピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピロール環、インドール環、イソチアゾリノン環、チアジアゾール環などが挙げられる。
これらは、後述の第2の重合体との間で強い相互作用が働くため、初期徐放性の抑制効果に優れたものとなる。さらに第2のモノマーないし第2の重合体が分子内に芳香環を有するものであれば、初期徐放性の抑制効果に特に優れたものとなる。これは農薬の芳香環と第2の重合体の芳香環におけるπ−π相互作用によるものと推測される。
特に限定するわけではないが、本発明に適用可能な農薬の具体例として、殺虫剤、殺菌剤、除草剤等を挙げることができ、例えば、次に示す化合物例が挙げられる。
殺虫剤としては、ネオニコチノイド系化合物、カーバメート系化合物、ネライストキシン系化合物、有機リン系化合物などが挙げられ、例えば、以下に一般名で示す化合物を例示することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
すなわち、イミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、フェノブカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、チオシクラムシュウ酸塩、フェンチオン、フェニトロチオン、フェントエート、ピリダフェンチオン等が挙げられる。
殺菌剤としては、例えば、チアジニル、トリシクラゾール、アゾキシストロビン、メトミノストロビン、カルプロパミド、ジクロシメット、ピロキロン、プロペナゾール、アシベンゾラルSメチル、フェノキサニル、イプロベンホス、フルトラニル、フラメトピル、チフルザミド、フェリムゾン、オリサストロビンなどが挙げられる。
除草剤としては、例えば、ベンスルフロンメチル、アジムスルフロン、イマゾルスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、シノスルフロン、エトキシスルフロン、ピリミノバックメチル、ピリフタリド、インダノファン、カフェンストロール、エスプロカルブ、ベンチオカーブ、ブロモブチド、ブタクロール、プレチラクロール、テニルクロール、ベンゾフェナップ、メフェナセット、フェントラザミド、シメトリン、ジメタメトリン、ベンフレセートなどが挙げられる。
<第1のモノマー及び第2のモノマー>
第1のモノマー及び第2のモノマーは、いずれもラジカル重合性のモノマーである。例えば、後述の親水性モノマーや疎水性モノマーが好適に用いられる。
第1のモノマーを重合することにより、コア部を構成する第1の重合体を生成させることができ、第2のモノマーを重合することにより、シェル部を構成する第2の重合体を生成させることができる。
第1のモノマー、第2のモノマーとしては、いずれも、1種のモノマーを用いる場合だけでなく、複数種のモノマーを組み合わせたり、架橋成分を組み合わせたりしても良い。すなわち、第1のモノマー、第2のモノマーは、いずれも、複数種のモノマー等からなる混合物であってもよい。むしろ、複数種のモノマー等を組合せることにより、親水性、疎水性の微調整が可能となり、好ましい。
また、第1のモノマーよりも第2のモノマーの方が疎水性が高いという本発明の条件を満たすものであれば良く、第1のモノマーが親水性モノマーと疎水性モノマーを含む混合物であっても良い。第2のモノマーについても同様に親水性モノマーと疎水性モノマーを含む混合物であっても良い。
コア部を構成する第1の重合体及びシェル部を構成する第2の重合体の設計においては、下記に例示する親水性モノマーと疎水性モノマーを種々選択し、また共重合時の組成比を最適化することで実施することが好ましい。
親水性モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を含有するもの、エチレンオキシド単位の繰り返しが2〜30のアルコキシオリゴあるいはポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエチレンオキシド基を含有したもの、(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸とその塩;イタコン酸とその塩;マレイン酸とその塩等のカルボキシル基を含有するもの、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレートや、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基やその塩を含有するもの等が挙げられる。
疎水性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルや芳香族系(メタ)アクリレート;ビニルナフタレン;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を含有するもの;(メタ)アクリロニトリル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類;酢酸ビニル;、無水マレイン酸、マレイミド系モノマー等が挙げられる。
また、必要に応じて架橋性の多官能モノマーを添加しても構わない。例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ、テトラ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマーやグリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を含有するもの、ジビニルベンゼンなどが使用できる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」の語は、「アクリル」と「メタクリル」の両概念を含む呼称である。「(メタ)アクリロニトリル」等の語もこれに準ずる。
前記したように、これらラジカル重合性モノマーは1種単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の農薬粒剤組成物の製造方法において、コア部をもたらす第1のモノマーに用いる親水性モノマーとしては、ヒドロキシル基、エチレンオキシド基、カルボキシル基及びその塩、アミノ基及びその塩などの官能基を備える親水性モノマーを用いることが好ましい。また、上述のとおり、これらの親水性モノマーとともに疎水性モノマーを併用して共重合させてもよく、その場合、疎水性モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、芳香族系(メタ)アクリレート、スチレン、スチレン誘導体などの芳香族基をもったモノマーが好ましく使用できる。
第1のモノマーにおいて、前記親水性モノマーと前記疎水性モノマーを併用する場合の割合としては、例えば、親水性モノマーを20質量%以上とすることが好ましく、特に、質量比で、親水性モノマー:疎水性モノマー=20:80〜90:10の範囲とすることが好ましい。この範囲であれば、十分な徐放性を確保しつつ、徐放性の精密なコントロールが可能である。
シェル部をもたらす第2のモノマーにおいても、前記した疎水性モノマーを単独あるいは複数種類混合して使用することができ、また、親水性モノマーを配合しても構わないことは上述したとおりである。
親水性モノマーを配合する場合、疎水性モノマーと親水性モノマーとの割合は、その質量比で、親水性モノマー:疎水性モノマー=1:99〜60:40の範囲とすることが好ましい。
また、第1のモノマー、第2のモノマーにおいては、多官能モノマーを添加して架橋した重合体を生成させることも可能である。この場合には、上で例示した多官能モノマー類から選択することが好ましい。また、その混合量はモノマー全量に対して0.1〜10質量%の範囲が好適である。
なお、第1のモノマー及び第2のモノマー並びに第1の重合体及び第2の重合体の親水性(疎水性)の高低について、上記した親水性モノマーと疎水性モノマーの2成分を共重合する場合には、親水性モノマーの組成比が多いほど親水性が高くなると言える。一方で親水性モノマーが少ないほど疎水性が高いと言える。
この場合、各種徐放性の精密な制御には、例えば、Fedors法により定義される溶解度パラメータを目安として用いることができる。
<その他の原料>
(無機材料)
本発明の農薬粒剤組成物の製造方法においては、徐放性や比重の制御を目的に、種々の無機材料を使用しても構わない。例示すれば、酸化チタン、アルミナ、石英、珪石、方解石、海泡石、ドロマイト、チョーク、カオリナイト、パイロフィライト、セリサイト、ハロサイト、メタハロサイト、木節粘土、蛙目粘土、陶石、ジークライト、アロフェン、シラス、きら、タルク、ベントナイト、活性白土、酸性白土、軽石、アタパルジャイト、ゼオライト、珪藻土等の鉱物;焼成クレー、パーライト、シラスバルーン、バーミキュライト、アタパルガスクレー、焼成珪藻土等の鉱物の焼成品;炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、塩化カリウム等の無機塩類などである。
無機材料はコア部、シェル部のどちらに含まれていても構わないが、コア部及びシェル部の配合量を調整することで徐放性の制御効果が期待される。
また、農薬粒剤組成物に含有される無機材料が当該組成物全体の1〜50質量%の範囲となるように調整することが好ましい。
さらに無機材料は粒子状の形状で使用されることが望ましく、その好ましい平均粒子径は0.1〜100μmの範囲である。なお、本発明に関して、無機材料の平均粒子径は、無機材料の一次粒径における体積平均粒子径を指すこととする。
また、無機材料(粒子)はその表面をモノマー中に分散し易いように処理することも望ましい。例えば、種々のアルキル基や芳香族基を含有したシランカップリング材料を用いた疎水化処理が好適である。特に望ましいものは(メタ)アクリレート基等の重合性官能基をもったシランカップリング剤を用いることで、組成物中への無機材料の取り込み効果が高まるという利点がある。シランカップリング剤は予め無機材料と反応させていても、モノマーへの混合、分散時に添加させて反応させても構わない。
(その他添加物)
本発明の農薬粒剤組成物の製造方法においては、さらに上記したような成分に加えて、下記のものを使用しても構わない。例示すれば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖等の糖類;澱粉、粉末セルロース、デキストリン等の多糖類;尿素、尿素誘導体、安息香酸、安息香酸の塩等の有機物;木粉、トウモロコシ穂軸、クルミ殻及びタバコ茎等の植物類;フライアッシュ、ホワイトカーボン、肥料等が挙げられる。農薬粒剤組成物に含有されるこれらの含有量は当該組成物全体の1〜20質量%の範囲が好ましい。
(分散剤、分散安定剤)
本発明においては、製造時における農薬の分散性を安定化ないし向上させるため、分散剤や分散安定剤を用いても良い。
分散剤としては、特に限定するわけではないが、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が使用できる。
アニオン性界面活性剤としては、具体的には、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート等のアルキルサルフェート;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム塩などのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;α−スルホ脂肪酸エステル;α−オレフィンスルホン酸塩;モノアルキルリン酸エステル塩;アルカンスルホン酸塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、具体的には、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩;ジアルキルジメチルアンモニウム塩;アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩;Nメチルビスヒドロキシエチルアミン脂肪酸エステル塩酸塩などのアミン塩系などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、具体的には、例えば、アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
分散剤は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
分散剤の使用量は、特に限定されるものではなく、適宜選定すれば良い。
分散安定剤としては、特に限定するわけではないが、例えば、ポリビニルアルコール類;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリビニルピロリドン;澱粉等の水溶性ポリマー類や炭酸カルシウム等の無機粒子が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(開始剤)
開始剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。通常は、ラジカル重合性モノマーに可溶な開始剤が選択される。
具体的には、例えば、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のラジカル重合開始剤が挙げられる。
また、重合開始剤に還元剤を組み合わせて用いるレドックス系開始剤も用いることができる。
これら重合開始剤は、1種類のみを用いてもよく、また、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではなく、適宜選定すれば良い。
<原料の好適な組合せ>
農薬がチアジニル、インダノファンである場合に、コア部を形成するラジカル重合性モノマーとして、上述の(メタ)アクリル酸系モノマー、特にヒドロキシ基を含有したものを主成分として用いることが好ましい。
これらの組合せにおいて、農薬の徐放性が特に優れた農薬粒剤組成物が得られる。
また、(メタ)アクリル酸は、カルボシキル基を利用して種々の官能基を容易に導入することができ、親水性ないし疎水性の調整が容易である。モノマーの種類やその配合割合を適宜選定することにより、重合体の親水性ないし疎水性の精密な調整が可能であり、これにより、農薬の徐放性の制御も精密になし得る点でも好ましい。
一方で、シェル部としては芳香族基を含有したラジカル重合性モノマーを使用することが好ましい。
なかでも、芳香族基を有する農薬と、芳香族基を有する第2のモノマーないし第2の重合体との組合せが、初期徐放性の抑制効果に特に優れたものとなり、好ましい。これは、上述したように、農薬の芳香環と第2の重合体の芳香環におけるπ−π相互作用によるものと推測される。
<工程(a)>
工程(a)は、農薬を水相に分散させて分散液を調製する工程である。
例えば、まず、水に、分散剤、分散安定剤等を混合し、水溶液(水相)を得る。
次に、水溶液を撹拌しながら、農薬(粉体)を徐々に添加し、添加後さらに撹拌を行うことで、分散液を調製する。
撹拌速度や撹拌時間、温度条件等については、農薬の種類、サイズ(粒子径)や分散性等を考慮して適宜決定すれば良い。特に、使用する農薬の粒子径が小さいほど均一な分散液が得られる傾向がある。
各種原料の添加順序等も、特に限定されるものでなく、上記と異なり、原料を水に一括添加しても良い。
分散液全量に対する農薬の配合割合としては、特に限定するわけではないが、例えば、1〜50質量%とすることができる。
<工程(b)>
工程(b)は、ラジカル重合性の第1のモノマーを前記分散液に加えて当該分散液中に分散されている前記農薬を前記第1のモノマーの液滴に溶解させることにより、農薬とモノマーとが混合した液滴からなる懸濁液を調製する工程である。
例えば、第1のモノマーを含むラジカル重合性モノマー組成物(少なくとも1種のモノマーと開始剤、無機材料、その他添加剤を含む)を上記分散液に滴下等によって加えて当該分散液中にモノマー液滴を分散させ、かつ、上記分散液中の農薬をモノマー液滴中に溶解させることにより、懸濁液を調製する。
分散液中に分散されていた農薬が、新たに添加されたモノマー液滴に取り込まれて、農薬がモノマー液滴に一部あるいは全てが溶解した液滴となった懸濁液を形成する。
農薬をモノマー液滴に溶解させた懸濁液を作製するための有効な方法は、分散液を加温した状態で、ラジカル重合性モノマーを徐々に滴下し、滴下後、さらに一定時間撹拌を行う方法である。
ラジカル重合性モノマーは、通常、開始剤と予め混合した油相として滴下する。
上記における懸濁液の加温は、ラジカル重合性モノマーの重合開始温度に達しない温度で、農薬の溶解性を考慮して適宜設定すれば良い。例えば、30〜80℃であることが好ましく、40〜70℃であることがより好ましい。
油相滴下後の撹拌時間としては、例えば、5〜120分が好ましく、10〜60分がより好ましい。
懸濁液中の液滴のサイズが重合後にコア部となる粒子のサイズに依存するため、分散剤の量や撹拌条件等の公知の条件で液滴サイズのコントロールを実施する。
懸濁液を作製する工程では前記した通り無機材料、無機材料を分散させるためのシランカップリング剤、その他添加物を添加することも好ましく実施できる。
懸濁液における液滴中の農薬とラジカル重合性モノマーとの配合割合は、特に限定するわけではないが、例えば、質量基準で、農薬:ラジカル重合性モノマー=1:99〜90:10とすることができる。また、これら二成分以外の添加物は、例えば、農薬と重合性モノマーの総量に対して、5〜50質量%の範囲で添加される。
<工程(c)>
工程(c)は、前記懸濁液における前記第1のモノマーを重合し、第1の重合体を生成させて、前記農薬を前記第1のモノマーの重合体で被覆した、あるいは分散したコア部を形成する工程である。
窒素などの不活性ガスで置換を行って十分に反応系中から酸素を除いたうえで加熱等によって上記懸濁液の液滴中のラジカル重合性モノマーを重合し、重合体を生成させることが望ましい。
上記のように、工程(b)では、農薬がモノマー液滴に溶解するが、工程(c)でラジカル重合性モノマーの重合が進行するに従い、農薬を重合体が被覆する、あるいは農薬が重合体中に分散された農薬と重合体等からなる粒子が形成される。これがコア部に相当する。
コア部となる粒子の体積平均粒子径は0.09〜9.5mmの範囲が好ましい。
重合は、工程(b)で得た懸濁液を加温することで進行させることができる。
加温の温度や時間は、ラジカル重合性モノマーの重合開始温度や反応性等に応じて適宜設定すれば良いが、例えば、50〜110℃で、2〜24時間とすることができる。
<工程(d)>
工程(d)は、前記コア部形成後の懸濁液に、前記第1のモノマーよりも疎水性の高いラジカル重合性の第2のモノマーを加えて、前記コア粒子表面に当該第2のモノマーを重合し、前記コア部を被覆する第2の重合体を生成する工程である。
具体的には、例えば、以下のように実施する。
上記工程(c)までで、農薬と添加剤を含んだコア粒子が形成され、該粒子が液体中に分散された状態となっている。撹拌によってこの状態を維持したまま、次にシェル部を形成するためにコア部に使用した重合体よりも疎水性の高い重合体を形成する第2のモノマーを含むラジカル重合性モノマー混合物(少なくとも1種のモノマーと開始剤、無機材料、その他添加剤を含む)を滴下、混合する。滴下時間、温度や重合温度は工程(b)、(c)と同様である。滴下した重合性モノマー混合物はコア部となる粒子表面に吸着され、その後、重合が進行してシェル部を形成する。重合工程は工程(c)と同じ条件で実施される。
また、前記コア部と前記シェル部の質量比(コア部/シェル部)が95/5〜20/80の範囲となるようにコア部の粒子総量に対してシェル部を形成するモノマー混合物の量を調節することが好ましい。
<その他の工程>
本発明にかかる農薬粒剤組成物の製造方法は、上記工程(a)〜(d)以外の工程を含んでも良い。
例えば、工程(a)と(b)において、あらかじめ農薬とモノマー混合物を混合して加熱等によって農薬を溶解した液体を調製し、これを、分散剤等を含む水溶液に混合、撹拌して懸濁液を調製し、重合を実施することも可能である。これらの製法の選択は、使用する農薬によって適宜可能である。
また、工程(d)の後、篩を用いて濾過したり、乾燥したりする工程をさらに含んでも良い。
以上のようにして製造することのできる農薬粒剤組成物における農薬の含有量は、本発明の効果を十分に得る上では、当該組成物全体に対して1〜80質量%であることが好ましい。
また、本発明の効果を十分に得る上では、農薬粒剤組成物の体積平均粒子径は0.1〜10mmであることが好ましい。
農薬粒剤組成物の体積平均粒子径は、レーザー光回析散乱式粒子径分布測定装置によって算出することができる。測定機としては、例えば、LA−960(堀場製作所社製)、マスターサイザー3000(マルバーン社製)等が挙げられる。
〔農薬粒剤組成物〕
本発明にかかる農薬粒剤組成物は、固体状の農薬と、前記農薬を被覆あるいは分散した第1の重合体とを含むコア部と、前記第1の重合体よりも疎水性の高い第2の重合体を含み、前記コア部を被覆するシェル部とを備え、前記第1の重合体及び前記第2の重合体のいずれもが、ラジカル重合性モノマーの重合体である。
上述のとおり、本発明にかかる農薬粒剤組成物は、上記本発明にかかる農薬粒剤組成物の製造方法によって製造されたものに限定されるものではないが、本発明にかかる農薬粒剤組成物の製造方法によれば、高い製造効率で本発明にかかる農薬粒剤組成物を製造でき、好ましい。
第1の重合体が、ヒドロキシル基、エチレンオキシド基、カルボキシル基及びその塩並びにアミノ基及びその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を備える親水性モノマーを20質量%以上含むモノマーの重合体であることが好ましい。
また、第2の重合体が芳香族基を含むモノマーの重合体であることが好ましい。
第1の重合体、第2の重合体については、それぞれ、上述した第1のモノマー、第2のモノマーを重合して製造することができる。
農薬として、分子内に芳香族基を少なくとも1つ有し、水に対する25℃における溶解度が1ppm以上である農薬を含むことが好ましい。
本発明にかかる農薬粒剤組成物は、農薬の含有量が1〜80質量%であることが好ましい。また、前記コア部と前記シェル部の質量比(コア部/シェル部)が95/5〜20/80であることが好ましい。
本発明にかかる農薬粒剤組成物は、無機材料を含むことが好ましい。
これらの点は、本発明にかかる農薬粒剤組成物の製造方法において、好ましい理由を適宜付記した上で詳細に説明したから、重ねての説明は割愛する。
以下、本発明にかかる農薬粒剤組成物及びその製造方法について実施例及び比較例を示す。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<親水コア/芳香族疎水シェルによる二段被覆粒子>
〔実施例1〕
ポリビニルアルコール0.3質量部(分散安定剤)、炭酸カルシウム2.1質量部(分散安定剤)、水147.6質量部を混合し、水相とした。この水相を室温下300rpmで撹拌し、チアジニル原体18質量部(水に対する25℃における溶解度は13ppm)を10分間掛けて徐々に添加後、30分間撹拌することで、分散液を得た。
メタクリル酸メチル(三菱ガス化学株式会社製)10質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社化学株式会社製)40質量部、ラウリルパーオキサイド(日油株式会社製、パーロイルL)0.60質量部(開始剤)を混合し、油相1を得た。
上記分散液を55℃に加温し、油相1を5分間掛けて滴下後、30分間撹拌することで農薬原体を油相に溶解させた懸濁液を得た。62℃で2時間保温後、70℃で1時間保温することでコア粒子懸濁液を作製した。
上記コア粒子懸濁液を60℃に冷却し、スチレン7.0質量部(三菱化学株式会社製)、ラウリルパーオキサイド0.35質量部を混合した油相2を5分掛けて滴下後、10分間撹拌した。68℃で1時間、75℃で1時間、82℃で1時間撹拌する事で親水コア/疎水シェルによる二段被覆粒子を作製した。100μmの篩で濾過、70℃で3時間乾燥させ、体積平均粒子径2.0mm(LA−960(堀場製作所社製)で測定。実施例2以降についても同様)の農薬粒剤組成物を得た。
〔実施例2〕
実施例1の油相1において、メタクリル酸メチル25質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート25質量部、ラウリルパーオキサイド0.60質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、農薬粒剤組成物(体積平均粒子径2.0mm)を得た。
〔実施例3〕
実施例1の油相1において、メタクリル酸メチル30質量部、メタクリル酸(三菱ガス化学株式会社製)20質量部、ラウリルパーオキサイド0.60質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、農薬粒剤組成物(体積平均粒子径2.0mm)を得た。
〔実施例4〕
実施例1の油相1において、メタクリル酸メチル25質量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート25質量部(三洋化成工業株式会社製)、ラウリルパーオキサイド0.60質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、農薬粒剤組成物(体積平均粒子径2.0mm)を得た。
〔実施例5〕
実施例1の油相1において、メタクリル酸イソブチル20質量部(三菱ガス化学株式会社製)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート30質量部、ラウリルパーオキサイド0.60質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、農薬粒剤組成物(体積平均粒子径2.0mm)を得た。
〔実施例6〕
実施例2の油相2において、メタクリル酸ベンジル7.0質量部(日本ユピカ株式会社製)、ラウリルパーオキサイド0.6質量部を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、農薬粒剤組成物(体積平均粒子径2.0mm)を得た。
〔実施例7〕
実施例1の油相1において、メタクリル酸メチル21.7質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート21.7質量部、酸化チタン微粒子(製品名CR−50:石原産業株式会社製)7.5質量部、シランカップリング剤(KBM−503:信越化学工業株式会社製)0.075質量部、ラウリルパーオキサイド0.60質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、農薬粒剤組成物(体積平均粒子径2.0mm)を得た。
〔実施例8〕
実施例2の油相2において、スチレン5.6質量部、酸化チタン微粒子1.4質量部、シランカップリング剤0.014質量部、ラウリルパーオキサイド0.35質量部を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、農薬粒剤組成物(体積平均粒子径2.0mm)を得た。
〔実施例9〕
実施例1の油相1において、メタクリル酸メチル20質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート25質量部、エチレングリコールジメタクリレート5.0質量部(製品名NKエステル1G:新中村化学工業株式会社製)、ラウリルパーオキサイド0.60質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、農薬粒剤組成物(体積平均粒子径2.0mm)を得た。
〔実施例10〕
実施例2の油相2において、スチレン6.3質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.7質量部、ラウリルパーオキサイド0.35質量部を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、農薬粒剤組成物(体積平均粒子径2.0mm)を得た。
〔実施例11〕
実施例1のチアジニル原体の代わりにインダノファン原体(水に対する25℃における溶解度は17ppm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、農薬粒剤組成物(体積平均粒子径2.0mm)を得た。
<初期溶出性を十分抑制した一段被覆粒子>
〔比較例1〕
ポリビニルアルコール1.0質量部、炭酸カルシウム2.1質量部、水146.7質量部を混合し水相とした。この水相を室温下300rpmで撹拌し、チアジニル原体18質量部を10分間掛けて徐々に添加後、30分間撹拌することで、農薬原体懸濁液を得た。
メタクリル酸メチル49.8質量部、メタクリル酸7.2質量部、ラウリルパーオキサイド3.65質量部を混合し、油相1を得た。
上記懸濁液を55℃に加温し、油相1を5分間掛けて滴下後、30分間撹拌することで農薬原体を油相1に溶解させた乳化液を得た。60℃で3時間保温後、82℃で3時間保温することで一段被覆粒子を作製した。100μmの篩で濾過、70℃で3時間乾燥させ、体積平均粒子径2.0mmの農薬粒剤組成物を得た。
<疎水コア/MMAシェルによる二段被覆粒子>
〔比較例2〕
実施例1の油相1において、メタクリル酸メチル5質量部、アクリル酸n−ブチル45質量部、ラウリルパーオキサイド0.6質量部を用い、油相2において、メタクリル酸メチル7.0質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、農薬粒剤組成物(体積平均粒子径2.0mm)を得た。
Figure 0006830666
〔物性測定ないし性能評価の方法及び結果〕
<初期溶出試験>
実施例ないし比較例にかかる農薬粒剤組成物について、各500mgを水10g中に浸漬させ室温下で放置し(農薬濃度12000ppm)、15分、30分、45分、75分毎に上澄み液を採取することで内包農薬の水への初期溶出性を確認した。結果は図1〜5に掲載し、グラフ中には水中の農薬濃度を記載している。また、抑制の比較対象として、粒子化していない農薬原体を水に浸漬させた際の結果を図中に掲載している。
水中の農薬濃度は分光光度計及び高速液体クロマトグラフィーを用いて定量を行った。
<中/長期溶出試験>
実施例ないし比較例にかかる農薬粒剤組成物について、各42mgを水1000g中に浸漬させ60℃下で放置し(農薬濃度10ppm)、4日毎に上澄み液を採取することで内包農薬の水への中/長期溶出性を確認した。結果は図6〜10に掲載し、グラフ中には徐放割合(水に溶解した農薬量/浸漬させた農薬全量)を記載している。
水中の農薬濃度は分光光度計及び高速液体クロマトグラフィーを用いて定量を行った。
〔結果の考察〕
図1〜5で例示されるように、実施例1〜11及び比較例1,2では初期溶出性の抑制が確認された。二段被覆粒子の初期溶出性は、コア粒子に用いたモノマーの親/疎水性により変動する傾向にある(実施例1〜6)。加えて、コア及びシェル中に鉱物を含有させることによっても初期溶出性の制御が可能となる(実施例7,8)。
さらに、図6〜10で例示されるように、実施例1〜11では中/長期の溶出が確認できたのに対し、比較例1,2では溶出が全く確認出来なかった。中/長期の溶出においても、コア部の親水性や鉱物の含有により溶出の制御が可能となる。

Claims (5)

  1. 固体状の農薬と、前記農薬を被覆あるいは分散した第1の重合体とを含むコア部と、
    前記第1の重合体よりも疎水性の高い第2の重合体を含み、前記コア部を被覆するシェル部とを備え、
    前記第1の重合体が、ヒドロキシル基、エチレンオキシド基、カルボキシル基及びその塩並びにアミノ基及びその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を備える親水性モノマーを20質量%以上含むラジカル重合性モノマーの重合体であり、
    前記第2の重合体が芳香族基を含むラジカル重合性モノマーの重合体である
    コアシェル型農薬粒剤組成物。
  2. 前記農薬として、分子内に芳香族基を少なくとも1つ有し、水に対する25℃における溶解度が1ppm以上である農薬を含む、請求項1に記載のコアシェル型農薬粒剤組成物。
  3. 前記農薬の含有量が1〜80質量%であり、前記コア部と前記シェル部の質量比(コア部/シェル部)が95/5〜20/80である、請求項1又は2に記載のコアシェル型農薬粒剤組成物。
  4. 無機材料を含む、請求項1からまでのいずれかに記載のコアシェル型農薬粒剤組成物。
  5. 固体状の農薬を水相に分散させて分散液を調製する工程(a)と、
    1のモノマーを前記分散液に加えて当該分散液中に分散されている前記農薬を前記第1のモノマーの液滴に溶解させることにより、農薬とモノマーとが混合した液滴からなる懸濁液を調製する工程(b)と、
    前記懸濁液における前記第1のモノマーを重合し、第1の重合体を生成させて、前記農薬を前記第1の重合体で被覆した、あるいは分散したコア部を形成する工程(c)と、
    前記コア部形成後の懸濁液に、前記第1のモノマーよりも疎水性の高い第2のモノマーを加えて、前記コア部表面に当該第2のモノマーを重合し、前記コア部を被覆する第2の重合体を生成する工程(d)とを含
    前記第1のモノマーが、ヒドロキシル基、エチレンオキシド基、カルボキシル基及びその塩並びにアミノ基及びその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を備える親水性モノマーを20質量%以上含むラジカル重合性モノマーであり、
    前記第2のモノマーが芳香族基を含むラジカル重合性モノマーである
    コアシェル型農薬粒剤組成物の製造方法。
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