JP6828635B2 - 回転電機のロータ - Google Patents

Description

本発明は、回転電機のロータ、特にロータコアに永久磁石が埋め込まれたロータの構造に関する。

電磁鋼板を複数枚積層させて形成され、永久磁石が埋め込まれるロータコアを含んで構成されるロータが知られている。ロータと、ロータの外周側に配置されるステータとを含んでなる回転電機は、たとえば電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両において駆動用の電動機（モータ）や電力回生用の発電機（ジェネレータ）として用いられている。

特許文献１には、ロータコアの円環の外周部に複数の磁石収容孔が設けられ、磁石収容孔の各々に直方体の永久磁石が収容される回転電機のロータが開示されている。磁石収容孔は、隣接する２個が対をなし、径方向外側へＶ字形に広がるように配置されてロータ極を形成している。

特開２０１６−４６９４９号公報

径方向外側へＶ字形に広がるように配置された一対の永久磁石を、外周部に複数極備えたロータにおいて、ロータの外周側に配置されたステータからの磁束が永久磁石に直撃し、永久磁石の反磁界強度が高くなり、永久磁石が減磁してしまう虞がある。

本発明の目的は、ステータからの磁束が永久磁石に直撃することを抑制して、永久磁石の減磁を抑制することにある。

本発明の回転電機のロータは、それぞれ永久磁石を収容し、径方向外側へＶ字形に広がるように配置された一対の磁石収容孔を、外周部に複数極備えるロータコアを有する回転電機のロータであって、前記各磁石収容孔は、前記永久磁石を収容した状態で、内周端に間隙が設けられ、前記間隙の前記ロータコアの径方向外側の縁には、前記間隙の内側に突出し、前記永久磁石と接しない突起が設けられており、前記間隙の前記ロータコアの径方向外側の縁には、前記永久磁石の角から離れるように湾曲した湾曲部が設けられており、前記間隙の前記一対の磁石収容孔のうちの他方側の縁には、前記ロータコアの径方向に延びる延伸部が設けられており、前記突起は、前記湾曲部と前記延伸部に隣接してそれらの間に設けられている、ことを特徴とする。

本発明は、各磁石収容孔が永久磁石を収容した状態で内周端に間隙を有し、間隙のロータコアの径方向外側の縁には、間隙の内側に突出し永久磁石と接しない突起が設けられている。それにより、ステータからの磁束が突起に逃れ、永久磁石に直撃することが抑制されるため、永久磁石の減磁を抑制することができる。

ロータコアの外観を示す斜視図である。 図１のロータコアの破線で囲まれた部分を拡大した図であり、永久磁石が埋め込まれた状態のロータコアを示す図である。

以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。

図１は、回転電機のロータ１０のロータコア１１を示す図である。図２は、図１のロータコア１１の破線で囲まれた部分を拡大した図であり、永久磁石１４が埋め込まれた状態のロータコア１１を示す図である。

図１に示すように、ロータコア１１は、円環形状にプレス打抜加工された電磁鋼板１６を例えば数百枚程度積層した積層鋼板により形成されている。ロータコア１１は、円環の内側にロータシャフトが配置され、複数の磁石収容孔１２の各々に永久磁石１４が収容されることで、ロータ１０を形成する。

回転電機は、ロータ１０と、ロータ１０の外周側に所定の間隔を隔てて配置され、巻線コイルが巻回されるステータ（不図示）とを含んで構成される。例えば、回転電機は、電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両に搭載され、電動車両が力行するときは電動機として機能し、電動車両が制動時にあるときは発電機として機能するモータ・ジェネレータである。回転電機は、電動機として機能する時、ステータの巻線コイルに駆動電流が供給され、この駆動電流によってステータの巻線コイルに発生した電磁力により、ステータに対してロータ１０が回転する。また、回転電機は、発電機として機能する時、ステータに対してロータ１０が回転することで、ステータの巻線コイルに誘起電流を発生させる。

本実施形態のロータ１０の説明を続ける。ロータコア１１の円環の軸線は、ロータの回転の軸線と一致する。図１に示すように、ロータコア１１の円環の外周部には、円環の軸線に沿う方向に延びる磁石収容孔１２が複数設けられている。磁石収容孔１２は、隣接する２個が対をなし、径方向外側に開いたＶ字形となるように配置されている。すなわち、ロータコア１１は、径方向外側へＶ字形に広がるように配置された一対の磁石収容孔１３を、外周部に複数備えている。磁石収容孔１２は、この実施形態では８対、１６個が配置される。

磁石収容孔１２には、直方体の永久磁石１４が収容される（図２参照）。Ｖ字を形成する対をなす２つの磁石収容孔１２の各々に収容される永久磁石１４は、極性の向きが同じになるように配置される。例えば、対をなす２つ永久磁石１４のそれぞれのＳ極がロータコア１１の径方向外側に向くよう配置される。この対に隣接する対においては、Ｎ極が径方向外側を向くように配置される。Ｖ字に配置される対をなす２個の永久磁石１４が一つの磁極を形成する。すなわち、ロータ１０は、径方向外側へＶ字形に広がるように配置された一対の永久磁石からなる磁極を、外周部に複数極備える。この実施形態では、８極の磁極を備える。なお、対をなす２個の永久磁石１４の間が磁極の中心となる。

図１，２に示すように、Ｖ字形に隣り合う一対の磁石収容孔１３の間には中央ブリッジ３０が形成される。また、ロータコア１１の外周縁部において、磁石収容孔１２の径方向外側端とロータコア１１との外周面との間に外縁ブリッジ３２が形成される。

次に、磁石収容孔１２の形状、および、永久磁石１４の収容位置について詳細に説明する。一対の磁石収容孔１３の各々の形状は、左右対称の構造となっている。また、一対の磁石収容孔１３の各々に収容された永久磁石１４の位置も左右対称である。ここでは、一対の磁石収容孔および永久磁石のうち一方側の磁石収容孔１２および永久磁石１４について説明し、他方側のそれらについての説明は省略する。

図２に示すように、永久磁石１４は、中央ブリッジ３０側および外縁ブリッジ３２側に間隙１８，１９が設けられるように磁石収容孔１２に収容される。換言すれば、磁石収容孔１２は、永久磁石１４を収容した状態で、永久磁石１４の短辺と各電磁鋼板１６との間の領域に間隙１８，１９が設けられる。以下、中央ブリッジ３０側の間隙（内周端の間隙）を内周端間隙１８と、外縁ブリッジ３２側の間隙（外周端の間隙）を外周端間隙１９と言う。図２に示すように、永久磁石１４は、２箇所の位置決め用突起３４ａ，３４ｂ（磁石収容孔１２の間隙１８，１９の縁に形成された２つの突起）によって位置決めがされる。なお、内周端間隙１８および外周端間隙１９には、永久磁石１４を磁石収容孔１２に固定するための樹脂が注入されてもよい。

図２に示すように、本実施形態のロータコア１１は、内周端間隙１８のロータコア１１の径方向外側の縁に、内周端間隙１８の内側に突出した突起２０（減磁抑制用突起）が設けられる。突起２０は永久磁石１４に接しておらず、突起２０と永久磁石１４との間には隙間２２が存在する。

次に、本実施形態の回転電機のロータ１０の作用効果について説明する。

本実施形態のロータ１０は、磁石収容孔１２に永久磁石１４を収容した状態で、内周端に間隙（内周端間隙１８）が設けられる。そして、内周端間隙１８のロータコア１１の径方向外側の縁には、内周端間隙１８の内側に突出し、永久磁石１４と接しない突起２０（減磁抑制用突起）が設けられる。これにより、ステータからの磁束が突起２０に流れ、永久磁石１４（特に中央ブリッジ３０側の部分）に直撃することを抑制することができる。すなわち、ステータ磁束が突起２０に流れることで、永久磁石１４の反磁界強度を低減でき、永久磁石１４が減磁してしまうことを抑制することができる。本実施形態によれば、ロータコア１１に突起２０を設けるという簡便な構成により、永久磁石１４の減磁耐性を向上することができる。

１０ 回転電機のロータ、１１ ロータコア、１２ 磁石収容孔、１３ 一対の磁石収容孔、１４ 永久磁石、１６ 電磁鋼板、１８ 間隙（内周端間隙）、１９ 間隙（外周端間隙）、２０ 突起（減磁抑制用突起）、２２ 隙間、３０ 中央ブリッジ、３２ 外縁ブリッジ、３４ａ，３４ｂ 突起（位置決め用突起）。

Claims (1)

1. それぞれ永久磁石を収容し、径方向外側へＶ字形に広がるように配置された一対の磁石収容孔を、外周部に複数極備えるロータコアを有する回転電機のロータであって、
   前記各磁石収容孔は、前記永久磁石を収容した状態で、内周端に間隙が設けられ、
   前記間隙の前記ロータコアの径方向外側の縁には、前記間隙の内側に突出し、前記永久磁石と接しない突起が設けられており、
   前記間隙の前記ロータコアの径方向外側の縁には、前記永久磁石の角から離れるように湾曲した湾曲部が設けられており、
   前記間隙の前記一対の磁石収容孔のうちの他方側の縁には、前記ロータコアの径方向に延びる延伸部が設けられており、
   前記突起は、前記湾曲部と前記延伸部に隣接してそれらの間に設けられている、
   回転電機のロータ。

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