JP6825554B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、トナーに関する。
コアと、コアの表面を覆うシェル層とを備えるトナー粒子を、複数個含むトナーが知られている(例えば、特許文献1参照)。トナー粒子のコアをシェル層で覆うことで、トナーの耐熱保存性を向上させることができる。
特開2004−294469号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術だけでは、保管時のトナーの凝集を抑制しつつ、耐ホットオフセット性に優れるトナーを得ることは難しい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、保管時のトナーの凝集を抑制しつつ、耐ホットオフセット性に優れるトナーを提供することである。
本発明に係るトナーは、コアと、前記コアの表面を部分的に覆うシェル層とを備えるトナー粒子を複数個含む。前記コアは、結着樹脂及び複数個の離型剤ドメインを含有する。前記結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含む。前記離型剤ドメインを構成する離型剤の酸価は、4mgKOH/g以下である。前記離型剤ドメインの分散径は、300nm以上700nm以下である。前記シェル層は、下記式(1)で表される化合物を少なくとも含む単量体の重合物を含有する。
Figure 0006825554
前記式(1)中、R1は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。
本発明によれば、保管時のトナーの凝集を抑制しつつ、耐ホットオフセット性に優れるトナーを提供することができる。
本発明に係るトナーに含まれるトナー粒子の断面構造の一例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、粉体(より具体的には、トナー粒子等)に関する評価結果(形状、物性等を示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から平均的な粒子を相当数選び取って、それら平均的な粒子の各々について測定した値の個数平均である。粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー4」を用いてコールター原理(細孔電気抵抗法)に基づき測定されたメディアン径である。粉体の個数平均一次粒子径は、何ら規定していなければ、走査型電子顕微鏡を用いて測定した一次粒子の円相当径(一次粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。粉体の個数平均一次粒子径は、例えば100個の一次粒子の円相当径の個数平均値である。また、帯電性は、何ら規定していなければ、摩擦帯電における帯電性を意味する。摩擦帯電における正帯電性の強さ(又は負帯電性の強さ)は、周知の帯電列などで確認できる。例えばトナーは、日本画像学会から提供される標準キャリア(アニオン性:N−01、カチオン性:P−01)と混ぜて攪拌することで、測定対象を摩擦帯電させる。摩擦帯電させる前と後とでそれぞれ、例えばKFM(ケルビンプローブフォース顕微鏡)で測定対象の表面電位を測定し、摩擦帯電の前後での電位の変化が大きい測定対象ほど帯電性が強いことを示す。
軟化点(Tm)は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて測定した値である。高化式フローテスターで測定されたS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)において、「(ベースラインストローク値+最大ストローク値)/2」となる温度が、Tm(軟化点)に相当する。融点(Mp)の測定値は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて測定される吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)中の最大吸熱ピークの温度である。この吸熱ピークは、結晶化部位の融解に起因して現れる。酸価の測定値は、何ら規定していなければ、「JIS(日本工業規格)K0070−1992」に従って測定した値である。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを包括的に「(メタ)アクリロニトリル」と総称する場合がある。材料の「主成分」は、何ら規定していなければ、質量基準で、その材料に最も多く含まれる成分を意味する。
<トナー>
本実施形態に係るトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態のトナーは、複数個のトナー粒子(それぞれ後述する構成を有する粒子)を含有する粉体である。トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、混合装置(例えば、ボールミル)を用いてトナーとキャリアとを混合して2成分現像剤として使用してもよい。
本実施形態に係るトナーは、コアと、コアの表面を部分的に覆うシェル層とを備えるトナー粒子を複数個含む。コアは、結着樹脂及び複数個の離型剤ドメインを含有する。トナー粒子は、外添剤を更に備えてもよい。トナー粒子が外添剤を更に備える場合には、トナー粒子は、コア及びシェル層を有するトナー母粒子と、外添剤とを備える。外添剤は、トナー母粒子の表面に付着する。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。外添剤を割愛する場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。
コアは、必要に応じて、結着樹脂及び離型剤ドメイン以外に、内添剤(より具体的には、着色剤、電荷制御剤、磁性粉等)を含有してもよい。また、コア中の結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含む。離型剤ドメインを構成する離型剤の酸価は、4mgKOH/g以下である。離型剤ドメインの分散径は、300nm以上700nm以下である。離型剤ドメインの分散径の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。
シェル層は、下記式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と記載することがある。)を少なくとも含む単量体の重合物を含有する。
Figure 0006825554
式(1)中、R1は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。アルキル基には、直鎖状アルキル基と、分岐鎖状アルキル基と、環状アルキル基とが含まれる。好ましくは、R1は、水素原子、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基を表す。
本実施形態に係るトナーは、上述の構成を備えることにより、保管時のトナーの凝集を抑制しつつ、耐ホットオフセット性を高めることができる。その理由は、以下のように推測される。
本実施形態に係るトナーでは、コア中の結着樹脂がポリエステル樹脂を含有するため、シェル層を形成する前のコアの表面領域のうち、結着樹脂が露出する領域にはカルボキシル基が比較的多く存在する。一方、離型剤ドメインを構成する離型剤の酸価が4mgKOH/g以下であるため、シェル層を形成する前のコアの表面領域のうち、離型剤ドメインが露出する領域のカルボキシル基の数は比較的少なくなる。そのため、化合物(1)を少なくとも含む単量体の重合物でシェル層を構成すると、離型剤ドメインが露出する領域よりも、結着樹脂が露出する領域において、化合物(1)のオキサゾリン基とコアの表面とが反応し易くなる。よって、シェル層は、離型剤ドメインが露出する領域よりも結着樹脂が露出する領域を優先的に被覆する。加えて、離型剤ドメインの分散径が300nm以上であるため、例えばコアの表面領域のうち、離型剤ドメインが存在する領域の少なくとも一部がシェル層で覆われなくなる。これにより、トナーの定着時において、シェル層で覆われていない領域から離型剤が染み出すため、トナーの離型性が向上するものと考えられる。従って、本実施形態に係るトナーによれば、耐ホットオフセット性を高めることができる。
また、本実施形態に係るトナーでは、離型剤ドメインの分散径が700nm以下であるため、保管時におけるコアからの離型剤の染み出しが抑制される傾向がある。従って、本実施形態に係るトナーによれば、保管時において、例えば離型剤の染み出しに起因するトナー粒子の凝集を抑制できる。
離型剤ドメインの分散径は、後述するトナーの製造方法において、例えばトナー材料の溶融混練工程の溶融混練条件を変更することで調整できる。例えば、スクリュー押出機を用いてトナー材料を溶融混練する場合は、スクリュー押出機のスクリュー回転速度を変更することで、離型剤ドメインの分散径を調整できる。
[トナー粒子の構成]
以下、図1を参照して、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の断面構造の一例を示す図である。なお、説明の容易化のため、図1に示すトナー粒子1が外添剤を備えないトナー粒子である場合について説明する。
図1に示すように、トナー粒子1は、コア2と、コア2の表面を部分的に覆うシェル層3とを備える。コア2は、結着樹脂21及び複数個の離型剤ドメイン22を含有する。
結着樹脂21は、ポリエステル樹脂を含む。離型剤ドメイン22を構成する離型剤の酸価は、4mgKOH/g以下である。離型剤ドメイン22の分散径は、300nm以上700nm以下(以下、特定範囲と記載することがある。)である。シェル層3は、化合物(1)を少なくとも含む単量体の重合物を含有する。
トナー粒子1は、コア2の表面領域のうち、離型剤ドメイン22が存在する領域2Aの少なくとも一部がシェル層3で覆われていない。つまり、領域2Aの少なくとも一部は、離型剤ドメイン22がシェル層3で覆われず露出している。これにより、トナーの定着時において、離型剤ドメイン22に含まれる離型剤が露出した領域2Aから染み出すため、トナーの離型性が高まり、その結果、耐ホットオフセット性を向上させることができる。また、通常、シェル層を設けるとコアからの離型剤の染み出しが抑制されるが、トナー粒子1では、離型剤が露出した領域2Aから染み出すため、シェル層3を備えていても、耐ホットオフセット性を向上させることができる。
コア2の表面領域のうち、離型剤ドメイン22がシェル層3で覆われず露出した領域2Aが占める面積割合(以下、離型剤ドメインの露出面積割合と記載することがある。)は、耐ホットオフセット性をより向上させるためには10%以上であることが好ましい。また、保管時のトナーの凝集をより抑制するためには、離型剤ドメインの露出面積割合は、20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましい。離型剤ドメインの露出面積割合の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。なお、離型剤ドメインの露出面積割合は、離型剤ドメイン22の分散径を変更することで調整できる。
画像形成に適したトナーを得るためには、シェル層3の厚さが1nm以上400nm以下であることが好ましい。シェル層3の厚さは、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてトナー粒子1の断面のTEM(透過型電子顕微鏡)撮影像を解析することによって計測できる。なお、1つのトナー粒子1においてシェル層3の厚さが均一でない場合には、均等に離間した4箇所(詳しくは、トナー粒子1の断面の略中心で直交する2本の直線を引き、それら2本の直線がシェル層3と交差する4箇所)の各々でシェル層3の厚さを測定し、得られた4つの測定値の算術平均を、そのトナー粒子1の評価値(シェル層3の厚さ)とする。コア2とシェル層3との境界は、例えば、コア2及びシェル層3のうち、シェル層3のみを選択的に染色することで確認できる。TEM撮影像においてコア2とシェル層3との境界が不明瞭である場合には、TEMと電子エネルギー損失分光法(EELS)とを組み合わせて、TEM撮影像中で、シェル層3に含まれる特徴的な元素のマッピングを行うことで、コア2とシェル層3との境界を明確にすることができる。
画像形成に適したトナーを得るためには、トナー粒子1の体積中位径(D50)は、4μm以上9μm以下であることが好ましい。
なお、本実施形態に係るトナーは、トナー粒子1以外のトナー粒子を含有してもよい。本実施形態に係るトナーにおいて、保管時のトナーの凝集をより抑制しつつ、耐ホットオフセット性をより高めるためには、全トナー粒子中のトナー粒子1の合計の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
以上、図1を参照しながら、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の一例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明に係るトナーに含まれるトナー粒子は、外添剤(図示せず)を備えても良い。例えば図1に示すトナー粒子1をトナー母粒子とし、このトナー母粒子の表面に外添剤(複数個の外添剤粒子)が付着したトナー粒子を、本発明に係るトナーに含まれるトナー粒子としてもよい。
[トナー粒子の要素]
次に、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の要素について説明する。
(結着樹脂)
コアは、成分の大部分(例えば、80質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、酸価、Tm等)を調整することができる。
化合物(1)のオキサゾリン基との反応性を高めるためには、コアに含まれる結着樹脂の酸価が10mgKOH/g以上であることが好ましい。また、離型剤ドメインの分散径を上記特定範囲に容易に調整するためには、結着樹脂の酸価が40mgKOH/g以下であることが好ましい。
結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含有する。離型剤ドメインの分散性を高めてトナーの耐ホットオフセット性をより向上させるためには、ポリエステル樹脂としては非結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
また、コアは、ポリエステル樹脂として、非結晶性ポリエステル樹脂に加えて結晶性ポリエステル樹脂を更に含むことが好ましい。コアが、結着樹脂として非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むと、離型剤ドメインの分散性を高めつつ、トナーの低温定着性を向上させることができる。これにより、トナーの耐ホットオフセット性をより向上させつつ、トナーの低温定着性を向上させることができる。この場合、非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の混合比は、特に限定されず、例えば非結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して結晶性ポリエステル樹脂を1質量部以上30質量部以下の範囲で混合すればよい。
コアが適度なシャープメルト性を有するためには、コアが、結着樹脂として結晶性指数0.90以上1.20以下の結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。ポリエステル樹脂の結晶性指数は、ポリエステル樹脂を合成するための材料の種類又は使用量(配合比)を変更することで調整できる。なお、樹脂の結晶性指数は、樹脂の融点(Mp:単位℃)に対する樹脂の軟化点(Tm:単位℃)の比率(Tm/Mp)に相当する。非結晶性樹脂については、明確なMpを測定できないことが多い。よって、示差走査熱量計を用いて測定される吸熱曲線において明確に吸熱ピークを判断できない樹脂は、非結晶性樹脂と判断して差し支えない。
ポリエステル樹脂は、一種以上の多価アルコールと一種以上の多価カルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、ジオール類、ビスフェノール類等)、及び3価以上のアルコールが挙げられる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸、及び3価以上のカルボン酸が挙げられる。なお、多価カルボン酸の代わりに、多価カルボン酸の無水物を使用してもよい。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ペンテン−1,5−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、1,4−ベンゼンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、1,10−デカンジカルボン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸等)、及びアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸が挙げられる。
非結晶性ポリエステル樹脂を合成するための好適な多価アルコールとしては、植物由来の1,2−プロパンジオール、及びビスフェノール(より具体的には、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。
植物由来の1,2−プロパンジオールは、例えば、化学合成、発酵法、又はこれらの方法を組み合わせた方法を用いて製造できる。植物由来の1,2−プロパンジオールを製造する方法の一例では、グルコースのような糖類を含む植物性バイオマスを加水分解してグリセリンを得る。続けて、グリセリンと水素とを反応させることにより、植物由来の1,2−プロパンジオールを得る。植物性バイオマスとしては、例えば、大豆油、ヤシ油、パーム油、ひまし油、及びカカオ油からなる群より選択される一種以上の植物性油脂を使用できる。植物性バイオマスを加水分解する方法としては、酸又は塩基を用いる化学的方法を採用してもよいし、酵素又は微生物を用いる生物的方法を採用してもよいし、他の方法を採用してもよい。
非結晶性ポリエステル樹脂を合成するための好適な多価カルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸(より具体的には、テレフタル酸等)、及び不飽和ジカルボン酸(より具体的には、フマル酸等)が挙げられる。
化合物(1)のオキサゾリン基との反応性を高めつつ、離型剤ドメインの分散径を上記特定範囲に容易に調整するためには、非結晶性ポリエステル樹脂としては、植物由来の1,2−プロパンジオール及びテレフタル酸を含む単量体の重合物が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を合成するための好適な多価アルコールとしては、炭素原子数4以上8以下のα,ω−アルカンジオール(より具体的には、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等)が挙げられる。結晶性ポリエステル樹脂を合成するための好適な多価カルボン酸としては、炭素原子数(2つのカルボキシル基の炭素原子を含む)4以上12以下のα,ω−アルカンジカルボン酸(より具体的には、コハク酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸等)が挙げられる。
化合物(1)のオキサゾリン基との反応性を高めつつ、離型剤ドメインの分散径を上記特定範囲に容易に調整するためには、結晶性ポリエステル樹脂としては、1,6−ヘキサンジオール及び1,10−デカンジカルボン酸を含む単量体の重合物が好ましい。
コアは、結着樹脂としてポリエステル樹脂以外の樹脂を含有しても良い。ポリエステル樹脂以外の樹脂としては、ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えばスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N−ビニル樹脂等)、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等)も、コアの結着樹脂として使用できる。化合物(1)のオキサゾリン基と結着樹脂との反応性を高めるためには、ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂全量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
(着色剤)
コアは、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
コアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
コアは、カラー着色剤を含有していてもよい。カラー着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、及び194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、並びにC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、及び254)が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、及び66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、並びにC.I.アシッドブルーが挙げられる。
(離型剤ドメイン)
コアは、複数個の離型剤ドメインを含有する。離型剤ドメインを構成する離型剤は、酸価4mgKOH/g以下の離型剤である限り特に限定されない。保管時のトナーの凝集をより抑制しつつ、耐ホットオフセット性をより高めるためには、離型剤ドメインの量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
離型剤ドメインを構成する離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、ライスワックス等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックス;脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックス(例えば、脱酸カルナバワックス)を好適に使用できる。本実施形態では、一種の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
離型剤ドメインを構成する離型剤としては、酸価を4mgKOH/g以下に容易に調整するためには、パラフィンワックスが好ましい。結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をコアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
コアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。
コアに負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、コアのアニオン性を強めることができる。また、コアに正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、コアのカチオン性を強めることができる。
正帯電性の電荷制御剤の例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディープブラックEW、アジンディープブラック3RL等の直接染料;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等の酸性染料;ナフテン酸の金属塩類;高級有機カルボン酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルデシルヘキシルメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩等の4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの電荷制御剤の一種のみを使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。帯電安定性に優れる正帯電性トナーを提供するためには、電荷制御剤として4級アンモニウム塩を用いることが好ましい。
負帯電性の電荷制御剤の例としては、キレート化合物である有機金属錯体が挙げられる。有機金属錯体としては、例えばアセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体、及びこれらの塩が好ましい。
電荷制御剤の含有量は、帯電安定性を向上させるためには、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
(磁性粉)
コアは、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等)及びその合金、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、二酸化クロム等)、並びに強磁性化処理(より具体的には、熱処理等)が施された材料が挙げられる。本実施形態では、一種の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
(シェル層)
シェル層は、化合物(1)を少なくとも含む単量体の重合物を含有する。シェル層を構成する重合物として、化合物(1)と、他のビニル化合物とを共重合させた重合物を用いても良い。なお、ビニル化合物は、ビニル基(CH2=CH−)、又はビニル基中の水素が置換された基を有する化合物(より具体的には、エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン等)である。ビニル化合物は、上記ビニル基等に含まれる炭素−炭素二重結合(C=C)により付加重合して、高分子(樹脂)になり得る。
他のビニル化合物としては、アルキル基に置換基を有してもよい(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及びスチレン系単量体からなる群より選択される一種以上のビニル化合物が好ましい。
アルキル基に置換基を有してもよいアクリル酸アルキルエステルとしては、例えば下記式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)と記載することがある。)が挙げられる。
Figure 0006825554
式(2)中、R2は、置換基を有してもよいアルキル基を表す。アルキル基には、直鎖状アルキル基と、分岐鎖状アルキル基と、環状アルキル基とが含まれる。アルキル基としては、炭素原子数1以上8以下のアルキル基が好ましい。R2が置換基を有するアルキル基を表す場合、アルキル基の置換基としては、ヒドロキシル基が好ましい。R2としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、及びヒドロキシブチル基が好ましい。
アルキル基に置換基を有してもよいメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば下記式(3)で表される化合物(以下、化合物(3)と記載することがある。)が挙げられる。
Figure 0006825554
式(3)中、R3は、置換基を有してもよいアルキル基を表す。アルキル基には、直鎖状アルキル基と、分岐鎖状アルキル基と、環状アルキル基とが含まれる。アルキル基としては、炭素原子数1以上8以下のアルキル基が好ましい。R3が置換基を有するアルキル基を表す場合、アルキル基の置換基としては、ヒドロキシル基が好ましい。R3としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、及びヒドロキシブチル基が好ましい。
保管時のトナーの凝集をより抑制するためには、シェル層は、化合物(1)と、化合物(2)及び化合物(3)の少なくとも一方とを共重合させた重合物を含むことが好ましい。
化合物(1)は、付加重合により下記式(1−1)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1−1)と記載する。)を形成する。下記式(1−1)中のR1は、式(1)中のR1と同義である。
Figure 0006825554
繰返し単位(1−1)は、未開環のオキサゾリン基を有する。未開環のオキサゾリン基は、環状構造を有し、強い正帯電性を示す。未開環のオキサゾリン基は、カルボキシル基、芳香族性スルファニル基、及び芳香族性ヒドロキシル基と反応し易い。例えば、シェル層中の繰返し単位(1−1)がコア中のポリエステル樹脂のカルボキシル基と反応すると、下記式(1−2)に示すようにオキサゾリン基が開環し、コアとシェル層との間にアミドエステル結合が形成される。こうした結合が形成されることで、コアとシェル層との結合が強固になり、コアからのシェル層の脱離が抑制されることになる。なお、下記式(1−2)中のR1は、式(1)中のR1と同義である。下記式(1−2)中の*は、コアに含まれるポリエステル樹脂中の原子に接続される部位を表す。
Figure 0006825554
シェル層は、繰返し単位(1−1)と、式(1−2)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1−2)と記載する。)とを有するビニル樹脂を含むことが好ましい。以下、繰返し単位(1−1)と繰返し単位(1−2)とを有するビニル樹脂を、ビニル樹脂Aと記載することがある。ビニル樹脂A中の繰返し単位(1−1)と繰返し単位(1−2)とのモル比は、例えばシェル層形成工程において、後述する開環剤の使用量を変更することにより調整できる。
オキサゾリン基(未開環)は強い正帯電性を有するため、シェル層がビニル樹脂Aを含む場合、帯電特性に優れる正帯電性トナーを提供できる。ビニル樹脂Aを含むシェル層を形成するための材料としては、例えばオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WSシリーズ」)を使用できる。このうち、「エポクロスWS−300」は、2−ビニル−2−オキサゾリン(化合物(1)の一種)とメタクリル酸メチルとの共重合体を含む。また、「エポクロスWS−700」は、2−ビニル−2−オキサゾリンとメタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルとの共重合体を含む。
(外添剤)
トナー粒子は、外添剤(複数個の外添剤粒子)を更に備えてもよい。外添剤の外添方法としては、例えば、図1に示すトナー粒子1をトナー母粒子として用い、このトナー母粒子(粉体)と外添剤粒子(粉体)とを一緒に攪拌することで、トナー母粒子の表面に外添剤粒子を付着させる方法が挙げられる。
シェル層からの外添剤粒子の脱離を抑制しながら外添剤の機能を十分に発揮させるためには、外添剤の量(複数種の外添剤粒子を使用する場合には、それら外添剤粒子の合計量)が、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
外添剤粒子としては、無機粒子が好ましく、シリカ粒子、及び金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等)の粒子が特に好ましい。本実施形態では、一種類の外添剤粒子を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤粒子を併用してもよい。
トナーの流動性を向上させるためには、外添剤粒子として、個数平均一次粒子径5nm以上500nm以下の無機粒子(粉体)を使用することが好ましい。
外添剤粒子は、表面処理されていてもよい。例えば、外添剤粒子としてシリカ粒子を使用する場合、表面処理剤によりシリカ粒子の表面に疎水性及び/又は正帯電性が付与されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、カップリング剤(より具体的には、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等)、シラザン化合物(より具体的には、鎖状シラザン化合物、環状シラザン化合物等)、及びシリコーンオイル(より具体的には、ジメチルシリコーンオイル等)が挙げられる。表面処理剤としては、シランカップリング剤及びシラザン化合物が特に好ましい。シランカップリング剤の好適な例としては、シラン化合物(より具体的には、メチルトリメトキシシラン、アミノシラン等)が挙げられる。シラザン化合物の好適な例としては、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)が挙げられる。シリカ基体(未処理のシリカ粒子)の表面が表面処理剤で処理されると、シリカ基体の表面に存在する多数のヒドロキシル基(−OH)が部分的に又は全体的に、表面処理剤に由来する官能基に置換される。その結果、表面処理剤に由来する官能基(詳しくは、ヒドロキシル基よりも疎水性及び/又は正帯電性の強い官能基)を表面に有するシリカ粒子が得られる。
[トナーの製造方法]
以下、本実施形態に係るトナーの好適な製造方法について説明する。
(コアの製造方法)
コアの製造方法としては、例えば、凝集法及び粉砕法が挙げられる。
凝集法は、例えば、凝集工程及び合一化工程を含む。凝集工程では、コアを構成する成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて、凝集粒子を形成する。合一化工程では、凝集粒子に含まれる成分を水性媒体中で合一化させてコアを形成する。なお、凝集法は、多量の化学排水が生じるため、環境負荷が大きくなる傾向がある。
次に粉砕法を説明する。粉砕法によれば、比較的容易にコアを製造できる上、製造コストの低減が可能である。また、粉砕法は、多量の化学排水を生じさせる工程がないため、環境負荷を低減できる。粉砕法でコアを製造する場合、コアの製造工程は、例えば溶融混練工程と、粉砕工程とを備える。コアの製造工程は、溶融混練工程の前に混合工程を更に備えてもよい。また、コアの製造工程は、粉砕工程後に、微粉砕工程及び分級工程の少なくとも一方を更に備えてもよい。
混合工程では、例えば、結着樹脂と、酸価4mgKOH/g以下の離型剤と、必要に応じて添加する内添剤とを混合して、混合物を得る。溶融混練工程では、トナー材料を溶融し混練して、溶融混練物を得る。トナー材料としては、例えば混合工程で得られる混合物が用いられる。溶融混練工程で使用できる溶融混練装置の例としては、スクリュー押出機(より具体的には、2軸押出機等)が挙げられる。スクリュー押出機により溶融混練物を得る際は、スクリュー押出機のスクリュー回転速度を変更することにより、得られるコアに含まれる離型剤ドメインの分散径を上記特定範囲に調整できる。粉砕工程では、得られた溶融混練物を、例えば室温(25℃)まで冷却した後、粉砕して粉砕物(コア)を得る。粉砕工程で得られた粉砕物の小径化が必要な場合は、粉砕物を更に粉砕する工程(微粉砕工程)を実施してもよい。また、粉砕物の粒径を揃える場合は、得られた粉砕物を分級する工程(分級工程)を実施してもよい。以上の工程により、粉砕物であるコアが得られる。
(シェル層の形成方法)
続けて、水性媒体(例えば、イオン交換水)に、コアと、シェル材料(例えば、オキサゾリン基含有高分子水溶液)とを添加する。
シェル材料(例えば、水性媒体中で溶解したオキサゾリン基含有高分子)は、液中でコアの表面に付着する。コアの表面に均一にシェル材料を付着させるためには、シェル材料を含む液中にコアを高度に分散させることが好ましい。液中にコアを高度に分散させるために、液中に界面活性剤を含ませてもよいし、攪拌装置を用いて液を攪拌してもよい。
続けて、上記シェル材料等を含む液を攪拌しながら液の温度を所定の速度(例えば、0.1℃/分以上3℃/分以下)で所定の保持温度(例えば、50℃以上85℃以下)まで上昇させる。この昇温中に、シェル材料のオキサゾリン基を開環させる開環剤(例えば、酢酸水溶液)及び/又はシェル材料(例えば、オキサゾリン基含有高分子水溶液)を添加してもよい。また、昇温完了後(上記保持温度に到達した後)に、開環剤(例えば、酢酸水溶液)及び/又はシェル材料(例えば、オキサゾリン基含有高分子水溶液)を添加してもよい。
昇温完了後、液を攪拌しながら液の温度を上記保持温度に所定の時間(例えば、30分間以上4時間以下)保つ。液の温度を高温に保っている間(又は、昇温中)に、コアとシェル材料との間で反応(シェル層の固定化)が進行すると考えられる。例えば、シェル材料のオキサゾリン基が、コアを構成する結着樹脂の表面に存在する官能基と反応することで開環すると共に、コアとシェル層との間にアミドエステル結合が形成される。上述したように、本実施形態では、酸価が特定範囲の離型剤を用いると共に、離型剤ドメインの分散径が特定範囲に調整されている。そのため、例えばコアの表面領域のうち、離型剤ドメインが存在する領域の少なくとも一部が、シェル層で覆われずに露出する。その結果、コアと、コアの表面を部分的に覆うシェル層とを備えるトナー母粒子の分散液が得られる。
上記シェル層の形成後、例えばアンモニア水を用いてトナー母粒子の分散液を中和する。続けて、トナー母粒子の分散液を、例えば常温(25℃)まで冷却する。続けて、例えばブフナー漏斗を用いて、トナー母粒子の分散液をろ過する。これにより、トナー母粒子が液から分離(固液分離)され、ウェットケーキ状のトナー母粒子が得られる。
続けて、トナー母粒子を洗浄する。続けて、洗浄されたトナー母粒子を乾燥する。その後、必要に応じて、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いてトナー母粒子と外添剤とを混合して、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。なお、トナー母粒子に外添剤を付着させずに、トナー母粒子をトナー粒子として使用してもよい。こうして、トナー粒子を多数個含むトナーが製造される。
以下、本発明の実施例について説明する。まず、ポリエステル樹脂及び離型剤の酸価の測定方法について説明する。
<酸価の測定>
テトラヒドロフラン50mLに、試料5gを溶解させ、指示薬としてフェノールフタレインのエタノール溶液を数滴加えた後、0.1モル/Lの水酸化カリウム水溶液で滴定を行なった。試料としては、後述する結着樹脂、離型剤RA、離型剤RB及び離型剤RCをそれぞれ用いた。結着樹脂については、後述するコア中の質量比に応じて、4.2gの非結晶性ポリエステル樹脂PA(後述する方法で合成した非結晶性ポリエステル樹脂)と0.8gの結晶性ポリエステル樹脂PB(後述する方法で合成した結晶性ポリエステル樹脂)とを混合した試料を用いた。試料溶液の色が無色から紫色に変化した点を終点とし、終点に達するまでに要した水酸化カリウム水溶液の量と滴定に供した試料の質量とから、酸価(単位:mgKOH/g)を算出した。
<結着樹脂の合成>
[植物由来の1,2−プロパンジオールの調製]
まず、植物油脂であるパーム油を加水分解してグリセリンを得た。具体的には、反応容器に、パーム油と、このパーム油を完全に鹸化させるために必要な量の2倍の量の水酸化ナトリウム水溶液(濃度10質量%)とを添加した。続けて、温度150℃で容器内容物を加熱して、パーム油(植物油脂)を完全に鹸化させた。鹸化後の容器内容物からグリセリン水溶液を分離し、得られたグリセリン水溶液を蒸留した。蒸留後のグリセリンに対して活性炭処理を施し、グリセリンを精製した。
次に、還流冷却器を備えた反応容器内に、エチレングリコール200gと硝酸第二銅三水和物76gとを加えた。続けて、容器内容物を温度80℃で2時間加熱しながら攪拌した後、テトラエトキシシラン52gを滴下し、温度80℃で2時間加熱しながら攪拌した。その後、容器内に水18gを滴下した後、温度80℃で3時間、容器内容物を攪拌し、容器内に沈殿物を得た。得られた沈殿物を、温度120℃で乾燥させた後、空気中、温度400℃で2時間焼成し、銅/シリカ触媒(銅含有量:50質量%)を得た。得られた銅/シリカ触媒3gに、テトラアンミン白金(II)硝酸塩[Pt(NH34(NO32]29.8mgを含む水溶液を添加し、ロータリーエバポレーターで乾固させた。得られた固体を温度120℃で乾燥させた後、空気中、温度400℃で2時間焼成し、銅含有量50質量%の銅−白金/シリカ触媒(質量比:Cu/Pt/Si=50/0.5/17)を得た。
続けて、攪拌機付きの容量500mLの鉄製オートクレーブに、得られた銅−白金/シリカ触媒2gと、前述の手順で得たグリセリン(精製したグリセリン)200gとを加え、オートクレーブ内の空気を水素で置換した。続けて、オートクレーブ内の温度を230℃まで昇温させて、オートクレーブ内に水素ガス(温度25℃)を5L/分の導入量で導入しながら、圧力2MPa、温度230℃の条件で、オートクレーブ内の材料を7時間反応させて、反応生成物(液体)を得た。得られた反応生成物を常法に従って精製し、植物由来の1,2−プロパンジオールを得た。
[非結晶性ポリエステル樹脂PAの合成]
攪拌機(アズワン株式会社販売「SM―104」)、窒素導入管、熱電対、脱水管、及び精留塔を備えた容量5Lの4つ口フラスコを反応容器として用いた。この反応容器内に、上記のようにして調製した植物由来の1,2−プロパンジオール1142g(アルコール成分)と、テレフタル酸1743g(カルボン酸成分)と、ジオクタン酸スズ(II)4g(縮合触媒)とを加えた。反応により生成される水を除去しながら、窒素雰囲気の大気圧下、温度230℃で15時間、容器内容物を反応させた。その後、容器内の圧力を8.3kPaまで減圧して、圧力8.3kPaかつ温度230℃の条件で更に1時間、容器内容物を反応させた。
続けて、容器内の圧力を大気圧に戻し、容器内の温度を180℃まで下げた後、容器内に無水トリメリット酸288gを加えた。その後、容器内の温度を10℃/時の速度で210℃まで昇温させた。続けて、大気圧下、温度210℃で更に10時間、容器内容物を反応させた。続けて、容器内の圧力を20kPaまで減圧し、圧力20kPaかつ温度210℃の条件で更に1時間、容器内容物を反応させた。反応終了後、容器内容物を取り出し、冷却することにより、非結晶性ポリエステル樹脂PAが得られた。
[結晶性ポリエステル樹脂PBの合成]
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量5Lの4つ口フラスコ内に、1,6−ヘキサンジオール1320g(アルコール成分)と、1,10−デカンジカルボン酸2300g(酸成分)と、酸化ジブチル錫4g(縮合触媒)と、ヒドロキノン3g(重合抑制剤)とを加えた。続けて、反応により生成される水を除去しながら、温度200℃かつ大気圧下でフラスコ内容物を5時間反応させた。次いで、減圧雰囲気(圧力1.3kPa)かつ温度200℃の条件で、フラスコ内容物を1時間反応させた。反応終了後、フラスコ内容物を取り出し、冷却した。その結果、軟化点(Tm)90℃、融点(Mp)75℃、結晶性指数(Tm/Mp)1.20の結晶性ポリエステル樹脂PBが得られた。
なお、後述するコアCA−1の作製において、100質量部の非結晶性ポリエステル樹脂PAと20質量部の結晶性ポリエステル樹脂PBとを混合した結着樹脂の酸価は、14mgKOH/gであった。
<トナーTA−1の作製>
[コアCA−1の作製]
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)を用いて、100質量部の非結晶性ポリエステル樹脂PAと、20質量部の結晶性ポリエステル樹脂PBと、10質量部の離型剤RA(日本精蝋株式会社製パラフィンワックス「HNP−5」)と、5質量部の着色剤(カーボンブラック:三菱化学株式会社製「MA−100」)と、1質量部の電荷制御剤(4級アンモニウム塩:オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)とを混合した。続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度100g/分、スクリュー回転速度150rpm、シリンダー温度140℃の条件で溶融混練した。その後、得られた溶融混練物を冷却した。続けて、冷却された溶融混練物を、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)」)を用いて粗粉砕した。続けて、得られた粗粉砕物を、粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルRS型」)を用いて微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(コアンダ効果を利用した分級機:日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)7.0μmのコアCA−1が得られた。
[シェル層形成工程]
フリーモードミキサー(日工株式会社製「FM−10」)を用いて、回転速度120rpmの条件で、100質量部のコアCA−1と、固形分換算で1質量部のオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロスWS−300」)と、99質量部のイオン交換水とを、20分間混合した。温度計及び攪拌羽根を備えたフラスコに得られた混合物を入れた後、この混合物中の固形分濃度が20質量%になるようにイオン交換水をフラスコに加えた。次いで、回転速度120rpmでフラスコ内容物を攪拌しながら、フラスコ内の温度を0.5℃/分の速度で60℃まで昇温させた。フラスコ内の温度が60℃に到達した後、1質量部の酢酸水溶液(濃度1質量%)を加え、更に、フラスコ内の温度を60℃に保ちながら、回転速度120rpmでフラスコ内容物を1時間攪拌し続けた。
続けて、フラスコ内にアンモニア水溶液(濃度1質量%)を加えて、フラスコ内容物のpHを7に調整した。続けて、フラスコ内容物をその温度が25℃になるまで冷却して、トナー母粒子を含む分散液を得た。
[洗浄工程]
上記のようにして得られたトナー母粒子の分散液を、ブフナー漏斗を用いてろ過(固液分離)して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を得た。次いで、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再分散させた後、ブフナー漏斗を用いてろ過した。更に、再分散とろ過とを5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。
[乾燥工程]
続けて、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で、トナー母粒子を乾燥させた。その結果、トナー母粒子の粉体が得られた。
[外添工程]
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて、回転速度3000rpmかつジャケット温度20℃の条件で、100質量部のトナー母粒子と、1.2質量部のシリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)RA−200H」、トリメチルシリル基とアミノ基とで表面修飾した乾式シリカ粒子、個数平均一次粒子径:12nm)と、0.8質量部の導電性酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」、基体:酸化チタン粒子、被覆層:SbドープSnO2膜、体積中位径(D50):0.35μm)とを、2分間混合した。これにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子及び導電性酸化チタン粒子)を付着させた。続けて、得られた粉体を、300メッシュ(目開き48μm)の篩を用いて篩別した。その結果、多数個のトナー粒子を含む正帯電性のトナーTA−1が得られた。
<トナーTA−2の作製>
シェル層形成工程において、100質量部のコアCA−1の代わりに100質量部のコアCA−2を用いたこと以外は、トナーTA−1の作製と同様の手順により、多数個のトナー粒子を含む正帯電性のトナーTA−2を得た。コアCA−2は、2軸押出機のスクリュー回転速度を100rpmとしたこと以外は、コアCA−1の作製と同様の手順により得た。
<トナーTA−3の作製>
シェル層形成工程において、100質量部のコアCA−1の代わりに100質量部のコアCA−3を用いたこと以外は、トナーTA−1の作製と同様の手順により、多数個のトナー粒子を含む正帯電性のトナーTA−3を得た。コアCA−3は、10質量部の離型剤RAの代わりに10質量部の離型剤RB(日本精蝋株式会社製パラフィンワックス「PARACOHL−5001」)を用いたこと以外は、コアCA−1の作製と同様の手順により得た。
<トナーTA−4の作製>
シェル層形成工程において、100質量部のコアCA−1の代わりに100質量部のコアCA−4を用いたこと以外は、トナーTA−1の作製と同様の手順により、多数個のトナー粒子を含む正帯電性のトナーTA−4を得た。コアCA−4は、2軸押出機のスクリュー回転速度を100rpmとしたことと、10質量部の離型剤RAの代わりに10質量部の離型剤RBを用いたこと以外は、コアCA−1の作製と同様の手順により得た。
<トナーTB−1の作製>
シェル層形成工程において、100質量部のコアCA−1の代わりに100質量部のコアCB−1を用いたこと以外は、トナーTA−1の作製と同様の手順により、多数個のトナー粒子を含む正帯電性のトナーTB−1を得た。コアCB−1は、2軸押出機のスクリュー回転速度を170rpmとしたこと以外は、コアCA−1の作製と同様の手順により得た。
<トナーTB−2の作製>
シェル層形成工程において、100質量部のコアCA−1の代わりに100質量部のコアCB−2を用いたこと以外は、トナーTA−1の作製と同様の手順により、多数個のトナー粒子を含む正帯電性のトナーTB−2を得た。コアCB−2は、2軸押出機のスクリュー回転速度を70rpmとしたことと、10質量部の離型剤RAの代わりに10質量部の離型剤RBを用いたこと以外は、コアCA−1の作製と同様の手順により得た。
<トナーTB−3の作製>
シェル層形成工程において、100質量部のコアCA−1の代わりに100質量部のコアCB−3を用いたこと以外は、トナーTA−1の作製と同様の手順により、多数個のトナー粒子を含む正帯電性のトナーTB−3を得た。コアCB−3は、2軸押出機のスクリュー回転速度を100rpmとしたことと、10質量部の離型剤RAの代わりに10質量部の離型剤RC(日本精蝋株式会社製パラフィンワックス「NPS−6010」)を用いたこと以外は、コアCA−1の作製と同様の手順により得た。
<トナーTB−4の作製>
シェル層形成工程において、100質量部のコアCA−1の代わりに100質量部のコアCB−4を用いたこと以外は、トナーTA−1の作製と同様の手順により、多数個のトナー粒子を含む正帯電性のトナーTB−4を得た。コアCB−4は、2軸押出機のスクリュー回転速度を70rpmとしたことと、10質量部の離型剤RAの代わりに10質量部の離型剤RCを用いたこと以外は、コアCA−1の作製と同様の手順により得た。
<トナーTB−5の作製>
シェル層形成工程において、100質量部のコアCA−1の代わりに100質量部のコアCB−5を用いたこと以外は、トナーTA−1の作製と同様の手順により、多数個のトナー粒子を含む正帯電性のトナーTB−5を得た。コアCB−5は、10質量部の離型剤RAの代わりに10質量部の離型剤RCを用いたこと以外は、コアCA−1の作製と同様の手順により得た。
<トナーTB−6の作製>
シェル層形成工程において、100質量部のコアCA−1の代わりに100質量部のコアCB−6を用いたこと以外は、トナーTA−1の作製と同様の手順により、多数個のトナー粒子を含む正帯電性のトナーTB−6を得た。コアCB−6は、2軸押出機のスクリュー回転速度を170rpmとしたことと、10質量部の離型剤RAの代わりに10質量部の離型剤RCを用いたこと以外は、コアCA−1の作製と同様の手順により得た。
<測定方法及び評価方法>
[離型剤ドメインの分散径]
評価対象のトナーを光硬化性のエポキシ樹脂(東亞合成株式会社製「アロニックス(登録商標)LCR D−800」)中に十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気下、紫外線照射しながら2日間硬化させた。硬化後、ダイヤモンドナイフをセットしたミクロトームを用いて得られた硬化物を切削することで厚さ250μmの薄片を作製した。得られた薄片を、銅メッシュ上で四酸化ルテニウム水溶液(濃度0.5質量%)の蒸気中に10分間暴露して染色した。染色された薄片の断面を、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM−7401F」)にて、倍率5000倍で撮影した。断面撮影像を画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)で解析し、断面撮影像中のトナー粒子に含まれる離型剤ドメインの分散径(直径)を測定した。なお、離型剤ドメインの断面が真円でない場合には、円相当径(離型剤ドメインの投影面積と同じ面積を有する円の直径)を分散径の計測値とした。断面撮影像中の100個の離型剤ドメインの分散径をそれぞれ測定し、得られた100個の測定値の個数平均値を、評価対象のトナーの測定値(離型剤ドメインの分散径)とした。結果を表1に示す。なお、表1において、「分散径」は、離型剤ドメインの分散径を表す。
[トナー粒子表層の離型剤の含有量]
容器に評価対象のトナー1gとヘキサン20mLとを入れた後、これらをスターラーにより10分間攪拌し、トナー粒子表層の離型剤をヘキサン中へ溶出させた後、ろ過した。次いで、ろ過後の固形物の全量を温度40℃の乾燥機中で12時間乾燥させた。示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて、乾燥後の固形物(ヘキサンで溶出した後のトナー)の全量を温度20℃から昇温速度10℃/分で150℃まで昇温させ、次いで150℃から20℃まで降温速度10℃/分で急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定されるDSC曲線の融解熱量から、ヘキサンで溶出した後のトナー中の離型剤の熱容量を計算した。別途、ヘキサンで溶出していない評価対象のトナー1gについても、同様の方法でトナー中の離型剤の熱容量を計算した。そして、ヘキサンによる溶出前後の離型剤の熱容量の差、及び使用した離型剤の比熱からトナー粒子表層の離型剤の露出量(ヘキサンで溶出された量)を得た後、トナー1gに対するトナー粒子表層の離型剤の露出量の割合(質量%)を算出した。得られた算出値をトナー粒子表層の離型剤の含有量とした。結果を表1に示す。トナー粒子表層の離型剤の含有量が3質量%以上10質量%以下のトナーの場合、保管時のトナーの凝集が抑制され、かつ耐ホットオフセット性に優れる傾向がある。
[離型剤ドメインの露出面積割合]
評価対象のトナーを作製する際に用いたトナー母粒子を銅メッシュ上で四酸化ルテニウム水溶液(濃度0.5質量%)の蒸気中に10分間暴露して染色した。続けて、染色されたトナー母粒子の表面を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製「JSM−6700F」)を用いて、倍率50000倍で撮影した。得られたTEM撮影像(トナー母粒子の表面撮影像)を、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて解析することにより、離型剤ドメインの露出面積割合を測定した。詳しくは、TEM撮影像(トナー母粒子の表面撮影像)において、コアの表面領域のうち、シェル層に覆われずに離型剤ドメインが露出している領域の割合を計測した。TEM撮影像中の100個のトナー母粒子について、それぞれ離型剤ドメインの露出面積割合を計測し、得られた100個の測定値の個数平均値を、評価対象のトナーの測定値(離型剤ドメインの露出面積割合)とした。結果を表1に示す。離型剤ドメインの露出面積割合が10%以上20%以下のトナーの場合、保管時のトナーの凝集が抑制され、かつ耐ホットオフセット性に優れる傾向がある。なお、離型剤ドメインの露出面積割合は、評価対象のトナーから外添剤を取り除いた後のトナー母粒子の表面を、上記と同様に観察し、解析することによっても測定可能である。
[トナーの凝集度]
評価対象のトナー20gを容量20mLのポリエチレン製容器に入れて、トナーに0.01kgf/mm2の応力を加えた。そして、容器内でトナーに0.01kgf/mm2の応力を加えた状態で、その容器を25℃に設定された恒温槽内に3時間静置した。3時間静置後、恒温槽からトナーを取り出して、これを評価用トナーとした。
得られた評価用トナーを、質量既知の200メッシュ(目開き75μm)の篩に載せた。そして、評価用トナーを含む篩の質量を測定し、篩上のトナーの質量(篩別前のトナーの質量)を得た。続けて、粉体特性評価装置(ホソカワミクロン株式会社製「パウダテスタ(登録商標)」)に上記篩をセットし、粉体特性評価装置のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5の条件で30秒間、篩を振動させ、評価用トナーを篩別した。篩別後、篩を通過しなかったトナー(篩上に残留したトナー)の質量を測定した。そして、篩別前のトナーの質量と、篩別後のトナーの質量(篩を通過しなかったトナーの質量)とに基づいて、以下の式に従ってトナーの凝集度(単位:質量%)を求めた。結果を表1に示す。
トナーの凝集度=100×篩別後のトナーの質量/篩別前のトナーの質量
トナーの凝集度が20質量%以下であれば「保管時のトナーの凝集が抑制されている(良い)」と評価し、トナーの凝集度が20質量%超であれば「保管時のトナーの凝集が抑制されていない(良くない)」と評価した。
[耐ホットオフセット性]
現像剤用キャリア(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製プリンター「FS−C5200DN」用キャリア)100質量部と、評価対象のトナー5質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、2成分現像剤を調製した。
評価機としては、Roller−Roller方式の加熱加圧型の定着装置を備えるプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」を改造して定着温度を変更可能にした評価機)を用いた。上述のようにして調製した評価対象のトナーを含む2成分現像剤を評価機のブラック用の現像装置に投入し、評価対象のトナーを評価機のブラック用のトナーコンテナに投入した。
温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、上記評価機を用いて、評価用紙(モンディ社製「ColorCopy(登録商標)」、A4サイズ、坪量90g/m2)に、トナー載り量1.3mg/cm2の条件で、大きさ25mm×25mmの黒色のソリッド画像(詳しくは、未定着のトナー像)を形成した。続けて、画像が形成された評価用紙を評価機の定着装置に通した。この際、定着装置の定着温度を150℃から2℃ずつ上昇させながら各定着温度についてホットオフセットの有無を目視で確認し、ホットオフセットが発生しない最高温度(最高定着温度)を測定した。ホットオフセットの有無は、評価用紙上において、定着ローラーにトナーが付着したことに起因する汚れ(定着ローラーの回転周期毎に現れる汚れ)があったか否かにより判断した。結果を表1に示す。
最高定着温度が200℃以上であれば「耐ホットオフセット性が高い(良い)」と評価し、最高定着温度が200℃未満であれば「耐ホットオフセット性が低い(良くない)」と評価した。

Figure 0006825554
トナーTA−1〜TA−4は、トナー粒子のコアがポリエステル樹脂を含んでいた。表1に示すように、トナーTA−1〜TA−4のそれぞれのコアに含まれる離型剤の酸価は4mgKOH/g以下であった。表1に示すように、トナーTA−1〜TA−4のそれぞれのコアに含まれる離型剤ドメインの分散径は300nm以上700nm以下であった。トナーTA−1〜TA−4は、トナー粒子のシェル層が化合物(1)を含む単量体の重合物を含有していた。
表1に示すように、トナーTA−1〜TA−4は、トナーの凝集度が20質量%以下であった。よって、トナーTA−1〜TA−4は、保管時のトナーの凝集が抑制されていた。表1に示すように、トナーTA−1〜TA−4は、最高定着温度が200℃以上であった。よって、トナーTA−1〜TA−4は、耐ホットオフセット性に優れていた。
表1に示すように、トナーTB−3〜TB−6のそれぞれのコアに含まれる離型剤の酸価は4mgKOH/gを超えていた。表1に示すように、トナーTB−1及びTB−6のそれぞれのコアに含まれる離型剤ドメインの分散径は300nm未満であった。表1に示すように、トナーTB−2及びTB−4のそれぞれのコアに含まれる離型剤ドメインの分散径は700nmを超えていた。
表1に示すように、トナーTB−2は、トナーの凝集度が20質量%を超えていた。よって、トナーTB−2は、保管時のトナーの凝集が抑制されていなかった。表1に示すように、トナーTB−1及びTB−3〜TB−6は、最高定着温度が200℃未満であった。よって、トナーTB−1及びTB−3〜TB−6は、耐ホットオフセット性が低かった。
以上の結果から、本発明に係るトナーによれば、保管時のトナーの凝集を抑制しつつ、耐ホットオフセット性を向上できることが示された。
本発明に係るトナーは、例えば複合機又はプリンターにおいて画像を形成するために利用することができる。
1 トナー粒子
2 コア
3 シェル層
21 結着樹脂
22 離型剤ドメイン

Claims (7)

  1. コアと、前記コアの表面を部分的に覆うシェル層とを備えるトナー粒子を、複数個含むトナーであって、
    前記コアは、結着樹脂及び複数個の離型剤ドメインを含有し、
    前記結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含み、
    前記離型剤ドメインを構成する離型剤の酸価は、4mgKOH/g以下であり、
    前記離型剤ドメインの分散径は、300nm以上700nm以下であり、
    前記シェル層は、下記式(1)で表される化合物を少なくとも含む単量体の重合物を含有し、
    前記コアの表面領域のうち、前記離型剤ドメインが前記シェル層で覆われず露出している領域の面積割合は、10%以上20%以下であり、
    前記離型剤ドメインを構成する離型剤は、パラフィンワックスである、トナー。
    Figure 0006825554
    (前記式(1)中、R1は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。)
  2. 前記結着樹脂の酸価は、10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記結着樹脂は、前記ポリエステル樹脂として、非結晶性ポリエステル樹脂を含む、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記非結晶性ポリエステル樹脂は、植物由来の1,2−プロパンジオール及びテレフタル酸を含む単量体の重合物である、請求項に記載のトナー。
  5. 前記結着樹脂は、前記ポリエステル樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を更に含む、請求項又はに記載のトナー。
  6. 前記結晶性ポリエステル樹脂は、1,6−ヘキサンジオール及び1,10−デカンジカルボン酸を含む単量体の重合物である、請求項に記載のトナー。
  7. 正帯電性トナーである、請求項1〜の何れか一項に記載のトナー。
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