JP6824812B2 - 印刷紙用処理剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷紙の表面処理に使用される印刷紙用処理剤組成物、及びその製造方法に関する。また、本発明は、印刷紙の表面処理方法及び印刷紙に関する。
印刷速度の高速化(例えば1000m/分以上)が進むにつれ、従来の処理剤では十分な帯電防止効果が得られず、紙とマシンのロール等、又は紙同士が付着してしまうことにより、作業性が著しく低下するという問題が生じている。また静電気の発生により、印刷紙に汚れが付着するとか、放電により作業者に不快感を与えるという問題もある。さらにマシンの高速化は印刷紙表面の摩擦係数を大きくしてしまい、その結果印刷紙の滑性が悪化して最終の巻き取り工程において紙切れが頻繁に発生し、また仕上がった印刷紙同士がきれいに揃わないという問題も起きている。
帯電防止性能等を付与できる、従来公知の印刷紙用処理剤の一例として、ジ水素添加牛脂ジメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩と、オルガノポリシロキサンとを含み、エマルジョン粒子の平均粒径が10μm以下の印刷紙用処理剤が開示されている(特許文献1)。
帯電防止性能と滑性等を付与できる、従来公知の印刷紙用表面処理剤の他の一例として、所定のアミド基と、所定のエステル基とを有する3級アミン又はその中和塩もしくは4級塩の少なくとも1種を含む印刷紙用処理剤が開示されている(特許文献2)。
特開平11−12985号公報 特開2005−9040号公報
しかし、帯電防止性能と滑性について、更なる向上の要請がある。
本発明は、印刷紙に高い帯電防止性能と滑性を付与することができる印刷紙用処理剤組成物、及び当該印刷紙用処理剤組成物を用いて処理された印刷紙を提供できる。
本発明の印刷紙用処理剤組成物は、下記式(I)で表される4級塩、ノニオン性界面活性剤、及び水を含有する、水性エマルションであり、粒径が10μm以上の乳化粒子の存在割合が5体積%以下である印刷紙用処理剤組成物である。
Figure 0006824812
但し、式(I)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数11〜21のアルキル基又は炭素数11〜21のアルケニル基を示し、R3は、炭素数1〜4のアルキル基を示し、n1,n2,n3は、それぞれ独立に、2以上4以下の整数であり、X1は、ハロゲン、アルキル硫酸基、又はアルキルシュウ酸基を示す。
本発明の印刷紙用処理剤組成物の製造方法は、前記4級塩と、前記ノニオン性界面活性剤と、前記水とを含む混合物を攪拌する工程を含み、
前記工程において、
前記混合物を、乳化させることなく均一化させる第1攪拌と、
前記混合物の温度を、40℃以上80℃以下の温度範囲内の第1の温度に保った状態で、前記混合物を乳化させる第2攪拌と、
前記混合物を雰囲気温度よりも低い第2の温度に達するまで冷却した後、前記第2の温度に保った状態で攪拌する第3攪拌と、をこの順で行い、
前記第3攪拌の攪拌時間は、前記第2攪拌の攪拌時間の0.2倍以上0.8倍以下である。
本発明の印刷紙は、印刷紙が、本発明の印刷紙用処理剤組成物の固形分によって被覆されている。
本発明の印刷紙の表面処理方法は、印刷紙に、本発明の印刷紙用処理剤組成物を塗布した後、乾燥する工程を含む。
本発明によれば、印刷紙に高い帯電防止性能と滑性を付与することができる印刷紙用処理剤組成物、及び当該印刷紙用処理剤組成物を用いて処理された印刷紙を提供できる。
本発明は、乳化粒子が、特定の4級塩とノニオン性界面活性剤とを含み、粒径が10μm以上の乳化粒子の存在割合が5体積%以下の印刷紙用処理剤組成物を用いることにより、帯電防止性能と滑性の両方が顕著に向上するという知見に基づく。
本発明の印刷紙用処理剤組成物(以下「本発明の処理剤組成物」と略称する場合もある。)は、下記式(I)で表される4級塩、ノニオン性界面活性剤、及び水を含有する水性エマルションである。
[4級塩]
本発明の処理剤組成物は、乳化粒子の小径化及び粒度分布の狭小化の観点から、下記式(I)で表される4級塩を含む。
Figure 0006824812
但し、式(I)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数11〜21のアルキル基又は炭素数11〜21のアルケニル基を示し、R3は、炭素数1〜4のアルキル基を示し、n1,n2,n3は、それぞれ独立に、2以上4以下の整数であり、X1は、ハロゲン、アルキル硫酸基、又はアルキルシュウ酸基を示す。
式(I)で表される4級塩は、トリアルカノールアミンジエステル型の4級化物、好ましくはトリエタノールアミンジエステル型の4級化物である。トリアルカノールアミンのジエステル化に使用される脂肪酸基としては、乳化粒子の小径化及び粒度分布の狭小化の観点から、パーム油、パーム核油、ヤシ油、又は牛脂由来の天然の脂肪酸が挙げられるが、これらのうちパーム油由来の脂肪酸が好ましい。パーム油由来の脂肪酸の市販品としては、例えば、アシッドケム社製の製品名パルマック600、パルマック605、パルマック630等が挙げられる。
1及びR2は、乳化粒子の小径化及び粒度分布の狭小化の観点から、好ましくは炭素数11〜21のアルキル基である。
3は、乳化粒子の小径化及び粒度分布の狭小化の観点から、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
1は、乳化粒子の小径化及び粒度分布の狭小化の観点から、好ましくはハロゲン又はアルキル硫酸基であり、より好ましくはメチル硫酸基又はエチル硫酸基であり、より好ましくメチル硫酸基である。
本発明の処理剤組成物に含まれる、前記4級塩の含有量は、帯電防止性能及び滑性向上の観点から、固形分換算で、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
尚、本明細書中で、固形分換算の含有量とは、水、メタノール、エタノール等の分散媒を除いた残余成分中の含有量を意味する。
[ノニオン性界面活性剤]
本発明の処理剤組成物は、前記4級塩と共同して帯電防止性能及び滑性向上の観点と処理剤組成物の製造過程における乳化粒子の形成し易さ(以下「乳化性」とも言う。)の向上の観点から、ノニオン界面活性剤を含む。
ノニオン性界面活性剤は、乳化性の向上の観点から、好ましくはポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルから選ばれる少なくとも1種である。
ポリオキシエチレンアルキルにおけるポリオキシエチレンの平均付加モル数は、乳化性の向上の観点から、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上であり、そして、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは35以下である。アルキル基の炭素数は、乳化性の向上の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上であり、そして、好ましくは24以下、より好ましくは18以下である。
アルケニルエーテルにおけるアルケニル基の炭素数は、乳化性の向上の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上であり、そして、好ましくは24以下、より好ましくは18以下である。
これらのノニオン性界面活性剤のなかでも、帯電防止性能及び滑性向上の観点と乳化性の向上の観点から、平均付加モル数が20以上40以下のラウリルアルコールのポリオキシエチレン付加物が好ましい。
本発明の処理剤組成物に含まれる、前記ノニオン性界面活性剤の含有量は、帯電防止性能及び滑性向上の観点と乳化性の向上の観点から、固形分換算で、好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは17質量%以下である。
本発明の処理剤組成物に含まれる、前記4級塩と前記ノニオン性界面活性剤の配合割合(4級塩/ノニオン性界面活性剤)(質量比)は、乳化粒子の小径化及び粒度分布の狭小化の観点から、好ましくは75/25以上、より好ましくは80/20以上であり、そして、好ましくは93/7以下、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは88/12以下である。
[分散媒]
本発明の印刷紙用処理剤組成物は、分散媒として水を含む。水は、乳化性の向上の観点から、イオン交換水又は蒸留水が好ましく、イオン交換水がより好ましい。本発明の処理剤組成物における分散媒の含有量は、印刷紙用処理剤中の固形分質量が2.5質量%以上30質量%以下となる割合が好ましく、3.5〜20質量%となる割合がより好ましく、4.5質量%以上15質量%以下となる割合が更に好ましい。
分散媒は、水以外に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールを含んでいてもよい。
分散媒が、水と水以外の分散媒との併用である場合、分散媒における、水の割合は、乳化粒子の分散性の向上の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.6質量%以下、更に好ましくは99.3質量%以下である。
[その他の成分]
本発明の処理剤組成物には、更に必要に応じ、キレート剤、消泡剤、防腐剤、抗菌剤、防塵剤、着色顔料、染料、香料等が含まれていてもよいが、中でも、本発明の処理剤組成物の製造時の、攪拌による泡立ちを抑制する観点から、消泡剤が含まれていると好ましい。また、処理剤組成物の保存安定性向上の理由から、キレート剤が含まれていると好ましい。
<キレート剤>
本発明の処理剤組成物は、保存安定性の向上の観点から、キレート剤を含んでいると好ましい。キレート剤としては、アミノカルボン酸型、ホスホン酸型、アミノカルボン酸金属塩型、グルコン酸型等の各種キレート剤が挙げられるが、これらのうち、処理剤組成物の長期高温下での保存安定性の向上の観点から、イミノ二酢酸塩系キレート剤が好ましく、具体的には、BASF社製のトリロンMが挙げられる。
<消泡剤>
本発明の処理剤組成物は、紙への塗布時に発生することがある泡を消泡する為、消泡剤を含んでいると好ましい。消泡剤としては、泡切れ性向上の観点から、アルキルポリシロキサン、アリールポリシロキサン等が挙げられる。これらのうち、処理剤組成物の高剪断、高撹拌下における泡切れ性向上の観点から、オキシアルキレン基変性ジメチルポリシロキサンが好ましく、具体的には、モメンティブ・パフォーマンス社製のシリコーンKT−103が挙げられる。
<防腐剤、抗菌剤>
本発明の処理剤組成物は、保存安定性の向上の観点から、防腐剤、抗菌剤を含んでいると好ましい。防腐剤、抗菌剤としては、イソチアゾロン系、ベンズイソチアゾリン系、ニトロ誘導体系、フェノール化合物系等が挙げられる。これらのうち、処理剤組成物の長期高温下での保存安定性の向上の観点から、ベンズイソチアゾリン−3−オンが好ましく、具体的には、ロンザジャパン社製のプロキセルBDNが挙げられる。
帯電防止性能及び滑性向上の観点から、本発明の処理剤組成物中に含まれる乳化粒子のうち、粒径が10μm以上の乳化粒子の存在割合が5体積%以下であり、好ましくは4体積%であり、更に好ましくは3体積%であり、更により好ましくは0体積%である。
本発明の処理剤組成物中に含まれる乳化粒子の平均粒径は、帯電防止性能及び滑性向上の観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.15μm以上、更に好ましくは0.2μm以上であり、そして、好ましくは0.45μm以下、より好ましくは0.4μm以下、更に好ましくは0.35μm以下である。
本明細書において、乳化粒子の平均粒径、粒度分布は、JIS Z8819−1: 1999に基づいて定義され、レーザー回折散乱法を利用して、例えば、実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の処理剤組成物の粘度は、B型粘度計による30℃での測定値で、4mPa・s以上50mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上30mPa・s以下が更に好ましい。
[印刷紙用処理剤組成物の製造方法]
次に、本発明の処理剤組成物の好ましい製造方法の一例について説明する。本発明の処理剤組成物の好ましい製造方法の一例により、本発明の処理剤組成物に含まれる、前記4級塩と前記ノニオン活性剤を含む乳化粒子について、微粒子化と粒度分布の狭小化を可能としたので、本発明の処理剤組成物で処理された印刷面の帯電防止効果及び滑り性について、顕著に向上している。
本発明の処理剤組成物の好ましい製造方法の一例は、前記4級塩と、前記ノニオン性界面活性剤と、前記水とを含む混合物を攪拌する工程を含む。前記工程において、下記第1攪拌、第2攪拌、第3攪拌をこの順で行う。第1攪拌、第2攪拌、及び第3攪拌による混合物の攪拌は、通常の攪拌機を用いて行ってもよいし、ホモミキサーのような乳化装置を用いて行ってもよいし、これらを適宜併用してもよい。
前記4級塩と、前記ノニオン性界面活性剤と、前記水とを含む混合物の調製は、例えば、水に、前記4級塩と、前記ノニオン性界面活性剤とを同時に添加することによりおこなってもよいし、別々に添加してもよい。前記混合物には、更に、前記[その他の成分]に記載の任意成分が含まれていてもよいが、中でも、攪拌による泡立ちを抑制する観点から、消泡剤が含まれていると好ましい。また、処理剤組成物の保存安定性向上という理由から、キレート剤が含まれていると好ましい。
<第1攪拌>
第1攪拌では、前記混合物中に含まれる各成分を均一化するために行う。第1攪拌は、前記混合物を乳化させない程度の回転数で攪拌する。ここで、均一化とは、第一撹拌後に目視観察にて判断して均一な乳濁色液体になっていることをいう。
第1攪拌の対象とされる前記混合物は、加温等されることなく第1攪拌の対象とされてもよいが、前記混合物は、必要に応じて加温されて所定の温度に達してから第1攪拌の対象とされてもよい。第1攪拌を行う最中の前記混合物の温度は、各成分の均一化の向上の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上、更により好ましくは58℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下、更により好ましくは62℃以下である。
第1攪拌の回転数は、前記混合物の乳化防止の観点から、第2攪拌の回転数の、好ましくは2分の1以下、さらに好ましくは3分の1以下であり、生産性向上の観点から、第2攪拌の回転数の、好ましくは5分の1以上、より好ましくは4分の1以上である。
第1攪拌における攪拌時間は、乳化粒子の小径化及び粒度分布の狭小化の観点から、好ましくは2分以上、更に好ましくは3分以上であり、生産性向上の観点から、好ましくは5分以下、より好ましくは4分以下である。
<第2攪拌>
第2攪拌では、第1攪拌の対象とされ各成分の濃度が均一化された混合物を乳化させる。
第2攪拌の対象とされる前記混合物は、ある一定の加温下における第2攪拌の対象とされてもよいが、前記混合物は、必要に応じて加温されて所定の温度に達してから第2攪拌の対象とされてもよい。第2攪拌を行う最中の前記混合物の温度(第1の温度)は、乳化性向上の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上、更により好ましくは58℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下、更により好ましくは62℃以下である。
第2攪拌の対象とされる前記混合物の温度(第1の温度)は、乳化性向上の観点から、第1攪拌の対象とされる前記混合物の温度と等しいか高いと好ましい。第1の温度から第1攪拌の対象とされる前記混合物の温度を引いた差は、乳化性向上の観点から、好ましくは±2℃、より好ましくは±1℃であり、更に好ましくは0℃である。
第2攪拌の回転数は、乳化粒子の小径化及び粒度分布の狭小化の観点から、好ましくは2500rpm以上、より好ましくは3000rpm以上、更に好ましくは3500rpm以上であり、そして、乳化性向上の観点から、好ましくは7000rpm以下、より好ましくは5600rpm以下、更に好ましくは4500rpm以下である。
第2攪拌における攪拌時間は、乳化粒子の小径化及び粒度分布の狭小化の観点から、第1攪拌における攪拌時間の、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上であり、そして、生産性向上の観点から、第1攪拌における攪拌時間の、好ましくは5倍以下、より好ましくは4倍以下である。具体的には、好ましくは5分以上、より好ましくは9分以上であり、そして、15分以下、より好ましくは12分以下である。
<第3攪拌>
第3攪拌は、第2攪拌により得られた水性エマルションの増粘及びゲル化を防止するために行う。第3攪拌では、第3攪拌の対象とされる混合物を、冷却して、雰囲気温度よりも低い第2の温度としてから、攪拌を開始する。本明細書において、「雰囲気温度」とは、処理剤組成物の製造が行われる室内の温度を意味する。
第3攪拌の対象とされる前記混合物の温度(第2の温度)は、第2攪拌により得られた水性エマルションの増粘及びゲル化防止の観点から、好ましくは20℃以下、より好ましくは16℃以下、更に好ましくは10℃以下であり、そして、好ましくは0℃以上、より好ましく5℃以上、更に好ましくは7℃以上である。
第2の温度と第1の温度の差は、第2攪拌により得られた水性エマルションの増粘及びゲル化防止の観点から、好ましくは37℃以上、より好ましくは40℃以上であり、更に好ましくは43℃以上である。
第3攪拌の回転数は、第2攪拌により得られた水性エマルションの増粘及びゲル化防止の観点から、好ましくは2500rpm以上、より好ましくは3000rpm以上、更に好ましくは3500rpm以上であり、そして、水性エマルジションの増粘及びゲル化防止の観点から、好ましくは7000rpm以下、より好ましくは5600rpm以下、更に好ましくは4500rpm以下である。
第3攪拌における攪拌時間は、第2攪拌により得られた水性エマルションの増粘及びゲル化防止の観点から、第2攪拌における攪拌時間の、好ましくは0.2倍以上、より好ましくは0.3倍以上であり、そして、生産性向上の観点から、第2攪拌における攪拌時間の、好ましくは0.8倍以下、より好ましくは0.6倍以下である。具体的には、好ましくは2分以上、更に好ましくは3分以上である。
[印刷紙]
本発明の印刷紙は、本発明の処理剤組成物を、印刷紙の両主面の少なくとも一方、例えば印刷面に塗布した後、塗膜を乾燥させて、水等の溶媒を蒸発させることにより固形分により被覆された印刷紙として得られる。本願において、処理剤組成物が塗布される印刷紙は、紙と前記紙の一方の主面上のインク層とを含み、本発明の処理剤組成物を用いた表面処理、例えば、帯電防止処理の対象となる被処理紙を意味する。印刷面とは、被処理紙の主面のうちの、インク層が形成されている側の面を意味する。
前記紙の坪量(つぼりょう)は、1000m/分以上のような高速条件の印刷速度に適しているため、好ましくは50g/m2以上75g/m2以下である。
[印刷紙の表面処理方法]
本発明の印刷紙の表面処理方法は、印刷紙の、例えば印刷面に、本発明の印刷紙用処理剤組成物を塗布した後、乾燥する工程を含む。
本発明の処理剤組成物を印刷紙へ塗布する方法は、本発明の処理剤組成物を、印刷紙に直接塗布する方法等が挙げられる。塗布方法は、例えば、サイズプレス法、コーター法、スプレー法、又はこれらを併用する方法等が挙げられる。
本発明の処理剤組成物は、水等により希釈してから使用しても構わない。希釈された処理剤組成物中の固形分濃度は、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が更に好ましく、そして、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
被塗布紙への処理剤組成物の塗布量は、帯電防止性能及び滑性向上の観点から、印刷紙に対し、処理剤組成物の固形分換算で0.001g/m2以上が好ましく、0.05g/m2以上がより好ましく、そして、10g/m2以下が好ましく、5g/m2以下がより好ましい。
本発明の処理剤組成物が塗布される印刷紙における、印刷方法、インク層のインクの種類等については特に限定されない。例えば、印刷方法は、従来から実施されているオフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷等に加え、近年小規模枚数の印刷で主流になっているインクジェット印刷、電子写真印刷等が挙げられる。
本発明の処理剤組成物は、特に印刷速度が1000m/分以上のような高速条件で印刷される印刷紙、例えばオフセット輪転印刷により印刷された印刷紙に対して、十分な帯電防止性能と滑性を付与させることができる為、好適に使用される。
[製造実施例1]
表1中に記号(A−1)で表される4級塩、表2中に記号(B−1)で表されるノニオン系界面活性剤、及び表3中に記号(C−1)で表されるイオン交換水を用いて、表4中に実施例1で示される配合量となる混合物を調製した。その後、表5中の製造実施例1で表される条件(撹拌時間、回転速度)に従ってプライミクス社製オートミキサーにて攪拌して、得られた乳濁液を、実施例1の処理剤組成物とした。尚、(A−1)は、式(I)で表される4級塩である。
ここで、製造実施例1は、第1撹拌後直ちに第2攪拌を行い、引き続き第3攪拌を行う一連の撹拌操作による混合を行ったことを示す。第1攪拌は、60℃のウォーターバスを用いて混合物の温度を60℃±2℃になるまで加温してから行った。第1攪拌及び第2攪拌を行っている最中は、混合物の温度は、60℃±1℃に保たれていた。第3撹拌は、0℃のウォーターバスを用いて混合物の温度が15℃なるまで冷却してから開始した。冷却撹拌の最中は、混合物の温度は15℃±0.6℃に保たれていた。
堀場製作所製のレーザー散乱粒度分布計LA−920を用いて、得られた処理剤組成物中の乳化粒子の、平均粒径及び粒度分布を測定した。得られた粒度分布から粒径10μm以上の体積割合(%)を算出した。
得られた処理剤組成物の30℃における粘度は、B型粘度計(東機産業製BMII、ローターNo.1)にて測定し、表5に示した。
[製造実施例2〜5、製造比較例1〜5]
製造実施例1と同様に、表1〜5に示す各種構成成分が表4の配合割合の混合物を調整し、次いで、表5の条件(撹拌時間、回転速度)にて攪拌し、得られた各乳濁液を、実施例2〜5、比較例1〜5の処理剤組成物とした。得られた各処理剤組成物中の乳化粒子の平均粒径、粒度分布の測定及び粒径10μm以上の体積割合(%)を算出した。また、得られた乳濁液の30℃における粘度は、B型粘度計(東機産業製BMII)を用いて測定した。実施例2〜5及び比較例1〜3の処理剤組成物の粘度の測定には、ローターNo.1を、比較例4の処理剤組成物の粘度の測定には、ローターNo.3を用いた。表1中の(A−2)及び(A−3)は、式(I)で表される4級塩である。
Figure 0006824812
Figure 0006824812
Figure 0006824812
Figure 0006824812
Figure 0006824812
[実施例1〜5、比較例1〜5]
各処理剤組成物をイオン交換水で10倍に希釈し、高速オフセット印刷機(印刷速度1200m/分)にて印刷された印刷紙(印刷される前の紙の坪量は53g/m2)に、No.8ワイヤーコーターにて0.4〜2g/m2(固形分換算)割合で塗布した。塗布後直ちに25℃、20%RHの恒温恒湿室内で24時間放置することで自然乾燥させ、下記方法にて塗布処理された紙の帯電防止性能及び滑性を評価した。結果を表6に示す。
[帯電防止性能の評価法]
JIS K 6911に基づいて、処理剤組成物で処理した各印刷紙(10cm角の試験片)を、横河ヒューレットパッカード社製、型番4329Aの高絶縁抵抗計により、25℃,20%RHの条件で表面固有抵抗値を測定した。表面固有抵抗値が109Ω台であれば帯電防止性能は良好である。
[滑性の評価法]
処理剤組成物で処理した各印刷紙について、熊谷理器製、フリクションテスター(JIS C6244)により静摩擦係数及び動摩擦係数を、25℃,20%RHの条件で測定した。尚、静摩擦係数が0.26以下、動摩擦係数が0.18以下であれば印刷紙の滑性は十分であり、紙切れ等の問題は発生しない。
Figure 0006824812
表6に示されるように、式(I)で表される4級塩とノニオン性界面活性剤を含み、粒径が10μm以上の乳化粒子の存在割合が5体積%以下である、実施例1〜5の処理剤組成物を用いて印刷紙を表面処理した場合、帯電防止性能及び滑り性について、粒径が10μm以上の乳化粒子の割合が5体積%を超える比較例1〜5の処理剤組成物を用いる場合よりも良好であった。
以上説明した通り、本発明の処理剤組成物を用いた印刷面の表面処理において、帯電防止性能と滑性の向上が行える。従って、本発明の処理剤組成物を用いれば、作業効率の向上、印刷紙の汚れ防止、紙切れの抑制等が期待できるので、印刷紙の製造効率の向上が期待できる。

Claims (7)

  1. 下記式(I)で表される4級塩、ノニオン性界面活性剤、及び水を含有する、水性エマルションであり、粒径が10μm以上の乳化粒子の存在割合が5体積%以下である印刷紙用処理剤組成物。
    Figure 0006824812
    但し、式(I)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数11〜21のアルキル基又は炭素数11〜21のアルケニル基を示し、R3は、炭素数1〜4のアルキル基を示し、n1,n2,n3は、それぞれ独立に、2以上4以下の整数であり、X1は、ハロゲン、アルキル硫酸基、又はアルキルシュウ酸基を示す。
  2. 前記ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキル及びアルケニルエーテルのいずれかから選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の印刷紙用処理剤組成物。
  3. 更に、イミノ二酢酸塩系キレート剤を含有する、請求項1又は2記載の印刷紙用処理剤組成物。
  4. 前記乳化粒子の平均粒径が0.45μm以下である、請求項1から3のいずれかの項に記載の印刷紙用処理剤組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかの項に記載の印刷紙用処理剤組成物の製造方法であって、
    前記4級塩と、前記ノニオン性界面活性剤と、前記水とを含む混合物を攪拌する工程を含み、
    前記工程において、
    前記混合物を、乳化させることなく均一化させる第1攪拌と、
    前記混合物の温度を、40℃以上80℃以下の温度範囲内の第1の温度に保った状態で、前記混合物を乳化させる第2攪拌と、
    前記混合物を、雰囲気温度よりも低い第2の温度に達するまで冷却した後、前記第2の温度に保った状態で攪拌する第3攪拌と、をこの順で行い、
    前記第3攪拌の攪拌時間は、前記第2攪拌の攪拌時間の0.2倍以上0.8倍以下である、印刷紙用処理剤組成物の製造方法。
  6. 印刷紙が、請求項1から4のいずれか一項に記載の印刷紙用処理剤組成物の固形分によって被覆されている、印刷紙。
  7. 印刷紙に、請求項1から4のいずれか一項に記載の印刷紙用処理剤組成物を塗布した後、乾燥する工程を含む、印刷紙の表面処理方法。
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