JP6822846B2 - 低vocグリコールエーテルエステルを生成するプロセス - Google Patents

低vocグリコールエーテルエステルを生成するプロセス Download PDF

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Description

本発明は、低揮発性有機化合物(VOC)グリコールエーテルエステルの調製のためのプロセスに関する。
水分が系から蒸発するため、連続したポリマーまたはバインダーの膜を形成するのを可能にするために、結合補助剤が水性塗料(すなわち、ラテックス塗料)に添加される。これらの結合補助剤を添加しなければ、ラテックスポリマー球は、膜形成に必須である軟化及び変形が生じない。結果として、ポリマーは塗料中で色素の結合剤としての機能を果たすことができず、基材(例えば、内壁または外壁)への接着は生じ得ない。何年もの間、結合補助剤は、揮発性溶媒、例えば、Eastmanから商標名TEXANOLで市販の2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートであった。色、臭気、及びVOC状況は、塗料の結合剤として使用される溶媒の特性としてますます重要になっている。
米国では、Environmental Protection Agency(EPA)によって確立され、州レベルで実施されているVOCの規制により、塗料及び他の製品中の揮発性溶媒の最大濃度が規定されている。欧州では、VOC制限は、2004/42/EC Solvents Directive for Decorative Paintsによって定義されており、この下で、760mmHgでの沸点が250℃未満の物質は、VOCと見なされている。フランスは、より厳しい規制を行っている。French Law decree 321/2011では、「Grenelle de l’environnement」法案の一部として、280℃未満の沸点を有する物質をVOCと定めている。水は、水性塗料中の揮発性成分であるが、煙霧発生に寄与しないため、VOC規制から除外される。VOC規制は、ますます厳しくなっており、そのため、現在では、それを満たすためにはVOC含量がゼロであるかまたは非常に低い結合補助剤が必要となっている。
米特許出願第2012/0258249号及び米国特許出願第2012/0259049号は、それぞれ、ゼロVOCの結合補助剤及び洗浄溶媒として、様々なグリコールエーテルエステルの使用を教示している。いくつかの調製方法が、これらの特許出願に記載されている。これらの方法うちの1つとしては、フィッシャーのエステル化反応であり、これは、化学量論的過剰量のヒドロキシル基を有する反応物質(例えば、アルコールまたはグリコールエーテル)とカルボン酸を、触媒量の強酸(例えば、濃硫酸)及び同伴溶媒(すなわち、ヘプタン、トルエン等)の存在下で加熱して、所望されるエステルを得るものである。副生成物である水は、共沸蒸留によって除去される。この合成の例は、“Unitized Experiments in Organic Chemistry”3rd Edition,by Brewster,VanderWerf,and McEwen,pp.101−105(1970)に見出すことができる。別の調製方法は、反応物質としてカルボン酸の代わりに酸塩化物(または二塩化物)を用いる。この場合、塩化水素ガスが、反応中に水の代わりに発生する。塩化水素は、第三級アミンを反応混合物に添加するか、または水スクラバ(“Organic Syntheses,Collective Volume 3,”p.142(1955))を用いて、捕捉される。RD 1987276098 Aに開示されている別の調製方法は、好適な触媒、例えば、テトライソプロピルチタネートの存在下における所望される酸のアルキルエステルとグリコールエーテルのエステル交換反応を伴う。さらに別のエステル化方法は、同伴物質の存在下において、水の共沸除去と組み合わせて、反応物質として酸無水物を使用する。この後者の方法は、ジエステルの生成を目的としていることも多く、例えば、カナダ特許第2,356,469号を参照されたい。
グリコールエーテルエステルの調製のためのさらなるプロセスは、文献に記載されている。欧州特許第0711747 B1号は、硫酸及びp−トルエンスルホン酸触媒が、直接エステル化、すなわち、フィッシャー反応によるグリコールエーテル酢酸エステルの合成において、色の問題をもたらすことを教示している。生成物は、蒸留によって回収及び精製される。カナダ特許第2,746,599号は、広範な反応温度範囲(160〜270℃)で、ルイス酸及びブレンステッド酸触媒の存在下において、反応物質としてカルボン酸及びジカルボン酸、C−C13アルコール、アルキレングリコールモノエーテル、ならびにポリアルキレングリコールモノエーテルを使用する、直接エステル化プロセスを開示しており、これには、化学量論的な量で30%過剰のアルコール濃度が最低限必要である。この特許は、より高温では、色が付いた副生成物の形成が増加することを教示している。
Aranda et al.,in Catal.Lett.(2008)122:20−25は、バイオディーゼルの生成のために、パーム油等の脂肪酸のエステル交換反応触媒として様々な酸の使用を報告している。メタンスルホン酸及びスルホン酸は、最良の触媒であったが、トリクロロ酢酸及びリン酸は良く機能しなかった。
低またはゼロVOCであることに加えて、低臭気であることもまた、結合補助剤として望ましい特性である。強い臭気を有する結合補助剤を使用して作製した塗料は、他の属性が良くても消費者に受け入れられにくい可能性がある。強い臭気を有する塗料は、それを塗布する場所の換気が良好であることが必要となり得、そのため、特に専門家ではないユーザによる、屋内での使用が制限される可能性がある。ブタナール等の無水物が、結合剤中に不純物として存在している場合、結果として得られる塗料は、ブタナールが刺激性であり、不快なほど甘いアルデヒド臭を有するため、強力かつ不愉快な臭気を伴い得る。ブタナールはまた、酸化して、腐ったバター及び嘔吐物中に見られるカルボン酸である酪酸になり得る。
前述のプロセスは、望ましくない臭気及び色を有する反応混合物をもたらすことが多い。色は、反応物質のうちの1つの分解により生じることが多い。煩雑で高価な活性炭処理を使用すれば、比較的不揮発性である生成物の色及び臭気を改善することができる。
色及び望ましくない臭気を除去するために活性炭処理等のさらなる処理を必要とすることなく、所望の生成物の高収率での生成を可能にする、低VOCのグリコールエーテルエステルの調製のための改善された方法を有することが、望ましい。
本発明のプロセスは、グリコールエーテルエステルを調製するためのプロセスであって、反応域において、安息香酸及び/または安息香酸無水物を、グリコールエーテルエステル生成物及び水を生成するのに十分な反応条件下において、グリコールエーテル供給物及び触媒量のリン酸と接触させて、反応混合物を形成することを含み、供給物が、グリコールエーテル及びブタナールを含み、水及びブタナールが、反応域で少なくとも部分的に蒸発し、分離域に送られて、そこで水及びブタナールが分離域から実質的に除去され、それによってグリコールエーテルエステルを含む第1の粗生成物が得られ、プロセスは、グリコールエーテルが共沸混合物の成分として以外には実質的に分離域を出ないような温度及び圧力条件下において行われるようなプロセスである。
驚くべきことに、本プロセスにより、リン酸を触媒として用いて、French Law decree 321/2011によって決定される、VOC含量が低いかほぼゼロのグリコールエーテルエステル溶媒を調製し、また色レベルが低く、臭気誘発性ブタナールのレベルが低い、当該溶媒を生成することができる。
本発明のプロセスは、安息香酸及び/または無水物、グリコールエーテル、及びリン酸触媒を用いる。触媒及びプロセスステップの順序は、無臭、ブタナール不含、低色数のグリコールエーテルエステル生成物を良好な収率で得るための手段を提供する。
本明細書に使用されるとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」、及び「1つ以上の」は、互換的に使用される。用語「含む(comprise)」、「含む(include)」、及びそれらの変化形は、本明細書及び特許請求の範囲にこれらの用語が示される場所に限定する意味を有するものではない。したがって、例えば、「1つの」疎水性ポリマーの粒子を含む水性組成物は、「1つ以上の」疎水性ポリマーの粒子を含む組成物を意味すると解釈することができる。
さらに本明細書では、終点による数値範囲の引用は、その範囲内に包含される全ての数字が含まれる(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等が含まれる)。本発明の目的で、当業者の理解と一致して、数値範囲は、その範囲内に含まれる全ての可能性のある部分範囲を含み、それを支持することが意図される。例えば、1〜100の範囲は、1.01〜100、1〜99.99、1.01〜99.99、40〜60、1〜55等を示すことが意図される。
さらに本明細書では、数値範囲及び数値に関する記述は、特許請求の範囲内での記述を含め、「約」という用語を含めて読まれ得る。そのような事例において、「約」という用語は、本明細書に記述されるものと実質的に同じ数値範囲及び/または数値を指す。
別途そうでないことが示されるか、または文脈により暗示的に示されない限り、全ての部及び百分率は、重量に基づき、全ての試験方法は、本出願の出願日の時点で最新のものである。米国特許実務の目的で、すべての参照される特許、特許出願、または公開の内容は、特に、定義の開示(本開示に具体的に提供される任意の定義と不整合とならない程度に)及び当該技術分野における一般知識に関して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる(またはその米国版に相当するものが参照により同様に組み込まれる)。
本発明の目的で、「低沸点」という用語は、関連するグリコールエーテルエステルの沸点よりも低い沸点を有する材料を指す。
本発明の目的で、「無臭」という用語は、ガスクロマトグラフィーで測定した場合に5ppm未満のブタナール含量を有する材料を指す。
本発明の目的で、「反応系」という用語は、1つの反応器または複数の反応器を指す。複数の反応器を用いる場合は、直列に接続することが好ましい。
安息香酸は、カルボキシル基を含有しており、これは、代替として、無水基の形態で存在しても良い。安息香酸と無水物との混合物を用いてもよい。安息香酸が好ましい。本発明の一実施形態において、安息香酸は、無水物が実質的に存在しない場合に、カルボン酸として用いられる。
用いられるグリコールエーテルは、式Iによって表され、
Figure 0006822846
式中、Rは、C−C10アルキル基、フェニル、またはベンジルであり、Rは、H、メチル、またはエチルであり、nは、1〜3である。本発明の一実施形態において、Rは、C−Cアルキル基である。好適なグリコールエーテルの例としては、エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールn−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールフェニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールフェニルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールn−ヘキシルエーテル、ブチレングリコールエチルエーテル、ブチレングリコールプロピルエーテル、ブチレングリコールヘキシルエーテル、及びジブチレングリコールメチルエーテルが挙げられる。グリコールエーテルの混合物を用いてもよい。本発明の一実施形態において、安息香酸もしくは無水物のカルボニル部分に対するグリコールエーテルのモル比は、1.10〜1.6である、すなわち、カルボニル部分1モル当たり1.10〜1.6モルのグリコールエーテルが用いられる。他の実施形態では、この比は、1.15〜1.4、または1.2〜1.3である。本発明の一実施形態において、プロセスに供給されるグリコールエーテルは、ブタナールである。例えば、グリコールエーテル供給流のブタナール含量は、15〜1,200ppm以上であってもよく、または50〜1,000ppm以上であってもよい。
リン酸は、広く市販されている。リン酸は、触媒量で用いられる。有利なことに、リン酸の量は、安息香酸及び無水物の総モルに基づいて、約1.0〜約3.5モルパーセント、好ましくは1.5〜2.5モルパーセント、より好ましくは1.9〜2.1モルパーセントである。本発明の一実施形態において、リン酸は、水溶液の形態で用いられる。溶液のリン酸含量は、特に重要ではないが、用いられる構成材料に応じて、高濃度では腐食の増加が観察される場合がある。本発明の一実施形態において、リン酸は、85%リン酸水溶液として提供される。
本プロセスは、直接エステル化プロセス(すなわちフィッシャー反応)において、高収率で、色及び望ましくない臭気を比較的含まずに、比較的短い反応時間でグリコールエーテルエステル生成物を生成することができる、一連の反応及びプロセス条件下において行われるエステル化プロセスである。
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの反応器を備える反応系において、安息香酸もしくは安息香酸無水物またはそれらの混合物を、グリコールエーテルと反応させることによって、安息香酸エステルを調製するためのプロセスであり、ここで、水は、分離域で蒸留によりグリコールエーテル−水の共沸混合物として除去され、蒸気が反応液から出、次いで、この蒸気が少なくとも部分的に凝縮され、凝縮物の少なくとも一部が還流として分離域に戻る。本発明の一実施形態において、分離域は、蒸留塔を備え、蒸留塔は、塔頂部の温度を制御することを含むプロセス制御スキームを用いて操作される。
本発明の一実施形態において、本プロセスは、蒸留塔を備える反応器において行われる。塔は、反応器と離れていてもよく、または好ましくは反応器に取り付けられた塔である。塔は、有利なことに、凝縮器を備えるか、またはそれに接続される。反応が進むと、反応の副生成物である水が、グリコールエーテルとの共沸混合物を形成する。反応器及び塔は、有利なことに、本質的に共沸混合物のみが塔頂部から出るような温度、圧力、及び還流比の条件下において動作する。この方式で、本質的に、共沸混合物の成分として以外に塔から出るグリコールエーテル反応物質はない。水蒸気は、共沸混合物の成分として反応器から除去される。蒸気を凝縮させ、凝縮物の一部を還流として塔に戻す。戻ってくる凝縮物の量は、凝縮物の温度及び系のエネルギーバランスによって決定される。本発明の一実施形態において、塔の操作は、塔の頂部の温度を観測することによって制御される。温度はまた、塔の他の地点で観測してもよく、当業者には既知である。本発明の一実施形態において、本プロセスは、酸素の実質的な不在下で行われる。
本発明の一実施形態において、温度及び圧力条件は、反応混合物の温度が、その沸点よりも低くなるようなものである。本プロセスには、有利には、170〜210℃の反応温度が用いられる、すなわち、反応域の液体の平均温度が、この範囲内にあることが有利である。反応圧力は、当業者に既知のように、反応温度及び反応の完了の程度に関連する。本発明の様々な実施形態では、反応圧力は、10〜2500mmHg(絶対圧)(1.3kPa〜333kPa)、または50mmHg(6.7kPa)〜760mmHg(絶対圧)(101kPa)であり得る。
本発明の一実施形態において、反応が進むと、副生成物である水は、塔から除去され、所望される生成物が反応器内で濃縮される。反応完了の程度は、生成される水の量を追跡することまたは当業者に既知の他の方法によって、観察することができる。本発明の目的で、「第1の粗生成物」という用語は、グリコールエーテルと安息香酸との反応の完了時に反応器の内容液を指す。
出発物質及び触媒は、プロセスがバッチで行われる場合には任意の好適な順序、例えば、同時またはそれ以外の方法で、反応器に導入され得る。触媒は、プロセス中の任意の好適な時点で、純粋な形態でか、または溶液、好ましくは、水溶液もしくは出発物質のうちの1つの溶液として導入され得る。
連続したプロセスの場合には、出発物質流及び触媒流が、反応器に供給されるか、カスケード反応器が使用される場合には、好ましくは、カスケードの最初の反応器に供給される。反応器または個々の反応器に滞留する時間は、反応器の大きさ及び出発物質の流量によって決まる。安息香酸は、通常、室温では固体である。したがって、連続したプロセスでは、溶液として供給することが望ましい場合があり、その場合、溶媒は、例えば、グリコールエーテル反応物質である。
反応は、当業者に周知のように、任意の好適な構成材料を使用して、任意の好適な機材において行われ得る。
本発明の一実施形態では、反応の終わりに、アルカリ性材料を、第1の粗生成物中に含まれる任意の酸の大部分を中和するのに十分な条件下で第1の粗生成物と接触させ、それによって、グリコールエーテルエステル生成物と少なくとも1つの塩とを含む中和粗生成物混合物を形成する。例えば、触媒及び残留安息香酸を、アルカリ性材料を用いて中和させることができる。本発明の一実施形態では、触媒の全てが中和される、すなわち、リン酸触媒の少なくとも第1の水素原子が、アルカリ性材料の分子の一部分と置き換えられ、任意の残留未反応安息香酸の少なくとも一部分が、中和される。本発明の一実施形態において、反応の終わりに、第1の粗生成物は、中和の前及び/または最中に、少なくとも部分的に冷却される。
アルカリ性材料は、有利なことに、粗生成物中に含まれる任意の酸の大部分を中和し、それによって中和粗生成物混合物を形成するのに十分な量で用いられる。必要となるアルカリ性材料の量は、当業者によって容易に判定することができる。アルカリ性材料の例としては、グリコールエーテルアルコキシド;アルカリ金属及びアルカリ土類金属の化合物、例えば、NaOH、MgOH、CaOH、KOH、炭酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウム;アルカリ性固体、例えば、アルカリ性アルミナ及びアルカリ性イオン交換樹脂等が挙げられる。炭酸ナトリウムが好ましい。可溶性のアルカリ性材料は、好ましくは、適切な溶媒、例えば、水またはグリコールエーテルを用いた溶液として添加される。アルカリ性材料の混合物を用いてもよい。
本発明の一実施形態において、本プロセスは、中和中に形成される1つ以上の塩を抽出することをさらに含む。これは、有利なことに、アルカリ性材料を第1の粗生成物に導入したときに形成される多相混合物の水相に塩を移動させることによって、達成される。抽出ステップは、中和ステップによって生成された塩を、中和粗生成物混合物から分離する目的で行われる。抽出ステップは、生成物から色及び臭気を除去するのを補助し得る。抽出は、場合によっては、塩の抽出を促進するために、追加の溶媒、例えば、水、及び/または抽出補助剤を第1の粗生成物及び/または中和粗生成物混合物に添加することを伴い得る。
任意選択の抽出補助剤は、以下のうちの少なくとも1つの機能を果たす、水溶性材料である:可能性のあるエマルジョンの破壊;水層と有機層との分離の改善;ならびに/または水相中への塩の抽出の改善。用いられ得る抽出補助剤の量は、当業者によって容易に判定することができる。本発明の一実施形態において、中和粗生成物混合物100重量部当たり0.1〜10重量部の抽出補助剤が用いられる。好適な抽出補助剤の例としては、水不溶性有機種、例えばケトン、例えばアセトン、ならびにアルカノール、例えばイソプロパノール及びn−プロパノールが挙げられる。抽出補助剤の混合物を用いてもよい。
中和及び抽出は、同時または順次で行われ得る。まず中和を行って、次いで抽出を行うことによって順次に行われる場合、当業者には理解されるように、一部の抽出が中和中に生じる可能性が高い。したがって、抽出補助剤が、中和が完了した後の中和の最初に添加されるかどうかにかかわらず、中和及び抽出は、ある程度同時に起こる。本発明の目的で、「同時に」という用語は、中和反応及び反応生成物の抽出に関連して使用される場合、ある時点で抽出及び中和反応が両方とも同じ時点で生じることを意味する。当業者には理解されるように、中和反応の開始時点では、抽出が起こることはほとんどないか、全くない。抽出速度は、より多くの塩が、中和粗生成物混合物中で利用可能になるにつれ、早くなる。したがって、実際の問題として、中和の結果として塩が形成されると、当業者には周知のように、いくらかの抽出が生じる可能性がある。
本発明の様々な実施形態において、本プロセスは、水、及び場合によっては抽出補助剤を第1の粗生成物及び/または中和粗生成物混合物に添加して、中和中に形成された塩(複数可)を抽出し、相を分離させた後、生成物を含む有機相を回収することを含む。有機相の回収は、有機相または水相の一方を他方から分離することによって達成することができる。例えば、有機相を水相から傾瀉除去して、塩を含まない粗生成物を得ることができる。有機相は、さらなる処理のために保持する。塩を含有する水相は、廃棄してもよく、または当業者に周知の方法によってその内容物を回収するために処理してもよい。
本発明の目的で「塩を含まない粗生成物」とも称される有機相を回収した後、この塩を含まない粗生成物を精製して、すなわち、処理して、当業者に既知の方法を用いて最終生成物を回収する。例えば、水、グリコールエーテル、及び低沸点有機物、例えば、ブタナールを、任意の好適な手段、例えば、蒸留、窒素等の不活性ガスでの真空揮散、またはこれらの組み合わせにより除去して、塔頂部生成物として最終的なグリコールエーテルエステル生成物を得ることができる。有利なことに、最大の揮散温度は、色及び臭気体の形成を最小化するために、170℃未満である。本発明の一実施形態において、塩を含まない粗生成物は、真空揮散した後、蒸留される。用いられる条件は、生成される生成物に応じて、当業者によって容易に判定することができる。
任意選択の濾過ステップが、液相から固体塩を除去するために必要に応じて用いられてもよい。この濾過ステップは、当業者には既知のように、所望に応じてプロセス中の複数の点で行われ得る。本発明の一実施形態において、本プロセスは、濾過プロセスなしで行われる。
本発明の特に好ましい実施形態において、本プロセスは、エチレングリコールn−ブチルエーテル安息香酸エステルの生成のためのプロセスである。本実施形態には、以下のステップが含まれる。
(1)触媒量のリン酸の存在下において、エチレングリコールn−ブチルエーテルと安息香酸とを反応させ、共沸蒸留によって副生成物の水を除去し、第1の粗生成物を形成するステップ。反応ステップ中の反応物質の損失を最小限に抑えるために、系の温度及び圧力条件は、反応混合物の温度が、その沸点よりも低くなるようなものである。
(2)第1の粗生成物を80℃以下に冷却するステップ。
(3)炭酸ナトリウム水溶液を添加することによって、リン酸触媒及び少なくとも一部の安息香酸を中和して、中和粗生成物混合物を得るステップ。
(4)中和粗生成物混合物から、リン酸ナトリウム等の塩及び有機副生成物の塩を抽出し、その後で相分離及び傾瀉を行って有機相を回収するステップ。
(5)有機相を精製するステップ。これは、残留水分、エチレングリコールn−ブチルエーテル、及びより低沸、すなわち、沸点の低い有機物、例えば、ブタナールを、加熱により真空下で、不活性ガス、例えば窒素での揮散により、除去することを伴う。反応容器に結果として得られた材料を、次いで、減圧で蒸留して、最終的な頂部生成物が得られる。
したがって、本発明の一実施形態では、本プロセスは、エチレングリコールn−ブチルエーテル安息香酸エステルの生成のためのプロセスであり、本プロセスは、
(1)エチレングリコールn−ブチルエーテル、安息香酸、及び触媒量のリン酸を混合して、反応混合物を形成し、エチレングリコールn−ブチルエーテルを安息香酸と反応させて、共沸蒸留によって副生成物である水を除去して第1の粗生成物を形成するが、ただし、反応混合物の温度は、その沸点よりも低いことを条件とすること、
(2)第1の粗生成物を80℃以下に冷却すること、
(3)炭酸ナトリウム水溶液を添加することによって、リン酸触媒及び少なくとも一部の安息香酸を中和して、塩を含む中和粗生成物混合物を得ること、
(4)中和粗生成物混合物から、リン酸ナトリウム等の塩及び有機副生成物の塩を抽出し、その後で相分離及び傾瀉を行って有機相を回収すること、ならびに
(5)残留水分、エチレングリコールn−ブチルエーテル、ならびにより低沸、すなわち、ブタナール及び他の沸点の低い有機物を、加熱により真空下で、不活性ガス、例えば窒素での揮散により、除去することを含む。反応容器に結果として得られた材料を、次いで、減圧で蒸留して、最終的な頂部生成物を得ることができる。
触媒ならびに特定の条件及びステップ順序の様々な態様は、供給材料から良好な収率で低色数で無臭の材料を得るために重要である。例えば、ステップ(1)に記載の温度/圧力条件からの変動は、生成物中の望ましくない不純物の形成の可能性が高くなることにつながる。中和の前にステップ(5)を行うことも、材料中の不純物の形成につながり得る。抽出ステップ(4)が欠如している場合、最終生成物は、追加の中間副生成物、特に、残留塩、安息香酸、及びブタナールの酸化生成物を含有し得る。
本プロセスのグリコールエーテルエステル生成物は、式IIによって表され、
Figure 0006822846
式中、Rは、C−C10アルキル基、フェニル、またはベンジルであり、Rは、水素、メチル、またはエチルのいずれかであり、Rはフェニルであり、n=1〜3である。この式で表されるグリコールエーテルエステルの一部の例には、エチレングリコールn−ブチルエーテル安息香酸エステル、ジエチレングリコールフェニルエーテル安息香酸エステル、トリプロピレングリコールメチルエーテル安息香酸エステル、及びトリプロピレングリコールn−ブチルエーテル安息香酸エステルが挙げられる。
本発明の一実施形態において、最終生成物は、French Law decree 321/2011によって定められるように、1%未満の揮発性有機化合物を含有する。本発明の一実施形態において、生成物の色は、ASTM D1209によって測定したときに、APHAが25未満である。
本発明の具体的な実施形態
以下の実施例は、本発明を図示するために提供されており、その範囲を制限すると見なされるものではない。全ての圧力は、別途示されない限り、ゲージ圧ではなく絶対圧である。
実施例1:エチレングリコールn−ブチルエーテル安息香酸エステル(BUCSB)の製造
変速撹拌器/インペラ、窒素スパージャー、カートリッジフィルタ、及び複数回使用のパイプラインヘッダを備える、750psig(5.27Mpa)に設定した10ガロンの316ステンレス鋼製反応器を用いる。反応器本体はジャケット付きで、反応器の頂部は、The Dow Chemical Companyから入手可能なSYLTHERM 800ブランドの伝熱流体を加熱及び冷却するための手段を提供するように、トレースされている。反応器を、5フィートのGoodloeブランドの規則充填物が充填された5フィート×4インチのステンレス鋼製のジャケット付き塔に接続する。塔には、凝縮器として、総表面積が25平方フィートの316ステンレス鋼製の2パス熱交換器が備わっており、これが、受容器及び真空系に接続されている。反応器の頂部は、分解反応を最小限に抑えるために、反応器のジャケット部と比べて低い温度で動作する。反応については、反応器頂部のトレースと塔ジャケット部は、同じ95℃の温度で動作する。これは、塔頂部での反応物質の損失を最小限に抑えるように選択される。反応器及び周辺機材は、プロセス制御ユニットで操作される。
以下の材料を反応器に充填する(kg単位):12.5の安息香酸、15.2のButyl CELLOSOLVEブランドのエチレングリコールn−ブチルエーテル(The Dow Chemical Companyから入手可能)、0.2の85%リン酸(水溶液)。混合物は、安息香酸に対するモル比が1.25のButyl CELLOSOLVE(BUCS)及び安息香酸に基づいて2モル%のリン酸を含有する。
反応及び同時の蒸留ステップは、次のように行う:最初の材料を、内蔵の撹拌器/インペラを使用して120rpmで十分に混合する。BUCSに起因する、反応混合物中の最初のブタナール濃縮物は、約310ppmである。反応器における初期圧力は、40psia(377kPa)であり、これを、反応混合物が泡立つ点よりも高く保つように設計された速度で、625mmHg(83.3kPa)に徐々に下げる。反応器を210℃まで加熱し、約6時間その温度で維持して反応を進行させる。次いで、泡立ち点よりも低い圧力を500mmHg(66.7kPa)まで低減させて、共沸混合物の上記を塔から除去する。塔に還流を適用して、BUCS−水の共沸混合物を凝縮器に到達させ、過剰なBUCSが蒸留除去されるのを最小限に留める。反応器からのブタナールの除去を補助するために、反応進行中に窒素での揮散を行う。
BUCSと安息香酸とのエステル化反応の進行及び速度を、回収された留出液、塔頂部の留出液の速度、ならびに塔頂部及び反応器からの試料のガスクロマトグラフィー(GC)分析によって監視する。反応ステップの最後に、回収された塔頂部の留出液の質量が予測された目標に近づき、留出液の流速がゼロに近くなり、GC分析によりほとんどの安息香酸が変換されたことが示されたときに、反応器を窒素で760mmHg(101.3kPa)に加圧し、80℃に冷却する。反応器の内容物をGCによって分析する。ブタナールは検出されず、ブタナールの検出限度は≦0.3ppmである。反応器の内容物は、GCによって判定すると、2.59重量%の安息香酸、8.54重量%のBUCS、及び85.94重量%のBUCSBを含有しており、分析の精度は+/−5%である。
GC分析は、炎イオン化(FID)及び熱伝導率(TCD)検出器ならびに100試料トレイのHewlett−Packard 7673自動注入装置を備えるHewlett−Packard 6890 Gas Chromatographを用いて行う。機器を、HP62070AAソフトウェア搭載のIBMコンピュータを備えるHewlett−Packard ChemStationに連結させる。反応の構成要素を、7psig(149.6kPa)の一定なヘリウムカラム圧を用いて15m×内径0.32mm×膜厚1.0μのphenomenex ZB−5キャピラリーカラムで分析する。
中和に必要な炭酸ナトリウムの重量を計算し、その量を、10重量%の水溶液として反応器に添加する。中和のための炭酸ナトリウムの量は、式:
NaCO(kg)=(2.35倍モル量のHPO)+(残留モル量の安息香酸)
溶液の添加により、相分離が生じる。水相は、反応器中の液体の約25%を占める。反応器の内容物を、底部(水性)相を傾瀉する前に1時間撹拌する。
最終的な蒸留ステップは、2部で行われる。最初の部では、反応器を145℃に加熱し、圧力を約225mmHg(30kPa)に設定し、完全なテイクオフ(take−off)で窒素注入を行って水及び未反応BUCSを除去する。その後で、温度を150℃に上げ、反応器圧力を10mmHg(1.33kPa)に設定し、残りのBUCSを除去するために僅かな窒素注入を行う。次いで、生成物であるエチレングリコールn−ブチルエーテル安息香酸エステル(BUCSB)を、冷却し、反応器からカートリッジフィルタを通して保管容器に流す。
最終蒸留の2部では、前の手順を2回行って得た生成物を合わせ(合計23.65kg)、窒素圧で反応器に入れる。塔の圧力を5mmHg(0.667kPa)に減圧し、反応器の圧力を約30mmHgにし、反応器の伝熱流体の温度を210℃に設定する。結果として得られる反応混合物(底部)の温度は、約180〜185℃である。塔頂部では約5mmHg(0.667)で145〜150℃の温度が観察され、これは、エチレングリコールn−ブチルエーテル安息香酸エステルの沸点と一致している。最終的なBUCSB生成物のブタナール含量は、GCの検出限界0.3ppmよりも低い。蒸留したoverhead生成物は、GCで判定すると100.5重量%のBUCSBを含有している。BUCSB生成物は、目視で無色(APHA色数5.9)であり、French law Decree 3231/2011のゼロVOC基準を満たしており、無臭である。
比較実験2:硫酸触媒を用いたBUCSBの製造(本発明の実施形態ではない)
22リットルのガラス製反応器を使用する。反応器は、制御及び高温制御(high limit)熱電対が取り付けられた温度制御器に接続された熱電対鞘、大型のテフロン(登録商標)製磁気撹拌子、及び加熱用マントルを備える。加熱用マントルは、内蔵型磁気撹拌子を有する。反応器は、反応に必要でない場合にはガラス製の栓で蓋がされる様々なサイズのテーパ状の雌型ガラス製継手を有する。中央の55/50継手には、反応器ヘ戻る溶媒流を促進するために1インチの蒸気管に変更した、Chemglass(登録商標)(番号AF−0720)からのAirfree(登録商標)を取り付ける。この装置は、内蔵型の凝縮器を有し、共沸溶媒から水を分離するためのディーン・スタークトラップとして動作する。既知の重量のヘプタンが収容された均圧アームを有する滴下漏斗を、Airfree装置の頂部に取り付ける。バブラーにつながれ、Tygon(登録商標)管で2psig(115.1kPa)の窒素ラインに接続された窒素アダプターを、滴下漏斗の頂部に設置する。装置全体を、大きな煙霧フードの格子にしっかりと挟着させ、二次容器の機能を果たす大型のトレイの中に設置する。
以下の材料を反応器に充填する(kg単位):8.22の安息香酸、8.36のBUCS、0.07の濃硫酸、及び1.88のヘプタン。反応混合物中のBUCS:安息香酸のモル比は1.1:1であり、混合物は、安息香酸に基づいて1.1モル%の硫酸を含有する。BUCSに起因する、反応混合物中の最初のブタナール濃縮物は、約310ppmである。
安息香酸、BUCS、硫酸、及び0.89kgのヘプタンを反応器に充填する。反応混合物を撹拌し、徐々に加熱して、エステル化からの水を収集するトラップを通る一定のヘプタン還流を確立させる。水とヘプタンは、約99〜103℃及び約130℃のポット温度で蒸留が始まる。水が除去されると、残りのヘプタン(0.99kg)を、反応混合物が最大150℃で還流し続けるように、漏斗から反応混合物に添加する。除去された水の合計量によって、本質的に反応が完了したことが示されるまで(15時間)、反応を継続する。水相の量が1.3kgになり、これは、水−BUCS共沸混合物の一部として一緒に蒸留されるいいくらかのBUCSを含んでいる。合計0.5kgのヘプタンが、トラップから回収される。
反応器を冷却し、全酸度に関して反応混合物を滴定する。30重量%過剰の20%NaOH水溶液を混合物に添加して、硫酸の全酸当量及び残留安息香酸中の一部を中和する。反応混合物を、約1時間撹拌した後、別の試料での滴定により硫酸の中和を確認する。茶色がかった黄色の中和粗生成物混合物を、次いで、容器重量を差し引いた55ガロンのポリエチレンドラムにポンプ送出する。前述の手順を繰り返し、ドラムは、複数バッチ分の中和混合物を収集するのに使用する。
合計31.38kgの中和粗生成物混合物を、ドラムから実施例1の10ガロンの反応器に充填する。全ての残留酸を中和するために、混合物を、実施例1に記載のように、10%炭酸ナトリウムで中和し、抽出する。1時間撹拌した後、底層を傾瀉する。
反応器を、約50mmHg(6.67kPa)の反応器圧力で、170℃に加熱し、完全なテイクオフ(take−off)で窒素注入を行って水、ヘプタン、及びBUCSを除去する。初期ブタナール含量は、約2ppmである。これらの低沸成分を除去した後、塔頂部の圧力を5mmHg(0.667kPa)に下げ、反応器の圧力を30mmHg(4.0kPa)にする。結果として得られる反応器内容物(底部)の温度は、約180〜185℃である。塔頂部では約5mmHg(0.667kPa)で145〜150℃の温度が観察され、これは、BUCSBの沸点と一致している。窒素注入は用いない。蒸留が進行しているときに測定される蒸留した生成物のブタナール含量は、開始時には17.2ppmであり、終了時には54.9ppmとなり、これにより、リン酸により生成されるBUCSBに用いられるのと同じ蒸留条件では、ブタナールをこの生成物から除去することができず、実際に、ブタナールは蒸留中に形成されていることが示される。最終生成物のAPHA色数は、5.9である。このBUCSB生成物は、French law Decree 3231/2011のゼロVOC基準を満たすが、望ましくない臭気を有し、そのため塗料での使用が好ましくない。
これらの実験は、リン酸触媒の重要性を示す。触媒が硫酸である場合には、蒸留生成物中ですら、ブタナール不含で無臭のBUCSBは得られない。
(態様)
(態様1)
グリコールエーテルエステルを調製するためのプロセスであって、(a)反応域において、安息香酸及び/または安息香酸無水物を、グリコールエーテルエステル生成物及び水を生成するのに十分な反応条件下において、グリコールエーテル供給物及び触媒量のリン酸と接触させて、反応混合物を形成することを含み、前記供給物は、グリコールエーテル及びブタナールを含み、前記水及びブタナールは、前記反応域で少なくとも部分的に蒸発し、分離域に送られて、そこで前記水及びブタナールは前記分離域から実質的に除去され、それによって前記グリコールエーテルエステルを含む第1の粗生成物が得られ、前記プロセスは、グリコールエーテルが共沸混合物の成分として以外には本質的に前記分離域を出ないような温度及び圧力条件下において行われる、プロセス。
(態様2)
(b)前記第1の粗生成物をアルカリ性材料と接触させて、有機相及び水相を含む中和粗生成物混合物を得ることをさらに含み、前記中和粗生成物混合物は、グリコールエーテルエステル生成物と少なくとも1つの塩とを含み、前記接触が、前記少なくとも1つの塩を前記水相中に抽出するのに十分な条件下で行われる、態様1に記載のプロセス。
(態様3)
(c)前記中和粗生成物混合物を、塩含有水相と有機相とに相分離させること、及び前記有機相を回収することをさらに含む、態様2に記載のプロセス。
(態様4)
(d)残留水分、グリコールエーテル、及びより低沸、すなわち、沸点の低い有機物を、加熱、場合によっては不活性ガスの揮散により、真空下で除去することによって、前記有機相を精製して、最終的なグリコールエーテルエステル生成物を塔頂留出物として得ることをさらに含む、態様3に記載のプロセス。
(態様5)
ステップ(a)における前記分離域の最大温度は、前記反応混合物の沸点よりも低い、態様1〜4のいずれかに記載のプロセス。
(態様6)
ステップ(a)における前記分離域の頂部の温度は、少なくとも前記共沸混合物の沸点である、態様1〜5のいずれかに記載のプロセス。
(態様7)
前記共沸混合物は、水及び前記グリコールエーテルによって形成される、態様1〜6のいずれかに記載のプロセス。
(態様8)
ステップ(b)において、前記第1の粗生成物に水、及び場合によっては抽出補助剤を添加することをさらに含む、態様2〜7のいずれかに記載のプロセス。
(態様9)
ステップ(c)において、前記有機相の回収は、前記塩含有水相を傾瀉除去することを含む、態様3〜7のいずれかに記載のプロセス。
(態様10)
前記グリコールエーテルエステル生成物は、APHA色数が25未満である、態様1〜9のいずれかに記載のプロセス。
(態様11)
前記グリコールエーテルエステル生成物は、5ppm未満、好ましくは1ppm未満、またはより好ましくは0.3ppm未満のブタナール含量を有する、態様1〜10のいずれかに記載のプロセス。
(態様12)
前記分離域は、蒸留塔を備え、前記蒸留塔は、前記塔の頂部の温度を制御することを含むプロセス制御スキームを用いて動作される、態様1〜11のいずれかに記載のプロセス。
(態様13)
前記グリコールエーテル供給物は、15〜1,000ppmのブタナール含量を有する、態様1〜12のいずれかに記載のプロセス。
(態様14)
前記グリコールエーテル供給物は、式Iによって表され、
Figure 0006822846
式中、R は、C −C 10 アルキル基、フェニル、またはベンジルであり、R は、H、メチル、またはエチルであり、nは、1〜3である、グリコールエーテルを含む、態様1〜13のいずれかに記載のプロセス。
(態様15)
前記供給物中の前記グリコールエーテルは、エチレングリコールn−ブチルエーテルであり、前記エステルは、エチレングリコールn−ブチルエーテル安息香酸である、態様1〜14のいずれかに記載のプロセス。

Claims (12)

  1. グリコールエーテルエステルを調製するためのプロセスであって、(a)反応域において、安息香酸及び/または安息香酸無水物を、グリコールエーテルエステル生成物及び水を生成するのに十分な反応条件下において、グリコールエーテル供給物及び触媒量のリン酸と接触させて、反応混合物を形成することを含み、前記供給物は、グリコールエーテル及びブタナールを含み、前記水及びブタナールは、前記反応域で少なくとも部分的に蒸発し、分離域に送られて、そこで前記水及びブタナールは前記分離域から実質的に除去され、それによって前記グリコールエーテルエステルを含む第1の粗生成物が得られ、前記プロセスは、グリコールエーテルが共沸混合物の成分として以外には本質的に前記分離域を出ないような温度及び圧力条件下において行われ、ステップ(a)における前記分離域の頂部の温度は、最大で前記共沸混合物の沸点であり、前記共沸混合物は、水及び前記グリコールエーテルによって形成され、
    前記グリコールエーテル供給物は、式Iによって表され、
    Figure 0006822846
    式中、R は、C −C 10 アルキル基、フェニル、またはベンジルであり、R は、H、メチル、またはエチルであり、nは、1〜3である、グリコールエーテルを含む、プロセス。
  2. (b)前記第1の粗生成物をアルカリ性材料と接触させて、有機相及び水相を含む中和粗生成物混合物を得ることをさらに含み、前記中和粗生成物混合物は、グリコールエーテルエステル生成物と少なくとも1つの塩とを含み、前記接触が、前記少なくとも1つの塩を前記水相中に抽出するのに十分な条件下で行われる、請求項1に記載のプロセス。
  3. (c)前記中和粗生成物混合物を、塩含有水相と有機相とに相分離させること、及び前記有機相を回収することをさらに含む、請求項2に記載のプロセス。
  4. (d)残留水分、グリコールエーテル、及びより低沸、すなわち、沸点の低い有機物を、加熱、場合によっては不活性ガスの揮散により、真空下で除去することによって、前記有機相を精製して、最終的なグリコールエーテルエステル生成物を塔頂留出物として得ることをさらに含む、請求項3に記載のプロセス。
  5. ステップ(a)における前記分離域の最大温度は、前記反応混合物の沸点よりも低い、請求項1〜4のいずれかに記載のプロセス。
  6. ステップ(b)において、前記第1の粗生成物に水、及び場合によっては抽出補助剤を添加することをさらに含む、請求項2〜5のいずれかに記載のプロセス。
  7. ステップ(c)において、前記有機相の回収は、前記塩含有水相を傾瀉除去することを含む、請求項3〜5のいずれかに記載のプロセス。
  8. 前記グリコールエーテルエステル生成物は、APHA色数が25未満である、請求項1〜7のいずれかに記載のプロセス。
  9. 前記グリコールエーテルエステル生成物は、5ppm未満のブタナール含量を有する、請求項1〜8のいずれかに記載のプロセス。
  10. 前記分離域は、蒸留塔を備え、前記蒸留塔は、前記蒸留塔の頂部の温度を制御することを含むプロセス制御スキームを用いて動作される、請求項1〜9のいずれかに記載のプロセス。
  11. 前記グリコールエーテル供給物は、15〜1,000ppmのブタナール含量を有する、請求項1〜10のいずれかに記載のプロセス。
  12. 前記供給物中の前記グリコールエーテルは、エチレングリコールn−ブチルエーテルであり、前記グリコールエーテルエステルは、エチレングリコールn−ブチルエーテル安息香酸である、請求項1〜11のいずれかに記載のプロセス。
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