JP6753193B2 - 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートの製造方法、ならびに、精製方法および組成物 - Google Patents

2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートの製造方法、ならびに、精製方法および組成物 Download PDF

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本発明は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートの製造方法、ならびに、精製方法および組成物に関する。
従来から、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートの合成は、(メタ)アクリル酸エステルと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールのエステル交換反応によって行われている。具体的には、特許文献1では、前記エステル交換反応の触媒としてテトライソプロポキシチタネート等のチタンアルコラートやジブチルスズオキサイド等のスズ系触媒のようなものを用いることが開示されている。
しかし、特許文献2には、チタンアルコラートやスズ系触媒は、上記エステル交換反応において、反応途中で失活してしまい、十分な収率で目的物を得ることができないことが記載されている。また、上記エステル交換反応において、Zn−アセチルアセトナート触媒を用いると、特異的に失活せずに最後まで反応が進行することが開示されている。
特開平11−222461号公報 特開2005−132790号公報
しかしながら、上記特許文献2には、目的物である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートをどのように反応液から取り出すのかについて具体的な記述が無い。特に、Zn−アセチルアセトナートを触媒に用い、メタクリル酸エステルと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールのエステル交換反応を実施した場合、目的物である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレートを分離するためには、未反応で若干反応液に残留している2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールを分離する必要がある。しかし、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールの沸点(沸点:80〜81℃/1.3kPa、52〜53℃/0.1kPa)と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレートの沸点(沸点:82℃/0.9kPa、47〜48℃/0.05〜0.08kPa)は近い。そのため、蒸留により両者を分離しようとすると、装置やエネルギーに相当の費用を要する。
さらに、本発明者らは、特許文献2に基づき、Zn−アセチルアセトナートを触媒に用い、メタクリル酸エステルと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールのエステル交換反応を実施し、さらに、触媒が存在した状態で精留を行って、目的物の分離精製を試みた。しかしながら、蒸留釜で2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレートが分解して2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールが徐々に生成してしまった。
以上述べたとおり、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレートと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールを分離することは非常に困難であった。
また、次に本発明者らは、Zn−アセチルアセトナートおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールを水に溶解させて反応液から分離することを試みた。すなわち、反応液に水を加え、十分に撹拌し、しばらく静置して様子を観察した。しかしながら、その混合物は白濁したままで、明確な界面を形成して有機相と水相に二相分離するようなことはなく、目的を達することはできなかった。
本発明は、上記課題を解決することを目的とするものであって、通常の方法では反応液から分離精製することが困難であった2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等を簡単な操作で反応液から分離することが可能な、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等の製造方法、ならびに、精製方法および組成物を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、Zn−アセチルアセトナートを触媒に用い、(メタ)アクリル酸エステルと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等のエステル交換反応を行い、さらに、反応液に、所定のアンモニウム塩と水を添加することにより、上記課題を解決しうることを見出した。具体的には、下記手段<1>〜<10>により、上記課題は解決された。
<1>Zn−アセチルアセトナート触媒の存在下、20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルと、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールおよび/または3−メチル−1,3−ブタンジオールとを反応せしめた反応液に対し、下記一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩と水を接触させた後、水相を除去することを含む、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートの製造方法。
一般式(1)
Figure 0006753193
<2>前記2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールおよび/または3−メチル−1,3−ブタンジオールは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールである、<1>に記載の製造方法。
<3>前記水相を除去した後に、蒸留を行って、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートの精製を行う、<1>または<2>に記載の製造方法。
<4>前記20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルを構成するアルコール由来の炭化水素基の炭素数が1〜4である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の製造方法。
<5>前記一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩が塩化アンモニウムおよび硫酸アンモニウムの少なくとも一方である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の製造方法。
<6>前記反応液に含まれるZn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比である、一般式(1)で表されるカチオンのモル量/Zn−アセチルアセトナート触媒のモル量が10.0〜100.0の範囲である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の製造方法。
<7>前記反応液に含まれるZn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比である、一般式(1)で表されるカチオンのモル量/Zn−アセチルアセトナート触媒のモル量が20.0〜100.0の範囲である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の製造方法。
<8>前記一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩と水として、一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩の水溶液を用いる、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の製造方法。
<9>Zn−アセチルアセトナート触媒の存在下、20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルと、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールおよび/または3−メチル−1,3−ブタンジオールとを反応せしめた反応液に対し、下記一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩と水を接触させた後、水相を除去することを含む、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートの精製方法。
Figure 0006753193
<10>20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルと、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートと、下記一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩と、水とを含む組成物。
Figure 0006753193
通常の方法では反応液から分離精製することが困難であった2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等を簡単な操作で反応液から分離することが可能な、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等の製造方法、ならびに、精製方法および組成物を提供可能になった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリルとメタクリルの両方を意味する。
<製造方法>
本発明の製造方法は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレート(本明細書では、「2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等」ということがある)の製造方法であって、Zn−アセチルアセトナート触媒の存在下、20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルと、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールおよび/または3−メチル−1,3−ブタンジオール(本明細書では、「2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等」ということがある)とを反応せしめた反応液に対し、下記一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩と水を接触させた後、水相を除去することを含む。
Figure 0006753193
このような構成とすることにより、通常の方法では反応液から分離精製することが困難であった2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等を簡単な操作で反応液から分離することが可能になる。
すなわち、本発明では、Zn−アセチルアセトナート触媒の存在下、20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等を原料として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等を製造する方法において、反応液中のZn−アセチルアセトナート触媒および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等から、目的物を効率よく分離することができる。
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等は、分子内に3級水酸基を持つことから、機能性ポリマーの合成原料として有用な化合物であり、効率よく分離できると、工業的利用価値が極めて高い。
本発明では、Zn−アセチルアセトナートを触媒に用い、20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等のエステル交換反応を行う。得られた反応液に、一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩と水を加える。すると、混合物は、水相と有機相の二相に分離し、Zn−アセチルアセトナート触媒および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等は水相に溶解され、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等と20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルは有機相に分離される。
本発明では、反応液の有機相から、蒸留やカラム分離等により目的とする2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等を高純度で得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<<2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールおよび/または3−メチル−1,3−ブタンジオール>>
本発明で用いる2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールおよび3−メチル−1,3−ブタンジオールは、公知の種々の方法により合成することが可能である。例としては、酸化2−メチルプロピレンの加水分解反応や、2−ヒドロキシイソ酪酸エステルの水素化分解反応などが挙げられる。
本発明では、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールおよび3−メチル−1,3−ブタンジオールの一方を用いても、両方を用いてもよい。特に、本発明の製造方法は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールを用いる製造方法に適している。
<<20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステル>>
本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステルは、20℃で液体であれば、特に定めるものではなく、公知の(メタ)アクリル酸エステルを用いることができる。(メタ)アクリル酸エステルは、通常、(メタ)アクリル酸とアルコールからエステル交換反応により得られる化合物である。前記エステル交換反応は、通常、平衡反応である。前記アルコールは、炭素数1〜10の炭化水素基を有するアルコールであることが好ましく、炭素数1〜4の炭化水素基を有するアルコールであることがより好ましく、メタノールまたはエタノールがさらに好ましい。前記炭化水素基は、アルキル基がより好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐および環状のいずれであってもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
また、(メタ)アクリル酸エステルは、沸点が低い方が好ましい。これは、前記エステル交換反応では、通常、反応蒸留の形式で副生するアルコールを系外に抜き出すことから、(メタ)アクリル酸エステルや副生するアルコールの沸点が低い方がエネルギー消費量や重合の問題を避ける上で有利であるためである。
また、本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステルは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等よりも沸点が低いものが好ましく、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等よりも一気圧における沸点が、60〜180度℃低いものがより好ましく、70〜160℃低いものがさらに好ましく、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等よりも一気圧における沸点が130〜160℃低いものが特に好ましい。このように沸点が低いものを用いると、有機相を蒸留して、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等の精製を行うことが容易になる。
本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステルは、具体的には、メタクリル酸メチル(メチルメタクリレート)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−1−プロピルエステル、メタクリル酸−2−プロピルエステル、メタクリル酸−1−ブチルエステル(ブチルメタクリレート)、メタクリル酸−2−ブチルエステル、メタクリル酸−2-メチル−1−プロピルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−1−プロピルエステル、アクリル酸−2−プロピルエステル、アクリル酸−1−ブチルエステル、アクリル酸−2−ブチルエステル、アクリル酸−2−メチル−1−プロピルエステルなどが挙げられる。また、上記沸点の制約や入手の容易さを考慮すると、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸メチルがより好ましく、メタクリル酸メチルが一層好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステルは、1種であっても、2種以上であってもよい。
<<Zn−アセチルアセトナート触媒>>
本発明で用いるZn−アセチルアセトナート触媒は、例えば、アセチルアセトンと硫酸亜鉛から調製することができる(新実験化学講座8無機化合物の合成(III),丸善,p1578,1977)。また、通常の試薬として入手可能な水和物の形でも、それを精製した無水物の形でも構わない。
Zn−アセチルアセトナート触媒の量は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等の合計に対してモル比(Zn−アセチルアセトナート触媒のモル量:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等の合計のモル量)で下限値が、0.001:1以上が好ましく、0.005:1以上がより好ましく、0.01:1以上がさらに好ましい。前記モル比の上限値としては、0.1:1以下が好ましく、0.08:1以下がより好ましい。
前記モル比は、0.1:1以上でもよいが、上記エステル交換反応は平衡反応であり、反応速度そのものは増加したとしても副生したアルコールの分離が律速となってしまうため、見かけ上の目的物の生成速度の上昇はさほど望めない。むしろ、本発明で実施する触媒分離に余計な費用がかかってしまうため、前記モル比を0.1:1以上とすることは必要性が低い。一方、前記モル比を0.001:1以上とすることは、反応速度が低下せずに速やかに上記エステル交換反応が進行することになるため、工業的にも試験的にも実施する上で好ましい。
<<Zn−アセチルアセトナート触媒の存在下、20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルと、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールおよび/または3−メチル−1,3−ブタンジオールとを反応せしめた反応液>>
本発明の目的物である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等は、Zn−アセチルアセトナート触媒の存在下、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等と20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルのエステル交換反応により合成される。この反応は平衡反応であり、20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルより遊離して副生するアルコールを系外に抜き出すことで反応を進行させる。副生するアルコールを系外に除去する方法としては、反応蒸留方式が一般的である。副生するアルコールが、20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルと共沸してしまう場合、20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルと副生するアルコールを共沸混合物の形のまま系外に抜き出すことが好ましい。また、共沸剤としてより低い沸点の共沸混合物を形成する第三成分を添加することも有効である。
上記エステル交換反応においては、溶媒を配合して原料を希釈してもよいし、溶媒を配合しなくてもよい。溶媒を配合する場合、反応を妨害しないものであれば溶媒の種類に制限はない。
上記エステル交換反応は、液温が、通常20℃〜200℃、好ましくは50℃〜150℃の範囲で実施される。液温を20℃以上とすることにより、反応速度が速くなり、200℃以下とすることにより、重合問題を引き起しにくくできる。
上記エステル交換反応における反応時間は、通常の化学反応と同じく原料濃度、触媒量、および反応温度、ならびに、副生するアルコールを系外に抜き出す速度、すなわち反応装置の性能に応じて、適宜定めることができる。好ましい反応時間の一例は、5分から48時間である。反応時間を48時間以下とすることにより、エネルギー消費量を少なくできる。さらに、重合トラブルを生じにくくすることができる。反応時間を5分以上とすることにより、触媒量、原料の混合比、反応温度にある程度自由度を持たせることができ、合理的に反応を進行させることができる。反応圧は、減圧、常圧および加圧いずれでも可能であり、反応液が上記反応温度の範囲で沸騰するように設定することが好ましい。
上記エステル交換反応における2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等の合計に対する20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルのモル比(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等の合計のモル量:(メタ)アクリル酸エステルのモル量)は1:0.8〜100が好ましく、反応後の分離に要するエネルギーコストを考慮すれば1:1.0〜10の範囲がより好ましく、1:1.1〜5.0の範囲がさらに好ましい。前記モル比を1:0.8以上とすることにより、反応終了時には反応液中に2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等を未反応で残存しにくくできる。例えば、上記エステル交換反応の原料として、メタクリル酸エステルと、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールを用いる場合、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールは沸点が80〜81℃/1.3kPaであり、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(沸点:82℃/0.9kPa)と沸点が極めて似通っていることから蒸留による分離には多大なエネルギーを必要とする。前記モル比が1:0.8を下回る条件で上記エステル交換反応を実施し、反応液中に2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等が未反応で残存するような場合であっても、本発明を実施すれば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等を反応液から除くことは容易に可能である。しかしその場合、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等は水相に溶解して有機相から除かれることになるため、これを経済的に回収することは容易とは言えない。従って、初めからこの原料の損失が見込まれる条件で反応を実施するのは合理的とは言えない。
従って、本発明を実施する際には上記のように(メタ)アクリル酸エステルがモル比で過剰になる条件で反応を行うことが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルのモル比が過剰になる条件では、必然的に反応後の液に余剰の(メタ)アクリル酸エステルが系内に残存する。残存する(メタ)アクリル酸エステルは回収し、再度原料として使用してもよい。
上記エステル交換反応において、重合反応を抑制するために重合禁止剤を用いてもよい。重合禁止剤は、反応釜に直接投入してもよいし、蒸留塔の塔頂から投入してもよいし、両方から投入してもよい。もちろん、他の方法であってもよい。
また、重合禁止剤の種類にも特に限定はなく公知のものが使用できる。具体的には、ハイドロキノン、p−モノメチルハイドロキノン、ジ−t−ブチルフェノール、ジフェニルアミン、N,N−ジフェニルフェニレンジアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、フェノチアジン、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジノキシ−4−オール、酸素、一酸化窒素などが挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、エステル交換反応の原料として用いる(メタ)アクリル酸エステルに対し、0.0001〜0.3重量%が好ましい。
重合禁止剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩と水を接触させる工程>>
本発明は、上記エステル交換反応によって得られた反応液に対し、一般式(1)で表されるカチオンを含むアンモニウム塩と水を接触させる。好ましくは、一般式(1)で表されるカチオンを含むアンモニウム塩の水溶液を用いる。このような構成とすることにより、Zn−アセチルアセトナートや2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等を水相に分離することができる。本発明では、一般式(1)で表されるカチオンを含むアンモニウム塩と水を、Zn−アセチルアセトナート触媒に接触させることにより、Zn−アセチルアセトナート触媒が水溶性の化合物に分解されると推測される。
そして、Zn−アセチルアセトナート触媒由来の成分を有機相から水相に除去することにより、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等を高い精度で精製できる。
一般式(1)
Figure 0006753193
本発明で用いるアンモニウム塩は、カチオンが一般式(1)で表されるものであれば、特に定めるものではない。アニオンは、無機酸であることが好ましい。また、本発明で用いるアンモニウム塩は、通常、水に対してある程度溶解するものである。
本発明で用いるアンモニウム塩の具体例としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび炭酸水素アンモニウムが例示される。さらに、入手の容易さ、廃棄の容易さを考慮すると、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび炭酸水素アンモニウムから選択される少なくとも1種であることが好ましく、塩化アンモニウムおよび硫酸アンモニウムの少なくとも一方であることがより好ましい。
アンモニウム塩は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
また、本発明で用いる水溶液は、水溶液のpHが6〜8の範囲に入る範囲内で他のカチオンおよびアニオンの組み合わせからなる塩を含んでいてもよい。また、水相に塩化ナトリウムおよび/または塩化カリウムなどの中性の塩を加えて、水相における有機物の溶解度を下げることも可能である。
本発明で、上記エステル交換反応により得られた反応液と、水および一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩とを接触させる際、アンモニウム塩の量は、アンモニウム塩の種類等に応じて適宜定めることができる。
本発明では、好ましくはアンモニウム塩を水に溶解させて水溶液の形で用いるが、この場合のアンモニウム塩の水溶液の濃度は、好ましくは、4〜35重量%である。
特に、アンモニウム塩が塩化アンモニウムの場合、水溶液の濃度の下限は、4重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましく、8重量%以上がさらに好ましく、9重量%以上が一層好ましく、10重量%以上がより一層好ましい。前記水溶液の濃度の上限は、25重量%以下が好ましく、22重量%以下がより好ましく、15重量%以下がさらに好ましく、12重量%以下が一層好ましい。
特に、アンモニウム塩が硫酸アンモニウムの場合、水溶液の濃度の下限は、8重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、12重量%以上がさらに好ましく、15重量%以上が一層好ましく、18重量%以上がより一層好ましく、20重量%以上がさらに一層好ましい。前記水溶液の濃度の上限は、30重量%以下が好ましく、28重量%以下がより好ましく、25重量%以下がさらに好ましい。
特に、アンモニウム塩が炭酸水素アンモニウムの場合、水溶液の濃度の下限は、4重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましく、8重量%以上がさらに好ましく、9重量%以上が一層好ましい。前記水溶液の濃度の上限は、20重量%以下が好ましく、18重量%以下がより好ましく、15重量%以下がさらに好ましく、12重量%以下が一層好ましい。
なお、本発明におけるアンモニウム塩の水溶液の濃度とは、下記式(2)で定義される重量百分率のことである。
水溶液の濃度(%)=[アンモニウム塩の重量]÷([アンモニウム塩の重量]+[水の重量])×100 (2)
本発明では、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する、一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩の水溶液の重量比(一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩の水溶液の重量/Zn−アセチルアセトナート触媒の重量)は、好ましくは10以上であり、より好ましくは15以上であり、さらに好ましくは20以上である。前記重量比の上限は、好ましくは100以下であり、より好ましくは80以下であり、さらに好ましくは40以下である。
また、本発明では、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する、一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩の重量比(一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩の重量/Zn−アセチルアセトナート触媒の重量)は、好ましくは2以上であり、より好ましくは4以上であり、さらに好ましくは6以上である。前記重量比の上限は、好ましくは100以下であり、より好ましくは、30以下であり、さらに好ましくは17以下である。
さらに、本発明では、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する、一般式(1)で表されるカチオンのモル比(一般式(1)で表されるカチオンのモル量/Zn−アセチルアセトナート触媒のモル量)は、例えば、9以上であり、好ましくは10以上であり、より好ましくは20以上であり、さらに好ましくは30以上である。前記モル比の上限は、好ましくは500以下であり、より好ましくは、150以下であり、さらに好ましくは80以下であり、特に好ましくは70以下である。
上記下限値以上とすることにより、Zn−アセチルアセトナート触媒等を十分に水相に溶解させることができ、有機相と水相の間の界面をより明確にできる。上記上限値以下とすることにより、排水の量を適度な量とし、廃水処理費用および廃水処理設備の負荷を低下させることが可能になる。さらに、上記上限値以下とすることにより、水洗処理を実施する容器の容量の制約がなくなり、反応に使用する原料を多くでき、工業的に有利となる。
また、反応液のアンモニウム塩水溶液による処理を行った後、分離した有機相に対し一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩を含まない水(好ましくは、アンモニウム塩を含まない水、より好ましくは純水)を接触させ、さらに2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等を除去することもできる。水との接触回数に制限はないが、その回数は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール等を除去する効率や廃水の処理費用を勘案して適宜決定すべきであろう。
本発明では、上記エステル交換反応により得られた反応液に、固体のアンモニウム塩と水をそれぞれ別個に投入してもよい。この場合、アンモニウム塩が水に溶解するための時間を別途設けることが好ましい。
本発明で、上記エステル交換反応により得られた反応液と上記アンモニウム塩および水を接触させる方法については特に制約はない。上記反応液とアンモニウム塩および水を十分な接触面積を確保する状態で接触させた後、混合物が有機相と水相に分離するまでの間、静置させることができる方法が挙げられる。具体的には、エステル交換反応が終わった反応釜に、所定量のアンモニウム塩水溶液を加えて撹拌混合し、有機相と水相が二相分離するまでの間静置した後に、有機相と水相を別々に抜き出す方法、上記エステル交換反応液とアンモニウム塩水溶液とを所定の割合で内部に静止型混合器(スタティックミキサー)等を備えた配管に送り込み、ある一定の容量をもつ槽で静置した後、有機相、水相それぞれを分離する方法などが例示される。
本発明で、上記エステル交換反応により得られた反応液と上記アンモニウム塩および水を接触させる際の温度は、0〜60℃が好ましく、10〜50℃がより好ましく、15〜35℃がさらに好ましい。温度を0℃以上とすることにより、Zn−アセチルアセトナート触媒およびその分解物を十分に水溶性の化合物に変換させることが可能になると推測され、さらに、有機相と水相をよく混合させた後、二相に分離させるために要する時間を短くできる。一方、温度を60℃以下とすることにより、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等の加水分解など副次的な反応による副生成物の生成をより効果的に抑制できる。
本発明では、上記エステル交換反応により得られた反応液と上記アンモニウム塩および水を接触させる際に、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤を添加する場合、上記アンモニア塩の水溶液に添加することが好ましい。重合禁止剤を添加することにより、本操作実施中および本操作以降の精製工程や廃水処理時における重合トラブルを効果的に抑制できる。
重合禁止剤の種類は、特に定めるものではないが、上記エステル交換反応において添加してもよい重合禁止剤と同種のものが例示される。
重合禁止剤の添加量は、上記アンモニウム塩の水溶液中、0.0001〜0.3重量%が好ましい。
重合禁止剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明では、上記エステル交換反応により得られた反応液と上記アンモニウム塩および水を接触させる際に、有機溶媒を加えてもよいが、有機溶媒を実質的に加えないこともできる。ここで言う有機溶媒とは、上記エステル交換反応における原料、生成物、副生物以外で、20℃で液体の有機溶媒のことである。有機溶媒を実質的に加えないとは、反応液とアンモニウム塩および水を接触させた液中の、有機溶媒の量が全体の1重量%以下であることをいい、0.1重量%以下が好ましい。
<<有機相からの2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等の分離>>
本発明では、有機相から、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等の分離を行うことが好ましい。具体的には、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等を、(メタ)アクリル酸エステル等から分離する。
分離の方法は、公知の方法を採用できるが、蒸留、カラムによる分離などが例示される。工業的に生産する場合は、蒸留が好ましい。
蒸留の際の温度については、エステル交換反応で原料として用いる(メタ)アクリル酸エステルや本発明における目的物である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等の種類によらず、また、エステル交換反応で未反応原料として残った(メタ)アクリル酸エステルを回収する工程、目的物である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等よりも沸点の低い不純物を除く工程、目的物である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等を回収する工程などの工程の種類によらず、蒸留釡の釡液温度をなるべく低くすることが、重合などの問題を回避する上で重要である。好ましい釡液温度はいずれの蒸留工程においても150℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下、特に好ましくは100℃以下である。下限値については、特に定めるものではないが、例えば、50℃以上であってもよい。この時の圧力は希望する釡液温度と蒸留に供せられる原料や釡液の組成により一義的に決定されるものであるが、概ね(メタ)アクリル酸エステルを回収する工程で50kPa以下、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等を回収する工程で1.3kPa以下である。下限値については、特に定めるものではないが、例えば、0.01kPa以上であってもよい。
<精製方法>
本発明の精製方法は、Zn−アセチルアセトナート触媒の存在下、20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルと、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールおよび/または3−メチル−1,3−ブタンジオールとを反応せしめた反応液に対し、一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩と水を接触させた後、水相を除去することを含む、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートの精製方法である。これらの詳細は、上述の製造方法の記載を参酌でき、好ましい範囲も同様である。
<組成物>
本発明の組成物は、20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルと、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートと、一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩と、水とを含む。このような組成物は、本発明の製造方法の中間体として用いることができる。本発明では、前記組成物を経由することにより、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレート等を容易に反応液から分離することが可能になる。
また、本発明の製造方法を用いることにより、得られる2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートを、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートと、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートの合計が全体の95重量%以上(好ましくは98重量%以上)を占め、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールおよび3−メチル−1,3−ブタンジオールの合計が全体の0.5重量%未満(好ましくは0.2重量%以下)とすることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例、比較例において、以下に示す各物性値の定義と測定方法を下記に示す。
<反応液のガスクロマトグラフィーによる分析>
以下の条件で反応液のガスクロマトグラフィー(以下、「GC」ということがある)による分析を行った。
・GCの型番:アジレント社製、6850 GCシステム
・測定カラム:アジレント社製、GC分析用キャピラリーカラム DB−WAX カラムの長さ30m×カラムの内径0.25mm(膜厚0.25μm)
・キャリアガス:ヘリウム
・カラム流量:0.6mL/分(50℃)(55kPaでの一定圧力制御)
・オーブン昇温パターン:(1)50℃(定温)にて1分保持した。(2)昇温速度20℃/分にて昇温した。(3)150℃(定温)にて5分保持した。(4)その後60℃/分にて昇温した。(5)その後248℃(定温)にて5分保持した。
・注入口温度:220℃
・注入方式:スプリット注入(スプリット比:32.6:1)
・検出器:TCD(Thermal Conductivity Detector)
・検出器温度:250℃
・2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(以下、「IBG」ということがある)の保持時間:11.4分、
・2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(以下、「HBMA」ということがある)の保持時間:13.1分
・2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(以下、「DE」ということがある)の保持時間:14.5分
・メチルメタクリレート(以下、「MMA」ということがある)の保持時間:5.6分
<目的物の純度>
目的物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA))の純度は、単離した液体をGC分析し、ピーク面積の割合で算出した。
<目的物のGC収率>
実施例および比較例における2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の収率は、内部標準物質としてメタキシレン(GC保持時間7.0分)を用い、内部標準法によるGC分析での成分の濃度と、反応液の回収重量の積から算出される成分の得量から算出した。
実施例1(反応液の調製)
攪拌子、蒸留塔、乾燥空気導入管および温度計を備えた、容量500mLの四口フラスコに、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)67.54g、Zn−アセチルアセトナート触媒3.9614g、n−ヘキサン19.91gを仕込み、マグネチックスターラーで攪拌しつつ、釜液温76〜102℃に加熱し、蒸留塔の塔頂部よりn−ヘキサンと水の共沸混合物を9.3g抜き出した。釡液を80℃まで冷却後、メチルメタクリレート(MMA)225.59g、4−ヒドロキシテトラメチルピペリジン−N−オキシル0.243gを仕込んだ。重合防止措置として、少量の空気を釡液に吹き込み、塔頂より、1重量%のp−メトキシフェノール−メチルメタクリレート溶液を0.7g/時間で供給しながら、釜液温105〜118℃にて8時間加熱還流させた。反応が進行するにつれ生成するメタノール(以下、「MeOH」ということがある)はメチルメタクリレート(MMA)との共沸により、蒸留塔の塔頂部より徐々に抜出し反応を進行させた。
釡液温度が118℃になったところで、系内からメタノールがほとんど発生しなくなったため、釡液を冷却し、257.97gの反応液を得た。反応液のGC分析を行ったところ、メチルメタクリレート(MMA)が52.6重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.2重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が40.8重量%、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)が2.9重量%含まれていた。従って、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)の反応転化率は98.9%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)基準の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の収率は88.7%(モル基準で計算)、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)の収率は4.3%と算出された。
実施例2
実施例1で得られた反応液257.97g全量を1000mLの分液漏斗に移し、10重量%塩化アンモニウム水溶液255.25gを加えて激しく振盪させ、その後しばらく静置させた。この処理で用いた10重量%塩化アンモニウム水溶液の重量は実施例1で用いたZn−アセチルアセトナート触媒の重量の64.4倍であり、10重量%塩化アンモニウム水溶液中に含まれていた一般式(1)で表されるカチオンのモル比は、実施例1で用いたZn−アセチルアセトナート触媒に対して31.7であった。有機相と水相はそれぞれ透明な溶液となり、上相が有機相、下相が水相である二相に分離した。下相の水相を系外に除き、新たにイオン交換水250gを加えて激しく振盪させ、その後しばらく静置させた。すると、内容物は上相が有機相、下相が水相となり、それぞれ透明な溶液として二相分離した。下相の水相を系外に除き、269.81gの有機相を得た。得られた有機相のGC分析を行ったところ、メチルメタクリレート(MMA)が52.0重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.0重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が38.5重量%、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)が3.0重量%含まれていた。
乾燥空気導入管、温度計、蒸留塔(内径25mm×高さ300mm、6mmマクマホンパッキン充填の充填塔)および蒸留ヘッドを備えた、500mLの三口フラスコに、得られた有機相全量を仕込み、少量の空気を吹き込み加熱しながら徐々に減圧および加熱し水と余剰のメチルメタクリレートを回収した。回収中の塔頂部圧力は66.7〜4.5kPa、釡液温度は79.5〜110.9℃であった。次に釡液温度を82℃にまで下げ、塔頂部圧力を0.3kPaにまで下げて2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の回収を行った。蒸留前半の留分を3.63g初留として分取し、残りの留分を主留として85.79g得た。最終的な蒸留塔の塔頂部の圧力は0.3kPa、釜液温度は93.1℃であった。
実施例1で得られた反応液、塩化アンモニウム水溶液および純水接触後の有機相の組成および得られた初留と主留の組成を表1に示す。
Figure 0006753193
上記表1において、各成分の濃度の単位は、重量%である。上記結果から明らかなとおり、反応液にアンモニウム塩の水溶液を接触させた後の有機相では、MMAとHBMAが大半を占めており、IBGは検出限界以下であった。さらに蒸留することにより、高い精度で、HBMAを分離できることが分かった。
比較例1
実施例1と同様の方法により2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)67.63g、Zn−アセチルアセトナート触媒3.9620g、n−ヘキサン20.47g、メチルメタクリレート(MMA)225.85g、4−ヒドロキシテトラメチルピペリジン−N−オキシル0.320gより256.14gの反応液を得た。反応液のGC分析を行ったところ、メチルメタクリレート(MMA)が51.7重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.1重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が41.9重量%、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)が3.8重量%含まれていた。従って、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)の反応転化率は99.5%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)基準の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の収率は90.3%、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)の収率は5.7%と算出された。この反応液を、実施例2で行ったような塩化アンモニウム水溶液との接触を行わず、そのまま乾燥空気導入管、温度計、蒸留塔(内径25mm×高さ300mm、6mmマクマホンパッキン充填の充填塔)および蒸留ヘッドを備えた、500mLの三口フラスコを用いた減圧蒸留を行った。余剰のメチルメタクリレート(MMA)を蒸留回収した後、釡液温度を90℃、塔頂部圧力を0.4kPaの条件で2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の回収を開始した。蒸留前半の留分を6.17g初留として分取し、残りの留分を主留として85.8g得た。最終的な蒸留塔の塔頂部の圧力は0.6kPa、釜液温度は94.4℃であった。
反応液、および減圧蒸留により得られた初留と主留の組成を表2に示す。
Figure 0006753193
上記表2において、各成分の濃度の単位は、重量%である。蒸留原料中のIBG含有量よりも、初留と主留中に含まれるIBGの合計重量の方が明らかに多くなっていた。
比較例2
実施例1と同様の方法により2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)216.09g、Zn−アセチルアセトナート触媒4.01g、メチルメタクリレート(MMA)600.30g、4−ヒドロキシテトラメチルピペリジン−N−オキシル0.2815g、フェノチアジン0.2797gより710.93gの反応液を得た。反応液のGC分析を行ったところ、メチルメタクリレート(MMA)が47.9重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が1.6重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が48.3重量%含まれていた。従って2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)の反応転化率は94.6%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)基準の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の収率は90.6%と算出された。
得られた反応液に水100gを仕込んだところ、反応液全体が白濁した。続けて塩化ナトリウム(固体)10gを仕込んだものの綿状の白色沈殿が生成し、有機相と水相の界面は不明瞭な状態のままであった。この混合物に10重量%塩化ナトリウム水溶液100g、飽和塩化ナトリウム水溶液35g、塩化ナトリウム21.5g、飽和塩化ナトリウム水溶液78g、メチルメタクリレート100gの順で追加していったが、いずれを添加した時点においても白色沈殿と界面の様子は変化が無かった。
実施例3
実施例1と同様の方法により2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)90.10g、Zn−アセチルアセトナート触媒1.58g、メチルメタクリレート(MMA)300.00g、4−ヒドロキシテトラメチルピペリジン−N−オキシル0.008g、2,2'−メチレンビス(6−tert−ブチル−パラクレゾール)0.16gより321.0gの反応液を得た。反応液のGC分析を行ったところ、メチルメタクリレート(MMA)が50.6重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.7重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が45.0重量%含まれていた。従って2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)の反応転化率は97.4%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)基準の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の収率は91.4%と算出された。
得られた反応液のうち318gを温度計、ジャケットを備えた1Lの分液ロートに仕込み、続けて10重量%塩化アンモニウム水溶液106gを仕込んだ後40℃に加温した。分液ロートを2分間振とう後静置したところ、45秒で二相の界面が明瞭となった。水相および油相をそれぞれ1gずつ採取し、分析した組成を表3に示す。ここで使用した10重量%塩化アンモニウム水溶液の重量はZn−アセチルアセトナート触媒の重量の67.7倍であり、10重量%塩化アンモニウム水溶液に含まれる、一般式(1)で表されるカチオンは、Zn−アセチルアセトナート触媒に対し、モル比で、33.4である。
続けて、液温を60℃に加温し、同様の振とう、静置操作を行い、30秒で二相の界面が明瞭となった。水相および油相をそれぞれ1gずつ採取し、分析した組成を表3に示す。
分離した有機相のみを再度分液ロートに仕込み、続けて純水106gを仕込んだ後40℃に加温した。同様の振とう、静置操作を行い、90秒で二相の界面が明瞭となった。水相および油相をそれぞれ1gずつ採取し、分析した組成を表3に示す。
続けて、液温が60℃になるように加温し、同様の振とう、静置操作を行い、45秒で二相の界面が明瞭となった。水相および油相をそれぞれ1gずつ採取し、分析した組成を表3に示す。
Figure 0006753193
上記表3において、各成分の濃度の単位は、重量%である。
実施例4
実施例1と同様の方法により2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)67.58g、Zn−アセチルアセトナート触媒3.9318g、メチルメタクリレート(MMA)225.40g、4−ヒドロキシテトラメチルピペリジン−N−オキシル0.2172g、n−ヘキサン15.41gより262.08gの反応液を得た。反応液のGC分析を行ったところ、メチルメタクリレート(MMA)が53.2重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.3重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が41.9重量%含まれていた。従って、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)の反応転化率は99.0%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)基準の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の収率は93.0%と算出された。
得られた反応液のうち、130.19gをマグネチックスターラーと温度計を備えた200mLの三口フラスコに仕込み、20℃で攪拌した。この反応液に純水39.44gを加えたところ、反応液中に白色沈殿が大量に析出し、有機相と水相の間の界面もはっきりしない状態であった。この混合物に塩化アンモニウム(固体)を3.9895g加えたところ大部分の白色の沈殿は溶解したが、水相中に少量の白色沈殿が浮遊している状態で残っていた。この混合物にさらに塩化アンモニウム(固体)を0.7985g加えたところ全ての白色沈殿は溶解し、混合物は有機相と水相の二相に分離し、有機相、水相のいずれもが透明な溶液となった。白色沈殿が完全に溶解した時点での、水と塩化アンモニウム塩の合計量に対する塩化アンモニウムの量は10.8重量%であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する使用した塩化アンモニウム水溶液の重量比は22.6であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比は12.1であった。
実施例5
実施例4で得られた反応液130.13gをマグネチックスターラーと温度計を備えた200mLの三口フラスコに仕込み、20℃で攪拌した。この反応液に、純水20.03g、塩化アンモニウム(固体)4.7956gを加えたところ、有機相と水相の界面は辛うじて判別できる状態になったが、有機相と水相のいずれにも白色の沈殿が溶け残って浮遊している状態であった。この混合物に純水を15.18g加えたところ白色沈殿の大部分は溶解したが、有機相中および有機相と水相の界面に白色沈殿の溶け残りが若干量認められた。これにさらに純水4.94g加えたところ、白色沈殿は完全に溶解し、混合物は有機相と水相の二相に分離し、有機相、水相のいずれもが透明な溶液となった。白色沈殿が完全に溶解した時点での、水と塩化アンモニウム塩の合計量に対する塩化アンモニウムの量は10.7重量%であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する塩化アンモニウム水溶液の重量比は23.0であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比は12.1であった。
実施例6
実施例1と同様の方法により2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)135.17g、Zn−アセチルアセトナート触媒7.910g、メチルメタクリレート(MMA)450.05g、4−ヒドロキシテトラメチルピペリジン−N−オキシル0.4620g、n−ヘキサン20.02gより511.66gの反応液を得た。反応液のGC分析を行ったところ、メチルメタクリレート(MMA)が52.8重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.17重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が42.3重量%含まれていた。従って、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)の反応転化率は99.3%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)基準の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の収率は91.2%と算出された。
このようにして得られた反応液のうち63.79gをマグネチックスターラーと温度計を備えた200mLの三口フラスコに仕込み、20℃で攪拌した。この反応液に純水39.60gを加えたところ反応液中に白色沈殿が大量に析出し、有機相と水相の間の界面もはっきりしない状態であった。この混合物に塩化アンモニウム(固体)を徐々に加えていったところ、合計3.2409g加えたところで白色沈殿がすべて溶解し、有機相、水相ともに透明な溶液となり明確な界面が現れた。白色沈殿が完全に溶解した時点で、水および塩化アンモニウムの合計量に対する塩化アンモニウムの量の濃度は7.6重量%であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する塩化アンモニウム水溶液の重量比は43.4であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比は16.2であった。
実施例7
実施例6で得られた2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)、Zn−アセチルアセトナート触媒を含んだ反応液63.49gを20℃で攪拌し、純水59.43gを加えた後、塩化アンモニウム(固体)を徐々に加えていったところ、合計4.0539g加えたところで白色沈殿がすべて溶解し、有機相、水相ともに透明な溶液となり明確な界面が現れた。白色沈殿が完全に溶解した時点での、水と塩化アンモニウムの合計量に対する塩化アンモニウムの量は6.4重量%であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する塩化アンモニウム水溶液の重量比は64.7であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比は20.4であった。
実施例8
実施例1と同様の方法により2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)135.40g、Zn−アセチルアセトナート触媒7.969g、メチルメタクリレート(MMA)450.12g、4−ヒドロキシテトラメチルピペリジン−N−オキシル0.4511g、n−ヘキサン21.23gより510.94gの反応液を得た。反応液のGC分析を行ったところ、メチルメタクリレート(MMA)が52.6重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.22重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が41.7重量%含まれていた。従って2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)の反応転化率は99.2%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)基準の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の収率は89.5%と算出された。
このようにして得られた反応液のうち63.49gをマグネチックスターラーと温度計を備えた200mLの三口フラスコに仕込み、20℃で攪拌した。この反応液に5重量%塩化アンモニウム水溶液を徐々に加えていったところ、94.49g加えたところで白色沈殿がすべて溶解し、有機相、水相ともに透明な溶液となり明確な界面が現れた。白色沈殿が完全に溶解した時点で、添加した塩化アンモニウム水溶液の重量は、Zn−アセチルアセトナート触媒1gあたり95.4gであり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比は23.5であった。
実施例9
実施例8で得られた反応液62.51gを20℃で攪拌し、10重量%塩化アンモニウム水溶液を徐々に加えていったところ、22.50g加えたところで白色沈殿がすべて溶解し、有機相、水相ともに透明な溶液となり明確な界面が現れた。白色沈殿が完全に溶解した時点で、添加した塩化アンモニウム水溶液の重量は、Zn−アセチルアセトナート触媒1gあたり23.1gであり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比は11.4であった。
実施例10
実施例8で得られた反応液62.98gを20℃で攪拌し、15重量%塩化アンモニウム水溶液を徐々に加えていったところ、28.54g加えたところで白色沈殿がすべて溶解し、有機相、水相ともに透明な溶液となり明確な界面が現れた。白色沈殿が完全に溶解した時点で、添加した塩化アンモニウム水溶液の重量は、Zn−アセチルアセトナート触媒1gあたり29.1gであり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比は21.5であった。
実施例11
実施例8で得られた反応液62.71gを20℃で攪拌し、20重量%塩化アンモニウム水溶液を徐々に加えていったところ、32.54g加えたところで白色沈殿がすべて溶解し、有機相、水相ともに透明な溶液となり明確な界面が現れた。白色沈殿が完全に溶解した時点で、添加した塩化アンモニウム水溶液の重量は、Zn−アセチルアセトナート触媒1gあたり33.3gであり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比は32.8であった。
実施例12
実施例8で得られた反応液65.42gを20℃で攪拌し、10重量%硫酸アンモニウム水溶液を徐々に加えていったところ、91.27g加えたところで白色沈殿がすべて溶解し、有機相、水相ともに透明な溶液となり明確な界面が現れた。白色沈殿が完全に溶解した時点で、添加した硫酸アンモニウム水溶液の重量は、Zn−アセチルアセトナート触媒1gあたり89.5gであり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比は35.7であった。
実施例13
実施例8で得られた反応液62.80gを20℃で攪拌し、20重量%硫酸アンモニウム水溶液を徐々に加えていったところ、31.05g加えたところで白色沈殿がすべて溶解し、有機相、水相ともに透明な溶液となり明確な界面が現れた。白色沈殿が完全に溶解した時点で、添加した硫酸アンモニウム水溶液の重量は、Zn−アセチルアセトナート触媒1gあたり31.7gであり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比は25.3であった。
実施例14
実施例8で得られた反応液63.80gを20℃で攪拌し、30重量%硫酸アンモニウム水溶液を徐々に加えていったところ、58.69g加えたところで白色沈殿がすべて溶解し、有機相、水相ともに透明な溶液となり明確な界面が現れた。白色沈殿が完全に溶解した時点で、添加した硫酸アンモニウム水溶液の重量は、Zn−アセチルアセトナート触媒1gあたり59.0gであり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比は70.6であった。
実施例15
実施例1と同様の方法により2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)135.16g、Zn−アセチルアセトナート触媒7.956g、メチルメタクリレート(MMA)450.08g、4−ヒドロキシテトラメチルピペリジン−N−オキシル0.4611g、n−ヘキサン20.48gより518.07gの反応液を得た。反応液のGC分析を行ったところ、メチルメタクリレート(MMA)が53.6重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.22重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が42.0重量%含まれていた。従って2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)の反応転化率は99.2%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)基準の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の収率は91.8%と算出された。
このようにして得られた反応液のうち64.85gをマグネチックスターラーと温度計を備えた200mLの三口フラスコに仕込み、20℃で攪拌した。この反応液に純水20.04gを加えたところ反応液中に白色沈殿が大量に析出し、有機相と水相の間の界面もはっきりしない状態であった。この混合物に硫酸アンモニウム(固体)を徐々に加えていったところ、合計6.7399g加えたところで白色沈殿がすべて溶解し、有機相、水相ともに透明な溶液となり明確な界面が現れた。白色沈殿が完全に溶解した時点での、水と硫酸アンモニウムの合計量に対する硫酸アンモニウムの量は25.2重量%であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する硫酸アンモニウム水溶液の重量比は26.9であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する硫酸アンモニウム中の一般式(1)で表されるカチオンのモル比は27.0であった。
実施例16
実施例15で得られた反応液64.74gを20℃で攪拌し、純水40.09gを加えた後、硫酸アンモニウム(固体)を徐々に加えていったところ、合計7.7296g加えたところで白色沈殿がすべて溶解し、有機相、水相ともに透明な溶液となり明確な界面が現れた。白色沈殿が完全に溶解した時点での、水と硫酸アンモニウムの合計量に対する硫酸アンモニウムの量は16.2重量%であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する硫酸アンモニウム水溶液の重量比は48.1であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する硫酸アンモニウム中の一般式(1)で表されるカチオンのモル比は31.0であった。
実施例17
実施例15で得られた反応液64.63gを20℃で攪拌し、純水60.21gを加えた後、硫酸アンモニウム(固体)を徐々に加えていったところ、合計9.2692g加えたところで白色沈殿がすべて溶解し、有機相、水相ともに透明な溶液となり明確な界面が現れた。白色沈殿が完全に溶解した時点で、水および硫酸アンモニウムの合計量に対する硫酸アンモニウムの量は13.3重量%であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する硫酸アンモニウム水溶液の重量比は70.0であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する硫酸アンモニウム中の一般式(1)で表されるカチオンのモル比は37.3であった。
実施例18
実施例15で得られた反応液63.55gを40℃で攪拌し、純水19.90gを加えた後、硫酸アンモニウム(固体)を徐々に加えていったところ、合計5.0019g加えたところで白色沈殿がすべて溶解し、有機相、水相ともに透明な溶液となり明確な界面が現れた。白色沈殿が完全に溶解した時点での、水と硫酸アンモニウムの合計量に対する硫酸アンモニウムの量は20.1重量%であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する硫酸アンモニウム水溶液の重量比は25.5であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する硫酸アンモニウム中の一般式(1)で表されるカチオンのモル比は20.4であった。
実施例19
実施例15で得られた反応液64.75gを40℃で攪拌し、純水20.10gを加えた後、塩化アンモニウム(固体)を徐々に加えていったところ、合計2.0388g加えたところで白色沈殿がすべて溶解し、有機相、水相ともに透明な溶液となり明確な界面が現れた。白色沈殿が完全に溶解した時点での、水と硫酸アンモニウムの合計量に対する硫酸アンモニウムの量9.2重量%であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する塩化アンモニウム水溶液の重量比は22.3であり、Zn−アセチルアセトナート触媒に対する硫酸アンモニウム中の一般式(1)で表されるカチオンのモル比は10.1であった。
実施例20
実施例1と同様の方法により2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)135.23g、Zn−アセチルアセトナート触媒7.970g、メチルメタクリレート(MMA)450.04g、4−ヒドロキシテトラメチルピペリジン−N−オキシル0.5180g、n−ヘキサン20.09gより511.31gの反応液を得た。反応液のGC分析を行ったところ、メチルメタクリレート(MMA)が52.4重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.1重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が43.2重量%、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)が2.4重量%含まれていた。従って、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)の反応転化率は99.5%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)基準の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の収率は92.9%(モル基準で計算)、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)の収率は3.6%と算出された。
このようにして得られた反応液のうち255.80gを500mLの分液漏斗に移し、25重量%硫酸アンモニウム水溶液133.30gを加えて激しく振盪させ、その後しばらく静置させた。この処理で用いた25重量%硫酸アンモニウム水溶液の重量は反応液に含まれると考えられるZn−アセチルアセトナート触媒の重量の33.4倍であり、25重量%硫酸アンモニウム水溶液中に含まれていた一般式(1)で表されるカチオンのモル比は、反応液に含まれると考えられるZn−アセチルアセトナート触媒に対しての33.3であった。
有機相と水相はそれぞれ透明な溶液となり、上相が有機相、下相が水相である二相に分離した。下相の水相を系外に除き、新たにイオン交換水125gを加えて激しく振盪させ、その後しばらく静置させた。すると、内容物は上相が有機相、下相が水相となり、それぞれ透明な溶液として二相分離した。下相の水相を系外に除いた後、さらにもう一度、イオン交換水125gを加えて激しく振盪させた後、しばらく静置して上相の有機相と下相の水相に分離させ、下相の水相を系外に除く操作を行い、上相より257.37gの有機相を得た。
得られた有機相のGC分析を行ったところ、メチルメタクリレート(MMA)が51.2重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.1重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が40.9重量%、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)が2.3重量%含まれていた。
乾燥空気導入管、温度計、蒸留塔(内径25mm×高さ300mm、6mmマクマホンパッキン充填の充填塔)および蒸留ヘッドを備えた、500mLの三口フラスコに、得られた有機相全量を仕込み、少量の空気を吹き込み加熱しながら徐々に減圧および加熱し水と余剰のメチルメタクリレートを回収した。回収中の塔頂部圧力は45.3〜4.8kPa、釡液温度は69.3〜118.1℃であった。次に釡液温度を84℃にまで下げ、塔頂部圧力を0.1kPaにまで下げて2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の回収を行った。蒸留前半の留分を7.74g初留として分取し、残りの留分を主留として96.42g得た。最終的な蒸留塔の塔頂部の圧力は0.1kPa、釜液温度は89.3℃であった。
実施例20で得られた反応液、硫酸アンモニウム水溶液および純水接触後の有機相の組成および得られた初留と主留の組成を表4に示す。
Figure 0006753193
実施例21
実施例1と同様の方法により2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)135.11g、Zn−アセチルアセトナート触媒7.905g、メチルメタクリレート(MMA)450.45g、4−ヒドロキシテトラメチルピペリジン−N−オキシル0.4450g、n−ヘキサン20.00gより512.90gの反応液を得た。反応液のGC分析を行ったところ、メチルメタクリレート(MMA)が50.9重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.3重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が42.5重量%、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)が1.8重量%含まれていた。従って、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)の反応転化率は98.8%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)基準の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の収率は91.8%(モル基準で計算)、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)の収率は2.7%と算出された。
このようにして得られた反応液のうち254.20gを500mLの分液漏斗に移し、10重量%塩化アンモニウム水溶液76.21gを加えて激しく振盪させ、その後しばらく静置させた。この処理で用いた10重量%塩化アンモニウム水溶液の重量は反応液に含まれると考えられるZn−アセチルアセトナート触媒の重量の19.5倍であり、10重量%塩化アンモニウム水溶液中に含まれていた一般式(1)で表されるカチオンのモル比は、反応液に含まれると考えられるZn−アセチルアセトナート触媒に対しての9.6であった。
有機相と水相はそれぞれ概ね透明な溶液となったが、上相の有機相と下相の水相の界面に少量の白色固体が残存し相分離に若干時間を要する状態であった。界面の白色固体はなるべく上相の有機相の方に残すようにして、下相の水相を系外に除き、新たにイオン交換水100gを加えて激しく振盪させ、その後しばらく静置させた。すると、内容物は上相が有機相、下相が水相となり、それぞれ透明な溶液として二相分離したが、界面の白色固体は残存したままであった。界面の白色固体はなるべく上相の有機相の方に残すようにして、下相の水相を系外に除く操作を行い、上相より261.54gの有機相を得た。
得られた有機相のGC分析を行ったところ、メチルメタクリレート(MMA)が49.5重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.1重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が40.5重量%、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)が1.7重量%含まれていた。
乾燥空気導入管、温度計、蒸留塔(内径25mm×高さ300mm、6mmマクマホンパッキン充填の充填塔)および蒸留ヘッドを備えた、500mLの三口フラスコに、得られた有機相全量を仕込み、少量の空気を吹き込み加熱しながら徐々に減圧および加熱し水と余剰のメチルメタクリレートを回収した。回収中の塔頂部圧力は42.7〜4.0kPa、釡液温度は66.6〜101.8℃であった。次に釡液温度を85℃にまで下げ、塔頂部圧力を0.4kPaにまで下げて2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の回収を行った。蒸留前半の留分を6.73g初留として分取し、残りの留分を主留として98.31g得た。最終的な蒸留塔の塔頂部の圧力は0.3kPa、釜液温度は97.0℃であった。
実施例21で得られた反応液、塩化アンモニウム水溶液および純水接触後の有機相の組成および得られた初留と主留の組成を表5に示す。
Figure 0006753193
実施例22
実施例21で得られた512.90gの反応液のうち257.64gを500mLの分液漏斗に移し、10重量%炭酸水素アンモニウム水溶液350.00gを加えて激しく振盪させ、その後しばらく静置させた。この処理で用いた10重量%炭酸水素アンモニウム水溶液の重量は反応液に含まれると考えられるZn−アセチルアセトナート触媒の重量の88.1倍であり、10重量%炭酸水素アンモニウム水溶液中に含まれていた一般式(1)で表されるカチオンのモル比は、反応液に含まれると考えられるZn−アセチルアセトナート触媒に対しての29.4であった。
上相の有機相と下相の水相の界面に少量の白色固体が残存していたが、有機相と水相はそれぞれ透明な溶液となって相分離した。界面の白色固体はなるべく上相の有機相の方に残すようにして、下相の水相を系外に除き、新たにイオン交換水200.6gを加えて激しく振盪させ、その後しばらく静置させた。すると、内容物は上相が有機相、下相が水相となり、それぞれ透明な溶液として二相分離した。界面に少量残存した白色固体はなるべく上相の有機相の方に残すようにして、下相の水相を系外に除く操作を行い、上相より254.42gの有機相を得た。
得られた有機相のGC分析を行ったところ、メチルメタクリレート(MMA)が50.3重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.0重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が39.9重量%、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)が1.8重量%含まれていた。
乾燥空気導入管、温度計、蒸留塔(内径25mm×高さ300mm、6mmマクマホンパッキン充填の充填塔)および蒸留ヘッドを備えた、500mLの三口フラスコに、得られた有機相全量を仕込み、少量の空気を吹き込み加熱しながら徐々に減圧および加熱し水と余剰のメチルメタクリレートを回収した。回収中の塔頂部圧力は49.4〜5.3kPa、釡液温度は70.1〜108.2℃であった。次に釡液温度を80℃にまで下げ、塔頂部圧力を0.4kPaにまで下げて2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の回収を行った。蒸留前半の留分を4.99g初留として分取し、残りの留分を主留として93.50g得た。最終的な蒸留塔の塔頂部の圧力は0.2kPa、釜液温度は95.2℃であった。
実施例22で得られた反応液、炭酸水素アンモニウム水溶液および純水接触後の有機相の組成および得られた初留と主留の組成を表6に示す。
Figure 0006753193
実施例23
実施例1と同様の方法により2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)45.12g、Zn−アセチルアセトナート触媒5.278g、ブチルメタクリレート(BMA)213.55g、4−ヒドロキシテトラメチルピペリジン−N−オキシル0.2598gより198.75gの反応液を得た。反応液のGC分析を行ったところ、ブチルメタクリレート(BMA)が57.7重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.2重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が32.1重量%、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)が5.7重量%含まれていた。従って、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)の反応転化率は99.2%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)基準の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の収率は80.7%(モル基準で計算)、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)の収率は10.0%と算出された。
このようにして得られた反応液全量を1000mLの分液漏斗に移し、10重量%塩化アンモニウム水溶液330.0gを加えて激しく振盪させ、その後しばらく静置させた。この処理で用いた10重量%塩化アンモニウム水溶液の重量は反応液に含まれると考えられるZn−アセチルアセトナート触媒の重量の62.5倍であり、10重量%塩化アンモニウム水溶液中に含まれていた一般式(1)で表されるカチオンのモル比は、反応液に含まれると考えられるZn−アセチルアセトナート触媒に対しての30.8であった。
有機相と水相はそれぞれ概ね透明な溶液となった。下相の水相を系外に除き、新たにイオン交換水200gを加えて激しく振盪させ、その後しばらく静置させた。すると、内容物は上相が有機相、下相が水相となり、それぞれ透明な溶液として二相分離した。下相の水相を系外に除いた後、さらにもう一度、イオン交換水200gを加えて激しく振盪させた後、しばらく静置して上相の有機相と下相の水相に分離させ、下相の水相を系外に除く操作を行い、上相より180.54gの有機相を得た。
得られた有機相のGC分析を行ったところ、ブチルメタクリレート(BMA)が62.0重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコール(IBG)が0.0重量%、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)が26.6重量%、2−メチルプロパン−1,2−ジイルビス(メタクリレート)(DE)が6.0重量%含まれていた。
乾燥空気導入管、温度計、蒸留塔(内径25mm×高さ300mm、6mmマクマホンパッキン充填の充填塔)および蒸留ヘッドを備えた、500mLの三口フラスコに、得られた有機相全量を仕込み、少量の空気を吹き込み加熱しながら徐々に減圧および加熱し水と余剰のブチルメタクリレート(BMA)を回収した。回収中の塔頂部圧力は15.4〜2.7kPa、釡液温度は75.8〜99.8℃であった。次に釡液温度を85.1℃にまで下げ、塔頂部圧力を0.4kPaにまで下げて2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルメタクリレート(HBMA)の回収を行った。蒸留前半の留分を4.36g初留として分取し、残りの留分を主留として37.40g得た。最終的な蒸留塔の塔頂部の圧力は0.4kPa、釜液温度は93.6℃であった。
実施例23で得られた反応液、塩化アンモニウム水溶液および純水接触後の有機相の組成および得られた初留と主留の組成を表7に示す。
Figure 0006753193
Figure 0006753193
上記表8において、室温とは、反応液にアンモニウム塩を添加する際に、加熱も冷却もしなかったことを意味している。
実施例4〜7および15〜19における水溶液の塩濃度とは、水とアンモニウム塩の合計重量に対するアンモニウム塩の重量(単位:重量%)を示している。
NH4 +/Znとは、反応液に含まれるZn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比(一般式(1)で表されるカチオンのモル量/Zn−アセチルアセトナート触媒のモル量)を示している。

Claims (10)

  1. Zn−アセチルアセトナート触媒の存在下、20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルと、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールおよび/または3−メチル−1,3−ブタンジオールとを反応せしめた反応液に対し、下記一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩と水を接触させた後、水相を除去することを含む、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートの製造方法。
    一般式(1)
    Figure 0006753193
  2. 前記2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールおよび/または3−メチル−1,3−ブタンジオールは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記水相を除去した後に、蒸留を行って、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートの精製を行う、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルを構成するアルコール由来の炭化水素基の炭素数が1〜4である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩が塩化アンモニウムおよび硫酸アンモニウムの少なくとも一方である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記反応液に含まれるZn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比である、一般式(1)で表されるカチオンのモル量/Zn−アセチルアセトナート触媒のモル量が、10.0〜100.0の範囲である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記反応液に含まれるZn−アセチルアセトナート触媒に対する一般式(1)で表されるカチオンのモル比である、一般式(1)で表されるカチオンのモル量/Zn−アセチルアセトナート触媒のモル量が、20.0〜100.0の範囲である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩と水として、一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩の水溶液を用いる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. Zn−アセチルアセトナート触媒の存在下、20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルと、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピルアルコールおよび/または3−メチル−1,3−ブタンジオールとを反応せしめた反応液に対し、下記一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩と水を接触させた後、水相を除去することを含む、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートの精製方法。
    Figure 0006753193
  10. 20℃で液体の(メタ)アクリル酸エステルと、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートと、下記一般式(1)で表されるカチオンを有するアンモニウム塩と、水とを含む組成物。
    Figure 0006753193
JP2016149727A 2016-07-29 2016-07-29 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロピル(メタ)アクリレートおよび/または3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチル(メタ)アクリレートの製造方法、ならびに、精製方法および組成物 Active JP6753193B2 (ja)

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