以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
まず、図1および図2を参照して、第1実施形態によるチョッパ回路100の構成について説明する。図1では、チョッパ回路100の電気回路図を示している。
(第1実施形態のチョッパ回路の構成)
図1に示すように、チョッパ回路100は、直流出力回路1を備えている。チョッパ回路100は、直流出力回路1の電圧を昇圧して負荷101に印加するように構成されている。また、チョッパ回路100は、いわゆる3レベル昇圧チョッパ回路として構成されている。なお、「回路」とは、一般的に導体を終端がないように接続したものをいうが、本願明細書では、「回路」を、終端がある場合も含む「電流の通路」を意味する広い概念として記載している。また、チョッパ回路100は、特許請求の範囲の「3レベルチョッパ回路」の一例である。
直流出力回路1は、直流電源またはコンデンサにより構成されている。そして、直流出力回路1がコンデンサにより構成されている場合には、さらに別個に、交流電源または直流電源が設けられていてもよい。たとえば、交流電源として回転電機が設けられている場合には、チョッパ回路100は、回転電機からの電力を負荷101(たとえば、バッテリ等)に回生するように構成されている。
負荷101は、たとえば、バッテリー(直流電源)により構成されていてもよいし、複数のスイッチング素子を含むインバータおよび電動機の組み合わせにより構成されていてもよい。負荷101がバッテリーにより構成されている場合には、負荷101は、直流出力回路1からの電力(回生電力)を充電するように構成されている。また、負荷101が電動機を含む場合には、負荷101は、電力を消費して、駆動するように構成されている。
チョッパ回路100は、リアクトル2を備えている。リアクトル2は、直流出力回路1と直列に接続されている。
チョッパ回路100は、負荷101に並列に接続されているコンデンサ回路3を備えている。コンデンサ回路3は、直列に接続されている、コンデンサ3aとコンデンサ3bとを含む。具体的には、コンデンサ3aとコンデンサ3bとは、負荷101の両端に接続されている。すなわち、コンデンサ3aの正極とコンデンサ3bの負極とがそれぞれ負荷101の両端に接続され、コンデンサ3aの負極とコンデンサ3bの正極とが互いに接続されている。なお、コンデンサ3aおよびコンデンサ3bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1コンデンサ」および「第2コンデンサ」の一例である。
チョッパ回路100は、リアクトル2を介して直流出力回路1の両端に接続されている逆阻止IGBT部4を備えている。逆阻止IGBT部4は、コンデンサ3aの正極に接続されているとともに直流出力回路1の正極に接続されている逆阻止IGBT4aを含む。なお、逆阻止IGBT4aは、後述する双方向IGBTモジュール6aを介して、コンデンサ3aの正極に接続されている。また、逆阻止IGBT部4は、コンデンサ3bの負極に接続されているとともに直流出力回路1の負極に接続されている逆阻止IGBT4bを含む。なお、逆阻止IGBT4bは、後述する双方向IGBTモジュール6bを介して、コンデンサ3bの負極に接続されている。なお、逆阻止IGBT4aおよび逆阻止IGBT4bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1逆阻止通電制御素子」および「第2逆阻止通電制御素子」の一例である。
具体的には、リアクトル2の一方端と逆阻止IGBT4aのコレクタとが接続されている。また、逆阻止IGBT4aのエミッタと逆阻止IGBT4bのコレクタとが接続されている。また、逆阻止IGBT4bのエミッタと直流出力回路1の負極とが接続されている。また、直流出力回路1の正極とリアクトル2の他方端とが接続されている。
チョッパ回路100は、逆阻止IGBT部4と逆並列に接続されている逆並列逆阻止IGBT部5を備える。逆並列逆阻止IGBT部5は、逆阻止IGBT4aと逆並列に接続されている逆並列逆阻止IGBT5aを含む。また、逆並列逆阻止IGBT部5は、逆阻止IGBT4bと逆並列に接続されている逆並列逆阻止IGBT5bを含む。なお、逆並列逆阻止IGBT5aおよび逆並列逆阻止IGBT5bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1逆並列逆阻止通電制御素子」および「第2逆並列逆阻止通電制御素子」の一例である。
チョッパ回路100は、逆阻止IGBT部4および逆並列逆阻止IGBT部5と直列に接続されている整流素子部6を備える。整流素子部6は、逆阻止IGBT4aおよび逆並列逆阻止IGBT5aと直列に接続されている双方向IGBTモジュール6aを含む。双方向IGBTモジュール6aは、逆阻止IGBT4cと、逆阻止IGBT4cに逆並列に接続された逆並列逆阻止IGBT5cとにより構成されている。また、整流素子部6は、逆阻止IGBT4bおよび逆並列逆阻止IGBT5bと直列に接続されている双方向IGBTモジュール6bを含む。双方向IGBTモジュール6bは、逆阻止IGBT4dと、逆阻止IGBT4dに逆並列に接続された逆並列逆阻止IGBT5dとにより構成されている。なお、双方向IGBTモジュール6aおよび双方向IGBTモジュール6bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1整流素子」および「第2整流素子」の一例である。
また、逆阻止IGBT4aと逆並列逆阻止IGBT5aとにより、双方向IGBTモジュール6cが構成されている。また、逆阻止IGBT4bと逆並列逆阻止IGBT5bとにより、双方向IGBTモジュール6dが構成されている。
コンデンサ3aは、正極が双方向IGBTモジュール6aのカソードに接続されているとともに、負極が逆阻止IGBT4aと逆阻止IGBT4bとの接続点Aに接続されている。具体的には、逆並列逆阻止IGBT5cのエミッタとコンデンサ3aの正極とが接続されている。なお、逆阻止IGBT4aのコレクタと逆並列逆阻止IGBT5cのコレクタとが接続されている。
また、コンデンサ3bは、正極が接続点Aに接続されているとともに、負極が双方向IGBTモジュール6bのアノードに接続されている。具体的には、コンデンサ3bの負極と逆並列逆阻止IGBT5dのコレクタとが接続されている。なお、逆並列逆阻止IGBT5dのエミッタは、逆阻止IGBT4bのエミッタに接続されている。
チョッパ回路100は、コンデンサ回路3の電圧値を検出する電圧検出部7を備える。電圧検出部7は、コンデンサ3aの正極、および、コンデンサ3bの正極に接続されており、コンデンサ3aの正極の電圧値Vc1、および、コンデンサ3bの正極の電圧値Vc2を検出するように構成されている。そして、電圧検出部7は、検出した電圧値Vc1およびVc2を後述する制御部9に伝達するように構成されている。
チョッパ回路100は、コンデンサ回路3と直流出力回路1との間の電流の値および向きを検出する電流検出部8を備える。具体的には、電流検出部8は、リアクトル2に流れる電流の流れる向き(図1の矢印C1方向および矢印C2方向)と、リアクトル2に流れる電流の電流値ILとを検出することが可能に構成されている。そして、電流検出部8は、検出した電流の流れる向きと、電流値ILとを後述する制御部9に伝達するように構成されている。なお、電流検出部8は、特許請求の範囲の「短絡検出部」の一例である。
チョッパ回路100は、電圧検出部7および電流検出部8からの信号を受信するとともに、各逆阻止IGBTのオンオフを制御する制御部9を備える。なお、制御部9は、特許請求の範囲の「短絡検出部」の一例である。
〈制御部の構成〉
制御部9は、逆阻止IGBT4a、逆阻止IGBT4b、逆阻止IGBT4c、逆阻止IGBT4d、逆並列逆阻止IGBT5a、逆並列逆阻止IGBT5b、逆並列逆阻止IGBT5c、および、逆並列逆阻止IGBT5dのゲートに接続されており、上記8つのIGBT素子のオンオフを制御するように構成されている。制御部9は、逆阻止IGBT4aおよび逆阻止IGBT4bのオンオフ(スイッチング動作)の時比率(デューティ)を制御することにより、チョッパ回路100の負荷101に対する、電圧値(昇圧)および電流値(リアクトル2に流れる電流値IL)が調整(制御)される。また、逆並列逆阻止IGBT5a、および、逆並列逆阻止IGBT5bは、逆阻止IGBT4a、および、逆阻止IGBT4bのオフ時に、逆電圧がかかるため、逆耐圧を高め逆漏れ電流が小さくなるように、オンの状態にされる。また、逆阻止IGBT4cおよび逆阻止IGBT4dはオフの状態にされ、逆並列逆阻止IGBT5cおよび逆並列逆阻止IGBT5dはオンの状態にされることにより、双方向IGBTモジュール6a、および、双方向IGBTモジュール6bは、整流機能を示すようにされている。
制御部9は、電流検出部8の検出結果に基づいて、双方向IGBTモジュール6aの短絡、および、双方向IGBTモジュール6bの短絡を検出するように構成されている。具体的には、制御部9は、逆阻止IGBT4aおよび逆阻止IGBT4bのオンオフ動作に関わらず、リアクトル2に電流が流れている場合に、双方向IGBTモジュール6aまたは双方向IGBTモジュール6bのいずれかにおいて短絡が生じていると判断する制御を行う。
たとえば、制御部9は、電流値ILと予め記憶された所定のしきい値ILtとを比較して、電流値ILが所定のしきい値ILtを超えた場合を、短絡として検出する。この場合、制御部9は、電流値ILが所定のしきい値ILtを超えた時点と、双方向IGBTモジュール6cおよび双方向IGBTモジュール6dの動作状態とを対応付けて、双方向IGBTモジュール6aまたは双方向IGBTモジュール6bのいずれが短絡したかを検出する(判断する)ように構成されている。なお、所定のしきい値ILtは1つの値に限られず、複数の値設けられていてもよい。
ここで、双方向IGBTモジュール6aが短絡故障した場合でかつコンデンサ3aの電圧値Vc1が直流出力回路1の電圧値Vaよりも大きい場合には、コンデンサ3a、短絡した双方向IGBTモジュール6a、リアクトル2、直流出力回路1、および、双方向IGBTモジュール6dの順に、電流が逆流する。この時、逆並列逆阻止IGBT5bをオンの状態にした場合には、双方向IGBTモジュール6aの短絡故障した箇所を電流が流れることで故障の拡大の原因になる場合がある。また、双方向IGBTモジュール6bが短絡故障した場合も、コンデンサ3bの電圧値Vc2が直流出力回路1の電圧値Vaよりも大きい場合でかつ逆並列逆阻止IGBT5aをオンした場合には、双方向IGBTモジュール6bの故障の拡大の原因になる。なお、電圧値Vaの情報は、チョッパ回路100に予め記憶されていてもよいし、電圧検出部を設けて取得されるように構成してもよい。
そこで、第1実施形態では、制御部9は、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合に、逆阻止IGBT4bおよび逆並列逆阻止IGBT5bのオンオフを制御する。また、制御部9は、双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合に、逆阻止IGBT4aおよび逆並列逆阻止IGBT5aのオンオフを制御する。これらにより、制御部9は、コンデンサ回路3から直流出力回路1側に逆流する電流の経路を遮断する。
具体的には、制御部9は、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ3aの電圧値Vc1が直流出力回路1の正極の電圧値Vaよりも大きい場合に、逆並列逆阻止IGBT5bをオフする(切断状態にする)とともに、逆阻止IGBT4bをオンする。また、双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合で、かつ、電圧検出部7により検出されたコンデンサ3bの電圧値Vc2が直流出力回路1の正極の電圧値Vaよりも大きい場合に、逆並列逆阻止IGBT5aをオフする(切断状態にする)とともに、逆阻止IGBT4aをオンする。
また、第1実施形態では、制御部9は、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合、逆並列逆阻止IGBT5bをオンするときは逆阻止IGBT4bをオフするとともに、逆並列逆阻止IGBT5bをオフするときは逆阻止IGBT4bをオンする。また、双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合、逆並列逆阻止IGBT5aをオンするときは逆阻止IGBT4aをオフするとともに、逆並列逆阻止IGBT5aをオフするときは逆阻止IGBT4aをオンするように構成されている。すなわち、逆並列逆阻止IGBT5bおよび逆阻止IGBT4bが両方ともオンまたはオフになることはない。また、逆並列逆阻止IGBT5aおよび逆阻止IGBT4aが両方ともオンまたはオフになることはない。
また、第1実施形態では、制御部9は、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ3aの電圧値Vc1が直流出力回路1の正極の電圧値Vaよりも大きい場合に、電流検出部8により検出された電流の向きが反転したことに基づいて、逆並列逆阻止IGBT5bをオフするとともに、逆阻止IGBT4bをオンする。また、制御部9は、双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ3bの電圧値Vc2が直流出力回路1の正極の電圧値Vaよりも大きい場合に、電流検出部8により検出された電流の向きが反転したことに基づいて、逆並列逆阻止IGBT5aをオフするとともに、逆阻止IGBT4aをオンする。
これにより、双方向IGBTモジュール6aが短絡故障した場合に、コンデンサ3aから直流出力回路1に電流が逆流する時点までは、逆並列逆阻止IGBT5bはオンされる。その結果、逆並列逆阻止IGBT5bの逆漏れ電流を小さくすることが可能である。同様に、双方向IGBTモジュール6bが短絡故障した場合には、逆並列逆阻止IGBT5aの逆漏れ電流を小さくすることが可能である。
具体的には、制御部9は、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ3aの電圧値Vc1が直流出力回路1の正極の電圧値Vaよりも大きい場合に、電流検出部8が検出する電流の流れる向きが、コンデンサ3aを充電する向き(図1の矢印C1方向)からコンデンサ3aから放電される向き(図1の矢印C2方向)に反転したことに基づいて(反転する時点に)、逆並列逆阻止IGBT5bをオン(順導通状態)からオフ(切断状態)に切り替えるとともに、逆阻止IGBT4bをオフ(切断状態)からオン(順導通状態)に切り替える制御を行うように構成されている。この時、制御部9は、双方向IGBTモジュール6cを順方向オフの状態(逆阻止IGBT4aはオフ、逆並列逆阻止IGBT5aはオンの状態)にしている。
これにより、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合において、逆並列逆阻止IGBT5bに逆流した電流が流れようとする際には、逆並列逆阻止IGBT5bは、切断状態にされているので、電流が流れることがない。また、コンデンサ3aを充電している間は逆阻止IGBT4bがオフするので、直流出力回路1からコンデンサ3aのみを充電する向きに電流が流れることに起因して双方向IGBTモジュール6aに大きな電流が流れることを抑制することが可能である。
また、逆並列逆阻止IGBT5bが逆流しようとする電流を阻止しているとき、逆阻止IGBT4bには逆漏れ電流が流れる。逆阻止IGBT4bがオフ状態の時には逆漏れ電流は大きいため、双方向IGBTモジュール6aの短絡故障した箇所を電流が流れることによる故障の拡大につながる可能性がある。また、オフ状態では逆耐圧も小さいため、降伏して電流が流れ、逆阻止IGBT4bの故障や双方向IGBTモジュール6aの故障の拡大の可能性もある。そのため、逆阻止IGBT4bをオンの状態にすることで逆耐圧を高め逆漏れ電流を小さくしている。
また、制御部9は、双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ3bの電圧値Vc2が直流出力回路1の正極の電圧値Vaよりも大きい場合に、電流検出部8が検出する電流の流れる向きが、コンデンサ3bを充電する向き(図1の矢印C1方向)からコンデンサ3bから放電される向き(図1の矢印C2方向)に反転したことに基づいて(反転する時点に)、逆並列逆阻止IGBT5aをオン(順導通状態)からオフ(切断状態)に切り替えるとともに、逆阻止IGBT4aをオフ(切断状態)からオン(順導通状態)に切り替える制御を行うように構成されている。この時、制御部9は、双方向IGBTモジュール6dを順方向オフの状態(逆阻止IGBT4bはオフ、逆並列逆阻止IGBT5bはオンの状態)にしている。
これにより、双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合において、逆並列逆阻止IGBT5aに逆流した電流が流れようとする際には、逆並列逆阻止IGBT5aは、切断状態にされているので、電流が流れることがない。また、コンデンサ3bを充電している間は逆阻止IGBT4aがオフするので、直流出力回路1からコンデンサ3bのみ充電する向きに電流が流れることに起因して双方向IGBTモジュール6bに大きな電流が流れることを抑制することが可能である。
また、逆並列逆阻止IGBT5aが逆流しようとする電流を阻止しているとき、逆阻止IGBT4aには逆漏れ電流が流れる。そのため、逆阻止IGBT4aをオンの状態にすることで逆耐圧を高め逆漏れ電流を小さくしている。
また、第1実施形態では、制御部9は、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ3aの電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値以下の場合には、コンデンサ3aから電流は逆流しないので、逆並列逆阻止IGBT5bをオンする。また、この時、逆阻止IGBT4bをオフすることによって、直流出力回路1からコンデンサ3aのみを充電することに起因して双方向IGBTモジュール6aに大きな電流が流れることを抑制することが可能である。
また、制御部9は、双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ3bの電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値以下の場合には、コンデンサ3bから電流は逆流しないので、逆並列逆阻止IGBT5aをオンするように構成されている、また、この時、逆阻止IGBT4aはオフすることによって、直流出力回路1からコンデンサ3bのみを充電することに起因して双方向IGBTモジュール6bに大きな電流が流れることを抑制することが可能である。
(昇圧チョッパ回路の動作)
〈通常運転時の動作〉
次に、図1を参照して、第1実施形態によるチョッパ回路100の通常運転時の動作について説明する。チョッパ回路100の動作は、制御部9の制御処理により実行される。
まず、逆阻止IGBT4aがオンされ、かつ、逆阻止IGBT4bがオフされると、直流出力回路1、リアクトル2、逆阻止IGBT4a、コンデンサ3b、逆並列逆阻止IGBT5dの順で電流が流れる。
そして、逆阻止IGBT4aがオフされ、かつ、逆阻止IGBT4bがオンされると、直流出力回路1、リアクトル2、逆並列逆阻止IGBT5c、コンデンサ3a、逆阻止IGBT4bの順で電流が流れる。
そして、逆阻止IGBT4aがオンされ、かつ、逆阻止IGBT4bがオンされると、直流出力回路1、リアクトル2、逆阻止IGBT4a、逆阻止IGBT4bの順で電流が流れる。
そして、逆阻止IGBT4aがオフされ、かつ、逆阻止IGBT4bがオフされると、直流出力回路1、リアクトル2、逆並列逆阻止IGBT5c、コンデンサ3a、コンデンサ3b、逆並列逆阻止IGBT5dの順で電流が流れる。
チョッパ回路100では、上記の動作のそれぞれの期間(時比率)が制御部9により制御されるとともに、上記の動作が繰り返されることにより、直流出力回路1の電圧から昇圧された(電力変換された)電力が負荷101に供給される。
〈短絡検出時の動作〉
次に、図1および図2を参照して、第1実施形態によるチョッパ回路100の短絡検出時の動作について説明する。チョッパ回路100の動作は、制御部9の制御処理により実行される。
図2に示すように、まず、ステップS1において、双方向IGBTモジュール6aの短絡を検出したか否かが判断される。双方向IGBTモジュール6aの短絡を検出していない場合、ステップS2に進み、双方向IGBTモジュール6aの短絡を検出した場合、ステップS3に進む。
そして、ステップS2において、双方向IGBTモジュール6bの短絡を検出したか否かが判断される。双方向IGBTモジュール6bの短絡を検出した場合、ステップS8に進み、双方向IGBTモジュール6bの短絡を検出していない場合、チョッパ回路100の短絡検出時の動作は終了される。
なお、上記ステップS1およびS2を、上記の通常運転時の動作中に繰り返すことにより、通常運転時の動作中に短絡を検出することが可能である。
また、ステップS1において双方向IGBTモジュール6aの短絡を検出した場合に進むステップS3において、コンデンサ3aの電圧値Vc1が直流出力回路1の正極の電圧値Vaよりも大きいか否かが判断される。電圧値Vc1が電圧値Vaよりも大きい場合には、ステップS4に進み、電圧値Vc1が電圧値Va以下の場合には、ステップS7に進む。
そして、ステップS4において、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ3aを充電する向きか否かが判断される。すなわち、リアクトル2に流れる電流の向きが、コンデンサ3aを充電する向き(図1の矢印C1方向)か、コンデンサ3aから放電される向き(矢印C2方向)かが判断される。そして、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ3aを充電する向きの場合、ステップS5に進み、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ3aを充電する向きでない場合、ステップS6に進む。
そして、ステップS5において、逆阻止IGBT4aおよび逆阻止IGBT4bが共にオフにされる。このとき、逆並列逆阻止IGBT5aおよび逆並列逆阻止IGBT5bには逆電圧がかかるため、通常動作時同様に、それぞれオンの状態にされる。これにより、双方向IGBTモジュール6cおよび双方向IGBTモジュール6dは順方向オフの状態にされる。ここで、図1に示すように、双方向IGBTモジュール6aが短絡故障した場合でも、しばらくの間は、コンデンサ3aを充電する向き(直流出力回路1、リアクトル2、短絡故障した双方向IGBTモジュール6a、コンデンサ3a、コンデンサ3b、逆並列逆阻止IGBT5dの順)に電流が流れるので、直流出力回路1、コンデンサ3a、コンデンサ3bとリアクトル2との共振回路となる。逆阻止IGBT4aをオンにすると、コンデンサ3aが短絡し放電してしまって、双方向IGBTモジュール6aの故障箇所に大きな電流が流れる。また、直流出力回路1とコンデンサ3bとリアクトル2との共振回路となり、コンデンサ3bの電圧が通常動作時よりも大きい電圧にまで充電されてしまう。逆阻止IGBT4bをオンにすると、直流出力回路1とコンデンサ3aとリアクトル2との共振回路となり、コンデンサ3aの電圧が通常動作時よりも大きい電圧にまで充電されてしまうとともに、充電の際に双方向IGBTモジュール6aの故障箇所に流れる電流も大きなものとなる。逆阻止IGBT4aと逆阻止IGBT4bを共にオンにすると、コンデンサ3aが短絡し放電するとともに、直流出力回路1がリアクトル2を介して短絡して電流が増大してしまう。そこで、逆阻止IGBT4aおよび逆阻止IGBT4bが共にオフにされる。
なお、ステップS5において、逆並列逆阻止IGBT5dもオフすることで双方向IGBTモジュール6aに流れる電流を止めようとするのは、リアクトル2の電流を切断しようとすることになるため、困難である。そのため、リアクトル2の電流がコンデンサ3aを充電する向きに流れている間は、逆並列逆阻止IGBT5dをオンの状態にしておく。
その後、ステップS4に戻る。すなわち、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ3aを充電する向きでない状態になるまで、ステップS4およびS5を繰り返し、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ3aを充電する向きから放電する向きに反転した時点に、ステップS6に進む。なお、コンデンサ3aを充電する向きから放電する向きに反転した時点とは、電流が逆流を開始した時点である。
そして、ステップS6において、双方向IGBTモジュール6cが順方向オフにされる一方、双方向IGBTモジュール6dは、逆方向オフにされる。すなわち、逆阻止IGBT4bはオン、逆並列逆阻止IGBT5bはオフにされる。これにより、コンデンサ3a、短絡した双方向IGBTモジュール6a、リアクトル2、直流出力回路1の順に逆流しようとする電流が流れなくなる。その後、チョッパ回路100の短絡検出時の動作が終了される。
また、ステップS3において電圧値Vc1が電圧値Va以下の場合に進むステップS7において、双方向IGBTモジュール6cおよび双方向IGBTモジュール6dが共に順方向オフ(逆阻止IGBT4aがオフ、逆並列逆阻止IGBT5aがオン、逆阻止IGBT4bがオフ、逆並列逆阻止IGBT5bがオン)にされる。この場合、電流は略逆流しないので、双方向IGBTモジュール6cおよび双方向IGBTモジュール6dが共に順方向オフにされることにより、チョッパ回路100の動作が停止される。その後、チョッパ回路100の短絡検出時の動作が終了される。
そして、ステップS2において双方向IGBTモジュール6bの短絡を検出した場合に進むステップS8において、コンデンサ3bの電圧値Vc2が直流出力回路1の正極の電圧値Vaよりも大きいか否かが判断される。電圧値Vc2が電圧値Vaよりも大きい場合には、ステップS9に進み、電圧値Vc2が電圧値Va以下の場合には、ステップS12に進む。
そして、ステップS9において、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ3bを充電する向きか否かが判断される。リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ3bを充電する向きの場合、ステップS10に進み、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ3bを充電する向きでない場合、ステップS11に進む。
そして、ステップS10において、双方向IGBTモジュール6cおよび双方向IGBTモジュール6dが共に順方向オフ(逆阻止IGBT4aがオフ、逆並列逆阻止IGBT5aがオン、逆阻止IGBT4bがオフ、逆並列逆阻止IGBT5bがオン)にされる。その後、ステップS9に戻る。
そして、ステップS11において、双方向IGBTモジュール6cが逆方向オフ(逆阻止IGBT4aがオン、逆並列逆阻止IGBT5aがオフ)にされ、かつ、双方向IGBTモジュール6dが、順方向オフ(逆阻止IGBT4bがオフ、逆並列逆阻止IGBT5bがオン)にされる。これにより、コンデンサ3b、双方向IGBTモジュール6c、リアクトル2、直流出力回路1、短絡した双方向IGBTモジュール6bの順に逆流しようとする電流が流れなくなる。その後、チョッパ回路100の短絡検出時の動作が終了される。
また、ステップS8において電圧値Vc2が電圧値Va以下の場合に進むステップS12において、双方向IGBTモジュール6cおよび双方向IGBTモジュール6dが共に順方向オフ(逆阻止IGBT4aがオフ、逆並列逆阻止IGBT5aがオン、逆阻止IGBT4bがオフ、逆並列逆阻止IGBT5bがオン)にされる。その後、チョッパ回路100の短絡検出時の動作が終了される。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、制御部9が、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合に、逆阻止IGBT4bのオンオフを制御し、双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合に、逆阻止IGBT4aのオンオフを制御することにより、制御部9によりコンデンサ回路3から直流出力回路1側に逆流する電流の経路を遮断するように、チョッパ回路100を構成する。これにより、双方向IGBTモジュール6aまたは双方向IGBTモジュール6bの短絡故障した箇所に電流が流れることを抑制することができる。その結果、双方向IGBTモジュール6aまたは双方向IGBTモジュール6bの故障の後の故障の拡大を抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部9が、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路3の電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値よりも大きい場合に、逆阻止IGBT4bのオンオフを制御する。そして、双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路3の電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値よりも大きい場合に、逆阻止IGBT4aのオンオフを制御するように、チョッパ回路100を構成する。ここで、コンデンサ回路3の電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値よりも大きい場合に、コンデンサ回路3から直流出力回路1側に電流が逆流する。したがって、コンデンサ回路3の電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値よりも大きい場合に、逆阻止IGBT4aまたは逆阻止IGBT4bのオンオフを制御部9により制御することによって、電流の逆流を適切に切断することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部9が、電流検出部8により双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路3の電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値よりも大きい場合に、電流検出部8により検出された電流の向きが反転したことに基づいて、逆阻止IGBT4bのオンオフを制御する。そして、電流検出部8により双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路3の電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値よりも大きい場合に、電流検出部8により検出された電流の向きが反転したことに基づいて、逆阻止IGBT4aのオンオフを制御するように、チョッパ回路100を構成する。これにより、電流の向きが反転したことに基づいて、逆阻止IGBT4aまたは逆阻止IGBT4bのオンオフを制御することによって、電流の逆流を直接的に検知して制御を行うことができるので、電流の逆流をより適切に切断することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部9が、電流検出部8により双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路3の電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値よりも大きい場合に、電流検出部8により検出された電流の向きが、コンデンサ回路3を充電する向きからコンデンサ回路3を放電する向きに反転したことに基づいて、逆阻止IGBT4bのオンオフを制御する。そして、電流検出部8により双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路3の電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値よりも大きい場合に、電流検出部8により検出された電流の向きが、コンデンサ回路3を充電する向きからコンデンサ回路3を放電する向きに反転したことに基づいて、逆阻止IGBT4aのオンオフを制御するように、チョッパ回路100を構成する。これにより、コンデンサ回路3から直流出力回路1側への電流の逆流を直接的に検知して制御を行うことができるので、コンデンサ回路3から直流出力回路1側への電流の逆流をより適切に切断することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部9が、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合に、逆阻止IGBT4bをオンするとともに逆並列逆阻止IGBT5bをオフする。そして、双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合に、逆阻止IGBT4aをオンするとともに逆並列逆阻止IGBT5aをオフすることにより、コンデンサ回路3から直流出力回路1側に逆流する電流の経路を遮断するように、チョッパ回路100を構成する。これにより、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合に、逆並列逆阻止IGBT5bをオフすることによって、コンデンサ3aから直流出力回路1側への電流の逆流が、逆並列逆阻止IGBT5bによって遮断される。この時、逆阻止IGBT4bをオンすることによって、逆電圧のかかる逆阻止IGBT4bの逆漏れ電流を小さくし、逆耐圧を向上させ、故障を抑制することができる。また、双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合に、逆並列逆阻止IGBT5aをオフすることによって、コンデンサ3bから直流出力回路1側への電流の逆流が、逆並列逆阻止IGBT5aによって遮断される。この時、逆阻止IGBT4aをオンすることによって、逆電圧のかかる逆阻止IGBT4aの逆漏れ電流を小さくし、逆耐圧を向上させ、故障を抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部9が、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ3aの電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値以下の場合に、逆並列逆阻止IGBT5bをオンする。そして、双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ3bの電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値以下の場合に、逆並列逆阻止IGBT5aをオンするように、チョッパ回路100を構成する。
これにより、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合でかつコンデンサ3aの電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値以下の場合には、逆電圧のかかる逆並列逆阻止IGBT5bをオンすることにより、逆並列逆阻止IGBT5bの逆漏れ電流を小さくし、逆耐圧を向上させ、故障を抑制することができる。なお、コンデンサ3aの電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値以下の場合は、直流出力回路1に電流は逆流しないので、逆並列逆阻止IGBT5bをオンしても、双方向IGBTモジュール6aの故障の拡大を抑制することができる。また、双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合でかつコンデンサ3bの電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値以下の場合には、逆電圧のかかる逆並列逆阻止IGBT5aをオンすることにより、逆並列逆阻止IGBT5aの逆漏れ電流を小さくし、逆耐圧を向上させ、故障を抑制することができる。なお、コンデンサ3bの電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値以下の場合は、直流出力回路1に電流は逆流しないので、逆並列逆阻止IGBT5aをオンしても、双方向IGBTモジュール6bの故障の拡大を抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部9が、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出された場合、逆並列逆阻止IGBT5bをオンするときは逆阻止IGBT4bをオフするとともに、逆並列逆阻止IGBT5bをオフするときは逆阻止IGBT4bをオンする。そして、双方向IGBTモジュール6bの短絡が検出された場合、逆並列逆阻止IGBT5aをオンするときは逆阻止IGBT4aをオフするとともに、逆並列逆阻止IGBT5aをオフするときは逆阻止IGBT4aをオンするように、チョッパ回路100を構成する。これにより、逆阻止IGBT4a(逆阻止IGBT4b)および逆並列逆阻止IGBT5a(逆並列逆阻止IGBT5b)のうちの一方をオフすることにより電流の流れを遮断することによって、短絡箇所の故障の拡大を抑制することができるとともに、他方をオンすることにより逆漏れ電流を小さくすることができる。
[第2実施形態]
次に、図3および図4を参照して、第2実施形態によるチョッパ回路200の構成について説明する。第2実施形態のチョッパ回路200には、第1実施形態のチョッパ回路100の構成から、逆並列逆阻止IGBT5aと、逆並列逆阻止IGBT5bとが省かれている。また、整流素子として双方向IGBTモジュールが設けられていた第1実施形態とは異なり、整流素子としてダイオードが設けられている。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図3を参照して、第2実施形態によるチョッパ回路200の構成について説明する。図3では、チョッパ回路200の電気回路図を示している。なお、チョッパ回路200は、特許請求の範囲の「3レベルチョッパ回路」の一例である。
(第2実施形態によるチョッパ回路の構成)
図3に示すように、チョッパ回路200は、コンデンサ回路13を備える。コンデンサ回路13は、コンデンサ13aと、コンデンサ13bとを含む。なお、コンデンサ13aおよびコンデンサ13bは、それぞれ、上記第1実施形態のコンデンサ3aおよびコンデンサ3bと同様に構成されている。なお、コンデンサ13aおよびコンデンサ13bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第3コンデンサ」および「第4コンデンサ」の一例である。
チョッパ回路200は、逆阻止IGBT部14を備える。逆阻止IGBT部14は、逆阻止IGBT14aと、逆阻止IGBT14bとを含む。なお、逆阻止IGBT14aおよび逆阻止IGBT14bは、それぞれ、上記第1実施形態の逆阻止IGBT4aおよび逆阻止IGBT4bと同様に構成されている。なお、逆阻止IGBT14aおよび逆阻止IGBT14bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1逆阻止通電制御素子」および「第2逆阻止通電制御素子」の一例である。
また、チョッパ回路200は、逆阻止IGBT部14と直列に接続されている整流素子部16を備える。整流素子部16は、逆阻止IGBT14aと直列に接続されているダイオード16aを含む。また、整流素子部16は、逆阻止IGBT14bと直列に接続されているダイオード16bを含む。なお、ダイオード16aおよびダイオード16bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1整流素子」および「第2整流素子」の一例である。
ダイオード16aのカソードは、コンデンサ回路13のコンデンサ13aの正極に接続されている。また、ダイオード16bのアノードは、コンデンサ回路13のコンデンサ13bの負極に接続されている。
〈短絡検出時の動作〉
次に、図3および図4を参照して、第2実施形態によるチョッパ回路200の短絡検出時の動作について説明する。チョッパ回路200の動作は、制御部9aの制御処理により実行される。なお、制御部9aは、特許請求の範囲の「短絡検出部」の一例である。
図4に示すように、ステップS21において、ダイオード16aの短絡を検出したか否かが判断される。ダイオード16aの短絡を検出していない場合、ステップS22に進み、ダイオード16aの短絡を検出した場合、ステップS3に進む。
そして、ステップS22において、ダイオード16bの短絡を検出したか否かが判断される。ダイオード16bの短絡を検出した場合、ステップS28に進み、ダイオード16bの短絡を検出していない場合、チョッパ回路200の短絡検出時の動作は終了される。
なお、上記ステップS21およびS22を、上記の通常運転時の動作中に繰り返すことにより、通常運転時の動作中に短絡を検出することが可能である。
また、ステップS21においてダイオード16aの短絡を検出した場合に進むステップS23において、コンデンサ13aの電圧値Vc1が直流出力回路1の正極の電圧値Vaよりも大きいか否かが判断される。電圧値Vc1が電圧値Vaよりも大きい場合には、ステップS24に進み、電圧値Vc1が電圧値Va以下の場合には、ステップS27に進む。
そして、ステップS24において、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ13aを充電する向きか否かが判断される。そして、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ13aを充電する向きの場合、ステップS25に進み、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ13aを充電する向きでない場合、ステップS26に進む。
そして、ステップS25において、逆阻止IGBT14aおよび逆阻止IGBT14bが共にオフされる。これにより、逆阻止IGBT14bをオフすることにより、直流出力回路1からコンデンサ13aのみを充電する向きに電流が流れることに起因してダイオード16aの故障箇所に大きな電流が流れることを抑制することが可能である。
その後、ステップS24に戻る。すなわち、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ13aを充電する向きでない状態になるまで、ステップS24およびS25を繰り返し、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ13aを充電する向きから放電する向きに反転した時点に、ステップS26に進む。
そして、ステップS26において、逆阻止IGBT14bはオンされる。この時、逆阻止IGBT14bの逆耐圧が向上し、逆漏れ電流も略流れない。なお、この時、逆阻止IGBT14aはオフされる。その後、チョッパ回路200の短絡検出時の動作が終了される。
また、ステップS23において電圧値Vc1が電圧値Va以下の場合に進むステップS27において、逆阻止IGBT14aおよび逆阻止IGBT14bが共にオフされる。この場合、電流は略逆流しないので、逆阻止IGBT14aおよび逆阻止IGBT14bが共にオフされることにより、チョッパ回路200の動作が停止される。その後、チョッパ回路200の短絡検出時の動作が終了される。
そして、ステップS22においてダイオード16bの短絡を検出した場合に進むステップS28において、コンデンサ13bの電圧値Vc2が直流出力回路1の正極の電圧値Vaよりも大きいか否かが判断される。電圧値Vc2が電圧値Vaよりも大きい場合には、ステップS29に進み、電圧値Vc2が電圧値Va以下の場合には、ステップS32に進む。
そして、ステップS29において、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ13bを充電する向きか否かが判断される。リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ13bを充電する向きの場合、ステップS30に進み、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ13bを充電する向きでない場合、ステップS31に進む。
そして、ステップS30において、逆阻止IGBT14aおよび逆阻止IGBT14bが共にオフされる。その後、ステップS29に戻る。これにより、逆阻止IGBT14aをオフすることにより、直流出力回路1からコンデンサ13bのみを充電する向きに電流が流れることに起因してダイオード16bの故障箇所に大きな電流が流れることを抑制することが可能である。
そして、ステップS31において、逆阻止IGBT14aがオンされる。この時、逆阻止IGBT14aの逆耐圧が向上し、逆漏れ電流も略流れない。なお、この時、逆阻止IGBT14bはオフされる。これにより、コンデンサ13b、逆阻止IGBT14a、リアクトル2、直流出力回路1、短絡したダイオード16bの順に逆流しようとする電流が流れなくなる。その後、チョッパ回路200の短絡検出時の動作が終了される。
また、ステップS28において電圧値Vc2が電圧値Va以下の場合に進むステップS32において、逆阻止IGBT14aおよび逆阻止IGBT14bが共にオフされる。その後、チョッパ回路200の短絡検出時の動作が終了される。
また、第2実施形態によるチョッパ回路200のその他の構成は、第1実施形態におけるチョッパ回路100と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、制御部9aが、ダイオード16aの短絡が検出された場合に、逆阻止IGBT14bをオンし、ダイオード16bの短絡が検出された場合に、逆阻止IGBT14aをオンすることにより、コンデンサ回路13から直流出力回路1側に逆流する電流の経路を遮断するように構成されている。これにより、ダイオード16aが短絡故障して、コンデンサ13aから直流出力回路1に電流が逆流して流れようとし、逆阻止IGBT14bに逆電圧がかかる場合でも、逆阻止IGBT14bをオンすることで逆漏れ電流が小さくなって逆耐圧が高くなるので、ダイオード16aの短絡故障した箇所に電流が流れることが抑制される。また、ダイオード16bが短絡故障して、コンデンサ13bから直流出力回路1に電流が逆流しようとして逆阻止IGBT14aに逆電圧がかかる場合でも、逆阻止IGBT14aはオンされるので逆漏れ電流が小さくなり逆耐圧が高くなる。これらにより、ダイオード16aまたはダイオード16bの故障の拡大を抑制することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、制御部9aが、ダイオード16aの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ13aの電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値以下の場合に、逆阻止IGBT14bをオフし、ダイオード16bの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ13bの電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値以下の場合に、逆阻止IGBT14aをオフするように構成されている。これにより、コンデンサ13aの電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値以下の場合には、逆阻止IGBT14bをオフすることにより、直流出力回路1からコンデンサ13aのみを充電する向きに電流が流れることに起因してダイオード16aの故障箇所に大きな電流が流れることを抑制することができる。なお、ダイオード16aが短絡故障した場合に、コンデンサ13aの電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値以下の場合には、直流出力回路1に電流は逆流しないので、逆阻止IGBT14bをオフしても、ダイオード16aの故障の拡大を抑制することができる。また、コンデンサ13bの電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値以下の場合には、逆阻止IGBT14aをオフすることにより、直流出力回路1からコンデンサ13bのみを充電する向きに電流が流れることに起因してダイオード16bの故障箇所に大きな電流が流れることを抑制することができる。なお、ダイオード16bが短絡故障した場合に、コンデンサ13bの電圧値が直流出力回路1の正極の電圧値以下の場合には、直流出力回路1に電流は逆流しないので、逆阻止IGBT14aをオフしても、ダイオード16bの故障の拡大を抑制することができる。
また、第2実施形態によるチョッパ回路200のその他の効果は、第1実施形態におけるチョッパ回路100と同様である。
[第3実施形態]
次に、図5および図6を参照して、第3実施形態によるチョッパ回路300の構成について説明する。第3実施形態のチョッパ回路300は、昇圧チョッパ回路である第1実施形態のチョッパ回路100とは異なり、降圧チョッパ回路を構成している。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図5を参照して、第3実施形態によるチョッパ回路300の構成について説明する。図5では、チョッパ回路300の電気回路図を示している。なお、チョッパ回路300は、特許請求の範囲の「3レベルチョッパ回路」の一例である。
図5に示すように、チョッパ回路300は、直流出力回路11を備える。直流出力回路11は、直流電源11aと、直流電源11bとを含む。チョッパ回路300は、互いに直列に接続された直流電源11aおよび直流電源11bの電圧を降圧して負荷101に印加するように構成されている。すなわち、チョッパ回路300は、直流電源11aの正極の電圧値と直流電源11bの正極の電圧値との合計値よりも小さい電圧値を有する電圧を負荷101に印加するように構成されている。また、チョッパ回路300は、いわゆる3レベル降圧チョッパ回路として構成されている。なお、直流電源11aおよび直流電源11bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1直流電源」および「第2直流電源」の一例である。
チョッパ回路300は、コンデンサ回路23を備える。チョッパ回路300では、リアクトル2は、コンデンサ回路23と直列に接続されている。コンデンサ回路23の正極および負極は、負荷101の両端に接続されている。なお、コンデンサ回路23は、第3実施形態では1つのコンデンサにより構成されているが、複数のコンデンサにより構成されていてもよい。
チョッパ回路300は、逆阻止IGBT部24を備える。逆阻止IGBT部24は、逆阻止IGBT24aと、逆阻止IGBT24bとを含む。逆阻止IGBT24aのコレクタは、直流電源11aの正極に接続されている。また、逆阻止IGBT24bのエミッタは、直流電源11bの負極に接続されている。なお、逆阻止IGBT24aおよび逆阻止IGBT24bは、それぞれ、上記第1実施形態の逆阻止IGBT4aおよび逆阻止IGBT4bと同様に構成されている。なお、逆阻止IGBT24aおよび逆阻止IGBT24bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1逆阻止通電制御素子」および「第2逆阻止通電制御素子」の一例である。
チョッパ回路300は、逆阻止IGBT部24と逆並列に接続されている逆並列逆阻止IGBT部25を備える。逆並列逆阻止IGBT部25は、逆阻止IGBT24aと逆並列に接続されている逆並列逆阻止IGBT25aを含む。また、逆並列逆阻止IGBT部25は、逆阻止IGBT24bと逆並列に接続されている逆並列逆阻止IGBT25bを含む。なお、逆並列逆阻止IGBT25aおよび逆並列逆阻止IGBT25bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第3逆並列逆阻止通電制御素子」および「第4逆並列逆阻止通電制御素子」の一例である。
チョッパ回路300は、逆阻止IGBT部24および逆並列逆阻止IGBT部25と直列に接続されている整流素子部26を備える。整流素子部26は、逆阻止IGBT24aおよび逆並列逆阻止IGBT25aと直列に接続されている双方向IGBTモジュール26aを含む。双方向IGBTモジュール26aは、逆阻止IGBT24cと、逆阻止IGBT24cに逆並列に接続された逆並列逆阻止IGBT25cとにより構成されている。なお、逆阻止IGBT24aのエミッタと、逆並列逆阻止IGBT25cのエミッタとは接続されている。なお、双方向IGBTモジュール26aは、特許請求の範囲の「第1整流素子」の一例である。
また、整流素子部26は、逆阻止IGBT24bおよび逆並列逆阻止IGBT25bと直列に接続されている双方向IGBTモジュール26bを含む。双方向IGBTモジュール26bは、逆阻止IGBT24dと、逆阻止IGBT24dに逆並列に接続された逆並列逆阻止IGBT25dとにより構成されている。なお、逆阻止IGBT24bのコレクタと、逆並列逆阻止IGBT25dのコレクタとは接続されている。また、双方向IGBTモジュール26aと双方向IGBTモジュール26bとは直列に接続されている。なお、双方向IGBTモジュール26bは、特許請求の範囲の「第2整流素子」の一例である。
また、逆阻止IGBT24aと逆並列逆阻止IGBT25aとにより、双方向IGBTモジュール26cが構成されている。また、逆阻止IGBT24bと逆並列逆阻止IGBT25bとにより、双方向IGBTモジュール26dが構成されている。
また、双方向IGBTモジュール26aのアノードは、直流電源11aの負極に接続されている。また、双方向IGBTモジュール26bのカソードは、直流電源11bの正極に接続されている。なお、直流電源11aの負極と直流電源11bの正極とは接続されている。具体的には、直流電源11aの負極、および、直流電源11bの正極は、逆並列逆阻止IGBT25cのコレクタと逆並列逆阻止IGBT25dのエミッタとに接続されている。
また、双方向IGBTモジュール26aおよび双方向IGBTモジュール26bは、リアクトル2を介してコンデンサ回路23の両端に接続されている。
具体的には、コンデンサ回路23の正極とリアクトル2の一方端とが接続されている。また、逆並列逆阻止IGBT25cのコレクタと逆並列逆阻止IGBT25dのエミッタとが接続されている。そして、逆並列逆阻止IGBT25cのエミッタとリアクトル2の他方端とが接続されており、逆並列逆阻止IGBT25dのコレクタとコンデンサ回路23の負極とが接続されている。
電圧検出部7は、コンデンサ回路23の正極に接続されており、コンデンサ回路23の正極の電圧値Vcを検出するように構成されている。
〈制御部の構成〉
制御部19は、逆阻止IGBT24a、逆阻止IGBT24b、逆阻止IGBT24c、逆阻止IGBT24d、逆並列逆阻止IGBT25a、逆並列逆阻止IGBT25b、逆並列逆阻止IGBT25c、および、逆並列逆阻止IGBT25dのゲートに接続されており、上記8つのIGBT素子のオンオフを制御するように構成されている。なお、制御部19は、特許請求の範囲の「短絡検出部」の一例である。
ここで、第3実施形態では、制御部19は、双方向IGBTモジュール26aの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路23の電圧値Vcが直流電源11bの正極の電圧値Va2よりも大きい場合に、電流検出部8が検出する電流の流れる向きが、コンデンサ回路23を充電する向き(図5の矢印C1方向)からコンデンサ回路23から放電される向き(図5の矢印C2方向)に反転したことに基づいて(反転する時点に)、逆並列逆阻止IGBT25bをオン(順導通状態)からオフ(切断状態)に切り替えるとともに、逆阻止IGBT24bをオフ(切断状態)からオン(順導通状態)に切り替える制御を行うように構成されている。この時、制御部19は、双方向IGBTモジュール26cを順方向オフの状態(逆阻止IGBT24aはオフ、逆並列逆阻止IGBT25aはオンの状態)にしている。
また、双方向IGBTモジュール26bの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路23の電圧値Vcが直流電源11aの正極の電圧値Va1よりも大きい場合に、電流検出部8が検出する電流の流れる向きが、コンデンサ回路23を充電する向き(図5の矢印C1方向)からコンデンサ回路23から放電される向き(図5の矢印C2方向)に反転したことに基づいて(反転する時点に)、逆並列逆阻止IGBT25aをオン(順導通状態)からオフ(切断状態)に切り替えるとともに、逆阻止IGBT24aをオフ(切断状態)からオン(順導通状態)に切り替える制御を行うように構成されている。この時、制御部19は、双方向IGBTモジュール26dを順方向オフの状態(逆阻止IGBT24bはオフ、逆並列逆阻止IGBT25bはオンの状態)にしている。なお、電圧値Va1および電圧値Va2の情報は、チョッパ回路300に予め記憶されていてもよいし、電圧検出部を設けて取得されるように構成してもよい。
また、第3実施形態では、制御部19は、双方向IGBTモジュール26aの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路23の電圧値Vcが直流電源11bの正極の電圧値Va2以下の場合には、コンデンサ回路23から直流電源11bへ電流が逆流しないので、逆並列逆阻止IGBT25bをオンする。
また、双方向IGBTモジュール26bの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路23の電圧値Vcが直流電源11aの正極の電圧値Va1以下の場合には、コンデンサ回路23から直流電源11aへ電流が逆流しないので、逆並列逆阻止IGBT25aをオンする。
(降圧チョッパ回路の動作)
〈通常運転時の動作〉
次に、図5を参照して、第3実施形態によるチョッパ回路300の通常運転時の動作について説明する。チョッパ回路300の動作は、制御部19の制御処理により実行される。
まず、逆阻止IGBT24aがオンされ、かつ、逆阻止IGBT24bがオフされると、直流電源11a、逆阻止IGBT24a、リアクトル2、コンデンサ回路23、逆並列逆阻止IGBT25dの順で電流が流れる。
そして、逆阻止IGBT24aがオフされ、かつ、逆阻止IGBT24bがオンされると、直流電源11b、逆並列逆阻止IGBT25c、リアクトル2、コンデンサ回路23、逆阻止IGBT24bの順で電流が流れる。
そして、逆阻止IGBT24aがオンされ、かつ、逆阻止IGBT24bがオンされると、直流電源11a、逆阻止IGBT24a、リアクトル2、コンデンサ回路23、逆阻止IGBT24b、直流電源11bの順で電流が流れる。
そして、逆阻止IGBT24aがオフされ、かつ、逆阻止IGBT24bがオフされると、リアクトル2、コンデンサ回路23、逆並列逆阻止IGBT25d、逆並列逆阻止IGBT25cの順で電流が流れる。
チョッパ回路300では、上記の動作のそれぞれの期間(時比率)が制御部19により制御されるとともに、上記の動作が繰り返されることにより、直流電源11aおよび直流電源11bの電圧から降圧された(電力変換された)電力が負荷101に供給される。
〈短絡検出時の動作〉
次に、図5および図6を参照して、第3実施形態によるチョッパ回路300の短絡検出時の動作について説明する。チョッパ回路300の動作は、制御部19の制御処理により実行される。
図6に示すように、ステップS41において、双方向IGBTモジュール26aの短絡を検出したか否かが判断される。双方向IGBTモジュール26aの短絡を検出していない場合、ステップS42に進み、双方向IGBTモジュール26aの短絡を検出した場合、ステップS43に進む。
そして、ステップS42において、双方向IGBTモジュール26bの短絡を検出したか否かが判断される。双方向IGBTモジュール26bの短絡を検出した場合、ステップS48に進み、双方向IGBTモジュール26bの短絡を検出していない場合、チョッパ回路300の短絡検出時の動作は終了される。
なお、上記ステップS41およびS42を、上記の通常運転時の動作中に繰り返すことにより、通常運転時の動作中に短絡を検出することが可能である。
また、ステップS41において双方向IGBTモジュール26aの短絡を検出した場合に進むステップS43において、コンデンサ回路23の電圧値Vcが直流電源11bの正極の電圧値Va2よりも大きいか否かが判断される。電圧値Vcが電圧値Va2よりも大きい場合には、ステップS44に進み、電圧値Vcが電圧値Va2以下の場合には、ステップS47に進む。
そして、ステップS44において、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きか否かが判断される。すなわち、リアクトル2に流れる電流の向きが、コンデンサ回路23を充電する向き(図5の矢印C1方向)か、コンデンサ回路23から放電される向き(矢印C2方向)かが判断される。そして、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きの場合、ステップS45に進み、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きでない場合、ステップS46に進む。
そして、ステップS45において、逆阻止IGBT24aおよび逆阻止IGBT24bが共にオフにされる。このとき、逆並列逆阻止IGBT25aおよび逆並列逆阻止IGBT25bには逆電圧がかかるため、通常動作時同様に、それぞれオンの状態にされる。これにより、双方向IGBTモジュール26cおよび双方向IGBTモジュール26dは順方向オフの状態にされる。逆阻止IGBT24aをオンにすると、直流電源11aの両極が短絡することになり、短絡故障した双方向IGBTモジュール26aに短絡電流が流れ、故障の拡大のおそれがある。逆阻止IGTB24bをオンにすると、直流電源11b、短絡故障した双方向IGBTモジュール26a、リアクトル2、コンデンサ回路23、逆阻止IGBT24bの順に、直流電源11bから電流が流れるので、短絡故障した双方向IGBTモジュール26aの故障の拡大のおそれがある。そこで、逆阻止IGBT24aおよび逆阻止IGTB24bが共にオフにされると、短絡故障した双方向IGBTモジュール26aには、しばらくの間は、短絡故障した双方向IGBTモジュール26a、リアクトル2、コンデンサ回路23、逆並列逆阻止IGBT25dの順に、コンデンサ回路23を充電する向きに電流が流れるが、逆阻止IGBT24aおよび逆阻止IGTB24bをオンしたときよりも流れる電流は小さなものとなり、故障の拡大の可能性は減じられる。
なお、ステップS45において、逆並列逆阻止IGBT25dもオフすることで双方向IGBTモジュール26aに流れる電流を止めようとするのは、リアクトル2の電流を切断しようとすることになるため、困難である。そのため、リアクトル2の電流がコンデンサ回路23を充電する向きに流れている間は、逆並列逆阻止IGBT25dをオンの状態にしておく。
その後、ステップS44に戻る。すなわち、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きでない状態になるまで、ステップS44およびS45を繰り返し、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きから放電する向きに反転した時点に、ステップS46に進む。
そして、ステップS46において、双方向IGBTモジュール26cが順方向オフにされる一方、双方向IGBTモジュール26dは、逆方向オフにされる。すなわち、逆阻止IGBT24bはオン、逆並列逆阻止IGBT25bはオフにされる。これにより、コンデンサ回路23、リアクトル2、短絡した双方向IGBTモジュール26aおよび直流電源11bの順に逆流しようとする電流が流れなくなる。その後、チョッパ回路300の短絡検出時の動作が終了される。
また、ステップS43において電圧値Vcが電圧値Va2以下の場合に進むステップS47において、双方向IGBTモジュール26cおよび双方向IGBTモジュール26dが共に順方向オフ(逆阻止IGBT24aがオフ、逆並列逆阻止IGBT25aがオン、逆阻止IGBT24bがオフ、逆並列逆阻止IGBT25bがオン)にされる。この場合、電流は略逆流しないので、双方向IGBTモジュール26cおよび双方向IGBTモジュール26dが共に順方向オフにされることにより、チョッパ回路300の動作が停止される。その後、チョッパ回路300の短絡検出時の動作が終了される。
そして、ステップS42において双方向IGBTモジュール26bの短絡を検出した場合に進むステップS48において、コンデンサ回路23の電圧値Vcが直流電源11aの正極の電圧値Va1よりも大きいか否かが判断される。電圧値Vcが電圧値Va1よりも大きい場合には、ステップS49に進み、電圧値Vcが電圧値Va1以下の場合には、ステップS52に進む。
そして、ステップS49において、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きか否かが判断される。リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きの場合、ステップS50に進み、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きでない場合、ステップS51に進む。
そして、ステップS50において、双方向IGBTモジュール26cおよび双方向IGBTモジュール26dが共に順方向オフ(逆阻止IGBT24aがオフ、逆並列逆阻止IGBT25aがオン、逆阻止IGBT24bがオフ、逆並列逆阻止IGBT25bがオン)にされる。その後、ステップS49に戻る。
そして、ステップS51において、双方向IGBTモジュール26cが逆方向オフ(逆阻止IGBT24aがオン、逆並列逆阻止IGBT25aがオフ)にされ、かつ、双方向IGBTモジュール26dが、順方向オフ(逆阻止IGBT24bがオフ、逆並列逆阻止IGBT25bがオン)にされる。これにより、コンデンサ回路23、リアクトル2、双方向IGBTモジュール26c、直流電源11a、短絡した双方向IGBTモジュール26bの順に逆流しようとする電流が流れなくなる。その後、チョッパ回路300の短絡検出時の動作が終了される。
また、ステップS48において電圧値Vcが電圧値Va1以下の場合に進むステップS52において、双方向IGBTモジュール26cおよび双方向IGBTモジュール26dが共に順方向オフ(逆阻止IGBT24aがオフ、逆並列逆阻止IGBT25aがオン、逆阻止IGBT24bがオフ、逆並列逆阻止IGBT25bがオン)にされる。その後、チョッパ回路300の短絡検出時の動作が終了される。
また、第3実施形態によるチョッパ回路300のその他の構成は、第1実施形態におけるチョッパ回路100と同様である。
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第3実施形態では、上記のように、制御部19が、双方向IGBTモジュール26aの短絡が検出された場合に、逆阻止IGBT24bをオンするとともに逆並列逆阻止IGBT25bをオフし、双方向IGBTモジュール26bの短絡が検出された場合に、逆阻止IGBT24aをオンするとともに逆並列逆阻止IGBT25aをオフすることにより、コンデンサ回路23から直流出力回路11側に逆流する電流の経路を遮断するように、チョッパ回路300を構成する。これにより、双方向IGBTモジュール26aの短絡が検出された場合に、逆並列逆阻止IGBT25bをオフすることによって、コンデンサ回路23から直流電源11bへの電流の逆流が、逆並列逆阻止IGBT25bによって遮断される。この時、逆阻止IGBT24bをオンすることによって、逆電圧のかかる逆阻止IGBT24bの逆漏れ電流を小さくし、逆耐圧を向上させ、故障を抑制することができる。また、双方向IGBTモジュール26bの短絡が検出された場合に、逆並列逆阻止IGBT25aをオフすることによって、コンデンサ回路23から直流電源11aへの電流の逆流が、逆並列逆阻止IGBT25aによって遮断される。この時、逆阻止IGBT24aをオンすることによって、逆電圧のかかる逆阻止IGBT24aの逆漏れ電流を小さくし、逆耐圧を向上させ、故障を抑制することができる。
また、第3実施形態では、上記のように、制御部19が、双方向IGBTモジュール26aの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路23の電圧値が直流電源11bの正極の電圧値以下の場合に、逆並列逆阻止IGBT25bをオンする。そして、双方向IGBTモジュール26bの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路23の電圧値が直流電源11aの正極の電圧値以下の場合に、逆並列逆阻止IGBT25aをオンするように、チョッパ回路300を構成する。
これにより、双方向IGBTモジュール26aの短絡が検出された場合でかつコンデンサ回路23の電圧値が直流電源11bの正極の電圧値以下の場合には、逆電圧のかかる逆並列逆阻止IGBT25bをオンすることにより、逆並列逆阻止IGBT25bの逆漏れ電流を小さくし、逆耐圧を向上させ、故障を抑制することができる。なお、コンデンサ回路23の電圧値が直流電源11bの正極の電圧値以下の場合は、直流電源11bに電流は逆流しないので、逆並列逆阻止IGBT25bをオンしても、双方向IGBTモジュール26aの故障の拡大を抑制することができる。また、双方向IGBTモジュール26bの短絡が検出された場合でかつコンデンサ回路23の電圧値が直流電源11aの正極の電圧値以下の場合には、逆電圧のかかる逆並列逆阻止IGBT25aをオンすることにより、逆並列逆阻止IGBT25aの逆漏れ電流を小さくし、逆耐圧を向上させ、故障を抑制することができる。なお、コンデンサ回路23の電圧値が直流電源11aの正極の電圧値以下の場合は、直流電源11aに電流は逆流しないので、逆並列逆阻止IGBT25aをオンしても、双方向IGBTモジュール26bの故障の拡大を抑制することができる。
また、第3実施形態では、上記のように、制御部19が、双方向IGBTモジュール26aの短絡が検出された場合、逆並列逆阻止IGBT25bをオンするときは逆阻止IGBT24bをオフするとともに、逆並列逆阻止IGBT25bをオフするときは逆阻止IGBT24bをオンする。そして、双方向IGBTモジュール26bの短絡が検出された場合、逆並列逆阻止IGBT25aをオンするときは逆阻止IGBT24aをオフするとともに、逆並列逆阻止IGBT25aをオフするときは逆阻止IGBT24aをオンするように、チョッパ回路300を構成する。これにより、逆阻止IGBT24a(逆阻止IGBT24b)および逆並列逆阻止IGBT25a(逆並列逆阻止IGBT25b)のうちの一方をオフすることにより電流の流れを遮断することによって、短絡箇所の故障の拡大を抑制することができるとともに、他方をオンすることにより逆漏れ電流を小さくすることができる。
また、第3実施形態によるチョッパ回路300のその他の効果は、第1実施形態におけるチョッパ回路100と同様である。
[第4実施形態]
次に、図7および図8を参照して、第4実施形態によるチョッパ回路400の構成について説明する。第4実施形態のチョッパ回路400には、第3実施形態のチョッパ回路300の構成から、逆並列逆阻止IGBT25aと、逆並列逆阻止IGBT25bとが省かれている。また、整流素子として双方向IGBTモジュールが設けられていた第3実施形態とは異なり、整流素子としてダイオードが設けられている。なお、上記第3実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図7を参照して、第4実施形態によるチョッパ回路400の構成について説明する。図7では、チョッパ回路400の電気回路図を示している。なお、チョッパ回路400は、特許請求の範囲の「3レベルチョッパ回路」の一例である。
(第4実施形態によるチョッパ回路の構成)
図7に示すように、チョッパ回路400は、直流出力回路21を備える。直流出力回路21は、直流電源21aと、直流電源21bとを含む。なお、直流電源21aおよび直流電源21bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第3直流電源」および「第4直流電源」の一例である。
チョッパ回路400は、逆阻止IGBT部34を備える。逆阻止IGBT部34は、逆阻止IGBT34aと、逆阻止IGBT34bとを含む。なお、逆阻止IGBT34aおよび逆阻止IGBT34bは、それぞれ、上記第3実施形態の逆阻止IGBT24aおよび逆阻止IGBT24bと同様に構成されている。なお、逆阻止IGBT34aおよび逆阻止IGBT34bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1逆阻止通電制御素子」および「第2逆阻止通電制御素子」の一例である。
図7に示すように、チョッパ回路400は、逆阻止IGBT部34と直列に接続されている整流素子部36を備える。整流素子部36は、逆阻止IGBT34aと直列に接続されているダイオード36aを含む。また、整流素子部36は、逆阻止IGBT34bと直列に接続されているダイオード36bを含む。なお、ダイオード36aおよびダイオード36bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1整流素子」および「第2整流素子」の一例である。
〈短絡検出時の動作〉
次に、図7および図8を参照して、第2実施形態によるチョッパ回路400の短絡検出時の動作について説明する。チョッパ回路400の動作は、制御部19aの制御処理により実行される。
図4に示すように、ステップS61において、ダイオード36aの短絡を検出したか否かが判断される。ダイオード36aの短絡を検出していない場合、ステップS62に進み、ダイオード36aの短絡を検出した場合、ステップS63に進む。
そして、ステップS62において、ダイオード36bの短絡を検出したか否かが判断される。ダイオード36bの短絡を検出した場合、ステップS68に進み、ダイオード36bの短絡を検出していない場合、チョッパ回路400の短絡検出時の動作は終了される。
なお、上記ステップS61およびS62を、上記の通常運転時の動作中に繰り返すことにより、通常運転時の動作中に短絡を検出することが可能である。
また、ステップS61においてダイオード36aの短絡を検出した場合に進むステップS63において、コンデンサ回路23の電圧値Vcが直流電源21bの正極の電圧値Va2よりも大きいか否かが判断される。電圧値Vcが電圧値Va2よりも大きい場合には、ステップS64に進み、電圧値Vcが電圧値Va2以下の場合には、ステップS67に進む。
そして、ステップS64において、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きか否かが判断される。そして、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きの場合、ステップS65に進み、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きでない場合、ステップS66に進む。
そして、ステップS65において、逆阻止IGBT34aおよび逆阻止IGBT34bが共にオフされる。逆阻止IGBT34bをオフすることにより、直流電源21bからコンデンサ回路23への充電が抑制される。
その後、ステップS64に戻る。すなわち、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きでない状態になるまで、ステップS64およびS65を繰り返し、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きから放電する向きに反転した時点に、ステップS66に進む。
そして、ステップS66において、逆阻止IGBT34bはオンされる。この時、逆阻止IGBT34bの逆耐圧が向上し、逆漏れ電流も略流れない。なお、この時、逆阻止IGBT34aはオフされる。その後、チョッパ回路400の短絡検出時の動作が終了される。
また、ステップS63において電圧値Vcが電圧値Va2以下の場合に進むステップS67において、逆阻止IGBT34aおよび逆阻止IGBT34bが共にオフされる。この場合、電流は略逆流しないので、逆阻止IGBT34aおよび逆阻止IGBT34bが共にオフされることにより、チョッパ回路400の動作が停止される。その後、チョッパ回路400の短絡検出時の動作が終了される。
そして、ステップS62においてダイオード36bの短絡を検出した場合に進むステップS68において、コンデンサ回路23の電圧値Vcが直流電源21aの正極の電圧値Va1よりも大きいか否かが判断される。電圧値Vcが電圧値Va1よりも大きい場合には、ステップS69に進み、電圧値Vcが電圧値Va1以下の場合には、ステップS72に進む。
そして、ステップS69において、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きか否かが判断される。リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きの場合、ステップS70に進み、リアクトル2に流れる電流の向きがコンデンサ回路23を充電する向きでない場合、ステップS71に進む。
そして、ステップS70において、逆阻止IGBT34aおよび逆阻止IGBT34bが共にオフされる。逆阻止IGBT34aをオフすることにより、直流電源21aからコンデンサ回路23への充電が抑制される。その後、ステップS69に戻る。
そして、ステップS71において、逆阻止IGBT34aがオンされる。この時、逆阻止IGBT34aの逆耐圧が向上し、逆漏れ電流も略流れない。なお、この時、逆阻止IGBT34bはオフされる。これにより、コンデンサ回路23、リアクトル2、逆阻止IGBT34a、直流電源21a、短絡したダイオード36bの順に逆流しようとする電流が流れなくなる。その後、チョッパ回路400の短絡検出時の動作が終了される。
また、ステップS68において電圧値Vcが電圧値Va1以下の場合に進むステップS72において、逆阻止IGBT34aおよび逆阻止IGBT34bが共にオフされる。その後、チョッパ回路400の短絡検出時の動作が終了される。
また、第4実施形態によるチョッパ回路400のその他の構成は、第3実施形態におけるチョッパ回路300と同様である。
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第4実施形態では、上記のように、制御部19aが、ダイオード36aの短絡が検出された場合に、逆阻止IGBT34bをオンし、ダイオード36bの短絡が検出された場合に、逆阻止IGBT34aをオンすることにより、コンデンサ回路23から直流出力回路21側に逆流する電流の経路を遮断するように、チョッパ回路400を構成する。これにより、ダイオード36aが短絡故障して、コンデンサ回路23から直流電源21bに電流が逆流して流れようとし、逆阻止IGBT34bに逆電圧がかかる場合でも、逆阻止IGBT34bをオンすることで逆漏れ電流が小さくなって逆耐圧が高くなるので、ダイオード36aの短絡故障した箇所に電流が流れることが抑制される。また、ダイオード36bが短絡故障して、コンデンサ回路23から直流電源21aに電流が逆流しようとして逆阻止IGBT34aに逆電圧がかかる場合でも、逆阻止IGBT34aはオンされるので逆漏れ電流が小さくなり逆耐圧が高くなる。これらにより、ダイオード36aまたはダイオード36bの故障の拡大を抑制することができる。
また、第4実施形態では、上記のように、制御部19aが、ダイオード36aの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路23の電圧値が直流電源21bの正極の電圧値以下の場合に、逆阻止IGBT34bをオフする。そして、ダイオード36bの短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路23の電圧値が直流電源21aの正極の電圧値以下の場合に、逆阻止IGBT34aをオフするように、チョッパ回路400を構成する。これにより、コンデンサ回路23の電圧値が直流電源21bの正極の電圧値以下の場合には、逆阻止IGBT34bをオフすることにより、直流電源21bからコンデンサ回路23を充電することが抑制されるため、ダイオード36aの故障の拡大を抑制することができる。また、コンデンサ回路23の電圧値が直流電源21aの正極の電圧値以下の場合には、逆阻止IGBT34aをオフすることにより、直流電源21aからコンデンサ回路23を充電することが抑制されるため、ダイオード36bの故障の拡大を抑制することができる。
また、第4実施形態によるチョッパ回路400のその他の効果は、第3実施形態におけるチョッパ回路300と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、整流素子の短絡の検出を、電流検出部8および制御部9(9a、19、19a)により行う例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、本発明では、短絡検出用の専用の回路を、電流検出部8および制御部9(9a、19、19a)とは別個に設けてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、短絡が検出された場合でかつ電圧検出部7により検出されたコンデンサ回路3(13、23)の電圧値(Vc1、Vc2、Vc)に基づいて、逆阻止IGBT素子(逆並列逆阻止IGBT素子)のオンオフを制御する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、短絡が検出された場合に、電圧検出部7により検出された電圧値を参照することなく、逆阻止IGBT素子(逆並列逆阻止IGBT素子)のオンオフを制御するように構成してもよい。たとえば、第1実施形態では、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出されたことのみに基づいて、逆並列逆阻止IGBT6bをオフする制御を行うように構成してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、短絡が検出された場合に、電圧検出部7の検出値および電流検出部8の検出結果の両方に基づいて、逆阻止IGBT素子(逆並列逆阻止IGBT素子)のオンオフを制御する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、電圧検出部7の検出値、または、電流検出部8の検出結果のうちの一方に基づいて、逆阻止IGBT素子(逆並列逆阻止IGBT素子)のオンオフの制御を行ってもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、電流検出部8が検出する電流の流れる向きが反転する時点に、逆阻止IGBT素子(逆並列逆阻止IGBT素子)のオンオフを制御する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、反転したことに基づいて、逆阻止IGBT素子(逆並列逆阻止IGBT素子)のオンオフを制御するように構成してもよい。すなわち、反転する時点とオンオフを制御する時点とが、完全に一致する必要はなく、電流の向きがコンデンサ3aを充電する向きから反転するより前であってもよい。たとえば、第1実施形態では、逆並列逆阻止IGBT5bの逆耐圧および逆漏れ電流が問題とならなければ、双方向IGBTモジュール6aの短絡が検出されたことのみに基づいて、電流の向きがコンデンサ3aを充電する向きに流れているときでも、逆並列逆阻止IGBT5bをオフする制御を行うように構成してもよい。また、電流の向きがコンデンサ3aを充電する向きから反転した時点から遅れていてもよい。なお、電流の向きがコンデンサ3aを充電する向きから反転する時点は、電流検出部8の検出値や双方向IGBTモジュール6aの短絡を検出した時点に基づいて予測することもできる。
また、上記第1〜第4実施形態では、逆阻止IGBT4a(14a、24a、34a)、逆阻止IGBT4b(14b、24b、34b)、逆並列逆阻止IGBT5a(25a)、逆並列逆阻止IGBT5b(25b)、双方向IGBTモジュール(6a、6b、26a、26b)、および、ダイオード(16a、16b、36a、36b)を、シリコン、または、ワイドバンドギャップ半導体のいずれから構成してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、逆阻止IGBT4a(14a、24a、34a)、逆阻止IGBT4b(14b、24b、34b)、逆並列逆阻止IGBT5a(25a)、逆並列逆阻止IGBT5b(25b)、および、双方向IGBTモジュール(6a、6b、26a、26b)に代えて、ドレイン電極のショットキー障壁により逆耐圧を有する逆阻止MOSFETを用いてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、説明の便宜上、本発明の制御の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御の処理動作を、イベントごとに処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。