JP6818707B2 - 金属膜、構造体、複合材料、構造体の製造方法、および複合材料の製造方法 - Google Patents

金属膜、構造体、複合材料、構造体の製造方法、および複合材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、純度99.9質量%以上のアルミニウムからなる金属膜、金属膜を用いた構造体および複合材料、ならびに金属膜の製造方法、構造体の製造方法、および複合材料の製造方法に関し、特に、陽極酸化膜の形成に用いられる金属膜、金属膜を用いた構造体および複合材料、ならびに金属膜の製造方法、構造体の製造方法、および複合材料の製造方法に関する。
近年、アルミニウム等の陽極酸化膜を利用して、機能性部材を構成することが試みられている。
例えば、特許文献1には、様々な機能デバイスへの応用が可能な陽極酸化ポーラスアルミナが記載されている。特許文献1の陽極酸化ポーラスアルミナは、細孔の周期が720nm以上であり、規則配列した細孔が縦、横4個×4個以上の範囲で理想三角格子状に配列されており、アルミニウム材を陽極酸化して形成されるものである。
また、陽極酸化膜には、厚み方向に貫通した複数の貫通孔を形成することが可能である。この貫通孔に金属等の導電物質、または官能基を有する有機物質を導入して構成された微細構造体は、例えば、電池用電極、ガス透過膜、センサー、生体培養容器、電磁波(光、放射線)遮蔽膜、発光素子、光学素子および異方導電性部材等の用途が期待されている。
ここで、導電性粒子を分散させた樹脂フィルムを利用した異方導電性部材(接着剤)は、半導体素子等の電子部品と回路基板との間に挿入し、加圧するだけで電子部品と回路基板間の電気的接続が得られるため、画像表示素子とドライバー回路等を含む電子部品等の電気的接続部材、および機能検査を行う際の検査用コネクタ等として広く使用されている。
各素子の電極のダウンサイジング化に対応すべく、導電性粒子の分散制御等による改良の他に膜上下を貫通する導電配線を利用した新たな異方導電性部材が開発され、提案されている。
また、半導体素子等の電子部品は、低背化、低面積化を主としたダウンサイジング化の要求が顕著である。従来のワイヤーボンディングのような配線基板を直接接続する方式では低背化に対応することが難しく、またフリップチップボンディング等の半田接合を用いる場合には一定サイズの電極サイズを確保する必要があり低面積化が難しい。これらを解決する手段として、電子接続部材として絶縁性基材に金属充填した微細構造体からなる異方導電性部材が提案されている。
微細構造体としては、例えば、特許文献2に、絶縁性基材に貫通孔が設けられ、この貫通孔内部に金属が充填されてなる金属充填微細構造体が記載されている。特許文献2の絶縁性基材は、アルミニウムの陽極酸化膜で構成されている。絶縁性基材における、貫通孔の平均開孔径が10〜5000nmであり、貫通孔の平均深さが10〜1000μmであり、かつ、貫通孔の密度が1×10〜1×1010個/mmである。
特開2018−3048号公報 特開2011−202194号公報
陽極酸化膜は、上述の特許文献2のようにアルミニウム材を陽極酸化して形成されるが、このときマイクロポアとも呼ばれる貫通孔も形成される。陽極酸化膜を用いる様々の用途、例えば、キャパシタ、電池用電極、ガス透過膜、センサーおよび異方導電性部材等のいずれにおいても、マイクロポアの配列の乱れ、およびそれに伴う貫通孔数の低下等の欠陥がないことが好ましい。マイクロポアの配列の乱れ等の欠陥を減らすために、アルミニウムの純度等を高くする等の対策が講じられている。しかしながら、更なる性能の向上を図るために、マイクロポアの配列の乱れ等の欠陥を更に減らすためには十分とはいえないのが現状である。
本発明の目的は、陽極酸化膜のマイクロポアの配列の乱れ等の欠陥を抑制できる金属膜、金属膜を用いた構造体および複合材料、ならびに金属膜の製造方法、構造体の製造方法、および複合材料の製造方法を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明は、陽極酸化膜の形成に用いられる金属膜であって、純度99.9質量%以上のアルミニウムからなり、熱フェノール法により単離された第2相粒子の個数が10個/mm未満であり、厚みが5μm以上である、金属膜を提供するものである。
表面の粗さRtが0.1μm以下であることが好ましい。
本発明は、陽極酸化膜の形成に用いられる、多層積層構造の金属膜であって、純度99.9質量%以上のアルミニウムからなり、熱フェノール法により単離された第2相粒子の個数が10個/mm未満であり、厚みが5μm以上である第1の金属層と、第1の金属層とは組成が異なる第2の金属層とを有し、第2の金属層は、金属膜の厚みに対する厚み比率が10%未満であり、最表層に第1の金属層が配置されている、金属膜を提供するものである。
第1の金属層は、表面の粗さRtが0.1μm以下であることが好ましい。
第2の金属層はバルブ金属であることが好ましい。
本発明は、本発明の金属膜を用いて構成された、貫通孔を有する陽極酸化膜で形成されており、貫通孔の直管率が98%以上である、構造体を提供するものである。
本発明は、本発明の構造体と、構造体の貫通孔に充填された導電体とを有する、複合材料を提供するものである。
本発明は、陽極酸化膜の形成に用いられる金属膜の製造方法であって、純度99.9質量%以上のアルミニウムを用い、20℃/秒以上の冷却速度で成膜する成膜工程を有する、金属膜の製造方法を提供するものである。
成膜工程の後に、表面を平坦化する平坦化工程を有することが好ましい。
本発明は、本発明の金属膜に少なくとも陽極酸化を実施し、貫通孔を有する陽極酸化膜を形成する工程を有する、構造体の製造方法を提供するものである。
陽極酸化は、少なくとも1回実施することが好ましい。
本発明は、本発明の金属膜に少なくとも陽極酸化を実施し、貫通孔を有する陽極酸化膜を形成する工程と、陽極酸化により形成された貫通孔に導電物質を充填する工程とを有する、複合材料の製造方法を提供するものである。
陽極酸化は、少なくも1回実施することが好ましい。
本発明によれば、マイクロポアの配列の乱れ等の欠陥を抑制できる金属膜、金属膜を用いた構造体および複合材料、ならびに金属膜の製造方法、構造体の製造方法、および複合材料の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態の金属膜の第1の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属膜の第2の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属膜の第3の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属膜の第4の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属膜の第5の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属膜の第1の例の製造方法の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属膜の第2の例の製造方法の一例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属膜の第2の例の製造方法の一例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の構造体の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の複合材料の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の複合材料の一例を示す平面図である。 本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第1態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第1態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第1態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第1態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第1態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第2態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第2態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第2態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第3態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第3態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第3態様で製造される複合材料の供給形態の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第3態様で製造される複合材料の供給形態の一例の要部を拡大して示す模式図である。 平滑化工程の一例の一工程を示す模式図である。 平滑化工程の一例の一工程を示す模式図である。 平滑化工程の一例の一工程を示す模式図である。 陽極酸化処理工程における電圧から保持工程における電圧まで降下する際の電圧降下パターンの一例を示す模式図である。 陽極酸化処理工程における電圧から保持工程における電圧まで降下する際の電圧降下パターンの他の例を示す模式図である。 半導体パッケージの第1の例を示す模式的断面図である。 半導体パッケージの第2の例を示す模式的断面図である。 半導体パッケージの第3の例を示す模式的断面図である。 半導体パッケージの第4の例を示す模式的断面図である。 半導体パッケージの第5の例を示す模式的断面図である。 半導体パッケージ基板を積層した構成を示す模式的断面図である。 半導体パッケージの第6の例を示す模式的断面図である。 半導体パッケージの第7の例を示す模式的断面図である。 同軸構造を説明するための模式的断面図である。 同軸構造を説明するための模式的平面図である。 本発明の実施形態の電子デバイスの第1の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の電子デバイスの半導体素子の端子の構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の電子デバイスの第2の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の電子デバイスの第3の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の電子デバイスの第4の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の電子デバイスの第5の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の電子デバイスの第6の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の電子デバイスの第7の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の電子デバイスの第8の例を示す模式図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の金属膜、構造体、複合材料、金属膜の製造方法、構造体の製造方法、および複合材料の製造方法を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「〜」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α〜数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
「具体的な数値で表された角度」、「平行」、「垂直」および「直交」等の角度は、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、温度に関しても、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。また、「同一」とは、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
(金属膜)
金属膜は、陽極酸化膜の形成に用いられるものである。
図1は本発明の実施形態の金属膜の第1の例を示す模式図である。
図1に示す金属膜10は、純度99.9質量%以上のアルミニウムからなるものであり、かつ熱フェノール法により単離された第2相粒子が100個/mm未満であり、厚みtが5μm以上である。金属膜10は単層構造である。
金属膜10は、純度99.9質量%以上のアルミニウムであれば、それ以外の組成は特に限定されるものではなく、例えば、製造上不可避な不可避的不純物を含有してもよい。
金属膜10は上述の純度であり、第2相粒子が100個/mm未満であることにより、陽極酸化膜を形成し、陽極酸化膜にマイクロポアと呼ばれる貫通孔を形成した場合、マイクロポアの配列の乱れ等の欠陥を抑制できる。
アルミニウムの純度は、99.9質量%以上であれば特に限定されるものではなく、理想的には100質量%である。アルミニウムの純度が低いと、貫通孔の欠陥の起点となる粒界析出物等の存在確率が高くなり、結果として配列の乱れ等の欠陥を誘発する原因となる。このため、純度を高くすることにより、マイクロポアの配列の乱れ等の欠陥を少なくすることができる。
アルミニウムの純度は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析、ICP(Inductively Coupled Plasma)質量分析、およびグロー放電質量分析(GD(Glow Discharge)−mass)等の方法を用いて測定することができる。
第2相粒子の下限値は、100個/mm未満であれば特に限定されるものではなく、理想的には0個/mmである。第2相粒子は、これを起点として、貫通孔に欠陥が生じることを本発明者が明らかしにした。第2相粒子が多いと、貫通孔の欠陥の起点となるものが多いことになり、結果としてマイクロポアの配列の乱れ等の欠陥を誘発する確率が増える。このため、第2相粒子の個数を少なくすることにより、マイクロポアの配列の乱れ等の欠陥を少なくすることができる。
また、金属膜10の表面10aは、表面粗さRtが0.1μm以下であることが好ましい。表面粗さRtが0.1μm以下であると、金属膜の表面から貫通孔を形成する場合、金属膜の表面の状態に起因するマイクロポアの配列の乱れ等の欠陥を少なくすることができ、陽極酸化皮膜のマイクロポアの配列性が向上する。これにより、マイクロポアで構成される貫通孔の直管性が向上する。
表面粗さRtとは、JIS(日本工業規格) B 0601−2001で規定される最大断面高さのことである。
図1に示すように金属膜10は、例えば、支持体17の表面17aに配置されているが、支持体17がない単体の状態の構成でもよい。
また、金属膜10は単層構造に限定されるものではなく、多層積層構造でもよい。
図2は本発明の実施形態の金属膜の第2の例を示す模式図であり、図3は本発明の実施形態の金属膜の第3の例を示す模式図であり、図4は本発明の実施形態の金属膜の第4の例を示す模式図であり、図5は本発明の実施形態の金属膜の第5の例を示す模式図である。
図2に示す金属膜11は、例えば、2層構造であり、第1の金属層12と第2の金属層14とを有する、支持体17の表面17aに、第2の金属層14が配置され、第1の金属層12が第2の金属層14上に配置されている。
第1の金属層12は、上述の金属膜10と同じ構成である。
第2の金属層14は、金属膜11の膜厚を厚くするための緩衝層として機能するものである。例えば、第1の金属層12の内部応力が高く、膜厚を厚くできない場合には第2の金属層14を設けることにより、第2の金属層14で内部応力が緩和され、金属膜11全体の内部応力を低下させることができる。
第2の金属層14は、例えば、陽極酸化が可能なバルブ金属であることが好ましく、例えば、第2の金属層14をバルブ金属で構成することにより、金属膜11の厚みを厚くすることができ、かつ金属膜11全体を陽極酸化膜とすることができる。
バルブ金属としては、アルミニウム以外、例えば、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、マグネシウム、タングステン、ビスマス、アンチモン等が挙げられる。
金属膜11は、図2に示す2層構造に限定されるものではなく、図3に示す3層構造、図4に示す5層構造とすることもできる。
図3に示す金属膜11は、支持体17側から第1の金属層12、第2の金属層14および第1の金属層12の順で配置されている。
図4に示す金属膜11は、支持体17側から第1の金属層12、第2の金属層14、第1の金属層12、第2の金属層14、および第1の金属層12の順で配置されている。
第1の金属層12と第2の金属層14とは交互に配置されており、最表層に第1の金属層12が配置されている。
このように、第1の金属層12が複数ある場合、第1の金属層12は、金属膜11の最表層に配置される。第1の金属層12の表面12aが金属膜11の表面となる。また、図2に示す2層構造の場合でも、支持体17上に形成する場合には、最表層側に第1の金属層12を配置することが好ましい。陽極酸化膜ができない金属層のとの組合せの場合には、最表層側に第1の金属層12を配置する。
図2〜図4に示す金属膜11は、最表層の第1の金属層12の表面12aは、図1に示す金属膜10と同様に表面粗さRtが0.1μm以下であることが好ましい。
また、2層構造の場合、図5に示すように、第1の金属層12と異種金属層16とを積層してもよい。例えば、異種金属層16は、電気導電性がない支持体17の場合に設けられるものであり、例えば、めっき処理の際に電極として機能する。異種金属層16は、金属または合金で構成されるものであり、第1の金属層12および第2の金属層14とは組成が異なる金属で構成される。異種金属層16は、例えば、Cu(銅)で構成される。異種金属層16は、例えば、第1の金属層12または第2の金属層14との接合性が良好であるものが好ましい。
なお、組成が異なる金属とは、2つの組成を比較した場合、単一金属の場合、構成元素の種類が異なることをいう。合金の場合、含有量が50質量%以上の主成分を比較した場合、主成分の元素の種類が異なることをいう。
図2〜図4に示す金属膜11でも、支持体17の表面17a直上に異種金属層16を配置する構成とすることもできる。
なお、図2〜図5に示す金属膜11は、図1に示す金属膜10と同様に支持体17がない単体の状態でもよい。また、金属膜11の厚みtは、第1の金属層12と第2の金属層14との合計の厚みとなる。第2の金属層14の厚みは、金属膜11の厚みtに対する比率が10%未満である。第2の金属層14の厚みが、金属膜11の厚みtに対する比率が10%未満であれば、後述の貫通孔21の直管率が高くなる。
なお、第2の金属層14の厚みは、第2の金属層14単体の厚みである。第2の金属層14が複数層ある場合でも、各第2の金属層14それぞれの単体の厚みである。
支持体17は、特に限定されるものではなく、例えば、シリコン基板が用いられる。支持体17としては、シリコン基板以外に、例えば、SiC、SiN、GaNおよびアルミナ(Al)等のセラミックス基板、ガラス基板、石英基板、繊維強化プラスチック基板、ならびに金属基板を用いることができる。繊維強化プラスチック基板には、プリント配線基板であるFR−4(Flame Retardant Type 4)基板等も含まれる。また、支持体17には、耐熱性に優れるポリイミドフィルム、例えば、東レ・デュポン株式会社製のカプトン(登録商標)等を用いてもよい。
また、支持体17には、金属膜10、すなわち、第1の金属層12とは組成が異なるアルミニウム基板またはアルミニウム合金基板を用いることもできる。この場合、支持体17を含め、金属膜11と支持体17とを陽極酸化膜にすることができる。
(金属膜の製造方法)
金属膜10は、上述の純度であり、第2相粒子が100個/mm未満であれば、その製造方法は特に限定されるものではない。金属膜10は、純度99.9質量%以上のアルミニウムを用い、20℃/秒以上の冷却速度で成膜する成膜工程により形成される。
例えば、図6に示すように、支持体17の表面17aに金属膜10を形成する。
純度99.9質量%以上のアルミニウムを20℃/秒以上の冷却速度を実現できる方法としては、連続鋳造法、および気相法が挙げられる。気相法には、例えば、蒸着法、スパッタ法、およびイオンプレーティング法を用いることができる。
また、金属膜10は、上述のように表面粗さRtが0.1μm以下であることが好ましい。このため、金属膜10の表面10aを平滑化(平坦化)することが好ましい。
平滑化(平坦化)の方法としては、例えば、電解研磨、物理研磨、化学溶解、および物理研削等が挙げられる。
電解研磨は、陽極酸化処理の前のアルミニウム材の鏡面仕上げ処理に用いられるものであり、例えば、リン酸を含有する電解研磨液が用いられる。
物理研磨は、例えば、化学的機械的研磨である。化学溶解は、例えば、フッ酸を含む溶液での化学溶解である。
物理研削は、例えば、サーフェースプレーナーである。
上述以外に、ガスクラスターイオンビーム(GCIB)を用いることもできる。
ここで、図6は本発明の実施形態の金属膜の第1の例の製造方法の一例を示す模式図である。図7および図8は本発明の実施形態の金属膜の第2の例の製造方法の一例を工程順に示す模式図である。
多層構造の金属膜11の場合、まず、支持体17の表面17aに、例えば、バルブ金属からなる第2の金属層14を形成する。第2の金属層14の形成方法は、特に限定されるものではない。第1の金属層12が気相法で形成された場合、製造プロセスの観点から、第2の金属層14も気相法で形成することが好ましい。
金属膜11でも、最表層の第1の金属層12の表面12aを、金属膜10と同様に平滑化処理し、表面粗さRtを0.1μm以下にすることが好ましい。
次に、構造体について説明する。
(構造体)
構造体は、上述の金属膜を用いて形成された陽極酸化膜である。上述の金属膜を陽極酸化することにより形成される。
図9は本発明の実施形態の構造体の一例を示す模式的断面図である。
図9に示す構造体20は、厚み方向Dtに貫通する貫通孔21を有する。貫通孔21はマイクロポアと呼ばれるものであり、直管形状である。構造体20は、貫通孔21の直管率が98%以上である。
直管形状とは、貫通孔21の軸が、構造体20の厚み方向Dtと略平行であること、および、貫通孔21の直径が、その軸方向において実質的に同一であることを指す。なお、貫通孔21の軸が、構造体20の厚み方向Dtと略平行であるとは、厚み方向Dtの貫通孔21の軸と、構造体20の厚み方向Dtとの角度のずれが10°以下であることを指し、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
貫通孔21の直径が、その軸方向において実質的に同一であるとは、直管率が98%以上である。
導電体で構成される導通路を直管構造とする観点から、マイクロポアが分岐構造を有しないことが好ましい。上述の直管率は、構造体の表面20aの単位面積当りの貫通孔数Aと、裏面20bの単位面積当りの貫通孔数Bとの比率で規定される。この場合、貫通孔数Aと貫通孔数Bのうち、数値が大きい方に対する比率とする。すなわち、数値が大きい方を分母にして比率を求める。このため、直管率は最大100%である。
直管率は、98%以上であれば特に限定されるものではなく、理想的には100%である。
構造体としては、キャパシタ、電池用電極、ガス透過膜、センサーおよび異方導電性部材に利用可能である。構造体に表面修飾処理を程すことにより、センサーとして利用可能である。
アルミニウムを陽極酸化した構造体表面はそのままでも高い吸着活性を有し、その表面にWO2009/113314に記載されているようなチオフェン誘導体を吸着させガス吸着センサー素子として用いたり、アルドリッチから市販されている色素増感太陽電池用有機色素MK−2等を吸着させて色素増感電池の部材として用いたりしてもよい。構造体表面にカルボキシル等を有する被覆層を介して有機物を吸着させてもよい。本発明における構造体は非常に微細な孔を有することで高い表面積を有するために上述のようなセンサーとして用いた場合は感度の向上に寄与可能である。また高い直管性を有することで吸着ガスの離脱等も容易に行うことができる。
〔構造体の物性、形状〕
構造体は、金属膜の陽極酸化膜からなり、例えば、従来公知の異方導電性フィルム等を構成する絶縁性基材と同程度の電気抵抗率(1014Ω・cm程度)を有する。
構造体20の厚みht(図9参照)は、1〜1000μmの範囲内であるのが好ましく、5〜500μmの範囲内であるのがより好ましく、10〜300μmの範囲内であるのが更に好ましい。構造体20の厚みがこの範囲であると、構造体20の取り扱い性が良好となる。
構造体20の厚みhtは、構造体20を、厚み方向Dtに対して集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)で切削加工し、その断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により20万倍の倍率で観察し、構造体20の輪郭形状を取得し、厚みhtに相当する領域について10点測定した平均値のことである。
構造体20における各貫通孔の間隔は、5nm〜800nmであることが好ましく、10nm〜200nmであることがより好ましく、50nm〜140nmであることが更に好ましい。絶縁性基材における各貫通孔の間隔がこの範囲であると、構造体20が絶縁性の隔壁として十分に機能する。貫通孔の間隔は、導電体の間隔と同じである。
ここで、貫通孔の間隔、すなわち、導電体の間隔とは、隣接する導電体間の幅w(図10参照)をいい、構造体の断面を電界放出形走査型電子顕微鏡により20万倍の倍率で観察し、隣接する導電体間の幅を10点で測定した平均値をいう。
また、構造体の貫通孔の配置は、特に限定されるものではなく、例えば、特定の周期で貫通孔が配置されてもよく、互いに周期が異なる複数の周期で貫通孔が配置されてもよい。この場合、例えば、構造体20の厚み方向で貫通孔の配置周期が異なる。貫通孔の配置周期が2種類ある場合、例えば、一方の貫通孔の配置周期が100nmであり、他方の貫通孔の配置周期を300nmであり、一方の貫通孔と、他方の貫通孔とは一部の貫通孔が重なる。
(複合材料)
次に、複合材料について説明する。
複合材料は、上述の構造体を用いて構成されたものである。複合材料は、構造体と、構造体の貫通孔に充填された導電体とを有する。複合材料は、金属充填微細構造体と呼ばれるものであり、例えば、異方導電性部材に用いられる。以下、複合材料について図10および図11を参照してより具体的に説明する。
図10は本発明の実施形態の複合材料の一例を示す模式的断面図であり、図11は本発明の実施形態の複合材料の一例を示す平面図である。
図10に示すように、複合材料30は、例えば、上述の金属膜10または金属膜11の陽極酸化膜からなる構造体20と、構造体20の厚み方向Dt(図10参照)に貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられた、複数の導電体32とを備える部材である。複合材料30は、更に、構造体20の表面20aおよび裏面20bに設けられた樹脂層34を具備する。
ここで、「互いに電気的に絶縁された状態」とは、絶縁性基材の内部に存在している各導電体が絶縁性基材の内部において互いに各導電体間の導通性が十分に低い状態であることを意味する。
複合材料30は、導電体32が互いに電気的に絶縁されており、構造体20の厚み方向Dt(図10参照)と直交する方向xには導電性が十分に低く、厚み方向Dt(図11参照)に導電性を有する。このように複合材料30は異方導電性を示す部材である。
導電体32は、図10に示すように、互いに電気的に絶縁された状態で構造体20を厚み方向Dtに貫通して設けられている。
更に、導電体32は、図10に示すように、構造体20の表面20aおよび裏面20bから突出した突出部分32aおよび突出部分32bを有してもよい。複合材料30は、更に、構造体20の表面20aおよび裏面20bに設けられた樹脂層34を具備してもよい。樹脂層34は、粘着性を備え、接合性を付与するものでもある。突出部分32aおよび突出部分32bの長さは、6nm以上であることが好ましく、より好ましくは30nm〜500nmである。
また、図10においては、構造体20の表面20aおよび裏面20bに樹脂層34を有するものを示しているが、これに限定されるものではなく、構造体20の少なくとも一方の表面に、樹脂層34を有する構成でもよい。
同様に、図10の導電体32は両端に突出部分32aおよび突出部分32bがあるが、これに限定されるものではなく、構造体20の少なくとも樹脂層34を有する側の表面に突出部分を有する構成でもよい。
図10に示す複合材料30の厚みhは、例えば、30μm以下である。また、複合材料30は、TTV(Total Thickness Variation)が10μm以下であることが好ましい。
ここで、複合材料30の厚みhは、複合材料30を、電解放出形走査型電子顕微鏡により20万倍の倍率で観察し、複合材料30の輪郭形状を取得し、厚みhに相当する領域について10点測定した平均値のことである。
また、複合材料30のTTV(Total Thickness Variation)は、複合材料30をダイシングで切断し、複合材料30の断面形状を観察して求めた値である。
また、樹脂層34に保護層(図示せず)を設けてもよい。保護層は、構造体表面を傷等から保護するために用いるものであるため、易剥離テープが好ましい。保護層として、例えば、粘着層付きフィルムを用いてもよい。
粘着層付きフィルムとして、例えば、ポリエチレン樹脂フィルム表面に粘着剤層が形成されているサニテクト(SUNYTECT)〔登録商標〕(株式会社サンエー化研製)、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム表面に粘着剤層が形成されているE−MASK〔登録商標〕(日東電工株式会社製)、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム表面に粘着剤層が形成されているマスタック〔登録商標〕(藤森工業株式会社製)等のシリーズ名で販売されている市販品を用いることができる。
また、粘着層付きフィルムを貼り付ける方法は特に限定されず、従来公知の表面保護テープ貼付装置およびラミネーターを用いて貼り付けることができる。
複合材料30は、移送、搬送および運搬ならびに保管等のために支持体(図示せず)の上に設けてもよい。支持体と複合材料30の間に剥離層(図示せず)を設け、支持体と複合材料30は剥離層により、分離可能に接着してもよい。
上述のように複合材料30が支持体の上に剥離層を介して設けられたものを異方導電材という。
支持体は、複合材料30を支持するものであり、例えば、シリコン基板で構成されている。支持体としては、シリコン基板以外に、例えば、SiC、SiN、GaNおよびアルミナ(Al)等のセラミックス基板、ガラス基板、繊維強化プラスチック基板、ならびに金属基板を用いることができる。繊維強化プラスチック基板には、プリント配線基板であるFR−4(Flame Retardant Type 4)基板等も含まれる。
また、支持体としては、可撓性を有し、かつ透明であるものを用いることができる。可撓性を有し、かつ透明な支持体としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリシクロオレフィン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンおよびTAC(トリアセチルセルロース)等のプラスチックフィルムが挙げられる。
ここで、透明とは、位置合せに使用する波長の光で透過率が80%以上であることをいう。このため、波長400〜800nmの可視光全域で透過率が低くてもよいが、波長400〜800nmの可視光全域で透過率が80%以上であることが好ましい。透過率は、分光光度計により測定される。
剥離層は、支持層と剥離剤が積層されたものであることが好ましい。剥離剤が複合材料30に接し、剥離層を起点にして、支持体と複合材料30が分離する。異方導電材では、例えば、予め定められた温度に加熱することで、剥離剤の接着力が弱まり、複合材料30から支持体が取り除かれる。
剥離剤には、例えば、日東電工社製リバアルファ(登録商標)、およびソマール株式会社製ソマタック(登録商標)等を用いることができる。
以下、構造体、および複合材料の製造方法について説明する。
(構造体、複合材料の製造方法)
<第1態様>
図12〜図16は、本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第1態様を工程順に示す模式的断面図であり、構造体および複合材料の製造方法をまとめて示す。
まず、図12に示すように、金属膜10を用意する。
金属膜10は、例えば、最終的に得られる複合材料30(図10参照)の構造体20の厚み、すなわち、絶縁性基材の厚み、加工する装置等に応じて大きさおよび厚みが適宜決定されるものである。金属膜10は、例えば、矩形状またはウエハ状の板材である。
次に、金属膜10の片側の表面10a(図12参照)を陽極酸化処理する。これにより、金属膜10の片側の表面10a(図12参照)が陽極酸化されて、図13に示すように、金属膜10の厚み方向Dtに延在する複数の貫通孔21の底部に存在するバリア層22を有する陽極酸化膜24が形成される。上述の金属膜10に陽極酸化する工程を陽極酸化処理工程という。陽極酸化処理工程において、陽極酸化は、1回に限定されるものではなく、複数回実施してもよく、少なくとも1回実施すればよい。
複数回陽極酸化を実施する場合、望ましい方法としては、陽極酸化した後、陽極酸化膜を一部溶解除去し、その後、再度陽極酸化する。これにより、貫通孔の配列性を向上させることができる。
複数の貫通孔21を有する陽極酸化膜24には、上述のように貫通孔21の底部にバリア層22が存在するが、図14に示すようにバリア層22を除去する。このバリア層22を除去する工程をバリア層除去工程という。
バリア層除去工程において、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いることにより、陽極酸化膜24のバリア層22を除去すると同時に、貫通孔21の底部に金属(金属M1)からなる金属層25aを形成する。これにより、貫通孔21の底の金属膜10は金属層25aで被覆される。
図14に示すように、構造体20として、複数の貫通孔21を有する陽極酸化膜24が形成される。上述の図12〜図14に示す工程により、構造体20を形成することができる。
なお、構造体20を、複合材料30(図10参照)に用いない場合、金属膜10および支持体17を除去し、図9に示す構造体20単体を得る。図9に示す構造体20に対して各種の処理を施すことにより、各用途に応じたものを得ることができる。
図2〜図4に示すように、第1の金属層12と第2の金属層14との多層構造である金属膜11の場合には、陽極酸化処理工程により、第1の金属層12と第2の金属層14とに貫通孔21が形成される。上述の多層構造の金属膜11の場合、陽極酸化処理工程では、第1の金属層12と第2の金属層14とのそれぞれに応じた陽極酸化処理が実施され、貫通孔21が形成される。この場合、金属膜11の層数に応じた回数の陽極酸化処理が実施される。1度の陽極酸化処理により、第1の金属層12と第2の金属層14とを貫通する貫通孔21を形成してもよく、上述の陽極酸化処理工程の陽極酸化処理の回数は、特に限定されるものではない。
なお、上述の構造体20の製造工程の一部であるバリア層除去工程において、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いてバリア層を除去することにより、バリア層22を除去するだけでなく、貫通孔21の底部に露出した金属膜10にアルミニウムよりも水素ガスが発生しにくい金属M1の金属層25aが形成される。その結果、金属充填の面内均一性が良好となる。これは、めっき液による水素ガスの発生が抑制され、電解めっきによる金属充填が進行しやすくなったと考えられる。
また、バリア層除去工程において、陽極酸化処理工程における電圧の30%未満の範囲から選択される電圧(保持電圧)の95%以上105%以下の電圧に通算5分以上保持する保持工程を設け、金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を適用することを組み合わせることにより、めっき処理時の金属充填の均一性が大きく良化することを見出している。このため、保持工程があることが好ましい。
詳しいメカニズムは不明だが、バリア層除去工程において、金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いることでバリア層下部に金属M1の層が形成され、これにより金属膜と陽極酸化膜との界面がダメージを受けることを抑制することができ、バリア層の溶解の均一性が向上したためと考えられる。
なお、バリア層除去工程において、貫通孔21の底部に金属(金属M1)からなる金属層25aを形成したが、これに限定されるものではなく、バリア層22だけを除去し、貫通孔21の底に金属膜10を露出させる。金属膜10を露出させた状態で、金属膜10を電解めっきの電極として用いてもよい。
また、支持体17が導電性を有するものであれば、支持体17を電解めっきの電極として用いることもできる。
また、図5に示すように異種金属層16が形成されている場合には、異種金属層16を電解めっきの電極として用いることもできる。
以降の工程は、複合材料30の製造工程である。
次に、図14に示す陽極酸化膜24の貫通孔21の内部に、図15に示すように、導電物質として、例えば、金属25bを充填する。貫通孔21の内部に金属25bを充填することにより、導通路として機能する導電性を有する導電体32が形成される。この場合、金属(金属M1)からなる金属層25aを電解めっきの電極として用いることができる。
貫通孔21の内部に、導電物質として、例えば、金属25bを充填することを金属充填工程という。金属充填工程には、電解めっきが用いられ、金属充填工程については後に詳細に説明する。金属層25aと金属25bとをまとめて金属25という。
金属充填工程の後に、図16に示すように金属膜10および支持体17を除去する。これにより、複合材料30が得られる。金属膜10を除去する工程を基板除去工程という。
<第2態様>
図17〜図19は、本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第2態様を工程順に示す模式的断面図である。
なお、図17〜図19において、図12〜図16に示す構成と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、図17は、上述の図15の後の状態を示す。
第2態様は、上述の第1態様に比して、以下に示す工程が異なる。図17に示すように、金属充填工程の後に陽極酸化膜24の金属膜10が設けられていない側の表面を厚み方向に一部除去し、金属充填工程で充填した金属25を陽極酸化膜24の表面よりも突出させる。すなわち、導電体32を陽極酸化膜24の表面よりも突出させる。充填した金属25を陽極酸化膜24の表面よりも突出させることを、表面金属突出工程という。
表面金属突出工程の後に、図18に示すように金属膜10を除去する(基板除去工程)。
次に、図19に示すように、基板除去工程の後に陽極酸化膜24の金属膜10が設けられていた側の表面を厚み方向に一部除去し、金属充填工程で充填した金属25、すなわち、導電体32を陽極酸化膜24の表面よりも突出させる。これにより、図19に示す複合材料30が得られる。
上述の表面金属突出工程および裏面金属突出工程は、両方の工程を有する態様であってもよいが、表面金属突出工程および裏面金属突出工程のうち、一方の工程を有する態様であってもよい。表面金属突出工程および裏面金属突出工程をまとめて「金属突出工程」ともいう。
<第3態様>
図20および図21は、本発明の実施形態の複合材料の製造方法の第3態様を工程順に示す模式的断面図である。
なお、図20および図21において、図12〜図16に示す構成と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、図20は、上述の図15の後の状態を示す。
第3態様は、上述の第1態様に比して、以下に示す工程が異なる。図20に示すように、金属充填工程の後に陽極酸化膜24の金属膜10が設けられていない側の表面に樹脂層28を設ける。樹脂層28を設けることを樹脂層形成工程という。
次に、図21に示すように、樹脂層形成工程の後に金属膜10を除去する(基板除去工程)。これにより、図16に示す複合材料30が得られる。
第3態様では、図22に示すように製造された複合材料30が巻き芯29にロール状に巻き取られた状態で供給することを意図した態様である。複合材料30の使用時に樹脂層28(図23参照)を剥離することにより、複合材料30を、例えば、金属充填微細構造体または異方導電性部材として使用することができる。
<他の態様>
製造方法としては、例えば、上述の陽極酸化処理工程、保持工程、バリア層除去工程、金属充填工程、表面金属突出工程、樹脂層形成工程、基板除去工程および裏面金属突出工程をこの順に実施してもよい。
また、所望の形状のマスク層を用いて金属膜の表面の一部に陽極酸化処理を施してもよい。
平滑化工程(平坦化工程)においては、上述の工程に限定されるものではなく、例えば、支持体17の表面17aを平面の基準として利用して、平滑化(平坦化)処理してもよい。
図24〜図26は、平滑化工程の一例を工程順に示す模式図である。
図24に示すように金属膜10を支持体17の表面17aに形成するが、このとき、支持体17の表面17aに剥離層18を設ける。剥離層18としては、例えば、酸化膜を用いることができる。酸化膜には、支持体17が酸化可能なものであれば、支持体17を酸化させて形成した酸化膜を用いることができる。例えば、支持体17がシリコンの場合、酸化膜として酸化シリコン膜を形成することができ、アルミニウムの場合、酸化膜として酸化アルミニウム膜を形成することができる。
図25に示すように、金属膜10を剥離層18から剥離し、支持体17から離す。
次に、図26に示すように、別の支持体19を用意し、支持体19の表面19aに接着層19bを設ける。接着層19bを介して支持体19に表面10aを向けて金属膜10を設ける。
金属膜10の裏面10bは、支持体17の表面17aに基づく平滑性を有する面である。金属膜10の裏面10bに対して、平滑化処理を施す場合、平滑性が表面10aに比して高いため、少ない研磨量で、予め定められた表面粗さRtにできる。
なお、接着層としては、例えば、Q−chuck(登録商標)(丸石産業株式会社製)等を使用することができる。
以下、構造体、および複合材料の製造方法についてより具体的に説明する。
〔陽極酸化処理工程〕
上述の陽極酸化処理工程は、上述の金属膜10の片側の表面に陽極酸化処理を施すことにより、厚み方向に存在する貫通孔と貫通孔の底部に存在するバリア層とを有する陽極酸化膜を形成する工程である。
陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、マイクロポア配列の規則性を高くし、複合材料の異方導電性を担保する観点から、自己規則化法や定電圧処理を用いるのが好ましい。
ここで、陽極酸化処理の自己規則化法および定電圧処理については、特開2008−270158号公報の[0056]〜[0108]段落および[図3]に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
<陽極酸化処理1>
陽極酸化処理における電解液の平均流速は、0.5〜20.0m/minであるのが好ましく、1.0〜15.0m/minであるのがより好ましく、2.0〜10.0m/minであるのが更に好ましい。
また、電解液を上述の条件で流動させる方法は、特に限定されないが、例えば、スターラーのような一般的なかくはん装置を使用する方法が用いられる。特に、かくはん速度をデジタル表示でコントロールできるようなスターラーを用いると、平均流速が制御できるため好ましい。このようなかくはん装置としては、例えば、「マグネティックスターラーHS−50D(AS ONE製)」等が挙げられる。
陽極酸化処理は、例えば、酸濃度1〜10質量%の溶液中で、アルミニウム基板を陽極として通電する方法を用いることができる。
陽極酸化処理に用いられる溶液としては、酸溶液であることが好ましく、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸、グリコール酸、酒石酸、りんご酸、クエン酸、マロン酸等がより好ましく、中でも硫酸、リン酸、シュウ酸が特に好ましい。これらの酸は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には、電解液濃度0.1〜20質量%、液温−10〜30℃、電流密度0.01〜20A/dm2、電圧3〜300V、電解時間0.5〜30時間であるのが好ましく、電解液濃度0.5〜15質量%、液温−5〜25℃、電流密度0.05〜15A/dm2、電圧5〜250V、電解時間1〜25時間であるのがより好ましく、電解液濃度1〜10質量%、液温0〜20℃、電流密度0.1〜10A/dm2、電圧10〜200V、電解時間2〜20時間であるのが更に好ましい。
上述の陽極酸化処理工程は、上述の第3態様により作製される複合材料30を所定径および所定幅の巻き芯29(図22参照)に巻き取られた形状で供給する観点から、陽極酸化処理により形成される陽極酸化膜の平均厚みが30μm以下であるのが好ましく、5〜20μmであるのがより好ましい。なお、平均厚みは、陽極酸化膜を厚さ方向に対して集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)で切削加工し、その断面を電界放射型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FE−SEM)により表面写真(倍率50000倍)を撮影し、10点測定した平均値として算出した。
<陽極酸化処理2>
陽極酸化処理は、上述の陽極酸化処理に限定されるものではない。
陽極酸化処理としては、直流定電圧条件下にて、通電時の皮膜形成速度Aと、非通電時の皮膜溶解速度Bとした時、下記式で表されるパラメータRが、160≦R≦200、好ましくは170≦R≦190、特に好ましくは175≦R≦185を満たす電解液を用いて処理を施すことで、貫通孔の規則配列性を大幅に向上することができる。
R=A[nm/s]÷(B[nm/s]×加電圧[V])
陽極酸化処理における電解液の平均流速は、上述の陽極酸化処理と同様であり、これにより、均一かつ高い規則性を有することができる。
電解液を上述の条件で流動させる方法も、上述の陽極酸化処理と同様である。
陽極酸化処理液の粘度としては、25℃1気圧下における粘度が0.0001〜100.0Pa・sが好ましく、0.0005〜80.0Pa・sが更に好ましい。上述の範囲の粘度を有する電解液で陽極酸化処理(d)を行うことにより、均一かつ高い規則性を有することができる。
陽極酸化処理で用いる電解液には、酸性、アルカリ性いずれも使用することができるが、孔の真円性を高める観点から酸性の電解液が好適に用いられる。
具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、グリコール酸、酒石酸、りんご酸、クエン酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸、グリコール酸、酒石酸、りんご酸、クエン酸、マロン酸等がより好ましく、中でも硫酸、リン酸、シュウ酸が特に好ましい。これらの酸は単独でまたは2種以上を組み合わせて、上述の一般式(ii)の計算式より所望のパラメータに調整して用いることができる。
酸化膜溶解処理2における陽極酸化処理の条件は、上述の陽極酸化処理と同じとすることができる。
陽極酸化処理により形成される陽極酸化膜の膜厚は、0.1〜300μmであるのが好ましく、0.5〜150μmであるのがより好ましく、1〜100μmであるのが更に好ましい。
<酸化膜溶解処理>
酸化膜溶解処理は、上述の陽極酸化処理により形成された陽極酸化膜に存在する貫通孔の経(ポア径)を拡大させる処理(孔径拡大処理)である。
酸化膜溶解処理は、上述の陽極酸化処理後の金属膜を酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
酸化膜溶解処理において、酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でも、クロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は1〜10質量%であるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜60℃であるのが好ましい。
一方、酸化膜溶解処理において、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜120分であるのが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。
また、酸化膜溶解処理において、ポア径の拡大量は陽極酸化処理の条件により異なるが、処理前後の拡大比が1.05倍〜100倍が好ましく、1.1倍〜75倍がより好ましく、1.2倍〜50倍が特に好ましい。
酸化膜溶解処理により、陽極酸化膜の表面およびマイクロポアの内部が溶解し、金属膜上に、マイクロポアを有する陽極酸化膜が得られる。
<陽極酸化処理>
上述の酸化膜溶解処理の後に、再度上述の陽極酸化処理を施すのが好ましい。
再度の陽極酸化処理により、貫通孔の酸化反応が進行し、金属膜上に、マイクロポアよりも深くなったマイクロポアを有する陽極酸化膜を金属膜が得られる。
<酸化膜溶解処理>
また、上述の陽極酸化処理、上述の酸化膜溶解処理および上述の陽極酸化処理をこの順に施した後に、更に上述の酸化膜溶解処理を施すのが好ましい。
この処理により、マイクロポアの中に処理液が入るため、陽極酸化処理で形成された陽極酸化膜を全て溶解し、陽極酸化処理で形成されたマイクロポアのポア径を広げることができる。
すなわち、再度の酸化膜溶解処理により、陽極酸化膜の変曲点より表面側のマイクロポアの内部が溶解し、金属膜上に、直管状のマイクロポアを有する陽極酸化膜を形成することができる。
ここで、マイクロポアのポア径の拡大量は、陽極酸化処理の処理条件により異なるが、処理前後の拡大比が1.05倍〜100倍が好ましく、1.1倍〜75倍がより好ましく、1.2倍〜50倍が特に好ましい。
上述の陽極酸化処理と酸化膜溶解処理のサイクルを1回以上行い、繰り返しの回数が多いほど、貫通孔の配列の規則性が高くなる。
また、直前の陽極酸化処理で形成された陽極酸化膜を酸化膜溶解処理で全て溶解することにより、皮膜表面から見たマイクロポアの真円性が飛躍的に向上するため、上述のサイクルを2回以上繰り返して行うのが好ましく、3回以上繰り返して行うのがより好ましく、4回以上繰り返して行うのが更に好ましい。
また、上述のサイクルを2回以上繰り返して行う場合、各回の酸化膜溶解処理および陽極酸化処理の条件は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよく、また、最後の処理を陽極酸化処理で終えてもよい。
〔保持工程〕
上述の保持工程は、例えば、上述の陽極酸化処理工程の後に、1V以上かつ上述の陽極酸化処理工程における電圧の30%未満の範囲から選択される保持電圧の95%以上105%以下の電圧に通算5分以上保持する工程である。言い換えると、上述の保持工程は、上述の陽極酸化処理工程の後に、1V以上かつ上述の陽極酸化処理工程における電圧の30%未満の範囲から選択される保持電圧の95%以上105%以下の電圧で通算5分以上電解処理を施す工程である。
ここで、「陽極酸化処理における電圧」とは、金属膜と対極間に印加する電圧であり、例えば、陽極酸化処理による電解時間が30分であれば、30分の間に保たれている電圧の平均値をいう。
陽極酸化膜の側壁厚み、すなわち、貫通孔の深さに対してバリア層の厚みを適切な厚みに制御する観点から、保持工程における電圧が、陽極酸化処理における電圧の5%以上25%以下であることが好ましく、5%以上20%以下であることがより好ましい。
また、面内均一性がより向上する理由から、保持工程における保持時間の合計が、5分以上20分以下であることが好ましく、5分以上15分以下であることがより好ましく、5分以上10分以下であることが更に好ましい。
また、保持工程における保持時間は、通算5分以上であればよいが、連続5分以上であることが好ましい。
更に、保持工程における電圧は、陽極酸化処理工程における電圧から保持工程における電圧まで連続的または段階的(ステップ状)に降下させて設定してもよいが、面内均一性が更に向上する理由から、陽極酸化処理工程の終了後、1秒以内に、上述の保持電圧の95%以上105%以下の電圧に設定することが好ましい。
上述の保持工程は、例えば、上述の陽極酸化処理工程の終了時に電解電位を降下させることにより、上述の陽極酸化処理工程と連続して行うこともできる。
上述の保持工程は、電解電位以外の条件については、上述した従来公知の陽極酸化処理と同様の電解液および処理条件を採用することができる。
特に、上述したように上述の保持工程と上述の陽極酸化処理工程とを連続して施す場合は、同様の電解液を用いて処理するのが好ましい。
陽極酸化処理工程後の保持工程の電圧パターンとしては、例えば、図27に示す電圧降下パターンおよび図28に示す電圧降下パターンで電圧である。
〔バリア層除去工程〕
上述のバリア層除去工程は、上述の保持工程の後に、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いて、上述の陽極酸化膜のバリア層を除去する工程である。
ここで、水素過電圧(hydrogen overvoltage)とは、水素が発生するのに必要な電圧をいい、例えば、アルミニウム(Al)の水素過電圧は−1.66Vである(日本化学学会誌,1982、(8),p1305−1313)。なお、アルミニウムの水素過電圧よりも高い金属M1の例およびその水素過電圧の値を以下に示す。
<金属M1および水素(1N H2SO4)過電圧>
・白金(Pt):0.00V
・金(Au):0.02V
・銀(Ag):0.08V
・ニッケル(Ni):0.21V
・銅(Cu):0.23V
・錫(Sn):0.53V
・亜鉛(Zn):0.70V
本発明においては、後述の金属充填工程の金属M2と置換反応を起こし、マイクロポアの内部に充填される金属の電気的な特性に与える影響が少なくなる理由から、上述のバリア層除去工程で用いる金属M1は、後述する金属充填工程で用いる金属M2よりもイオン化傾向が高い金属であることが好ましい。
具体的には、後述の金属充填工程の金属M2として銅(Cu)を用いる場合には、上述のバリア層除去工程で用いる金属M1としては、例えば、Zn、Fe、Ni、Sn等が挙げられ、中でも、Zn、Niを用いるのが好ましく、Znを用いるのがより好ましい。
また、後述する金属充填工程の金属M2としてNiを用いる場合には、上述のバリア層除去工程で用いる金属M1としては、例えば、Zn、Fe等が挙げられ、中でも、Znを用いるのが好ましい。
このような金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いてバリア層を除去する方法は特に限定されず、例えば、従来公知の化学的エッチング処理と同様の方法が挙げられる。
<化学エッチング処理>
化学エッチング処理によるバリア層の除去は、例えば、上述の陽極酸化処理工程後の構造物をアルカリ水溶液に浸漬させ、マイクロポアの内部にアルカリ水溶液を充填させた後に、陽極酸化膜のマイクロポアの開口部側の表面にpH(水素イオン指数)緩衝液に接触させる方法等により、バリア層のみを選択的に溶解させることができる。
ここで、上述の金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。また、アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、10〜60℃が好ましく、更に15〜45℃が好ましく、更に20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液等が好適に用いられる。
なお、pH緩衝液としては、上述したアルカリ水溶液に対応した緩衝液を適宜使用することができる。
また、アルカリ水溶液への浸せき時間は、5〜120分であるのが好ましく、8〜120分であるのがより好ましく、8〜90分であるのが更に好ましく、10〜90分であるのが特に好ましい。なかでも、10〜60分であるのが好ましく、15〜60分であるのがより好ましい。
〔バリア層除去工程の他の例〕
バリア層除去工程は、上述以外に、陽極酸化膜のバリア層を除去し、貫通孔の底に金属膜の一部が露出する工程でもよい。
この場合、バリア層を除去する方法は特に限定されず、例えば、陽極酸化処理工程の陽極酸化処理における電位よりも低い電位でバリア層を電気化学的に溶解する方法(以下、「電解除去処理」ともいう。);エッチングによりバリア層を除去する方法(以下、「エッチング除去処理」ともいう。);これらを組み合わせた方法(特に、電解除去処理を施した後に、残存するバリア層をエッチング除去処理で除去する方法);等が挙げられる。
〈電解除去処理〉
電解除去処理は、陽極酸化処理工程の陽極酸化処理における電位(電解電位)よりも低い電位で施す電解処理であれば特に限定されない。
電解溶解処理は、例えば、陽極酸化処理工程の終了時に電解電位を降下させることにより、陽極酸化処理と連続して施すことができる。
電解除去処理は、電解電位以外の条件については、上述した従来公知の陽極酸化処理と同様の電解液および処理条件を採用することができる。
特に、上述したように電解除去処理と陽極酸化処理とを連続して施す場合は、同様の電解液を用いて処理するのが好ましい。
(電解電位)
電解除去処理における電解電位は、陽極酸化処理における電解電位よりも低い電位に、連続的または段階的(ステップ状)に降下させるのが好ましい。
ここで、電解電位を段階的に降下させる際の下げ幅(ステップ幅)は、バリア層の耐電圧の観点から、10V以下であることが好ましく、5V以下であることがより好ましく、2V以下であることが更に好ましい。
また、電解電位を連続的または段階的に降下させる際の電圧降下速度は、生産性等の観点から、いずれも1V/秒以下が好ましく、0.5V/秒以下がより好ましく、0.2V/秒以下が更に好ましい。
〈エッチング除去処理〉
エッチング除去処理は特に限定されないが、酸水溶液またはアルカリ水溶液を用いて溶解する化学エッチング処理であってもよく、ドライエッチング処理であってもよい。
(化学エッチング処理)
化学エッチング処理によるバリア層の除去は、例えば、陽極酸化処理工程後の構造物を酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸漬させ、マイクロポアの内部に酸水溶液またはアルカリ水溶液を充填させた後に、陽極酸化膜のマイクロポアの開口部側の表面にpH(水素イオン指数)緩衝液に接触させる方法等であり、バリア層のみを選択的に溶解させることができる。
ここで、酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。また、酸水溶液の濃度は1質量%〜10質量%であることが好ましい。酸水溶液の温度は、15℃〜80℃が好ましく、更に20℃〜60℃が好ましく、更に30℃〜50℃が好ましい。
一方、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。また、アルカリ水溶液の濃度は0.1質量%〜5質量%であることが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、10℃〜60℃が好ましく、更に15℃〜45℃が好ましく、更に20℃〜35℃であることが好ましい。なお、アルカリ水溶液には、亜鉛および他の金属を含有していてもよい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液等が好適に用いられる。
なお、pH緩衝液としては、上述した酸水溶液またはアルカリ水溶液に対応した緩衝液を適宜使用することができる。
また、酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8分〜120分であることが好ましく、10分〜90分であることがより好ましく、15分〜60分であることが更に好ましい。
(ドライエッチング処理)
ドライエッチング処理は、例えば、Cl2/Ar混合ガス等のガス種を用いることが好ましい。
〔金属充填工程〕
金属充填工程は、上述のバリア層除去工程の後に、電解めっきを用いて、陽極酸化膜における貫通孔の内部に、例えば、導電物質として金属M2を充填する工程である。
<金属M2>
上述の金属M2は、電気抵抗率が103Ω・cm以下の材料であるのが好ましく、その具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)等が好適に例示される。
中でも、電気伝導性の観点から、Cu、Au、Al、Niが好ましく、Cu、Auがより好ましく、Cuが更に好ましい。
なお、金属充填工程では金属を充填しているが、導電体32は金属に限定されるものではなく、導通物質があればよい。金属にかえて、インジウムがドープされたスズ酸化物(ITO)等を充填してもよい。
<金属充填方法>
上述の金属M2をマイクロポアの内部に充填するめっき処理の方法としては、例えば、電解めっき法または無電解めっき法を用いることができる。
ここで、着色等に用いられる従来公知の電解めっき法では、選択的に孔中に金属を高アスペクトで析出(成長)させることは困難である。これは、析出金属が孔内で消費され一定時間以上電解を行なってもめっきが成長しないためと考えられる。
そのため、本発明の製造方法においては、電解めっき法により金属を充填する場合は、パルス電解または定電位電解の際に休止時間をもうける必要がある。休止時間は、10秒以上必要で、30〜60秒であるのが好ましい。
また、電解液のかくはんを促進するため、超音波を加えることも望ましい。
更に、電解電圧は、通常20V以下であって望ましくは10V以下であるが、使用する電解液における目的金属の析出電位を予め測定し、その電位+1V以内で定電位電解を行なうことが好ましい。なお、定電位電解を行なう際には、サイクリックボルタンメトリを併用できるものが望ましく、Solartron社、BAS社、北斗電工社、IVIUM社等のポテンショスタット装置を用いることができる。
めっき液は、従来公知のめっき液を用いることができる。
具体的には、銅を析出させる場合には硫酸銅水溶液が一般的に用いられるが、硫酸銅の濃度は、1〜300g/Lであるのが好ましく、100〜200g/Lであるのがより好ましい。また、電解液中に塩酸を添加すると析出を促進することができる。この場合、塩酸濃度は10〜20g/Lであるのが好ましい。
また、金を析出させる場合、テトラクロロ金の硫酸溶液を用い、交流電解でめっきを行なうのが望ましい。
なお、無電解めっき法では、アスペクトの高い貫通孔からなる孔中に金属を完全に充填には長時間を要するので、本発明の製造方法においては、電解めっき法により金属を充填するのが望ましい。
本発明においては、上述のバリア層除去工程によりバリア層を除去し、かつ、貫通孔の底部に上述した金属M1からなる金属層が形成されているため、上述した通り、めっき液による水素ガスの発生が抑制され、めっき処理による金属充填が進行しやすくなったと考えられる。
〔基板除去工程〕
上述の基板除去工程は、上述の金属充填工程の後に、上述の金属膜を除去し、複合材料を得る工程である。
金属膜を除去する方法は特に限定されず、例えば、溶解により除去する方法等が好適に挙げられる。
<金属膜の溶解>
上述の金属膜の溶解は、陽極酸化膜を溶解しにくく、金属膜を構成するアルミニウムを溶解しやすい処理液を用いるのが好ましい。
このような処理液は、アルミニウムに対する溶解速度が、1μm/分以上であるのが好ましく、3μm/分以上であるのがより好ましく、5μm/分以上であるのが更に好ましい。同様に、陽極酸化膜に対する溶解速度が、0.1nm/分以下となるのが好ましく、0.05nm/分以下となるのがより好ましく、0.01nm/分以下となるのが更に好ましい。
具体的には、アルミよりもイオン化傾向の低い金属化合物を少なくとも1種含み、かつ、pHが4以下または8以上となる処理液であるのが好ましく、そのpHが3以下または9以上であるのがより好ましく、2以下または10以上であるのが更に好ましい。
このような処理液としては、酸またはアルカリ水溶液をベースとし、例えば、マンガン、亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銅、水銀、銀、パラジウム、白金、金の化合物(例えば、塩化白金酸)、これらのフッ化物、これらの塩化物等を配合したものであるのが好ましい。
中でも、酸水溶液ベースが好ましく、塩化物をブレンドするのが好ましい。
特に、塩酸水溶液に塩化水銀をブレンドした処理液(塩酸/塩化水銀)、塩酸水溶液に塩化銅をブレンドした処理液(塩酸/塩化銅)が、処理ラチチュードの観点から好ましい。
なお、このような処理液の組成は特に限定されず、例えば、臭素/メタノール混合物、臭素/エタノール混合物、王水等を用いることができる。
また、このような処理液の酸またはアルカリ濃度は、0.01〜10mol/Lが好ましく、0.05〜5mol/Lがより好ましい。
更に、このような処理液を用いた処理温度は、−10℃〜80℃が好ましく、0℃〜60℃が好ましい。
また、上述の金属膜の溶解は、上述の金属充填工程後の金属膜を上述の処理液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。このときの接触時間としては、10秒〜5時間が好ましく、1分〜3時間がより好ましい。
〔金属突出工程〕
本発明の製造方法においては、作製される複合材料の金属接合性が向上する理由から、上述した第2態様に示す通り、表面金属突出工程および/または裏面金属突出工程を有しているのが好ましい。
ここで、表面金属突出工程とは、上述の金属充填工程の後であって上述の基板除去工程の前に、上述の陽極酸化膜の上述の金属膜ではない側の表面を厚み方向に一部除去し、上述の金属充填工程で充填した上述の金属M2を上述の陽極酸化膜の表面よりも突出させる工程である。
また、裏面金属突出工程とは、上述の基板除去工程の後に、上述の陽極酸化膜の上述の金属膜が設けられていた側の表面を厚み方向に一部除去し、上述の金属充填工程で充填した上述の金属M2を上述の陽極酸化膜の表面よりも突出させる工程である。
このような金属突出工程における陽極酸化膜の一部除去は、例えば、上述した金属M1および金属M2、特に金属M2を溶解せず、陽極酸化膜、すなわち、酸化アルミニウムを溶解する酸水溶液またはアルカリ水溶液に対して、金属が充填された貫通孔を有する陽極酸化膜を接触させることにより行うことができる。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でも、クロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は1〜10質量%であるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜60℃であるのが好ましい。
また、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜120分であるのが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。ここで、浸漬時間は、短時間の浸漬処理を繰り返した場合には、各浸漬時間の合計をいう。なお、各浸漬処理の間には、洗浄処理を施してもよい。
また、本発明の製造方法においては、作製される複合材料を異方導電性部材として用いた際に、配線基板等の被接着物との圧着性が良好となる理由から、上述の表面金属突出工程および/または上述の裏面金属突出工程が、上述の金属M2を上述の陽極酸化膜の表面よりも10〜1000nm突出させる工程であるのが好ましく、50〜500nm突出させる工程であるのがより好ましい。
更に、本発明の製造方法においては、作製される複合材料と電極とを圧着等の手法により接続(接合)する際に、突出部分が潰れた場合の面方向の絶縁性を十分に確保できる理由から、上述の表面金属突出工程および/または上述の裏面金属突出工程により形成される突出部分のアスペクト比(突出部分の高さ/突出部分の直径)が0.01以上20未満であるのが好ましく、6〜20であるのが好ましい。
なお、上述の導通路を構成する導電体32(図10参照)は、柱状であるのが好ましく、その直径d(図10参照)は、5nm超10μm以下であるのが好ましく、40nm〜1000nmであるのがより好ましい。
また、上述の導通路を構成する導電体32は、金属膜の陽極酸化膜によって互いに絶縁された状態で存在するものであるが、その密度は、2万個/mm2以上であるのが好ましく、200万個/mm2以上であるのがより好ましく、1000万個/mm2以上であるのが更に好ましく、5000万個/mm2以上であるのが特に好ましく、1億個/mm2以上であるのが最も好ましい。
更に、隣接する各導電体の中心間距離p(図10参照)は、20nm〜500nmであるのが好ましく、40nm〜200nmであるのがより好ましく、50nm〜140nmであるのが更に好ましい。
〔樹脂層形成工程〕
本発明の製造方法においては、作製される複合材料の搬送性が向上する理由から、上述した第3態様に示す通り、樹脂層形成工程を有しているのが好ましい。
ここで、樹脂層形成工程とは、上述の金属充填工程の後(上述の表面金属突出工程を有している場合は表面金属突出工程の後)であって上述の基板除去工程の前に、上述の陽極酸化膜の上述の金属膜が設けられていない側の表面に、樹脂層を設ける工程である。
上述の樹脂層を構成する樹脂材料としては、具体的には、例えば、エチレン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びセルロース系樹脂等を挙げることができるが、搬送性の観点と、異方導電性部材として使用しやすくする観点から、上述の樹脂層は、剥離可能な粘着層付きフィルムであるのが好ましく、加熱処理または紫外線露光処理により粘着性が弱くなり、剥離可能となる粘着層付きフィルムであるのがより好ましい。
上述の粘着層付きフィルムは特に限定されず、熱剥離型の樹脂層、および紫外線(ultraviolet:UV)剥離型の樹脂層等が挙げられる。
ここで、熱剥離型の樹脂層は、常温では粘着力があり、加熱するだけで容易に剥離可能なもので、主に発泡性のマイクロカプセル等を用いたものが多い。
また、粘着層を構成する粘着剤としては、具体的には、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤等が挙げられる。
また、UV剥離型の樹脂層は、UV硬化型の接着層を有するもので硬化により粘着力が失われて剥離可能になるというものである。
UV硬化型の接着層としては、ベースポリマーに、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に導入したポリマー等が挙げられる。炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。
さらに、アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマー等も、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。
炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは単独で使用することができるが、UV硬化性のモノマーやオリゴマーを配合することもできる。
UV硬化型の接着層は、UV照射により硬化させるために光重合開始剤を併用することが好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル系化合物;ケタール系化合物;芳香族スルホニルクロリド系化合物;光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。
熱剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、WS5130C02、WS5130C10等のインテリマー〔登録商標〕テープ(ニッタ株式会社製);ソマタック〔登録商標〕TEシリーズ(ソマール株式会製);No.3198、No.3198LS、No.3198M、No.3198MS、No.3198H、No.3195、No.3196、No.3195M、No.3195MS、No.3195H、No.3195HS、No.3195V、No.3195VS、No.319Y−4L、No.319Y−4LS、No.319Y−4M、No.319Y−4MS、No.319Y−4H、No.319Y−4HS、No.319Y−4LSC、No.31935MS、No.31935HS、No.3193M、No.3193MS等のリバアルファ〔登録商標〕シリーズ(日東電工株式会社製);等が挙げられる。
UV剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、ELP DU−300、ELP DU−2385KS、ELP DU−2187G、ELP NBD−3190K、ELP UE−2091J等のエレップホルダー〔登録商標〕(日東電工株式会社製);Adwill D−210、Adwill D−203、Adwill D−202、Adwill D−175、Adwill D−675(いずれもリンテック株式会社製);スミライト〔登録商標〕FLSのN8000シリーズ(住友ベークライト株式会社製);UC353EP−110(古河電気工業株式会社製);等のダイシングテープ、
ELP RF−7232DB、ELP UB−5133D(いずれも日東電工株式会社製);SP−575B−150、SP−541B−205、SP−537T−160、SP−537T−230(いずれも古河電気工業株式会社製);等のバックグラインドテープを利用することができる。
また、上述の粘着層付きフィルムを貼り付ける方法は特に限定されず、従来公知の表面保護テープ貼付装置やラミネーターを用いて貼り付けることができる。
〔巻取工程〕
作製される複合材料の搬送性が更に向上する理由から、上述した任意の樹脂層形成工程の後に上述の樹脂層を有する状態で複合材料をロール状に巻き取る巻取工程を有しているのが好ましい。
ここで、上述の巻取工程における巻き取り方法は特に限定されず、例えば、図22に示すように、所定径および所定幅の巻き芯29に巻き取る方法が挙げられる。
また、本発明の製造方法においては、上述の巻取工程における巻き取りやすさの観点から、樹脂層を除く複合材料の平均厚みが30μm以下であるのが好ましく、5〜20μmであるのがより好ましい。なお、平均厚みは、樹脂層を除く複合材料を厚さ方向に対してFIBで切削加工し、その断面をFE−SEMにより表面写真(倍率50000倍)を撮影し、10点測定した平均値として算出した。
〔その他の処理工程〕
本発明の製造方法は、上述した各工程以外に、特許文献1(国際公開第2015/029881号)の[0049]〜[0057]段落に記載された研磨工程、表面平滑化工程、保護膜形成処理、水洗処理を有していてもよい。
また、製造上のハンドリング性や、複合材料を異方導電性部材として用いる観点から、以下に示すような、種々のプロセスや形式を適用することができる。
<仮接着剤を使用したプロセス例>
本発明においては、上述の基板除去工程によって複合材料を得た後に、複合材料を仮接着剤(Temporary Bonding Materials)を用いてシリコンウェハ上に固定し、研磨により薄層化する工程を有していてもよい。
次いで、薄層化の工程の後、表面を十分に洗浄した後に、上述の表面金属突出工程を行うことができる。
次いで、金属を突出させた表面に、先の仮接着剤よりも接着力の強い仮接着剤を塗布してシリコンウェハ上に固定した後、先の仮接着剤で接着していたシリコンウェハを剥離し、剥離した複合材料側の表面に対して、上述の裏面金属突出工程を行うことができる。
<ワックスを使用したプロセス例>
本発明においては、上述の基板除去工程によって複合材料を得た後に、複合材料をワックスを用いてシリコンウェハ上に固定し、研磨により薄層化する工程を有していてもよい。
次いで、薄層化の工程の後、表面を十分に洗浄した後に、上述の表面金属突出工程を行うことができる。
次いで、金属を突出させた表面に、仮接着剤を塗布してシリコンウェハ上に固定した後、加熱により先のワックスを溶解させてシリコンウェハを剥離し、剥離した複合材料側の表面に対して、上述の裏面金属突出工程を行うことができる。
なお、固形ワックスを使っても構わないが、スカイコート(日化精工社製)等の液体ワックスを使うと塗布厚均一性の向上を図ることができる。
<基板除去処理を後から行うプロセス例>
本発明においては、上述の金属充填工程の後であって上述の基板除去工程の前に、金属膜を仮接着剤、ワックスまたは機能性吸着フィルムを用いて剛性基板(例えば、シリコンウェハ、ガラス基板等)に固定した後に、上述の陽極酸化膜の上述の金属膜が設けられていない側の表面を研磨により薄層化する工程を有していてもよい。
次いで、薄層化の工程の後、表面を十分に洗浄した後に、上述の表面金属突出工程を行うことができる。
次いで、金属を突出させた表面に、絶縁性材料である樹脂材料(例えば.エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等)を塗布したのち、その表面に上述のと同様の手法で剛性基板を貼り付けることができる。樹脂材料による貼り付けは、接着力が仮接着剤等による接着力よりも大きくなるようなものを選択し、樹脂材料による貼り付けの後に、最初に貼り付けた剛性基板は剥離し、上述した基板除去工程、研磨工程および裏面金属突出処理工程を順に行うことができる。
なお、機能性吸着フィルムとしては、Q−chuck(登録商標)(丸石産業株式会社製)等を使用することができる。
複合材料が剥離可能な層によって剛体基板(例えば、シリコンウェハ、ガラス基板等)に貼り付けられた状態で製品として供されることが好ましい。
このような供給形態においては、複合材料を接合部材として利用する場合には、複合材料の表面をデバイス表面に仮接着し、剛体基板を剥離した後に接続対象となるデバイスを適切な場所に設置し、加熱圧着することで上下のデバイスを複合材料によって接合することができる。
また、剥離可能な層には、熱剥離層を用いても構わないし、ガラス基板との組合せで光剥離層を用いても構わない。
また、上述の各工程は、各工程を枚葉で行うことも可能であるし、金属膜のコイルを原反としてウェブで連続処理することもできる。
また、連続処理する場合には各工程間に適切な洗浄工程、乾燥工程を設置することが好ましい。
以下、複合材料30(図10等参照)を用いた半導体パッケージについて説明する。
(半導体パッケージ)
〔半導体パッケージの製造方法1〕
例えば、上述の〔金属充填工程〕の後に、上述の複合材料の表面に半導体素子を搭載して、上述の金属M2と半導体素子の電極を接合する半導体素子実装工程と、樹脂でモールドするモールド工程と、上述の〔基板除去工程〕をこの順に有する製造方法により、図29に示す半導体パッケージ40を作製することができる。
図29は半導体パッケージの第1の例を示す模式的断面図である。なお、以下に示す図29〜図37において、上述の図10に示す複合材料30と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図29に示す半導体パッケージ40は、複合材料30の表面30aに半導体素子42が載置され、複合材料30と半田ボール45により電気的に接続されている。複合材料30の表面30aは半導体素子42を含めてモールド樹脂44で覆われている。
[半導体素子実装工程]
本発明の複合材料に半導体素子を実装する場合、加熱による実装を伴うが、半田リフローを含めての熱圧着による実装、およびフリップチップによる実装では、均一かつ確実な実装を施す観点から、最高到達温度は220〜350℃が好ましく、240〜320℃がより好ましく、260〜300℃が特に好ましい。
これらの最高到達温度を維持する時間としては、同観点から2秒〜10分が好ましく、5秒〜5分がより好ましく、10秒〜3分が特に好ましい。
また、アルミニウム基板と陽極酸化膜との熱膨張率差に起因して陽極酸化膜内に発生するクラックを抑制する観点から、上述の最高到達温度に到達する前に、所望の一定温度で5秒〜10分、より好ましくは10秒〜5分、特に好ましくは20秒〜3分の熱処理を施す方法をとることもできる。所望の一定温度としては、80〜200℃であることが好ましく、100〜180℃がより好ましく、120〜160℃が特に好ましい。
また、ワイヤーボンディングでの実装時の温度としては、確実な実装を施す観点から、80〜300℃が好ましく、90〜250℃がより好ましく、100〜200℃が特に好ましい。加熱時間としては、2秒〜10分が好ましく、5秒〜5分がより好ましく、10秒〜3分が特に好ましい。
〔半導体パッケージの製造方法2〕
上述の〔金属充填工程〕の後に、上述の複合材料の表面に半田もしくは銀ペースト、またはフィラーが充填された樹脂ペーストによって半導体素子を搭載する素子搭載工程と、樹脂でモールドするモールド工程と、上述のモールド樹脂に穴を開けて素子電極と上述の金属M2を露出する穴あけ工程と、上述の金属M2と半導体素子の電極を電気的に導通させる配線形成工程と、上述の配線を覆う絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、上述の〔基板除去工程〕をこの順に有する製造方法により、図30に示す半導体パッケージ40を作製することができる。
図30は半導体パッケージの第2の例を示す模式的断面図である。
図30に示す半導体パッケージ40は、複合材料30の表面30aに半導体素子42が載置されて電気的に接続されている。複合材料30の表面30aは半導体素子42を含めてモールド樹脂44で覆われている。モールド樹脂44には、半導体素子42の電極と、複合材料30の導電体32とを電気的に導通させる配線を形成するための穴46が形成されている。穴46を通る配線47が設けられている。配線47により半導体素子42の電極と、複合材料30の金属M2とが電気的に導通される。また、モールド樹脂44の上面に、配線47を覆う絶縁層48が設けられている。
<配線形成工程>
上述の配線形成工程は、上述の複合材料の少なくとも一面に配線を形成する工程である。
ここで、上述の配線を形成する方法は、例えば、電解めっき処理、無電解めっき処理、置換めっき処理等の種々めっき処理;スパッタリング処理;蒸着処理;等を施す方法が挙げられる。これらのうち、耐熱性が高い観点から、金属のみの層形成であることが好ましく、厚膜、均一形成化および高密着性の観点から、めっき処理による層形成が特に好ましい。上述のめっき処理は、非導電性物質(複合材料)に対するめっき処理になるため、シード層と呼ばれる還元金属層を設けた後、その金属層を利用して厚い金属層を形成する手法を用いるのが好ましい。
上述のシード層は、スパッタリング処理により形成するのが好ましい。また、上述のシード層の形成には、無電解めっきを用いてもよく、めっき液としては、例えば、金属塩、還元剤等の主成分と、例えば、pH調整剤、緩衝剤、錯化剤、促進剤、安定剤および改良剤等の補助成分とから構成される溶液を用いるのが好ましい。
なお、めっき液としては、SE−650・666・680、SEK−670・797、SFK−63(いずれも日本カニゼン社製)、メルプレートNI−4128、エンプレートNI−433、エンプレートNI−411(いずれもメルテックス社製)等の市販品を適宜用いることができる。
また、上述の配線の材料として銅を用いる場合、硫酸、硫酸銅、塩酸、ポリエチレングリコールおよび界面活性剤を主成分とし、その他各種添加剤を加えた種々の電解液を用いることができる。
このようにして形成される配線は、半導体素子等の実装の設計に応じ、公知の方法でパターン形成される。また、実際に半導体素子等が実装される箇所には、再度、半田も含む金属を設け、熱圧着、フリップチップ、またはワイヤーボンディング等で接続しやすい様に適宜加工することができる。
好適な金属としては、半田、または金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)等の金属素材が好ましく、加熱による半導体素子等の実装の観点では、半田、またはNiを介してAu、またはAgを設ける方法が接続信頼性の観点から好ましい。
具体的には、パターンが形成された銅(Cu)配線上に、ニッケル(Ni)を介して金(Au)を形成する方法としては、Niストライクめっきを施し、その後にAuめっきを施す方法が挙げられる。
ここで、Niストライクめっきは、Cu配線の表面酸化層の除去とAu層密着性確保を目的に施される。
また、Niストライクめっきには、一般的なNi/塩酸混合液を用いてもよく、NIPS−100(日立化成工業製)等の市販品を用いてもよい。
一方、Auめっきは、Niストライクめっきを施した後に、ワイヤーボンディングまたは半田の濡れ性を向上させる目的で施される。また、Auめっきは無電解めっきで生成させるのが好ましく、HGS−5400(日立化成工業社製)、ミクロファブAuシリーズ、ガルバノマイスターGBシリーズ、プレシャスハブIGシリーズ(いずれも田中貴金属社製)等の市販の処理液を用いることができる。
この他、上述の配線を用いて本発明の複合材料と半導体素子等とを接続する態様としては、例えば、C4(Controlled Collapse Chip Connection)バンプ、はんだボール、およびCuピラー等によるフリップチップ接続、ならびに導電粒子配列型の異方導電膜(ACF)を用いた接続等も挙げられるが、本発明の態様がこれらに限定されるものではない。
[同軸構造]
この他、上述の配線を、例えば、図37および図38に示すように、信号電流が流れる複数の線状導体100の周囲に、所定の間隔を空けてグランド配線103に接続された複数の線状導体100を配置することもできる。この構造は、同軸線路と同等の構造であるため、シールド(遮蔽)効果を奏することができる。また、隣接して配置され、異なる信号電流が流れる複数の線状導体100間には、グランド配線103に接続された複数の線状導体100が配置されることになる。このため、隣接して配置され、異なる信号電流が流れる複数の線状導体100間に生じる電気的結合(容量結合)を低減することができ、信号電流が流れる複数の線状導体100自体がノイズ源となることを抑制することができる。図37では、信号電流が流れる複数の線状導体100は、絶縁性基材101に形成され互いに電気的に絶縁されており、かつ信号配線102に電気的に接続されている。信号配線102およびグランド配線103には、それぞれ絶縁層104により電気的に絶縁された配線層105に、電気的に接続されている。
<絶縁層形成工程>
上述の絶縁層形成工程は、上述の絶縁層を形成する工程である。
上述の絶縁層を形成する方法としては特に限定されないが、上述の絶縁層として後述の樹脂を用いる場合、例えば、ラミネータ装置を用いて上述の複合材料の上に積層させる方法、スピンコータ装置を用いて上述の複合材料の上に塗布する方法、フリップチップボンディング装置を用いて上述の複合材料と上述の半導体素子の接合と同時に絶縁層を形成する方法等が挙げられる。
(絶縁層)
絶縁層の材料としては、絶縁性が高い素材であれば特に限定されず、その具体例としては、例えば、空気、ガラス、アルミナ等の無機絶縁体、樹脂等の有機絶縁体等が挙げられ、これらを1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。これらのうち、安価であり熱伝導率が高い理由から樹脂を用いるのが好ましい。
上述の樹脂の材質は、熱硬化性樹脂が好ましい。上述の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、および、ポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂がより好ましい。
また、上述の樹脂としては、耐熱性、耐候性、耐光性に優れた樹脂を用いることが好ましい。
また、上述の樹脂には、所定の機能を持たせるため、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、紫外線吸収剤、および、酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1種を混合することもできる。
また、上述の樹脂として接着性組成物を用いることもでき、例えば、通称:アンダーフィル材(液体)、NCP(Non Conductive Paste)(ペースト状)、NCF(Non Conductive Film)(フィルム状)と呼称される半導体用の接着剤が挙げられ、ドライフィルムレジスト等も使用できる。
さらに、上述の絶縁層としては、上述の配線としても記載した導電粒子配列型の異方導電膜(ACF)を使用してもよい。
もっとも、本発明において、上述の絶縁層の態様としては、上述のものに限定されない。
<穴あけ工程>
穴あけ工程は、レーザー加工、ドリル加工、ドライエッチング等物理的な方法、およびウエットエッチングによる化学的な方法が考えられるが、これらの方法に限定されない。
〔半導体パッケージの製造方法3〕
上述の半導体パッケージの製造方法1、および半導体パッケージの製造方法2に記載の、上述の金属充填工程と上述の半導体素子実装工程、または半導体素子搭載工程の間に、複合材料の表面にマスク層を形成するマスク層形成工程と、上述の陽極酸化膜に充填した上述の金属M2、金属M1を除去する充填金属除去工程と、上述のマスク層を除去するマスク層除去工程とをこの順に有する製造方法により、図31に示す半導体パッケージ40を作製することができる。
図31は半導体パッケージの第3の例を示す模式的断面図である。
図31に示す半導体パッケージ40は、図29に示す半導体パッケージ40に比して複合材料30の構成が異なる点以外は同じ構成である。複合材料30は、充填金属除去工程により金属M2、金属M1が除去された部分に樹脂49が充填されている。複合材料30と半導体素子42とは除去されていない導電体32に設けられた半田ボール45により電気的に接続されている。
〔半導体パッケージの製造方法4〕
上述の半導体パッケージの製造方法1、および半導体パッケージ2に記載の上述の金属充填工程と上述の半導体素子実装工程、または半導体素子搭載工程の間に、上述の複合材料の表面にマスク層を形成するマスク層形成工程と、上述の複合材料を除去する複合材料除去工程と、上述の複合材料を除去した部分に樹脂を充填する樹脂充填工程と、上述のマスク層を除去するマスク層除去工程とをこの順に有する製造方法により、図32に示す半導体パッケージ40を作製することができる。
図32は半導体パッケージの第4の例を示す模式的断面図である。
図32に示す半導体パッケージ40は、図29に示す半導体パッケージ40に比して複合材料30の構成が異なる点以外は同じ構成である。複合材料30は、複合材料除去工程により除去された部分に、樹脂充填工程により樹脂59が充填されている。複合材料30と半導体素子42とは除去されていない導電体32に設けられた半田ボール45により電気的に接続されている。
<マスク層形成工程>
上述のマスク層形成工程は、上述の〔金属充填工程〕の後に複合材料の表面に、所定の開口パターン(開口部)を有するマスク層を形成する工程である。
上述のマスク層は、例えば、上述の複合材料の表面に画像記録層を形成した後に、上述の画像記録層に対して露光または加熱によりエネルギーを付与して所定の開口パターンに現像する方法等により形成することができる。ここで、上述の画像記録層を形成する材料は特に限定されず、従来公知の感光層(フォトレジスト層)または感熱層を形成する材料を用いることができ、必要に応じて、赤外線吸収剤等の添加剤も含有していてもよい。
<マスク層除去工程>
上述のマスク層除去工程は、上述のマスク層を除去する工程である。
ここで、上述のマスク層を除去する方法は特に限定されず、例えば、上述のマスク層を溶解し、かつ、上述のアルミニウム基板および上述の陽極酸化膜を溶解しない液体を用いて、上述のマスク層溶解し、除去する方法が挙げられる。このような液体としては、例えば、上述のマスク層に感光層および感熱層を用いる場合は、公知の現像液が挙げられる。
<充填金属除去工程>
上述の充填金属除去工程は、上述のマスク層の開口部の下部に存在する複合材料中の導電体32を構成する金属M2、金属M1を除去する工程である。ここで、上述の金属M2、金属M1を除去する方法は特に限定されず、例えば、過酸化水素水や酸性水溶液、またはそれらの混合液を用いて金属M2、金属M1を溶解させる方法等が挙げられる。
<複合材料除去工程>
上述の複合材料除去工程は、上述のマスク層の開口部の下部に存在する複合材料を除去する工程である。
ここで、上述の複合材料を除去する方法は特に限定されず、例えば、アルカリエッチング水溶液または酸性水溶液を用いて複合材料の陽極酸化膜を溶解させる方法等が挙げられる。
<水洗処理>
上述の各処理の工程終了後には水洗を行うのが好ましい。水洗には、純水、井水、および水道水等を用いることができる。処理液の次工程への持ち込みを防ぐためにニップ装置を用いてもよい。
〔半導体パッケージの製造方法5〕
上述の〔基板除去工程〕の後に、露出した複合材料の表面に少なくとも1層以上の配線層を形成する配線層形成工程を有する製造方法により、図33に示す半導体パッケージ40を作製することができる。
図33は半導体パッケージの第5の例を示す模式的断面図である。
図33に示す半導体パッケージ40は、図29に示す半導体パッケージ40に比して複合材料30の裏面30bに配線基板50が設けられている点が異なる以外は同じ構成である。
配線基板50は、電気絶縁性を有する絶縁性基材52に配線層54が設けられている。配線層54は、一方が複合材料30の導電体32と電気的に接続され、他方が半田ボール45に電気的に接続されている。これにより、半導体素子42から信号等を半導体パッケージ40の外部に取り出すことができる。また、半導体パッケージ40の外部から半導体素子42に信号、電圧、または電流等を供給することができる。
〔半導体パッケージの製造方法6〕
上述の〔半導体パッケージの製造方法5〕の配線層形成工程の後に、上述の半導体パッケージと半導体素子が搭載されたパッケージ基板の接合を少なくとも1回以上行う工程を有する製造方法により、図34に示すように半導体パッケージ基板を積層したPoP(Package on Package)基板41を作製することができる。
図34は半導体パッケージ基板を積層した構成を示す模式的断面図である。
図34に示すPoP基板41は、半導体パッケージ基板40aと半導体パッケージ基板40bとが積層され、半田ボール68により電気的に接続されている。半導体パッケージ基板40aは、複合材料30の表面30aに配線層56が設けられている。配線層56は絶縁層57に、例えば、2つの配線58が設けられている。各配線58は、半田ボール45により1つの半導体素子42と電気的に接続されている。配線層56および1つの半導体素子42はモールド樹脂44で覆われている。
また、複合材料30の裏面30bに配線層60が設けられている。配線層60は絶縁性基材61に、2つの配線層62が設けられている。各配線層62は、それぞれ複合材料30の導電体32を介して半田ボール45と電気的に接続されている。
半導体パッケージ基板40bは、例えば、基板64の両側に電極65が設けられ、中央部に2つの電極66が設けられている。中央部の各電極66は、それぞれ半田ボール45を介して半導体素子42と電気的に接続されている。基板64の両側の電極65は、それぞれ半田ボール68を介して半導体パッケージ基板40aの配線層62と電気的に接続されている。
〔半導体パッケージの製造方法7〕
上述の〔半導体パッケージの製造方法2〕に記載の絶縁層形成工程の後に、上述の絶縁層の下にある上述の配線を露出するために絶縁層に穴をあける工程を有する製造方法により、図35に示す半導体パッケージ40を作製することができる。こうして、部品内蔵基板を作製することができる。
図35は半導体パッケージの第6の例を示す模式的断面図である。
図35に示す半導体パッケージ40は、図30に示す半導体パッケージ40に比して絶縁層48に配線47を露出する穴49が設けられている点以外は同じ構成である。
なお、本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、実装形態としては、例えば、SoC(System on a chip)、SiP(System in Package)、PoP(Package on Package)、PiP(Polysilicon Insulater Polysilicon)、CSP(Chip Scale Package)、TSV(Through Silicon Via)等が挙げられる。
より詳細には、例えば、本発明の複合材料は、半導体素子単体のデータ信号、および電源の接続に加えて、グランド部および熱伝導部としても使用できる。
また、本発明の複合材料は、2個以上の半導体素子間のデータ信号または電源の接続に加えて、グランド部および熱伝導部としても使用できる。このような態様としては、例えば、以下の例におけるインターポーザーとして本発明の複合材料を使用したものが挙げられる。
・3次元SoCのロジックデバイス(例えば、ホモジニアス基板(インターポーザー上にFPGA(Field Programmable Gate Array)を複数層積層したもの)、ヘテロジニアス基板(インターポーザー上にデジタルデバイスと、アナログデバイスと、RFデバイスと、MEMSと、メモリとを積層したもの)等)
・ロジックとメモリとを組み合わせた3次元SiP(Wide I/O)(例えば、インターポーザーの上または上下にCPUとDRAMとを積層したもの、インターポーザーの上または上下にGPUとDRAMとを積層したもの、インターポーザーの上または上下にASIC/FPGAとWideI/Oメモリとを積層したもの、インターポーザーの上または上下にAPEとWideI/Oメモリとを積層したもの等)
・SoCとDRAMとを組み合わせた2.5次元ヘテロジニアス基板
また、本発明の複合材料は、図36に示すように半導体パッケージ40とプリント配線基板70との電気的な接続にも使用できる。プリント配線基板70は、半導体パッケージ40の複合材料30の裏面30bに設けられる。プリント配線基板70は、例えば、樹脂で構成された絶縁性基材72に配線層74が設けられている。配線層74は複合材料30の裏面30bの導電体32と電気的に接続されている。
また、本発明の複合材料は、2個以上の半導体パッケージ同士の接続(PoP)にも使用でき、この場合における態様としては、例えば、本発明の複合材料が、その上下面側に配置された2個の半導体パッケージと、所定の配線を介して接続された態様が挙げられる。
また、本発明の複合材料は、2個以上の半導体素子を基板上に積み重ねる態様や平置きにする態様によってパッケージングしたマルチチップパッケージにも使用でき、この場合における態様としては、例えば、本発明の複合材料上に、2個の半導体素子を積層し、所定の配線を介して接続された態様が挙げられる。
(電子デバイス)
以下、複合材料を異方導電性部材に用いた電子デバイスについて説明する。
図39は本発明の実施形態の電子デバイスの第1の例を示す模式図である。図40は本発明の実施形態の電子デバイスの半導体素子の端子の構成の一例を示す模式的断面図である。図41は本発明の実施形態の電子デバイスの第2の例を示す模式図である。図42は本発明の実施形態の電子デバイスの第3の例を示す模式図である。図43は本発明の実施形態の電子デバイスの第4の例を示す模式図である。なお、接合体は、電子デバイスの一部を構成するものである。後述の半導体素子が、例えば、接合体の導電領域を有し異方導電性部材に接合した部材である。導電領域は半導体素子の導電を担う端子等に該当する。
図39に示す電子デバイス80のように、異方導電性を示す異方導電性部材82を介して半導体素子84と半導体素子86とを積層方向Dsに接合して、半導体素子84と半導体素子86とを電気的に接続してもよい。異方導電性部材82は、積層方向Dsに導通する導電体32(図10参照)を有し、TSV(Through Silicon Via)の機能を果たす。なお、異方導電性部材82はインターポーザーとしても利用することができる。
半導体素子84、86は、例えば、図40に示すように、それぞれ複数の端子90を有する。複数の端子90は、半導体を接合するものである。端子90は、半導体素子84、86を電気的に接続する端子90aと、半導体素子84、86を接合するが電気的には接続しない端子90bとを含む。端子90aは半導体素子84、86の信号を外部に取り出すものである。端子90bは半導体素子84、86で発生した熱を外部に放熱したり、電子デバイス80の接合強度を維持したりするためのものである。
端子90は、例えば、図40に示す構成である。図40に示すように半導体素子84、86は、半導体層92と、再配線層94と、パッシベーション層96とを有する。再配線層94とパッシベーション層96とは電気的に絶縁された絶縁層である。半導体層92の表面92aには、特定の機能を発揮する回路等が形成された素子領域(図示せず)が設けられている。素子領域については後に説明する。なお、半導体層92の表面92aが、半導体の端子90が設けられている面に相当する。
半導体層92の表面92a上に再配線層94が設けられている。再配線層94では、半導体層92の素子領域に電気的に接続される配線97が設けられている。配線97にパッド98が設けられており、配線97とパッド98は導通する。配線97とパッド98とにより、素子領域との信号の授受が可能となり、かつ素子領域への電圧等の供給ができる。
再配線層94の表面94aにパッシベーション層96が設けられている。パッシベーション層96には、配線97に設けられたパッド98に端子90aが設けられている。端子90aは半導体層92と電気的に接続されている。
また、再配線層94には、配線97が設けられていないが、パッド98だけが設けられている。配線97に設けられていないパッド98に端子90bが設けられている。端子90bは半導体層92と電気的に接続されていない。
端子90aの端面90cと端子90bの端面90cは、いずれもパッシベーション層96の表面96aと一致しており、いわゆる面一の状態であり、端子90aと端子90bはパッシベーション層96の表面96aから突出していない。図40に示す端子90aと端子90bは、例えば、研磨することによりパッシベーション層96の表面96aと面一にされる。
端子90aと端子90bは、パッシベーション層96の表面96aと面一であることに限定されるものではなく、パッシベーション層96の表面96aに対して突出してもよい。この場合、パッシベーション層96の表面96aに対する端子90aと端子90bの突出量であるリセス量は、例えば、200nm以上1μm以下である。
リセス量が200nm未満では、図40に示す突出していない構成と略同じであり、高い精度で研磨する必要がある。一方、リセス量が1μmを超えると、パッド電極を設ける一般的な構成と同じであり、半田ボール等を用いて接合する必要がある。
端子90aと端子90bがパッシベーション層96の表面96aに対して突出しているため、パッシベーション層96の表面96aに、端子90aと端子90bを保護するための樹脂層(図示せず)を設けてもよい。
上述のリセス量は、半導体素子84、86において端子90aと端子90bとを含む断面の画像を取得し、画像解析により端子90aの輪郭および端子90bの輪郭を取得し、端子90aの端面90cと端子90bの端面90cを検出する。パッシベーション層96の表面96aから端子90aの端面90cとの距離、および端子90bの端面90cの距離を求めることにより得ることができる。
端子90aの端面90cと端子90bの端面90cは、いずれもパッシベーション層96の表面96aから最も離れた位置にある面のことであり、一般的に上面と呼ばれる面のことである。
半導体層92は、半導体であれば、特に限定されるものではなく、シリコン等で構成されるが、これに限定されるものではなく、炭化ケイ素、ゲルマニウム、ガリウムヒ素または窒化ガリウム等であってもよい。
再配線層94は、電気的に絶縁性を有するもので構成され、例えば、ポリイミドで構成される。
また、パッシベーション層96も、電気的に絶縁性を有するもので構成され、例えば、窒化珪素(SiN)またはポリイミドで構成される。
配線97およびパッド98は、導電性を有するもので構成され、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、またはアルミニウム合金等で構成される。
端子90aおよび端子90bは、配線97およびパッド98と同様に導電性を有するもので構成され、例えば、金属または合金で構成される。具体的には、端子90aおよび端子90bは、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、またはアルミニウム合金等で構成される。
なお、端子90aおよび端子90bは、導電性を有するものであればよく、金属または合金で構成されることに限定されるものではなく、半導体素子分野において端子、または電極パッドと呼ばれるものに用いられる材料を適宜利用可能である。
電子デバイス80は、図39に示す構成以外に、例えば、図41に示す電子デバイス80のように、複合材料を用いた異方導電性部材82を介して半導体素子84と半導体素子86と半導体素子88を積層方向Dsに積層して接合し、かつ電気的に接続した構成としてもよい。
また、図42に示す電子デバイス80のように、インターポーザー87と異方導電性部材82を用いて、半導体素子84と半導体素子86と半導体素子88を積層方向Dsに積層して接合し、かつ電気的に接続した構成としてもよい。
また、図43に示す電子デバイス80のように光学センサーとして機能するものでもよい。図43に示す電子デバイス80は、半導体素子110とセンサチップ112とが異方導電性部材82を介して積層方向Dsに積層されている。また、センサチップ112にはレンズ114が設けられている。
半導体素子110は、ロジック回路が形成されたものであり、センサチップ112で得られる信号を処理することができれば、その構成は特に限定されるものではない。
センサチップ112は、光を検出する光センサーを有するものである。光センサーは、光を検出することができれば、特に限定されるものではなく、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーが用いられる。
レンズ114は、センサチップ112に光を集光することができれば、その構成は特に限定されるものではなく、例えば、マイクロレンズと呼ばれるものが用いられる。
なお、上述の半導体素子84、半導体素子86および半導体素子88は、素子領域(図示せず)を有する。
素子領域とは、電子素子として機能するための、コンデンサ、抵抗およびコイル等の各種の素子構成回路等が形成された領域である。素子領域には、例えば、フラッシュメモリ等のようなメモリ回路、マイクロプロセッサおよびFPGA(field-programmable gate array)等のような論理回路が形成された領域、無線タグ等の通信モジュールならびに配線が形成された領域がある。素子領域には、これ以外に、発信回路、またはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が形成されてもよい。MEMSとは、例えば、センサー、アクチュエーターおよびアンテナ等である。センサーには、例えば、加速度、音および光等の各種のセンサーが含まれる。
上述のように、素子領域は素子構成回路等が形成されており、半導体素子には、例えば、再配線層(図示せず)が設けられている。
積層デバイスでは、例えば、論理回路を有する半導体素子と、メモリ回路を有する半導体素子の組合せとすることができる。また、半導体素子を全てメモリ回路を有するものとしてもよく、また、全て論理回路を有するものとしてもよい。また、電子デバイス80における半導体素子の組合せとしては、センサー、アクチュエーターおよびアンテナ等と、メモリ回路と論理回路との組み合わせでもよく、電子デバイス80の用途等に応じて適宜決定されるものである。
〔半導体素子〕
半導体素子は、上述の半導体パッケージおよび電子デバイスに用いられるものである。半導体素子としては、特に限定されず、上述のもの以外に、例えば、ロジックLSI(Large Scale Integration)(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASSP(Application Specific Standard Product)等)、マイクロプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等)、メモリ(例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、HMC(Hybrid Memory Cube)、MRAM(MagneticRAM:磁気メモリ)とPCM(Phase-Change Memory:相変化メモリ)、ReRAM(Resistive RAM:抵抗変化型メモリ)、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリ)、フラッシュ・メモリ(NAND(Not AND)フラッシュ)等)、LED(Light Emitting Diode)、(例えば、携帯端末のマイクロフラッシュ、車載用、プロジェクタ光源、LCDバックライト、一般照明等)、パワー・デバイス、アナログIC(Integrated Circuit)、(例えば、DC(Direct Current)−DC(Direct Current)コンバータ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、(例えば、加速度センサ、圧力センサ、振動子、ジャイロセンサ等)、ワイヤレス(例えば、GPS(Global Positioning System)、FM(Frequency Modulation)、NFC(Nearfieldcommunication)、RFEM(RF Expansion Module)、MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)、WLAN(WirelessLocalAreaNetwork)等)、ディスクリート素子、BSI(Back Side Illumination)、CIS(Contact Image Sensor)、カメラモジュール、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、Passiveデバイス、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ、RF(Radio Frequency)フィルタ、RFIPD(Radio Frequency Integrated Passive Devices)、BB(Broadband)等が挙げられる。
半導体素子は、例えば、1つで完結したものであり、半導体素子単体で、回路またはセンサ等の特定の機能を発揮するものである。
電子デバイスとしては、1つの半導体素子に複数の半導体素子を接合する形態である1対複数の形態に限定されるものではなく、複数の半導体素子と複数の半導体素子とを接合する形態である複数対複数の形態でもよい。
図44は本発明の実施形態の電子デバイスの第5の例を示す模式図であり、図45は本発明の実施形態の電子デバイスの第6の例を示す模式図であり、図46は本発明の実施形態の電子デバイスの第7の例を示す模式図であり、図47は本発明の実施形態の電子デバイスの第8の例を示す模式図である。
複数対複数の形態としては、例えば、図44に示すように、1つの半導体素子84に対して、異方導電性部材82を用いて半導体素子86と半導体素子88とが接合され、かつ電気的に接続された形態の電子デバイス80aが例示される。半導体素子84は、インターポーザー機能を有するものであってもよい。
また、例えば、インターポーザー機能を有するデバイス上に、論理回路を有する論理チップ、およびメモリーチップ等の複数のデバイスを積層することも可能である。また、この場合、それぞれのデバイスごとに電極サイズが異なっていても接合することができる。
図45に示す電子デバイス80bでは、電極118の大きさは同じではなく、大きさが異なるものが混在しているが、1つの半導体素子84に対して、異方導電性部材82を用いて半導体素子86と半導体素子88とが接合され、かつ電気的に接続されている。さらに半導体素子86に半導体素子116が異方導電性部材82を用いて接合され、かつ電気的に接続されている。半導体素子86と半導体素子88とに跨って半導体素子117が異方導電性部材82を用いて接合され、かつ電気的に接続されている。
また、図46に示す電子デバイス80cのように、1つの半導体素子84に対して、異方導電性部材82を用いて半導体素子86と半導体素子88とが接合され、かつ電気的に接続されている。さらに半導体素子86に半導体素子116と半導体素子117とが異方導電性部材82を用いて接合され、半導体素子88に半導体素子121が異方導電性部材82を用いて接合され、かつ電気的に接続されている構成とすることもできる。
上述のような構成の場合に、光導波路を含むようなデバイス表面にVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)のような発光素子、およびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーのような受光素子を積層することで高周波を想定したシリコンフォトニクスへの対応も可能となる。
例えば、図47に示す電子デバイス80dのように、1つの半導体素子84に対して、異方導電性部材82を用いて半導体素子86と半導体素子88とが接合され、かつ電気的に接続されている。さらに半導体素子86に半導体素子116と半導体素子117とが異方導電性部材82を用いて接合され、半導体素子88に半導体素子121が異方導電性部材82を用いて接合され、かつ電気的に接続されている。半導体素子84には光導波路123が設けられている。半導体素子88には発光素子125が設けられ、半導体素子86には受光素子126が設けられている。半導体素子88の発光素子125から出力された光Loは、半導体素子84の光導波路123を通過し、半導体素子86の受光素子126に出射光Ldとして出射される。これにより、上述のシリコンフォトニクスに対応することができる。
なお、異方導電性部材82には、光Loおよび出射光Ldの光路に相当する箇所に穴122が形成されている。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の金属膜、構造体、複合材料、金属膜の製造方法、構造体の製造方法、および複合材料の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、および、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、下記表1に示す実施例1〜9および比較例1〜3について欠陥を評価した。欠陥の評価結果を下記表1に示す。なお、下記表1において「―」は該当するものがないことを示す。次に、評価項目である欠陥について説明する。
(欠陥個数)
製造した構造体に銅を充填して複合材料を得た。複合材料の片面を研磨した後、研磨面を光学顕微鏡にて観察して、欠陥を見つけることを試みた。そして、欠陥数を数え、面積5mm×5mm当りの欠陥数を求め、以下に示す欠陥個数の評価基準にて、欠陥個数を評価した。
なお、上述の片面研磨は以下のように実施した。まず、8インチウエハに製造した複合材料をQ−chuck(登録商標)(丸石産業株式会社製)にて貼付け、MAT社製研磨装置を用いて複合材料を算術平均粗さ(JIS(日本工業規格) B0601:2001)が0.02μmになるまで研磨した。研磨には、アルミナを含む砥粒を用いた。
欠陥個数の評価基準
「A」:100個/(5mm×5mm)未満
「B」:100個/(5mm×5mm)以上500個/(5mm×5mm)未満
「C」:500個/(5mm×5mm)以上1000個/(5mm×5mm)未満
「D」:1000個/(5mm×5mm)以上
以下、実施例1〜9および比較例1〜3について説明する。
(実施例1)
<金属膜の作製>
連続鋳造法を用いて純度99.992質量%のアルミニウム溶湯を冷却速度600℃/秒で凝固、圧延し100μmのアルミニウム箔を得た。このアルミニウム箔を直径200mm(8インチ)のウエハ上にQ−chuck(登録商標)(丸石産業株式会社製)を用いて貼合し、その後以下に示す電解研磨を用いた平滑化処理を施し金属膜を得た。
金属膜の厚みは、100μmであった。金属膜の厚みは、上述のアルミニウム箔を直接マイクロメーターで測定した値である。
アルミニウム箔の純度は、連続鋳造に用いるアルミニウム溶湯を汲み取って固めたものを溶解してICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法を用いて測定した。
第2相粒子の個数は、以下に説明するように熱フェノール法を用いて金属膜の第2相粒子を単離して、第2相粒子を得た。第2相粒子の個数を数え、1mm当りの個数を求めた。
リービッヒ冷却管等を用い蒸気が外部に漏れないようにした状態で沸騰させたフェノール(170〜180℃、150ml)に、金属膜の0.1gの試料片を加え1〜5分間加熱溶解した。溶解を確認後,加熱を停止し10分間空冷し140℃まで温度が低下したところで、50ml(ミリリットル)のベンジルアルコールを加えフェノール溶液を希釈した状態で冷却し50℃以下になったところで、更にベンジルアルコールを800ml加えて溶液を5倍希釈した上で、200ml毎に取分け個々をメッシュサイズが0.1ミクロンのメンブランフィルターにより濾過した。それぞれの濾上をベンジルアルコールで2回更にメタノールで洗浄し乾燥して溶解残渣である金属間化合物を得た。それぞれのフィルター上に捕獲された金属間化合物粒子の個数はフィルター表面を直接電子顕微鏡で観察し上から計数した。観察倍率は10000倍とし、観察視野数は50視野/フィルター1枚として、1枚のフィルター上捕獲された金属間化合物個数を算出し、フィルター5枚分の合計を母材0.1g中の金属間化合物の数として算出した。溶解残渣が金属間化合物であることはX線回折を行い同定した。
実施例1は第2相粒子の個数(個/mm)が10超10以下であった。
金属膜の表面粗さRtは、AFM(原子間力顕微鏡、SII(セイコーインスツル)社製)のタッピングモードを用いて測定した。実施例1は表面粗さRtが0.05μm超0.1μm以下であった。
<平滑化処理>
平滑化処理として電解研磨を実施した。電解研磨は、上述の金属膜に対して、以下組成の電解研磨液を用いて、電圧25V、液温度65℃、液流速3.0m/分の条件で実施した。
陰極はカーボン電極とし、電源は、GP0110−30R(株式会社高砂製作所社製)を用いた。また、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
(電解研磨液組成)
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
金属膜に対して、以下に示す処理を施した。
<陽極酸化処理工程>
次いで、電解研磨処理後の金属膜に、特開2007−204802号公報に記載の手順にしたがって自己規則化法による陽極酸化処理を施した。陽極酸化処理は、後述のプレ陽極酸化処理と、後述の再陽極酸化処理と実施し、陽極酸化処理を合計2回実施した。陽極酸化処理および後述のバリア層除去により、構造体を形成した。
電解研磨処理後の金属膜に、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度16℃、液流速3.0m/分の条件で、5時間のプレ陽極酸化処理を施した。
その後、プレ陽極酸化処理後の金属膜を、0.2mol/L無水クロム酸、0.6mol/Lリン酸の混合水溶液(液温:50℃)に12時間浸漬させる脱膜処理を施した。
その後、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度16℃、液流速3.0m/分の条件の条件で、3時間45分の再陽極酸化処理を施し、膜厚30μmの陽極酸化膜を得た。
なお、プレ陽極酸化処理および再陽極酸化処理は、いずれも陰極はステンレス電極とし、電源はGP0110−30R(株式会社高砂製作所製)を用いた。また、冷却装置にはNeoCool BD36(ヤマト科学株式会社製)、かくはん加温装置にはペアスターラー PS−100(EYELA東京理化器械株式会社製)を用いた。さらに、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
<バリア層除去工程>
次いで、上述の陽極酸化処理と同様の処理液および処理条件で、電圧を40Vから0Vまで連続的に電圧降下速度0.2V/秒で降下させながら電解処理(電解除去処理)を施した。
その後、5質量%リン酸に30℃、30分間浸漬させるエッチング処理(エッチング除去処理)を施し、陽極酸化膜のマイクロポアの底部にあるバリア層を除去し、マイクロポアを介してアルミニウムを露出させた。
ここで、構造体に貫通孔として存在するマイクロポアの平均開口径は60nmであった。なお、平均開口径は、FE−SEM(Field emission - Scanning Electron Microscope)により表面写真(倍率50000倍)を撮影し、50点測定した平均値として算出した。
また、陽極酸化膜に存在するマイクロポアの密度は、約1億個/mm2であった。なお、マイクロポアの密度は、特開2008−270158号公報の[0168]および[0169]段落に記載された方法で測定し、算出した。
構造体の直管率は、20質量%塩化水銀水溶液(昇汞)に20℃、3時間浸漬させることにより金属膜を溶解して除去した後、構造体の両方の各面の単位面積当りのマイクロポア数を求め、両面の単位面積当りのマイクロポア数の比率から直管率を算出した。実施例1は直管率が99%であった。
<充填工程>
次いで、金属膜を陰極にし、白金を正極にして電解めっき処理を施した。
具体的には、以下に示す組成の銅めっき液を使用し、定電流電解を施すことにより、マイクロポアの内部に銅が充填された複合材料を作製した。
ここで、定電流電解は、株式会社山本鍍金試験器社製のめっき装置を用い、北斗電工株式会社製の電源(HZ−3000)を用い、めっき液中でサイクリックボルタンメトリを行って析出電位を確認した後に、以下に示す条件で処理を施した。
(銅めっき液組成および条件)
・硫酸銅 100g/L
・硫酸 50g/L
・塩酸 15g/L
・温度 25℃
・電流密度 10A/dm2
(実施例2)
実施例2は、実施例1に比して、金属膜が多層構造である点、金属膜の厚み、アルミニウムの純度、第2相粒子の個数、表面粗さRt、アルミニウム層の製造方法、および平滑化方法が異なり、それ以外は実施例1と同じとした。なお、アルミニウム層は実施例1の金属膜に相当する。
実施例2は、金属膜の厚みが20μmであり、アルミニウムの純度が99.998質量%であった。また、第2相粒子の個数が100個/mm未満であった。表面粗さRtが0.05μm以下であった。
金属膜は、アルミニウム層、チタン層、およびアルミニウム層の3層構造であり、最表層をアルミニウム層で構成した。チタン層の金属膜の厚みに対する比率は1%であった。
アルミニウム層は以下に示すイオンプレーティング法で形成した。
イオンプレーティング法では、チャンバー内を10−3Paに保持した状態で、純度99.990%のアルミニウム材を蒸発材料として用い加速源として高周波プラズマ(RF13.5MHz、出力300W)を使用して3時間成膜し厚さ10μmのアルミニウム層を得た。アルミニウム層の厚さは膜厚計で測定した。
なお、イオンプレーティング法は冷却速度が50℃/秒であった。平滑化処理には、アルゴンを用いたガスクラスターイオンビーム(GCIB)を用いた。また、チタン層は、スパッタ法を用いてアルミニウム層上に形成した。チタン層の厚さは膜厚計で測定した。
(実施例3)
実施例3は、実施例2に比して、チタン層にかえてマグネシウム層とした点、およびマグネシウム層の金属膜の厚みに対する比率を2%とした点以外は、実施例2と同じとした。なお、マグネシウム層は、スパッタ法を用いてアルミニウム層上に形成した。マグネシウム層の厚さは膜厚計で測定した。
(実施例4)
実施例4は、実施例1に比して、金属膜が多層構造である点、金属膜の厚み、アルミニウムの純度、第2相粒子の個数、直管率およびアルミニウム層の製造方法、平滑化方法および陽極酸化処理の回数が異なり、それ以外は実施例1と同じとした。
実施例4は、金属膜の厚みが10μmであり、アルミニウムの純度が99.998質量%であった。また、第2相粒子の個数が100個/mm未満であった。
金属膜は、アルミニウム層と銅層の2層構造であり、最表層をアルミニウム層で構成した。なお、銅層は、スパッタ法を用いてアルミニウム層上に形成し、銅層の金属膜の厚みに対する比率は3%であった。銅層の厚さは膜厚計で測定した。
アルミニウム層はイオンプレーティング法で形成した。アルミニウム層の形成方法は実施例2と同じとした。平滑化処理には、アルゴンを用いたガスクラスターイオンビーム(GCIB)を用いた。平滑化処理は実施例2と同じとした。また、直管率が98%であった。
また、陽極酸化処理は1回だけ実施した。
(実施例5)
実施例5は、実施例1に比して、金属膜が多層構造である点、金属膜の厚み、アルミニウムの純度、およびアルミニウム層の製造方法が異なり、それ以外は実施例1と同じとした。
実施例5は、金属膜の厚みが15μmであり、アルミニウムの純度が99.99質量%であった。
金属膜は、アルミニウム層と銅層の2層構造であり、最表層をアルミニウム層で構成した。なお、銅層の金属膜の厚みに対する比率は3%であった。
アルミニウム層は以下に示す蒸着法で形成した。蒸着法では、チャンバー内を10−3Paに保持した状態で、純度99.990%のアルミニウム材を蒸発材料として用い10時間成膜し厚さ15μmのアルミニウム層を得た。アルミニウム層の厚さは膜厚計で測定した。なお、蒸着法は冷却速度が20℃/秒であった。また、銅層は、スパッタ法を用いて形成した。銅層の厚さは膜厚計で測定した。
(実施例6)
実施例6は、実施例1に比して、金属膜が多層構造である点、金属膜の厚み、アルミニウムの純度、第2相粒子の個数、直管率およびアルミニウム層の製造方法が異なり、それ以外は実施例1と同じとした。
実施例6は、金属膜の厚みが8μmであり、アルミニウムの純度が99.99質量%であった。また、第2相粒子の個数が100個/mm未満であった。
金属膜は、アルミニウム層と銅層の2層構造であり、最表層をアルミニウム層で構成した。なお、銅層の金属膜の厚みに対する比率は3%であった。
アルミニウム層は以下に示すスパッタ法で形成した。アルミニウム層の形成にはRFマグネトロンスパッタリング装置を用いた。
スパッタ法では、基板はシリコンウェハとし、原料は純度99.999%のアルミニウム塊(直径75mm×厚み3mm)、スパッタガスはAr(純度99.999%)を用いた。
アルミニウム層の形成プロセスとしては、サンプルとターゲット間を65mmとし、サンプル導入後3×10Paになるまで真空引きした後,アルゴンガス圧0.2Paとなったところで基板を200℃に加熱し、4W/cmの出力で30分間スパッタ処理して厚さ8μmのアルミニウム層を得た。アルミニウム層の厚さは膜厚計で測定した。なお、スパッタ法は冷却速度が90℃/秒であった。また、直管率が98%であった。また、銅層は、スパッタ法を用いて形成した。銅層の厚さは膜厚計で測定した。
(実施例7)
実施例7は、実施例1に比して、金属膜が多層構造である点、金属膜の厚み、アルミニウムの純度、第2相粒子の個数、表面粗さRt、およびアルミニウム層の製造方法が異なり、それ以外は実施例1と同じとした。
実施例7は、金属膜の厚みが10μmであり、アルミニウムの純度が99.998質量%であった。また、第2相粒子の個数が100個/mm未満であった。表面粗さRtが0.05μm以下であった。
金属膜は、アルミニウム層と銅層の2層構造であり、最表層をアルミニウム層で構成した。なお、銅層の金属膜の厚みに対する比率は3%であった。
アルミニウム層はイオンプレーティング法で形成した。アルミニウム層の形成方法は実施例2と同じとした。平滑化処理には、アルゴンを用いたガスクラスターイオンビーム(GCIB)を用いた。平滑化処理は実施例2と同じとした。また、銅層は、スパッタ法を用いて形成した。アルミニウム層および銅層の厚さは膜厚計で測定した。
(実施例8)
実施例8は、実施例2に比して、陽極酸化処理の回数が異なり、それ以外は実施例2と同じとした。実施例8は、陽極酸化処理を4回実施した。実施例8は、実施例2に比して、陽極酸化処理の回数が多いため、陽極酸化処理時間を調整して行った。
(実施例9)
実施例9は、実施例7に比して、陽極酸化処理の回数が異なり、それ以外は実施例7と同じとした。実施例9は、陽極酸化処理を4回実施した。実施例9は、実施例7に比して、陽極酸化処理の回数が多いため、陽極酸化処理時間を調整して行った。
(比較例1)
比較例1は、実施例1に比して、金属膜が多層構造である点、金属膜の厚み、アルミニウムの純度、第2相粒子の個数、表面粗さRt、直管率、アルミニウム層の製造方法、平滑化方法および陽極酸化処理の回数が異なり、それ以外は実施例1と同じとした。
比較例1は、金属膜の厚みが4μmであり、アルミニウムの純度が99.990質量%であった。また、第2相粒子の個数が100個/mm未満であった。表面粗さRtが0.05μm以下であった。
金属膜は、アルミニウム層と銅層の2層構造であり、最表層をアルミニウム層で構成した。なお、銅層の金属膜の厚みに対する比率は12%であった。
アルミニウム層はイオンプレーティング法で形成した。アルミニウム層の形成方法は実施例2と同じとし、膜厚も同様に測定した。また、銅層は、スパッタ法を用いて形成した。銅層の厚さは膜厚計で測定した。平滑化処理には、アルゴンを用いたガスクラスターイオンビーム(GCIB)を用いた。平滑化処理は実施例2と同じとした。また、直管率は82%であった。なお、陽極酸化処理を1回実施した。
(比較例2)
比較例2は、実施例1に比して、金属膜の厚み、アルミニウムの純度、第2相粒子の個数、表面粗さRt、直管率、およびアルミニウム層の製造方法が異なり、また、平滑化方法を実施していない点が異なり、それ以外は実施例1と同じとした。
比較例2は、金属膜の厚みが120μmであり、アルミニウムの純度が99.998質量%であった。また、第2相粒子の個数が10個/mm超であり、表面粗さRtが0.1μm超であった。また、直管率は70%であった。
アルミニウム層は以下に示すDC(Direct Chill)鋳造法で形成した。平滑化処理は実施しなかった。
アルミニウム層の形成方法において、DC鋳造は定法に従い冷却速度が0.8℃/秒となるようボトムブロックの下降速度を調整し、板厚300mmの鋳塊を製造した。その鋳塊の表層20mmを切削除去(面削)した後、温度500℃×24時間の均熱化処理を行った。その後、熱間圧延を行い、冷間圧延を行って厚さが0.12mmの圧延板とした。熱間圧延開始温度は350℃とし、冷間圧延の途中で連続焼鈍炉を用いて450℃で2分間の加熱処理(中間焼鈍)を実施した。
得られた圧延板の一方の面を化学的にエッチングし、更に物理的に研磨してアルミニウム層を120μmまで薄化した。アルミニウム層の厚みは直接マイクロメーターで測定した値である。
(比較例3)
比較例3は、実施例1に比して、金属膜が多層構造である点、金属膜の厚み、アルミニウムの純度、金属層の構成、第2相粒子の個数、表面粗さRt、直管率、およびアルミニウム層の製造方法が異なり、それ以外は実施例1と同じとした。
金属膜は、厚みが15μmであり、アルミニウムの純度が99.5質量%であった。銅層の金属膜の厚みに対する比率は3%であり、直管率は89%であった。
アルミニウム層は蒸着法で形成した。アルミニウム層の形成方法は実施例5と同じとし、膜厚も同様に測定した。また、銅層は、スパッタ法を用いて形成した。銅層の厚さは膜厚計で測定した。なお、陽極酸化処理は2回実施した。
表1に示すように、実施例1〜9は、比較例1〜3に比して直管率を高くできた。これにより、欠陥が少なく、充填欠陥の少ない複合材料を得ることができた。
比較例1は、金属膜が薄く、マイクロポアが規則的に形成されにくくなり、直管率が低かった。なお、比較例1は、金属膜が薄く、欠陥を評価していない。
比較例2は、第2相粒子の個数が多く、表面粗さRtが悪いため、直管率が低かった。さらには、比較例2は欠陥も多かった。
比較例3は、アルミニウムの純度が悪く、直管率が低かった。さらには、比較例3は欠陥も多かった。
10 金属膜
10a、12a、17a、19a、20a、30a 表面
10b、20b、30b 裏面
11 金属膜
12 第1の金属層
14 第2の金属層
16 異種金属層
17、19 支持体
18 剥離層
19b 接着層
20 構造体
21 貫通孔
22 バリア層
24 陽極酸化膜
25、25b 金属
25a 金属層
28 樹脂層
29 巻き芯
30 複合材料
32 導電体
32a、32b 突出部分
34 樹脂層
40 半導体パッケージ
40a、40b 半導体パッケージ基板
41 PoP基板
42、84、86、88 半導体素子
44 モールド樹脂
45 半田ボール
46 支持体
46、49 穴
47 配線
48 絶縁層
50 配線基板
52 絶縁性基材
54、56 配線層
57 絶縁層
58 配線
60 配線層
61 絶縁性基材
62 配線層
64 基板
65 電極
66 電極
68 半田ボール
70 プリント配線基板
72 絶縁性基材
74 配線層
80、80a、80b、80c、80d 電子デバイス
82 異方導電性部材
87 インターポーザー
90、90a、90b 端子
90c 端面
92 半導体層
92a 表面
94 再配線層
94a 表面
96 パッシベーション層
96a 表面
97 配線
98 パッド
100 線状導体
101 絶縁性基材
102 信号配線
103 グランド配線
104 絶縁層
105 配線層
110、116、117、121 半導体素子
112 センサチップ
114 レンズ
118 電極
122 穴
123 光導波路
125 発光素子
126 受光素子
Ds 積層方向
Dt 厚み方向
Ld 出射光
Lo 光
h 厚み
ht 厚み
p 中心間距離
t 厚み
w 導電体間の幅
x 方向

Claims (9)

  1. 陽極酸化膜形成される、多層積層構造の金属膜であって、
    純度99.9質量%以上のアルミニウムからなり、熱フェノール法により単離された第2相粒子の個数が10個/mm未満であり、厚みが5μm〜15μmである第1の金属層と、
    前記第1の金属層とは組成が異なる第2の金属層とを有し、
    前記第2の金属層はバルブ金属であり、
    前記第2の金属層は、金属膜の厚みに対する厚み比率が10%未満であり、
    前記第2の金属層上に前記第1の金属層が配置され、最表層に前記第1の金属層が配置されている、金属膜。
  2. 陽極酸化膜形成される、多層積層構造の金属膜であって、
    純度99.9質量%以上のアルミニウムからなり、熱フェノール法により単離された第2相粒子の個数が10個/mm未満であり、厚みが5μm〜15μmである第1の金属層と、
    前記第1の金属層とは組成が異なる第2の金属層とを有し、
    前記第2の金属層はバルブ金属であり、
    前記第2の金属層は、金属膜の厚みに対する厚み比率が10%未満であり、
    前記第1の金属層と前記第2の金属層とは交互に配置されており、最表層に前記第1の金属層が配置されている、金属膜。
  3. 前記第1の金属層は、表面の粗さRtが0.1μm以下である、請求項1または2に記載の金属膜。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の金属膜を用いて構成された、直管率が98%以上である貫通孔を有する陽極酸化膜である、構造体。
  5. 請求項に記載の構造体の前記貫通孔に導電体が充填されている、複合材料。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の金属膜に少なくとも陽極酸化を実施し、貫通孔を有する陽極酸化膜を形成する工程を有し、前記金属膜を用いて形成された前記陽極酸化膜である、構造体の製造方法。
  7. 前記陽極酸化は、少なくとも1回実施する、請求項に記載の構造体の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の金属膜に少なくとも陽極酸化を実施し、貫通孔を有する陽極酸化膜を形成する工程と、
    前記陽極酸化により形成された前記貫通孔に導電物質を充填する工程とを有し、前記構造体と、前記構造体の前記貫通孔に充填された前記導電物質により形成された導電体とを有する複合材料の製造方法。
  9. 前記陽極酸化は、少なくも1回実施する、請求項に記載の複合材料の製造方法。
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