JP6817313B2 - 育児用調製粉乳に用いるための油脂組成物 - Google Patents

育児用調製粉乳に用いるための油脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は育児用調製粉乳に用いられる油脂組成物に関する。より詳しくは、育児用調製粉乳として適した栄養バランスを満たし、かつ育児用調製粉乳に用いられる油脂組成物として3−MCPD及びグリシドール及びそれらの脂肪酸エステルを充分に低下させた油脂組成物に関する。
食用油脂に含まれる3−MCPD(3−モノクロロプロパン−1,2−ジオール)脂肪酸エステルは、体内で代謝されて3−MCPDが生成した場合は、その発がん性や毒性が疑われている。
一方、高濃度にDAG(ジアシルグリセロール)を含む油脂にはグリシドール脂肪酸エステルが含まれていることが報告されており、グリシドール脂肪酸エステルが体内で代謝されてグリシドールが生成した場合は、その発がん性や毒性が懸念されている。従って、食用油脂から3−MCPD、グリシドール及びそれらの脂肪酸エステルを低減することが望まれている。
特許文献1では、油脂をエステル交換してから酸性活性白土処理し、低い温度で脱臭することにより、3−MCPD及びグリシドール及びそれらの脂肪酸エステルを低減できることが記載されている。また特許文献1には、WHO/FAOの発表では、3−MCPDの一日許容摂取量(TDI)は2μg/kg(体重)とされ、体重60kgの成人では、一日平均油脂摂取量を12.5gとすると油脂中の3−MCPDの許容濃度は9.6ppmとなることが記載されている。同様に、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)のデータでは、グリシドールの仮想的ベンチマーク用量下限値(BMDL10)は4.06mg/kg(体重)とされ、食品安全委員会が指標とする暴露マージンを10000以上として計算すると、体重60kgの成人では、一日平均油脂摂取量を12.5gとすると、油脂中のグリシドールの許容濃度は2.0ppmとなることが記載されている。
一方、母乳代替食品である育児用あるいは乳児用調製粉乳は、栄養学的に一定の基準を満たすことが日本国内においても国際的にも要求されている。ヒトの乳汁脂肪には、乳児の発育に必要なリノール酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸等の必須脂肪酸が一定量含まれていることから、消費者庁(日本)による指導要領(消食表第277号(平成23年6月23日))には、乳児用調製粉乳たる表示の許可基準では、100kcal当たりの組成として、脂質が4.4〜6.0g、リノール酸が0.3〜1.4gであり、α−リノレン酸が0.05g以上であることが示されている。
特許文献2には、人乳類似油脂組成物として、特定の脂肪酸組成を有する油脂組成物を作成したことが開示されている。
また、特許文献3では、ランダム化パーム油またはランダム化パームオレイン油と他の油脂を組み合わせた油脂組成物が開示されており、乳児栄養食用の油脂組成物として用いることができることが記載されている。
特開2012−136655号公報 特開平7−107904号公報 特開平2−231037号公報
特許文献1に記載されているとおり、体重60kgの成人では、一日平均油脂摂取量を12.5gとすると油脂由来の3−MCPDの許容濃度は9.6ppmであり、グリシドールの許容濃度は2.0ppmになる。一方、乳幼児においては一日平均油脂摂取量及び体重が異なる。例えば、体重6kgの乳幼児の一日平均油脂摂取量を36.0gとすると、油脂組成物中の3−MCPDの許容濃度は0.33ppmであり、グリシドールの許容濃度は0.07ppmである。よって、これらの許容濃度以下に3−MCPD及びグリシドールを低減することが望まれる。
育児用調製粉乳に用いられる油脂組成物は、上述のとおりリノール酸やα−リノレン酸に一定の基準が定められており、又、母乳代替食品として、特許文献2に記載されるような特定の脂肪酸組成を有する必要がある。リノール酸やα−リノレン酸等の高度不飽和脂肪酸は一般的に酸化安定性が悪く、高温での流通により経時的に風味が劣化してしまう。
このため、これらの油脂組成物の流通は缶やコンテナの容器形態で、冷蔵(1〜10℃)で行っているが、育児用調製粉乳に用いられる油脂組成物がパーム系あるいはラウリン系油脂を含む場合、この冷蔵温度での流通でも公知の低温での劣化臭が発生してしまうという問題がある。
よって、パーム系あるいはラウリン系油脂を含む育児用調製粉乳に用いられる油脂組成物は、冷蔵での流通時においても風味変化が発生しにくく、保存安定性を有する必要がある。
本明細書では、「保存安定性」は、冷蔵(1〜10℃)での流通時に風味変化が発生しにくく、流通後も良好な風味を有することを意味する。
従って、本発明の課題は、3−MCPD及びグリシドール及びそれらの脂肪酸エステルの濃度が充分に低く、更に冷蔵での流通時に風味変化が発生しにくい、保存安定性に優れた、栄養学的に一定の基準を満たす育児用調製粉乳に用いられる油脂組成物を提供することである。
本発明の上記課題は、リノール酸及びα−リノレン酸を含み、3−MCPD濃度が0.33ppm以下でかつグリシドール濃度が0.1ppm以下であり、保存安定性に優れた油脂組成物により達成され、かかる油脂組成物により、栄養、安全性及び保存安定性に優れた育児用調製粉乳に用いられる油脂組成物を提供しうる。
本発明の他の態様は以下のとおりであってもよい。
[1] リノール酸及びα−リノレン酸を含む育児用調製粉乳に用いるための油脂組成物であって、3−モノクロロプロパン−1、2−ジオール(3−MCPD)濃度が0.33ppm以下でかつグリシドール濃度が0.1ppm以下であり、冷蔵保存で風味変化が発生しにくい上記育児用調製粉乳用油脂組成物。
[2] 油脂組成物全質量に対し、リノール酸を5.0〜32.0質量%の量で含み、かつα−リノレン酸を0.8質量%以上の量で含む、[1]に記載の育児用調製粉乳用油脂組成物。
[3] 冷蔵保存において、保存開始から少なくとも1週間後の風味が初期風味と比較して変化しない、[1]または[2]に記載の育児用調製粉乳用油脂組成物。
[4] 脱酸処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂を含む原料油脂を脱色・脱臭処理して得られた、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の育児用調製粉乳用油脂組成物。
[5] 脱臭処理が200℃以上230℃以下で行われた、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の育児用調製粉乳用油脂組成物。
[6] 原料油脂がエステル交換されていない、[4]または[5]のいずれか一項に記載の育児用調製粉乳用油脂組成物。
[7] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の育児用調製粉乳用油脂組成物を含む、育児用調製粉乳。
[8] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の育児用調製粉乳用油脂組成物の製造方法であって、下記工程を含む方法:
(i) 脱酸処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂、及び第1油脂以外の任意に含まれる一または複数の他の油脂を混合した油脂を製造し、前記混合油脂を脱色処理し、その後前記脱色処理した油脂を200℃以上230℃以下で脱臭処理する工程、または
(ii) 脱酸処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂、及び第1油脂以外の任意に含まれる一または複数の他の油脂を各々脱色処理し、その後前記脱色処理した油脂を200℃以上230℃以下で各々脱臭処理して、前記脱臭処理された油脂を混合する工程。
[9] 工程(i)の混合油脂がエステル交換されておらず、かつ工程(ii)の脱酸処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂、及び第1油脂以外の任意に含まれる一または複数の他の油脂のいずれもエステル交換されていない、[8]記載の製造方法。
本発明により、育児用調製粉乳として適した栄養バランス、特に一定量のリノール酸及びα−リノレン酸を有し、かつ安全性の観点から摂取を低減したい3−MCPD及びグリシドール及びそれらの脂肪酸エステル濃度が充分に低下しており、更に、育児用調製粉乳のための油脂組成物として保存安定性に優れている油脂組成物を製造することができる。
<育児用調製粉乳に用いられる油脂組成物>
本発明の油脂組成物は育児用調製粉乳に用いられる。
育児用調製粉乳とは、母乳の代替品として用いられる粉乳であり、出来る限り母乳の成分に近似させることが多い。ヒトの乳汁の主な成分としては、蛋白質、脂肪、糖質などがあり、脂肪には、乳児の発育に必要なリノール酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸等の必須脂肪酸が一定量含まれている。
消費者庁では、乳児用調製粉乳たる表示の許可基準では、100kcal当たりの組成として、脂質が4.4〜6.0g、リノール酸が0.3〜1.4gであり、α−リノレン酸が0.05g以上であることを示している。本発明における「育児用調製粉乳に用いられる油脂組成物」とは、このような栄養基準を満たすための油脂組成物を意味している。
本発明の油脂組成物を用いた育児用調製粉乳は、リノール酸及びα−リノレン酸を含み、より好ましくは、100kcal当たりの組成として、脂質4.4〜6.0g、リノール酸を0.3〜1.4gの量で含み、かつα−リノレン酸を0.05g以上の量で含む。すなわち、油脂としてリノール酸を5.0〜32.0質量%、α−リノレン酸を0.8質量%以上含むことが好ましい。
油脂中のリノール酸及びα−リノレン酸の量は様々な測定方法があるが、本明細書では、基準油脂分析法(「基準油脂分析試験法」(2013年版、日本油科学会発行)、2.4.2.2−2013 脂肪酸組成 FID昇温ガスクロマトグラフ法)により測定した値を用いる。
油脂組成物中のリノール酸及びα−リノレン酸の比(リノール酸/α−リノレン酸)は、栄養学的な観点から、5〜15の範囲であることが好ましい。
本発明の育児用調製粉乳に用いられる油脂組成物は、3−MCPD濃度が0.33ppm以下でかつグリシドール濃度が0.1ppm以下である。より好ましくは、3−MCPD濃度が0.25ppm以下、グリシドール濃度が0.07ppm以下である。
本発明の育児用調製粉乳に用いられる油脂組成物は、冷蔵保存で風味変化が発生しにくい。好ましくは、冷蔵保存で、保存開始から少なくとも1週間後の風味が初期風味と比較して変化しにくい。より好ましくは、冷蔵保存で少なくとも2週間風味が変化しにくく、更に好ましくは冷蔵保存で少なくとも3週間風味が変化しにくく、更により好ましくは冷蔵保存で少なくとも4週間風味が変化しにくい。
本明細書において風味変化とは、主に、低温保存時の劣化臭のことを意味する。本明細書において、「冷蔵保存で風味変化が発生しにくい」とは、冷蔵温度(1〜10℃程度)で保存開始する前の初期風味と比較してほぼ変化が無い場合をいう。
「冷蔵保存で風味変化が発生しにくい」か否かについては、例えば以下の方法により試験を行うことができる。
1.100mLの褐色瓶に油脂組成物70gを投入し、密閉(キャップ)をする。
2.100mL褐色瓶に入れた油脂組成物を、5℃に設定された恒温槽に保存する。
3.保存開始から1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間で風味を確認する。
風味は、以下の基準に則り、初期風味と比較した5段階で評価する。
5点:風味変化無し
4点:僅かに風味変化あり
3点:明らかな風味変化あり
2点:劣化臭あり
1点:強い劣化臭あり
4.初期風味と比較して5点の場合には、風味変化が発生しにくいと判断する。
本発明の油脂組成物の原料油脂としては、製造された油脂組成物が上述した特性を満たすように選択して用いることができる。特に、リノール酸及びα−リノレン酸を上述の許可基準において含むように様々な油脂を組み合わせて用いることが好ましい。
例えば、パーム油、パームオレイン、パームダブルオレイン、パームステアリン、パームミッドフラクション等のパーム油の分別油、パーム核油、パーム核オレイン、パーム核ステアリン等のパーム核油の分別油、ヤシ油、大豆油、菜種油、コーン油、ヒマワリ油、サフラワー油、エゴマ油、アマニ油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックサフラワー油、綿実油、米糠油、ゴマ油、オリーブ油、落花生油、カカオ油等の植物油や、魚油、牛脂、豚脂等の動物油等が挙げられ、又、これら油脂の分別油も使用することができる。
本発明の油脂組成物を製造するための原料油脂としては、脱酸処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂を含むことが好ましい。
脱酸処理では後述するようにアルカリ水溶液を使用することが通常であるが、アルカリ脱酸では、酸価の高いパーム油やラウリン酸を多く含むヤシ油、パーム核油は、多量の石けんが生成し、油も石けんと共にアルカリフーツとして除去されてしまうので、収量が低下するという問題があるため、蒸留法による精製などを用いることが多く、これらの油脂は通常脱酸処理がなされていない。
本明細書において原料油脂に関して「脱酸処理されたパーム油」という場合には、少なくとも脱酸処理されていればよく、脱酸処理を行った後、公知の方法により脱色処理および/または脱臭処理が更になされていてもよい。好ましくは脱酸処理後、脱色処理及び脱臭処理を行った油脂である。本明細書では、原料油脂における脱酸処理後の脱色処理及び脱臭処理を、後の工程で行なわれる脱色処理及び脱臭処理と区別するために、前者を「第1脱色処理」及び「第1脱臭処理」と呼び、後者を「第2脱色処理」及び「第2脱臭処理」と呼ぶ場合がある。
「脱酸処理」は、当該技術分野において公知の方法により行なうことができ、例えば、粗油を水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液により処理することにより行なうことができる。より具体的には、例えば約5%〜30%程度の濃度のアルカリ水溶液を添加して処理してもよい。アルカリ添加量は、混入している遊離脂肪酸の量などによって適宜決定することができる。アルカリ水溶液で処理する時間は、アルカリ濃度や処理温度にもよるが10〜30分程度である。アルカリ水溶液で処理する温度は60〜80℃程度で行うことができるが、出来る限り低い温度で行うことが好ましい。例えば、70〜75℃で20分程度撹拌することができる。あるいは80〜90℃程度の高温で行い、処理時間を短縮してもよい。
パーム油の分別油とは、パームオレイン、パームダブルオレイン、パームステアリン、パームミッドフラクション等のパーム油の分別により得られる油脂を意味する。好ましくは、パームオレイン、パームダブルオレインが挙げられる。
脱酸処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂を本発明の油脂組成物を製造するための原料油脂として使用することにより、3−MCPD濃度を育児用調製粉乳として充分に安全なレベルに低下することができ、冷蔵保存で風味変化が発生しにくい保存安定性に優れた油脂を得ることができる。
本発明の1つの態様において、本発明の油脂組成物を製造するための原料油脂中の第1油脂(脱酸処理されたパーム油およびその分別油から選択される油脂)の量は、油脂組成物全質量に対して50質量%未満の量であることが好ましい。第1油脂の量は、油脂組成物全質量に対して40質量%以下であることが更に好ましい。第1油脂は、油脂組成物全質量に対して20質量%以上含まれることが好ましい。
本発明の他の態様において、本発明の油脂組成物を製造するための原料油脂として、第1油脂(脱酸処理されたパーム油およびその分別油から選択される油脂)以外にパーム核油またはその分別油を用いることが好ましい。パーム核油の分別油とは、パーム核オレイン、パーム核ステアリン等のパーム核油の分別により得られる油脂を意味する。好ましくは、パーム核オレインが挙げられる。
本発明の油脂組成物を製造するための原料油脂中の第1油脂とパーム核油またはその分別油の質量比は、20/80〜80/20であることが好ましく、30/70〜70/30であることが更に好ましく、40/60〜60/40であることがより更に好ましい。
本発明の更なる他の態様において、本発明の油脂組成物を製造するための原料油脂は、第1油脂とパーム核油またはその分別油に加えて、さらに他の油脂を含むものであってもよい。他の油脂としては、リノール酸及びα−リノレン酸が許可基準の範囲に入れば制限はなく、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ヒマワリ油、サフラワー油、エゴマ油、アマニ油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックサフラワー油等が挙げられる。好ましくは、大豆油、菜種油である。
本発明の更に他の態様では、本発明の油脂組成物を製造するための原料油脂は、脱酸処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂を含み、これ以外に一または複数の他の油脂を任意に含んでいてもよい。そのような油脂としては、リノール酸及びα−リノレン酸が目的の範囲に入れば制限はなく、例えば、ラウリン系油脂であるパーム核油およびその分別油、ヤシ油、液油である大豆油、菜種油、コーン油、ヒマワリ油、サフラワー油、エゴマ油、アマニ油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックサフラワー油等が挙げられる。好ましくは、パーム核油およびその分別油、大豆油、菜種油である。
これらの油脂は、各々脱酸処理、脱色処理(第1脱色処理)及び脱臭処理(第1脱臭処理)がされていてもよい。
本発明の油脂組成物を製造するための原料油脂に、第1油脂以外に、さらに一または複数の他の油脂が含まれている場合、第1油脂と一または複数の他の油脂との質量比は、20/80〜80/20であることが好ましく、30/70〜70/30であることが更に好まし
本発明の他の態様では、本発明の油脂組成物は、脱酸処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂及び任意に含まれる一または複数の他の油脂の混合物からなる混合油脂から製造され、これらの混合油脂または各々の油脂として、脱色処理(第2脱色処理)及び脱臭処理(第2脱臭処理)される。脱臭処理は200℃以上230℃以下で行なうことが好ましい。
なお、本発明の油脂組成物はエステル交換してもしなくても用いることができるが、本発明の油脂組成物は、エステル交換をすることなく3−MCPD量を十分に低減できるため、エステル交換処理を行う必要がない。また、脱酸処理された油脂を原料油脂として用いた場合には、エステル交換により3−MCPD量が増える場合があるためエステル交換せずに用いることがより好ましい。脱酸処理された油脂をエステル交換すると、ジグリセリドや遊離脂肪酸が増加してしまう。ジグリセリドが増加した油脂を脱臭処理すると、3−MCPD量が増加するため、エステル交換油の3−MCPD量は、脱酸処理したエステル交換油の3−MCPD量よりも高くなってしまう。
<油脂組成物の製造方法>
本発明の油脂組成物が上述した脱酸処理され、さらに任意に脱色処理(第1脱色処理)、脱臭処理(第1脱臭処理)されたパーム油およびその分別油を含む態様において、油脂組成物の製造方法は、下記工程を含む方法である。
(i) 脱酸処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂、及び第1油脂以外の任意に含まれる一または複数の他の油脂を混合した油脂を製造し、前記混合油脂を脱色処理(第2脱色処理)し、その後前記脱色処理した油脂を200℃以上230℃以下で脱臭処理(第2脱臭処理)する工程、または
(ii) 脱酸処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂、及び第1油脂以外の任意に含まれる一または複数の他の油脂を各々脱色処理(第2脱色処理)し、その後前記脱色処理した油脂を200℃以上230℃以下で各々脱臭処理(第2脱臭処理)して、前記脱臭処理された油脂を混合する工程。
本発明の製造方法のより好ましい態様としては、少なくとも以下の工程(1)〜工程(3)を経ることを特徴とする。各工程は、混合工程(1)、脱色処理工程(2)、脱臭処理工程(3)である。
<混合工程(1)>
脱酸処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂、及び任意に含まれる一または複数の他の油脂を配合して混合油脂を作成する。
ここで、第1油脂及び任意に含まれる他の油脂の各々を以下の脱色処理工程および脱臭処理工程を経た後で配合して混合油脂を作成してもよい。
<脱色処理工程(2)>
工程(1)で得られた油脂を常法に従って脱色処理する。脱色処理に用いる吸着剤としては、好ましくは酸性活性白土を使用する。効率よく、短時間で脱色処理を行うために、90〜120℃程度の温度に加熱し且つ減圧下(一般に6.7kPa以下)で混合攪拌を行うことが好適であり、処理量などによって異なるが、一般に30分間程度、混合攪拌を行えばよい。
<脱臭処理工程(3)>
脱臭処理工程は、温度条件(200〜230℃)以外に特に制限はなく、食用油脂の脱臭に通常用いられている減圧水蒸気蒸留脱臭法でよい。
本発明においては、通常の油脂精製時の温度よりは低温、即ち好ましくは200℃以上230℃以下、より好ましくは210℃以上220℃以下で脱臭工程を通すことでグリシドール濃度が0.1ppm以下の油脂組成物を得ることができる。脱臭温度は、200℃未満であれば更にグリシドールを低減できるが、油脂から十分に有臭成分を除去できず、商品性がなくなるので200℃未満にするのは好ましくない。
一方、脱臭温度が230℃を超えると、グリシドールが増加するので好ましくない。特に、260℃以上にするとこれらの成分が著しく増加するので極めて好ましくない。
上記の製造方法により得られる油脂組成物は、脱臭処理工程の後においても3−MCPD及びグリシドール及びそれらの脂肪酸エステル濃度が低く、3−MCPD濃度を0.33ppm以下、グリシドール濃度を0.1ppm以下まで低減され、かつ風味も良好である。
なお、油脂組成物中には、3−MCPD及びグリシドールはそれぞれ3−MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルの形態で存在しているが、本明細書では、これらを3−MCPD及びグリシドールとして測定した値を用いて、油脂組成物中の「3−MCPD濃度」、「グリシドール濃度」と表現している。
<育児用調製粉乳>
本発明の育児用調製粉乳は、上述した本発明の油脂組成物を含み、その他、育児用調製粉乳に含まれる任意の成分を含む。
任意の成分としては、例えば、たんぱく源、炭水化物源、ビタミン、ミネラル及びその他滋養要素等が挙げられる。
本発明の油脂組成物は、育児用調製粉乳中に、例えば10〜30質量%含有させることができるがこれに限定されるものではない。
(実施例1)
脱酸・脱色(第1脱色)・脱臭(第1脱臭)処理されたパームオレイン(NBDパームオレイン)35質量部、パーム核オレイン30質量部、大豆油20質量部及び菜種油15質量部を混合し、油脂100部に酸性活性白土(商品名:ガレオンアースV2、水澤化学工業製)を1.5質量部添加し、常圧下で、90℃、60分間脱色処理(第2脱色処理)を行った。酸性活性白土は、ろ紙(商品名:東洋ろ紙No.2、アドバンテック製)及びろ過助剤(商品名:シリカ#600H、中央シリカ株式会社製)を用いて減圧ろ過により取り除き脱色油を得た。この脱色油15kgを210℃、75分、真空度0.4kPa以下、吹込み水蒸気量3.0%(対油重量%)の条件で脱臭処理(第2脱臭処理)を行い冷却時に25ppmのクエン酸を添加し、脱臭油を得た。
(実施例2、3)
表1の記載に従った組成の油脂を実施例1と同様の条件で脱色、脱臭を行って、各油脂組成物を製造した。
(比較例1、2、3)
NBDパームオレインの代わりに、脱色(第1脱色)・脱臭(第1脱臭)処理されたパームオレイン(RBDパームオレイン)を混合した他は、表1の記載に従った組成の油脂を実施例1と同様の条件で脱色、脱臭を行って、各油脂組成物を製造した。
実施例及び比較例で得られた各油脂について、3-MCPD及びグリシドール含有量を後述する分析方法で測定した。また、風味、保存試験(風味)、脂肪酸組成分析も行った。分析結果を表2に示す。
(3−MCPD等の分析法)
「DFG Standard Methods Section C−Fats C−IV 18(10)」に従って測定した。
1.標準溶液
下記標準原液及び溶液は全て溶媒としてトルエンを用いた。
1)3−MCPD−1,2−パルミトイルエステル(和光純薬製、≧98%)
3−MCPD−1,2−パルミトイルエステル標準原液(約1000ppm)
3−MCPD−1,2−パルミトイルエステル標準溶液(約40ppm)
2)d5−3−MCPD−1,2−パルミトイルエステル(和光純薬製、≧98%)
*サロゲートとして使用
d5−3−MCPD−1,2−パルミトイルエステル標準原液(約1000ppm)
d5−3−MCPD−1,2−パルミトイルエステル標準溶液(約40ppm)
3)グリシジルステアレート(TCI製、96%≧)
グリシジルステアレート標準原液(約1000ppm)
グリシジルステアレート標準溶液(約40ppm)
2.試薬
1)超純水
2)トルエン(関東化学製、残農用、5000倍濃縮)
3)t-ブチルメチルエーテル(t-BME) (関東化学製、残農用、5000倍濃縮)
4)メタノール(関東化学製、残農用、5000倍濃縮)
5)ヘキサン(関東化学製、残農用、5000倍濃縮)
6)酢酸エチル(関東化学製、残農用、5000倍濃縮)
7)ジエチルエーテル(関東化学製、残農用、5000倍濃縮)
8)イソオクタン
9)ナトリウムメトキシド
10)ナトリウムメトキシド-メタノール溶液(25g/L):0.25gをメタノールで10mLに定溶〈*用事調製(水分により分解しやすいので長期保存は不可)〉
11)塩化ナトリウム(関東化学製、特級)
12)塩化ナトリウム溶液(NaCl 200g/L溶液):塩化ナトリウム 50gを超純水で溶解し250mLとする
13)臭化ナトリウム(関東化学製、特級)
14)臭化ナトリウム水溶液(NaBr 600g/L溶液)
15)硫酸(25%、6N):硫酸(96%、36N)を6倍に希釈
ex)超純水50mLに硫酸(96%、36N)を10mL加えた後60mLに定容
16)酸性塩化ナトリウム水溶液(200g/L):塩化ナトリウム水溶液1Lに硫酸(25%)35mLを加える
ex)塩化ナトリウム水溶液20mL+硫酸(25%)700μL
17)酸性臭化ナトリウム水溶液(塩化物を含まない食塩水):臭化ナトリウム水溶液(600g/L)1Lに硫酸(25%)35mLを加える
ex)臭化ナトリウム水溶液20mL+硫酸(25%)700μL
18)フェニルボロン酸(PBA,フェニルほう酸)
19)誘導体化試薬:フェニルボロン酸をジエチルエーテルに溶解し、沈殿のある飽和状態〈*用事調製
3.器具
1)パスツールピペット
2)メスシリンダー 25mL、50mL、100mL
3)メスフラスコ 5mL、10mL
4)ピペットマン P−5000、P−1000、P−200
5)スクリューバイアル(ガラス製、1.5mL容)
6)シリンジ
7)フィルター(疎水性)
4.分析方法
1)試料100 mg(±0.5mg)を1.5mLスクリューバイアルに採取した。
2)サロゲートとしてd5−3−MCPD−1,2−パルミトイルエステル標準溶液(約50ppm)を100μL、t-ブチルメチルエーテルを100μL添加し攪拌した。
※コンタミ確認のため、3−MCPD等が検出しない試料(ex.エクストラバージンオリーブ油)を分析した。また、スパイク試料にはサロゲートとともに3−MCPD−1,2−パルミトイルエステル標準溶液(約40ppm)を100μL添加し回収率を確認した。
3)ナトリウムメトキシド−メタノール溶液を200μL加え、攪拌した後、常温で3.5〜5.5分反応させた。
4)反応を止めるため、分析[A]には酸性塩化ナトリウム水溶液を600μL、分析[B]には酸性臭化ナトリウム水溶液を600μL加えた。
5)ヘキサン600μLを加え攪拌した後、5分以上静置し、ヘキサン層を除去する。再びへキサン600μLを加え、同操作を繰り返した。
6)ジエチルエーテル/酢酸エチル(6:4)混液を600μL加え、攪拌した後、硫酸ナトリウム(無水)入りのバイアルに溶媒層を回収した。同操作を更に2回繰り返した。
7)PBA溶液を100μL添加し誘導体化した後、窒素ガスを吹き付け乾固させた。
8)イソオクタン1mLで再溶解し、フィルターろ過した後、GC/MSにて測定を行った。
5.装置・分析条件
装置:GC/MS(Agilent製5975C/7890A)
カラム:DB−17MS,内径0.25mm×30m,膜厚 0.25μm
注入量:2μL
注入口温度:240℃
スプリットレス時間:1.5分
スプリット流量:20mL/min
キャリアガス:ヘリウム,1.2mL/min,定流量
オーブン温度:85℃(0.5min)→6℃/min→150℃→12℃/min→180℃→25℃/min→280℃(7min)
イオン化:EI(positive)
測定イオン:3−MCPD m/z=147(定量用)、146・196・198(確認用)
3−MCPD−d5 m/z=150(サロゲート)、149・201・203(確認用)
イオン源温度:250℃
四重極:150℃
6.定量方法
[内部標準法]
サロゲートとして添加したd5−3−MCPD−1,2−パルミトイルエステルをd5−3−MCPD濃度に換算し、3−MCPDの面積値をサロゲートの面積値で割った面積比にサロゲート濃度を乗じて3−MCPD濃度を算出した。

定量値=サロゲート濃度×3−MCPD面積値/サロゲート面積値
上記で得られた定量値を試料採取量で除して、試料中濃度を求めた。
3−MCPD量[ppm]=定量値[μg/L]/試料採取量[mg]
※分析[A]では3−MCPD―FS量、分析[B]ではグリシドールを除去した3−MCPD量が求められる。

分析[A]・分析[B]それぞれの測定結果より、3−MCPD―FS量より3−MCPD量を減じ、グリシドール変換係数を乗じてグリシドール量を算出した。
グリシドール量[ppm]=(3−MCPD―FS量[A] − 3−MCPD量[B])×グリシドール変換係数t
〈グリシドール変換係数の算出〉
グリシドールから3−MCPDへの変換係数は塩化物存在下[A]で検量線を作成して算出される。コンタミしていない油脂試料にグリシドール(グリシドールエステルとして)を複数濃度添加し、分析[A]に従って処理した。結果として得られる検量線y=mx+nの傾きの逆数はグリシドール変換係数tと等しい。
グリシドール変換係数t=1/m
(保存試験(風味)方法)
1.100mLの褐色瓶に油脂組成物70gを投入し、密閉(キャップ)をした。
2.100mL褐色瓶に入れた油脂組成物を、5℃に設定された恒温槽に保存した。
3.保存開始から1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間での風味を確認した。
風味は、以下の基準に則り、初期風味と比較した5段階で評価した。評価は7人で行ない、平均値を四捨五入した値を表に示した。
5点:風味変化無し
4点:僅かに風味変化あり
3点:明らかな風味変化あり
2点:劣化臭あり
1点:強い劣化臭あり
(脂肪酸組成の分析方法)
脂肪酸組成を基準油脂分析法(2.4.2.2−2013 脂肪酸組成 FID昇温ガスクロマトグラフ法)により分析した。
(結果)
実施例1〜3の油脂はいずれも5℃で6週間風味変化が無く、保存安定性に優れたものであった。
これに対し、実施例1、3と同じ原料油脂組成であるがNBDパームオレインを使用していない比較例1、3の油脂組成物は5℃で4週間で風味変化が発生しており、保存安定性に優れておらず、3−MCPDが許容濃度を大きく上回るものであった。また、実施例2と同じ原料油脂組成であるが、NBDパームオレインを使用していない比較例2の油脂組成物は、5℃で3週間で風味変化が発生しており、保存安定性に優れておらず、3−MCPDが許容濃度を大きく上回るものであった。
Figure 0006817313
Figure 0006817313

Claims (8)

  1. リノール酸及びα−リノレン酸を含む育児用調製粉乳に用いるための油脂組成物であって、
    (A)脱酸処理され、脱色処理及び脱臭処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂と、(B)脱色処理及び脱臭処理(190〜210℃の温度の脱臭処理を除く)された、第1油脂以外の一または複数の他の油脂とを含む原料油脂(前記油脂はいずれもエステル交換されていない)を第2脱色処理及び第2脱臭処理した油脂からなるか、または
    (C)脱酸処理され、脱色処理及び脱臭処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂を第2脱色処理及び第2脱臭処理した油脂と、(D)脱色処理及び脱臭処理(190〜210℃の温度の脱臭処理を除く)された、第1油脂以外の一または複数の他の油脂(前記油脂はいずれもエステル交換されていない)とを混合した油脂からなり、
    (A)脱酸処理され、脱色処理及び脱臭処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂の量または(C)脱酸処理され、脱色処理及び脱臭処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂を第2脱色処理及び第2脱臭処理した油脂の量が、油脂組成物全質量に対して20質量%以上40質量%以下であり、
    (B)脱色処理及び脱臭処理(190〜210℃の温度の脱臭処理を除く)された、第1油脂以外の一または複数の他の油脂または(D)脱色処理及び脱臭処理(190〜210℃の温度の脱臭処理を除く)された、第1油脂以外の一または複数の他の油脂が、パーム核油またはその分別油、ヤシ油、大豆油、菜種油、コーン油、ヒマワリ油、サフラワー油、エゴマ油、アマニ油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイック菜種油、及びハイオレイックサフラワー油からなる群から選択されかつ少なくともパーム核油またはその分別油を含み、
    前記第2脱臭処理が200℃以上220℃以下で行われており、かつ
    3−モノクロロプロパン−1、2−ジオール(3−MCPD)濃度が0.33ppm以下でかつグリシドール濃度が0.1ppm以下であり、冷蔵保存(1〜10℃)で風味変化が発生しにくい上記育児用調製粉乳用油脂組成物。
  2. 油脂組成物全質量に対し、リノール酸を5.0〜32.0質量%の量で含み、かつα−リノレン酸を0.8質量%以上の量で含む、請求項1に記載の育児用調製粉乳用油脂組成物。
  3. 冷蔵保存において、保存開始から少なくとも1週間後の風味が初期風味と比較して変化しない、請求項1または2に記載の育児用調製粉乳用油脂組成物。
  4. (A)脱酸処理され、脱色処理及び脱臭処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂の量、または(C)脱酸処理され、脱色処理及び脱臭処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂を第2脱色処理及び第2脱臭処理した油脂の量が、油脂組成物全質量に対して30質量%以上40質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の育児用調製粉乳用油脂組成物。
  5. 3−モノクロロプロパン−1、2−ジオール(3−MCPD)濃度が0.25ppm以下でかつグリシドール濃度が0.07ppm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の育児用調製粉乳用油脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の育児用調製粉乳用油脂組成物を含む、育児用調製粉乳。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の育児用調製粉乳用油脂組成物の製造方法であって、下記工程を含む方法:
    (i) (A)脱酸処理され、脱色処理及び脱臭処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂、(B)脱色処理及び脱臭処理(190〜210℃の温度の脱臭処理を除く)された、第1油脂以外の一または複数の他の油脂を混合し原料油脂(前記油脂はいずれもエステル交換されていない)を製造し、前記混合原料油脂を第2脱色処理し、その後前記第2脱色処理した油脂を200℃以上220℃以下で第2脱臭処理する工程、または
    (ii) (C)脱酸処理され、脱色処理及び脱臭処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂(前記油脂はエステル交換されていない)を第2脱色処理し、前記第2脱色処理した油脂を200℃以上220℃以下で第2脱臭処理して油脂を製造し、及び(D)第1油脂以外の一または複数の他の油脂を脱色処理及び脱臭処理(190〜210℃の温度の脱臭処理を除く)して油脂を製造し(前記油脂はいずれもエステル交換されていない)、前記油脂(C)と(D)を混合する工程。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の育児用調製粉乳用油脂組成物の製造方法であって、下記工程を含む方法:
    (i) (A)脱酸処理され、脱色処理及び脱臭処理されたパーム油およびその分別油から選択される第1油脂、(B)脱色処理及び脱臭処理(190〜210℃の温度の脱臭処理を除く)された、第1油脂以外の一または複数の他の油脂を混合し原料油脂(前記油脂はいずれもエステル交換されていない)を製造し、前記混合原料油脂を第2脱色処理し、その後前記第2脱色処理した油脂を200℃以上220℃以下で第2脱臭処理する工程。
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