JP6816741B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents
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このような液滴吐出法により形成される機能層の例としては、配線層、半導体層、カラーフィルターにおける着色層、発光素子における発光層などが挙げられる。
機能層形成材料を含む溶液(インク)中に、異物(パーティクル)が含まれていると、膜形成領域に異物(パーティクル)が含まれた状態で機能層が形成されるため、機能層において本来の機能が得られない部分が生ずる。
また、例えば、特許文献2には、高分子有機エレクトロルミネッセンス材料が有機溶媒に溶解してなる溶液を、孔径0.03μm〜0.1μmのフィルターで加圧濾過する工程を有する有機エレクトロルミネッセンスインク組成物の製造方法が開示されている。特許文献2に記載された実施例によれば、フィルターの孔径を0.05μmとして濾過圧力と濾過速度とを調整したとしても、10mlの有機エレクトロルミネッセンスインク組成物に含まれる0.5μm以上のパーティクル数は10個となっている。1mlに換算すれば、0.5μm以上のパーティクル数は1個となる。
本発明の一態様の機能層形成用インクは、機能層形成材料と、前記機能層形成材料が溶解している溶媒と、を含み、前記溶媒に溶解していないパーティクルであって、大きさが0.5μm以上である前記パーティクルの数が、10mlの前記機能層形成用インクの中に7個以下であることを特徴とする。
なお、液体中に含まれるパーティクルの大きさと数とを特定する方法としては、液中パーティクルカウンターを用いる方法が挙げられ、精度よく測定するには、試料の体積として少なくとも10mlが必要と考えられる。つまり、10mlを単位としてパーティクルの大きさと数とを特定することが好ましい。
この構成によれば、機能層形成用インクが塗布される領域が小さくても、欠陥の発生が低減された薄膜層を形成できる。
この方法によれば、欠陥の発生がより低減された機能層形成用インクを製造することができる。
まず、画素に有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を備えた自発光型の表示装置である有機EL装置の一例について、図1〜図4を参照して説明する。図1は有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図、図2は有機EL装置の構成を示す概略平面図、図3は有機EL装置の画素の構造を示す概略断面図、図4は有機EL装置の画素における有機EL素子の構成を示す模式図である。
駆動用トランジスター122のソースまたはドレインのうち一方が有機EL素子130の画素電極131に接続され、ソースまたはドレインのうち他方が電源線114に接続されている。駆動用トランジスター122のゲートと電源線114との間に蓄積容量123が接続されている。
なお、画素回路111の構成は、これに限定されるものではない。例えば、駆動用トランジスター122と画素電極131との間に、駆動用トランジスター122と画素電極131との間の導通を制御する発光制御用トランジスターを備えていてもよい。
以降、異なる発光色の画素107R,107G,107Bを総称して画素107と呼ぶこともある。また、異なる発光色の画素107が配列する方向をX方向、同色の画素107が配列する方向をY方向として説明する。
図4に示すように、有機EL装置100は、素子基板101上に設けられた、赤色の発光が得られる有機EL素子130Rと、緑色の発光が得られる有機EL素子130Gと、青色の発光が得られる有機EL素子130Bとを有している。
緑色の発光が得られる有機EL素子130Gは、陽極としての画素電極131Gと、画素電極131Gに対向配置される陰極としての対向電極134と、画素電極131Gと対向電極134との間において、画素電極131G側から順に積層された、正孔注入層132a、正孔輸送層132b、緑(G)の発光層132cG、青(B)の発光層132cB、電子輸送層132d、電子注入層132eを有している。
青色の発光が得られる有機EL素子130Bは、陽極としての画素電極131Bと、画素電極131Bに対向配置される陰極としての対向電極134と、画素電極131Bと対向電極134との間において、画素電極131B側から順に積層された、正孔注入層132a、正孔輸送層132b、青(B)の発光層132cB、電子輸送層132d、電子注入層132eを有している。
対向電極134は、有機EL素子130R,130G,130Bに共通した陰極として、仕事関数が小さい例えばAlなどの電極材料を用いて気相プロセスにより形成されている。
以降、有機EL素子130R,130G,130Bの構成について、より具体的に説明する。
陽極としての画素電極131R,131G,131Bは、正孔注入層132aに正孔を注入する電極である。
この画素電極131R,131G,131Bの構成材料としては、特に限定されないが、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料が好適に用いられ、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In2O3、SnO2、フッ素添加SnO2、Sb添加SnO2、ZnO、Al添加ZnO、Ga添加ZnO等の金属酸化物、Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような画素電極131R,131G,131Bの膜厚は、特に限定されないが、10nm〜200nmの範囲にあることが好ましく、30nm〜150nmの範囲にあることがより好ましい。
正孔注入層132aは、正孔注入材料を含んだ溶液(機能層形成用インク)を所定の膜形成領域に塗布して、乾燥・加熱することにより形成されている(液相プロセス)。正孔注入材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体にドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸(PSS)を加えた混合物(PEDOT:PSS)や、ポリスチレン、ポリピロール、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリアニリン、オリゴアニリン、ポリアセチレンやその誘導体などを挙げることができる。
正孔注入層132aの膜厚は、特に限定されないが、10nm〜150nmの範囲にあることが好ましい。
正孔輸送層132bは、有機EL素子130R,130G,130Bにおいて、正孔注入層132aと発光層132cR,132cG,132cBとの間に設けられ、発光層132cR、132cG,132cBに対する正孔の輸送性(注入性)を向上させると共に、発光層132cR,132cG,132cBから正孔注入層132aに電子が侵入して、正孔注入層132aの機能が低下することを抑制するために設けられている。すなわち、発光層132cR、132cG,132cBにおける正孔と電子との結合による発光の効率を改善するものである。
正孔輸送材料としては、例えば、トリフェニルジアミン(TPD)などのアミン系化合物のポリマーが好適に用いられる。そのほかポリフルオレン誘導体(PF)やポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)を含むポリシラン系などの高分子有機材料を挙げることができる。
正孔輸送層132bの膜厚は、特に限定されないが、15nm〜25nmの範囲にあることが好ましい。
赤色の発光が得られる発光層132cR及び緑色の発光が得られる発光層132cGは、それぞれ、ホスト材料にゲスト材料としての発光材料がドープされた発光層形成材料を含む溶液(機能層形成用インク)を所定の膜形成領域に塗布して乾燥・加熱すること(液相プロセス)により、有機EL素子130R,130Gの正孔輸送層132bに接し、有機EL素子130R,130Gに対応して選択的に形成されている。
燐光材料としては、Bt2Ir(acac)(Bis(2−phenylbenxothiozolato−N,C2’)Iridium(III)(acetylacetonate))、Btp2Ir(acac)(Bis(2,2’−benzothienyl)−pyridinato−N,C3)Iridium(acetylacetonate))などのイリジウム錯体、PtOEP(2,3,7,8,12,13,17,18−Octaethyl−21H,23H−porphine,platinum(II))などの白金錯体が挙げられ、前述したホスト材料に添加することで赤色の燐光を得ることができる。
また、Ir(ppy)3(Fac−tris(2−phenypyridine)Iridium)、Ppy2Ir(acac)(Bis(2−phenyl−pyridinato−N,C2)Iridium(acetylacetone))などのイリジウム錯体が挙げられ、前述したホスト材料に添加することで緑色の燐光を得ることができる。
青色の発光が得られる発光層132cBは、気相プロセスにより上述した電子輸送性を有する低分子のホスト材料にゲスト材料(発光材料)をドープして、有機EL素子130R,130G,130Bに共通して形成されている。
発光層132cBのホスト材料としては、アントラセン誘導体を用いることが好ましい。また、発光層132cBのゲスト材料(発光材料)は、蛍光材料、燐光材料のいずれも使用することができる。蛍光材料としては、アメリカンダイソース社製のADS136BE(青色)が挙げられる。
燐光材料としては、FIrpic(Iridium−bis(4,6−difluorophenyl−pyridinato−N,C2)−picolinate)、Ir(pmb)3(Iridium−tris(1−phenyl−3−methylbenzimidazolin−2−ylidene−C,C(2)’))、FIrN4(Iridium(III)bis(4,6−difluorophenylpyridinato)(5−(pyridin−2−yl)−tetrazolate))、FIrtaz(Iridium(III)bis(4,6−difluorophenylpyridinato)(5−(pyridine−2−yl)−1,2,4−triazolate))などのイリジウム錯体が挙げられ、前述したホスト材料に添加することで青色の燐光を得ることができる。
電子輸送層132dは、気相プロセスを用いて形成され、陰極としての対向電極134から電子輸送層132dに注入された電子を発光層132cBに輸送する機能を有するものである。また、電子輸送層132dは、発光層132cBから電子輸送層132dへ通過しようとする正孔をブロックする機能を有する場合もある。
電子注入層132eは、気相プロセスを用いて形成され、対向電極134から電子輸送層132dへの電子の注入効率を向上させる機能を有するものである。
この電子注入層132eの構成材料(電子注入材料)としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、あるいはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物を挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
陰極としての対向電極134は、電子注入層132eに電子を注入する電極である。
この対向電極134の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましい。また、蒸着法などの気相プロセスを用いて形成し得るように、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rb、Auまたはこれらを含む合金等が用いられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等)用いることができる。
ボトムエミッション構造における対向電極134の膜厚は、特に限定されないが、50nm〜1000nmの範囲にあることが好ましく、100nm〜500nmの範囲にあることがより好ましい。
トップエミッション構造における対向電極134の膜厚は、特に限定されないが、1nm〜50nmの範囲にあることが好ましく、5nm〜20nmの範囲にあることがより好ましい。
次に、本実施形態の有機EL素子の製造方法について、図5〜図6を参照して説明する。図5(a)〜(e)及び図6(f)〜(h)は有機EL素子の製造方法を示す概略断面図である。本実施形態の有機EL素子の製造方法は、本発明の機能層形成用インクが適用されたものである。したがって、機能層132のうち正孔注入層132a、正孔輸送層132b、発光層132cRが液相プロセスによって形成される有機EL素子130Rを例に挙げて説明する。すなわち、図5及び図6は有機EL素子130Rの製造方法を示すものである。以降、機能層形成用インクについて、説明の都合上、単に「インク」と呼ぶこととする。
表面処理の方法としては、まず酸素を処理ガスとしてプラズマ処理し、画素電極131Rの表面と隔壁133の表面(壁面を含む)を活性化させ親液化する。続いて、CF4などのフッ素系処理ガスを用いてプラズマ処理する。これにより、アクリル系樹脂からなる隔壁133の表面のみにフッ素系処理ガスが反応して、隔壁133の表面を選択的に撥液化する方法が挙げられる。
なお、表面が撥液性を有する隔壁133の形成方法は、これに限定されず、例えば、フッ素系の撥液性材料を含んだ多官能アクリル系樹脂を用いて隔壁133を形成する方法を採用してもよい。
インク60は、例えば溶媒としての3−フェノキシトルエンに正孔注入材料であるポリビニルカルバゾール(PVK)を2.0wt%程度の濃度で溶解させたものである。
上記した有機EL素子130R,130G,130Bの製造工程において、用いられるインク60,70,80R,80Gのそれぞれは、本発明の機能層形成用インクが適用されたものであって、機能層形成用インク中に含まれるパーティクルの大きさと数とが管理されている。以降、本発明の機能層形成用インクとその製造方法について、図7〜図11を参照して説明する。
例えば有機EL素子130Rは、画素電極131と対向電極134との間に機能層132Rを有している。機能層132Rは、正孔注入層132a、正孔輸送層132b、発光層132cR、発光層132cB、電子輸送層132d、電子注入層132eを含んでいる。前述したように、これらの各薄膜層の膜厚の範囲からすると、機能層132Rの膜厚の範囲は、46nm〜385nmとなる。機能層132Rが上記した薄膜層以外の薄膜層を含むとしても、その膜厚の最大値は、例えば駆動電圧や発光寿命などの発光特性を考慮しても、およそ500nm(0.5μm)以下であろう。例えば、機能層132Rの膜厚よりも大きな導電性のパーティクル(0.5μm以上の大きさの導電性のパーティクル)が、機能層132Rに混入すると、画素電極131と対向電極134とが電気的に短絡して、有機EL素子130Rは発光しなくなる。つまり、有機EL素子130Rを含む画素107Rは欠陥画素となる。そればかりか、有機EL素子130Rが電気的に短絡して過剰な電流が流れるようになると、短絡した有機EL素子130Rと同時に発光させたい他の有機EL素子130に十分な電流を流すことが困難となり、発光むらが発生するおそれがある。したがって、導電性のパーティクルが機能層形成用インクに混入することは最も避けたい。
したがって、画素面積が27197μm2の場合に許容できるダークスポット(DS)の大きさは、およそ18.6μmである。そうすると、当該ダークスポット(DS)の原因となる異物の許容できる大きさは、前述した1/8を当てはめると2.3μmとなる。同様にして、画素面積が11729μm2の場合に許容できるダークスポット(DS)の大きさは、およそ12.2μmφ、許容できる異物の大きさは1.5μmとなる。画素面積が6840μm2の場合に許容できるダークスポット(DS)の大きさは、およそ9.3μmφであり、許容できる異物の大きさは1.2μmとなる。画素面積が2932μm2の場合に許容できるダークスポット(DS)の大きさは、およそ6.1μmφであり、許容できる異物の大きさは0.8μmとなる(図8参照)。
図9(a)の測定結果(推測値)によれば、10mlの機能層形成用インク中には、粒径が0.2μm以上のパーティクルが48985417個、粒径が0.3μm以上のパーティクルが11175000個、粒径が0.4μm以上のパーティクルが804167個、粒径が0.5μm以上のパーティクルが204167個、粒径が1μm以上のパーティクルが29167個、粒径が1.5μm以上のパーティクルが6250個、粒径が2.0μm以上のパーティクルが4167個、含まれていた。
10ml中の機能層形成用インクに含まれる粒径が0.5μm以上のパーティクルの数を1個未満とすることがより好ましい。
また、第2工程では、濾過後の0.5μm以上のパーティクルの数が10ml中に7個以下となるように、フィルターの孔径と、濾過回数とを決定することが好ましい。さらには、濾過後の0.5μm以上のパーティクルの数が10ml中に1個未満となるように、フィルターの孔径と、濾過回数とを決定することがより好ましい。
これによりパーティクルの大きさと数とが管理された機能層形成用インクを製造することができる。
なお、機能層形成用インクを濾過する第3工程は、同じ孔径のフィルターを用いて繰り返し濾過を行ってもよいし、異なる孔径のフィルターを用いて孔径を段階的に小さくしながら繰り返して濾過を行ってもよい。濾過に掛かる時間を考慮するならば、先に大きな孔径のフィルターで濾過してから、小さな孔径のフィルターに切り替えて濾過することが好ましい。
また、前述した有機EL素子130の製造方法において、機能層形成用インクをインクジェットヘッド50から液滴として吐出させる吐出装置の構成としては、インクジェットヘッド50への機能層形成用インクの供給経路に孔径が異なるフィルターを直列に配置することが考えられる。
したがって、機能層形成用インクに含まれる機能層形成材料や機能層形成材料を溶解させる溶媒の構成は、前述した機能層形成用インクとしてのインク60,70,80G,80Rの構成に限定されない。また、インクジェットヘッド50を用いて機能層形成用インクを塗布する場合(液滴吐出法を用いる場合)、機能層形成用インクがインクジェットヘッド50のノズル内で乾燥して目詰まりが生ずることを防ぐために、機能層形成材料を溶解させる溶媒は、沸点が200℃以上であることが好ましい。さらには、インクジェットヘッド50を用いてノズルから機能層形成用インクの液滴を安定的に吐出するには、機能層形成用インクの粘度が30mPa・s(秒)以下であることが好ましい。
Claims (4)
- 機能層形成材料と、
前記機能層形成材料が溶解している溶媒と、
を含み、
前記溶媒に溶解していないパーティクルであって、大きさが0.5μm以上である前記パーティクルの数が、10mlの前記機能層形成用インクの中に7個以下である機能層形成用インクを用いて機能層を形成する工程を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。 - 大きさが0.5μm以上である前記パーティクルの数が、10mlの前記機能層形成用インクの中に1個未満であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 液滴を吐出することにより機能層を形成する際に用いることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 画素の面積が27197μm2以下であり、1つの前記画素に対する前記機能層形成用インクの供給量が5.88×102L/m2以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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