JP6815785B2 - 超音波変位計測装置及び超音波変位計測方法 - Google Patents

超音波変位計測装置及び超音波変位計測方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6815785B2
JP6815785B2 JP2016152556A JP2016152556A JP6815785B2 JP 6815785 B2 JP6815785 B2 JP 6815785B2 JP 2016152556 A JP2016152556 A JP 2016152556A JP 2016152556 A JP2016152556 A JP 2016152556A JP 6815785 B2 JP6815785 B2 JP 6815785B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ultrasonic
transmitter
receiver
displacement measuring
measuring device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016152556A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018021809A (ja
Inventor
祥希 大野
祥希 大野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Seimitsu Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Seimitsu Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Seimitsu Co Ltd filed Critical Tokyo Seimitsu Co Ltd
Priority to JP2016152556A priority Critical patent/JP6815785B2/ja
Publication of JP2018021809A publication Critical patent/JP2018021809A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6815785B2 publication Critical patent/JP6815785B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Measurement Of Velocity Or Position Using Acoustic Or Ultrasonic Waves (AREA)
  • Length Measuring Devices Characterised By Use Of Acoustic Means (AREA)

Description

本発明は、超音波を用いた高精度位置計測の装置及び方法であり、特に超音波の伝搬時間を利用してデバイス間の相対距離を計測する超音波変位計測装置及び超音波変位計測方法に関する。
従来、超音波を利用して、基準点からある距離だけ離れた位置にある空気中の測定対象物の変位を測定する技術が知られている。超音波による距離計測は、人が入るには危険な場所での計測や、距離計測を連続的に管理する場合などにも有用であり、空中でも液中でも金属の中でも、音が伝わる環境ならば、距離計測が可能となる。
超音波の送受信には超音波素子を使用し、超音波素子は超音波の送信機でもあり、受信機の役割も果す。距離計測用の超音波周波数の選定は、周波数が低い(波長が長い)ほど、減衰が小さく、遠くまで届くこと、周波数が高い(波長が短い)ほど、距離分解能が高いこと、より超音波の指向特性と到達距離により決定している。
また、波動による距離計測としては、超音波の他に、光波、電磁波等が利用されているが、超音波による距離計測は、電磁波、光波に比べて伝搬速度が遥かに遅いことから、計測に要する時間軸が長く、処理が容易で精度良く測定できること、波長が短いため分解能が高く、精度良く測定できること、人体への安全性が高く、環境にも優しいこと、比較的安価であること、などの利点がある。
超音波を利用して、基準点からある距離だけ離れた位置にある空気中の測定対象物の変位を測定する技術では、対象物に超音波を照射し、その送信時刻と対象物における受信時刻との差に基づいて対象物の変位を測定するものが知られている。このような変位測定装置では、超音波の受信を検出するための電圧閾値の決定方法が変位測定精度において重要となり、受信強度の低下に伴い到達時間の判定に誤差が増加する。さらに、超音波の空気中における減衰や分散の影響によって、対象物に到達するまでの経路においてその波形が変化し、その波形変化が受信時刻の決定において障害となる。
そのため、超音波の受信時刻を検出するために超音波の受信電圧閾値を利用せず、周波数掃引波の超音波を用い、送信信号と受信信号との位相差に基づく変位測定法が提案されている。しかし、測定可能な変位の範囲が超音波の一波長以内に限られる。
そこで、波長より広い範囲にわたって変化する変位を、波長より十分微小な分解能を持って高精度で計測するため、異なる2つの周波数f1及びf2による位相遅延計測を切り替えながら2度行うことで、実質的に「f1−f2」の周波数を使用して位相を計測することが知られ、特許文献1に記載されている。
また、波形発生器から波形受信機へタイミング情報を正確に伝達するため、超音波バーストを送信することが知られているが、超音波バーストは周波数スペクトラムにおいて無限の広がりを持っている。それに対し、実在の波形発生器、波動伝搬媒質及び波形受信機は、不均等な振幅周波数特性及び位相周波数特性を多少なり有している。そのため、矩形の電気信号パルスや矩形の超音波バーストは受信端において変形を受け、タイミング情報を厳密に伝達することが困難である。
特に、超音波変位計測装置で使用している圧電セラミック素子は狭帯域の周波数特性を有するため、受信波形は強い歪みを受ける。また、超音波バーストの前縁のような、信号的に過渡応答特性の強く影響する領域を使用すると、送受信素子の特性のばらつきが計測精度やタイミング情報の伝達精度に影響を与えやすくなる。さらに、波形の包絡線は伝送路の振幅周波数特性及び位相周波数特性の双方の影響を受けるため、これら特性を有する伝送路を利用する場合には、包絡線の形状が変化し易くなり、その結果、タイミング情報の伝達精度が低下する。
この欠点を補い精度を向上するため、位相の一致する点がただ一つ設けられた送信信号として、二つの周波数からなるうなり信号となった超音波バーストを送信し、この位相一致点を受信時刻基準点とする位相一致法と呼ばれる測定手段が知られ、例えば、特許文献2に記載されている。
特開2004−191145号公報 特許第4621924号公報
上記従来技術である位相一致法は、良質なうなりを発生して受信することが重要となる。そのため、特許文献2では、送信機で周波数信号を複数生成し、位相を調整した後、複数の周波数信号を合成している。そして、生成された合成波形を記憶し、D/A変換してアナログ信号に変換し、増幅部でアナログ信号を増幅して超音波素子である圧電型セラミック振動体を駆動し、合成された複数の周波数信号を超音波で受信機へ送信している。
したがって、合成波形の生成に複雑な処理が必要でコスト高となるばかりでなく、増幅部はアナログ信号を扱うため、無駄な消費電力を必要とし、歪みの少ない良質なうなりが必要となる。また、超音波素子を駆動するには大振幅、高出力が必要になり、高周波数で駆動するには超音波としては比較的に低周波数の40kHzで駆動せざるを得なかった。
また、低周波数の超音波素子は低エネルギで振動を発生できるが、遠方まで伝達すると、そのビーム径は大きくなり、特許文献2に記載のものでは小型のターゲットの位置測定には不向きであった。さらに、小ビーム径を持つ高周波数素子は、駆動させるためにより高いエネルギを必要としており、電気回路的に合成して良質な合成波形としてうなりを発生させることが極めて困難であった。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、受信機での合成波形の生成を簡単にし、コストを抑制すると共に、高周波数で小型のターゲットの距離測定を高精度で行う場合においても、省エネルギで歪みの低減化を図ることにある。
上記目的を達成するため、本発明は、送信機から受信機へ超音波ビームを送信して、送信から受信までの伝搬時間を求めることより前記送信機と前記受信機間における距離を測定する超音波変位計測装置において、互いに異なる周波数の超音波を発信する複数の前記送信機と、前記送信機から送信される前記超音波ビームが重なる空間位置に配置された前記受信機と、前記受信機で得られた信号の位相から受信時刻基準点を求め、前記送信機で送信を開始した時刻と前記受信時刻基準点とに基づいて前記送信機と前記受信機間における距離を求める解析装置と、を備えたものである。
これにより、送信機から送信される超音波ビームが重なる空間位置に受信機を配置し、受信機で得られた信号の位相から受信時刻基準点を求めるので、合成波形の生成処理がより容易で、高出力、高周波数の超音波を利用することが可能となり、小型のターゲットの距離測定を高精度で行うことができる。
また、上記のものにおいて、前記送信機は所定時間だけ連続する超音波パルスバースト波を送信することが望ましい。
これにより、駆動回路の消費電力を低減し、高周波数の超音波の送信が可能となる。
さらに、上記のものにおいて、前記受信機からそれぞれの前記送信機までの距離は略等しくなるように配置されたことが望ましい。
これにより、良質なうなり信号を空間合成できる。
さらに、上記のものにおいて、前記送信機は前記受信機から所定距離だけ隔てた垂直平面上に配置されたことが望ましい。
これにより、送信機の数を増やすことができ、信頼性を向上できる。
さらに、上記のものにおいて、前記送信機は超音波素子をオンオフ信号で駆動するスイッチ回路を備えたことが望ましい。
これにより、高出力、高周波数の超音波を送信可能となり、小さな測定ターゲットでも測定が可能となる。
前記解析装置は、前記スイッチ回路より前記送信機で送信を開始した時刻を決定するトリガ信号を得て前記受信機で得られた信号をサンプリングすることが望ましい。
これにより、送信開始時刻が正確になり、受信時刻基準点の抽出精度が向上する。
前記受信機で得られた信号をA/D変換してメモリに記録し、位相差が0となる点を検出することにより前記受信時刻基準点を求める前記解析装置を備えたことが望ましい。
これにより、受信時刻基準点の抽出が容易となる。
複数の前記送信機は、同じトリガ信号に同期して超音波を発信することが望ましい。
これにより、送信開始時刻が正確になり、歪みの少ない良質なうなり信号を合成することができる。
前記超音波の発信周波数を200〜400kHzとしたことが望ましい。
これにより、超音波ビームサイズを小さくして小さい測定ターゲットでも高精度に測定可能となる。
また、本発明は、送信機から受信機へ超音波ビームを送信して、送信から受信までの伝搬時間を求めることより前記送信機と前記受信機間における距離を測定する超音波変位計測方法であって、複数の前記送信機から互いに異なる周波数の超音波を発信し、前記送信機から送信される前記超音波ビームが重なる空間位置に配置された前記受信機で得られた信号の位相から受信時刻基準点を求めるものである。
本発明によれば、周波数が異なる複数の送信機から送信される超音波ビームが重なる空間位置に受信機を配置し、受信機で得られた信号の位相から受信時刻基準点を求めるので、受信機でのうなり信号の生成を容易にし、コストを抑制すると共に、高周波数で小型のターゲットの距離測定を行う場合においても、高精度で省エネルギなものとすることができる。
本発明の実施形態に係る超音波変位計測装置の基本構成図 図1の超音波変位計測装置における配置図 一実施形態における超音波素子の駆動回路を示すブロック図 一実施形態における信号処理を示すブロック図 一実施形態における送信機の信号処理の詳細を示すブロック図 一実施形態における受信機の信号処理の詳細を示すブロック図 従来技術によるうなり波形の合成を示す説明図 従来技術による超音波による測定原理を示す説明図 従来技術である位相一致法におけるうなり波の合成方法を示す説明図 超音波変位計測装置のビームサイズと発信周波数及び距離の関係を示すグラフ 超音波変位計測装置のエネルギ密度と発信周波数及び距離の関係を示すグラフ 発信周波数を40kHz、300kHzとした場合のビームサイズの実測値を示すグラフ 従来技術による超音波バーストを発信した場合の受信波形を記録したグラフ 一実施形態における受信波形を記録したグラフ 他の実施形態における送信機と受信機のレイアウトを示した図
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
超音波距離計測は、空中でも液中でも金属の中でも、音が伝わる環境ならば、距離計測が可能となり、測定距離が60mmから10mと長い。それにより、種々のポジショニングとして、ロボット吸着前の高さ制御、ロボットアームの位置決め、鋼板の位置ずれ検出、工作機械等の位置決め、溶接位置の倣い制御、液晶ガラスの位置決め、太陽電池基板の搬送停止位置測定など幅広く用いられている。
超音波変位計測装置は、送信機により超音波を発信し受信機で受信することにより、対象物の有無や対象物までの距離を検出する。超音波の発信・受信には超音波素子が用いられ、超音波素子は電気エネルギを印加して超音波を発生、又は超音波振動エネルギを電気信号に変換する素子で、通常超音波センサには圧電現象を利用したチタン酸バリウム振動子を用いる。
圧電素子は交流電圧を加えると素子が振動し、固有の振動数を持ち、その振動数と同じ周波数の交流電圧を加えることで効率良く振動する。一般的に40kHzのものが多く使用され、長い距離を測定するには低い周波数、短い距離を正確に測るには高い周波数のものが使われている。
図1は、本発明の一実施形態に係る超音波変位計測装置の基本構成図、図2は配置図を示す。
図1、図2に示すように、高周波数(300kHz前後)の超音波素子を3ケ使用し、そのうち1ヶは受信機1、2ヶは送信機2及び送信機3として使用することができる。送信機2及び送信機3は、互いに異なる周波数の超音波を同期して発信する(例えば送信機2は296kHz、送信機3は、304kHz)。送信機2から受信機1までの距離及び送信機3から受信機1までの距離Xは良質なうなり信号を合成するため、略等しくなるように、つまり、受信機1を頂点として送信機2及び送信機3は二等辺三角形をなすように配置される。
送信機2と送信機3との距離dは設定時点で既知であり、距離Xを正確に求めることで、三平方の定理により三角形の底辺、すなわち図中の距離Lを正確に求めることが可能となる。また、受信機1で超音波ビームが重なり、空間合成されれば良いので、受信機1から動作距離だけ隔てた垂直平面上に複数、3ケ以上の送信機を立体的に配置しても良い。即ち、複数の送信機は、同一平面上に配置され、複数の送信機のそれぞれから受信機1までの距離は、すべて等しいことが好ましい。
受信機1の位置は、送信機2及び送信機3からの超音波ビームが重なる位置に設置し、送信機2及び送信機3は、互いに異なる周波数の超音波を同期して発信するので、受信機1の位置でうなり信号として合成される。送信機2及び送信機3は、空中へ高周波数の超音波を発信するため、超音波素子を高電圧のオンオフ信号、つまり矩形波でパルス的に駆動するスイッチ回路で所定時間だけ連続する超音波パルスバースト波として送信する。受信機1で得られた信号は解析装置でサンプリングしてA/D変換され、メモリに記録され、受信波形から位相差が0となる点を検出する位相一致法により受信時刻基準点が求められる。送信機2及び送信機3へ送信を開始するため送信トリガを掛けた時刻と、求められた受信時刻基準点とに基づいて伝搬遅延時間を求め、送信機2及び送信機3から受信機1までの距離を決定する。
図3は、送信機2及び送信機3における超音波素子の駆動回路を示すブロック図であり、CPU4は矩形波であるパルス信号を生成する。送信機2は296kHz、送信機3は、304kHzのパルス信号を生成する。超音波素子6を駆動する回路は、電気的に合成されたうなり信号のようなアナログ信号を扱う訳でないので、駆動回路自体で無駄な消費電力を必要としないオンオフするだけのスイッチ回路5で良い。したがって、超音波素子6を高周波数の300kHz前後まで大振幅、高出力で駆動することが可能となり、歪みも無く、測定精度も距離的にも一桁上げることができる。実際には送信機2及び送信機3は超音波パルスバースト波を同期して送出するので、CPU4は送信機2及び送信機3へのそれぞれのパルス信号を同じトリガ信号に同期して発生し、包絡線が矩形で開始位置が正確なバースト波を超音波素子6に与える。
図4は全体の信号処理、図5は、送信機の信号処理の詳細、図6は受信機の信号処理の詳細を示すブロック図であり、図7は、うなり信号と位相一致点の関係を示したものである。図4において、送信機2及び送信機3は、図3で示したものと同様であるが、スイッチ回路5で出力したパルス信号をトリガ信号として解析装置9へ伝達している。スイッチ回路5の入力側のCPU4からスイッチ回路5に至る遅延時間の影響を避けることができる。
図4において、受信機1は、超音波素子7により、送信機2及び送信機3より送出された互いに異なる周波数による超音波パルスバースト波が合成されたうなり信号を受信する。超音波素子7は、帯域外のノイズを除去してシステムの信号対雑音比を向上させるフィルタ8を介して解析装置9へ接続される。
図5において、外部スイッチ10をオンすることで測定を開始し、その信号は、送信機2を制御するCPU4−1に入力され、同時に送信機3を制御するCPU4−2に伝達される。CPU4−1とCPU4−2の処理は同一のクロック11で行われる。CPU4−1とCPU4−2は矩形波であるパルス信号を生成する。送信機2ではCPU4−1により296kHz、送信機3ではCPU4−2により、304kHzのパルス信号を生成する。なお、CPU4−1とCPU4−2の処理は、図4に示すように一つのCPU4で処理しても良い。
それぞれの周波数によるパルス信号がスイッチ回路5−1、5−2に入力され、超音波素子6−1、6−2が駆動される。スイッチ回路5−1、5−2では振幅歪みが問題になるようなアナログ信号を増幅する訳でないので、駆動回路自体で無駄な消費電力を必要としないオンオフするだけとなる。
図6において、送信機2及び送信機3により送信された超音波パルスバースト波は、受信機1の位置で合成されてうなり信号となり、そのうなり信号が超音波素子7で受信される。超音波素子7で受信された信号は、フィルタ8を介して解析装置9へ送られ、帯域外のノイズの除去、増幅等を経て分析される。解析装置9は、位相一致法により受信時刻基準点を求める。そして、送信機2及び送信機3に送信を開始させるために外部スイッチ10により送信トリガを掛けた時刻と、求められた受信時刻基準点とに基づいて伝搬遅延時間を求め、送信機2及び送信機3から受信機1までの距離、図2における距離X、距離Lを決定する。
図7に示すように、うなり信号は、周波数f1、位相φ1の信号と、周波数f2、位相φ2の信号との合成である。二つの位相は各々の周波数で高速に変化するが、その差では−πからπの間を変化するだけとなる。したがって、うなり信号の1パケット中には位相差が0になる点が必ず一つだけ存在する。
受信機1では、送信機2の296kHzの超音波と、送信機3の304kHzの超音波とが合成されるので、合成された信号の位相は−πからπの間を変化するだけとなる。この中に位相一致点は一点存在するので、合成波形から受信時刻基準点として解析装置9で抽出する。これにより、受信時刻基準点の検出を数μsの精度で検出できる。
図4、図6において、解析装置9では、受信機1での受信信号を送信機2及び送信機3より入力されたトリガ信号を基準にサンプリングしてA/D変換し、FFT処理を行い、送信機2及び送信機3のそれぞれの時刻原点におけるキャリヤの位相を求め、その差より位相一致点を求め、受信時刻基準点とする。受信時刻基準点が検出できれば、トリガを掛けた時刻と受信時刻基準点との差として伝搬遅延時間が分かり、送信機2及び送信機3から受信機1までの距離を決定することができる。
A/D変換する際のメモリのアドレスは受信時刻に対応するので、伝搬遅延時間は、送信機2及び送信機3にトリガを掛けた時刻のメモリ書き込み番地を解析装置9で記録し、受信信号がサンプリングされた際の記録アドレスにより求めることができる。
伝搬遅延時間には超音波素子の応答時間も含まれるため、実際の距離の測定においては、伝搬遅延時間を距離に換算する必要があり、応答時間等をキャンセルするため、送信機2、送信機3及び受信機1を所定の距離だけ離して設置し、その距離を基準として相対変位を計測する。通常、送信機と受信機間の距離では無く、受信機又は送信機が移動した変位を測定することが多い。このとき、例えば受信機の位置を基準ゲージに合わせて移動し、送信機と受信機間の距離の変化を校正値とする。また、この校正は基準ゲージに相当するものを変えて数点で測定し、校正値を求めることが良い。また、超音波変位計測装置の測定結果は大気変化の影響を受けるので、解析装置9で気温も記録しておき、距離測定の校正を行うことが望ましい。
送信機2及び送信機3は、同様の構成であり、CPU4で生成するクロック信号に同期して超音波素子発信が行われ、超音波パルスバースト波が送信される。これにより、測定を多数回繰り返しても、超音波の送信タイミングがずれることが無い。
また、測定に信号の位相を使うため、周囲の反射波によるマルチパスによる測定誤差を受けるが、短時間のバーストを使っているので解析装置9での信号処理をバーストの継続時間に比べて十分高速に行えば、計測時間をバーストの継続時間に近づけることができる。したがって、マルチパス波と直接波の行路差が測定距離以上あればマルチパスによる影響を避けることができる。
図8は、従来の超音波による位置測定の説明図、図9は、従来技術である位相一致法におけるうなり波の合成方法を示す説明図であり、図8、9を参照して本願の特徴を詳細に説明する。
図8において、送信機20は40kHz程度で超音波バーストを発信する。距離L離れた位置に設置された受信機21で受信する。送信波形22は、包絡線が矩形となっているので開始位置は一意的に決まるはずであるが、受信波形23は受信側素子による減衰、応答特性により変形する。また、フィルタにより周波数選択性を持たせることは、帯域外のノイズを除去し、システムの信号対雑音比を向上させ、測定距離を延長するためには不可欠となる。したがって、図8に示したように、受信波形23から受信信号の包絡線24から単純に閾値を設定して受信時刻を得るものでは正確に伝搬時間を決定することが困難となる。
図9の従来技術は、図8の欠点を解消するもので、30の周波数f1、31の周波数f2の波形を合成してf1+f2のうなり信号32を計算し、メモリ34に格納する。送信機となる超音波発信機33ではメモリ34に格納されたデータをD/A変換して振幅と位相が変化するアナログ信号に変換して駆動回路35(アナログ増幅回路)へ伝達する。駆動回路35では、超音波素子である圧電型セラミックを駆動するのに必要な電力に変換する。超音波素子36は、超音波バースト37を送信する。
合成波形の生成は、測定距離、超音波素子の特性、ターゲットの大きさ等に応じてそれぞれ定めることとなり、その都度、メモリ34に格納されるデータが必要となる。駆動回路35は、増幅部はアナログ信号を扱うため、無駄な消費電力を必要とし、超音波素子を駆動するには大振幅、高出力が必要になり、高周波数で駆動するには超音波としては比較的に低周波数の40kHzで駆動せざるを得なかった。
また、低周波数の超音波素子は低エネルギで振動を発生できるが、遠方まで伝達すると、そのビーム径は大きくなり、40kHz程度の駆動では小型のターゲットの位置測定には不向きであった。さらに、小ビーム径を持つ高周波数素子は、駆動させるためにより高いエネルギを必要としており、300kHz程度の高周波数の信号を電気回路的に合成すること、高出力で歪み無く駆動することは困難であった。
通常、超音波は、測定値が気温により影響を受けるだけでなく、ビームサイズが広がりを持つ傾向がある。これにより、測定ターゲットの面積を大きくせざるを得なく、表面形状、アラサ等により影響される。そこで、超音波は周波数の高さに比例して直進性が増し、ビームサイズを小さくできることを利用することが望ましい。
また、周波数が同じで振動子の寸法が異なった場合、振動子寸法が大きい場合は指向性が鋭くなり、近距離ではビーム幅が大きいが、遠距離で超音波ビームはあまり広がらない。一方、振動子寸法が小さいと指向性が鈍くなり、近距離でビーム幅が小さくなる。
図10は、超音波変位計測装置のビームサイズと発信周波数及び距離の関係を示し、一点鎖線が40kHz、破線が100kHz、実線が300kHzである。一方、図11は、超音波変位計測装置のエネルギ密度と発信周波数及び距離の関係を示し、出力強度に関連するエネルギ密度は、図に示されるように発信周波数が高いほど減衰する。図10と同様に一点鎖線が40kHz、破線が100kHz、実線が300kHzである。
図12は、発信周波数を40kHz、300kHzとした場合のビームサイズの実測値を示し、図においては、300kHzにすれば測定面積に対応した20mmとすることができる。なお、発信周波数を200〜400kHzとすれば、ビームサイズを15〜25mmとすることができる。従来の超音波変位センサのように発信周波数を40kHz、ビームサイズ60〜80mm程度では分解能として1mm程度であり、発信周波数を200〜400kHzとすれば動作距離500mmで分解能を0.1mm程度まで向上させることができる。
図13は、図8に示した従来の超音波による位置測定における送信機20から40kHz程度で超音波バーストを発信した場合の実際の受信波形を記録したものを示し、横軸が時間、縦軸が強度である。図8で図示したように受信波形の包絡線は送信波形に対して強度が低下したり、減衰したりして変形している。この波形から単純に閾値を超える時刻から受信時刻を得る方法では正確に伝搬時間を決定することが困難である。
図14はそれぞれ単独に送信された超音波パルスバースト波を動作距離だけ離れた一点で空間合成した結果であり、包絡線の形状は同様であるが、300kHz程度と高周波数で超音波素子を駆動しているにも関わらず、低周波数の40kHzで合成波形を予め電気的に合成し、超音波素子を駆動したものと遜色の無いうなり信号が得られている。このうなり信号の位相を検出すれば受信時刻をより正確に決定できる。また、受信機での合成波形の生成が容易となり、コストを抑制すると共に、高周波数で小型のターゲットの位置測定を高精度で行う場合においても、歪みが低減され、より高精度化を省エネルギで達成することができる。
測定値のばらつきを小さくするためには、図1のような場合でも測定回数を繰り返し、測定のエラー、平均値の算出、あるいは測定値の中央値を算出して突出した値を除外することで信頼度を向上できる。また、3ケ以上の送信機を用いればより信頼度を向上できる。
図15は、3ケ以上の送信機を用いた場合の送信機と受信機のレイアウトを示した図である。受信機1で超音波ビームが重なり、空間合成されれば良いので、受信機1から動作距離だけ離れた垂直平面上に複数、図では3ケの送信機2、3、41を受信機1に対して立体的に配置している。つまり、受信機1を頂点として送信機2、3、41は円錐をなすように配置される。送信機2、3、41による超音波素子の周波数はf1、f2、f3として、互いに異なる周波数の超音波を発信する(例えば送信機2は296kHz、送信機3は304kHz、送信機41は300kHz)。
各送信機2、3、41からの超音波ビームは円錐の母線に沿って送信され、超音波ビームは幅を持っているので、重なる範囲がうなり信号を合成できる範囲で測定可能な範囲となる。この円錐の頂角を小さくするように送信機2、3、41を配置すれば重なる範囲が円錐の高さ方向、つまり動作距離方向に広がり、測定範囲が大きくなる。
実際の測定では、送信機2、3、41で同時に超音波ビームを送信する必要は無く、始めに送信機2、3を用いて、つまり同期して超音波ビームを送信し、受信機1と垂直平面までの距離Lを測定する。次に、送信機3、41により2回目の測定、送信機41、2により3回目と順次繰り返す。測定回数を繰り返すことで、平均値の算出、あるいは測定値の中央値を算出して突出した値を除外することなどで信頼度を向上できる。また、測定範囲内に基準ゲージを置いて測定し、校正値とする。3ケ以上の送信機を用いた場合も同様であり、順次、あるいは3ケ以上の中から適宜2ケの送信機を組み合わせて測定すれば良い。
1、21 受信機
2、3、20、41 送信機
4、4−1、4−2 CPU
5、5−1、5−2 スイッチ回路
6、6−1、6−2 超音波素子(送信側)
7 超音波素子(受信側)
8 フィルタ
9 解析装置
10 外部スイッチ
11 クロック
22 送信波形
23 受信波形
24 包絡線
30 周波数f1
31 周波数f2
32 うなり信号
33 超音波発信機
34 メモリ
35 駆動回路
36 超音波素子
37 超音波バースト

Claims (10)

  1. 送信機から受信機へ超音波ビームを送信して、送信から受信までの伝搬時間を求めることより前記送信機と前記受信機間における距離を測定する超音波変位計測装置において、
    互いに異なる周波数の超音波を発信する複数の前記送信機と、
    複数の前記送信機から送信される前記超音波ビームが重なる空間位置に配置され、複数の前記送信機より送信されて合成されたうなり信号を受信する前記受信機と、
    前記受信機で得られた前記うなり信号の位相から受信時刻基準点を求め、前記送信機で送信を開始した時刻と前記受信時刻基準点とに基づいて前記送信機と前記受信機間における距離を求める解析装置と、
    を備えたことを特徴とする超音波変位計測装置。
  2. 前記送信機は所定時間だけ連続する超音波パルスバースト波を送信することを特徴とする請求項1に記載の超音波変位計測装置。
  3. 前記受信機からそれぞれの前記送信機までの距離は略等しくなるように配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波変位計測装置。
  4. 前記送信機は前記受信機から所定距離だけ隔てた垂直平面上に配置されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波変位計測装置。
  5. 前記送信機は超音波素子をオンオフ信号で駆動するスイッチ回路を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波変位計測装置。
  6. 前記解析装置は、前記スイッチ回路より前記送信機で送信を開始した時刻を決定するトリガ信号を得て前記受信機で得られた信号をサンプリングすることを特徴とする請求項5に記載の超音波変位計測装置。
  7. 前記受信機で得られた信号をA/D変換してメモリに記録し、複数の前記送信機より送信され、合成された信号の位相一致点を検出することにより前記受信時刻基準点を求める前記解析装置を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の超音波変位計測装置。
  8. 複数の前記送信機は、同じトリガ信号に同期して超音波を発信することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の超音波変位計測装置。
  9. 前記超音波ビームの発信周波数を200〜400kHzとしたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の超音波変位計測装置。
  10. 送信機から受信機へ超音波ビームを送信して、送信から受信までの伝搬時間を求めることより前記送信機と前記受信機間における距離を測定する超音波変位計測方法であって、
    複数の前記送信機から互いに異なる周波数の超音波を発信し、前記送信機から送信される前記超音波ビームが重なる空間位置に配置された前記受信機で得られたうなり信号の位相から受信時刻基準点を求め、前記送信機で送信を開始した時刻と前記受信時刻基準点とに基づいて前記送信機と前記受信機間における距離を求めることを特徴とする超音波変位計測方法。
JP2016152556A 2016-08-03 2016-08-03 超音波変位計測装置及び超音波変位計測方法 Active JP6815785B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016152556A JP6815785B2 (ja) 2016-08-03 2016-08-03 超音波変位計測装置及び超音波変位計測方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016152556A JP6815785B2 (ja) 2016-08-03 2016-08-03 超音波変位計測装置及び超音波変位計測方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018021809A JP2018021809A (ja) 2018-02-08
JP6815785B2 true JP6815785B2 (ja) 2021-01-20

Family

ID=61165394

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016152556A Active JP6815785B2 (ja) 2016-08-03 2016-08-03 超音波変位計測装置及び超音波変位計測方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6815785B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60213877A (ja) * 1984-04-09 1985-10-26 Kubota Ltd 超音波測距装置
JPS61209382A (ja) * 1985-03-14 1986-09-17 Nec Corp 距離測定装置
JP2007132671A (ja) * 2005-11-08 2007-05-31 Chino Corp 記録計
JP4722732B2 (ja) * 2006-03-10 2011-07-13 株式会社Nttファシリティーズ 撮影位置特定システム、撮影位置特定装置及び撮影位置特定方法
KR100773073B1 (ko) * 2006-08-02 2007-11-02 삼성전자주식회사 위치 추정 시스템 및 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018021809A (ja) 2018-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108802735B (zh) 一种用于未知声速环境的水下目标定位及测速方法和装置
US20150323667A1 (en) Time of flight range finding with an adaptive transmit pulse and adaptive receiver processing
US20080202243A1 (en) Methods and Device for Ultrasonic Range Sensing
JP2007500348A (ja) 超音波を用いる距離の測定方法と装置
US11408861B2 (en) Transducer and transducer arrangement for ultrasonic probe systems, ultrasonic probe system and inspection method
JP2008145236A (ja) 等価時間サンプリング方式レーダ
CN112835050A (zh) 在编码超声测距中改善了短距离性能的时变模板
JP6815786B2 (ja) 超音波変位計測装置及び超音波変位計測方法
US11698701B1 (en) Force sensing in touch sensor by directivity control of transmit transducers
WO2008023714A1 (fr) Procédé et programme de mesure
JP7055922B2 (ja) 超音波計測装置及び超音波計測方法
JP6815785B2 (ja) 超音波変位計測装置及び超音波変位計測方法
JP2011232053A (ja) 距離測定装置
JP5129435B2 (ja) 超音波センサを用いた物体検知方法
JP2005337848A (ja) 超音波測距装置
KR100979286B1 (ko) 수중 거리 및 방위를 측정하는 장치 및 방법
KR20180039868A (ko) 초음파 센싱 장치 및 제어 방법
WO2006089369A1 (en) Characterization of aircraft wake vortices
JPH06186328A (ja) 超音波距離測定装置
JP5593062B2 (ja) 計測装置、計測システム、および計測方法
JP4609742B2 (ja) 地中レーダ探査装置および探査データ収集方法
JPH0471190B2 (ja)
JPH11264873A (ja) 物体計測装置
WO2024024153A1 (ja) 物体検知装置
JP2000171232A (ja) 超音波計測装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190522

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200626

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200708

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201209

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201223

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6815785

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250