JP6813758B2 - 強誘電体セラミックス及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、強誘電体セラミックス及びその製造方法に関する。
従来のPb(Zr,Ti)O(以下、「PZT」という。)膜の製造方法について説明する。このPZT膜はペロブスカイト型強誘電体セラミックスの一例である。
4インチSiウエハ上に膜厚300nmのSiO膜を形成し、このSiO膜上に膜厚5nmのTiO膜を形成する。次に、このTiO膜上に例えば(111)に配向した膜厚150nmのPt膜を形成し、このPt膜上にスピンコーターによってPZTゾルゲル溶液を回転塗布する。この際のスピン条件は、1500rpmの回転速度で30秒間回転させ、4000rpmの回転速度で10秒間回転させる条件である。
次に、この塗布されたPZTゾルゲル溶液を250℃のホットプレート上で30秒間加熱保持して乾燥させ、水分を除去した後、さらに500℃の高温に保持したホットプレート上で60秒間加熱保持して仮焼成を行う。これを複数回繰り返すことで膜厚150nmのPZTアモルファス膜を生成する。
次いで、このPZTアモルファス膜に加圧式ランプアニール装置(RTA:rapidly thermal anneal)を用いて700℃のアニール処理を行ってPZT結晶化を行う。このようにして結晶化されたPZT膜はペロブスカイト構造からなる(例えば特許文献1参照)。
WO2006/087777
本発明の一態様は、圧電特性を向上させることを課題とする。
以下に、本発明の種々の態様について説明する。
[1]基板上に、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液を塗布し、仮焼成することで、前記基板上に第1のアモルファス膜を形成する工程(a)と、
前記第1のアモルファス膜を酸素雰囲気で第1の温度で熱処理して結晶化することで、前記基板上にPb(Zr1−x−zTiNb)O膜を形成する工程(b)と、
前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜上にPb(Zr1−y−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液を塗布し、仮焼成することで、前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜上に第2のアモルファス膜を形成する工程(c)と、
前記第2のアモルファス膜を酸素雰囲気で前記第1の温度より高い第2の温度で熱処理して結晶化することで、前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜上にPb(Zr1−yzTiNb)O膜を形成する工程(d)と、
を具備し、
前記x、前記y及び前記zは下記の式1、式2、式3及び式11を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
0.24<x≦0.45 ・・・式1
0.45≦y<0.76 ・・・式2
x+0.05<y ・・・式3
0≦z≦0.03 ・・・式11
なお、基板は、例えばSi基板上に膜が形成されているものも含む。
[2]上記[1]において、
前記第2の温度は、前記第1の温度より5℃以上150℃以下高い温度であることを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
[3]上記[1]または[2]において、
前記工程(d)の熱処理の際の前記第2のアモルファス膜の昇温速度は、前記工程(b)の熱処理の際の前記第1のアモルファス膜の昇温速度より速いことを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
[4]上記[3]において、
前記第2のアモルファス膜の昇温速度は、前記第1のアモルファス膜の昇温速度より5℃/秒以上速いことを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
[5]上記[1]乃至[4]のいずれか一項において、
前記工程(a)の前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液は、Pbが10原子%以上40原子%以下過剰に添加されたものであり、
前記工程(c)の前記Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液は、Pbが0原子%以上5原子%以下過剰に添加されたものであることを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
[6]基板上に、Pbが10原子%以上40原子%以下過剰に添加されたPb(Zr1−x−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液を塗布し、仮焼成することで、前記基板上に第1のアモルファス膜を形成する工程(a)と、
前記第1のアモルファス膜を加圧酸素雰囲気で結晶化することで、前記基板上にPb(Zr1−x−zTiNb)O膜を形成する工程(b)と、
前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜上にPbが0原子%以上5原子%以下過剰に添加されたPb(Zr1−y−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液を塗布し、仮焼成することで、前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜上に第2のアモルファス膜を形成する工程(c)と、
前記第2のアモルファス膜を加圧酸素雰囲気で結晶化することで、前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜上にPb(Zr1−y−zTiNb)O膜を形成する工程(d)と、
を具備し、
前記x、前記y及び前記zは下記の式4、式5及び式12を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
0<x<1(好ましくは0.1<x<1、より好ましくは0.24<x<0.76) ・・・式4
0<y<1(好ましくは0.1<y<1、より好ましくは0.24<y<0.76) ・・・式5
0≦z≦0.03 ・・・式12
なお、基板は、例えばSi基板上に膜が形成されているものも含む。
[7]上記[5]または[6]において、
前記工程(d)で前記第2のアモルファス膜を結晶化した後の前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜のPb/(Zr+Ti+Nb)は、前記第2のアモルファス膜を結晶化する前の前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜のPb/(Zr+Ti+Nb)より小さく、
前記Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜のPb/(Zr+Ti+Nb)は、前記第2のアモルファス膜のPb/(Zr+Ti+Nb)より大きいことを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
[8]基板上に、Pbが10原子%以上40原子%以下過剰に添加されたPb(Zr1−x−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液を塗布し、仮焼成することで、前記基板上に第1のアモルファス膜を形成する工程(a)と、
前記第1のアモルファス膜上にPbが0原子%以上5原子%以下過剰に添加されたPb(Zr1−y−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液を塗布し、仮焼成することで、前記第1のアモルファス膜上に第2のアモルファス膜を形成する工程(b)と、
前記第1及び第2のアモルファス膜を加圧酸素雰囲気で結晶化することで、前記第1のアモルファス膜が結晶化されたPb(Zr1−x−zTiNb)O膜上に前記第2のアモルファス膜が結晶化されたPb(Zr1−y−zTiNb)O膜を形成する工程(c)と、
を具備し、
前記x、前記y及び前記zは下記の式4、式5及び式12を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
0<x<1(好ましくは0.1<x<1、より好ましくは0.24<x<0.76) ・・・式4
0<y<1(好ましくは0.1<y<1、より好ましくは0.24<y<0.76) ・・・式5
0≦z≦0.03 ・・・式12
なお、基板は、例えばSi基板上に膜が形成されているものも含む。
[9]上記[8]において、
前記工程(c)で結晶化された前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜のPb/(Zr+Ti+Nb)は、前記工程(a)の前記第1のアモルファス膜のPb/(Zr+Ti+Nb)より小さく、
前記工程(c)で結晶化された前記Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜のPb/(Zr+Ti+Nb)は、前記工程(b)の前記第2のアモルファス膜のPb/(Zr+Ti+Nb)より大きいことを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
[10]Pb:(Zr1−x+Ti+Nb)の元素比率が(1.4〜1.1):1であるPb(Zr1−xTi)Oのスパッタリングターゲットをスパッタリングすることで、基板上にPb(Zr1−x−zTiNb)O膜を形成する工程(a)と、
前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜上にPbが0原子%以上5原子%以下過剰に添加されたPb(Zr1−y−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液を塗布し、仮焼成することで、前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜上にアモルファス膜を形成する工程(b)と、
前記アモルファス膜を加圧酸素雰囲気で結晶化することで、前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜上にPb(Zr1−y−zTiNb)O膜を形成する工程(c)と、
を具備し、
前記x、前記y及び前記zは下記の式4、式5及び式12を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
0<x<1(好ましくは0.1<x<1、より好ましくは0.24<x<0.76) ・・・式4
0<y<1(好ましくは0.1<y<1、より好ましくは0.24<y<0.76) ・・・式5
0≦z≦0.03 ・・・式12
なお、基板は、例えばSi基板上に膜が形成されているものも含む。
[11]上記[10]において、
前記工程(c)の前記Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜のPb/(Zr+Ti+Nb)は、前記工程(b)の前記アモルファス膜のPb/(Zr+Ti+Nb)より大きいことを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
[12]上記[5]乃至[11]のいずれか一項において、
前記工程(a)の前に、前記基板上にPb(Zr1−ATi)O膜を形成する工程(e)を有し、
前記A及び前記xは下記の式6及び式7を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
0≦A≦0.1 ・・・式6
A<x ・・・式7
[13]上記[12]において、
前記工程(e)は、前記基板上にPb(Zr1−ATi)Oの前駆体溶液を塗布し、5atm以上の酸素雰囲気で結晶化を行うことで前記Pb(Zr1−ATi)O膜を形成する工程であることを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
[14]上記[1]乃至[13]のいずれか一項において、
前記工程(a)と前記工程(b)との間に、前記工程(a)を繰り返す工程を有することを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
なお、工程(a)を繰り返す工程は、工程(a)を1回以上行う工程を意味する。
[15]Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜と、
前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜上に形成されたPb(Zr1−y−zTiNb)O膜と、
を具備し、
前記x、前記y及び前記zは下記の式1、式2、式3及び式11を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックス。
0.24<x≦0.45 ・・・式1
0.45≦y<0.76 ・・・式2
x+0.05<y ・・・式3
0≦z≦0.03 ・・・式11
[16]上記[15]において、
前記Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜の膜厚は、前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜の膜厚の50%以下であることを特徴とする強誘電体セラミックス。
[17]上記[15]または[16]において、
前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜のPb:(Zr1−x+Ti+Nb)の元素比率が(1.4〜1.1):1であり、
前記Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜のPb:(Zr1−y+Ti+Nb)の元素比率が(1.05〜1):1であることを特徴とする強誘電体セラミックス。
[18]Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜と、
前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜上に形成されたPb(Zr1−y−zTiNb)O膜と、
を具備し、
前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜のPb:(Zr1−x+Ti+Nb)の元素比率が(1.4〜1.1):1であり、
前記Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜のPb:(Zr1−y+Ti+Nb)の元素比率が(1.05〜1):1であり、
前記x、前記y及び前記zは下記の式4、式5及び式12を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックス。
0<x<1(好ましくは0.1<x<1、より好ましくは0.24<x<0.76) ・・・式4
0<y<1(好ましくは0.1<y<1、より好ましくは0.24<y<0.76) ・・・式5
0≦z≦0.03 ・・・式12
[19]上記[15]乃至[18]のいずれか一項において、
前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜は、複数の膜が積層された積層膜であることを特徴とする強誘電体セラミックス。
なお、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜の組成は、積層膜の平均組成を意味する。
また、Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜は、単層膜と積層膜の両者を含む意味であり、積層膜の場合は、積層膜の平均組成がPb(Zr1−y−zTiNb)Oである。
[20]上記[15]乃至[19]のいずれか一項において、
前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜は、Pb(Zr1−ATi)O膜上に形成されており、前記A及び前記xは下記式6及び式7を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックス。
0≦A≦0.1 ・・・式6
A<x ・・・式7
[20−1]上記[20]において、
前記Aが0であり、
前記Pb(Zr1−ATi)OがPbZrO膜であることを特徴とする強誘電体セラミックス。
[21]上記[20]または[20−1]において、
前記Pb(Zr1−ATi)O膜は酸化膜上に形成されていることを特徴とする強誘電体セラミックス。
なお、前記酸化膜は、ペロブスカイト構造の酸化物であることが好ましい。
[22]上記[21]において、
前記酸化膜はSr(Ti1−xRu)O膜であり、
前記xは下記式1を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックス。
0.01≦x≦0.4 ・・・式8
[23]上記[20]、[20−1]、[21]及び[22]のいずれか一項において、
前記Pb(Zr1−ATi)O膜は電極膜上に形成されていることを特徴とする強誘電体セラミックス。
[23−1]上記[23]において、
前記電極膜は酸化物または金属からなることを特徴とする強誘電体セラミックス。
[23−2]上記[23]または[23−1]において、
前記電極膜はPt膜またはIr膜であることを特徴とする強誘電体セラミックス。
[24]上記[23]、[23−1]及び[23−2]のいずれか一項において、
前記電極膜はZrO膜上に形成されていることを特徴とする強誘電体セラミックス。
[25]上記[23]、[23−1]、[23−2]及び[24]のいずれか一項において、
前記電極膜はSi基板上に形成されていることを特徴とする強誘電体セラミックス。
なお、上記の本発明の種々の態様において、特定のB(以下「B」という)の上(または下)に特定のC(以下「C」という)を形成する(Cが形成される)というとき、Bの上(または下)に直接Cを形成する(Cが形成される)場合に限定されず、Bの上(または下)に本発明の一態様の作用効果を阻害しない範囲で、他のものを介してCを形成する(Cが形成される)場合も含むものとする。
本発明の一態様を適用することで、圧電特性を向上させることができる。
図1は、本発明の一態様に係る強誘電体セラミックスの製造方法を説明する模式的な断面図である。
図2は、本発明の一態様に係る強誘電体セラミックスの製造方法を説明する模式的な断面図である。
図3(A),(B)は本発明の一態様に係る強誘電体セラミックスの製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図4は、本発明の一態様に係る強誘電体セラミックスの製造方法を説明する模式的な断面図である。
図5は、本発明の一態様に係る強誘電体セラミックスの製造方法を説明する模式的な断面図である。
図6は、PZOの結晶構造が斜方晶であることを示す図である。
図7(A)は膜厚4μmのPZT膜を成膜した後の当該PZT膜を太陽光の下で撮影した写真、図7(B)は当該PZT膜をクリーンルーム内の蛍光灯下で撮影した写真である。
図8は、PZT膜上に膜厚100nmのPZTCap膜を形成した時の膜断面像を示すSEM写真である。
図9(A)は比較例1のサンプルのXRDチャート、図9(B)は実施例1のサンプルのXRDチャートである。
図10は、実施例2のサンプル及び比較例2のサンプルのXRDチャートである。
図11(A)は比較例2のサンプルの圧電ヒステリシス特性を示す図、図11(B)は実施例2のサンプルの圧電ヒステリシス特性を示す図である。
図12(A)は比較例2のサンプルの加熱後の圧電ヒステリシス特性を示す図、図12(B)は実施例2のサンプルの加熱後の圧電ヒステリシス特性を示す図である。
図13(A)は比較例2のサンプルの強誘電性ヒステリシス曲線及び圧電バタフライ曲線を示す図、図13(B)は実施例2のサンプルの強誘電性ヒステリシス曲線及び圧電バタフライ曲線を示す図である。
以下では、本発明の実施形態及び実施例について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施形態の記載内容及び実施例に限定して解釈されるものではない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一態様に係る強誘電体セラミックスの製造方法を説明する模式的な断面図である。
基板101を準備する。この基板101としては、種々の基板を用いることができ、例えばSi単結晶やサファイア単結晶などの単結晶基板、表面に金属酸化物膜が形成された単結晶基板、表面にポリシリコン膜またはシリサイド膜が形成された基板等を用いることができる。なお、本実施形態では、(100)に配向したSi基板101を用いる。
次に、Si基板101上にZrO膜102を550℃以下の温度(好ましくは500℃の温度)で蒸着法により形成する。このZrO膜102は(100)に配向する。なお、750℃以上の温度でZrO膜を蒸着法により形成すると、そのZrO膜は(100)に配向しない。
本明細書において(100)に配向することと(200)に配向することは実質的に同一である。
この後、ZrO膜102上に下部電極103を形成する。下部電極103は、金属または酸化物からなる電極膜によって形成される。金属からなる電極膜としては例えばPt膜またはIr膜が用いられる。酸化物からなる電極膜としては例えばSr(Ti1−xRu)O膜であり、xは下記式15を満たす。
0.01≦x≦0.4 ・・・式15
本実施形態では、ZrO膜102上に550℃以下の温度(好ましくは400℃の温度)でスパッタリングによってエピタキシャル成長によるPt膜103を下部電極として形成する。このPt膜103は(200)に配向する。
次に、Pt膜103上に、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液を塗布し、仮焼成することで、Pt膜103上に第1のPZTアモルファス膜を形成する。次いで、必要な膜厚を得るために、上記の前駆体溶液の塗布及び仮焼成を繰り返す。次いで、第1のPZTアモルファス膜を常圧または加圧の酸素雰囲気(例えば10atmの加圧酸素雰囲気)で600℃〜700℃の温度(好ましくは650℃の温度)で熱処理して結晶化を行うことで、Pt膜103上にPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105が形成される。x及びZは下記の式1及び式11を満たす。
0.24<x≦0.45 ・・・式1
0≦z≦0.03 ・・・式11
なお、第1のPZTアモルファス膜を結晶化する際の熱処理の昇温速度は、5℃/秒〜50℃/秒(好ましくは10〜25℃/s)であることが好ましい。
本明細書において「Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜」は、Pb(Zr1−x−zTiNb)Oに不純物を含有するものも含み、その不純物を含有させてもPZT膜の圧電体の機能を消滅させないものであれば種々のものを含有させてもよいものとする。
この後、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105上に、Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液を塗布し、仮焼成する。これにより、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105上には第2のPZTアモルファス膜が形成される。次いで、必要な膜厚を得るために、上記の前駆体溶液の塗布及び仮焼成を繰り返す。但し、1回の塗布及び仮焼成で必要な膜厚が得られれば、塗布及び仮焼成を繰り返す必要はない。
次いで、第2のPZTアモルファス膜を、常圧または加圧の酸素雰囲気(例えば10atmの加圧酸素雰囲気)で、第1のPZTアモルファス膜を結晶化する際の熱処理温度より高い温度であって650℃〜750℃の温度(好ましくは700℃の温度)で熱処理して結晶化を行う。これにより、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105上にCap膜107としてPb(Zr1−y−zTiNb)O膜が形成される。y及びzは下記の式2及び式11を満たす。また、x及びyは下記式3を満たすとよい。
0.45≦y<0.76 ・・・式2
x+0.05<y ・・・式3
0≦z≦0.03 ・・・式11
本実施形態では、Cap膜107をPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105よりTiリッチな組成とすることで、Cap膜107をPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105より硬くし、かつCap膜107が結晶化される熱処理温度をPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105が結晶化される熱処理温度より高くすることで、Cap膜107からPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105に熱歪が加えられ、配向性を向上させることができる。よって、圧電特性を向上させることができる。
また、Cap膜107の膜厚は、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105の膜厚の50%以下であるとよい。このようにCap膜107を薄くしても、上記のようにCap膜107をPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105より硬くし、かつ熱処理温度を高くすることで、Cap膜107からPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105に熱歪が加えられ、配向性を向上させることができる。
なお、第2のPZTアモルファス膜を結晶化する際の熱処理温度(第2の温度ともいう)は、第1のPZTアモルファス膜を結晶化する際の熱処理温度(第1の温度ともいう)より高い方が好ましく、第2の温度が第1の温度より5℃以上150℃以下高い温度であることがより好ましい。これにより、Cap膜107からPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105に確実に熱歪を加えることができ、配向性を確実に向上させることができる。
また、第2のPZTアモルファス膜を結晶化する際の熱処理の昇温速度(第2の昇温速度ともいう)は、第1のPZTアモルファス膜を結晶化する際の熱処理の昇温速度(第1の昇温速度ともいう)より速いことが好ましく、第2の昇温速度が第1の昇温速度より5℃/秒以上速いことがより好ましい。これにより、Cap膜107からPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105に確実に熱歪を加えることができ、配向性を確実に向上させることができる。
また、本明細書において「Cap膜」は、Pb(Zr1−y−zTiNb)Oに不純物を含有するものも含み、その不純物を含有させてもCap膜の機能を消滅させないものであれば種々のものを含有させてもよいものとする。
[第2の実施形態]
図2は、本発明の一態様に係る強誘電体セラミックスの製造方法を説明する模式的な断面図である。
基板としてのSi基板101上にZrO膜102、下部電極103としてのPt膜103を形成するまでは第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
次に、Pt膜103上に、Pbが10原子%以上40原子%以下過剰に添加されたPb(Zr1−x−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液を塗布し、仮焼成することで、Pt膜103上に第1のPZTアモルファス膜を形成する。次いで、必要な膜厚を得るために、上記の前駆体溶液の塗布及び仮焼成を繰り返す。次いで、第1のPZTアモルファス膜を常圧または加圧の酸素雰囲気(例えば10atmの加圧酸素雰囲気)で600℃〜700℃の温度(好ましくは650℃の温度)で熱処理して結晶化を行うことで、Pt膜103上にPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105が形成される。このPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105のPb:(Zr1−x+Ti+Nb)の元素比率は(1.4〜1.1):1であり、x及びzは下記式4及び式12を満たす。過剰なPbによってPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105の上部にはPbO壁105aが形成される。
0<x<1(好ましくは0.1<x<1、より好ましくは0.24<x<0.76) ・・・式4
0≦z0.03 ・・・式12
なお、第1のPZTアモルファス膜を結晶化する際の熱処理の昇温速度は、第1の実施形態と同様である。
また、本実施形態では、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105をゾルゲル法により形成するが、これに限定されるものではなく、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105をスパッタリングにより形成することも可能である。以下に詳細に説明する。
Pt膜103上にPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105をスパッタリングにより形成する。この際、Pb:(Zr1−x+Ti+Nb)の元素比率が(1.4〜1.1):1であるPb(Zr1−x−zTiNb)Oのスパッタリングターゲットを用いる。x及びzは上記式4及び式12を満たし、Pb:(Zr1−x+Ti+Nb)の元素比率は(1.4〜1.1):1である。過剰なPbによってPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105の上部にはPbO壁105aが形成される。
この後、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105上に、ストイキオメトリ組成またはPbが0原子%超5原子%以下過剰に添加されたPb(Zr1−y−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液を塗布し、仮焼成する。これにより、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105上には第2のPZTアモルファス膜が形成される。次いで、必要な膜厚を得るために、上記の前駆体溶液の塗布及び仮焼成を繰り返す。但し、1回の塗布及び仮焼成で必要な膜厚が得られれば、塗布及び仮焼成を繰り返す必要はない。
次いで、第2のPZTアモルファス膜を常圧または加圧の酸素雰囲気(例えば10atmの加圧酸素雰囲気)で650℃〜750℃の温度(好ましくは700℃の温度)で熱処理して結晶化を行う。この際、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105の上部のPbO壁105aの過剰鉛が結晶化の促進に利用される。これにより、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105上にCap膜107が形成され、PbO壁105aはCap膜107に吸収され、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105の過剰鉛が緩和される。Cap膜107は、Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜であり、y及びzは下記式5及び式12を満たす。Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜は、Pb:(Zr1−y+Ti+Nb)の元素比率が(1.05〜1):1である。
0<y<1(好ましくは0.1<y<1、より好ましくは0.24<y<0.76) ・・・式5
0≦z≦0.03 ・・・式12
なお、第2のPZTアモルファス膜を結晶化する際の熱処理温度(第2の温度ともいう)と第1のPZTアモルファス膜を結晶化する際の熱処理温度(第1の温度ともいう)の関係は、第1の実施形態と同様である。
また、x及びyは下記式3を満たすことが好ましい。
x+0.05<y ・・・式3
また、第2のPZTアモルファス膜を結晶化する際の熱処理の昇温速度(第2の昇温速度ともいう)と第1のPZTアモルファス膜を結晶化する際の熱処理の昇温速度(第1の昇温速度ともいう)の関係は、第1の実施形態と同様である。
また、第2の昇温速度は第1の実施形態と同様である。
上述したように、第2のPZTアモルファス膜を結晶化した際に、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105の上部のPbO壁105aの過剰鉛が結晶化の促進に利用され、圧電特性を向上させることができる。このため、第2のPZTアモルファス膜を結晶化した後のPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105のPb/(Zr+Ti+Nb)は、第2のPZTアモルファス膜を結晶化する前のPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105のPb/(Zr+Ti+Nb)より小さくなる。また、第2のPZTアモルファス膜を結晶化することで形成されたCap膜107のPb/(Zr+Ti+Nb)は、第2のPZTアモルファス膜を結晶化する前の第2のPZTアモルファス膜のPb/(Zr+Ti+Nb)より大きくなる。
また、第2のPZTアモルファス膜を結晶化した後のPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105のPb/(Zr+Ti+Nb)は、第2のPZTアモルファス膜を結晶化する前の第1のアモルファス膜のPb/(Zr+Ti+Nb)より小さくなる。また、第2のPZTアモルファス膜を結晶化することで形成されたCap膜107のPb/(Zr+Ti+Nb)は、第2のPZTアモルファス膜を結晶化する前の第2のPZTアモルファス膜のPb/(Zr+Ti+Nb)より大きくなる。
Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105及びCap膜107は、これらの膜容積全体の90%以上が120〜130%のPb過剰組成で、且つMPBよりもZr過剰稜面体晶領域PZTからなることが好ましい。120〜130%のPb過剰組成により結晶化温度の低減と結晶性向上を促すと同時に、結晶の周囲を過剰鉛PbOが被覆することで、柱状結晶群から成り、且つ一つ一つのPZT結晶柱は単結晶となる。
過剰鉛成分は鉛の高い蒸気圧により膜最上部に集まりPbO壁105aを形成し、圧電特性(特にリーク電流特性)を劣化させることがある。しかし、本実施形態では、ストイキオメトリ組成またはPbが0原子%超5原子%以下過剰に添加されたPZTを最上層のCap膜107として形成し、過剰鉛成分を利用して結晶化し、過剰鉛成分を除去するため、圧電特性を劣化させることを抑制できる。
[第3の実施形態]
図3(A),(B)は、本発明の一態様に係る強誘電体セラミックスの製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図3(A)に示すように、Si基板101上にZrO膜102、下部電極(Pt膜)103を形成するまでの工程は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
次に、Pt膜103上に、Pbが10原子%以上140原子%以下過剰に添加されたPb(Zr1−x−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液を塗布し、仮焼成する。次いで、必要な膜厚を得るために、上記の前駆体溶液の塗布及び仮焼成を繰り返す。これにより、Pt膜103上に第1のPZTアモルファス膜105bを形成する。x及びzは下記式4及び式12を満たす。
0<x<1(好ましくは0.1<x<1、より好ましくは0.24<x<0.76) ・・・式4
0≦z≦0.03 ・・・式12
次いで、第1のPZTアモルファス膜105b上に、ストイキオメトリ組成またはPbが0原子%超5原子%以下過剰に添加されたPb(Zr1−y−zTiNb)O膜形成用の前駆体溶液を塗布し、仮焼成する。次いで、必要な膜厚を得るために、上記の前駆体溶液の塗布及び仮焼成を繰り返す。これにより、第1のPZTアモルファス膜105b上には第2のPZTアモルファス膜107aが形成される。y及びzは下記式5及び式12を満たす。
0<y<1(好ましくは0.1<y<1、より好ましくは0.24<y<0.76) ・・・式5
0≦z≦0.03 ・・・式12
なお、x及びyは下記式3を満たすことが好ましい。
x+0.05<y ・・・式3
次に、第1及び第2のPZTアモルファス膜105b,107aを、常圧または加圧の酸素雰囲気(例えば10atmの加圧酸素雰囲気)で650℃〜750℃の温度(好ましくは700℃の温度)で熱処理して結晶化を行う。この際、第1のPZTアモルファス膜105bの過剰なPbが結晶化の促進に利用される。これにより、第1のアモルファス膜105bが結晶化されてPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105が形成され、そのPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105上に第2のアモルファス膜107aが結晶化されてCap膜107としてのPb(Zr1−y−zTiNb)O膜が形成される。詳細には、第1のPZTアモルファス膜105bが結晶化される際にPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105の上部にPbO壁105aが形成され、そのPbO壁105aはCap膜107に吸収され、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105の過剰鉛が緩和される(図3(B)参照)。なお、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜のPb:(Zr1−x+Ti+Nb)の元素比率は(1.4〜1.1):1であり、Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜のPb:(Zr1−y+Ti+Nb)の元素比率は(1.05〜1):1である。
上述したように、第1及び第2のPZTアモルファス膜105b,107aを結晶化した際に、第1のPZTアモルファス膜105bの過剰なPbが結晶化の促進に利用される。このため、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105のPb/(Zr+Ti+Nb)は、第1のアモルファス膜105bのPb/(Zr+Ti+Nb)より小さい。また、Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜107のPb/(Zr+Ti+Nb)は、第2のアモルファス膜107aのPb/(Zr+Ti+Nb)より大きい。
Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105及びCap膜107は、これらの膜容積全体の90%以上が120〜130%のPb過剰組成で、且つMPBよりもZr過剰稜面体晶領域PZTからなることが好ましい。120〜130%のPb過剰組成により結晶化温度の低減と結晶性向上を促すと同時に、結晶の周囲を過剰鉛PbOが被覆することで、柱状結晶群から成り、且つ一つ一つのPZT結晶柱は単結晶となる。
過剰鉛成分は鉛の高い蒸気圧により膜最上部に集まりPbO壁105aを形成し、圧電特性(特にリーク電流特性)を劣化させることがある。しかし、本実施形態では、ストイキオメトリ組成またはPbが0原子%超5原子%以下過剰に添加されたPZTを最上層のCap膜107として形成し、過剰鉛成分を利用して結晶化し、過剰鉛成分を除去するため、圧電特性を劣化させることを抑制できる。
[第4の実施形態]
図4は、本発明の一態様に係る強誘電体セラミックスの製造方法を説明する模式的な断面図である。
Si基板(図示せず)上にZrO膜(図示せず)、下部電極(Pt膜)103を形成するまでの工程は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
次に、下部電極103上にPbZrO膜(以下、「PZO膜」ともいう。)104を形成する。このPZO膜104は、種々の方法で形成でき、例えばゾルゲル法、CVD法、スパッタ法によって形成することができる。PZO膜104をゾルゲル法で形成する場合は、Pbが10原子%以上40原子%以下過剰に添加されたPZO膜形成用の前駆体溶液を下部電極103上に塗布し、5atm以上(好ましくは7.5気圧以上)の加圧酸素雰囲気で熱処理して結晶化を行う。これにより、複数のPbZrO(PZO)結晶粒が柱状単結晶に成長しながら、過剰なPbが押し出されて上部にPbO壁が形成される。このPZOは、PZT系酸化物中でc軸長が最長である。PbZrO膜104は、Pb:Zrの元素比率が(1.4〜1.1):1である。
PZO膜104は、PZT系でc軸最長であり、この上のPZT膜のc軸長を伸ばすために初期核として用いられる。
なお、PZOの格子定数は、それぞれa=8.232オングストローム,b=11.776オングストローム,c=5.882オングストロームである。a軸長さが平均的ペロブスカイト(ap≒4オングストローム)の約2倍,c軸長さがc≒(√2)ap,b軸長さはb≒2cとなっている。このPZOの格子定数の変化は、基本的にはペロブスカイト八面体結晶の回転と、これに八面体の歪みが加わって、b軸方向の周期が2倍になったものである。
PZOは図6に示すように斜方晶である。このため、PZOは見かけ上格子定数が大きくなっている。それは、ペロブスカイトが縦に45°程度回転していて、あたかも回転した結晶を点線部分のように周囲を取り囲んで、大きな結晶のように取り扱っているためである。つまり、見かけ上、a,b,c軸の長さがとても長くなっているように取り扱うのが斜方晶の慣例である。実際のPZOは実線のような結晶で、通常のペロブスカイト結晶である。
本明細書において「PZO膜」は、PbZrOに不純物を含有するものも含み、その不純物を含有させてもPZOの機能を消滅させないものであれば種々のものを含有させてもよいものとする。
この後、PZO膜104上にPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105及びCap膜107を形成する。Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105及びCap膜107は、第1〜第3の実施形態のいずれかと同様の方法で形成するとよい。
例えば、Pbが10原子%以上40原子%以下過剰に添加されたPZT膜形成用の前駆体溶液をPZO膜104上に塗布し、10atmの加圧酸素雰囲気で熱処理して結晶化を行う。これにより、複数のPb(Zr1−x−zTiNb)Oが(PZT)結晶粒がPZOの最長のc軸を引き摺りながら柱状単結晶に連続的に成長するとともに、過剰なPbが押し出されて柱状単結晶の上部にPbO壁が形成される。この際、PZO膜104の上部のPbo壁はPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105に拡散される。
本実施形態においても第1〜第3の実施形態のいずれかと同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態によれば、PZO膜104をPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105の初期核層(即ちバッファ層)として用いることにより、Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜105の圧電特性を向上させることができる。詳細に説明すると、PbZrO(PZO)はPb(Zr1−xTi)O(PZT)の相図中、Ti比率0(ゼロ)の場合であり、反強誘電体であるが、Pb(Zr1−xTi)Oの中でc軸長が最も長いため、PZOが全てのPZTのc軸長を伸ばす方向に働き、その構造が取り得る最大の圧電パフォーマンスを得られ易くすることができる。つまり、PZOを初期核にすることで、PZT全体がPZO初期核の結晶軸に影響を受けて、PZT膜全体でc結晶軸が伸び易くなり、つまり分極し易くなり、圧電性を容易に取り出すことが可能となる。
なお、本実施形態では、下部電極103上に、Pb(Zr,Ti)Oの相図中、Ti比率0であるPZO膜104を形成し、PZO膜104上にPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105(0<x<1・・・式1)を形成するが、非常に少ないTi比率のPb(Zr1−ATi)O膜上にPb(Zr1−x−zTiNb)O膜を形成してもよい。ただし、A及びxは下記の式6及び式7を満たす。Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜は(001)に配向している。
0≦A≦0.1 ・・・式6
A<x ・・・式7
上記式6を満たすこと、つまりTi比率を10%以下とすることで、初期核として用いるPb(Zr1−ATi)O膜が反強誘電性斜方晶相のPZT(つまりPb(Zr,Ti)Oの相図中、斜方晶領域(ortho領域)のPZT)となり、Pb(Zr1−ATi)Oが全てのPb(Zr1−xTi)O(PZT)のc軸長を伸ばす方向に働き、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本明細書においてPb(Zr1−x−zTiNb)O膜、Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜及びPb(Zr1−ATi)O膜それぞれの組成の価数は、完全に整合が取れていない場合も含むものとする。その理由は、一般式ABOのペロブスカイト構造の強誘電体膜の場合、完全には価数の整合が取れていない化学量論組成からずれている強誘電体膜が現実には多く存在するからである。
[第5の実施形態]
図5は、本発明の一態様に係る強誘電体セラミックスの製造方法を説明する模式的な断面図であり、図4と同一部分には同一符号を付す。
Si基板(図示せず)上にZrO膜(図示せず)、下部電極(Pt膜)103を形成するまでの工程は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
次に、下部電極103上に酸化膜106を形成する。この酸化膜106は、ペロブスカイト構造の酸化物であるとよく、例えばSr(Ti,Ru)O膜である。このSr(Ti,Ru)O膜は、Sr(Ti1−xRu)O膜であり、xは下記式8を満たし、スパッタリングにより形成される。この際のスパッタリングターゲットは、Sr(Ti1−xRu)Oの焼結体を用いる。但し、xは下記式8を満たす。
0.01≦x≦0.4(好ましくは0.05≦x≦0.2) ・・・式8
なお、Sr(Ti1−xRu)O膜のxが0.4以下であるのは、xを0.4超とするとSr(Ti1−xRu)O膜が粉になり、十分に固められないからである。
この後、Sr(Ti1−xRu)O膜を加圧酸素雰囲気でRTA(Rapid Thermal Anneal)により結晶化する。Sr(Ti1−xRu)O膜は、ストロンチウムとチタンとルテニウムの複合酸化物で、ペロブスカイト構造をとる化合物である。
次に、酸化膜106上にPZO膜104を第4の実施形態と同様の方法で形成する。次いで、PZO膜104上にPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105及びCap膜107を第4の実施形態と同様の方法で形成する。
本実施形態においても第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、酸化膜106上に、PZO膜104を形成し、PZO膜104上にPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105を形成するが、非常に少ないTi比率のPb(Zr1−ATi)O膜上にPb(Zr1−x−zTiNb)O膜を形成してもよい。ただし、A及びxは下記の式6及び式7を満たす。Pb(Zr1−xTi)O膜は(001)に配向している。
0≦A≦0.1 ・・・式6
A<x ・・・式7
上記式6を満たすことで第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した第1乃至第5の実施形態を適宜組合せて実施してもよい。
以下に、実施例1によるサンプルの製造方法について説明する。このサンプルの膜構造は図5に対応するものである。
(100)の結晶面を有する6インチのSi基板の上に反応性蒸着法によりZrO膜を成膜した。この際の蒸着条件は表1に示すとおりである。このZrO膜は(100)に配向した。
次に続けて、ZrO膜上にスパッタリングにより膜厚100nmのPt膜を成膜した。この際の成膜条件は表1に示すとおりである。このPt膜は(100)に配向した。
次に、Pt膜上にSrRuO(SRO)膜をスパッタリングにより成膜する。この際のスパッタ条件は下記のとおりである。
[スパッタ条件]
成膜圧力 :4Pa
成膜基板温度:常温
成膜時のガス:Ar
Ar流量 :30sccm
RF出力 :300W(13.56MHz電源)
成膜時間 :6分(膜厚50nm)
ターゲット :SrRuO焼結体
この後、SRO膜を加圧酸素雰囲気でRTAにより結晶化する。この際のRTAの条件は以下のとおりである。
[RTA条件]
アニール温度:600℃
導入ガス :酸素ガス
圧力 :9kg/cm
昇温レート :100℃/sec
アニール時間:5分
次に、SRO膜上に、過剰鉛を30%含むPbZrO膜形成用の前駆体溶液を塗布した。詳細には、1.4mol/kg濃度の1.3PbZrO形成用MOD溶液(豊島製作所製Lot.00050667−1),エタノール,2nブトキシエタノールを合わせて1000ml(それぞれ1:1:1の割合で混合)とし、その中に、ポリビニルピロリドン(日本触媒K−30)という白色粉末を20g添加し、撹拌溶解したものを原料溶液とした。
次いで、10atmの加圧酸素雰囲気で600℃、3分の熱処理をして結晶化を行った。これにより、SRO膜上に膜厚40nmのPbZrO膜(PZO膜)を形成した。
続けて、PZO膜上に膜厚4μmのPZT膜をスパッタ法で形成した。この際のスパッタ条件は以下のとおりである。
[スパッタ条件]
装置 : RFマグネトロンスパッタリング装置
PZTターゲット : 過剰鉛130%,Zr/Ti=58/42(Pb(Zr0.58Ti0.42)O
パワー : 1500W
ガス : Ar/O
Ar/Oの比率 : 6.28
圧力 : 0.14Pa
温度 : 600℃
成膜速度 : 0.63nm/秒
成膜時間 : 106分
上記の膜厚4μmのPZT膜を成膜した後の当該PZT膜を太陽光の下で見ると図7(A)のように透明であったが、クリーンルーム内の蛍光灯下では、蛍光灯の主波長であるλ=632.8nmを反映して図7(B)のようにニュートンリングが観察された。緻密・平滑・高密度・透明なPZT膜であることが分かった。
次に、PZT膜上に、過剰鉛を含まないPb(Zr0.7Ti0.3)O膜形成用の前駆体溶液を塗布した。次いで、10atmの加圧酸素雰囲気で600℃、3分の熱処理をして結晶化を行った。これにより、PZT膜上に膜厚100nmのPZTCap膜を形成した。この時の膜断面像は図8のSEM写真のように、柱状構造であった。
比較例1として上記の実施例1のサンプルのPZTCap膜無しのサンプルを作製した。比較例1のサンプルはPZTCap膜が無いこと以外は実施例1のサンプルと同様である。
比較例1のサンプル及び実施例1のサンプルそれぞれのXRDチャートを図9に示す。図9に示すXRDチャートを比較すると、図9(A)に示すPZTCap膜無しの場合、余剰過剰鉛によるPbOピークが見えるが、その上にPZTCap膜が有る場合、図9(B)に示すようにPbOピークが完全に消失していることが分かる。
以下に、本発明の実施例2よるサンプルの作製方法について説明する。このサンプルの膜構造は図2に対応するものであり、サンプルの作製方法は以下のとおりである。
(100)の結晶面を有する6インチのSi基板の上に、実施例1と同様の方法により、ZrO膜及びPt膜を順に成膜した。
次に、PZT前駆体溶液を用意する。PZT前駆体溶液は、PZT結晶の成分金属を全て或いは一部含む金属化合物と、その部分重縮合物を有機溶媒中に含有する前駆体溶液であり、濃度が25重量%のPZT(Zr/Ti=55/45)でPbが20%過剰な溶液である。
次に、Pt膜上にPZT前駆体溶液をスピンコート法により塗布することにより、このPt膜上に1層目の塗布膜が形成される。詳細には、500μLのPZT前駆体溶液を塗布し、5000rpmで10sec塗布した。
次いで、この塗布されたPZT前駆体溶液をホットプレート上で150℃に加熱しつつ30秒間保持して乾燥させ、水分を除去した後、さらに高温に保持したホットプレート上で500℃に加熱しつつ60秒間保持して仮焼成を行った。
上記の回転塗布、乾燥、仮焼成を3回繰り返し、強誘電体材料を含む3層のPZT非結晶性前駆体膜を生成した。
次いで、仮焼成を行った後のPZT非結晶性前駆体膜に加圧式ランプアニール装置(RTA:rapidly thermal anneal)を用いて酸素雰囲気の10atmで600℃の温度に1分間保持してアニール処理を行い、PZT結晶化を行った。この結晶化されたPZT膜は、図1に示すPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105に相当し、膜厚が2μmである。
次に、PZT前駆体溶液を用意する。PZT前駆体溶液は、PZT結晶の成分金属を全て或いは一部含む金属化合物と、その部分重縮合物を有機溶媒中に含有する前駆体溶液であり、濃度が25重量%のPZT(Zr/Ti=55/45)でPbがストイキオメトリの組成の溶液である。
次に、上記のPZT膜上にPZT前駆体溶液をスピンコート法により塗布することにより、このPZT膜上に1層目の塗布膜が形成される。詳細には、500μLのPZT前駆体溶液を塗布し、5000rpmで10sec塗布した。
次いで、この塗布されたPZT前駆体溶液をホットプレート上で150℃に加熱しつつ30秒間保持して乾燥させ、水分を除去した後、さらに高温に保持したホットプレート上で500℃に加熱しつつ60秒間保持して仮焼成を行った。
上記の回転塗布、乾燥、仮焼成を3回繰り返し、強誘電体材料を含む3層のPZT非結晶性前駆体膜を生成した。
次いで、仮焼成を行った後のPZT非結晶性前駆体膜に加圧式ランプアニール装置を用いて酸素雰囲気の10atmで700℃の温度に1分間保持してアニール処理を行い、PZT結晶化を行った。この結晶化されたPZT膜は、図1に示すCap膜107に相当し、ストイキオメトリの組成であり、膜厚が200nmである。このようにして実施例2よるサンプルを作製した。
比較例2としてのサンプルを作製した。この作製方法は、上記の実施例2のサンプルの作製方法とは結晶化温度が異なり、かつCap膜107に用いるPZT前駆体溶液のPbを20%過剰とする点が異なる。詳細には、図1のPb(Zr1−x−zTiNb)O膜105に相当する下部のPZT膜の結晶化温度を650℃とし、図1のCap膜107に相当する上部のPZT膜の結晶化温度を650℃とした。なお、比較例2のサンプルの上記の異なる点以外の成膜条件は、実施例2のサンプルと同様である。比較例2のサンプルのCap膜は過剰鉛の組成である。
実施例2(本発明)のサンプルXRDチャートと比較例2(従来例)のサンプルのXRDチャートを重ねて示したXRDチャートを図10に示す。実施例2のサンプルと比較例2のサンプルを比較すると、PZT(002)のピーク位置で若干の違いが見られ、PZT(004)のピーク位置では非常に大きな差が観察された。
一方、Pt(400)ではピークの位置も強度も殆ど一致しており、両者の違いはPZTc軸長の違いとして現れている。
実施例2(本発明)のPZT(004)の方が、比較例2(従来例)のPZT(004)と比較してピーク位置の差がより大きく、実施例2のPt(400)と比較例2のPt(400)は重なっている。このことから、本出願人による特願2013−272681号の明細書に詳細に記載したように、この差はPZTにおけるc軸長とa軸長の差を意味しており、つまり差がより大きい実施例2は、それだけ大きく分極していることと同意であり、それだけ実施例2のサンプルが比較例2のサンプルに比べて大きな圧電性能を有していることを示しているといえる。
前述したように、実施例2(本発明)のストイキPZTCapを施した2μmのPZTゾルゲル薄膜及び比較例2(従来)の過剰鉛Capを施した2μmのPZTゾルゲル薄膜それぞれに700Hzで±2.5Vの電圧を印加してバイポーラ駆動を行い、圧電特性を測定した。その結果を図11に示す。図11(A)は比較例2(従来)のサンプルの圧電ヒステリシス特性を示す図であり、図11(B)は実施例2(本発明)のサンプルの圧電ヒステリシス特性を示す図である。図11(A),(B)に示すように、縦軸を揃えた際に、両者の傾きは同一である。
図11(A),(B)に示すように、加熱前は実施例2及び比較例2のどちらのサンプルもd31=−20pm/Vであった。
次に、実施例2のサンプル及び比較例2のサンプルの2つのゾルゲル薄膜をホットプレート上で、350℃に加熱してから、ホットプレートの電源を切り、室温まで徐冷した。その後、その2つのゾルゲル薄膜それぞれに700Hzで±2.5Vの電圧を印加してバイポーラ駆動を行い、圧電特性を測定した。その測定結果を図12に示す。図12(A)は比較例2(従来)のサンプルの加熱後の圧電ヒステリシス特性を示す図であり、図12(B)は実施例2(本発明)のサンプルの加熱後の圧電ヒステリシス特性を示す図である。
図12(A)に示すように、比較例2(従来)の過剰鉛Capを施したサンプルの場合、リーク特性が劣化してd31評価が出来なかった。一方、図12(B)に示すように、実施例2のストイキPZTCapを施したサンプルの場合、d31=−80pm/Vと、大きく改善した。元々、本発明のPZT薄膜は強い単一配向性を示しており、転位点(Tc)以上に一度加熱することで、圧電性が最発現する際に、自発分極したものと考えられた。
図13(A)は、比較例2(従来)の過剰鉛Capを施したサンプルの加熱前の強誘電性ヒステリシス曲線及び圧電バタフライ曲線を示す図である。図13(B)は、実施例2(本発明)のストイキPZTCapを施したサンプルの加熱前の強誘電性ヒステリシス曲線及び圧電バタフライ曲線を示す図である。
図13(B)に示す本発明のストイキPZTCapを用いた場合、図13(A)に示す従来例の鉛過剰Capと比較して、圧電ヒステリシス特性に大きく差があった。
特にバイアスを掛けて駆動するユニポーラ特性で本発明(実施例2)に大きな優位性が認められた。同時にリーク電流特性に大きな差が見られており、このことがバイアス電界といった駆動条件で大きな差となって、影響したものと思われた。
101 Si基板
102 ZrO
103 下部電極(Pt膜)
104 PbZrO膜(PZO膜)
105 PZT膜
105a PbO壁
105b 第1のPZTアモルファス膜
106 酸化膜
107 PZTCap膜
107a 第2のPZTアモルファス膜

Claims (4)

  1. Sr(Ti 1−w Ru )O 膜と、
    前記Sr(Ti 1−w Ru )O 膜上に形成されたPb(Zr 1−A Ti )O 膜と、
    前記Pb(Zr 1−A Ti )O 膜上に形成されたPb(Zr1−x−zTiNb)O膜と、
    前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜上に形成されたPb(Zr1−y−zTiNb)O膜と、
    を具備し、
    前記A、前記w、前記x、前記y及び前記zは下記の式1、式2、式3、式6、式8及び式11を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックス。
    0.24<x≦0.45 ・・・式1
    0.45≦y<0.76 ・・・式2
    x+0.05<y ・・・式3
    0≦A≦0.1 ・・・式6
    0.01≦w≦0.4 ・・・式8
    0≦z≦0.03 ・・・式11
  2. 請求項において、
    前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜のPb:(Zr1−x+Ti+Nb)の元素比率が(1.4〜1.1):1であり、
    前記Pb(Zr1−y−zTiNbz)O3膜のPb:(Zr1−y+Ti+Nb)の元素比率が(1.05〜1):1であることを特徴とする強誘電体セラミックス。
  3. Sr(Ti 1−w Ru )O 膜と、
    前記Sr(Ti 1−w Ru )O 膜上に形成されたPb(Zr 1−A Ti )O 膜と、
    前記Pb(Zr 1−A Ti )O 膜上に形成されたPb(Zr1−x−zTiNb)O膜と、
    前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜上に形成されたPb(Zr1−y−zTiNb)O膜と、
    を具備し、
    前記Pb(Zr1−x−zTiNb)O膜のPb:(Zr1−x+Ti+Nb)の元素比率が(1.4〜1.1):1であり、
    前記Pb(Zr1−y−zTiNb)O膜のPb:(Zr1−y+Ti+Nb)の元素比率が(1.05〜1):1であり、
    前記A、前記w、前記x、前記y及び前記zは下記の式4、式5、式6、式7、式8及び式12を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックス。
    0<x<1 ・・・式4
    0<y<1 ・・・式5
    0≦A≦0.1 ・・・式6
    A<x ・・・式7
    0.01≦w≦0.4 ・・・式8
    0≦z≦0.03 ・・・式12
  4. 請求項1乃至3のうちのいずれか一項において、
    前記Sr(Ti 1−w Ru )O はZrO膜上に形成されていることを特徴とする強誘電体セラミックス。
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