JP6812313B2 - ブレーキ制御装置及びブレーキ制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のブレーキ制御装置及びブレーキ制御方法に関する。
従来、特許文献1には、減速度が不足しているときに、増圧弁をリニア制御からパルス制御に切り替えることで、ブレーキ液圧の増圧速度を高めて増圧不足が生じることを抑制する技術が開示されている。
特開2006−103438公報
しかしながら、上記特許文献1では、減速度不足を抑制できたとしても、予期せぬ過増圧が生じることで、制動時における車両挙動の安定性を確保することが困難となるおそれがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、制動時における車両挙動の安定性を確保可能なブレーキ制御装置及びブレーキ制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、車両の車輪部の接地路面の状態に基づく情報を取得し、前記車輪部に制動力を付与可能なホイルシリンダ部に接続する接続液路にある増圧弁部に通電する電流を制御するリニア制御と、前記増圧弁部を開弁する時間を制御するパルス制御と、を、取得された前記車輪部の接地路面の状態に応じて切り替えることとした。
よって、接地路面の状態に応じてリニア制御とパルス制御を切り替えることで、車両の制動や挙動の安定性を確保できる。
実施例1のブレーキ制御装置の回路構成図である。 実施例1のソレノイドインバルブの構成を示す模式図である。 実施例1のソレノイドインバルブの要部拡大図である。 実施例1のリニア制御及びパルス制御の切り替え処理を表すフローチャートである。 実施例1の高μ路におけるABS制御を表すタイムチャートである。 実施例1のスプリットμ路におけるABS制御を表すタイムチャートである。 実施例2のスプリットμ路におけるABS制御を表すタイムチャートである。 実施例3のブレーキシステムの概略構成を表す図である。 実施例3の第1ユニットの概略構成を表す図である。
〔実施例1〕
[回路構成]
図1は、実施例1のブレーキ制御装置の回路構成図である。
液圧制御ユニットHUは、車両の各車輪に付与する制動力を調整するもので、ブレーキコントロールユニット(コントロールユニット)BCUからの指令に基づき、左後輪のホイルシリンダW/C(RL)、右前輪のホイルシリンダW/C(FR)、左前輪のホイルシリンダW/C(FL)、右後輪のホイルシリンダW/C(RR)の各液圧を増減または保持する。
液圧制御ユニットHUは、P系統とS系統との2系統からなる、X配管と呼ばれる配管構造を有している。X配管を採用することで、一方の配管系統が故障した場合であっても、他方の配管系統を用いて正常時の半分の制動力を発生させることができる。なお、図1に記載された各部位の符号の末尾に付けられたPはP系統、SはS系統を示し、RL,FR,FL,RRは左後輪、右前輪、左前輪、右後輪に対応することを示す。以下の説明では、P,S系統または各輪を区別しないとき、P,SまたはRL,FR,FL,RRの記載を省略する。
実施例1の液圧制御ユニットHUは、クローズド油圧回路を用いている。ここで、「クローズド油圧回路」とは、ホイルシリンダW/Cへ供給されたブレーキ液を、マスタシリンダZM/Cを介してリザーバタンクZRSVへと戻す油圧回路をいう。ちなみに、クローズド油圧回路に対し、ホイルシリンダW/Cへ供給されたブレーキ液を、マスタシリンダZM/Cを介すことなく直接リザーバタンクZRSVへ戻すことが可能な油圧回路を、「オープン油圧回路」という。
ブレーキペダルZBPは、インプットロッドZIRを介してマスタシリンダZM/Cに接続されている。ブレーキペダルZBPへ入力されたペダル踏力は、ブレーキブースタZBBによって倍力される。マスタシリンダZM/Cは、ブレーキブースタZBBの出力に応じたブレーキ液圧を発生させる。
S系統には、左後輪RLのホイルシリンダW/C(RL)、右前輪FRのホイルシリンダW/C(FR)が接続され、P系統には、左前輪FLのホイルシリンダW/C(FL)、右後輪RRのホイルシリンダW/C(RR)が接続されている。また、P系統、S系統には、ポンプPP,PSが設けられている。ポンプPP,PSは、1つのモータMにより駆動される。実施例1では、ポンプPP,PSをプランジャポンプとしている。
マスタシリンダZM/CとホイルシリンダW/Cは、管路1と管路2により接続される。管路Z2Sは、管路Z2RL,2FRに分岐し、管路Z2RLはホイルシリンダW/C(RL)と接続され、管路Z2FRはホイルシリンダW/C(FR)と接続される。管路Z2Pは、管路Z2FL,2RRに分岐し、管路Z2FLはホイルシリンダW/C(FL)と接続され、管路Z2RRはホイルシリンダW/C(RR)と接続される。
管路Z1上には、常開型の比例制御弁であるゲートアウトバルブZ3が設けられている。P系統の管路Z1PのゲートアウトバルブZ3Pよりもマスタシリンダ側の位置には、マスタシリンダ液圧センサZ4が設けられている。管路Z1上には、ゲートアウトバルブZ3と並列に管路Z4が設けられている。管路Z4上には、チェックバルブZ5が設けられている。チェックバルブZ5は、マスタシリンダZM/CからホイルシリンダW/Cへ向かうブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
管路Z2上には、各ホイルシリンダW/Cに対応する常開型の比例制御弁であるソレノイドインバルブZ6が設けられている。管路Z2上には、ソレノイドインバルブZ6と並列に管路Z7が設けられている。管路Z7上には、チェックバルブZ8が設けられている。チェックバルブZ8は、ホイルシリンダW/CからマスタシリンダZM/Cへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
ポンプPの吐出側と管路Z2とは、管路Z9により接続される。管路Z9上には、吐出弁Z10が設けられている。吐出弁Z10は、ポンプPから管路Z2へ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
管路Z1のゲートアウトバルブZ3よりもマスタシリンダ側の位置と、ポンプPの吸入側とは、管路Z11と管路Z12により接続される。管路Z11と管路Z12との間には、調圧リザーバZ13が設けられている。
管路Z2のソレノイドインバルブZ6よりもホイルシリンダ側の位置と調圧リザーバZ13とは管路Z14により接続される。管路Z14Sは管路Z14RL, Z14FRに分岐し、管路Z14Pは管路Z14FL, Z14RRに分岐し、対応するホイルシリンダW/Cと接続される。
管路Z14上には、常閉型の電磁弁であるソレノイドアウトバルブZ15が設けられている。
調圧リザーバZ13は、圧力感応型のチェックバルブZ16を備える。チェックバルブZ16は、管路Z11内の圧力が所定圧を超える高圧となった場合、リザーバ内へのブレーキ液の流入を禁止することで、ポンプPの吸入側に高圧が印加されるのを防止する。なお、チェックバルブZ16は、ポンプPが作動して管路Z12内の圧力が低くなった場合には、管路Z11内の圧力にかかわらず開弁し、リザーバ内へのブレーキ液の流入を許容する。
ブレーキコントロールユニットBCUは、各輪に設けられた車輪速センサSfl,Sfr,Srl,Srr(以下、総称して車輪速センサSxと記載する。)により検出された車輪速と、車両のヨーレイトや前後加速度を検出する一体型センサScにより検出された車両状態と、運転者の操舵角を検出する舵角センサSstにより検出された操舵角と、を入力する。ブレーキコントロールユニットBCUは、車輪のロック傾向を検出すると、車輪ロックを回避するアンチロックブレーキ制御(以下、ABS制御と記載する。)を行うABS制御部と、操舵角に基づく目標車両挙動と実際の車両挙動とが乖離したときに、ブレーキ液圧により車両にヨーモーメントを付与することで目標車両挙動に近づける車両挙動制御(以下、VDC制御と記載する。)を行うVDC制御部と、路面の摩擦係数である路面μを推定する路面μ推定部と、を有する。路面μ推定部は、車輪の運動方程式から路面μを推定する。
(式1)
I×(dω/dt)=(μ×W×R)-τ:車輪運動方程式
I:車輪慣性
dω/dt:車輪加速度
τ:ブレーキトルク(ホイルシリンダ圧とブレーキパッドの摩擦係数等から算出)
μ:路面μ
W:輪荷重
R:タイヤ動半径
よって、
μ=(I×(dω/dt)+τ)/(W×R)
で表される。ホイルシリンダ圧は、マスタシリンダ液圧センサZ4と、ソレノイドインバルブZ6やソレノイドアウトバルブZ15の開弁時間に基づく流量から算出する。尚、路面μの推定としては、ステアリング装置において、操舵トルクと路面反力との関係から推定する方法や、各輪の車輪速から推定減速度を算出し、車両の平均的な路面μを推定する方法もある。
ABS制御部では、減圧開始閾値と、増圧開始閾値とを有し、車輪速が減圧開始閾値を下回ったときは、ソレノイドインバルブZ6を閉弁後、ソレノイドアウトバルブZ15を開弁してホイルシリンダ圧を減圧し、減圧開始閾値と増圧開始閾値との間のときは、ホイルシリンダ圧を保持し、増圧開始閾値を超えたときは、ソレノイドインバルブZ6を開弁してホイルシリンダ圧を増圧する。また、右側車輪と左側車輪との路面μが異なるスプリットμ路であると判断したときは、高μ路側のホイルシリンダ圧を、低μ路側でABS制御が行われているときのホイルシリンダ圧程度に抑制し、車両挙動を安定化するスプリットμ路制御を行う。VDC制御部では、目標車両挙動と実際の車両挙動とが所定以上乖離したときは、ゲートアウトバルブ3を閉じ、ポンプPを作動させ、所望の輪のソレノイドインバルブ6を開弁してホイルシリンダ圧を増圧する。
[ソレノイドインバルブ]
図2は、実施例1のソレノイドインバルブの構成を示す模式図である。
ソレノイドインバルブZ6は、電磁吸引力を発生するソレノイドZ21と、この電磁吸引力に応じて作動する弁体Z22と、弁体Z22を開弁方向(図2中上方)へ付勢するコイルスプリングZ23と、管路Z2上であってソレノイドインバルブZ6よりもマスタシリンダ側の管路Z2aとホイルシリンダ側の管路Z2bとが接続されたバルブボディZ24とから構成されている。弁体Z22が図2中下方に移動すると、弁体Z22の先端部がバルブボディZ24に形成されたシートZ26に着座することで管路Z2aと管路Z2bとが閉弁状態となる。一方、弁体Z22が図2中上方に移動すると、弁体Z22の先端部がシートZ26から離脱することで管路Z2aと管路Z2bとが開弁状態となる。すなわち、弁体Z22の上下方向位置(バルブリフト量)に応じて管路Z2aと管路Z2bとの連通状態(差圧)が決定される。
図3は、実施例1のソレノイドインバルブ6の要部拡大図である。
弁体Z22には、図3中上方にソレノイドインバルブZ6の上流側の圧力(マスタシリンダ液圧に相当)と下流側の圧力(ホイルシリンダ液圧に相当)との差圧に応じた力Faと、図3中下方にソレノイドZ21の電磁吸引力に応じた力Fbと、図3中上方にコイルスプリングZ23の付勢力による力Fcとが作用する。ソレノイドZ21に通電する電流を制御することで、上記差圧を所望の値に制御することができる。すなわち、弁体Z22の位置に応じてコイルスプリングZ23の付勢力は一意に決まる。このため、電流値を所定値に制御すれば、この電流値に応じた電磁吸引力とコイルスプリングZ23の付勢力とが最終的に釣り合うような上記差圧による力が弁体Z22に作用するようになるまで、弁体Z22がストロークしてゲートアウトバルブZ3を流れる流量が調整される。以下、これをソレノイドインバルブZ6のリニア制御と言う。リニア制御に対し、ソレノイドZ21に通電する電流を0アンペアからソレノイドZ21が閉となる電流をパルス的に通電させ、開弁時間によって弁体Z22がストロークしてソレノイドインバルブZ6を流れる流量を調整することが可能である。以下、これをソレノイドインバルブZ6のパルス制御という。
(リニア制御の課題)
リニア制御の特徴は、流量を微調整することを可能とする。よって、ブレーキ液の脈動を抑制することができる。これにより、ブレーキペダルの振動やソレノイドインバルブZ6を閉弁する際の音を抑制できるため、音振性能がパルス制御に比べて良好である。しかしながら、リニア制御にてソレノイドインバルブZ6の上下流差圧を調整している際に、マスタシリンダの液圧変動やソレノイドインバルブZ6の個体差によって、目標とする流量よりも多い流量もしくは少ない流量となる場合がある。仮に、目標とする流量よりも多い流量が発生した場合、ホイルシリンダ側に流れる液が多くなるため、増圧過多となる。増圧過多の場合、ABS制御により車輪の大きなスリップを小さなスリップへと復帰させるためにホイルシリンダ液圧を減圧させると、制動力が小さくなり、停止距離が伸びてしまうおそれがある。
また、車両の左右で路面摩擦係数(以下、路面μと記載する。)が異なる路面(以下、スプリットμ路と記載する。)での制動は、増圧過多により、高い路面μの制動力が低い路面μの制動力より強くなるおそれがある。そうすると、高い路面μ側に車両が引っ張られるため、車両にモーメントが発生し、スピンに至るおそれがある。一方、仮に、目標とする流量よりも少ない流量が発生した場合、ホイルシリンダ側に流れるブレーキ液が少ないため、増圧過小となる。増圧過小時のABS制御では、目標とする液圧よりも低い液圧となってしまうため、制動力が少なくなり、停止距離が伸びるおそれがある。そこで、走行状況に応じて、ソレノイドインバルブZ6の制御方法をリニア制御とパルス制御との間で切り替えることとした。
(リニア制御とパルス制御の切り替え処理)
次に、リニア制御とパルス制御の切り替え処理について説明する。図4は、実施例1のリニア制御及びパルス制御の切り替え処理を表すフローチャートである。
ステップS1では、推定減速度を算出し、推定減速度が予め設定された高μ時パルス制御実施判定閾値より大きいか否かを判断し、高μ時パルス制御実施判定閾値より大きいときはステップS4に進み、それ以外の場合はステップS2に進む。ここで、推定減速度は、例えば車輪速センサSxにより検出された車輪速の単位時間当たりの変化量に基づいて算出してもよいし、一体型センサScの前後加速度に基づいて算出してもよい。また、高μ時パルス制御実施判定閾値とは、高μ路と判断できる値であり、高μ時パルス制御実施判定閾値より大きな減速度が得られる場合は高μ路であり、高μ時パルス制御実施判定閾値以下の減速度が得られる場合は低μ路であると判断する。
ステップS2では、スプリットμ路か否かを判断し、スプリットμ路と判断したときはステップS4に進み、それ以外の場合はステップS3に進む。スプリットμ路か否かを判断するにあたっては、左輪推定制動力と右輪推定制動力とが所定値以上乖離しているか否かで判断する。具体的には、
(左輪推定制動力)>(右輪推定制動力+所定値)
もしくは、
(右輪推定制動力)>(左輪推定制動力+所定値)
のいずれかを満たすか否かで判断する。
尚、推定制動力は、(式1)に示す車輪運動方程式に含まれるブレーキトルクτにタイヤ動半径Rを乗算した値である。また、所定値とは、低μ路と高μ路との間で生じる制動力差を表す値であり、左右輪推定制動力差が所定値以上乖離しているときは、車両がスピン傾向を示す。
ステップS3では、ソレノイドインバルブZ6の制御方法をリニア制御にする。
ステップS4では、ソレノイドインバルブZ6の制御方法をパルス制御にする。
図5は、実施例1の高μ路におけるABS制御を表すタイムチャートである。時刻t1において、運転者の急制動によりABS制御が開始され、推定減速度が高μ時パルス制御実施判定閾値よりも大きな値であるため、パルス制御実施判定フラグがONとなる。よって、各輪にてABS制御に基づく増圧・保持・減圧の目標液圧が設定され、この目標液圧を達成するようにパルス制御が行われる。すなわち、高μ路と判断した場合、リニア制御を選択すると、流量過多が生じた際、増圧後の減圧時に減圧量が過剰となり、制動力の低下に伴い停止距離が伸びるおそれがある。一方、パルス制御を選択すると、流量過多が生じたとしても、開弁時間で制御しているため、流量過多の状態が継続的に生じることがない。よって、増圧後の減圧時に減圧量が過剰となることを回避し、制動力を確保できる。
図6は、実施例1のスプリットμ路におけるABS制御を表すタイムチャートである。時刻t1において、運転者の急制動によりABS制御が開始された際、推定減速度が高μ時パルス制御実施判定閾値よりも小さな値であるため、リニア制御が選択される。尚、この時点では、左輪及び右輪が設置する路面μに大きな差が検出されていない状態である。その後、時刻t2において、左側の路面μが高μ路と判断されると、スプリットμ路判断されると、高μ路側である左輪の目標液圧は、低μ路側である右輪の目標液圧の平均値と略同じとなる目標液圧が設定される。すなわち、高μ路側では、車輪速が減圧開始閾値を下回ることがないため、減圧・保持・増圧を繰り返すABS制御を行う必要が無い。ただし、左側と右側との制動力差による不要なヨーモーメントを回避するために、高μ路側に大きな制動力が発生することを回避している。このとき、仮にリニア制御を継続し、流量過多が生じた場合、高μ路側で大きな制動力が発生し、車両挙動が不安定化するおそれがある。よって、リニア制御からパルス制御に切り替える。これにより、ソレノイドインバルブZ6に流量過多が生じたとしても、開弁時間で制御しているため、流量過多の状態が継続的に生じることがなく、車両挙動の安定性を確保できる。
以上説明したように、実施例1にあっては、下記の作用効果が得られる。
(1)ブレーキ液圧に応じて車両の車輪部に制動力を付与可能なホイルシリンダW/Cに接続する接続液路である管路Z2と、管路Z2にあるソレノイドインバルブZ6(増圧弁部)と、ソレノイドインバルブZ6に通電する電流を制御するリニア制御と、ソレノイドインバルブZ6を開弁する時間を制御するパルス制御と、を取得された車輪部の接地路面の状態に基づく入力信号に応じて切り替えるブレーキコントロールユニットBCUと、を備えた。
よって、制動時における車両挙動の不安定化を抑制できる。
(2)ブレーキコントロールユニットBCUは、接地路面の摩擦係数が低い場合に対して高い場合、パルス制御に切り替える。
よって、高μ路での過増圧の次に生じる過減圧によって生じる停止距離延長・制動力不足を低減できる。
(3)車輪部は、車両の左右輪の一方である第1車輪部と、左右輪の他方である第2車輪部と、を備え、ブレーキコントロールユニットBCUは、接地路面の摩擦係数が第1車輪部より第2車輪部の方が低いスプリットμ路の場合、パルス制御に切り替える。
よって、スプリットμ路での高μ側過増圧によるスピン傾向を低減できる。
(4)ブレーキコントロールユニットBCUは、ABS制御の際にパルス制御に切り替える。
よって、ABS制御中、音振性能を優先させた制御と停止距離や車両挙動安定性等の機能性能を優先させた制御を両立できる。
(5)ブレーキコントロールユニットBCUは、車両の減速度が設定された閾値である高μ時パルス制御実施判定閾値より大きい場合、パルス制御に切り替える。
よって、高μ路での過増圧の次に生じる過減圧によって生じる停止距離延長・制動力不足を低減できる。
(6)車輪部は、車両の左右輪の一方である第1車輪部と、左右輪の他方である第2車輪部と、を備え、ブレーキコントロールユニットBCUは、第1車輪部に発生する制動力が第2車輪部に発生する制動力に所定値を加算した値より大きい場合、パルス制御に切り替える。
よって、スプリットμ路での高μ側過増圧によるスピン傾向を低減できる。
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図7は、実施例2のスプリットμ路におけるABS制御を表すタイムチャートである。実施例1では、スプリットμ路での減速時には、全ての輪におけるソレノイドインバルブZ6の制御を、リニア制御からパルス制御に変更した。これに対し、実施例2では、スプリットμ路での減速時には、高μ路側の後輪に対応するソレノイドインバルブZ6のみリニア制御からパルス制御に変更する。すなわち、制動時の車両挙動を安定化させるには、後輪のコーナリングフォースを確保することが重要である。また、急制動時は、前輪側に荷重移動し、後輪の輪荷重が低下する。よって、後輪の摩擦円が小さくなる傾向があり、後輪過増圧時にコーナリングフォースの低下が大きくなりやすい。一方、実施例1のように、全ての輪のソレノイドインバルブZ6をパルス制御にすると、音振性能の低下を招くおそれがある。そこで、実施例2では、スプリットμ路のときは、高μ路側の後輪のみリニア制御からパルス制御に切り替えることで、車両安定性を確保しつつ、音振性能の低下を抑制することを両立した。
実施例2では、下記の作用効果が得られる。
(7)第1車輪部は、車両の前輪である第1前輪と、前記車両の後輪である第1後輪と、を備え、第2車輪部は、車両の前輪である第2前輪と、車両の後輪である第2後輪と、を備え、ソレノイドインバルブZ6は、第1前輪に対応するソレノイドインバルブZ6FRと、第1後輪に対応するソレノイドインバルブZ6FLと、第2前輪に対応するソレノイドインバルブZ6RRと、第2後輪に対応するソレノイドインバルブZ6RLと、を備え、ブレーキコントロールユニットBCUは、ソレノイドインバルブZ6RR,Z6RLのうち、高μ路側のみをパルス制御に切り替える。
よって、高μ路側の後輪を1輪のみパルス制御に切り替えてることで、車両挙動の安定化を図りつつ、音振性能の悪化代を抑制できる。
なお、実施例2では、高μ路側の後輪のみをパルス制御に切り替えたが、少なくとも一つ以上の輪をパルス制御に切り替えることとしてもよい。例えば、高μ路側の前輪のみをパルス制御に切り替えてもよいし、高μ路側の前輪及び後輪をパルス制御に切り替えてもよいし、高μ路側の前輪及び後輪に加え、低μ路側の後輪をパルス制御に切り替えてもよい。
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。実施例1では、クローズド油圧回路のブレーキ制御装置に適用した例について説明した。これに対し、実施例3では、ブレーキバイワイヤシステムのブレーキ制御装置に適用した。図8は、実施例3のブレーキシステムの概略構成を表す図、図9は、実施例3の第1ユニットの概略構成を表す図である。実施例3のブレーキシステム1は、車輪を駆動する原動機として内燃機関(エンジン)のみを備えた車両のほか、エンジンに加えて電動式のモータ(ジェネレータ)を備えたハイブリッド車や、電動式のモータのみを備えた電気自動車等に搭載可能な液圧式のブレーキシステムであり、ブレーキペダル100と車輪(左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、及び右後輪RR)のホイルシリンダ101との間に配置される。ブレーキシステム1は、作動液としてのブレーキ液をホイルシリンダ101に供給し、ホイルシリンダ101に液圧(ブレーキ液圧)を発生させる。ホイルシリンダ101は、ブレーキ液圧に応じて車輪に摩擦制動力(液圧制動力)を付与する。ブレーキシステム1は2系統のブレーキ配管を有する。配管形式はX(対角)配管であるが、前後配管等を採用してもよい。第1系統(プライマリ系統)に対応する部材と第2系統(セカンダリ系統)に対応する部材とを区別する場合は、それぞれの符号の末尾に添字P,Sを付す。各車輪FL〜RRに対応する部材には、その符号の末尾にそれぞれ添字a〜dを付して適宜区別する。
図8に示すように、ブレーキシステム1は、第1ユニット1Aと第2ユニット1Bを有する。第1ユニット1A及び第2ユニット1Bは、ダッシュパネル等により車両の運転室から隔離されたエンジンルーム等に設置される。第1ユニット1Aは、リザーバタンク2、プッシュロッド3、マスタシリンダ4、及びストロークセンサ91を一体に有する。第1ユニット1Aは、例えばダッシュパネルに固定される。尚、第1ユニット1Aは負圧ブースタを備えていない。ここで、負圧ブースタとは、車両のエンジン又は別に設けた負圧ポンプが発生する負圧を利用して運転者のブレーキ操作力を倍力する装置である。第2ユニット1Bは、液圧ユニット5、ストロークシミュレータ6、液圧センサ92,93、及び電子制御ユニット90を一体に有する。第1ユニット1Aと第2ユニット1Bは、複数の配管10によって互いに接続される。複数の配管10は、マスタシリンダ配管10M(第1配管10MP、第2配管10MS)及び吸入配管10Rを有する。第2ユニット1Bと各車輪のホイルシリンダ101とは、ホイルシリンダ配管10Wによって互いに接続される。
リザーバタンク2は、ブレーキ液を貯留するブレーキ液源であり、大気圧に開放される。図9に示すように、リザーバタンク2は、第1壁21、第2壁22、及び第3壁23を有する。各壁21〜23は、リザーバタンク2の底部20から所定の高さまで延びて、リザーバタンク2の内部における底部20の側を複数の室に仕切る。第1壁21とリザーバタンク2の内周面との間に、第1室24Pが画成される。第1壁21と第2壁22との間に、センサ室25が画成される。第2壁22と第3壁23との間に、第2室24Sが画成される。第3壁23とリザーバタンク2の内周面との間に、第3室26が画成される。第1壁21及び第2壁22よりも、第3壁23のほうが高い。センサ室25及び第3室26に液面センサ27,28がそれぞれ設置される。底部20の外表面には液面センサ27,28のコネクタ270,280が設置される。リザーバタンク2の側面には、第3室26に連通するポート29がある。ポート29には吸入配管10Rの一端が接続される。プッシュロッド3は、ブレーキペダル100の揺動を直線運動に変換する部材である。プッシュロッド3の一端は回転可能にブレーキペダル100に連結される。プッシュロッド3は鍔部30を有する。鍔部30はテーパ状の面300を備える。
マスタシリンダ4は、運転者によるブレーキペダル100の操作に応じて作動し、ホイルシリンダ101に対し作動液圧を供給可能な第1の液圧源である。マスタシリンダ4は、第1シリンダ40、ピストン41、ばねユニット42、及びシール部材43,44を有する。第1シリンダ40はピストン41等を収容する。リザーバタンク2は、第1シリンダ40の鉛直方向上側に設置される。図8及び図9では、マスタシリンダ4の軸線を通る断面を示す。説明の便宜上、ピストン41の移動方向(軸線方向)にx軸を設け、ブレーキペダル100の踏込み操作に応じてピストン41が移動する側を負とする。図9に示すように、第1シリンダ40の内周は、大径部401及び小径部402を有する。これらの部401,402は、円筒状であり、互いに実質的に(製造誤差の範囲内で)同じ軸線上をx軸方向に延びる。大径部401は第1シリンダ40のx軸正方向側の端にある。大径部401のx軸正方向側の端は、x軸正方向側に向かうにつれて徐々に径が小さくなる。これによりテーパ状の面403が形成されている。この面403の中央には孔404が開口する。孔404は、上記軸線上をx軸方向に延びて第1シリンダ40の内外を貫通する。孔404の径は、プッシュロッド3における(鍔部30よりもブレーキペダル100側の)部分31の径より大きく、鍔部30の径より小さい。孔404には、プッシュロッド3における上記部分31が嵌まる。大径部401のx軸負方向側の端において、大径部401と小径部402との間の段差部には、棒状のガイド部材910が設置される。ガイド部材910は大径部401の内部をx軸方向に延びる。
小径部402は大径部401に対しx軸負方向側に隣接する。小径部402は、補給凹部405、供給凹部406、及びシール溝407,408を、第1,第2系統毎に有する。第1系統の補給凹部405P等は、小径部402のx軸正方向側にあり、大径部401に対しx軸負方向側に隣接する。第2系統の補給凹部405S等は、小径部402のx軸負方向側にあり、第1系統の補給凹部405P等に対しx軸負方向側に隣接する。これらの凹部405,406及び溝407,408は、上記軸線の周り方向(以下、周方向)に延びる環状である。補給凹部405は溝状である。シール溝は、第1溝407及び第2溝408を有しており、これらの溝407,408はx軸方向で補給凹部405を挟む。第1溝407は補給凹部405のx軸正方向側にあり、第2溝408は補給凹部405のx軸負方向側にある。第1溝407には第1シール部材43が設置され、第2溝408には第2シール部材44が設置される。シール部材43,44は、環状であり、断面形状がU字状のパッキンである。第2系統の第1シール部材43Sはx軸正方向側に開き、他のシール部材43P,44P,44Sはx軸負方向側に開く。供給凹部406は、補給凹部405(第2溝408)に対しx軸負方向側に隣接する。第1シリンダ40は、補給液路45及び供給液路46を、第1,第2系統毎に有する。これらの液路は、第1シリンダ40の内部を上記軸線に対する径方向(以下、径方向)に延びて小径部402に開口すると共に第1シリンダ40の外表面400に開口する。補給液路45は補給凹部405に開口し、供給液路46は供給凹部406に開口する。第1シリンダ40の外表面400において、第1系統の補給液路45Pの開口はリザーバタンク2の第1室24Pの底部20における開口に接続し、第2系統の補給液路45Sの開口はリザーバタンク2の第2室24Sの底部20における開口に接続する。
マスタシリンダ4は、タンデム型であり、ピストン41及びばねユニット42を、第1,第2系統毎に有する。第1ピストン41Pは、第1シリンダ40の内部に第1シリンダ40の軸線方向(x軸方向)に移動可能に収容され、プッシュロッド3を介してブレーキペダル100に連結される。なお、第1ピストン41Pはプッシュロッド3を介さず直接的にブレーキペダル100に連結されてもよい。第2ピストン41Sは、第1シリンダ40の内部に第1シリンダ40の軸線方向(x軸方向)に移動可能に収容され、第1ピストン41Pと直列に配置される。第2ピストン41Sは第1ピストン41Pに対しx軸負方向側にある。第2ピストン41Sはフリーピストン型であり、第1ピストン41Pに連動する。ピストン41の外周は円筒状であり、その径は小径部402の径よりも若干小さい。第1、第2ピストン41P, 41S(の外周面)の径は互いに実質的に等しい。ピストン41の外周面にはシール部材43,44のリップが接する。
ピストン41の内周側には、ピストン41の軸線方向に延びる有底円筒状の凹部411,412がある。第1凹部411はピストン41の軸線方向一方側に開口し、第2凹部412は上記軸線方向の他方側に開口する。両凹部411,412の径は実質的に等しい。両凹部411,412の底部には、両凹部411,412を隔てる壁413がある。第1ピストン41Pの壁413Pには、第1凹部411の側に、半球状の凹部414がある。プッシュロッド3の他端は半球状の凸部32を備える。凸部は凹部414に嵌り、凹部414の底面に当接する。ピストン41における第2凹部412の周壁には補給孔415がある。補給孔415は、ピストン41の軸線に対する径方向に延びて周壁を貫通し、周壁の内側(第2凹部412)と外側(ピストン41の外表面410)に開口する。補給孔415は、第2凹部412の底部側よりも開口側にあり、ピストン41の軸線の周り方向に略等間隔に複数(例えば4つ)並ぶ。
第1シリンダ40の内部に、第1ピストン41P及び第2ピストン41Sによって第1室47Pが仕切られ、第2ピストン41Sによって第1室47Pに対して軸線方向における反対側(x軸負方向側)に第2室47Sが仕切られ、第1ピストン41Pによって第1室47Pに対して軸線方向における反対側(x軸正方向側)に第3室48が仕切られる。第1室47Pは、第2シール部材44P、第1ピストン41Pの外周面における第2シール部材44Pよりもx軸負方向側、第1ピストン41Pの第2凹部412P、第1シール部材43S、第2ピストン41Sの外周面における第1シール部材43Sよりもx軸正方向側、第2ピストン41Sの第1凹部411S、及び第1シリンダ40の小径部402における第2シール部材44Pと第1シール部材43Sの間(主に供給凹部406P)、により画成される。第2室47Sは、第2シール部材44S、第2ピストン41Sの外周面における第2シール部材44Sよりもx軸負方向側、第2ピストン41Sの第2凹部412S、及び第1シリンダ40の小径部402における第2シール部材44Sよりもx軸負方向側(供給凹部406Sを含む)、により画成される。第3室48は、第1シール部材43P、第1ピストン41Pの外周面における第1シール部材43Pよりもx軸正方向側、第1ピストン41Pの第1凹部411P、及び第1シリンダ40の大径部401における第1シール部材43Pよりもx軸正方向側、により画成される。第1室47P及び第2室47Sには供給液路46が常時開口する。第1シリンダ40の外表面400における供給液路46の開口はポート(接続口)として機能する。第1室47Pに接続する供給液路46Pの上記開口には第1配管10MPの一端が接続する。第2室47Sに接続する供給液路46Sの上記開口には第2配管10MSの一端が接続する。
ピストン41が第1シリンダ40の内周面に沿って移動する際、シール部材43,44(のリップ)がピストン41の外周面に摺接する。シール部材43,44はロッドシールとして機能する。第1シール部材43Pは、第1ピストン41Pの外周側において、補給凹部405Pから第3室48へ向うブレーキ液の流れを抑制する。第2シール部材44Pは、第1ピストン41Pの外周側において、第1室47Pから補給凹部405Pへ向うブレーキ液の流れを抑制し、逆方向のブレーキ液の流れを許容する。第1シール部材43Sは、第2ピストン41Sの外周側において、第1室47Pから補給凹部405Sへ向うブレーキ液の流れを抑制し、逆方向のブレーキ液の流れを許容する。第2シール部材44Sは、第2ピストン41Sの外周側において、第2室47Sから補給凹部405Sへ向うブレーキ液の流れを抑制し、逆方向のブレーキ液の流れを許容する。
ばねユニット42は、ばね(弾性体)420、第1リテーナ421、第2リテーナ422、及びストッパ423を有する。ばね420は圧縮コイルばねである。ばね420の外周の径は、ピストン41の凹部411,412の内周の径より若干小さい。リテーナ421,422は有底円筒状であり、円筒部424、底部425、及び鍔部426を有する。鍔部426は、円筒部424の開口側から径方向外側へ円板状に広がる。底部425の中央には孔427が貫通する。円筒部424の外周の径は、ばね420の内周の径よりも若干小さい。円筒部424の軸線方向寸法は、第1リテーナ421よりも第2リテーナ422のほうが大きい。ストッパ423は棒状であり、その本体の径は、第2リテーナ422の底部425における孔427の径より若干小さい。ストッパ423の一端は、本体より小径の細軸部428を有する。細軸部428の径は、第1リテーナ421の底部425における孔427の径より若干小さい。ストッパ423の他端429は本体より大径の円柱状であり、その径は、第2リテーナ422の円筒部424の内周の径より若干小さく、第2リテーナ422の底部425における孔427の径より大きい。
ばね420の一端側は第1リテーナ421の円筒部424を囲み、ばね420の一端は第1リテーナ421の鍔部426に接する。ばね420の他端側は第2リテーナ422の円筒部424を囲み、ばね420の他端は第2リテーナ422の鍔部426に接する。ストッパ423の細軸部428が第1リテーナ421の底部425の孔427に嵌ることで、ストッパ423の一端が第1リテーナ421に固定される。ストッパ423の本体は第2リテーナ422の底部425における孔427に嵌り、ストッパ423の他端429は、第2リテーナ422の円筒部424の内周側にある。ばね420の両端はそれぞれリテーナ421,422に保持される。ばね420は、ストッパ423により軸線方向の伸長が制限され、常時押し縮められた状態であると共に、軸線方向に所定量内で圧縮弾性変形可能である。ストッパ423の他端429が第2リテーナ422の底部425に接することで、ばね420の最大長が制限される。ストッパ423の本体が第2リテーナ422の底部425における孔427の内周に沿って移動し、ストッパ423の他端429が第2リテーナ422の円筒部424の内周に沿って移動することで、ばね420の変形が軸線方向にガイドされる。
第1ばねユニット42Pは第1室47Pに収容され、第2ばねユニット42Sは第2室47Sに収容される。第1ばねユニット42P(第2リテーナ422及びストッパ423)の軸線方向寸法は第2ばねユニット42S(第2リテーナ422及びストッパ423)の軸線方向寸法よりも小さい。第1ばねユニット42Pのx軸正方向側は第1ピストン41Pの第2凹部412Pに嵌り、第1リテーナ421Pの鍔部426が第2凹部412Pの底部(壁413P)に接する。第1ばねユニット42Pのx軸負方向側は第2ピストン41Sの第1凹部411Sに嵌り、第2リテーナ422の鍔部426が第1凹部411Sの底部(壁413S)に接する。第2ばねユニット42Sのx軸正方向側は第2ピストン41Sの第2凹部412Sに嵌り、第1リテーナ421Sの鍔部426が第2凹部412Sの底部(壁413S)に接する。第2ばねユニット42Sのx軸負方向側(第2リテーナ422の鍔部426)は第1シリンダ40のx軸負方向側の底部に接する。第1ばねユニット42Pのばね420P(第1弾性体)は、第1室47Pの内部に、第1シリンダ40の軸線方向において圧縮された状態で、第1ピストン41Pと第2ピストン41Sとの間にある。第2ばねユニット42Sのばね420S(第2弾性体)は、第2室47Sの内部に、第1シリンダ40の軸線方向において圧縮された状態で、第2ピストン41Sと第1シリンダ40の内面との間にある。ばね420Pは第1ピストン41Pをx軸正方向側に常時付勢し、ばね420Sは第2ピストン41Sをx軸正方向側に常時付勢する戻しばねとして機能する。ばね420Pのセット荷重はばね420Sのセット荷重以下である。ばね420は、弾性体であればよく、コイルばねに限らず皿ばね等でもよい。また、ばね420の材料は、金属に限らずゴム等の非金属でもよい。
プッシュロッド3の鍔部30(の面300)が第1シリンダ40の孔404の周囲(における面403)に接することで、プッシュロッド3のx軸正方向側への移動、すなわち両ピストン41P,41Sのx軸正方向側への移動が規制される。この状態、すなわち両ピストン41P,41Sがx軸正方向側に最大変位した初期状態で、ピストン41の外周面における補給孔415の開口は、x軸方向で第1シール部材43のリップと第2シール部材44のリップとの間(補給凹部405と第2シール部材44のリップとの間)に位置し、補給液路45に連通する。リザーバタンク2の第1室24Pは、補給液路45P、補給凹部405P、及び補給孔415Pを介して、マスタシリンダ4の第1室47Pに接続する。リザーバタンク2の第2室24Sは、補給液路45S、補給凹部405S、及び補給孔415Sを介して、マスタシリンダ4の第2室47Sに接続する。
ストロークセンサ91は、マグネットホルダ911、マグネット912、及びセンサ本体913を有する。マグネット912はマグネットホルダ911に設置される。マグネットホルダ911(マグネット912)は第1ピストン41Pのx軸正方向端に設置される。マグネットホルダ911にはガイド部材910が嵌まる。センサ本体913は、ホール素子等の検出部及びコネクタ914を有する。センサ本体913は、第1シリンダ40の外表面400に設置される。ブレーキペダル100の揺動はプッシュロッド3及び第1ピストン41Pのx軸方向移動に変換される。第1ピストン41Pがx軸方向に移動するとマグネット912も同じだけx軸方向に移動する。センサ本体913の検出部は、第1シリンダ40の周方向でマグネット912と重なる位置にあり、マグネット912の上記移動に応じて電気的な信号を発生する。これにより、ストロークセンサ91は、第1ピストン41Pのx軸方向移動量(ペダルストローク)を検出する。センサ本体913の検出部に対するマグネット912の周方向変位は、マグネットホルダ911に嵌まるガイド部材910によって規制される。これによりストロークセンサ91の検出精度が向上する。
図8に示すように、液圧ユニット5は、ハウジング50、モータ80、ポンプ8、及び複数の電磁弁71等を有する。ハウジング50は、その内部にポンプ8や電磁弁71等の弁体を収容する。ハウジング50の内部には、ブレーキ液が流通する上記2系統(第1系統及び第2系統)の回路(ブレーキ液圧回路)がある。この回路は複数の液路を含む。ハウジング50の外表面500には複数のポートが開口する。複数のポートは、ハウジング50の内部の液路に連続し、これらの液路とハウジング50の外部の液路(配管10M等)とを接続する。複数のポートは、マスタシリンダポート51(第1ポート51P、第2ポート51S)、ホイルシリンダポート52、吸入ポート53、正圧ポート54、背圧ポート55、及び補給ポート56を含む。第1ポート51Pには第1配管10MPの他端が接続する。第2ポート51Sには第2配管10MSの他端が接続する。ホイルシリンダポート52にはホイルシリンダ配管10Wの一端が接続する。吸入ポート53には吸入配管10Rの他端が接続する。
モータ80は、回転軸を備える電動機であり、ハウジング50の一側面に設置される。モータ80は、ブラシ付きモータでもよいし、回転軸の回転角度ないし回転数を検出するレゾルバを備えるブラシレスモータでもよい。ポンプ8は、モータ80により駆動され、ホイルシリンダ101に対し作動液圧を供給可能な第2の液圧源である。ポンプ8は、第1系統及び第2系統で共通に用いられる。ポンプ8は、プランジャポンプであり、複数(例えば5つ)のシリンダ(プランジャ)を備える。なお、ポンプ8はギヤポンプ等であってもよい。電磁弁は、制御信号に応じて動作する制御弁であり、ソレノイド及び弁体を有する。弁体は、ソレノイドへの通電に応じてストロークし、液路の開閉を切り換える(液路を断接する)。電磁弁は、上記回路の連通状態を制御し、ブレーキ液の流通状態を調整することで、制御液圧を発生する。複数の電磁弁は、遮断弁71、増圧弁72、連通弁73、調圧弁74、減圧弁75、シミュレータ・アウト弁77、及びシミュレータ・イン弁78を有する。遮断弁71(第1弁71P、第2弁71S)、増圧弁72、及び調圧弁74は、非通電状態で開弁する常開弁である。連通弁73、減圧弁75、シミュレータ・アウト弁77、及びシミュレータ・イン弁78は、非通電状態で閉弁する常閉弁である。遮断弁71、増圧弁72、及び調圧弁74は、ソレノイドに供給される電流に応じて弁の開度が調整される比例制御弁である。連通弁73、減圧弁75、シミュレータ・アウト弁77、及びシミュレータ・イン弁78は、弁の開閉が二値的に切り替え制御されるオン・オフ弁である。尚、これらの弁は比例制御弁でもよい。各弁71等に対するブレーキ液の入力側又は出力側にはオイルフィルタがある。
複数の液路は、供給液路11(第1液路11P、第2液路11S)、吸入液路12、吐出液路13、調圧液路14、減圧液路15、正圧液路16、背圧液路17、背圧供給液路18、及び補給液路19を有する。供給液路11は、第1液路11Pと第2液路11Sを有する。第1液路11Pの一端側は、第1ポート51Pに接続する。第1液路11Pの他端側は、前左輪用の液路11aと後右輪用の液路11dとに分岐する。各液路11a,11dは対応するホイルシリンダポート52a,52dに接続する。第2液路11Sの一端側は、第2ポート51Sに接続する。第2液路11Sの他端側は、前右輪用の液路11bと後左輪用の液路11cとに分岐する。各液路11b,11cは対応するホイルシリンダポート52b,52cに接続する。供給液路11の上記一端側には遮断弁71がある。供給液路11において、遮断弁71に対しマスタシリンダポート51の側にオリフィス111がある。各液路11a〜11dには増圧弁72がある。各液路11a〜11dにおいて、増圧弁72に対し遮断弁71の側にオリフィス112がある。増圧弁72(及びオリフィス112)をバイパスして各液路11a〜11dと並列にバイパス液路110がある。液路110にはチェック弁720がある。弁720は、ホイルシリンダポート52の側からマスタシリンダポート51の側へ向うブレーキ液の流れのみを許容する。
吸入液路12は、液溜め室57とポンプ8の吸入ポート81とを接続する。液溜め室57は、ハウジング50の外表面500に開口する吸入ポート53に連通する。液溜め室57は、吸入液路12上の容積室であり、ハウジング50の内部のリザーバとして機能する。吐出液路13の一端側は、ポンプ8の吐出ポート82に接続する。吐出液路13の他端側は、第1系統用の液路13Pと第2系統用の液路13Sとに分岐する。各液路13P,13Sは、供給液路11における遮断弁71と増圧弁72との間に接続する。各液路13P,13Sには連通弁73がある。各液路13P,13Sにおいて、連通弁73に対し供給液路11の側にオリフィス131がある。液路13P,13Sは、(遮断弁71Pに対してホイルシリンダポート52側の)第1液路11Pと、(遮断弁71Sに対してホイルシリンダポート52側の)第2液路11Sとを接続する連通路として機能する。ポンプ8は、上記連通路(吐出液路13P,13S)及び供給液路11P,11Sを介して、各ホイルシリンダポート52に接続する。調圧液路14は、吐出液路13におけるポンプ8と連通弁73との間と、液溜め室57とを接続する。液路14には第1減圧弁としての調圧弁74がある。減圧液路15は、供給液路11の各液路11a〜11dにおける増圧弁72とホイルシリンダポート52との間と、液溜め室57とを接続する。液路15には第2減圧弁としての減圧弁75がある。各液路15a〜15dにおいて、減圧弁75に対し液溜め室57の側にオリフィス151がある。
正圧液路16は、第1液路11Pにおける第1ポート51Pと遮断弁71Pとの間と、正圧ポート54とを接続する。背圧液路17の一端は、背圧ポート55に接続する。液路17の他端は、液溜め室57に接続する。液路17にはシミュレータ・アウト弁77がある。液路17において、シミュレータ・アウト弁77に対し背圧ポート55の側にオリフィス171がある。シミュレータ・アウト弁77(及びオリフィス171)をバイパスして液路17と並列にバイパス液路170がある。液路170にはチェック弁770がある。弁770は、液溜め室57の側から背圧ポート55の側へ向うブレーキ液の流れのみを許容する。背圧供給液路18は、背圧液路17における背圧ポート55とシミュレータ・アウト弁77との間から分岐し、第1液路11Pにおける遮断弁71Pと増圧弁72a,72dとの間に接続する。液路18にはシミュレータ・イン弁78がある。液路18において、シミュレータ・イン弁78に対し第1液路11Pの側にオリフィス181がある。シミュレータ・イン弁78(及びオリフィス181)をバイパスして液路18と並列にバイパス液路180がある。液路180にはチェック弁780がある。弁780は、背圧液路17の側から第1液路11Pの側へ向うブレーキ液の流れのみを許容する。補給液路19は、液溜め室57と補給ポート56とを接続する。実施例3では、補給液路19の一部は減圧液路15と共通である。
吐出液路13におけるポンプ8と連通弁73との間には、この箇所の液圧(ポンプ吐出圧)を検出する液圧センサ92がある。第1液路11Pにおける遮断弁71Pと増圧弁72a,72dとの間には、この箇所の液圧(ホイルシリンダ液圧に相当)を検出する液圧センサ93Pがある。第2液路11Sにおける遮断弁71Sと増圧弁72b,72cとの間には、この箇所の液圧(ホイルシリンダ液圧に相当)を検出する液圧センサ93Sがある。
ストロークシミュレータ6は、運転者のブレーキ操作に伴い作動し、ブレーキペダル100に反力及びストロークを付与可能である。ストロークシミュレータ6は、第2シリンダ60、第3ピストン61、第1ばねユニット62、第2ばねユニット63、及びシール部材64,65を有する。第2ばねユニット63は蓋部材66を含む。第2シリンダ60は、第3ピストン61等を収容し、ハウジング50の一側面に設置される。図8では、ストロークシミュレータ6の軸線を通る断面を示す。説明の便宜上、第3ピストン61の移動方向(軸線方向)にy軸を設け、ブレーキペダル100の踏込み操作に応じて第3ピストン61が移動する側を負とする。
第2シリンダ60の内周は、小径部601及び大径部602を有する。これらの部601,602は、円筒状であり、互いに実質的に同じ軸線上をy軸方向に延びる。小径部601は第2シリンダ60のy軸正方向側にあり、補給凹部603、連通溝604、及びシール溝605,606を有する。凹部603,604,606は、小径部601のy軸負方向側にある。凹部603及び溝604〜606は、上記軸線の周り方向(以下、周方向)に延びる環状である。シール溝は、第1溝605及び第2溝606を有しており、これらの溝605,606はy軸方向で補給凹部603を挟む。第1溝605は補給凹部603のy軸正方向側にあり、第2溝606は補給凹部603のy軸負方向側にある。第1溝605には第1シール部材64が設置され、第2溝606には第2シール部材65が設置される。シール部材64,65は、環状であり、断面形状がU字状のパッキンである。第1シール部材64はy軸正方向側に開き、第2シール部材65はy軸負方向側に開く。連通溝604は、y軸方向で補給凹部603と第2溝606との間にあり、これらを接続する。連通溝604の径は、補給凹部603の径より小さい。大径部602は第2シリンダ60のy軸負方向側にあり、小径部601に対しy軸負方向側に隣接する。大径部602のy軸負方向端は第2シリンダ60の外表面600に開口する。この開口は蓋部材66により閉塞される。蓋部材66の外周は円筒状である。蓋部材66の外周には、その軸線の周り方向に延びるシール溝660がある。シール溝660にはOリング67が設置される。Oリング67は大径部602に接する。
第2シリンダ60は、正圧液路691、背圧液路692、補給液路693、及び排出液路694,695を有する。これらの液路691等は、第2シリンダ60の内部を上記軸線に対する径方向(以下、径方向)に延びて小径部601又は大径部602に開口すると共に第2シリンダ60の外表面600に開口する。外表面600における排出液路694,695の開口にはブリーダバルブ681,682がそれぞれ設置される。正圧液路691及び第1排出液路694は小径部601のy軸正方向側(第1溝605よりy軸正方向側)に開口し、背圧液路692及び第2排出液路695は大径部602のy軸正方向側に開口する。補給液路693は補給凹部603に開口する。
第3ピストン61は、第2シリンダ60の内部に第2シリンダ60の軸線方向(y軸方向)に移動可能に収容される。第3ピストン61の外周は円筒状である。第3ピストン61(の外周面)の径は、小径部601の径よりも若干小さく、第1、第2ピストン41P, 41S(の外周面)の径と実質的に等しい。第3ピストン61の外周面にはシール部材64,65のリップが接する。第3ピストン61の内周側には、第3ピストン61の軸線方向に延びる有底円筒状の凹部61(611,612)がある。第1凹部611は第3ピストン61の軸線方向一方側に開口し、第2凹部612は上記軸線方向の他方側に開口する。両凹部611,612の径は実質的に等しい。両凹部611,612の底部には、両凹部611,612を隔てる壁613がある。壁613には、第2凹部612の側に突出する円柱状の凸部614がある。第3ピストン61における第1凹部611の周壁には供給孔615があり、第2凹部612の周壁には補給孔616がある。両孔615,616は、ピストン61の軸線に対する径方向に延びて周壁を貫通し、周壁の内側(凹部611,612)と外側(ピストン61の外表面610)に開口する。両孔615,616は、ピストン61の軸線の周り方向に略等間隔に複数(例えば4つ)並ぶ。供給孔615は、第1凹部611における底部側よりも開口側にある。補給孔616は、第2凹部612における開口側よりも底部側にある。
第2シリンダ60の内部に、第3ピストン61によって正圧室607が仕切られ、正圧室607に対して第2シリンダ60の軸線方向における反対側(y軸負方向側)に背圧室608が仕切られる。正圧室607は、第1シール部材64、第3ピストン61の外周面610における第1シール部材64よりもy軸正方向側、第3ピストン61の第1凹部611、及び第2シリンダ60の小径部601における第1シール部材64よりもy軸正方向側、により画成される。背圧室608は、第2シール部材65、第3ピストン61の外周面610における第2シール部材65よりもy軸負方向側、第3ピストン61の第2凹部612、第2シリンダ60の小径部601における第2シール部材65よりもy軸負方向側、大径部602におけるOリング67よりもy軸正方向側、及び蓋部材66により画成される。正圧室607には正圧液路691が常時開口し、背圧室608には背圧液路692が常時開口する。第2シリンダ60の外表面600における正圧液路691、補給液路693、及び背圧液路692の開口はポートとして機能する。正圧液路691の上記開口には液圧ユニット5の正圧ポート54が接続する。補給液路693の上記開口には液圧ユニット5の補給ポート56が接続する。背圧液路692の上記開口には液圧ユニット5の背圧ポート55が接続する。
第3ピストン61が第2シリンダ60の内周面に沿って移動する際、シール部材64,65が第3ピストン61の外周面610に摺接する。シール部材64,65はロッドシールとして機能する。第1シール部材64は、第3ピストン61の外周側において、正圧室607から補給凹部603へ向うブレーキ液の流れを抑制し、逆方向のブレーキ液の流れを許容する。第2シール部材65は、第3ピストン61の外周側において、背圧室608から連通溝604(補給凹部603)へ向うブレーキ液の流れを抑制し、逆方向のブレーキ液の流れを許容する。
第1ばねユニット62は、第1ばね620、第1リテーナ621、第2リテーナ622、ストッパ623、及び第1弾性部材62Aを有する。第1ばね620、第1リテーナ621、第2リテーナ622、及びストッパ623の構成は、マスタシリンダ4のばねユニット42のばね420、第1リテーナ421、第2リテーナ422、及びストッパ423とそれぞれ同じである。第1弾性部材62Aは、ゴム(樹脂)を材料として円柱状に形成される。第2ばねユニット63は、第2ばね630、第3リテーナ631、蓋部材66、及び第2弾性部材63Aを有する。第2ばね630は圧縮コイルばねである。第2ばね630の径、材料径、軸線方向寸法、及びばね係数は、それぞれ第1ばね620よりも大きい。第3リテーナ631は、第1リテーナ621と同様、有底円筒状であり、円筒部632、底部633、及び鍔部634を有する。円筒部632の外周の径は、第2ばね630の内周の径よりも若干小さい。蓋部材66は有底円筒状である。蓋部材66の底部から突出する凸部661がある。凸部661は有底円筒状であり、凹部662を有する。蓋部材66の内周と凸部661の外周との間に、有底円環状の凹部663がある。第2弾性部材63Aは、ゴム(樹脂)を材料として、外周の軸線方向中央がくびれた円柱状に形成される。
両ばねユニット62,63は背圧室608に収容される。第1ばねユニット62のy軸正方向側は第3ピストン61の第2凹部612に嵌まる。第2リテーナ622の円筒部624の内周に第3ピストン61の凸部614が嵌まり、第2リテーナ622の鍔部626が第2凹部612の底部(壁613)に接する。円筒部624の内周側に第1弾性部材62Aが収容される。第1弾性部材62Aの軸線方向における一端面が凸部614に接する。第1ばねユニット62のy軸負方向側は第3リテーナ631の円筒部632に嵌り、第1リテーナ621の鍔部626が第3リテーナ631の底部633に接する。第2ばね630のy軸正方向側は第3リテーナ631の円筒部632を囲み、第2ばね630のy軸正方向端は第3リテーナ631の鍔部634に接する。第2ばね630のy軸負方向側は蓋部材66の凸部661を囲んで凹部663に嵌まり、第2ばね630のy軸負方向端は凹部663の底部に接する。蓋部材66の凸部661の内周(凹部662)に第2弾性部材63Aが収容される。第2弾性部材63Aの軸線方向における一端が凹部662の底面に接し、他端側が凸部661から背圧室608内に突出する。第1ばね620及び第2ばね630は、背圧室608の内部に、第2シリンダ60の軸線方向において圧縮された状態で、第3ピストン61と蓋部材66(第2シリンダ60の内面として機能する、蓋部材66のy軸正方向側の面)との間にある。両ばね620,630は、第3ピストン61をy軸正方向側に常時付勢する戻しばねとして機能する。第1ばね620のセット荷重は第2ばね630のセット荷重以下である。ばね620,630は、弾性体であればよく、コイルばねに限らず皿ばね等でもよい。また、ばね620,630の材料は、金属に限らずゴム等の非金属でもよい。
第3ピストン61(のy軸正方向端面)が第2シリンダ60の内面(内周側のy軸正方向端面)に接することで、第3ピストン61のy軸正方向側への移動が規制される。この状態、すなわち第3ピストン61がy軸正方向側に最大変位した初期状態で、第3ピストン61の外周面における供給孔615の開口は、y軸方向で小径部601における正圧液路691の開口に重なり、正圧液路691に連通する。また、上記初期状態で、第3ピストン61の外周面における補給孔616の開口は、y軸方向で小径部601における第2溝606に重なり、第2溝606を介して、第2シール部材65のリップよりもy軸正方向側の連通溝604や補給凹部603に連通する。上記初期状態で、第1弾性部材62Aの軸線方向における他端面とストッパ623の他端629との間に所定の隙間があり、第2弾性部材63Aの軸線方向における他端面と第3リテーナ631の底部633との間に所定の隙間がある。
マスタシリンダ4の第1室47Pは、第1シリンダ40の供給液路46P、第1配管10MP内の供給液路、ハウジング50の第1液路11P、及びホイルシリンダ配管10Wa,10Wd内の供給液路を介して、ホイルシリンダ101a,101dと接続する。第2室47Sは、第1シリンダ40の供給液路46S、第2配管10MS内の供給液路、ハウジング50の第2液路11S、及びホイルシリンダ配管10Wb,10Wc内の供給液路を介して、ホイルシリンダ101b,101cと接続する。マスタシリンダ4の第1室47Pは、第1シリンダ40の供給液路46P、第1配管10MP内の供給液路、ハウジング50の第1液路11P及び正圧液路16、並びに第2シリンダ60の正圧液路691を介して、ストロークシミュレータ6の正圧室607と接続する。ストロークシミュレータ6の背圧室608は、第2シリンダ60の背圧液路692及びハウジング50の背圧液路17を介して、液溜め室57と接続する。背圧室608は、第2シリンダ60の背圧液路692、ハウジング50の背圧液路17、背圧供給液路18、及び供給液路11、並びにホイルシリンダ配管10W内の供給液路を介して、ホイルシリンダ101と接続する。上記初期状態で、背圧室608は、第3ピストン61の補給孔616、第2シリンダ60の連通溝604、補給凹部603、及び補給液路693、並びにハウジング50の補給液路19を介して、液溜め室57と接続する。
運転者のブレーキ操作に伴い、マスタシリンダ4の第1室47P及び第2室47Sにはブレーキ液の圧力が発生する。各室47P,47Sは液圧室として機能する。リザーバタンク2は各室47P,47Sにブレーキ液を補給する。各室47P,47Sから流出したブレーキ液は、(第2ユニット1B等の)供給液路11を介して各ホイルシリンダ101に供給されうる。すなわち、ブレーキシステム1はマスタシリンダ液圧を各ホイルシリンダ101に供給可能である。システム1は、第1室47Pに発生したマスタシリンダ液圧により第1液路11Pを介してホイルシリンダ101a,101dを加圧可能である。また、第2室47Sに発生したマスタシリンダ液圧により第2液路11Sを介してホイルシリンダ101b,101cを加圧可能である。第1室47Pから流出したブレーキ液は、ストロークシミュレータ6に供給されうる。ブレーキ液が供給されることで、ストロークシミュレータ6はブレーキペダル100の操作反力(ペダル反力)を擬似的に生成する。このように、マスタシリンダ4、リザーバタンク2、及びストロークシミュレータ6は、ブレーキ装置として機能する。
電子制御ユニット(コントロールユニット。以下、ECUという。)90は、ハウジング50の一側面に設置される。ECU90は、ハーネス94を介して、ストロークセンサ91(のコネクタ914)や液面センサ27,28(のコネクタ270,280)と接続する。また、ECU90は、液圧センサ92,93と電気的に接続すると共に、CAN等の車載ネットワークを介して、車両側の他の制御機器等と接続する。ECU90は、センサ91等の検出値や車両側から入力された走行状態に関する情報、及び内蔵された(ROMに記憶された)プログラムに基づき、電磁弁71等の開閉動作やモータ80の回転数(すなわちポンプ8の吐出量)を制御する。これにより、各車輪FL〜RRのホイルシリンダ液圧(液圧制動力)を制御する。ECU90は、ホイルシリンダ液圧を制御することで、各種のブレーキ制御を実行可能である。ブレーキ制御は、運転者のブレーキ操作力を低減するための倍力制御、制動による車輪のスリップを抑制するためのアンチロックブレーキ制御(ABS)、車輪の駆動スリップを抑制するためのトラクション制御、車両の運動制御のためのブレーキ制御、先行車追従制御等の自動ブレーキ制御、回生協調ブレーキ制御等を含む。車両の運動制御は、横滑り防止等の車両挙動安定化制御を含む。
ECU90は、受信部901、演算部902、及び駆動部903を有する。受信部901は、センサ91等の検出値及び車載ネットワークからの情報を受信する。演算部902は、受信部901から入力される情報に基づき、目標ホイルシリンダ液圧その他の演算を行う。例えば、ストロークセンサ91の検出値に基づき、ブレーキ操作量としてのブレーキペダル100の変位量(ペダルストローク)を検出する。倍力制御時には、検出されたペダルストロークに基づき、所定の倍力比、すなわちペダルストロークと運転者の要求ブレーキ液圧(運転者が要求する車両減速度)との間の理想の関係特性を実現する目標ホイルシリンダ液圧を設定する。回生協調ブレーキ制御時には、例えば、車両の回生制動装置のコントロールユニットから入力される回生制動力と目標ホイルシリンダ液圧に相当する液圧制動力との和が、運転者の要求する車両減速度を充足するような上記目標ホイルシリンダ液圧を算出する。運動制御時には、例えば検出された車両運動状態量(横加速度等)に基づき、所望の車両運動状態を実現するよう、各車輪FL〜RRの目標ホイルシリンダ液圧を算出する。演算部902は、上記目標ホイルシリンダ液圧を実現するよう、アクチュエータ(各電磁弁71等やモータ80)を駆動するための指令を演算し、これを駆動部903に出力する。駆動部903は、演算部902からの指令信号に応じて上記アクチュエータに電力を供給する。このように、液圧ユニット5、液圧センサ92,93等、及びECU90は、液圧制御装置として機能する。
なお、演算部902及び受信部901は、実施形態においてはマイクロコンピュータ内のソフトウェアによって実現されるが、電子回路によって実現してもよい。演算は、数式演算だけでなく、ソフトウェア上での処理全般を意味する。受信部901は、マイクロコンピュータのインターフェイスであってもよいし、マイクロコンピュータ内のソフトウェアであってもよい。駆動部903は、PWMデューティ値演算部やインバータ等を含む。指令信号は、電流値に関するものであってもよいし、トルクや変位量に関するものであってもよい。演算部902について、所定の倍力比を実現する目標ホイルシリンダ液圧は、マイクロコンピュータ内のマップによって設定する他、演算によって設定してもよい。
ECU90は、ポンプ8を非作動とし、遮断弁71を開方向に制御する。この状態で、マスタシリンダ4の各室47P,47Sとホイルシリンダ101とを接続する液路(供給液路11)は、ブレーキペダル100の踏力を用いて発生させたマスタシリンダ液圧によりホイルシリンダ液圧を創生する踏力ブレーキ(非倍力制御)を実現する。踏力ブレーキ時、ECU90は、シミュレータ・イン弁78及びシミュレータ・アウト弁77を閉方向に制御する。これにより、ストロークシミュレータ6が非作動となる。
ECU90は、第2ユニット1Bを制御することで、マスタシリンダ4とホイルシリンダ101との連通を遮断した状態で、ポンプ8が発生する液圧を用いて各ホイルシリンダ101の液圧を(運転者によるブレーキ操作とは独立に)個別に制御可能である。ECU90は、ポンプ8を作動させ、遮断弁71を閉方向に制御する。この状態で、液溜め室57とホイルシリンダ101とを接続する液路(吸入液路12、吐出液路13等)は、ポンプ8を用いて発生させた液圧によりホイルシリンダ液圧を創生する所謂ブレーキバイワイヤシステムを実現する。ポンプ8は、液溜め室57のブレーキ液を吸入液路12を介して吸入し、吐出液路13(連通液路13P,13S)に吐出する。液溜め室57には、配管10Rを介してリザーバタンク2からブレーキ液が補給される。第2ユニット1Bは、ポンプ8により昇圧されたブレーキ液を、ホイルシリンダ配管10Wを介してホイルシリンダ101へ供給する。例えば、倍力制御時、ECU90は、ポンプ8を所定回転数で作動させ、遮断弁71を閉方向に、増圧弁72を開方向に、連通弁73を開方向に、減圧弁75を閉方向に制御する。調圧弁74の上流側の液圧である吐出液路13の液圧が目標ホイルシリンダ液圧に応じた目標液圧となるように、調圧弁74の開閉を制御する。これにより、目標ホイルシリンダ液圧を実現する。上流側の液圧は、液圧センサ92,93P,93Sのいずれか又は複数の検出値(例えば平均値)を用いて得られる。倍力制御では、エンジン負圧ブースタに代え、ポンプ8を液圧源としてマスタシリンダ液圧よりも高いホイルシリンダ液圧を創生する。これにより、運転者のブレーキ操作力では不足する液圧制動力を発生させることで、ブレーキ操作力を補助する。
ブレーキバイワイヤ時、ECU90は、シミュレータ・イン弁78を閉方向に、シミュレータ・アウト弁77を開方向に制御する。これにより、ストロークシミュレータ6が作動する。運転者のブレーキ操作に応じて、マスタシリンダ4からブレーキ液が流出し、ストロークシミュレータ6の正圧室607に流入する。これにより、ペダルストロークが発生すると共に、第1,第2ばね620,630の付勢力によりペダル反力が生成される。背圧室608から流出するブレーキ液は、背圧液路17(シミュレータ・アウト弁77)を通って液溜め室57に供給される。具体的には、正圧室607に流れ込むブレーキ液によって第3ピストン61が作動(ストローク)する。第3ピストン61のストロークに応じて第1ばね620がy軸方向で所定量以上圧縮されると、第1弾性部材62A(の他端面)とストッパ623(の他端629)とが接触し、第1弾性部材62Aは圧縮弾性変形する。これにより、第1ばね620の圧縮変形が規制されると共に、規制の際の衝撃が緩和される。第3ピストン61がさらにストロークすると第2ばね630が圧縮弾性変形を開始する。第2ばね630がy軸方向で所定量以上圧縮されると、第2弾性部材63A(の他端面)と第3リテーナ631(の底部633)とが接触し、第2弾性部材63Aは圧縮弾性変形する。これにより、第2ばね630の圧縮変形が規制されると共に、規制の際の衝撃が緩和される。ばね係数が互いに異なる第1ばね620及び第2ばね630が直列に接続されており、これらが順を追って段階的に弾性変形する。これにより、両ばね620,630全体としての特性(変形量に対するばね係数の変化の特性)が非線形となる。このため、第3ピストン61の作動(ペダルストローク)に応じてストロークシミュレータ6が生成するペダル反力を、より望ましい特性に近づけることができる。なお、第1ばね620が圧縮変形を規制される前に第2ばね630が圧縮変形を開始してもよい。第1ばね620のばね係数やセット荷重よりも、第2ばね630のばね係数やセット荷重のほうがが小さくてもよい。第1弾性部材62A及び第2弾性部材63Aの一方又は両方を省略してもよい。
ブレーキペダル100の踏込み操作開始後、ポンプ8が十分に高いホイルシリンダ液圧を発生可能になるまでの間、シミュレータ・アウト弁77を閉方向に制御してもよい。これにより、背圧室608から流出するブレーキ液は、背圧供給液路18(バイパス液路180及びチェック弁780)を通って供給液路11に供給され、ホイルシリンダ101へ向って供給される。これにより、ホイルシリンダ液圧の昇圧応答性を向上できる。ポンプ8が十分に高いホイルシリンダ液圧を発生可能な作動状態になると、シミュレータ・アウト弁77を開方向に制御することにより、背圧室608からのブレーキ液の流出先が液溜め室57に切り換えられる。なお、シミュレータ・アウト弁77を閉方向に制御する間、シミュレータ・イン弁78を開方向に制御することで、背圧供給液路18の流路断面積を大きくしてもよい。
ストロークシミュレータ6の作動中に電源失陥が発生すると、シミュレータ・アウト弁77が閉弁状態になる。ばね620,630の力により、第3ピストン61は初期位置に向けてy軸正方向にストロークする。第3ピストン61の補給孔616が第2シール部材65のリップよりもy軸正方向側に戻ると、背圧室608と補給液路693とが連通する。これにより、液溜め室57(リザーバタンク2)から補給液路19を介して背圧室608にブレーキ液が円滑に補給される。なお、補給液路693や補給凹部603等を省略してもよい。この場合、シール部材64,65はピストンシールでもよいし、断面形状がX字状のスクィーズパッキン(Xリング)等でもよい。
第1室47Pにおける第1ピストン41Pの受圧面積をA1、第2室47Sにおける第2ピストン41Sの受圧面積をA2、正圧室607における第3ピストン61の受圧面積をA3、第1室47Pにおける第2ピストン41Sの受圧面積をA4とする。第1室47Pの液圧をP1、第2室47Sの液圧をP2、正圧室607の液圧をP3とする。本実施形態では、第1〜第3ピストン41P,41S,61(の外周面)の径は互いに実質的に等しいため、式(1)が成り立つ。
A1=A2=A3=A4 …(1)
以下、力Fの符号の正負は、x軸及びy軸の方向の正負に従う。第1ピストン41Pに作用する液圧P1による力をFp1、第2ピストン41Sに作用する液圧P1及び液圧P2による力をFp2、第3ピストン61に作用する液圧P3による力をFp3とすると、式(2)(3)(4)が成り立つ。
Fp1=P1×A1 …(2)
Fp2=P2×A2-P1×A4 …(3)
Fp3=-P3×A3 …(4)
式(1)(3)から、式(5)が成り立つ。
Fp2=(P2-P1)×A2 …(5)
また、P1=P3とすると、式(4)から、式(6)が成り立つ。
Fp3=-P1×A3 …(6)
第1ピストン41P及び第2ピストン41Sに作用するばね420Pの力をfs1、第2ピストン41Sに作用するばね420Sの力をfs2、第1ピストン41Pに作用するばね420P及びばね420Sの合力をFs1、第2ピストン41Sに作用するばね420P及びばね420Sの合力をFs2、第3ピストン61に作用する第1ばね620及び第2ばね630の合力をFs3とする。式(7)が成り立つ。
Fs2=fs2-fs1 …(7)
マスタシリンダ4の非作動時(初期状態)における、fs1(ばね420Pのセット荷重)をfset1、fs2(ばね420Sのセット荷重)をfset2、Fs1をFset1、Fs2をFset2とする。ストロークシミュレータ6の非作動時(初期状態)におけるFs3をFset3とする。第1ピストン41Pに作用するFp1とFs1の合力をF1、第2ピストン41Sに作用するFp2とFs2の合力をF2、第3ピストン61に作用するFp3とFs3の合力をF3とすると、式(8)(9)(10)が成り立つ。
F1=Fp1+Fs1 …(8)
F2=Fp2+Fs2 …(9)
F3=Fp3+Fs3 …(10)
マスタシリンダ4及びストロークシミュレータ6の各部品の諸元は、以下の条件(A)を満たすように設定されている。すなわち、ブレーキペダル100の踏込み操作時、
(A) 第2ピストン41Sが停止状態から作動(ストローク)を開始する際、第1ピストン41Pと第3ピストン61がストロークしている状態にある。具体的には、
(A1) 第1ピストン41Pがストロークを開始した後に第3ピストン61がストロークを開始し、第3ピストン61がストロークを開始した後に第2ピストン41Sがストロークを開始する。又は、
(A2) 第1ピストン41Pがストロークを開始した後に第3ピストン61及び第2ピストン41Sがストロークを開始する。若しくは、
(A3) 第1ピストン41P及び第3ピストン61がストロークを開始した後に第2ピストン41Sがストロークを開始する。
上述したブレーキシステムにおいて、増圧弁72を通常はリニア制御とし、実施例1,2で示した条件に応じてパルス制御に切り替えることで、実施例1,2と同様の作用効果が得られる。
〔実施例から把握しうる技術的思想〕
以上、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。以下、実施例から把握しうる技術的思想について以下に記載する。
(1)本技術的思想のブレーキ制御装置は、その一つの態様において、
ブレーキ液圧に応じて車両の車輪部に制動力を付与可能なホイルシリンダ部に接続する接続液路と、
前記接続液路にある増圧弁部と、
前記増圧弁部に通電する電流を制御するリニア制御と、前記増圧弁部を開弁する時間を制御するパルス制御と、を取得された前記車輪部の接地路面の状態に基づく入力信号に応じて切り替えるコントロールユニットと、
を備えた。
(2)より好ましい態様では、上記態様において、
前記コントロールユニットは、前記接地路面の摩擦係数が低い場合に対して高い場合、前記パルス制御に切り替える。
(3)別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、
前記車輪部は、前記車両の左右輪の一方である第1車輪部と、前記左右輪の他方である第2車輪部と、を備え、
前記コントロールユニットは、前記接地路面の摩擦係数が前記第1車輪部より前記第2車輪部の方が低いスプリット路面の場合、前記パルス制御に切り替える。
(4)更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、
前記第1車輪部は、前記車両の前輪である第1前輪と、前記車両の後輪である第1後輪と、を備え、
前記第2車輪部は、前記車両の前輪である第2前輪と、前記車両の後輪である第2後輪と、を備え、
前記増圧弁部は、前記第1前輪に対応する第1増圧弁と、前記第1後輪に対応する第2増圧弁と、前記第2前輪に対応する第3増圧弁と、前記第2後輪に対応する第4増圧弁と、を備え、
前記コントロールユニットは、前記第2増圧弁のみを前記パルス制御に切り替える。
(5)更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、
前記車輪部は、前記車両の左右輪の一方である第1車輪部と、前記左右輪の他方である第2車輪部と、を備え、
前記第1車輪部は、前記車両の前輪である第1前輪と、前記車両の後輪である第1後輪と、を備え、
前記第2車輪部は、前記車両の前輪である第2前輪と、前記車両の後輪である第2後輪と、を備え、
前記増圧弁部は、前記第1前輪に対応する第1増圧弁と、前記第1後輪に対応する第2増圧弁と、前記第2前輪に対応する第3増圧弁と、前記第2後輪に対応する第4増圧弁と、を備え、
前記コントロールユニットは、前記第1増圧弁、前記第2増圧弁、前記第3増圧弁、前記第4増圧弁のうち少なくとも1つを切り替える。
(6)更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、
前記コントロールユニットは、ABS制御の際に前記パルス制御に切り替える。
(7)更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、
前記コントロールユニットは、前記車両の減速度が設定された閾値より大きい場合、前記パルス制御に切り替える。
(8)更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、
前記車輪部は、前記車両の左右輪の一方である第1車輪部と、前記左右輪の他方である第2車輪部と、を備え、
前記コントロールユニットは、前記第1車輪部に発生する制動力が前記第2車輪部に発生する制動力に所定値を加算した値より大きい場合、前記パルス制御に切り替える。
(9)また、他の観点から、本技術的思想のブレーキ制御方法は、その一つの態様において、
車両の車輪部の接地路面の状態に基づく情報を取得する第1ステップと、
前記車輪部に制動力を付与可能なホイルシリンダ部に接続する接続液路にある増圧弁部に通電する電流を制御するリニア制御と、前記増圧弁部を開弁する時間を制御するパルス制御と、を前記第1ステップにより取得された前記車輪部の接地路面の状態に応じて切り替える第2ステップと、
を備えた。
(10)より好ましい態様では、上記態様において、
前記第2ステップでは、前記接地路面の摩擦係数が低い場合に対して高い場合、前記パルス制御に切り替える。
(11)更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、
前記第2ステップでは、
前記車輪部のうち左右輪の一方である第1車輪部に対して前記左右輪の他方である第2車輪部の方が前記接地路面の摩擦係数が低いスプリット路面の場合、前記パルス制御に切り替える。
(12)更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、
前記第2ステップでは、
前記第1車輪部のうち前輪を第1前輪、後輪を第1後輪とし、前記第2車輪部のうち前輪を第2前輪、後輪を第2後輪とし、前記増圧弁部のうち前記第1前輪に対応する増圧弁を第1増圧弁、前記第1後輪に対応する増圧弁を第2増圧弁、前記第2前輪に対応する増圧弁を第3増圧弁、前記第2後輪に対応する増圧弁を第4増圧弁と、したとき、
前記第2増圧弁のみを前記パルス制御に切り替える。
(13)更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、
前記第2ステップでは、
前記第1車輪部のうち前輪を第1前輪、後輪を第1後輪とし、前記第2車輪部のうち前輪を第2前輪、後輪を第2後輪とし、前記増圧弁部のうち前記第1前輪に対応する増圧弁を第1増圧弁、前記第1後輪に対応する増圧弁を第2増圧弁、前記第2前輪に対応する増圧弁を第3増圧弁、前記第2後輪に対応する増圧弁を第4増圧弁と、したとき、
前記第1増圧弁、前記第2増圧弁、前記第3増圧弁、前記第4増圧弁のうち少なくとも1つを切り替える。
(14)更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、
前記第2ステップでは、ABS制御の際に前記パルス制御に切り替える。
(15)更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、
前記第2ステップでは、前記車両の減速度が設定された閾値より大きい場合、前記パルス制御に切り替える。
(16)更に別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、
前記第2ステップでは、
前記車輪部のうち左右輪の一方である第1車輪部に発生する制動力が前記左右輪の他方である第2車輪部に発生する制動力に所定値を加算した値より大きい場合、前記パルス制御に切り替える。
Z1 管路
Z2 管路(接続液路)
Z3 ゲートアウトバルブ
Z4 マスタシリンダ液圧センサ
Z6 ソレノイドインバルブ
Z13 調圧リザーバ
Z16 チェックバルブ
Z21 ソレノイド
Z22 弁体
BCU ブレーキコントロールユニット(コントロールユニット)
ZBP ブレーキペダル
ZM/C マスタシリンダ
P ポンプ
W/C ホイルシリンダ
72 増圧弁

Claims (8)

  1. ブレーキ液圧に応じて車両の車輪部に制動力を付与可能なホイルシリンダ部に接続する接続液路と、
    前記接続液路にある増圧弁部と、
    前記増圧弁部に通電する電流を制御するリニア制御と、前記増圧弁部を開弁する時間を制御するパルス制御と、を取得された前記車輪部の接地路面の状態に基づく入力信号に応じて切り替えるコントロールユニットと、
    を備えたブレーキ制御装置であって、
    前記車輪部は、前記車両の左右輪の一方である第1車輪部と、前記左右輪の他方である第2車輪部と、を備え、
    前記第1車輪部は、前記車両の前輪である第1前輪と、前記車両の後輪である第1後輪と、を備え、
    前記第2車輪部は、前記車両の前輪である第2前輪と、前記車両の後輪である第2後輪と、を備え、
    前記増圧弁部は、前記第1前輪に対応する第1増圧弁と、前記第1後輪に対応する第2増圧弁と、前記第2前輪に対応する第3増圧弁と、前記第2後輪に対応する第4増圧弁と、を備え、
    前記コントロールユニットは、前記接地路面の摩擦係数が前記第1車輪部より前記第2車輪部の方が低いスプリット路面以外の場合、前記第1増圧弁,前記第2増圧弁,前記第3増圧弁及び前記第4増圧弁を前記リニア制御し、前記接地路面の摩擦係数が前記第1車輪部より前記第2車輪部の方が低いスプリット路面の場合、前記第2増圧弁のみを前記リニア制御から前記パルス制御に切り替えることを特徴とするブレーキ制御装置。
  2. ブレーキ液圧に応じて車両の車輪部に制動力を付与可能なホイルシリンダ部に接続する接続液路と、
    前記接続液路にある増圧弁部と、
    前記増圧弁部に通電する電流を制御するリニア制御と、前記増圧弁部を開弁する時間を制御するパルス制御と、を取得された前記車輪部の接地路面の状態に基づく入力信号に応じて切り替えるコントロールユニットと、
    を備えたブレーキ制御装置であって、
    前記コントロールユニットは、ABS制御の際に、前記車両の減速度が設定された閾値より大きい場合、前記リニア制御から前記パルス制御に切り替えることを特徴とするブレーキ制御装置。
  3. ブレーキ液圧に応じて車両の車輪部に制動力を付与可能なホイルシリンダ部に接続する接続液路と、
    前記接続液路にある増圧弁部と、
    前記増圧弁部に通電する電流を制御するリニア制御と、前記増圧弁部を開弁する時間を制御するパルス制御と、を取得された前記車輪部の接地路面の状態に基づく入力信号に応じて切り替えるコントロールユニットと、
    を備えたブレーキ制御装置であって、
    前記車輪部は、前記車両の左右輪の一方である第1車輪部と、前記左右輪の他方である第2車輪部と、を備え、
    前記コントロールユニットは、ABS制御の際に、前記第1車輪部に発生する制動力が前記第2車輪部に発生する制動力に所定値を加算した値より大きい場合、前記リニア制御から前記パルス制御に切り替えることを特徴とするブレーキ制御方法。
  4. 請求項2または3に記載のブレーキ制御装置において、
    前記車輪部は、前記車両の左右輪の一方である第1車輪部と、前記左右輪の他方である第2車輪部と、を備え、
    前記第1車輪部は、前記車両の前輪である第1前輪と、前記車両の後輪である第1後輪と、を備え、
    前記第2車輪部は、前記車両の前輪である第2前輪と、前記車両の後輪である第2後輪と、を備え、
    前記増圧弁部は、前記第1前輪に対応する第1増圧弁と、前記第1後輪に対応する第2増圧弁と、前記第2前輪に対応する第3増圧弁と、前記第2後輪に対応する第4増圧弁と、を備え、
    前記コントロールユニットは、前記第1増圧弁、前記第2増圧弁、前記第3増圧弁、前記第4増圧弁のうち少なくとも1つを前記リニア制御から前記パルス制御に切り替えることを特徴とするブレーキ制御装置。
  5. 車両の車輪部の接地路面の状態に基づく情報を取得する第1ステップと、
    前記車輪部に制動力を付与可能なホイルシリンダ部に接続する接続液路にある増圧弁部に通電する電流を制御するリニア制御と、前記増圧弁部を開弁する時間を制御するパルス制御と、を前記第1ステップにより取得された前記車輪部の接地路面の状態に応じて切り替える第2ステップと、
    を備えたことを特徴とするブレーキ制御方法であって、
    前記車輪部は、前記車両の左右輪の一方である第1車輪部と、前記左右輪の他方である第2車輪部と、を備え、
    前記第1車輪部は、前記車両の前輪である第1前輪と、前記車両の後輪である第1後輪と、を備え、
    前記第2車輪部は、前記車両の前輪である第2前輪と、前記車両の後輪である第2後輪と、を備え、
    前記増圧弁部は、前記第1前輪に対応する第1増圧弁と、前記第1後輪に対応する第2増圧弁と、前記第2前輪に対応する第3増圧弁と、前記第2後輪に対応する第4増圧弁と、を備え、
    前記第2ステップは、前記接地路面の摩擦係数が前記第1車輪部より前記第2車輪部の方が低いスプリット路面以外の場合、前記第1増圧弁,前記第2増圧弁,前記第3増圧弁及び前記第4増圧弁を前記リニア制御し、前記接地路面の摩擦係数が前記第1車輪部より前記第2車輪部の方が低いスプリット路面の場合、前記第2増圧弁のみを前記リニア制御から前記パルス制御に切り替えることを特徴とするブレーキ制御方法。
  6. 車両の車輪部の接地路面の状態に基づく情報を取得する第1ステップと、
    前記車輪部に制動力を付与可能なホイルシリンダ部に接続する接続液路にある増圧弁部に通電する電流を制御するリニア制御と、前記増圧弁部を開弁する時間を制御するパルス制御と、を前記第1ステップにより取得された前記車輪部の接地路面の状態に応じて切り替える第2ステップと、
    を備えたことを特徴とするブレーキ制御方法であって、
    前記第2ステップにおいて、ABS制御の際に、前記車両の減速度が設定された閾値より大きい場合、前記リニア制御から前記パルス制御に切り替えることを特徴とするブレーキ制御方法。
  7. 車両の車輪部の接地路面の状態に基づく情報を取得する第1ステップと、
    前記車輪部に制動力を付与可能なホイルシリンダ部に接続する接続液路にある増圧弁部に通電する電流を制御するリニア制御と、前記増圧弁部を開弁する時間を制御するパルス制御と、を前記第1ステップにより取得された前記車輪部の接地路面の状態に応じて切り替える第2ステップと、
    を備えたことを特徴とするブレーキ制御方法であって、
    前記車輪部は、前記車両の左右輪の一方である第1車輪部と、前記左右輪の他方である第2車輪部と、を備え、
    前記第2ステップにおいて、ABS制御の際に、前記第1車輪部に発生する制動力が前記第2車輪部に発生する制動力に所定値を加算した値より大きい場合、前記リニア制御から前記パルス制御に切り替えることを特徴とするブレーキ制御方法。
  8. 請求項6または7に記載のブレーキ制御方法において、
    前記車輪部は、前記車両の左右輪の一方である第1車輪部と、前記左右輪の他方である第2車輪部と、を備え、
    前記第1車輪部は、前記車両の前輪である第1前輪と、前記車両の後輪である第1後輪と、を備え、
    前記第2車輪部は、前記車両の前輪である第2前輪と、前記車両の後輪である第2後輪と、を備え、
    前記増圧弁部は、前記第1前輪に対応する第1増圧弁と、前記第1後輪に対応する第2増圧弁と、前記第2前輪に対応する第3増圧弁と、前記第2後輪に対応する第4増圧弁と、を備え、
    前記第2ステップにおいて、前記第1増圧弁、前記第2増圧弁、前記第3増圧弁、前記第4増圧弁のうち少なくとも1つを前記リニア制御から前記パルス制御に切り替えることを特徴とするブレーキ制御方法。
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